2: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:35:10.66 ID:4/WztdQx0


ケホケホ

ピピピピ

小早川紗枝「……37.8度」

コテン

紗枝(あかん、熱見たら余計に頭ぼーっとなってきたわぁ……)

ケホケホ

紗枝(これ、いんふるえんざやったらどないしよ……注射はうっとるけど……)

コンコン

紗枝(んーだれー? こないなときに……寝てるふり……)

コンコン

紗枝(しつこいわあ……寮生の誰かやろ。今日は勘弁してや)

コンコン

紗枝「だれー、あいてますえ……」

ガチャ


引用元: 【モバマスSS】 藤原肇と熱の日 


 

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3: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:35:45.72 ID:4/WztdQx0



藤原肇「寮の中とはいえ、鍵は開けたまま、ですか」

紗枝「あー肇はん。安全やあ、みんなええ子やし」

肇「一人暮らしする時が来たら、気をつけてくださいね」

紗枝「はいはい、今は許してやぁ」

肇「……はぁ」

紗枝「なにー? 部屋入っていきなりため息て。用ないんやったら、今日は」

肇「やっぱり、風邪でしたか」

ピト

紗枝「ひゃ、肇はん、手ぇつめた」

肇「私の手が冷たいというより、紗枝ちゃんのおでこが熱いですね」

紗枝「……37.8度」

肇「測ってはいたんですね。なかなかな高熱じゃないですか」

紗枝「頭ぼーっとしてかなわんわぁ」

肇「まったく、昨日から変だとは思ってたんですよ」

紗枝「……そお?」

肇「一緒にお風呂入ったときもおっとりしてましたし」

紗枝「べつに、それはいつもやろ?」

肇「いつも以上に。髪もあんまり乾かしてないのに、乾いたってそそくさと部屋に帰っちゃうし」

紗枝「……はよ休みたかったん」

肇「ちゃんと乾かしておけば、こんなひどくならなかったかもしれないのに」

紗枝「もう、肇はん……お説教なら堪忍してや。今日はゆっくりさせて」

肇「ええ。どうぞごゆっくり。私が看病しますから」

紗枝「えぇ……?」


4: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:36:22.62 ID:4/WztdQx0



肇「なんか変だな、そう思いながら見過ごしてしまった私にも責任があります」

紗枝「そんなことありまへん。うちの管理が悪かったんどす」

肇「いいから、病人は素直に甘えてください」

紗枝「病人て、熱があるだ、ケホケホ」

肇「咳までして」

サスサス

紗枝「……ありがとうさんどす。背中さすってくれたおかげで、だいぶ楽になりましたえ」

肇「少しは甘える気になりましたか」

紗枝「……でも、風邪うつってしまうかもしれへん」

肇「まずは自分の身体の心配をしてください」

紗枝「……うん」

肇「それに、うつったときは紗枝ちゃんが私を看病してくれるんでしょう?」

紗枝「うーん、それはどうかなあ?」

肇「いけず、ですね。ふふ」

紗枝「ふふ、ケホケホ」

肇「ほら、横になってください。じっとしてるんですよ。ちょっと買い出しに行ってきます」


5: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:36:55.70 ID:4/WztdQx0



ガチャ

肇「ただいま……」

紗枝「スゥスゥ」

肇(おやすみみたいですね。じゃあ、その間に)


6: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:37:38.14 ID:4/WztdQx0



グツグツ

紗枝(ん……あ、寝てしもうてた……頭おもぉ……)

肇「~♪」

紗枝(肇はん、帰ってきてたんや……かいらしいはなうたや)

肇「どんどんどん♪ うどんどーん♪ どなべで~♪ ぐつぐつ~♪ うどんできたど~ん♪」

紗枝「ぷ、うは、あははは」

肇「さっ紗枝ちゃん!?」

紗枝「あはっ、うふっ、あははは」

肇「起きてるなら起きてるって言ってください!」

紗枝「うは、あは、か、堪忍してや、あはは」

肇「もう、ダメ、あげません! 私が食べます!」

紗枝「いややあ、おいしいうどん、たべたいど~ん」

肇「なっなっなっ!」

紗枝「あは、も、もうだめや、笑うと頭いたい、でも、うははは、あはははは」

肇「もう……ふふ、私までおかしくなってきました、ふふ、あはは」


7: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:38:07.92 ID:4/WztdQx0



紗枝「乙女が下品に声出して笑ったらあきまへん、ってお母はんに言われとったのに」

肇「紗枝ちゃんは笑いすぎです」

紗枝「だって、かいらしかったんやからしゃあないやろ?」

肇「今年一番恥ずかしい出来事です」

紗枝「そんなぷりぷりせんで、な?」

肇「もういいですよ。あったかいうちにおうどん、いただきましょう」

紗枝「はい~♪」


8: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:38:36.47 ID:4/WztdQx0



紗枝「肇はん……」

肇「はい?」

紗枝「このおうどん、ほんまおいしいどす」

肇「ふふ。土だけじゃなくて、生地をこねるのも得意なんです」

紗枝「熱であついはずなのに、とーっともぽかぽかしますえ」

肇「おうどんは消化もいいですから、すぐ元気の源になってくれますよ」

紗枝「はよう元気になりたいわ……ほんま、やさしい味やわ」

肇「ふふ、愛情もたっぷり入ってますから」

紗枝「……肇はん、時折すっごい大胆なこと言いはる」

肇「ふふ」


9: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:39:09.14 ID:4/WztdQx0



紗枝「おうどん食べたら、あっつくなってきたわ……それだけやないけど」

肇「ずっと寝てましたし、寝汗もかいてると思いますよ」

紗枝「ほんまや……ぺたぺたする」

肇「着替えましょうか」

紗枝「うんー……起こして、脱がしてえ」

肇「やっと少し甘えん坊になってくれましたね」

紗枝「うふふ、熱のせいや」


10: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:40:05.55 ID:4/WztdQx0



肇「身体も拭きましょうか」

紗枝「お願いします~」

肇「……」

紗枝「ん~なに~?」

肇「紗枝ちゃん、改めてこうしてみると、華奢ですね」

紗枝「……肇はん」

肇「はい?」

紗枝「今、明らかに胸見て言うたやろ」

肇「ギクり」

紗枝「わかりやすくぎく言いましたなあ。ほーん」

肇「もっと食べた方がいいですよ」

紗枝「そう言いはるけど」ピト

肇「ひゃ」

紗枝「身長の割に、肇はんも小さいんとちゃう?」

肇「私は華奢とは言いましたけど、小さいとは言ってませんよ」

紗枝「うふふ、それは失礼しましたなあ」

肇「わ、紗枝ちゃん、お腹が黒いですね、しっかりふかなきゃ」

紗枝「ひゃう。むむう、肇はん、風邪うつったんちゃう。頭がぼーっとしすぎやで」

肇「いえいえ、元気そのものです。ふふ」

紗枝「うふふ」

肇「ふふ」サワ

紗枝「ひゃう。えい」サワ

肇「きゃ」

コチョコチョ サワサワ 

あは、あはははは


11: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:40:40.34 ID:4/WztdQx0



紗枝「んもう、風邪ひいとるときにくすぐりあいっこってあほちゃう」

肇「あほですね、ふふ」

紗枝「余計汗かいたわあ」

肇「でも、少しスッキリしたんじゃないですか」

紗枝「心なしか、そんな気がするわぁ」

肇「もう一度ゆっくり横になれば、良くなりますよ」

紗枝「うんーな、肇はん」

肇「なんですか」

紗枝「そばに……いてくれはります?」

肇「はい、もちろんです」


12: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:41:08.83 ID:4/WztdQx0



紗枝「東京来て、初めて風邪ひいたわあ……」

肇「そうなんですか」

紗枝「もっと不安なると思っとったけど、そうでもないなあ」

肇「ふふ」

紗枝「ほんま、ありがとうな、肇はん」

肇「いいえ」ナデナデ

紗枝「んっ」

肇「お茶、いれてきます」


13: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:41:34.37 ID:4/WztdQx0



紗枝「ええ香り……」

肇「ほうじ茶です。さっき私の部屋から持ってきておいたんです。」

紗枝「やっぱり? うちの部屋にはないもんなあ」

肇「お茶には厳しいと紗枝ちゃん。いかがですか」

紗枝「とーってもおいしゅうございますえ」

肇「ふふ、良かった」

紗枝「この器も、肇はんが?」

肇「ええ。備前焼とほうじ茶、色味があうでしょう?」

紗枝「ほんまやね。目も、身体も、心も、ぽかぽかになりますわあ」

肇「愛情、込めましたから」

紗枝「うふふ、二回目は素直に受け取れるもんやなあ」


14: ◆w72AKbkgD2 2016/02/10(水) 22:42:09.98 ID:4/WztdQx0



紗枝「なあ、肇はん」

肇「はい」

紗枝「特別な人、ってどんな人やと思う?」

肇「特別な人、ですか」

紗枝「そう、特別」

肇「甘えられる人、甘えてくれる人、一方通行じゃなくて、お互いに。そんな人でしょうか」

紗枝「どないして?」

肇「田舎から出てきて、見ず知らずの人の中、いつも緊張して生活してきました」

紗枝「うちもそうやもしれん」

肇「ええ。そんな中、その緊張を解き放って、思いっきり弱い自分を見せあえる人が、特別だと思います」

紗枝「なるほどなあ……」

肇「紗枝ちゃんは?」

紗枝「ないしょ、どす」

肇「本当に紗枝ちゃんはいけずな人ですね」

紗枝「ふふ、肇はん」

肇「今度はなんですか」

紗枝「風邪治ったら、絶対うちに甘えてや?」

肇「……もう。もちろんです」



翌日、紗枝の抱き枕から、湯たんぽになった肇が見つかるのは、また別の話


おしまい