1: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:10:36.31 ID:VuK/Hf4K0

 ――事務所


薫「せんせぇ、ねえ、せんせぇっ」タッタッタ

P「ん、どうした薫。そんな急いで」

薫「あのね、これ!」バッ

P「…これって言われても、ただの本じゃ――って、交換日記?」キョトン

薫「うん! みんなでやりたいなって思ったんだよ!」

P「交換日記か……今でもこういうのあるんだなあ。でもどうして?」ヘエ

薫「んとね、最初は千枝ちゃんとやってたんだけど、やってる内にみんなで交換日記やりたいって思ったの」

P(薫と千恵がか…プライベートでも仲が良いとは思ってたが、交換日記までしてるとは)

薫「だから最初にせんせぇをさそおうと思って……どうかな?」

P「うーん、俺はいいだろうけど、みんなはそれぞれ仕事があるだろうしな……」

薫「そっかぁ……」

ちひろ「いいじゃないですか、交換日記」クス

P「ちひろさん?」

ちひろ「交換日記として持ち帰って書くのは難しいかもしれないけど、事務所に置いておけば時間がある人が書けるでしょう?」

P「ああ、なるほど。でもそれじゃあ交換日記というよりも学級日誌みたいだな」ハハ

薫「がっきゅうにっし…せんせぇは事務所のせんせぇだもんね!」

ちひろ「言われてますよ、先生。頑張って下さいね」

P「はは、ならやろうか。最初は俺からかな?」

薫「うん! じゃあ、かおるはレッスンに行ってくるね!」トタトタ…



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1375355436

引用元: モバP「事務所でみんなの交換日記」 


 

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2: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:11:48.84 ID:VuK/Hf4Ko


P「交換日記も学級日誌も響きだけで懐かしく感じますよ」

ちひろ「プロデューサーさんは交換日記とかやってたんですか?」

P「ええ。少しだけですけど、誘われてやってましたね」

ちひろ「何だか意外です。でもまあ、頑張って下さいね」クス

P「いや、勿論ちひろさんもやるんですよ?」

ちひろ「え?」

P「『みんなで交換日記』ですから。ちひろさんだって事務所の仲間です」

ちひろ「プロデューサーさん……」

P「俺が担任なら、ちひろさんは副担任でしょうかね」ハハ

ちひろ(CGプロ組担任P、副担任私……ふふ――ああ、いけない、私ったら)

P「じゃあ事務所の邪魔にならないところに定位置を作って……っと」

ちひろ「薫ちゃんが帰ってくる前に、記念すべき一ページを書いてくださいね」

P「わかってますよ。じゃあこれ書いてから営業行ってきます」サラサラ

ちひろ「うわ、早いですね。書くこと考えていたんですか?」

P「そうでもないです。ただ、最初ですから軽い感じに……まあ、こんなもんか」パタ

ちひろ「大体の人って、白紙を目にすると迷うものですけどね」クス

P「ああ、わかります。書き出しがわからなかったり」

ちひろ「流石はプロデューサーさんということですね。もう出ますか?」

P「はい。じゃあ行ってきます」フリ

ちひろ「今日も頑張ってきて下さいね」フリ



3: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:12:24.58 ID:VuK/Hf4Ko


 ガチャン!


ちひろ「……さて、時間もあるし、私も書いておきましょうか」パラ

ちひろ(プロデューサーさん、字が綺麗だな……。文章もしっかりで)

ちひろ(真面目なんだけど堅苦しくなくて、事務員の私にも気さくに話しかけてくれて)カキカキ

ちひろ(アイドルの皆にも好かれて、営業も上手くて……でも時々抜けてたり、ふふ)カキカキ

ちひろ(そんな所がまたプロデューサーさんらしくて格好よかったり――って)カキ…

ちひろ「うわ、私ったら一体何を書いているの!?」ゴシゴシ!!

日誌「クシャクシャ」

ちひろ「何やってんだろ、私……。はあ、無難にアイドル達に軽くルールでも書いておきましょうか」カキカキ

ちひろ「じゃあこれぐらいにして、元の位置に戻して……仕事始めますか。頑張れ、私っ」



4: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:12:56.30 ID:VuK/Hf4Ko


 ・ ・ ・

 ――翌日、事務所


P「お、昨日から始まったのにもう書き込まれてるな」パラ

ちひろ「ええ、昨日プロデューサーさんが居ない間に来たアイドル達に説明したら色々書いて行きましたよ」

P「それだともう学級日誌よりも単なる自由帳になってますけど…まあいいか」ハハ

ちひろ「ご丁寧にみんなページ下空けてますから、返信したらどうです?」

P「うわ、本当だ。枠まで作ってるアイドルも居るな」

ちひろ(まあ私がそうするように教えたんですけどね)

P「よし、じゃあ休憩の合間に早速書こうか。……一番目のアイドルは凛か」

ちひろ「プロデューサーさんとすれ違いで来てましたからね。呆れつつも結構乗り気でしたよ」

P「はは、凛らしいな。さてと、日記の内容は――」



5: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:13:40.10 ID:VuK/Hf4Ko


 ○月×日 天気:晴れ

 担当:渋谷凛


 プロデューサーってば、また変な事をやり始めて……って思ったけど違うみたい。

 ちひろさんに話を聞くと、どうやら薫が言い出したんだって。
 事務所に常備する交換日記っていうのも何だか面白いね。



 というわけで、何と最初は私みたい。
 何でも好きな事を書いていいってちひろさんは言うけど、考えないとこういうのは難しいね。


 …特に何も思いつかないから、とりあえずプロデューサーへ伝言。


 この事務所が出来て最初に来たのが私だけど、もう随分と時間が経って、色んな人がやってきたよね。

 個性のあるアイドルが沢山来て、当時はプロデューサーのスカウトに疑問を感じたりもしたよ?
 でも、みんなそれぞれ活躍してるんだから、凄いよね。

 それもこれもプロデューサーの見抜く力があるからなのかな?
 それの最初が私なのは、喜んでいいんだよね、ふふっ。


 それで……私もみんなも忙しくなって 昔に比べたらプロデューサーと話す機会は減ったね。
 一日会わないことも増えていきて……嬉しいんだけど、ちょっと寂しいかな。

 でも、私はあの頃から気持ちは変わってないよ。


 これからも一緒に頑張ろう、プロデューサー。
 そして、みんなともね。



6: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:14:35.77 ID:VuK/Hf4Ko


P「凛……」ジーン

ちひろ「事務所設立からずっと頑張ってる子ですから、思い出も多いんでしょうね」

P「俺も失敗続きでよく凛に怒られたなあ……」

ちひろ「それがここまで来れたんですから、やっぱり凛ちゃんはウチのメインアイドルですね」

P「あんまりアイドル内で上下は決めたくないんですけど…密度は断トツです」

ちひろ「じゃあ、早速返信してあげて下さい」

P「そうだな……」カキカキ


――――――――――――――――――――――――――――――――
 俺のスカウトにのってくれて本当にありがとう、凛。

 事務所がここまでこれたのは、間違いなくお前のおかげだよ。


 最近話す機会が無かったのはすまない。
 よかったら、いつか時間合わせてどこかご飯でも食べに行こうな。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「こんなもんか」

ちひろ「凛ちゃんも喜びそうですね。言ってくれたらスケジュールも調整しますから」

P「ありがとうございます。それならすぐに実現しそうだ」ハハ

ちひろ「じゃあ次のページに行きましょうか」

P「ですね。……ええと、次は友紀? 珍しいな」

ちひろ「オフなんですが、今週の試合のハイライトを見に事務所に来てました」

P「いつも中継で見てるだろうに…というか何故事務所で見る」

ちひろ「私は野球、詳しくないですから……友紀さんなりの好みがあるんでしょうね」

P「全く……まあいいや。内容はっと――」



7: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:15:10.80 ID:VuK/Hf4Ko


 ○月×日 昨日は勝った!明日も勝つよ!



 いえい!
 キャッツは現在独走中であります!


 いやーやっぱりキャッツは良いね。みんなカッコいいし。
 また明日もがんばろーって思うもん。


 それで気持ちいいオフを家で録画見ながら過ごそうと思ったら事務所に忘れて来ちゃったんだよねー!
 だから事務所に来たんだけど、したらちひろちゃんがこの日記のこと教えてくれて書いてみたって訳ですよ!

 あたしはこういうの似合わないんだけど……まあキャッツが勝ったから特別にかいてやろーじゃんってことで!


 そーいえばさー、聞いてよプロデューサー!

 最近夕からの仕事が多くてナイトゲーム見に行けないんだけど!!!
 今日はオフなのに試合無いし……。

 これはもう他チームから終身名誉キャッツファンのあたしへの妨害工作とみたね。
 あたしがキャッツの原動力になってることが脅威なんだよ!


 というわけでお願いプロデューサー、あたしに時間をちょーだい!
 そうだ、それでプロデューサーも見に行こう! キャッツを見れば、絶対好きになるから、ね!?

 熱い声援を送りながら飲むビールは美味しいからさ!

 ……って、にゃはは、ビールは事務所でもおいしいかな!


 目指せキャッツ優勝! そしてビールかけに参加したい!


 byユキ



8: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:16:14.52 ID:VuK/Hf4Ko


P「……まあ日記らしいといえば日記らしいが」

ちひろ「ついでに言うと友紀さんらしいですね」

P「つーかオフに事務所に来てまでビール飲むなよ友紀! ここは居酒屋じゃない!」バンッ!

ちひろ「事務所内にアルコール専用の冷蔵庫がある時点でもうどうしようもないかと思うんですが」

P「うちのアダルト組、大体アルコールに節操ないからなあ……アイドルなのになあ…」ハァ

ちひろ(プロデューサーさんがアイドル像に嘆いてる…)

P「まあそれも含めて親しみやすさがウケているのも事実なんだが」

ちひろ「野球好きからは特に大人気ですもんね、友紀さん」

P「…たまには一緒に球場に行くのも悪くないか。じゃあ……」カキカキ


――――――――――――――――――――――――――――――――

 別に駄目とは言わないが、事務所内での飲酒は控えるように。
 トラブルの元だからな。

 時間に関しては申し訳ない。
 ただ、アイドルなんだから仕事を優先してくれよ?


 このまま仕事を続けて、余裕ができたらまた野球を見に行こうか。
 俺は野球はあんまり知らないから教えてくれると嬉しい。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――


ちひろ「随分と紳士的ですね」

P「お酒が美味しいのは事実ですから…頻度さえ気をつけてもらえば飲んでもいいんですよ」

ちひろ(本人に直接訴えれば治るような気もしますけど)

P(…正直な話、お酒飲んでる友紀は色っぽいんだよなあ)

ちひろ「…何か考えてます?」

P「イエ」



9: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:19:39.16 ID:VuK/Hf4Ko


P「そして次に……杏だと!?」ビクッ

ちひろ「やっぱりそう言いますよね」

P「いや、だって、え? あの杏が日記を書くって……」オロオロ

ちひろ「正直私も書かないかなあと思ってたんですけど、存外素直に書いてくれましたよ」

P「あいつ、何が目的だ……?」

ちひろ(担当プロデューサーにそう思われるアイドルって一体……)タラー

P「ま、まあ書いていることは事実だから、まずは読むか…ええと」



10: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:24:51.38 ID:VuK/Hf4Ko



 同日

 杏が書くはずがないって思ったでしょ?



 なんかそう思われるのがむかついたんで、ここで少し本気を出してやろうじゃないか




 ……あー、でもめんどい


 交換日記って普通こんなオープンじゃないでしょーが。
 別に見られて恥ずかしいもの書かないから杏はいいけどさ


 とりあえず凛がそれっぽいこと言ってるんで杏も言うよ。


 最近みんな事務所のお茶うけ、もとい飴を食べ過ぎてるんだけど。
 即急な供給量増加をもと



 うん、つかれたおわり


 by書いたからオフくれ



11: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:33:47.86 ID:VuK/Hf4Ko


P「杏……」ガックシ

ちひろ(あれ、凛ちゃんの時と同じ感じなのに何か違う)

P「……まあ杏にしてみれば餌もなしによく頑張った、ということにしておこうか」

ちひろ「やればできるんですけどね…」

P「あいつはできないんじゃないんです。やらないだけで」

ちひろ「正直、一層たちが悪いですよねそれ」ハァ

P「いいんだ、それで人気が出てるんだから……世の中がわからないよ」

ちひろ「…それで、返信はどうするんです?」

P「えーっと……まあ、こんな感じで」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 俺は書くと思ってたよ。嘘じゃないぞ?


 特に内容を限定するわけじゃないから、よかったらまた書いてくれ。



 それでお菓子の件だが、確かに最近よくアイドルが出入りするから
 多少減りは早いかもしれないな。

 杏達のお陰で事務所もいい感じだし、ちひろさんと相談して
 考えるよ。意見ありがとう

 Pより
 

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「あの……少し思ったことを言ってもいいですか?」

P「ん、何かありました?」

ちひろ「いや……なんかもうこれ、小売店のご意見カードみたいになってません?」

P「……」

ちひろ「……」

P「今回書いてたアイドルは三人だけだな」パタ

ちひろ(流したーっ!?)ビクッ

P「まあ一人ひとり書いても時間がかかるだろうし、妥当だろうな」

ちひろ「え、ええ。これから順番にオフなんかも回ってきますから、次に見たらまた増えてますよ」アセ

P「薫の案で始まった交換日記でも、中々良いコミュニケーションツールになるもんですね」ハハ

ちひろ「こうして書き記す事が口で伝えるよりも簡単ですから」

P「それもそうだ……っと、思い出した」

ちひろ「どうしました?」

P「俺の次に書いたちひろさんのページにも返信してもいいですか?」

ちひろ「ふぇ!?」

P「注意書きが殆どですが一応書いてくれてるみたいなんで…」

ちひろ「え……じゃ、じゃあお願いします」

P「はは、任されました」



12: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:36:30.25 ID:VuK/Hf4Ko


 ・ ・ ・


 ――凛の日記、その後

凛「おはよう…あ、プロデューサー」ハッ

P「おお、凛か。日記読んだよ」

凛「…何だか本人の目の前でそう言われるのは照れるね」

P「でも凛の気持ちが知れて俺は嬉しいと思うよ。返信は見てくれたか?」

凛「うん、見たよ。明後日は仕事が昼までなんだけど、プロデューサーはどう?」

P「明後日か……よし、わかった。空けておこう。場所はどうする?」

凛「プロデューサーが決めてくれるならどこでもいいかな」クス

P「あんまり期待するなよ……」

凛「やだよ。期待するからね、ふふっ」

ちひろ(なんといういい雰囲気……!)



13: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:39:42.00 ID:VuK/Hf4Ko


 ・ ・ ・

 ――友紀の日記、その後


P「ふう……風呂も入ったし、明日も早いから寝るかあ――」ピロリロ

P「って、その前にメールか」ポチポチ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 やっほー! いつもお疲れ様!

 日記見たよ、そんで明日にでも行こうよ!!

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「いやいや、明日も仕事入ってるから」ハァ

P(次のオフはいつだったっけ……と、来週は空いてるな)カコカコ

P「来週の水曜日にしよう、と」ピロリーン

P(返信はえぇ……)

――――――――――――――――――――――――――――――――

 その日はナイトゲームだね。キャッツがもっとカッコよくなって
 もっとビールが美味しくなるよ!

 野球を知らないプロデューサーにも好きになってもらうようにあたしも
 頑張るから、一杯楽しもうね!

 それじゃばいばい!おやすみ!

――――――――――――――――――――――――――――――――

P(大人らしからぬ文面…いや、二十歳なんてこんなもんか)

P「体調崩すなよ、と。よし、俺も寝るか」ケイタイポイッ


P(…まあ、行く前にキャッツのメンバーくらいは覚えておこうかな)



14: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/01(木) 20:40:58.10 ID:VuK/Hf4Ko


 ・ ・ ・

 ――杏の日記、その後


P「そこのソファーのブランケットに埋まってる芋虫アイドルー?」

杏「……なにさ」ニョキ

P「芋虫で反応するのか……いや、日記読んだぞ」

杏「あっそー。じゃあオフはくれるんだね」

P「それはない」キリッ

杏「きちくー……」

P「それはおいといてだ。ほらこれ」ガサッ

杏「……おー、杏の好きなアメじゃないか」パク

P「許可が出たから少し増やしておくからな。…全部食うなよ?」

杏「しかたない、オフの代わりで許してやろうじゃないか」

P「ありがとう、じゃあ今からレッスンだから行けよ」

杏「アメを食べるので忙しいから後にする」

P「そんな言い訳が通じるかっ!」ズルズル

杏「しょけんらんよーだぞばかーやめろー!」ヤメローメロー…

23: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:21:25.96 ID:7Z1pTjhto


 ・ ・ ・

 ――ある日の事務所

P「ただいま戻りましたー……あっつぅ」ガチャ

ちひろ「おかえりなさい。スタドリ要ります?」スッ

P「いただきま……何普通に売りつけてるんですか」

ちひろ「要らないんですか?」

P「……あー美味しいなあ」ゴクゴク

ちひろ(やったぜ。)

P「体力は回復したけどエアコンが体に効くまで何もしたくないなあ…」グデー

ちひろ「なら、日記の方見てみては?」

P「パソコン触るのも面倒だし、そうするかー……」グデー

ちひろ(夏の暑さでプロデューサーさんが杏ちゃん化してる……)

P「それじゃあ続きは――若葉か」

ちひろ「若葉さんには呼び捨てなんですね」

P「まあ本人はそういうところ気にしてますから。少なくともプロデューサーの立場の人間くらいは意を汲まないと」

ちひろ(そういう所が優しいって言われる所以なんだろうなあ)

P「でも若葉の書く内容ってのは少し気になるな、どれ――」



24: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:22:50.98 ID:7Z1pTjhto


 ○月△日。

 このページは私、日下部若葉が書くことにしました~。
 みんなもこの日記のことは知ってるのですが、どうやら恥ずかしがっているらしいです。

 私は別に大丈夫ですよ?

 だって、こういうことは昔からやってみたかったから――って、子供っぽい考えとかそんなんじゃないですからね!


 ……まあ、私が率先してやることで、恥ずかしがってる人たちにもハードルを下げられたらいいかな、と思ってます~。



 本日、天気は晴れです。雨雲さんは足が遅いみたいです。

 今日もまだまだ暑いですが、みんなも一生懸命レッスンや仕事に励んでますっ。

 って、そんなことは知ってますよね。Pさん。


 ええと……ここは良き大人として、話題を提供するべきですよねっ。



 ……この前地方ロケに行った時、時間が空いたそうなので一人で観光してたんです。


 そうしたら駄菓子屋があって、懐かしいなーと思って入ったら中に居たおばあちゃんがとってもニコニコして私にお菓子を色々くれたんですよ~。

 これ知らんだろ、これ食べてみんさい、いやーこんなところに来るなんて一体どうしたんだい、親御さんはー、一緒に探してやるから、これで辛抱しいなって。



 ……まだまだ私の成長は続けて行かないと駄目みたいです。

 Pさん、よろしくお願いしますね~。



25: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:23:16.16 ID:7Z1pTjhto


P「若葉……」ジーン

ちひろ(どうしてだろう、悲しくなってくる)

P「相手がご年配となると、やっぱり知名度も低いのは仕方ないのかなあ」ウーン

ちひろ「初対面の人間相手にそこまでしてくれるってそうそうないですよね、そのお婆さん」

P(あのルックスと性格を活かせばそういう層にもウケそうではあるが……要相談だな)

ちひろ「成長期っていつぐらいまであるんでしたっけ?」

P「うーん、まあ遅ければ22歳らしいですが…」

ちひろ(言外の言葉が読み取れるのが悲しい)

P「まあ人間見た目じゃないぞってことで――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 流石若葉、大人らしくいい率先役になってくれるな。
 これでもっと色んなアイドルに書いてもらえたら俺達も嬉しいよ。


 地方ロケといえば、2ヶ月前のやつだよな?
 あそこはご年配の方々が多いからそんなに気にするなよ。
 それに、相手方も若葉を心配してくれての言葉なんだからな。


 ……って、それで納得できるなら問題はないか。

 じゃあ……ああそうだ、今度事務所の中で親交会をやるんだが、
 よかったら若葉もセッティングを手伝ってくれないか?

 若葉なら効率よく進めてくれそうだからな。余裕があれば頼むよ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「…何か体よく労働力を確保しようとしてません?」

P「いやいや、そんなまさか」

ちひろ(まあアダルト組がそういうのに向いていないといえばそうなりますけど)



26: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:26:47.19 ID:7Z1pTjhto


P「……若葉は気にし過ぎなんですよ、結局」トン

ちひろ「子供に見られるってことがですか?」

P「はい。アイドルになった時点でそれはもう強力な武器になっているのに、
  いつまでも目的に固執しちゃ駄目です」

ちひろ「本人の気持ちですから、難しいですよね」

P「それを自覚して自分の手に持つことが出来れば、もっと輝けると思うんですが……」

ちひろ「それをどうするからプロデューサーさん、あなたの手腕ですよ」

P「ええ。絶対満開にさせてみせます」

ちひろ「心強いですね。…じゃあ、次の人に行きますか」

P「そうですね……と、今度は奈緒だな」

ちひろ「彼女も珍しいような気が。こういうの恥ずかしがるタイプですし」

P「はは、確かに。でもまずは見てみますね――」



27: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:28:27.84 ID:7Z1pTjhto


 ○月△日 天気:晴れ
 担当:神谷

 あー、なんだこの緊張。
 別に何も書くことないのになぁ。どうしてこんな物事務所に置いちまったんだ。


 ……そりゃー、他人の日記を読むのって面白そうだとは思ったけど。
 あー、それで書くのは嫌だとは言えないよなあ。卑怯だって話だ。



 じゃあ今日の出来事でも書くか。

 いつもクールぶってる凛が、スケジュール帳に間違って書いてしまってた黒い曲線を髪の毛だと思って払ったけど払えなくて何度も払ってた。
 それでその内気付いた時にはもう加蓮に見られてて『なーにやってたのかなー?』とか言いながらニタニタ笑っておちょくってたよ。
 そしたら凛は凛でプロデューサーとロケに行った時の加蓮の浮かれっぷりを槍玉に挙げて反撃するし、何かとばっちりであたしのプロデューサーへの……ってそれはいいだろ!

 とにかくあいつら対抗意識強すぎてこっちに何がくるか……気をつけねぇと。

 ↑嘘をつかないでよ奈緒。私がそんな事に気付かないわけないじゃん
 プロデューサーも信じちゃだめだからね、奈緒の言うこと

 まあこんなもんか。
 前の若葉さんに沿って書いたからこれで合格だろ。



 ……これ、プロデューサーに見られるんだよな?

 あ、あーもうなんか恥ずかしい!
 柄じゃないのはわかってるけどさ、若葉さんに誘われて書かざるを得なくなったんだよ!


 もういいや、乙。次の人に渡してくる!



28: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:29:28.59 ID:7Z1pTjhto


P「途中の別の人が書いたらしき文字は……気にしないでおこうか

ちひろ「きっと凛ちゃん、あれが鉛筆の軌跡だと気付かなかったんでしょうね」

P「あいつ、雰囲気は大人っぽいのに、たまにああいう事をするから可愛いんですよ」

ちひろ「付き合い長いですから、お見通しですか」

P「です。……でもまあ、奈緒はまだまだこういうのは恥ずかしいか」ハハ

ちひろ「むしろ奈緒ちゃんってこういうのやってそうですけどね」

P「やりたくても恥ずかしくてやれなかった、ってな所でしょう。文章が楽しそうだ」

ちひろ「若葉さんに誘われたって書いてますけど、やっぱり内面は?」

P「嬉しさ半分、迷い四分の一って所ですかね」

ちひろ「四分の一? 残りは何ですか?」

P「感謝ですよ。作ってくれた薫と、誘ってくれた若葉への」

ちひろ「……プロデューサーさん、柄じゃないです」

P「ほっといてください。じゃあ返信は――」


――――――――――――――――――――――――――――――――

 はは、普段のアイドル活動に比べればこれぐらい何ともないだろ?


 あんまり恥ずかしがってちゃせっかくの奈緒の可愛い顔が勿体無いぞ。
 その顔もまたいいんだけどな?


 でもまあ、よく逃げずに書いてくれたよ。
 若葉には感謝しないとな。


 ただ途中の文字については……二人で話し合ってくれ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「一部投げましたね」

P「あの二人だからですよ。トライアドプリムスは仲が良くて何よりです」ハハ

ちひろ「私から見てもよくわかりますからね、あの三人は」

P「そういうことです。じゃあ次は――」



29: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:30:11.06 ID:7Z1pTjhto


  ○月△日 薄着の季節だねっ☆


 なんか奈緒さんに渡されちゃったけど、女の子のヒミツが隠されてそうでこりゃ重要機密文書じゃないかなー!

 ちょうど事務所の入り口ですれ違った時に渡されたからびっくりしたけどさ、運命とはこういうことだよね☆


 というわけでおーぷん……でも何もかいてないじゃないのさー!


 こうなったらあたしがそのパイオニアになるよっ☆

 ……うひひひ、なんかこの言葉っていいよね、今度誰かに言わせてみようっと。
 


 じゃあ第一弾でーす!

 最初は卯月さん☆

 プロデューサー、よくあんな逸材を見つけられたね!

 もちろんあたしの庭はお山なんだけど、卯月さんはもうひとつのお山もすばらしい!
 なんといってもあのおしり!
 柔らかいんだけど押し込んだ時に強まる弾力!
 レッスンで鍛えたものはやっぱり偽物とは違うよね!

 本人はそんなことないっていうけど、脂だけが美味しさの全てじゃないってことは、分かる人にはわかるんだよ☆


 もちろんそれだけじゃない、卯月さんが素晴らしいのはリアクション!
 何度やっても初めは驚いて可愛い声をあげてぇ、それで顔を赤らめて控えめて止めてっていう声色がもう―――



30: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:31:29.54 ID:7Z1pTjhto


P「はい、やめやめー」バタッ

ちひろ(うん、擁護のしようがなかった)

P「なんなのアイツ。ウチのアイドルにセクハラとか何なの? あいつもウチのアイドルだけど!」

ちひろ「愛海ちゃんをスカウトしたのはプロデューサーさんですよ……」

P「いやね? 確かに初対面で片鱗どころか全部見えてたけどさ、黙ってると可愛いんだよ、愛海」

ちひろ「まあ、音声さえ消せば立派なアイドルですよね」

P「女の子と友達になれるとは言った! だが登山家になれとは言っていない!」ダンッ!

ちひろ「……とりあえず、どうします?」

P「卯月のためにも後半部分は修正を入れるとして…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 オーケーオーケー、今度俺と契約書を確認し合おう。

 人には不可侵の領域がある。そこに踏み込むことは、お前の登山家人生に
幕を下ろすことになるぞ。



 …清良さんに相談しておくから、それまでおとなしくしておくように。

 あと、プライバシーの関係上一部修正を入れるからな。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「おいたわしや、卯月ちゃん…」

P「あいつなら大丈夫だとは思うが……今度ご飯にでもつれてってやろう」

ちひろ「そうしてあげて下さい、卯月ちゃんのために」



31: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:35:02.28 ID:7Z1pTjhto


 ――

 ――――

 ――――――

P「はあ……なんだか最後の愛海のせいでどっと疲れたような気がする」

ちひろ「初犯なんて言葉を忘れてしまうぐらい昔からですけどね……」

P「いやまあアイツもボーダーラインは見極めているだろうし、そこまで大事件にはならないだろうが……他のアイドルの士気にも関わるから、考えていかないと」ウーン

ちひろ「それでも、ペアを組ませると相手によってはその子がいい表情をするって向こうのディレクターに人気なんですよね、あの子」

P「アイドルが大勢の男と柔らか談義をするって新時代すぎるわ」

ちひろ(振り分ける属性を間違えたかな……)

P「――っと、もうこんな時間ですか。作業を再開しないと」

ちひろ「あら、いけない。日記は戻しておきますね」

P「すいませんお願いします。……よし、やるか!」ガガガ


32: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:35:50.50 ID:7Z1pTjhto


 ・ ・ ・

 ――若葉の日記、その後

 [事務所、応接間]

若葉「――と、以上で行きたいと思うんですがどうでしょうか~?」

真奈美「ああ、いいと思うぞ。振り分けも問題ない」

雪乃「私も皆さんのためにがんばりますわ♪」

若葉「ありがとうございます~。では親交会がうまくいくように頑張りましょうっ」


 オー…!




P「みんなもちゃんとついていけてるし、若葉に任せてよかったな」ウンウン

ちひろ「でも内心不安だったんじゃ?」

P「そうでもないですよ。ウチのアイドルは皆仲良しですからそうそう争い事なんて」

ちひろ「なら若葉ちゃんじゃなくても……」ボソ

P「あの日記を見て真奈美さんに相談したら、彼女も賛同してくれたんですよ。若葉をまとめ役にしようじゃないか、って」

ちひろ「ああ、そういうことですか」

P「騙すようで悪い気もしますが、実際仕切り方も上手いですからこれで振り切ってもらえるといいんですけどね」

若葉「Pさーん、ちょっとこっちに来てくださ~い!」フリフリ

P「ああ、わかった。すぐ行くよ!」タッタッタ…


ちひろ(うまいなあ、プロデューサーさん)



33: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:37:55.49 ID:7Z1pTjhto


 ・ ・ ・

 ――奈緒の日記、その後

 [事務所]

凛「なーおー……?」ジト

奈緒「ひぃ!? な、なんだよ凛!」

凛「日記見たよ。奈緒は酷いこと書くんだね」

加蓮「きゃー、奈緒ってばさいてーい」

奈緒「…すまん、書いたのは悪かったよ――って、元はといえば普段お前らがあたしを意味なくおちょくるからじゃねえかああ!」ウガーッ

凛「ふふ、ごめんごめん。奈緒の事は大好きだよ」ダキッ

奈緒「い、いいいいきなり抱きついてくるなよ!?」

加蓮「あ、凛ズルい!」ダキッ

奈緒「ちょ、加蓮まで何を――」

加蓮「いつもありがとうね、奈緒」コショコショ

奈緒「うがー! あっついんだから近づくなやめろー!」バタバタ


 ギャーギャー


P「いやーやっぱり仲がいいなあ」シミジミ

奈緒「おいそこで見てないで助けろよプロデューサァ!」ジタバタ

ちひろ「……呼ばれてますよ?」

P「奈緒が可愛いのでしばらく観察です」

奈緒「無視するなプロ、プロデュ――ひゃあん!」

凛「かわいー」ゴソゴソ

加蓮「かわいー」ゴソゴソ

P「……助けに行ってくる」フリ

ちひろ「お願いしますね」

奈緒「遅いわばかぁ!」



34: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:38:45.01 ID:7Z1pTjhto


 ・ ・ ・

 ――愛海の日記、その後

 [事務所]

愛海「おっはよープロデューサー! 今日も暑くて目が潤うね!」ガチャ

P「おはよう。だがまずは座れ」

愛海「なになに、お山をいただけるのっ?」スタスタ

P「それは後でちひろさんのをあげるから、いいか、よく聞け」

愛海「うん☆」

ちひろ(えぇ!?)ビクッ

P「…お前のやっている登山は違法だ。許されないぞ」

愛海「……そんなことないよ。あたしは夢を追うアイドルだから仕方ないことなの」

P「それが仲間を傷つけているのだとしても、か?」

愛海「あたしだって傷つけたくはない。でも、傷つかずに進む方法なんてないんだよ!」

P「あるはずだ! 手を取り合って、協力して登山する道が!」

愛海「それじゃ駄目なんだよ、プロデューサー! 頂点を目指すには、羞恥に埋もれる女の子の赤らんだ顔が必要なの!」

P「……わかるさ。俺にもわかる。それは大事だよな。それがあってこその登山だよな」

愛海「プロデューサー……」ジーン

P「だが俺はみんなのプロデューサーなんだ。お前だけを支持する訳にはいかない」

愛海「そんな……じゃああたしはこれからどうすれば」ガーン

P「悪いが、しばらくはちひろさんで――」


卯月「ちょっと待って下さい、プロデューサーさん!」ガタンッ!

P「卯月!? 起きて大丈夫なのか!?」



35: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:39:34.80 ID:7Z1pTjhto


卯月「…確かに愛海ちゃんのやっていることは悪い事なのかもしれません」

卯月「ですが、愛海ちゃんだってただ無差別に上り詰めている訳じゃないんですっ!」

愛海「卯月さん、言わないで!」

P「……卯月、どういうことだ」

卯月「…あの時、私はレッスンでいつもの調子が出せなくて落ち込んでいたんです。そうしたら、愛海ちゃんが私の……それを撫でてくれたんです」

P「撫でた? 登ったんじゃないのか?」

卯月「突然でびっくりしたけど、体がぽかぽかして、落ち込んだ気分がふわっとしてきて……そのおかげで、次のレッスンは大成功したんです」

P「…説明してくれるか、愛海」

愛海「……お山はね、夢と希望と愛情が詰まっているから膨らんでるの。私は、それに触れることで溜め込んだ物を分けて、その人を元気づけることができるんだよ」

P「ということは愛海、お前は――」

愛海「登るべき山があるから、あたしは登る。それがあたしの登山家としての使命なの」

P「そんなことを考えて……」

卯月「だからプロデューサーさん、愛海ちゃんをそんなに責めないであげて下さい」

愛海「卯月さん……」




P「――で、どこまでが本当なんだ」

卯月「無理矢理触って来ました」

ちひろ(えぇー……)



36: VIPにかわりましてNIPPERがお送りします 2013/08/02(金) 21:41:01.27 ID:7Z1pTjhto


ちひろ「というか卯月ちゃんってそんな小芝居する子でしたっけ!?」

卯月「いえ、そんな……でも、愛海ちゃんが居ることで事務所も明るいんです」

P「明るいというか騒がしいんだけどな?」

卯月「た、確かに恥ずかしいですけど、なんだかんだでみんな笑ってて、それが愛海ちゃんの良さだとしたら、それを奪うのは可哀想だと思うんです」

P「だが、実際に卯月以外に犠牲が出ているんだぞ」

卯月「それは……私が頑張りますっ!」

ちひろ(頑張って済む問題…?)アセ

愛海「卯月さん、そこまであたしのこと……」ジーン


P「――仕方ない、卯月に免じて許してやろう」

卯月「ありがとうございます!」

愛海「ホントっ、プロデューサー!?」

P「ああ。ただそのかわり嫌がってる子も居るんだから、困ったらちひろさんを使いなさい」

愛海「わかったよっ☆」ピース

ちひろ「ちょ、ちょっとプロデューサーさん!?」ビクッ

P「いざゆーけー! むてきーのー!」ビシッ

愛海「むなかたぐんーだんー☆」シュバッ!

ちひろ「ちょ、愛海ちゃんはや――きゃああああああ!!」


50: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:36:22.96 ID:CZl6/f2jo


 ・ ・ ・

 ――事務所

P「ん、ん、んー…――ふはぁ。メール確認も一段落ついたぁ」ノビー

ちひろ「今日に限ってはよくメール来てたそうですね。何かありましたっけ?」

P「ああ、夏休みに向けた祭り需要ですよ」カチカチ

ちひろ「花火祭りの撮影効果ですねー。みんな可愛く取れてましたし」

P「ですね。浴衣が似合いそうなアイドルから騒ぐのが大好きなアイドルまで、相手の要望は千差万別ですよ」

ちひろ「お祭りの中でも内容はさまざまですからね」クス

P「ウチもアイドル沢山抱えてますから、チョイスも結構気を使います」

ちひろ「プロデューサーさんが決めたことなら、アイドルの子達もみんな納得しますよ」

P「だと嬉しいんですけどねえ」

ちひろ「大丈夫ですよ。――あ、プロデューサーさん、お茶のおかわり要りますか?」

P「おおっと、すいませんお願いします」カチャ

ちひろ「はい、ちょっと待っててくださいね」スタスタ

P「ありがとうございます」



P「……」

P(拝啓、社長様。千川ちひろは天使です)


P(……)

P「疲れたし、日記を見るかな」ガタ



51: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:38:05.25 ID:CZl6/f2jo


P「前回は若葉、奈緒と……愛海だったな」

P「愛海に関しては予想外というか予想通りというか、結局残念な物ではあったが卯月が許したから勘弁しておいてやろう」

P「若葉は無意識にお姉さん化してくれることを願うとして、奈緒はツンデレのままでいいや、うん」コクリ

ちひろ「お待たせしました――と、日記でしたか」コト

P「ええ、こまめに見ておいたほうがいいかなと思いまして」

ちひろ「プロデューサーさんの返信を見て、アイドル達も楽しんでるみたいですよ」クス

P「はは、何だか本当に学校のクラス担任になったみたいだ」

ちひろ「所属アイドルのほとんどは学生ですから似たようなもんですよ、先生」

P「本物の先生はもっと大変ですよ。……よし、やりましょう」

ちひろ「今日は誰が書いたんですかね?」

P「それも楽しみの一つですね。じゃあ第三回目もはりきって見ていこう。最初は――」パラ


52: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:39:58.30 ID:CZl6/f2jo


 ○月□日 美嘉だよ★


 こんな変わったモノもやってるんだね★

 最近は仕事もそうだけど、今度のオーディションのためのレッスンにネツがはいっちゃってさ、薫に言われてきづいたよ。

 大丈夫かって?
 へへ、あったりまえじゃん!
 アタシはナンバーワン目指してるんだかんね★



 んー、でも不安がないわけじゃないかな?

 アタシがトップを目指すとおんなじよーに、みんなもトップ目指してる。
 そりゃそうなんだけど、やっぱりツライよね。この先誰が落ちてってもアタシには文句言えないもん。

 アタシが成功するタビ、誰かが落ちてってる。
 見てなくても見られてるんだって思うとフクザツ。



 ……って、アタシらしくないか★
 こんなシメっぽいのはアイドル辞める時に言うもんだね。


 あ、でもこうやって書いたらアンガイすっきりしたかも!
 レッスン漬けで少し気落ちしてたかもしれないから……プロデューサーと薫にカンシャかな★


 らしくないケド、これもアイドルってカンジだね。
 へへっ、何だかアタシ、ベテランアイドルっぽくなってきたんじゃない?(フケたとか言ったらヒンシュクだぞ!)

 プロデューサー、アタシにドキュメンタリー番組の企画、持ってきてよねー。
 みんなをカンドーさせちゃうから!


 じゃ、こんなところでバイバイ★


 PS.莉嘉もプロデューサーと最近遊びに行ってないってぶーぶー行ってるからアタシも一緒にご飯連れてってよね★



53: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:41:35.38 ID:CZl6/f2jo


P「…感慨深いなあ」

ちひろ「彼女も昔からいる子ですしね」

P「確か、裾を広げるためにあえてギャル系の人材をスカウトしましたけど、内面ははっきりいって教えるのに苦労するだろうな、とか思ってましたよ」

ちひろ「初めてウチの事務所に来た時、私も難儀な子を連れてきたなって思いましたね」

P「レッスンもサボらないし愛嬌もあるし、何より根性がある。ギャップに驚かされました」ハハ

ちひろ「でも、内心ではこういうことも考えてたんですね…」

P「自信家であるが故にふとこんな事も考える。見た目がどうであろうと根が真面目である証拠です」

ちひろ「アイドルも椅子取りゲームですから、本当に過酷だと思います」

P「レッスンも仕事もあって忙しいし、美嘉には息抜きが必要だな――」カキカキ


――――――――――――――――――――――――――――――――

 お疲れ。いつも頑張ってるな。


 お前がそんな事を考えているのも、らしくない訳じゃないぞ。
 ちゃんとアイドルがどういうものなのかよくわかってる、まさにプロ意識だな。
 そんなお前を尊敬しているよ。

 あと、美嘉が努力家なのは俺が一番知ってるからな。

 今ぐらい頑張っていれば美嘉なら絶対に頂点に立てる、俺はそう思って
 いつも美嘉と接しているつもりだ。


 でも、最近忙しいから私生活は大丈夫か?
 オフも入れているが、何かあったらいつでも言ってくれよ。

 遊びに行くのは難しいが、今度姉妹セットでレジャーランド系のロケが
 取れるように頑張ってみるよ。

 そうしたら仕事ついでに遊べるだろうしな。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――


54: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:42:33.10 ID:CZl6/f2jo


ちひろ「あら、プロデューサーさんが優しい」

P「失礼な。俺はいつだってアイドルの味方ですよ」

ちひろ「じゃあ私には?」

P「事務員は仲間です…ってこの話題前もしましたよね」

ちひろ「いいじゃないですか、いい言葉なんですから」

P「まあ言われて悪い気はしないと思いますけど……それにしても、美嘉と莉嘉は仲がいいですよね」

ちひろ「5歳差ですよね。この位の差だと姉妹でいがみ合ったりしないんでしょうか?」

P「城ヶ崎姉妹の場合、妹が姉を尊敬していますから、お互い嫌悪感はないでしょうね」

ちひろ「まさに理想の仲ですね」クス

P「まあ、この先大人になっていくと、色々複雑になっていくんでしょうけど……彼女達なら大丈夫ですよ、きっと」ウン

ちひろ「ふふ、なんだか先生と言うよりも父親みたいですね」

P「俺ってそんなに老けて見えるのかなあ……」ガックリ

ちひろ「褒めてるんですよ。優しさの象徴ですって」

P「アイドルの皆にもウザがられてたら……考えるのをやめよう。よし、次だ次! 次は――」パラ


55: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:43:48.74 ID:CZl6/f2jo


 今日も元気にがんばろーっ!

 おはようございます、智香です!
 って、読む人は朝とは限りませんよね……こんにちは! こんばんは!

 これなら大丈夫ですねっ☆


 さて、○月□日、天気は晴れです!
 ここずっといい天気が続いて、外でのロケも気持ちいいですよね!

 茜ちゃんなんか、日焼け止めを塗るのを忘れて走り出しちゃうくらいです!

 アイドルなので肌には気をつけないとだめですよって言うんですけど、ついつい忘れちゃうみたい。
 でも、アタシもその気持ちがわかるから、これからも元気な茜ちゃんで居てほしいですっ☆


 元気といえば、Pさんはバテていませんか?
 夏は楽しいですけど、スーツで外を走り回るのは大変そうですよねっ。

 レッスンなんか特にそうです。
 部屋の中が暑くて暑くて…前、一緒に練習していた友紀さんなんてユニフォームを脱いで床に倒れ込んじゃったんですよ!
 でもそれが気持ちよさそうだったので思わずアタシも真似しちゃいました☆
 (トレーナーさんには怒られちゃいましたけど……)


 Pさんもこの時期は大変ですが、熱中症には気をつけて下さいね。
 がんばり屋さんなのはみんな知ってますから、だからこそ落ち着いて、でもハツラツに頑張って行きましょうっ☆

 これからも応援してますよ、Pさん!


 智香でした☆



56: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:45:11.75 ID:CZl6/f2jo


P「微笑ましいなあ」ハハ

ちひろ「文章からでも伝わってくるこの元気さこそ、智香ちゃんの取り柄! って感じですよね」

P「元気な子は沢山いますが、元気にさせられる子っていうのは中々いない。大した子ですよ、智香は」

ちひろ「でもそれだけに、体調管理には気をつけて欲しいですね」

P「夏の暑さは油断できないからなあ。返信は……」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 心配してくれてありがとう。
 スーツは蒸し暑いが、水分を多めに取ってしのいでるよ。

 智香も、体力はあっても過信しないように。
 応援する立場の人間が倒れちゃ元も子もないし、智香は応援する立場であり同時に応援される立場だからな。

 お互い元気に、健康に過ごして夏を乗り切ろう。

 俺もちひろさんも、お前の活躍を応援しているぞ。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「こんなところか」コト

ちひろ「智香ちゃんを含めて、アイドルの子たちが倒れないようにこの時期はお互い注意しましょうね」

P「ですね。じゃあ次のページを……」パラ



58: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:46:33.31 ID:CZl6/f2jo


 やっほー☆

 未来のカリスマギャル、じょーがさきリカだよ~!
 おねえちゃんから聞いてアタシも書いてみたんだ☆


 なんかこれ、カオルがはじめたんだってー?

 こうかん日記ってレアだよねー。
 自分の日記じゃなくて、みんなの日記を読むんだもん。ブログとは違って何だか面白いよ☆
 おねえちゃんもよくわかないけどたくさん書いてるし、アタシも書いちゃおっか☆


 あ、そうだ、対抗して事務所にプリ帳置くってのはどう!?

 それでみんなでプリとりに行こうよ☆
 いっぱいとってー、Pくんに落書きしてー、ケータイに貼って、それで事務所にペタリって!

 思い出にのこると思うなー、Pくん、ヨロシク☆


 でも……やっぱなんでもない!



 んー、アタシはやっぱしゃべるほうが好きかな。
 日記だと返ってくるのが遅いもん!

 ねぇねぇ、Pくんはしゃべるの好き?
 好きならまたデートしようよ!

 こんなプリティなJCといっぱいしゃべれるんだから、もちOKだよね☆


 リカ☆



59: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:48:38.10 ID:CZl6/f2jo


P「はは、やっぱり姉妹だな」

ちひろ「丸文字で書いててシールでデコレーションしたり…初めてじゃないですか?」

P「ええ、白紙のページがカラフルで鮮やかです。男にはできないセンスですよ」ペラ

ちひろ「小学生や中学生の女の子って、こういうの好きですよね。ペンとか沢山もってたり」

P「ちひろさんはどうでした?」

ちひろ「そりゃあもう……って、私に聞いてどうするんですか」

P「ははは」

ちひろ「誤魔化さないで下さいっ」

P「でもこういう子供ならではのセンスを大事にして行きたいですね」ウンウン

ちひろ「……それで、最後の所どうするんですか?」ジト

P「うーん、デートは……まあ、中学生ですから俺であればスキャンダルにはならないでしょう。身内ですし、大人ですから」

ちひろ「扱いは気をつけて下さいよー……全員がダメージ受けるんですから」

P「はは、まさか莉嘉もこんな男と本気でデートしたいだなんて思ってませんって。姉みたいに大人ぶりたいんでしょう」ハハ

ちひろ(……本当に大丈夫なんでしょうか)ジト

P「まあ程々に遊ばせるつもりです。莉嘉のやる気向上にも繋がりますしね。それじゃあ……」カキカキ


――――――――――――――――――――――――――――――――

 日記を書いてくれてありがとう。

 莉嘉たちのクラスは、交換日記とか流行らなかったのか?
 やっぱり場所によってあるところと無いところがあるんだな。


 プリクラか……俺が入るのは無粋だから、みんなでよく取るようなら
 設置も考えるよ。


 莉嘉は文字を書くのは嫌いか?
 俺は好きだぞ。いつでも読めるからな。

 しゃべるのは……どうだろう、多分俺も好きかもしれない。

 もちろん莉嘉と話してる時もな。
 莉嘉こそ、俺としゃべってて楽しいのか心配だけどな……世代が違うって怖いもんだ。


 あとデートって言葉は無闇につかわないこと。
 マスコミは耳ざといんだから……でもまあ、遊びに行くのはいいぞ。

 みんなも誘って慰安旅行でもできたらいいな。
 もしあるなら、それまでに宿題は終わらせておけよ?

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――



60: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:50:22.26 ID:CZl6/f2jo


ちひろ(うーんこのプロデューサー)

P「よし、こんなもんだろ。ちょうど夏だし、希望者だけでも旅行する計画を立てるか……?」

ちひろ「きっと大人数ですから、予算大丈夫ですか?」

P「いつも頑張ってくれてるんです、多少なら贅沢しても文句は言われませんよ」

ちひろ「まあ金銭的な部分はさておき、スケジュールは長期のオフが難しそうなんで、近場で海とかキャンプとかならいけそうですね」

P「決めるなら早いにこしたことはないので、すみませんが空いてる時間に行けそうな場所ピックアップしておいてくれませんか?」

ちひろ「わかりました。明日にはまとめておきます」

P「ありがとうございます。お願いしますね」



61: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:50:54.24 ID:CZl6/f2jo


 ――

 ――――

 ――――――


 [夜]


P「ああ、今日も終わりかー!」ノビー

ちひろ「プロデューサーさん、午後は打ち合わせで色々忙しかったですからね」

P「その間にアイドルの送迎をやったり撮影を見たりとへとへとですよ、ほんと」ハァ

ちひろ(へとへとで済んでいるプロデューサーが凄すぎるというべきでしょうか…)

P「日記も返信したし、メールチェックも終えた、と…ちひろさんはなにか残ってますか?」

ちひろ「いえ、あとは戸締りして帰るだけです」

P「そうですか……じゃあちひろさん、この後空いてます?」

ちひろ「ええ、空いてますけ――どぇ!?」ビクッ

P「何ですかその驚き方……もしよかったらこの後ご飯どうかなと思いまして」

ちひろ(…なんでこの人はそう気軽に誘えるんだろう。いやプロデューサーだからか)

ちひろ「ならお誘いにのって食べに行きましょうか」クス

P「ありがとうございます。この前芽衣子に教えてもらったお店に行くのに一人は何となく辛かったんですよ」ハハ

ちひろ(……やっぱりそういうことでしたか)ハァ

ちひろ「なるほど。タノシミデスネ」



P「…何か怒ってます?」

ちひろ「怒ってませんっ」プイッ



63: >>62JCやん…JSちゃうやん…orz ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:54:15.38 ID:CZl6/f2jo


 ・ ・ ・

 ――美嘉の日記、その後

 [オーディション会場、ビル前]


美嘉「う、うーん――終わった~★」

P「はは、お疲れ様。緊張しただろ」

美嘉「…正直言うとね。みんな目がギラギラでいつみてもびっくりするよ」

P「合格発表は一週間後だが……まあ美嘉なら通るから大丈夫だろ」

美嘉「さっすがプロデューサー、アタシの事わかってる★」

P「……嘘つけ」コツン

美嘉「あいたっ」

P「顔がいつもより固いぞ。バレバレだ」

美嘉「……へへっ、プロデューサーには勝てないや」ハハ

P「お前のプロデューサーだからな。…よし、じゃあ事務所に帰って莉嘉と合流するぞ」コツコツ

美嘉「へ、なんで莉嘉と会うのさ? あの子は別の仕事でしょ?」クビカシゲ

P「今日のオーディションは大きな舞台だからな、お疲れ様会兼合格祝いで買い物に行く約束していたんだよ。レジャーランドの仕事はもう少し待ってくれ」

美嘉「早い…というかそんなの聞いてないんだけどー!?」ビクッ

P「言ってないからな」ハハ

美嘉「ヒドー、アタシに隠し事するんだーっ」

P「先に言ったら余計に緊張するからな、お前は」

美嘉「……ちぇー。でも三人で買い物なんて久し振りだね★」

P「おう。なんてったって美嘉の希望だからな」

美嘉「ちょ――ちがっ、あれは莉嘉が言ってたことで、アタシはっ」アセアセ

P「美嘉は行きたくなかったのか?」

美嘉「……ヒキョーモノだよね、プロデューサーって」

P「卑怯者で結構、美嘉の笑顔のためならな。…ほら、車に乗るぞ」ドチャ

美嘉「もおっ!」ガトン!

美嘉(……へへっ、やた★)


 [おわり]


64: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:55:30.12 ID:CZl6/f2jo


 ・ ・ ・

 ――智香の日記、その後

 [屋外ロケ、地方球場]

ディレクター「はいじゃあ一旦休憩でーす!」パチパチ

 オツカレサマデース…

智香「お疲れ様です。いやー、夏といえばスポーツ、スポーツといえば応援ですよねっ!」バサッ

P「はい、お茶。この時期は学生のスポーツ番組からオファーが結構来てるからな、智香ならピッタリだ」ホラ

智香「はい! 頑張るみんなに元気になる応援を届けますよっ☆」

P「その調子だ。タオルも使うか?」

智香「あっ、ありがとうございます!」フキフキ

P「…今はカメラ向けられてないんだからそんなに元気に返事しなくて大丈夫だぞ?」ハハ

智香「いえ、これはPさんへの応援ですから☆」

P「……よく疲れないなあ、智香は」

智香「Pさんが応援してくれてますから、せめてものお返しです。いつもありがとうございます、Pさん」ペコリ

P「はは、ありがとうな、智香」

智香「こちらこそありがとうございます☆」

 サイカイハ30プンゴデース…

P「ん、30分後か。長いな」

智香「この時間は暑いですからねー。皆さんも暑そうですっ」

P「だなあ。立ってるだけで汗が出てくるよ」ハハ

智香「あ、じゃあこのタオルで――」フキフキ…

P「それはお前の……じゃ」ピクッ

智香「……あ」////




智香「……ち、近くの売店で何か買いませんかっ!?」アセアセ

P「お、おう、そうだな! 行こうか!」アセアセ


 [おわり]



66: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:56:54.74 ID:CZl6/f2jo


 ・ ・ ・

 ――莉嘉の日記、その後


 [事務所]

莉嘉「PくんPくん! これ見て見てーっ☆」ドタドタ

仁奈「P! 見るでごぜーます!」パタパタ

P「うおわっ、いきなりどうしたんだ二人とも!?」

莉嘉「これこれっ!」バッ

P「ええ? これは……おお、皆でプリクラとったのか」

仁奈「この前じむしょでひましてやがりましたから、仁奈たちでとったでごぜーます!」ワサワサ

P「んん? って、ああ、そういえばいきなりみんな出て行った時があったなあ。あの時か」

仁奈「Pもいっしょにとりたかったですが、忙しそうだったからできなかったのでごぜーます!」

莉嘉「気を遣ってあげたんだよー、すごいでしょ☆」

P「すまんすまん、あの時は企画作るのに忙しかったからな…ありがとう」

仁奈「だからこんどはPとちひろも入れてとるのですよ!」

ちひろ「私も? ふふ、ありがとう。プリクラ帳も用意しなきゃいけないわね」

P「わかったよ。今度揃ったら撮りに行こう」

仁奈「約束でごぜーますよ! じゃあ仁奈はみゆお姉ちゃんの所に行ってくるです!」パタパタ…

莉嘉「……」

P「はは、美優さんは子供に人気だなあ」

莉嘉「……ね、ねぇ、Pくん」チョンチョン

P「ん、どうした? 莉嘉はあっち行かないのか?」

莉嘉「ちょっと耳貸してっ!」ピョン

P「耳?」

莉嘉「いいからいいから、早くーっ」トントン

P「わ、わかったわかった! ……これでいいか?」カガミ

莉嘉「バッチリっ! ……ええとね」

P「ああ」

莉嘉「――仁奈とアタシだったら、どっちをコイビトにしたい?」コショコショ

P「ブッ!!?」ブフォッ!?



67: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/03(土) 20:58:44.97 ID:CZl6/f2jo


P「げほ、げほ……。いきなり何を言い出すんだお前は!」

莉嘉「えー…だってPくん、仁奈を見る目がやらしーもん☆」

P「んなっ……!?」

ちひろ「……プロデューサーさん?」ジト

P「ちょ、違いますって! 断じて違いますから!」ブンブン

ちひろ「へえー…」ジト

P「信じて下さいよちひろさん……」

莉嘉「へへ、冗談だよん☆」

P「はあ……全く、冗談も大概にしてくれよ?」ハァ

莉嘉「ごめんごめんっ。じゃあ次はホントだから、もう一回、ねっ」

P「本当だろうな……ほら、かがんだぞ」

莉嘉「うん……ええとね」コソ

莉嘉(……よしっ)

莉嘉「アタシは遊びじゃないよ、Pくん」コショ…


P「……へ?」ポツン

莉嘉「じゃーねー! またデートしてねっ、Pくん☆」トタトタ


 プロデューサァァァ?
          チガウ、チガウカラチヒロサン!!



莉嘉「……へへっ☆」


 [おわり]



79: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:33:59.87 ID:XONpeSGZo


 ・ ・ ・


 ――ある日のコンビニ


P「うーん…パスタにいきたいところだけど……」ガサ

ちひろ「あれ、プロデューサーさん?」ピョコ

P「おにぎりが……って、ちひろさんじゃないですか。奇遇ですね」

ちひろ「営業の帰りでプロデューサーさんもお昼ごはんですか?」

P「はい。パスタを食べるかいつものおにぎりかで迷ってて」ウーン

ちひろ「ああ、そういえば一緒に事務所で食べる時はおにぎりでしたね」

P「やっぱり日本人的にはご飯なんだよなあ…ちひろさんは?」

ちひろ「私は夏らしく冷やしうどんにします」

P「あー、それもいいですね。パスタ温めると夏暑いですしね。俺は蕎麦にしようかなあ」

ちひろ「ふふ、じゃあ事務所で少し交換でもしますか?」

P「ええ、そうしましょうか。あとはデザートでも」

ちひろ「あ、私もデザート買おっかな」

P「こういうのってちょっとリッチですよね。あ、先に会計して来ます」

ちひろ「はい。事務所にアイドルが居ますから、そのまま戻っていいですよ」

P「了解です。ではお先に」


80: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:34:41.73 ID:XONpeSGZo


 ――

 ――――

 ――――――


 [事務所]


P「ただいま戻りましたー……っと、凛か」ガチャ

凛「ああ、おかえり。暑かったでしょ。スーツ掛けるよ」ハイ

P「悪いな」ヌギヌギ

凛「いいよ、別に。普段のお返しだから」カチャ

P「特に返して欲しくて何かしてるわけじゃないんだけどなあ」

凛「私達ってそういうものでしょ。ほら、ご飯食べたら?」

P「…はは、何だか世話されてるみたいだ」スワリ

凛「私は、そ…で……」ボソ

P「ん?」

凛「なんでもない。というか、またコンビニ?」

P「あ、ああ。忙しいからなあ。でもコンビニのご飯も侮れんぞ?」フリフリ

凛「それは知ってるよ。でも毎日は駄目」

P「……手厳しいな、凛は」

凛「これからもずっと頑張ってもらわなきゃいけないんだから当然でしょ?」

P「それもそうだ。ま、もし俺が料理のできる人と結婚するような事でもあれば弁当になるかもな」

凛「……そうだね」



81: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:35:25.70 ID:XONpeSGZo


ちひろ「すいませんお待たせしました、プロデューサーさん」ガチャ

P「ああ、別に待ってませんよ。凛が居ましたからね。…そういえば凛、次の予定の時間は大丈夫か?」

凛「午後からレッスンだけど…早めにいこうかな、ご飯食べたし。うん、じゃあ行ってくるよ」

ちひろ「いってらっしゃい、凛ちゃん」

P「いってらっしゃい。頑張れよ」フリ

凛「言われなくても」フリ

 トタトタ…ガチャン

ちひろ「……いつ見ても落ち着いてますね、凛ちゃん。何だか憧れちゃう」

P「ちひろさんには向いてませんよ」ハハ

ちひろ「わかってますってばっ」プンスコ

P「はは、ちひろさんはそっちの方がいいですよ。じゃあお昼にしますか」

ちひろ「…そーですね」



82: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:35:53.35 ID:XONpeSGZo


 ・ ・ ・


P「ふぅ、気分転換に買ったアセロラゼリーもおいしいですね」

ちひろ「学校の給食を思い出しますよね」

P「わかります。それでつい買っちゃいました」

ちひろ「ふと記憶が蘇るんですよね……と、まだお昼終わりまで時間ありますけど、どうしますか?」

P「ん、いつものように日記を見ますよ」ガタ

ちひろ「ふふ、もう日課になってますね」クス

P「最近始めたばっかりでも、アイドルの事を知れるのは楽しいですから」

ちひろ「無理に訊いてる訳でもないから気持ちも楽ですし、薫ちゃんと千枝ちゃんもいい事言いましたね」

P「今度美味しいスイーツでもプレゼントするかなあ。…まあそれは後々考えるとして、日記を早速見てみようか――」パラ



83: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:37:17.26 ID:XONpeSGZo


 ○月▲日 担当:水本ゆかり

 おはようございます、でいいのでしょうか?
 個人的に日記は付けていますが、このような公共的なものに書き込むのは恐らく初めてだと思います。

 何だか不思議な感じですね。見られるために書くというのは。

 そして、この機会を頂いた事を嬉しく思います。


 しかしながら交換日記というものの勝手がわからず、他の方の日記を拝見したのですが、どうやら皆さん思い思いの言葉を書き綴っているようで……でしたら、私も自由に書いてみようと思います。


 本日も青い空が顔を出し、様々なものに鮮やかな色を生み出す夏という季節は、私にとっても素晴らしいになるでしょう。
 なぜかというと、今度、音楽コンクールのフルート部門に出場できることが決まったからです。

 毎日学業やお仕事、レッスンなど、私だけでなく全員が忙しく感じる今でもこうして融通してくださったPさんには、本当に感謝しています。
 そして、その事を知ったトレーナーの方々や皆さんからも激励やアドバイスも頂き、単なる技術勝負ではない、私の、更なる高みへの挑戦という気持ちが込められています。

 皆さんも読まれるということで、この場を借りてお礼申し上げます。


 ……すみません、皆さんのように楽しい日記にはできなかったようです。
 歌やダンスに不慣れな私でもPさんのご指導で上手くできるようになったのだから、このような場を和ませるような、そんな愉快な文章を私も書けるようになりたいですね。


 だとすると、誰に師事するのがよいのでしょう。
 見つかるまでは、よろしければまたあの時のように教えて下さいね、Pさん。

 Pさんのご指導なら、私、何でもやりますから。



84: 素晴らしい『もの』に ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:38:42.81 ID:XONpeSGZo


ちひろ「ん? 今何でもするって」チラッ

P「い……ってませんからね?」

ちひろ「それにしてもまあ、なんというか…文章って、人となりがよく見えてきますね」

P「ですねえ。性格が文字に滲み出てます」

ちひろ(その考えなら、Pさんはとても真面目で丁寧で……あながち間違いでもなさそうなのが悔しい)

P「ゆかりって個人的に日記を書いてるのは初めて知りましたよ」

ちひろ「Pさんにも知らないアイドルの事があるんですね?」

P「そりゃそうですよ。親ですら知らない事だってあるんです、ましてや他人の俺じゃ、知れることなんてたかが知れてますって」

ちひろ「…あんまり他人だなんて言わない方が良いですよ。皆、プロデューサーさんのこと慕ってますから」

P「はは、本当にそうだと嬉しいですね。じゃあ返信はっと…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 日記を書いてくれてありがとう。


 いつみてもゆかりの書く文字は整っていて尊敬するよ。大人の俺でも
習いたいぐらいだ。


 そして、まずは改めてコンクール出場おめでとう。
 ゆかりの技術なら入賞だって目じゃないさ。


 だが、練習時間の方はちゃんととれているのか?
 名目上はプライベートだから、こちらとしてはちゃんとした時間は
与えられないから、ちょこちょこ休憩時間を取ることで補填しているが…。

 もしもっと練習がしたいなら言ってくれよ。
 多少ならいつものレッスンの時間も時間帯も調節できるぞ。


 あと、楽しい文章なんてのも意識する必要はない。
 ゆかりのありのままが、俺達にとっての楽しいものなんだからな。

 それでも目指したいというのなら、俺や他の子が教えてくれるから遠慮せず
訊いてくれ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「ゆかりちゃんって、とても素直ですよね」

P「ええ、時々心配になるぐらいです」ウンウン

ちひろ「……そっちの方がプロデューサーさん的には好みなんですか?」

P「ゲホッ――い、いきなり何てこと言ってるんですか…」ケホッ

ちひろ「いや、ちょっと気になりまして」クス

P「別にそういう所では見てませんよ。アイドルとして素晴らしいとは思いますけど」

ちひろ「何だかはぐらかされた感じですねー…ま、慌てるところが見れたから良しとしましょうか」

P「ちひろさんって結構お茶目ですよね、ホント……まあいいや、次。次は――」パラ



85: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:40:00.77 ID:XONpeSGZo


 ○月▲日 今日もいいお天気ですね♪


 以前からこの交換日記は知っていたんですが、私がこの事務所に居る時は大体誰かが書いてるので中々書くのは難しいみたいです。

 人気なのっていいことですよね。


 というわけで、今回ようやく書く事が出来ました。
 この日記も、Pさんに見てもらえるといいな。


 私が書きたかった事、それはお散歩していた時の事です。
 この前、午後の仕事まで手持ち無沙汰になったので、近所の公園を散歩していたんです。

 アスファルトの上はやっぱり暑くて、でもそれが夏らしくて。
 季節を感じながら歩いていると、公園の真ん中に大きくはないんですが噴水があるんです、Pさんも知ってますよね?


 いつもなら、夏と水に想いを馳せて涼しい気持ちになるだけなんですが、この時は近くに住んでいるらしい家族の方がそこに居らっしゃったんです。

 両親と子供。少ない人数でも、子供が噴水ではしゃいで、それを夫婦が楽しそうに見ている。

 例え遥か遠い場所に出かけなくても、こんな場所で、小さな世界で幸せを感じられる。
 それって、本当に素晴らしいことなんじゃないでしょうか?

 そして、これが私達アイドルの役目だとも思うんです。

 みんな毎日が幸せとは言えなくても、私達を見て気持ちを和らげてくれる、それがお仕事の目的だって、Pさんを見ててそう思います。

 だって、私はPさんを見て、一緒に居て、笑顔で居られるんですから。


 そんな私が私で居るためにも、これからもよろしくお願いしますね。
 よかったら、またあのカフェで時間をすごしませんか?

 ふふ、お返事待ってますから♪



86: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:40:52.66 ID:XONpeSGZo


P「優しい気持ちって大事だよなあ」ハァ

ちひろ「普段は荒んでるんですか?」

P「いやまあ、そういう訳じゃないですけど……ただ、毎日駆けずり回ってるとふと疲れる事もありまして」

ちひろ「プロデューサーさんも人間ですから、そういうこともありますよね」

P「人間ですよ、普通に。で、そういう時に藍子に会うとちょっとラッキー、って思っちゃいますね」

ちひろ「ああ、わかります。別に他の人がダメだっていう訳じゃなくて、藍子ちゃんだけは微妙に違いますよね」

P「ええ、声色とか言葉遣いとかじゃ絶対に図れない、彼女独特の空気が良いんですよ」

ちひろ「ファンからもそういう所が人気ですしね。雑誌でも寄り添いたい人ランキングに入選してましたし」

P「励ます訳でもなく、ただ傍にいてゆったりと癒してくれる雰囲気はテレビを通してでもわかりますからね。それじゃあ…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 はは、こうして皆が興味を示してくれるのは嬉しいことだよ。

 藍子の事も知れたから、千枝と薫にも感謝しないとな。


 こんな暑い日に散歩にいって疲れないかと俺は思うんだが、藍子が楽しんでるなら
きっと藍子は周りを涼しくしてくれるんだろうな。
 藍子となら、こんな日でも公園でのんびりできそうだ。


 そう。その家族こそ、藍子が目指す幸せの形。

 アイドルには、他の人にはないそれぞれの個性がある。
 それが藍子にとっては『ゆるふわ』なんだろうな。

 俺も、あの時藍子と行ったカフェではすごく落ち着いて過ごせたよ。
 そのカフェの雰囲気も勿論あるが、やっぱり向かいに藍子が居て、些細な事を話しながらゆっくりとした時間を過ごす。

 なんてことのない時間でもそれが自然体で居られるような癒しの時間になるのは、この事務所の中でも藍子以外じゃ中々居ないだろうな。

 それは藍子の誇るべき事だぞ。

 それで、藍子さえよければまた一緒に行こう。
 最近忙しかったから、あのカフェに行きたいと思ってた所だったんだよ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ(……何と言うか、口説いてるんじゃないかと思える文章だ)

P「そうだな…お、この時間空いてるか」ペラ

ちひろ「いつも誘われるばかりですけど、今回は乗り気ですね」ハァ

P「はは、差別してる訳じゃないんですけどね。というか休みが欲しい」チラ

ちひろ「この職業に就いた時点で諦めて下さい、それは」

P「ですよねー……。まあいいです、次に行きましょうか」パラ



87: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:43:22.36 ID:XONpeSGZo


 ○月▲日 快晴

 私が書いてもよいのでしょうか。
 他にも書きたい人がいるのに、と思う私に、高森さんは静かに微笑み、ゆったりとした手つきで渡してきたのです。

 そういうことなら、と私は受け取りました。



 新人である私にそのような優しさをくださった高森さんに感謝をして、筆を執ることにします。


 私は鷺沢文香です。
 プロデューサーさんに突然のスカウトを受けて、アイドルの道に進むことになりました。

 あの時のプロデューサーさんは、私が混乱するぐらいに熱意があったように思います。
 事実、最初は何が何だか分からないでいましたが、彼の話を聞いていると本意というものが隠さずに晒してくれているのだと判りました。

 文章から意を汲むのはできても、人の顔から読むのは苦手です。
 そんな私でも簡単に理解することができたのですから、よほど彼には思うところがあったのでしょう。


 そして、世界は反転して。
 場違いな所に、私は居る。


 ――いや、自虐するのは良くないことです。
 何故ならば、そう表現してしまうのは彼の熱意を否定することに他ならないからです。

 先輩方に話を聞くと、私と同じようにスカウトを受けた方や応募して所属した方、それぞれ色んな理由でここに居ます。

 しかし、それでも皆さんが思い思いに力を発揮してファンの方々を楽しませている。


 ……私もいつか、そうありたいと思います。
 動く時間を見たかった私のためにも、それを見ぬいたプロデューサーさんのためにも。

 ですから前を向いて、いつかは天を見上げられるように……レッスンに励んでいます。
 こうしてこの場で吐露するのも、背後に鏡を置きたかったからなのかもしれません。


 不甲斐ない私ですが、プロデューサーさん、先輩の皆さん、どうかこれからもよろしくお願いします。

                                  鷺沢文香


88: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:45:27.87 ID:XONpeSGZo


P「お、おお…日記帳がこのページだけ厳かな雰囲気になってる」

ちひろ「現役大学生で文学部在籍でしたよね。私には中々書けませんよ…」

P「上下関係が薄いのがウチの特徴だとしても、文香に関してはそういうのが特に強いですね。何故なんでしょう?」

ちひろ「うーん…家庭環境とか、今までの学習環境によって出てきますから、私達には推し量れませんね」

P「何としてでもスカウトしたかったのは彼女の佇まいにピンと来たからなんですけど、これが彼女の素なのかどうかは、俺もよくわかってないんですよね、正直」

ちひろ「これから、という感じですか」

P「ですね。良くも悪くも彼女は遠すぎる。文香の個性を残しつつ、この事務所に打ち解けて貰えたら嬉しいですね――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 読ませてもらったぞ。

 確かにあの場所からここに来るのは、とても勇気の要る事だろうし、
文香自身も難しい判断だったように思う。


 だが、それは間違いではないと俺が保証するよ。

 あの場所はあの場所で良い所もあるが、文香には、天高く羽ばたける透明な翼がある。
 その翼はごく僅かの人間しか持っていないんだ、使わなきゃ勿体無いと思わないか?

 心配や不安は、今も、この先も、ずっと文香の前からやってくるだろうから、その時は絶対に一人で立ち向かわないで、俺やちひろさん、同じ事務所の仲間を頼ってくれ。

 文香を誘った責任もある。
 絶対に後悔はさせないから、これからも頑張って欲しい。


 そしてそうしている内に、徐々にでいいから皆と打ち解けてくれると嬉しい。

 改めて、これからもよろしく頼む。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「プロデューサーさんもよく即興で書けますね…」ヘエ

P「割りと好きですよ、こういうのは」

ちひろ「ああ、確か前にも文字を読むのは好きだって言ってましたもんね」

P「似たようなもんです」



89: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:46:08.31 ID:XONpeSGZo


 ――

 ――――

 ――――――


 [事務所、13時前]

ちひろ「あ、そろそろ時間ですね」チラ

P「日記読んで書き込むだけでも結構時間かかりますからねー。みんな良い文章を書いてくれるおかげですよ」ウンウン

ちひろ「私もそう思います――と、そうだ」ポン

P「どうかしましたか?」

ちひろ「いえ、これをよかったら」ゴソ

P「……お菓子ですか。コンビニで買ってたんですね」

ちひろ「食後のおやつでも、と思いまして…」

P「タイミング的には微妙に外れた感がありますが……ジュース持ってきますね」ガタ

ちひろ「すいません、お願いします」

P「いいですよ。ちょっと食べ過ぎなような気もしますけど」コツコツ

ちひろ「別腹ですから……大丈夫です、ええ」

P(あの間は別の意味で考えたんだろうな)スタッ

ちひろ「さ、さー食べましょうよ、プロデューサーさんっ」

P「はい、あんまり時間もないですからね」



90: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:46:43.82 ID:XONpeSGZo


 ・ ・ ・

 ――ゆかりの日記、その後


 [コンクール会場、入り口前]

P「着いたぞ、ゆかり」プスン…

ゆかり「送ってくださってありがとうございます、Pさん」ガチャ

P「気にするな。会場は遠くないし、丁度暇だったからな」ガタン

 ガヤガヤ

ゆかり「それでもありがとうと言わせてください。今度、何かでお返ししますね」コツコツ

P「それは仕事で返してくれればいいよ」

ゆかり「ふふ、ではこれからも頑張りますね――あら?」ピタ

P「どうした?」

ゆかり「いえ、あちらに居る人は――」

P「あちらって……あれは!?」

幸子「――あ、遅いですよ二人ともー! ボクを待たせるなんて感心しませんね!」ビシッ

星花「いけませんわ、幸子ちゃん。この場で騒いでは」

幸子「うっ……わかりました」ピクッ

P「幸子に星花、何故ここに居るんだ!?」

幸子「勿論応援です! 良かったですね、ゆかりさん。カワイイボクが応援すれば優勝間違いなしですよ!」

星花「幸子ちゃん、大声を上げ過ぎると変装がバレてしまいますわ。…あ、わたくしもゆかりさんの応援に参ったのですのよ♪」

ゆかり「幸子さん、星花さん……ありがとうございます」ペコリ



91: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:47:47.54 ID:XONpeSGZo


P「いや、それはいいことだが……どうしてお前たちが?」

星花「ゆかりちゃんがコンクールでフルートを演奏するということで、畑違いですが僭越ながらわたくしもお手伝いしたのですわ♪」

幸子「そしてボクはゆかりさんに面白くてカワイイ文章の書き方を教えました! ボクにかかれば造作もありません!」ドヤァ

ゆかり「お二人とも、声をかけて頂いたので協力して頂いていたんです。ですがまさか来て頂けるとは…」

P「幸子はアレだが…ありがとうな、二人とも」

幸子「アレってなんですかアレって…まあ、ボクはカワイイので気にしませんが」

星花「P様もご覧になるのですか?」

P「いや、俺は送迎だけだ。この後また仕事があるからな」

幸子「なんだ、残念――こほん、Pさんが帰ってもボクが居れば全く問題ありませんから安心して下さい」フフン

ゆかり「わざわざすみません、Pさん」

P「まあ星花が着いてるから大丈夫だろ。落ち着いていけばゆかりなら大丈夫だ、頑張ってこいよ」

ゆかり「はい!」ペコリ

星花「いってらっしゃいませ、P様♪」フリ

幸子「今日もボクのために仕事がんばってくださいね!」

P「おう、また後でな」スタスタ





P「……」ピタッ

P(ゆかりの文章はよく気にかけておこう)


 [おわり]



92: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:49:10.64 ID:XONpeSGZo


 ・ ・ ・

 ――藍子の日記、その後

 [事務所、午後]

藍子「お疲れ様です、Pさん」コト

P「うん? あ、ああ、藍子か。お茶ありがとう」

藍子「今はちひろさんが出かけてますからその代役です。少しお休みしませんか?」クス

P「んー…まあいいか。ふわぁ」クター

藍子「あ、Pさんもそういうことするんですね。ふふ」

P「俺も人間だからなあ…あー、お茶おいしい」ゴクゴク

藍子「ありがとうございます♪ あ、おかわりは要りますか?」

P「…いや、自分でできるから休んでていいんだぞ?」

藍子「いえ、毎日頑張るPさんのために何かをするのが嬉しいんですっ」

P「ならいいが……」クター

藍子「はい♪」


 チク、タク、チク、タク…




藍子「……Pさん、最近特に働き過ぎじゃないですか?」コト

P「そうでもないさ……みんなを支えるんだ、このぐらいやらないと追いつけないからな」

藍子「…なら、今だけはゆっくりしてくださいね」

P「藍子に言われちゃしょうがない……悪い、眠いから少し昼寝してもいいか?」

藍子「いいですよ。何時に起きますか?」

P「あと20分後ぐらいに頼む……ふわぁ」コテン

藍子「わかりました。おやすみなさい、Pさん」

P「また次のカフェに行こうなー……」バタッ

藍子「……」




藍子「……いつもお疲れ様です、Pさん」

 [おわり]


93: また『×次の』カフェに ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:50:35.98 ID:XONpeSGZo


 ・ ・ ・

 ――文香の日記、その後


 [レッスン室・夜]

トレーナー「はい、今日は終わり!」

 アリガトウゴザイマシター
           ガヤガヤ

文香「はぁ…んくっ――はぁ…はぁっ…!」ペタン

真奈美「……どうだ、文香。調子は」コツコツ

文香「あ……木場さん。その…、なんとか」ゼェゼェ

真奈美「真奈美でいいといっているだろう。…君はあれか、この事務所の空気が苦手なのか?」ハァ

文香「い、いえ……そういうわけでは。すみません」ウツムキ

真奈美「ふむ……そうか」

真奈美(Pがスカウトしてきたと思えば、アイドルにはてんで向いていないようにも見える……何か思うところがあったのだろうか)

 ガチャ

P「みんなお疲れ様ーっと――あ、文香…と真奈美さん。レッスンお疲れ様です」トタトタ

文香「…お疲れ様です」コクリ

真奈美「ああ、Pか。お疲れ様。レッスン室にまで来て何か用かな?」

P「はい、少し文香に用があって。立てるか?」ホラ

文香「あ…はい」ギュ

P「疲れてる所悪いな、これを今から読んで欲しい」ピラッ

文香「わ…わかりました。…時間は」

P「とりあえず二十分位で。教えながらやるから軽くでいいぞ。俺は今から皆を寮に送るから、戻ってきたらやろう。じゃあ後でな」フリ



94: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:52:28.99 ID:XONpeSGZo




 スタスタ…

真奈美「……どういうことだ?」

文香「ええと……その。補習、でしょうか…」

真奈美「レッスンが終わった後に補習だって? あの彼と?」

文香「はい、…あの、私、まだまだ……ですので」

真奈美「…ちょっと、それを見せてくれるか?」

文香「…どうぞ」ピラ

真奈美「これは……基礎レッスンの手引きじゃないか」

真奈美(それにしては、内容が些か容易化するように編集されているが…)フム

文香「トレーナーの方はその、…帰ってしまうので。プロデューサーさんに」

真奈美「…コーチを頼んでいるという訳か」

真奈美(あの人は全く……どうしてこうも一人でやろうとするんだ)ハァ

文香「私は……未熟者ですから。少しでも覚えて、木場さ――すみません、…真奈美さんに追いつきたい…です」コクリ

真奈美「私に?」

文香「はい……ええと、とてもよく……動けてますから」

真奈美「この補習はどのくらいのペースでやってるんだ?」

文香「その、毎日……です」

真奈美「毎日だって?」

文香「そうしなければ…プロデューサーの言葉も、……私の言葉も、裏切って……しまいますので」

真奈美(それに付き合える彼も凄いが……腐らないんだな、この子は)



95: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/04(日) 21:53:23.16 ID:XONpeSGZo


真奈美「――よし、わかった」クルリ

文香「…はい?」キョトン

真奈美「私は今ではアイドルだが、元々はトレーナーとしてやるつもりだったんだ」

文香「そう……だったのですか…?」

真奈美「Pに負担をかけすぎるのも良くないしな。どうだ、私も手伝ってやろうじゃないか」

文香「そんな…ええと、悪いのでは」オロ…

真奈美「何、君以外にも教えているから問題ないさ。Pを助けると思って私を頼るといい」トンッ

文香「……ありがとうございます、真奈美さん」ニコ

真奈美(何だ、根気もあって、ちゃんと笑えるじゃないか……彼はこういう所を見たのか?)クス

真奈美「よし、じゃあもう一度柔軟から始めるぞ。…彼を驚かせてやれ」

文香「あの……はい…っ!」


 [おわり]

110: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:40:44.73 ID:W/hZro+eo


 ・ ・ ・

 ――ある日の事務所、昼

ちひろ「ふぅ……」ハァ

P「…何だか疲れてそうですね、ちひろさん」

ちひろ「え、あ、いや、すいません。変な所を見せて」

P「いやいや、これだけの仕事量なら溜息つくのも判りますよ」

ちひろ「…ですけど、プロデューサーさんに比べたら文句なんて言えませんよ」

P「ちひろさんもよくやってくれてますって。アイドルからも頑張ってるって尊敬されてますよ?」

ちひろ「へ…そうなんですか?」キョトン

P「ええ、これだけの人数抱えて事務作業やり続けるのは至難の技ですから。俺も尊敬してます」

ちひろ(…それを言うならプロデューサーさんもですよ)

P「疲れたまま作業するのはミスの元ですから、息抜きをしましょうか。お茶入れてきますね」トタトタ

ちひろ「……ですね、ありがとうございます」クス

 トクトクトク…

P「息抜きといえば、日記の方もアイドルにとって息抜きになってるんですかね?」コト

ちひろ「なってると思いますよ。莉嘉ちゃんなんて目に見えて元気になってますから」

P「はは、確かに…」

P(あのあとこっそりプリクラ撮りに行ったとは言えまい)

ちひろ「アイドル達のケアにもなって一石二鳥! って感じですねっ」

P「なら大丈夫そうですね。じゃあ、俺達も息抜きで日記を見ますか」

ちひろ「はい。私も見るのは楽しいですし」

P「同感です。じゃあ最初は――」パラ



111: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:41:32.26 ID:W/hZro+eo


 ○月■日

 担当:大原


 いただきます!

 もとい、こんにちは! 大原みちるです!


 あたしがここに来てから早数ヶ月が経つんですねー。
 センパイ達も、みんな優しくて楽しいです!

 特に法子ちゃんとかな子さんにはお世話になってます!

 あたしは美味しいものなら何でも好きなんですが、それを話すと色々なドーナツやお菓子をくれるんですよー。

 昔からパンが身近だったんで、基本的にはパンが大好きなんですけど、同じようなものですよね。
 あたしからも色々なパンを渡して交換してます。
 美味しいって言ってくれるのがやっぱり嬉しい! なにせ、アタシの自家製ですから!
 そしてパン好きに悪い人はいません!



 ……なんですが、少し気になることもあります。


 アイドルって見た目が大事でっていうのはわかるんですが、特にかな子さんはどうしていつもお菓子を食べる前、真剣な顔をしているんでしょう?

 美味しいものが目の前にあるんだから、幸せな気分で食べたほうがいいと思います!
          ↑
        ソレを本人に直接言ったら、アンタを認めてあげるわ!

 プロデューサーさんならわかりますか?


 これを書いているとパンが食べたくなりました。

 今度また実家からパン持ってきますね!
 あたしの家のパンはおいしいので、期待してて下さい!

 ごちそうさま、大原でした!



112: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:42:38.92 ID:W/hZro+eo


P「みちる…お前ってやつは…」

ちひろ(かな子ちゃんのためにも修正をいれるべきかしら…それとも、荒っぽく書かれた別人の文字に触れるべきかしら…?)アセ

P(麗奈は後で説教だな)ウム

P「コイツはとんだ大物ですよ。怖いもの知らずです」

ちひろ「ええ、まあ何となく判ります。というか身の程知らずとも言えるような気が」

P「…確かに微妙に感覚がズレてますけど、実家の店の手伝いをしているせいか、基本的なマナーはちゃんとわかってますから」

ちひろ「実家がパン屋さんなんですってね。そういう立場の人って、大体パンが嫌いになる場合が多そうですけど」

P「みちるの場合、根底に美味しいものなら何でも好きという土台があるので、自分で焼けるパンがあるのは彼女にブーストをかけているんです」

ちひろ「ああ、そういう…」

P「流石に事務所であんぱんにカレーを掛けてカレーアンパンにしようとした時は止めましたけどね……」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 入ったのは最近でも、楽しそうで何よりだ。

 法子やかな子はほぼ同期で入った当初から仲が良いからな、仲良くさせてもらって、
二人からも色んなことを学ぶといい。


 ……それで、念の為言っておくと、体重管理ってのはあくまで漠然とした目標にすぎない。

 大切なのは、プライベートでもしっかりと自分を見失わないようにするという意識なんだ。
 勿論グラビアの仕事が決まれば制限は課していくが、それ以外でもずっと気にしていたら美味しいものも美味しく無くなってしまうだろ?

 だからみちるもそこまで気にしなくてもいいが、みちるの体はもうお前だけのものじゃないんだということをしっかりと認識して欲しい。
 アイドルだからな。


 パン、いつもありがとうな。
 楽しみにしてるぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「私も実を言うとみちるちゃんの店のパン、楽しみにしてるんですよね」

P「美味しいんですよね、あれ。みちるが美味しそうに食べているのを見ると余計に」

ちひろ「すっごくわかります。あれだけ幸せそうに食べるとこっちまで幸せになりそうで」

P「今度またみちるの店に言ってお礼を言わないとな……じゃ、次はーっと――」パラ



113: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:44:08.18 ID:W/hZro+eo


 ○月■日 天気:はれ
 担当:小日向美穂


 このページは、私が担当することになりました。
 でも、私なんかがかいていいのかな。


 …私の後ろでのあさんが応援してくれているので、頑張りますっ!
 でも、どうして無言なのかな。私、何か変なことしたのかな…?


 うう、緊張します。

 前のページでみちるちゃんが好きなパンのお話をしていたので、私はぬいぐるみの話をしようと思います。


 実はこの前、オフの時に紗南ちゃんと拓海さんと一緒にゲームセンターに行ってきたんです。
 ゲームセンターといっても、そこは怖い所じゃないみたいですけど。

 それでも怖いと思っていたら、拓海さんがついてきてくれたんです。

『オマエ達じゃあ危なっかしいからな。アタシが居りゃアイツも心配しねぇだろ』
 なんて言いながら。アイツって誰のことなんでしょうか?

 でも、危ない場所とか教えてくれたり、正直言うと拓海さんのこと怖かったんですけど、とても優しくて好きになりました!


 それで、ゲームセンターに行った理由は新しいぬいぐるみが一つほしいなーって思ったからなんです。
 あ、もちろん頂いたくまさんは今でも大事にしていますよっ。大切な宝物ですから!


 結局、みんなでゲームをしたり(拓海さん、レースゲームをしてる時に喋りながら体が傾いてて面白かったです)、ホッケーをしたりして楽しみました。

 欲しかったぬいぐるみは一つだけだったんですが、紗南ちゃんってクレーンゲームも得意なんですね。
 ぽんぽん取ってしまって、思っていたよりも沢山もらっちゃいました。

 拓海さんも紗南ちゃんから小さな猫のキーホルダーをもらって、顔はぶすっとしていましたけど、私には何となく嬉しそうな感じに見えました。
 多分、紗南ちゃんもそう感じていたんじゃないかな。


 みんな優しくて、この事務所に来て良かったと思います。

 …でもあとで拓海さんに怒られないかだけは少し心配です。
 怒られませんように。


 小日向美穂でした!



114: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:45:15.77 ID:W/hZro+eo


P「へえ、美穂と紗南と拓海がねえ…」ホー

ちひろ「結構意外な組み合わせですよね。拓海ちゃんってゲームセンターはよく行くんでしょうか?」

P「うーん、どうでしょう? まあ、ああいうタイプの人間は行ってそうではありますけど」

ちひろ「……まあ、どんな理由であれ、美穂ちゃんのためについてきてくれたのは優しいなって思います」クス

P「妙に意地っ張りな所がありますからね、拓海は。紗南も美穂のために手伝ってくれていいヤツです」

ちひろ「美穂ちゃんのぬいぐるみ好きも可愛らしいですね」

P「以前、小さなぬいぐるみを抱きしめてるポージングの撮影現場を見た時は、本当に『微笑み』って感じでしたよ」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 ゲームセンターに行ってきたのか。

 あそこは楽しい所だが、トラブルも多いから気をつけろよ。
 みんなアイドルなんだからな。

 でもまあ、拓海が居てくれるなら大丈夫だろう。
 アイツほど友達思いの人はそうそう居ないからな。

 これで美穂の部屋もまた少し賑やかになったんじゃないか?
 あのぬいぐるみも大事にしてくれて何よりだ。


 あと、一つだけ注意。

 この夏は特に暑いから、安易にひなたぼっこをするのはダメだぞ。
 日焼けもそうだが、室内であっても倒れることはあるんだからな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「美穂ちゃんも17歳ですから、それぐらいわかってますって」クス

P「だといいんですが…美穂もおっちょこちょいな所がありますから、一応です」

ちひろ「心配性ですねえ」

P「ウチの大事なアイドルですから」トン

ちひろ「堂々と言いますか」

P「みんな誇れる子達ばかりですからね…一部例外は居ますけど。じゃあ次の日記は――」ペラ



115: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:45:58.41 ID:W/hZro+eo


 ○月■日


 ふふ、この歳になって日記を書くなんて珍しいですよね。

 高垣楓です。



 最近、プロデューサーがあまり構ってくれなくなりました。
 私がここにやって来た時は、不自由な私に臆すること無くぐいぐいと引っ張ってくれて、CDデビューが決まった時も一緒に喜んでくれて、すごく楽しかったです。

 でも、今では小さな子ばかり相手にするようになって……もう年寄りの私は用無しなのでしょうか?
 私を飼っておいてそれは酷いと思います。さいてーだと思います。


 ……なーんて。冗談です。
 そこまで子供じゃありませーん、ふふ。


 みんな忙しいですから、当然ですよね。
 プロデューサーに導かれてここまでできた私はもう立派な大人ですから、これからはみんなを導いていきますよ、プロデューサー。
 …お酒を飲みながらこんな事も言っても説得力ないですけどねー。


 あー、でも、最初の頃はよく事務所でお酒を楽しんでいたのに、今では珍しくなりましたね……。

 お酒のツマミに楓はいかが?
 コールがあるならいつでも参ります、ふふふっ。


 プロデューサー。
 この日記を読んだら、私たちの冷蔵庫を開けてみて下さいね♪



116: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:47:14.60 ID:W/hZro+eo


P「日記のページの端が千切られてるのはなんででしょうね」クビカシゲ

ちひろ「何か汚したんでしょうか…まあそういう事もありますって」

P「お酒飲みながらって書いてますしね……。そういえば最近飲み会なんてしてないなあ」

ちひろ「する暇が無いくらい忙しいのは喜ぶべきなんでしょうけど…」

P「事務所の最初の頃を思い出しますね。楓さんとちひろさんと俺でよく飲んでました」

ちひろ「最初、楓さんって少しとっつきにくいかなと思ってたんですが、全然そんなことなくて笑っちゃった記憶があります」

P「ギャップってやつですよね、俺もびっくりしました。でもそういう所がお茶目で可愛いんですよ」

ちひろ「時々とんでも無く大人気ない事をしますからね…心の中で一体どんなことを考えているのか、私にはさっぱりです」

P「案外単純なことを考えてますよ、楓さんは。さて、返信は――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 冗談でよかったですよ…。
 読んでてすごく申し訳なくなりました。

 いや、実際飲む機会も減って申し訳ないとは思ってるんですが、現状では中々難しそうです。
 そのかわりお酒の飲めるアイドルも昔に比べれば沢山所属してますから、ずっと俺と飲むよりかは楽しいと思いますよ。

 でも、また飲みに行けたらいいですね。
 今ある仕事が片付いてゆっくり休める日が来たら、その時はまたみんなで行きましょう。


 ……後半の駄洒落は高度すぎじゃないですか?


 あと、日記を書く資格なんてものは存在しませんから、楓さんでも問題ないですよ。
 俺は楓さんの書く日記、好きですから。よかったらまた書いて下さい。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「え? 駄洒落なんてありましたか?」キョトン

P「ありますよ。いつもと違ってちょっと複雑ですけど」ハハ

ちひろ「むむむ……プロデューサーさんだからわかるんでしょうか」

P「かもしれませんね。あ、そういえば日記の最後に冷蔵庫を開けろと書いてますね。行ってみますか?」ガタ

ちひろ「サラリというとは……そうですね、行きましょう」カタ



117: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:48:42.03 ID:W/hZro+eo


 スタスタ…

ちひろ「小さいながらもアルコールで支配された冷蔵庫も今では給湯室に馴染みましたね」クス

P「嬉しいやら悲しいやら……開けますねっと」グイ

 ガカッ

P「……お酒しかないな」

ちひろ「……うーん、確かにお酒以外は何も――ん?」

P「ちひろさん、どうしました?」

ちひろ「いえ、そこの日本酒のラベルの間に何か挟まってますよ?」ユビサシ

P「お、ホントだ。紙の切れ端が……ってこれ日記のやつか!」ビクッ

ちひろ「…よく見たら切れ端が似てますね」

P「一体楓さんは何を――って、何か書いてあるな。なになに……」ピラッ

 [ぜったいに許さんぞ、暑さども!じわじわと美味しく冷やしてくれる!]

ちひろ「……フ○ーザ様ですか。微妙に可愛いイラスト付きですし」

P「ここが冷凍庫ならジャストなんですけど、そこは妥協したみたいですね」

ちひろ「冷凍庫……ああ、なるほど」



118: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:50:42.84 ID:W/hZro+eo


 ・ ・ ・

 ――みちるの日記、その後

 [事務所、昼前]

 カタカタ…

P「このメールを返信して、午前の作業は完了……っと、もうすぐ昼ですね」チラ

ちひろ「あ、本当ですね。私も一旦区切ります。…プロデューサーさんはお昼どうしますか?」

P「いつも通りコンビニ行ってきますけど、ちひろさんも行きます?」カチカチ

ちひろ「はい、私も行きます――」

 ガチャ

みちる「いふぁふぁ――おふぁもぉーもふぁいまふ!」モグモグ

P「……挨拶ぐらいは口にものを入れないでくれ、みちる」ハァ

みちる「――んく。あはは、すみません。お昼なもので!」ポリポリ

P「全く。アイドルなんだからそこの所も気をつけてくれよ?」

みちる「ここはなんだか家みたいで…つい。あ、そうだ、パン持ってきたんで要りますか?」ガサッ

ちひろ「わあ、こんなにいっぱい……!」

P「おいおい、これをもらっていいのか?」アセアセ

みちる「プロデューサーと千川さんへのお礼です! お昼はまだですか?」

ちひろ「ええ、今から買いに行こうとしてたんだけど…」

P「……今日はパンですね。みちる、これを昼ごはんにしてもいいか?」

みちる「もちろんです! パンはみんなで美味しく食べてこそ、ですからね!」

ちひろ「では飲み物持ってきますのでお二人はソファーで待ってて下さいね」

みちる「ありがとうございます! ささ、食べましょう!」

P「ありがとう……はは、しかしこれだけあると食べきれないな」ハハ

みちる「え?」

P「え?」


みちる「…あとからかな子さんと法子ちゃんが色々持ってきてパーティですよ? お二人とも食べまくりましょう!」



119: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:52:26.14 ID:W/hZro+eo


P「……マジで?」

みちる「マジです! あははー、洋食いっぱいで楽しみですね、プロデューサー!」





 コポコポ…



ちひろ(……大丈夫かなあ、私)ゴクリ


 [おわり]



120: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:52:58.28 ID:W/hZro+eo


 ・ ・ ・

 ――美穂の日記、その後

 [事務所]


美穂「…えへへ」ギュ

P「……美穂?」

美穂「ひゃあああああっ!?」ビクッ!!

P「うおわっ!?」ガタッ

美穂「プ、プ、プロ、ぷろじゅーさー!?」バタバタ

P「すまんすまん、驚かしすぎたか」ハハ

美穂「も、もしかして、あ、あの、今の見た――」オロオロ

P「…それ、紗南に取ってもらったやつか?」

美穂「へ、へ? ……あ、えと、はい。三人で行った時にもらったものです」

P「はは、大事にしてるんだな。大事にしている所も可愛いかったぞ」

美穂「か、かわ……っ!!」////

P「イメージにピッタリだしな。…そうだ、いっそのこと、もっとぬいぐるみ集めてみるか?」

美穂「……!」ピクッ

美穂(……い、今なら)

美穂「あ、あの、プ、プロデューサー!」

P「ん、ん? どうした?」

美穂「あの、えっと……それで今度、よかったらぬいぐるみ、い、一緒に買いに行きませんか?」

P「……俺と?」

美穂「はい、…ダメでしょうか?」

P「…いや、いいぞ。そうだな、半日なら空いてるから次の金曜日でもいいか?」

美穂「ホ、ホントですか!? ありがとうございます!」

P「ああ、美穂と買い物か…楽しみにしておくよ。じゃあ仕事に戻るな」クルッ

美穂「は、はい!」


 スタスタ…



美穂(……二つあって初めて、だよね)

 [おわり]


121: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/05(月) 21:55:10.13 ID:W/hZro+eo


 ・ ・ ・

 ――楓の日記、その後

[事務所、夜]

 ガチャ

P「はぁ……やっと今日の営業が終わった――」トコトコ

楓「プロデューサーさん♪」ヒョイ

P「うわ、楓さん居たんですか……って酒くさっ!」ウッ

楓「んふふー、冷蔵庫のお掃除ですっ」ムフー

P「そのお酒は……まあ、入れるばっかりで最近飲んでませんからね…」

楓「だから飲んでたんですよ? ほら、もうこんなに」ズラッ

P「うわ、ちょっと飲み過ぎですよ」ヒョイ

楓「……だって仕方ないじゃないですか。付き合ってくれないんですもん」プクー

P「それは…仕事が忙しくて」

楓「仕事と私、どっちが大事なんですかっ」

ちひろ「なに夫婦みたいなことやってるんですか二人とも…」ハァ

P「ち、ちひろさんも居たんですか…」

楓「ふふっ、上手かったでしょう?」クス

P「…俺のことは遊びだったんですね、楓さん」

楓「ち、違うんです、プロデューサーさん!」

ちひろ「あーもー返さなくていいですから。ついでに寂しがってる楓さんの相手をしてあげて下さい」

ちひろ(私には止められませんでした…)

楓「ちひろさんを誘おうとしたんですけど仕事中なので……ぷろでゅうさーさん♪ 今晩、空いてますー?」

P(……いつもより酔ってるな。やっぱりあの日記は――)

P「…最近楓さんと飲んでませんでしたしね。いいでしょう、お付き合いしますよ」

楓「ふふっ、ありがとうございます」ニコ

P「じゃあ最後の作業終わらせてからそっち行きますので、少し休憩してて下さい。すぐに終わります」

ちひろ「ごめんなさい、楓さん。私も行きますので」

楓「はーいっ。……久し振りですね、ふふ」

 [おわり]

155: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:40:23.27 ID:LiM5Stt+o


 ――ある日の朝の事務所前


 ジリジリ…

P「っはあ……出社するだけでもあついぞ…」トコトコ

P「車は維持費がなあ……ああ、でも暑いし寒いし――って」ピタッ

琴歌「あら、P様ではありませんか」コツコツ

P「珍しいな。今日は歩きなのか?」

琴歌「はい、今日は電車を使って参りました」

P「電車か……その、こういっちゃなんだが、大丈夫だったか?」

琴歌「ふふ、心配性ですね。P様に付き添ってかなり長いのです。電車の使い方ぐらい理解しています」

P「…ICカードを改札機にねじ込もうとした人間だからなあ」ミアゲ

琴歌「ず、随分昔のことを……もう、意地悪ですね、P様は」カァッ

P「その話を聞いた時は本当に笑ったよ。お前も成長したな」ハハ

琴歌「当然です! …P様の隣を歩くためには、私もこのままではいけないのですからね」

P「はは、ありがとう。んじゃ、暑い中話すのも何だし、事務所に行こうか」フリ

琴歌「はい。――あ」

P「ん、どうした?」

琴歌「私としたことがとんだ失礼を。おはようございます、P様」ペコリ

P「ああそうか。おはよう、琴歌。…様付けはまだ抜けないか?」

琴歌「硬すぎ、とおっしゃるのでしょう? ふふ、これはP様への敬愛の証ですので。さあ、行きましょう」コツコツ



P「……悪い気はしないよなあ」



156: 今日はゆっくり ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:42:24.88 ID:LiM5Stt+o


 ・ ・ ・

 [事務所]

 ガチョッ…ガチャ

P「鍵開けてーっと。準備の前にまずはエアコンだ」ピッ

琴歌「今日も暑いですね。体調のほどは大丈夫ですか?」

P「みんなに心配された事もあっておかげさまでな。…俺ってそんな倒れそうに見えるのか?」

琴歌「みなさん、P様の優しさや働きぶりを知っているからこそ、ですよ」ニコ

P「軟弱者と思われそうで複雑なんだが…まあいいか。琴歌は飲み物は何がいい?」

琴歌「そんな、P様にそのようなことをさせるわけには――きゃっ」ビクッ

P「…表情が硬いぞ」ムニー

琴歌「……申し訳ありません。ではお茶をお願いしてもよろしいでしょうか?」ムニー

P「任された。そこに座っていいからな」スタスタ

琴歌「はい。ありがとうございます、P様」

 コポコポ…

琴歌「……」ジー

P「お待たせ――と、日記か?」コト

琴歌「ええ。みなさん、手にとっては沢山の思いを書き記していますね」ニコ

P「言いたいことや言えないこと、そういう物を不思議と書かせる日記ってのは不思議なもんだ」ゴクゴク

琴歌「P様にも言えないことがあるのですか?」

P「んー、俺はないか。言わなきゃ伝わらないというのは嫌というほど分かってるのは、こういう立場だからだろうな」

琴歌「…二人出会えば争いは生まれます。そんな不条理の中でこうしてみなさんと仲良くできているのは、P様が作り上げた事務所のこの雰囲気だからでしょうね」

P「そんな大層な事はしてないぞ……テレビでもつけるか」ピッ



157: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:45:25.32 ID:LiM5Stt+o


 キョウモアツイヒガ…
          コウスイカクリツはイゼン…


P「…琴歌はこの日記を書かないのか?」

琴歌「日記……実を言いますと、中々書きたいことが思い浮かばなくて、今は遠慮しています」

P「まあ、思いつかないのはよくあることだしな。何かあったらいつか書いてくれ」

琴歌「はい、そうさせて頂きます」ニコ

P「…そうだ、確か琴歌の今日の予定は近場だったよな?」

琴歌「おっしゃるとおり、スタジオでの撮影ですが…いかがなさいましたか?」

P「いや、もしよかったら日記の返信に付き合ってくれないかと思ってな」

琴歌「私が…でしょうか?」キョトン

P「ああ。いつも隣にちひろさんが居て喋りながらやってるんだが、今日は居ないみたいだから寂しくてな。駄目か?」ハハ

琴歌「…そんな。駄目なはずがありません。是非ともお付き合い致します」

P「悪いな。じゃあ早速始めるか――」パラ



158: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:47:37.34 ID:LiM5Stt+o


 ○月◇日 佐々木千枝


 かおるちゃんと始まった交かん日記が、今こうして事務所のみんなとやってることが、わたしはすごくうれしいです。

 あんなこと話してたとか、こんなことしてたとか、わたしの知らないみんなを知れて、言ってよかったなって思います。

 かおるちゃんも私といっしょにこの日記を読んだりして、事務所に来ることがもっと楽しくなりました。

 ちゃんと日記のばしょを作ってくれて、みんなに教えて回ってくれたプロデューサーさんとちひろさんには、ありがとうございます、と言いたいです。


 えへへ、せっかくの日記なのに、これだけじゃつまらないですよね。


 この前の話ですが、なつやすみに入る前、とつぜん雨がふったのはおぼえてますか?

 その時私は事務所に行こうと思って歩いていたんですが、とちゅうでふってきたのにかさを持ってなかったんです。
 だって、テレビでも雨の予報なんてなかったから、すごくびっくりしました。


 ぬれてかぜをひいたらプロデューサーさんにめいわくがかかるから、わたしは急いで近くの屋根のあるところにひなんしました。

 これからどうやって事務所にいけばいいのだろうって思って、プロデューサーさんにむかえにきてもらうしかないのかな、となやんでいると、とつぜん声をかけられました。
「あれ、千枝ちゃん?」っていう、女の人の声でした。

 知らない人から声をかけられたらにげなきゃいけないから、びっくりしてその人を見ると、みおさんだったんです。

 みおさんも事務所に向かう途中で、かさをさして歩いている時にわたしをみつけたそうです。
 同じかさに入れてもらって、事務所に入ると、タオルとかお茶とかくれました。

 その時のみおさんは親切でやさしくて、とてもかっこよかったです。
 私も、大きくなったらみおさんのように、やさしい人になりたいです。



159: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:50:05.03 ID:LiM5Stt+o


P「千枝は普段喋る時は自分のことを千枝と呼んでるけど、日記では私なんだな」

琴歌「作文のような文体で、とても丁寧で素晴らしいです」

P「ああ、そういうことか。薫との交換日記なら千枝と書いてるかもなあ」

琴歌「私達にもこのような時期があるのです…P様の小学生時代はどのような感じだったのですか?」

P「……言わなくちゃ駄目?」

琴歌「ふふ、よろしければ知りたいです」ニコ

P「敵わないな…友達とシモネタ言って笑ってるガキンチョだったよ、俺は」

琴歌「し、しも……!」

P「男は子供から大人まで大体そんなもんだ。…幻滅したか?」

琴歌「い、いえ。そのようなことはありません。ただ、今のP様からは想像できなくて……申し訳ありません」

P「成長するんだよ、誰でも。千枝だって、今よりももっと優しくなって綺麗になるし、琴歌だって、もっと柔らかくなるだろうしな」ハハ

琴歌「…私も、もっと前に出なければなりませんね」

P「それだけが成長じゃないけどな。ええと、返信は――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 この日記を考えだしてくれてありがとう、千枝。薫もな。


 そうか、あの時未央と仲良く話をしていたのはそのおかげだったのか。
 俺も未央が優しいのはしってるぞ。

 先輩後輩関係なく、年齢の上下関係なく別け隔てなく話ができて、
気配りもできる。

 未央がいるからこそ、この事務所はこんなにいい雰囲気になっているのかもしれないな。

 千枝も、もっと成長して大きくなったら、困ってる人を助けてあげられるような
優しいアイドルになってくれ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

琴歌「……ふふ」

P「いきなり笑ってどうした?」キョトン

琴歌「いえ、ただ、このように返信をするP様は父親のように優しいのだな、と」

P「…プロデューサーだからだぞ」

琴歌「…そういう事にしておきますね、ふふっ」

P「琴歌もとんだ意地悪な奴だよ、全く……じゃあ次のページに行くぞ――」パラ



160: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:51:08.57 ID:LiM5Stt+o


 作戦N実行日:○月◇日
 実行者:あずき


 ふふふー、このページはあずきの作戦に使うよ!
 名付けてはじける日記大作戦!

 なんではじけるかっていったら、そりゃもうみんなはじけるぐらい楽しく仲良くできるような日記にしたいからね!

 その作戦を今まで温めてきたみんなの思いは忘れない!



 …って書いてると、もうみんな会えないみたいになってない? って周子さんに言われちゃった。
 ジュースを飲みながら隣であずきの日記を見ているんだけど、作戦の覗き見はだめなんだからね!

 …でも、確かに言われてみるとそのフレーズはよくないよね。
 じゃあ「みんなの思いをつなげるぞ大作戦!」って言ったら「それでいいんじゃない?」って言ってどこかに逃げていったよ。

 むむ、あずきの責任重大だね!


 うーん、そう言われると軽々しく言えないもんだねー……そうだ、夏といえば旅行だよ!
 陸ときて海ときたら、次は山じゃないかな!
 あずきの住んでた長野の夏の高原は自慢できるぐらい涼しくてみんな楽しめると思うよ!

 海に行きがちだけど、あずきはキャンプも好きだから、温泉を楽しみつつ避暑もいいと思うんだけどなー…おねだり大作戦を実行する時がきたかな?

 暑いけどみんなで頑張って、プロデューサーに旅行をプレゼントしてもらおうじゃないか!


 …ダメかな?

 と、とにかく考えてね、プロデューサー!



161: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:52:24.90 ID:LiM5Stt+o


P「俺の財布を破壊するつもりか、あずきは」

琴歌「ふふ、でも同じ事務所の皆のために提案してくださってます」

P「まあ……実のところ、旅行を考えているんだけどな。計画中だ」

琴歌「あら、本当なのですか?」

P「前に…莉嘉の日記だったか、あれをよんでちひろさんと幾つか話し合ったんだよ。昔ならともかく、今の事務所の状態だと全員参加は難しそうだけどな」

琴歌「そうなのですか…。続報、期待していますね」

P「ああ。その時は琴歌も参加してくれたら嬉しいな。返信は…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 みんなの思いをつなげるぞ大作戦、いい作戦じゃないか。

 アイドル達も多くなってあんまり接したことのない子も多くはないが
増えて来ているからな。
 そういう所からも、色々アプローチを仕掛けて行きたいと俺は思うよ。

 もし決まったら、あずきにも協力してもらおうかな?
 まあ、色んな作戦を考えておいてくれ。

 だが俺の財布は四次元ポケットじゃないから勘違いしないように。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「しかし、甘く見ても大人数なのは絶対なのに、それを収容できる旅行先に行けるのか?」

琴歌「なんだか修学旅行のような大名行列、ですね」

P「確かにその通りだ。……ちひろさんが泣かないといいけど」ペラ



162: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:54:32.81 ID:LiM5Stt+o


 ○月◇日 はれ


 私、ねがってた
 どこか、とおい、そんな世界

 つなげてくれた、気持ち、大きな、手


 でも、Pの手、一つじゃない

 私、ねがった。その先、みんないた


 Pと約束。ずっと、信じる
 そこに、もう一つ
 みんなと、いっしょ。みんなと、どこまでも、行きたい


 Pなら、できる。私と約束、したから




 でも、Pのひざ、わたさない



163: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:55:04.60 ID:LiM5Stt+o


P「……独特だな」

琴歌「雪美ちゃんはあまり喋りませんのでどんな日記か気になってましたが、とても素直に書き綴っておりますわ」

P「そうだな。短いが、雪美の気持ちがはっきりと見えてくる」

琴歌「……ところで、P様のひざとはなんなのでしょうか?」

P「やっぱりそれ、気になるか」

琴歌「最後の一文がとても印象的ですので…」

P「なんというか…時々だけどな、雪美は俺の膝に乗りたがるんだよ」

琴歌「まあ、猫みたいですね」ポン

P「実際猫と友だちだからな……それで乗っているんだが、それを見た薫とか仁奈とかメアリーもいつのまにか乗るようになったんだ」

琴歌「…ふふ、何だか微笑ましい光景です」

P「お互いアイドルだから手を出す喧嘩はしないが、それでも睨み合われると俺も参るよ」ハァ

琴歌「それでしたら、私がP様の膝に乗るというのはどうでしょう?」

P「……どういう理屈だ?」キョトン

琴歌「……申し訳ありません、今のは無かったことにして下さいませ」メソラシ

P「お、おう。じゃあ返信は…」カキカキ


――――――――――――――――――――――――――――――――

 雪美の日記が見れるとは思ってなかった。
 書いてくれてありがとう。

 雪美の言うとおり、ここは雪美だけじゃなくて、みんないるんだ。
 その中で俺は一人だけだから、最近あまり構ってやれなくて悪いな。

 空いてる時で良ければ事務所で話せるから、オフならペロも連れて遊びに来るといい。
 待ってるぞ。

 ……でも、俺の膝は残念ながら誰のものでもないからな?
 自由な時は乗ってもいいが、誰かが居たら譲ってあげてくれよ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

琴歌「…P様はプロデューサーなのですよね?」ボソ

P「ん、そうだけど…何かあったか?」

琴歌「いえ、それは解っているのですが、皆さんとお話しつつ莫大な仕事をこなせるのが私には不思議で…」

P「みんながいるからな。みんなを輝かせるために仕事をしてるんだー、って思ったら、案外仕事も多くは感じないさ」

琴歌「……素晴らしき方ですわ、P様」

P(正直スタドリ様々です、本当にありがとうございました)



165: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:55:59.67 ID:LiM5Stt+o


 ・ ・ ・

 ――千枝の日記、その後

 [事務所、夕方]

 ガチャ

千枝「ただいま戻りましたー…」クタクタ

未央「たっだいまー、千枝ちゃん持って帰ってきたよ~」

P「千枝は荷物じゃないぞ…おかえり、二人とも。送迎頼んで悪かったな、未央」

未央「いえいえー、いつも頑張るプロデューサーのためですから…なんてねっ」

P「はは、心強いな。……っと、千枝は疲れてるな。帰るまで少しソファで休んでいいぞ。すぐに飲み物を持っていくから」

千枝「はい…ごめんなさい、プロデューサーさん」ウツムキ

 トコトコ…


未央「うーん、やっぱりキツいよねー、子供が大人の仕事をするのは」

P「どんな年齢であろうと性別であろうと、仕事があればやらなきゃいけない、それが社会人の辛さだよな。…あとお前も子供だっての」コツン

未央「あうっ。……どうせなら撫でるほうが未央ちゃんは喜ぶのに~」

P「それはまた今度な。帰る時間は大丈夫か?」

未央「あ、いっけなーい、家に帰らないと! それじゃまた明日ね、プロデューサー!」クルッ

 ガチャ…バタン!

P「忙しないアイドルだなあ、未央は……っと、飲み物を持って行かないとな」スタスタ



166: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:58:05.78 ID:LiM5Stt+o


 ソーッ…

P「千枝、大丈夫か? 痛いところはあるか?」コト

千枝「……いえ、大丈夫です。ちょっとお仕事が長引いたので疲れちゃっただけです、え、えへへ」

P「全く、子供に無理をさせるなよな…ほら、スポーツドリンクだ」スイ

千枝「ありがとうございます、プロデューサー…んく、んく……はぁっ」ゴク

P「今日は俺が家まで送るから、それまで休んでていいからな。今日もお疲れ様、千枝」

 シーン…

千枝「……やっぱりまだまだですね…私」

P「まだまだって……体力なんてこれからだろうよ。気にしなくていいさ」

千枝「だから、未央さんにも、プロデューサーさんにも迷惑をかけてしまって…」

P「……勘違いするなよ」ポフ

千枝「え?」ユラユラ

P「千枝はもし未央が困っていたら、嫌々助けるのか?」ナデナデ

千枝「そ、そんなわけないです!」

P「だろ? …俺達だってそうだ。仲間だから、千枝だけじゃない、誰が困っていても喜んで助けるし、皆もきっとそうするはずさ」ナデナデ

千枝「……早く、千枝も大人になりたいです」

P「どうしてだ?」

千枝「千枝が大きくなったら…未央さんみたいに誰かを助けられますから」ウル…

P「じゃあ、千枝はまずおっちょこちょいにならないとな」

千枝「……どういうことですか?」

P「未央だよ、未央。アイツ、入ってきた当初は元気があるからなのか、スケジュール管理が苦手でな、仕事好きなくせにたまにすっぽかして……はあ、大変だったよあの時は」

千枝「あの未央さんが、ですか……?」



167: 千枝二言目『さん』抜け ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 21:59:43.02 ID:LiM5Stt+o


P「そうだよ。それでも覚えていって、仕事がもっと出来るようになって、みんなの信頼も得て……余裕ができて周りが見えるようになって、手を差し伸べられるような子になったんだ」

千枝「……」

P「だから千枝も今はいっぱい助けられて、千枝ができる範囲で頑張れ。それで大きくなって余裕ができたら、今度は千枝みたいに困った子を助けてあげてくれ」ナデナデ

千枝「プロデューサーさん……はい……っ」

P「はい、じゃあ今は俺に素直に助けられてゆっくり休んでくれ。送る時間になったら連絡するから」スッ

千枝「……あの、プロデューサーさん!」

P「どうした?」

千枝「千枝、千枝……ゆっくり大きくなって、なったら、プロデューサーさんを助けたいです!」

P「……俺ってそんな頼りなく見えるのか」ズーン

千枝「あ、いえ、そういう意味じゃ…!」アタフタ

P「はは、わかってるよ。ありがとうな。じゃあ数年したら、秘書にでもなってもらおうかな?」

千枝「秘書……はい! 千枝、お勉強たくさんします!」

P(プロデューサーに秘書ってなんだ一体)

P「その調子だ。勉強もアイドルも頑張れよ。…だから今は休め」

千枝「はい……ありがとうございます、プロデューサーさん!」

 [おわり]



170: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 22:01:56.32 ID:LiM5Stt+o


 ・ ・ ・

 ――あずきの日記、その後

 [事務所]

P「……二人して何やってるんですか?」

ちひろ「あ、おかえりなさい、プロデューサー」
あずき「ねえねえプロデューサー! 見てみてー!」グイ

P「うお、いきなり……って、なんだこれ」ピラ

あずき「あずきの考え……みんなで考えた行きたいスポットだよ! 名付けてアカシックレコード大作戦!」

P「蘭子が伝染ってるぞ、あずき。あとそれお前が行きたい所だけだろ」

あずき「…えへへ」

P「お前なぁ…」ハァ

ちひろ「つい先程から、帰ってきたあずきちゃんと旅行の話をしていたんですよ。それで色々観光地なんか紙に書いていたんです」

P「ああ、あの件ですか。日程案はどんな感じです?」

ちひろ「それが、やっぱりこの時期はみんなそれぞれ仕事もありますし、宿も大きいのは取れないので……」

P「うーん、そうか……難しいですね」

あずき(……!)ピコーン

あずき「…お、今作戦思いついたよ!」

P「ん…どんな作戦だ?」

あずき「名付けてかわりばんこ大作戦!

ちひろ「かわりばんこ?」

あずき「そー! 長い旅行日程をとって、最初に行ける人から参加して、仕事がある人は途中で抜けて仕事に戻るの! それで途中から参加出来る人は参加して…全員一緒に観光できないけど、一度に宿に泊まる人数は少なくて済むよ!」

P「……」

ちひろ「……」



171: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 22:03:44.73 ID:LiM5Stt+o


あずき「……って、ダメだった?」

P「いや、それいいな。そうか、必ず同じ日程で全員行く必要はないのかー!」ポン

ちひろ「確かにトータル人数を抑えれば小さめの宿でも行けそうですね」

あずき「……ということは」

P「ナイス作戦だ、あずき。そこまで思いつかなかった。お前のおかげだ」

ちひろ「あずきちゃんが居てよかった。今から具体的に予定組みますか?」

P「そうですね。急がないと、プライベートの予定も埋まっちゃいますから。あずきはどうする? 送ろうか?」

あずき「……ううん、あずきももっと作戦考えるよ!」

P「そうか、ありがとう。頼りにしてるぞ、あずき」

あずき「任せてっ、頑張るよ!」


あずき(…一緒に計画大作戦、成功だねっ!)

 [おわり]



172: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/06(火) 22:05:27.25 ID:LiM5Stt+o


 ――雪美の日記、その後

 [事務所、朝]


P「今日は昨日の続きをしないと……頑張らなきゃ」グデー

ちひろ「珍しいですね、仕事を残すなんて」

P「ええ、中々進まなくて…夏バテですかね」ハァ

ちひろ「気をつけてもなりますから……アイドルの子達だけじゃなくて、自分の体も心配してあげてくださいね」

P「ご忠告痛み入ります…」

 ガチャ

雪美「…P……ちひろ……おはよう」

ちひろ「あら雪美ちゃん。今日は早いのね」

P「おはよう……でも今日の仕事は昼からだぞ?」

雪美「知ってる……。約束…P……つながってる…私……聞こえた」

ちひろ(え、約束…聞こえた?)

P「…ああ、そういうことか」

ちひろ(……やっぱりプロデューサーさんにはわかるのね)

雪美「だから……果たす…。Pに……あげるの」コクリ

 トコトコ…チョコン

P「ペロは来れなかったんだな」ナデナデ

雪美「うん…残念……。でも…大丈夫……Pと私……つながってる」コクリ

ちひろ(何の迷いもなくプロデューサーさんの膝の上にのって撫でられてる雪美ちゃん。そういえば最近見なかったなあ)

P「はは、ありがとう。雪美はしばらくここに居たいか?」

雪美「……当然…最近…取られてたから。P……いや?」クビカシゲ

P「嫌じゃないぞ。ちょっと手を横から…よし、これでパソコンが使えるな」カタカタ

ちひろ(そして雪美ちゃんをのせたままキーボードを打つプロデューサーさん)

ちひろ「……ふふ」

P「…どうしたんですか?」

ちひろ「いえ、なんでもないです」

雪美「力を……貸すの。こうして……きゅ」モタレ

P「……よーし、頑張るか。雪美からパワーをもらったことだしな」

雪美「P…がんばって……」

ちひろ(父娘みたいだなんて……言えないですよ、プロデューサーさん)クス

 [おわり]

193: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:01:57.82 ID:Ia/qbI4ho


 ・ ・ ・

 ――ある日の事務所、昼


P「すみません、去年の企画書のデータってどこでしたっけ?」

ちひろ「去年の……は、まだサーバーに残ってますよ」

P「サーバー……って、ああ、このフォルダですね、ありました」カチカチ

ちひろ「保存場所って日時で変えてると時に迷いますよね」

P「特に古いデータは、ですね。最近のだとわかるんですけど」

ちひろ「いくら技術が進んでも妖怪リモコン隠しは消えませんから」クス

P「家で何度そいつに苦しめられたことか……」ハハ

ちひろ「ふふ…ところで、去年のデータなんて何に使うんですか?」

P「一年の変化ということでアイドル達に見せるんですよ。自分たちがどういう活動をしてきたか、おさらいさせるんです」

ちひろ「へえ、そんなことするんですね」

P「ずっとやっていると自分がどういう所に来たのか、分からなくなる事もありますからね。立ち位置を確認させる意味でも、特に新人には見せようと思います」

ちひろ「長い間、かあ。振り返るのは大事ですものね」

P「今やってる日記も似たようなもんです。自分を遠くから見つめて、改めて今を知る。それが先に繋がるんじゃないかと思います」

ちひろ「うまいこと繋げますね、プロデューサーさん。……それで、今日の分の日記はいつします?」

P「そうですね――」カタカタ

 カチ  カチカチ
       カタカタ

P「……区切りのいいとこまで来ましたし、休憩がてらしますか」

ちひろ「…本当にうまいこと繋げますね」

P「それほどでも。じゃあ行きますか。最初はーっと…」ペラ



194: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:03:49.43 ID:Ia/qbI4ho


 ○月▽日 三船美優

 本日もお天気に恵まれて、夏らしい燦々とした日差しが私達を照らしています。

 それだけで済めばいいのですが、今日に限っては外の景色がゆらゆらと揺れ、外出をためらわせるような猛暑となっています。
 一人の女性として、またアイドルとして、紫外線には気をつけておきたいところですね。


 なんて、そんな事を書いているといきなりみくちゃんが事務所にやってきては、すぐさまエアコンの真下を陣取りました。

 そんな姿をプロデューサーさんは呆れつつも、タオルとお茶をみくちゃんに渡します。
 それを受け取った時の彼女の表情は、得も言われぬ程の可愛さだったと思います。


 あんな顔、私に出来るのでしょうか?
 アイドルとしてお世辞にも適齢とも言えない私が、彼女のように朗らかと、それでいて可愛らしい笑顔ができるともなかなか思えません。

 それでも、Pさんはきっとできると言うんでしょうね。

 彼の魔法にかかれば、どんな女の子だって…無論、私も例外でなく、可愛らしい少女になるのでしょう。
 それが私の心に染みこむのには、まだもう少し時間がかかりそうですが、一人の女性としては――。

 …そんな風に考えてしまうのも、多分Pさんのせいなのでしょう。
 もう少し早く彼と出会っていれば、私はきっと……。


 ふふ、日記だなんて、昔を思い出すようでついつい書きすぎてしまいました。
 童心に帰るというのはまさに今の気持ちのような気がします。


 ……これ、見られるんですよね。
 Pさんに変な風に思われないかだけは心配です。



195: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:06:04.23 ID:Ia/qbI4ho


P「大人や…大人がおる…」

ちひろ「いきなりどうしたんですか、プロデューサーさん…」オズオズ

P「いや、細いながらもしっかりと丁寧に書き込んだ文章は、慣れを感じさせるな、と」

ちひろ「確かに、美優さんの字って教科書みたいに綺麗ですもんね」

P「…ただ、内容に関しては少し勘違いしてますけどね、美優さん」

ちひろ「勘違い?」

P「はい。『アイドル=若い子がやるもの』という考えこそ、間違ったステレオタイプです」

ちひろ「……まあ、30歳超えてもアイドルやってますしね。プロデューサーさんのせいですけど」

P「何だか刺のある言い方ですね……結局は、見るものに何かを与えられたら、それでアイドルなんです。ベクトルの違いこそあれ、ね」

ちひろ「全く正反対のアイドルをスカウトするプロデューサーだからこそ言える発言ですね」

P「…さっきから厳しくないですか?」アセ

ちひろ「いーえ。ただ事務所がもう訳の分からない事になってるだなんて思ってませんから」

ちひろ(それで成功してるんだから手に負えないんですけど…)

P「一般的な事務所像からはかけ離れてるのは自覚してますけど、まあウチらしいということで。じゃあ返信は…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 美優さんの子供時代ももっと知ってみたいな、って思ってますよ。
 どんな事を考えていたのか、とか、何が好きだったのか、とか。

 それを知ることで、また美優さんに一つ近づけられるような気がします。


 アイドルという名前に押されて不安になる気持ちもわかりますが、
美優さんの背中は絶対に俺が支えてますから、安心して楽しくアイドルを
やりましょう。その方がきっと美優さんの笑顔がもっとよくなりますから。


 あと個人的なお礼ですが、いつも事務所の年少組の相手をしてくださって
ありがとうございます。
 本来美優さんにさせるべきではないんですが、如何せん体は一つなので…
 もし何か希望があれば、可能な範囲で叶えますので、どうぞ気軽に言って下さい。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「美優さんだけでなく、大人組は事務所を裏でも支えてくれて助かりますよ、ホント」

ちひろ「どうみても私達だけでできる規模じゃないですからね。何やってるんですかね社長は」

P(あ、ちひろさんの表情がどんどん暗く…)ギク

P「は、はは、俺はちひろさんと仕事が出来て嬉しいですけどね。じゃあ次行きましょう、次」

ちひろ「全くこの事務所は私達に全部押し付けてアイドルの世話から営業から何からなにまでやらせて社長は出張多すぎだし経費かかりすぎだし――」ブツブツ



196: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:07:57.28 ID:Ia/qbI4ho


 ○月▽日

 黒川だけど、これ、私が書く必要があったのかしら。

 ……なんだか柄じゃないわね。
 でも、翠に勧められたから、少ないけどこのページは私が担当するわ。


 翠といえば、まあ前回の仕事で初めて接した子ね。

 勿論挨拶はするけど、互いに相関関係がないからあまり踏み込んだりはしなかったもの。
 年齢は近いけど……プロデューサーのアイドル方針も違ったしね。


 でも、それがいきなり同じ仕事をする、だなんて本当にいきなり。
 厳密に言えば、私が以前行った仕事の番外編として翠が抜擢されたらしいのだけど、ついでだから、と私も同じ衣装を二回着ることになったのよ。
 何がついでなのかしらね?

 正直に言うと、翠は私の思っていたよりも綺麗な子だった。
 意志は強く、でも身構えはせず。

 そこで初めて深く接することで、Pさんがこの仕事に私を付き添わせた理由が何となく解った気がしたわ。

 実際、彼女のドレス姿も中々のものだったしね。


 今だから言えるけれど、これからも色んな人と仕事をしてみたいわ。
 そうすることで、私はもっと大きくなれる気がするもの。

 それはプライベートでも同じ。
 Pさんともっと近づければ、私はもっともっと強くあれる。


 …ふふ、言いたいことはわかるでしょ、私を認めてくれたPさんなら、ね?



198: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:09:37.61 ID:Ia/qbI4ho


ちひろ「…わかるんですか?」

P「わかりますよ。千秋の事は。彼女の時以上にスカウトに苦労したことはあまり無かったですしね」アオギ

ちひろ「誘った時点で、色々彼女の家庭環境が複雑でしたからね。よく説得できたものですよ」

P「半ば無理矢理、といった感じですけどね。今では納得して応援してくれているので一安心です」

ちひろ「翠ちゃんとのお仕事も、結構異例ですよね。後から追加する形での共演ですし」

P「どうかなーと思ったんですけど、丁度その時翠の方でもドラマの仕事が入ってましたから、まあやってみようということで」ハハ

ちひろ「結構適当ですね…」

P「それで衣装も何となく姉妹形にしたら案外ハマっちゃって。俺もびっくりでした、はは」

ちひろ(本当に適当だった)ハァ

P「……まあ、この件で千秋も少し思う所があったみたいですし、二つの意味で成功です」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 おう、勿論わかるさ。千秋のことならな。

 あの時は急に仕事を持ちかけて悪かったな。本来なら翠一人だったんだが、
俺の独断だ。

 まあ、千秋も何か得るものがあったのならよかったと言えそうだ。


 そうだ、千秋は祭りとかは興味ないのか?
 他のアイドルが祭りの仕事に行くと言う時も、そこまで関心がなさそうだったが…。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「千秋ちゃんは、そこまで騒がしい所が好きじゃなさそうですよね」

P「普段の千秋を見ていれば、そうですよね。だからこそ気になるんですが」

ちひろ「もしかして仕事の話ですか?」

P「当たらずも遠からず、ですかね。じゃ、次に行きましょうか――」ペラ



200: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:11:32.94 ID:Ia/qbI4ho


 ○月▽日 担当:岡崎


 本日の仕事はこれからスタジオで雑誌の特集に飾る写真の撮影です。

 どんな雑誌かというと、小物雑貨を取り扱う専門誌で、私の趣味を理解してくれたプロデューサーが売り込んで獲得した契約なのです。

 元々はドールハウスのみだったのですが、今回この仕事でコラムもいくつか担当することになりましたので、裁縫やちょっとした工作など、入門レベルの物からお仕事の合間に作っています。

 その作品について感想を述べたり、その界隈での初心者である私なりの考え方や作り方、練習法などをこまめにメモを取りながらの作業は中々進みませんが、例え拙くとも、形作られたそれらにはとても愛着が湧いています。

 中にはプロデューサーの好意で事務所にちょこんと置かせてもらっていたり。
 作業中でも他のアイドルの方から話しかけてもらったり、好意で手伝ってもらったりと、一種のコミュニケーションツールとなっているような気がします。

 ふふ、仕事なのに何だか楽しんでいる私です。


 そう思えるのも、きっとプロデューサーのおかげです。
 こんなことを思っちゃいけないと信じていた…そんなふざけた環境から救い出したその手は、決して綺麗ではないらしいですけど――とっても、暖かかったです。


 もしも私が本当に大人になったら、アイドルで輝く傍ら、楽しい世界を作るためのお手伝いをしたいとも考えています。

 その時は、プロデューサーが隣にいてくれると嬉しいです。



201: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:14:40.25 ID:Ia/qbI4ho


ちひろ「……複雑ですね」

P「千秋同様すんなりとはいきませんでしたけど……間違ったことはしてないと今でも俺は思ってますよ」

ちひろ「当然です。間違ってはいませんよ、プロデューサーさんは」

P「まあ…なんですか、あの時は俺も若かったということで」ハハ

ちひろ「まだそんなに時間経ってませんよ。別に恥ずかしがる必要はないんです」

P「そう言ってくださると苦労も報われますね。じゃあ返信っと…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 もしかしたら泰葉が喜んでくれるんじゃないかなと思って持ちかけた話だが、
実際に楽しんでくれて何よりだ。
 泰葉は器用だからな……俺もその技能を分けて欲しいぐらいだ。

 出来るなら紙で指を切らないぐらいには。


 そして、泰葉のアイドルに対する気持ちは俺も痛いほど理解している。
 だから俺は、この言葉を伝えておきたい。

 誰かを幸せにしたいなら、まずは自分自身が幸せになる事。
 誰かを楽しませたいなら、まずは自分が楽しく生活する事。


 当たり前のようだが、ここにいるとわからなくなってくるからな。
 それは泰葉もよく知っているとは思うが……忘れないでくれ。

 将来泰葉がどういう所に進むのかは誰にもわからないから、可能性は無くさないように。
 俺はアイドルとしても、人としても泰葉の夢を応援するぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「楽しい世界を作る…とは、どういうことなのでしょうか?」

P「それは泰葉だけが知っていることですよ。今まで感じたことを踏まえて自分がどうしていくか。一生懸命考えている所でしょう」

ちひろ「……複雑ですね」

P「…そういう世界ですから」



204: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:18:01.12 ID:Ia/qbI4ho


 ・ ・ ・

 ――美優の日記、その後

 [事務所]

P「只今戻りましたー」

ちひろ「おかえりなさい、プロデューサーさん。どうでした?」

P「オーケーもらえました。あとはまた今度打ち合わせです」

ちひろ「よかったです。…今日はこれからどうしますか?」

P「今日の仕事はもう終わりましたし、年少組の送迎の時間まで休憩もらってもいいですか?」

ちひろ「いいですよ、お疲れ様です」ニコ

P「はい、ありがとうございます。……とりあえず休憩室でジュースでも飲むか」スタスタ


 ガチャ


美優「…あら、Pさん?」

P「お、美優さんも居ましたか」

美優「はい、今日の仕事が終わったので、少し休憩をと思いまして…」

P「なるほど、じゃあ俺と同じですね」

美優「Pさんも…今日のお仕事は終わりなんですか?」

P「いや…まあ、送迎もあるんで一応残っては居ますけどね」ハハ

美優「あ、子供のでしょうか」

P「ええ。年少組に関しては特に注意しないといけませんからね」

美優「その通りです。……でも、そういう事をいうPさんは、なんだか父親みたいです」クス

P「美優さんもそれを言っちゃいますか……俺ってそんなに老けて見えます?」

美優「い、いえ……そういう訳じゃないんです」



205: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:20:11.34 ID:Ia/qbI4ho


美優「頑張って仕事して…、大人とも付き合って、子供たちに一杯愛情を注いで。…今はそんなことすら出来ない父親も増えているのに、Pさんはすごく立派だな…と思うんです」

P「まだわが子の顔すら見たことのない、仕事しかできないつまらない男ですよ」ハハ

美優「もしPさんがそうなら…そんな目はできません。…とっても優しい、温かい目」

P「……何だか照れますね。そうまっすぐに言われると」

美優「へ……あ……あの、ご、ごめんなさい…私ったら」アタフタ

P「いやいや、嬉しいですよ。失礼な話ですが、美優さんと話していると自分が子供になった気になります」

美優「……私は母親、でしょうか?」

P「少なくとも年少組達は優しいお姉さんと思ってくれていますよ。いつも余計な仕事を押し付けてすみません」

美優「それは…私も楽しいですから。子供の笑顔は、何よりも大切です」

P「わかります。でも、それは美優さんも同じですよ」

美優「私…も、ですか?」

P「当然です。だってあなたはアイドルですから」

美優「…アイドル。私、アイドル…なんですよね」クス

P「え、そう思ってなかったんですか?」

美優「茶化さないで下さい、もうっ…ふふ」

P「いい笑顔です。それでこそ美優さんですね」

美優「ありがとうございます、Pさん――あ……もしよかったらなんですが」

P「どうしました?」

美優「子供になったついでに、膝枕……どうでしょうか?」ニコ

P「……ええと」ポク

P「……」ポク

P「…流石に大人がそうする訳にはいきませんよ、美優さん…」チーン

美優「…ひゃ、あ、で、ですよね……!」////

P「はは…気持ちだけありがたく頂戴しますね」

美優「わ、忘れて…くださいぃ!」アセアセ

 [おわり]



207: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:25:07.70 ID:Ia/qbI4ho


 ・ ・ ・

 ――千秋の日記、その後

 [事務所]

 ガチャ

千秋「おはよう。Pさんはいる?」

P「千秋か、おはよう。何か用か?」

千秋「アナタの返信を見たわ。…お祭りに興味があるって何の話かしら?」

P「ああ、その事か。ちょっと待ってろ」ガララッ

 パサ、パサ…

P「あった、これだ。もし興味があるならこれをやってみないかと思ってな」ハイ

千秋「……お祭りライブバトル?」ピラ

P「そうだ。和対洋で陣営を作って祭りの会場でライブバトルをするんだ」

千秋「なるほど、なら私は洋の陣営かしら?」

P「そう。それで前に翠とコンビを組んだだろ? あれで行こうと思ってな。行けるか?」

千秋「…私に出来ないことはないわ。勿論やってみせる」

P「……何か不満そうだな」

千秋「べ、別に何も不満なんて無いわ。アナタの言うことならまず間違いはないもの」アセアセ

P「……」

千秋「……何よ」

P「…もしかして普通に祭りに行きたかった?」

千秋「っ!?」ビクッ

P「お、その反応は図星か」

千秋「ちがっ…違うわよ! ただ仕事に意気込んでただけ!」

P「…そうかー、ライブ終ってから時間があるから一緒に祭り行こうと思ってたんだけどな……」

千秋「えっ…」ピクッ

P「……」ニヤニヤ

千秋「……卑怯者ね、アナタって人は」フイッ

P「言われ慣れてるよ」クス

 [おわり]


208: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:29:28.71 ID:Ia/qbI4ho


 ・ ・ ・

 ――泰葉の日記、その後

 [事務所]

唯「ねーねー、こっちはどうなってんの?」ヒョイ

泰葉「ああっ、それはまだ動かしちゃだめなの。乾いてないから…」

唯「そーなんだ、ごめんごめん☆」

泰葉「もう…こっちなら触っていいからね」

P「唯ー、あんまり泰葉の邪魔するんじゃないぞー」

唯「なに言ってんのさPちゃん! ゆいはザキオカちゃんのお手伝いをしてるんだから」

泰葉「ざ、ざきおか…」

P「こーら、先輩に勝手にアダ名を作るんじゃない」スタスタ

唯「えー、だって仲良くなりたいじゃーん! ゆいは泰葉ちゃんのことそんけーしてるしねっ」

泰葉「なか…く――いや、尊敬なんて…」

唯「ううん。ゆいはわかんないけどさ、泰葉ちゃん、今までずっと頑張り続けてきたんっしょ? それって超すごーな事だって!」

泰葉「…そうかな」

P「こら、テンション上げすぎだ」コツン

唯「あいたっ…ちょっとー、ゆいの頭にたんこぶできたらどうすんのさー!」プンスコ

P「その時は埋め込んでやるから安心しろ」

唯「なら許しちゃうっ☆」

泰葉「……ふふ」ボソ

唯「んん、今笑った? 笑ったよね? にゃはー、ザキオカ先輩の笑顔げっちゅー☆」

P「だからその名は使うなっての」

唯「うーん、じゃあ名前考えとくねー。じゃあバイバイっ」ビューン

P「……悪いな、泰葉」

泰葉「いえ、いいんです。ふふ」



209: 最後の唯の台詞、二回目じゃあ要らないね… ◆VVUrtNVNRY 2013/08/07(水) 22:32:33.43 ID:Ia/qbI4ho


P「唯にも困ったもんだ…」

泰葉「ああいう子でもきちんと仕事ができるんですから、羨ましいです」

P「……泰葉は唯みたいになりたいのか?」

泰葉「それは……ちょっと恥ずかしいです」

P「でもやってみたらクセになるかもしれないぞ?」

泰葉「……Pちゃん、げ、げんきー?」

P「……」

泰葉「……」

P「…ぷ、くくっ」

泰葉「わ、笑わないでくださいっ……! せっかく勇気を振り絞ったのに…っ」

P「いやー、悪い悪い。ギャップと可愛さでつい笑ってしまったよ」

泰葉「もう…」

P「でもさ、こうやってふざけあえるような関係…作りたいんだろ?」

泰葉「…出来るなら」

P「出来るさ。今の泰葉ならな」

泰葉「……ちょっと唯ちゃんの所に行ってきます」スタスタ

P「おう、行ってらっしゃい」

 ユイチャン、イッショニ…
        エー、ユイニデキンノ?



P「…楽しい世界、か」

 [おわり]

228: >>227ループは勘弁です>< ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 21:54:01.28 ID:0aFO2mRXo


 ・ ・ ・

 ――ある日の事務所

P「全く、これから秋になるだなんて信じられないぐらい暑いですよね」カタカタ

ちひろ「ええ…もう話題がループする程度には」カタカタ

P「いやまあ…それはわかってるんですけど、どうもこう、やるせなくなるんですよ」カチカチ

ちひろ「でもプロデューサーさん、冬になったら寒すぎて死ぬって言うじゃないですか」

P「当然じゃないですか。あの寒さは対人間には絶好の相性を誇ってますって」カチ

ちひろ「…春と秋は?」

P「春は新入生が眩しくて辛いし、秋は寒さを予感して辛いです…」フイッ

ちひろ「何馬鹿なこと言ってるんですか…」ハァ

P「前振りはさておき、日記でも見ますか」

ちひろ「前振りというか、前後に全く因果関係が見出だせないんですけど…」

P「え? ああ、ついさっき作業が終わったので」

ちひろ(手が止まってると思ったら、終わっていたのか…)ガーン

P「というわけで今回は誰が書いているのかな、と――」ペラ



230: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 21:58:24.60 ID:0aFO2mRXo


 ヘレンよ。

 私に不釣り合いなこの事務所で仕方なく身を休めていたら、隣に居た里美がこれを渡してきたわ。
 訊いても何も言わないから読んでみたら…下らないわね。


 全くなっていないというものよ。

 読み込ませる技術、間のとり方、文法、修飾数、どれをとっても物足りない。
 それで日本ではなく世界でライブツアーなどと言っているのだから、情けないとしか思えないわ。
 これだからいつまでも殻を抜けだせずにいる。世界レベルの私から見たら、もどかしいとしか思えないわね。


 一体里美が何のためにこれを渡したのかは知らないけど、見てしまったものは仕方がない。
 例え私でも分身はできないのだから、事務所に力をわけてあげる。…当然でしょう?



 結果的に私は束の間の休息を事務所に居たアイドル達に使ってやったわ。
 全く、最近の子は国語力が落ちていてアイドルとして分不相応ね。

 だから偶然持ち合わせていた日本語の技法書を渡してみっちり教えてやったの。
 わかんなーい、とか、それぐらい知ってます、とか言ってたけど、卓越した技量を持つ私にそんな言い訳は通用しない。

 およそ30分ぐらいかしらね、その頃には四字熟語でクイズを出せるぐらいには進歩したわ。
 私の手にかかればこんなもの。Pはもっと私を尊敬するべきね。


 今度はもっと多くのアイドルに教えるべきかしら。
 そのためには、難易度を下げた教科書が必要よね。


 覚悟してなさい。
 遥か高みにいる私の国語力を見せてあげる。



231: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:00:18.96 ID:0aFO2mRXo


P「……ヘレンは国語教師だったのか?」

ちひろ「いや、そんな話は聞いてませんけど…というか、ヘレンさんは大人組なのに呼び捨てなんですね」

P「最初は普通に敬称で言っていたんですが、仕事に慣れてくると呼び捨てにしろと言われまして」

ちひろ「へえ、そうなんですか?」

P「ええ。『私が宇宙に行くのに、あなたが下では務まらないわ』といって」

ちひろ(……どういう意味なんだろう)

P「そもそも彼女の出身すらわからないなんてどういう管理体制してるんですか、この事務所は…」

ちひろ「私に言われてもわかりませんよ! ある日突然事務所に居着いたんですから!」

P「えっ」

ちひろ「『ふさわしくないわね。見極めさせてもらうわ』なんて言って勝手に所属を決めたので、仕方なく履歴書は後で書いてもらいました」

P(その結果がこのプロフィールなのか…)

ちひろ「…まあ、実際仕事をしてみてプロデューサーさんも解ったと思いますが、実力はあるんですよね」

P「ええ、あるんですよね。不思議なぐらいに」

ちひろ「……この際訊いて見ませんか?」

P「…いや、蛇を出したくないので止めておきます」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 日記を書いてくれてありがとう。
 里美がお前に渡したという事だが、きっと里美なりに近づこうとした結果なんだと思うぞ。

 どちらかと言えばヘレンは遠くを見すぎて足元が見えていない部分があるからな。
 今回の事で事務所の人間のことも少しは知ってくれると助かる。

 あと、事務所のアイドル達を舐めてもらっちゃ困る。
 試したいなら、乃々に勝負を仕掛けてみるといい。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「…あの、思ったんですが」

P「何をですか?」

ちひろ「ヘレンさんって……意外と世話好きですよね」

P「わかっているのかわかっていないのかはさておき、その気はあります、きっと」ペラ



233: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:02:02.94 ID:0aFO2mRXo


 ○月◆日

 ごきげんよう。
 このページは私、相原雪乃が務めさせていただきますわ。

 せっかくですので前例に倣い、私の好きなものの話をしようと思います。


 最近…と言うには少し古いお話ですが、事務所の中で紅茶を飲む方が増えてきて、私としても喜ばしいことです。

 純粋な水分摂取としての一面をもちながらも、その日その時の体調や気分によって適切な紅茶があり、千差万別の味と共に新たな世界を開いてくれる、そんな意味が紅茶にはあると思います。


 近頃は桃華ちゃんとお付き合いして、ささやかなティータイムを楽しんでいます。

 改めて思いますが、桃華ちゃんは凄いですね。

 流石趣味と公言するだけのことはあります、と思うほどに、単純に紅茶だけでなく、お菓子や容器など、それらを組み合わせた一体の『ティータイム』に造詣が深いのです。


 残念ながら、私は紅茶に関しては自信がありますが、その他の要素にはそこまで強くはありませんの。

 お互い仕事で忙しくはありますが、時間を見つけては色々知識を交換しあっています。



 いつか、事務所のみなさんと共に素敵なティータイムを送れたらいいですね。
 そのためにも、お仕事を一生懸命こなして……あと、お菓子をもっと上手く作れるようになりたいですわ。

 その時は、是非Pさんもご一緒に。


 …ふふ、こうして日記を書いているともっと頑張れそうな気がしますわ。



234: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:04:42.12 ID:0aFO2mRXo


ちひろ「プロデューサーさんって紅茶は好きですか?」

P「うーん…美味しいんですけど、あまり日常的には飲まないですね。ついついお茶を飲んでしまいます」

ちひろ「確かに、普段お茶を飲んでいると、そっちで済ませちゃいますよね。かくいう私も、紅茶はペットボトルぐらいですから」

P「そういう立場の人間としては、こうやって紅茶に詳しい人は教養が高いというか、西洋的で気高く見えます…というか、正直俺は飲み物にそこまで求めていないので…」

ちひろ「……まあ、男性はそういう人も多いですよね」

P「だからこそ、雪乃や桃華が誘ってくれると結構嬉しいんですよね。未知の世界というか、新たな領域というか」

ちひろ「雪乃ちゃんもそう書いてますしね。それを言ったら喜んでくれますよ」

P「そうですかね。俺も少しは勉強した方がいいのかなあ…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 紅茶はびっくりするぐらいたくさんの味があるよな。
 普段お茶の中でも適当に飲む俺には驚きばかりだよ。

 やっぱり雪乃としては桃華と気が合うみたいだな。

 年齢もプロデュース方針もお互い違うが、今度セットで売り込んでみるのも悪く無いか。


 最近は事務所の中で楽しむ時間を作れなくて悪いな。
 俺も雪乃と一緒に紅茶を飲むのが楽しいと思ってるから、誘ってくれると嬉しいぞ。


 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「そんな時間取れるんですか? 最近ずっと忙しいのが続いてますけど」

P「とりますよ。雪乃のためですから」

ちひろ(そのために貴重な休日を使うプロデューサーさんは、やっぱり天職なんじゃないかと思います)

P「俺にとっても楽しいですからね、雪乃との時間は。じゃあ次に行きましょうか――」ペラ


235: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:07:43.86 ID:0aFO2mRXo


 ○月◆日
              道明寺歌鈴
 アイドルなんて無理!
 そう思っている間にかなりの時間がたってしまって、もうわたしには何がなんだかわからなくなってます。

 いつの間にかPさんにのせられて…いや、こういう言い方はよくないですよね。
 こんなわたしのためにいっぱい時間を使ってくれて、本当にありがとうございます。


 これを、直接Pさんに言えたらいいんですけど……すみません、わたしには言えそうにはありません。
 なので、せめてこの日記を使って言えたらいいなと思います。


 わたし、ずっと昔からこんな調子で、子供の時からみんなに迷惑をかけて、今でも事務所のみんなやPさんに迷惑をかけてごめんなさい。
 仕事、失敗して、向こうの人に怒られた時、Pさんはわたしよりもずっと深く謝ってくれました。

 Pさんは、どうしてわたしをアイドルなんかにしたんでしょうか。
 気持ちに応えたいのに、ずっと迷惑ばかりかけてしまって、辛いです。


 で、でも、別にアイドルが嫌になった訳じゃないんです!
 こんなわたしでも、テレビの前でしっかりお仕事できるようになったのはアイドルになったおかげですし、Pさんが私をこの世界に導いてくれたおかげなんです!

 お母さんにも、大人になったね、と言ってくれました。
 Pさんがいなければ、わたしはずっとこのままだったのかもしれないと思うと、それも辛いです。

 今でも失敗はするし、台詞も噛むし…まだまだ治る気配はないですけど、Pさんと出会えてよかったと思ってます。
 だから、わたしはPさ /  .   、 ・ 。


 すみません、最後消しゴムが……うう、どうしてこうなんだろう。



236: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:11:50.27 ID:0aFO2mRXo


ちひろ「わざとじゃない分、歌鈴ちゃんも辛い部分もあったでしょうね」

P「本人がどうであろうと、周りには結果しか映りませんから。そんな姿を見てると、彼女には本当の楽しさを知って貰いたい、そう思います」ウンウン

ちひろ「…でも、それじゃ巫女姿のまま事務所に連れてきた理由にはなってませんよ」

P「う」ギクッ

ちひろ「普通に私服でこればいいのに、私に連絡もせずいきなり巫女装束の歌鈴ちゃんが来るもんだから、あの時はかなり驚きましたよ…」ハァ

P「…実は、スカウトして、ご両親にお話したらトントン拍子に話が進んじゃって、そのまま彼女の家を追い出されたんです」

ちひろ「……何となく歌鈴ちゃんのご両親の気持ちが想像出来ます」

P「その巫女姿のまま町中を歩くわけにも行きませんでしたから、とりあえず新幹線とタクシーで来たんですよ――」カキカキ

ちひろ(道中で服を買えばいいのに、というのは言わないでおこう)コクリ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 先に言っておくが、俺達は、お前を迷惑だなんて思ったことは一度もない。
 疑うなら、他のアイドルに訊いたっていい。全員が同じ事を答えてくれるだろう。

 それは、みんなで支え合うからだ。
 自覚してるにしろ、してないにしろ、人にはそれぞれ必ず欠点がある。

 それが歌鈴にとってはおっちょこちょいだったというだけに過ぎない。
 お前も知っているように、ウチには仕事に行きたがらない人や机の下に引きこもる人、酒と手がくっついている人だっているんだぞ。

 それでも嫌悪感無く接することが出来るのは、その人に長所があるからだ。

 だから歌鈴も、欠点だけ見るんじゃなくて、他の場所にある長所に目を向けてやれ。
 それができれば、噛むやらこけるやらなんて、些細な問題になってしまうから。


 あと、消しゴムは事務所の窓際の棚にあるから、今度からそれを使うといいぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「ところで、最後の消し忘れた所、歌鈴ちゃんは何て書こうとしたんですかね?」

P「歌鈴は俺…がどうなのか、黒ずんだりくしゃくしゃになったりでわかりませんね…」

ちひろ「ううむ、気になります…」

P「訊いてはいけませんよ。でなきゃ消しゴムは必要ありませんから」



237: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:14:02.95 ID:0aFO2mRXo


 ・ ・ ・

 ――ヘレンの日記、その後

 [事務所、昼前]

 ガチャ

P「よし、送迎おわり…昼飯にしよ――って、ヘレン?」

ヘレン「……P。この国にも世界レベルはいたのね」

P「お、おう…一体どうした」ジリ…

ヘレン「乃々、あの見かけから繰り出される言葉の糸は無残にも私の足を絡めてしまったわ…」

P(ああ、日記読んで勝負を仕掛けたのか)

P「…つまり、負けたのか?」

ヘレン「負けてはいないわ。ただ、新たなステージに彼女は足を踏み入れていた。それだけのことよ」

P(……それで乃々のポエム力を垣間見てしまったのか。意外と乙女だからな、アイツ)

P「で、どうするんだ。そのままその場にいるつもりか?」

ヘレン「馬鹿を言わないで。私はトップに立つ者よ、こんな所で止まっているのは無意味だわ。…私にとっても、あなたにとってもね」

P「…それならよかった。――って、ヘレンは何の本を読んでるんだ?」

ヘレン「これは階段。遥か高みへと私の足を支えてくれる、大きな階段よ」ビシッ

P「……何やらピンク色の表紙に少女チックなタイトルが記載されているのですが」

ヘレン「敵を知り己を知れば百戦危うからず。あなたも落ちたわね、大丈夫かしら? そうだ、あなたもこれを読みなさい。これから共に立ち向かう者として、怠惰は許されないわ」ハイ

P「あ、はい……わかりました」ストン


 チッ、チッ、チッ、チッ…


ヘレン「……」パラ

P「……」パラ

ヘレン「……」ニヤ

P「……ヘレン、正直漫画楽しんでるだろ」

ヘレン「…そんなことはないわ」

 [おわり]



238: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:15:50.93 ID:0aFO2mRXo


 ・ ・ ・

 ――雪乃の日記、その後


 [スタジオからの帰り、車の中]

 ブロロロロ…

P「今日もお疲れ様。いい仕事だったぞ」

雪乃「ありがとうございます。Pさんのおかげですわ」

P「いやいや。…雪乃、休憩中にスタッフに紅茶をお菓子を配ってただろ? あれ、向こう方にかなり好評だったぞ」

雪乃「まあ、本当ですか?」

P「ああ、次も是非使いたいって言ってくれる程にはな。よくやってくれたよ」

雪乃「それは、紅茶の美味しさがあったからこそですわ。語りきれない魅力がありますから」ニコ

P「それもあるが…一番は、雪乃が準備したからこそ、だぞ?」

雪乃「私が…ですか?」キョトン

P「そうだ。作ったものは、作った人の気持ちや思いが入り込む。みんなに気分よく仕事をして欲しい、疲れをとってあげたい、そんな雪乃の優しさが、紅茶に甘い香りを付けてくれたんだろう」

雪乃「……上手いことをいいますのね、Pさんは。…ふふ、もっと好きになりましたわ」

P「はは、俺も疲れた時にはお茶じゃなくて雪乃に紅茶を入れてもらおうかな」

雪乃「はい…Pさんのためとあらば、いつでもおいしい紅茶を差し上げますから」ニコ

P「そう言ってくれると嬉しいな。じゃあ…疲れてないなら、事務所に帰った時にでもお願いできるか?」

雪乃「勿論ですわ。Pさんのために、最高の物をご用意します」

P「…香りは付いてたり?」クス

雪乃「はい、特別な香りを一つ。…ふふ」

 [おわり]



239: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:18:18.62 ID:0aFO2mRXo


 ・ ・ ・

 ――歌鈴の日記、その後

 [事務所]


歌鈴「ううぅ……Pさん…ごめんなさいぃ」グス

P「気にするなよ。たまたま地面に大きな石があっただけじゃないか」

歌鈴「でも…それで共演者さんにぶつかっちゃって……」

P「ちゃんと後で謝って許してもらっただろ? 大丈夫、誰でもよくあることだ」ポンポン

歌鈴「本当にごめんなさい…ずっと迷惑をかけて……」

P「気負い過ぎだって。そんなに気にするなよ」

歌鈴「わたし、どうしてこうなんでしょう……。すみません、ちょっと外で気分転換してきま――ひゃっ」ガタッ

P「おい、あぶな――」

歌鈴「わっと、わ、わ、あ、ひゃああああ――」ズルッ

 バシッ!

あい「……急ぐのは危険だよ、歌鈴君?」グイ

歌鈴「うう…ありがとうございますぅ…」

P「すみません、あいさん。俺が居たのに」

あい「いや、気にすることはないよ。偶然私が入ってきただけだからね」

歌鈴「また…またやっちゃいました…あうぅ」グス

あい(……)

あい「……Pくん。すまないが、日記を持ってきてくれるかい? あと歌鈴君はソファで休むといい」ポツリ

P「え、日記ですか? …わかりました、持ってきます」ガタッ

歌鈴「はいぃ…」



240: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:19:13.02 ID:0aFO2mRXo


 スタスタ…パサッ

P「どうぞ。…でも、一体どうして日記を?」

あい「せっかくいい言葉を書いているのに、Pくん自身が忘れているとは、やれやれ」パラ

P「俺の言葉…って、あぁ!」ポン

歌鈴「ど、どういうことですか?」オドオド

あい「ん、まだPくんの返信を見てないのかい? だったら…このページか。これを読むといい」ハイ

 シーン…

歌鈴「……みんなで、支えあう」ボソ

あい「そうだ。……尤も、それを書いた本人は忘れていたのだがな」

P「面目ない…」ハハ

歌鈴「で、でも! わたし、誰かのためにできたことなんて――」

P「…あー、歌鈴が来てから、事務所が綺麗だよなー」

歌鈴「え?」キョトン

P「少し物が多くて掃除も大変だったけど、最近は皆も予め片付けてくれて楽になったなー」

歌鈴「…ど、どういうことですか?」オドオド

あい「……フッ、Pくんにはどうやら演技の才能はないらしいな」クス

P「才が無いのは自覚してますってば。……歌鈴、お前が来た当初よりも、今の事務所って小奇麗だと思わないか?」

歌鈴「そ、そうでしょうか? わたしには、いつもこんな感じかと…」

あい「歌鈴君、君はよく転ぶ。その度に君は散らかした物を片付けていただろう」

歌鈴「は、はいぃ、わたしのせいですから、片付けないと…」

P「実を言うとな、以前の事務所はアイドルの私物が結構散乱していたんだよ。散らかさないいい子達ばかりではあるんだが、これだけ人数が多いと一人あたりの私物が少なくても結果的に結構な量になってな…」

あい「私も大掃除には手伝っているが、確かに大変だったよ、あれは」

P「だが歌鈴が来るようになってから、転んで何かにぶつかって歌鈴が大きな怪我をしないよう、皆が私物を持ち込まないよう気をつけるようになったんだ」

歌鈴「…それは、わたしに気を遣ってくれたから」

P「確かにそうかもしれない。だが、歌鈴が居なければ、今のような事務所にはなっていなかったのも事実だ」

歌鈴「そう、ですけど…」



241: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/08(木) 22:22:04.88 ID:0aFO2mRXo


あい「人は、必ず互いに影響しあう。…君はPくんが居ることでアイドルになることができ、Pくんのおかげで楽しく仕事がやれるようになったのだろう?」

歌鈴「は、はい! もし誘ってくれたのがPさんじゃなかったら、き、きっとアイドル続けられなかったと思います!」

P「…はは、プロデューサー冥利に尽きるな」ポリ

あい「それと同じだよ。君がいることで、事務所の皆がそれぞれ気をつけるようになった。…これは間違いなく、君のおかげなんだ」

歌鈴「わたしの、おかげ…」

あい「要は、自分の欠点を欠点として固執するな、ということだよ。どんなものであれ、他者に良い影響を与えたのなら、それは立派な長所になる」

P「歌鈴だけが持っているものに、悲観する必要も、嫌悪する必要もないんだぞ。皆、今のお前が好きなんだ。自分がその自分を嫌いでどうする」

歌鈴「……それでも、それでも、せめて普通に仕事できるぐらいには…直したいです」

P「だったら俺を頼れ、皆を頼れ。一つづつ、歌鈴の可愛さを失わないように、ゆっくり直していこう」

あい「私も手伝うよ。歌鈴のためだからね」コクリ

歌鈴「…頼っても……いいんですか? わたし、全然治らなくて――」

あい「愚問だね。…Pくん、歌鈴のスケジュールはどうなっている?」

P「今日の仕事はもうないぞ。あとレッスン場も鍵は空いてるはずだ」

あい「という訳だ。…どうだい、君のために喜んで手伝える人はここに居るんだよ」

歌鈴「……Pさん、あいさん……あ、ありがとうございますぅ!」

P「昔からのものを、今から直すのは難しいだろうが、諦めず、根気強くな。元気に行こう」

あい「そうだね。無理はしなくていいから、一つづつこなしていこうじゃないか」

歌鈴「――は、はい! わたし、頑張ります!」

 [おわり]

268: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:18:02.41 ID:hIrLajbxo


 ――ある日の事務所


ちひろ「……はぁ」ズーン

P「どうしたんですか? そんなため息を吐いて…」

ちひろ「これですよ、これ」ピラ

P「これって…先月の電気料金ですか」

ちひろ「はい…この数字を見てると気が遠く」

P(なら見なければいいのに…)

P「事務所の稼働時間も増えて、更に今年は去年よりも暑いですから…まあ必要なコストかと」

ちひろ「それはそうなんですけどねー…家に居るなら無理矢理にでも節約するのに、こう使っていると家に帰りたくなくなるんです…」

P「…実質タダですからね、個人負担としては」

ちひろ「そういうことです」キリッ

P「というか我慢は止めましょうよ、今年は洒落にならないですから」

ちひろ「扇風機も案外涼しいんですよ?」

P「それは知ってますって。ウチならエアコン普通に使ってますし、なんならウチに住みます――」ハハ

ちひろ「は、はいっ!」

P「か、なーんて……」

ちひろ「……」

P「……」

ちひろ「に、日記を見ましょう! 頭を動かさないと鈍ってしまいますよ!」バタバタ

P「そ、そうですね! 気分転換のためにも見ましょう、見ましょう!」ガタ! パラッ!



269: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:20:06.02 ID:hIrLajbxo


 ○月▼日

 どもっす!
 吉岡沙紀っすよ!


 伊吹に渡されて(本人書いてないのにね)そのまま書こうと思ったんすけど…みんな、アイドルなりたての頃の思い出話とか好きなものの話とか、楽しそうにかいてるっすよね!

 そういえばアタシも日課のグラフィティを書いてる時に訳の分からない変な男にナンパされたんすよねえ。

 はは、今考えても変な顔してたっすよ、Pさん!

 それでま、本物だと知ってアイドルになって、グラフィティに拘らない表現を知って、今は本当に楽しいっすね。
 アタシはただ自分を表現したかったんだ、ってのがわかったっす。
 グラフィティやってたところはそれしか見えてなかったっすから…それがまさかアイドルになるとは思ってなかったっすけど、Pさんには感謝っすね。


 あ、かといってグラフィティを引退したわけじゃないっす。
 厳密に言えば違うのかもしれないっすけど、今はアーティストとしてテレビで実演することもあるっすから。

 最近やったことといえば、寮の壁面にデザインしたことっすかね。
 寮の一部分にうちのプロっぽい何かを見出したいってーことで、仲間達で描きまくったっす。
 中でも凄かったので比奈っすね!

「いや、アタシは紙の上専門っスから…」とか言ってたっすけど、一度ブラシを握ればアーティストって感じで、ガシガシ描いていってたっす!
 他にも蘭子や由愛なんかも綺麗に描けてたっすね。まあ、アタシとは畑違いな感じもするんだけど。

 それでできあがった壁はもうサイッコー!
 やっぱり思いっきり、思う存分描けるってイイっすね!

 確かあの時はPさんは仕事で来てなかったっすよね?
 よかったらPさんも何か描くといいっすよ!



270: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:23:29.95 ID:hIrLajbxo


ちひろ「プロデューサーさんは完成品見ました?」

P「見ましたよ。皆が好き放題描いてるのか、部分部分で結構描き方が違って面白かったですね」

ちひろ「地味な壁面にあんな派手な物を描く事を提案する人も中々いませんけどね」クス

P「そういえば元々は誰の提案だったんですか?」

ちひろ「ニュージェネレーション、ニューウェーブの面子ですね。ばらばらだから、何か形が欲しい、と言ってました」

P「ああ、なるほど…。これだけ人数がいると一体感は薄くなりますからね」

ちひろ「親睦会としても楽しめたらしいですけど。プロデューサーさんは書かないんですか?」

P「そうですね、また時間があった時にでも――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 沙紀はいつも元気でいい事だ。

 確かにあの時の俺は緊張もあってか変な顔をしていたかもな…でも、本気だったんだぞ?

 表現する楽しさをしっているからこそ、君にアイドルになって欲しかったんだ。
 それを沙紀が答えてくれて嬉しいよ。


 寮の壁、あれは中々の傑作だったな。
 皆の気持ちが詰まっていて見てる方も楽しくなれたよ。
 その場に立ち会えなかったのは残念だったけどな。

 だから、俺も次休みに寮に行く時があれば是非隅の方にでも描かせてもらおうかな。

 ……正直に言うと、絵なんてほとんど描いたことが無いから、腕に不安なんだが。
 まあ、楽しめればいい、ってことだよな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「…そういえば、スカウトした時の変な顔って――」

P「…訊かないで下さい」パラ

ちひろ(何かやらかしたんですね…)



271: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:24:44.74 ID:hIrLajbxo


 ○月▼日。

 天候は晴れに等しく、雨は久しく降らず。
 空、澄み渡りて海のごとし。


 …なんて、仰々しく書いてみました。


 こんにちは。藤原肇と申します。

 一度自己紹介すれば大丈夫なのですが、やはり肇という字は一般的に見慣れないので初見では読むのは難しいだろうと思います。
 私でさえ、綺麗に漢字を書くのに相当な時間を要しましたから。


 …私がアイドルとなって、もうかなりの時間が経ちました。
 当初といえば、家を飛び出すかの如くこの世界に入ったのですが、今では祖父にも認められ、かつての危機感、反抗心もなく、楽しく仕事ができています。

 この度は、あんな私を認めてアイドルとしてプロデュースしてくださって、ありがとうございました。
 まだ精進する身ではありますが、改めてお礼を申し上げます。
 もしもPさんに認めてもらえていなかったら、きっと私の中に燻る思いを吐き出せないまま、情けない心で陶芸に触れていたことでしょう。

 こうして挑戦し、思いの限りを尽くして生きているこそ、私の手から生まれる作品も生き生きとしているのだと思います。

 実際、実家に帰ってから作品を完成させ、それを祖父に見せると随分と嬉しそうな顔をしていますから。
 ……まあ、これは祖父にとって陶芸と関係ない部分もあるのかもしれませんが。


 ああ、そうだ。
 もう一つ、Pさんにお礼です。

 作品展の開催の企画、ありがとうございます。

 私の住む岡山で、祖父と共に作品を展示することができるだなんて、夢にも思いませんでした。
 …私がアイドルとして生きている限り、そんなことにはならないと決めつけていましたから。

 これもPさんの力なのですね。
 不可能を可能にする。形なきイメージを、この世に顕現できる。
 Pさんだけの、特別な力でしょう。


 祖父の作品と私の作品、アイドルとして、祖父の娘として作り上げた作品を多くの方に見てもらうため、現在、仕事の合間ではありますが、色々な物を作り上げています。

 完成した暁には、是非Pさんにも見て頂ければと思います。祖父も会いたがっていますしね。



272: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:26:26.81 ID:hIrLajbxo


P「…皆俺のことを凄いというが、本当に凄いのは彼女達自身なんだよな」

ちひろ「仕事も増えてみんな忙しいのに、自分のしたいこと、目標に向かっていつも走っていますからね」

P「無論、トップアイドルが目標な子もいますけど…明確な未来を見据えた子の瞳は、宝石よりも輝いています」

ちひろ「…まるでアイドルになることが面白く無いというような言い方ですね?」

P「邪推ですよ。……ただ、トップアイドルという地位を目標にするのは、思考停止に近いんじゃないか、というのが持論なだけです。勿論菜々を否定する訳じゃありませんが」

ちひろ「他の事務所の人に聞かれたら怒られそうな言葉です」

P「構いませんよ。アイドルという肩書きで輝くよりも、趣味や技術とか、人柄とかで、人として輝いたほうがその色は鮮やかなんじゃないかなあ、そう思うんです」

ちひろ「かといって趣味に没頭するようならアイドルは続けられませんけどね」

P「はは、それもそうですけどね。…アイドルを続ければ自然と視野が広くなる。それが高みを目指す子にとって一番の活性剤なんですよ」

ちひろ「流石沢山のアイドルを育て上げた名プロデューサー、言うことが違いますね」クス

P「凄い人間じゃないですよ。ただ道筋を示しているだけの人間ですから――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 肇がそういう文字を書くと、本当に職人のように思えるよ。
 いや、アイドルとしても、陶芸家としても、肇はもう職人なんだろう。

 最初の頃の切迫した肇の表情を思い出すと、時の流れを感じるな。
 こちらこそ、肇をプロデュースさせてくれてありがとう。


 展示の企画だが、無事に通って何よりだよ。
 今回は仕事ではなく、純粋なお前個人としての活動だから、体裁を気にする必要はないぞ。
 ただ有りのままの気持ちを陶芸に捧げてくれ。

 プロデューサーとしても、肇とともに歩く人としても、展示会を楽しみにしているよ。
 お祖父様ともお話しておきたいからな。

 制作、頑張れよ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「プロデューサーさんって、結婚してないんですか?」

P「いきなり何ですか…言うまでもなくずっと独り身ですよ」

ちひろ「い、いえ。なんでもないです。次に行きましょうか」

P「は、はあ…」パラ

ちひろ(その割に父性に溢れすぎている、だなんて言ったら怒られそうですね)



273: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:28:30.11 ID:hIrLajbxo


 超☆風紀日誌

 担当:冴島清美(プロダクション風紀委員会リーダー)


 どうもみなさん、規則正しい生活を送っていますか?

 最近、どいつもこいつも風紀のことだの露知らず、横暴に振る舞う者がとても増えています。
 学校でもそのような輩がおり、対策活動にはとても苦労をしましたね。

 ですが! そのかいもあって学校は無事平和になったのです!

 そして! 今私は超☆アイドルとしてこの世界の風紀を正しにきたのです!

 芸能界といえば悪の組織が氾濫する危ない世界…そんな場所に、いたいけな少女が生き生きと暮らせるはずもありません!
 だからこそ、私が来たことによって、立ち上がる時なのです!


 そのためには、この世界について知ることが大切です。
 なので、最初はこの事務所の風紀を守ろう…としたのですが、どうやらここは風紀が適切に守られており、私の出番はあまりなさそうです。

 それは、ひとえに名誉風紀委員ことプロデューサーの手腕、そしてその補佐である千川ちひろ風紀補佐官のおかげなのでしょう。
 少女を悪から守り、風紀を守る良き人間として育て上げたからこそ、この事務所は平和なのです。

 ああ、風紀が守られた空間は美しい。
 そしてそれを守り続けるプロデューサーや千川さんの魂は、何と清いのでしょうか!


 くくく、このまま行けば私の風紀力が世界中に及ぶのも長くない話です。
 これからも素晴らしい風紀力の発揮、お願いしますね!



274: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:30:17.59 ID:hIrLajbxo


ちひろ「……この子をスカウトしたのはどうして何ですか?」

P「いやあ、こう…ティン、と来たんですよ、うん」メソラシ

ちひろ「風紀委員会がないのに独断で風紀維持活動をするアイドルってなんなんですか…」

P「いや、でもほら、彼女が居るおかげで事務所が綺麗になってるじゃないですか」

ちひろ「いや、清掃員をスカウトしても意味ないですよ…」

P「ふむ、清掃員か……アリだな」コクリ

ちひろ「ナシですっ!!」ビシッ

P「……まあ、ああは言ってますけど、皆が気持ちよく生活をできるような環境を作りたいという気持ちは本気ですし、かといってアイドルへの気持ちも充分ですから、彼女はこれから次第ですよ」

ちひろ「資質云々はさておき、たしかに気力にあふれてますもんね」

P「茜あたりと気が合いそうな感じもするが――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 はは、頑張ってるな。

 清く正しい生活は健康の基本だからな。
 風紀以前に、人として大切なことだから、これからも守ってくれよ。


 だが、この事務所が皆楽しくやれてるのは、何も俺達が頑張ったからじゃない。

 それぞれのアイドル達が皆いい子だから、相手の気持ちを知る子達だから、こうして
思いやりを持って活動ができるんだぞ。


 だから、清美も風紀という言葉に縛られちゃいけない。
 ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならないんだ。



 でも、いざ風紀が乱れた時には是非清美の力を借りたい所だな。
 勿論起きないことが一番だが…もしもの時には期待してるぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「……あの、思うんですが」

P「どうしました?」

ちひろ「正直、ウチで一番風紀を乱してるのはあの子だと思うんですが」アツミーン

P「……ええ、あの子ですね」アツミーン



275: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:33:27.43 ID:hIrLajbxo


 ・ ・ ・

 ――沙紀の日記、その後

 [寮、玄関前]

沙紀「さあさあ、これを持って下さいっす!」グイ

P「うわ…って、ブラシか」フリフリ

沙紀「Pさんが描きやすいように小さめのを用意したっす! 勿論アタシの使うスプレーでもいいっすけど、どっちがいい?」

P「いや、これでいいよ。素人がスプレー使っても汚くなるだけだしな」ハハ

沙紀「センスありそうっすけどねー、Pさん。まあいいや、あっちに色置いてますから好きなの描いて下さい!」

P「うーん、そうだな…」

沙紀「何でもいいんすよ。ハートの中にアートはあるんすから!」

P(ハートの中にアートか…じゃあ、俺らしく)

P「わかった。いくぞ――」グッ

 サッ、スス…、シュシュッ

P「…ふぅ。よし、こんなもんだな」ヌグイ

沙紀「おー、Pさんって英語も上手く描けるんすねー!」

P「なんか嫌な言い方だな……けど、ありがとう。沙紀のおかげで綺麗に描けたよ」

沙紀「ありがとっす…けど、ランウィズドリーム、アンドショウザブルーム…ってどういう意味っすか?」

P「こんなクサい台詞、柄じゃないが…まあ、頑張れよって意味だよ」ハハ

沙紀「へえー…Pさんはこういう時でもやっぱり真面目なんすね」

P「まあな。…というか、これぐらい読んでもらわないとアイドルとして駄目だぞ」

沙紀「…頑張ります」メソラシ

 [おわり]


次回 モバP「事務所でみんなの交換日記」 後編