1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:32:31.68 ID:LrWx/HF8O
ダル 「オカリンは正月何して過ごすん?」

岡部 「ん。 いや、特に予定は無いな」

ダル 「そっかそっか。じゃあ――」

僕にも、残念ながら予定はない。
てなわけで、オカリンを誘って、ラボで二人飲み会でもやってやろうじゃん。
そう思っていたわけだが。

岡部 「……あるとすれば、クリスティーナとモンハンをして過ごすくらいか」

どうやらオカリンは牧瀬氏と過ごすらしい。

ダル 「……え? 牧瀬氏って、モンハンやってんの?」

岡部 「ああ。最近始めたのだがな」

紅莉栖「……難しすぎて全然ダメね」

ちょっと意外だ。
牧瀬氏ってゲームやらなそうだし。
“はあ?ゲーム?馬鹿らしい”とか言って一蹴しそうなもんだけど。
……ってか、正月からゲームデートとか羨ましすぎだろ常考。
リア充爆発しろってレベルじゃねーぞ。

岡部 「お前は、ガンガン前に出過ぎるからいけないんじゃないのか?」

紅莉栖「うっさいわね。チマチマしたゲームは苦手なのよ」

引用元: ダル「オカリンは正月何して過ごすん?」岡部「ん?」 


 

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10: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:42:37.36 ID:LrWx/HF8O
岡部 「まあ、そういう事だ」

ダル 「おk。把握した」

この世紀のバカップルを邪魔する訳にはいかんし。
正月は、僕の嫁たちと大人しく過ごそう。

岡部 「そんな事より……」

岡部 「おい、クリスティーナ!もっとそっちに寄れ!狭いではないか!」

さっきからコタツからはみ出していたオカリンが、とうとう文句をいった。
無茶しやがって。

紅莉栖「あ、ちょっ!押さないでよ!」

牧瀬氏も負けじと押し返している。

岡部 「貴様が場所を取りすぎるからだ!」

しかし、やはりオカリン。
弱い者には強いのであって。

紅莉栖「いたっ!やめてって!」

牧瀬氏、涙目になっちゃってんじゃん。
オカリン、おにゃのこ相手でも容赦なさすぎだろ。

12: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:47:14.87 ID:LrWx/HF8O
紅莉栖「そ、そんな事言うくらいなら……」

岡部 「え?」

紅莉栖「も、もっと……私に寄ればいいんじゃない?」

岡部 「なに!?」

うは。始まった。

岡部 「い、いいのか……?」

紅莉栖「い、いいけど」

岡部 「じゃあ……」

オカリンが牧瀬氏にひっつくや、黙ってうなだれた。
牧瀬氏も一緒になってうなだれている。
これはいい固有結界。
……完全に気まずい。
僕はここらで撤退すべきだろうか。

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:51:50.82 ID:LrWx/HF8O
岡部 「そ、それよりな。クリスティーナ?」

紅莉栖「な、なによ」

岡部 「まゆりとルカ子も来られるらしいぞ。正月は」

紅莉栖「ホント?それは楽しみね」

え。
今なんて?

ダル「ちょっと待った、オカリン。まゆ氏とるか氏が正月に来るって?」

岡部 「ん? ああ。モンハン仲間で集まろうと呼びかけてあった」

ダル 「マジで?」

岡部 「マジだ」

紅莉栖「橋田、なにキョトンとしてんのよ?」

ダル 「……いやいや、おかしいだろそれは。僕は呼ばれてない件」

16: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 22:58:54.55 ID:LrWx/HF8O
岡部 「え?」

紅莉栖「え?」

二人が、揃ってポカンとした顔を見せた。

ダル 「……え。じゃなくって。なんでまゆ氏とるか氏が呼ばれたのに――」

ダル 「僕は呼ばれなかったわけ?」

岡部 「いや、だってお前……。なあ?」

紅莉栖「うん。てっきり阿万音さんと過ごすのかと」

ダル 「そんなわけないだろ……」

そう。そんな訳がない。
確かに、阿万音氏と過ごせたら最高だけれども。
僕は僕だ。
オカリンみたいに主人公補正はない。
だから、いきなり知り合ったばっかのおにゃのこと、正月をともに過ごすとか。
大体、阿万音氏は家族と温泉に行くらしいし。

19: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:08:30.09 ID:LrWx/HF8O
岡部 「そうか……すまなかったな」

紅莉栖「あ。そ、そうだ。橋田も来ればいいんじゃない?ね?」

牧瀬氏がわたわたとし出して、オカリンの肩を叩いている。

岡部 「あ、そうだな!フハッ、フハハハ!」

岡部 「よしダル!貴様も家に招待してやろうではないか!な?」

今度はオカリンが僕の肩をパンパンと叩いてきた。
くそう。

ダル 「い、いやあ? 僕に予定がないといつ錯覚した?」

岡部 「え?」

ダル 「ぼ、僕にだって、正月の予定はあるのだが?」

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:12:55.66 ID:LrWx/HF8O
岡部 「あ、そうか。 お前、やっぱりコスプレ少女と……」

ダル 「いや、だからそれは違うってば」

ニヤけんなし。
オカリンの野郎……。

紅莉栖「へえ。じゃあどんな用事?」

ダル 「す、スーパーハッカーの腕を生かしたバイトとか……」

岡部 「ほう。さすがダルだな!」

紅莉栖「ちょっ。それ大丈夫なの?クラッキングとか、犯罪なんじゃ……」

岡部 「心配するな、クリスティーナよ。ダルはハードウェアよりソフトウェアと豪語する――」

岡部 「正真正銘のスーパーハカーなのだ。こいつに限ってヘマなどありえん。な、ダル?」

ダル 「あ、あたぼうよ」

そんなわけねーだろ。
でも、この状況からモンハンに誘われて、それにノコノコと乗っちゃうのは悔しいし。

23: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:20:30.85 ID:LrWx/HF8O
ってか、モンハンって四人用だろ。 オカリン、牧瀬氏、まゆ氏、るか氏。
4人じゃん。出来上がってんじゃん、もう。
そうなると、僕はどこに入ればいいわけ? 一人でG級を狩りにいけと?
これが巷で噂のスネ夫プレイってやつか……。

ダル 「ま、そういう訳だから」

岡部 「……すまなかったな」

ダル 「え?」

岡部 「いや、お前を最初に誘わなかった事が、だ……」

ダル 「ちょ。もうやめてって。もう気にしてないし」

紅莉栖「本当にごめん」

ダル 「………」

オカリンどころか、牧瀬氏まで深刻な顔をしている。
僕はたまらず、適当な理由をつけてラボを飛び出した。

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:34:48.33 ID:LrWx/HF8O
うー、さぶっ。死ぬっ。
おかしいだろ、なんでこんなに寒いんだよ。
飛び出して来たのが間違いだった。
メイクイーンに行こうと思ったけど、よく考えたらフェイリスたん、今日は休みじゃん。
こんな寒いなか、どうやって過ごせっつーんだよ。
ケータイを取り出す。
新着メールは……ない。
由季たん、今何やってんだろう……。

ダル 「へくしっ!」

くしゃみが、アキバの路地裏に響き渡った。
うぐぐ……。これはひどい。
……改めて実感した。
僕には、ラボ以外に行くところがない。

31: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:39:27.53 ID:LrWx/HF8O
僕は寒さを紛らわせるため、ひたすらに歩いた。
これが、歩いてみるとなかなかに暖かい。
だんだん楽しくなってきた。
今日は足が軽いお!
走ってみようか?
いやいや、ないわ。走るとか。
フヒ、フヒヒ。
と、そんな時、急に声をかけられた。

るか 「あれ?橋田さん」

まゆり「あ、ダルくん。トゥットゥルー♪」

ダル 「うは、まゆ氏にるか氏じゃん。何やってんの?」


36: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/28(水) 23:48:31.25 ID:LrWx/HF8O
るか 「ボクは、これからまゆりちゃんの家で、モンハンを教えてもらおうと思いまして」

まゆり「るかくんはあんまり上手じゃないからねぇ」

るか 「ひ、ひどいよまゆりちゃん。ボクだって、練習、してるんだからぁ」

まゆり「えっへへー」

ダル 「あ、そう……」

女子が約二名でキャッキャし出してしまった。
ってか、出たよモンハン。
今その話題については触れたくないわけだが。

まゆり「ダルくんはこれからラボに行くのかな?」

ダル 「え?いや……。ちょっと用事があって」

まゆり「そっかぁ、残念」

ダル 「え?」

まゆり「ダルくんが居れば心強かったんだけどなぁ。るかくんと二人で頑張るしかないね」

るか 「……はい、残念です」

ダル 「う、うん。ごめんお」

ちくしょう!またかよ!

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:05:06.09 ID:9e8wtfxNO
まゆ氏とるか氏が、手をヒラヒラと振りながら行ってしまった。
そんな光景に、ため息しかでない。
もうダメだ。
とうとう、心が折れそうなわけで。
結局僕は、オカリンたちが居ないと、ぼっちでしかない。
ネット上には仲間たちがいるけど、顔を合わせて本音を言い合うような事は出来ない。
改めて、ラボという存在の有り難さに気がついた。

ダル 「はあ……」

阿万音氏からも、メールの返信は無いし。
肩が落ちる。
さっきまで楽しかったウォーキングも、急に虚しくなった。

ダル 「オカリンの誘いに乗っておけばよかったぜ……」

そうやって、しんみりしていると、急にケータイが鳴った。
電話がかかってきたようだ。
ポケットから取り出すと、ディスプレイにはオカリンの番号。

ダル 「……も、もしもし?」

少し戸惑ったものの、僕は、通話ボタンを押した。

49: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:12:11.05 ID:9e8wtfxNO
岡部 『ダルか!急いでラボに戻ってこい!』

ダル 「え?」

岡部 『急遽、忘年会を開くことになったのだ』

ダル 「な、なんぞ?忘年会?」

岡部 『そうだ。まゆりやルカ子も呼んである。フェイリスも来るそうだ』

ダル 「ちょ、待てって。なんで急に忘年会とか言い出したん?」

岡部 『“差し入れ”が届いた。来ればわかる』

ダル 「差し入れ? 誰から?意味がわからんのだが……」

岡部 『ええい、話のわからんやつめ!いいから来いと言っている』

岡部 『貴様に拒否権はない!いいな?フゥーハハハ』

紅莉栖『ちょっ、説明不足もいいとこ――』

ダル 「あ……」

話すだけ話して切られたし。
なんつー横暴な。
でも、僕は思わずニヤけてしまった。

52: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:17:31.40 ID:9e8wtfxNO
僕はケータイをしまうと、ラボに向けて踵を返した。
ゆっくりと歩き出す。
今すぐ来いと言われたところで、この僕が走って帰るわけがないじゃん?
ただ、そうは思うものの、気持ちだけは逸り。
さっきからニヤけるのが止まらない。
道行く人が、ギョッとして二度見、三度見してくる。

ダル 「フヒヒ、サーセン」

なんて、独り言を呟きながら。
ラボへの“帰り道”をひた歩く。

57: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:23:42.76 ID:9e8wtfxNO
岡部 「遅いぞダル!貴様、何をやっていた!」

ダル 「いやいや、急に来いとか言われたんだから、しょうがねーだろ」

オカリンが、キッチンから土鍋を運びながら文句を言ってきた。
牧瀬氏は、ガスコンロをテーブルに設置している。

紅莉栖「あ、ガスが無いわ。岡部、買ってきて」

岡部 「なに!?」

紅莉栖「ガスが無い。岡部、買ってきて」

岡部 「き、聞こえていた! クリスティーナ、貴様ぁ……!助手の分際で、この俺を使い走りに――」

紅莉栖「………」

岡部 「あ、ちょっと行ってきます」

さすが牧瀬氏。ひと睨みでオカリンを服従させてるし。
オカリンは絶対尻に敷かれると思ってたけど、まさかここまでとは。

59: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:33:10.64 ID:9e8wtfxNO
オカリンが慌ててラボを飛び出していった。
牧瀬氏が、それを見て笑ってる。
ところで―――。

ダル 「さっきから気になってたんだけどさ」

紅莉栖「え?」

小さな声で牧瀬氏に耳打ちする。
ラボには明らかに違和感があった。
最初見たとき、由季たんが来てるのかと思った。
でも、違う。

ダル 「あのおにゃのこは誰ぞ?」

見知らぬおさげ萌えな少女が、コタツに向かってちょこんと正座していた。

紅莉栖「ああ、彼女は――」

鈴羽 「あ、どもー」

鈴羽 「田村です」

紅莉栖「岡部の知り合いらしい」

ダル 「ほ、ほお~」

68: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 00:51:55.15 ID:9e8wtfxNO
鈴羽 「えっと。 よ、よろしくね。橋田至」

ダル 「え?」

鈴羽 「えっ?」

鈴羽 「あ……」

いきなり僕をフルネームで呼んだ後で、自分がおかしな事を言った事に気付いたのか、
田村氏は目に見えて動揺しはじめた。
必死に両手をぶんぶんと振っている。

鈴羽 「いやー。あの、キミの名前はさ――」

鈴羽 「オカリンおじ……岡部倫太郎から聞いてたんだよねぇ」

ダル 「……ふーん」

紅莉栖「彼女が差し入れを持ってきてくれたの」

ダル 「マジで?」

なんとなく怪しい少女が、照れくさそうにはにかんでいた。

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:03:49.35 ID:9e8wtfxNO
ダル 「うは、なんぞこれ!すごくね?」

差し入れの箱を覗いてみて驚いた。
カニとしらこが山盛りになってる。

ダル 「これ、田村氏が用意してくれたん?」

鈴羽 「え?違うよ。 それはとうさ……あ、知り合いがちょっとね。あはは……」

ダル 「……そうなん?」

鈴羽 「そ、そうそう」

それにしても、すげー知り合いだ。
こんな高価なものを惜しげもなく差し入れる。
そこに痺れる憧れる。
……オカリン、僕らの知らないとこで一体何やってんだよ。

82: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:17:13.25 ID:9e8wtfxNO
ふう。参った参った。
この俺がガスを買うために、こんな寒い中走らされる羽目になるとは。
クリスティーナめ、今に見ているがいい。
まあ、仕返しは今度にするとして――。
早速お目当ての商品を見つけた俺は、レジを済ませてそそくさと店を出た。
外には、しんしんと雪が降り始めていて。
乾いた、冷たい空気が肌を刺してくる。
ふと、遠くから手を振ってくる少女の姿が視界の端をかすめた。

まゆり「おーい!オカリーン」

岡部 「おお、まゆり!それにルカ子も」

るか 「凶真さん、ラボに居たんじゃないんですか?」

まゆり「あ、もしかして買い出しかなぁ?何買ったの?」

まゆりが微笑みながら、レジ袋をのぞき込んでくる。

岡部 「ガスだ」

るか 「そ、そんな。お使いならボクに言ってくれれば……」

岡部 「おっ、お使いなどではない!」

冗談じゃない。狂気のマッドサイエンティストがお使いなど。

88: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:24:26.12 ID:9e8wtfxNO
岡部 「このガスは……我がラボの理念達成に欠かせない鍵といっても過言ではない」

岡部 「そのような重要なもの、この俺自らが出向かずになんとする」

るか 「そ、そうだったんですか」

るか 「出過ぎた事を言ってしまって、すみません」

ルカ子がうなだれてしまった。
素直すぎる。
こいつは、ちょっと人を疑う事を覚えた方がいい。
でないとそのうち、連れ去られてしまったりするんじゃないだろうか。
っていうか、自分からホイホイついて行ってしまうのでは……。

まゆり「もう、るかくんも、いちいち落ち込まなくてもいいよぉ」

るか 「え?でも……」

まゆり「それも、オカリンの設定だもんね?えっへへ」

岡部 「ぐぬっ……」

なんだか最近、まゆりにまで頭が上がらなくなってきた。

91: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:31:21.57 ID:9e8wtfxNO
まゆり「それにしてもねぇ、嬉しいなぁ♪えっへへ」

岡部 「え?」

まゆりが俺の後ろを歩きながら呟いた。

まゆり「ラボメンのみんなで忘年会が出来るなんてね、まゆしぃ、とっても幸せだなぁって思って」

るか 「うん。そうだね、まゆりちゃん。ボクも嬉しいよ」

まゆり「ねー」

二人揃って脳天気に笑っている。

岡部 「思わぬ差し入れがあったからな。今日の忘年会は、言わばそいつのおかげだ」

94: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:38:06.29 ID:9e8wtfxNO
ラボまで、あと二、三分あれば着くだろうか。
バイト戦士のやつ、うっかり口を滑らせていなければいいが。

まゆり「あ、そういえば、誰からの差し入れだったのかな?」

岡部 「え?」

岡部 「あ……いや、知り合いだ」

こっちもこっちで、発言には気をつけないと。

まゆり「知り合い?」

岡部 「ああ。結構親しいやつでな……。いろいろと世話になってるよ」

そう言うと、まゆりが目を見開いた。

まゆり「へぇー。オカリンにそんなお友達がいたなんて、知らなかったなぁ」

るか 「ま、まゆりちゃん。その言い方はマズいよぅ」

岡部 「………」

まゆり「あっ……ごめんね、オカリン」

謝るなよ。余計に惨めになるだろ。

101: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:45:09.83 ID:9e8wtfxNO
鈴羽 「あ、おかえり。オカリンおじ……岡部倫太郎」

岡部 「……」

鈴羽 「あはは…」

ラボに戻った俺たちを、まず鈴羽が出迎えた。
早速口を滑らせかけて、頭を掻いている。

ダル 「……なあ、田村氏って、オカリンの姪とかなん?」

すかさず、研究室から出てきたダルが割って入ってきた。

鈴羽 「へっ?」

ダル 「さっきからオカリンの事、おじさんおじさんって言ってるじゃん」

なに!?

鈴羽 「あ、いやー?何だろうね?知らないなぁ……」

こういう時だけめざといダルに、鈴羽は苦笑いしながら、
俺に向けてゴメンのジェスチャーを飛ばしてきた。
こいつ……。

岡部 「……姪ではない」

ダル 「そうなんだ」

106: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:54:34.70 ID:9e8wtfxNO
キッチンでは紅莉栖が、不機嫌そうに野菜を切って……切り刻んでいる。
包丁使いが危なっかしい。
どうしたというのだ。

岡部 「どうしたんだ?クリスティーナ?」

紅莉栖「……え?」

岡部 「うおっ!」

紅莉栖から、振り返りながら包丁を向けられてしまった。
加えてその表情の迫力に、思わず飛びずさってしまう。

紅莉栖「あ……ごめん。 あのさ、岡部……」

包丁を置いた紅莉栖が、力なく声を発した。
ただ事ではない。まさか鈴羽の正体がバレたとでも―――。

紅莉栖「私って、そんなに老けて見えるのかな?」

岡部 「……え?」

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 01:58:02.89 ID:9e8wtfxNO
紅莉栖「田村さんに、おばさんって言われた……」

紅莉栖「年も一個しか違わないのに……」

岡部 「………」

鈴羽 「………」

また、ごめんのジェスチャー。
いやいやこんなの、取り返しがつかないだろう。
ドジな未来人は、この際放っておく。

岡部 「多分聞き間違えだろう」

紅莉栖「え?」

岡部 「お、お前が老けて見えるはずがないではないか……」

岡部 「お前は……あの、その」

紅莉栖「ちょっ、えっ?」

ダル 「うは、ちょっと待ってて!今テレコ用意するから」

113: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:09:08.32 ID:9e8wtfxNO
岡部 「やめろバカダル!」

ダル 「ほれ、続けて続けて」

紅莉栖「橋田ぁ……」

紅莉栖がギリリと歯噛みしている。
気付くと、他の連中もこちらに視線を送っていた。
……危なかった。思わず、また黒歴史を刻むところだったではないか。
大きな声に加えて、腕を振り回して連中の視線を追い払う。
まったく、鈴羽が来てからというもの、調子が狂いっぱなしだ。
……世話の焼ける親子め。
実際、鈴羽がラボに飛び込んできた時点でかなり焦った。
時間跳躍を行うほどの理由を持ってきた。
また面倒事に巻き込まれる。
そう思った。
だが、真実は実にくだらない……いや、やっぱりくだらないものだったのだ。

鈴羽 「父さんがさ、あの時どうしてもモンハン?の会に参加したかったんだ、って言ってて」

鈴羽 「“そういうわけだから鈴たん。手ぶらじゃアレだから差し入れ持って行ってきて”ってな感じで」

岡部 「このバカ!」

鈴羽 「あはは……」

ってな感じで。

117: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:16:06.96 ID:9e8wtfxNO
ダル 「ちぇっ、なんだよ言わないのかよ。金かえせ!」

岡部 「うるさい!」

ダル 「いってぇ!」

頭をはたかれた。
っていうか、今のは結構力が入っていた件について。
死ぬかと思ったず。
オカリンは、肩を怒らせながら、ガスコンロのセットに行ってしまった。

ダル 「なあ、牧瀬氏。今のはいかんのでない?結構キツかったぜ、今の」

紅莉栖「うるさい!」

ダル 「お、おおう……」

二人ともこええ。
まあ、面白いけどな。
罵られたとしても、なんでか笑える。
心地いいのだぜ。すごく。
忘年会の準備が着々と進み、いよいよ鍋にカニが投入された。

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:22:17.04 ID:9e8wtfxNO
ダル 「ひょおーっ!カニが一段と赤くなって行くお!」

ダル 「オカリンと居るときの牧瀬氏みたいで萌えるわー」

紅莉栖「はあ?なにそれ!死ね!このHENTAI!」

まゆり「あ、クリスちゃん、カニみたいだよー」

紅莉栖「ひゃっ、やめてよ、まゆりまで!」

まゆ氏の脳天気発言も萌えるし。

るか 「ふふっ……あ、す、すみません!」

るか氏のわたわたっぷりも超萌える。

岡部 「まったく、お前たち。カニくらいではしゃぎすぎではないのか?」

ダル 「いやいや、オカリンが一番嬉しそうな顔してるんだが?」

岡部 「なっ!そんなわけが無いだろう!この俺が――」

オカリンには、まあ、萌えはしないけど面白いし。

122: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:34:31.37 ID:9e8wtfxNO
岡部 「こほん。それではこれより、ラボメンの忘年会を執り行う!」

オカリンが立ち上がって、大きな声をあげた。

ダル 「いよっ、待ってました!」

まゆり「すごいねぇ、るかくん。カニ食べ放題だよぉ♪」

るか 「こんなにたくさんのカニ、ボク、初めてです」

まゆ氏とるか氏が、身を乗り出して鍋をのぞき込んでいる。
オカリンがそこに割って入って、メインのカニを箸でよけた。

岡部 「カニだけでなく白子も入っているのだ!フゥーハハハ!」

えらいはしゃぎようだ。

紅莉栖「こら岡部!危ないからはしゃぐな!」

牧瀬氏に叱られてるし。
そういやオカリン、しらこが大好物だとか言ってたっけ。
確か、見た目的に、実にマッドサイエンティストらしい食べ物だとかなんとか。
ちなみに、フェイリスたんと桐生氏は仕事の関係で一時間ほど遅れるらしい。
残念すぐるお。

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:45:33.81 ID:9e8wtfxNO
岡部 「それではお前たち……」

紅莉栖「もう食べれるんじゃない?」

岡部 「あ、おう」

紅莉栖「みんな、もういいわよ」

岡部 「……」

牧瀬氏が声をかけると、みんながワイワイと鍋をつつき出した。
すごく楽しそうに、みんな笑っている。
そして僕も、この愉快な仲間の一員としてここに居られる。
うは、僕ってなんというリア充。
幸せものだお。

130: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:53:28.22 ID:9e8wtfxNO
岡部 「あー、ダル?」

鍋から上がる湯気の向こうから、オカリンがしらこを食いながら話しかけてきた。

ダル 「なんぞ?」

岡部 「正月の事なんだが……」

ダル 「え?」

岡部 「やっぱりお前、家に来い」

ダル 「は? え? で、でも僕には用事が……」

岡部 「き、貴様の用事など知った事か!」

ダル 「うは。どこのガキ大将だよ」

岡部 「うるさい。いいからモンハンを持って来いと言っている」

131: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2011/12/29(木) 02:54:52.78 ID:9e8wtfxNO
ダル 「………」

僕は、ニヤけそうになるのを必死でこらえた。

ダル 「ま、オカリンがそこまで言うならしょうがないお」

よかった。本当はスゲー行きたかったんだ。

岡部 「ぐぬぬ……」

ダル 「……サンキュ、オカリン」

岡部 「え?」

ダル 「あいや? なんぞ?また幻聴でも聞こえたん?」

岡部 「貴様……とことん俺をコケにしたいようだな!」

紅莉栖「うるさい岡部。ハサミぶっ刺すぞ」

岡部 「あ、すみません……」

牧瀬氏に脅されたオカリン、が黙ってカニを食い始めた。
情けなぁ。
先が思いやられるお。
……でも、本当にありがとな、オカリン。
憎まれ口ばかりだけど、これでも心から感謝してるのだぜ?
まあ、言わないけどな。

おわり。