1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:43:21 ID:sf.pfFBc
――

グスタフ「何とか、大部分の巨人を町の隅に集めることに成功しましたが」

グスタフ「極力戦闘を避けたにも関わらず、約二割の兵を失いました」

ピクシス「失ったのではないぞ。兵は勝手に死んだわけではない」

ピクシス「ワシの命により、死なせたのじゃ」

グスタフ「い、いえ、あの……」

 

ピクシス「今こそ人類存亡の瀬戸際」

ピクシス「人類が生き長らえるためなら――」

ピクシス「ワシは殺戮者と呼ばれることも厭わん」

 

グスタフ「あの……二割の兵を失ったというのは、戦死ではなく逃亡……」

アンカ「しっ。いま司令に夕陽が当たって画になってるわ、この際黙っときましょう」

―― 




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3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:47:08 ID:sf.pfFBc
 
 ドゴオオオオォォンン!!
 
ミカサ「うっ……」 ピッ
 
 
 
 ドシャッ
 
 ガラガラガラガラ…
 
 
 
イアン「ハッ……ハッ……」ドタドタドタ
 
イアン「ハッ! アッカーマン!」
 
エレン『ウオオオオォォォッ!!』
 
ミカサ「くっ」
 
 ポシューン   キュルキュルキュル    ザッ
 
イアン「おい! アッカーマン、よせ! そいつから離れろ!」

リコ「そういうアンタも近付きすぎだ!」

ミタビ「リコ、お前も出すぎだ! みんなもっと俺ぐらい離れろ!」チマッ

リコ「アンタは離れすぎだ!」 


4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:48:08 ID:sf.pfFBc

ミカサ「エレン、私が分からないの!?」

ミカサ「私はミカサ! あなたの……家族!」

ミカサ「あなたはあの岩で、穴を塞がなくてはならない!」

エレン『……』ズズズ…

 
リコ「……作戦失敗だ」 カチャ カチャ

リコ「分かってたよ。秘密兵器なんて存在しないってことは」

 ッパヒュウウウゥゥゥゥゥゥム…
 

ミカサ「エレン、あなたは人間! あなたは――」

アッカーマン「よけろ、アッカーマン!!」

ミカサ「!」バッ

 ヒュッ   ドゴオォォォォンンンンン!!

エレン『グオオオォォォッ!!』 ズズーン

ミタビ「ぐあああああっ!!」

イアン「ミタビイイイィィィってお前なんで巻き込まれた」 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:49:00 ID:sf.pfFBc

エレン『……』

ズズ…  ズーンン……

 

ミタビ「なんだあいつ。頭の悪い普通の巨人じゃないか」

ミカサ「エレン……!」

  モブ「イアン班長ー!」

イアン「!」

  モブ「前方から二体接近! 10m級と6m級です!」

  モブ「後方からも一体、12m級がこちらに向かってきます!」

ミタビ「イアン、撤退するぞっ。あのガキ、トビラ塞ぐどころじゃねえよ!」

リコ「ああ。仕方ないが、ここに置いていこう」

ミカサ「くっ」 キッ

イアン「……」

ミタビ「イアン!」

イアン「まだ慌てるようなあわわわわわわ」 

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 01:52:17 ID:sf.pfFBc

――

モブ中年「……精鋭班からの、赤い煙弾を確認」

モブ中年「封鎖作戦に、深刻な問題が発生したようです」

ピクシス「……」

モブA「……ううっ……無駄死にだ……仲間が……」

モブA「無駄じゃないですか……ううぅ……」

モブB「なんか途中から次々にバックレてたんだけどお前の仲間」

モブA「えマジすか」

 

モブ「おい、あれ見てみろ!」

モブ「なんだ、どうした?」

マルコ「失敗……したのか……?」

アルミン「……どうして。なぜだエレン!」 カラン

アルミン「ちょっとカツ入れてくる!!」ダッ ダダダダダダ

コニー「おいアルミンどこに行くんだ! ってうわ速い気持ち悪いくらい速い」 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:22:59 ID:sf.pfFBc

――

モブ中年「ピクシス司令、早急に扉の防衛形態に戻すべきです。よろしいですか」

ピクシス「ならん」

アンカ「……精鋭班に撤退命令を」

ピクシス「いらん。引き続き、町の隅に巨人を引きつけよ」

ピクシス「精鋭班に関しては、現場に権限を委任しておる」

ピクシス「ただ腕が立つだけではない、人類の命運を託した精鋭の中の精鋭じゃ」

ピクシス「そう簡単に負けを認めることは許されんぞ」

ピクシス「死んでいった兵を無駄死にさせんために、誠意ある限り、足掻き通すことじゃ」

グスタフ「……」Zzz

――

ミタビ「おい、ナニ迷ってんだ! 指揮してくれよ!」

ミタビ「イアン、お前のせいじゃない。ハナっから根拠の希薄な作戦だった!」

ミタビ「皆わかってる! 試す価値は確かにあったし、もう十分試し終えた!」

イアン「待てミタビ、まだ慌てるような時間じゃない」ブン ブン 

11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:25:51 ID:sf.pfFBc

ミタビ「いいか、俺たちの班は壁を登るぞ!」

ミカサ「」プッツン

イアン「待て!」

イアン「待て。落ち着けアッカーマン」

ミカサ「」ポイッ

サクッ

ミタビ「痛てええ”え”ええぇぇぇぇー!! ちょっちょっ何か刺さって」

イアン「リコ班、後方の12m級をやれ」

イアン「ミタビ班と俺の班で前の二体をやる」

リコ「なんだって!?」

ミタビ「おい今これ投げたの誰だよ!!」ピュー

イアン「指揮権を託されたのは俺だ! 黙って命令に従え!」

イアン「イェーガーを無防備な状態のまま置いてはいけない!」

リコ「くっ」

イアン「作戦を変える。イェーガーを回収するまで、彼を巨人から守る!」 


13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:28:48 ID:sf.pfFBc

イアン「彼は人類にとって貴重な可能性だ。簡単に放棄できるものではない」

イアン「俺たちと違って、彼の代役は存在しないからな」

リコ「あの出来損ないの人間兵器のために、今回だけで数百人は死んだだろうに」

リコ「あいつを回収して、また似たようなことを繰り返すっての!?」

イアン「そうだ」

イアン「何人死のうと、何度だって挑戦すべきだッ!」

リコ「イアン、本気なの!?」

イアン「ではどうやって人類は巨人に勝つというのだ!」

イアン「リコ、教えてくれ、他にどうやったらこの状況を打開できるのか!」

イアン「人間性を保ったまま! 人を死なせずに!」

イアン「巨人の圧倒的な力に打ち勝つには、どうすればいいのか!?」

リコ「――」ワーワー

イアン「――」ギャーギャー

ミカサ(私もエレンとこんな風に夫婦喧嘩したい)

ミタビ(さっき後ろから刃物投げたのこいつっぽいけど理由が分からん)ドクドク 


14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:30:45 ID:sf.pfFBc

イアン「――さぁ、どうする。これが俺たちにできる戦いだ」

イアン「俺たちに許された足掻きだ!」

ミカサ(話聞いてなかった)

ミタビ(やばい話聞いてなかった)

リコ「……そんなの、納得できない」

イアン「リコ!」

リコ「作戦には従うよ。あなたの言ってることは、正しいと思う」

リコ「必死に足掻いて、人間様の恐ろしさを思い知らせてやる」

リコ「犬死になんて納得できないからね……後ろの12m級は、私の班に任せて」

ミタビ(あれっ、いつの間にそういう流れに。なら俺も)

ミタビ「行くぞ! 俺たちは、前方の二体だ!」

イアン「ああ」

 

ミカサ「ありがとうございます、イアン班長」

イアン「正直に言おう。お前が怖かった。ただ怖かった。誰か死ぬかと思った」 

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:37:14 ID:sf.pfFBc
――

ダダダダダダダダ…

アルミン(エレン、ミカサ、一体何が!!)

  コニー「は、速すぎる……アルミンには立体機動なんて要らんかったんや……」

――

ドックン…  ドックン…

エレン(……)

エレン(……あれ? オレは……)

エレン(今……何をしているんだ……座ってるのか……?)

エレン(何も見えないな……今日は何日だ……?)

 パアァァ――

エレン(ここは……?)

  ジャン『ノックぐらいしろよババア!!』

エレン(なんだ……ジャンの家か……)

エレン「いやなんでよ!?」バッ 

16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:37:51 ID:sf.pfFBc

エレン「!」

 

  カルラ『――』

  ミカサ『――』

  グリシャ『……』

 

エレン(なんだ……ウチか……)

エレン「……ふあああ……あ……」

エレン「寝よ……」

――

キュイイーン

スタッ

アルミン「エレン……!!」

アルミン「何をッ! しているんだッッ!」

アルミン「「エレン!!」」ブチッ 

17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 02:41:03 ID:sf.pfFBc

アルミン「そこのミカサ! 作戦はどうなった!?」

アルミン「ってあれ? ミカサー!?」
 

ミカサ「もう一回お願いします」

イアン「……恋人を守るためだからな」

ミカサ「家族です」

ミカサ(恋人。私とエレンが恋人)

イアン「もう行っていいか。ミタビが死にかけてる」

ミカサ「イアン班長。もう一回お願いします」

イアン「……」

イアン「恋人を守るためだからな」

ミカサ「家族です」

ミカサ(恋人を守る。私が守るのは、恋人であるエレン)
 

アルミン「ダメだ、まるで聞こえてない!」

アルミン「くそっ、やはりここは僕しかいないようだ!!」 


21 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:17:17 ID:sf.pfFBc

エレン『……』

アルミン「上に乗ったはいいけど、エレンは一体どうなっているんだ!」

アルミン「作戦ほっぽらかして許せないぞ! 叩き起こしてやる!」

アルミン「起きろエレン! 起きろおおおぉぉっ!!」デュクシ デュクシ

アルミン「だめだビクともしない!」

アルミン「クッソーこうなったらこいつで突き刺してやる!」シャキーン

アルミン「ええっと、後頭部から、うなじにかけてぇー」

アルミン「縦10センチ! 横1メートル! ぐらい!!」

アルミン「とりあえずこの辺……この辺? それともこの辺か!?」

アルミン「あ、そうだ、真ん中、エレンは真ん中から出てきた!!」

アルミン「ってことは、そこをよければ死にはしないってことじゃないか!」

アルミン「くらえええッッ!!」ドスッ


エレン『ウグッ!! グアア!!』ガクガク  ビシシ


アルミン「ん!? 間違ったかな……!?」 

22 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:18:00 ID:sf.pfFBc

アルミン「くらえええッ!」 ブスッ

アルミン「くらえええッ!!」 ブスッ

アルミン「くらえええッッ!!」 ブスッ


エレン『ウグアアアアアアァァァァ――!!』

ドゴゴゴゴォォン  ドゴゴッ
  ドゴッ  ドゴッ  ドゴオォォォン


アルミン「エレン、聞こえるか! しっかりしろおおおッ!!」

エレン「……」

アルミン「ここから出ないと、僕らみんな死ぬぞ!!」

アルミン「巨人の身体になんて負けるな!」

アルミン「使いこなせないんだったら僕と代われ!!」

アルミン「さぁ降りるんだ! パイロット交代だ! ほら!!」

アルミン「エレン、聞こえてるのか、エレン、交代だ! エレン!!」

エレン(……何か聞こえるけど……意味がさっぱり分からん……) 

23 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:19:31 ID:sf.pfFBc

アルミン「とにかく早く、この肉の塊から出てくるんだ! おらっエレン!!」

エレン「……」

エレン(ここから出るだって? なんで……)

エレン(オレ今……眠いんだ……)

アルミン「エレン! 出て来い! 早く!!」 ドンッ ドンッ

アルミン「お母さんのカタキはどうした!!」ドンッ ドンッ ドンッ

アルミン「巨人を駆逐してやるんだろ!?」 ドンッドンッドンッドンッ

アルミン「お母さんを殺した奴が、憎いんだろ!?」ドンドンドンドンドン

エレン「……何言ってるんだ? アルミン」

エレン「母さんなら……ここにいるぞ……」

  カルラ『』ピース

 

アルミン「起きろおおおおおおおぉぉぉエレン!!」ドドドドドドドド

アルミン「起きて出てきて僕と代わって巨人を駆逐なんだよォォッッ!!」

エレン「だから……何言ってるか分かんねぇよアルミン……まじで……」 

24 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:20:29 ID:sf.pfFBc

アルミン「――!!」 ドドドドドドドドドドドドドドドドンッ

エレン「おい……」

エレン「そんな一秒間に16発も窓殴ったら……」

ピシッ

エレン「!?」

アルミン「――!!」 ドドドドドドドドドドドドドd


ガシャアアアアァァァァンン パリィン  パリンッ


エレン「うわあああっ!?」

アルミン「うおっ!!」

エレン「は、入ってきた!?」

アルミン「何だここは!?」

アルミン「あ、おじさんおばさんお久しぶりです!」

アルミン「ってミカサはそこで何やってるんだ! 持ち場はどうした!?」

エレン「ナニコレどうなってんの!?」 

25 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:21:17 ID:sf.pfFBc

アルミン「いやまずはエレン、君だ!」

エレン「えっ?」

 ヒュッ  パシーン

エレン「ぶふぇっ」ブー

アルミン「任務を放棄しておいていい加減にしろよ!」

アルミン「さすがの僕も危うくぶちぎれるところだったよ!!」

エレン「ま、待て……アルミン」

エレン「これは……どういう状況だ?」

アルミン「目を覚ませーっ!」

パシーン

エレン「ぶっ」

アルミン「とにかく今は外に出るのが先なんだよ! ほら!」

エレン「待て……お前のビンタ容赦ないから……これ鼻血出てるから……」ボタボタ

アルミン「毛布とかも要らないぞ! ほらァ!!」グイッ

エレン「ぐげっ」 グルグルグルグル   ドシャッ 

27 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:24:00 ID:sf.pfFBc

アルミン「ほら、さっさと外に出るんだ! 出るんだよ!!」

エレン「ど、どうして外なんかに……」

エレン「……」

エレン「調査兵団なんかに」

アルミン「それ! それだろ! 外の世界に行くんだ!!」

アルミン「いつか外の世界に行って! なんかその……アレ!」

アルミン「炎のアレとか! 氷のアレとか! 砂のアレとかを見に行くんだよ!」

エレン「外の……世kぐえええっ」グイッ

アルミン「ほら出るぞ! こっから出るんだ!」

エレン「ま、待て、せめてドアから出て痛たたたたた破片散らばってるから!」

アルミン「言ってる場合かーっ!!」グイイッ

エレン「や、やめろ! 服が破けちゃうっていうかもうああっ!」ビリビリビリッ

アルミン「これでやっと外に出れる! まったく世話が焼けたもんだ!」

アルミン「あども、おじゃましましたー!!」

エレン「……オレってどうしてこの世に生まれてきたんだっけ……」 


28 :以下、名無しが深夜にお送りします:2013/06/28(金) 04:24:37 ID:sf.pfFBc

ようやく目を覚ましたエレン
肉塊から引きずり下ろされたエレン


無理矢理乗り込もうとするアルミン
やはり巨人を動かせないアルミン  激昂するアルミン


こうして生まれた名コンビ
巨人のエレン  強人のアルミン


彼らの快進撃のおかげで 
人類は 悲願のトロスト区奪還に成功する


しかしそれが成された時 すでに二人の姿はなかった
軍人としての役目を 果たした今
彼らの目指す先は 城壁の彼方 地平の果て


進めアルミン! 無二の親友エレンを連れて
ゆけアルミン! お前の器は壁の中では納まりきれない
あの広大な未踏の地へ! さあ行けアルミン! 行けーっ!!


終わり