1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:36:07.29 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ええ。私の大切な人の絵よ」

引用元: ほむら「絵を描いているのよ」 

 

6: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:42:14.92 ID:P/BNOVjY0
ほむら「よし。この絵はこんなところね」

ほむら「初めの内よりはだいぶマシになってきたかしら……」

ほむら「次はどんな構図にしましょう」

杏子「おっ、ほむらじゃん!」

ほむら「あら杏子」

杏子「何してんの?」

ほむら「絵を描いているのよ。ほら」

杏子「ふーん……。案外上手いじゃん」

8: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:45:31.77 ID:P/BNOVjY0
杏子「で、モデルは誰なのこれ?」

ほむら「私の大切な人よ」

杏子「へーっ。ほむらがそんな言い方する相手なんて、どんな奴なんだろうな」

ほむら「貴女から見ればきっと普通の子よ」

杏子「ふーん……。まあさ、また今度機会があったらあたしにも会わせてくれよ」

ほむら「たぶん一度は会う機会があると思うわ」

杏子「んじゃ、その時を楽しみにしておくよ」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:49:57.05 ID:P/BNOVjY0
マミ「また絵を描いているの?」

ほむら「ええ」

マミ「そんなに楽しいものなのかしら?」

ほむら「そう楽しくもないわ。でも他にやりたいこともないから」

マミ「そっか……」

マミ「あっ、さっき買ったんだけど、よかったらこれあげるわね」

ほむら「缶の紅茶?」

マミ「外で絵なんて描いていたら冷えるでしょう?」

ほむら「ありがとう……」

13: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:54:26.42 ID:P/BNOVjY0
マミ「いつも同じ女の子を描いているのね」

ほむら「そうね」

マミ「どう? たまには私も絵のモデルにしてみたり?」

ほむら「遠慮しておくわ」

マミ「つれないんだから……」

ほむら「だって彼女を描かなければ意味が無いんだもの」

マミ「そう頑なに拒否されると……、逆に意地でも自分を描いて欲しくなっちゃうな」

ほむら「はいはい」

マミ「本当に、つれないわねー」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 00:56:09.82 ID:P/BNOVjY0
杏子「よっこいしょ、と」

ほむら「その画用紙と色鉛筆は……」

杏子「アンタを見てたらあたしもやってみたくなってさ」

杏子「隣、いいだろう?」

ほむら「構わないわよ」

15: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:00:29.63 ID:P/BNOVjY0
杏子「ああああっ! 上手くいかねえー!!」

ほむら「確かにこれは酷いわね」

杏子「うっせえ!」

ほむら「さやかを、描いていたの?」

杏子「なんで疑問形なんだよ!? どっからどう見てもさやか……、でもないか、この画力だと」

ほむら「……心配ないわ」

杏子「へっ?」

ほむら「貴女がさやかのことを描きたいと思い続ける限り、きっとみるみる絵は上手くなる」

杏子「どうして分かるんだ?」

ほむら「強い気持ちは飲み込みの早さを変えるのよ」

杏子「まるで体験してきたみたいなレベルの言いきり方だなー」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:02:57.34 ID:P/BNOVjY0
それ以来、佐倉杏子は、よく私の隣に座っては、さやかの絵を描くようになった

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:05:49.08 ID:P/BNOVjY0
マミ「今日はケーキを差し入れに持ってきたわよ!」

ほむら「ケーキって野外で食べるものかしら……」

マミ「いいのよそんなのは。美味しいものはどこで食べても美味しいの!」

ほむら「もぐもぐ」

マミ「って、私が喋ってる間にもう食べてるじゃない! あんなこと言ってた癖に!」

ほむら「美味しいケーキね」

マミ「そう……。ありがとう」

ほむら「ねえ。マミはやりたいことってある?」

マミ「やりたいこと?」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:11:23.37 ID:P/BNOVjY0
マミ「私は魔獣を退治することで、なるべく多くの人を助けたいな」

ほむら「魔法少女としてやりたいことではなく、巴マミとしてやりたいことはないの?」

マミ「へっ? ……そう言われてみると、うーん」

ほむら「……」

マミ「やりたいことは沢山ある気がするのだけれど、咄嗟には思いつかないわね」

ほむら「そう」

マミ「ああ、でも1つだけ、楽しみなことはあるわ」

ほむら「どんなこと?」

マミ「秘密よ」

ほむら「なら、それが何かは分からないけれど――――」

ほむら「やりたいことはやれる内にやっておいた方がいいわよ」

ほむら「私は気付くのが遅すぎて、本当にやりたいことをできなくなってしまったから」

マミ「……」

ほむら「絵なんて、所詮は代替手段の出来損ないに過ぎないのよ……」

21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:12:17.40 ID:P/BNOVjY0
それ以来、巴マミは、よく自作のお菓子を持ってきては、私に味の感想を尋ねるようになった

22: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:16:46.69 ID:P/BNOVjY0
杏子「どうだほむら!」

ほむら「最初を思えば上達したわね」

杏子「だろ!」

ほむら「でも私と比べるとまだまだだわ」

杏子「ぐっ……」

ほむら「ねえ、杏子」

杏子「ん?」

ほむら「私達こんなことしてて、意味、あるのかな……」

杏子「いきなり随分な質問だね、おい」

25: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:23:52.29 ID:P/BNOVjY0
ほむら「私達がこんなことをしても、描かれた少女は何も得ない」

杏子「そりゃそうだ」

ほむら「こんな自己満足を続ける意味あるのかなって、最近ちょっと考えることがあるんだ」

杏子「……意味、あるじゃん」

ほむら「えっ?」

杏子「自己満足だって1つの立派な理由だよ」

ほむら「……」

杏子「あたし、さやかのこと忘れたくないんだ。忘れたくないから、絵を描いてる」

杏子「こんなことして誰が喜ぶでもないし、描いても描かなくても世界はちっとも変わらないけどさ」

杏子「忘れたくないって気持ちは少しだけ満たされる」

杏子「それでいいじゃん」

ほむら「……そうね。貴女の言う通りかもしれないわ」

ほむら「それにしても、自己満足を正当化するだなんて、まったく貴女らしい論理展開ね」

杏子「どういう意味だよ!」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:25:10.99 ID:P/BNOVjY0
それから3日後、杏子は、魔獣との戦いで命を落とした
私の隣は永遠の空席になった

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:29:03.61 ID:P/BNOVjY0
ほむら「絵を描いているのよ。ほら」

ほむら「ええそう、モデルは私の大切な人よ」

ほむら「……それから」

ほむら「仕方が無いから、貴女と、貴女の大切な人ものことも描いてあげているわ」

ほむら「忘れたくなかったんだよね、美樹さやかのこと」

ほむら「私がちゃんと覚えていてあげるから……」

ほむら「もちろん主役はまどかだけど、貴女とさやかも、絵のどこかに必ず入れてあげるから」

ほむら「だからゆっくり休んでね、杏子」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:32:48.06 ID:P/BNOVjY0
マミ「最近、美樹さんや佐倉さんのことも描くようになったのね」

ほむら「ええ。心境の変化があったのよ」

マミ「そうなんだ……」

マミ「あっ、今日の差し入れはチョコタルトよ!」

ほむら「もういただいているわ。もぐもぐ」

マミ「遠慮が無いわね……」

ほむら「ほろ苦くて甘すぎない、思い切り私好みの味ね」

マミ「本当!?」

ほむら「ええ。とても美味しいわ」

マミ「よかった!」

ほむら「……ねえ、マミ」

マミ「うん?」

ほむら「次の絵のモデルになってみない?」

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:41:29.96 ID:P/BNOVjY0
ほむら「あまり動かないでね。かきかき……」

マミ「絵を描いて欲しいとは確かに以前言ったけれど、どうしてまた突然?」

ほむら「したいことはできる内にしておきたいのよ」

マミ「……そうね。いつまでこうしていられるかは、分からないものね」

ほむら「……」

マミ「……」

ほむら「マミ」

マミ「ええ」

ほむら「今度はショートケーキが食べたいわ」

マミ「あら。リクエストだなんて珍しい」

ほむら「その次はシュークリーム、そのまた次はモンブラン、更に次は―――」

マミ「ちょっとちょっと! 本当にどうしたの!?」

ほむら「……」

マミ「暁美さん……?」

ほむら「マミは、いなくならないで……」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:47:33.31 ID:P/BNOVjY0
マミ「じゃあ、こうしましょう」

ほむら「……?」

マミ「スケジュール帳を買ってきて、1年先まで差し入れの予定を立てちゃうの」

ほむら「1年分の予定……」

マミ「5年先まででも、10年先まででもいい」

マミ「こうやって予定を立てれば、お互い約束を破るわけにはいかないものね」

マミ「これで意地でも死ねなくなるわ」

ほむら「……そうね」

マミ「さ、そうと決まればさっそくスケジュール帳を買いにいきましょう!」

37: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:49:35.67 ID:P/BNOVjY0
それから1週間後、マミは、魔獣との戦いで命を落とした
以来、美味しい差し入れがもらえることは二度となかった

42: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 01:54:46.05 ID:P/BNOVjY0
ほむら「今日はロールケーキの日よ、マミ」

ほむら「コンビニで買ってきたわ」

ほむら「もぐもぐもぐ」

ほむら「マミのつくったものの方が何倍も美味しかったわね」

ほむら「絵もにぎやかになってきたんだよ」

ほむら「まどかがいて、さやかがいて、杏子がいて、マミがいる」

ほむら「マミは独りぼっちなんかじゃないよ」

ほむら「だから寂しくなんてない、孤独なんかでもない」

ほむら「……貴女の楽しみにしていたことって、けっきょく何だったのかしら」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:00:32.83 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」

ほむら「かきかきかき」

ゆま「何してるの?」

ほむら「……」

ゆま「なーにーしーてーるーのー?」

ほむら「……絵を描いているのよ」

ゆま「絵? ああっ、キョーコだ!」

47: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:01:35.51 ID:P/BNOVjY0
ほむら(そういえば彼女は、キョーコの弟子のような存在だったわね)

ほむら「その絵はあげるからどこかへ行ってちょうだい」

ゆま「ねえ、キョーコのこと知ってるの!?」

ほむら「お願い……、どこかへ行って……」

ゆま「うー……、分かった」

ゆま「絵、ありがとう。またくるね!」

ほむら「……」

50: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:04:19.70 ID:P/BNOVjY0
それ以来、千歳ゆまは、よく私の後ろに座っては、私に話しかけてくるようになった

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:05:39.31 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」

ゆま「ふんふん」

ほむら「かきかきかき」

ゆま「おねえちゃん、上手だねー!」

ほむら「かきかきかき」

ゆま「ねえー! ねえったらー!」

ほむら「かきかきかき」

ゆま「ううー」

ほむら「……ねえ、ゆま」

ゆま「あれ? お姉ちゃんどうしてゆまの名前知ってるの?」

55: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:11:52.62 ID:P/BNOVjY0
ほむら「……杏子から、聞いたのよ」

ゆま「あ、そうなんだ! キョーコはわたしのことなんて言ってた!?」

ほむら「妹のようだって、言っていたと思うわ」

ゆま「えへへ、そっかー。キョーコがお姉ちゃんかー」

ほむら「貴女は……、人と仲良くなるのが、怖くないの?」

ゆま「えっ?」

ほむら「私は怖いわ……。私と仲の良かった人は、皆いなくなってしまった」

ほむら「寂しくて、辛くて……、もう同じ悲しみを味わうのは、とても怖くて……」

ゆま「……うん、分かるよ。ゆまもキョーコがいなくなっちゃって、たくさん泣いたもん」

ゆま「でもでもでもね! キョーコとあって、たくさん楽しいこともあったの!」

ゆま「だからわたし、キョーコと会えてよかった!」

ほむら「……」

ゆま「お姉ちゃんはキョーコと会わない方がよかったと思うの?」

ほむら「!!」

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:17:57.10 ID:P/BNOVjY0
ほむら「私ね、私……」

ほむら「会えてよかったよぉ……」

ゆま「うん」

ほむら「杏子と、さやかと、マミと……、まどかと、会えてよかった……」

ほむら「うっ、ぐすっ、うぅぅ……」

ほむら「会わない方がよかったなんて……、思えない、よ……」

60: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:18:58.19 ID:P/BNOVjY0
ゆま「よしよし」

ゆま「えへへへっ。キョーコがね、ゆまが泣いてると、よくこうして頭を――――」

ほむら「……」ギュウッ

ゆま「お姉……、ちゃん……?」

ほむら「ほむらっていうの……、私……」

ゆま「……」

ほむら「だから今度からほむらって呼んで、ゆま……」

ゆま「……うんっ! ほむら!」

62: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:21:53.39 ID:P/BNOVjY0
それから、私はゆまと共に魔獣を狩るようになった
絵を描く時も、いつも傍にべったり、彼女を置くようになった

66: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:24:10.77 ID:P/BNOVjY0
ほむら「かきかきかき」

ゆま「キョーコでしょー、マミでしょー、さやかでしょー」

ほむら「かきかきかき」

ゆま「それでこれがマドカー!」

ほむら「ふふっ。すっかり覚えちゃったね」

ゆま「えへへ。ゆま凄い?」

ほむら「うん、凄い凄い。よしよし」

ゆま「わーい!」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:28:38.97 ID:P/BNOVjY0
ほむら「さあ、お待ちかねのおやつの時間よ」

ゆま「やったー!」

ほむら「今日はチョコケーキ」

ゆま「またコンビニ?」

ほむら「贅沢言っちゃ駄目よ」

ゆま「はーい。……えへへ」

ほむら「どうしたの?」

ゆま「うんとね、怒られてるのに怖くないから、嬉しくなったの」

ほむら(ああ……。そういえば、いつだか杏子が言ったいたっけ)

ほむら(どうもアイツは親から虐待を受けていたようだ、って)

69: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:33:22.82 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ゆま」

ゆま「うん!」

ほむら「家族に……、なろっか」

ゆま「……」ポカーン

ゆま「えっ……? 家族……?」

ほむら「うん、私達家族になろうよ。それでずっとずっと、一緒に暮らすの」

ゆま「いいの!?」

ほむら「ゆまさえよければ、私は」

ゆま「わーい!! 家族! 家族! ほむらとかぞくー!」

ほむら「よろしくね、ゆま」

ゆま「うん!!」

72: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:39:56.59 ID:P/BNOVjY0
ほむら「そうだ。せっかくだし今度家族旅行でもしてみない?」

ゆま「かぞく……、りょこう……?」

ほむら「そうよ。家族で一緒に、遊びに行くの」

ほむら「遊園地とか、動物園とか、温泉とか、どこでもいいわ」

ゆま「それじゃあね。わたしは、ホッカイドーに行ってみたい!」

ほむら「北海道?」

ゆま「うん! キョーコが、あそこは美味しいものが沢山あるって言ってたから!」

ほむら「そう、杏子が……。それなら家族旅行第一弾は北海道で決まりね」

75: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:43:05.87 ID:P/BNOVjY0
家族旅行の前日、私は、魔獣の攻撃により全身を10に分断された
しかし私は死ななかった

78: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:47:47.66 ID:P/BNOVjY0
ほむら(あ、れ……?)

ほむら(私、もう駄目だと、思ったのに……)

ほむら(身体がばらばらに……、ばらばら……)

ほむら「っ!? まさか、ゆまが!?」

ゆま「よかった……。ほむら、気がついた……」

ゆま「ゆまの魔法はね……、ケガを、治す魔法だから……」

81: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 02:52:52.33 ID:P/BNOVjY0
ほむら(全身にレーザーで貫かれたような穴がある……)

ほむら(私をっ! 私を治癒しながら、魔獣と戦ったから!)

ほむら「どうしてこんな無茶をしたの!?」

ゆま「だって、家族だもん……」

ほむら「っ……!!」

ゆま「えへへ……、ゆま、役に立てた、かな……」

ほむら「……うん。ゆまのおかげで、助かったよ」

ゆま「じゃあ、いいこいいこ……、してくれる?」

ほむら「うんっ! うんっ! いくらだってするよ!」

ゆま「ふふっ。ほむらのよしよし、気持ちいいから好き……」

ほむら「いくらだってなでるから、いかないでよ、ゆまぁ……!」

85: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:01:46.39 ID:P/BNOVjY0
ゆま「ホッカイドー……、行きたかったなぁ」

ほむら「行けるわよぉ……」

ゆま「でもっ、……ね、ほむら……」

ほむら「どうしたの?」

ゆま「本……とう、は……、ゆま、ね……」

ほむら「ちゃんと聞いてるからね」

ゆま「ホッカイドー……、よりも……」

ほむら「うんうん」

87: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:03:31.41 ID:P/BNOVjY0
ゆま「ねえ……、だっこ、して」

ほむら「えっ……? 分かったわ、だっこね!」

ゆま「……」

ほむら「ちょっとゆま!? ゆま!?」

ゆま「……ほむ、ら? どこ……?」

ほむら「ここにいるよ。私はちゃんとここにいるからね」

ゆま「よかっ、た……」

ほむら「ゆま……」

ゆま「ホッカイ……ド……、より、も……」

ほむら「うん」

ゆま「ゆまはここが一番、好き……」

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:04:52.69 ID:P/BNOVjY0
「ほむらのそばが、一番好き」

そう言ってほほ笑んで、ゆまは消滅した

92: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:09:25.19 ID:P/BNOVjY0
ほむら「ねえ、ゆま。ここが北海道だよ」

ほむら「1人だと寒くって、凍えちゃう」

ほむら「2人ならぎゅって手を繋いで暖めあえたのにね……」

ほむら「一緒に……、行きたかった、なぁ……」

ほむら「……うっ、ううっ」

ほむら「誰か、助けて……」

ほむら「助けてまどかぁ……」

ほむら「助けてよぉ……」

96: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:13:17.77 ID:P/BNOVjY0
―――その時

天から桃色の光が、私の目の前へと降り注いだ
それは涙が出るほどあたたかくて、懐かしくて、愛おしくて、

「よく、頑張ったね」

ぽたぽたと雪の上に涙が零れおちた

100: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:16:34.93 ID:P/BNOVjY0
ほむら「まど、か……?」

まどか「うん。そうだよ、ほむらちゃん」

ほむら「まどかあああっ! 私、私ねっ、私……!」

まどか「大丈夫。全部見てたよ」

ほむら「まどかぁ……」

まどか「頑張ってくれてありがとう、ほむらちゃん」

ほむら「私は……、私……」

まどか「でも、もういいの。一緒に行こう。ねっ?」

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:19:12.05 ID:P/BNOVjY0
まどかから差し出される、救いの手
握りしめたかった
そうして、辛いことがたくさんあったこの世界から、逃げ出したかった
まどかのいる温かい場所へ行きたかった
でも、私は……、

「まどか、私はこの世界が好き」

102: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:22:15.92 ID:P/BNOVjY0
まどか「ほむらちゃん……?」

ほむら「昔の私はこの世界のことが好きじゃなかった」

ほむら「悲しみと憎しみばかりを繰り返す、救いようのない世界だと思った」

ほむら「まどかが守ろうとした世界だから……」

ほむら「それだけの理由で、私はこの世界を守ろうとした」

ほむら「でも、ね……」

ほむら「ここでは素敵な出会いが沢山あったの」

105: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:25:46.71 ID:P/BNOVjY0
『アンタを見てたらあたしもやってみたくなってさ』


ほむら「杏子と一緒に絵を描くの、とっても楽しかったんだよ」

ほむら「あの子ったら最初はとっても絵が下手で……」

ほむら「でも、だんだん上達していくのを見るのが、なんだか微笑ましくて」

ほむら「不器用だけどいい子だった」

ほむら「さやかと、今頃仲良くやってるといいな」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:28:58.90 ID:P/BNOVjY0
『ああ、でも1つだけ、楽しみなことはあるわ』


ほむら「今なら……、マミのやりたかったこと、分かるような気がする」

ほむら「それはきっと、いつの間にか私にとっても楽しみになっていたこと」

ほむら「マミのお菓子、大好きだった」

ほむら「でもそれ以上に……、マミとお話しするのが、好きだった」

ほむら「今でも大切な先輩。会えてよかった」

107: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:31:25.68 ID:P/BNOVjY0
『何してるの?』


ほむら「ゆまには……、最初は冷たく当たっちゃったっけ」

ほむら「でも、あの子が気がつかせてくれた」

ほむら「人との出会いって、素敵なものなんだって」

ほむら「撫でられたり、教えられたり、どっちがお姉さんか分からなくなっちゃうね」

ほむら「大切な、家族」

110: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:38:10.09 ID:P/BNOVjY0
ほむら「だからね、まどか」

まどか「うん」

ほむら「もう本当に戦えなくなるその時まで、私はこの、素敵な世界を守りたい」

ほむら「私の意思で、守りたいの」

まどか「……尊敬、しちゃうな」

ほむら「えっ……?」

まどか「わたしは……、本当は少し、後悔してた」

111: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:41:48.50 ID:P/BNOVjY0
まどか「最初から結果は予想できていた筈なのに……」

まどか「世界を改変しても、それで不幸が無くなるわけじゃなくって」

まどか「自分のやっていることに意味があるのか、だんだん分からなくなりそうで」

ほむら「まどか……」

まどか「でもねっ!」

まどか「こんなに素敵な、尊敬できるほむらちゃんに、知っていてもらえるなら……」

まどか「わたしも、もう少し頑張れそう!」

ほむら「そう言ってもらえると、凄く……、嬉しい」

ほむら「大好きなまどかの力になれるなんて、凄く凄く、嬉しいよ……」

まどか「わたしはずっとほむらちゃんに支えられていたんだよ」

ほむら「まどかぁ……、私もだよ」

ほむら「私も、まどかとの出会いがあったからこそ……」

112: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:42:15.16 ID:P/BNOVjY0
まどか「それじゃあ、またいつか、会おうね」

ほむら「ええ。そうしたら今度は一緒に絵でも描きましょう」

まどか「そうだね……。ふふっ、楽しみだな」

114: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:49:32.60 ID:P/BNOVjY0
――――


「何をしているんですか?」

新米らしき魔法少女が問う

「絵を描いているのよ」

私はそう答える
キャンバスの中には、数え切れないほどの、人

115: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/11/28(月) 03:50:41.31 ID:P/BNOVjY0
あれから、何度も何度も出会いを繰り返し、同じだけの数の別れを経験した
その度に笑ったり、泣いたり、傷ついたりを繰り返して
キャンバスの中の魔法少女は、日に日に増えるばかりで

「素敵な絵ですね……」

「貴女も一緒に描いてみる?」

「えっ!? で、できるかなあ、私に……」

「できるわよ」

「それなら……」

だけどやはり出会いというものは、どれもかけがえがない


だから今日も私は、キャンバスに筆を走らせる
大好きなこの世界を、形にする



おわり