1: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 18:44:51.42 ID:NEwBxQcO0




江風「ンなろーっ!」ズガン!

PT「キャハッ!」スカッ


江風「こんのぉぉっ!」ズガンズガン!

PT「キャハハハッ!」スカッスカッ



江風「キィィ―――――ッ!」イライライラ






SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1456393491

引用元: 【艦これ】江風「こいつPT子鬼じゃン!この、このっ!」 


 

2: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 18:50:44.02 ID:NEwBxQcO0



ズガンズガンズガン!



江風「ハァ……ハァ……」

PT「キャハ!キャハハ!」ピョンピョン



江風(な、なんだってンだ……砲撃が全然当たりやしないじゃないか……)

江風(ここが“陸”の上だからってか?)

江風(いや、関係ないねぇ……江風の腕の問題だろ……)

江風(なんだか、悲しくなってきたぜ)ハァ…



江風(無人島に流れ着いちまったら)

江風(隣にこいつがいたなンてねぇ……)





3: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 18:56:51.07 ID:NEwBxQcO0




江風(残りの弾は……一発かい)

江風「もぉ……やめたァ……」ハァ

PT「?」

江風(なんでか知らねぇけど……)

江風(こいつ、さっきから襲ってこねぇンだよなぁ)

江風(いつでも海に戻れるからかい?)

江風(対して、江風は艤装が砲を残して半壊……海の上にも何故か浮けねぇ)



江風(……生かすも殺すも、もはやこいつ次第ってか……)





4: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:03:29.39 ID:NEwBxQcO0




江風(気にいらないねぇ……元はと言えば)

江風(コロネハイカラ沖でこいつらが奇襲して来やがったせいで……)グッ

PT「キャハハ……キャハハ……」

江風「…………」

江風(今に見てな……)

江風(残り一発の弾、隙を見て必ず当ててやっからな……)



江風(ここでくたばる前に、せめて艦娘としての役割は必ず果たすぜ!)





5: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:08:11.32 ID:NEwBxQcO0




江風(タイミングは……)チラ


PT「キャハハ!キャハハハ……!」ピョンピョン

江風(こいつが何かに満足して、海に戻ろうとした時だな)

江風(それまでは根気勝負だ)

江風(この一発をしくじったら、それで終わりだかンな……)



江風「……ところで」

PT「キャハハ……」ピョン!ピョン!

江風「……一体、こいつは何してやがンだ?」





6: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:15:49.75 ID:NEwBxQcO0




PT「…………」ジィー…

江風「何を見て……ヤシの木?」

江風「はっは~ン、あんた……あのヤシの実が欲しいンだ?」

PT「キャハ!」コクリ

江風「ナルホドねぇ……ヤシの実かぁ……」



江風「まぁ頑張りなっ」クルッ

PT「…………」

江風(キヒヒ……ま、あいつの身長や手足じゃ)

江風(絶対届きやしないだろーけどなっ)ニタニタ





7: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:21:08.62 ID:NEwBxQcO0




江風「…………」

PT「キャ、キャハッ」ピョン!ピョン!

江風「がんばれがんばれー(棒)」

PT「ギギ……」ガシッ…

PT「ギギー!」ズザァー

江風「…………」ニタニタ



江風「…………!」グゥー…

江風「…………チッ」





8: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:28:36.25 ID:NEwBxQcO0




江風「こんのぉ!!」ガシッ

江風「ぐににに……!」ガシッ…ガシッ…


江風「んにゃー!!」ズサァー!

PT「キャハハ!キャハ!」

江風「痛ったたた……ンなろー!」



江風「にしても、ヤシの木ってのはこんなに滑るものなのかい」

江風「こいつぁ、骨が折れるねぇ……」





9: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:34:57.95 ID:NEwBxQcO0




江風「!」

江風「ちょいと失礼~」ヒョイ

PT「?」

江風「あんた、体軽いじゃン?」

江風「江風が上まで投げてやるから、あれを取ってきてくれよ」

PT「!」コクッ

江風「よし、決まりだねぇ!」



江風「ンじゃ……行ってきなァ!!」ブンッ!

PT「キャハハハ!」ビューーーーン!





13: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 19:59:48.77 ID:NEwBxQcO0




ボトッ!

PT「キャハ!キャハ!」ピョン!ピョン!

江風「よっしゃあ!でかしたぜ!」


江風「ンじゃ、このヤシの実は江風がもらっていくねぇ~」ヒョイ

PT「ギッ!?」ガーン



江風(キシシッ、ざまーみろっ)

江風(しっかし……これ、どうやって開けてやろうかねぇ……)

江風(とりあえず、石にぶつけてみっかな)





14: >>12駄目っ・・・・・!それは駄目っ・・・・・! ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:07:30.98 ID:NEwBxQcO0




江風「コレ、かったいなー!」コンコン

PT「…………」ジーッ

江風「このっこのっ」ゴンッ!ゴンッ!


ゴ、ピューーーーン!


江風「あぁッ!!」

江風(しまった!手ェから抜けて飛んで行っちまった!!)


ピューーーーーー……


パシッ


PT「キャハ!キャハ!」

江風「チックショ―――ッ!!」





15: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:13:32.09 ID:NEwBxQcO0




PT「キャハッ!」ガンッガンッ

パカッ

PT「キャハハッ!」ピョン!ピョンッ!

江風(マジかよ……開けやがったぜ……)ガクッ

江風「…………」グーギュルルル…

江風(だめだ……)

江風(これじゃ、あいつが海に戻る前にこっちがくたばっちまうよ……)ズーン



PT「…………」ジーッ





16: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:20:56.66 ID:NEwBxQcO0




テクテク

PT「……ギッ」

江風「……あぁン?」

PT「ギ!」スッ

江風「え……」


江風「まさかその半分……江風に?」

PT「キャハ!」コクッ

江風「っ!……だ、だめだ!」

江風「さっき、江風はあんたからそいつを奪おうとしたんだよ!?」

江風「受け取っちまったら、そいつぁとんだ赤っ恥だッ!!」





17: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:28:07.10 ID:NEwBxQcO0




江風「あんたの情けなんかいらないよッ!」

江風「さっさとどっか行きな!」

PT「…………」

PT「キャハ!」スッ

江風(こいつ、まだ……ッ!)


江風「…………」

江風「……ハァーっ」ポリポリ





18: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:34:02.61 ID:NEwBxQcO0




江風「……んっ」グイッ

江風「ぷへーっ!」

江風「これ、あんま美味いもンじゃないねぇ」フフッ

PT「キャハ!」ゴクゴク

江風(美味そうに飲みやがるなちくしょー……)

江風「……ン?」


プゥ―――――ン…


江風(……蚊か)





19: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:39:02.10 ID:NEwBxQcO0




江風「うっとおしいなぁ」ブン


プゥ―――――ン……


江風「まったく……」

江風「あれ、アイツはっ?」キョロキョロ



PT「ギー……」グデ

江風(砂浜の上で寝転がってやがる)

江風(……心なしか、苦しそうだな)

江風(無理もない……11月って言っても常夏の南国だかンな、ココ)

江風(こりゃあ、江風がトドメを刺すまでもない……か)チラ

PT「ギー……」

江風「…………」





20: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:44:56.13 ID:NEwBxQcO0




江風(勘違いすンなよ……)サッ

江風(日本人は義理堅い民族だ……)サッ

江風(そ、それに……江風だってこの中に入るため……)

江風(だから、そこらの葉っぱで“ひさし”を作ってるンだ)



江風「……ゴホン」

江風「…………入りなよ」ボソッ

PT「キャハっ!」





21: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:51:35.85 ID:NEwBxQcO0




江風「へへっ、我ながらなかなかの出来だねぇ」

江風「……感謝しろよ?」

PT「キャハハ!」コクッ

江風(こいつ……)



江風(さっきから、なンなんだ?)

江風(何故か敵意は感じねーし)

江風(かと言って、海に戻ろうともしねー)



江風「なぁ……」





23: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 20:59:35.48 ID:NEwBxQcO0




江風「あんたたちは……なんで江風たち、人間を襲う?」

PT「ギ?」

江風「なんか、理由あンだろ?」


江風(人類史上初の深海棲艦とのコミュニケーションかもな、コレ)



PT「……」

江風「……ま、聞いてもムダか……」

PT「コワイ」

江風「……あン?」





24: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:08:36.69 ID:NEwBxQcO0




PT「陸ノニンゲン、コワイ」

江風「……なンだいそりゃ」



江風(そんな理由で……こっちが攻撃されてちゃ、たまンねぇや)

江風(あんたらの方が、よっぽど怖えぇよ)


江風(……やっぱこいつらは敵だ)

江風(とてもじゃないけど……分かり合えはしないだろうね)

江風(人間……ましてや江風のような)


江風(こいつらと戦う“兵器”とあっちゃ、ね)





25: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:14:29.83 ID:NEwBxQcO0




江風「まぁいいや」

江風「それより……」グゥー…

江風(さっきのヤシの実は汁しか吸えなかったぜ……)

江風(だから、なンかこう……)

江風(なにか、胃にズシンとくるものが欲しいねぇ)ハァ…



江風「…………」ジーッ

PT「?」

江風(食えそうにないな、こいつは!)ブンブン





26: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:23:19.77 ID:NEwBxQcO0




江風「仕方ない……」


江風「こっからは、一人の力で頑張るぜ!」スクッ

PT「?」

江風「海には魚が一杯いンだろ?」

江風「そいつを獲れば……っ!」グッ


……
…………
………………


江風「チク……ショウ……」ガクッ

江風(あいつら、滅茶苦茶すばしっこいのな)

江風(素手じゃ、捕まりっこないよ……)シュン





27: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:27:57.99 ID:NEwBxQcO0




江風(だめだ、江風の力じゃとても……)シュン


ズドーン!
……ザバザバッ


……ビチッ!

江風「!?」

江風(な、なんだ!?丸焦げの魚が飛ンで来やがったぞ!?)

江風「まさかッ」バッ



PT「キャハハ!キャハ!」ズドンズドン


チュドーン!
……ザバザバッ


江風「あンな魚雷の使い方……初めて見らぁ」ポケー





30: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:38:33.31 ID:NEwBxQcO0




………………
…………
……


江風(グソォォー……悔じぃぃい……)モグモグ

PT「キャハ」ムシャムシャ

江風(江風は艤装がなきゃ、なンもできねえのかよ……!)

PT「キャハハッ」モグモグ

江風(段々自信が無くなってきたぜ)シュン


江風(ひょっとして、人間より……)



江風(こいつらのが……進んだ生き物なのかな)





31: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:45:32.57 ID:NEwBxQcO0




PT「ギッ!ギギー!」

江風「あン……?」

江風「どうしたんだー?」

PT「ギ!ギ!」バタバタ

江風「?」





江風「……ほれ、とれたぜ」

PT「キャハハハ!」ピョン!ピョン!

江風(手が短いのに自分の頭がでかすぎて)

江風(喉に刺さった骨が自分で取れないなンてな……)クスッ


……
…………
………………



32: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:48:18.52 ID:NEwBxQcO0




江風「こうアチィと喉が渇くねぇ……」

PT「キャハハッ!」

江風「その色のついた水、どっから持ってきたンだ?」

PT「…………キャハッ」

江風「……江風は飲まねーぞ」

PT「……」シュン


……
…………
………………



33: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 21:52:38.78 ID:NEwBxQcO0




江風「覗くンじゃねーぞ」バサッ…

PT「?」

江風(ま、あいつが男なのか女なのかは分からねーけどよ)チャプ…

江風「あぁーっ!海の中は生き返るねぇ!」ザブザブ

PT「キャハハ!」コクコク

江風「……って、覗くなってンだろー!」

PT「?」


……
…………
………………



34: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:00:11.96 ID:NEwBxQcO0




江風「なぁ……さっきみたいにあの木の実、取れねーか?」

PT「キャハ!」コクッ

江風「ンじゃ、もっかいいってみよーかい!」

江風「うりゃっ!」ブン!


ゴン!

PT「ギ―――――ッ!」グスッ

江風「アハハ……悪りぃ悪りぃ……」

江風「ミスって木に当てちまった……」テヘヘ


……
…………
………………



35: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:08:11.74 ID:NEwBxQcO0




江風「なぁ、機嫌直せよー……」

PT「ギ」プイッ

江風「江風の分もやるからよー」

PT「……」

江風「……しゃーねーな」



江風「いたいのいたいの……」ナデナデ

江風「とんできなっ」パッ

PT「!」

江風「ふふ、どーだい?」

PT「……キャハ!」ニコッ





37: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:13:37.60 ID:NEwBxQcO0




江風「!」

江風「おぉ……」

江風(そういや、もう夜になりはじめてたンだな)

江風「あんたも見て見なよ、空!」

PT「キャハ?」



江風「ホラ!」

PT「…………!!」





38: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:21:09.65 ID:NEwBxQcO0




彼女たちのきらきらと光る瞳。

その中いっぱいに映ったのは光のない島の黒と、満天に輝く星のコントラスト。

朝は陽が登る東の空にふたご座を望み、やがて一筋の流星が流れ落ちる。



ここは地上の膨大な光が空に届く大陸ではなく、

また、澱んだ紺碧のカーテンの深いところでもない。



そんな島の片隅で、二人は口をひらいて空を眺めた。

その姿かたちは違えど、見ているものは同じだった。

やがて眠りに落ちるまで、二人はずっとずっと……空を見ていた。



……
…………
………………



39: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:29:53.64 ID:NEwBxQcO0




ギギ…ギギギ……


江風「スピー………」

江風「……スー……」

江風「……ン、んぁ」ムクッ


江風「ふぁぁ……よく寝た……のかな?」





40: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:33:40.02 ID:NEwBxQcO0




江風「おい、起きてっか……」クル

江風「……っ!」




PT「ギ……ギギ……」ブルブル

江風「お、おい!?」

江風「どうした、おい!?」





41: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:37:32.05 ID:NEwBxQcO0




スッ

江風(す、すごい熱だ……ッ!!)

江風(なンでだっ!昨日はあんなに元気だったのに!?)

江風「おい、しっかりしろッ!」スサスサ

PT「ギギ……ッ」ガタガタ



江風「待ってろ!江風がなんとかするからなッ!」

江風「それまで……頑張れッ!!」ダッ

PT「ギ……」ジーッ…





42: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:42:10.06 ID:NEwBxQcO0




江風はただひたすら走った。

自身の消耗も鑑みず、あれやこれやと試せることは全て試した。

服を濡らして頭を冷やし、昔試した薬草に似た草をすりつぶして与え、寄り添って体を暖めた。



……だが人も深海棲艦も、その母体たる大自然の前では無力な存在に過ぎなかった。

なにも好転はせず、この小さな鬼はみるみる衰弱していったのだ。





43: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:45:14.30 ID:NEwBxQcO0




PT「……」ガタガタ

江風(だ、だめだ……!)

江風(こいつは……もう……)



PT「……キャハ……」

江風「っ!」

江風「……なんでだよ」

江風「……死ぬほど苦しいンじゃないのか」

江風「なん……で……」





44: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:49:30.94 ID:NEwBxQcO0




PT「……」プル…

PT「コワクナイ……」

江風「!」

PT「カワ……カ……ゼ……」プルプル



江風「……もう」

江風「喋るンじゃ……ない」





45: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:56:13.05 ID:NEwBxQcO0




江風(……江風は……艦娘だ)

江風(こいつは……深海棲艦)

江風(……江風は、使命を果たす……)


ガチャ


PT「……キャ……ハっ……」ガクガク

江風(のこり一発の弾……)

江風(これで、使命が果たせる)



江風(そして……こいつはすぐ楽になれる)チャキッ

PT「カ……ワ……」ブルブル





46: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 22:59:54.90 ID:NEwBxQcO0





PT「……カ……ゼ」ニコッ

江風「………すまねぇ……」グググ…







47: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:04:51.41 ID:NEwBxQcO0





シン…


江風「…………」ポロ…ポロ…

江風「……撃て……」グスッ

江風「……なかっ……た……ぁ……!」



江風「あ……あぁ……」

江風「……ああああああ……っ!」ポロ…ポロ…






48: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:09:03.72 ID:NEwBxQcO0




江風は艦娘としての使命を果たせなかった。

また、その手で小鬼を楽にしてやることもできなかった。



そんな自身の脆さ知った彼女は、その場で12.7㎝砲を自身のこめかみに突き付けた

……だが、彼女はそれの引き金を引くこともできなかった。



救助にやってきた時雨達に保護されるまで

冷たくなった小鬼の前で、彼女はただただ打ちひしがれていた。



……
…………
………………



49: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:17:11.69 ID:NEwBxQcO0




時雨「……やぁ、江風」

江風「……時雨の姉貴」

時雨「こんなところにいたんだ」クスッ



時雨「潮風が体に障らないかい?」

江風「……へへっ、平気さ」

江風「そンなことより、どーしたぁ?」

江風「お見舞いのアイスでも御馳走してくれンのか?」ヒヒッ





50: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:22:59.93 ID:NEwBxQcO0




時雨「あはは、それは後でね」ニコッ



時雨「それより江風、あれから分かったことがあるんだ」

江風「ン、何……?」

時雨「コロネハイカラで僕たちを襲ったPT子鬼たちのこと」

江風「…………」





51: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:28:05.56 ID:NEwBxQcO0




時雨「小鬼たちは深海棲艦の中でも、未成熟の存在……」

時雨「だから、小鬼は“群”にならないと海での活動ができないんだ」

江風「……そうなのか」

江風「だから……海に戻れなかったんだ……あいつ」



時雨「それから、これは他の深海棲艦にも言えることだけど……」

時雨「彼女達は、陸の感染病に対する免疫もほとんどないんだって」

江風「……そっか」

江風「やっぱりな」





52: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:31:30.49 ID:NEwBxQcO0




時雨「それと、江風は言ったね」

時雨「“敵に個人的な情が移ってしまった”」

時雨「“自分は艦娘としておかしくなった”って……」

江風「……」コク



時雨「それは……僕は違うと思う」

江風「……え?」





53: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:39:33.27 ID:NEwBxQcO0




時雨「あれから江風と同じように、深海棲艦と接触した艦娘が増えているんだ」

江風「……そうなのか」

時雨「みんな、今までのような敵意は無くなっていったよ」

江風「…………」



時雨「それは既にれっきとしたデータにされていて」

時雨「それを元に最近、深海棲艦にも同じように自分たちのことを」

時雨「もっとよく知ってもらおうとする動きがあるんだ」

江風「……!」





54: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:40:12.06 ID:NEwBxQcO0




時雨「これがうまくいけば、この戦争を終わらせられるかもしれない」

時雨「そのためには……」

時雨「この流れを生み出した、君の力も必要なんだ」

江風「!!」


江風「江風の力が……!」





55: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:43:25.59 ID:NEwBxQcO0





その時を境に、江風は戦うことの目的を変えたんだ

艦娘だから深海棲艦を倒すンじゃなくて


自分たちが、多くの者の助けの下で生きていられるからこそ

その助けを彼女達に乞うために……






56: ◆9l/Fpc6Qck 2016/02/25(木) 23:44:49.37 ID:NEwBxQcO0





あの時に残った一発の弾……あいつも江風もやれなかった弾

そのための戦いが終わる日まで、とっておくことにしたよ



終戦の祝砲は、あれで打ち上げてやるんだ





――――――――――――――fin――――――――――――――