モバP「事務所でみんなの交換日記」 前編

276: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:35:17.78 ID:hIrLajbxo


 ・ ・ ・

 ――肇の日記、その後

 [事務所、扉の前]

 カツ、カツ、カツ…

P「ふぅ、ただでさえ暑いのに階段登るのは地獄だな…早く事務所で涼もう――」

 ガチャ

P「ただいま――」

肇「ひゃあっ!?」ビクッ!

P「うおっ!? なんだ、どうした!?」

肇「あ、あー…Pさん。なんでもないです、すみません」ペコペコ

P「え? …まあ、なんでもないならいいが」トコトコ

肇「はい…あ、おかえりなさい、です」ウツムキ

P「ああ、ただいま…」

P(なんだろうな、あの驚きぶりは――って、ん?)ジー

P「…なあ肇、その背中にある箱ってなんなんだ!?」

肇「え、嘘、見えて…!?」ガサッ

P「……あー、すまん、見せたくないものだったら見せなくていいからな、うん」

肇(うう…勢いで持って来ちゃったけど…行くしかないですね)

肇「…ええと、すみません。これ、Pさんに見せたい物なんです」オズオズ

P「俺にか?」

肇「はい…これ、空けてみて下さい」ハイ

P「小さな木箱だが……と、これは湯のみか!」

肇「はい。以前にもお渡し事があるとは思うんですが、今の私を知って欲しくて…」

P「なんだ、そういうことか……悪いな。ありがとう、前のもまだあるけど、これも使わせてもらうよ」




引用元: モバP「事務所でみんなの交換日記」 


 

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277: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:36:37.18 ID:hIrLajbxo


肇「ありがとうございます。以前のも持ってくださってるんですね」

P「壊れないように大事に使ってるよ。……それで、この湯のみに書いている『情』ってなんなんだ?」

肇「それは…Pさんが情に溢れているからー、なんて…」

P「はは、なるほどな…肇にそう思ってくれて嬉しいよ。ありがとう」

肇「い、いえ! こちらこそいつもありがとうございます!」

P「これからもよろしくな。じゃあ俺は作業するから、また後でな」

肇「はい、頑張ってください」

 スタスタ

肇(…実はもう一つ作ってあるんです)

肇(そこに書かれている文字は……Pさんにはまだ、見せられません)

 [おわり]



278: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:39:31.73 ID:hIrLajbxo


 ・ ・ ・

 ――清美の日記、その後

 [静かな事務所]

愛海「んっはぁぁぁん…これは…これはぁ――最高級のおもちやでぇ…うひひ」

卯月「あっ、あつ…み…ちゃんっ、ここは事務所だから……やめっ」

愛海「だってちひろさんはどこかに行ったし、相棒ことプロデューサー兼登山家のPさんは居ないしでそこに居るのが卯月さんなら…これはもういくしかないじゃない☆」

卯月「うう…プロデューサーさぁん…助けてぇ…」グス

 バタン!

清美「何やらおかしな声がします!」キリッ

卯月「あ、清美ちゃん…!」

愛海「確か…未認可風紀委員の清美ちゃんだったっけ…」

清美「み、未認可ではありません! 超☆風紀委員です!」

愛海eye「…age15,76-58-78」キュィィィィン

愛海(ふむ…なるほど)

清美「悲しき叫びは正義への渇望! それは悪しき思いを挫くため! ――超☆風紀委員、冴島清美、ここに見参!」バーン

卯月(ポーズまで決めて…考えていたのかな)モマレ

清美「私が来たからにはもう大丈夫です、卯月さん! さあ愛海さん、その捻じ曲がった意思を悔い改めなさい!」

愛海(このままのさばらせるとあたしにとって不利になる…)

清美「さあ、人質を解放しなさい! 今なら大丈夫です! 超☆風紀委員の名のもとに、今なら減刑してあげます!」

愛海「ねえ……風紀委員はそれでいいの?」

清美「事務所の風紀を守ること。それは平和のために大切な事です」

愛海「……ふふ、まだまだ若いね」

清美「…どういうことですか?」

卯月(あ、またなんか始まった)モマレ



280: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:42:09.84 ID:hIrLajbxo


愛海「人は美術に恋焦がれる。それは、本能が美という存在に惹かれるから。知っているでしょ?」フリ

清美「勿論です。だから私たちはアイドルという立場にいるんですよ!」

愛海「だったら、その『美』をより高めていくのがアイドルの使命なの。あたしは、こうして女の子と密接にふれあうことで…アイドルの持つ最高の美に近づけているんだよ」

清美「ぐ、確かにアイドルという立場であるなら当然たりうる……それは正義だわ…」

卯月(よくそんな言葉がすぐ出てくるなあ…)サワサワ

愛海「風紀って何? 雁字搦めに縛るもの? …あなたならわかるはず。本当の風紀の意味を!」ビシッ!

清美「……ルールは人を縛る縄ではなく、快適に過ごすためのホウキでなくちゃならない」ボソ

愛海「そう。名誉風紀委員であり、プロフェッショナル登山家であり、名プロデューサーである彼の言葉。……あなたは、そんな彼の言葉を疑うの?」キリッ

清美「愛海さん……いや、愛海風紀実行委員長! 私は風紀という言葉に囚われてアイドルとして間違った考えを持ってしまってすみませんでした!」ガタッ

愛海「いいんだよ。本当の風紀は、許しあうものなの。だから清美ちゃんも、この柔らかなお山に触れて…美を高め――」

 ガチャ

拓海「…うーっす。ちひろに呼ばれてきた」ネミー

愛海「」ギクッ

卯月「あ、こっちです」サワサワ



281: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/09(金) 21:44:22.06 ID:hIrLajbxo


 ・ ・ ・

 [5分後]

愛海「」チーン

拓海「ったく…コイツも懲りねぇな」パシッ

卯月「あ、あはは…助かりました」

拓海「ちひろから息絶えたような声で電話が来た時はマジで焦ったぜ…」ハァ

卯月(あー…やっぱり逃げ出したのって…すみません、ちひろさん)メソラシ

清美「…拓海さん、ありがとうございます。危うく洗脳される所を助けて頂いたおかげで、事務所の風紀がまた守られました」

拓海「あぁ? アンタは…確か冴島、だったか」ジー

清美「そうです! この世界の風紀を守るためにやってきた、風紀系アイドルです!」ドンッ

卯月(風紀系アイドルってなんだろう…)

拓海「…よくわからねぇが、よろしくな。あとコイツは必要悪だから、何かしでかしたらその場で駆除せず周りに助けを求めるといいぜ」

清美「なるほど、流石風紀系姉御! 非常に頼もしいですね!」

拓海「風紀って…アタシは真逆なんだけどな――クソ、丸くなったのもアイツのせいだ。後でメシ奢らせてやる」ボソ

卯月「すみません、わざわざありがとうございました、拓海さん」

拓海「気にすんな、卯月を助けるためだからな。…んじゃ、コイツは持ってくから――ほら、行くぜ」グイッ

愛海「ヴァイ…」ズルズル

  ガチャン…


清美「……美しい。これが、力ある風紀委員の形……理想なのですね」コクリ

卯月「あのー…清美ちゃん?」オソルオソル

清美「よし、決めました! 私の目標は――拓海さんです!」ビシッ




卯月(……ちひろさんの頭痛の種が増えたような気がする…)

 [おわり]

305: >>304だが更新だ ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:01:52.06 ID:p2c4XUBWo


 ・ ・ ・

 ――ある日の事務所、昼前

P「ふぅ…」ポキポキ

ちひろ「あら、肩でも凝ってるんですか?」

P「ええ…どこかが凝ってるというよりも、体が動きにくくて…年ですかね」ハァ

ちひろ「年を疑う年齢でも無いのに…まあ、力仕事と頭脳労働、どちらもありますから仕方ないのかもしれませんけどね」

P「栄養剤に頼りすぎるのも体を壊す原因になりますし…難しいですよ」

ちひろ「食事はどうですか? 夏で暑いとあんまり食べなくなったり…」

P「あー…それもありますね。いくらクーラーつけてるとはいえ、やっぱり基本的に暑い感覚がありますから」ハハ

ちひろ「部屋から出たらもう熱気が…って感じですもんね」クス

P「そうですそうです。それでコンビニでご飯を済まそうと思っても、飽きてきましたし…」

ちひろ「あ、じゃあ!」グイッ

P「え、どうしました?」アセ

ちひろ「…コンビニのお弁当に戻るまでの間、よかったら私、プロデューサーさんの分も作ってきましょうか?」

P「いや、そんな…悪いですよ。手間でしょうに」

ちひろ「そんなことないですって、むしろ少なく作るほうが勿体無いぐらいです!」バッ

P「ああ、いや……いいんですか?」

ちひろ「任せて下さい、中身は私の普段のお弁当みたいな感じですけど…」

P「……ええと、じゃあ…お願いしてもいいですか?」

ちひろ「はい、任されました♪ あ、苦手なものとかあったら教えて下さいね!」

P「大体いけるのでお任せします。…すみません、ありがとうございます」

ちひろ「いつも頑張るプロデューサーさんのためですから、全然大丈夫ですよ」クス



P(……天使!)



306: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:04:17.75 ID:p2c4XUBWo


 ・ ・ ・

 [翌日、昼前]

 カタカタ…

ちひろ(もうお昼…よし)

ちひろ「プロデューサーさん…そ、そろそろお昼にしませんか?」チラ

P「ん、ああ、そういえばもうこんな時間なんですね。そうしますか」カチカチ

ちひろ「はい。……ええと、それで…これどうぞ!」バッ

P「お、これは昨日言ってた…」ウケトリ

ちひろ「はい。気合を入れて作りましたから、味も大丈夫だと思います」

P「そんな、別に俺なんかに気合を入れてもらわなくても充分ですよ」

ちひろ「プロデューサーさんだからこそ、気合を入れたんです!」

P「……え」キョトン

ちひろ「…あ、あの、いえ、そんなふ、深い意味はなくて…!」アセアセ

P「あ、で、ですよねー!」

ちひろ「……」

P「……」

ちひろ・P(気まずい……)

ちひろ「あー…あ、そういえば昨日もアイドルの子が日記書いてましたよ」

P「そうなんですか? じゃ、じゃあご飯を食べながらでも見ましょうか」

ちひろ「ですね、そうしましょうっ」トタトタ

ちひろ(よし、乗り切った!)

P(何とか話をつないだ!)

P「わかりました、では早速最初の子から――」パラ



307: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:05:00.56 ID:p2c4XUBWo


 魂は、独立しない。
 散り、巡り、そして一度相まみえた時……人は目を合わす。

 かくして繋がったものこそが、高峯のあであり、P。


 でも…それらは単一のものでもないわ。

 私とP、Pとアイドル、Pとプロデューサー。

 そして私とアイドル。


 微かな光はいつしか双光となり、あらゆる試練の末、ただ目指していく。

 それがアイドル。プロデューサーと共に進むべき道……二つにして、たった一つの存在が、P。

 あなたなのではないかしら?



 いずれ、世界は融解する。
 唯一無二の、貴方と私が目指す未来。


 …しかし、単一ではない。
 複雑に、魂は巡りあう。

 それぞれが輝き、大きくなり……幸せとなる。
 アイドルは、それを望む。貴方も同様に望み、それは私も望ませる…。

 でも……貴方は一人。
 輝かせる唯一の魂。


 だから……私は勝ってみせる。

 そのために、ここにいるわ。



308: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:07:35.18 ID:p2c4XUBWo


ちひろ「これは…どういう意味なんでしょう?」

P「少し難しく書かれてはいますけど……何となくわかります」コク

ちひろ「…やっぱり担当しているだけはありますね」

P「個性が強くてとっつきにくい印象はありますけど…素直な人ですよ、のあさんは」

ちひろ「突如メイド服を着たりするのは…何だか楓さんに似ているような気もしますけどね」

P「はは、お茶目というか…あの雰囲気から来るちょっとした可愛さが話してて面白いですね」

ちひろ「流石ですねー。私にはまだまだ難しいです」

ちひろ(どんなアイドルでもコミュニケーションをこなすプロデューサーは仕事人の鑑だなあ…)

P(ちょっとのあさんの日記が挑戦的過ぎてちひろさんに意味を伝えられない…)

P「慣れれば普通に行けますよ。ちひろさんも積極的にコミュニケーションをとってみたらどうでしょうか――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 その通り、俺は一人だけだから、ずっとのあさんと一緒に居ることはできません。

 ですけど、それでも少ない時間で最高の気持ちが作れるように、俺も頑張ります。


 思えば、のあさんは初めて会った時からアイドルに対して情熱を持っていましたよね。
 別におかしくはないんですけど、一人でここまできて色々辛い事も合ったんじゃないかと
思います。

 そんな苦しみを俺が解消できたのであれば、プロデューサーとしてこれ以上
嬉しいことはないですね。

 この世界にいる限り、いつかは別れるのだとしても、それまでは楽しくアイドルを
やっていきましょう。
 それが俺の思いです。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「のあさんは一人でこっちに来てたんですよね」

P「ええ。だから、いくら大人といっても、出身の奈良から単身でこっちにきたのは凄い勇気の要ることですし、色々抱えているんだと思います」

ちひろ「ユニットはそのためですか?」

P「……いや、それはのあさんがある時何故か猫耳を付けてたんで、つい」

ちひろ(『つい』で決めたんですか…)



309: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:08:24.38 ID:p2c4XUBWo


 ◇月○日

 やっほ、シューコだよ。
 前にあずきちゃんに横槍入れてたんだけど、反撃されちった。

 うん、今隣に居る。
 でもそんな大したこと書かないから、見ても意味ないよ?


 それで天気の話でもやろっかなーと話したら、ダメだって言われちった。
 いやいや、日記なんだから。テキトーでいいんじゃない?

 あずきちゃんが言うには、もっと仲良し大作戦、らしいよ。
 確か前の時は別の名前だったような気がするんだけど……気にしたら負けか。


 とはいっても、本当に書けることって少ないよねー。
 お仕事はジュンチョーだし、ファンとの交流もよくしてるし。


 あ、ファンといえば、あたしがアイドルで売れ始めて、実家の和菓子が最近また売れ出したらしいよ。増産、ぞうさーん、って。
 今までより多めに作らないと売り切れる時も出てきたみたい。

 あたし、特にメディアで名前出したことは無いんだけど…まあ、言わなくてもあっちじゃあたしの事知らない人ってあんまりいないし、口コミってこわー。
 ついでに実家の知名度もこわー。

 ま、あたしがアイドルで良かったよ。忙しいの、手伝わなくて済むし。


 ……これぐらいは本音でもいいか。

 正直実家を追い出された時はどうしようかって思ってた。
 京都しか知り合いいないし、その京都も実家の目があるから居られなかったし。

 そんでもってわけのわからん男に出会ってアイドルになって、ステージで喝采を浴びるなんてさ。
 これって三流の携帯小説みたい。ダメ女がイケメンに誘われて勝ち組になるーって話。


 そうだよ、Pさんはそのイケメン。
 実際はダサい所の方が多いけど…あの時みたPさんの顔は、絶対に忘れないよ。

 でも違うのは、出会いは三流でも、エンディングは一流で終えること。
 臭い物語の作者なんかぶっ飛ばして、他の誰でもない、あたしとPさんで一流になんの。

 どう、いい案でしょ?
 名付けて『シューコ・トップアイドル化計画』…なーんて。真似してみたり。



 ありがとね、Pさん。こんなシューコだけど、一生よろしくー♪



310: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:09:57.51 ID:p2c4XUBWo


P「周子か…初めて会った時が懐かしいな」

ちひろ「地方ロケで京都に行った時にスカウトしたんでしたっけ。いきなり経費の相談が来たのでビックリした記憶があります」

P「まあ…道端で見かけた少女が、家ない、頼る所ない、じゃ見捨てられませんよ」

ちひろ「ご両親との交渉自体はかなり早く済んだのは…やっぱり、親子関係に禍根があったんでしょうね」

P「京都の老舗銘菓店ですから、子の将来に対して色々しがらみがあったんでしょう。周子を引っ張って実家に行って話をしたら、くれてやる、の一言でしたよ」

ちひろ「……でも、今は」

P「ええ。実家に帰るし、普通に会話をこなすぐらいにも回復しましたよ。ご両親からは、俺だけに『まさか本当にアイドルにするなんて』といってましたけど」ハハ

ちひろ「…アイドルって、やっぱり夢ですよね」

P「夢を持っているからこそ、夢を与えられる。周子の気持ちはまだ発展途上ですけど、いずれ大きくなりますよ。本人のやる気十分です」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 作戦大成功、なんてな。
 周子の日記が見れるとは…あずきに感謝しておかないと。


 …はっきりいって、お前との出会いは俺もかなり記憶に残ってるぞ。
 あの時初めて見た周子の瞳は、忘れられないだろうな。


 周子がアイドルになって、道を見つけることが出来た。
 後は、その道をひたすら走るだけだ。

 俺が無理を通してアイドルになったもんだから、周子には多分この先理不尽な事に
出会うかもしれない。
 だが、前以外は気にしなくていい。
 横には仲間がいるし、後ろには俺がいるからな。

 ……絶対に一流になろう。その時を、みんな望んでいるぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「プロデューサーさんって、本当に奇妙な出会い運を持ってますよね。周子ちゃんにしろ、他の子にしろ」

P「これが全部偶然なんですから、縁というのは不思議ですよ、ホント」

ちひろ「まあ、それに振り回される私達の事も考えて欲しいところですけど」

P「…反省しております」ペラ



311: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:14:09.06 ID:p2c4XUBWo


 ◇月○日、担当は卯月です!


 おはようございます!
 島村卯月です!

 早く書きたかったんですけど、この日記、結構人気でなかなか順番が回って来ませんでした。
 今日、ようやく書けるようになったのでわくわくしながら書いてます!


 さて何の話がしたいかというと、私が所属しているグループユニットのニュージェネレーションの事です!

 みんなも知ってると思うんですが、ニュージェネレーションは凛ちゃん、未央ちゃんと私で結成された、事務所初のグループです!
 確かあの頃はみんな新人で、ファンのみんなを惹き付けるのに苦労していたから、特徴の違う私達でそれぞれ個性を出して牽引力を生み出そう、というのが始まりでした。
 今考えても、落ち着いた凛ちゃんや優しい未央ちゃん、そして元気印の私が組むなんてよく決断したなーって思います。

 だって、同期といっても年齢が違うし、何より出会ったばっかりだから最初は馴染むかなあと心配もしてました。

 実際、初めの頃はよく衝突もして、喧嘩別れもしちゃってたり…。
 頑張ろうって思ってても、中々上手くいかないみたいでした。私、リーダーには向いてなかったみたいです。


 ですが、そんな私達に、レッスンでも仕事でも、プロデューサーさんがずっと付いてきてくれて、何が悪いのか、どう勝負するのかをわかるまで何度も教えてくれたんです。

 きっと、将来はもっと飛躍して、三人でどんどんこの世界で輝くんだと思っていたからこそのプロデューサーさんのやり方だったんだと思います。

 結局、プロデューサーさんの思うとおりにグループは成功して、瞬く間に忙しい日々になりました。
 昔は事務所で喋ったり、学校帰りに待ち合わせして遊んでいた時間も今やスタジオに居る時間のほうが長くなってしまって……色々変わってしまいましたね。

 プロデューサーさんも、新しい人のスカウトのために事務所に数日顔を見せないこともよく見られるようになったり……まだ大人じゃない私も、なんだか巣立ちをした鳥さんの気分になっちゃいました。

 一方プロデューサーさんもその後、どんどん新人さんをスカウトしては成功させ、その傍ら、忙しいはずなのに私達の無駄話にも付き合ってくれて……。


 心の底から本当に私達を思ってくれてるんだと思いました。
 やっぱりプロデューサーさんはすごい人です!

 だから、これからもずっと一緒にいたいって私達、思ってます!
 私も頑張りますから、プロデューサーさんも体を壊さないように頑張って下さいね!


 UZUKI♪



313: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:16:07.04 ID:p2c4XUBWo


P「自分、涙いいすか…」ウルッ

ちひろ「泣くほどですか…」クス

P「そりゃあもう! あまり伸びなかった最初の頃から見れば、今の事務所は全く別物ですから。それを支えたのはこの三人なんですよね」

ちひろ「まあ、単体で売れないからまとめて売り出す、というのは常套手段ではありますが、まさか全く別タイプのあの三人をまとめるとは私も思いませんでした」

P「正直賭けみたいな所もありましたけど…卯月のひたむきさがあってよくまとまったと思います」

ちひろ「当時の凛ちゃんは一人でやろうとするし、未央ちゃんはどこかフラフラしてましたからね」

P「卯月も負けずによく頑張ってくれたと思います――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 卯月との仲も、もう大分長くなったな。
 あの時の会話も、なんだか遠い昔のように思えるよ。


 正直、卯月にはなかなか難しい立場を任せてしまったと申し訳なく思ってる。
 二人とも実力はあるのにどこかクセがあって、あの時は反りが合わなかった部分も
多かったからな。

 あそこから成功させられたのは、やっぱり卯月の気持ちのおかげだろうな。

 ニュージェネレーションが居なければ、今の後輩たちもきっといなかったの
だから、卯月たちには本当に感謝しているよ。

 こちらこそ、これからもよろしく頼む。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「リーダーは苦手といってますけど、今の彼女たちを見ると適正が見えてきますよね」

P「はい、凛や未央、グループだけでなく後輩からも慕われる、いい先輩ですよ」

ちひろ「……まあ、約一名だけは例外ですが」

P「いや、彼女も一応尊敬はしてるんですよ? ただ手段が残念なだけであって……」

ちひろ「表現方法が間違ってるって、悲しいことです」



314: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:19:30.25 ID:p2c4XUBWo


 ・ ・ ・

 ――のあの日記、その後

 [事務所]

 ガチャ

P「只今戻りました――」キィ

のあ「……おかえりなさい」ボソ

P「」ビクッ

のあ「お茶は用意してあるわ。……望みは知っている」カツカツ

P(ドアを開けたら目の前にメイドのあさんが居た)

P「……あの」スタスタ

のあ「なにかしら」ピタッ

P「もうメイド服の撮影は終わったんですが」

のあ「知ってるわ。でも、偶像を練ること……偶像が偶像を作り出すこと、それらは歩むべき道……私と、貴方にとっての。……そうでしょう?」クルッ

P「まあそうですけど……もしかして気に入ってます?」

のあ「そうね。…貴方が私に感じている思いぐらいには……私もまた、そうよ」

P「……つまり、大好きなんだな」

のあ「……ソファに座りなさい。貴方の言葉のために、…今は懐いてあげるわ」プイッ

P「あ、ああ……ありがとう」

P(テーブルの茶菓子がいつの間にかボリュームアップしてる…)

 [おわり]



315: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:22:41.07 ID:p2c4XUBWo


 ・ ・ ・

 ――周子の日記、その後


 [収録スタジオ、休憩中]

 スタジオセットハイリマース

周子「疲れたわーんっ」トコトコ

P「お疲れ。難しいベテラン相手によく頑張ってるぞ」

周子「ねー、ホントあたしがこの場に居ていいのかと思っちゃうね」フリ

P「それは大丈夫だ。周子の適応力はピカイチだからな」

周子「…言い過ぎだと思うけどなー」

P「そうか?」

周子「だってあたしだよ? やるときゃやるーって言うけど、元々のあたしはそんなゆーのーじゃないって」

P「だが有能だからこそ、今そこに居るんだ。…卑屈になるなよ」ポン

周子「…ちぇー、逃げ道塞がれちゃったかな」プイ

P「逃げるのはオフの時だけな。遊びなら、俺も付き合うからさ」

周子「うわー、アイドルをオフに誘うなんて芸能界の闇を見た気がする」

P「誤解されること言うなっての…」

周子「へへ、じょーだんじょーだん。…ありがとね、また次遊びに行こっか」

P「おう。アイドルの疲れを取るのもプロデューサーの役目だからな」

周子「…なんだかなあ」

P「どうかしたか?」

周子「べっつにー……」

 セットオワリマシター! モウスグハジメマース!

周子「っと、そろそろ再開か。じゃ、行ってくるよ。そこで見てる?」

P「勿論。…周子の最高の仕事をここから眺めているからな」

周子「上げてくるねー……ま、あたしなりに頑張るしかないか」

P「頑張ったらオフがもっと楽しくなるかもな」

周子「…そう言われちゃ期待しちゃうね。いってきます!」

 タッタッタ…

P「…財布の中身を確認しておこう」オズオズ

 [おわり]


317: >>316その通り、なんだけどなあ…公式ェ ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:25:07.90 ID:p2c4XUBWo


 ・ ・ ・

 ――卯月の日記、その後

 [事務所]

 カタカタ…

卯月「ぷーろでゅーさーさん♪」ピョコ

P「どうしたー?」カタカタ

卯月「あ、仕事中でした…ごめんなさい」ペコ

P「ん、何か話があるなら中断するぞ?」ピタッ

卯月「…いいんですか?」

P「まあ、事務は後でも何とかなるしな。それに、卯月との話だから」

卯月「プロデューサーさん……ありがとうございます。じゃあ……凛ちゃん、未央ちゃん!」

未央「やーやーお仕事お疲れ様っ!」ピョコ

凛「終わってからの方が良かったんじゃない……まあ、プロデューサーがそう言うならいいんだけどさ」

P「あれ、なんで皆が……今日の昼からの仕事があったはずじゃ」

未央「えっへへ、今日のために頑張ってリテイクゼロにしたよっ☆」

卯月「うん、私達頑張ったもんね!」

P「それは凄いな…でも、今日は何かあったっけ?」クビカシゲ

凛「…全く。プロデューサーはもう少し昔を覚えたほうがいいよ」ハァ

未央「ホントだよ、私達とプロデューサーの記念日だってのにさー!」

P「三人と記念日――って、ああ!」

卯月「あ、思い出しましたね! じゃあ…せーのっ」スゥ

三人「いつもありがとう、プロデューサー!」



319: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/14(水) 23:28:29.80 ID:p2c4XUBWo


P「皆…まさかそれのために?」

未央「そうだよん! はい、プロデューサーっ。辛い仕事にオススメ甘い物だよ☆」

P「おお、ケーキにクッキーに…色々あるな」

卯月「かな子ちゃんにお手伝いしてもらったんです!」バッ

凛「元々何かしようとは思ってたけど、卯月が何かプレゼントをしたいって行ってね。一応バレンタインにもあげたけど、プロデューサーは甘いの大丈夫だったよね」ハイ

未央「ふっふー、しぶりんったらー作りながら心配しまくってたくせにー!」ニヤ

凛「してないから、してないから」プイ

P「…そうか、皆ありがとう。卯月も、仕事で忙しいのに時間を作ってくれてありがとうな」

卯月「いえ、いいんですよ。プロデューサーさんは、私達がお礼を言っても大したことないってよく言いますけど、本当に助かってるんです」

未央「ま、私達の出発点だもんね☆」

凛「卯月も、言い出してくれて…感謝してるよ。じゃあ、食べよっか」

P「そうだな――と。言い忘れてた」スクッ

卯月「え、なんでしょうか?」

 スゥ…

P「――三人とも。これからもよろしく頼むぞ」ニコ

凛「……」ドキ

未央「……わあ」

卯月「…はい! よろしくお願いします!」ニコ

 [おわり]



334: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:45:10.02 ID:axz/C2W3o


 ――ある日の事務所、朝


P「ふわぁ……眠いな」ノビー

ちひろ「ずっと仕事が続いてますからね……ちゃんと眠れてますか?」

P「一応、って感じです。でもたまに夜中に起きてしまってもう眠くて眠くて…」

ちひろ「夏あるあるですね」

P「全く、もう少し涼しくなってくれてもいいと思うんですが――ん?」ゴソ

ちひろ「どうしました?」

P「いや、何か見たこと無い封筒が……って、この文字は」パサッ

ちひろ「なになに……『選ばれし筆記者の集う書と共に、束の間の安寧に身を投じよ』?」

P「…きっと蘭子だよな」ウン

ちひろ「多分そうだと思います。中身は何があるんですか?」

P「まあ、何か癒されるグッズでも――いや、これはクッキー?」

ちひろ「あら、きれいに包装されたクッキーが二つ…」

P「……ああ、なるほど。はい、ちひろさんにもあげます」

ちひろ「いいんですか?」

P「二つなのはそういう意味なんでしょう。その間に日記取ってきますね」スタスタ

ちひろ「日記……というと、この封筒の文字は」

P「合っていれば、ですけどね。じゃあ、眠気覚ましがてら、日記でも読みましょうか――」パラ



335: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:45:44.26 ID:axz/C2W3o


 ○月∴日

 …ええと、その、食べて……くれた?
 ちゃんと作ったから……その、美味しいと思う。


 いきなりでごめんなさい。
 でも、凛さん達がプロデューサーに上げてるのを見て…真似してみたんです。

 ありがとうって言うのは、私もだから。



 いつもわがままでごめんなさい。
 あと、願いを叶えてくれて、ありがとう、です。



 ……フ、ククク。
 我が日記に宿りし魂に打ち震えるがいい、プロヴァンスの風よ。
 遥か古より続く伝説の系譜に、共に刻もうではないか!

 我が下僕たるPの力があれば、この世を制することなど容易いのだ。

 さあ、永久に続けなさい、この宴を!


(以下、何か凄い絵)



336: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:48:10.88 ID:axz/C2W3o


ちひろ「下半分は何か凄そうな絵で埋められてますけど、あれ、ちょっと思ってたのと違うような…」

P「いや、流石に大阪人が日記も大阪弁で書かないのと同様に、蘭子も熊本弁で全部書く訳じゃないですよ。絵は流石ですけど」

ちひろ「……じゃあ、どうして蘭子ちゃんは喋る時はあんな感じに?」

P「喋る時、というと語弊がありますね。アイツもライブ後とか撮影後とか、テンションが上がってくると結構素が出ますから」

ちひろ「…私はそういうの全然見ないんですが」

P「現場に居合わせませんからね。……結局、蘭子も恥ずかしがり屋なんですよ。それをああいった言葉を纏う事で表現してるんです」

ちひろ(いや、それって……)

P「まあ、ああいうのも悪く無いと思いますよ。強すぎる個性は将来性を確保するのに少し苦労しますが、ないぐらいならある方が絶対に良いですから」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 やっぱり蘭子のクッキーだったか。
 チョコの味がしっかりしてて美味しかったぞ。

 あと、心配してくれてありがとう。今は忙しいが、それももうすぐ終わりだから。
 休みになればまたお礼をさせてくれ。まあ、期待しててくれると嬉しい。


 …それ以前に、アイドル達に心配されちゃ駄目だよな。気をつけないと。


 あと、これからも続けていくのは俺の願いでもあるぞ。
 目指せ世界征服…なんてな。一緒に頑張ろう。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「まあ、最初に会った時は結構驚きましたけどね」

ちひろ「確か蘭子ちゃんもスカウトでしたよね?」

P「ええ。何だか凄いオーラを感じたので話しかけたら、とんでも無い目に遭いました」ハハ

ちひろ「それがここまで来るんですから、まあ、なんというか」

P「本人たちの努力があってこそ、ですよ――」パラ



337: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:48:48.76 ID:axz/C2W3o


 ○月∴日

 聖來だよー。
 他の人に任せておけばいいや、って思ってたけど、誘われたら書くしかないか。
 実はちょっと書くのを楽しみにしてたし。


 でも、なんかこういうのって恥ずかしいよね。
 自分を見せるのは、テレビで慣れてるはずなのに……アタシもまだまだってことかな。



 書くのはもちろんわんこの事。
 聞いてよ、うちのったら大きくなってますます元気になっちゃって。

 この前Pさんと一緒に散歩した時も、わんこがぐいぐい引っ張って大変だったよね。
 今使ってるリードだと千切れそうで結構怖いんだ。太い物にかえようかな?

 いや、それでもPさんは普通に散歩できてたような……うーん、わんこの力に負けそうなのはアタシか。
 アイドルも頑張らないといけないけど、わんこのしつけも大事かも。
 ほら、どうせなら芸もたくさんさせたいじゃない?

 おすわりとかお手とか伏せとかはできるんだけど……せめて、ダブルアクセルくらいは、ね?
 だって楽しそうじゃない、一緒に踊れたら……って。


 元々ダンスは好きだからね。踊れるならいつまでも踊っていたいくらいだよ。
 だからPさんも、ダンス習ってみる?

 いつも忙しそうだけど、ダンスは運動になって、気分転換にもなるからオススメだよ。
 アタシも、Pさんとダンスができたら楽しそうだし。


 あ、わんこも一緒にね。


 セイラでしたー。



338: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:49:27.92 ID:axz/C2W3o


P「一応ウチの事務所の中ではクセのない、やりやすい子ですね、聖來は」

ちひろ「…それは自虐ですか?」

P「……まあ、否定はしません」

ちひろ「それにしても聖來さんは、思わずちゃん付けしてしまいたくなるほど若いですよね」

P「ええ、最初履歴書を見た時、一瞬年齢を疑いましたよ」

ちひろ「同じ女性として羨ましく思います……」

P「本人も特にそういった行動は意識してないらしいんですが、なんなんですかね、聖來は無意識にいい意味で子供っぽいというか…」

ちひろ「無邪気、という感じですか?」

P「ああ、それです、それ。大人らしく落ち着いていながらも、目の前の仕事をはしゃぐように楽しんでいる。プロデュースしがいのある子ですよ」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 聖來か、日記はどうだ?
 色んな人が色んな思いを好きなだけ書けるなんて、面白いと思うぞ。
 まあ、恥ずかしさなんてのは誰にでもあるさ。
 例え知らぬ人はない有名人であってもな。

 大事なのはそういう気持ちもはっきりと表せて武器にすることだ。
 ダンスができる聖來なら、それもできるはずだぞ。


 あと、ダンスは俺には無理だって。
 この前一緒にやった時があったが、その後ずっと筋肉痛になったんだぞ…。

 いくら外を走り回っているとはいえ、ダンスは全身の筋肉を使うからな、それを
楽しそうにやれている聖來は凄いと思うよ。

 ……でもまあ、聖來と踊るのは楽しかったから、吝かではないぞ。
 また時間があるなら誘ってくれ。勿論優しくな!

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「うーん、Pさんのダンス姿…想像がつかないです」

P「恥ずかしいので想像しないで下さい。ボロボロだったんですから…」ハァ

ちひろ(それはすぐに想像できますけどね)

P「俺も仕事以外で筋トレでもした方がいいのかなあ……まあ、その時は聖來の家の犬でも借りて散歩でもするか」

ちひろ「……ところで、どうして犬の名前が決まってないんでしょう?」

P「一生の謎です、ええ」パラ



339: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:50:01.48 ID:axz/C2W3o


 ○月∴日です。


 アーニャです。
 みなさん、たくさんかいてて、とてもすばらしいです。

 もちろん、私もかけますが……やっぱり、ぜんぶ、むずかしいですね。
 きくことはけっこうできます。でも、漢字はまだまだです。

 みなさんの日記よみたいですが、よめない漢字もあってくろうしていると、Fueifuei…やおさんが来て、おしえてくれました。
 やっぱり、元々漢字をつかう人は、日本語もすぐよめるみたいです。
 うらやましいですね。

 そうしたら、他のみなさんも来て、わからなければおしえてくれる、と言いました。
 やっぱりみなさん、やさしいですね。
 私も、みなさんがこまっていたら助けたいと思います。


 アイドルは、きぼうです。
 だから、私はかがやきたい、そう思います。

 いつか、みなさんと…プロデューサーといっしょに、ちょうてんに立てたらさいこうですね。
 そのためには、プロデューサー、あなたがひつようです。

 Они меня и вы о наивысшем времени!

 できたらいいですね、プロデューサー?



340: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:50:51.04 ID:axz/C2W3o


ちひろ「アーニャちゃんも大分文章がうまくなりましたよね」

P「そうですね。元々日本寄りのハーフなので喋るのはできても、最初は読み書きが少し苦手でしたから」

ちひろ「ですが、やはり難関は漢字ですか」

P「まあ…普段使ってる俺達は普通でも、アーニャにとっちゃ難しいかもしれませんね」

ちひろ「……外国人アイドルのバックアップ体制、もっとしっかりしたほうがいいんじゃないですかね」

P「魅力的な人材が居たらスカウトする……当然でしょう?」キリッ

ちひろ「のあさんの真似しないで下さい、気持ち悪いです」

P「冗談はさておき、少なくても居るので聞き取りしてそこらへんのサポートもしっかりやらないといけないですね」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 アーニャの文字、かわいくて好きだぞ。
 とてもいっしょうけんめい書いてるのがわかるからな。

 日本に長くすんでても、まだ日本語を書くのはむずかしいか?
 でも安心してくれ、近くに居たら、だれでもアーニャを助けてくれるから。

 もちろん俺もだ。

 まあ、みそ汁が好きなアーニャなら大丈夫だとは思うが、もしじむしょの事で
へんに感じることがあったら、伝えてくれよ?

 夢は大きく、トップアイドルだな。
 皆といっしょにがんばろう!

 アーニャをこれからもおうえんしているぞ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「…触れてませんけど、最後のロシア語は何て書いているんですか?」

P「いや、それが俺にも……まあ、今度調べておきます」

ちひろ「めずらしいですね、こうロシア語で書くのは」

P「お茶目、ということにでもしておきますよ」


342: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:51:12.38 ID:axz/C2W3o


 ・ ・ ・

 ――蘭子の日記、その後

 [事務所]

 シーン…

蘭子「……」ペラ

P「……何見てるんだ?」

蘭子「ひゃあ、プ、プロデューサー!?」ガタッ!

P「お、おう、そうだけど…そんなに驚くことか?」

蘭子「――ふ、クフフ、我の背後を取るとは賢しいな…流石だ(急に話しかけないで下さいよ!)」

P「いや、すまんすまん。絵を描いてるかと思ったら、何か雑誌を読んでるように見えてな」

蘭子「戯れを。我が糧にならぬ物を取り込む道理はない(そういうのはあまり興味ないので…)」

P「……ん、でもその雑誌、お菓子のレシピ本じゃ――」

蘭子「わ、わあああああ!!」バタバタッ!

P「…大丈夫か?」キョトン

蘭子「げ、下僕よ……その"瞳"は力を持ちすぎる。封印を強めよ(なんでわかっちゃうんですかー!)」

P「いや、この前お菓子作ってくれただろ? もしかして、また作ってくれるのかなって思ってな。自意識過剰か」

蘭子「それは……あ、あう…」モジ

P「どうした?」

蘭子「ぷ、ぷろでゅーさーは……また、欲しい?」

P「蘭子の無理しない範囲でなら是非また食べたいな。美味しかったし」ニコ

蘭子「そ、そう……。く、ククッ。血がたぎるぞ、下僕よ! 我が身を撫でる風はやってくる、必ず!(わかりました、また作ります、絶対!)」グイッ

P「うおっ……ああ、ありがとうな。でも仕事優先だぞ、いいな?」

蘭子「我が身を誰だと心得る。……ふむ、サバトの時は近い(大丈夫ですよ。……あ、今日は早めに帰りますね)」

P「そうか、送ろうか?」

蘭子「我が力を見くびるな。世を制する器ぞ。いざ、闇のままに!(いえ、一人で帰ります。ではお疲れ様でした!)」パタパタ

P「ああ、気をつけて帰れよー?」

 ガチャン!


P「……安心なはずなのに、どこか物々しいのは何故だろうか…」

 [おわり]


343: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:52:31.54 ID:axz/C2W3o


 ・ ・ ・

 ――聖來の日記、その後

 [レッスンルーム・レッスン終了後]

 オツカレサマデシター!
          ガヤガヤ

P「お、丁度終わったところか」ガチャ

聖來「――あ、Pさん。どうかした?」クルッ

P「聖來か……お疲れ様。今日は俺が年少組を送る担当でな」

聖來「あー、そっか。Pさんは大変だね」

P「まあ、それでも皆と話せる貴重な時間だからな、悪くないさ」

聖來「やるね、Pさん。そういう所が格好いいんだよっ」ウリウリ

P「格好いいって…また俺に似合わない言葉を」

聖來「ううん、似合ってるよ。それはきっとみんな思ってる」

P「嬉しい事言ってくれるなあ…俺も頑張らないと」

聖來「その調子っ。でも、頑張りすぎて筋肉痛にならないようにね」

P「はは、そうならないように聖來にダンスでも習おうかな?」

聖來「……いいよ?」

P「え?」

聖來「トレーナーさーん、練習着大きいサイズ余ってたっけー?」

 アマッテマスヨー

聖來「だってさ。……じゃ、やろうか」

P「え、ちょ、今から!?」

聖來「どうせみんな着替え終わるの時間かかるしさ。丁度いいじゃんっ」

都「おやおやー? 何か事件の香りがしますねー」ヒョイ

P「いや、別に事件とかじゃ――」

聖來「ふふ、事件かもね。Pさん、アイドルに転身! とか」

都「むむ、それは本当ですか!? これは大事件です、皆に知らせなければ!」タタタタ

P「ないって……言ってるのに」クスン



344: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:53:21.01 ID:axz/C2W3o


トレーナー「はい、プロデューサーさん。これどうぞ」ニコニコ

P「しかもトレーナーさんまでノリに付き合わないでくださいよー!」

周子「えー、Pさんがダンスやるって…うわー、ちょっと見たいかも」トタトタ

千枝「プロデューサーさんが踊る……格好いいんだろうなあ」パアア

 ガヤガヤ…

P「ああ、どんどん外堀が埋まっていく……」ズーン

聖來「ほらほら、今すぐ着替える! ……何ならアタシが着替えさせてもいいよ?」ポンポン

P「……帰りに湿布を買って帰ろう」ハァ

 [おわり]


345: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/16(金) 21:54:00.35 ID:axz/C2W3o


 ・ ・ ・

 ――アーニャの日記、その後

 [事務所近くのスーパー]

 ガヤガヤ

P「今日は営業が上手く言ったから早く終わったな……今回は少し豪華な昼ごはんでもするか」トコトコ

アーニャ「……ん、プロデューサー?」

P「あれ、アーニャ? 朝の撮影はどうした?」

アーニャ「ダー、上手くいきました。私、アイドルですから」

P「……はは、なるほど。で、アーニャも昼ごはんか」

アーニャ「です。美味しい料理、食べたいので。リュービーマヤブリューデ……好きな、料理、教えてください」

P「俺のか? うーん、やっぱり普通に定食かなあ。鯖の味噌煮とか好きだし」

アーニャ「定食……いろんなもの、ありますね」

P「それがいいんだよ。味噌汁もついてるしな」ハハ

アーニャ「味噌汁、好きですか?」

P「勿論。毎日欲しいぐらいだ」

アーニャ「パーリャン……同じ、ですね。私達」

P「そうか、そういえばアーニャも好きだったか」

アーニャ「ダー、それじゃ、昼ごはんは味噌汁にしましょう。プロデューサー、行きますよ」カツカツ

P「お、おう。そうだな」トコトコ




P(いや、味噌汁だけじゃ昼ごはんにはならないだろう……)

 [おわり]

358: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:42:45.02 ID:pamkyOOso



 ――ある日の事務所

P「ふぅ…やっぱり事務所は落ち着きますねー

ちひろ「事務所は家じゃないですよ。でもまあ、プロデューサーさんはここが家みたいになってますよね」

P「嬉しいような悲しいような……」トホホ

ちひろ「そういえば、この前の撮影はどうでした?」

P「ああ、未央のやつですか」

ちひろ「ええ。未央ちゃん、かなりうきうきしてましたけど」

P「初めはバカンスだって言われてなんだそりゃって思いましたけど、仕事で安心しましたよ」ハハ

ちひろ「ニュージェネレーション組も付き添いでいってましたしね」

P「別の場所で水着撮影してるアイドルもいましたから、この夏はもう海はいいです…」

ちひろ「……でも水着姿はよかったですよね?」

P「さ、さー久しぶりに日記でも見るかな―ぱらぱらっ」ガサ

ちひろ(逃げたな……)


359: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:43:13.31 ID:pamkyOOso


 ○月は夏びより!

 やっほー! スーパーアイドル、未央ちゃんだぜー!
 しぶりんもうづきんも先に書いちゃってー、寂しかったんだからー!

 って、私のキャラじゃないかっ。


 ところで、みんなに聞いて欲しい話があるんだー♪
 この前プロデューサーさんとヒミツのデート、しちゃいましたー!


 どう、気になる?気になる?
 気になっちゃうんでしょー!

 一緒に遊んだり海の家で焼きそばを分けあったり、夜は二人で海辺に寄り添ってさ、「一生お前だけを見ているよ」だなんていっちゃってプロデューサーさんったらー!



 ……うん、ごめん。ウソです。仕事ですよー。
 でも海に行ったのはホントだからね!
 しぶりんとうづきんと一緒に行ったんだよー?

 拓海さんとか留美さんとかは先に海でライブやったらしいし、羨ましかったけど、これで帳消しにしてあげる☆

 欲を言えばもっと三泊四日ぐらいで遊びたかったけどね。次は期待してるよ、プロデューサー?


360: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:43:40.35 ID:pamkyOOso


ちひろ「あら、可愛らしい」

P「この仕事自体、未央から営業かけて手に入れた契約なんですよね」

ちひろ「あー、なんだそりゃ、ってさっきいってましたもんね」

P「どうも俺が忙しくて倒れるんじゃないかってことで、旅行がてらにとってきたらしいです」

ちひろ「未央ちゃんらしいですよね、誰かを想ってどんどん前に進むのって」

P「ええ、一見突拍子もないように見えても、実はちゃんとした理由がある、思いやりがある……アイドルだけじゃなくて、人としてよく出来た子です――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 未央がとうとうおでまし、ってところか。

 アイドルに心配かけさせて悪いことをしたと思っているよ。
 でも俺だってまだまだ仕事出来るんだからな? そんなに心配しなくても大丈夫だぞ。

 その妄想はさておき、別途ホワイトボードに旅行の日程貼りだしてるから、よかったら未央も
 来てくれよな。未央が居ればもっと楽しくなるだろうからさ。


 …というか、そういう妄想は以後心のなかに留めておくように。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「ニュージェネレーション組も古参ですし、プロデューサーさんと未央ちゃんも仲が良くて羨ましいです」

P「……ちひろさんも俺と旅行行きたいんですか?」

ちひろ「ち、ちが、そういう意味じゃないです! まあ行きたいですけど!」

P(どっちだ)

P「まあ今度の旅行はちひろさんも参加できますし、もし行けるなら向こうでゆっくりしましょうね」

ちひろ「え、あ、そうですね…ゆっくりしたいです」

ちひろ(わざとなのか、素なのか…)ハァ

P「じゃあ、次行きますね」パラッ



361: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:44:09.92 ID:pamkyOOso


 ○月〒日

 こんにちはぁ、さやでーすっ。
 Pさんに見惚れられて、今日もアイドルやってますぅ☆

 前に居た時よりもずっとずぅっと楽しいお仕事いっぱいでぇ、すっごく幸せですぅ!
 そんな早耶にしてくれたPさんにはぁ、いっぱいハート、あげちゃいますよぉ♪


 思い返せば、色々あったよねぇ。
 そう、Pさんと初めて出会ったのはライブバトルの時!

 相手は凛ちゃんだったかなぁ。
 いい勝負してたと思うんだけどぉ、なんだかあの時の凛ちゃん、きらきらってしてたんですぅ!
 もちろん、早耶もあの頃から頑張ってたけどぉ……まぶしかったですぅ。

 で、あのきらきらしてた凛ちゃんの傍に居たのがPさんだってわかってぇ…一緒に喜んでる所を見た時、ハート、もってかれちゃったんですぅ!
 あれはもう早耶についてきてくれって言ってるのと同じですので、ついていくことにしたんですぅ。

 結局、あの時Pさんに出会えてよかったって思いますぅ。
 だって早耶、あの時よりもずっとずぅっとかわいくなれたんだもんっ♪

 Pさんはみんなのプロデューサーだから難しいかもしれないですけどぉ、早耶、Pさんにハート受け取ってもらえるように頑張りますよぉ☆
 目指せめろめろ、ハートアタック♪


 早耶でしたぁ♪



362: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:45:25.17 ID:pamkyOOso


ちひろ「……プロデューサーさん?」ジト

P「誤解です。もう五回以上思ってそうですけど誤解です」

ちひろ「わかってますよ……何度目なんですか、というよりも彼女で何人目ですか」

P「何人目なんでしょうね…いや、向こうから付いてきたのはみくが初めてだったかと」

ちひろ(ホントにアイドルとしてついてきてくれてるんですよね、みんな……?)

P「ためらったんですけど、無理にでもついてくるっていうんでスカウトしましたけど…まあ、ポテンシャルは中々ありますね」

ちひろ「あからさまな『かわいい』がありますからね、早耶ちゃんは」

P「声も動きも無くても、単純にそういった可愛さを打ち出せる早耶は、イメージガールに適してますよ――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 見惚れられて、というか早耶が付いてきたんだと思うが……まあ、実際そういう
形になったとはいえ、早耶をスカウトできてよかったと思ってるよ。

 もう早耶が来て結構時間もたつんだな……なんだかあの時が懐かしく思えてくるよ。

 ハートはとっくに痛いほど受け取ってるけど、早耶のハートはまだまだ大きくなれる。
 これからもみんなに振りまいてやってくれ。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「あのー……すっごく今更なんですけど、聞いてもいいですか?」

P「突然ですね…どうしました?」

ちひろ「プロデューサーさん、この事務所に居辛くないですか?」

P「居辛い訳ありませんよ。みんなよく頑張ってくれてるし、こんな俺も慕ってくれてますから」

ちひろ「あ、あー……ですよね」

ちひろ(その慕い方が……もう何も言うまい)

P「いい立場で働かせてもらってますよ。じゃあ次は――」ペラ



363: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:46:05.64 ID:pamkyOOso


 ○月〒日

 こんにちは~。あいりです。
 みんな色々書いてあって楽しいですね、交換日記って。
 なにより、Pさんから返信がくるというのが面白いですっ。

 Pさんは優しいから、もしプロデューサーじゃなかったら学校の先生になってたと思いますよ……って、プロデューサーじゃなかったら私、アイドルになれないんですね。
 あ、でもPさんの事だから、なんだかんだで私とPさんは出会っているんじゃないのかなって、私、思います。


 だって、私をシンデレラガールにしてくれたPさんですからっ。


 時間は少しかかりましたけど、魔法が私にかかるまでは十分でしたね。
 あの舞台で私が一番になって、きらきら輝いて、みんなの注目を浴びて……夢の様な時間でした!

 それからは今まで以上にどんどん仕事が増えてしまって、毎日が忙しいですねっ。
 Pさんもそうなんじゃないんでしょうか?

 今の時期はとっても暑いですから、エアコンを強めにしてPさんのこと、待ってますね。


 あと、いつも大変なPさんのために、実はケーキを作ってきましたっ!
 番組の企画で作る練習をしていたものなんですが……よかったら、冷蔵庫を見てくださいね。
 ちひろさんも一緒にどうぞ。


 あ、他のみんなは食べちゃだめだよ!



364: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:49:23.42 ID:pamkyOOso


P「冷蔵庫……?」

ちひろ「ええと……あ、ありましたよ」ヒョイ

P「おお、ホントだ。ご丁寧にメモ紙まで置いてくれてますね」

ちひろ「なになに……『いつもありがとうございますっ』ですって、ふふ」

P「愛梨はおっとりしてるマイペースな子ですけど、その実よく周りが見えてるんですよね」

ちひろ「服を脱ぐクセだけは何とかしてほしいものですけど…ケーキおいし」モグ

P「天然っぷりは当初から全くかわらず、ですが……あはは」

ちひろ「愛梨ちゃんらしいといえばそういう風に思えてしまうのが恐ろしい所です」

P「なんなんでしょうかね。一緒にいて緊張しない、アイドルなんだけどおっとりしているせいでどこか壁を感じさせない雰囲気があるのはそのせいなんでしょうか」

ちひろ「警戒感がないと?」

P「言うなればそうですよね。愛梨もそこだけは気をつけてもらわないといけないんですけど――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 確かに、みんなそれぞれ思い思いの事を書いていて楽しいよな。
 俺もみんなのいつも思ってることや考えてることが知れて楽しいよ。

 俺からの返信はせめてものお礼と思ってくれ。


 最近は節電節電と言われてはいるが、例年より暑いからな、エアコンを
強めにしてくれて助かってるよ。
 まあ、そのおかげで愛梨も下手に脱がなくて助かるっちゃ助かるんだけどな。

 あとわかってはいると思うが、服を脱ぐ時はちゃんと周りを見ること。
 愛梨の体は二つとないんだから、気をつけてくれよな。


 あ、それとケーキ、食べさせてもらったよ。メッセージのおかげか、
 いつも以上に美味しく感じたよ。
 これも愛梨の魔法なのかもしれないな。

 幸せの魔法を、これからもみんなにかけてあげていこう。

 俺も、これからもずっと手伝うからな。


――――――――――――――――――――――――――――――――

P「甘い物って結構苦手なんですけど、このケーキはおいしいですね」モグモグ

ちひろ「男性って甘い物苦手な人多いですからね。愛梨ちゃんもわかってたんですね」モグ

P「ですね。結構前なんですが、ケーキを食べた時にそんな話をした記憶があります」モグ

ちひろ「忙しくても時折作ってくれるのは優しさの証、ですよね?」

P「ですね。あんな昔の話をまだ覚えててくれるなんて……天然っぽくても、案外ちゃんとわかってるもんです」

ちひろ(……やっぱり)ハア



365: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:52:09.41 ID:pamkyOOso


 ・ ・ ・

 ――未央の日記、その後

 [事務所]


P「ただいま……って、何してんだ未央」

未央「やーやーおーかえりー。ソファで優雅なひと時を楽しんでいたのだよ」

P「ソファに寝転んで雑誌を読むのを優雅とは言わないぞ」

未央「まーまーそういいじゃないか。そんな細かいことを言うプロデューサーにはこうだっ!」グイッ!

P「うわ、ちょ、未央っ!?」バタッ

未央「へへー、これでプロデューサーさんもソファで優雅なひと時を楽しむのだ☆」ダキッ

P「み、未央……これはまずいって!」

未央「……どうせまた仕事しにでかけるとかそんなんなんでしょ」

P「…未央?」

未央「休んでない、全っ然休んでない。それじゃプロデューサーさん、倒れちゃうよ」

P「……心配し過ぎだっての」

未央「というわけで私の太陽パワーで体力を注入するからっ!」ダキッ

P(ち、近っ……!)ググ

未央「……ま、冗談だよ」パッ

P「うおわっ」ポスン

未央「でも心配してるのはホントだよ、私もみんなもね。だからちょっとくらい休んでいったら?」

P(未央……)

P「……スーツ掛けてくるよ」スタッ

未央「へへ、じゃあ私は飲み物取ってくるね、うんと甘いヤツっ!」

 [おわり]


366: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 22:52:39.95 ID:pamkyOOso


 ・ ・ ・

 ――早耶の日記、その後

 [撮影スタジオ]

 オツカレサマデース

美里「お疲れ様でぇす」

早耶「お疲れ様ですぅ☆」

P「お疲れ、二人とも可愛かったぞ」

早耶「えへ、Pさんにそう言ってもらえて嬉しいですぅ」

美里「確かに、決まってたもんねぇ」

早耶「そぉですかぁ? 美里ちゃんが言うなら本当ですぅ」

P「おいおい、俺じゃ信用できないのか?」

早耶「だって……オンナノコの可愛さは」

美里「オンナノコが決めるのよぉ」

美里、早耶「いえーいっ☆」

P「はは、なるほどな。可愛さは男女でも違うんだったな」

早耶「……でも、オンナノコがみんな喜ぶ魔法は、オンナノコにはかけられないの」

美里「私たち、みんなかけられてるからねぇ」

P「どういうことだ?」

美里「そーれーはー…」チラッ

早耶「相手がPさんだから、ですぅ☆」

美里「私達をここまでさせたセキニン、とってくれるわよねぇ?」

P「……俺も悪い魔法使いになったもんだ」ハハ

 [おわり]



367: ◆VVUrtNVNRY 2013/08/28(水) 23:01:40.03 ID:pamkyOOso


 ・ ・ ・

 ――愛梨の日記、その後

 [事務所]

愛梨「おはようございますー」

ちひろ「あら、おはよう、愛梨ちゃん。今日は早いのね」

愛梨「はい、Pさんに用があって……」

ちひろ「プロデューサーさんに? お仕事の話?」

愛梨「いえ、その……ケーキ、喜んでくれたので、次のものを作ってみたんです」

ちひろ「ああ、あれね! 私も頂いたけど、かなりおいしかったですよ」

愛梨「ふふ、ありがとうございますっ。あ、よかったらちひろさん、どうぞ」ハイ

ちひろ「いいのかしら? じゃあお言葉に甘えて……って、変わった形ですね」

愛梨「はいっ、ケーキだと食べるのに準備がいるので、簡単につまめるようにクリームを内側にだけにしてみたんです!」

ちひろ「なるほど…確かに両手で食べるケーキなら手軽に食べられます」

愛梨「ロールケーキでも良かったんですけど…あれだと二口目が大変ですから、ミルフィーユ状にしたものを小さめに切ったんです」

ちひろ「いい考えね。次の料理番組にこれ、出してみたら?」

愛梨「ありがとうございますっ。でも、Pさんにまず食べてもらってからにします!」ピョン

ちひろ「ふふ、プロデューサーさんもきっと喜びますよ」

愛梨「……えへへ、だといいですねっ」

 ガチャ

P「ただいま戻りましたー」トコトコ

愛梨「っ!」ドキッ

ちひろ「あら、丁度いいタイミングに……いってらっしゃい、愛梨ちゃん」

愛梨「は、はいっ。何だか暑く……でも頑張りますっ」トタトタ

 アノ、ケーキヨカッタラ…
      オ、ホントカ?

ちひろ「……羨ましいなあ、プロデューサーさん」

 [おわり]

380: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:37:12.15 ID:78YUTgqoo


 ――ある日の公園

 シャー…

P「あー……夏も終わってこれから涼しくなるなあ…」ポケー

 ワーワー

P「噴水も綺麗だし、元気に遊ぶ子供も楽しそうだし――」

P「……って、どうして俺は真っ昼間にこんな所にいるんだろうな」ハァ

P「ああ、そういえばいつものように事務所で日記を見ようとしたらちひろさんに何故か事務所を追い出されたんだった」

 パタパタ…

P「そして何故か俺の分の仕事もやるとか言い出すし……ホント、どうしたんだろう」

 タッタッタッタ…

P「……仕方ない、見るか」ガサ、パラララ



381: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:37:49.80 ID:78YUTgqoo


 □月○日 きらりなり☆

 うきゃー! とーとーきらりのページできちゃった☆
 はくしー、よーい、えんぴつー、ばっちし!
 れっつこのページにきらりんビーム、にゃはーっ☆


 ねーねーあのねー、最近ね、きらりびっくりしたの!
 どうしてかっていうとね、杏ちゃんをさがしてたら事務所でよーせいさん見つけてヤバーイってなったんだよっ!
 もうハートがずっきゅんきゅん☆にゃは☆

 ふわふわなマシュマロみたいな髪でね、うきゃー☆て撫でてみたらっ、だーれーって杏ちゃんみたいなだるるんなおめめでー、にゃっはー☆

 あとからきたちひろちゃんに聞いたらー、きらりとお友達なんだってー!何それヤバーイ!
 ハピハピしちゃうともうにゃっほーいってなるんだけど、よーせいさんはおねむーなおめめだからもっともっとハピハピ☆にょわーってなっちゃうー!

 もっと一緒にいたかったけどちひろちゃんが疲れてるからって言ったからそのままそふぁーで一緒にすーすーしちゃったにぃ☆


 でもね、きらりが起きた時にはもういなかったの……ほんとによーせいさんみたいだったよー!
 また来るからってちひろちゃん言ってたにぃ!

 だからPちゃん、事務所のきらりんハウスおっきくするね☆
 それと今度はPちゃんもいっしょにおやすみしよーね☆うきゃー☆



382: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:38:58.09 ID:78YUTgqoo


P「……最後の一文は除くとして、妖精はこずえのことだろうな」

P(遊佐こずえ。道に迷っている所を捕獲、もとい保護。何気なくスカウトしてみたが、存外トントン拍子に話が進んで新人アイドルとなった子だ)

P「こずえが来たのは確か東京案内の時だったか。その時にきらりに会ったんだとは思うが……動じていないのが頭に浮かぶ」

P(むしろ杏的にはこずえを見習ったほうが結果的に良い方に転ぶと思うんだが、あれも杏なりの好意なんだろうか)

P「しかしまあ、口だけでなく文字でもハピハピしてるとは。いや、ある意味ホットしたな――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 花も恥じらって欲しいものだ。

 きらりもこずえに会ったんだな。
 まだまだ東京には不慣れだから、困ってたらこずえのことを助けてやってくれよ?


 まあ、その調子なら問題無いだろうけどな。

 それと、こずえは杏みたいに扱わないようにとだけ注意しておくぞ。
 可愛いのは解るが、相手のことを考えて可愛がるように。


 あと、最後の一文は杏にしてやってくれ。杏も楽しみにしてるぞ、きっと。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P(このパターンはどう見ても後で杏に被害が及ぶな……)

P「……まあいいか。杏は意外と丈夫だから」コクリ

P「次のページに行くか……って、やっぱり隣に誰かいないと寂しいもんだ」ペラ



383: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:40:05.71 ID:78YUTgqoo


 ○みんなの交換日記

 日付:□月∴日 担当:千川ちひろ
 天候:晴れ時々曇り


 こんにちは、千川ちひろです。
 このページは私が書くことになりました。

 私というと、最初のページで書いたことは書いたのですが、楽しそうにこの日記を書くアイドルたちに『本番ですよ!』と誘われてしまいました。
 別にあれが練習だった訳じゃないんですけど、まあ言われてみれば機械的といいますか、
単に説明を書いただけだったので、アイドルの子たちからすればそう見るのも無理は無い
のかもしれませんね。

 そういう訳で、筆を執ってみた次第です。
 ある時はプロデューサーさんと読んだり、またある時は一人で読んだりと、読む機会は豊富だったのですが、こうして『本番』で書くと、結構悩んでしまいますね。
 そんな事を書くアイドルの子たちは沢山いましたが、それを私も身を持って感じました。


 えー、ではつまらないですが、ここは無難に謝辞にしておきます。

 私がこうしてこの事務所で今も働けているのは、難しいお仕事をこなしてくれるアイドルのみんなが居るおかげです。
 誰一人欠けること無く、まっすぐ進めていられる事が、私にとっても幸せなんだと思います。

 そして、そのみんなをとりまとめるプロデューサーさんにも、本当に感謝しています。
 こうして個性的な子たちばかりだけど、みんなみんな、とてもよい子ばかりなのはプロデューサーさんの慧眼あってのことなんだと感じています。


 この時が永遠でないことはちゃんと知っています。
 それでも、今が長く続くように。アイドルの子たちが、これからも楽しく仕事ができるように。
 そして、この事務所でこれからもアイドルの子たちとプロデューサーさんと挨拶ができるように願っています。

 そのためにも、私も事務所の一員としてこれからもささやかながら応援し続けますね。


 ガンバレ、みんな!



384: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:41:28.52 ID:78YUTgqoo


P「……ああ、俺を追い出したのはこういうことだったのか」

P(丁寧な字…でも、書類に書く時の文字じゃない)

P「ちゃんとアイドルの皆の事を考えてくれてるんだなあ……事務所にちひろさんは大体いるし、やっぱり事務所に帰ってきてちひろさんが居ると安心するんだよな、何故か」

P「特に目立つような事をしてるわけじゃないけど、事務所に絶対欠かせない人だよな」

P(……そうだな)

P「よし、何か甘いものでも買ってから帰るか――と、その前に一応返事をしておこう」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 お疲れ様です。

 そういえば、最初のページに書いてましたね。
 正直普通だなと思ってしまったんですが、消しゴムに消された字の跡を見ると、
最初も色々頑張って書こうと思ってたんだとついつい笑ってしまいました。

 こちらからも。
 今の事務所が事務所たる形を保てているのは、勿論アイドル達が核ではありますが、
それでもちひろさんがいてこそのアイドル達ですよ。
 俺はどちらかと言えば外で走り回る方ですし、疲れたアイドルたちが事務所に帰って
ちひろさんを見つけることが、一つの日課になっているんじゃないかと思います。

 かくいう俺も、営業から帰ってきて事務所に戻った時、ちひろさんが居て
なんとなくホッとしますから。

 ちひろさんの願いは、ちひろさんだけのものじゃありません。
 俺も、アイドルの皆も、同じことを考えていますよ。

 だからこそ、皆で協力して、事務所をもっともっと長生きさせていきましょう。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「言葉にしなきゃ伝わらない。……でも、殻を剥ぐのは些か気恥ずかしいな」ハハ

P「それでもちひろさんは剥いだんだから、俺もやらなきゃフェアじゃないよな、うん」パタ

P「よし、じゃあデパートにでも寄ってから帰るか――」スクッ

P(……)トコトコ

P(……やっぱり会うのは恥ずかしいなあ)



385: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:43:37.09 ID:78YUTgqoo


 ・ ・ ・

 ――きらりの日記、その後

 [事務所]

P「きらりー、居るかー?」

きらり「お、Pちゃんおっすおっす☆何かあったのかにぃ?」ピョン

P「おっすおっす。それでだな、今度のテレビ収録のこと――」

こずえ「……なにしてるのー?」

杏「うわ、なんでここがバレ……まずっ!」

きらり「うきゃー☆杏ちゃんとこずえちゃんもいたんだあ!」ダダダ

杏「来るな―! 止まれー撃つぞー!」バタバタ

きらり「止まりながらでも動けるにぃ」シュン

杏「何だお前体が……何をするだァー!」

 ドドド……

P「なんだが……いっちまった」

こずえ「ふわぁ……はやいー……」

P「……というかだ、何故こずえがここに居るんだ?」

こずえ「ママがねー……とーきょー、おすみなさいってー……」

P(衝撃の事実)

こずえ「それでね、きたのー…」

P「まさか独りでか!?」ビクッ

こずえ「うんー…道はおぼえてたから……ふわぁ」

P「ここには一回しか来てないし、それ以前に言いたいことはいっぱいあるけど……まずはきらりだ。おーいきらりー、帰ってこーい」

 ドドドド…

きらり「ただいま☆杏ちゃんもばっちし!」

杏「」

こずえ「おにんぎょうみたいー…」



387: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:44:55.88 ID:78YUTgqoo


P(テレビ収録の話どころじゃなくなったし、急な案件でもないからあとでもいいか)

P「あー、実はだな、こずえが新しく寮に入ることになったんだ」

きらり「うきゃー!杏ちゃんにーこずえちゃん☆いっしょにハピハピしちゃうー!」

こずえ「はぴはぴ…するぅ」ポケー

P「杏はさておき今事務所に誰も居ないから、こずえに寮のことを説明してやってほしいんだ」

きらり「Pちゃんはおうちのこと知らないにぃ?」

P「知ってるけど、実際住んでるきらりが説明した方がいいだろ?」

きらり「なるほど☆Pちゃんあったまいー!」

こずえ「きらりー…きらきら……おうち、どんなとこー?」

きらり「とってもたのしートコだにぃ! うーんと、杏ちゃんもいるっ☆」

P「杏は家具じゃないぞ…」

こずえ「たのしーとこー……ふわぁ、たのしそー…」

きらり「でしょー☆でも楽しいのは杏ちゃんがいるからだけじゃないにぃ! ホントは――」

 ダキッ

P「うわ、いきなり抱きついて――」

きらり「Pちゃんがいるからだにぃ! きらりもみんなも、とってもハピハピさせてくれるんだよ☆うきゃーハズカシー!」ギュー

杏「つぶ…つぶれ……るぅ」グググ

P「……ちょっと杏が眠そうだから引きとるわ」グイ

きらり「ありゃ、杏ちゃんおやすみすぅ?」

杏「ありがとよ…後は頼んだ」バタッ

P「後でアメあげるからな……と、ありがとうな、きらり」

きらり「うきゃー! まっすぐなPちゃんヤバーイ☆」テレッ



388: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:45:31.77 ID:78YUTgqoo


こずえ「……こずえもー」ダキッ

P「こら、こずえ……俺に抱きついてきてどうする」

きらり「かわいいものはあつめちゃおー☆Pちゃんもきらりのおへやきちゃうー?」

こずえ「こずえのおへやに……くるぅ?」

P「まだこずえの部屋は無いしきらりの部屋はまた今度いかせてもらうよってかこずえ意外に力強いな……!」ググ

きらり「こずえちゃんつよーい☆きらりとお友達になっちゃうー?」

こずえ「ふわぁ……なるぅー、よー、たのしそー……」

きらり「じゃあこずえちゃんもPちゃんもきらりのおへやにごしょーたーい! 可愛いから呼んじゃう☆杏ちゃんも一緒にハピハピしよーねー!」ギュッ

こずえ「わー……」フワ

P「は…はは……」グニュ

P(……俺、可愛いの?)

 [おわり]


389: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/05(木) 22:47:14.72 ID:78YUTgqoo


 ・ ・ ・

 ――ちひろの日記、その後

 [事務所]

ちひろ(……まあ、よくよく考えたらあの文章も普通の仲間としての範疇よね)カタカタ

ちひろ(目の前で読まれるのが途端に恥ずかしくなって仕事もらって追い出しちゃったけど……悪く思われてないかな)ガチャ

ちひろ(もう、そんな事考えるなら昨日食べた晩ご飯の話でもすればよかった)ハア

ちひろ(ああでも私の日記を見たプロデューサーさんから何か反応があったり……なんて)フフ

ちひろ「……でも鈍いからなあ、あの人」ポツリ

P「誰が鈍いんですか?」ポソ

ちひろ「うっひゃあぁ!?」ガタッ!

P「そんなに驚かなくても……只今戻りました」

ちひろ「あ、ああプロデューサーさんおかえりなさい。すみません、急に外に出しちゃって」

P「いやいや、いいですよ。最近忙しかったですし、いい休憩になりました」ガサッ

ちひろ「ん、このビニール袋はなんですか?」

P「まあ、ね。すみません、これから少し出かけてきますので、また留守番お願いします。それじゃ」トタトタ

 ガチャン…

ちひろ「……結局なんなんだろう。中身は――プリン一つと事務所の交換日記?」

ちひろ(まさか)ガサッ


 パララ、パラ……




ちひろ「……ふふ、プロデューサーさんも同じこと考えてるんですね」パタン

 [おわり]

399: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:13:52.59 ID:QmwFJCnso


 ――ある日の事務所、朝

比奈「ちわっス」ガチャ

P「おう、比奈か。おはよう」

比奈「おはようございまス、プロデューサー。事務所には一人っスか?」スタッ

P「ああ、寂しいがみんな出かけててな。所属アイドルは増えても、仕事があるから仕方ないさ」カタカタ

比奈「そうさせてるのはプロデューサーっスけどね。嬉しい事でスが」ガサゴソ

P「はは、その通りだ……と、比奈は何をしてるんだ?」

比奈「ガンプラ作りっス」パカ

P「…ガ、ガンプラ?」

比奈「今日の仕事は昼からでスから。偶然見かけたんでなんとなく買ってみました」バリバリ

P「いや、それはいいけど…比奈はプラモデルも作れるんだな」

比奈「製作自体は得意じゃないっスけど、人物を知るにはまずガワを知らなきゃ」パチパチ

P「その割には手つきが妙に小慣れてるんだが」

比奈「好きこそものの上手なれっスよ」クス

P「……確かに、比奈もアイドル衣装に違和感がなくなってきただろうしな」

比奈「…それは違くないっスか?」

P「嫌いなのか?」ニヤ

比奈「…いや、好きでス」プイ



400: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:14:39.47 ID:QmwFJCnso


P「ふああ、俺も休憩するかな。そっち行ってもいいか?」

比奈「大丈夫スよ。パーツは箱に入れてまスから」

P「そうか、ありがとう」

 トトト……

P「はい、お茶で悪いが」

比奈「あ、わざわざすみませんでス」

P「まあ、ついでだよ。……じゃあ比奈も遊んでることだし、俺も日記でも読むかな」スタスタ

比奈「ああ、日記でスか。結構続いてまスよね」パチパチ

P「比奈は書かないのか?」

比奈「私は絵が専門でスので……」

P「…じゃあ漫画で日記を書いたらどうだ?」

比奈「……どうしてそう逃げ道を塞ぐんスかぁ」

P「…すまん。まあ気が向いたらでな」スタッ

比奈「…私も一緒に見てもいいでスか?」

P「ああ、いいよ。でもその……そのプラモデルはいいのか?」

比奈「何個も作ってるんで大丈夫でスよ」

P「……ちなみにそれはなんてヤツなんだ?」

比奈「ジム・コマンドでス」

P「ガンダムじゃないのか?」

比奈「ジム・コマンドでス」ドヤァ

P「……そうか」ペラ


401: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:15:17.19 ID:QmwFJCnso


 □月▽日

 近頃ハイテンションの紗理奈だよ!

 どうしてかっていったら、そりゃあこの暑い夏は水着姿になって色んな人に見せつけて魅せつけてやったし、熱い視線をイッパイ浴びてまたアタシが魅力的になったからね!

 勿論プロデューサーもよ?
 普通の人ならわからなくてもアタシにはわかるよ、あの海水浴場でのロケの時、アタシのコト見てたでしょ~!
 アノ視線、とっても気持ちいいの。プロデューサーだからよ?

 フフフッ、やっぱりプロデューサーもオトコなのね☆


 いいのいいの。そんな枯れたつまらない視線よりも、情熱的な……ねっとりとした視線の方が何千倍も快感なんだから!
 アイドルになってそれがもっと分かったの。老いも若きも皆アタシを見る事が、アイドルとして、アタシとして、アタシ自身をより魅力的に魅せるんだってね!


 へへ、アタシも結構な情熱的だよね。まるで仕事に向かうプロデューサーみたい。
 元々熱いタイプだとは思ってたけど、プロデューサーと出会ってそれが更に加速したのかも。

 それって、アタシとプロデューサーの相性がいいからなのかもね?


 何の相性かって?
 プロデューサーならわかるクセに、とぼけちゃダ・メ♪


 SARINA☆


402: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:16:34.97 ID:QmwFJCnso


比奈「……少しケイベツしまス」ジト

P「どうした俺はいつものプロデューサーだぞははは」タラタラ

比奈「尋常じゃない焦りっぷりでスよ、プロデューサー…」

P「信じてくれ、それでも俺はやってない」キリッ

比奈「いや、それは捕まってからの台詞っスから。…そうでなくても信じてますよ、私は」クス

P「比奈ぁ……」グス

比奈「こんなにも可愛い女の子に囲まれても色目を使ってないんでスから、疑えるはずないじゃないでスか」

P「…ホントに俺ってすげー立場にいるよな」

比奈「言われてみればそうでスが……それもこれも、…その、魅力的だからでスよ」チラ

P「確かになあ。アイドルはみんな魅力的でコントロールが重要だからな」ウンウン

比奈(そういう意味じゃないんでスけど…)ハァ

P「でも他の子に誤解を与えかねないから、それも書いておかないとな――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 確かに夏のロケは紗理奈が大活躍だったな。
 ウチの事務所は割と引っ込みがちなタイプの子も多い中、紗理奈のような強い
キャラクターのアイドルが居てくれて助かるよ。
 紗理奈がいるだけで全体的な仕事の幅も広がるからな。

 だからこれからもその満ち溢れた自信でファンを魅了してやってくれ、期待してるぞ。


 ……ただ念の為言っておくと、俺はそんな不埒な目では見ていないからな。
 本当だぞ!

 だって俺はプロデューサーだからな!

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

比奈「……ひとついいでスか?」

P「どうした?」

比奈「それだと、いわゆるフラグってやつなんでスけど」

P「……まあ、ウチのアイドルはいい子達ばかりだから大丈夫、…のはず」ペラ

比奈(本当でスかねえ?)



403: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:18:02.80 ID:QmwFJCnso


 □月×日

 恥ずかしいんですけど…無理やり渡されて…逃げ道を塞ぐなんて、ぜんにんのすることじゃない…私はそうして困っています。

 あくまのこえ。
 ひたり、ひたりとぬきあし、さしあし。まよわずに、わたしのところにやってきます。

 やりたくないって言おうとしたんですけど…みてみたいっていっぱい言われて声を消されたんですけど……。

 くろいて。
 おおきなかげが、あたしをつつみます。

 あっという間に仕立てあげられて、書くしかなくなって…まるで誰かさんみたいで、結局書いてしまいました……。

 つよいひとみ。
 のがさないと、わたしをぐっとつかみます。

 ええと……いい天気です。私とは正反対の、いい天気です。
 このあとも、事務所の人と同じ仕事に行く予定です。

 でも、そのこころは。
 でも、そのかおは。

 アイドルを続けるのは正直辛いですけど…
 事務所のみなさんとか……プロデューサーさんとかいるんで、なんとかやってます。

 じつはやさしい、あたたかなきもちなのかもしれません。
 だから、すなおにひかれます。

 別にアイドルが嫌なわけじゃないです。
 もちろん仕事が全部楽しいわけじゃないですけど…それでも、やっていけそうな




 だからっておしごとにむりやりつれていくのはやめてください
 こころのじゅんびがいるんですけど!


404: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:18:36.64 ID:QmwFJCnso


P「誰とは書いてないが、確実に当てる自信がある」

比奈「でスね。私にも想像ができまス」

P「乃々はなぁ……難しかったなぁ……」アオギ

比奈(あ、プロデューサーが遠い目になってまス)

P「タイプ的には杏と似ていても、杏はああ見えて結構騒ぐからまだわかるんだけど…」

比奈「静かでスもんね、乃々ちゃん」

P「杏みたいに要求がフィクション染みてるならともかく、乃々の場合は発言がリアルすぎてな」

比奈「女の涙は武器だって、本人も言ってましたしね」

P「あれは武器じゃなくて本心だから難しいんだよ……まあ、それでもなんとかやることはやってくれるんだけど」

比奈「そういえば仕事ブッチしたって話はきいてないっスね」

P「口ではああいってても、やらなきゃいけないことはわかってくれてるからいいが…」

比奈「そういうのも、人徳なんスかねー?」

P「だといいけどな――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 乃々だな?
 日記を書いてくれてありがとう。


 正直に言うと、初めて乃々と出会った時は月並だが衝撃だったよ。
 いきなり辞めたい、だなんて今まで見たことがなかったからな。

 だからこそ一人のプロデューサーとしてやりがいを感じていたのかもしれない。
 こんな可愛い子をそのまま無駄にさせるわけにはいかない、とかな。

 結果的にそれなりにプロデュースも成功しつつ、何より乃々が少しでも前を
向いてくれるようになって、本当に嬉しいよ。


 ただな、仕事は前もって必ず連絡しているぞ。
 最近は乃々の趣向もわかってきたから、それに合わせた仕事を取るようにして
いるし……。
 トップアイドルの座へ躍進してく段階に入った今、もう少し頑張ろうな。
 それができれば乃々は何倍にも速く、強く、煌めいて歩いていけるはずだ。


 だから…じゃないが、頼むから俺の机の下を陣取るのは止めてくれ。
 色んな私物が増えているんだけど、あそこは秘密基地じゃないんだって…

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

比奈「切実でスね」

P「いや、あそこに入るのは乃々だけじゃないからあの時は一種の倉庫なんじゃないかと思うぐらいに大変だった…」トオイメ

比奈(一体何があったんでスか…)

P「それでも……まあ、成長してるから良しとしようか」

比奈「ところで、乃々ちゃんってポエミィなところもあるんでスね」ヨミヨミ

P「自己紹介ページの趣味にはそう書かれているな。今までそれを見ることはなかったが、なかなか面白いな。俺には少し難くてうまく読めないけど」ハハ



比奈(……マジでスか?)



405: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:20:11.55 ID:QmwFJCnso


 ――紗理奈の日記、その後

 [外]

 
P「えーと、確かここで待ち合わせているはずだが――」キョロキョロ

 コツ、コツ、コツ…

紗理奈「だーれ……だっ♪」ダキッ

P「うわっ!?」ビクッ

紗理奈「アタシでした~。ウフ、プロデューサーはウブだねー。そんな驚いた顔しちゃって♪」

P「お前なあ……いきなりされたら誰でもびっくりするっての」

紗理奈「でも顔が少し赤いのは気のせいかな~?」クス

P「馬鹿。なるわけ無いだろ」コツン

紗理奈「あいたっ。ちぇ、引っかかると思ったんだけどなぁ」

P「紗理奈の性格を考えたら十分あり得るからな。プロデューサーだぞ、俺は」

紗理奈「さっすが~。アタシの全てを見ただけはあるね♪」

P「誤解されるようなことをいうな……最近世間の目が厳しんだから」

紗理奈「じゃあ世間の目をアタシに向ければ問題ないよね、ウフフッ!」

P(いつもやられてばっかりじゃダメだな…ここは一つ)

P「…じゃあ今すぐその変装を解いてゲリラライブでもするか?」

紗理奈「うーん、いい考えだけど……今日はプロデューサーとの買い物だからいいかな~」

P「そうかー、この中にファンが居るかもしれないのに残念だなー」チラ

紗理奈「あれあれ、まさかプロデューサーが見たいだけだったりー? やっぱりオトコノコだね、プロデューサーは。ウフッ♪」

P「――当たり前だろ。出来れば独り占めしたいぐらいだ」グイッ

紗理奈「……っ!!」ビクッ

P「……なーんてな。バレても面倒だし、早く行くぞー」スタスタ

紗理奈「あ、ちょ、待ってよプロデューサー!」トタトタ



紗理奈(……今のプロデューサーの顔、すっごくオトコだった……!)

 [おわり]



406: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:21:42.15 ID:QmwFJCnso


 ――乃々の日記、その後

 [事務所]

P「おーい、誰か居るかー?」

ライラ「いるでございますです。ライラに御用でございますですか?」

P「ライラか。乃々……森久保乃々は知ってるか?」

ライラ「のの・もりくぼ…知ってますです。小さくてくるくる、でございますですね」

P「…表現はさておき、事務所に来てたか?」

ライラ「……すみませんです。アイスを頂いたですのでそこのブランケットにくるまってますのは言えないでございますです」

ブランケット「!?」モゾ

P「…ああ、そうなのか。悪かったな。お詫びに今度雪見だいふくをプレゼントするよ」

ライラ「雪見だいふく、でございますですか。二個入り、とても贅沢なものです。ありがとうございますです」

P「期待してていいぞ。じゃあそこのブランケットをキャリーケースに入れようか……あー、キャリーケースはどこだったか――」

乃々「もりくぼは荷物じゃないんですけど…アイスが無駄になったんですけど……うぅ」モゾ

ライラ「森久保様。休息はもう大丈夫でございますですか?」

乃々「休息が終わったから次は就寝を希望します……」

P「杏みたいな事を言うんじゃない。ほら、仕事行くぞー」

ライラ「お仕事、大事でございますです。頑張って下さいです」フリ

乃々「あーうー……」



407: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/18(水) 22:22:08.76 ID:QmwFJCnso


 スタスタ

乃々「最近仕事多いんですけど……プロデューサーさん、何かしたんですか…いぢめですか」

P「何もしてないぞ。向こうからの希望だ」

乃々「もりくぼに希望はないんですけど……」

P「アイドルでいたいというのは希望じゃないのか?」

乃々「辞めたいんですけど…」

P「……本当か?」ジッ

乃々「……冗談ですけど」メソラシ

P「でもまあ仕事が多いのは事実だからなあ……どうだ、何かやりたいことでもあれば聞くぞ?」

乃々「休日でもですか……?」チラッ

P「乃々がそうしたいなら、こっちもオフを調節してくっつけるけど…それでいいのか?」

乃々「……」

乃々「……あの」ボソ

P「どうした?」

乃々「買い物……行きたいんですけど」

P「俺と?」

乃々「新しく出来たとこ、行ってみたいんですけど……行ける人がいないので」

P(普通に誰か誘えば行けるだろうに……まあそういうのも手か)

P「俺でいいなら喜んで付き合うぞ。いつがいい?」

乃々「いつ……」

P「?」

乃々「……い、今でしょ」ボソ

P「……」

乃々「……」

P「……くくっ」

乃々「言わなきゃよかった…恥ずかしいんですけど……!」バッ!

P「乃々がそういう事いうのは意外で可愛いな」ハハ

乃々「うぅ……埋まりたいんですけど……!」

 [おわり]

416: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:51:21.70 ID:VBHHIeJPo


 ――ある日の事務所、昼


ちひろ「あれ、珍しいもの食べてますね」

P「そうですか?」ズルズル

ちひろ「釜玉うどんなんてコンビニに売ってるんですか?」

P「いや、これは別々に買ってきました」

ちひろ「えっ」

P「少し離れた所にスーパーあるじゃないですか。あそこで卵とダシとうどんを買って来たんです」ズル

ちひろ「ほぼインスタントだったプロデューサーさんが、そこまで手間を掛けるなんて…」

P「暦では秋ですけど、まだまだ暑いですからねえ。冷水でシメてもおいしいですよ」

ちひろ「食欲なくてもうどんは何故か食べられますからね」

P「うどんさまさまです。別に普段からよく食べますけどね」

ちひろ「私もです。手軽だからですけど」

P「それもありますね」ハハ



417: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:51:49.49 ID:VBHHIeJPo


 ・ ・ ・

P「最後にお茶を……ふぅ、美味かった」ゴクゴク

ちひろ「ホントに美味しそうに食べますね、プロデューサーさん」

P「そうですか?」

ちひろ「グルメリポーターに挑戦してみますか?」クス

P「アイドルの仕事を盗んじゃいけませんよ。…まあ、そう言われて悪い気はしませんが」

ちひろ「今度ピックアップしておきますね、ふふ」

P「ノリノリですね、ちひろさん……ああ、そうだ。前回のイベントの報告はもうあがってますか?」

ちひろ「前回の……あー、すみません。今やってるんですけど、後もう少しなんです。一時間もすればできますので少しもらえますか?」

P「急かすようですみません。お願いします」

ちひろ「ありがとうございます。では急ピッチで仕上げますよー!」カタカタ

P(それまでは暇だなあ……せっかくだし、日記でも読むか)ガタッ



418: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:52:44.76 ID:VBHHIeJPo


 □月※日

 今日も元気ににゃにゃーん!
 天下の猫アイドル、前川みくだにゃ☆

 猫アイドルはたっくさん居るけど、アイドル界じゃみくが一番だよっ!



 ……でもPチャン、あのユニットはなんとなくPチャンの意図が入ってるような……


 ううん、Pチャンならそんなことしないって知ってるもん☆
 だってあの時からずっと一緒にいるからにゃー!

 色々あったけど、やっぱりあの時ついていって良かったにゃあ♪

 だからPチャンはこれからもみくに期待しててね☆
 猫は恩義深いんだから、何倍にも幸せと猫のキモチをプレゼントするにゃあ!
                   前川くん、君もキャッツを応援しようじゃないか!

 ずっとずっと、一緒だにゃ☆

 みく♪


419: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:54:26.29 ID:VBHHIeJPo



P(姫川ァ…)

ちひろ「?」チラ

P「…こほん。そういえばみくがうちの事務所に入った時って、結構プロデュース方針揉めましたよね」

ちひろ「みくちゃんですか? ……ああ、確かにそうでした。あれ、プロデューサーさんが最初に反対したんですよね?」

P「ええ。アイドルやっていくのに猫キャラは難易度が高いって言った記憶があります」

ちひろ「でもみくちゃんはそれを無視して猫キャラを続けたんですよね…」

P「最初は安易なキャラ付けのためにやってるんじゃないかって思ってましたけど……それとは別に、必死に練習してる姿を見て、本心から真面目にそう考えてるんだなって気付かされました」

ちひろ「プロデューサーさんもまだまだ新人の頃でしたしね」

P「どこか自分のアイドルのイメージに固執し過ぎていたのかもしれません。みくが居なければ、俺のプロデューサーとしての存在も、軽薄なものになってたでしょう」

ちひろ「いつもは皆を引っ張るプロデューサーさんが教えられただなんて、みくちゃんに言ったらきっと嬉しがると思いますよ」

P「あの頃はあの頃、ですから。恩返しとか言ってますけど、今の俺こそみくに恩返ししてるようなもんです――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 なんだかんだで長い付き合いだよな、俺ら。


 ……で、あの時は悪かったな。俺もまだまだ甘いと知らされたよ。
 後輩たちも、みくの姿を見て頑張ってきたようなもんだ。

 俺も、みくに付いてきてもらって助かったと思っているぞ。


 だからといって、恩返しは必要ないからな。
 これからもアイドルとして輝いてくれるのが、最高のプレゼントになるだろうから。


 アイドル界きっての猫アイドル、前川みく、これからも頑張っていこうな!

 Pより
――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「……えらく素直ですね」ジー

P「うわ、ちひろさん……いきなり覗かないでくださいよ」アセ

ちひろ「どことなく文体も踊っているような……プロデューサーさんって、結構みくちゃんみたいな子がタイプなんですか?」

P「いやいや…アイドルにタイプも何もありませんよ。俺はプロデューサーですから、その子の個性や特性を引き出したい、それだけです」パラ

P(……まあみくのボディには結構クるものはあるけどな)メソラシ

ちひろ「へーはーふーん…」

P「何ですかその目は…」

ちひろ「やっぱりプロデューサーさんも男なんだなーって」ジー

P「資料作成に戻って下さいっ」

ちひろ「…はーい」

P(……無意識の内にそうなっているのか?)アセ



420: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:55:24.40 ID:VBHHIeJPo


 □月□日

 緒方智絵里です。
 えと、みくちゃんの後がわたしでいいのかな、なんて思っちゃいます。
 可愛くて……わたしもみくちゃんみたいになれば、勇気ももっと持てるかな……?

 ずっとアイドル活動をやってきて、最初は……ええと、今もですけど、まだどこか自分が不安なんです。
 わたし、強くなくて……これからもずっとやっていけるのかどうか、最近は考えちゃったりします。
 だから、事務所のお友達の真似をしてみたり……にゃん、なんて。


 でも、きっとPさんはそんなわたしでも応援してくれるんです。
 前、そんなことを考えている事がPさんにバレた時、Pさんは何でもないような話し方で「大丈夫だ」って言ってくれたんです。

 不思議ですよね。なんてことない言葉なのに……何でも出来ちゃいそうになるような、おまじない。

 でも、それをかけるのは、きっとわたしの役目です。
 わたしはアイドルだから。
 こんなわたしでも見捨てないで、ずっと見てくれたPさんがいたから今わたしは楽しくアイドルをやれているんだと思います。
 だから、Pさんのためにも一生懸命アイドルとして、みなさんに幸せを振りまいていけたらな、って思います。

 ……えと、やっぱり面白くないですよね。
 あ、そうだ。この前、事務所に来た時、偶然夕美さんに会いました。
 初めて会った時から、お花の話をしてくれて、明るくて、元気で、楽しい人です。

 それで、その時夕美さんが事務所の窓際に植木鉢を置いていたんです。
 そこにはまだ苗の植物があって、わたしにはそれがなんの花かわかりませんでした。

 なので聞いてみたら、マリーゴールド、と返ってきました。
 この日記を書いてるいまは、綺麗な黄色の花が咲いています。
 つぼみから咲いたその花はわたしも、みんなも楽しませてくれます。

 つぼみのころは、わくわくさせて、花が咲いてからは、香りを振りまいて…みんなを笑顔にして。

 できたらいいな。
 ……そのためには、わたしはもっとがんばらないとだめみたいです。

 とりあえず、小梅ちゃんに相談しようかな?



421: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:56:09.94 ID:VBHHIeJPo


P「……綺麗だよなあ」

ちひろ「い、いきなりどうしたんですか」ビク

P「ああ、いえ、このマリーゴールドです。夕美が言うにはもうすぐ枯れるそうだから寂しいですけど」

ちひろ「ああ、そういうことですか。確かに落ち着きますよね」

P「……ちひろさんは、花を見てどう思ったりしますか?」

ちひろ「花ですか? ……ええと、プロデューサーさんの言ったように落ち着くとか?」

P「他にはありますか?」

ちひろ「それに……賑やかにさせてくれたり、時間を感じさせてくれたり、プレゼントなら、幸せにさせてくれたりもしますね」

P「ありがとうございます。そうですよね」

ちひろ「…日記に何か書いてあったんですか?」

P「まあ、なんてことない話です」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 アイドルになって変わった子といえば、智絵里もそうだな。
 本当に、見違えるようになったと俺は思うぞ。

 初めて出会った時は……俺も少しびっくりしてしまったぐらいだからな。


 ただ、無理して背伸びして変わる必要はない。
 ありのまま受け入れて、今の今まで変わってきただろう?

 それで智絵里は強くなった。昨日できなかったことが今日できるようになって、
言えなかったことが言えるようになってる。
 視線もきっちりしてきて、ライブのパフォーマンスもちゃんとできるようになって
るじゃないか。

 それ以上は、変わるんじゃなくて自分を偽るということだ。

 今でも智絵里の笑顔で幸せになるファンは居るし、智絵里が居ることで楽しくなる
仲間もいる。
 何より、ゆっくり一緒に歩いて、喜んでいる俺が居る。

 だから、深く考え過ぎないようにな。
 花のように、ゆっくり時間をかけて、変わっていこう。歩幅はみんな違うのだから。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

ちひろ「……成長と変化って、似てるようで違いますよね」ジー

P「ちひろさん……資料作成はどうしたんですか」

ちひろ「おかげさまで終わりましたよ。…智絵里ちゃんの最初の頃を思い出してました」

P「ああ……インパクトは別としても、印象深いといえばそうなりますね」

ちひろ「見ているこっちが不安になりそうで、この先大丈夫かと思いましたよ」

P「……でも今は違います。自信が無いように見えて、芯ができた」

ちひろ「これもプロデューサーさんの甘言ですかね?」

P「誤解されるような言い方をしないで下さい!」



422: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:57:29.85 ID:VBHHIeJPo


 ・ ・ ・
 ――みくの日記、その後

 [ペットショップ]

みく「にゃにゃー♪ カワイイ猫チャン達がいっぱーい☆」ゴロゴロ

P「店のスタッフさんにちゃんとお礼するようにな……向こうの好意で特別に用意してもらったんだからな」

みく「ふっふっふー、ぬかりないにゃあ♪ 宣伝しまくって猫チャンの楽園にするんだからっ!」

P「いや、猫以外にもペットがいるんだけどな…」

みく「わかってるにゃあ! それよりPチャンも一緒にゴロゴロするにゃー!」グイ

P「うわ、危なっ…!」ドタッ

みく「ほらほら、スーツなんか着てないで一緒にゴロゴロするにゃ♪」

P「……まあ確かに今日は仕事で来た訳じゃないから、こうするのは悪くないが、アイドルと近すぎるのはダメだ」ググ

みく「えー、みくはせっかくのオフでPチャンと猫をサワサワしにきたのににゃあ、もったいないにゃあ!」

P「オフはオフでもアイドルのオフだぞ。それに店のスタッフ専用の部屋とは言え、スタッフに見られたらまずいだろ」

みく「ちぇー。みくはPチャンとゴロゴロしたいのにー」ブー

P「ぶーたれるなよ……別に嫌いで避けてる訳じゃないんだから」

みく「むむむ――あ、Pチャンは猫チャン好きだよね?」

P「ん? まあ好きかな。擦り寄ってくるのは可愛いしな」サワサワ

みく「――じゃあ、猫のみくもじゃれつくにゃあっ♪」ダキ

P「うお、み、みくっ……!」ドキ

みく「ほーら撫で撫でするにゃあ……って、どうしたのかにゃ? あ、もしかしてもしかして、みくのプリチーなスマイルに魅了されたかにゃあ?」ニコ

P(こんなに近いのに無意識とは……)アセ

P「……こんにゃろ」グイグリ

みく「うにゃあ!? やめるにゃPチャン! みくの猫耳が外れちゃうにゃああ!」バタバタ

P「うるさい、猫だから俺は撫でるぞおおお!」

みく「ちがうにゃあ、もっとラブリーに撫でるんだにゃああ――!!」


 [おわり]



423: ◆VVUrtNVNRY 2013/09/30(月) 21:58:42.30 ID:VBHHIeJPo


 ・ ・ ・
 ――智絵里の日記、その後

 [事務所]

 ガチャ

P「まだ暑いな…ただいま戻りました」

智絵里「……あ、Pさん…おかえりです」

P「ん、智絵里だけなのか? ちひろさんはどうした?」スタスタ

智絵里「ちひろさんは、その、出かけてるって……それで、少しお留守番です…」

P「なるほどな。俺はこれから机仕事だから、もう留守番は大丈夫だぞ。ありがとうな」バサ

智絵里「あ、はい……ええと、あの……Pさん」

P「ん、どうした? 喉が渇いたか?」

智絵里「いえ、そうじゃなくて……は、はい。あの…こ、これ、どうぞっ」バッ

P「どうぞって、これは……押し花か。それもマリーゴールドじゃないか」

智絵里「はい。…ええと、夕美さんが枯れる前のマリーゴールドを…押し花に、ってくれたんです」

P「へええ……綺麗に出来てるなあ。咲いてる時と変わらないぐらいだ」ニコ

智絵里「それで……あの、Pさんにあげようかと思って…」ポツリ

P「え、いいのか? 押し花ってこういう花は難しいんだろ?」

智絵里「いいんです。一つだけじゃないし……その、一緒のもの、持ってほしい、ですっ」ピラッ

P「……ありがとな、智絵里」ナデ

智絵里「っ!」ビクッ

P「それと、智絵里も成長したなあ」シミジミ

智絵里「ひゃ、ひゃあ……撫でながら、む、昔を思い出さないで…くださ…」

P「はは、悪い悪い。でもこうやって言うようになれたのも、自分で変わったって思わないか?」ピタ

智絵里「……はい、思います。Pさんのおかげ…です」

P「俺は何もやってないぞ。智絵里がちゃんと今までやってこれたからこそ、だ」ナデナデ

智絵里「……あ、ありがとう、です」

P「だから、無理しないで歩いて行こうな。ゴールはまだまだ先なんだから」

智絵里「…はいっ」ニコ

 [おわり]

433: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:24:35.40 ID:TOvPfPZ3o


 ――ある日の事務所

 ガチャ

P「今日も朝から出社ですよー……と、ん?」

幸子「……あ、Pさん。朝早くからボクに会いに来るなんて殊勝ですね」

P「お前のために来た訳じゃないが…どうしてここに?」

幸子「ふふん、ボクはカワイイ上に賢いので、次の仕事の台本を読み込んでるんですよ!」

P「ほー……ちゃんとメモ書きまで綺麗に書いてら」チラ

幸子「トーゼンです! 字は書いた本人を表しますからね!」ドヤァ

P「…でもこれは可愛いというよりもかなり綺麗寄りだよな」ボソ

幸子「……時代はハイブリッドなんですよ! ボクはカワイイしキレイなので!」アセ

P「…ハイブリットサチコか、これで何か企画組めるかな――」

幸子「ボクをイロモノにしないでくださいよっ! ……まったく、Pさんは扱いがなってませんね」

P「長い付き合いだからな。近づけばそうなる」

幸子「むぅ……まあ悪い気はしないのでいいとしましょう。なんて寛大なボクなんでしょう」

P「相変わらずだな、幸子は――って、その台本の下にあるのは……日記か?」ヒョイ

幸子「そうですね。みなさんが書いたのを気分転換に読んでただけです」

P「幸子は書かないのか?」

幸子「書いてもいいんですか? ボクの日記のあまりの素晴らしさにみなさんが涙を流しちゃいますよ?」ドヤァ

P「……お前なァ」グリグリ

幸子「ちょ、いきなりなんですかいきなりっ!」



434: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:25:43.08 ID:TOvPfPZ3o


 ・ ・ ・

P「……はあ。ほら、お茶持ってきたぞ」コト

幸子「ふふん、ボクのためにご苦労サマです、Pさん。やっぱりPさんはこうでないと」

P「俺はお茶汲み係じゃないんだけどなあ……隣座るぞ」ドサ

幸子「な、なんでボクの隣に…反対側が空いてるじゃないですか」ビク

P「なんでって…お姫様を守るなら傍に居ないとな」

幸子「……似合ってないですよ」ドキ

P「顔赤いぞ」ハハ

幸子「い、いきなり言うからびっくりしただけですよっ!」ペチペチ

P「はは、幸子はカワイイなあ」グリグリ

幸子「ちょ、せっかく戻したのにー!?」ワシャワシャ

P「大丈夫大丈夫、幸子は可愛いから」

幸子「……まあ、カワイイなら仕方ないですね。許しましょう」

P(許すのか)

幸子「ほら、Pさんは仕事があるんでしょう? ボクに構いたいのは十分に判りますが、始めたらどうなんですか」

P「いや、ちひろさんから資料受け取らないと始まらないから、それまでは暇なんだわ」

幸子「そうですか。だったらボクが命令をしてあげます。その日記を戻しておいて下さい」

P「……うりゃ」パシッ

幸子「あいたっ!?」

P「……さて、読むか」パララ

幸子「ちょお、いきなり叩くなんてひど――ってこっち向いて下さいよ、Pさぁん!」



435: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:26:28.73 ID:TOvPfPZ3o


 ×月○日

 面白いことを探して早数年……って、まだぜんぜんそんなにたってなーい。

 柚だよー。
 日記なんてイマドキ珍しいよねー。
 メールとか電話とかならよくするけど、こうして字を書くの何て滅多にないよ?


 滅多にないといえば、アタシの人生も滅多にないんじゃないかなー。
 だってさ、聖なる夜にスカウトだよ?
 ふつーならナンパって思っちゃうってっ!
 実際アタシもちょーっとは思ったけどさ、やっぱり面白そうだったから頷いちゃったんだよ。

 よくよく考えると、これって結構アブナイ感じだよねー。
 Pサンだったからよかったけど。


 ……これさ、他のみんなに話したらPサン、評価落ちちゃったよ。やっぱり気をつけた方がいいよね、Pサンは(^o^)


 あ、それとこの前バドに付き合ってくれてありがとねっ♪
 最近仕事ばっかりだったから久しぶりにやりたいなーって思ってたら、Pサンが言ってもないのにバドのセット買ってきたんだもん、びっくりだよ。
 Pサンは帰りに寄ったホームセンターで何となく買ってきたって言ってたけどさ、アタシにはわかってるからねー。

 結局さ、アタシがこうして面白いことやれてるのって、全部Pサンのおかげなんだよね。
 いっぱい輝いてさ、ちやほやされてさ。
 今までやってきた事が全部霞んじゃうくらい、面白いの。
 まさかテレビ画面の向こうがこんなにおもしろいなんて、Pサンに出会わなきゃ味わえなかったな。
 あまりに楽しいから、きっかけなんてたまに忘れちゃうぐらい♪


 …でも、アタシは忘れないよ。
 今も面白いけど、一番面白かったのは、あの日、スカウトした時のPサンの顔と恥ずかしい言葉なんだから(^o^)ノ


 軽そ―に見えるけど、これからも頑張るからね、アイドルも……Pサンの事もね、なんて。へへっ♪



436: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:27:16.24 ID:TOvPfPZ3o


幸子「……」ジト

P「なんだその目は」

幸子「いーえー。ボクの時とはちがうんだなーって思っただけですー」

P「違うって…そりゃ幸子は自分から来たからなあ」ワシャワシャ

幸子「ちょ、だから……んもうっ! 確かにボクにふさわしいのがあなただったから仕えさせた、それだけですよ!」ペイッ

P「それで、お眼鏡にはかなったか?」

幸子「……時々ボクの扱いが変な時がありますけど、それ以外はまあまあですね」

P「お前も柚ぐらい可愛げがあればなあ…」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 そんなに立ってなくとも、印象の時間はもう何年も過ぎたみたいだよな。
 偶然では会ったが、柚を見つけることが出来て悪かったことなんて一度もないぞ。

 それと、時期が悪かったのは自覚しているよ。出来過ぎなぐらいだ。

 ただ、俺の見知らぬ所で勝手に俺の評判を落とさないように。
 プロデューサー業は評判が何よりも大事なんだから……とくに思い込みの激しい子も居ないわけじゃないしな。

 まあ、素直な子が多いし、きっと柚もフォローしてくれているとは思うが……。
 みんなにも俺の返信を読むように言っておいてくれよ?


 ……後半の文、まさか他の子に言ってないよな?

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

幸子(柚さん……強敵ですね)ウウム

P「どうかしたか?」

幸子「なんでもありませんよ。ただボクのカワイさに見惚れていただけです」フイ

P「あるんじゃねえか……」

幸子「ボクがカワイイのは当然ですから空気も同然です。ボクのカワイさを吸えて満足ですか?」

P「可愛いかどうかはさておき、幸子と一緒の空気を吸えているのは満足だよ」

幸子「……次、いったらどうですか?」ピク

P「ん、おう、行くよ」パラ

幸子(Pさんの癖に…)ドキ



437: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:28:56.45 ID:TOvPfPZ3o


 ×月□日 くもり時々はれ。
 かいたひと:ほーじょーかれん

 やっほ。
 Pさんったら変な事思いついたなーって思ったけど、薫ちゃんの発案だったんだね。
 私は仕事だったり他の人がもう書いてたりで、中々書く時間がなかったんだよ。

 Pさんが作ったのにPさんのせいで書けないなんて、なんだか因果だよね。
 凛も奈緒もずっと前のページでもう書いちゃってるし、私だけ置いてけぼり?なんて。


 まあ、置いてけぼりなんて私にはよくあることだったし、驚きもしないけど。


 ……いやいや。
 こんなこと冗談でも書くと、みんなに責められちゃう。とくにPさんにね?


 はーい、私、アイドルだよ。笑

 昔の私はもうバイバイ。Pさんのおかげで、こんなになっちゃった。

 以前は……Pさんとか、凛や奈緒は知ってるけどさ、私はいつも外で見る側だったの。
 なんかやってるなーとか、大変そうだなーとか、何にしてもそう。
 テレビで証明に照らされて笑顔で踊るアイドルを見ても、なんであんな疲れることしてるんだろ、って思ってたもん。

 でも、それはただ私が隠してたってだけなんだね。
 それを見抜いたのはPさんだよ。暗い底で眠っていた私を起こしたのは、Pさんなの。
 私を動かしたのも、私を震えさせたのも、みんなPさん。
 あ、でもアイドルになって負けたくないって思わせてくれたのは凛だけどね?
 Pさんは甘いもん。病院にいた時が被るのかわからないけどさ、他の人がぶーたれてるよー。
 ちなみに奈緒は……あんまりそーいうのはないかなー、なんて。笑

 大事にしてくれて悪い気はしないけどね、ふふ。


 …いざ読み返すと、ちょっと詩的だよね。私には似合わないかな?
 普段はこーいうキャラでもないんだけどなー…他の人もそうだけど、慣れないと変な所が出ちゃうのかも。

 ああ、だったらついでに。
 まだ終わりじゃないから、いつもなら言ったりはしないけど……日記だから言っちゃう。


 アイドルにしてくれてありがとね、Pさん。
 私を支えてくれてありがとね、凛、奈緒。でも負けないから。

 それじゃーね。


 加蓮


438: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:30:39.38 ID:TOvPfPZ3o


幸子「加蓮さんとはあんまり話すことはないですが……病院ってなんです?」

P「ああ、幸子は知らないか。…昔の加蓮は体力がなくて、よく体調を崩してたそうなんだよ」

幸子「三人で踊ってるライブ映像を見ても、そういう風には見えませんが…」

P「変わったんだよ。俺の力だけじゃない、凛と奈緒が居たから、あいつの闘争心をまた呼ぶことができたんだ」

幸子「……なんだかスゴいですね」ポツリ

P「…幸子が人を褒めるなんて珍しいな」

幸子「カワイさならボクが一番ですけど…それでも、残念ながらボクが全て一番ではないんです。尊敬する人くらい居ますよ」

P(……へえ)

幸子「加蓮さんが昔どうだったか、ボクに全部がわかるわけじゃないですけど、努力してきたのはわかります」

P「みんな努力してきたんだけどな。一部は除くが」

幸子「ですが、そんな人にさせたのはPさんなんですからね。その点は、ボクのプロデューサーとして合格点をあげましょう」ドヤ

P「…そりゃ光栄なこった」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 日記も含めて、自分の思いを文字に記すというのは不思議な物だよな。
 言えなかったことも、言い難かったことも、するっと書けてしまう。

 それだけ言葉というものは当たり前のようでとっても大事な存在という
ことは、今の加蓮ならよくわかるんじゃないか?


 加蓮を含めてあの三人の顔合わせをした時の事は今でも覚えているぞ。

 みんな仲良くなりたいのに、自分から何も言い出せなくて変な空気が
流れていたのも昔の話か。

 加蓮も凛も奈緒も、あの頃とは全く違う姿になった。
 着実に、一歩一歩前に歩いているんだ。

 だからといって、昔を消す必要はない。
 振り返って、あんなこともあったな、って笑えるようになって初めて、
思い出という道は作られるんだからな。

 …まあ、加蓮がいくら忘れようとも、俺はあの時の加蓮を忘れることは
ないだろうけどな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

幸子「…Pさんって、子供みたいですね」ボソ

P「幸子に言われるとは心外だな…」エー

幸子「別に悪い意味じゃないです。そうしてみなさんの心に入っていけるのは、Pさんが素直すぎるからなんでしょうかね」

P「……素直かあ。言われ慣れないな」ハハ

幸子「ボクからの有難い評価です。後生大事にしてくださいね」

P「そうだな。大事にしておく」

幸子「殊勝ですね、ふふん」



439: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:31:33.73 ID:TOvPfPZ3o


 ――柚の日記、その後

 [事務所・会議室]

P「こんなもんですかね」カキカキ…

ちひろ「そうですね。じゃあ、今月も頑張りましょう」スクッ

P「はい。……それにしても、アイドルが増えると会議も長引くなあ」

ちひろ「ふふ、嬉しい悲鳴ですね」

P「休みもあまりないし、次の営業までの隙間が唯一の癒やしです」

ちひろ「ここの所ひっきりなしですからね……ここらで休み入れましょうか?」

P「有給溜まってるし、考えておきます」

ちひろ「いつでも言ってくださいね。調整しますから」

P「はは、ありがとうございます。それじゃ、出かけるまではコーヒーでも飲んで休みますね――」ガチャ

柚「あ、Pサンそこにいたんだ」クルッ

美玲「二人きり……オマエ、ちひろに変なことしてないだろーなッ」

P「してねえよ。というか二人も休憩か?」ガシ

美玲「ふがっ」

柚「そだねー。午後から撮影だけどまだ時間あるからなにしよっかなーって話してたんだよ」

ちひろ「中途半端でごめんね、二人とも」

柚「いいよいいよー。美玲ちゃん面白いし。…それと、二人もっていうことはPサンも暇なの?」

P「まあ少しだけな。営業までの間だよ」

柚「へー……じゃ、バドやらない?」スッ

P「お前はどんなところからラケットを取り出すんだ……」

柚「今度は自前なんだー。前の安いやつ、Pサン空振って地面に当ててへし曲げたでしょ?」

P「う……たまたまだよ」

美玲「へへーん、オマエも人にダンス教えるクセに運動だめなんだな」ヘヘ

P「そうだな。苦労するよ、美玲を見るのは」ガシッ

美玲「わぶっ」



440: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:32:45.00 ID:TOvPfPZ3o


P「……まあ、前やったきりだったからな。よし、やろうか」

柚「ほんとっ? やた、公園行こっ」ピョン

美玲「ウ、ウチもやるぞ、追いかけるのは得意だからなッ」グイ

ちひろ「ふふ。仕事の時間を忘れないでね。はい、ドリンクどうぞ」

P「ありがとうございます、すみませんね」

柚「ちひろさんもありがとーっ」

ちひろ「はい。いってらっしゃい」


 ガチャ



P「よし、スーツも脱いだし……今回は負けないからな」スタスタ

美玲「でも、三人で勝負はできないぞ?」

柚「そだね――じゃあ、こうしよっかっ」スッ

美玲「……ッ!?」ピク

P「うお、いきなり引っ付いてどうしたんだ」タジ

柚「美玲ちゃんは一匹狼だから、柚はPサンと組もっカナー」ダキ

美玲「ちょ、一匹狼は関係ないだろッ!?」

柚「うそうそ、じょーだんだよー。三人でやろっか」

P「そうだな。あと離れなさい」グイ

柚「ちぇー」スッ

美玲(あんな大胆なことできるのか……)ドキ



柚「……ねえねえ、どうだった、Pサン?」ボソ

P「……変なことを聞くんじゃない」

 [おわり]


441: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:34:35.80 ID:TOvPfPZ3o


 ――加蓮の日記、その後

 [事務所・夕方]

 カタカタ…

加蓮「んぅ、ふあ……」ムクリ

P「ん、起きたか。おはよう、加蓮」スタスタ

加蓮「あれ、Pさん――ってここは」

P「事務所だぞ。仕事から戻ってきて二人を待つまでに寝てしまったみたいだな」ハハ

加蓮「え、あ……そうだった。今は……うわ、もう五時! 二人は――っとと」フラ

P「寝起きなんだから無理に動くなよ。ちなみに二人は加蓮の寝顔を見て帰ったよ」

加蓮「あ、そうなんだ……悪い事しちゃったな」シュン

P「そう思ってはいないらしいぞ。詳しくは奈緒の携帯を見るといい」

加蓮「携帯って……まさか」

P「見せてもらったが、可愛く写ってたぞ。加蓮の寝顔」ハハ

加蓮「や、止めてよ恥ずかしい……うう、最悪ぅ」カアア

P「はは。アイドルの寝顔、スクープ、ってな。静かに眠る姿はお姫様みたいだった」

加蓮「もう、Pさんってば。……お姫様かあ」

P「不満か?」

加蓮「いや、ぜんぜん。……私さ、夢を見てたんだ」

P「さっきまでのか」ドサ

加蓮「うん。ぼんやりとだけど」

P「あんなに気持ちよく寝ていたんだ、さぞ良い夢だったろう」

加蓮「そうだね……清々しくて、心地良い夢だったよ」

P「へえ…」

加蓮「私が居て、Pさんが居て。凛も奈緒も、事務所のみんなも居て、ただそこに居るだけで、時間が色鮮やかになっていくの」

P「そう思ってくれるのなら、冥利に尽きるな」

加蓮「うん。……本当にありがと。Pさんが居なかったら私、ずっと小さな世界でただぼんやりと空を眺めてただけかもしれないから」ハハ


442: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/07(月) 22:35:41.82 ID:TOvPfPZ3o


P「……否定をするなよ」

加蓮「え?」

P「そうやって今アイドルを本当に楽しめているのも、昔があったからこそだろ?」

加蓮「……だけど」

P「俺はお前を否定しない。苦しんだ過去も、辛い過去も、何もかもな。…加蓮、きっとお前はこの時が終わる事を怖がっているんじゃないか?」

加蓮「どうして、…そう思うの?」

P「当たり前だろ。お前を育てたプロデューサーなんだ、わからないはずがない」

加蓮「…Pさん」

P「だからこそ言うぞ。――過去に戻りたくないなら、過去の加蓮も幸せにしてやれ」

加蓮「……どういうこと?」

P「今を精一杯楽しむんだ。昔の分も合わせてな」

加蓮「…昔は変えられないよ。私がアイドルを辞めたら、また――」

P「たくさん友だちを作って、思い出を作って、アイドルの一生分楽しんで……それからもしアイドルを辞めたとしたら…加蓮は昔に戻るのか?」

加蓮「あ……」ハッ

P「アイドルをやめたら昔に戻るわけじゃない。過去の加蓮じゃなく、別の加蓮になれるんだ。輝かしい過去と、たくさんの素晴らしい仲間を持った、別の『過去の加蓮』にな」

加蓮「……別の過去の私……か、…難しいけど、そうなれるのかな」

P「それを決めるのは加蓮自身だ。だが、それが決められない内は俺がお前の隣に立って肯定をする」

加蓮「――加蓮ならやれる、って?」クス

P「……台詞を取るんじゃない。…けど、わかってるじゃないか」ポン

加蓮「Pさんに育てられたアイドルだもん、わかるよ。……痛いくらい、Pさんの気持ちがわかる…っ」ヘヘ

P「……否定も肯定もしなくていい。ただありのまま楽しんで、……終わってから決めよう、な?」ナデナデ

加蓮「……うん」ポス

P「もたれかかるなよ……汚い肩に」

加蓮「汚くないよ。私を支えてくれる大事な肩。Pさんしか持ってない……最高の、肩かな」

P「……そうか」ナデナデ

加蓮「……うん、そうだよ。だから、もう少しだけ、このままで――」

 [おわり]

451: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:24:14.94 ID:+OUGl1uKo


 ――ある日の事務所


P「ふう、ただいま」

ちひろ「おかえりなさ…って、あら? 裕美ちゃんは今日仕事なかったはずよね」

裕美「あ、今日は来ちゃだめでしたっけ…」アセ

P「いや、今日は裕美の買い物の付き添いですよ、ちひろさん。ショッピングセンターまで行ってたんです」

ちひろ「ああ…今日の午前がないのはそういうことだったんですか」

裕美「そこの店しか置いてない材料とかあって……でも遠いから、と思ってたらPさんが誘ってくれたの。ありがとう、Pさん」

P「いいよ。俺も気分転換できたしな」

ちひろ(プロデューサーさんになら許されるスケジュール…裕美ちゃんいいなあ)

裕美「えと、じゃ…全然足りないけど、お礼にPさんのお手伝いがしたいな」

P「俺の手伝い? いや、ソフト扱わせる訳にもいかないから気にするなよ」

裕美「いつも私にたくさんくれてるから…なんでもするよ?」

P「ん? 今なん……げふんげふん。…あー、それじゃあコーヒーを頼んでもいいか?」コホン

裕美「ふふ、はい、任されましたっ」トコトコ

ちひろ「……」

P「いやー、裕美もちゃんとしていい子ですねえ。真面目だし、言う事ないです」ハハ

ちひろ「……イイゴミブンデスコト」ジト

P「…どうしてそんな冷たい目なんですか」

ちひろ「いーえ、ただプロデューサーの裕美ちゃんを見る目がおっさんみたいだなあって」ボソ

P「聞こえてますから! というかそんな視線は送ってませんよ!」

ちひろ「ジョーダンです。ほら、裕美ちゃんが奉仕してくれてるんだからそこで休んでて下さい」

P「なんかトゲがありませんかね、ちひろさん…」


452: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:26:42.35 ID:+OUGl1uKo


 ・ ・ ・

裕美「はい、どうぞ。私が入れたからいつもと違うかもしれないけど…」コト

P「おお、悪いな、それじゃ――うん、いつもより美味しく感じるぞ」ハハ

裕美「もう、Pさん。口が上手いなあ、ふふ」

P「嘘じゃないよ。……と、ついでに日記も持ってきたのか」

裕美「うん。Pさんって、休憩中にこれを見て返信を書いてるんだよね? だったらいるんじゃないかな、って思って。…違った?」

P「よく見てるな、その通りだよ――っと、よかったら裕美も一緒に見るか?」

裕美「え、ええっ? …いいのかな、私が一緒に見ても」タジ

P「他の子と見た事もあるからな。それに隣に居てくれたほうが俺も楽しいし」クス

裕美「そ、そっか…じゃあ見る。と、隣いいですか?」

P「おう、来い来い」クイクイ

裕美「し、失礼します……」ドキドキ

P「はは、日記を見るのにそんな緊張しなくてもいいんだぞ?」

裕美「そ、そうだね…」

ちひろ(これがプロデューサーに必要な素養なのか…!?)

P「じゃあ早速…最初はケイトか。どんな日記だろう――」パラ…


453: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:27:26.19 ID:+OUGl1uKo


 Date:※/× Nice day♪
 Name:Kate

 Hey!I'mケイトだヨ!

 もー私がアイドルになって時間がたったってビックリだよネ!
 だって留学だったから、アイドルになるかって言葉、チョービックリ!

 もちろん、プロデューサーの言葉も、ネ!
 でも留学で覚えた日本語もアイドルで役に立ったし、アイドルやって更にジョーズになったと思うんだけど、どう?

 プロデューサーは最初の私知ってるから、教えてほしいな!
 それで成長の証を残すの!

 私はこれだけがんばれたんだーって書いて、家族に見せたらきっと喜ぶからネ!

 ……でも、日本語ばっかり書いてるとスペルが出てきにくくなって…心配されそーデス。XD

 ま、ダイジョブ!
 イギリスのツアーで家族に私のアイドル姿、見せられたから!
 お母さんなんか、日本でアイドルやってるのって近所に自慢してるらしいデス!


 これも親孝行の形だよネ!
 無理言って留学して結果は違ったけど、目標は達成ダー♪


 …あ、これはダメ!
 きっとプロデューサーなら、「目標はもっと上」って言いマスから!

 どう、当たった?
 相手のことわかってるのは、同じなんだからネ!


 だから、あとは日本のファンとイギリスのファン、そして世界のファンに私のナイスバディを見せつけマス♪

 i'll hold you tight!だからプロデューサーもhold me tightよろしくネ!

 (^O^)日本の顔文字、カワイイ♪



454: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:29:14.92 ID:+OUGl1uKo


裕美「ケイトさん、私が初めて会った時から上手だったよ、日本語」

P「裕美とケイトが会った時期は……あー、そうだな。確かに上手くなってた時だ」

裕美「…それじゃ、最初の頃は今みたいに喋られなかったんですか?」

P「んー……今に比べりゃ言葉に詰まることも多かったし、片言な部分もあったかな。今とは大違いだ」ハハ

裕美「そうなんだ…異国の地で、苦労したんだろうなあ」ポツン

P「いや、そうでもないぞ」

裕美「え?」

P「あいつは日本が元々好きだったから、難しくてもやる気だけは強かったさ。俺も最初は勉強に付き合わされたよ」ポリポリ

裕美「へえ……すごいな」

P「そうだ、すごい。裕美と同じだな」

裕美「え、私と?」

P「そうだ。裕美だって最初は笑うのが苦手だったけど、本当は好きだったんだろ?」

裕美「…そうだね」モジ

P「好きこそものの上手なれ。上手くゆかなくとも、好きでいる気持ちがあるならどこまでも行けるもんさ」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 ケイトの日記はなんだか懐かしく感じるよ。
 確か、昔にもケイトの日記を見せてくれたっけな。

 今日あった事とか友達との事とかの下に覚えた言葉なんかも書いてあったりで、
当時からケイトのやる気には随分俺も自信を持たせてくれたよ。

 まあ、その努力が実ってくれて俺も頑張った甲斐があったかな。


 イギリスツアーは最高に楽しかったな。俺もよく覚えてるぞ。
 日程の関係でご家族に挨拶はできなかったが、また仕事でイギリスに向かうことが
あれば是非とも改めてお礼を言わせてほしい。

 正直ケイトの人生を動かしてしまった事は悪いと思ってるが、それでも楽しんで
くれていると思うと、誘ってよかったなと思うよ。
 俺の言葉を信じてくれてありがとう。これからも頼む。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

裕美「好きこそものの上手なれ、かあ…今なら、私にもぴったりだね。ふふっ」

P「そうだな。今こうして笑えるのも、好きで居られたからこそだ。その気持ちは忘れないでくれ」

裕美「もちろん忘れないよ。…Pさんがくれたものも、全部ね」

P「はは、それじゃあ仕事を頑張ってもっと返してもらおうかな。…と、それじゃあ次は――」パラ


455: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:33:59.15 ID:+OUGl1uKo


 ×月▽日
 担当:鷹富士茄子


 時は何度もあめあられ。良きも悪しきもあめあられ。
 めぐって、めぐって。
 小さな光をそっと、手のひらに。


 鷹富士茄子です。みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
 得てして色んな何かに出会うのが人とはいえ、私はとーっても色んな人に出会えたような気がします。
 これも、良き縁と結ばれたからでしょうね♪

 何の縁かって? ふふ、内緒ですっ。


 ここに来て、未知の世界に驚くことも多々ありましたが、お仕事でご一緒になる方や事務所のみなさんが優しくしてくれたお陰で私も楽しくアイドルやれてますよ。
 …うふふ、こう言わないと心配しますからね、プロデューサーは。

 いつもいつも駆け回ってお仕事をとってきて、みなさんとも素晴らしい絆をもって、幸せにしてくれる。
 まるで馬のような…私達を幸せに運んでくれる、大切な人です。
 口にはしないけれど、みなさんもそう思ってるでしょう。勿論私も、ですよ♪

 私は自分のことを運が良いと思ってますが、これじゃまだまだです。
 誰かを幸せにしてこそ、ですよね。

 そういう意味では、私の目標はプロデューサーでしょうかー、なんて♪
 今度私を連れてってみませんか? 良いこと、あるかもしれませんよ、ふふ。


 というわけで、今日もみなさんを幸せにするために頑張りたいと思います。


 麗奈ちゃんが何かの道具の製作に行き詰まってたのでお手伝いしてた、茄子でした♪




 あ、せっかくなのでネタばらしでもしましょうか。

 実は冷蔵庫にあるデザート、たまに私が作ってるんですよ♪
 ケーキの上に乗っているぶどう…何かの形に見えませんか?

 うふふ♪



456: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:34:42.15 ID:+OUGl1uKo


P(ぶどう……いや、まさかな)

P「あれ茄子の作ったやつだったのか…誰かが買ってきたものかと思ってた」

裕美「私も食べたよ。羨ましいくらいに上手だった…」

P「本当にびっくりするな…ちひろさんは知ってたんですか?」

ちひろ「知ってましたよ。一応誰のものか把握しておかないと駄目ですからね」カタカタ

P「それで俺に言わなかったのは…趣味だから、なのか?」ズルッ

ちひろ(茄子ちゃんもよく準備しますよねえ…ある意味芸ではありますけど)

裕美「明るい性格で、話しているととってもふわふわするよね。なぜだかはわからないけど…」

P「俺は、茄子を仕事で送ってると渋滞に巻き込まれないで予想よりも早く着いたことがよくあるな…これも運のよさか?」

裕美「運のよさって移るんだ…?」

P「まあ、人の気は反応しあうし伝染するとも言うからな。これが事実であろうとなかろうと、名前には全然負けてないな、はは」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 運が良いってすごく曖昧だよな。
 何が起ころうとも、その人の感性によって変わるんだから。


 もしそうだとしても、茄子に出会えた事は最高に運が良い事だったんだろうと
俺は思うよ。
 茄子が居るだけで心なしか事務所がやわらかくなってきたような気がするからな。
 そういう雰囲気を作ってくれる人は貴重だ。


 それにしても、不思議なもんだ。
 新人なのに妙に仕事が上手くいったり、失敗が良い方面に転がったり。茄子と一緒に
仕事をしていると世の中の面白さに気付かされるな。

 目の前が全てじゃないと教えられているような気がして、茄子には
なんだか頼もしさがあるように思えるよ。
 もし茄子がプロデューサーだったら、もっと面白い事になってたかもしれないな。


 ……いや、俺の役目が本当に無くなりそうだからその話はやめよう。

 Pより


 PS:本当に驚いたよ。
 …まさか驚かせるためにみんなに黙ってた訳じゃないよな?

――――――――――――――――――――――――――――――――

裕美「何だか不思議な人だよね」

P「確かにな。プロフィールではわからない何かが、茄子にはあるんだろうな」

裕美「…私にもあるかな」ポツリ

P「あるさ。必ず」

裕美「…きっぱりいうね。ふふ、Pさんもすごい」



457: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:35:34.52 ID:+OUGl1uKo


 ――ケイトの日記、その後

 [事務所]

P「最近みんな雑誌を事務所に持ち込んでくるなあ…マガジンラックが一杯だ」ガサッ

ヘレン「世界を知る。アイドルならば当然ね。志が高くていいんじゃないかしら?」ペラ

P「そういうあなたは漫画ですか」

ヘレン「…世界の頂点に立つならば、異世界に召喚される事も大事。そういう事よ」ペラ

P「…はあ。またマガジンラック買い足しておかなきゃな……と、これは旅行雑誌か」

ヘレン「……ああ、それなら――いえ、説明なら本人に任せるとするわね」チラ

P「え、どういう――」

 ガチャ!

ケイト「Hey,グッモーニン! プロデューサー、今日も仕事がんばりまショウっ」バッ

P「うわっ…って、ケイトか。朝早くから元気だな」

ケイト「勿論デス! スターになるためには毎日の仕事が大事ね!」ニコ

ヘレン「解ってるじゃない。私と共に存在しただけの価値はあるわね」フフン

P「元気なのは良いことだ。ええと、今日の仕事は……ケイトは10時から収録だな」

ケイト「ハァイ! イギリス特集デスから、たくさん魅力、伝えマス♪」

P「その調子だ。あとヘレンはもうすぐレッスンだから準備しておくように。ほら栞」ハイ

ヘレン「続きを読みたいという求心力…侮れないわ」スッ


 スタスタ…


P「うちは図書館じゃないんだがなあ……まあ、これだけ広ければ無理もないか」

ケイト「とってもカイテキ、いい事務所。beautiful homeデスね♪」

P「家なら掃除当番でも作るかな……なんて」ハハ

ケイト「私は家でもちゃんと掃除してマスから大丈夫デスよ……あ、プロデューサーの手に持ってるのは」

P「ん? ああ、誰かが読んだままテーブルに置きっぱなしだったものだな…お、そういえば丁度イギリス号だ」

ケイト「それ、私が持ってきたものデス。みんなにもイギリスに興味を持ってほしいナって思って」

P「はは、殊勝だな。誰かが読んだなら、きっとその子もイギリスに行きたいんだろうな」

ケイト「だといいデスね。私も頑張って書きましたから♪」

P「…書いた?」

ケイト「yes! ちょっと読んでみてクダサイ!」



458: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:36:09.25 ID:+OUGl1uKo


P「読むといっても、中身はプロが書いた特集だろ――って、手書きで色々書かれてある」ペラ

ケイト「イギリスなら私にオマカセ♪ 私の知ってること、いっぱい書きましたからっ」

P「次も、その次のページも…まさか全部にか!?」

ケイト「of course! 楽しかったデスよ」

P「すごいな…やっぱり自分の国は好きなんだ」

ケイト「当然デス。いつかみんなも誘ってイギリスに行きたいですネ」ニコ

P「はは、そうなるならスケジュール調整をかなり頑張らないとな…」タジ

ケイト「勿論プロデューサーも一緒デス! それで私の両親に会ってクダサイ♪」

P「その件も含めて、か。なるほど」ハハ

ケイト「そのためにも、今日のお仕事がんばりマス! それじゃ、少しレッスンルームでwarmin upしてきマス、bye♪」

 タッタッタ…

P「やっぱり目標があるとやる気も違うな。杏に聞かせてやりたいぐらいだ」スッ

P(……)

P「ちひろさん、海外旅行は許すかなあ」ボソ

 [おわり]


459: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/12(土) 22:37:15.68 ID:+OUGl1uKo


 ――茄子の日記、その後

 [街中]

 ザワザワ…

P「お、やってるやってる」

茄子「うふふ、人がいっぱいいるのは賑やかでいいですね♪」

P「普段から人通りは少なくないけど、もうすぐここで祭りがあるからなー」

茄子「わいわいがやがや、楽しみです。私も頑張らないとっ」

P「そうだな。今年のイメージキャラクターに選ばれたんだから、よろしく頼むぞ」ハハ

茄子「はい、もちろんですよー。みんなに幸せ、届けます――って、あら? 向こうに人だかりが……」

P「ん? あー、……福引をやってるみたいだな。この祭りに合わせた企画か」

茄子「商売繁盛、なるといいですね♪」

P「俺達もそれを手伝う訳だからな……。そうだ、ついでにやっていくか?」

茄子「え? でも、福引券はありませんよ?」

P「協賛店で買い物をすれば福引券が付くらしい。今日は下見を兼ねてるから、ちひろさんも少しぐらいなら許してくれるだろ」ハハ

茄子「…うふふ、そうですね。行きましょうか」

P「お、セールもやってるみたいだ。ラッキーだな、はは」

茄子「はい、ラッキーです♪」

茄子(…これも福、ですね♪)

 [おわり]

467: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:47:56.43 ID:byTCgkumo


 ――ある日の事務所、夕方

 ガチャ

P「ふぅ、今日も回ったぞ……」

奈緒「お、Pさん、おかえり」プラプラ

P「ソファで寝転んでゲームか……羨ましい限りだ」

奈緒「一発オーケーもらってきたからな。進めておきたかったんだ」クルッ

P「あー…それか。事務所でもやってる子が居るなあ…止めはしないが、仕事に差し支えないようにな」

奈緒「あったりまえだよ。なにせ、Pさんがくれた仕事だかんな」

P「……何だか雰囲気変わったよな、奈緒」

奈緒「へっ? …そうか?」

P「ああ。以前より堂々としているような気がする。何かあったのか?」スタスタ

奈緒「いや、アタシは別に――いや、あれのおかげかもな」

P「あれ?」

奈緒「日記だよ。あれ書いた時は何でもないのにすっげー恥ずかしかったけどさ、一度書いたら何だか気持ちが軽くなったんだよ」

P「奈緒は……あった、このページか」パラ

奈緒「ばっ、読むなぁ!」

P「はは、慣れろよ。それにしても、割と最初の方に書いてたんだよな」

奈緒「ったく……んだな。アタシがこんな始めの順番でいいのかよって思った」

P「そして後であの二人に絡まれると」ニヤ

奈緒「ホントなんでアタシばっかりこんな目に…」ハァ

P「奈緒を信頼している証拠だよ」

奈緒「だといいけどなァ」



468: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:48:37.43 ID:byTCgkumo


奈緒「…まあ、その日記を書いたおかげで何か他の奴らと距離が近くなったような気がする」

P「例え僅かでも、腹の中を見せるって勇気の要ることだからな。一度乗り越えれば、みんなももっと奈緒に近づいてくれるさ」

奈緒(ホントはアタシの方が遠ざかってたんだけどな…)

奈緒「なんだ、まあそういう意味で日記に感謝してるよ」

P「薫にもな」

奈緒「はは、そりゃそうだ。……ところで、今日は日記を見ないのか?」

P「ああ…そうだな、戻ってきたばっかりで作業する気が起きないし、見るか!」

奈緒「それでいいのかよ…」

P「大丈夫、奈緒と一緒にいるのも仕事のうちだ」ハハ

奈緒「…べ、別にアタシは仕事じゃなくても一緒に……」ボソ

P「そうなのか?」

奈緒「うわっ!? バカ、盗み聞きすんなよ!」バッ

P「いや、奈緒が喋ったんだろ……」

奈緒「うっ……」

奈緒(でも…今までとは違うから)

奈緒「…あ、あのさ。もし暇だったら今度ご飯でも食べにいかねェか?」

P「ご飯か…いいぞ。行こう行こう」

奈緒「い、いいのか?」ピクッ

P「大体晩は一人だからなぁ、たまには誰かと食べたくもなるさ。相手が奈緒なら余計に」

奈緒「お……おう、そうか。場所は任せてもいい?」

P「勿論だよ。ありがとう、じゃあ予定組んどくよ」

奈緒「こ、こちらこそ……ありがとう」カアア

P「んじゃ、日記でも見るかな」

奈緒「ア、アタシもみていいか?」

P「おう、いいぞ。…よし、書いた子は――」パラ



469: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:50:18.33 ID:byTCgkumo


 ×月▼日
 記入者:工藤忍


 日記の一ページ。
 人々にとって、数えきれない日々の内のたった一日。
 だけど、ここに、このノートに一日を記せるということは、アタシが……工藤忍がアイドルとしてちゃんと生きているという証なんだと思う。

 辛かったよ。
 でも、辛かったからこそ、今の自分が輝いているんだとも思う。


 今、すごく楽しいよ。
 こうしてペンを持つ手が、嬉しくて震えだしそうな位。
 事務所がライブ会場になりそうな位。

 最初の頃から瞬く間にアイドルになれて、学園祭にも呼ばれて、どんどん変わっていって、皆に認められて。
 本当に一瞬の出来事のようにも思えたけど、こうして日記を書くことで今更ながら思い出してみる。

 ねえ、Pさん。
 アタシ、いっぱいいっぱいだったんだよね。
 上京ってさ、つまり何も持たずに旅をするようなもんでしょ?
 (実際アタシは本当に何も持たず来ちゃったわけなんだけど……)

 だからもう必死で色んな所に応募して、それでも落とされて……どうしようかって思った時にPさんに出会えて、その時はアイドルへの道が開けて喜んでたけど、実は泣きたかったんだよ?
 「これで見返せる」って。

 …でも、そうじゃないんだね。
 アイドルはそんなことを考えてやるべきものじゃないって、アイドルになって同じ事務所のライバルと接することで分かった。
 みんな、幸せそうだもん。それも、アイドルになったからじゃなくて、今の自分に。

 今なら選考に落とされた理由がわかる気がする。
 だからこそ、Pさんはすごいなあって思う。こんなアタシの中を見抜いてくれたんだよね?
 分かったから、アタシはあの時以上に楽しめてるんだ。みんなを笑顔にさせる、幸せにさせる、ってね!


 ……あ、もうページがなくなりそう。このままだとPさんの返信欄まで潰しちゃいそう、ふふ。

 最後に。
 Pさんと事務所のみんな、空回りしていたアタシに最初から優しくしてくれてありがとう。
 きっとみんなが居なければ、どこかで折れていたかもしれないから。

 だから、これからもよろしくね!


470: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:50:53.01 ID:byTCgkumo


奈緒「……何だかアタシの日記が恥ずかしくなるな、別の意味で」メソラシ

P「忍は…最初の頃は本当に気を張ってて、このままじゃすぐに壁にぶつかるって俺も焦ってたもんだ」ウンウン

奈緒「そんなにだったのか?」

P「本末転倒というか、行き着く先は五里霧中というか…とにかく、望んで来たけど意志が強すぎて逆に失敗することも多かったな」

奈緒「望んで来た、か……アタシとは逆だ」

P「確かに、奈緒は無理やり連れてきたようなもんだったな」ハハ

奈緒「笑い事じゃねぇよ! …全く、とんでもない人だよ」

P「今でもアイドルは嫌か?」

奈緒「う……嫌、じゃないけどさあ……ああもう、好きだよ、好き! 特にドレス着て踊るのは最高だよ!」

P「そう、人は変わるんだ。どんなベクトルであっても、アイドルに対する本当の気持ちが出れば、誰だって輝ける」

奈緒「…ホンットとクサい台詞を吐けるよなあ、Pさんは……」

P「クサくてナンボ。それを笑っちゃ、夢は輝かないぞ――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 こうして改めて書くことで、過去が蘇ったり今を感じたりで、面白い
もんだよな、日記って。


 正直言って、あの時ひと目見ただけで忍の気持ちがわかっていたんだ。
 だから、正しい道に誘導してあげなきゃ駄目だ、って思ったんだよ。
 ちゃんと歯車さえ噛み合えば、凄いアイドルになるって感じたからな。


 どうなることかと思ったけど、俺だけじゃなく事務所のみんなのおかげで
忍が本当のアイドルの楽しさに気づけてもらえて、俺は本当に嬉しいぞ。

 これからも、仲間と切磋琢磨してファンの皆に夢を与えてやってくれ。


 あ、この前はりんごと缶コーヒーのおまけありがとう。あれだけ中々
置いてなかったんだよな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

奈緒「…Pさんっておまけ集めんのか?」

P「いや、別にそれ目的で集めてるわけじゃないが……缶コーヒーを買おうとしたら偶然付いてきてな。それで」

奈緒「普通にわかるから怖いよな、おまけって…」

P「忍はおまけ集めるのが好きらしいけど、前に部屋に上がった時はあんまり見かけなかったなあ……一体どこに収納してるんだろうな」

奈緒「おま……部屋上がったことあんのか!?」

P「誘われたからなぁ」ウン

奈緒(ア、アタシも誘えば来てくれるのか……?)

P「まあ自宅訪問は中々楽しいもんだ。じゃあ次は――」パラッ


471: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:53:27.69 ID:byTCgkumo


  ×月△日
  担当:川島瑞樹

 懐かしい、なんて言ってしまっては差を感じるようで嫌だけど、この懐かしさは決して忌むべきものではないわね。

 日記に関わらず、紙に字は昔からよく書いていたわ。
 ほら、アナウンサーってたんに原稿を読むだけじゃなくてメモも大事だしね。言葉の使い方も間違ってはいけないし、その言葉がどういう影響をあたえるのか吟味もしなきゃいけない。
 こうして書くと、我ながらよく頑張ったものよね。


 そういう意味では、今の私も頑張っていると言えるかしらね。
 まあ、先輩や後輩を見てもアナウンサーがタレント扱いを受けたり声優などの類似種に手を伸ばしたりする人も居たけど、私はなんてったってアイドルなんだから!

 勿論周りには驚かれたわ、出来るわけないって。
 でも、挑戦する気持ちを忘れた人間がのうのうと生きていられるほど楽な職業じゃないのはアナウンサーもアイドルも同じよね。

 だから私はP君の視線に応えるの。応えることが礼儀だし、何より私自身の挑戦だからね。
 この年でも何かに燃えるって素敵だわ。そう思わない?

 ……あの時のP君の視線も熱かったケド♪


 難しいのは重々承知よ。
 頑張ってる私だって、茜ちゃんの元気さを見ると羨ましいと思うし、楓のミステリアスさを見ればすごく映える絵だなと思う(中身は全く違うけどね)。

 だけど、諦めたらそこで終わりなの。
 ……そういったのは他の誰でもなくP君よ。

 その言葉があるから、私はこうして頑張っていられる。
 言葉で皆を動かす畑の人間だったんだもの、言葉の力を感じない訳がないわ。それがP君なら尚更、ね?

 P君、若い子に比べれば扱いが難しいかもしれないけど、私頑張るから、これからも付き合ってよね。
 大人の女の魅力、今よりもずっと磨いて魅せつけてあげるんだから!



 あ、菜々ちゃんは一緒に頑張りましょうね。



472: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:57:42.28 ID:byTCgkumo


P「おお、何か本職っぽい」

奈緒「いや、前職だけどな…」

P「でもこの字とか、きっちりしてるよなあ。美優さんの字は少し丸っぽいけど、川島さんのはパソコンで打ったみたい」

奈緒「アタシはあんまり字うまくないからなー……羨ましいって言えば羨ましいな」

P「そうか? 少し崩れてるけど上手いぞ?」パラ

奈緒「だからアタシのページを開くなって……字で言えば幸子も中々だよな」

P「ノートをきっちりとってるだけはあるよな。どちらにせよ、俺も出来れば見習いたい所だ」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 安定した職からの転身は誰でも勇気のいることですけど、それを進むことが
できた川島さんは大人なんだなって思います。

 レッスンも積極的に色んなジャンルに挑戦するし、年下の子相手でも聞きたいことがあれば聞きに行く。
 そんな姿を見ていると、俺をとても安心させてくれます。


 ……ですが、大人となれば気軽に誰かを頼りにくいこともきっとあるはず。
 そんな時のために俺が居るんですから、前に進むのもいいですけどたまには
休んで下さいね。
 川島さんが居ることで、俺も、年少の子も楽しくやれてるんですから。

 諦めず、それでいて気を張りすぎず。
 難しいところですが、お互いよく意思疎通をして無理なく頑張っていきましょう。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

奈緒「なんか学級日誌の先生の一言みたいだな」

P「相手が川島さんだから、つい、な」

奈緒「いや、アタシもわかるぞ……可愛い大人ってああいう感じなんだろうなって思う」

P「確かにな。出身が大阪だから親しみやすさがあるのかもしれない」

奈緒「たまにはっちゃけすぎてる部分もあるけど……」

P「まあそこは……愛嬌ってことで」ウン

奈緒「……愛嬌ってことだな」ウン



473: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:58:44.90 ID:byTCgkumo


 ――忍の日記、その後

 [収録後、楽屋]

P「はい、ジュース。お疲れ様」ポン

忍「ありがとね――ふぅ、何だか生き返るよ」

P「今日は結構大きめの番組だったからな。でも画面見る限り変な所もなかったし、上等だったぞ」

忍「ふふ、アタシも成長したってこと!」ニコ

P「いっぱい頑張ってきたもんな。……でも、最近は仕事もレッスンも詰め過ぎだぞ、大丈夫か」

忍「今までにもそういうことがあったし、大丈夫だよ」キュ


 シーン…


P「……その目だなあ、やっぱり」

忍「え?」

P「思い詰めてる目だ。……気づいてないのか、忍が自分を追い込んでる時は、大体そんな目をしてるんだぞ?」

忍「……そんなことないって」

P「そんなことある。……母親が来るから頑張ろうと思うのは仕方ないけどさ」

忍「え、どうして知ってるの!? アタシは言ってないのに…」

P「ああ、聞いてない。でも、母親から俺の方に電話が来たんだよ」

忍「……どういうこと?」

P「丁寧に名乗ってくれて、今度ライブに見に行きたいとか、近況報告とかを交わしたんだ」

忍「アタシもメールでちゃんと連絡してるのに……なんでだろ」

P「あの子はどうしても頑張りすぎるから、出来るだけ見てあげて下さい、そう言ってたぞ」

忍「……!」



474: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 22:59:36.32 ID:byTCgkumo


P「やっぱり親は子を知ってるもんだな。どうせ連絡と言っても順調としか言わなかったんじゃないのか?」

忍「う……でも実際順調だし、大丈夫だよ」

P「だから心配してるんだよ。動き続けられる人なんて居ないんだ、心配して当然だろ」

忍「……そうだね、また考えすぎてたかも」

P「努力家なのは心強いけどな。……まあなんだ、近々休みを作る予定だし、気を張ってないでゆっくり休むのもいいと思うぞ」

忍「休みかあ……ああ、なんか久しぶりでよくわからないね、ふふ」

P「悪いな、気が利かなくて。出来るなら長めの休みをとって実家に顔を出すぐらいのことはしてやりたかったんだが」

忍「いいよいいよ。会わなくてもライブでアタシのこと見てくれるし、ゆっくり休むから――あ、でもその代わり……お願い、聞いてもらえないかな?」

P「お願いか…俺に出来る範囲なら何でもやるぞ」

忍「えーと、…よかったらアタシの休みの日、また家に来てもらえないかなーって」

P「俺が?」キョトン

忍「うん。Pさんが以前家に来た時、何だかすごく落ち着いたんだ。きっとアタシの面倒をずっと見てくれてたからかな」

P「落ち着く、か」

忍「うん――そう、家族だ。アタシ、長い間遠い所で一人だから、Pさんといると楽しい気持ちになるの。……駄目かな」

P「……いや、行かせてもらうよ」

忍「ほんと?」

P「そこまで言われちゃ断れないからな」ナデ

忍「えへ、撫でられるなんて子供みたい……でもPさん、何だかお父さんみたいだよ」

P「まだ結婚もしてないんだけどな……」ハハ

忍「褒めてるんだよ」

P「……褒めてるのか、それ」

忍「褒めてるんだよ、それ」クス

 [おわり]


475: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 23:00:06.73 ID:byTCgkumo


 ――瑞樹の日記、その後

 [事務所]

瑞樹「うーん……いや、ここは……」

P「あれ、川島さんどうしたんですか、そんなに紙とにらめっこして…」

瑞樹「ああ、P君か。ちょっと考え事を、ね?」

P「考え事ですか……俺でよければお手伝いしますよ」

瑞樹「さっすがP君、優しいわねえ。じゃあお願いしたいんだけど、これ」ピラッ

P「さっきまで見てた紙が何なんです………って、『みっちゃん』? 『みんみん』?」

瑞樹「いえね、私もアイドルとしてやるなら、もっといいニックネームがあってしかるべきだと思うのよ」

P「まあ、確かにアイドルユニットなんかはファンから愛称で呼ばれる事もよくありますが……これは」

瑞樹「ここはやっぱり大人の魅力とかけて『ずっきゅん』とかどうかしら」マジマジ

P「……どこからそうなるんですか?」

瑞樹「ほら、みずきって真ん中にあるでしょ。あなたのハート、ずっきゅんしちゃうぞ、なんて可愛いじゃない?」

P(反応に困る…)タジ

瑞樹「……はあ、その視線で言いたいことはわかるわよ」

P「え、あ、……すみません」

瑞樹「気にしなくていいわ。手綱役として、それは当然あるべき態度だものね」ハァ

P「川島さん…」

瑞樹「……まあ、それもあるんだけど、やっぱり子供と接する時に『川島瑞樹』だと固いかなって思ったからなのよね」

P「川島さんは子供は好きですか?」

瑞樹「ええ、好きよ。見ていて愛らしいし、これからを担う人なんだなって応援したくなっちゃうもの」クス

P「…俺もそう思います」ニコ

瑞樹「だから、大人としてこの事務所の子達を良い方向に導けたらって思って、もう少しフランクに行きたかったんだけど、中々難しいわねえ…」

P「川島さんはよくやってくれてますよ。アイドルなのに、よく目をかけてくれて俺もすごく助かってます」



476: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/16(水) 23:01:29.40 ID:byTCgkumo


瑞樹「嬉しいわ、P君。そういう言葉も、行動も。…こうして誰かから気遣ってもらえるのは、すごく嬉しいものね」

P「…すみません。美優さんといい川島さんといい、本来俺達がすべきことを手伝ってもらって」

瑞樹「いいのよ。無理してやってるわけじゃないんだから」クス

P「そんな他力本願な俺がこう言うのも説得力がありませんが…たまには俺に頼って下さいね」

瑞樹「そんな、私がアイドルになってからずっとP君に頼りきりじゃない。今更ねえ」

P「仕事で俺が頑張るのは当たり前です。その上で川島さんの不安や疲れを軽くしてやりたい、プロデューサーじゃなく一人の人間としての言葉です」

瑞樹「P君……ふふ、とても格好いいわ。立場が違うなら、惚れてたぐらい」

P「ほ、惚れ…!?」

瑞樹「誰かのために一生懸命になれる男の人は素敵なものよ。……いや、素敵だからP君はそこに居るのかもしれないわね」

P「…そこまで褒められると照れますね」

瑞樹「あら、いつもみんなを褒めているのに?」

P「…俺は単なる裏方ですから。褒めるべきも褒められるべきも、アイドル達ですよ」

瑞樹「……ねえ、P君。ちょっと隣に座ってくれるかしら?」

P「え、隣に? …まあいいですけど」ドサッ

 スッ

瑞樹「…そんなこと言わないで」ダキヨセ

P「ちょ、川島さん、近っ……」ドキッ

瑞樹「確かにプロデューサーは裏方よ。でもね、あなたが居なければここに存在しない子たちがほとんどなの」ジッ

P「……」

瑞樹「だからみんな感謝してるし、私もあなたの手伝いができて嬉しいのよ。卑下しないで、自信をもって、ね?」

P「…はは、なんだか鏡を見せられている気分です」

瑞樹「最後の言葉はP君の口癖だものね。…どう、気分は軽くなった?」

P「……川島さんには敵いませんね」

瑞樹「私から見ればP君も後輩みたいなものよ。もっと頼りなさいな」フフ

P「俺が後輩か……じゃあ先輩、今度飲みに行きませんかー、なんて」ハハ

瑞樹「いいわ、後輩君。…今晩にでも行くわよ♪」

P「え、いやそれは冗談――」

瑞樹「ほら、今日の仕事結構残ってるんでしょ! 私も手伝うから早く終わらせましょう!」




P(……たまにはこういうのも悪くないか)

 [おわり]

483: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:52:07.99 ID:cRl1WxXBo


 ――ある日の事務所


P「ここは、えーと…」カタカタ

ちひろ「あ、そこの参照する場所間違えてますよ。別のデータになってませんか?」

杏「……」スピー

P「うわ…あー、ここか。道理で数値が変な訳だ」

ちひろ「手伝ってもらってすみません。何せ量が多いので…」

P「大丈夫ですよ。今日の営業分はもうないですし、元々手伝おうとしてましたから」

杏「……」クカー

ちひろ「ありがとうございます。とっても助かります。お茶置いときますね」コト

P「どうもです。いやー、午後は仕事が捗るなあははは」

ちひろ「そうですね。アイドルの子達もみんな仕事に勤しんでるでしょうしふふふ」


 スピー…


P「――おい起きろコラ」ムギュ

杏「んぐぁ」グガッ

ちひろ(…おおよそアイドルの出す声じゃない)


484: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:52:58.45 ID:cRl1WxXBo


杏「くー……んあ? ああ、プロデューサーじゃないか~……」コシコシ

P「ああ、お前のプロデューサーだよ。いくらなんでも寝過ぎだ」

ちひろ「かれこれ朝から寝てますからね…」ハハ

杏「寝る子は育つんだよー……って、今心の中で否定したでしょ」ジッ

P「そこまで読めてるんならもう起きてるな。昼飯飛ばして寝続けるなんて、昨日何してたんだ?」コト

杏「あ、お茶ありがと。……えーと、確かクローゼットの奥からスーファミが出てきたから徹ゲーしてたんだっけ…比奈と」ゴクゴク

P「……ああ、そういえば比奈もいつもより眠そうだったな」

杏「うそ、平気そうだったよ?」キョトン

P「アイドルの変化はすぐわかるさ。視線の向きとかでもな」

杏「……へえ、さすがだね。杏も少しびっくりだよ」

P「まあな。杏のおかげだ」ナデ

杏「ふふふ、ならご褒美をおくれやす」

P「どこの人だよ。ほら、飴ならテーブルに置いてるから食べていいぞ。あと少ししたら仕事の準備入るんだから、頭覚ましとけよ――」スタッ

杏「あー、プロデューサー行かないでよー……隣に居ないと寂しいじゃん」

ちひろ(!?)ビクッ

P「……杏?」

杏「杏はプロデューサーが居ないと生きていけないんだから、傍に居てー…?」

ちひろ(一体杏ちゃんの身に何が……?)

P「……杏。俺は杏の気持ちがよくわかっているつもりだ」

杏「ふふー、そうなんだー…じゃあはい、隣りに座って座って」ポンポン

P「そうして取り入ろうとして仕事の時間を忘れさせようとしている事もな」ムギュ

杏「……やるじゃん」ムギュ

ちひろ(えー……)



485: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:54:01.31 ID:cRl1WxXBo


杏「もうCD出して結構経つし、テレビにもかなり出たしさ。もうゴールしてもいいんじゃないかな」グテン

P「俺の膝を枕にするなよ……あとアイドルにゴールなんてないから安心して仕事に励め」ナデ

ちひろ(といいつつ自然に撫でるプロデューサー…どういうことなの)

杏「全く、相変わらずだなプロデューサーは……というか寝るなって言うけど、仕事の時間まですることないんだけど」フワァ

P「……あー、ちひろさん、日記取ってくれます?」

ちひろ「はいはい。ふふ、いい景色ですね」

P「らしくはないですけどね。ありがとうございます」

杏「日記ー? 誰のー?」ゴロリ

P「みんなのだよ。杏も最初の頃に書いたじゃないか」

杏「……そんなこともあったような」

P「…はあ。変わってないのはお互い様だな」

杏「一緒でいいじゃん、ねえ? ……うわ、しばらく見ない内にみんな書いてるんだねー。あ、杏のページ見っけ」パラパラ

P「少し前の事でも懐かしく思えるな。どうだ、みんなを知るいい機会だと思わないか?」

杏「んー……まあいいか。でも読むの面倒だから読んでよ、プロデューサー」

P「子守かよ――と、新しく誰か書いてる」

杏「ゆーごっめー」

P「……気になるから読もう。杏も見るか?」

杏「膝の上からじゃ見えないし、読んでよ」

P「絵本の読み聞かせじゃないんだから……」パラ



486: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:55:18.39 ID:cRl1WxXBo


 ×月▲日
 栗原ネネ

 みなさん、いかがお過ごしでしょうか。
 季節の変わり目、段々夜も寒くなってきて、特に寝る時の格好は気をつけてくださいね。
 私も最近冬布団を出して早速暖かい毛布の中にくるまれています。
 はしたなくて、あまりやってはいけないとは思うんですが、やっぱり暖かさってとっても気持ちいいんですよね。

 単に温度の話ではなくて。

 事務所に入った時、皆の声が聞こえてきたり。
 仕事が終わった後、Pさんが笑顔で出迎えてくれたり。
 台本を一生懸命読んでいる時に、ちひろさんがお茶を出してくれたり。
 なんてことはないはずなのに、その暖かさが心を健康にしてくれます。

 …健康というと、もしかしたら知っている人がいるかもしれませんが、私には妹が居ます。
 優しくて人懐っこくて、自慢の妹です。

 ただ、妹は体があまり強くなくて、そのせいで昔から学校も休みがちで……私達家族には大丈夫だと笑うのですが、時折見せる暗い表情がとても頭に残っています。

 だから、私はアイドルを目指そうと思ったんです。
 真剣にアイドルになりたいと思ってた人にはごめんなさい、って言わなきゃいけませんね。

 でも、そのおかげかどうかはわかりませんが、妹は私の話をよくしてくれるようになったんです。
 テレビでライブ見たよ、とか、あの芸能人と共演してて羨ましいとか、私の話。
 それだけなら、昔と同じです。

 ……昔と違うのは、レッスンの事とか、トレーニングの事とかを聞いてくるようになったんです。
 どうしてか聞いたら、「私もお姉ちゃんみたいなアイドルになりたい」って。


 …その時、私はその言葉を聞いて幸せに感じると共に、何だかやる気がとっても沸いたんです。
 不思議ですよね。
 妹のためにアイドルを頑張った私が、いつの間にか妹のおかげでもっとアイドルを頑張ろうって思ってしまったんです。

 それだけじゃありません。
 アイドルになって、いろんな世界を見てきて、いろんな思いに触れて。
 私は私だけで生きてるんじゃなくて、Pさん、ちひろさんを含めて、多くの人のおかげで健康でいられるんだって知ったんです。

 だからこれからもずっと健康で居られるように、アイドルとして頑張りたいと思います。
 そうすることで、きっと妹も、Pさんも喜んでくれるはずだから。

 日々是好日。毎日を楽しく生きたほうが、ずっと心も楽しいですよ!



487: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:56:10.95 ID:cRl1WxXBo


杏「杏も健康だから大丈夫かなー」

P「健康診断で何も異常がないのが不思議なくらい健康だよ…どうしてなんだ」

杏「プロデューサーは結果見て毎回不安そうな顔してるもんね」

P「どうして知ってるんだお前」ビクッ

杏「女の勘」

P「…嘘つけ」ムギュ

杏「うひょひゃあいおい…」ムギュ

P「でもネネに言わせてみれば心は健康そのものだよ。誰にしたって、みんなのもつ夢を叶える手伝いが出来て幸せだからな」ウン

杏「けんこーけんこーって、気にしてるほうがふけんこーなんじゃないかとも思うけどね」グデー

P「そういうところは妹さんの事もあるんだろうなあ。見てる側も、辛くないはずはないのに」

杏「……杏が病気になったらプロデューサーはどうする?」

P「不吉なことは冗談でも言うんじゃない。…けど、病気になる前に俺がなんとかしてみせるぞ、絶対に」

杏「……ちぇ」

P「ま、健康第一が良いことは変わりない。ネネを見習って、杏も食生活くらいはちゃんとしてくれ――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 日々是好日。いい言葉だよな。毎日を一生懸命楽しく生きるネネには
ピッタリだと俺は思うぞ。

 健康ってその時には大事にされないが、無くなって初めてその大切さが
よくわかる。
 仕事をしてたまに体調を崩す度にそれを実感するよ。
 アイドル達も、ずっと健康で居てほしいと願うばかりだ。

 ただ、アイドルはアスリートでない以上、こちらから管理できる範囲と
いうのはそこまで広くない。
 無論、スパート前はトレーナーさん達も含めて干渉するが……。

 そういう時、嫌味なく伝えることが出来るネネが羨ましいよ。
 俺が言おうとすると過干渉みたいでよくないからな……。

 もちろん他の皆も自己管理は十分出来ていると思うが、中には少しぐうたらな
子も居るから、そんな時はさりげなく気遣ってやってくれるとありがたいな。


 あと、もしもの事だが、妹さんがアイドルになりたいなら俺を頼ってくれ。
 ネネの夢を叶えると共に、妹さんの夢も叶えてみせるからな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

杏「…プロデューサーってさ、健康が大事って思ってるの?」ポツリ

P「当たり前だろ。この仕事は体が資本だからな。急にどうした?」

杏「べっつにー。…口は災いの元って思っただけ」

P「ん? …よくわからないが、気をつけるよ」

ちひろ(……杏ちゃん)



488: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:56:44.55 ID:cRl1WxXBo


 ×月◇日 日誌No.007
 機密情報ニ付縁者以外ノ閲覧ヲ禁ズ


 なんちゃって。

 今日の日記は私、氏家むつみが担当しますよ!
 こうやって記録を書いていくってすごくいいですよね。私の読む小説にもよくこういうシーンがあります。
 無人島に置かれた物とか、亡き師匠の物とか、あるいはビンの中とか!

 この日記もいつか時間をこえて誰かに……私に見られるのかと思うとちゃんとしなきゃって思います。

 って、こんなこと書いてちゃ意味ないよね。


 さて、メインページは新たな冒険の話!
 この前、仕事が昼からだからそれまで事務所で小説を読もうと思って早めに来たら、比奈さんと文香さんがソファで話し合っていたんです。

 この事務所はたくさん人がいるので話している所を見たことがない人も多いんですけど、このお二方もその一組です。

 私が扉を開ける音で気づいてあいさつをしてくれました。
 お二方とも、年上で落ち着いてて優しくて良い人です。

 何を話してるのかを聞いたら、どうやら文香さんの叔父さんが古本屋を営んでいるそうなんです。
 それで、比奈さんが一度行ってみたいという話をしていたようです。

 古本屋は私も好きです。
 何があるかわからない、せまくて大きな世界はまさに宝探し!

 それで、次の日曜日に行くみたいで、私もさそってもらえました!
 お小遣いは少ないけど、わくわくするような本に出会えたらいいなと思います!

 今週の宝探しに向かって、お仕事がんばるぞー!



489: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:57:41.01 ID:cRl1WxXBo


杏「元気でうらやましー」グテー

P「羨ましくも何とも思ってないだろ」

杏「杏にもそんな時期がありました」

P「せめて現在進行形か未来形になるように頑張ってくれ…」ハア

杏「…それにしても、なんで冒険が好きなんだろうね?」

P「そりゃあ、まあ冒険にはロマンがあるからな。俺にはわかる」ウンウン

杏「あるよ、杏にも」ゴロ

P「……どんなだ?」

杏「一つ画面を挟んだらいくらでも」キリッ

P「……はいはい」ナデ

杏「なんだとこらー……。まー、アイドルも冒険みたいなもんだよね」

P「むつみ本人もそれはよくよく実感してくれてるようで何よりだよ」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 冒険は楽しいよな。
 非日常へ足を踏み入れて、見たことも聞いたこともないような事を体験して、
どきどきわくわくさせてくれる。

 それを願う気持ちは、アイドルには――アイドルでなくても、生きていくのに
大切だと俺は思うよ。

 そして、文香と比奈に誘ってもらえてよかったな。

 個人的な感想だが、文香のところの本屋は凄いぞー。
 少し焼けた雰囲気の本棚が店中にあちらこちらあって、そこに色んな本が敷き
詰められてるんだ。
 床も木目が薄く映って照明の蛍光灯の光がちらちらと――って、せっかくの冒険
の楽しみを減らすべきじゃないよな。

 とにかく、面白いところだから楽しめると思うぞ。
 ただ夢中になって時間を忘れたり、他の人に迷惑をかけないようにしてくれよ。
 むつみはアドベンチャラーであり、アイドルなんだからな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P「比奈と文香とむつみか…年齢に差はあるけど、仲は良いみたいだな」

杏「仲良きことは美しきかな…すごいねこの事務所」コテン

P「……知恵熱か?」キョトン

杏「流石に怒るよプロデューサー。杏だって勉強くらいはできるんだよ」

P「働くことは?」

杏「やらなくてもいいじゃない だってにんげんだもの あんず」

P「ブレないな、ホントに」ナデ

杏「日記も終わった…明日は頑張るから、今日だけは寝かせて……お休みぃ」ゴロ

P「……はあ、全く」ナデ




ちひろ(二人の世界が二人の世界過ぎてヤバい)



490: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 22:59:38.90 ID:cRl1WxXBo


 ――ネネの日記、その後

 [事務所]

 ガチャ

P「うーい、昼ごはんにするかー――」ボソ

 アア
  ハイ、ソウイウコトデス

P(……って、あれは)

翠「へえ、なるほど……分量はそれぐらいで」カキカキ

ネネ「はい、あとは好みでフルーツを入れれば――」フリ

P(言っちゃなんだが、珍しいな)フム

P「――ただいま。今は二人だけか?」スタスタ

翠「あ、おかえりなさい。いつもお仕事ありがとうございます」ペコ

ネネ「おかえりなさい。ちひろさんは向こうの会議室でお客さんと話してるそうです」

P「…ああ、そういえばそんな予定もあったか。二人は……次の仕事待ちだったな」

ネネ「はい。仕事場は別ですけど、今日のレッスンが一緒だったので」

翠「それで今は自作ドリンクについて教授を願ってました。ネネさん、とても博識なんですよ」

ネネ「そんな……たまたまです」カアア

P「二人で話してたのはそれだったのか。翠、ネネはコンディション管理に関しては凄いから、よく聞いておくといい」

ネネ「Pさんまで…ありがとうございます」

P「事実だからな。…ああそうだ、俺は今から昼飯だけど、二人はまだか?」

翠「この話を聞いてからにしようと思いまして、今からなんです」コク

P「なら、よかったら一緒に食べるか?」

ネネ「わあ、本当ですか?」パア

翠「ご一緒させて頂けるなら嬉しいです――って、あら?」ゴソ

P「どうした?」

翠「どうやら鞄をレッスン場に忘れて来てしまったようです……すみません、取りに行ってきますのでお先にどうぞ」ペコリ



491: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 23:00:12.01 ID:cRl1WxXBo


 スタスタ…

P「翠が忘れ物なんて珍しいな……まあ近いし、五分もあれば帰ってくるだろ。先に準備しておこうか」ガタッ

ネネ「はい、Pさん。…ところで今日もコンビニ弁当ですか?」ススス

P「ふふん、聞いて驚け。今日は作ってきたんだぞ、ほら」カパッ

ネネ「わあ、本当だ…! 卵焼きにきんぴらごぼう、レタスにポテトサラダ……とても頑張ったんですね」

P「いつも大体コンビニ弁当だったからな。ネネに教えられた通り作ったら俺でも楽に作れたよ。全部手料理って訳にはいかなかったけど」

ネネ「それでも大丈夫です。ふふっ、私のアドバイスが上手く行ってよかったです!」

P「本当だよ。…ほら、食べてみてくれ、先生?」ヒョイ

ネネ「え、あ、はい――結構なお手前で、なんて」パク

P「はは、ならよかったよ。じゃあ俺はお茶を用意してくるから、そこで待っててくれ」スタスタ

ネネ「はい――って、あれ?」モグ


ネネ(今のって、もしかして……!?)カアア


 [おわり]



492: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 23:01:04.47 ID:cRl1WxXBo


 ――むつみの日記、その後

 [事務所]

ちひろ「今日は静かですねー」

P「ええ。みんな今頃仕事を頑張ってるでしょうね」

ちひろ「今日も無事みんな仕事が終わればいいですね。……でも、いつも賑やかだから、少し寂しくもなります」

P「まあ、いつも誰かしらいますからね…ちひろさんも大体いますし」

ちひろ「私が居ておかないと留守になりますから。仕事もないわけじゃないですしね」クス

P「いつもありがとうございます。…ちひろさんはさしずめ事務所のマスコットでしょうか」フム

ちひろ「マスコットって…もう少し言葉があるでしょうに、ふふ」

P「それもそうですね、失礼しました」ハハ

 ガチャ

むつみ「ふいー、只今戻りましたー!」

比奈「戻ってきたっスよー」

文香「ただいま、戻りました…」

P「――っと、三人組は今日は……ああ、あれか」ポン

むつみ「そうなんです! 行ってきましたよ、宝の島!」ドサッ

文香「宝の島なんて…そんな大層なものじゃ……」

比奈「いや、あれは宝の島というか金庫でスね。久しぶりにリアルな方の血が騒いだっスよ」

文香「リアルな方……?」キョトン

P「で、文香以外の二人の手に持ってるのは買い物した本か? 随分多いな…」

比奈「アタシは慣れてまスけどね。この重みが気持ちいいっス」ウンウン

むつみ「ちょっと重いから休憩しに来たんです。少し置かせてもらってもいいですか?」

P「ああ、いいぞ。というか寮までなら俺が車出そうか?」

比奈「いいんでスか?」

P「それだけ重い荷物抱えて歩いちゃ大変だし肩も壊しかねないからな。後になるけどいいだろ?」

むつみ「わー、ありがとうございますPさん!」パタパタ

P「あと文香も二人を誘ってくれてありがとうな」

文香「はい、…どういたしまして」

ちひろ「みんなお疲れ様。お茶でいいかしら」コト

比奈「ありがとうございまス、ちひろさん」

P「三人も疲れただろうからソファで休んでいくといい。今日は空いてるから」

むつみ「いやいや、この私は過酷なトレーニングをして真の冒険者になったのでこれぐらい――」

文香「……つん」ツンツン

むつみ「うひゃあっ!?」ビクッ

比奈「色々体がボロボロじゃないでスか…ほら、座りまスよ」ポン

むつみ「か、かたじけない……」トタトタ

P「はは、なかなか上手いことは行かないさ」

文香「すみません、…では、少しお借りします」ペコリ



493: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/22(火) 23:01:56.60 ID:cRl1WxXBo

 ワイワイ


P「……なんだかいいもんだな」ズズ

ちひろ「そうですね。…楽しそう」

P「これも冒険の醍醐味なんだって、本人もわかればまた一つ成長できるんですけど、それを言うのは野暮ですかね」ハハ

ちひろ「冒険の醍醐味?」

P「はい。むつみは知らない事、届かない場所に向かって進むことに強い興味を持っている子です。そこから、そうするためには特訓というまた別の冒険があるということを知りました」

ちひろ「なるほど。つまり、今は」

P「冒険小説は、ページがなくなればそこで終わり……ですが、本当の冒険はそこで終わりじゃない」

ちひろ「帰ってきて、仲間たちと笑い合うのも冒険の中の一つ、ということですか」

P「小さな冒険が集まって大きな冒険になる。その間を埋めるのがこうした時間なんだと思います。…まあ、笑う合うのにそんな大層な意義付けも必要ないですけど」ハハ

ちひろ「ふふ、職業病なんじゃないですか?」

P「なのかなあ……喜んでいいのかどうか」

むつみ「ねえPさーん! 今日の報告するから聞いてくれませんかー?」フリフリ

ちひろ「ほら、呼んでますよプロデューサーさん」

P「又聞きもまた伝説、かな。すみません行ってきます――」

 ア、Pサンアノネ、アノバショデ……
             ソウソウ、タシカ…


ちひろ(……職業病なら、まだまだ未熟かもしれませんね)チラ


むつみ「これすごくないですか? まさにダイナミックな感じで!」

P「へえ、店にそんな場所があったのか」

比奈「アタシもびっくりしたっスよ。ギミックに惚れ惚れしまスね、あれは」

文香「伯父さんの趣味で…ええと」



ちひろ(むつみちゃんの冒険譚には、プロデューサーさんも立派な登場人物なんですよ)

 [おわり]

507: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:33:59.83 ID:hh4v2Ngho


 ――ある日の事務所

 カタッ…

P「今年ももうすぐ終わりですねえ」フゥ

ちひろ「いやいや、まだあるじゃないですか」

P「とは言ったって、夏休みが終ればもうこんな時期ですよ。もう四月から七月はどこに行ったんだって感じです」

ちひろ「それは大人の感覚ですよ。学生の子達にとってはちゃんと毎月ありますって」

P「大人か…。昔思ってた大人像になれてますかね、俺」

ちひろ「どんな風に思ってたんですか?」

P「そりゃあカッコイイスーツを来て高層ビルの最上階でお偉いさんにプレゼンしたり結婚して妻に毎日おいしい料理作ってくれたりとか…」

ちひろ「な、なんだかえらく具体的ですね…」アセ

P「今を思えば違いなんていくらでも。スーツは何十着も潰してるし、家でご飯を食べる事すら稀ですし…」

ちひろ「子供からだと、大人の働いてる所って見えませんから」

P「わかってるんですけどね……何だかふと我に返ると寂しくなります」

ちひろ「……プロデューサーさんは子供の時、父親を尊敬していましたか?」

P「勿論ですよ。帰りが遅い時が多かったのでつまらなく思ってた時もありましたけど、本当に困っていた時にいの一番で助けてくれて……」

ちひろ「いいお父様なんですね。でも――」

 ガチャ

薫「おっはよー! あ、せんせぇだぁ♪」ピョン

P「こら薫、いきなり飛びつくんじゃない。あと事務所に来たら?」

薫「おはようございまー!」ニコ

P「よし、今日も元気でよろしい」ナデナデ

薫「うん! かおるね、アイドルだからにこにこするのっ!」ニコ

P「はは、そうだな」


ちひろ(今居るアイドルたちを見て、尊敬されてないなんて思えるはずないじゃないですか、ねえ?)


508: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:35:12.05 ID:hh4v2Ngho


 ・ ・ ・

 コポコポ…

P「ところで今日は薫一人で来たのか?」

薫「ううん。えとね、じむしょの前までたくみお姉ちゃんといっしょに来てたんだけどね、かいだんのところでばいばいしたの――あ、これ言わないでって言われたんだった、どうしよ…」

P「一人じゃなかったんだな。…じゃあ俺と薫の秘密にしよっか」

薫「ひみつ……えっへへ、かおるとせんせぇのヒミツ! わかった!」ニコッ

P(あとで拓海にバレないように礼でもするか……)

薫「それでね、せんせぇ。きょうのおしごとはまだ時間あるよね?」

P「ん? ああ、今日のは十時からだから……まだ結構時間あるな。宿題でもするのか?」

薫「ふっふーん、かおるはちゃんとおうちでしゅくだいするんだよ!」

P「そうなのか…じゃあ、どうしてはやく来たんだ?」

薫「うん、だいぶ前にこうかんにっき始めたでしょ? それでね、かおる読めない漢字があって、せんせぇに読んでもらおうと思って……だめ?」

P「ああ、なるほど。いいぞ、じゃあ一緒に座って見るか」ポンポン

薫「うん! そっちのソファに行くね!」トタトタ

P「じゃあ俺は日記を――と、また誰かが新しく書いてるな。数日空いただけなのに」パラ

薫「だれか書いたのー?」

P「そうだな。薫はどうする? 読めない日記を先に読むか?」

薫「うーん……先にあたらしいの読んでほしいな! せんせぇが返事を書くところ、見たいんだもん!」

P「はは、そういうことか。よし、じゃあそうしようかな。最初の人は――」ピラッ



509: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:36:16.68 ID:hh4v2Ngho


 ×月◆日

 酒のつまみに文字を読むなんて、なかなか乙なものじゃない。
 そう楓が言ってたけど、私にはどうかしらね?

 どちらかといえば、私は文字よりも月を見ている方がなんとなく美味しいと思うわ。


 ……酒に限っては、の話だけれども。
 殊、ワインに限って言えば、見るのは景色だけじゃなくて目の前にあるモノ。

 それはワインの色であり、グラスを持つ手であり、そして共に飲む人であり……ワインの色は、ただそれだけじゃないの。

 ふふ、お酒を飲まない人にはわからないかもしれないわ。
 どう? Pさんならわかる?
 私を楽しませてくれるあなたになら、わかってもらわないと困るのだけどもね。


 今、私が日記を書くだなんておかしい、と思ったでしょう?
 現に私もそう思っているわ。

 原因を問えば楓がそう。
 だって、三角座りで酒を飲みながらこの本を読んでいたもの。
 一緒に飲む予定だったのだけど、私の仕事が遅れてしまったから先に始めてしまったのね。

 私が来た頃には少し出来上がってたようで、うわ言のように私のじゃない名を呼んでいたの。
 そんな事、私は言わないから余計に彼女が瑞々しいわ。

 彼女は私じゃないから、どうしても違いは出てくるものね。一緒に飲んでいると楓が可愛く見えてくるわ。Pさんもそう思うでしょう?

 だから、私には可愛さは必要ないわ。
 それを混ぜてしまったら……彼女にとっても、私にとっても面白く無いと思うの。
 それぞれ味があるから飲み比べが楽しいのだから。


 うふふ、Pさんは私と楓を飲み比べて、どちらが美味しいと思ったのかしらね?

 ・・・
 注:私も居たのだがね……。
 この記録は志乃さんが口頭と日記にいくつか書き留めていた事を私が改めて書き起こしたものだ。
 同様にアルコールの入った楓さんに言われてしまってはな。

 いつになく饒舌だったものだから、私も興味がなかったわけではないのだが。
       ふふ、思い出すと楽しいですね、こういうの



510: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:36:58.19 ID:hh4v2Ngho


薫「ねえねえせんせぇ、おさけっておいしいの?」キョトン

P「……あー、そうだな。薫は苦いジュースって好きか?」

薫「ジュースなのに苦いの? かおるはやだなあ」

P「それを美味しいと思うのが大人で、それがお酒だよ」

薫「うーん、むずかしいね?」

P「はは、難しいよな」

P(事実、彼女らがお酒をあそこまで飲むのは単に嗜好云々の話ではないような気がするし)

薫「でも楽しそうだよー。かおるも大人になったらわかるかな?」

P「かもしれないな。今は絶対飲んじゃ駄目だけど、これから薫がいっぱい遊んで勉強して、そして一生懸命アイドルをやって、それで大人になったら、その時は俺と飲もうか」

薫「うん! せんせぇと一緒に飲む! せんせぇと一緒にいたら、苦いのもおいしくなるよね!」

P「……その通りかもな」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 止めろとは言いませんけど、ここはプロデューサーとして一応節度を
持って楽しんでくださいね、と言っておきます。

 でもまあ、ワインを美味しそうに飲む志乃さんこそ、今となっては志
乃さんらしいとも思えるようになりました。
 最初の頃は、俺も意固地になってたのような気がしますしね。

 ワインといえば、最近は俺も結構飲むようになりましたよ。
 まだまだ志乃さん程の口利きじゃありませんけど……。
 それでも色んな組み合わせとか好みとかを見つけていくのは楽しいと
思います。
 勿論プロデューサーとしてあなたを導く意思は変わりませんけど、そ
れとは別に、個人的にオススメなんかも教えてくれたら嬉しいです。

 それとあいさんにはもう少し気を遣ってあげて下さいよ。楓さんにも
言えることですけど。
 あいさんも貴重な志乃さんの記録ありがとうございました。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

P(あいさん……無理してければいいけどな)

ちひろ「はい、薫ちゃん。ジュース飲んでね」

薫「わーい、ありがと!」

P「すみません、仕事中なのに」

ちひろ「いえいえ。……あー、でもなー。私も最近飲んでないなあ」

薫「……?」

P「……では、今週末にでも」

ちひろ「ふふ、ありがとうございます♪」クス

P「さ、さー次の日記を読もうか、薫」

薫「う、うん。難しくてよくわからなかったけど、次はがんばって読むよ!」

P「よし、その意気だ。それじゃ、次は――」パラ


511: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:38:22.54 ID:hh4v2Ngho


 ×月■日
 天気、雨、びゅー
 担当、関

 今日は色んな人にとって残念な日だったよね。
 外、すごいよ。

 勿論予報は出ていたけど……事務所の窓から見える景色が昼間なのに暗くて、台風ってこんなに激しいんだなって改めて思い知らされた。


 私は仕事の収録が終わってPさんに車で送ってもらって事務所に帰ってきたんだけど、Pさんはそのまま傘一本握って急いで出て行って……打ち合わせがあるんだって言ってたけど、こんな天気でも行っちゃうのは凄いよね。
 だからこそ、みんなたくさんお仕事出来るのかもしれないけど。

 それでその日は雨音鳴り響く中、ちひろさんと二人で事務所で留守番でした。
 ちひろさんは何やら忙しいみたいでずっとパソコンと睨めっこしてたので、私はロッカーから雑誌といつものアクセサリーのキットを持ってきて、色んなことを考えながらアクセサリーを作ってたんだ。
 昔なら何となくのイメージで作ることの多かったこれも、最近は服とか、付ける人とかを考えながら作るようになってきたみたい。
 だって、これは莉嘉ちゃんのためのものだから。

 アイドルになって変わったことは沢山あるけど、一番は色んな人と話すようになったことかな。
 上手く笑うことができなくて、それから人と顔を合わせることも苦手になってきた私がここまでこれたのは、あの時の決断した私と、私の恐い顔を見たPさんのおかげだよね。
 結局、苦手意識があっただけなんだ、ってPさんは言ってたけど、まさにその通り。

 ここに来るみんなも、中にはどこか苦手な所があったり避けてた部分があったりして曇っていた人も居るのに、みんな厳しいレッスンをして必死に仕事をしている内にいつのまにか雲が晴れていて。

 雨の中を進むPさんがそれを見せているよね。

 雨が降っていても、それを見続けているだけじゃいつまでたっても晴れは来ない。
 雨が降っていたら、その中で出来る事をする。それが例え雨の中を走ることでも。
 そうすれば、いつのまにか雨が止んでいることに気づくんだ。

 私もいつのまにか笑えていて、テレビ越しの家族にも友達にも変わったねって言われて、私の雲はもう晴れたよ。
 だから、今度は私が周りのみんなの雲を晴らす番。
 最後は自分自身で動かなきゃいけなくても、その背中を押すぐらいはできるはず。

 なので私はこうしてアクセサリーを作ってます。
 そうすることで、誰かの歩く力になれると思うから。


 ……莉嘉ちゃん、喜んでくれるといいな。



512: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:39:53.50 ID:hh4v2Ngho


薫「せんせぇ、実はね、かおるももらったんだよ!」

P「おお、薫もなのか。俺にもくれたよ――ほら」チャラ

薫「けーたいのストラップなんだね! かおるはブレスレットっ」

P「この前買い物に行った時も高い物は買ってないし、それでこれだけ綺麗に作れるのは裕美くらいだよ」

薫「ありがとーって言ったらね、どういたしましてって笑ったの! とってもにこにこしてた!」

P「そうか……嬉しそうだったか?」

薫「うん! また作ってあげるねって言ってくれたよっ」

P「よかったな薫。いつか薫もお礼をしなきゃだめだぞ」ナデナデ

薫「そうだけど……どうしたらよろこんでくれるかな?」

P「深く考えなくていいよ。薫が嬉しいなって思ったことを、裕美にもしてあげれば十分だ」

薫「そっかー。……考えてみるねっ」

P「そうそう。いっぱい考えて、薫のお礼をすれば、きっと喜ぶぞ――」カキカキ

――――――――――――――――――――――――――――――――

 アイドルになる前からアクセサリーを作るのは趣味だと聞いてるけど、
アイドルになって忙しくなった今もずっと作り続けてるのは凄いことだぞ。
 俺は昔から三日坊主のようなものだったから、尚更そう思うよ。

 それだけでなく、みんなにも作ってくれてありがとう。
 裕美の居ないところでそれを着けてる所を見ることがたまにあるけど、
みんな誇らしげに、嬉しそうな顔をしているよ。
 材料は高級でなくてもありったけの笑顔を与えてくれる、そんなアクセサ
リーを作れるのは、笑うことの楽しさを知っている裕美くらいだぞ。

 あの時は…確か新規ルートだったから、雨でも延期にしたくなかったんだ
よ。
 例え結果がどうであれ、皆の可能性が広がるならやるにこしたことはない
しな。

 それが伝わっているのかどうかはわからないが、裕美を含めてみんな仕事
をきちんとこなしてくれて嬉しい限りだ。
 そして俺の行動が言葉として届いているのなら、これ以上幸せなこともな
いだろう。

 これからも沢山の思いを乗せて、アクセサリーと笑顔を振りまいていって
くれ。

 裕美を待っている人は世界中に居るんだからな。

 Pより

――――――――――――――――――――――――――――――――

薫「みんなとお友達、楽しそうだね!」

P「いや、薫も歌って踊って笑って、会場のみんなとお友達になってるんだよ」

薫「そうなの? でもおしゃべりしたことないよ?」

P「…薫はアクセサリーをもらった時、どう思った?」

薫「うん? もちろんうれしかったよ! きらきらしてて宝石みたいだった!」

P「そうだな。薫は裕美からおしゃべりじゃなくてアクセサリーをもらって嬉しくなったよな。じゃあ会場のみんなとは?」

薫「うーん……かおるのにこにこ?」

P「そういうことだ。たとておしゃべりしなくとも、薫の笑顔でみんなとつながるんだ」

薫「そっか! じゃあこれからもいっぱいにこにこして、お友達つくらないとね!」

P「頑張ろうな、薫」ナデ

薫「うん!」


513: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:41:15.00 ID:hh4v2Ngho


 ・ ・ ・

薫「…あ、そろそろおしごとの時間だっ」

P「ん、もうそんな時間か。送っていくよ」

薫「ありがとね、せんせぇ! いつもありがとう!」

P「いきなりどうしたんだ、薫。そんな改まって…」

薫「あのね、考えたんだけどね、かおるはまだたくさんお礼のやりかたわからないんだ」

P「……」

薫「だから、いっぱい気持ちを込めておしゃべりするの! それがかおるの一番のにこにこなんじゃないかなって思うのっ!」

P「…なるほど、薫らしいな」ポン

薫「うん! だからありがと!」パアア

P「はは……。じゃあちひろさん、行ってきますね」

ちひろ「あ、はい。いってらっしゃい」

薫「いってきまー!」

 ガチャ

ちひろ「……」

ちひろ(プロデューサーさんはもう少し灯台の下を見るべきだと思いますよ)



514: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:42:49.57 ID:hh4v2Ngho


 ・ ・ ・

 ――事務所、夕方

 カタカタ…

P「よし、今日の分の業務は終わりっと。……今日も色々あったけど、もう終わりか」

P(薫を送った後、ニューウェーブの次のライブ曲の振り付けをチェックして、それから事務所に来た子と喋りながら仕事の連絡をして見送って――)

P「……この本も汚れが目立ってきたなあ」パサッ

P(ちひろさんは用事で外出。ちひろさんが帰る頃には、俺はもう帰宅しているだろう)

P「まさかここまで続くなんてびっくりだ。提案した薫と千枝も喜んでいるだろうな」

P(……)

P「……よし、最後の一仕事でもするか」パラ



 カキカキ……



515: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:44:13.32 ID:hh4v2Ngho


 ――志乃の日記、その後

 [事務所]

志乃「ふふ……遅かったわねえ、Pさん?」クイ

あい「あ、ああ……おかえりPくん……ふぁ」グテ

瑞樹「あら? P君も呼んでたの?」ゴク

P「帰ってきたらこれか……。ちひろさんは?」ハア

楓「合法にごーほーむ……ふふ、えへへ」クピ

P「つまり帰ったということか……はあ。あいさん、起きれますか?」ユサユサ

あい「問題ない…よ、これくらい。ふふ、Pくんに囲まれるのも、悪くない」

P「俺は一人ですから。どんだけ付き合ったんですか」

志乃「まるで王子様のようね……糸は白かしら、赤かしら。…赤がお望みなら、ワインはあるけど、ふふ」

P「酔ってるようでやっぱり冴えてますね、志乃さんは。…ああもう、仮眠室に連れて行きますから、俺の分用意しといて下さい」ガタ

あい「ああ……空が白いな、Pくん」

P「それは天井ですよ、あいさん」

 スタスタ…


瑞樹「……まさかお姫様抱っこをリアルで見ることになるとは思わなかったわ」

楓「ぷー…私もしてほしいです」

志乃「楓には無理よ。あいのように仮面を被ってはいないのだから…ふふ」クイ

瑞樹「表目、というべきよね。まあ、続けましょう」グビ

楓「じゃあプロデューサーさんには日本酒をですねぇ」トクトクトク



516: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:45:59.27 ID:hh4v2Ngho
 ・ ・ ・

 ――数十分後

楓「……すぅ」

瑞樹「むにゃ……ふふ」

P「思ったより早く沈んだな……いつから始めてたんですか?」

志乃「いつって…多分夕方ぐらい?」クイ

P「まだ普通に他の人いるじゃないですか…節度を持ってと言ってるのに、全く」グイ

志乃「あら…いい飲みっぷり」

P「別に酒が弱い訳じゃないですからね。仕事で疲れてるから余計に進みますよ」

志乃「うふふ……そこは、アイドルに囲まれてるから、といってほしいわね、プロデューサーさん?」

P「……否定はしないでおきます」

志乃「あら…意外と純情なのね。可愛いわぁ」ナデナデ

P「ワイン片手に頭を撫でないで下さいよ」

志乃「あらぁ…私にとっては、Pさんも子供よ?」

P「バカにしてるんですか?」ムッ

志乃「勘違いしないの。ふふ……子供だから尊敬してるのよ。有りのままに強く生きるあなたが、鮮やかに映るわぁ」

P「……そういうものですか」ゴク

志乃「ええ。そういうもの。人を動かすのは、いつも純粋な感情。…Pさんにしかない、綺麗な血。それを飲めば私も若返るのかもしれないわね、うふふ」

P「どこぞの吸血鬼のような事を……いや、その綺麗さは吸血鬼とでも言うべきですかね?」

志乃「あら、嬉しいわ。……でも、血を吸うのはPさんの方からでも良いのよ、ふふ」

P「俺がですか?」

志乃「この前言った事…記録にされていた文字、読んだのよね? ……じゃあ、飲み比べしたらどう?」

P「飲み比べって…」ピク

志乃「私の唇? それとも楓の首筋? ……ふふ、あなたが娘達を統べるのなら、味を知っておくのも悪く無いと思うわ……」

P「…やっぱり酔ってますよね、志乃さん」チラ

志乃「そう言いながら、視線はどこを向いているの?」クス

P「うっ」ドキ

志乃「ふふ…いいのよ、どこを見ても。今の私の血肉は、あなた同然のなの」

P「……はあ。敵いませんね」

志乃「それでいいの。子供でいるからこそ、私は私でいられるようなものだから」コト

P「……志乃さん?」

志乃「ちょっと進み過ぎたみたいね。少し休ませてもらうわ。……ふふ、そうなったら起きているのはPさん一人ね」

P「ちょっと志乃さん、いきなり何を――」

 グイッ!

志乃「…体を温めるのはお酒じゃないわ。…少し、Pさんの温度を借りるわね。…うふふ、お礼なら寝ている間にね?」

P「し、志乃さ……って、寝るの早いな」


 シーン…


P「……はあ。俺もまだまだ子供ってことなのか」

 [おわり]

517: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:47:14.48 ID:hh4v2Ngho


 ――裕美の日記、その後


 [事務所・雨]

 ガチャ

裕美「ただいま……ふぅ」

P「おかえり、今日も雨だったろ。ほら、タオル」パサ

裕美「わっ…。この時期の雨は冷たいね」フキ

P「ああ。そろそろストーブも導入しないとな……とりあえず体拭いてソファで休んでくれ。その間に温かいもの用意しておくから」

裕美「うん。ごめんね」

P「気にするなよ」

 フキ…
     スタスタ

P「はい。多めに淹れてるから、おかわりもいいぞ」

裕美「温かい……ふふ、Pさんも何だか慣れてるね」

P「そりゃ、毎年こういう時期はあるからなあ。いっそ執事にでもなってみるか」

裕美「なにそれ、ふふっ」

P「そんなに笑うことはないだろ……座るぞ」ドサ

裕美「仕事はいいの?」

P「とりあえず期限の近いものは終わらせてあるからな。少し休憩だ。……あー、おいし」ゴク

裕美「……うん、おいしい」クピ


 ザー…


P「ああ、そうだ。今度莉嘉にアクセサリー作り教えるんだって?」

裕美「え、そうだけど……莉嘉ちゃんに聞いたの?」

P「この前姉妹と出かける機会があってな。その時裕美の作った物を自慢気に俺に見せてくれたよ」

裕美「…よかった、喜んでくれたんだ」

P「美嘉も手先が器用だなって感心してたし、その後の買い物で手芸店に見に行きもしたよ。莉嘉、習うんだーってやる気満々だったな」

裕美「ふふ、いきなり躓かないといいけど」

P「お、手厳しいな」

裕美「違うよ。やる気がありすぎたら、肩透かしをくらっちゃいそうだなって思っただけ」

P「難しそうに見えるけどなあ…」

裕美「ううん。思った以上に簡単なの。…私が笑うことも、楽しく話すことも、皆にとっては簡単なように」コク

P「……」

裕美「ああ、もう大丈夫だよ、大丈夫。笑うことが大好きだし、事務所の皆とも、ファンの皆とも話すことが大好きだからっ」

P「よく頑張ったよ、裕美は。最初は大変だったろうけどな」


518: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:47:55.13 ID:hh4v2Ngho

裕美「私がヘマをする度に何時間も付き合ってくれたっけ。ふふ、懐かしいな」

P「そのかいあって楽しくやれてるんだ、無駄にならなくて俺も良かったよ」ハハ

裕美「それを皆にも同じようにやってるんだよね……凄いな」

P「別にすごくなんかない……っていうと怒られそうだな。じゃあ、当たり前の事をしただけさ」

裕美「ぷっ、キザっぽいね。似合わない」

P「うるせー」ポン

裕美「わっ。…あはは。照れてる」

P「まさかからかわれるまでになるとはな……まあいいや、ついでに仕事の話をするがいいか?」

裕美「仕事? うん、大丈夫だよ」

P「そうか。じゃあこれを見てくれ」パサッ

裕美「これは……少女向けのファッション雑誌だね」

P「ああ。今度、特集で莉嘉をモデルに裕美、お前が全体をコーディネートすることになった」

裕美「……へ? 全部?」

P「莉嘉のお願いでな。ある程度雑誌側の規定を守りつつ、裕美のセンスを莉嘉に着せてやってほしいんだ。できるか?」

裕美「でも、私にできるのはアクセサリーだけで、服装なんて……」

P「…そろそろもう一度歩き出す頃合いだと思うぞ」

裕美「え?」

P「出来ないと思っていたそれも、いつしか出来るようになって世界が広がったんだ。時間がかかってもいい、一歩進めば、今やっていることも、もっと素晴らしくなるはずだ」

裕美「アクセサリーから、全部に……か。できるかな」

P「出来るさ。出来ないことなんてない。裕美なら知ってるだろ?」

裕美「……うん、そうだね。やってみる」

P「よし、ならそれで行こう。頑張れよ」

裕美「もちろん。莉嘉ちゃんのお願いもあるしね」

P「はは、莉嘉も大分裕美の事を好いてくれてるみたいだぞ」

裕美「ふふ、失敗できないね……あ、そうだ」

P「ん、どうした?」

裕美「この前三人で出かけたって聞いたけど、具体的にどんなことをしたの?」

P「……いや、普通に出かけて」

裕美「具体的に、だよ」

P「う……言わないと駄目か?」タジ

裕美「そこまで言われると逆に何が合ったのか気になるけど…ただ莉嘉ちゃんの好みを知りたんだ」

P「それなら、今度一緒に出かければいいんじゃないか?」

裕美「それもそうだけど、やっぱり莉嘉ちゃんが輝くのは、好きな人と一緒に居る時だから…なんて。言いすぎかな」

P「ああ、なるほど。莉嘉は姉ちゃんにべったりだからな、はは」

裕美「あ、うん…そうだね」

P「そうだな、確か最初にデパートに行った時だったかな――」

 ペラペラ…


裕美(…センスを磨かないと駄目なのは、Pさんの方かも)

 [おわり]

519: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:48:44.08 ID:hh4v2Ngho


 ・ ・ ・

 ――事務所、夜

 カタカタ…

ちひろ「――少し休憩しようかしら」フゥ

ちひろ(関係企業との打ち合わせを終え、帰ってくればもう夜遅く。プロデューサーさんも既に帰宅していて、私独りの事務所は何だか久しぶりなような気がします)

ちひろ「……私のこの景色も、毎日見てきたなあ」

ちひろ(プロデューサーさんと出会って、一人目のアイドルと出会って、それから見届けて、応援して)

ちひろ「覚えていないことも多いけど、ずっと歩いてきた気がする…なんて、独り言も酷いわね、私」

ちひろ(ずっと過ごしてきても、誰もいない夜の事務所は昔の景色と似ています)

ちひろ「…でも、前には進んでるのよね。今は、日記がそれを証明書かしら、ふふ」パラッ

ちひろ(アイドルと、プロデューサーさんと、私の歩んできた記録。掻き消されそうでも、みんなと共有することで消えない思いを築いた日記)パラッ

ちひろ「みんなもページいっぱいに書いて、プロデューサーさんも全部にコメントして――って、これは……」パラ

ちひろ(そんな記録集の、小さな区切り。それをつけたのは――)

ちひろ「……ふふ、プロデューサーさんも律儀ね」


520: ◆VVUrtNVNRY 2013/10/29(火) 22:49:43.75 ID:hh4v2Ngho


―――――――――――――――――――――――――――――――――――――――――

                  ×月■日


 歩くのは俺だけじゃない。同時に、皆一人ひとりだけじゃない。
 二人三脚、三人四脚、あるいは全員で一緒に歩く時もある。

 この日記を読んで、俺の知らない、魅力的な世界が広がっているんだと知ったよ。

 何を見て聞いて何を思い、何を夢想しどう歩むのか。
 例え同じ物を見たとしても、決してそれらは同じにはならない。
 それは皆がアイドルとして強く輝いている証拠だ。

 そんな皆に接することは、俺がプロデューサーとしては勿論、一人の人間として最高の
出会いと出来事を経験しているのだと思う。


 この先、何が起こるかはわからない。
 泣き叫ぶかもしれない。怒り狂うかもしれない。あるいは、絶望するかもしれない。
 未来は、どうとでも転ぶ。


 だが、皆を見ていると俺は自然と信じられる。
 手を取り合って競い合って、時には支えあって、輝きを増し――いつかは、同じ舞台で
最高のパフォーマンスで全世界のファンを魅了させることができるんだ、と。


 だからこそ、俺は皆と一緒に居たい。
 いつか一人ひとりの道を歩んで最高の輝きを見せるその瞬間を、間近で見てみたいから
だ。

 そのために、全力で頑張るよ。
 だから、申し訳ないがもう少しだけ、こんな俺が一緒に歩くことを許してほしい。
 その代わり、必ず皆をトップに立たせるから。



 この事務所に居る未来あるアイドル達に、願わくば幸せたらんことを。
 そして、一つだけの人生と時間を、最高の瞬間で刻まんことを。


    拙いプロデューサー、Pより


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