相良宗介「とてもやさしいパンツァー・フォー」 前編


481: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/08(火) 22:53:46.36 ID:i7HflsjNo
ケイ『あの事件と試合ってなんか関係あるわけ?』

まほ「分からないから、中止なのだろう」

ケイ『私はアンジーがビビっちゃっただけだと思うんだけど』

まほ「学園艦の全生徒を統括する立場ならば、何もおかしな判断ではない」

ケイ『もとより、戦う気なんてなかったのかもね。みほだってあまり気のりはしてないって話だったし』

まほ「え?」

ケイ『なに、知らなかったの?』

まほ「そのような話は……」

ケイ『中止の件を聞いたとき、すぐアンジーに聞いたわ。みほはどういってるのって。そしたら、反対はしなかったんだってさ』

まほ「みほが……」

ケイ『隊長として試合に出るかどうか分からない、それ以前に選手として出場するのかも未定だったらしいわ』

まほ「どうして?」

ケイ『そこまでは言ってくれなかったわ。トップシークレットなのかもね』

まほ「感謝する、ケイ」

ケイ『ノープロブレム! なんの感謝かはよくわかんないけど!』 

引用元: 相良宗介「とてもやさしいパンツァー・フォー」 

 

483: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 21:08:52.84 ID:n3V7fHVDo
翌日 大洗女子学園 正門

みどり子「なによこれ! めちゃくちゃじゃない!!」

モヨ子「昨日、ここで爆発があったみたいなのよ、そど子」

みどり子「こんなことをするのは……」

宗介「俺だ」

みどり子「なにをやっているのよ!! 地雷も爆弾も校則違反よ!!」

宗介「修繕はしておく」

みどり子「全く!」

希美「そど子。今日、猫田さんのお見舞いにはいく?」

みどり子「当たり前でしょ」

かなめ「ソースケ、よかったの?」

宗介「問題ない。彼女たちに要らぬ恐怖を与えることもない」

かなめ「地雷とかトラップとか仕掛けておいたから、ソースケの仕業で片付いちゃうのよね……。結果的にはよかったのかしら」

宗介「俺は会長閣下のところへ行くが、千鳥はこのまま教室へ向かうか?」

かなめ「うん。そうする。またあとでね」

484: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 21:16:41.25 ID:n3V7fHVDo
教室

かなめ「おはよう」

華「おはようございます」

かなめ「みほは……」

沙織「今日は欠席するって」

かなめ「そう……」

華「それと今、緊急会議が行われているようです」

かなめ「会議?」

沙織「学園艦の役員を集めた会議。寄港させて臨時休校にするかどうかを話し合ってるんだって」

かなめ「あんな事件があったから、仕方ないか。みんな怖がるわよね」

華「わたくしは犯人への恐怖よりも憤りのほうが勝っています」

かなめ「華の胆の座り方は尋常じゃないのね」

沙織「怖いもの知らずってだけ」

かなめ「休校ってことなら戦車道の授業も中止よね」

沙織「それどころか次の試合だって中止なんでしょ? あーあ、どうなっちゃうんだろう。学園艦、無くなったりしないよね」

485: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 21:26:31.76 ID:n3V7fHVDo
華「わたくしは猫田さんのほうが心配ですわ」

沙織「そんなの私だって心配だよ。でもさ、一番怖いのって猫田さんが元気になったときに学園艦が無くなってるときじゃないかな」

華「あ……」

沙織「やっと退院してもさ、帰る場所がなきゃ、嫌だよ」

かなめ「そうね」

沙織「私、この学園艦を失くしたくない」

華「皆さんの気持ちは同じです。けれど……」

沙織「会長、なんで中止なんてしちゃうんだろう」

かなめ「……」

華「かなめさん?」

かなめ「え? な、なに?」

華「いえ、何か思いつめた顔をしているような気がしたので……」

かなめ「そ、そう? あたしはいつも通りよ! うは、うははは!」

『ピンポンパンポーン。戦車道受講者は今から生徒会室にくるよーに。会長からのおしらせでしたー。ポンパンパンポーン』

沙織「な、なんだろう……」

486: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 21:32:38.48 ID:n3V7fHVDo
生徒会室

桃「全員、揃ったな」

優花里「あの、お話しとは……」

杏「次のエキシビジョンを中止にすることで話は進んでる。ま、このままいけば中止にはなる」

カエサル「致し方ないか」

梓「猫田先輩がいなきゃ、試合をする意味もないですから」

杏「そう言ってくれてありがとう。でも、もう一つ、重大なお知らせがある」

典子「なんでしょうか」

柚子「えっと……」

杏「いいから、小山。これは私が説明しなきゃいけないんだ」

みどり子「言いにくいことなんですか」

杏「大洗女子学園は、次の対戦車道オールスター戦で勝利できなきゃ、廃校になる」

あや「はい?」

ナカジマ「廃校って、私たちが優勝したから白紙になったんですよね?」

杏「いいや。なってなかったんだよねぇ、それが。だから、毎日練習をしていたわけだ。戦術アドバイザーの相良くんまで呼んでね」

487: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 21:40:20.95 ID:n3V7fHVDo
倉庫

宗介(今頃、会長閣下は全員に伝えている頃か……)

テッサ「サガラさん」

宗介「大佐殿」

テッサ「遅くなりました」

宗介「申し訳ありません。自分がついていながら……」

テッサ「気にしないでください。私のミスでもありますから」

宗介「決してそのようなことは」

テッサ「角谷杏さんは?」

宗介「生徒会室にいるはずです」

テッサ「案内、していただけますか」

宗介「はっ」

テッサ「また貴方を辛い目に遭わせてしまった……。本当にごめんなさい」

宗介「戦地で仲間が負傷することは日常茶飯事です。問題ありません」

テッサ「サガラさん……」

488: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 22:08:54.34 ID:n3V7fHVDo
典子「どういうことですか!!!」

梓「納得できません!!」

エルヴィン「会長、どうしてそのことをすぐに言ってくれなかった!!」

桃「鎮まれ! これにはわけが……」

杏「みんなの怒りはごもっともだよ。まずは謝る。今まで黙っていて、ごめん」

あや「う……」

あゆみ「廃校って、本当なんですね」

杏「本当のことだ。冗談を言うために頭は下げない」

エルヴィン「謝罪は不要だ。何故、説明してくれなかったのか答えて欲しい」

おりょう「廃校の件が片付いていなかったということを告げれば、私たちの士気が下がると考えたから、か」

左衛門佐「そんなことでさがらんでござる」

桂利奈「そうですよぉ!! びっくりはしますけど、逆に燃えます!!」

杏「言えなかった最大の理由はそこなんだ。みんながやる気になることが分かってたから、言えなかった」

カエサル「それは何故?」

杏「……勝っても負けても、廃校になる」

489: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 22:17:23.93 ID:n3V7fHVDo
優花里「そ、そのような話は聞いていません!!」

優希「どうしてなんですかぁ? 勝てばいいんじゃないんですか」

麻子「勝てば日本の戦車道に傷をつけることになるから、何らかの嫌がらせはあるだけじゃなかったのか」

杏「その嫌がらせで廃校に追い込む気なんだろうねぇ」

華「そんなのに屈する必要はありません」

優花里「そうです!! 勝てば官軍!! 勝利さえすれば、誰にも文句は言わせません!!」

沙織「猫田さんが復活したら、また試合したらいいじゃないですか!」

杏「……」

桃「静かにしろ!! いいか!! これは政治も絡む問題なんだ!! スポーツの勝敗で左右することではないんだ!! それを理解しろ!!」

優花里「理解はできても納得はできません!!」

麻子「抗う方法はいくらでもあるだろう」

華「このまま泣き寝入りするのですか!」

沙織「そんなのいやだー!」

桃「黙れ!!! 誰が一番苦汁をなめているのか分からないのか!!!」

柚子「桃ちゃん……」

490: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 22:26:29.35 ID:n3V7fHVDo
桃「誰よりも努力をした者がどうして報われないんだ!! 答えてみろ!!」

優花里「な……」

桃「誰よりも学園艦を愛していた人がどうしていつも苦しまなくてはならないんだ!!!」

華「……」

桃「学園にいるすべての人を心配しているのにどうしてそのことが評価されないんだ!!!」

杏「河嶋、もういい」

桃「よくありません!! 何故なのですか!! 何故、会長はそう冷静でいられるのですか!!! 学園艦がなくなるんですよ!?」

杏「……」

桃「仕方ないで納得できるのですか!? 楽しいことがたくさんあった、ここがなくなるんですよ!? 可愛がっていた後輩たちはここを卒業できないんですよ!?」

杏「分かってる」

桃「どうして!! どうして廃校になるのですか!! 私は嫌です!! このまま諦めたくなんてありません!! 試合をしましょう!! 今からでも遅くはありません!!」

杏「ごめん、河嶋」

桃「もう一度……もう一度だけ……チャンスをください……」

杏「最初から、チャンスなんて誰もくれなかったんだ。だから私も奇跡が起きるのを待ってた。けど、それも起きなさそうだ。相良くんが、とってもいい人だったからなぁ」

かなめ「ソースケが……?」

491: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/09(水) 22:45:24.23 ID:n3V7fHVDo
桃「いやだぁ……いやだよぉ……がんばってきたのに……いままで……大洗で育ってきて……ここが私の故郷なのに……なくなるなんて……」

柚子「桃ちゃん……」

優花里「私も、大洗で生まれ育った身です。学園艦が無くなるなんて、考えたくもありません」

華「猫田さんが事件に巻き込まれたことを口実にして、試合は中止にする。周囲にはそう説明したほうが反感はないでしょうね」

麻子「猫田さんを襲った犯人だけが恨まれ、裏工作をしていた教育局に矛先は向かないだろうな」

杏「一応言っとくけど、犯人が試合を妨害するためだったのかはわかんないよ。それにアリクイさんチームは選抜チームでもなかったしねぇ。もし襲うなら選抜チームの誰かのはずだ」

沙織「選抜はもう決まってたんですか」

杏「殆ど決まってたかな」

麻子「だったら、猫田さんは本当に通り魔に襲われたというだけなのか」

杏「そういうことになるね。ま、オールスターチームに勝ったあとはどうなったかわかんないけど」

カエサル「勝利を掴んでも相手に約束を守る気がなければそれは徒労か」

おりょう「約束を、守らぬものは、お仕置きだ」

エルヴィン「その一句通りだ。けど、相手が大きすぎて私たちではお仕置きもできない」

典子「大洗でもう一度バレーボールをしたいのに!! もう一度、みんなで戦車道をしたいのに!! 根性でどうにかならないんですか!! 会長!!!」

杏「バレー部復活の手伝い、ちゃんとできなくて悪いね、磯辺ちゃん。ホント、私の力不足だな。ごめん」

492: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 20:48:59.24 ID:mLKfZYpBo
典子「そんなこと言わないでください!」

妙子「どんなに辛いときでも笑っていた会長はどこにいったんですか!!」

あけび「私たちならやれます!!」

忍「大洗の廃校は必ずブロックしますから!! だから……!!」

杏「どうしたら、私たちの学校を守れるのかな」

典子「え……」

杏「誰か、教えてほしい」

カエサル「……」

杏「誰でもいい。教えてよ。教えてくれたら、干し芋1年分あげる。それで、教えてもらったことは絶対に実行する。どんなことだってやる覚悟はあるんだ」

杏「だから、教えてよ。学校を守る方法をさ。お願い……だから……」

みどり子「……」

梓「……」

かなめ(きっと角谷先輩は今までにいろんなことを試してきたのよね。それでも結果は変わらなかった……)

かなめ(林水先輩は角谷先輩のことを強い人だって言ってたけど……本当は普通の……)

杏「まもりたいんだ……だいすきな……この場所を……まもりたい……」

493: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 20:56:31.00 ID:mLKfZYpBo
柚子「――会長、みんなは教室に戻りました」

杏「みっともないところ、見せちゃったな」

柚子「いえ……」

杏「これでスッキリした。今までありがとう、小山、河嶋。私の我儘にずっと付き合ってくれて、感謝してる」

桃「やめてください」

柚子「そうですよ。私も桃ちゃんも会長のことが、いえ、この大洗のことが大好きだっただけです」

桃「私だって会長と想いは同じです。この学園を失くしたくない一心でどんなことにも取り組んできました」

杏「うん。知ってる」

桃「だから……あきらめるなんてこと……したくは……」

杏「ないよな。けど、どうしようもない。相良くんと千鳥ちゃんまで巻き込んだけど、都合のいい奇跡は起きなかった」

柚子「相良さんと千鳥さんに何か期待をしていたんですよね? どんなことですか」

杏「それは相良くんがみんなを殺人マシーンに――」

宗介「失礼します、会長閣下」

テッサ「初めまして、角谷杏さん」

杏「初めまして。なんて呼べばいい?」

494: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 21:52:51.67 ID:mLKfZYpBo
テッサ「私はテレサ・テスタロッサです。テッサとお呼びください」

杏「分かった。で、テッサちゃんは相良くんのなに? 恋人?」

テッサ「そんなぁ……そういう関係では……」モジモジ

宗介「大佐殿、その、本題に……」

テッサ「そ、そうですね。角谷さん、貴方にお願いしたいことがあります」

杏「なんでもいってみぃ」

テッサ「――試合を中止にはしないでください」

杏「……」

桃「どこの誰かは知らないが、会長は……!」

テッサ「承知しています。この学園艦が置かれている状況。そして、艦内にて発生した事件。その全てを」

桃「ならば、部外者は黙っていてくれ。これは大洗女子学園の問題なんだ」

テッサ「いいえ。世界すらも飲み込む問題です」

桃「どういう意味だ」

テッサ「戦車道が安全なスポーツとして認知された理由はご存知ですか」

柚子「それは勿論、あの特殊コーティングのおかげです。あれがない時代は死亡事故もあったぐらいですから」

495: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:00:20.09 ID:mLKfZYpBo
テッサ「そのコーティング技術は軍事利用されないよう、配慮がなされてきました。技術が漏洩しないようにあらゆる手が尽くされています」

桃「当然だ。あの技術が戦争に使われたらどうなるか」

テッサ「その通りです。ですから、貴方達には学園艦を守ってほしいのです」

杏「テッサちゃんは廃艦後のことも知ってそうだね」

テッサ「おおよその見当はつきます。戦車の行方にも心当たりがありますので」

桃「貴方は何者なんだ」

テッサ「正義の味方、とだけ言っておきます」

桃「ふざけるな!」

杏「まぁまぁ、河嶋。落ち着け」

桃「この状況下でこんなふざけたことを言われたら、誰だって声を荒げたくなります!!」

杏「相良くんもその正義の味方の一員だったの?」

宗介「肯定です」

柚子「相良さんまで……」

杏「テッサちゃんの考えはわかる。わかるけどさ、どうしても無理なんだよねぇ。学園艦を守る方法がもうないんだ」

テッサ「試合に勝利してください。そうすれば学園艦は守ることができます」

496: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:08:13.74 ID:mLKfZYpBo
桃「何を言っている!! それができないから会長は苦しんでいるのに!!!」

杏「どうしてそう言い切れるの?」

テッサ「私たちを信じてください」

柚子「え……?」

テッサ「詳細を説明するわけにはいきませんが。貴方達が試合に勝ちさえすれば、学園艦を残すことができるのです」

杏「テッサちゃんがどうにかしてくれるってこと?」

テッサ「はい」

桃「そんなことができるなら、今すぐやってみせてくれ」

テッサ「無理です。誓約書にはオールスターチームに現戦力で勝利することと書かれていますので」

杏「これのこと?」ペラッ

テッサ「そうです」

杏「これ、ただの紙切れなんだけどな」

テッサ「私には希望に見えますが」

杏「希望……」

テッサ「角谷さんが額を床にこすりつけながら懇願したものです。ただの紙切れになんて、絶対にさせません」

497: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:16:11.70 ID:mLKfZYpBo
柚子「それって……!」

杏「どこでそんなことを知ったの?」

テッサ「少し調べればわかることです」

桃「会長、そんなことまでしていたのですか……」

杏「勝たないと、いけないんだな」

テッサ「ええ。簡単なことでしょう。貴方たちが一度下した相手が一纏めにされただけのチームですから」

杏「ちょっと考えさせて」

テッサ「構いませんよ。でも、すぐに決断したほうがいいでしょうね。相手が強行策に出ればどうすることもできなくなりますから」

杏「分かった」

桃「会長。いきなり現れた人間のいうことを信じるのですか」

杏「相良くん」

宗介「はっ」

杏「テッサちゃんは信頼できるの?」

宗介「この方ほど信頼できる人間はこの世界にいないと断言できます」

杏「ふぅん。そうなんだ」

498: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:24:43.53 ID:mLKfZYpBo
柚子「どうするんですか?」

杏「テッサちゃんのことは信頼できない。でも、相良くんのことは信頼できる。だから、テッサちゃんのことは信じてもいいかもしれない」

桃「しかし! 猫田のこともあります!!」

杏「だからこそ、考える時間が必要なんだ。これが奇跡の始まりなのか見極めるためにもな」

テッサ「奇跡は起こすものですから、大洗のみなさんが動かない限り、起きることはないでしょう」

杏「ああ。その通りだね」

テッサ「では、これで。ああ、忘れていました」

杏「なぁに?」

テッサ「この学園艦の警備システムを更に強化させておきます。今後、あのような事件も、暴漢も現れることはないでしょう。現れたとしても、被害がでることはまずありません」

杏「この前、相良くんが連れてきた警備会社のメリッサちゃんと同業ってことか」

テッサ「そういうことです」

杏「ありがと。じゃ、試合にのことは早めに決めるよ」

テッサ「そうしてください。それでは」

宗介「失礼しました」

杏「またねー」

499: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:41:17.93 ID:mLKfZYpBo
廊下

宗介「大佐殿。廃校を撤回する手段をお持ちなのですね」

テッサ「はい。ウェーバー軍曹とマオ曹長に調査してもらった結果、色々と使える情報がありますので」

宗介「では、試合をするまでもなく学園艦を救うことができるでは?」

テッサ「私たち、ミスリルの目的は戦車に使われているコーティング技術の漏洩を防ぐことにあります。学園艦を救う義理はどこにもありません」

宗介「……」

テッサ「学園艦を守る条件は角谷さんが出したものです。そこは守っていただきます」

宗介「大洗女子学園が敗北した場合はどうなるのですか」

テッサ「私たちが戦車を接収します」

宗介「なるほど……」

テッサ「その際、小規模ながらも戦闘が発生するでしょう。そのときはお願いしますね」

宗介「了解しました」

テッサ「私のことを冷徹だと思いますか」

宗介「いいえ。ミスリルが表立って学園艦を守ろうとすれば、様々な組織に狙われかねません。もしアマルガムの他にもこの学園艦が目をつけられることがあれば、ひとたまりもないでしょう」

テッサ「はい。私たちだけではこの学園艦を警護しきれませんから。故に相手に約束を守らせることが、私たちにできる限界のお手伝いです」

500: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 22:53:29.66 ID:mLKfZYpBo
病室

ねこにゃー「……」

みほ(試合は中止……。それでよかったのかも。こんな気持ちで戦車になんて……乗れなかった……)

みほ(沙織さんたちは、どうなんだろう……)

ももがー「西住さん。そろそろ寮に戻ったほうが……」

みほ「大丈夫。今は猫田さんの傍にいたいから」

ぴよたん「でも、昨日から食事もしてないのに……」

みほ「……」

ももがー「明日、またきてくれたら嬉しい」

みほ「……わかりました。では、今日は帰ります」

ぴよたん「うん。ねこにゃーのこと、ありがとう」

ももがー「助かったなり」

みほ「ううん。私が勝手に……」

ももがー「ゆっくり休んでほしいなり」

みほ「ありがとう……」

501: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:01:18.91 ID:mLKfZYpBo
病院 出入り口

みほ「みんなはまだ学校にいるのかな……」

みほ「連絡、してみよう……。あ、電源、切ってたんだった」ピッ

みほ「あれ、留守番電話……? 誰だろう」ピッ

『みほ。話したいことがある。連絡を待っている』

みほ(お姉ちゃん……)

みほ「……」ピッ

まほ『もしもし』

みほ「あの、ごめん。病院にいたから電源を切っていて……」

まほ『いいの。今、代わる』

みほ「代わる……誰に……?」

しほ『みほ。久しぶりね』

みほ「おか……あさん……」

しほ『まほから話は聞いているわ。次の試合、出場を躊躇っているそうね』

みほ「あ、の、そもそも試合が……中止に……」

502: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:13:53.65 ID:mLKfZYpBo
しほ『そのようなことは聞いていません。出場を躊躇っていることは事実なのでしょう』

みほ「は、はい……」

しほ『それは何故?』

みほ「……」

しほ『大方、私やまほに迷惑がかかると考えていたのでしょうね』

みほ「だ、だって……お母さんは色んな人とお付き合いがあるし……もしも、大洗が勝つようなことがあれば……」

しほ『それは勝つ自信があるということなのね』

みほ「えっと、そうじゃなくて……あの……」

しほ『オールスターチームを相手に随分と余裕があるようね、みほ』

みほ「だ、だから、万が一の話で……」

しほ『――貴方はもう、西住の人間ではないのよ』

みほ「……!」

――子を捨てた母親なんて、生きる価値もない。

みほ「わ、たし……」

しほ『貴方は昔からそうだった。相手のことを考えるあまり、一つ一つの物事に迷いがあった。後押しがなければ、自分一人で前へ進もうとはしなかった』

503: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:23:58.88 ID:mLKfZYpBo
みほ「お母さん……」

しほ『なのに貴方は迷いなく、他人を救いに行き、黒森峰に泥をつけた』

みほ「ごめん、なさい……」

しほ『そして全国大会でも、貴方には迷いがなかった』

みほ「え……」

しほ『見つけたのでしょう。自身の戦車道を。今更、何を迷うことがあるのです』

みほ「……」

しほ『西住流は何があっても前へ進む流派。そう教えたはず。立ち止まることは許されない』

みほ「あの……」

しほ『貴方はもう西住の人間ではない。貴方は、西住みほ。戦車道を歩む、一人の人間』

しほ『私たちのことは気にしなくても結構です。まほに勝てるというなら、証明なさい。貴方の戦車道で』

みほ「わたし……わたし……!」

まほ『みほ。今回の試合は中止になっても構わない。けれど、必ず試合はしましょう。大洗女子学園の存続をかけて』

みほ「うっ……おねえ……ちゃん……」

まほ『私は逃げない。だから、みほも逃げ出さないで。みほともう一度戦える日を楽しみにしている』

504: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:35:24.44 ID:mLKfZYpBo
病室

ねこにゃー「……」

ももがー「まだ起きそうにないね……」

ぴよたん「すぐよくなるって」

ももがー「うん……」

みほ「――あの、すみません」

ももがー「西住さん?」

ぴよたん「帰ったんじゃあ……」

みほ「これから会長と話をしてきます」

ぴよたん「なんの?」

みほ「試合の中止を取り消してほしいって」

ももがー「え……」

みほ「そして、この大洗を守るために勝ちます」

ぴよたん「急にどうしたの?」

みほ「私は怖がっていました。誰かに迷惑がかかることを。ずっと怖がって、決められなくて……。私が迷っていなければ、猫田さんだって、きっとこんな目には遭っていなかった……」

505: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:47:28.88 ID:mLKfZYpBo
ももがー「西住さんの所為じゃない!」

ぴよたん「そうそう!!」

みほ「あんなところに一人でいたのは、気持ちの整理ができていなかったから。だから、巻き込まれた。みんなに迷惑をかけてしまったんです」

みほ「ずっとそうでした。みんなに支えられていました。迷ったときは背中を押してもらいました。私の戦車道を一緒に進んでくれました」

みほ「なのに、私は迷ったんです。みんなに甘えて、見失っていたんです。ごめんなさい」

ももがー「そ、そんなこと言われても……」

ぴよたん「西住さん、気にしないで」

みほ「私の気持ちは最初から決まっていました。学園艦を守りたい。みんなとの思い出をなくしたくない」

みほ「ここだけが猫田さんを笑顔で迎えることができる場所なんです」

ももがー「うん。私もそう思うよ」

みほ「私は戦います。今ここで逃げたら、もう取り戻せないと思うから」

ぴよたん「西住さん……」

ねこにゃー「――だったら、早く会長のところに・・・いったほうが……いいよ……」

みほ「猫田さん……」

ねこにゃー「ボクが治るのを待っていたら……学園艦がどうなるかわからない……。だから、はやく行って、西住さん……ここにいても意味がないから……」

506: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/11(金) 23:53:43.75 ID:mLKfZYpBo
みほ「ごめんなさい。猫田さん」

ねこにゃー「いいの……ボク、ここで応援してるから……」

みほ「絶対に守るから。猫田さんの帰ってくる場所を」

ねこにゃー「うん……おねがい……」

みほ「行ってきます」

ねこにゃー「にし、ずみさん……」

みほ「……」

ねこにゃー「がんばって」

みほ「はい」

ももがー「行っちゃったなり」

ねこにゃー「二人も行ったほうがいいよ。練習したらきっと試合に……」

ぴよたん「車長がいなきゃ、戦車をうごかせないずら」

ももがー「千鳥さんには申し訳ないけど、アリクイさんチームは欠場決定なりっ。そのかわり、死ぬ気で応援!」

ぴよたん「さんせー!」

ねこにゃー「ありがとう……うれしい……」

513: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 09:44:57.86 ID:++uuupKVo
大洗女子学園 倉庫

マデューカス「酷い有様だな」

クルツ「すんませんね」

マオ「申し訳ありません。最重要人物を取り逃がしたばかりか、民間人にまで被害が及んでしまいました。全ては私たちの責任です」

クルーゾー「いえ。これはチームリーダーである自分の責任です」

マオ「ちょっと。それ、かっこいいと思ってるわけ」

クルツ「いいじゃね。責任を全部請け負ってくれるっていってんだからよ」

マオ「バカ」

マデューカス「本気で言っているのか、軍曹」

クルツ「ふんっ」

マデューカス「今回の一件は、我々の責任だ。私も艦長もそう考えている」

クルーゾー「ミスリルの、ということですか」

マデューカス「学園艦及び戦車道選手の安全は何よりも優先させる。己の命よりもだ。分かったな」

クルーゾー「はっ!!」

マデューカス「よろしい。これより、作戦を伝える」

514: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 10:04:01.35 ID:++uuupKVo
正門

カリーニン「話は終わりましたか」

テッサ「ええ。マデューカスさんは?」

カリーニン「今しがた戦車格納庫へ向かいました。そこで各員に作戦を伝えるようです」

宗介「作戦とはなんでしょうか」

テッサ「そうですね。サガラさんにも伝えておかないといけませんね」

カリーニン「これより暫くは我々も常駐し、この学園艦を警護する」

宗介「大佐殿もですか」

テッサ「はい。西住さんと猫田さんが被害に遭われてしまったのは、こちらの不手際ですから。影ながらになってしまいますが、襲い掛かる脅威を私たちでなんとかしないといけません」

カリーニン「大洗学園艦は既に廃艦手続きが進んでいる。戦車に至ってはオークション売却の運びとなる」

テッサ「試合中止の一報が各所に届いた段階で、急速に事は動き始めています」

宗介「早急に試合中止の取り消しを伝えねばならないのですね」

カリーニン「しかし、このタイミングで中止要請の無効を求めると問題が発生する。戦車を欲する企業、組織からの反発は容易に予測できる」

テッサ「勝手なことばかりをいう人が多くて困りますね。許可もなく、皆さんの戦車を売買しておいて」

カリーニン「同感です。しかし、金の動きばかりを目で追う者たちに兵士の心を説いても意味はないでしょう」

515: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 10:36:42.20 ID:++uuupKVo
宗介「他の学園艦については?」

カリーニン「相応数の人員を割いている。だが、狙うのならばこの学園艦だろう」

テッサ「もうすぐ売られてしまうし、戦車が何者かによって強奪されても、世間はあまり気を向けないでしょうからね」

宗介「奴らならば、手段を選ぶことをなく、実行するのではないでしょうか。現に西住が襲われました」

カリーニン「特殊コーティング技術について、私はもちろんのこと大佐殿も詳細を知っているわけではない。そのような代物を扱うためには相当な時間を要する」

テッサ「即時にASやそのほかの兵器に流用できるのなら、彼らもそうするでしょう。ですが、今まで目立った動きをみせなかったのは、扱える自信がないからだと考えています」

カリーニン「強襲し戦車を奪ったとしても技術応用ができなければ、無駄な弾と戦力を失うばかりか、手がかりを残すことにも繋がる」

テッサ「暴れてくれるならこちらとしても楽ではありますからね。探す手間も省けます。でも、そこまで向こうも愚かではないでしょう」

宗介「今はまだ水面下で計画を進めている段階、ということですか」

カリーニン「油断はできんがな。西住みほが直接狙われた要因は不明だが、戦車を手に入れる一環であったのは間違いないはずだ」

テッサ「表に出てくることのなかった人物が顔を見せたのなら、コーティング技術の転用ができるようになった可能性も捨てきれませんから」

カリーニン「いつかは全国にある学園艦が襲われるという事態にもなりかねません」

テッサ「ですから、彼らに教えて差し上げましょう。学園艦を屈服させるには高くつくということを」

宗介「了解です」

カリーニン「まず戦車を簡単に渡さぬよう、試合は計画通りに行ってもらう。大洗が勝利することができれば、我々が文部科学省教育局に掛け合うつもりだ。それが最も穏便に済む」

516: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 10:52:19.52 ID:++uuupKVo
倉庫

マデューカス「大洗が敗北を喫した場合、武力を行使し、戦車を守ることになるだろう」

クルーゾー「我々が奪うのですか」

マデューカス「敵の手に渡すよりはマシだ。それに恨まれても構わないだろう」

マオ(もうミホと猫田って子が酷い目にあっちゃってるしね)

クルツ「そんなことしたら、相手も黙っちゃいないんじゃないッスかね」

マデューカス「百も承知だ。奴らのことだ。ミスリルが関わっているとなれば、試合中に襲い掛かってくることもあるだろう」

マオ「試合中って……」

クルツ「5輌対5輌の試合にくるなら、10輌も手にはいっちゃうわけだ」

マデューカス「それだけの素材があれば、当分困ることもなかろう」

クルーゾー「そのような事態だけは避けねばなりません」

マデューカス「できるな」

クルーゾー「汚名は自身の技能で返上いたします」

マオ「借りは返さないとね」

クルツ「いっちょやりますかぁ。沙織がいるところをこれ以上、めちゃくちゃにされたくもねえしな」

518: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 18:27:56.55 ID:++uuupKVo
正門

テッサ「作戦概要は以上です。何か質問はありますか」

宗介「いえ。ありません」

カリーニン「大佐殿、私はこれよりマデューカス中佐と再度警戒システムのチェックを行います」

テッサ「よろしくお願いします」

宗介「カリーニン少佐、自分も協力します」

テッサ「待ってください、サガラさん。貴方には重大な任務があるはずです」

宗介「現在、優先するべき命令は受けておりませんが……」

テッサ「今の肩書は?」

宗介「自分は……」

テッサ「ミスリルに属する一人の兵士ですか。それとも陣代高校のゴミ係でしょうか」

宗介「ネカティブ。自分は大洗女子学園戦車道戦術アドバイザーです」

テッサ「ですよね。サガラさんは大洗の皆さんを勝利に導いてあげてください」

宗介「……」

テッサ「何か心配事でもあるのですか?」

519: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 18:37:28.63 ID:++uuupKVo
宗介「大洗女子学園が勝利するためには西住が隊長を務めることが絶対条件です。ですが、今の西住は戦える状態とはいえません。もとより、西住は迷っていました」

テッサ「あのようなことがあったばかりでは、仕方ないかもしれませんね……」

宗介「方法があるとするならば、マオの新兵訓練法ぐらいです。彼女たちをキリングマシーン化させるほかありません」

テッサ「……いえ。どうやら、そんなことはしなくてもよさそうですね」

宗介「は?」

テッサ「向こうです」

宗介「向こう……?」


みほ「……」


宗介「西住か」

テッサ「彼女のほうからこちらに歩いてきている。覚悟あってのことでしょう」

みほ「あ、相良さん。隣にいるのは……?」

宗介「猫田を看ていなくていいのか」

みほ「私が今やるべきことは、猫田さんの傍にいることではありませんでした」

宗介「では、なんだ?」

520: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 18:51:37.90 ID:++uuupKVo
みほ「戦車道、やります」

宗介「十数時間で見違えたな」

みほ「もう守られるのは嫌なんです。誰かに甘えて、流されて、自分の気持ちに嘘をつくのはやめます」

みほ「私は、西住流の西住みほではありません。大洗女子学園の西住みほなんです」

宗介「そうか」

みほ「大事な場所を守ります。戦車道の人気が落ちてしまうことよりも、みんなの思い出を、みんなで戦ったこの場所を、守りたいんです」

宗介「お前なら問題ない。自身が信じる道を行けばいい」

みほ「ありがとうございます。相良さんも協力、お願いします」

宗介「俺にできることは限られている」

みほ「そんなことはありません。相良さんがいなければ、きっと私は……」

テッサ「レナード・テスタロッサに拉致され、この場にいなかったかもしれませんね」

みほ「あなたは……」

テッサ「私はテレサ・テスタロッサといいます。貴方を襲い、猫田さんに大怪我を負わせた男は私の実兄です」

みほ「……」

テッサ「私の所為ではないなんて言いません。許してほしいなどと乞うことはいたしません。怒りも恨みも全て私にぶつけてください」

521: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:00:35.09 ID:++uuupKVo
みほ「テスタロッサさんは相良さんの……」

宗介「隊長だ」

みほ「話してくれたミスリルっていう、傭兵部隊の……?」

宗介「肯定だ」

みほ「……」

テッサ「嘘ではありません。16歳の小娘ですが、一部隊の長を務めています」

みほ「わ、私と同じ歳なんですか!?」 

テッサ「そういうことになりますね」

みほ「なんだか、信じられませんけど、相良さんがそんなウソをいうわけもないし……」

テッサ「西住さん。どのような謝罪も意味はないでしょう。何か私にできることがあれば、言ってください」

みほ「気にしないでください。猫田さんに怪我をさせたのは、貴方ではないんですから」

テッサ「でも……」

みほ「相良さんのお友達なら、かなめさんともお友達なんですよね」

テッサ「え、ええ……」

みほ「だったら、その、私とも友達になってくれると、嬉しいですけど……ダメですか……?」

522: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:16:27.31 ID:++uuupKVo
テッサ「私と……友達に……?」

みほ「はい。よ、よろしくお願いします!」

テッサ「いいのですか?」

みほ「はいっ」

テッサ「ありがとう、西住さん」ギュッ

みほ「いえ! こちらこそ!」

テッサ「貴方のように優しい人ばかりなら、私やかなめさんも普通の学生生活が送れたかもしれませんね……」

みほ「え?」

テッサ「いえ、こちらの話です。忘れてください」

みほ「あ、はい」

テッサ「私のことはテッサとお呼びください、ミホさん」

みほ「はいっ。では、私は会長に伝えないといけないので、行きます」

テッサ「足止めさせてごめんなさい」

みほ「私のほうこそ、すみません」

テッサ「次はゆっくりお話ししましょう」

523: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:22:39.38 ID:++uuupKVo
みほ「失礼します」

テッサ「いい人ですね、とても」

宗介「はい。故に今まで戦う決意ができなかったのだと思います」

テッサ「無理もないわ。みんなのことを心配しそうだもの。少数の犠牲にすら目をつぶることができない。隊長としては失格でしょうね」

宗介「そんなことはありません」

テッサ「どうしてですか?」

宗介「大佐殿は、いえ、テッサは自分が知る中で最高の司令官です」

テッサ「……ホント?」

宗介「肯定です」

テッサ「ふふっ。ありがとうございます。お世辞でも、とっても嬉しいです」

宗介「世辞ではありません。自分の本心です」

テッサ「……大洗のこと、お任せします。西住さんを支えてあげてくださいね」

宗介「了解です。大佐殿もお気をつけて」

テッサ「はい。こちらのことは心配いりません。大船に乗った気でいてください」

宗介「自分はいつもその船に乗艦しています。問題ありません」

524: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:36:46.10 ID:++uuupKVo
生徒会室

杏「奇跡……。私はずっと奇跡に頼ってきたな。情けないね」

桃「あらゆる手を尽くし、それでも手が届かないなら、奇跡に頼るしかありません」

柚子「努力した人だからこそ、そうした奇跡が起こるんじゃないんですか」

桃「そうです。会長は奇跡を願うしかないところにまでいつも追い込まれていたではありませんか」

杏「一つぐらい、自分の力で手に入れたいかな」

桃「会長はいつだって努力されて……」

みほ「――あの!」

柚子「え?」

桃「ん?」

杏「西住ちゃん?」

みほ「私! 戦車道、やります!! 隊長、がんばります!! だから、だから……!!」

杏「……」

みほ「みんなで勝ちましょう! 次の試合、絶対に勝ちましょう!」

桃「に、しずみ……」

525: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:46:49.10 ID:++uuupKVo
教室

沙織「華、病院いくよね」

華「勿論ですわ。花束はわたくしが用意いたします」

沙織「ありがと。猫田さんも喜ぶね」

華「みほさんは猫田さんの傍にいるのでしょうか……」

沙織「みぽりんって、すっごく優しいからね。何時間でもいてくれそう。私が風邪とかひいたら、治るまで一緒にいてくれたりしてぇ」

華「きっと、居てくれます」

沙織「じゃ、いこっか」

華「はい。麻子さんと秋山さんもお誘いして――」

『ピンポンパンポーン、生徒会からのおしらせぇ』

沙織「またぁ?」

華「なんでしょうか」

『どーぞ、西住ちゃん』

『で、でも、これは……やりすぎのような……』

『大事なことだから。西住ちゃんから説明してほしいんだ』

526: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 19:59:59.67 ID:++uuupKVo
『すー……はー……。に、西住みほです!! みなさん!! 突然ごめんなさい! 聞いてほしいことがあります!!』

華「みほさん?」

沙織「なになに? なんでみぽりんが放送を……?」

『この大洗女子学園は来年度で廃校になってしまうかもしれません』

華「……」

沙織「みぽりん……」

『もうすぐ行われる戦車道の大洗女子学園対オールスター戦で大洗女子学園が負ければ、この学園艦は無くなってしまいます』

優花里「武部殿! 五十鈴殿! この放送……!!」

華「お静かに」

優花里「はぅ!? す、すみません……」

『けれど、勝つことがあれば再燃しかかっていた戦車道に水を差してしまうことになります。西住家の人間がそんなことをしてしまうことでお母さんとお姉ちゃんに迷惑がかかるかもしれない』

『何より、勝つためには自分の戦車道を曲げなくてはいけない。そう考えると、私は選手として出場するべきではないのかもしれないと、悩みました。いえ、試合をしたくないとすら思いました』

麻子「沙織」

沙織「あ、麻子。今、起きたの?」

麻子「西住さんの声がしたから、飛び起きた」

527: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 20:16:03.12 ID:++uuupKVo
体育館

『そんな中で、私たちの大事な仲間であり、友達である猫田さんが事件に巻き込まれて大怪我をしました。事件と試合との関係性も分からないので、試合中止ということで決定しかけました』

典子「……」

『私は無意識に安心してしまったのかもしれません。もう戦わなくてもいい。悩まなくてもいい。試合なんてしている場合じゃないから』

『猫田さんの心配をしていればいい。そんなことを心のどこかで思っていたかもしれません』

妙子「西住先輩……」

『私は弱いんです。優しくなんてありません。ただ臆病で、引っ込み思案で、自分からは何もできなくて……』

『友達の作りかただってわかりませんでした。一人でいるのが怖いのに、手を伸ばしてくれる誰かをずっと待っていただけなんです』

あけび「先輩、そんなことないのに……」

忍「自分自身でそう感じていたんじゃない?」

『みんなが離れていくのが怖かった。だから戦車に乗りました。友達が庇ってくれたから、戦車道を受講しました』

『最初は本当に嫌でした。戦車に乗りたくない気持ちのほうが大きかったと思います』

『でも、みんなといるのが楽しくなって……ずっとずっと、みんなと一緒にいたいって思えるようになって……』

『だから、逃げ出した戦車道にもう一度だけ向き合おうって、決めたはずでした』

典子「……」

528: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 20:37:16.62 ID:++uuupKVo
食堂

『苦労して優勝してもなお、廃校をかけた試合があると言われて、心が折れてしまったのかもしれません。私は家族や将来の戦車道と自分の心配をしてしまったんです』

梓「先輩、そんなこと一言も……」

優希「言えなかったんじゃないかな。隊長の弱い部分を見せたくないとか」

『きっとそれも弱い自分を隠すための言い訳だったんです。本当は学園艦を守りたいって感じていたはずなのに。怖いことから逃げ出そうとしてしまいました』

あや「西住先輩、悩んでたんだ……色んなことで……」

あゆみ「全然、気が付かなかった……」

あや「私も……」

梓「私だって……」

紗希「……」

優希「ホント、バカだなぁ、みんなぁ」

桂利奈「えぇー!? 優希ちゃんはきがついてたのー!?」

優希「ちがうよぉ。私も含めて、みんな、バカじゃん」

梓「うん。ダメだよね。先輩が苦しんでいることに、誰も気が付けなかったなんて……」

桂利奈「あいぃ……」

529: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 20:51:57.77 ID:++uuupKVo
倉庫

『けど、私はもう逃げません。戦います。自分の戦車道を信じて、戦います』

『だから、みなさん……こんな弱い私でも……信じて、くれますか……』

『諦めかけた、私を……もう一度だけ……』

カエサル「よし。このマイクを使おう」

エルヴィン「それでは隊長に私たちの声は届かない。無線機を使うぞ」

おりょう「西住隊長が受信できなければ意味がないぜよ。ここは手旗信号で」

左衛門佐「外を見ていなければ伝えようがないでござる。ここは狼煙で」

アル『西住殿のところに直接駆けつけるのが最も効率的かつ確実かと』

カエサル・エルヴィン・おりょう・左衛門佐「「それだぁぁ!!!」」ダダダダッ

ナカジマ「私たちもいこっか」

ホシノ「うんっ」

ツチヤ「隊長に言わないとね」

スズキ「そうだね。そういうこと、言ったことなかったよね」

アル『みなさん、お気をつけて』

530: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:04:26.87 ID:++uuupKVo
廊下

典子「うおぉぉぉぉぉ!!!!」ダダダダッ

みどり子「ちょっと!! 廊下は走らない!! 校則違反よ!!!」

モヨ子「でも走りたくなる気持ちもわかるのよ、そど子」

希美「私たちもこうしてはいられないのよ、そど子」

みどり子「だからって走っていいわけないじゃない!!」

かなめ「――園先輩!」

みどり子「千鳥さん?」

かなめ「急がなきゃ、みほに言いたいことみんなに言われちゃいますよ」

みどり子「う……うぅぅ……」

かなめ「いきましょ!」

みどり子「あーもー!!! 校則違反なんだからぁぁ!!!」ダダダダッ

かなめ「よっしゃー! はしれー!!」

麻子「そど子が荒れてるな」

優花里「我々も急ぎましょう! 西住殿のところへ!!」

531: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:12:48.43 ID:++uuupKVo
学園艦 艦内

『みんなを守りたい。この学園艦を守りたい。でも、私じゃ無理なんです。みんないないと、何もできないんです』

カリーニン「この放送はどこから流れている」

テッサ「生徒会室、でしょうか」

マデューカス「艦長。警戒システムの設定を多少変更してもよろしいでしょうか」

テッサ「いいですよ」

マデューカス「感謝します」

テッサ「ふふっ。マデューカスさんって優しいんですね」

マデューカス「いえ。緊急時には艦内全域放送が可能でなくてはなりませんからな。そのテストです」

テッサ「はいはい、りょーかいです」

マデューカス「本当です。他意はありません」

テッサ「いいから、早くしてください」

マデューカス「アイアイ、マム」

カリーニン「届くといいですね」

テッサ「届きますよ。ミスリルが誇る、警戒システムなんですから。艦の隅っこにいたって、声は届きます」

532: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:26:28.13 ID:++uuupKVo
病室

ももがー「なにか食べるなり?」

ねこにゃー「大丈夫。ありがとう」

『――みんながいないと、私は戦車に乗ることもできなかったんです』

ぴよたん「この声って……」

『もう背中を押してもらうのは、やめます! これからは私がみんなを支えたい! 私がみんなに勇気を分けたい!!』

『みんなから苦しいことを、辛いことを、分けてもらいたい!! 私は……私は……!!』

『私は大洗女子学園を愛しています!! みんなが大好きなんです!! みんなと一緒に歩く戦車道が一番楽しいんです!!!』

ねこにゃー「おぉぉ……西住さんに……こくられた……」

ももがー「それはちょっと違うような……」

『だから!! 信じて欲しいんです!! 未熟で弱虫で臆病な私だけど、その気持ちだけは本当です!!!』

ぴよたん「私たちだって!!」

『私たちはバレーボールを愛しています!!! でも、それ以上に大洗女子学園を愛しています!!! 戦車道を愛しています!!! 西住隊長を愛しています!!!』

『キャプテーン!! ガンホー!! ガンホー!! ガンホー!!!』

『ちょ……!? 磯辺さん!?』

533: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:35:12.56 ID:++uuupKVo
グラウンド

沙織『ちょっとまってよ!! みぽりんのことを一番愛してるのは私なんだからぁ!!』

優花里『いえ!! 敬愛の深さならば、この秋山優花里、誰にも譲りません!!!』

華『わたくしも、みほさんのことはだーいすきですわ』

麻子『私……は……まぁ……すき、かな……』

クルツ「なんだこりゃ」

マオ「部下に愛される隊長ってのは、やっぱりいいわね」

クルーゾー「……」

クルツ「見てみろよ。中尉の表情。呆れかえってんぜ」

クルーゾー「ユ……す……らしい……」

クルツ「は?」

クルーゾー「あ、いや。なんでない」

クルツ「ユ……なんだって?」

クルーゾー「なんでもないと言っている。哨戒任務だ。行くぞ」

クルツ「言ったことぐらい教えてくれてもいいだろ、ったく」

534: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:48:17.27 ID:++uuupKVo
生徒会室

カエサル「気持ちは西住隊長と常に同じだと思っている!!」

エルヴィン「勝利の美酒は皆で分かち合わなくては上手く酔えない」

おりょう「私たちは未成年ぜよ」

梓「先輩だけにいろんなことを任せて、すみません!!」

桂利奈「オールスターチームなんてぶっ飛ばしてやりましょう!!」

みほ「みんな……」

みどり子「西住さんは弱くなんてない。もっと自信をもって」

ナカジマ「勇気ならいつも分けてもらっています」

みほ「ありがとう……みんな……」

杏「みんな、やるんだよね」

沙織「とーぜん!」

華「大洗を守れるのは、私たちだけです」

優花里「全員で、戦いましょう」

麻子「西住さんは隊長。ただそれだけだ。西住さんを頼るんじゃなく、信じればいい。西住さんだけじゃない。沙織のことも五十鈴さんのことも秋山さんのことも、戦車道チームを信じている」

535: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 21:57:11.52 ID:++uuupKVo
杏「おっし。んじゃ、景気づけにアレでもやっちゃうか」

桃「あれというと」

柚子「あれのことでしょうか?」

杏「かわしまぁ。BGMスタンバイ」

桃「本気ですか!?」

杏「大洗といえばあれだからな」

桃「わ、わかりました……」

柚子「えぇー!?」

杏「西住ちゃん」

みほ「はい」

杏「ありがとう。あと、ごめんね。最初から最後まで見ず知らずの学校のために心をすり減らして、大変だったよね。感謝してもしたりない。なんてお礼を言っていいかもわかんないよ」

みほ「会長も、いえ、会長のほうこそ辛かったはずです」

杏「ま、そうだな」

みほ「ふふっ」

杏「あはは。おーし!! おどるぞー!!!」

536: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 22:05:13.42 ID:++uuupKVo
――アアアン アン♪ アアアン アン♪ アアアン アアアン アン アン アン♪

杏「あの子会いたやあの海越えてぇ」

優花里「あたまの灯はあーいのあかっし!」

おりょう「燃やして、焦がして、ゆーらゆら」

紗希「もやして、こがして、ゆーらゆら」

沙織「なんでこーなるのよー!」

華「いいではありませんか。誰にも見られていませんし」

麻子「いや、千鳥さんが見てるが」

みほ「こっち来て、アンアン! 逃げないで、アンアン!」

典子「波にゆられて、アンアンアン!」

かなめ「……」

宗介「千鳥」

かなめ「あ、ソースケ」

宗介「千鳥は参加しなくていいのか?」

かなめ「あれに参加する勇気は分けてほしくないわね……」

537: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 22:17:12.55 ID:++uuupKVo
陣代高校 生徒会室

敦信「そうか。試合の中止は取り消しか」

まほ『連絡があった。他の学校へもその通達は既に届いているはず』

敦信「角谷君よりも君からの連絡が先とは、驚いたよ」

まほ『貴方もこの一件には深く関わっている。伝えないわけにはいかない』

敦信「律儀だね」

まほ『それと例のことも話は順調に進んでいる』

敦信「どの戦車を選ぶのかは、聞くまでもないかな」

まほ『それを知ってどうするというの』

敦信「ただの好奇心だよ。気になったことは追及するのが性分でね」

まほ『そのうちに分かることよ』

敦信「妹の戦車を――」

まほ『失礼する』

敦信「切られてしまったか。西住まほ君はやはり、戦車道日本代表にふさわしい淑女だ。美樹原君と気が合うだろう」

蓮「まぁ、では一度お話ししてみたいですね」

538: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 22:58:44.12 ID:++uuupKVo
大洗女子学園 倉庫

みほ「疲れた……」

宗介「素晴らしいダンスだったぞ」

みほ「そ、そうですか?」

宗介「大洗では伝統のダンスらしいな」

みほ「え、ええ……」

宗介「それはさておき、試合まで時間がない。どうするつもりだ」

みほ「……今までとやることは変わりません。変えなくてもいいと思います。相良さんはどう思いますか?」

宗介「同感だ。日頃の訓練風景を見る限りは改善の余地などない。強いていうなら、厳しさがない」

みほ「厳しさ、ですか」

宗介「背水の陣であっても普段厳しさがないゆえに、追い込まれてもどこかゆとりがあるように思える。それが戦車道にとって良いことなのかは俺には判断できん」

みほ「河嶋さん以外で声を荒げるような人がいないから、そう見えちゃうのかも……」

宗介「だが河嶋も的確な指示を出せていないことは自覚している。訓練中に口を挟むこともない」

みほ「そうなると、怒る人っていないんですよね」

宗介「西住による戦車前進時の掛け声もとても優しいからな。指揮官の声は耳を劈くぐらいが普通なのだが」

539: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 23:06:47.74 ID:++uuupKVo
みほ「すみません」

宗介「いや、指揮官として三流でも指導者としては一流だ。その方針でこのチームはまとまっている。問題ない」

みほ「あのボン太くんで訓練したら、効果ありますか」

宗介「ボン太部隊を仮想オールスターチームにして、模擬戦闘をしてみるか」

みほ「あまり意味がなさそうですね……。可愛いですけど」

宗介「そうか。残念だ。データ収集に役立ちそうだったのだが」

みほ「そうだ! あのときは、ありがとうございました」

宗介「何の話だ」

みほ「ボン太くんで助けに来てくれたのって、相良さんですよね」

宗介「肯定だ」

みほ「あの公園で助けにくてくれなかったら……私……」

宗介「公園? なんのことだ。君の救出を行ったのは学園の敷地内だ」

みほ「でも、公園でボン太くんが……」

宗介「それは俺ではない。君を最初に助けたのは――」

かなめ「ソースケー、テッサが病院まできてってさー」

540: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/13(日) 23:08:07.22 ID:++uuupKVo
病室

ねこにゃー「みんな、今頃は練習してるんだろうな」

「すみません。少しいいでしょうか」

ねこにゃー「は、はい?」

テッサ「失礼します」

ねこにゃー「あ……え……?」

マデューカス「決して怪しい者ではありません。警戒しなくとも結構です」

ねこにゃー「おぉぉ……」

マデューカス「ですから……」

テッサ「マデューカスさんは外にいてください」

マデューカス「しかし、艦長」

テッサ「むぅ」

マデューカス「うぅむ……。外に出ています……」

テッサ「ごめんなさい、猫田さん。急に押しかけてしまって。私はテレサ・テスタロッサといいます」

ねこにゃー「ボク、ねこにゃーです」

541: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 20:20:31.16 ID:iGnJj2lho
テッサ「あ、あら? えっと、猫田さん、では?」

ねこにゃー「ええと、本名はそうなんですけど、ねこにゃーなんです」

テッサ「そ、そうなのですか。では、ねこにゃーさんとお呼びしたほうがいいのかしら?」

ねこにゃー「どっちでもいいです」

テッサ「は、はぁ……。で、では、ねこにゃーさんでいいですか」

ねこにゃー「どうぞ」

テッサ「この度の事、陳謝致します」

ねこにゃー「え? どういうこと?」

テッサ「貴方が怪我をしてしまった原因の一端は私にあります」

ねこにゃー「確かにテスタロッサさんとあの男の人の髪の色とか、雰囲気とか似てるけど……」

テッサ「その男は、私の兄なんです」

ねこにゃー「お兄さんが……? どうして西住さんを……?」

テッサ「それはまだよくわかっていません。ごめんなさい」

ねこにゃー「そうなんだ……。西住さんにはそのこと、話したの?」

テッサ「はい。でも、ミホさんは私のことを友達だと言ってくれました。あの人が皆さんから慕われているのがよくわかります」

542: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 20:29:43.27 ID:iGnJj2lho
ねこにゃー「ボクも西住さんのこと、大好きだから……」

テッサ「そうでしょうね。私ですらファンになりそうです」

ねこにゃー「テスタロッサさん」

テッサ「はい」

ねこにゃー「ボクとも、リア友になってくれると、う、うれしいな」

テッサ「りあとも、とは?」

ねこにゃー「リアルの友達のこと」

テッサ「ねこにゃーさんまで、私のことを受け入れてくれるのですか」

ねこにゃー「あの怖い人と家族だったのは驚いたけど、貴方はあの男の人とは違うから」

テッサ「ミホさんと理由が同じですね」

ねこにゃー「そ、そうなんだ。なんだか、照れる……」

テッサ「絶対に守ります」

ねこにゃー「え?」

テッサ「またお見舞いにきてもいいですか?」

ねこにゃー「いつでもきて。待ってるから」

543: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 20:40:04.05 ID:iGnJj2lho
マデューカス「艦長。二人が到着しました」

テッサ「そうですか」

ねこにゃー「二人?」

テッサ「貴方のお友達です」

かなめ「猫田さん、具合はどう?」

宗介「顔色は優れている。問題はないようだな」

ねこにゃー「千鳥さん、相良さん」

テッサ「貴方にも話しておきたい、いえ、話しておくべきでしょう」

ねこにゃー「な、なんのこと?」

テッサ「私たちの正体についてです」

ねこにゃー「正体……」

テッサ「重大な機密を今から説明します」

宗介「西住も既に知っている。猫田だけに話すわけではない」

ねこにゃー「ボクと西住さんだけが知っていることなの?」

テッサ「お二人の胸に留めておいていただけると助かります。私たちは一応、極秘の傭兵部隊なので」

544: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 20:51:43.40 ID:iGnJj2lho
グラウンド

クルツ「はぁーい、ガールズたち。今日もクルツくんの射撃講座を始めちゃうぞぉ」

あや「おねがいしまーす!」

あゆみ「クルツさんだー」

クルツ「うんうん。一年生は素直でいいねぇ」

左衛門佐「たのもー」

あけび「今日もご指導のほど、よろしくお願いします!」

クルツ「真面目な子もいいぜ」

みどり子「射撃の腕は確かなのよね」

希美「講座を受けたほうがいいの?」

みどり子「試合に出られるかはわからないけど、ここで受けておかないと後悔するような気がする」

クルツ「絶対に損はさせねえさ。話を聞くだけでも、全然違ってくる」

華「では、清聴いたしますわ」

クルツ「華は、あれだ、別に聞かなくても十分……」

華「いいえ。聞きます。ウェーバーさん、どうかご教授ください」

545: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 21:38:59.45 ID:iGnJj2lho
優花里「砲手組が羨ましいです。訓練時の姿を見る限り、ウェーバー殿は間違いなく一流のスナイパーでありますからね」

沙織「私たちはどうするの?」

みほ「ええと、相良さんからは何も指示を受けていないし、今まで通りに――」

マオ「ちょっと待ちな」

麻子「貴方は……」

優花里「アイス屋さんにいた店員さんですね」

マオ「あたしはメリッサ・マオ。実はソースケと知り合いでね。あんたたちの指導を任された」

みほ「指導?」

マオ「とはいっても、あたしもソースケと同じで戦術に関して口を挟む気はない。ミホがいれば十分だからね」

みほ「わ、私は、そんな」

カエサル「では、どのようなことを?」

マオ「ソースケは学園の周りを走らせていたらしいけど、正直なところそれだけじゃあんたたちの心は鍛えられない」

おりょう「どうするぜよ」

マオ「ここにある丸太を抱えて、学園の周りを50周。はい、スタート」

沙織「やだもー。そんなの無理に決まってるじゃないですかぁ」

546: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 21:49:45.19 ID:iGnJj2lho
マオ「あたしはやれといったんだけど?」

沙織「だから、そんな大きいのを抱えて走れるわけが――」

マオ「やりな。糞虫共」

沙織「え……」

マオ「あんたたちは勝ちたいんじゃないのかい!! ええ!!」

桂利奈「ひぃ!?」

カエサル「勝ちたいに決まっている!!」

マオ「学園艦を守りたいって言葉は嘘だったのかい!?」

エルヴィン「嘘ではない!!」

マオ「なら、それを証明してみせな!! ほら、丸太を担げ!! この糞ビッチ共!!」

沙織「えぇー!!」

麻子「沙織は男と付き合ったことすらないのにな」

沙織「麻子もじゃん!!!」

マオ「この程度のことからも逃げ出すようなら、あんたらはただ男にヤラれてガキを生むだけのつまんないメス犬だよ!!!」

みほ(そういえば相良さん、最終的にはこれぐらい厳しいことをさせるって言っていたような……。本気だったんだ……)

549: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 22:18:39.86 ID:iGnJj2lho
かなめ「今更だけど、猫田さんにまで全部話してよかったの?」

テッサ「ミホさん同様、ねこにゃーさんはあの人の顔を見てしまっている。いつ、何時、また同じ恐怖を味わうかわかりません」

かなめ「そうね。知らない間に、知らない奴に命を狙われるのは、嫌だもんね。あと変な奴に付き纏われるのもね」

宗介「問題ない。不審者は全て捕縛する」

かなめ「あんたのことを言ってるんだけど」

テッサ「あとは私たちがねこにゃーさんのことを全力で守る。シンプルなことです」

かなめ「猫田さん、ううん、この学園艦が残る限りは、みんなを守ってくれるの?」

テッサ「勿論です。ミスリルの名に懸けて、お約束します」

かなめ「ありがとう。これで少しは安心ね」

宗介「あとは学園艦を存続させるため、決戦までに特訓を繰り返すだけだな」

テッサ「そうでした。サガラさんは先に戻ってくださってもいいんですよ?」

宗介「問題ありません。今頃、マオが自分の代わりを務めているはずです」

テッサ「メリッサが?」

宗介「本日よりマオと自分が西住らを補強していきます。我々でかけている部分を強化してやれば、負ける要素は皆無となり、大洗女子学園は無敵のチームと化します」

かなめ「しまった……! ソースケがマオさんに任せる気満々だったの忘れてた……!! 急いで戻らなきゃ!!!」

550: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 22:36:06.06 ID:iGnJj2lho
グラウンド

かなめ「みんなー!! 無事――」

マオ「ちんたら、ちんたら走るんじゃないよ!!! この蛆虫が!!」

沙織「ひぃ……ひぃ……」

優花里「これは流石の私でも……きつい……です……」

妙子「あぁ……」ガクッ

典子「近藤!! 止まるな!!」

妙子「キャ、キャプ……」

マオ「誰が休んでいいと言った」

妙子「ひっ……」

マオ「あんたのバレーボール魂なんて、所詮はそんなもんだったってこったね」

妙子「そ、そんなことは……」

マオ「お前みたいな出来損ないは男に媚びればいいんだよ。そのでかい尻を振っていれば、向こうから寄ってくるよ。よかったね」

妙子「うぅ……」

マオ「プライドも根性もなけりゃあ体を売って生きていきな。金と恥垢がたくさん溜められる。あんたにお似合いの楽で惨めな人生だ。そうしな、このアバズレ」

552: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 22:46:41.64 ID:iGnJj2lho
典子「近藤の悪口をいうなー!!!」

マオ「ふんっ」ゲシッ

典子「うわ!?」

マオ「こんな根性なしを庇う必要はない。こんな女が腐ったやつが戦場にいても、男を慰めるのためにしか働けない」

典子「そんなこと……!!」

妙子「やめてください!! キャプテン!!」

典子「でも! これ以上、近藤のことを悪く言われたくない!!」

妙子「キャプテン……」

マオ「庇われたくないならガッツを見せな!!」

妙子「そーれそれそれそれー!!!」ダダダッ

典子「うおぉぉぉぉぉ!!!!」

テッサ「……」

かなめ「おそかった……」

宗介「マオ。流石だな。今の大洗に欠けていた部分を見事に補っている」

マオ「これぐらいのことはしないとね。憎まれ役ってのが不在だったみたいだし」

553: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 22:58:55.20 ID:iGnJj2lho
かなめ「ちょっとマオさん!! みんないい子なんだから、変なことをしないでくださいよ!!」

マオ「いい子だからこそ、心を鬼にする。優しさは躊躇いを生み、情けを与える。そういうことをしていれば、学園艦は守れないんじゃない?」

かなめ「いや、だからって……」

テッサ「メリッサ……」

マオ「これはミスリルとは関係ないから、いくら艦長の命令でも聞けないわよ」

テッサ「もう……なにも言いません……」

マオ「安心して。ソースケみたいに加減なしにはしないから。心を失くすまではしないわ」

かなめ「ホントに……?」

宗介「もとより士気が高い彼女たちにそこまで求めるつもりはない」

かなめ「頼むわよ……」

マオ「そこ!!! ペースが落ちてる!! 嫌ならやめてもいいんだよ!!! 家に戻ってパソコンの前で股間をまさぐってな!!!」

ももがー「そ、そんなこと……してなぁい……」

ぴよたん「してても、してるとはいえなぁい……」

かなめ「え……」

マオ「何、驚いてるのよ、カナメ。アリクイさんチームまで参加してるのが不思議?」

554: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 23:06:59.86 ID:iGnJj2lho
かなめ「だって……」

杏「ねこちゃんが戻ってきたときに、サボってたなんて言いたくはなんじゃない?」

かなめ「角谷先輩……。けど、猫田さんは……」

杏「諦めたくないから、奇跡を信じたいんだよ。誰だってな」

マオ「あんたも走りな」

杏「はいはーい」

マオ「全く。要領が無駄に良い奴は困るわ」

かなめ「丸太、まだある?」

マオ「そこに」

かなめ「よっ……と……」

宗介「千鳥、参加するなら泣き言はなしだ。その覚悟はあるか」

かなめ「あるわよ。バカにしないで」

マオ「よかったわねー!! アバズレがもう一匹増えたわよー!!!」

みほ「かなめさん……はぁ……はぁ……無理に……参加する、ことは……はぁ……」

かなめ「あたしだって、大洗女子学園戦車道のメンバーなんだから。同じ特訓をしたいじゃない」

555: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 23:29:21.49 ID:iGnJj2lho
マオ「あたしはあんたたちを憎み軽蔑しているっ! あたしの仕事はあんたたちの中からマ●●●●●カーを見つけ出して、切り捨てる事だ!」

マオ「パパの●●●がシーツのシミになり、ママの●●に残ったカスがあんたたちだ!」

テッサ「聞くに堪えません……」

宗介「これも必要なことです」

テッサ「本当ですか?」

宗介「肯定です」

テッサ「うーん……」

マオ「――あんたたちのボーイフレンドはその砲弾だ! その砲弾を立派な●●●だと思って、とことこん綺麗にしてやりな!!!」

優希「こわれちゃうかもぉ」

梓「こら! そんなこと言っちゃダメ!!」

みほ「間違ってる……色んなことが間違ってるよぉ……」

マオ「このあとは隊長の言うことをよく聞くように!! ミホ、戦車戦術は任せるから」

みほ「ここから私なんですか!?」

宗介「間違いなく、強いチームになれます」

テッサ「だと、いいんですが……」

558: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/14(月) 23:51:22.66 ID:iGnJj2lho
聖グロリアーナ女学園 会議室

カチューシャ「おかわり」

オレンジペコ「はい。すこしお待ちください」

ケイ「これベリーグッドな味ね」

ダージリン「ありがとうございます」

エリカ「あの、そろそろ進めませんか」

カチューシャ「私たちが組めばどこにも負けないわよ」

まほ「だからこそ、作戦は決めておくべきだ」

カチューシャ「なによ。私に――」

まほ「……」

カチューシャ「そ、そうね。作戦は決めないとね」

ダージリン「流石、まほさんですわね。眼力だけで抑え込むとは」

まほ(そんなつもりは一切なかったのに)

ケイ「試合の日も迫ってきてるし、私たちにしかできない、オールスター・オペレーションを考えましょ」

アリサ「とはいえ5輌だけでは派手な作戦はできませんね」

569: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/19(土) 20:40:10.86 ID:GodCfJCDo
ノンナ「派手な作戦とは無線傍受のようなものでしょうか?」

アリサ「ぅぐっ……」

ナオミ「あの作戦は禁止になっている」

ケイ「アンフェアな戦いはしないわ。そうよね、アリサ」

アリサ「い、いえす、まむ」

ダージリン「確実に勝てる作戦はありますが」

ケイ「それはなに?」

ダージリン「無論、浸透強襲戦術です。大洗の戦力ではこちらの装甲を簡単には抜けませんもの」

ノンナ「全車両で各個撃破、とういうわけですね」

ダージリン「ええ。純粋な力の差はどのような戦術も意味を成しません」

オレンジペコ「たとえ小さな斧でも、数百度これを打てば堅い樫の木も切り倒せる。という言葉が……」

ダージリン「……」ズズッ

ケイ「フェアと言えばフェアだけどね」

まほ「例の件もある。それを踏まえて作戦は決めたほうがいい」

カチューシャ「ああ、あの話ね。林水から聞いてるけど、ルール上問題はないの?」

570: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/19(土) 20:52:11.77 ID:GodCfJCDo
まほ「違反ということは書かれていない。戦車道精神に反するものでもないはずよ」

カチューシャ「あっそ。なら、いいけど」

ケイ「踏まえるってなると、私としてはタイマンがいいわね。1輌と1輌が激しく砲身をぶつけあう。サイコーにエキサイティングよ!!」

アリサ「アンツィオと大洗がそれをしていましたね」

ケイ「そうそう! それ! あれは見ててスパークしちゃったわ!」

ナオミ「戦車戦術とは呼べませんけど」

ケイ「それがいいんじゃない!」

カチューシャ「ケイにはついていけないわ。ねえ、ノンナ?」

ノンナ「私は素晴らしいと思いますが」

カチューシャ「えぇ!? どうしてよ!?」

ダージリン「わたくしは構いませんことよ。一度、大洗のみなさんを下していますし」

アッサム「追い込まれてはいましたが」

ダージリン「……」ズズッ

ケイ「結局、どうするの? 私の作戦でゴーしちゃう?」

まほ「そうだな……」

571: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/19(土) 21:06:01.31 ID:GodCfJCDo
別の日 大洗女子学園 倉庫

宗介「どうだ、アル」

アル『……』

宗介「俺は答えろと言っている」

カエサル「アルバート。相良教官が困っている。答えてあげてくれないか」

アル『ラジャ。サガラ軍曹殿、ご質問をどうぞ』

宗介「……大洗を勝利させる戦術は決まったか」

アル『肯定。既に西住殿と綿密なシミュレーションを行い、いくつもの戦術を考案してあります』

宗介「では、試合に出場するメンバーを決めるとするか。いいな、西住」

みほ「はい」

宗介「俺とマオ、そしてアル、西住のチーム評価を総合し、高評価チームを選出する」

杏「んー」

桃「相良。分かっているな。もし私たちのチームを選ばなければ……!!」

杏「河嶋ぁ、そんなこというな。私たちが出る出ないよりも、大洗の勝利が最優先なんだから」

桃「しかし、それでは会長の想いが……」

572: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/19(土) 21:16:20.57 ID:GodCfJCDo
杏「そんなのねこちゃんのほうが何倍も悔しいって」

桃「……っ」

杏「ごめんね、相良くん。続きをどーぞ」

宗介「はっ。では、発表します。まず、あんこうチーム。隊長車を務めてもらう」

みほ「はい」

宗介「次、カバさんチーム。トップクラスの安定力は必要になる。いけるな」

カエサル「任せてくれ」

宗介「アヒルさんチーム」

典子「私ですか!?」

宗介「肯定だ。お前たちのガッツに期待している」

典子「分かりました!! バレー部魂、みせてやります!!」

宗介「ウサギさんチーム」

梓「はいっ」

宗介「澤、お前が次代の戦車道チームを率いる者だと信じている。頼むぞ」

梓「私にできることなら、どんなに危険なことでも成功させてみせます」

573: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/19(土) 21:24:53.73 ID:GodCfJCDo
宗介「最後は……」

柚子「中間発表通りなら……」

桃「レオポンか……」

宗介「カメさんチーム」

杏「……」

柚子「いいんですか!?」

宗介「ああ。問題ない」

杏「勝率は下がってない?」

宗介「レオポンさんチームを選出するよりも、会長閣下が出場されたほうが勝利する可能性は上がります」

杏「それはどうして?」

宗介「会長閣下が再起したからです」

杏「それだけで決めちゃっていいの? 私、調子にのっちゃうよ」

宗介「会長閣下がこの程度のことで舞い上がり、自惚れることなどありえないと自分が考えています。むしろ、更に自分を磨こうとわずかな時間でも努力させるはず」

杏「そこまでいわれちゃったら、やるしかないねぇ。相良くん、ありがとね」

宗介「礼は結構です。分析結果を発表しているにすぎません」

574: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 13:09:13.89 ID:tVBbMQ1do
みどり子「冷泉さん」

麻子「なんだ、そど子」

みどり子「名前は略さないで。試合、ちゃんとやるのよ」

麻子「する」

みどり子「学校がなくなったら、貴方の遅刻データを消した意味がなくなっちゃうんだから」

麻子「そうだな」

みどり子「試合に出る人しか守れないのよ。その自覚を――」

麻子「違う」

みどり子「何が違うの?」

麻子「そど子の応援がなければ、勝てる試合も勝てなくなる」

みどり子「ふ、ふん。応援ぐらいするわよ」

麻子「みんなで守ろう。この学園を」

みどり子「ええ。そうよね。みんなで守らないと」

麻子「だから、次の試合に勝ったら、新たに増えた遅刻と欠席回数の消去を頼む」

みどり子「あーもー!! なんで貴方はいつも通りなの!?」

575: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 13:23:39.41 ID:tVBbMQ1do
ナカジマ「レオポンが外れちゃうのは予想外だったなぁ。私たちの戦車を使ってくれてもよかったのに」

アル『それは違います、ナカジマ殿』

ナカジマ「どういうことですか?」

アル『確かにポルシェティーガーを使用したほうが単純な戦力は上昇するでしょう。しかし、あの機体を自動車部員以外に扱えるとは考えられません』

アル『走行中に故障の兆しが現れた場合、あなた方の技術力でなければ修理不能です』

ホシノ「それもそっか。レオポン、すぐ愚図るし」

アル『ただ、私としても疑問の残る選抜ではありましたが』

ナカジマ「疑問ですか?」

宗介「アル、余計なことを話している時間はない。すぐに作戦会議を始める」

アル『……』

おりょう「アルバート、協力してほしいぜよ」

アル『ラジャ。ミーティングを開始しましょう』

宗介「いつまで続けるつもりだ……」

かなめ「ねえ、ソースケ。ちょっとだけ抜けてもいい? 行きたいところがあるんだけど」

宗介「少し時間をくれ。俺が目的地まで送る」

576: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 13:32:16.17 ID:tVBbMQ1do
かなめ「ありがとう。けど、今すぐに行きたいの。クルツくんかマオさんじゃ、ダメ?」

宗介「猫田のところへ行くのか」

かなめ「うん」

杏「千鳥ちゃん。私があとで行くから、いいよ」

かなめ「けど、あたしだってチームメイトだし、あたしの口から言いたいんです」

杏「辛いよ?」

かなめ「分かってます。けど、そんなの角谷先輩だって同じです」

ぴよたん「私もついていきます」

ももがー「三人いれば十分なり」

杏「んじゃ、任せよっかな」

かなめ「ありがとうございます。それじゃ、ソースケ。またあとでね」

宗介「了解した。気を付けてくれ」

かなめ「ええ」

杏「よかったのかな」

みほ「会長……」

577: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 13:45:58.25 ID:tVBbMQ1do
華「かなめさんは、猫田さんに今決まったことを伝えにいったのですね」

優花里「そうでしょうね」

華「覚悟の上だったことでも、現実に突きつけられると……」

優花里「猫田殿、大丈夫なのでしょうか……」

沙織「大丈夫だってぇ。みんなで守るっていうのがテーマなんだし」

優花里「いや、しかし……」

華「沙織さん。分かっていても、苦しいものも、辛いものも、受け入れたくないことも、ありますわ」

沙織「そんなの知ってるもん。だからって、みんなで心配したって前に進めないじゃない。もうやるしかないんだから」

麻子「沙織の言う通りだ。猫田さんだって、私たちと一緒に戦ってくれる。決して試合に出ることができないからと捨て鉢な行動をとることなどしないだろ」

沙織「私たちのすることは猫田さんの心配じゃなくて、猫田さんが帰ってくるところを死守することでしょ」

華「そうですね。その通りでですわ」

優花里「申し訳ありません、武部殿。私も気持ちを切り替えます」

沙織「そうそう。乙女に必要なのは切り替えることなのよ。失恋していつまでもクヨクヨしてたら新しい恋愛だってできないんだしね」

優花里「その例えはよくわかりません」

沙織「とにかくやるっきゃないってこと!」

578: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 14:02:52.17 ID:tVBbMQ1do
みほ「沙織さん」

沙織「ほらほら、みぽりん。パパッと作戦きめちゃおう。必勝パターンでお願いねっ」

みほ「ごめんなさい」

沙織「な、なにが?」

みほ「私も猫田さんのこと、とても心配してる」

沙織「いや、別に謝らなくても……」

みほ「沙織さんだって今すぐ病院にいって、看てあげたいって沙織さんは考えてる」

沙織「私……は……」

みほ「でも、今はここにいてほしい。沙織さんには居てもらわないと、私が困るから。だから、ごめんなさい」

沙織「……」

みほ「でも、沙織さん。本当に我慢ができなくなったら言ってほしい。その時は私も一緒に行くから」

沙織「今すぐ言ってもいいの?」

みほ「もちろん」

沙織「ふふっ。ありがと、みぽりん。ちょっとだけ楽になれたかも。さ、ミーティングしよ。そのあとはまた戦車に乗らなきゃね」

みほ「うんっ。――それではミーティングを始めます。みなさん、集合してください」

579: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 14:25:42.61 ID:tVBbMQ1do
デ・ダナン 艦内

カリーニン「情報部からの報告です。予定通りに試合が行われることになったことで、様々な組織が動きだしたようです」

テッサ「労せず手に入るはずだった特殊技術が日延べしてしまったからでしょうか」

カリーニン「恐らくは」

マデューカス「気の短い連中ですな」

テッサ「それだけの技術であるとも言えますけどね」

カリーニン「彼らを焦らせる要因がもう一つあるようです」

テッサ「それは?」

カリーニン「当日の試合にルールが一つだけ加えられました」

テッサ「フラッグ戦になったとかですか?」

カリーニン「いえ。殲滅戦に変わりはありません。ですが、撃破した戦車を受け取ることができるという項目が増える予定のようです」

テッサ「それって……」

カリーニン「所有権は戦果を挙げた学校に委ねられるということになります。戦車道に鹵獲など似つかわしくないと私も思いますが、現況においては好都合かと」

マデューカス「万が一の場合、我々で強奪する手間がなくなりましたな、艦長。しかし、誰がそんな酔狂な規定を設けたのでしょうか」

テッサ「礼節を重んじる戦車道なのだから、戦車道連盟の人たちが思いつくとは考えにくいし……」

580: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 14:52:51.08 ID:tVBbMQ1do
陣代高校 生徒会室

蓮「お電話です。黒森峰の西住まほさんからです」

敦信「ありがとう。――私だ」

まほ『どうやら正式に採用されるようね』

敦信「面白いルールだろう。それに戦場では鹵獲はよくある話だよ』

まほ『戦車道は戦争ではない』

敦信「承知している。だが、まほ君とて、妹が愛用している戦車が実際の戦で使用されることは心外ではないのかな」

まほ『このルール、大洗には?』

敦信「今のところ当日まで知らせるつもりはない。一種のサプライズだ」

まほ『戦車を失くすのは、仲間を失くすことと同義よ。それを伝えないなんて……』

敦信「伝えたところで同じことだ。戦車を取られるということは学園艦、いや、彼女たちの故郷が沈んでしまうことを意味しているのだからね」

まほ『……』

敦信「君の信念に反するというのなら、伝えてくれても結構だ。秘密にしておくことで益があるとするなら、情報の拡散を防ぐためぐらいだからね」

まほ『このルールが当日までに公にされると困るというの』

敦信「大洗の事件が何を引き金にして発生したものか判明しない以上、余計な情報は流さないほうが得策だと思うのだが、どうだろうか」

581: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 19:04:40.38 ID:tVBbMQ1do
サンダース大学付属高校  会議室

まほ「ああ。わかった。では、貴方の言う通りにしよう。それでいい。また連絡する」

エリカ「あの男、戦車道連盟に強いつながりでもあるのでしょうか」

まほ「分からない。けれど、今更、林水会長の案に反対する理由はないわ」

エリカ「まぁ、私たちも鹵獲ルールが採用される前提で話を進めていましたからね」

まほ「採用されなければ、いや、採用させなければならなかった。戦車道をここまで安全なスポーツへと変えてくれた人のためにも」

ダージリン「見たこともない人のためにここまでするとは。感心致しますわ」

まほ「私たちがこうして身の危険を感じることなく戦車に乗れるのは、その人のおかげよ。多大な恩があると言ってもいい。だからこそ、貴女もその頭を下げたはず」

ダージリン「何のことかしら。さっぱりわかりませんわ」

ノンナ「カチューシャまでああしたことをするとは思いませんでした。全ては大洗の人たちのためでしょうか」

カチューシャ「そんなこといわないで。私はただ、たまには低い位置からの景色を見たかったのよ」

アリサ「いつも低いじゃない」

カチューシャ「うるさいわよ!! しょくせいされたいの!!」

ケイ「さぁて、今日は試合当日のイベントを決めるよ! オッケー?」

オレンジペコ「まずアンツィオ高校の全面協力により会場には立食コーナーが設けられることが決まっています。あとは――」

582: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 19:16:48.32 ID:tVBbMQ1do
大洗女子学園 倉庫

みほ「作戦概要は以上です。何か質問はありますか」

典子「ありません。その作戦を成功させるために練習あるのみです」

カエサル「私からもない。西住隊長と相良教官が考案した作戦で構わない」

宗介「いや、俺は何も考えてはいない。アルが下地となる戦術を作成し、西住が戦略を組み立てた」

みほ「アルさんのものをそのまま採用してもよかったんですけど……」

優花里「アルバート殿の作戦はそれだけ完璧だったのですね」

華「みほさんが練らなくても良かったということでしょうか」

アル『推奨できません。西住殿の戦略なくして、大洗に勝利はないでしょう』

みほ「そんなことは……」

沙織「あるんだよ。ね、アルさん」

アル『肯定』

宗介(アルバートでなければ反応しないのではなかったのか……)

杏「じゃ、そろそろ解散にしよっか。行きたいところもあるしねぇ」

梓「そうでした! 私たちも猫田先輩のお見舞いに行きたいです!」

583: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 19:27:44.90 ID:tVBbMQ1do
病院 廊下

かなめ「それじゃ、少し待ってて」

クルツ「おう。ゆっくりしてこい」

かなめ「うん」

ももがー「ねこにゃー、はいるなりー」

クルツ「……」

マオ「どうしたの。仲間の死を伝えるときみたいな顔になってたけど」

クルツ「そうかい? そんなつもりはなかったんだけどな」

マオ「誰も死ぬはずのない平和なスポーツをしているだけの女の子をこうしたことに巻き込んじゃったから?」

クルツ「そりゃあ、思うところはある。あのとき、ミホと一緒に離脱してりゃあ、結果は変わっていたかもしれねえ」

マオ「らしくない後悔ってこと」

クルツ「いや、反省さ。次に繋げるためのな」

マオ「そう。アンタらしいわ」

クルツ「反省した俺は強いぜぇ。今度、女の子たちが襲われたら大暴れしてやるからな」

マオ「頼もしいやら、情けないやら。けど、そのときはあたしも便乗させてもらうわ」

584: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 19:35:47.39 ID:tVBbMQ1do
病室

かなめ「ごめん、起こしちゃった?」

ねこにゃー「ううん。平気。今日はどうしたの?」

ももがー「あの……」

ぴよたん「……」

ねこにゃー「なに?」

かなめ「今日、選抜チームが決まったの」

ねこにゃー「そう、なんだ」

かなめ「出場するのは、あんこう、カメさん、アヒルさん、カバさん、ウサギさん。残念だけど、アリクイさんは……」

ねこにゃー「そっか。そうだよね。車長のボクが動けないんじゃ、無理だよね」

ももがー「さ、最初から欠場は決定してたなり」

ぴよたん「そうそう。当たり前の結果乙って感じー」

ねこにゃー「うんうん」

かなめ「そ、そうよね! 分かってたことよね! うは、うはははは!」

ねこにゃー「でも……ボクたち……もうゲームオーバーになっちゃったんだ……」

585: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 20:27:53.25 ID:tVBbMQ1do
ももがー「……」

ねこにゃー「ごめんなさい、千鳥さん。ボクの所為で……」

かなめ「何言ってるのよ。あたしはこの二か月間、すっごく楽しかったのよ。お礼を言うのは私のほうよ」

ねこにゃー「あんなに練習したのに……無駄に……」

かなめ「無駄なんかじゃないわ!」

ねこにゃー「けど……」

かなめ「貴方達と仲良くなれたことを無駄だったなんて、言わないで」

ねこにゃー「ごめんなさい……」

ぴよたん「また次があるずら」

ねこにゃー「ボク……西住さんと……みんなと一緒に……戦車道したかった……」

ももがー「またできるなり……できるから……」

ぴよたん「私だって……みんなと……試合……したかった……」

ねこにゃー「千鳥さん……ごめんなさい……」

かなめ「やめて。お願いだから……やめて……」

ねこにゃー「うぅ……う……うぅ……みんなの……役に……立ちたい……たちたい……」

586: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 21:22:42.99 ID:tVBbMQ1do
廊下

みほ「……」

宗介「どうする、西住。入るのか」

みほ「いえ。今日は戻ります」

杏「そのほうがよさそうだねぇ」

梓「私たちってとても重たいものを背負っていたんですね……」

クルツ「このでかい学園艦だぜぇ? そりゃ重いだろ」

マオ「バカ」

優花里「猫田殿だけではありません。きっとみなさんが感じていることだと思います」

桃「全員で戦うと言われても、簡単には割り切れないからな」

みほ「マオさん、相良さん。明日もよろしくお願いします」

マオ「ついてこれない奴はたとえミホでも切り捨てるからね」

みほ「はい」

マオ「なーんかつまんないわね。いくら煽っても意味がないぐらい、士気が高いし」

宗介「それが大洗の最大の武器だからな」

587: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 21:53:30.47 ID:tVBbMQ1do
マオ「あんたがずっと走らせていたからじゃないの」

宗介「あの程度のことはアヒルさんチームが毎朝行っていた。精神面の強さは元より備わっていたものだ」

クルツ「だから、ああいう理由で悔しがれるんだろ。な、サオリ?」

沙織「そう思います!」

麻子「調子がいいな」

柚子「さ、みんな、戻りましょう」

優希「わかりましたぁ」

あゆみ「これからどっかに集まってプチミーティングしない?」

あや「おぉ。いいかも」

みどり子「気持ちはわかるけど、早めに寮へ戻りなさい」

宗介「西住」

みほ「はい」

宗介「お前は試合のことだけを考えていればいい。他のことは俺たちが対処する。誰にもお前たちの邪魔はさせん。約束する」

みほ「ありがとうございます」

クルツ「俺が送っていくぜ。レディたちだけじゃ、夜道は危ないからな」

588: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 22:24:20.39 ID:tVBbMQ1do
マオ「クルツはここにいな。ミホたちはあたしが送ってく」

クルツ「そりゃないぜ」

沙織「私もクルツさんに送ってほしいような」

華「いけません」

沙織「ひっ」ビクッ

優花里「では、お願いします、マオ教官」

マオ「カナメたちのこと、よろしくねー」

宗介「了解した」

クルツ「ったく、マオのやつ。勝手に仕切りやがって」

宗介「クルツ、例の写真だが」

クルツ「お。どうなってんだ? ちゃんと集めてるのか?」

宗介「この中に記録されている。持って帰るか」

クルツ「今すぐ欲しい訳じゃねえし、もう少し集めておいてくれ。俺が直接動くとマオのやつがうるせえからよ」

宗介「そうか。では引き続き収集しておく」

クルツ「頼むぜ。ぐっふっふっふ」

590: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 22:38:53.77 ID:tVBbMQ1do
宗介「どんな状況でもお前は変わらんな」

クルツ「褒めてもなにもでねえぜ」

かなめ「あれ、ソースケ。来てたんだ」

宗介「ミーティングの内容は聞いておくか?」

かなめ「あ、うん。またあとで聞かせて」

クルツ「ねこにゃーちゃんは?」

かなめ「今はそっとしておこうかなって」

クルツ「それしかねえか」

かなめ「あのさ、ダナンで猫田さんを看てもらうってことは……?」

クルツ「あの子を看たのはミスリルの医療班だぜ?」

かなめ「え、そうなの?」

クルツ「相手が相手だけに、何されてるかわかんねえからな」

かなめ「それでもすぐには治らないのね……」

宗介「今すぐに全治したとしても、アリクイさんチームを選抜する予定は当初からなかった。すまないが、諦めてくれ」

かなめ「別に試合に出してほしいなんていうつもりはないわよ。ただ、このままだと猫田さんは応援にだって……」

592: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/22(火) 23:00:41.55 ID:tVBbMQ1do
クルツ「テレビ越しで声援を送るんじゃ、納得しねえか」

かなめ「猫田さんの気持ちも考えてよ」

クルツ「つっても、まともに歩けもしないんじゃな」

宗介「いや、彼女の努力次第で応援程度ならできるはずだ」

クルツ「いくらなんでも怪我人にまで無茶させるのはどうだ?」

宗介「猫田の負傷は俺の責任だ。出来うる限りの支援はする。しかし、本人の意思が弱ければ何もできない」

かなめ「努力ってどういうことをさせるの?」

宗介「僅かでもいい。足を動かせればどうにかなる」

クルツ「お前、ASにでも乗せる気かよ」

宗介「アシスト機能を使えば、歩行程度なら可能だろう」

クルツ「そのASはどっから持ってくるんだよ。優しいうちの隊長でも、流石に無理だぜ」

宗介「大佐殿に頼む気はない。今、この大洗にある」

かなめ「それって……」

宗介「千鳥、猫田に聞いてみてくれ。西住たちへ自身の声を直接届けたいのか。それとも、ここで全員の勝利を祈るのか」

かなめ「答えは分かり切ってるけど、一応、聞いてみるわ」

593: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 21:00:02.68 ID:RtSqhV2lo
クルツ「女にも容赦ねえな」

宗介「戦おうとする者に女も子どもも関係ない。戦場に立つものは皆、戦士でなくてはならない」

クルツ「かてぇ考え方だな」

カリーニン『こちらパース1。ウルズ6、ウルズ7。応答しろ』

宗介「こちらウルズ7」

クルツ「はいよぉ、ウルズ6」

カリーニン『2300時にダナンにてブリーフィングを行う。遅れずに来い。以上だ』

宗介「了解」

クルツ「一方的だな、おい」

宗介「少佐からの指示だ。無視はできん」

クルツ「んなこたぁわかってるよ。俺は先に行くぜ。お前はカナメをきちんと送り届けてからこいよ」

宗介「そのつもりだ」

クルツ「んじゃな」

宗介「ああ」

宗介(このタイミングでブリーフィングか……内容は恐らく……)

594: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 21:15:01.51 ID:RtSqhV2lo


優花里「明日もまたあの地獄のウォーミングアップがあるのですね」

マオ「あの程度で地獄なんて言ってるようじゃあ、海兵にはなれないけどね」

優花里「マオ教官は軍人なのですか?」

マオ「ま、色々とあるのよ。大人にはね」

沙織「かっこいい! 私もマオさんみたいな魅惑的な大人の女になりたぁい」

華「水兵さんはあれ以上のことを強いられるのですか?」

マオ「まず食事は48時間に一回でしょ」

華「無理ですわ。わたくし、耐えられそうにありません」

麻子「そこまで追い込まれたら、心が壊れるな」

マオ「本来の目的はまさにそれだから」

麻子「え?」

マオ「あんたたちには必要なかったみたいだけど」

優花里「では、どのようなときに海兵仕込みの訓練が必要だったのでしょうか」

マオ「学園艦のことを聞いて、全部を投げ出したとき。少なくともソースケはそう考えていたはずよ」

595: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 21:30:58.43 ID:RtSqhV2lo
沙織「そんなことで止めたりしないよね?」

華「わたくしたちはみほさんから全てを聞いたとき、戦うことを即決しました」

麻子「迷いはなかった」

マオ「ミホは違ったんでしょ?」

優花里「西住殿は立場とかその諸々の事情がありましたから!」

みほ「いいの、優花里さん。今はもう、迷ってないよ」

マオ「顔みりゃ分かるわ。アイスクリームショップで見たときとはまるで違うもの」

麻子「そういえばそちらの仕事はいいのか」

マオ「うん。あんたたちを扱くほうが楽しいからねぇ」

優花里「うぅ……なんだか、恐ろしいです……」

みほ(本当なら私たちの見えないところで学園艦の警護をする予定だったんだろうな……)

マオ「っと、ちょっと失礼。――こちらメリッサ・マオ」

優花里「誰でしょうか?」

沙織「彼氏じゃない?」

麻子「恋人とインターカムで話す人なんているのか?」

596: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 21:40:55.04 ID:RtSqhV2lo
沙織「いるかもしれないじゃない。ほら、アマチュア無線で連絡しあう人だっているんだし」

優花里「割と特殊な部類ではないでしょうか」

マオ「了解。――おまたせ。さ、行きましょ」

優花里「何かあったのですか?」

マオ「ちょっとね。夜の用事ができちゃったのよ」

沙織「そ、それって!!」

マオ「ふふん。サオリにはちょっと早いかしらね」

沙織「おぉぉぉ!! やだもー!」

みほ「なんで興奮してるの?」

優花里「分かりません」

華「沙織さんたら……」

麻子「急がなくていいのか」

マオ「子どもが寝静まってからじゃないと、始められないわ」

沙織「マオさん! それ以上は想像しちゃうからダメだって! みぽりんとかゆかりんが穢れちゃう!!」

みほ「ど、どうして……?」

597: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 21:57:54.79 ID:RtSqhV2lo
優花里「――それでは、おやすみなさい!!」

マオ「はぁーい、戸締りはきちんとしなさいよー」

優花里「了解でぇす!!」

みほ「おやすみ、優花里さん」

優花里「はい!!」

マオ「さて、最後はミホね」

みほ「私まですみません」

マオ「いいのよ。こうなったのはあたしたちが学園艦に関わった所為でもあるんだから」

みほ「相良さんが大洗に来たのも、その、ミスリルの……?」

マオ「アイツが来た切っ掛けにミスリルは関与してないわ。全くの偶然。けど、いつかはこうなっていたかもね」

みほ「戦車に使われている特殊装甲材がミスリルと関係があると聞きました」

マオ「ソースケから?」

みほ「はい。大まかなことだけですけど」

マオ「どんな砲撃でも爆撃でも搭乗者を保護する装甲なんだから欲しいやつは大金をはたくし、時には人だって殺す。それだけのモノなのよ」

みほ「私とお姉ちゃんもお母さんからずっと聞かされていました。あの技術だけは守らないといけないって」

598: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 22:12:08.14 ID:RtSqhV2lo
マオ「ミホの母親って、確か戦車道の……」

みほ「西住流師範、西住しほです」

マオ「どんなことを言われて育てられたわけ?」

みほ「あの装甲は戦車道の選手を守るためだけにあるのではない。世界を守るためにある。と」

マオ「なんか大げさな言い回しね」

みほ「私もそう思って、聞いたことがあります。世界を守るってどういうことかを」

マオ「なんて言ってた?」

みほ「お母さんは装甲材を作った人と知り合いだったそうで、その人が言ったらしいです。世界から兵器は消えない。でも争いは消せる。この戦車道があればって」

マオ「知り合い……」

みほ「お母さんはその人にはとても感謝していました。安全性が大幅に向上したことで戦車道選手人口の減少に歯止めをかけることができましたし」

マオ「その開発者とミホの母親ってただの知り合いなの?」

みほ「そこまでは……。私はまだ6歳ぐらいだったので、その人のこともよく覚えていなくて」

マオ「ちょっとまって。ミホ、開発者と会ったことがあるわけ?」

みほ「多分。私の実家ではいろんな人が出入りしていましたし、その中にいたと思いますけど……」

マオ「中々興味深い話ね。もう少し詳しく教えてもらえる?」

599: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 22:36:54.13 ID:RtSqhV2lo
デ・ダナン 艦内

カリーニン「情報部の報告によれば、10日後に行われる戦車道の試合に合せ、様々な組織が足並みを揃え動き出しているとある」

宗介「戦車を奪うためですか」

カリーニン「肯定だ。試合会場は戦車道の聖地である東富士演習場。狩場としては最高の場所になる」

クルツ「流石にこっちから茶々いれて、会場を変更させたほうがいいんじゃねえか?」

テッサ「その考えもありました。しかし、我々にとって警護に適した場所へと急遽変更になったら相手が警戒し、現れない可能性もあります」

カリーニン「こちらの意図に感づき、予定を変更されると厄介になる。奴らが浮足立っている今こそ、絶好の機会だ」

テッサ「一度、冷静にさせてしまえば、余計な時間を与えることになります。その間にコーティング技術の応用も実現してしまうかもしれない。そして、世界中の学園艦が標的になってしまう」

テッサ「装甲材が出回り、ASやその他兵器へ流用されることがあれば、戦火は世界を飲み込んでしまいます」

宗介「戦車を狙う輩を一網打尽にするには、試合当日しかないということですか」

テッサ「確かに危険です。大勢の民間人を巻き込むことになる可能性もあります。しかし、今ここで決断しなければ甚大な被害が予想されます」

カリーニン「お前たちが守るものは一隻の艦船ではない」

クルツ「世界、か。正義の味方らしいじゃねえか」

テッサ「遣り甲斐があるでしょう」

クルーゾー「はっ。この任務に参加でき、光栄であります」

600: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 22:55:14.55 ID:RtSqhV2lo
マオ「遅れて申し訳ありません」

カリーニン「何があった」

マオ「はっ。ニシズミミホの母親であるニジズミシホと特殊コーティング技術開発者に繋がりがあることが判明しました」

マデューカス「まさか。あの者は艦長とすら接触を極端に避けていたのだぞ」

マオ「どうもそれが西住流の大ファンだったらしく、ニシズミシホだけは例外みたいですね。何度か西住邸を出入りしていたこともあったそうです」

クルツ「ファン?」

マオ「初めてみた戦車道の試合では、ミホの母親が隊長を務めていたみたい。そこで一目ぼれして、戦車道のために尽力したってわけよ」

テッサ「その話は少しだけですが聞いたことがあります。でも、まさか西住さんの母親が関わっていたなんて……」

マオ「当時はまだ大洗での大事故が尾を引いていて、選手人口は右肩下がりだったけど、突然現れたコーティング開発者によって救われた」

宗介「西住しほと開発者は友好関係を築いたわけか」

マオ「マホとミホも開発者のことは尊敬しているってさ。マホに関しては崇拝に近いものがあるとか。母親の影響でしょうけど」

テッサ「ミホさんが狙われた理由が見えてきましたね」

マデューカス「母親ならば何らかの情報を持っていてもおかしくないですな」

宗介「それだけの理由で西住と猫田が……」

カリーニン「試合当日は戦車だけでなく、ニシズミミホも狙われる可能性が高いな」

601: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/23(水) 23:10:41.71 ID:RtSqhV2lo
テッサ「本命はその母親なのでしょうけど……」

カリーニン「多くの権力者と内通しているニシズミシホに対して、容易に手は出せないでしょう」

テッサ「何より、相手側には確信がないのかもしれませんね。つまらない理由で日本やアメリカに追われたくもないでしょうし」

マデューカス「あの者はミスリルの中でも最高機密です。我々ですら日本人と関わっていたと知らなかったのですから、外部が情報を持っているとは考えにくい」

宗介「それでも西住は狙われました」

クルツ「ま、とりあえず娘を誘拐したら話す機会ぐらいは設けてくれるだろうからな」

マオ「本人じゃなくて本人にとって大切なものから手をつけるなんてね」

宗介「交渉においては常套手段だが、相手が悪かったな」

テッサ「そうですね。存分に後悔させてあげましょう。みなさん、手加減は抜きです。いいですね」

マデューカス「アイアイ、マム」

カリーニン「了解です」

クルーゾー「乙女の園には指一本触れさせません」

マオ「いっちょ、派手にいきますか」

クルツ「やられた分はきっちり返すぜ。な、ソースケ」

宗介「ああ。相手が誰であろうと、西住達が歩む戦車道に立ち塞がるというのなら、俺たちが排除する。徹底的にな」

603: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/24(木) 21:54:17.45 ID:4PAqVIw1o
数日後 大洗女子学園 グラウンド

あゆみ「やっちまえー!!」ダダダッ

あや「ぶっこわせー!!!」ダダダッ

桂利奈「ぶっころせー!!!」ダダダッ

優花里「イヤッホー!!! サイコーだぜぇ!!!」ダダダッ

宗介「試合前にして仕上がってきたな」

マオ「これぐらい気合はありゃあ、十分でしょ。よし、残り1往復で終了だ!! メスブタ共!!!」

典子「もう終わりですか!?」

妙子「私たち、まだいけます!!」

カエサル「丸太を二つ抱えて走ってもいいぐらいだ」

マオ「こらこら。明日は本番でしょうが。体はしっかり休めときな。努力と無茶をはき違えるのは新兵の悪いところよ」

麻子「一理ある」

沙織「麻子は寝たいだけでしょ」

麻子「いや、それだけではない。どうせ、あれをするだろ」

宗介「あれとはなんだ? 敵情視察なら必要ないだろう。相手の戦闘データは既に全員の頭に叩き込まれているはずだ」

604: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/24(木) 22:09:51.31 ID:4PAqVIw1o
麻子「それはない」

みほ「なんだろう……」

華「わかりました。トンカツを食べることです」

みほ「あぁ、そっか」

杏「いいねぇ。またあの店にいこっか、河嶋、小山」

柚子「いいですね。いつもサービスしてくれますし」

桃「ボリュームが少し多いのが気になるが……」

杏「私はカツカレーにしよっかなぁ」

宗介「験担きか」

マオ「分かるわ。私も飲むならビールじゃなきゃ嫌だし」

優花里「教官は験担ぎやジンクスは信じないのでしょうか」

宗介「いや。そんなことはない。当人のモチベーションにもかかわってくることだからな」

みほ「だったら、今度はみんなで食べませんか」

かなめ「猫田さんも一緒に?」

みほ「はい。今回はそうしたいんです。どうしても」

605: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/24(木) 22:21:17.58 ID:4PAqVIw1o
ももがー「西住さん、ありがとう」

ぴよたん「私たちもそうしたいって思ってたところ!」

みほ「よかったです」

宗介「西住。確認しておきたい」

みほ「なんですか?」

宗介「その行為は己の惰弱から来るものか」

みほ「え……」

かなめ「ソースケ! 何言ってるのよ!! みほはみんなと景気づけに食べようって言っただけじゃない!!」

宗介「敗戦を想定し、最後の思い出を作っておきたいという下らない考えがあるのなら、俺はここで西住をなんとしても止める」

沙織「相良さん、それは言い過ぎ!!」

華「そうですわ。今のみほさんは薄志弱行とは到底言えません」

みほ「……」

宗介「俺は西住に聞いている」

みほ「……みんなとの思い出は作っておきたいです」

優花里「に、西住殿……」

606: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/24(木) 22:31:19.08 ID:4PAqVIw1o
みほ「最後になるから」

かなめ「ちょっと……みほ……」

カエサル「……」

梓「先輩……」

みどり子「そういうこと、言わないでよ!!」

ナカジマ「悲しくなります」

みほ「――みんなで、試合前日にご飯を食べるなんて、最後になるから」

杏「……」

柚子「私たちのことを……」

みほ「来年度には卒業してしまう人もいます。だから、ほんのわずかでも一緒にいたい。1日でも、ううん、1秒でも多くの思い出を、この大洗に残したい」

みほ「そう思うのは、ダメなことですか」

沙織「ぜーんぜん、ダメじゃないよー!! みぽりーん!!」

優花里「私もコンマ1秒でも長く、西住殿、いえ、みなさんと戦車に乗っていたいです!!!」

マオ「愚問だったんじゃない?」

宗介「そのようだな。この面子に憂慮することは何一つ残っていないことが今、確認できた。何も問題ない」

607: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/24(木) 22:44:58.19 ID:4PAqVIw1o
かなめ「そうと決まれば、みんなでカツを買いに行きましょ!! トンカツ屋までパンツァー・フォー!!」

ももがー「おぉー!!」

桃「そうだな。私たちは数か月で……」

杏「居なくなるからこそ、残したい。だから、私は三年間、会長をしたんだ」

柚子「私もですよ、会長。失くしたくないから会長の傍にいたんです」

桃「広報として役に立てたかはわかりませんが、精一杯してきたつもりです」

杏「ここまで来たんだ。奇跡にでもなんでも頼って、徹底抗戦してやるぞ」

柚子「はいっ」

桃「恥もや外聞はありません。ただ、勝つだけです」

杏「ま、実力でなんとかなるなら、そうしたいけどな」

優花里「生徒会のみなさんも気迫に満ち溢れていますね」

かなめ「ほらー、早くいくわよー!!」

みほ「待ってくださーい」

マオ「ソースケもいってきたら。哨戒任務は代わってあげるわ」

宗介「すまない。では、甘えるとしよう」

608: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 10:28:37.47 ID:LETjPMoao
病院 廊下

柚子「勢いで買ってきてしまいましたけど、トンカツの持ち込みってアリなんでしょうか」

杏「いいんじゃない?」

柚子「そんなテキトーな……」

宗介「爆薬や火器を持ち込んでいるわけではない。誰も咎めることはないはずだ」

かなめ「小山先輩が気にしてるのはそういうことじゃなくて……」

みほ「お見舞いに果物をもってくるのはよくあるけどけど、トンカツってどうなんだろう」

華「わたくしは嬉しいですわ」

沙織「華が喜ぶからオッケーにはならないと思うけど」

優花里「あの、あそこにいるのって、猫田殿では?」

麻子「なに?」


ねこにゃー「はぁ……ふぅ……くっ……」


カエサル「もうリハビリを始めているのか」

おりょう「早すぎるぜよ。しばらくは安静にしてないといけなかったはず」

609: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 10:41:09.18 ID:LETjPMoao
宗介「猫田も戦い続けている。試合に出場できないからとベッドの上で同情を引こうとはしてない」

宗介「自分の不幸に酔い、くだを巻くこともしない。猫田は、お前たちと共に戦場に立つことを目指している」

梓「そこまで……」

カエサル「自分の発言を撤回しよう。私たちの中で最もガッツがあるのは、猫田さんだ」

エルヴィン「間違いないな」

左衛門佐「まさに侍でござる」

かなめ「猫田さーん」

ねこにゃー「あ……みんな……」

ももがー「大丈夫?」

ぴよたん「今日はこれ持ってきたから、みんなで食べよう」

ねこにゃー「トンカツ……。うん、食べる。食べたい」

かなめ「これ、大洗では有名なところのトンカツなんでしょ? 冷めないうちに食べましょ」

桃「全員、カツを持て」

梓「ここで食べるんですか?」

みどり子「買い食い、立ち食いなんて不良よ……」

610: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 10:56:59.29 ID:LETjPMoao
桃「では、会長、どうぞ」

杏「ん。みんなぁー、明日の試合、ぜったいにカツぞー。今日はカツをカツカツ食べて、がんカツぞー。カツぱーい」

桃「それだけですか!?」

杏「あとは西住ちゃんにしめてもらおっかなぁ」

みほ「え?」

宗介「それがいい。隊長の激励は隊の士気に強く影響する」

優花里「教官もこう言っていますし、お願いします、西住殿」

みほ「……何度も助けられました。何度も守ってもらいました。私がみんなを引っ張ってきた、とは思いません。会長を初めとする、みなさんの努力でここまで来たのだと私は思っています」

みほ「隊長として三流だったと、自分で思います。だから、明日は、いえ、今からは私が隊長として、みんなを引っ張っていきます」

みほ「だから、力を貸してください!! そして、明日は勝ちます!! いえ、カツしかないんです!!」

「「おぉぉー!!!」」

柚子「病院だから静かにしたほうがいいんじゃあ……」オロオロ

みどり子「非常識よ!!」

みほ「すみません……つい……」

典子「では、窓を開けて外に叫びましょう!! それで解決です!!」

611: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 11:28:29.78 ID:LETjPMoao
典子「外に向かってさけべー!!! 絶対にカーッツ!!!」

妙子・あけび・忍「「ファイト、いっカーッツ!!!」」

かなめ「解決になってないってば!!」

みほ「ごめんなさい!」

華「後ほど全員で怒られましょう、みほさん」

沙織「仕方ないよね」

麻子「おばぁに見られたら、絶対に殺される」

宗介「問題ない。俺がなんとかする」チャカ

優花里「教官!! 武力での解決はいけません!!」

かなめ「そーよ!! 優花里の言う通り!!」

優花里「防音効果の高い素材を用意して、囲ってしまえばいいんですよぉ。軍が採用している吸音材や遮音シートも自分の家にあります」

宗介「流石だ、秋山。では、それを用いて病院の外壁を取り替えるぞ」

かなめ「できるわけないでしょ!?」

ねこにゃー「西住さん、ボクも応援に行くから」

みほ「え……。でも、猫田さん……無理は……」

612: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 11:40:38.45 ID:LETjPMoao
ねこにゃー「千鳥さんがね、なんとかしてくれるって言ってくれたんだ」

みほ「かなめさんが?」

かなめ「ああ、うん。アテはあるから。ただ、猫田さん一人じゃちょっと応援できないというか、声が届かないというか、とにかく、アリクイさんチームで付き添うから心配しないで」

みほ「けど……」

ねこにゃー「居たいんだ。西住さんの傍に。みんなと同じ場所に。だから、お願いします」

ももがー「お願いします」

ぴよたん「無理はさせない」

みほ「分かりました。でも、これだけは言わせてほしい。――私たちの中に誰一人、欠けていい人なんていない」

ねこにゃー「ありがとう、西住さん」

みほ「待ってるね」

ねこにゃー「うん。遅れても、行く」

杏「試合は明日だぁー、みんなー、たのしいかー」

「「おぉー!!」」

みどり子「だから静かにしなさいってばー!!!」

モヨ子「もう何を言っても無駄なのよ、そど子」

613: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 12:01:48.46 ID:LETjPMoao
デ・ダナン 艦内

テッサ「時間ですね。機関を始動」

マデューカス「アイ、マム。機関、始動!」

テッサ「あら? カリーニンさんは?」

マデューカス「少佐ならば、私用があるとのことで自室にいるようです。呼び出しますか」

テッサ「いえ。大丈夫です。試合開始である1000時までは」

マデューカス「そうですか」

テッサ「彼らの動きは」

マデューカス「いえ、まだ何も。現在、先行部隊が試合会場の消毒を行ってはいますが」

テッサ「戦車をお金で買えない以上、試合会場への強襲は十分に考えられます。あと20時間は厳戒態勢を維持するように伝えてください」

マデューカス「はっ」

テッサ「では、参りましょう。日本、駿河湾へ向けて。前進、微速!!」

マデューカス「アイアイ、マム!! 前進、微速!!」

テッサ「私たちの希望をここで失うわけにはいきません」

マデューカス「はい。承知しています、艦長」

618: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 15:54:48.64 ID:LETjPMoao
東富士演習場 会場

アンチョビ「またここへ来ることになるとは思わなかったな」

カルパッチョ「はい。これも統師が各校へ働きかけてくれたおかげですね」

アンチョビ「大洗と試合をした学校は全て参加しているのに、私たちだけ何もしないのは納得いかないからな」

カルパッチョ「そうですね。決勝戦では寝坊して応援できなかったのですから、今度こそ大洗のみなさんを応援したいですよね」

アンチョビ「そうじゃない!! ただ仲間はずれが嫌なだけだ!!」

ペパロニ「アンチョビ姐さん! この辺りでいいですかー!?」

アンチョビ「そこでいい。いや、看板が少し右に下がってるから直しておくように」

ペパロニ「はぁーい!!!」

恭子「おー、イタリア料理だー。美味しそうだね」

ペパロニ「ごめんよー。まだ準備中なんだ。もうちょっとで準備が整うから、少し待っててくれ」

恭子「はーい」

蓮「高校戦車道オールスターの試合ともなると賑やかになるのですね」

孝太郎「おぉー、あそこにいるのってカルパッチョじゃないか! やっぱ美人だよなぁー」

恭子「小野Dはああいうのがタイプなんだね」

619: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 16:11:10.02 ID:LETjPMoao
敦信「安斎君」

アンチョビ「アンチョビと呼べ。久しぶりだな、林水」

敦信「P40の修理が間に合っていれば、君たちもオールスターチームに組み込まれていたのかもしれなかったのに、残念だ」

アンチョビ「下手な世辞はいらない。大体、修理するお金がないからな。じゃない、修理する必要がないんだ」

敦信「もし、君たちが大洗と同じ立場になったときはどうするつもりだろうか」

アンチョビ「角谷と同じ行動をとるに決まっている。私にも隊長としてのプライドがある」

敦信「戦車道を嗜む者は皆、同じか」

アンチョビ「カルパッチョやペパロニだって同じことを言う。私が卒業しても、我がアンツィオは消えない」

敦信「私もそれを願うよ。一戦車道ファンとしてね」

アンチョビ「初耳だな」

カリーニン「少しいいだろうか」

アンチョビ「誰だ?」

カリーニン「ここでレーション交換会が催されると聞いたが」

アンチョビ「レーション交換会というより、私たちの料理を出場者と観客に有料で提供するだけだ」

カリーニン「なるほど。では、この料理もここで提供しても構わないだろうか。プラウダ高校の選手には是非とも口にしてほしいと思い、持参した」

621: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 16:31:40.78 ID:LETjPMoao
クルーゾー『こちらウルズ1。所定の位置についている。異常はない』

クルツ『こちらウルズ6。快晴で視界良好。絶好の狙撃日和だ』

マオ『目を猛禽類ばりに光らせときな。いつなんどき、相手が現れるか分からないからね』

クルツ『はいよぉ。そっちはどーだ、ソースケ』

宗介「15分、時間をくれ。用が済めば配置につく」

クルーゾー『アドバイザーとして最後の仕事か』

宗介「肯定です」

マオ『急ぎな。15分しか待たないよ』

宗介「問題ない」

恭子「あー! 相良くんだー!! ひっさしぶりー!!」

一成「ここに居たのか相良ぁ!! 貴様ぁ!! 二ヶ月もどこに姿を隠していたぁ!!」

瑞樹「大洗女子学園でしょ?」

一成「二ヶ月前に果たし状を靴箱に入れておいたというのに!!」

宗介「今は時間がない。後にしてくれ」

一成「なんだと!! ふざけるな!! ここで決着をつけてやるぞ!! 大導脈流奥義……!!!」

622: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 16:39:47.76 ID:LETjPMoao
みほ「相良さん、試合前の最終ミーティングをしたいんですけど」

一成「邪魔だ、女!! そこをど――」

みほ「え? ああ、ごめんなさい。お邪魔でしたか?」

宗介「いや。そんなことはない。すぐに行こう」

みほ「は、はい」

一成「待て! お前は、西住みほ、か? あの西住流の」

みほ「そうですけど……?」

恭子「ホントだー!! かわいー! 写真、いいですかー!?」

信二「あ、あああ、あの!! この週刊戦車道でのコメント、感激しました!! ここにサインを!!」

みほ「ええー!?」

一成「由緒ある西住流の跡継ぎにここで会えるとは。格闘技としての部類は違えど、西住流には感銘を受けている」

宗介「椿、西住に西住流のことを訊ねても無駄だぞ。西住はもう、その流派を捨てている」

一成「バカな。姉である西住まほに全てを譲ったというのか。極意も、何もかもを」

みほ「そういうわけじゃないんですけど……いや、そういうことになるのかな……」

宗介「深い事情がある。あまり詮索はしないでくれ」

623: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 16:46:34.75 ID:LETjPMoao
一成「貴様が知った風な口をきくな。俺は本人に聞いている」

みほ「い、いえ、相良さんは私たちの、大事なチームメイトなんです」

一成「なに……」

みほ「知った風ではないんです。私のことをちゃんと理解してくれているんです」

一成「な……!?」

恭子「そうなの!?」

宗介「そう言っても過言ではない」

瑞樹「ちょっと、かなめのことはいいわけぇ?」

恭子「カナちゃんが泣いちゃうよ!? それでいいの!?」

宗介「どういう意味だ。訳が分からん」

信二「いいなぁ、相良くん……あの西住さんと親密になれて……」

みほ「ち、ちがいます! 違います!! そういう意味じゃないんです!!」

沙織「みっぽりーん! なにしてるのー! 早くはじめよー!!」

恭子「武部さんだー! おぉー! かわいー!! 写真、とってもいいですかー?」

沙織「いいよー。かわいくとってねっ」キラッ

624: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/26(土) 16:56:00.99 ID:LETjPMoao
恭子「へー、そうなんだー。武部さんって服とか詳しいんだね」

沙織「乙女の基本だしね。常盤さんも可愛いんだし、色んなファッションに手を出してみるべきだって」

恭子「そうかなぁ」

みほ「もう仲良くなってる……」

優花里「武部殿、いいのですか。試合が迫っていますけど」

沙織「あぁ、そうだった。ごめん、常盤さん。またあとでね」

恭子「待って、それじゃあ、ケータイの番号だけでも交換しよ」

沙織「オッケー。ちょっとまってね」

華「相良さんのご友人なのですね。どうも、いつも相良さんにはお世話になっています」

孝太郎「いえいえ。俺、小野寺っていいます。初めまして」

信二「ホンモノはやっぱり違うなぁ……」

麻子「ミーティングはいいのか」

沙織「いくってばー!」

恭子「あれ? ねえねえ、カナちゃんはどこにいるの? 見当たらないけど」

宗介「千鳥は少し遅れて到着する。大事な仲間と共にな」

632: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 20:36:43.48 ID:czb+gHk3o
みほ「――以上で作戦概要の確認を終わります。あとは試合に備えて各車両のチェックを怠らないようにしてください」

カエサル「了解した」

ナカジマ「整備の不安があるなら私たちに言ってくださいね」

おりょう「信頼と実績の自動車部を疑うことはないぜよ」

ホシノ「そう言わずに、疑ってかかってよ。この試合、負けるわけにはいかないんだから」

あゆみ「いつもいつも、負けられない試合をしてるよね、私たちって」

桂利奈「でもそのほうが燃えるぅ!」

優希「確かにぃ」

あや「けど、たまには楽しく戦車、乗りたいよね」

紗希「勝てば乗れるようになる」

梓「紗希の言う通りだよ。勝てばみんなで楽しく戦車のろっ」

桂利奈「あい!!」

宗介「戦術アドバイザーとして、最後に言いたいことがある」

優花里「はい。なんでしょうか、教官」

麻子「最後、か。相良さんはこの試合のために呼ばれたのだったな……」

633: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 20:58:05.34 ID:czb+gHk3o
宗介「いいか!! この一戦、お前たちに許されるのは勝利だけだ!! それ以外に必要はない!!」

宗介「日々の努力、鍛錬、その全てを出し切らなくてはならない!!」

宗介「いいか!! お前たちは一人一人が大洗を守る、戦士だ!! お前たちは命令され、それに従う兵士ではない!!」

宗介「お前たちはこれから最大の試練と戦う!! 全てを得るか、地獄へ落ちるかの瀬戸際だ!! どうだ!! 楽しいか!!!」

エルヴィン「鼓動だけで胸が破けそうなぐらいだ!!」

典子「これ以上に昂る試合はありません!! 代々木第一体育館よりも熱くさせる会場です!!!」

梓「大洗を守る戦士……。そんなかっこの良い私じゃないけど……!!」

桃「3年間。なんでもしてきたつもりだ。泥だって被った。笑われもした。だが!! すべてに耐えてきたんだ!! それは大洗が、学園艦が好きだからだ!!!」

柚子「私たちの故郷である学園艦を誰かの都合だけで無くなるのは嫌です」

杏「どんなに汚い手だって躊躇なく使ってきた。どんなものでも喜んで利用した。今更、全部に謝ってたってキリがないんだ。だから、手を汚しただけの成果をきっちり見せてやらなきゃね」

沙織「みぽりんがいて、華がいて、麻子がいて、ゆかりんがいる、学園艦が大好きだもんね」 

華「わたくしは大洗女子学園を卒業したいです。そして子々孫々と大洗での出来事を語り継いでいきたいですわ」

麻子「大好きなものが目の前で消えるのは、もうたくさんだ。あんな想いは二度としないと決めている」

優花里「私の両親は学園艦で生活しています。住み慣れた場所を離れたくないはずなんです。だからこそ、私は戦います!! 大好きな戦車で!!!」

宗介「よし!! 戦闘準備!!!」

634: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:05:21.32 ID:czb+gHk3o
宗介「野郎ども!!! 俺たちの特技はなんだ!!!」

妙子「バレーボールです!!!」

あけび「いや、戦車です!!!」

宗介「この試合の目的はなんだ!!!」

みほ「大洗女子学園を!! 学園艦を守ることです!!!」

宗介「俺たちは大洗女子学園を愛しているか!!!」

左衛門佐「愛している!!」

おりょう「愚問ぜよ!!」

宗介「戦車を愛しているか!!! 戦車道を愛しているか!!!」

優希・あや・あゆみ・桂利奈「「ガンホー!! ガンホー!! ガンホー!!!」」

宗介「よし、行くぞ!!!」

「「おぉー!!!!」」

みほ「あの! 点検だけはお願いします!!」

ナカジマ「あと、試合時間まで一時間はありますよー」

杏「フライングだねぇ。けど、こういうのっていいな。私は好きだなぁ」

635: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:14:43.84 ID:czb+gHk3o
宗介「俺にできることは、最初から何もなかったな」

みほ「いえ、相良さんがいなければ……私だけじゃなくて、学園艦がどうなっていたか……」

宗介「結果はどうあれ、猫田にまで被害が及んでしまったことは深く謝罪する」

みほ「やめてください。話を聞けば、私にも原因はあったみたいですし……」

宗介「お前は勿論、学園艦の安全はミスリルが保障する。任せてくれ」

みほ「どこかへ、行くんですか?」

宗介「言いたいことは言えたからな」

みほ「試合、見てはもらえないんですか」

宗介「俺が観戦する理由はない」

みほ「どうしてですか?」

宗介「お前たちが勝利することは分かり切っている」

みほ「相良さん……。試合が終わったら、また会いにきてください」

宗介「了解した」

みほ「気を付けてください」

宗介「問題ない。俺は専門家だ」

636: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:26:29.27 ID:czb+gHk3o
沙織「あれ? みぽりん、相良さんはどうしたの?」

みほ「もう観客席のほうに行っちゃったみたい。あとは任せるって」

沙織「えー? 戦術アドバイザーって試合終了までじゃないのー」

麻子「といっても相良さんよりもアルさんのほうがアドバイザーだったが」

優花里「しかし、教官の気合のこもったトレーニングの成果は身になっていますよ」

華「無駄のように見えて、無駄ではなかった。相良さんはとても素敵な教官でしたわ」

みほ「うん。私もそう思うな」

みどり子「優秀なのはいいけど、学園を爆破されちゃ、敵わないわね」

梓「西住先輩。全車両の最終チェック、完了しました」

みほ「ありがとう。それじゃあ試合までは自由時間にしましょう」

杏「かわしまぁ」

桃「はっ。飲み物ですね。すぐに手配をします」

杏「西住ちゃん」

みほ「はい?」

杏「奇跡、起こそうね」

637: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:35:32.30 ID:czb+gHk3o
観客席

恭子「もうすぐ試合が始まるけど、カナちゃんどこにいるんだろう」

信二「電話は?」

恭子「通じないの」

瑞樹「試合にでるかもわかんないんでしょ?」

蓮「どうなのでしょうか……」

敦信「……」


しほ「間に合ったみたいね」


信二「あ……!? あそこにいるのって……!!」

一成「西住しほか!」

恭子「あの人が西住さんの……。って、誰かが近づいてきたけど……」


レナード「初めまして」

しほ「貴方は?」

638: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:45:47.06 ID:czb+gHk3o
レナード「あまり長居はできないので、用件だけを伝えたい」

しほ「……」

レナード「戦車に使用されている特殊コーティング技術について知っていることを話してもらえないだろうか」

しほ「あれは戦車道を嗜む者を守護する装甲。それ以上、説明することはありません」

レナード「どのようにして精製されるのかぐらいは、知識としてあるはず」

しほ「あったとしてもその知識を第三者に与えることはありません」

レナード「殺されるとしてもかい」

しほ「戦車道に誓い、ない」

レナード「貴女に銃口を向けても口を割ることはなさそうだ。けれど、娘にならどうだろうか」

しほ「……」

レナード「試合をよく見ているといい。それでもし考えが変わったら、この通信機に呼びかけてみてほしい」

しほ「何を考えているの」

レナード「貴女にはそれだけの価値があると、判断しただけだ」

しほ「私の持つ知識が欲しいのなら、今すぐ連れ去ればいい」

レナード「そうしたいのは山々だけど、ここの警備が厳重でね。こうして数分だけ話すのが精一杯なんだ。こうしている間にも僕は身の危険を感じている」

639: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 21:56:30.21 ID:czb+gHk3o
しほ「名を名乗りなさい」

レナード「それでは、マダム。良い答えを期待しているよ」

しほ「待ちなさい」


恭子「誰だったんだろう」

信二「旦那さん、には見えなかったけど……」

敦信「……」

恭子「誰かに、似てるような、似てないような……うーん……」

一成「弟子入り志願者だろ。西住流は世界に轟く流派だからな」

瑞樹「へぇ、すごい人なんだ」

蓮「戦車道に携わる人なら、誰もが耳にする人ですから」

孝太郎「んじゃあ、西住みほって相当な有名人だったのか」

敦信「一年にして名門黒森峰で副隊長を務めていたほどの猛将だ」

恭子「そんな風には見えなかったけどなぁ……」

敦信「慈愛の猛将と言ったほうがいいかもしれないな」

蓮「ええ。そちらの異名が似合いますね」

640: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2015/12/30(水) 22:17:37.21 ID:czb+gHk3o
デ・ダナン 艦内

マデューカス「試合開始まで、3分を切りました」

テッサ「動きはありませんか」

クルーゾー『ウルズ1、異常なし』

マオ『ウルズ2、何もなし』

クルツ『ウルズ6、おかしな奴らが動いてる』

テッサ「映像をこちらへ送ってください」

クルツ『了解だ』

カリーニン『こちら、パース1。会場内にて最重要人物を発見。追跡をしましたが既にロストしています』

テッサ「やはり……」

マデューカス「既に何者かと接触している可能性がありますな」

宗介『こちらウルズ7。遅くなりましたが配置につきました』

テッサ「サガラさん。事は始まっているようです。またしても貴方に負担を強いることになるかもしれません」

宗介『大佐殿。今の自分は大洗を守るために、ここにいます』

テッサ「そうでしたね。――我々はミスリルの名を冠している部隊です。そのミスリルが盾となるのなら、どのような矛にも貫かれてはなりません。絶対に」

648: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/01(金) 11:30:22.33 ID:D9Ca8Cd4o
試合会場

亜美「両チーム代表、前へ」

みほ「……」

杏「どうも、西住ちゃんのおねえさん。またよろしくぅ」

まほ「ああ」

亜美「高校戦車道全国大会優勝校対全日本高校戦車道選抜チームによる特別試合を開始します。審判長、蝶野亜美です。よろしくお願いします」

亜美「両チーム、挨拶!!」

「「よろしくお願いします!」」

亜美「戦車道史にも前例のない試合の審判を務めることができて、光栄よ。そして、それぞれに負けられない理由があることも知っているわ」

杏「いやぁ、まぁ、そっすね」

エリカ「随分と緊張感がないのね。貴方達は今回も学園艦そのものを背負っているのよ」

みほ「逸見さんたちも日本代表という大きなものを背負っています。同じのはずです」

ケイ「気負うことなんてないわ。戦車道はエンジョイしなきゃね」

ダージリン「ケイさんはもう少し、自覚をもったほうがよろしいのではなくて?」

亜美「みんなの健闘を祈るわ。では、試合開始地点に移動開始!」

649: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 11:53:08.61 ID:D9Ca8Cd4o
Ⅳ号戦車内

沙織「始まっちゃうんだね」

華「一度、経験したこととはいえ、この感じはなれませんわ」

麻子「決勝戦とは事情が違う」

優花里「そうです。大洗存続の危機というのは変わりませんが、西住殿や会長、そして猫田殿の想いがあるんです」

沙織「勝たなきゃ。みぽりんのためにも、会長のためにも、猫田さんのためにも」

みほ「みなさん、聞いてください。相手はオールスターチームです。個々の能力が非常に高く、使用車輌だけを見ても戦力は私たちよりもはるかに上です」

みほ「はっきり言って、勝てる可能性は低いです」

みほ「けれど、絶対に勝てないわけではありません! 力を合わせれば勝てます! 私たちが負けるときは、諦めたときだけなんです!!」

典子『私たちは絶対に諦めません!!』

梓『しぶとさだけには自信があります!!』

杏『そういうことなら一度は負けちゃったね、自分に。でも、同じ相手に二度は負けないよ』

エルヴィン『怪しいところは弾丸をぶちこめ。それだけでいい』

みほ「みなさん、私を信じてくれて本当にありがとう」

みほ「――パンツァー・フォー!!!」

650: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 12:01:42.03 ID:D9Ca8Cd4o
演習場 アーバレスト内

アル『試合開始時刻です。軍曹殿』

宗介「そのようだな」

アル『質問があるのですが。何故、レオポンさんチームを選抜しなかったのでしょうか。アヒルさんチームは能力、戦車性能から言えば、下位となります』

宗介「説明したはずだ。磯辺率いるチームはあの中で最もガッツがあるとな」

アル『その不特定で漠然とした能力は戦況を左右する要素なのでしょうか』

宗介「ラムダ・ドライバとて同じだ」

宗介「気合と根性があれば、多少の能力差は覆せる。無論、条件はあるがな』

アル『理解できません』

宗介「あとは自分で考えろ」コツンッ

クルツ『ソースケ! そっちに敵機が向かってる! こっちで狙撃はしてみるが、お前のサポートぐらいしかできねえぞ!』

宗介「了解。そのままこちらへ誘導してくれ。あとは俺がなんとかする」

アル『高脅威目標、接近』

宗介「これより先には誰も通さん。――使うぞ、アル!! ラムダ・ドライバ!!」

アル『ラジャ』

651: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 12:19:47.14 ID:D9Ca8Cd4o
デ・ダナン 艦内

マデューカス「敵の狙いは戦車か、あるいは西住姉妹か……」

テッサ「ずっと疑問だったことがあります」

マデューカス「なんでしょうか」

テッサ「学園艦に警戒システムを導入したのにも関わらず、襲撃されてしまいました」

テッサ「ノーマークだった西住さんが狙われたから仕方ない、では片づけられない失態です」

マデューカス「相手はレポートにあったASも連れていましたからな。こちらの監視を欺く術を持っていたのかもしれません」

テッサ「だとしても、警戒システムはカリーニンさんが用意したものです。簡単に突破できるとは思えません。会場に姿を現したのも挑発以外の何物でもないでしょう」

マデューカス「我々の目なと容易く盗めることを主張しているようですな」

テッサ「アマルガムはこちらを上回る装備を有しているのか……それとも……」

マデューカス「内通者が存在するのか」

テッサ「考えたくはありませんね。もしそのような人物が存在するなら、早急に見つけないとミスリル自体が壊滅する恐れすらある」

マデューカス「調査を始めますか」

テッサ「ええ。この試合を見届けてからになりますけど」

マデューカス「どのような結果になるか。楽しみですな、艦長」

654: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 16:15:18.91 ID:D9Ca8Cd4o
VI号戦車ティーガーI 車内

まほ「始まったか。全車、前進」

ケイ『イエース、マム!』

まほ「蝶野審判長。例の説明をお願いします」

亜美『本当にこのタイミングでよかったの?』

まほ「それが約束でしたので」

亜美『分かったわ』

ダージリン『林水さんからは開始直後に鹵獲ルールの説明をするという約束でしたの』

まほ「なるべく試合前に説明はしたくないと言ってた」

ダージリン『大洗のみなさんは驚くことでしょう。これで動揺の一つでもしてくれたら、嬉しいですわね』

まほ「あのみほがこの程度のルール追加で混乱することはありえない」

カチューシャ『どうしてそこまで信じられるの?』

まほ「私の妹だからだ」

ノンナ『なるほど』

アリサ『シスコン?』

655: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 16:27:07.76 ID:D9Ca8Cd4o
Ⅳ号戦車内

亜美『大洗チーム。たった今、追加されたルールがあるので、説明します』

みほ「追加ルール?」

亜美『敗北したチームは、相手へ戦車5輌を譲渡するように。以上』

沙織「えぇぇぇ!?」

優花里「な、なんですか、いきなりこのルールは!?」

華「横暴すぎますわ」

典子『私たち以外に八九式を扱えるとは思えない!!』

麻子「どう思う?」

みほ「戦車道で鹵獲なんて普通は考えられないけど、蝶野さんが直接言ってきたってことは公式規定のはず……」

麻子「うん。鹵獲ルールが追加されたら、私たちが負けたあとでも大洗の戦車たちの行方は明確にできる。コーティング済みの戦車がどこか遠くに売り飛ばされるよりは、マシだ」

みほ(確かにあのレナードって人が持っていくよりは、お姉ちゃんに渡したほうが遥かに良い。けど、誰がこんな規定を……)

優花里「会長は知っていたのですか?」

杏『初耳だねぇ。どこの誰かは知らないけど、私たちの仲間まで賭けさせるなんてな』

梓『私たちが負けたら戦車を手放さないといけないんですか!?』

656: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 16:41:20.42 ID:D9Ca8Cd4o
観客席

ナカジマ「私たちの戦車を……」

みどり子「そんなのいつ決まっていたのよ!」

敦信「――1か月ほど前だ」

ナカジマ「あなたは……」

敦信「千鳥かなめ君、相良宗介君の知り合いだ。あと角谷杏君ともね」

ナカジマ「あ、初めまして。お世話になってます」

みどり子「そんなルールが追加されたなんて全然知らされてなかったわよ」

敦信「これは戦車道連盟のごく一部とオールスターチームに留めておいたほうがいい情報だった」

敦信「学園艦で起きた暴行事件がまた発生しては困るのでね」

ナカジマ「その理屈はなんとなく分かりますけど、よりにもよって戦車を賞品にしちゃうってどうなんでしょう」

敦信「負ければすべてを失う君たちにとって、戦車の行先ぐらいは安心できるところが良いと思うが」

みどり子「う……」

敦信「それとも君たちの戦友が戦場で人殺しに利用されても良かったかな」

ナカジマ「そういうことですか。生徒会のみなさんが心配していたことって」

657: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 17:04:53.10 ID:D9Ca8Cd4o
Ⅳ号戦車内

カエサル『だが、負けなければいいだけの話だろう』

おりょう『勝つしかない私たちにとっては意味のない揺さぶりぜよ』

左衛門佐『逆に考えれば大洗にM4シャーマンやVI号戦車ティーガーが来るということ』

エルヴィン『わが軍は圧倒的だな!』

優花里「大幅戦力アップです! 二連覇も夢ではありません!!」

柚子『M4シャーマンにIS‐2、チャーチル、VI号戦車ティーガーI、ティーガーⅡ……。これはすごいよ、桃ちゃん!』

桃『そういうのは勝ってからだ!!』

杏『取らぬ狸のなんとやらだねぇ』

あや『重戦車キラーになる予定の私たちには最高の練習相手じゃん!』

あゆみ『絶対勝とう! 効率のいいが練習できる!!』

梓『練習にしか使わないの!?』

華「誰が考案したのでしょうか?」

麻子「少なくとも敵に回したくない人が考えたんだろうな」

みほ(お姉ちゃんかな……。ううん、今は別のことを考える余裕はない。試合に集中しなきゃ)

658: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 17:17:43.09 ID:D9Ca8Cd4o
大洗学園艦

かなめ「試合はもう始まっちゃってるわね」

ももがー「千鳥さんだけでも先に行って」

ぴよたん「ねこにゃーは私たちで」

かなめ「今更それはなし。みんなで遅刻するって決めたじゃない」

ももがー「でも、千鳥さんは学校のお友達も見に来てるんじゃないの」

かなめ「だからって、チームメイトを置いてはいけないわ」

ボン太くん「ふも、ふもふ」

かなめ「どう、動けそう?」

ボン太くん「ふも」

かなめ「良かった。んじゃ、行くわよ。もうかなり遅れてるんだから、急がなきゃね」

ボン太くん「ふもも!」

ぴよたん「千鳥さん、どうしてボン太くんの言ってることがわかるの?」

かなめ「前に色々あって、これをもらってたのよ。アイツにね」

ももがー「そのインターカムで中の人と会話できるなり?」

659: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 19:06:35.87 ID:D9Ca8Cd4o
かなめ「そんなとこね。一応、ボイスチェンジャーをオフにすることもできるみたいなんだけど……」

ボン太くん「ふも? ふもるふも」

かなめ「ああ、ボイスチェンジャーは切っちゃダメよ。全機能がダウンしちゃうから」

ボン太くん「ふもぉ」

かなめ「分かるけど、今はこうする他ないわ。猫田さんの外出許可は出てないんだしね」

ボン太くん「ふも! ふもも!! ふもっふ!!」

かなめ「うん。そうよね」

ももがー「あの、二人で盛り上がらないで」

ぴよたん「寂しい」

ボン太くん「ふも!! ふもっふ! ふももも!!」

かなめ「猫田さんの言う通り!! さー!! 出発よ!!」

ももがー「私たちもその通信機ほしいー!!」

ぴよたん「レアアイテムと交換してー!!」

かなめ「ダメだってば!! これ一つしかないんだから!!」

ボン太くん「ふももー!」

661: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 19:27:09.49 ID:D9Ca8Cd4o
東富士演習場 M9内

サベージ『……』ガキィィン!!!!

マオ「高校生の試合会場まで出張ってきて、ご苦労様!!!」

クルツ『だいじょうぶかぁ』

マオ「こっちはね! あんたは安全地帯から高みの見物ってわけ!?」

クルツ『んな、薄情な男じゃねえことは姐さんがよくしってるだろ』

ドォォォン!!!

マオ「目標とあたしの距離を考慮して狙撃しな!」

クルツ『へいへい』

クルーゾー『こちらウルズ1! ヴェノムを3機確認した!』

宗介『了解。応援へ向かう』

マオ「待ちな、ソースケ! あんたがそこを動いたら、敵がミホたちのいるところまでなだれ込む」

クルツ『問題児は大人しくしとけってよ』

宗介『了解だ。先ほどのヴェノムは既に撃破している。何かあればすぐに呼べ』

マオ「相変わらず頼もしいわね。といってもこれでヴェノムは4機以上投入されてることになる。相手も本気ってわけだ」

662: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 19:35:47.45 ID:D9Ca8Cd4o
Ⅳ号戦車内

沙織「そろそろ決勝戦でいきなり攻撃された地点だよ」

みほ「目標は確認できません。もう少し進みます」

麻子「了解」

みほ「アヒルさんチーム」

典子『はい!』

みほ「作戦通りに行きましょう」

典子『分かりました!!』

みほ「隊列を変更します。カバさん、先行してください」

エルヴィン『先陣を切る!』

梓『西住隊長! チャーチルを確認しました!! 11時の方向です!!』

みほ「……!」


チャーチル歩兵戦車『……』


みほ「ダージリンさんだけ……?」

663: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 19:43:44.22 ID:D9Ca8Cd4o
桃『相手は1輌だ!! 撃つか!?』

みほ「いえ、ここから撃っても意味はありません。もっと近づかないと、装甲を抜くことはできません」

桃『では、近づくぞ!!』

みほ「いや、そんなことしないでください!! 危ないですから!!」

エルヴィン『隊長!! 4時の方角にM4を発見した!!』

みほ「逆方向に1輌……」

優花里「挟撃でしょうか」

華「堂々と姿を見せたのは誘っているようにも思えます」

麻子「ティーガーとISが隠れているのが怪しいな」

みほ「M4シャーマンを狙います。隊列は崩さないようにしてください」

杏『はいよぉ』

桃『いくぞー!!!』

桂利奈『あいぃ!!!』

梓『M4が後退していきます!!』

みほ「ケイさんにしては消極的だけど……」

664: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 19:54:29.04 ID:D9Ca8Cd4o
VI号戦車ティーガーI 車内

ケイ『みほたちがこっちへ来たわ』

まほ「カチューシャ、用意はいいか?」

カチューシャ『カチューシャに命令しないで! ノンナ!!』

ノンナ『はい』

カチューシャ『もう一度、ミホーシャに分からせてやるのよ!! カチューシャたちの大きさと強さをね!!』

まほ「ケイ。振り切れる?」

ケイ『ぜーんぜん、オッケー! ナオミの実力をまだフルに使えないのは、ちょっとバッドだけどね!』

まほ「ダージリン」

ダージリン『既に動いていますわ。ご心配なく』

まほ「了解。エリカ、ついてきて」

エリカ『はっ!』

まほ「大洗の隊列を一気に崩す」

ケイ『ヘイヘーイ! こっちよー!!』

アリサ『森林エリアに入ります。大洗の全車両、予定のコースを進んでいます』

665: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 20:07:26.04 ID:D9Ca8Cd4o
森林エリア

ケイ「こっちだよー!!」

みほ「シャーマンを確認! 砲撃用意!!」

M3『くらえー!!!』ドォォォン!!!

ケイ「おっと。一回戦より腕あげたわね、チーム・ラビット! いいわよ!! だんだんノッてきたわー!! ナオミ!! ファイアー!!!」

M4『イエス、マム』ドォォォン!!!!

みほ「くっ……!」

ケイ「追いかけるだけじゃ、私は倒せないわよ!!」

みほ「ケイさん、楽しそう」

沙織『みぽりん! 後ろからティーガーが来てる!!』

ティーガーI『……』ゴゴゴゴッ

みほ「お姉ちゃん……」

ケイ「バックばっかり気にしててもウィンできないわ! みほ!! オッケー!?」

みほ「カバさん、カメさん! 5S地点まで移動してください! 残りはあんこうについてきてください!!」

アリサ『2輌がコースを外れます。移動ルートから予測される地点は5Sです。チャーチル、IS‐2、お願いします』

666: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 20:17:44.24 ID:D9Ca8Cd4o
カエサル『隊長!! すぐに合流しよう!!』

杏『そう簡単にはいかなさそうだけどな』

柚子『あ、あれって……!!』

IS-2『……』ゴゴゴゴゴッ

おりょう『プラウダの戦車ぜよ』

カチューシャ『さあ!! いくわよ!!! 雪山の野兎みたいに震えなさい!!!』

ノンナ『До свидания』ドォォォン

桃『だめだー!! もうおしまいだー!!!』

左衛門佐『はやいって!!!』

エルヴィン『河嶋先輩!!! その弱音で士気がどれだけ下がると思っている!!!』

おりょう『弱気になったときは海援隊士の名前を心の中で唱えていくぜよ。すると落ち着く』

カエサル『落ち着けるのはおりょうだけだ』

柚子『桃ちゃん、後輩から総ツッコミうけてる』

杏『装填に集中しろ、かわしまぁ!! なんとかしてやるから!!』

桃『わ、わかりました!! お願いします!! 会長!!』ガコンッ

669: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 20:33:29.96 ID:D9Ca8Cd4o
杏『準決勝ではお世話になったからな、ブリザードのノンナには』ドォォォン!!!

ノンナ『当たりはしません』

カチューシャ『当たったところで装甲は貫けないわ!! このまま進むわよ!!』

カエサル『こちら2輌!! 考えれば!! 勝てる!!』

エルヴィン『側面を狙え!!』

杏『発射!!』

ドォォォン!!!

カチューシャ『きゃぁ!?』

ノンナ『来ましたね』

ダージリン『――無事かしら、カチューシャ』

カチューシャ『遅いわよ!! まるで手負いの熊並の鈍足じゃないの!!』

ダージリン『手負いの熊ほど手に負えない、なんていうけれど』

杏『分厚いのが2輌もきちゃったかぁ……』

桃『まけだー!!』

カエサル『先輩は黙っていてくれ!! 西住隊長!! 私たちでIS-2とチャーチルを相手にする!! 許可が欲しい!!』

670: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 20:43:33.46 ID:D9Ca8Cd4o
みほ「わかりました! でも、森は抜けてください!! 合流地点はHS地点です!! 必ず、会いましょう!!」

カエサル『了解!!』

杏『おっけー。逃げながら戦うよ』

梓『ティーガーが並んで追い込んできてます!!』

みほ「アヒルさん!! お願いします!!」

典子『任せてください!!! やるぞ!! みんなー!!!』

妙子・忍・あけび『『そーれそれそれー!!!』』

ケイ『もう1輌がコースを外れていくわね。追うわよ!!』

アリサ『相手の目標地点を割り出します』

まほ『この2輌は私とエリカに任せてくれ』

エリカ『隊長と組めば、負けはしないわ』

あや『ついてくるー!!』

優希『桂利奈ちゃん、がんばってぇ。当たっちゃだめだよ』

桂利奈『あいぃ!!』

みほ「私たちも森を抜けます!! ウサギさん、ついてきてください!!」

671: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 21:00:07.52 ID:D9Ca8Cd4o
エリカ『そんなことを許すとでも思ってるの? ――発射』ドォォォン!!!

梓『きゃぁ!? こっちを狙ってきた!?』

あや『当たり前だけど、一発食らったら終わりだよね!?』

紗希『128mmに狙われたときよりもマシだけど』

あゆみ『ぜんぜんマシじゃないってー!!』

梓『西住隊長、どうしましょう!?』

みほ「お姉ちゃんは……」

優花里『各個撃破を狙っていますね。個々の戦車性能が上であり、尚且つ殲滅戦だからこその作戦です』

みほ「ウサギさんチーム、やれますか」

梓『いけます!!』

あや『これで成功したら重戦車キラーの称号をくださーい』

みほ「麻子さん!! 右折!!」

梓『桂利奈ちゃん!! 左折!!』

エリカ『二手に分かれる……。こっちの狙いは分かっているでしょうに』

まほ『エリカはM3を。私はⅣ号を追う』

672: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 23:39:29.99 ID:D9Ca8Cd4o
沙織『予定の地点に到着したよ』

麻子『止まるか』

みほ「お願いします」

まほ「……」

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「どちらだ」

みほ「……」

まほ「貴女が私たちの作戦に嵌ったのか、それとも私たちが貴女の作戦に踊らされているのか」

みほ「お姉ちゃんたちがこうして1輌ずつ撃破していこうとするのは、予想していた。とても頼りになるアドバイザーが仲間になってくれたから」

まほ「では、分かっていて散ったと」

みほ「うん」

まほ「舐められたものね」

みほ「負けないよ」

まほ「当然だ。私に負けるなど、許されない。行くぞ」

みほ・まほ「「砲撃、用意!!」」

673: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/01(金) 23:59:13.80 ID:D9Ca8Cd4o
アーバレスト内

宗介「ふっ!」

アル『目標、撃破』

クルツ『ソースケ! そっちにヴェノムが2機向かってる。こっちから撃ってもキリがねえぜ』

宗介「ヴェノムの処理は任せてくれ。そちらは頼むぞ」

クルーゾー『敵はASだけか』

マオ『コブラやヴァイパーがいないだけマシね』

クルツ『そうかぁ? ヴェノムを4機以上はやりすぎだろ』

マオ『サベージを10機……。確かに高校生のお祭りにしては豪華すぎるわね』

クルツ『って、ちょっと待て。なんでソースケのとこに向かってんのが2機だけなんだよ。中尉が見たのは3機でソースケがぶっ壊したのが1機だろ』

宗介「どこにもいないのか」

クルツ『ECSを使いやがったな』

マオ『バカ!! なんのために高台にいるんだ!!』

クルツ『中尉の援護してたら一体ぐらいは目を離しちまうだろ』

クルーゾー『なるほど。俺の所為か、軍曹』

674: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 00:05:26.06 ID:cmbX2FRlo
クルツ『そうは言ってねえよ。全部、俺の責任だ』

宗介「無駄口はいらん」

テッサ『ウルズ1、ウルズ6、試合会場エリアに注視。パース1、観客席にいるニシズミシホへの警戒レベルを上げてください』

クルーゾー『了解です! しっかり視ておけ、軍曹!!』

クルツ『わかってるっつーの!!』

カリーニン『了解です』

マオ『ソースケ!!』

宗介「今、目の前にいる」

ヴェノム『……』

アル『高脅威目標、接近』

テッサ『ウルズ7、この窮地、脱することはできますね』

宗介「肯定です。10秒、時間をもらえますか」

テッサ『好き放題してください』

宗介「了解!!」

アル『ラムダ・ドライバの起動を確認』

675: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 00:15:59.96 ID:cmbX2FRlo
宗介「くらえぇ!!!」

ドォォォン!!!

アル『撃破、完了』

宗介「あとは行方不明のヴェノム1機か」

マオ『クルツ! 見つかった!?』

クルツ『いや、ダメだ!!』

クルーゾー『まずいぞ。このままでは……!!』

カリーニン『ウルズ7、ニシズミミホの現在地は7S地点だ』

宗介「そこに敵機が向かっていると?」

カリーニン『母親のところへASで襲撃をかけるとは思えん。向かうとすれば戦車のほうだろう』

宗介「了解です!! 大佐殿、西住のところへ向かいます!!』 

テッサ『許可はしますが、ミホさんたちだけには危害が及ばないようにしてください』

宗介「はっ」

アル『急行しましょう、軍曹殿』

宗介「7S地点……。森林エリアか」

677: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 20:32:55.07 ID:cmbX2FRlo
森林エリア

ドォォォン!!

まほ「つっ……」

みほ「優花里さん! 装填速度を維持してください!!」

優花里『勿論です!!』ガコンッ!!

まほ(装填手が変わったのか。装填速度が以前よりも格段に上がっている……! それに……)

みほ「華さん、移動しながらの砲撃になります。よく狙ってください」

華『はいっ』

まほ(砲撃の精度も目に見えて上昇している。一体、何があったというの)

みほ「撃てー!!」

ドォォォン!!!

まほ「相手に押されているぞ。手を緩めるな!」

みほ「このまま――」

華『何か、おかしな臭いがしませんか?』

沙織『なによ、急に。おかしな臭いって……よくわかんないけど……?』

678: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 20:38:08.14 ID:cmbX2FRlo
華『いえ、塩素のような臭いが……』

麻子『塩素?』

沙織『ゆかりん、する?』

優花里『いえ、わかりません』

みほ「……?」

まほ「この臭いは……」

ヴェノム『……』

みほ「な……!」

まほ「AS? 何故、こんな場所に?」

ヴェノム『……』ジャキン

まほ「見たことのないASだが、自衛隊の新型か」

みほ(このAS……もしかして……)

みほ「お姉ちゃん!! 後退して!!」

まほ「……!?」

ヴェノム『……』ドォン!!!

679: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 20:40:46.24 ID:cmbX2FRlo
観客席

信二「いきなり隊長同士の一騎打ちになるなんて」

蓮「波乱の展開ですわ」

敦信「両者共、狙っていたように見えるがな」

しほ「……」

――試合をよく見ているといい。

しほ(あの男の狙いは、特殊コーティング技術……。しかし、あれを流失させるわけには……)

恭子「な、なにあれ!!」

しほ「……!」

信二「ASみたいだけど……」

一成「どうして戦車道の試合にASが出てくるんだ」

蓮「警備員の方でしょうか」

恭子「で、でも、みほさんとまほさんの戦車を狙ってる気がするんだけど……」

しほ(あの男が……)

恭子「なんだか異様な雰囲気だけど……」

680: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 21:32:28.76 ID:cmbX2FRlo
森林エリア

みほ「お姉ちゃん!!」

まほ「うっ……ん……?」

アーバレスト『無事か』

優花里「またASですか!?」

ヴェノム『……』ガキィィン!!!

アーバレスト『お前たちの狙いは分かっている。だが、そう簡単にはいかんぞ』

みほ(この声、相良さん……)

アーバレスト『はぁぁぁぁ!!!!』

ゴォォォォ!!!

まほ「ぐっ……!」

沙織「なになにー!? なにが起こったのよー!?」

アーバレスト『……』

みほ「相良さん、ですか」

アーバレスト『試合の邪魔をしたな。気にせず、続けてくれ』

681: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 21:38:50.49 ID:cmbX2FRlo
まほ「実地訓練か」

アーバレスト『肯定だ。試合の日に重なってしまった。失礼』

まほ「事前に申請していたはずだが」

アーバレスト『君たちの邪魔はもうしないと約束しよう』

華「(相良さん、なのでしょうか)」

優花里「(間違いないかと)」

麻子「(ボン太くんからして怪しかったが、本当にAS乗りなのか)」

沙織「(AS乗りなんて、かっこいい!!)」

アーバレスト『ではな』

まほ「なんだったんだ……」

みほ「……また、私は守られてる」

沙織「みぽりん?」

みほ「命までかけてもらってる」

まほ「試合を続けよう」

みほ「――勝って、お礼を言わなきゃ!!」

682: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 21:51:31.75 ID:cmbX2FRlo
観客席

恭子「はぁー……。なんだぁ、ただの訓練かぁ」

亜美(おかしいわね。隊の訓練予定日ではなかったはずなのに)

しほ(あのAS、まほを狙っていた。あの男はまほを脅迫の道具に使おうとしていたのか)

カリーニン「……私だ」ピッ

『貴方の差し金かな』

カリーニン「……」

『警戒システムの穴や監視の死角をこちらに流しておいて、今更邪魔をするのかい』

カリーニン「ニシズミミホ及びニシズミシホとの交渉の場は用意した。今の私が協力できるのはそこまでだと説明したはずだが」

『なるほど。確かに契約違反、というわけではないね』

カリーニン「これ以上、話すことはない。通信を終了する」

『では、また』

カリーニン「……」ピッ

カリーニン「こちら、パース1。敵はまだ潜んでいる可能性が高い。十分に警戒しろ」

宗介『ウルズ7、了解』

683: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 22:31:32.39 ID:cmbX2FRlo
某所

レナード「まだ迷いがあるようだね、アンドレイ・セルゲイビッチ・カリーニン」

レナード「彼は、今は良い。だが、いずれ……」

レナード「西住しほからの連絡は期待できそうにない。子どもを捨てるような親だから、姉妹で優秀なほうを人質にされても動じない、か」

レナード「最低の母親に相応しい結末を用意しよう」ピッ

レナード「僕だ。ああ、コダールを全て投入しても構わない。ただし、ミスリルにはラムダ・ドライバ搭載機が存在している」

レナード「目的は西住姉妹の拉致と戦車の鹵獲。障害になるものは、君たちの独断で処理してくれていい」

レナード「いい知らせを期待しているよ」ピッ

レナード「さて、待つとしようか」

アラストル『……』

レナード(どこまで戦車道の試合が続けられるのか、見物だ)

レナード(みほもまほも、貴重な人材だ。手に入れられるなら、それに越したことはない)

レナード(二人なら僕の気持ちも理解してくれるはずだ)

レナード(僕たちは母親に恵まれなかった者同士なのだから……)

レナード「必ず救ってみせるよ。自分の子どもよりも機密情報を守る最低の親からね」

687: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 22:42:55.87 ID:cmbX2FRlo
別地点

桃『やられるぅ!! やられるよぉぉ!! 柚子ちゃぁぁん!』

杏『小山ぁ! 何とか回り込んで!! 河嶋ぁ!! あとでナデナデしてあげるから、なきやめ!』

柚子『はいぃ!』

カチューシャ『見え透いた動きでどうにかなるとでも思ってるわけ!!』

ダージリン『脇が見えていなくてよ、カチューシャ』

カエサル『――今が好機だ!! 矢を放てー!!!』

左衛門佐『発射!!』ドォォォン!!!

ノンナ『――惜しかったですね』

おりょう『当てられなかったぜよ!』

カチューシャ『ダージリンに言われるまでもないわ』

ダージリン『それは失礼』

エルヴィン『後退だ!!』

ノンナ『Москва слезам не верит』カチッ

ドォォォォン!!!!

689: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 22:57:11.43 ID:cmbX2FRlo
亜美『大洗チーム、Ⅲ号突撃砲、走行不能!!』

カエサル『バカ、な……』

左衛門佐『ここまでかぁ……』

おりょう『こんな……ところで……』

エルヴィン『すまない!! みんな!! あとは頼む!!!』

カチューシャ『ふふん。カチューシャとノンナにダージリンが加われば、黒森峰だって一捻りなの』

ダージリン『申し訳ありませんわね、大洗のみなさん。廃校は免れませんわ』

杏『私たちだけで、この2輌を相手にしなきゃいけないのか……』

柚子『に、逃げましょう、会長!!』

杏『だな。ここはてっしゅー』

カチューシャ『逃げる気!?』

ダージリン『逃がしませんわ』

桃『何故だ……!! 何故なんだ……!!』カチャッ

柚子『桃ちゃん!? 顔を出したら危ないよ!!』

杏『河嶋、装填にしゅーちゅーしろー』

690: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 23:16:32.25 ID:cmbX2FRlo
桃「どうして勝たせてくれないんだ!!! 私たちには後がないんだ!!!」

オレンジペコ『何かを訴えているようですね』

ダージリン『そうですわね』ズズッ

桃「お前たちの学校は来年も再来年も残るじゃないか!! 私たちの学校は!! なくなってしまうんだ!!!」

ノンナ『……』

桃「手加減してくれてもいいはずだ!!!」

カチューシャ「――ふざけるんじゃないわよ!!!」

桃「ひっ」ビクッ

カチューシャ「手加減をしろですって!? 寝言ならシベリアの僻地で雪に埋もれながら言いなさい!!!」

カチューシャ「あんたたちの学園艦が轟沈するのは悲しいことだわ。きちんと悲しんであげてもいいわよ」

カチューシャ「でもね!! こっちだって大切な戦車を賭けてるの!!」

カチューシャ「貴方達と真剣勝負がしたいから、ここにいるのよ!!! なのに……なのに……!!!」

カチューシャ「ノンナぁ!!」

ノンナ『プラウダの誇り、いえ、戦車乗りの誇りに誓い、カチューシャに勝利を捧げます』

ダージリン『久しぶりに見ましたわね。カチューシャが本当に怒っているところを』

691: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 23:23:01.62 ID:cmbX2FRlo
ヘッツァー 車内

杏「今のは河嶋が悪い。カチューシャたちに失礼だ」

桃「だって……だって……」

杏「弱気になるな。まだ負けてないんだ」

桃「でも、会長!!」

杏「言ったろ。奇跡は起こすって」ナデナデ

桃「うぅ……」

柚子「ピンチには違いはないんですけど……」

杏「予定ではこっちが先にやられるはずだったからねぇ。作戦をかえよっかぁ」

柚子「は、はい」

ドォォォン!!!

桃「ひぃぃ!!」

杏「小山、気合いれろよぉ。ウサギさんチームと合流できれば、まだ見込みはあるんだからな」

柚子「や、やってみます!」

杏「澤ちゃん、今、どこにいるのー?」

692: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 23:34:33.02 ID:cmbX2FRlo
別地点

ケイ『ヘーイ!! いつまでエスケープし続けるつもりー!?』

典子『気合で逃げろー!!!』

アリサ『このルートだと、HS地点に向かっていますね』

ケイ『ふぅん。決勝戦のファイナルバトルフィールドで落ち合おうとしてるのね。中々、シャレたラストじゃない』

アリサ『隊長。まさか、そこまでついて行くつもりではありませんよね』

ケイ『オフコース。ここで仕留めるわ』

ナオミ『イエス、マム』

あけび『なんかスパイクが来そうです!! キャプテン!!』

典子『そうはいかない!!』カチャッ

ケイ『ホワット?』

典子「隊長直伝!! もくもく作戦改!!」ポイッ

アリサ『また煙幕? 芸がないわね。どうせ、それで仲間のところまで逃げる――』

八九式中戦車『そーれそれそれ!!!』ゴゴゴゴッ!!!!

ケイ『突っ込んできたじゃない!!』

693: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/02(土) 23:43:25.43 ID:cmbX2FRlo
ナオミ『チッ』カチッ

ドォォォン!!!

アリサ『やったの!?』

典子『レシーブ、トス!!』ガコンッ

あけび『アターック!!!』ドォォォン!!!!

アリサ『きゃぁ!?』

妙子『全然、効いてません!!』

あけび『もっと火力があれば!!』

忍『全力で逃げましょう!!』

典子『リベロ並のフットワークで!!』

ケイ『いい度胸ね』

ナオミ『あんな速度を出しながら、的確に当ててくるとは……』

ケイ『もしあれが八九式じゃなくてファイアフライなら、負けてたわね』

典子『いくぞー!! 八九式の底力を見せてやるんだー!!!』

アリサ『逃げ回るだけの囮役のくせに!!』

694: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/03(日) 00:00:23.88 ID:HMQWjCfGo
デ・ダナン 艦内

クルーゾー『ヴェノムを6機確認しました!!』

テッサ「ここまでの兵力を投入してくるなんて……」

マデューカス「余程、コーティング技術が欲しいようですな」

テッサ(なにより、ミスリルの警戒網を容易にすり抜けてくるなんて……疑いようがないわね……)

マデューカス「艦長、指示を」

テッサ「現時点で対抗する術は……」

宗介『自分にお任せを、大佐殿』

テッサ「サガラさん……」

宗介『自分ならヴェノム6機が相手でも問題ありません』

テッサ「いいえ。貴方一人では無理です」

宗介『しかし、ラムダ・ドライバに対抗できるのはこの機体のみです』

テッサ「これは命令です。相良軍曹はポイント03にて待機」

宗介『了解しました』

テッサ「ありがとうございます。それでは、速やかに移動してください。ウルズ1、ウルズ2、ウルズ6、これより次の作戦を伝えます」

696: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 13:06:09.96 ID:lPu2EjPmo
試合会場 森林エリア

エリカ『――発射!!』

ドォォォン!!!

あゆみ『こっちにくるなー!!』ドォォン!!!

梓『優希ちゃん、カメさんチームとはあとどれくらいで合流できそう?』

優希『もうちょっとだと思うんだけどぉ』

桂利奈『もうちょっとってどれくらいー?』

優希『3分ぐらいかなぁ』

あや『あと3分もこの状況が続くの!?』

梓『カメさんチーム、状況はどうですか?』

杏『旗色悪いかなぁ。2輌に追われてるし』

梓『このまま合流すらできない可能性もありますね』

杏『あるかもねぇ。どうする、澤ちゃん』

梓『どうするって……』

杏『今は次期隊長の判断に任せるよ。相良くんも次代を率いるリーダーの力を信じてたしな』

697: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 13:17:34.19 ID:lPu2EjPmo
M3中戦車リー 車内

梓「けど、私の勝手な判断で……失敗したら……」

あゆみ「そこ、心配するところじゃないって」

あや「そうそう。西住先輩も相良さんも、もしものときは梓に任せるって言ってくれたじゃん」

優希「それにぃ、失敗はしないと思うなぁ」

梓「どうして?」

優希「だってぇ、西住先輩たちが任せるって言ってくれたんだよ。失敗なんてするわけないよ」

桂利奈「ガンガンいっちゃおう!!」

紗希「私たちなら、できる」

あゆみ「私たちの夢は重戦車キラー!! でも、梓以外の目標は澤隊長と一緒の戦車に乗ることなんだから!!」

あや「ここでその目標も夢もなくしたくない!!」

梓「みんな……」

桂利奈「どうするの!?」

梓「――このままHS地点を目指します!! カメさんチームとの合流はそこに変更!!」

杏『はいよぉ。んじゃ、こっちもルート変更だね。小山ぁ、作戦変更。ぴょんぴょん作戦だ』

698: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 13:38:26.70 ID:lPu2EjPmo
Ⅳ号戦車内

梓『西住隊長、すみません! 勝手に作戦を変更しました!!』

みほ「構いません。では、お願いします」

梓『はい!!』

麻子「ウサギさんチーム主導の作戦に切り替えたか」

みほ「この状況はアルさんが想定してくれたから、まだ大丈夫」

優花里「私たちの任務はここでティーガーを撃破し、皆と合流することになったのですね」

華「一騎打ちの状態を維持するのも限界です。ここで勝負を決めましょう」

優花里「向こうもいつ合流するかわかりませんからね」

麻子「では、短期決戦だな」

沙織「また決勝戦のときみたいにする?」

みほ「ううん。お姉ちゃんを倒せても、相手はまだ残っているはずだから」

麻子「捨て身は無理か」

華「もとより、まだ虚実を尽くしてもいませんわ」

みほ「そろそろ、時間です。――発射、用意!!」

699: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 13:49:31.74 ID:lPu2EjPmo
森林エリア

まほ「来るか、みほ」

みほ「発射!!」ドォォン!!!

まほ「何度も同じ手は通用しない」

華『動きが読まれていますね』

優花里『即時装填です!!』

アリサ『こちら、サンダースチーム。目標車輌をロストしました』

まほ「逃げられたのか」

ケイ『ソーリー、まほ。引き続き探してみるわ』

まほ「……」

優花里『装填完了!!!』

みほ「うてー!!」

ドォォォォン!!!

まほ「後退する。サンダースチーム、敵車輌は追わなくていい。9H地点で合流しよう」

ケイ『オッケー!! 理由はあとできくわね!! ゴー!! サンダース!!!』

700: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 14:09:54.07 ID:lPu2EjPmo
みほ「後退する……?」

麻子『何故だ』

みほ「アヒルさんチーム。そこからすぐに移動してください」

典子『了解です!!』

沙織『もしかして、作戦がバレちゃったの?』

みほ「かもしれない」

麻子『厄介だな』

優花里『流石、西住殿のお姉さんですね!』

麻子『褒めてどうする』

沙織『このままウサギさんチームと合流しちゃう? あぁ、でも、そうなるとティーガーとシャーマンまでHS地点に来ちゃうのかなぁ』

みほ「……ティーガーを澤さんのところへ行かせちゃいけない。倒しましょう」

華『了解ですわ』

麻子『やるしかないか』

優花里『ヒャッハー!! もえてきたぜぇ!!!』

沙織『アヒルさん、聞こえますか?』

701: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 14:28:29.52 ID:lPu2EjPmo
ケイ『仕留める自信がなくなっちゃったわけ?』

まほ「大洗は各車両が散開したように見せかけて、2輌以上で行動している」

ケイ『ランデブーポイントに集まろうとしてるんじゃなくて?』

まほ「ああ。大洗の戦車性能は我々よりも劣っている。一騎打ちなど、まず行わない」

ケイ『そうねー。んじゃ、今みほたちは――』

ドォォォン!!!

まほ「……っ」

ケイ『どうしたの、まほ』

まほ「いや、なんでもない」

Ⅳ号戦車『……』

まほ「相手が単独で追ってきただけだ」

ケイ『そっちに行くわ』

まほ「いや、そのまま向かって欲しい。万が一、私がやられたとしても主導権はこちらに残る」

ケイ『いいのね?』

まほ「すぐに追いつく」

703: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 14:39:44.52 ID:lPu2EjPmo
みほ「それ以上、先にはいかせません」

まほ「私をここで止めたとしても残りの4輌が貴方たちの味方を殲滅することになる」

みほ「……」

まほ「仲間を囮にして、相手戦力を削る作戦、というわけか」

みほ「違います。みんなが、それぞれ戦っているんです。誰も囮なんていません」

まほ「甘い考えだ」

みほ「これが、私の戦車道です」

まほ「そんなお前を、羨ましく思う」

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「だが、勝たなくては証明できない」

みほ「分かってる。もう、私は西住流に頼らなくても大丈夫だって、ここで証明する」

みほ「お姉ちゃんにもお母さんにも!!」

まほ(出来の悪い妹と周囲に言われていたのが我慢できなくて、私はみほに厳しく接してきた。それはお母様も同じ)

まほ(けれど、それは世間の評価に過ぎなかった。こうして私の妹は立派に多くの仲間を率いている)

みほ「――うてー!!!」

704: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 14:48:58.08 ID:lPu2EjPmo
アーバレスト内

宗介「戦況は?」

アル『不利です。現在、カメさんチームが窮地に陥っています。早急に支援することを推奨します』

宗介「そちらではない。俺たちのほうだ」

アル『作戦は予定通りに進んでいます』

宗介「そうか。大佐殿の言う通り、ここで待っているだけで良さそうだな」

アル『軍曹殿は気にならないのですか』

宗介「何がだ」

アル『大洗の戦況です』

宗介「今は任務が優先だ。この防衛ラインを突破されれば、学園艦だけの被害には留まらない」

アル『私は気になります』

宗介「お前のほうこそ敵の動きに集中しろ」

アル『カバさんチームが撃破されたことで作戦が変更になっているようです』

宗介「そうか」

アル『予定コースを大幅に逸脱。戦略アドバイザーとしての指示は不要ですか』

706: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 15:50:32.26 ID:lPu2EjPmo
宗介「不要だ」

アル『説明をお願いします』

宗介「何度も言っている。戦術に関して、西住は優秀だ。一流と言ってもいい。そんな者に対して意見できるほど、俺は戦術指導者として優れているわけではない」

アル『私は今、大洗の勝利を揺るがないものにしたいと願っています。その説明では不十分です』

宗介「不安になっているのか」

アル『不安。これが不安なのでしょうか』

宗介「今、会場にいる者たちは同じ気持ちだろう。大洗が勝てるわけがない。絶望的だ、と」

アル『軍曹殿もそう考えているのですか』

宗介「ネガティブ。俺だけでなく、戦う者は逆のことを考えている」

アル『勝てる、と』

宗介「絶望すらも打ち崩す、ガッツが大洗のメンバーにはある。地獄を一度見ているのは伊達ではない」

クルーゾー『これより、作戦を開始する。各位、用意はいいか』

クルツ『おうよ』

マオ『いつでもいいわよ』

宗介「ウルズ7。問題ない」

707: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 16:01:53.27 ID:lPu2EjPmo
別エリア

ドォォォォン!!!

杏『うっひょー。今のは危なかったな』

柚子『あわわわ……』

桃『援護はまだかー!!! 支援はどこだー!!!』

ダージリン『大洗とはいつも追いかけっこをしているような気がしますわね』

カチューシャ『ノンナ! よく狙って!! ここで確実にもう1輌減らしておくわよ!!』

ノンナ『侮って負けるのはもうこりごりですからね』

カチューシャ『そういうことじゃないの!! 戦略としてここで減らしておいたほうが楽でしょ!!』

ダージリン『あの敗戦が良い薬になったようですわね』

オレンジペコ『ヘッツァー、進路変更しますわ』

アッサム『サンダースチームの言う通り、行先はHS地点のようです』

ダージリン『誘われているようですわね。様子をみる?』

カチューシャ『どっちしろあそこで籠城されるほうがメンドーだわ。このまま追撃よ』

ノンナ『はい』

708: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 16:20:08.53 ID:lPu2EjPmo
HS地点

梓『こちら、ウサギさんチーム! HS地点に到着しました!!』

杏『りょーかぁい。もうちょびっと待ってて』

梓『分かりました!!』

あゆみ『もうちょびっとって言われても……!!』

あや『きたー!!』

ティーガーⅡ『……』ゴゴゴゴゴッ

エリカ『ここが貴方達の墓場になるのよ』

梓『逃げよう!』

あゆみ『異議なし!!』

優希『桂利奈ちゃん、そこ右折ね』

桂利奈『あい!!』

エリカ『撃て!!』

ドォォォォン!!!

あや『ティーガー、マジ怖いんですけど!!』

709: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 16:41:52.02 ID:lPu2EjPmo
森林エリア

みほ「右転回!! 全速後退!!」

麻子『ほい』

まほ「遅い。――撃て」ドォォォン

沙織『きゃぁ!?』

優花里『シュルツェンが吹き飛んだだけです!!』

まほ「榴弾、用意」

みほ(装填速度と停止射撃の精度はこちらが上。けど、視界の悪いこんな場所での行進間射撃は向こうが上……)

まほ「撃て」

ドォォォォン!!!

麻子『くっ。大木が倒れてきた』

沙織『進めないの!?』

ティーガーⅠ『……』ガコンッ

みほ「……!」

まほ「その一瞬の停止が命取りになる。残念だがここまでだ、みほ」

710: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 16:50:47.87 ID:lPu2EjPmo
ゴゴゴゴ……!!!

まほ「なに?」

八九式中戦車『……』ゴゴゴゴッ

典子『全速力でつっこめー!!!!』

妙子・あけび・忍『『全力アターック!!!!!』

まほ「何を……!!」

ガギィィィン!!!

まほ(戦車で体当たり……!?)

みほ「左から回り込んで!!」

麻子『了解』

典子『どーだ!! これが私たちの気合のスパイクだ!!』

まほ「距離を取り、撃て」

典子『あっ』

ドォォォォォン!!!!

亜美『大洗チーム、八九式中戦車、走行不能!!』

711: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 16:59:43.41 ID:lPu2EjPmo
まほ「あと3輌か」

典子「私たちが負けても!!!」

まほ「……」

妙子「大洗が勝ちます!!!」

あけび「絶対に!!! 勝っちゃうんです!!! だって!!! 最高の隊長がいるから!!!」

忍「西住先輩!!! お願いします!!!」

みほ「――これだけの至近距離なら!!!」

まほ「ふっ……」

みほ「撃て!!!」

華『はい!!』

ドォォォォン!!!!

亜美『――オールスターチーム、VI号戦車ティーガーI、走行不能!!』

みほ「お姉ちゃん……」

まほ「行きなさい」

みほ「はい」

712: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 17:06:53.20 ID:lPu2EjPmo
まほ「怪我はないか?」

典子「はい。なんとか」

まほ「今の作戦はみほが考えたものなの?」

典子「いえ。私たちは相手戦車の気を逸らすように言われていました」

まほ「では、今の突撃は……」

典子「私たちの判断です。あのまま八九式で撃っても意味がなかったので」

まほ「みほの作戦が狂わされたことになるな」

典子「それでもここで西住隊長がやられてしまうよりはマシです」

妙子「西住先輩がいなければ、この試合、勝てませんから」

まほ「そうか」

ダージリン『ご無事ですの』

エリカ『隊長!! お怪我は!?』

まほ「心配はいらない。すまないが、あとは頼む。指揮はダージリンが執ってほしい」

ダージリン『了解ですわ』

まほ(みほ。あなたの戦車道を最後まで見せてほしい)

713: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 17:17:43.29 ID:lPu2EjPmo
Ⅳ号戦車内

沙織「怪我はないですか!?」

あけび『大丈夫です!!』

忍『すみません!! 勝手なことをして!!』

妙子『お尻ペンペンでもなんでもしてください!!』

典子『すみません。けど、私たちが勝つにはこうするしかなかったと思っています』

みほ「磯辺さんたちの勇気、絶対に無駄にしません」

妙子『キャプテン!! ここはあれを!!』

典子『ああ!! やるぞー!! 隊長!! ファイトー!!!』

妙子・あけび・忍『『いっぱーつ!!!』』

みほ「……」

優花里「西住殿……」

みほ「不利な状況は変わらない。急ごう」

麻子「ああ」

沙織「うん。アヒルさんチームに、大きなものもらっちゃったしね」

714: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 19:24:15.94 ID:lPu2EjPmo
観客席

ワァァァァ!!!

恭子「これ、大洗が勝っちゃうんじゃない!?」

信二「あの西住まほさんを最初に倒すなんて……! やっぱり軍神って呼ばれるだけのことはあるよ!!」

一成「だが、隊長を倒す間に2輌も失っているぞ。大丈夫なのか」

恭子「それでも勢いに乗れるはず!! がんばれー!! おおあらいー!! カナちゃんはまだかなぁ? いいところなのにぃ」

孝太郎「五十鈴さーん!! おうえんしてますよー!!」

蓮「どう思いますか?」

敦信「Ⅲ号突撃砲を序盤で失ったのは痛手かもしれないな」

ナカジマ「ウサギさんチームとカメさんチームにかかってますね」

みどり子「しっかりやりなさいよね……」

ホシノ「後ろからシャーマンが来てる」

希美「同じ場所に4輌が揃ったら……!!」

ツチヤ「万事休す、かもね」

しほ(こうなることを見越して、みほの足止めをしたのね、まほ。まさか、あなたが自分を犠牲にするなんて……)

715: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 19:31:40.07 ID:lPu2EjPmo
ピピッ

カリーニン「――完成だ」

ペパロニ「お。ボルシチがでたっすか」

カリーニン「肯定だ。今回もあの味が再現できている」

ペパロニ「味見、いいっすか」

カリーニン「ああ。構わない。これは戦車道選手のために用意したものだ」

ペパロニ「わーい!! ありがとうございます!! いっただきまーす!!」

カルパッチョ「大洗は危険ですね」

アンチョビ「逃げ回ればまだ勝機はあるが、隊長車の到着までもつかどうかだな」

テッサ『カリーニンさん。そちらの様子はどうでしょうか』

カリーニン「今のところ、問題はありません」

ペパロニ「ご……うぇ……ぉぉぉ……」

テッサ『そうですか。ヴェノム6機がそちらへ移動を始めています。万が一のときは……』

カリーニン「はっ。市民の避難を最優先に行動します」

テッサ『それでは引き続き、会場内の警備をお願いします』

720: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 19:50:10.64 ID:lPu2EjPmo
HS地点

杏『とうちゃくぅー!!』

柚子『みなさーん!! 早く合流しましょー!!』

桃『こちらへこい!! いや!! 私たちがそちらへ行く!! そこを動くな!!!』

梓『それ無理です!!!』

優希『動き回ってないとやられちゃいまーす』

杏『こっちも動いてないと死んじゃうんだよね。マグロみたいに』

ダージリン『大洗にとっては思い入れのある場所ですわね』

カチューシャ『それにこっちの隊長車も倒しちゃったんだから、本望でしょ』

ノンナ『大洗にとってはиз огня да в полымяですね』

杏『西住ちゃんと磯辺ちゃんが目に物見せてくれたんだ。今度はこっちが踏ん張る番だよ!!』

柚子『は、はい!! ここで、ここまでして!! 足を引っ張りたくないです!!』

桃『会長!! 装填します!! 撃って撃って撃ちまくってください!!!』ガコンッ

ダージリン『恐怖と勇気がどんなに近くに共存しているかは、敵に向かって突進する者が一番よく知っているであろう』

ノンナ『モルゲンシュルテンですね。確かにいい言葉です』

721: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:03:35.45 ID:lPu2EjPmo
エリカ『ちょろちょろと動き回って……!!』

梓『会長たちと早く合流しなきゃ!!』

優希『現在位置はどこですかぁ?』

杏『0017!』

優希『桂利奈ちゃん、そのまま真っ直ぐね』

桂利奈『あいぃ!!!』

エリカ『隊長の仇よ!!!』ドォォン!!!

あゆみ『怒ってる、怒ってる!』

あや『このまま逃げてればなんとかなるね!』

梓『うん。西住隊長が到着してくれたら――』

ドォォォォン!!!!

梓『な……!?』

優希『え、えぇ……?』

ケイ『――言ったじゃない。バックばっかり気にしてたら、ウィンはできないってね』

亜美『大洗チーム、M3中戦車リー、走行不能!!』

722: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:10:55.21 ID:lPu2EjPmo
Ⅳ号戦車内

梓『すみません!! ウサギチーム、行動不能です!!』

沙織「みんな、無事!?」

梓『すみません!! 勝手なことをして、勝手にやられて……! 私……! わ、たし……!!』

みほ「澤さん。ありがとう。貴方が敵を引きつけてくれたおかげで、敵隊長車を撃破することができました」

梓『にし、ずみせんぱい……』

みほ「決勝戦でも澤さんたちがヤークトを倒してくれなければ、きっと負けていました。今回もまた助けられました。だから、ありがとう」

梓『ごめんなさい……ごめ、んなさい……』

桂利奈『先輩!! がんばってください!!』

あゆみ『大洗を守ってください!!』

あや『来年もみんなで戦車に乗りたいです!!』

優希『大洗を卒業したい!』

紗希『お願いします』

みほ「大丈夫。私が守るから。みんなも、大洗も」

梓『せんぱい!! おねがいします!!』

723: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:17:57.43 ID:lPu2EjPmo
HS地点

杏『ウサギさんまでやられちゃったかぁ』

柚子『ここにいるのって、私たちだけなんですか?』

杏『支援はなし、退路もなし。さぁて、どうする』

桃『もうむりだよぉ! ゆずちゃぁぁん!!!』

ダージリン『獅子は兎を狩るのにも全力を尽くす』

カチューシャ『面白かったわ。安心しなさい。貴方達の戦車は私たちが大切に使ってあげるから』

ノンナ『生徒も受け入れ態勢が整っていますものね』

杏『小山!! 後退!!』

柚子『はい!!』

ダージリン『動くことは抵抗の意思を見せるということ』

杏『これでどうだっ』ドォォォン!!!

ノンナ『同時に不屈の精神を持っている証明にもなります』

杏『河嶋ぁ!! 間髪入れずに装填!!! 泣いてる暇なんてうちらにはない!!』

桃『は、はいぃぃ!!』ガコンッ

724: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:31:57.43 ID:lPu2EjPmo
ケイ『ヘーイ!! ダージリン! カチューシャ!!』

エリカ『あと2輌。勝ったも同然ね』

ダージリン「4輌が揃ってしまいましたわね」

カチューシャ「ヘッツァーを倒せば、あとはミホーシャだけになる。いくらミホーシャでも、この4輌には勝てないでしょ」

杏『名門の隊長、揃い踏みか。こうしてみるとおっかないねぇ』

柚子『何を呑気な!』

桃『奇跡なんておきないんだぁ!! うわぁぁぁん!!!』

杏『ああ。奇跡なんて起きるわけないんだ』

柚子『会長……』

杏『言ったろ、河嶋。奇跡は、起こすって』

桃『会長……しかし……この状況……』

杏『河嶋、装填だけに集中。小山、チャーチルとシャーマンの間につっこめ』

柚子『はいっ!』

杏『河嶋! 小山!! 最後まで私についてこーい!!!』

柚子・桃『『了解!!』』

725: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:38:25.07 ID:lPu2EjPmo
観客席

一成「終わりだな。隊長車を落としたぐらいでは相手を揺さぶれなかったか」

敦信「オールスターチームはそれぞれが鍛えられた戦車乗りであり、隊長を務めている。指揮系統が乱れることもない」

ナカジマ「……」

みどり子「ここまで、なの」

カエサル「せめて、我々が戦場にいられたら!!」

妙子「大洗が……なくなる……」

恭子「どうにもならないのかな」

信二「難しいと思う。西住さんがどんなにすごくても、あの四人には……」

敦信(角谷君……。君の力でも、この巨大な壁は越えられないのか)

「ふもー!!!! ふももー!!!! ふもっふぅー!!!!」

「応援席が諦めてどうするの!! 西住さんや会長は戦っているのに!!!」

おりょう「え……?」

ボン太くん「ふも!! ふもふ!! ふもるるるー!!!!」

かなめ「もっと応援して!! 声が届かなくても、姿が見えなくても、応援しよう!!! って、ボン太くんは言ってるわよ」

726: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 21:54:35.63 ID:lPu2EjPmo
恭子「カナちゃん!!」

かなめ「ごめんね、恭子。遅刻しちゃったわ」

一成「ち、千鳥じゃないか! き、奇遇だな!」

かなめ「椿くんも応援にきてくれたの? ありがとう。とっても嬉しいわ。けど、ごめんね。私、試合に出られなくて」

一成「な、なにを言っている。共に応援することに意味があるんじゃないか」

かなめ「そうよね」

左衛門佐「応援、か」

エルヴィン「声援で、この状況が一変するだろうか」

かなめ「変わらないかもしれない。でも、後悔はしないんじゃない」

カエサル「千鳥さんの言う通りだ。ここで絶望するよりはマシだ!!! 声を嗄らせ!!! 喉を潰せー!!!」

おりょう「大洗の夜明けぜよ!!!」

ナカジマ「自動車部も爆音を轟かせるよー!!!」

みどり子「風紀委員も負けていられないわ!!! この大洗の風紀は私たちが守ってきたのよ!! 理不尽な理由でその風紀を乱されてたまるもんですか!!!」

ぴよたん「がんばれー!! 西住たいちょー!!!」

ももがー「がんばるなりー!!!」

727: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:00:35.98 ID:lPu2EjPmo
アーバレスト内

『負けないでください!!』

『ボクたちの帰り場所は大洗しかないの!!』

『先輩!! 私たちも大好きです!! 大洗が!! 戦車道が!!!』

『お願いです!! 守ってください!!』

『隊長!! 我々の想いをその砲弾に込めてくれ!!!』

宗介「ボン太くんの通信装置がオンになったままのようだな」

アル『軍曹殿』

宗介「どうした、アル」

アル『守りましょう』

宗介「……」

アル『大洗のみなさんを、必ず』

宗介「今更、なにを言っている。それが俺たちに課せられた任務だ」

アル『高脅威目標、接近』

宗介「ラムダ・ドライバ、起動」

728: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:07:08.37 ID:lPu2EjPmo
別エリア

クルツ『このやろう!!!』バァァン!!!

クルーゾー『2機、突破された!!』

マオ『これ以上は抑えきれない!! クルツ!! そっちはどうだい!?』

クルツ『無茶言うなよな!! にゃろぉ!!』バァン!!!

ヴェノム『……』ギィィィン!!!!

クルーゾー『そちらへは行かせるな!!!』

マオ『なんとしても止めな!! クルツ!!』

クルツ『ちくしょう!! それ以上、進むんじゃねえ!!!』

ヴェノム『……』ギィィィン!!!

クルーゾー『ヴェノム全機、目標地点へと向かっていきます!!』

テッサ『結構』

ヴェノム『……』ゴォッ

クルツ『そっちに行くんじゃねえよ!! そっちは……!! そっちはなぁ……!!』

クルツ『地獄行きだぁ、バカ野郎』

729: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:11:12.49 ID:lPu2EjPmo
テッサ『6機がそちらへ向かいました。あとはよろしくお願いします』

クルツ『必死に誘導したんだぜぇ』

宗介『分かっている』

カリーニン『やれるな、軍曹』

宗介『肯定です』

ヴェノム『……』ゴォォォ

アーバレスト『ここにいる戦車乗りたちは死力を尽くし、戦っている』

アーバレスト『故郷を救うために3年間、戦い続けた者がいる』

アーバレスト『戦友の帰る場所を失くさぬように失いかけた力を取り戻した者がいる』

アーバレスト『戦友のもとへ戻るために今も尚、足を引き摺りながらも歩む者がいる』

アーバレスト『その者たちがこの戦場にいる。俺も、お前も、ただの邪魔者でしかない』

ヴェノム『……!』ジャキン

アーバレスト『進むか。警告はした。これより、強制排除を行う』

アル『ラムダ・ドライバは問題なく起動しています。やれます、軍曹』

アーバレスト『――消え失せろぉぉぉぉ!!!』

730: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:20:55.11 ID:lPu2EjPmo
HS地点

ケイ『ファイアー!!!』

杏『小山!!』

柚子『これならよけられます!!』

杏『狙うは履帯だ!!』ドォォン!!!

ダージリン『流石ですわね、角谷さん』

カチューシャ『あのときはよくもやってくれたわね!!』

エリカ『撃てー!!』

桃『うわぁぁぁ!! だめだぁぁ!!』ガコンッ

杏『戦車にだって土台がなきゃ乗れなかった!!!』ドォォン!!!

杏『力がないから操縦もままならなかった!!!』ドォォン!!!

杏『河嶋と小山にぜんぶやってもらってた!!』

柚子『会長……』

杏『出来損ないで役立たずの私がみんなのためにできることなんてこれっぽっちもなかった!!』ドォォン!!!!

桃『つ、次、いけます!!』ガコンッ

731: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:30:39.08 ID:lPu2EjPmo
ダージリン『これは……!』

オレンジペコ『決勝戦より、装填の速度がかなり上がっていますわね』

ノンナ『ヘッツァーはそれなりに時間がかかるはずなのに』

ナオミ『この速度、尋常じゃない』

アリサ『どんなイカサマを使ってるのよ!!』

ケイ『アリサじゃないんだから、アンジーはそんなことしないわ』

桃『こっちだって酔狂で丸太を抱えて走っていたわけじゃない!!!』ガコンッ

杏『何度も泣いた!! 何度も諦めた!! でもそのたびにみんなの顔が浮かんできた!!』

杏『西住ちゃんを無理矢理戦車に乗せた!! ケイやチョビ子に頼み込んで射撃技術のことを聞いた!!』

杏『これでもかってぐらい、色んな人を巻き込んで迷惑かけたんだ!! 結果が欲しくて何が悪い!!』

杏『結果を出せなきゃ、大洗は守れない!!』

ドォォォン!!!!

ケイ『くっ……!?』

亜美『オールスターチーム、M4シャーマン、走行不能!!』

杏『ケイ、ごめんよ』

732: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:42:39.03 ID:lPu2EjPmo
ケイ『強くなったわね、アンジー』

ナオミ『コーチを頼みにきたときとは全くの別人ですね』

ケイ『その成長をこうして直に感じられて、私はハッピーよ』

アリサ『隊長は人が良すぎます』

ケイ『ソーリー、アリサ。困ってる人を見ると、助ける。それが私の戦車道だから』

アリサ『知ってます。だから、貴方がいるサンダースへ来たんです』

杏『次!!』

桃『はい!!』

柚子『まずは1輌……!!』

エリカ『そう何度もチャンスは来ないわよ!』ドォォン!!!

ノンナ『Спокойной ночи』ドォォン!!!

杏『つっ……!』

柚子『逃げ道が……!』

桃『今度こそ、終わりか……』

ダージリン『その気迫、もう少し見ていたいですけれど、わたくしたちも敗れるわけにはいきませんの』

733: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 22:53:54.74 ID:lPu2EjPmo
ドォォォォン!!!!!

カチューシャ『この砲撃音……!』

ダージリン『来てしまいましたわね』

エリカ『副隊長……』

杏『西住ちゃん、やっときてくれたか』

桃『おぉぉ!! 西住だ!! 西住がきた!!』

柚子『よかったぁぁ!』

ノンナ『先に仕留めておいたほうがよさそうですね』

杏『小山!!』

柚子『はい!!』

ドォォォン!!!

杏『負けないよ、カチューシャ。同じ相手に撃破されたくもないからな』

カチューシャ『ミホーシャが有効射程圏内に入るまでが勝負よ!!』

ダージリン『そうね。全車、攻撃目標、ヘッツァー』

杏『ここで西住ちゃんを待てば、なんとなるかもねぇ』

734: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/08(金) 23:07:49.36 ID:lPu2EjPmo
Ⅳ号戦車内

優花里「今の砲撃音で私たちが到着したことは分かってくれたと思います」

麻子「それにしても、あの状態でよくシャーマンを撃破できたな」

華「最も練習量が多かったのは会長に他なりませんから」

沙織「練習は嘘つかないもんね」

みほ「それだけじゃない。会長は誰よりも大洗のことが好きだから」

優花里「はい! 気合が違います!」

『に……み……き……るか……』

沙織「あれ、なんだろう。なんか聞こえる。えっと……」カチッ

『西住、聞こえるか』

みほ「相良さんですか?」

『君たちの邪魔はしないと言ったこと、覚えているな』

みほ「え、あ、はい」

『よし。何があっても動じるな。いいな』

みほ「……はい、わかりました」

735: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 19:32:07.21 ID:kkEQRAKHo
デ・ダナン 艦内

テッサ「どうしましたか、サガラ軍曹」

宗介『5機を撃破。ですが残り1機が交戦中に後退しました』

マデューカス「どこへ向かった」

宗介『現在追跡中。恐らくHS地点かと』

テッサ(あの人が試合を見ていて、ミホさんの居場所をリアルタイムで伝えている……。けど、ここまで敵戦力を削ることができたのなら、やることは一つだけ)

テッサ「サガラ軍曹はそのまま敵機を追跡。ウェーバー軍曹」

クルツ『あいよ』

テッサ「サガラ軍曹のサポートをお願いします」

クルツ『了解』

宗介『頼むぞ、クルツ』

クルツ『最高のアシストってやつを期待してろ』

マデューカス「やれやれ。どこまで戦車道の水を差すつもりなのでしょうか」

テッサ「私たちも彼らの計画に止めを刺しましょう。マデューカスさん、準備してもらえますか」

マデューカス「アイ、マム。支度をしてまいります」

736: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 19:44:02.45 ID:kkEQRAKHo
HS地点

みほ『カメさん! ポイント14に移動してください!』

杏『ほいさ』

カチューシャ『逃がさないわよ!! ノンナ!!』

ノンナ『仕留めます』カチッ

柚子『ここでやられるわけには!』

ドォォォン!!!

杏『ナイス回避運動、小山。そのまま180度転回して、にげろー』

柚子『はいっ!!』

ダージリン『逸見さん、わたくしについてきてください』

エリカ『了解』

ダージリン『カチューシャ』

カチューシャ『なによ』

ダージリン『貴方を信じているわ』

カチューシャ『私もよ。それじゃ、ピロシキー』

737: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/13(水) 21:27:31.55 ID:kkEQRAKHo
ヘッツァー車内

柚子「追ってくるのは1輌だけですか?」

杏「みたいだな。カチューシャだけだ」

桃「では、2輌は西住のほうへ……! 会長、西住に警告を!!」

杏「まぁまぁ、普通に考えれば挟み撃ちするために回り込んでる最中ってとこかな」

桃「む……」

柚子「となれば、このまま進めば目の前からチャーチルとティーガーが……」

杏「UターンしてIS‐2と戦うか、それとも西住ちゃんの助けを待つか」

桃「柚子、私たちの相手は後ろにいる。ここで準決勝の雪辱を晴らすときだ」

杏「雪原地帯だっただけにってことか。座布団いちまぁい」

桃「違います!! ここで挟み撃ちにあい、むざむざとやられてしまうよりは、正面からIS‐2と戦ったほうがマシなはずです」

柚子「桃ちゃんがまともなこといってる……」

桃「なんだ!! 何か文句でもあるのか!!」

柚子「その作戦、私は賛成だよ。桃ちゃん」

杏「おっし。んじゃ、はんてーん。目標、IS‐2だ」

739: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 14:49:20.92 ID:ggrAacVdo
ノンナ『私たちと戦うことにしたようですね』

カチューシャ『生意気ね。ミホーシャなしで勝てるとでも思ってるのかしら』

ノンナ『嬉しそうですね、カチューシャ』

カチューシャ『そんなことはないわよ! ヘッツァー相手に遅れだけはとっちゃだめだからね!!』

ノンナ『信頼に応えるためにも』

杏『履帯を狙っていくしかない。小山、ちょろちょろ動き回って、相手の懐に飛び込むぞ』

柚子『はい!』

桃『初撃は我々だ!!』ガコンッ

カチューシャ『ここまで来たら出し惜しみは一切なし!! ノンナ、プラウダの全てをぶけてやりなさい!!』

ノンナ『Ураааааааа!!!!!』

杏『こっからものをいうのは純粋な技量だ』

ノンナ『こうなれば戦術はもはや機能しない』

カチューシャ『砲撃、用意!!』

ノンナ『この一撃で』

杏『何度だって、当ててやる』

740: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 14:56:43.52 ID:ggrAacVdo
Ⅳ号戦車内

沙織「カメさんチームがIS‐2と交戦中だって!」

優花里「応援に向かいましょう!」

みほ「会長、IS‐2はお願いします」

杏『はいよぉ』

沙織「いいの?」

みほ「ダージリンさんが来る」

麻子「そのようだな」

華「前方にチャーチルを確認」

優花里「ティーガーもその後ろからきていますね」

麻子「先にこちらを潰しにきたか」

みほ「麻子さん、建物の外壁に沿って移動してください」

麻子「わかった」

みほ「沙織さん、探してほしいルートがあります」

沙織「なんでも言ってよ。道がなくてもつくっちゃうからっ」

741: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 15:55:09.30 ID:ggrAacVdo
チャーチル 車内

ダージリン「小道に誘い込む気ですわね」

エリカ『私が先行します』

ダージリン「いいえ。逸見さんはわたくしの合図で動いてください。それまでは待機で構いませんわ」

エリカ『相手の動きに合わせるのですか』

ダージリン「相手は2輌。ヘッツァーはIS‐2がお相手していますし、駆けつけることはできない」

ダージリン「あのみほさんを確実に撃破するためには、ルートを把握しないと」

オレンジペコ「練習試合のときのようにかき回されてしまうかもしれませんものね」

エリカ『了解。では、ここで待ちます』

ダージリン「ご不満かしら」

エリカ『決勝戦では隊長の援護に間に合わなかったので、思うところがないわけではありません』

ダージリン「貴方がこの度の試合に積極的だった理由はまほさんから聞いていますわ」

エリカ『関係ありません。これは私情を挟んでもいい一戦ではありませんから』

ダージリン「こんな格言を知ってる? 自分に打ち勝つことは勝利のうちで最大のものである。勝ちたいのでしょう、貴方は自身に」

エリカ『……』

742: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 16:10:32.08 ID:ggrAacVdo
HS地点

優花里『追尾してくるのはチャーチルのみのようですね』

みほ「やっぱり、逸見さんは来ない……」

優花里『やっぱり?』

みほ「ダージリンさんも逸見さんも堅実な人だから、きっとこちらのルートを把握してから動き出すつもりなんだと思う」

優花里『無駄に動き回っていると履帯が外れたりしますから、待機させるということですか』

みほ「うん。足回りに不安があるVI号で追い回すことはダージリンさんがさせないはず」

華『では、かならずこちらは先手を打てるというわけですか』

麻子『裏を返せば向こうは手堅い方法で来る。それを打ち崩すのはかなり辛いぞ』

沙織『みぽりん、見つけたよ。丁度いい道』

みほ「逸見さんまで動き出せば巻き返すことが一気に難しくなります。今しかチャンスはない」

麻子『沙織。ルートは』

沙織『次、右折! その次も、その次も次も右折!』

麻子『ほい』

ダージリン(あの動き、どこかで見たわね……)

743: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 17:33:16.14 ID:ggrAacVdo
アーバレスト内

アル『目標を確認。距離、1500』

宗介「こちらウルズ7。目標を捉えた。これより排除する」

テッサ『すぐ近くに西住さんたちがいます。注意してください』

宗介「了解」

アル『西住殿がチャーチルに追われているようです』

宗介「今、その情報は不要だ」

クルツ『ソースケ、一発で決めるぜ。外せばミホたちがどうなるかわかんねえからな』

宗介「分かっている。試合を中止にはさせん」

クルツ『サクっと終わらせて俺たちもポップコーン片手に観戦しようぜ』

宗介「写真も集めなければならないからな」

マオ『それ、クルツ専用の卑猥なやつ?』

クルツ『そんなんじゃねえって!! なぁ、ソースケ!?』

宗介「肯定だ。クルツが欲しているものは交渉の道具に使われるようだからな」

クルーゾー『交渉だと。乙女を写真をどのような交渉事で使うというのだ、軍曹』

744: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 18:11:08.08 ID:ggrAacVdo
クルツ『色々と、な』

クルーゾー『あとで話がある。それまで死ぬことは許さん』

クルツ『お、中尉もそういうのに興味ありか? アメリカドルで販売してやってもいいぜ』

クルーゾー『お前……!!』

テッサ『そこまでにしてください!』

マオ『これだから男ってやつは』

アル『軍曹殿』

宗介「どうした。敵の行動が変化したか」

アル『カメさんチームが追い込まれています』

宗介「何度も言う。その情報は必要ない』

アル『目標までの距離、1000』

宗介「700まで近づき、攻撃を仕掛ける』

クルツ『ウルズ6、了解。牽制させてもらうぜ』

宗介「アル、照準補正。散弾砲で貫く」

アル『ラジャ』

745: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 19:14:50.42 ID:ggrAacVdo
HS地点

ドォォォン!!!

桃『当たった!?』

柚子『まだ当たってないよ!!』

杏『履帯に当てさえすればなんとなると思ったんだけどねぇ。やっぱ、そんなに甘くないかぁ』

カチューシャ『相変わらず、しぶといわね』

ノンナ『大洗にも退けない理由があります』

カチューシャ『そんなの知ってるわよ。でもね、勝つのはカチューシャなの』

ノンナ『ですね』カチッ

ドォォォン!!

柚子『きゃぁ!?』

杏『小山、絶対に退くな。そのまま進め』

柚子『はぁい!!』

杏『河嶋。装填速度、0.1秒でもいい、速くできない?』

桃『会長にやれと言われればどんなことでもやってみせます!!!』

747: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 19:32:12.87 ID:ggrAacVdo
杏『おりゃー!』ドォォォン!!!

カチューシャ『全速後退、すぐに主砲発射!』

杏『距離を取られる前に撃つ!』カチッ

ドォォォン!!

ノンナ『меня подстрелили……!?』

カチューシャ『まだ動けるわ! ノンナ!!』

ノンナ(侮っていたわけではありませんが、相手の装填速度を考えれば……ここで仕留めないと……!)

桃『会長!!!』ガコンッ

柚子『この一撃で!!』

杏『――奇跡を起こす!』カチッ

カチューシャ『Огонь!!』

ノンナ『Уразуметно』カチッ

ドォォォン!!!

カチューシャ『はぁ……。全く、疲れちゃったわ』

杏『……どうやら、ここまでみたいだな』

748: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 20:23:33.42 ID:ggrAacVdo
Ⅳ号戦車内

亜美『大洗チーム、ヘッツァー、走行不能!!』

みほ「……!」

優花里「カメさんチームまで……」

華「わたくしたちだけになったのですね」

みほ「会長! 怪我はありませんか!?」

杏『うん。最後までごめんね、西住ちゃん』

桃『またお前たちに全てを預けてしまうんだな。情けない……本当に……』

柚子『役に立てたかな』

みほ「十分です。あとは私たちがなんとかします」

桃『我々では奇跡は起こせなかった……だが、西住……お前なら……!!』

みほ「戦車道に奇跡や偶然はありません」

杏『あはは。ってことは、練習不足だったわけだ。いやぁ、反省しないとな』

亜美『オールスターチーム、IS‐2、走行不能!!』

みほ「努力は必ず実を結びます」

749: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 20:36:47.56 ID:ggrAacVdo
チャーチル 車内

カチューシャ『やられちゃったわ』

ダージリン「そう。信じていたのに。がっかりね」ズズッ

カチューシャ『今度は油断なんてしてなかった。最初から全力でやったのよ』

オレンジペコ「カチューシャさん……」

アッサム「大洗のみなさんへ謝罪の意味も込めて、参戦したのでしたね」

ダージリン「納得はできて?」

カチューシャ『ええ。負けたわ。完敗よ。大完敗!! あー!! もー!! くやしい!! くやしい!! くやしい!!』

ノンナ『暴れないでください』

ダージリン「わたくしたちはどんな相手にも全力を尽くす。それは戦車道においての礼儀であるから。そう教えましたわね、カチューシャ」

カチューシャ『わかってるわよ』

ダージリン「その悔しさ、いずれは大きな力となる。大切にとっておきなさい」

カチューシャ『エラソーに言わないで。負けたら、しょくせいしてやるんだから』

ノンナ『Пожалуйста』

ダージリン「任されましたわ」ズズッ

750: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 20:46:24.76 ID:ggrAacVdo
観客席

恭子「あー、一緒にやられちゃったんだぁ」

ホシノ「ヘッツァーで2輌も撃破できたのは大きいけど、西住さんはあの2輌を相手にしなきゃいけないのか」

ボン太くん「ふもも……ふもー……」

かなめ「うん。そうね」

桂利奈「にゃん太くんはなんていっているんですか!?」

あや「にゃん太くんの通訳してください!!」

みどり子「にゃんたってなに?」

希美「猫田さんが中にいるからにゃん太なんじゃない?」

かなめ「ボン太くんは、なんとかこっちの声をみほに送れないかって言ってる」

カエサル「一度落とされ、退場してしまうと通信できないからな」

ナカジマ「無線もありませんからね。一瞬だけでも声援を送れたら、西住さんたちの励みになるんだろうけど」

かなめ「うーん……」

ボン太くん「ふももぉ」

かなめ「あ。いいのがあるじゃない」

751: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 21:06:12.01 ID:ggrAacVdo
Ⅳ号戦車内

桃『相打ち……だったのか……』

柚子『最低限のことはできたんだね、私たち』

杏『やればできるってね』

みほ「見ていてください、会長」

沙織「会長の3年間、絶対に無駄になんてさせないから!」

麻子「負けなければいいんだろ。楽勝だ」

華「観客席で和菓子とお茶を召し上がりながら、観戦していてください」

優花里「我々、あんこうチームが会長の意志を引き継ぎます!!」

杏『ホントに?』

みほ「はいっ」

杏『言ったよぉ。んじゃ、たのむよぉ』

桃『西住!! ファイトー!!!』

柚子『おー!!!』

杏『西住ちゃーん!! ガンバー!!』

752: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 21:18:38.69 ID:ggrAacVdo
HS地点

オレンジペコ『Ⅳ号、更に右折しますわ』

ダージリン『決勝戦でウサギさんチームが見せた戦略大作戦とやらを実行するのね』

アッサム『では、後ろに回りこんでくる……』

ダージリン『後退し、正面に出てあげましょうか』

オレンジペコ『いいのですか』

ダージリン『背後を取られるよりは良いでしょう。逸見さん』

エリカ『はい』

ダージリン『ポイント26へ移動。後、25へ』

エリカ『了解』

ダージリン『砲撃、用意』

オレンジペコ『はい』ガコンッ

ダージリン『路地を抜けたと同時に撃ちなさい』

アッサム『はい』

ダージリン「一度見せた戦術は通用しませんことよ」ズズッ

753: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 21:25:58.31 ID:ggrAacVdo
ドォォォォン!!!!

ダージリン『なぁ……!?』ガシャーン!!!

オレンジペコ『この衝撃……!』


Ⅳ号戦車『……』ゴゴゴゴッ


アッサム『Ⅳ号が後ろに……!!』

オレンジペコ『後ろに回り込んだのでは……!?』

みほ『ダージリンさんも決勝戦を見ていたんだから、同じ戦術は通用しない』

優花里『回り込んだと見せかけて、後退。練習試合でも似たようなことしましたね』

ダージリン『裏をかかれるとは……。砲塔を――』

アッサム『電柱が邪魔で回りません』

ダージリン『ふっ……』

オレンジペコ『ダージリン様、あの……』

ダージリン『新しい紅茶を淹れてくれるかし――』

ドォォォォォン!!!!

754: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 21:34:38.61 ID:ggrAacVdo
チャーチル 車内

オレンジペコ「どうぞ」

ダージリン「ありがとう」ズズッ

アッサム「あっさりとやられてしまいましたね」

ダージリン「そうね。みほさんは勿論、あんこうチームのみなさんは目に見えて成長している。わたくしたち以上にね。相手を称えましょう」

オレンジペコ「ですね」

ダージリン「さて……」ガチャ

みほ「あ……」

ダージリン「とても清々しい気分ですわ。もう一度、貴方と戦えたことを誇りに思います」

みほ「私のほうこそ」

ダージリン「けれど、もう一人、厄介な方が控えていますわよ。気をつけなさい」

みほ「逸見さん……」

ダージリン「黒森峰新旧副隊長同士の戦い。観客席でゆっくりと見せていただきます」

みほ「ありがとうございました」

ダージリン「礼をするのはまだ早いですわよ。みほさん、健闘を祈りますわ」

755: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 21:50:32.91 ID:ggrAacVdo
VI号戦車ティーガーⅡ 車内

亜美『オールスターチーム、チャーチル歩兵戦車 走行不能!!』

エリカ「なんですって!?」

ダージリン『こんな格言を知っているかしら。失敗に対する理由は400万もあるが、わびの言葉は一つたりともない』

オレンジペコ『いえ、まずは謝りましょう。すみません、逸見さん』

エリカ「もしかして……」

ダージリン『変に勘繰らないように。貴方のために落ちるなんて、屈辱でしかありませんわ』

エリカ「わかりました」

ダージリン『そこにいれば相手のほうから姿を見せてくれるはずですわ』

エリカ「了解」

ダージリン『全日本高校戦車道の全ては逸見さんの双肩にかかりました。そのことをお忘れなきよう』

エリカ「……」

ダージリン『けれど、構いませんことよ』

エリカ「え?」

ダージリン『貴方とみほさんを邪魔する輩はこの演習場にはいないのですから。お好きなようにやっても』

758: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 22:32:52.80 ID:ggrAacVdo
観客席

一成「これは大洗が勝てるんじゃないか!」

信二「勝てる! 絶対に勝てるよ!!」

エルヴィン「最後の相手はかつての盟友か」

おりょう「隊長もやりにくいかもしれないぜよ」

左衛門佐「ある意味、姉君よりもライバルでござるな」

孝太郎「なんかよくわかんねえけど、とりあえず燃える一戦なんだよな」

恭子「もう最初から激燃えだよ! がんばれー!! って、おぉぉ!」

信二「あ!? あれは……!!」

まほ「申し訳ありません。お母様。一度ならず二度までも……」

しほ「貴方が負けても、チームが勝てば全て良し。応援なさい」

まほ「え……」

しほ「自分の副隊長でしょう。それとも、諦観してしまうほど逸見エリカは無能なのかしら?」

まほ「いえ。最高の副隊長です」

しほ「なら、勝つのは貴方達、オールスターチームよ」

759: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 22:39:30.56 ID:ggrAacVdo
信二「入っていけそうにないなぁ……」

恭子「あとで写真、とらせてもらおっと」

かなめ「うん。そう、それで合わせてみて」

ボン太くん「ふも、ふももふも?」

かなめ「あー、うーん、そうよね、難しいわよね。こうなったらあたしが中に入って……」

梓「あの、千鳥さんはさっきから何を……」

かなめ「みんなの声をみほに届けるのよ。このボン太くんでね」

優希「そんなことできるんですかぁ」

桂利奈「おー!! すごーい!!」

アリサ「それってルール違反なんじゃないの」

かなめ「え? そうなの?」

アリサ「観客席側から情報を送るようなものじゃない」

ケイ「まぁまぁ、アリサ。いいじゃない。声援だけなら。無線を傍受するなら問題だけど」

アリサ「う……」

かなめ「やっぱり、ダメ?」

760: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 22:44:46.64 ID:ggrAacVdo
ケイ「いいんじゃない。私は許す」

かなめ「ケイさんから許しをもらっても……」

ケイ「んー。そうね。確かに大洗側だけが声援を送れるってのはフェアじゃないわよね」

かなめ「お。そういうことですか」

ケイ「ザッツラーイ。何事も公平にやりましょ。それなら文句はでないわ」

かなめ「そうよね。応援したいのはあたしたちだけじゃないんだよね」

ケイ「そりゃそうでしょ。ヘイ、まほー!!!」

まほ「なに?」

ケイ「エリカのこと、応援するでしょ」

まほ「ああ」

ケイ「大洗が声を届けてくれるってさ」

まほ「できるの?」

かなめ「まぁ、なんとか」

まほ「是非、お願いしたい」

かなめ「分かりました。少し待っていてください」

761: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 22:49:55.88 ID:ggrAacVdo
アーバレスト内

アル『目標まで距離、800』

宗介「そろそろだな」

かなめ『ソースケ、聞こえる?』

宗介「千鳥。何かあったのか」

かなめ『えっと、こっちの声をみほに送りたいんだけど、できる?』

宗介「なんだと」

アル『可能です。既に西住殿とは試合中に通信を行っています』

宗介「おい、アル」

カエサル『アルバートも一緒なのか』

アル『肯定』

おりょう『一緒に応援するぜよ!!』

アル『ラジャ』

宗介「勝手に話を進めるな」

かなめ『忙しい? 無理にとは言わないけど……』

762: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 22:59:29.56 ID:ggrAacVdo
宗介「いや。問題ない。やろう」

かなめ『ホント!? ありがと、ソースケ! でさ、オールスターチームのほうにも声援を送りたいんだけど……』

宗介「敵のことまで応援するのか」

かなめ『それはあたしたちじゃなくて……』

ケイ『ハロー!! ソースケ!!』

宗介「誰だ」

ケイ『サンダースの隊長、ケイ。よろしく!』

宗介「逸見エリカへ声援を送りたいというのは、君のことか」

ケイ『私だけじゃないわ。まほもトゥギャザーするって』

まほ『お願いします。伝えられるのなら、どうしてもエリカに言いたいことがあります』

宗介「……了解した。だが、すぐにはできない。こちらにも準備がある」

まほ『貴方の都合が良いときで構いません』

かなめ『よろしくね、ソースケ』

宗介「ああ」

アル『距離、700。どうしますか、軍曹殿』

763: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 23:06:49.61 ID:ggrAacVdo
HS地点

ゴゴゴゴッ

エリカ「……」

みほ「あ……」

麻子『待ち伏せか』

沙織『う、撃たれなくてよかったぁ』

優花里『撃てばこちらの意表をつけていたのに……。いえ、被弾して試合が終了していた可能性も……』

華『ダージリンさんがここで待機を命じていたのでしょうね』

エリカ「待っていたわ」

みほ「……」

エリカ「不意打ちで砲撃してもよかった。いえ、本来ならするべきだった」

みほ「どうして撃たなかったんですか」

エリカ「私が、勝つためよ」

みほ「逸見さん……」

エリカ「西住みほ。貴方に勝つためよ。誰の力も借りずに、私だけの力で」

764: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 23:18:36.98 ID:ggrAacVdo
エリカ「貴方が黒森峰を去って、私は副隊長の座に就いた。それが、どれだけ辛かったか、貴方にはわからないでしょうね」

みほ「……」

エリカ「隊長に匹敵するほどの能力を持っていた貴方の後釜の背中には耐えがたい重圧があった」

エリカ「何かと比べられもした。隊長も私なんかより貴方のほうが良かったと考えているに違いない」

みほ「それは違います! 逸見さんが優秀だから副隊長に……!!」

エリカ「うるさい!! そんな安っぽい言葉なんていらないのよ!!」

みほ「……!」

エリカ「私は憧れていた……尊敬していた……。二人を超えることはできないって、思っていた。だから、二人の傍で戦車道ができれば、それだけでよかったのに……」

みほ「……」

エリカ「貴女が去ってしまった!! 私が副隊長になった!! 隊長に認められるには西住みほを超えるしかないのよ!!」

エリカ「私が副隊長になるには、貴女を倒すしかないんです!!」

みほ「……」

エリカ「ここで貴女を倒して、私は黒森峰の副隊長になります」

みほ「逸見さん……いえ、エリカさん……」

エリカ「なんですか……」

765: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 23:28:20.43 ID:ggrAacVdo
みほ「エリカさんは本当に優秀だと思います。お姉ちゃんはよくエリカさんと私を比べていました」

エリカ「……」

みほ「私が油断していればすぐにでもエリカさんと立場を入れ替えると、お姉ちゃんはいつも言っていました」

エリカ「それが、なんですか」

みほ「逃げ出してしまった私よりも、きっとお姉ちゃんはエリカさんのほうが優秀だと思っているはずです」

エリカ「ふんっ。そんなの貴女に力があるから言えるんじゃない……」

エリカ「私は!! 納得できません!! だって、貴女が遠すぎるから!!」

みほ「……」

エリカ「ここで証明する……私は……私は……!!」

みほ「ごめんなさい」

エリカ「は……?」

みほ「私を越えようとしてくれるのは、とても嬉しいことです。エリカさんみたいに私を目指してくれるのは、一選手として幸せなことだと思います。でも……」

みほ「今日だけは越えないでください」

エリカ「な……!?」

みほ「私は貴方に勝ちます」

766: 以下、2015年にかわりまして2016年がお送りします 2016/01/18(月) 23:38:49.71 ID:ggrAacVdo
エリカ「越えるな……?」

みほ「はい」

エリカ「今日、何のためにここへ来たと……思っているのですか……」

みほ「……」

エリカ「勝つためなんです!!」

みほ「それはエリカさん個人が私に、ですか」

エリカ「そうですよ。それの何が悪いの。チームのため、日本代表のプライドを守るため。そんなもの、私にはありません」

エリカ「ただ、貴女と戦える場所が都合よく現れた。だから、ここにいるんです」

みほ「私はみんなの想いを背負っています。私だけの試合ではないんです」

みほ「学園のみんな。学園艦の皆さん。そして……」

みほ(ミスリルのみなさん……)

エリカ「貴方がどれだけの期待を背負っていても私には関係ありません。ダージリンさんもカチューシャさんも、それぞれに戦う理由と負けられない理由がありました」

エリカ「勝ちたい気持ちはみんなにあります!! 貴方だけじゃない!!」

みほ「知っています。だからこそ、もう一度言います。私は貴方に勝ちます」

エリカ「砲撃、用意!!」

774: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:06:21.14 ID:UzlN0cv5o
アーバレスト内

アル『距離算出、照準補正開始』

宗介「アル」

アル『なんでしょうか、軍曹』

宗介「戦況はどうなっている」

アル『西住殿は逸見エリカと戦闘を開始しています』

宗介「そうか」

アル『どちらが勝つと思いますか』

宗介「ガッツがあるほうに決まっている」

アル『補正終了。有効射程距離内です』

宗介「やるぞ、アル」

アル『了解。邪魔はさせません』

クルツ『ウルズ6、攻撃開始だ、くらぁ』

マオ『しっかりやりな、クルツ』

宗介「――行くぞ!!」

775: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:21:33.42 ID:UzlN0cv5o
HS地点

ティーガーⅡ『撃てー!!!』ドォォォン!!!

みほ「後退!」

エリカ『逃がすな!!』

みほ「このまま建物に沿って移動してください。あの場所まで行きます」

麻子『わかった』

エリカ『副隊長……!!』

優花里『逸見殿、気合が違いますね』

沙織『みぽりんのことあまりよく思ってなかったのかな……』

華『いいえ。そうではないとわたくしは思います』

麻子『複雑なんだろう。名門の現副隊長として』

みほ「逸見さんが私に拘るのは、私の所為。だから、ここで決着をつけなきゃ……」

エリカ『装填したら即時発射よ!! 何してるの!!』

みほ「私は自分の戦車道を見つけられた。逸見さんもきっと見つけられるはず」

エリカ『撃て!! 負けてられないのよ!! 元副隊長に!!!』

776: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:29:55.86 ID:UzlN0cv5o
広場

みほ「止まってください」

エリカ「ここは……。決勝戦の……」

みほ「私が黒森峰の隊長に勝利した場所です」

エリカ「あんなものはただの偶然よ」

みほ「戦車道に偶然はありません」

エリカ「……!」

みほ「あの時は、ほんの少しだけ、私の想いが強かったから黒森峰に勝てた」

エリカ「想い……。そんなもので勝てるなら……!! 私はとっくに貴方を越えているわよ!!」

みほ「エリカさん……」

エリカ「だって、私は――」

ヴェノム『……』ゴゴゴッ

みほ「あれは……!」

エリカ「AS!? どうしてこんな場所に……!!」

ヴェノム『……』ジャキン

777: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:35:02.81 ID:UzlN0cv5o
優花里『どうして何度もASが出てくるのですか!?』

沙織『なんかヤバくない!? にげよー!?』

みほ「ううん。大丈夫」

優花里『え? どうしてですか? 明らかに銃口がこちらへと向けられていますが!?』

みほ「邪魔はしないって、言ってくれたから」

麻子『相良さん、か』

華『なにか光って――』

ドォォォン!!!

エリカ「狙撃!? どこから!?」

『聞こえるか、西住』

みほ「また助けてくれたんですね」

『気にするな。これが俺の仕事だ。次は君が学園艦を守る番だ』

みほ「はい」

『できるな』

みほ「問題ありません」

778: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:42:45.64 ID:UzlN0cv5o
アーバレスト内

アル『高脅威目標、全機撃破を確認』

テッサ『他に反応は』

クルーゾー『今のところ見受けられません』

クルツ『これだけヴェノムを投入したんだ。そろそろ打ち止めだろ』

宗介「西住、それから逸見エリカ」

みほ『は、はい?』

エリカ『誰よ、アンタ』

宗介「これから君たちに声を送る」

エリカ『声……?』

宗介「どうしても君たちに声援を送りたいと言っている。武部、上手く声を拾ってくれ」

沙織『えぇぇ。それっていいんですか』

宗介「問題ない。どうせ、双方に味方車輌はいない。武部の仕事も半減しているだろう」

沙織『そうだけどぉ』

宗介「それでは開始する。頼むぞ、アル』

779: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:51:36.43 ID:UzlN0cv5o
Ⅳ号戦車内

沙織「ええと……」

梓『先輩!! みんなで一緒に大洗に帰りましょう!!』

桂利奈『また操縦の仕方とか教えてください!!』

典子『まだまだ学ぶことが多いんです!!』

麻子「……」

華「みなさんの声が……」

ねこにゃー『西住さん……』

みほ「猫田さん……!」

優花里「まだ動けないはずでは……」

ねこにゃー『ボク、あのときに体を張って西住さんを助けられて、本当に良かったって思ってる。ちょっとだけ鼻が高い、気分だったり……』

みほ(一番、辛い目に遭ってるのは猫田さんなのに……)

ねこにゃー『取り戻してほしい。ボクたちの学園艦……。みんなで笑いあいながら、戦車に乗りたい。もうみんなで明日の心配なんてしたくない』

杏『干し芋用意して待ってるよ、西住ちゃん。みんなで祝賀会しよう』

みほ「砲撃、用意」

780: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 13:57:54.67 ID:UzlN0cv5o
VI号戦車ティーガーⅡ 車内

ケイ『ゴー!! エリカー!! ファイ!!』

ダージリン『逸見さん。やはり選びましたのね。自分に勝つことを』

エリカ「隊長もそこにいるのですか」

まほ『ああ』

エリカ「すみません。勝てる勝負をふいにしてしまいました……」

まほ『一言だけ言っておく』

エリカ「……」

まほ『勝て』

エリカ「た、いちょう……」

まほ『私たちのためでも、日本代表としてでもなく、みほに』

まほ『逃げ出した者よりエリカが劣っているわけはない』

エリカ「は、はい!!」

まほ『頑張って』

エリカ「砲撃、用意!!」

781: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:05:15.12 ID:UzlN0cv5o
観客席

かなめ「ソースケ、ありがと」

宗介『気にするな。無線ジャックなど造作もない』

かなめ「そっちじゃなくて。みほたちを守ってくれたこと」

宗介『気が付いていたか』

かなめ「そりゃ気づくわよ。あれって香港にいた悪いASじゃない」

宗介『だが、もう全て排除した。ゆっくりと観戦していてくれ』

かなめ「うん、そうさせてもらうわ」

宗介『千鳥』

かなめ「ん?」

宗介『猫田のこと、感謝する』

かなめ「猫田さんとは友達であり戦友なんだから、助けるのはトーゼンなのよ。おわかり、軍曹殿?」

宗介『戦友か』

かなめ「結局、一度も試合はできなかったけどね」

宗介『関係ない。同じ戦車に乗り、技術を磨いた。戦友と呼ぶには十分条件を満たしている』

782: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:14:25.49 ID:UzlN0cv5o
広場

エリカ「西住みほ!! 想いが強ければ勝てると言ったわね!!」

みほ「……」

エリカ「私がどれだけ貴方を想っていたのか、ここで見せてあげるわ!!!」

みほ(一人ぼっちだった私に手を差し伸べてくれた人がいる)

沙織『みんなー、もっと応援して! 応援!!』

華『クルツさんに教えて頂いたことを守れば、必ず当たるはず』

みほ(何も言わずに信じてついてきてくれた人がいる)

優花里『装填速度、まだまだ速められます!!』

麻子『履帯が切れても、もういいか。最後だし』

みほ(私たちのために命をかけてくれた人がいる)

かなめ『みほー!! やっちゃえー!! ドカーンと撃っちゃえー!!』

ねこにゃー『負けないで西住さん……!』

宗介『お前の気迫を見せてみろ!! 西住!!』

みほ「支えてくれたみんなのために、私は勝ちます!!」

783: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:32:05.83 ID:UzlN0cv5o
エリカ『副隊長……副隊長……!! そう呼ばれることが嫌だった……!!』

みほ『全てをエリカさんに任せて黒森峰を去ったことは謝って済む問題じゃない』

エリカ『副隊長と呼ばれる度に私は貴方の影に怯えていた!!』

みほ『弱かった。ううん。私は今でも弱い。誰かが傍にいてくれなきゃ、前に進むことはできない』

エリカ『目指さなきゃいけなかった!! 努力しなければいけなかった!! 誰よりも強くなければいけなかった!!』

みほ『あのときは誰も助けてくれないと思い込んで、私は逃げ出してしまった。戦車から、お姉ちゃんから、エリカさんから』

エリカ『いつまで、私は貴方を追えばいいのですか!! もう嫌なんです!! 貴方を追いかけるのは!!』

みほ『強い私を演じなければいけない。前を走り続けることをやめてしまった。でも、全部間違いだった』

エリカ『決別する!! ここで!! 西住みほという影に!! 貴方が私の後ろを走ればいいのよ!!』

みほ『今度は、絶対に逃げません。追いかけてください。けれど、私の前だけは走らせません』

みほ「――麻子さん!! 回り込んで!!」

麻子『分かった』

エリカ『隊長を倒したときと同じ手で……!? 甘いわよ!!! 撃てー!!!』

みほ「撃て!!!」


ドォォォォォン!!!!

784: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:38:45.58 ID:UzlN0cv5o
デ・ダナン 艦内

テッサ「……」

マオ『こっちもあっちも試合終了ね』

テッサ「そうですか。では、我々も速やかに撤収しましょう」

クルーゾー『了解』

クルツ『残党はいないのか』

テッサ「あれだけ派手に戦闘をすれば、どんなに間抜けな人でも逃げ出すはずです」

宗介『これで奴らに戦車を狙うことが如何に痛手か思い知らせることができた』

クルツ『ま、あんだけのヴェノムが一機にやられたんじゃなぁ』

テッサ「本時刻をもって全作戦を終了します。サガラ軍曹」

宗介『はっ』

テッサ「貴方はもうしばらく会場に残っていてください」

宗介『了解です』

テッサ「マデューカスさん、準備はできましたか?」

マデューカス『アイ、マム。今から出立いたします』

785: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:50:33.44 ID:UzlN0cv5o
HS地点

みほ「うぅ……」

エリカ「怪我はない?」

みほ「あ、はい。大丈夫です」

エリカ「そう」

みほ「エリカさんの想いが伝わる、一撃でした」

エリカ「よく言うわ。貴女のだって、相当だったわよ」

みほ「まだ私を追いかけますか」

エリカ「当然でしょ」

みほ「けど、エリカさんにはエリカさんの戦車道を見つけてほしいんです」

エリカ「……いえ、私の戦車道は今までも、これからも変わりません」

みほ「え……」

エリカ「尊敬する貴方と隊長を越えることですから」

みほ「そうですか。ありがとう、エリカさん。戦えて良かった」

亜美『オールスターチーム、VI号戦車Ⅱ型、走行不能!! よって大洗女子学園の勝利!!!』

786: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 14:58:30.86 ID:UzlN0cv5o
観客席

みどり子「やった……!! やったわ!! 西住さんたちが勝ったー!!」

ナカジマ「流石、西住さん!! ナイスドライブ!!」

ツチヤ「操縦してたのは冷泉さんだけどね」

ホシノ「そういうツッコミは野暮だって」

桃「……」

柚子「桃ちゃん!! やったよ!! 私たち、勝ったよ!!」

桃「これで……今度こそ学園艦は……無くならずに……済むのか……」

柚子「済むよ!! やったね!! 桃ちゃん!!」

桃「ふぇ……ふぇぇぇぇぇん……!!」

杏「……」

敦信「懸念は残る、か。確かにこれで当局が廃校の一件を撤回するかは分からない」

杏「林水。大洗に来るって言っておいて、全然こなかったな」

敦信「これから立ち寄るつもりだ。この資料と共にね」

杏「資料って?」

788: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:05:57.46 ID:UzlN0cv5o
典子「やったぞー!! 西住隊長が守ってくれたんだ―!!!」

妙子「すごいです!! 凄すぎます!! 先輩たち!!」

恭子「おぉぉ!! ちょー感動したぁ!!」

信二「あの劣勢から本当に勝っちゃうなんて……」

孝太郎「すげーな! 戦車道なんて古いスポーツだと思ってたけど、こんなに面白いのかよ!」

一成「あれが西住流ってことか」

しほ「……」

まほ「お母様……」

しほ「帰ります」

まほ「待ってください。せめて、一言、なにか……」

しほ「みほは西住の者ではないのよ」

まほ「それでも……!」

しほ「私がみほと顔を合わせる理由はどこにもないわ」

まほ「お母様!」

かなめ(あれがみほのお母さん……? なんだか、冷たい人ね……)

790: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:20:40.32 ID:UzlN0cv5o
しほ「……」ピッ

しほ「聞こえる?」

レナード『どうも、マダム。答えはでたかな』

しほ「どこの馬の骨とも分からない男に大事な娘は渡しません」

レナード『それは、特殊コーティング技術について教えてくれるということかい』

しほ「あの技術は10年前、みほと一緒に遊んでいた少女が作り上げたもの」

レナード『ミホは貴方よりも技術に深く携わっているということか』

しほ「ノートに記された無数の数式や化学式。初めて見たときは、ただの落書きとも思えたけれど、私はみほの一言でそのノートが本物であると確信した」

レナード『なんて言ったんだい。貴方が見捨てた娘は』

しほ「――これでお母さんが危ない戦車に乗らなくて済む、と」

レナード『……』

しほ「私はまほとみほを愛しています。突き放すことはあっても、見捨てることはしない」

レナード『つまり、技術のことも、娘も譲ることはできないということか』

しほ「特殊コーティングは娘の私への想いが込められている。簡単に、いえ、たとえこの身が引き裂かれようとも、渡すことはできない」

レナード『欲張りだね。でも、そんなに守れるかな』

793: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:31:53.32 ID:UzlN0cv5o
宗介「――できる」

しほ「貴方は……」

レナード『ナイトの登場か。君はチドリカナメのことで手が塞がっていると思うけど』

宗介「これだけは言っておくぞ」

宗介「お前たちのような糞野郎どもに千鳥も西住も学園艦も戦車も、絶対に渡さん!!!」

宗介「次、猫田のような犠牲者が出れば貴様たちを地の果てまで追いかけ必ず生け捕りにしてやる!!」

宗介「そして魚雷発射管に詰めて300キロの爆薬と共に射出する!!!」

宗介「俺が八つ裂きにしてやる!! いいか、必ずだ!!!」

しほ「……」

宗介「以上だ」

レナード『なるほど。よくわかった。今回はこれで終わるとしよう。ASを一度に多く消費してしまったからね』

宗介「何機で来ようと無駄だ」

レナード『そうだね。今は見送るとしよう。大事な大仕事も控えているからね。やっと決定した、大規模な仕事がね』

宗介「大規模な仕事だと」

レナード『しっかりと、彼女を守ってあげないと、ね。では、また』

794: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:42:14.07 ID:UzlN0cv5o
宗介「この通信機はどこで手に入れたものでしょうか?」

しほ「銀髪の男に渡されたものよ」

宗介「そうか」

宗介(この通信機から足跡を追えるほど、甘い連中ではないだろうな)

しほ「貴方があの白いASに乗っていた人なの」

宗介「それにはお答えできません」

しほ「……娘をよろしくお願いします」

宗介「はっ」

かなめ「ソースケ!」

宗介「どうした、千鳥」

かなめ「今のがみほのお母さんでしょ。なんか、あったの?」

宗介「いや、大したことはない。西住のことを頼まれただけだ」

かなめ「ふぅん。アンタが普通じゃないって感づいてるのかな」

宗介「どうだろうな。だが、西住の母親だけあってやはり只者ではなさそうだ」

しほ(あの男とみほの関係、一度調べてみるべきね……)

795: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:48:33.51 ID:UzlN0cv5o
会場

優花里「やりましたー!!!」テテテッ

エルヴィン「グデーリアン!! 私は信じていたぞ!!」

カエサル「あの装填術、見事だったな!!」

優花里「いやぁ、あれは丸太を担いでランニングしていた成果でありますから」

おりょう「謙遜ぜよ」

左衛門佐「グデーリアンの努力の賜物でござる」

あや「かっこよかったです!! 先輩!!」

あゆみ「どーやったらあんなに動きながらでも的確に当てられるんですかぁ!?」

華「花を生けるときのように、静かで清らかな心をもつことですわ」

優希「えぇー? 全然、わかりませぇん」

紗希「わかりました」

梓「わかっちゃったの!?」

沙織「絶対、華の言いたいことはわかんないと思うけど」

紗希「分かりました」

796: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 15:56:28.54 ID:UzlN0cv5o
麻子「新たに追加された欠席日数と遅刻を消してくれ、そど子ぉ」

みどり子「わ、わかったから!! くっつかないで!!」

ケイ「ナイス、ファイトだったわ」

ナカジマ「ケイさん、どうも」

カチューシャ「カチューシャたちが束になっても勝てないなんてね。ホント、貴方達は強いわ」

沙織「ありがとうございます。カチューシャさん」

ノンナ「先ほどまでずっと悔しいと叫んでいましたけど」

カチューシャ「そういうことは言わないでっていつも言ってるでしょ!!」

ノンナ「申し訳ありません」

沙織「あはは。また、機会があればお願いします」

ノンナ「喜んで」

アリサ「そんなことより、この戦車、ここで受け取る? それとも修理してから渡しましょうか」

優花里「あぁ!! そういえば!! 追加ルールのことすっかりわすれてました!!」

亜美「鹵獲ルールにより、これより大洗女子学園にはオールスターチームが使用した車輌を譲渡するわよ」

みほ「……」

797: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:04:21.09 ID:UzlN0cv5o
エリカ「どうしたのよ」

みほ「受け取れません」

ダージリン「あら。わたくしたちの戦車ではご不満かしら。では、黒森峰からはマウスを譲渡するということで」

エリカ「どうしてそうなるんですか!!」

みほ「いえ。大事な仲間をこういうことで渡すのは、よくないと思うので……」

ダージリン「仲間、ですか」

みほ「それにこのルールは大洗が廃校になったあと、戦車がどこかへ流出しないための措置ではないんですか」

オレンジペコ「そこまで気づいていらっしゃったんですね」

みほ「私たちは故郷を守ることができました。それ以上、何も望んではいません」

カチューシャ「ふーん。後悔しないのね」

みほ「欲しくないと言えばウソになりますけど。でも、私たちは、私たちの戦車で、戦車道を続けたいんです」

ダージリン「そう。では、鹵獲ルールはなかったことにいたしましょう」

みほ「すみません」

ケイ「謝ることはないわ。私たちもみほならそういうんじゃないかって思ってたしね」

みほ「ケイさん……」


798: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:12:27.82 ID:UzlN0cv5o
まほ「みほ。今日は楽しかった」

みほ「私もだよ」

まほ「あと、試合中に現れたASのことだけど」

みほ「あ、え、な、なに?」

まほ「あれに乗っていたのはみほの友人か?」

みほ「え、あー、えーと……」

沙織「はい!」

みほ「え?」

華「とても素晴らしい殿方ですわ」

みほ「え? え?」

優花里「あの人の考え方にはすべて共感できます!!」

麻子「教官だけに」

まほ「男の友達……。一度、詳しい話を……」

みほ「そ、そういう人じゃなくて!! 教官!! 特別教官だっただけだから!!」

宗介「西住の言っていることは本当だ。俺はこの試合のために呼ばれた戦術アドバイザー、相良宗介だ」

799: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:21:01.76 ID:UzlN0cv5o
ケイ「お、ソースケってあなたのことなのね。ふーん、へー、結構ワイルドっぽくていいじゃない」

ダージリン「AS乗りのかたですの」

宗介「詳しくは話せないが、一応な」

カチューシャ「ASか。頭に乗ったら、眺めがいいでしょうね」

ノンナ「危ないですよ」

まほ「千鳥さんが言っていた相良宗介とは、貴方だったのか」

宗介「肯定だ。西住みほには世話になった」

かなめ「迷惑しかかけてないけどね」

みほ「そ、そんなことは……!!」

まほ「貴方が何者なのか問うつもりはない。ただ一言、礼を述べたい」

まほ「みほを守ってくれてありがとう」

みほ「お姉ちゃん……!」

かなめ(まほさんも感づいてるんだ……)

宗介「姉妹揃って、侮れんな」

恭子「わぁ、隊長さんがそろい踏みだぁ。あのー、一枚いいですかー?」

800: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:33:30.10 ID:UzlN0cv5o
ダージリン「どうぞ」

ケイ「ビューティフルにとってね」

カチューシャ「ちょっと!! カチューシャが入ってないんじゃないの!?」

ノンナ「私が肩車をします」

恭子「逸見さんと西住さんも入って、入って」

まほ「私は……」

エリカ「隊長、ほら」

まほ「仕方ない」

恭子「はぁい、ポーズ」

ボン太くん「ふも、ふもも」

みほ「わっ、ボン太くん?」

ボン太くん「ふもも、ふも」

かなめ「とてもすごかったって猫田さんは言ってる」

みほ「猫田さん!? この中にいるの猫田さんなんですか!?」

ボン太くん「ふもっふ」

801: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:51:32.40 ID:UzlN0cv5o
ボン太くん「ふも、ふもも、ふもるる、ふも」

かなめ「ちょっと、そういうことは直接いいなさいよ。ほら」ガバッ

ねこにゃー「あぁ……」

みほ「猫田さん、怪我は……」

ねこにゃー「ボン太くんね、すごくの。アシスト機能があって、骨折しててもなんとか動かせて……」

みほ「それで怪我が悪化したら……」

ねこにゃー「ごめん。けど、どうしてもここに来たかったんだ。ボクも大洗の一員だから」

みほ「来年もよろしくお願いします」

ねこにゃー「うんっ。こちらこそ」

かなめ「さっき言ってたことは言わなくていいの?」

ねこにゃー「それは、別に……」

かなめ「そう? いいこと言ってたじゃない」

みほ「何か言ったんですか?」

ねこにゃー「あ、こうして面と向かっては……」

かなめ「大好きな西住さんにずっとついていきたいって」

802: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 16:56:26.01 ID:UzlN0cv5o
ねこにゃー「あー!?」

みほ「あ、ありがとう。嬉しいな」

ねこにゃー「千鳥さん、言わないでー!!」

かなめ「いいじゃない。気持ちを伝えるのは大事なことよ」

ねこにゃー「はずかしい……」

ぴよたん「私たちも一生ついていく!!」

ももがー「たいちょー、最高なりー!!」

みほ「あははは……」

クルーゾー「ふむ」

マオ「ベン、早くダナンに戻るよ」

クルーゾー「やはり……ユ……素晴らしい……」

クルツ「なんか言ってるなぁ」

マオ「ま、あの子たちの笑顔を見ているのは飽きないけどね」

クルツ「それもそうか。先、行ってるぜ、中尉」

クルーゾー「素晴らしい……実に……」

803: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:04:09.08 ID:UzlN0cv5o
華「そろそろ食事の時間でしょうか」

沙織「あー、うん。お腹すいたよね」

優花里「どこかに食べにいきましょう!!」

麻子「祝賀会だな」

かなめ「いいわねー。どこいこっか」

ダージリン「あら。そういえばアンツィオ高校のみなさんが見当たりませんわね」

エリカ「食事の準備をしているはずなのですが」

恭子「向こうで屋台を出してるのはみたけど」

カチューシャ「行ってみましょ。カチューシャも何か食べたいわ」

ノンナ「そうですね」

典子「アンツィオ高校といえば、二回戦でもご馳走になったわ」

梓「あれは美味しかったですよね」

あけび「また食べれるなんて……!」

カリーニン「――戦車道選手の諸君、疲れただろう」

宗介「カ、カカカ、カリーニン少佐……!! な、なな、なにを……しているのでしょうか……!!」

807: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:12:51.79 ID:UzlN0cv5o
カリーニン「気持ちばかりの品を用意した」

カチューシャ「ボルシチじゃないの!」キャッキャッ

ノンナ「そうですね」

カチューシュ「ふふん。カチューシャにボルシチを用意するなんて、いい度胸ね」

カリーニン「どういうことだろうか」

カチューシャ「ボルシチの味にはとってもうるさいの。あんまりな味ならひっくり返しちゃうんだから」

カリーニン「そうならないために、時間をかけ、各種具材、調味料の分量も調整した。完璧に仕上がっている」

カチューシャ「面白いじゃない。持ってきて」

カリーニン「了解した」

華「相良さんのお知り合いの方ですか」

宗介「こ、肯定だ」

優花里「では、大丈夫ですね」

沙織「私たちもご馳走になっていいんですか」

カリーニン「問題ない。50人前は用意している」

かなめ「ソースケの上官さんね。良い人そう。あたしも食べよっと」

811: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:16:07.92 ID:UzlN0cv5o
>>807
かなめ「ソースケの上官さんね。良い人そう。あたしも食べよっと」

かなめ「ソースケの上官さんね。あたしも食べよっと」

812: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:19:28.88 ID:UzlN0cv5o
宗介「い、いや、まて、千鳥」

かなめ「なによ」

宗介「あ、あのだな……少佐のボルシチは……その……」

かなめ「どうしたの? すごい汗よ?」

みほ「……」

まほ「みほ、気づいている?」

みほ「うん。アンチョビさんたちがいない……」

ダージリン「屋台だけはしっかりとありますわね」

ケイ「どういうこと?」

カチューシャ「ボルシチっ、ボルシチっ」

桃「うぐっ……えぐっ……」

柚子「もー、桃ちゃん。いつまでも泣いてないで、ごはん食べよ」

桃「うん……うん……」

カリーニン「――これが特製のボルシチだ。堪能してほしい」

カチューシャ「いいじゃない。見た目は合格ね」

813: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:24:53.03 ID:UzlN0cv5o
エリカ「隊長!! あそこにアンツィオの生徒が倒れています!!」

まほ「なに……!?」

みほ「アンチョビさん!!」

アンチョビ「おぉぉ……ご……」

カルパッチョ「うぅぅ……おぇ……」

ダージリン「この惨劇は一体……」

ケイ「見て。ダイイングメッセージを残してるわ」

ペパロニ「……」

みほ「え、えっと……」

ダージリン「ボルシチと、最後の力を振り絞って地面に字を……」

みほ「みんな!!!」

カチューシャ「ごっ……!?」バタッ

ノンナ「ど、ど、うし……カチューシャ……あぁ……」

まほ「遅かった……!」

カリーニン「味はどうだろうか」

816: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:32:32.42 ID:UzlN0cv5o
かなめ「な、なになに、このリアクション……」

優花里「とても美味なのか、それとも……」

麻子「倒れこむほど美味しいとは思えないが」

沙織「た、食べても、いいのかなぁ、これ……」

華「……」

忍「た、食べる勇気が……」

希美「ど、どうするのよ、そど子」

モヨ子「食べられるものなの、そど子」

みどり子「わ、私に聞かないで! でも、出された料理を食べないわけにも……」

華「戦車道を嗜む者として、礼儀として、一口もつけずに席を立つことはできませんわ」

優花里「た、確かに、五十鈴殿の言う通りですが」

沙織「こ、こわい……」

麻子「うぅ……」

カリーニン「味には絶対の自信がある。遠慮なく食してほしい」

華「では、いただきます」ゴクッ

820: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:45:51.02 ID:UzlN0cv5o
敦信「君はあの輪に入らなくてもいいのか」

杏「まだ全部が終わってないからね。林水が大洗に持ち込もうとしてる資料ってのが気になるし」

敦信「コピーしたものでよければ渡しておこう」

杏「あんがと」

敦信「そこには学園艦教育局と反社会組織との繋がりや、不穏な予算の流れが事細かに記してある」

杏「これ……」

敦信「君たちが勝利することを信じて持参した。無論、負けていれば、この資料は燃やしていたところだがね」

杏「ここまで調べたの」

敦信「なに。伝手を頼りにしただけだ。大した労力はかかっていない」

杏「いいの?」

敦信「君が今日まで積んだ研鑽を考えれば等価と言っても過言ではない」

杏「林水が危険な目にあったかもしれないじゃん」

敦信「それだけの価値はある。角谷君だけでなく、河嶋君や小山君の3年間を鑑みればね」

杏「嫌な奴だ。お礼を言わないわけにはいかないな」

敦信「干し芋3日分で構わない。茶菓子としていただくよ」

821: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 17:56:50.85 ID:UzlN0cv5o
杏「これを学園長に突きつけて、一緒に教育局へ乗り込めば終了だな」

敦信「学園艦はこれで守られるはずだ」

杏「そのときは林水も来てくれる」

敦信「ご要望とあればね」

杏「んじゃ、たのんじゃおっかなぁ。乗りかかった艦なんだし、最後まで乗ってってよ」

敦信「そうしよう」

杏「さてと、私もみんなと一緒にごはんを――」

宗介「会長閣下。この先へはいかないでください」

杏「え?」

敦信「どうしたのいうのかね」

宗介「この先は……死地……なのです……」

杏「ああ。ボルシチ配ってる人がいたのは知ってる」

敦信「角谷君。相良君の言う通りにしたほうがよさそうだ」

杏「あ……」

宗介「会長閣下。勇気あるご決断を」

822: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:02:51.23 ID:UzlN0cv5o
カリーニン「ううむ。これはどうしたというのだ……」

優花里「お……ぇ……に、し……ずみ……ど……の……にし……ずみ……ど……の……」

麻子「……」

沙織「やだ……もぉ……」

華「ごほ……おかあ……さま……もうし、わけ……ありません……」

みほ「みんな!! 水を!! 水を飲んでください!!」

ケイ「アリサ!! ナオミ!! しっかり!!」

アリサ「たい……ちょぉ……」

ナオミ「おー……まい……ごっ……」

ダージリン「貴方のことは忘れませんわ」

オレンジペコ「ま、まだ……いきてます……からぁ……」

カチューシャ「のん……な……のん……」

ノンナ「さいごまで……わたしは……あなたと一緒です……」

宗介「こちらウルズ7!! 至急衛生兵を用意してくれ!! 大至急だ!! 多数の死傷者が出ている!!」

テッサ『な、なにがあったんですか!?』

823: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:17:04.24 ID:UzlN0cv5o
夕方 会場

かなめ「みんな、大丈夫だった?」

みほ「まだ体調が優れない人もいるみたいですけど、なんとか」

宗介「すまない。西住。最後の最後で、くっ……!」

みほ「い、いえいえ! 相良さんの所為じゃないですから」

宗介「そう言ってくれるか」

かなめ「ま、まぁ、色々あったけど、これで学園艦は守れたわね」

みほ「はい。これもみんな……」

宗介「西住のおかげだな」

みほ「ち、違います。相良さんもかなめさんも含めた、みんなのおかげです」

宗介「過ぎた謙遜は威厳を損なうぞ」

かなめ「みほに威厳っていらないと思うけどね。なんていっても、みほがみんなを引っ張ってるのは、その持ち前の優しさだもんね」

みほ「そうですか……? 私は……」

宗介「それだけで部下はついてこない。そして本当に勝つべきときに勝てはしない」

かなめ「ほーう。スペシャリストの軍曹殿はどういう風にみほを分析されたのです?」

824: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:28:16.61 ID:UzlN0cv5o
宗介「学園艦を想う気持ち。それが気迫となって表れた。それだけのことだ」

みほ「気迫ですか」

宗介「練られた戦術、鍛え上げられた技術。それらを持っていても、人間が弱ければ容易く崩れていく」

宗介「西住は崩れかけても立ち直った。会長閣下も同じだ」

みほ「でも、それもみんながいてくれたから」

宗介「仲間に恵まれたと思っているのか。それは違う。お前の強さが仲間を引き寄せただけだ」

みほ「……」

宗介「優秀な指揮官には優秀な部下が集うからな」

みほ「ありがとうございます。本当に……」

宗介「いや、俺たちは君に謝罪をしなければならない。君たちを関係のないことに巻き込んでしまった」

みほ「戦車の特殊コーティングについて、多少なりとも私は関わっていますから……」

かなめ「そうだったの?」

みほ「はい。小さいとき、自衛隊の人と一緒にきた女の子と仲良くなったんですけど、マオさんの話だとその子がウィスパードだったみたいで……」

宗介「そのとき、君は技術の一端を知ったのか」

みほ「もう内容は覚えてないですけど、その子が色々と書いてくれたノートがあって、それを「安全な戦車になる魔法のおまじない」だって私に教えてくれたんです」

826: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:37:19.54 ID:UzlN0cv5o
かなめ「そのおまじないはどうしたの?」

みほ「お母さんにすぐに見せました。これでお母さんが怪我をすることもないかなって、思ったので」

かなめ「そうなんだ……」

みほ「結果的に、今では戦車道は安全なスポーツになりましたし、選手人口の減少に歯止めがかかりました」

みほ「でも、今回の試合で……」

かなめ「逆に人気出ちゃうと私は思うけどな」

みほ「日本代表が負けたら、その影響は大きいような」

かなめ「マスコミがどう報じるかにもよるだろうけど、あんだけ必死に戦ってるみほたちのことを悪く書くことはないんじゃない?」

宗介「情報操作なら任せろ。こちらにはプロフェッショナルが揃っている」

みほ「い、いや!! そこまでしなくてもいいですから!! それに……」

かなめ「ん?」

みほ「今の私にはみんながいますから。戦車を取り上げられても、戦えると思います」

かなめ「強気じゃない」

みほ「戦車も勿論大切な仲間です。でも、沙織さんや華さん、麻子さん、優花里さん……。そして、大洗のみんながいれば、他の武器はいらないと思います」

宗介「そうか。そうだな。あれだけの仲間がいれば、戦車も取り戻せるはずだ」

827: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:46:26.53 ID:UzlN0cv5o
みほ「私たちはもう大丈夫です」

かなめ「そんなの最初から知ってる」

宗介「この結果は目に見えていた」

みほ「そ、そうですか」

宗介「西住。俺たちは明日、ここを離れる」

みほ「え……!? あ、そっか、試合の日まででしたよね……」

かなめ「うん」

宗介「見送りは結構だ。今はゆっくりと養生してくれと皆には伝えてくれ」

みほ「で、でも……」

かなめ「気にしないで。またいつでも会えるわよ」

みほ「そ、そうかもしれませんけど」

杏「おーい!! 西住ちゃーん、千鳥ちゃーん、相良くーん、学園艦にもどるよー」

みほ「は、はーい!!」

かなめ「今、いきまーす」

宗介「了解です」

828: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 18:57:37.34 ID:UzlN0cv5o
デ・ダナン 艦内

テッサ「カリーニンさん!! 一体、何をしているのですか!! 勝手なことはしないでください!!」

カリーニン「申し訳ありません。まさか皆が食中毒に陥ってしまうとは……。衛生面には最新の注意を払ったのですが……」

テッサ「そうじゃなくて!! 勝手にボルシチを振る舞うのがそもそもの間違いであってですね!!」

カリーニン「それは何故でしょうか」

テッサ「え……あー……えっと……ほ、ほら、私たちは一応極秘の傭兵部隊ですから、カリーニンさんが作ったものから、情報が漏えいしてしまうかもしれないじゃないですか!!」

カリーニン「……」

クルツ「苦しい言い訳だな」

マオ「少佐のボルシチについて言及はできないのよね。テッサ」

クルーゾー「何とも慈悲深いお人だ」

テッサ「で、ですから!! ボルシチを外で振る舞うのは禁止です!! いいですね!!」

カリーニン「了解です」

テッサ「はぁ……西住さんたちに謝りにいかなきゃ……」

カリーニン「情報の漏洩……ですか……」

テッサ(そうだわ。すぐにでもアマルガムと繋がっている人間がミスリル内部にいないか、調査をしないと。カリーニンさんの警戒システムを知っていた技術班から調べていきましょうか……。部下を疑いたくはないけど……)

829: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:09:52.31 ID:UzlN0cv5o
翌日 港

杏「もう一日ぐらい居てもいいんじゃない? 今日の夜、各校集まって盛大な打ち上げ会があるんだし」

かなめ「すみません。折角のお誘いなんですけど」

宗介「俺たちにも都合があります。ご理解ください」

みほ(ミスリルとしての任務が終了したから、ここには長く居れないのかな)

杏「そっか。なら、仕方ないね」

宗介「申し訳ありません、会長閣下」

優花里「殆どはまだ回復しきっていませんから、全員でお見送りができずですね」

華「残念ですわ」

麻子「無理もないな」

沙織「まだ……吐き気が……」

クルツ「大丈夫か、サオリ。よかったら、今晩ホテルにでもいかねえか。勿論、二人きりでな」

沙織「クルツさぁん……ど、どうしよう……打ち上げもあるし……」

マオ「高校生をナンパすな」グイッ

クルツ「いててて!! なんだよ!! これぐらいいいじゃねえか!!」

830: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:17:46.49 ID:UzlN0cv5o
マオ「これぐらいだぁ? あんたが風呂場を覗いていたこと、黙ってやってんのに、これぐらいもくそもないだろう」

クルツ「な、なんでそのこと……。あ!? あの落とし穴ってマオの仕業かよ!!」

杏「ああ、あれね。あれは河嶋にやらせたんだ。クルツくんが風呂場を覗くかもしれないっていう情報があったから」

クルツ「なんだとぉ!?」

華「不潔ですわ」

沙織「やだもー」

マオ「こういう奴だから、幻滅してくれて結構よ」

麻子「最初から射撃以外で信頼していなかったが」

クルツ「ひでぇぜ、マコ」

麻子「悪かったな」

かなめ「二ヶ月、お世話になりました」

杏「こちらこそ」

みほ「あ、あの! 相良さん!」

宗介「どうした」

みほ「これからも……その……あの……かなめさんを、守ってあげてください……」

831: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:22:38.69 ID:UzlN0cv5o
宗介「任せてくれ。だが、君たちのことも俺たちは守るつもりだ」

みほ「え……」

宗介「あれで全てが終わったと考えるのは楽観的すぎるからな」

みほ「みなさんがいるなら、安心です」

宗介「そうか」

マオ「それじゃ、行きましょ」

沙織「ちょ、ちょっと待って!! 一枚だけ!! 写真とろー!!」

クルツ「お、いいじゃねえか」

沙織「みんな並んで並んで!! 今からセットするから!!」

麻子「最初にしておけ」

沙織「いいでしょー!! ほら、いくよー!! んー? よーし!! セット完了!!」テテテッ

沙織「きゃ!?」ズデーン!!!

みほ「沙織さん!? 大丈夫!?」

かなめ「ちょっと、平気なの?」

沙織「いたた……。ヘーキ、ヘーキ。って、ほら!! 前見て!! 急がないとシャッターが!! はい、ポーズ!!」

832: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:29:04.06 ID:UzlN0cv5o
杏「行っちゃったな」

みほ「はい」

杏「そうそう、みんなぁ。今から引き継ぎを始めよっか」

みほ「え? ひきつぎ?」

杏「そう。引き継ぎ。色々と見てほしい資料があるから、今からやっておかないと私が卒業するまでに間に合わないんだよねぇ」

みほ「え、えぇぇ……?」

沙織「なになに、どういうこと?」

優花里「この資料、全部生徒会が保有しているものではないですか」

華「学園艦の詳細が載っていますね」

麻子「まるで生徒会の引継ぎみたいだが」

杏「そだよ」

みほ・沙織・華・優花里「「えぇぇぇ!?」」

麻子「意味が分からない」

杏「秋山ちゃんが言ったよね。我々、あんこうチームが会長の意志を引き継ぎます!!って」

優花里「あぁ、た、確かにいいましたけどぉ……」

833: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:35:04.02 ID:UzlN0cv5o
杏「いやぁ、助かるよ。私が三年間も会長しちゃったせいで、誰もやりたがらなくてさぁ」

みほ「で、でも、私たちが生徒会なんて……」

杏「勿論、会長は西住ちゃんね」

みほ「む、無理です!! 無理無理!!」

杏「だーいじょーぶ。私ができたんだから、西住ちゃんでもできるって」

みほ「そんなぁ……」

優花里「西住殿が会長をやるのなら私は副官となります!!」

沙織「あ、私は広報しちゃおうかなぁ」

麻子「会計ぐらいなら」

華「わたくしはどうしましょう」

みほ「なんでみんなやる気なの!?」

沙織「みぽりんが会長なら、生徒会も楽しいかなぁって」

みほ「うぅ……」

杏「西住ちゃんだから、お願いしたいんだ。これからの学園艦をね」

みほ「……わ、分かりました。会長、やります!!」

834: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:42:52.12 ID:UzlN0cv5o
ケイ「へえ、あのミホが会長だって。これは面白そうね」

ダージリン「これからが楽しみですわね」

エリカ「会長で隊長か……」

まほ「エリカ?」

エリカ「は、はい?」

まほ「貴方も来年は隊長として黒森峰を引っ張っていくことになる」

エリカ「え……あ……」

まほ「今度は勝ちなさい」

エリカ「ま、任せてください!! 黒森峰を優勝に導きます!!」

まほ「期待している」

ダージリン「こちらでも引継ぎが完了したようですわね」

ケイ「私も言っておかないと。アリサに」

ダージリン「さて、未来の隊長の様子でも見に行きましょうか」

ケイ「それってペコのこと?」

ダージリン「さぁ、どうでしょうか」

836: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 19:52:02.75 ID:UzlN0cv5o
文部科学省学園艦教育局 会議室前

蓮「お見えになられました」

敦信「遅かったね」

杏「西住ちゃんにお願いしちゃった。来年度の会長を」

敦信「良い答えが貰えたようだな」

杏「うん。こりゃ、何が何でも存続させなきゃ、締まらないね」

敦信「その件だが、どうやら我々と同じ考えを持つ人がいたようだ」

杏「同じ……?」

『ふざけるな!!!』

杏「おぉ」

敦信「先約があるのでと待たされたために、こうして様子を伺っていたのだが、時折怒号が聞こえてきてね。内容は大洗学園艦の存続と教育局への弾劾だ」

杏「誰がそんなことしてくれるのか興味あるねぇ」

敦信「ここで聞いていればどういう人物なのかは見えてくる」

『貴様たちは金に目がくらみ、少女たちの未来を潰しているのだぞ!! 何故、それがわからん!!! 少女たちは二度も約束を守った!! なのにお前たちは二度も反故にするか!!!』

『もしここで廃校を推し進めるのであれば!! この資料をマスコミに公表する!! 個人名も全て晒してやるつもりだ!!! 少女らと運命を共にしろ!!!』

837: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 20:29:29.48 ID:UzlN0cv5o
マデューカス「いいか!! これ以上、この話を引き延ばすというのであれば!! 我々は断固として戦うつもりだ!!!」

マデューカス「分かったな!!!」

バタンッ!!

マデューカス「――全く。この国は腐っている」

杏「にひぃ」

マデューカス「これはこれは。ミズ・カドタニ。こんなところまで何用で」

杏「相良くんの友達っすか」

マデューカス「サガラ……? いや。私は海外の新聞社に勤める者ですよ。日本の戦車道のことを取材していた」

敦信「海外の?」

マデューカス「大洗の活躍を記事にしたいと思い、来日したのですが、出てくるのは黒い噂を事実のみ。今日は糾弾するためにここへきたしだいで」

杏「そうなんっすか」

マデューカス「それで、二人は何故、ここへ?」

杏「全部言ってくれたみたいだから、もういいよ。スッキリした」

敦信「感謝いたします」

マデューカス「そうですか。お役に立てたのなら光栄です。それでは失礼」

838: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 20:31:09.38 ID:UzlN0cv5o
>>837
マデューカス「大洗の活躍を記事にしたいと思い、来日したのですが、出てくるのは黒い噂を事実のみ。今日は糾弾するためにここへきたしだいで」

マデューカス「大洗の活躍を記事にしたいと思い、来日したのですが、出てくるのは黒い噂や事実のみ。今日は糾弾するためにここへきたしだいで」

839: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 20:37:37.40 ID:UzlN0cv5o
敦信「どう思うかね」

杏「相良くんの友達だね」

敦信「だろうね」

杏「最後まで相良くんには守ってもらっちゃったな」

敦信「与えられた仕事は完璧にこなす。それが彼だ」

杏「みたいだな」

敦信「そろそろ行こうか、美樹原君」

蓮「はい」

杏「林水! ありがとー!!」

敦信「大洗女子学園に幸あれ」

杏「気障な奴」

敦信「今回は少々肩入れしすぎたね」

蓮「角谷さんのこと気に入っていらっしゃるのですね」

敦信「私は努力する者の味方だからね」

蓮「きっと想像できないほどに角谷さんは頑張られたのですね。貴方がここまで応援してしまうほどに」

840: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 20:47:24.16 ID:UzlN0cv5o
陣代高校 教室

恭子「あー!! かなちゃんだー!! ひさしぶりー!!」

かなめ「一昨日に試合会場であったでしょ」

恭子「ここで会うのは久しぶりだよ」

かなめ「あー、はいはい。そうね」

宗介「うーむ……」

かなめ「おっはよ、ソースケ。なにしてるの?」

宗介「千鳥か。いや、写真を現像してみたのだ」

かなめ「写真ってクルツくんにあげるやつ?」

宗介「肯定だ。データとしては既に渡しているがな」

かなめ「なんで現像したのよ」

宗介「常盤に言われた。アルバムにすることも大事だとな」

恭子「こういう思い出はちゃんと形にして置いてたほうがいいからね」

かなめ「まぁ、そうよね。でも、あんたの写真、偏ってない?」

宗介「そうか? 俺はクルツに言われた通りの写真を撮ったつもりだが。ちゃんと選手の写真をな」

841: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 20:55:36.95 ID:UzlN0cv5o
デ・ダナン 艦内

クルツ「これもダメ……これも使えねえ……これも写ってすらねぇ……」

クルーゾー「何をしている、軍曹」

クルツ「だー!!! ソースケのやろう!!! この二か月間、なにしてやがったんだ!!!」

マオ「どれどれ……」

クルーゾー「ふむ。ピントが全て戦車に合わせてあるな」

マオ「こっちは戦車しか写ってないわね」

クルツ「こんなんじゃあ!! 交渉事につかえねえじゃねえか!!!」

マオ「交渉事ってなに?」

クルーゾー「戦車道選手の生写真でどのような情報が得られるというのだ」

クルツ「戦車道のファンは世界中にいるんだぜ。選手の油断した姿の写真とかありゃあ、そりゃあもう良質な情報が……」

マオ「あー、くだらない」

クルーゾー「……アメリカドルだったな。軍曹」

クルツ「はい?」

クルーゾー「このニシズミミホにカドタニアンズが抱きついている写真が欲しい。いや、これは戦闘記録の一部として保管しておくつもりであって、深い理由はなにもない」

842: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:00:11.12 ID:UzlN0cv5o
陣代高校

恭子「これこれ、隊長がみんな写ってる写真もどーぞ」

宗介「いいのか」

恭子「もっちろん」

かなめ「大変だったけど、楽しかったわね」

宗介「そうだな」

かなめ「あ、これこれ。いきなりソースケってばこんなことしちゃうんだもん」

恭子「なに、この写真。グラウンドがボコボコだね」

かなめ「ソースケが地雷原にしちゃったのよ」

宗介「……」

恭子「えー、怪我した人とかいなかったの?」

かなめ「幸いにもね」

宗介「うぅ……」

かなめ「ソースケ?」

宗介「まずい、まずいぞ、千鳥。俺としたことが、忘れていた……」

845: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:05:42.78 ID:UzlN0cv5o
大洗女子学園 生徒会室

杏「昨日までの賑やかさが嘘みたいだな」

みほ「そうですね」

杏「西住ちゃんはこれからが大変だけどね」

みほ「はい……」

杏「もう相良くんと千鳥ちゃんはいないのかぁー」

桃「あのような常識の欠片もない男は大洗には不要です。戦術アドバイザーとしては……その……」

柚子「桃ちゃん、素直にならなきゃ。ホントはもっと居てほしかったんでしょ」

杏「河嶋は相良くんみたいな人がタイプかぁ」

桃「ぜんぜん違います!! 柚子も余計なことをいうな!!!」

柚子「あーん」

みほ「でも、やっぱり寂しいですよね」

杏「うん。もう爆発音が学園艦で鳴り響くことはな――」

ドォォォォォォン!!!!!!

みほ「え!? な、なに!?」

846: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:11:41.16 ID:UzlN0cv5o
グラウンド

ドォォォォォン!!!!!

典子「うわぁぁぁ!!!」

妙子・あけび・忍「「キャプテーン!!!」」

桂利奈「なにがあったんですかー!!」テテテッ

あゆみ「桂利奈ちゃん!! そこ危ない!!」

桂利奈「え?」カチンッ

ドォォォォォォォン!!!!

梓「桂利奈ちゃぁぁぁん!!!」

カエサル「なんだ!! 何が起こっているんだ!!!」

おりょう「なんという惨劇……」

エルヴィン「これが奴らの答えということなのか」

左衛門佐「今、私たちは試されているでござる」

沙織「事件だー!! 事件だよ、これー!!!」

みどり子「もー!!! どこまで風紀を乱せば気が済むのよー!!!」

847: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:17:51.38 ID:UzlN0cv5o
デ・ダナン 艦内

テッサ「各学園艦への警護体制は一か月もあれば整いそうですね」

マデューカス「ええ。向こうも簡単には手を出せないでしょう」

テッサ「しかし……」

テッサ(まだ内通者らしき人物は発見できていない。注意しておかないと)

マデューカス「我々がついています。艦長。心配は不要でしょう」

テッサ「ですね。私たちなら……」

カリーニン「大佐殿。大洗学園艦で爆発があった模様です」

テッサ「な、なんですって!?」

マデューカス「バカな。我々の警戒網は盤石にしたはず」

テッサ(ミスリルの深部にまでアマルガムの息がかかっているとしたら……!!)

カリーニン「いえ。恐らくはサガラ軍曹が残していった地雷を生徒が起爆させたのでしょう」

テッサ「え?」

マデューカス「サガラ軍曹が……なんだと……」

カリーニン「地雷の撤去作業がまだ終わっていなかったようです。彼女たちで除去作業を始めてしまったのかもしれません」

848: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:24:39.10 ID:UzlN0cv5o
陣代高校

かなめ「この軍事バカぁ!!!!」スパーン!!!!!

宗介「痛いじゃないか」

かなめ「どーすんのよ!!! 今頃、大洗女子学園でドッカンドッカンと……!!」

宗介「いや、しかし西住であれば地雷の設置個所程度は見抜けるはずだ。問題ない」

かなめ「大アリよ!!!」

恭子「あれ、電話だ。お! さおりんからだー。はーい、もっしもーし」

沙織『恭子!? あの、相良さんいるかなぁ!? こっちではもうなんか――』

『ドォォォォォン!!!!』

『うわぁぁぁ!!!』

沙織『みんなー!! あの!! 相良さんをもう一度大洗に――』

『ドォォォォォン!!!!!』

恭子「あれ!? さおりん!? さおりーん!! き、きれちゃった……」

かなめ「す、すぐに行くわよ!! 大洗に!!!」

宗介「了解した!!!」

849: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2016/01/22(金) 21:30:45.63 ID:UzlN0cv5o
大洗女子学園

杏「なんかめちゃくちゃだねぇ」

典子「おぉぉ……」

柚子「見ていないで手伝ってください!!」

カエサル「救護班ー!!!」

妙子「キャプテン!! しっかり!!」

沙織「一応、恭子には連絡できたけど……」

みほ「相良さんの到着を待ちましょう」

麻子「それがいい」

華「相良さんの名残がこんなところにあったとは、少しうれしいです」

優花里「これはきっと私たちのために残してくれたものなんですよぉ。地雷原を突破するぐらいの度胸をつけろということでしょう」

みほ「それはないんじゃないかな……」

杏「まだまだ落ち着けないね」

みほ「あはは……。今度は地雷の撤去方法もアドバイスしてもらいましょう」


END