1: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:48:16.14 ID:iYgCrd+80
提督「……」ゴソゴソ

提督「……」ゴソゴソ

提督「……ヒモ」

ドアバーン!

雷「今ヒモって言った!? 言ったでしょ司令官!? ううん、絶対そうよ! 聞き間違えるはずないんだから! やっと言ってくれたわね! 大丈夫よ司令官、私この瞬間をずぅっと待ってたんだから! 司令官を養う為の準備もずっとしてたのよ? 司令官がしたいことなんだってしていいんだからね? 私が責任を持って司令官を立派なヒモにしてあげるわ!」キラキラ

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1450766895

引用元: 提督「ヒモ……」雷「ヒモ!?」 


 

2: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:51:22.60 ID:iYgCrd+80
提督「おはよう雷。朝から元気でよろしい。そして勘違いさせて申し訳ない。確かにヒモと言ったが、俺が言ったのは雷が想像しているヒモじゃない」

雷「え……そうなの? そう、残念……」ガックリ

雷「じゃあどういう意味でヒモって言ったの?」

提督「ああ、ちょっと本を処分したくてな。それで本を縛る為の紐を探してたんだ」

雷「ふーん、そうなの。紐ね、えっと……」ゴソゴソ

雷「じゃーん! これでいいかしら?」テッテレー

提督「お、ビニール紐か、ありがとう」

提督「しかし何でビニール紐を持っているんだ?」

雷「今日のラッキーアイテムがビニール紐だったの。えへへっ、お陰で司令官のお願いが叶えられてラッキーだったわ」ニヘリ

3: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:52:40.48 ID:iYgCrd+80
雷「あ、そうだ! せっかくだから私が本を縛ってあげるわ! 任せて司令官!」

提督「そうか? じゃあ、よろしく頼むよ」

雷「お願いされたわ! さぁて、じゃあちゃちゃっと縛っちゃうんだから!」ウデマクリ

雷「これを縛ればいいのね? じゃあ早速……」ヒョイ




エロ本の山「ロリに縛られるとか最高ですわwwwwwwww」




雷「にゃあああああ!?」ポイポイポイッ

窓ガシャーン!

提督「お、俺の愛読書達が窓を突き破って外に……!」

提督「マズイ……! 確か今外では……!」

4: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:55:00.40 ID:iYgCrd+80
司令室の真下。
鎮守府特設ライブステージ。


那珂「みんなー! 今日は那珂ちゃんの3rdライブに来てくれてありがとー☆」

ファン「那珂ちゃん! か、可愛いよー! 世界で一番可愛いよぉー!」

ファン「那珂ちゃああああん! あああああ! アアアアア! ナガァヂャァァァァァン! アヴェアアアアッ! ンンンンンッ! ンイィィィィッ!」

那珂「いっつも応援ありがとうねー☆ みんなこと愛してるよー☆」キラッ

ファン「俺もおおおお! だいしゅきいいいいい!」

ファン「な、那珂ちゃんがい、今俺のこと愛してるって……あ、あああ、ああああ! ああああああああああああ……イクッ!」バタン

那珂「今日はね、大好きな皆に那珂ちゃんからのプレゼントがあるの。受け取ってね?」

那珂「みんな達に贈るプレゼント――新曲『解体されてもLOVEしてる』行っくよー!」

5: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:56:50.62 ID:iYgCrd+80
バサ

バサバサ

バサバサバサ

那珂「ってあれ? な、なにかが上から降ってきて……」



エロ本「ここでまさかのワイ登場ですわwwwwwwww」




那珂「はぁぁぁぁぁ!? なにこれえええ!? ちょ、ちょっと意味分かんない! どうしてこんな物が空から!?」

ザワザワ
ザワザワ

ファン「おい! 空からエロ本が降ってきたぞ!?」

ファン「何? 天気予報じゃそんなこと一言も言ってなかったぞ? ……いや、そうか! これが那珂ちゃんからのプレゼントなのか!?」

ファン「よっしゃ! 那珂ちゃんからプレゼントフォーミーされたエロ本ありがたく受け取るよ!」

ファン「那珂ちゃんのエロ本はワイのもんや!」

那珂「ちょっ、ちがっ、違うの! 皆聞いて! 聞いてよー! ど、どうしてこんなことに……」

6: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 15:59:58.28 ID:iYgCrd+80
司令室

提督「下が何だか凄いことになってるな……。那珂ちゃんのファンがステージ上の那珂ちゃんを無視してエロ本に群がっている。あっ、テンパった那珂ちゃんが無理矢理新曲を歌い始めた」

提督「エロ本が降り注ぐ中で涙目になりながら歌と踊りを披露する那珂ちゃん……とりあえずムービーを撮っておこう」

提督「まさか捨てるはずだったエロ本がこんなことになるとは……運命とはかくも数奇なものよ」

雷「ご、ごめんなさい司令官! 私のせいで窓が……」

提督「いや、気にしなくていい。それに俺も配慮が足りなかった。いきなりあんな物を見たら驚いて窓に向かって全力投球するのも当然だろう」

提督「すまなかった」

雷「あ、あんな物……/// だ、大丈夫よ! 司令官も男の人だもんね。ああ言う物持っててもおかしくないわ! だ、だから……わ、私は全然大丈夫よ! む、むしろウェルカムなんだから!」

提督「そう言ってもらえると助かる」

7: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 16:03:00.12 ID:iYgCrd+80
提督「とりあえず割れたガラスを片付けよう。箒とチリトリを持ってくるから、雷は待っててくれ」

雷「う、うん……ごめんね司令官」

ドアバタン

雷「……」

雷「……」

雷「そういえばさっきの本……全部胸が大きな女の人ばっかりだったわ」

雷「……」

雷「……むぅ」ペタペタ

雷「……だ、大丈夫よ。まだまだ成長期だし!」

雷「大丈夫……よね?」

雷「……」ペタペタ

雷「牛乳もっと飲まなくちゃ……!」


16: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 21:55:51.89 ID:iYgCrd+80
■別の日■


提督「……」カタカタ

提督「……ふむ」カタカタカタ

提督「やはり……そうなのか?」カタカタカタターン

提督「ヒモ、か」

ドアバーン!

雷「今ヒモって言ったかしら!? 私に養われる準備はOK!?」

17: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:16:59.44 ID:iYgCrd+80
提督「すまん雷。雷が愛して止まないそのヒモのことじゃない」

雷「……そうなの? 残念……」ガックリ

雷「じゃあ、何のヒモなの?」

提督「ああ。ヒモはヒモでも……ヒモパンのことだ」

雷「ヒモパン? なにそれ? ヒモで出来た……パン?」

雷「ヒモみたいに長くて細いパンのこと? 分かったわ! フランスパンの仲間ね!」ピコーン

提督「はずれだ。ヒモパン、正確には紐パンツだ。パンツ……つまり下着のことだ」

18: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:24:26.12 ID:iYgCrd+80
雷「パ、パンツ……///」

提督「そうパンツだ。恥ずかしいならこの話やめようか? かわりにカブトムシの話でもするか?」

雷「う、ううん大丈夫よ! パンツの話でいいわ! 司令官の悩みを解決してあげたいもの!」

提督「そうか。じゃあ続けよう。紐パンツは普通のパンツと違って腰の横に当たる部分が紐で結ばれている。……そう、紐でな」

雷「ひ、紐で!?」ドキーン!

雷「で、でもそんな作りで、もしその結んでる所が何かの拍子で外れたら……」

提督「ああ……ハラリ、ペロン、ストンときて……キャー!のび太さんのエッチ!……だろうな」ニヤリ

雷「た、大変だわ! ど、どうしてそんな危ない下着があるの!?」

雷「理解できないわ!」

19: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:32:44.08 ID:iYgCrd+80
提督「ああ、俺も理解できない。だからその存在の意味と意義を考察していたんだ……仕事してるフリをしながらな!」カッ

雷「エアタイピングだったのね! う、ううん……司令官の為なら頑張って私も紐パンについて考えるのを手伝いたいけど……今までそんな物があ

るとすら知らなかったし、見たことすらないしさっぱり分からないわ! ……ど、どうしよう」オロオロ

提督「安心しろ。現物ならここにある」ゴソゴソ

提督「これが紐パンだ」ハラリ

雷「こ、これが紐パン……す、凄いわ。本当に紐で結ぶのね……」ゴクリ

提督「ほら、手に持ってみるといい」ポン

雷「あっ。こ、こんな手触りなのね。感触は普通のパンツと一緒だけど……何かしら……ちょっとドキドキするわ!」

雷「ハッ!?」

20: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:34:15.20 ID:iYgCrd+80
雷「た、大変だわ司令官! このパンツ、紐も大変危ない感じだけど……全体的に凄く布面積が狭いわ!」

雷「こんなんじゃ、色々出ちゃって恥ずかしいことになるわ!」

提督「むしろ出すのが目的という可能性も否定できない」

雷「出すのが目的!? 下着って大切な所を隠す物よね!? ますますもって意味が分からないわ!?」クチオサエ

雷「で、でも……不思議と惹かれるものがあるのよね。よく見るとデザインも可愛いし」

提督(雷は好奇心が豊富だな)

21: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:35:06.82 ID:iYgCrd+80
雷「……」ジー

提督「……履いてみるか?」

雷「えっ!?」

提督「ここで装備していくかい?」

雷「どうして言い変えたの? じゃ、じゃなくて……わ、私がこれを?」

提督「ああ、そうだ」

提督「紐パンを本当の意味で知る為には、紐パンを実際に履かなければならない……紐パン履からずんば紐パンを得ず。着用してその時初めて、

真の意味を知るだろう……」

雷「そ、そうなの?」

提督「ああ、そうだ。きっと、たぶん、恐らく、メイビー……」

提督「俺が履くわけにもいかないからな。恐らくは需要がない」

22: ◆qvf.IClkDc 2015/12/22(火) 22:36:58.98 ID:iYgCrd+80
雷「こ、これを……私が……」ゴクリ

雷「う、うん……やるわっ。司令官の為だもの! ちょっと恥ずかしいけど……私これを履いて紐パンの意味を知るわ!」グッ

提督「その言葉を聞きたかった……!」

雷「じゃ、じゃあちょっとお部屋に帰るわね。さ、流石にここで着替えるのは……恥ずかしいわっ」ダダッ

ドアバーン!

提督「……ふむ」

提督「待ち遠しいな……」

31: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 08:37:38.17 ID:XdhcHuBZ0
提督「おっと」ハッ

提督「期待に胸を膨らませて呆けている場合じゃない」

提督「雷が生まれて初めて紐パンを履くんだ。これは記録しておかねばな。1人の提督として、1人の男として」クワッ

提督「というわけで、青葉がこっそりこの部屋に仕掛けている隠しカメラを……」カタカタカタ

提督「ハッキング完了」コレデヨイ

提督「ついでだ。盗聴器もこちらの手中の置いておこう」ターン

提督「よし。準備は万端だ。後は待つだけ」

提督「待ち遠しい……。子供の頃、クリスマスの夜の気持ちが思い返されるな……」

33: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 08:52:25.50 ID:XdhcHuBZ0
ドアバーン!

提督「む。随分と早かったな雷……って」

鈴谷「ちょっと提督!?」ツカツカツカ

提督「なんだ鈴谷か。悪いが俺は今忙しい。用事なら後にしてくれ」

鈴谷「なんだ鈴谷か?……じゃないし! 鈴谷の下着! 鈴谷のしーたーぎ! 返してよ!」バンバン

提督「……ほう」ニヤリ

提督「盗まれた下着を求めて俺の元へ来たということは……」

提督「盗んだ下着の代わりに置いた謎(リドル)、見事に解いてここまで辿り着いたか。随分と早かったな、見事だ」

提督「鈴谷の箪笥から始まり、この鎮守府内のあちこちに隠した謎を順に解くことで最終的に俺の元へたどり着く一連のリドル」

提督「俺が残した数多の試練を乗り越えたお前にだけ、俺の正体を明かそう。そう、俺こそがお前の下着を盗んだ犯人――怪盗Tだ。よくぞここまで来てくれた……我が好敵手(ライバル)よ」パチパチパチ

提督「フフフ……さて、どうだったかな我が渾身のリドル達は? ここ数日寝ないで考えた、まるでお腹を痛めて産んだ愛しい子供達みたいなものだ」

提督「ここまで辿り着いた勝者として、是非感想を聞かせて欲しい」

提督「個人的に一番苦労したのは、大井に『北上さんより司令官の方が好き!』という言葉を引き出すことで作動する仕掛けだったんだが……鈴谷の主観的な意見で、解くのが大変だった謎ランキングを10位から発表してくれまいか?」

36: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 09:21:18.12 ID:XdhcHuBZ0
鈴谷「拍手すんなし! ていうか一つも解いてないし! 筆跡で誰が書いたかバレバレだったし! 『我が混沌たるリドルの世界へようこそ。さて早速最初のリドルだ――本来あるはずのものを持っていない艦娘とは誰か? あるのにない。その矛盾を備える持ち主、その矛盾の根本たる2つの山に次のリドルが書いてある。ヒントは関西弁』って手紙見た瞬間にマッハでここ来たし!」

提督「何……だと……? 鈴谷お前! この俺が仕事もしないで考えた至高の謎(リドル)を解かなかったのか!?」ガタン 

提督「ゆ、許さんぞ……! 貴様だけは何があっても許さん……!」ワナワナ

提督「俺の権限で罰として貴様にはこれから1週間の間、島風の服を着てもらう! あのハレンチドスケベ衣装をな! ハレンチでドスケベで初心者ホイホイな……あのハレンチドスケベ衣装をな!」クワッ

鈴谷「着ないし! あんなん着るんだったらまだ裸の方がマシだし!」

37: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 09:23:49.51 ID:XdhcHuBZ0
鈴谷「いいから取り合えず返してよ! あれは駄目なの! 他のならいくらでも持って行っていいから! あ、あれのお披露目はまだ早いといかなんというか、いずれ時がきた時に提督に見せるはずの……」ゴニョゴニョ

鈴谷「と、とにかく返して!」

提督(参ったな……。返すもなにもあれは現在進行形で雷がイクイップ中だ)

提督(とにかく誤魔化すしかあるまいよ)

提督「あの下着なら……もうない」

鈴谷「ハァ!? ないって……何で!? ……あ、そっか。アレをアレしたから……今は洗濯機の中……とか?」カァァ

鈴谷「……だ、だったらしょうがないかなーって。いや、しょうがなくないけど! でも、それだったら……」

提督「いや違う」

鈴谷「違うの? じゃ、じゃあ鈴谷の下着はどうしたの?」

43: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 13:28:39.05 ID:XdhcHuBZ0
提督「……」

提督「あれは……食った」

鈴谷「食べたの!?」

提督(食べたことにしてしまえば、これ以上追求されることはないだろう。まさかこの場で胃の中をほじくりだされるわけもあるまい)

提督(……ないよな?)

鈴谷「た、食べたって……だ、大丈夫なの提督!? お腹痛くなったりしてない!?」

提督「ああ、大丈夫だ。健康そのものだ。むしろ食べる前よりも元気になった気がする」

鈴谷「それならいいんだけど……いや、よくないけど! な、なんで鈴谷の下着食べちゃったの?」

提督「え? ……こう……軽く湯に通してポン酢でサッと」

鈴谷「食べ方聞いたわけじゃないんだけど!? そ、そうなんだ……提督って鈴谷の下着食べちゃう人なんだ……」ドンビキ

44: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 13:31:16.59 ID:XdhcHuBZ0
提督「あれだ。布面積が狭かったから、思ったより喉を通りやすかったぞ?」

鈴谷「レポはいいよ! はぁ……もー、だったら諦めるしかないじゃん」ガックリ

提督「悪いな。侘びに今度別の物を買うよ」

鈴谷「ほんとに!?」ガバッ

鈴谷「じゃあ、提督が鈴谷の新しい下着選んでくれるってことだよね? へー……ふーん、いいじゃん!」ニヤニヤ

鈴谷「あ、そういえば次のお休み重なってるじゃーん! その日によろしくね!」

提督(相変わらず鈴谷はチョロイな)

提督(しかし、この短い間で下着泥棒→主食下着提督→鈴谷の買い物に付き合うマン……と称号が変化したな)

提督(万物は流転するというが……流転しすぎじゃないだろうか)

提督(それにしても……あの下着は鈴谷の勝負下着だったのか……)

提督(確かに明らかに短期決戦用の超攻撃的な下着だった)

提督(つまり雷は鈴谷の勝負下着を履くということ)

提督「……他人の褌で相撲をとる」ボソ

鈴谷「何か言った?」

提督「いや何も……」

45: ◆qvf.IClkDc 2015/12/23(水) 13:41:48.00 ID:XdhcHuBZ0
提督(その後、鈴谷を追い出し入れ替わるように入ってきた雷)

雷『なんだかスースーするわ……で、でも不思議と嫌な気分じゃないの』

雷『落ちかないけど、それが癖になるっていうか……』ソワソワ

提督(長めのスカートに履き替えていた雷の表情は、業界用語でいうザラマンではない様子)

提督(もしかすると俺は、少女がゆっくりと登るべき階段を一気に駆け上がらせてしまったのかもしれない)

提督(それを考えると自分の胸の内に背徳的な感情が生まれるのを感じた)

提督(ただ一つ誤算だったのは、後日、雷が他の艦娘にも紐パンの魅力を語ってしまったことだ)

提督(おかげで鎮守府内で紐パンブームが到来してしまった……)

提督(なんてことだ……)

提督(俺はもしかすると大変なことを仕出かしてしまったのかもしれない)

提督(だが後悔するには遅すぎた。時計の針は止められないのだから……)


第2紐目「紐パン騒動」おしまい

56: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:37:06.75 ID:Nh30Pb1J0
■別の日■


提督「……」

提督「……」

提督「……う……あ……」

提督「……あ……ぁ……ひ……ひも……」

ドアバーン!

雷「ヒモ3回目でフリーエントリーよ司令官!」

雷「これがいわゆる三度目の正直ね! 司令官、私に養われる覚悟はできてる!? 私はできてるわ!」

57: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:38:06.71 ID:Nh30Pb1J0
雷「――って司令官!?」

提督「……」グッタリ

雷「どうしたの司令官!? どうして床で寝てるの!? すっごく眠たかったの!?」

雷「春の陽気に誘われちゃったの? でもまだ冬よ! そんなところで寝てたら風邪ひいちゃうわ!」

雷「と、とりあえずお布団を敷かなきゃ!」パタパタ

雷「な、無いわ! ど、どうしよう……そ、そうだっ! 私がお布団になればいいんだわ!」ピコーン

雷「よいしょっと。重くない司令官?」ノソリ

58: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:38:59.28 ID:Nh30Pb1J0
提督「……じ……い」

雷「どうしたの司令官?」

提督「ひも……ひも……ひもじい」ピクピク

雷「ひも……じい? 紐……爺……? ……紐お爺ちゃん? 司令官! 紐みたいにヒョロヒョロなお爺ちゃんがどうしたの!?」ユサユサ

提督「ひもじい……」グゥー

雷「……ひもじい? ひもじいの!? お腹が空いてるって意味ね! 眠くて眠ってたわけじゃないのね! ちょっと待ってて! すぐにご飯作ってくるから!」ダダッ

ドアバーン!

59: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:41:18.06 ID:Nh30Pb1J0
■■■


提督「ごちそうさまでした。美味しかったよ雷」テアワセ

提督「あの炒飯のパラパラ具合が……とにかくパラパラしてて、こう……珠玉のパラパラさで……」

提督「とにかく美味かった」

提督(どうやら俺にグルメレポーターの才能はないらしい)

提督(とにかく美味かった)

雷「えへへっ、お粗末様でしたっ」テアワセ

雷「はい、食後にデザートも用意したわっ。おはぎよ」

提督「これも手作りなのか?」

雷「そうよっ。司令官のことを考えながらぎゅぎゅーって握ったんだから」エッヘン

提督「美味いよ。本当に美味い」モグモグ

62: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:54:58.99 ID:Nh30Pb1J0
雷「あ、ほっぺたに付いてるわ。もー、しょうがないわねー」ヒョイパク

雷「えへへ」ニヘラ

雷「それで司令官? 倒れるくらいお腹を空かしちゃうなんて……一体どうしたの? お昼ご飯は?」

提督「……うむ、恥ずかしい話、ちょっと懐事情が厳しくてな。節約の為に昼を抜いたんだが……あのザマだ」

雷「駄目よそんなんじゃあ! ご飯はしっかり食べないと!」

提督「一応昼前に金剛が差し入れしてくれた紅茶と……あの、なんだ。す、すこ……すこーん?」

提督「アレを食べたから暫く持つと思ってたんだが……結果は見ての通りだ」

63: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 22:57:35.28 ID:Nh30Pb1J0
雷「すこーん……ぶ? 酢昆布? 酢昆布じゃお腹は膨れないわよ! もー金剛さんも駄目ねぇ。どうせ差し入れするならもっとお腹いっぱいになるものじゃないと」ヤレヤレ

雷「それにしても酢昆布と紅茶って変な組み合わせねぇ……英国生まれの人の好みは分からないわ」クビカシゲ

提督(酢昆布じゃないんだが……まあいいか)

提督(実際酢昆布と紅茶が合うのかは分からない)

提督(だが世の中には炙ったイカを肴にミルクティーを嗜む奇特な輩もいることだし、全く合わないってこともないだろう)

提督(しかし美味かった……こんな美味い飯なら毎日でも食べたいくらいだ)

提督(本当に……毎日食べられたら幸せだろうな)


64: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:03:40.93 ID:Nh30Pb1J0
雷「……」ジー

雷「そう。司令官はお昼ご飯に困ってるのね」

雷「……」

雷「だ、だったら! だったら……その……明日から私がお弁当を作ってあげるわ。ど、どうかしら?」チラチラ

雷「その……司令官が迷惑じゃなかったら……だけど」チラリ

提督(渡りに船とはこのことか……)

提督「そうか? 是非頼むよ」

雷「……っ! 任せて! 司令官の為に美味しいお弁当作っちゃうんだから!」フンス

雷「えへへ……やったぁ」グッ

65: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:08:23.82 ID:Nh30Pb1J0
■■■

雷「それにしても司令官? 懐事情が厳しいって……お金が無いってことよね?」

雷「一体何に使ったの?」

提督「いや……まあ、その……」

雷「待って! 当てて見せるわ!」ピタッ

雷「ズバリ……パチンコね!?」ピコーン

提督「違う」

雷「じゃあ……競馬! 競馬に違いないわ! それとも競輪?」

提督「違う。ギャンブルに興味はない」

雷「……本当に? 私の前だから正直になっていいのよ? 司令官がもっと遊びたいなら、私がお小遣いをあげるわ!」サイフトリダシ


66: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:13:21.71 ID:Nh30Pb1J0
提督「だから違う。何を期待しているのか知らないが、ギャンブルには全く手を出してない」

雷「そう……残念ね」

雷「ギャンブルじゃないのなら……お酒?」

提督「酒は嗜む程度しか飲まん」

雷「そうよねぇ。タバコも吸わないし……何かをコレクションしてるのも聞いたことがないし」

雷「うーん……」ウデクミ

提督(雷には悪いがいくら目の前で考え込まれようが、これに関しては教えることはできない)

雷「……はっ!? 分かったわ!」


67: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:16:36.26 ID:Nh30Pb1J0
雷「女の人ね! 女の人を買ったのね!」

雷「ねえ正解? 正解かしら? ……ど、どうしたの司令官? この世の終わりみたいな顔をして……」

提督(そりゃそんな顔もする)

提督「なあ雷さんや。それはどういう意味か分かって言ってるのかね?」

雷「ええ勿論よ! 男の人はどうしても我慢できなくなった時、町に行って女の人を買うって」

雷「司令官も男の人だから例外じゃないわ!」

雷「……って聞いたの」

71: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:22:13.05 ID:Nh30Pb1J0
提督「……どこで?」

雷「うん。この間ね、軽空母の皆が酒盛りをするからって。それでお酒のアテを作る鳳翔さんのお手伝いをしたのよ」

雷「それで部屋の中にアテを届けて、その時にそう教えてもらったのよ」

雷「ものすごーく酔っ払った――」

提督(隼鷹か)

提督(あの年中酔っ払い空母め。雷になんてことを吹き込むんだ……)

提督(これは罰としてHDF――ハレンチドスケベファッションだな)

提督(たまには酔いじゃなく羞恥で顔を赤くしてやる……)

72: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:33:26.44 ID:Nh30Pb1J0
雷「すごーく酔っ払った――瑞鳳さんに教えてもらったのよ」

提督「!?」

提督(なんてこった……。まさか瑞鳳だとは思わなんだ……)

提督(だが軽空母の中でも穢れてないあの瑞鳳が……一体どうして)

提督(隼鷹だな。隼鷹の影響を受けたに違いない。お の れ 隼 鷹 !)ワナワナ

提督(とにかく隼鷹にはHDFだ。今日から1週間の間HDFで強制出撃だ。当然演習にも出てもらう)

提督(そして穢れてしまった瑞鳳は第六駆逐隊の部屋で1月ほど過ごしてもらい、あの頃のピュアな瑞鳳に戻ってもらおう)

74: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:42:48.85 ID:Nh30Pb1J0
提督(なにはともあれ、雷の誤解を解かねば)

提督「雷よ。隼鷹に汚染された瑞鳳の戯言は忘れるんだ」

雷「大丈夫よ司令官! 男に人だからしょうがないわ! 恥ずかしがらなくていいのよ?」

提督「いや、そうではなく……」

雷「分かるわ。お金を払ってでも女の人に――もの凄く甘えたい。男の人だからそういう時があるわよね!」ウンウン

提督「ん?」

雷「すっごく分かるわ。司令官だって男の人だもの。いえ、戦場で立派に指揮する司令官だからこそ、プレッシャーがどんどん溜まって、そういう風に発散しないといけないのよね!」

提督(どうやら雷は女を買う意味を何か勘違いしているらしいな……)


75: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:50:25.00 ID:Nh30Pb1J0
雷「でも不経済ね! そんなことしなくても、すぐ側にすっごーく甘えさせてくれる子がいるじゃない!」ドーン

雷「私だったら司令官がどれだけ甘えてこようが……むしろウェルカムよ! どんどん来て!」

雷「それに無料よ! お金なんて払わなくても、タダで好きなだけ甘やかせてあげるわ! もうなんだってやってあげちゃうんだから!」ニヘラァ

提督「……いや、そういうことではなく」

雷「どうしたの司令官? どーんって。私の胸に飛び込んできていいのよ?」

雷「……」クビカシゲ

雷「はっ! そういうことね!」

雷「お金を払って女の人に甘える! それ自体に意味があるのね!?」

雷「た、確かに……お金を払ってしまえば、自分はお金を払った客だから何の気兼ねもなく、どれだけ甘えてもいい……そう、理性のストッパーが外れる」

雷「そういうことね! 深いわ!」

76: ◆qvf.IClkDc 2015/12/24(木) 23:58:21.68 ID:Nh30Pb1J0
雷「だったら仕方ないけど、司令官からお金を取らないと……」

雷「うーん、どれくらいがいいのかしら」ウデクミ

雷「確か瑞鳳さんは1時間1万円が相場だって、そう言ってたわよね」

提督(瑞鳳ェ……)

雷「高い! 高すぎるわ! んー……100円ね! 1時間100円で私を売るわ!」

雷「はい、というわけで司令官。何時間にする? あ、そう言えば時間を長くすればその分割引も効くもんだって、瑞鳳さんが言ってたわね……」

雷「じゃあ……3時間で300円の半額、150円でどう? とってもお得よ!」

雷「もー24時間コースも作っちゃうわ! 500円! 500円でどう? 司令官を丸1日甘やかせて500円……え、大丈夫かしらこれ? 私が払うべきじゃないの?」ドキドキ

78: ◆qvf.IClkDc 2015/12/25(金) 00:06:01.35 ID:fnTrNESU0
提督(幼い少女が心の底から楽しそうに、自分を売りに出している)

提督(それはもう嬉しそうに……遠足の前日、おやつを鞄に詰めるような笑顔で)

提督(間違っている)

提督(正さなければならない。正しい常識を持った軍人として、1人の大人として、そして何より雷の側にいるものとして)

提督(お前の行いは間違っている、そう伝えなければならない)

提督(自分を売るなんてことは決してやってはいけないことだと)

提督(教えなければならない)

提督(それが皆を導く、正しい資質を持った提督としての責務だ)


79: ◆qvf.IClkDc 2015/12/25(金) 00:13:44.38 ID:fnTrNESU0
提督「雷」

雷「なぁに司令官? 時間は決めた? あ、そういえば司令官今お金ないのよね? じゃあ、私が代わりに払っておくわ! 私に!」

提督「……」

提督「……」

提督「……取り合えず1時間で頼む」

雷「はーい! うふふっ、何からしてあげようかしらぁ!」

提督(……)

提督(間違っていることを間違っている、そう教えるのは簡単だ。誰にだってできる)

提督(だが俺は雷自身に気づいて欲しいのだ。自分の行いの間違いを)

提督(故にこうして実際に事を行う必要がある)

提督(そう、あるのだ)

雷「そうねぇ……なにはともあれ、まずは……膝枕ね! これは外せないわ!」

提督(必要なことなんだ……)


■■■


82: ◆qvf.IClkDc 2015/12/25(金) 00:22:49.25 ID:fnTrNESU0


第3紐目「夕雲、浦風、雷の3名による甘やかせ件争奪逆オークションに続く」おしまい

95: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:27:21.16 ID:WihwIHij0
提督「……やはり……駄目なのか?」

提督「だが、それでも俺は……」

提督「やはり……ヒモ、だろうな」

ドアバーン

雷「100メートル先から聞こえたヒモの言葉に反応する艦娘――雷参上!」

雷「4度目の正直よ! 今回こそは……って司令官!? ど、どうしたの!? 頬っぺたが真赤じゃない!」

提督「ちょっとな……」ヒリヒリ

雷「これ誰かに叩かれた跡じゃない! ……と、とにかくクーリングしなきゃ!」パタパタ

96: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:29:47.75 ID:WihwIHij0
雷「氷嚢を用意したわ! 後はこれで冷やして……んんー! と、届かない……!」セノビ

提督「膝に座るといい」

雷「そうさせてもらうわね!」ストン

提督(躊躇なく膝に座ったな。何だか秘書を侍らす悪徳社長になった気分だ……)

雷「じゃあ冷やすわね」ヒヤリ

雷「そ、それで誰がこんなひどいことを……?」

提督「……」

提督「曙だ」

97: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:30:30.12 ID:WihwIHij0
雷「そ、そんな……! ちょっと待っててね司令官。今から行ってこんなことしちゃダメでしょ!って怒ってくるわ!」フンス!

提督「待ってくれ。曙は悪くないんだ。俺のせいなんだ」

雷「司令官の?」

提督「ヒモ……」

雷「ヒモ!? ヒモがどうしたの!?」ガバッ

提督「ヒモ……ヒモQだ」

雷「ヒモQ? ヒモQってあのお菓子の? えっと……ヒモみたいに長いグミだったわよね?」

提督「そうだ。よく知ってたな」ナデナデ

98: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:31:31.41 ID:WihwIHij0
雷「え、えへへっ。間宮さんのお店で売ってたのよ。何回か食べたことがあるわ」

提督「俺もヒモQが好きなんだ。2の付く日には必ず食べてる。おかげで月の後半はヒモQ祭りだよ。ヒモQカーニバルだよ。いや、ヒモQフェスタか?」

雷「そ、そうなの……司令官はヒモQが好き。うん、覚えたわ」

提督「で、俺はそんな愛すべきヒモQを見ながらふとあることを思いついた」

雷「あること?」

提督「世の中にはポッキーゲームというものがある。知ってるか?」

雷「ポッキー……ゲーム? ちょっと待って考えるわ! えっと……ポッキーを使って相手を倒す、的な?」

提督「違う」

雷「そ、そうよねっ。ううん……分からないわ」

99: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:32:19.33 ID:WihwIHij0
提督「では正解だ。ゲームは2人で行う。方法は簡単だ。1本のポッキーの端と端、それぞれをお互いが咥える」

雷「そ、それで……?」ドキドキ

提督「後は……サクサクと食べ進める」

雷「ええっ!? そ、そんな……そのままだと……!」

提督「ああ、そうだ。後は野となれ山となれ――行き着く先は唇と唇の接触事故だ。保険適用外のな!」クワッ

雷「キャー! 大事故だわ!」カオマッカ

提督「そして俺は思った。ポッキゲームがあるならヒモQゲームもあるんじゃないか……とな」

雷「あると思うわ!」

100: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:36:01.95 ID:WihwIHij0
提督「一旦そう思ってしまったら、もう自分の欲望を止めることができなくなった」

提督「ヤリたい……ヤリたくってたまらない。もう我慢できないっ(例のゴリラ風に)」

提督「その感情を抑えつけることができなかった」

雷「我慢できないなら仕方ないわね! 本当に司令官ってば早漏ね!」

提督「そう、俺はそうろ……なに?」

提督「今何と言った雷?」

雷「早漏よ。我慢できない男の人は早漏って言うんでしょ?」

101: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:40:11.07 ID:WihwIHij0
提督(またか……。今度は誰がこんなことを吹き込んだんだ?)

提督「その言葉は誰に教えてもらった?」

雷「榛名さんよ!」

提督「……っ!」

提督(今度は榛名か……っ!)

提督(よりによって、どうしてあの子が……)

提督(たまにハイライトがオフになることはあるが、それ以外は問題のない穢れない女の子だったはず)

提督(榛名も誰かに吹き込まれたか……思い当たるのは同じ金剛型の姉妹連中だが……)

提督(金剛は普段あんだけLOVELOVE言ってる癖に、こちらから下ネタを振れば顔を真っ赤にして俯くタイプだ。そして比叡はそんな姉に夢中。霧島は眼鏡。……この3人ではないだろう)


102: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:45:22.86 ID:WihwIHij0
提督(あと榛名と親交があって、怪しい艦娘は……)

提督(……)

提督(……)

提督(もう思いつかないし面倒だから、吹雪にしとくか)

提督(お の れ 吹 雪 !)

提督(とりあえず吹雪はHDFだな。当然文句を言ってくるだろうが……そこはまあ、夢でお前が着てるのを見たから的なことを言ってれば納得するだろう)

提督(そして穢れてしまった榛名は瑞鳳と同じく、第六駆逐隊の部屋に異動だな)

提督(瑞鳳も着々とかつてのピュアな姿に戻っているし、榛名もすぐに綺麗な榛名になるだろう)

提督(そういえば瑞鳳用の第六駆逐隊の制服を要請されていたか。ついでに榛名の分も用意しておこう)

103: ◆qvf.IClkDc 2015/12/26(土) 16:54:03.68 ID:WihwIHij0
雷「ねえねえそれで? 早漏の司令官は一体どうしたの?」

提督「……あ、ああそうだな。立案したゲームをすぐにやりたくなった俺は、その時の秘書艦――曙にその旨を告げた」

提督「ヘーイあけぼのー! オレと一緒にヒモQゲームをするネー! ……とな」

雷「似てないわ司令官……びっくりするくらい金剛さんの物まね似てないわ……」ブルブル

提督「そ、そうか……」シュン

提督「まあ、とにかく曙を誘ったわけだ。当然曙は言った」

提督「『はぁ? 何言ってんのよクソ提督。ヒモ……なに?』とな。そして俺はヒモQゲームの公式ルールを説明した」

提督「するとみるみる内に曙の顔が真っ赤になっていった」

提督「怒りか羞恥か、はたまた俺が立案したゲームがあまりにも素晴らしく、文字通り息を飲んで驚き呼吸を止めたのか……」

雷「多分怒りだと思うわ」

提督「そうだな怒りだな。曙は『しないわよバカ! クソ提督! ほんっとクソ提督! [ピーーー]!』そう罵声を浴びせるやいなや右手を振るい、俺の頬に紅葉型を残し出て行った」

提督「これが事の顛末だ」 

114: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:27:39.59 ID:es+YIXR80
雷「なるほどねぇ……それは司令官が悪いわ!」

雷「普通の子なら、いきなりそんなゲームに誘われたらそうなるわよ」

雷「普通の子……ならね」チラリ

提督「それはどういう意味だ?」

雷「んもー! 分かってるくせにー!」ウリウリ

雷「司令官のすぐ身近に、どんなお願いだって聞いてくれる子がいるでしょぉ?」

雷「どんな難しいお願いだって二つ返事で了解してくれる子が……いるじゃない!」ドヤーン

115: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:29:11.23 ID:es+YIXR80
提督「どんなお願いだって聞いてくれる子……?」

提督「……」

提督「……」ウムム

雷「……」ワクワク

提督「……そうか!」ハッ

雷「……!」パァァ




116: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:34:10.63 ID:es+YIXR80
提督「そうだ。確かに――イカ娘ならヒモQゲームに参加してくれるな!」

雷「違うでしょぉ!? 私! 私がいるじゃない!」ピョンピョン

雷「それからまるゆちゃんのことイカ娘って呼んでるの司令官だけよ!?」

提督「そうか……頑張って流行らせようとしてるんだが……」

雷「はいはい! じゃあ早速やりましょ! ヒモQゲームを! すっごい楽しみ!」ワクワク

雷「とりあえず売店に行ってヒモQを買ってくるわ!」ダダッ

ドアバタン!

提督「……」

提督「……俺も楽しみだ」

117: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:44:37.57 ID:es+YIXR80
ドアバタン!

提督「む、早いな雷。というか早すぎるな……これはもう鎮守府で最も速いハレンチドスケベ風を凌駕していると言っても過言ではないな……」

曙「……」ニラミ

提督「曙……だったのか」

曙「……」ツカツカ

提督「一体何の用だ? まさか先ほどのことをまだ根に持って……」

曙「……」ツカツカ

曙「……」ピタ

曙「……」ギロリ

提督(な、なんて眼をしているんだ……)

提督(あの眼……凄みを感じる。間違いなく俺を[ピーーー]気だ。人1人[ピーーー]なんてわけない……そんな眼だ)

提督(長年提督として幾度も命の危機を経験したから分かる)

提督(俺の勘が継げている――俺はここで死ぬ、と)


119: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:48:37.66 ID:es+YIXR80
曙「……」スッ

提督(曙が胸ポケットに手を入れた。間違いない――俺を[ピーーー]武器を取り出す気だ)

提督(拳銃か包丁かそれとも比叡が作ったカレーか……何にせよ、この距離では避けようもない)

提督(いや武器である必要もない。俺を社会的に[ピーーー]ことができる……そんな物が映った写真かもしれない)

提督(思い当たるフシがありすぎる……)

提督(あの時のアレか……? 時津風の帽子をアレした……いや、それとも秋津風の連装砲ちゃんをアレしたアレか?)

曙「はい、クソ提督」スッ

120: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 22:54:18.10 ID:es+YIXR80
提督(俺を殺すのは一体……できるなら優しく殺して欲しい)

提督「……っ」チラ



ヒモQ「よろしくですわwwww」


提督「……む?」

提督「これは……どういうことだ曙?」

曙「……でよ」

提督「なに?」

曙「勘違いしないでって言ってるのよ!」バンッ

曙「これは……アレよ! どうせクソ提督のことだから、あたしに断られても別の誰かにターゲットを移すと思ったから!」

曙「だ、だから仕方なくよ! 泣く泣くよ! 死ぬほど嫌だけど……あたしが犠牲になるって言ってんのよ!」

曙「あたしの仲間に、朧と潮にあんたの魔の手が伸びないように……あたしが生贄になるって言ってんの!」


122: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 23:02:47.76 ID:es+YIXR80
曙「だ、だから……やるわよクソ提督」

曙「さっさと済ませるわよ」

曙「あんたの毒牙にかかってやるわ。その代わり絶対に潮と朧には手を出さないって、約束しなさい」

提督「……漣は?」

曙「好きにしたら?」

提督「……」

曙「じゃ、じゃあやるわよ! あー、いやだわー、クソ提督とこんないやらしいゲームするの、本当にいやだわー」イソイソ

提督(テキパキと準備を進める曙)

提督(その光景を見ながら俺の脳内では、イカに雷が来るまでにこのゲームを最速で勝利するか……その方程式が着々と積みあがっていた


■■■



123: ◆qvf.IClkDc 2015/12/27(日) 23:04:04.88 ID:es+YIXR80


第4紐目「勝負は引き分けにつき、3日後に再戦予定」おしまい

140: ◆qvf.IClkDc 2015/12/30(水) 23:00:21.78 ID:VdsN1jaB0
■鎮守府廊下■

提督「……」ツカツカ

提督(ふむ……今日も我が鎮守府は平和だ)

提督(今日は何をしようか)

提督(そういえば夕張が1度、工房に来て欲しいと言っていたな……)

提督(何でも比叡カレーを兵器に転用する目処がついたとか……)

提督(あまりいい予感はしないが……行ってみるか)

???「あっ、あなた!」タタッ

提督「ん?」

???「こんにちは、あなた。今日はいい風が来てるでありますかも?」

141: ◆qvf.IClkDc 2015/12/30(水) 23:01:27.44 ID:VdsN1jaB0
提督「ああ、秋津風か。元気そうだな」

秋津風「ええ、とっても! あなたも元気そうでなによりでありかすかも!」

提督(俺の前に現れた艦娘の名前は秋津風)

提督(天津風の可愛らしい声、あきつ丸の軍人的な従順さ、秋津洲の使えな可愛さを足して3で割って生臭さを足した艦娘だ)

提督(見た目はどことなく秋月っぽいサンマだ)

提督(等身大のサンマに人間の手足が生えている)

提督(最初この秋津風が建造で生まれたときはとても驚いたが、今となっては懐かしい話だ)

提督(多少他の艦娘と違う部分は多いが……俺たちの仲間であることに違いない)

提督(……生臭いが)

提督「それで秋津風はこんな所で何を?」

秋津風「はっ! 思い出したでありますかも! 磯風さんに追われているんでありますかも! あの人、私を見るたびに焼いて食べようとするから困りものでありますかも! じゃあ、あなた、これで!」タタッ

提督(生臭い臭いを残しつつヒタヒタ走り去る秋津風)

提督(艦娘とは不思議な存在だ)

提督(かつての艦船の名前を持った少女達が、かつてと同じ能力を持って、我々と共に戦っている)

提督(一見ただの少女が艦船と同じ力を持っているのだ)

提督(それはとても……常識外のことだ)

提督(そんな常識外の存在だからこそ、その中に明らかにおかしい喋るサンマがいたとしても……それは大したことじゃない)

提督(そう……なにもおかしいことはないのだ)

提督(ない……よな?)

142: ◆qvf.IClkDc 2015/12/30(水) 23:01:59.37 ID:VdsN1jaB0


番外紐「まちがいは誰にでもある」おしまい

153: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:00:16.35 ID:9z8VDeqL0
提督「……」

提督「ひも……ひも……」

提督「ひ……も……」

提督「……」

ドアアーン!

雷「ヒモが5回目……来たわ司令官!」タタッ

提督「……」グッタリ

雷「し、司令官!? どうしたのこんなにグッタリして! 何だかこの光景前にも見たわ! こういうのってアレよね! デジャブって言うのよね!? デンゼルワシントンさんの映画で覚えたわ!」

154: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:00:53.16 ID:9z8VDeqL0
提督「ひも……じい……」グゥー

雷「やっぱり! お腹が減ったのね! と、取りあえず何か食べる物……ああっ、私が舐めてた飴しかないわ!」

提督「……」コクコク

雷「これでいいの? じゃあこれでも舐めてて待ってて!」ヒョイ

雷「すぐにご飯用意するわねっ」ダダッ


■■■


提督「この料理を作ったのは誰だ!」

雷「私よっ」ドヤーン

提督「雷、おまいだったのか……」

提督「ありがとう、本当にありがとう……それしか言う言葉が見つからない……」

雷「もーお礼なんていいわ司令官! 私が好きでやってるんだもの!」

155: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:02:01.15 ID:9z8VDeqL0
提督「本当、いつもすまないな。とても美味しかった。こんな料理なら毎日でも食べたい。ここだけの話嫁に――」

雷「え?」カシゲ

提督「……いや何でもない。ありがとう助かった。マジで餓死する5秒前だった」

雷「よかったわ。それで何があったの? 私が作ったお弁当は?」

提督「……お弁当、か」

提督「……」

提督「すまない雷……本当にすまない……すまない司令官で本当にすまない……」

雷「ど、どうしたの!?」

提督「弁当は……赤城に……奪われた」

雷「赤城さんに!? い、一体何があったの!?」

提督「そ、それは……」

156: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:02:34.45 ID:9z8VDeqL0
提督(本来ならば俺の胸の内だけに収めておきたい話だ)

提督(だが弁当を作った張本人である雷が望むならば、話すしかないだろう……)

提督(この忌々しくも己が無力さを痛感させられる話を……)

提督「ついさっきの話だ。ようやく午前中の仕事もサボり終え、ついに昼飯の時間がやってきた。最近の楽しみはもっぱら、雷が毎日持たせてくれる弁当だ。俺は押し寄せてくるワクワクに身を委ねながら、今日も雷が持たせてくれた弁当の包みを開いた」

提督「瞬く間に広がる弁当のいい匂い。空腹をより刺激するその香りに俺は暫し目を閉じて浸った。瞼の裏に弁当を作ってくれた雷の可愛らしい姿が映し出された」

雷「……えへへ」テレテレ

提督「暫く幻想の雷と過ごした俺はゆっくりと目を開いた」

提督「目の前には雷が丹精込めて作ってくれた美味い弁当が……あるはず、だった。そう、一瞬前まではあったのだ」

157: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:03:14.61 ID:9z8VDeqL0
提督「だが、そこに弁当はなかった」

提督「代わりに赤城が目の前で弁当を食べていた」

提督「赤城がこの机を挟んで目の前に座り、当たり前のような顔でそこにいて、弁当を食っていた」

提督「俺はただ雷の弁当が消費されていくのを見るだけしかできなかった」

提督「食事を邪魔すれば爆る(爆戦機で攻撃するの意)。赤城の目がそう語っていたからだ」

提督「長いようで短い、拷問の様な時間が終わり、赤城が箸を置いた」

提督「アイツは言った。『思いやりを感じる味です。ただ個人的には量が少ないですね』と」

提督「俺は立ち上がり、拳銃を突きつける気概で赤城に文句を言おうとした。だが赤城は手のひらをこちらに見せ『まあ、落ち着いて下さい』そう言った。そして机を迂回し、俺のもとへ近づき、俺の右手をとった」

158: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:05:43.34 ID:9z8VDeqL0
提督「そしておもむろに……胴着の中に手を誘い――胸を触らせた」

雷「むっ!」

提督「時間にして数秒……奴は俺に胸を触らせた」

提督「女と言えと相手は艦娘だ。抵抗はできなかった」

159: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:06:20.10 ID:9z8VDeqL0
提督(濃密な数秒だった。赤城の胸は柔らかく、しっとりして、もちもちして……一言で言うなら――恐ろしかった。触れているだけで絶頂に至る気さえする感触……恐怖する感じた

提督(触れているだけで頭がおかしくなってしまいそうな感触。凄まじく濃密な情報が脳内を飛び交い、思考を司るCPUがオーバークロックした。時間の流れが緩やかになり、わずか数秒のはずの時間が引き伸ばされ、何時間にも感じた)

提督(引き伸ばされた時間が不意に終わり、俺の手は赤城の胸から離れていた)

提督(そして――俺は赤城に礼を言っていた。言語野を介さずに本能から零れ落ちた言葉だ。こんな素敵な物に触れさせてくれてありがとう、そう感謝していた。その時は本気でそう思っていた)

提督(赤城は『ふふっ、いいんですよ。win-winですからね。ではこれで』そう笑顔で言い出て行った)

提督(無論、こんなこと雷には言えない)

160: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:06:51.31 ID:9z8VDeqL0
提督「――これが事の顛末だ。赤城は俺の弁当を奪うどころか、不意に胸を触らせたのだ。その行動に言葉は伴っていなかったが……『弁当は貰った。おっと人を呼ぼうなどと考えない方がいい。今この状況で人が来て困るのはあなたですよ……ククク。あなたはただ私に弁当を貪りつくされ、泣き寝入りするしかないんですよ……フッフッフ……アカギギギッ!』そう言ってるような気がしたんだ」

提督「くっそ!」バンッ

提督「やられた! 弁当を奪われるだけでなく、奴を告発することもできないなんて……悔しいですっ!」

提督「……」チラリ

雷「で、どうだったの?」

161: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:08:17.63 ID:9z8VDeqL0
提督「え?」

雷「だから、赤城さんのお……胸を触ってどうだったの? 気持ちよかったの?」

提督「いや、それは……ほら、弁当を奪われた怒りで感触とか……そんなのは、なあ?」

雷「本当に? 絶対? 胸を張ってそう言える?」

雷「大きい胸を触って嬉しかった……ちょっとでもそう思わなかった?」

提督「……お、思わなかった……よ」

雷「……」」

雷「……司令官のうそつき。ふーんだ。いいもん、私だっていつかは大きくなるんだから!」

雷「頑張って司令官好みの大きさになるんだから! これだけ頑張ってるんだからいつかは大きくなるもん!」

雷「ねえ、そうよね秘書艦の龍驤さん?」

龍驤「そこでウチに話振んのがどんだけ残酷なことが分かっとんの?」カリカリ




162: ◆qvf.IClkDc 2015/12/31(木) 00:08:54.75 ID:9z8VDeqL0


第5紐「等価交換」おしまい

174: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:01:47.54 ID:lyDnug1r0
提督?「……」モグモグ

提督?「……」モシャモシャゴクン

提督?「……」

提督?「……ヒモ!」ハッ

提督?「ヒモ……モヒッ……!」ハッハッハッ


ドアバーン!


雷「じゃーん司令官! 駆逐艦雷が6回目をお知らせするでち!」ドドーン!

175: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:02:40.42 ID:lyDnug1r0
雷「なーんちゃって! ゴーヤちゃんの物真似似てたか……し……ら?」

提督?「……モヒィ!」フゴフゴッ

雷「……」

雷「何だかよく分からない生き物がいるわ!?」ギョギョッ

雷「え、犬? で、でも犬にしては足が長いし……」

雷「う、馬かしら? でも馬に角は生えてないわよね……?」

雷「どうしてこんなよく分からない生き物が執務室にいるのかしら……?」

176: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:04:23.68 ID:lyDnug1r0
謎の生物「モヒッ! モヒモヒッ!」タタッ

雷「きゃあ!? な、なになに!? ちょっ……どうしてスカートの中に顔を!?」

謎の生き物「モヒモッヒ!」モゾモゾ

雷「い、いや! た、助けて司令官……!」ウル


窓ガシャーン!



提督「大丈夫か雷!?」

雷「司令官も大丈夫!? 血だらけよ!?」

提督「ああ、思い切り窓をぶち破りながら登場したからな。映画とかでよく見るけど、実際やるとこんな風になるんだな……」ダクダク

177: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:05:00.65 ID:lyDnug1r0
提督「屋上で昼寝してたら、いきなり雷の悲鳴が聞こえてな。慌てて窓から飛び込んだんだが……」ダクダク

雷「びょ、病院! 病院行かなきゃ!」

提督「安心しろ雷。これくらいの傷……」カシュッ

提督「……」グビグビ

提督「……ぷはぁ。この夕張製の飲む高速修復剤で治る」キラァ

雷「ほ、本当だわ……もう塞がってるわ」ホッ

178: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:05:32.20 ID:lyDnug1r0
雷「そ、それより司令官! あ、あれなんなの!?」ギュッ

謎の生物「モヒッ! モヒッ!」フゴフッゴ

雷「司令官を見て凄く興奮してるわ!」

提督「あれ? ……あ」

提督「驚かせてすまない雷。アレは俺のペットなんだ。名前はチロちゃん。ほらチロちゃん雷に挨拶!」

チロちゃん「モヒッ!」ペコォ

雷「す、凄い……後ろ足で立って腰を90℃に曲げてお辞儀してるわ……。チ、チロちゃんってその……何なのかしら? 私、今までこんな生き物みたことないわ」

179: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:06:03.49 ID:lyDnug1r0
提督「チロちゃんか? 何言ってるんだ雷? チロちゃんはどこからどう見ても――」

チロちゃん「モッヒモッヒ!」

提督「――何この生き物……よく考えたら俺も分からん」

提督「分からん……俺は一体何を飼ってるんだ?」

雷「司令官も知らないのね……」

提督「ああ。ある日鎮守府の排水溝に詰まってたのを発見したんだ。懐かれたからこっそり自分の部屋で飼っててな」

提督「どうやら俺を追ってここまで来てしまったらしい」

チロちゃん「モッヒ!」タタッ

雷「きゃっ! ま、またスカートの中に……!」

180: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:06:44.03 ID:lyDnug1r0
提督「こらチロちゃん! ダメだ!」

チロちゃん「……モヒィ」シュン

提督「……そんな悲しい顔するなよ。ほら、これでもお食べ」ゴソゴソ



スクール水着「お。美少女に着られるんか?」



チロちゃん「モヒィ! モッヒモッヒ!」モシャモシャ

雷「ス、スクール水着を食べてる……」

提督「ああ、チロちゃんの主食はスクール水着なんだ。もしかして雷、今服の下にスク―ル水着を着てたりしないか?」

雷「え、ええ。電達とプールに行く約束をしてて」スカートヒラリ

提督「……」

提督「……なるほどな。だからチロちゃんが反応したわけだ」

181: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:07:16.20 ID:lyDnug1r0
提督(何この生き物……スカートを主食にするって……怖っ)

提督(……)

提督(だが、それでも俺の家族に違いはない。たった一人の、な)

提督「……家族、か」チラッ

雷「司令官、どうかしたの? 私の顔に何か付いてる?」

提督「……いや、なんでもない」

提督「それより雷。約束してるんだろ? 時間は大丈夫なのか?」

雷「あっ! ど、どうしよう待ち合わせの時間に間に合わないわ!?」

182: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:08:32.71 ID:lyDnug1r0
提督「チロちゃん!」ビシッ

チロちゃん「モーヒー!」

ガシャコンガシャコン

雷「チロちゃんが変形した……羽も生えてるわ」

提督「ああ、チロちゃんのお手、お座りに続く第3の芸――変形だ。乗っていくといい」

雷「う、うん! じゃあ行ってくるわ司令官!」


ドヒューン!
窓バリーン!


提督「……行ったか」

提督「間に合うといいが。それにしても……」

提督「少なくとも生き物ではないよな、チロちゃん」

提督「う〇こが純金だし、おしっこを枯れた植物にかけると瞬く間に生い茂るし……夜中の12時過ぎに餌あげると分裂するし……」

提督「まあ……いいか」

提督「……」

183: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:12:08.36 ID:lyDnug1r0
提督「……そろそろいいぞ。クローゼットの中にいるお前だ」

?「……」

提督「いるのは分かってる。この気配は……不知火、か。出て来い」

?「……」

ギィィ

不知火「不知火にお気づきでしたか……流石です」

提督「ん、まあ……お前の気配は独特だからな。すぐに気づく」

提督(目つきと気配の鋭さは戦艦並みだからな……)

184: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:15:32.61 ID:lyDnug1r0
提督「ところで不知火。どうしてクローゼットの中なんかにいた? それに今も……」

不知火「……」

提督「どうして顔だけしか出さない?」

不知火「その……今の不知火は……司令官の前に出るには、少しみっともないというか……」モジモジ

不知火「落ち度しかない格好……なので」

提督「よく分からんがとりあえず出て来い」

不知火「……はい」

ギィィ
バタン

不知火「……」

提督「……」

185: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:19:02.35 ID:lyDnug1r0
提督「……聞いてもいいか?」

不知火「ええ、どうぞ」

提督「どうして俺のワイシャツを着ている? それに……もしかしてだが、ワイシャツの下に何も着ていないように見えるが……」

不知火「ええ、司令の仰る通りです」

不知火「……っ」カァァ

不知火「その……諸事情により、何も着るものが無くなってしまったので、クローゼットの中にあった司令の服を借りてしまいました」

不知火「勝手に司令の服を拝借したことに対する罰は受けます」

不知火「……申し訳、ありません」

186: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:24:37.73 ID:lyDnug1r0
提督「いや、別に構わないんだが……その諸事情とやらは?」

不知火「ええ、その……とても信じられないとは思うのですが、この部屋に入ったときに……今まで見たこともない生き物がいて、その生き物に襲われました」

不知火「謎の生き物は不知火を服を食い破り、その瞬間に不知火はクローゼットの中に逃げ込みました」

不知火「衣服が無くなった不知火は司令の服を拝借して、暫く隠れていたのですが……その」

不知火「……」

不知火「司令の服を着ていると、不思議と安心してしまい、気がつくと……少し眠ってしまいました」カァァ

不知火「そして先ほど司令の声に起こされた……というわけです」

不知火「……」

不知火「……こんな落ち度だらけの不知火は、必要ありませんね」グスッ

不知火「今から工房に言って解体の申請をしてきます」

189: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:32:46.52 ID:lyDnug1r0
提督「落ち着け不知火。お前に落ち度はない」

不知火「ですが……」

提督「事故だ」

提督「謎の生き物に襲われたのも、クローゼットに逃げ込んで俺の服を拝借したのも、クローゼットの中で居眠りしたのも」

提督「全て事故だ。いいな?」

不知火「司令が……そう言うなら……不知火は従うまでです」

不知火「……ありがとうございました、司令」

提督(そう言って不器用な笑みを浮かべた不知火)

提督(色々と真面目すぎて不器用だが、決して悪い子ではない)

提督(……)

提督(しかし……謎の生き物というのは間違いなくチロちゃん、だろうな)

提督(チロちゃんはスクール水着しか食べない)

提督(つまり不知火はこの部屋にスクール水着だけを着て入って来たことになるのだが……)

不知火「……?」

提督(いや、何も問うまい。例え不知火が何を目的にして、スクール水着を着たままこの部屋に来たとしても……俺が知るべきことではないのだろう)

提督(世の中には知らない方がいいことは多い)

提督(無知であることの幸せを享受すべきなのだ)

提督(きっと、多分、恐らく……メイビー)

190: ◆qvf.IClkDc 2016/01/01(金) 19:34:14.56 ID:lyDnug1r0


第6紐「不知火には競泳水着が似合うはず」おしまい。

200: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 22:43:50.28 ID:BfR/OXx40
軽空母宴会会場跡地

瑞鳳「うぅー……」グッタリ

隼鷹「うへへぇ……もっと飲むぅ~……」ダラァ

龍驤「もう飲まれへん……あかんわぁ……」グデーン

バタン

雷「お邪魔しまーす……って酷いわねこれ!」

鳳翔「あ、雷ちゃん?」カチャカチャ

鳳翔「もしかしてまた後片付けのお手伝いに来てくれたの?」

雷「うん。何だか誰かが助けを求めてる気がして。任せて、てきぱき片付けちゃうわ!」ウデマクリ

鳳翔「いつも助かるわ。本当にありがとうね。ふふっ、ここの片付けが終わったら何か甘いものでもご馳走するわね」

雷「え、本当! えへへっ、楽しみだわ!」

201: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 22:48:27.14 ID:BfR/OXx40
カチャカチャ
カチャカチャ

雷「ふんふんふふーん」テキパキ

雷「あ、もう瑞鳳さんってば。お腹出して寝てたら、風邪ひいちゃうわよ」スッ

瑞鳳「ありがとー……むにゃむにゃ」

雷「もー、皆しょうがないんだからー」ニコニコ

……ぉ

雷「――はっ!?」キュピーン

鳳翔「あら、どうしたの雷ちゃん?」

雷「しっ! 静かにっ!」

雷「今、確かに司令官の声が……」

鳳翔「え、提督の? いえ、私には聞こえなかったけど……」

雷「ううん。確かに聞こえたわ!」

……ひもー。

雷「やっぱり! やっぱり聞こえたわ!」

203: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:01:42.75 ID:BfR/OXx40
鳳翔「う、うーん。私には聞こえないけど……そ、それに提督は今日、鎮守府を留守にしてるはずなんだけど」

雷「行かなきゃ……!」バッ

雷「待ってて司令官! 今すぐ行くわ!」ダダッ

鳳翔「あ、そんな出口に向かって真っ直ぐ駆けたら……」

瑞鳳「えへへぇ……ていとくぅ……私の格納庫……まさぐりゅ? えへへ、いいよぉ――ぐふっ!?」ゲシ

隼鷹「むにゃにゃ……えぇー、あたしにこんなハレンチドスケベな服着ろって? しょうがないなぁ――げぼっ!?」ゲシ

龍驤「うぅ……そんなまな板まな板言うんやったら、キミが大きくしてくれたらええやんか。どうやってて、そりゃ揉んでやけど」ツルーン

雷「今行くわよーーー!」ダダダッ

バタン

鳳翔「い、行ってしまいました」

鳳翔「……ふふ、雷ちゃんったら、提督のことになると周りが見えなくなるのね、カワイイ」クスクス

鳳翔「とりあえず……」

瑞鳳「……ず、ずいほうのかくのうこがぁ……いたいよぅ」メソメソ

隼鷹「おろろろろぉぉぉ……」ビシャビシャ

龍驤「そう、そうやって優しくな。優しく触って……うん、背中ちゃうでそこ。間違いなく胸やで」ムニャムニャ

鳳翔「とりあえず2名は入渠ね……」

204: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:13:54.54 ID:BfR/OXx40


雷「うーん……こっちの方から司令官の気配を感じるんだけど……」キョロキョロ

?「……」コソコソ

雷「あのフードを深く被って、マスクとサングラスを付けた怪しい人は……」

雷「ずばり那珂ちゃんね!」ビシリ

?「ほわぁ!? ち、違いますけど!? な、那珂ちゃんは那珂ちゃんじゃないし! 人違いですし!」アセアセ

?「ってあれ? 雷ちゃ……いやいや! 私あなたなんて知らないですから! キャハッ☆」

雷「ううん。いくら正体を隠そうとも私には分かるわ。そんな変装じゃ、那珂ちゃんが出るオーラは隠せないもの」

?「え、嘘。オーラ出てる? あ、もーっ、出ちゃってるっ? だったら仕方ないなー☆」バッ

那珂「そうでーす! 実は那珂ちゃんでしたー☆ やっぱり那珂ちゃんのアイドルオーラは変装如きじゃ消えないかー」ヤレヤレ

那珂「それで雷ちゃん、こんな所でどうしたの? あ、那珂ちゃんのサインを貰う為に……?」

雷「違うわ。司令官を探しに来たんだけど……見てない?」

那珂「提督? さっき見たよー。向こうの方だったかな?」ユビサシ

雷「ほんとに! ありがとう!」

雷「ところで那珂ちゃん。那珂ちゃんは買い物かしら? 紙袋をいっぱい持ってるみたいだけど……持つの手伝う!?」

那珂「え゛っ! い、いやこれはちょっと、その……ね。持たせるわけにはいかないから……うん」

那珂「次のライブで使うエッチな本なんて持たせ――んんっ! なんでもないよー☆ 気持ちはありがたく受け取っておくね!」

那珂「じゃあ、バイバーイ」ダダッ

雷「あ、行っちゃった。もうっ、あんなに急いで帰らなくてもいいのに……」

雷「さ、那珂ちゃんが教えてくれた場所に行ってみるわ!」

205: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:17:08.51 ID:BfR/OXx40
雷「どんどん司令官の気配が濃くなってきたわ!」

雷「そろそろなんだけど……あっ」

雷「イタリアン的なお店の中にいるのは……司令官!」パァァ

雷「えへへっ、見つけたわ! 今すぐ行くわ……って、あれ? 誰かと一緒にいるわね」


提督「――」

電「――」


雷「電?」

206: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:23:08.69 ID:BfR/OXx40
イタリアン的な店内

電「ふふふ……」クスクス

提督「笑いすぎだぞ電。ちょっと勘違いしてただけだろ」ムスッ

電「ご、ごめんなさいなのです。で、でも……おかしくておかしくて」クスクス

電「司令官さんがアップルモヒートのことをずっとアップルヒモートだと思っていたなんて……ふふふっ」

提督「些細な勘違いだろうに」

電「でも自信満々に店員さんに注文してたから……ふふふっ」

提督「……」

提督「それよりも、もっと食べないのか? わざわざ付き合って貰ったんだから、好きな物を注文していいんだぞ」

電「……だ、だったらその……このパフェも食べたいのです」モジモジ

提督「よし。マスター、このデラックスパフェを頼む」

電「あ、あわわっ、普通でいいのです!」

207: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:28:19.78 ID:BfR/OXx40
提督「今日は1日ありがとうな」

電「こ、こちらこそ! 司令官さんと一緒で……電もすっごく楽しかったのです」

電「色々な場所に連れて行ってくれて、こんな美味しいご飯もご馳走になって……」

電「とっても、嬉しかったのです」ニコリ

提督「また機会があれば行こうか」

電「はいなのです!」

提督「で、この後なんだが……」

電「あ……はい」コクン

提督「もう暗くなってきたし、そろそろ……な? 最後に……分かるだろ?」

電「は、恥ずかしいですけど……はい。電、頑張って……恥ずかしいのを我慢するのです」

提督「そうか。じゃあ行こうか」スッ

雷「……はいなのです」ギュッ

208: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:31:44.27 ID:BfR/OXx40
雷「……」

雷「司令官と電……楽しそうね」

雷「うん、良かったわ! 2人が楽しそうで私も幸せ!」

雷「せっかく2人で過ごしてるのに、私が邪魔しちゃ駄目ね!」

雷「……」

雷「……うん、そうね」

雷「司令官の事は電に任せて……帰るわ」

雷「……」トボトボ



210: ◆qvf.IClkDc 2016/01/22(金) 23:33:30.37 ID:BfR/OXx40



第7紐「艦娘はゲロなんて吐かないよ! 嘘だったら深海に沈めてもらって構わないよ!」おしまい。

227: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 14:48:53.03 ID:f+kxnK+B0
提督「……」

提督「……ようやく、届いたか」

>小箱

提督「これが手元に来るまで、色々と苦労はしたが……遂にこのときが来た」

提督「ふぅ……後はこれを渡すだけ、か」

提督「いかんな。緊張する。ふふふ……だが、心地いい緊張感だ」

提督「では早速――ヒモ」

提督(目的の人物――雷がこの言葉によって表れることは、ここ最近の出来事で分かった)

提督(放送を使って呼んでもいいが、それだと他の連中も付いてきそうだからな)

提督(今回は雷だけに来てほしい。だからこのワードを使用させてもらう)

229: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 14:53:14.66 ID:f+kxnK+B0
提督「……」

提督「……」ソワソワ

提督「……ん? おかしいな、来ないぞ。いつもは一瞬で現れるのに」

提督「ヒモ」

提督「ヒモッ!」

提督「ヒモッッ!!!」

チロちゃん「モヒ?」ムクリ

提督「違うチロちゃんを呼んだわけじゃない。寝ててくれ」

チロちゃん「モヒ」ペタリ

提督「おかしいな……」

提督「雷……どうしたんだ?」

230: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 14:59:12.93 ID:f+kxnK+B0
軽空母宴会会場跡地

雷「……」カチャカチャ

雷「……」カチャカチャ

鳳翔「いつもありがとうね雷ちゃん。片付けの手伝い、本当に助かるわ」

雷「……はぁ」

鳳翔「雷ちゃん?」

雷「へっ、なに!? あ、えっとお酒!? はい隼鷹さん!」グイッ

隼鷹「むにゃむにゃ――ごぼっ!? んぐぐ!? んんー!?」ジタバタ

隼鷹「……う」バタリ

鳳翔「い、雷ちゃん?」

雷「あ、もう駄目じゃない瑞鳳さん! 格納庫丸出しで寝てちゃ! はいお布団よ」ヨイショ

鳳翔「あの、それお布団じゃなくて龍驤ちゃん……」

231: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:04:13.09 ID:f+kxnK+B0
鳳翔「……」フゥ

鳳翔「ねえ雷ちゃん? 何かあったの?」

雷「えっ? な、何かって……何もないわよ? 私はいつも通りなんだから!」ペカーン

鳳翔「……提督のことかしら?」

雷「ひぅ!?」ガシャーン

雷「な、ななななっ、なんのこと!? し、司令官は別に……!」

雷「別に……何でも……ないわ」ショボーン

鳳翔(分かりやすい……)

鳳翔「ね、雷ちゃん。何があったのか話してくれない? 私でよかったら力になるわ」ナデナデ

雷「鳳翔さん……」

雷「……ぐすん」

雷「あ、あのね――」

233: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:12:04.33 ID:f+kxnK+B0
鳳翔「――なるほど。電ちゃんと提督が……」

鳳翔「それで落ち込んでいたのね」

雷「あのね……私、変なの」

雷「だって司令官と電が凄く仲良くして、そういう関係になったら……それってとてもいい事でしょ?」

雷「2人が幸せになったら、私もすっごく幸せ……そのはずなのに」

雷「何だか胸がモヤモヤして、全然幸せじゃないの」

雷「ねえ私……どうなっちゃったの鳳翔さん?」

鳳翔「……ふふっ」

雷「あ、もうっ。どうして笑うの?」プンスコ

鳳翔「ご、ごめんなさい。で、でもあんまりに可愛い悩みだったから、つい……」クスクス

鳳翔「ふふっ、雷ちゃんは提督のことが大好きなのね」

雷「へ? え、あ……ど、どうして!? し、司令官のことが好きって……何で分かったの!?」カァァァ

鳳翔「どうしてって……」

鳳翔(もしかしてバレてないつもりだったのかしら?)

雷「内緒よ!? ぜ、絶対に他に皆には言わないでね!」パタパタ


234: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:20:09.37 ID:f+kxnK+B0
鳳翔「ねえ雷ちゃん。あなたは別に変になったわけじゃないわ」

雷「ほんとに? でも、だったらこの胸のモヤモヤはなに?」

鳳翔「それはね、嫉妬よ」

雷「しっと?」

鳳翔「好きな人が他の女の子と一緒にいるとそれを感じるの。別におかしいことじゃないのよ?」

雷「そ、そうなの? 悪いことじゃないの?」

鳳翔「ええ。好きの証みたいなものだから」

雷「好きの証……で、でもどうすればこれ、治るの?」

鳳翔「そうねぇ……治らないかも」

雷「ええー!? こ、困るわ! だ、だってこのままじゃ、司令官にも電にも会えないじゃない!」

雷「こんなモヤモヤしたままじゃ……」

雷「司令官のことも電のことも大好きなのに……酷いこと言っちゃいそう……そんなの嫌だわ」グスン

235: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:29:24.94 ID:f+kxnK+B0
鳳翔「――ということらしいわ。電ちゃん」

雷「へ?」

電「……」スタスタ

雷「え、あ、い、いつから!? あ、あの違うの! えっとえっと!」ワタワタ

電「良かったのですぅ!」ギュッ

雷「わぷっ」

電「最近、何だか余所余所しいし、露骨に避けられてるし、電のことを嫌いになったと思ったのです……」

雷「ご、ごめんね電。あのね私……」

電「いいのです。それに大丈夫なのです。司令官さんと電はそういう関係じゃないのです」

雷「へ? で、でも……街で見かけて、それから……その……」モジモジ

電「……詳しくは話せないのですけど、雷の考えてることはなかったのです。……電もほんのちょっと期待してたのですけど……ケフンケフン」

電「と、とにかく! そういうことなのです!」

雷「ほんとに?」

電「ほんとなのです」

雷「……」

雷「はぁぁぁぁ……よかったぁぁぁぁぁ」ヘタリ

雷「はっ!?」

雷「だったらボヤっとしてられないわ!」

雷「司令官が呼んでる! 早く行かないと!」

電「い、電には何も聞こえないのです……」

雷「ありがとう鳳翔さん! それから電! 大好きよ!」

雷「しれいかーん! 今すぐ行くからねー!」バタバタバタ

236: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:34:11.85 ID:f+kxnK+B0
バタン

電「ふぅ……世話の焼けるお姉ちゃんなのです」

鳳翔「ふふっ」ナデナデ

電「へ? どうして電の頭を撫でるのです?」

鳳翔「頑張った子は褒めてあげないと」ナデナデ

鳳翔「いい子いい子」

電「え、えへへ……」

電「司令官さん。お姉ちゃんを宜しくなのです」

237: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:40:15.25 ID:f+kxnK+B0
司令室

提督「やはり来ない……」ソワソワ

提督「ええい! こうなったら放送を使って――」

バタン

雷「その必要はないわ!」

雷「お待たせ司令官! ごめんね遅くなって」トテトテ

雷「それで何の用? あ、遂にヒモになってくれる決心がついたの?」

提督「ん。まあ……そうだな。近いな」

雷「……」

雷「え?」

雷「え、う、嘘!? ほ、ほんとに!? やった! やったわ!」ピョンピョン

雷「ど、どうしよう! あ、そうだ、早速アパート借りなきゃ! 4畳半くらいの狭いアパートがいいわね! そこで一緒に慎ましく生活するの! わ、素敵!」

提督「落ち着け雷」

提督「えっと、その、なんだ」

提督「あー……色々考えてたんだけどな。忘れた」

雷「……? どうしたの司令官?」

提督「これを受け取ってくれ」

>小箱

238: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:51:49.61 ID:f+kxnK+B0
雷「えっと……開けていいの?」

提督「ああ、開けてくれ」

雷「う、うん」パカ

>指輪

雷「……へ? こ、これって……ええええ!?」

提督「分かってるは思うが、カッコカリの指輪じゃないぞ? もう前に渡してるしな」

雷「あ、あのあの! つまりこれって……」

提督「そういうことだ。雷、俺と結婚……いや、俺に養われ……うーん」

提督「――俺のヒモになってくれないか?」

提督「俺と一緒に暮らして、毎日俺の飯を作ってほしい。これからもずっと」

提督「……自分で言っといて何だが、ヒモはないな」

雷「……は、はわわ」カァァァ

雷「はっ」

雷「で、でもでも! 私見たんだから! 司令官の、その……え、えっちな本。全部おっぱいが大きい女の人ばっかり映ってたわ!」

雷「わ、私はこんなんなのに……」ペターン

提督「だからあの日全部捨てたろ? いや、正確には那珂ちゃんのファンにばら撒いたわけだが」

提督「雷を好きになったと自覚してから、お前しか目に入らない。お前に夢中だ」

雷「はぅっ」キュン

提督「ここだけの話、最近のオカズはもっぱら青葉から購入したお前の写真だったり……」ボソリ

239: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 15:59:02.39 ID:f+kxnK+B0
雷「ほ、本当に私でいいの? だって司令官の周りには他にも司令官のことが大好きな人、いっぱいいるのよ?」

雷「私は駆逐艦で全然強くないし、私よりももっと可愛い子もいるし、料理だって上手な子はいっぱいいるわ」

雷「し、司令官のことを好きな気持ちじゃ誰にも負けないつもりだけど……!」

雷「それでも……」

提督「それでも雷がいいんだ。他の誰よりも雷が好きなんだ。雷じゃなきゃ駄目なんだ」

雷「あぅっ」キュン

提督「好きだ雷。俺を駄目にした責任をとってくれ」

雷「わ、わたしも……」

雷「わたしも……司令官大好きーっ!」ギュッ

雷「うんとるわ! 責任とっちゃうんだから! 司令官のこと、これからもずっと駄目にしてあげる!」

雷「ずっと一緒にいてあげるんだから!」

240: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 16:05:03.77 ID:f+kxnK+B0
提督「……ふぅ。あれだな。告白というのは心臓に悪いな」

雷「えへへ、司令官の心臓、すっごくドキドキしてるわ!」

雷「ほら、私の心臓も」

提督「お、おう……」ペタリ

提督(……ふぅ)

提督「あー、それで指輪なんだが」

雷「あ、うん、そうね! 司令官付けて!」

提督「じゃあ、失礼して」スッ

雷「わぁ……素敵」キラキラ

提督(ここ数ヶ月食事を抜いて貯めた給料で作った指輪だ。気に入ってもらえてよかった)

雷「それにサイズもぴったり」

提督「電に協力して貰ってな。指のサイズを測らせてもらったんだ」

雷「……! そういうことね。うぅ……私ってば」カァァ

241: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 16:13:53.68 ID:f+kxnK+B0

雷「……ね、ねえ司令官。そ、そのこれで私達結婚したのよね?」

提督「ああ、そうなるな」

雷「ということは、その……これから色々しちゃうのよね!」カァァァ

提督「いや、それは……まあ、そうなるな。だがまあこれからゆっくり――」

雷「大丈夫よ! 私だって子供じゃないわ。瑞鳳さん達に色々聞いたから、完璧よ!」

雷「まずスクール水着に着替えればいいのよね!」

提督「よしアイツらの言ったことは全て忘れろ」

提督「……」

提督「まあ、ゆっくり行こう。とりあえずはそうだな。目を瞑るんだ」

雷「え……う、うん」コクン

雷「……そ、その、優しくしてね、司令官」

雷「……大好き」

242: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 16:26:55.78 ID:f+kxnK+B0
チロちゃん「……」

チロちゃん「……」ムクリ

チロちゃん(重なる2つの影を見届けた後、私は立ち上がり部屋を出た)

チロちゃん(ここにいるのは野暮ってものだろう)

チロちゃん(どうやら主が気づいていないカメラを通して覗き見ている不躾な輩がいるようなので、それらをついでに破壊しておいた)

チロちゃん(やれやれ。世話の焼ける主だ)

バタン

電「はわわぁ……す、すごいのです……」

暁「ちょ、ちょっともう少し詰めなさいよ! 見えないじゃない!」

響「これはいいな。見ているだけで酒が進む」グビグビ

曙「な、なによ……あたしにあんなことしといて……クソ提督……」ウルウル

那珂「あ、あぁぁぁ……い、いいもん。那珂ちゃんアイドルだから、別に気にしてないもん。赤ちゃんできて電激引退ライブする夢なんて見てなかったんだから……!」

鈴谷「ぐぅぅ……ま、まだチャンスあるもん! 鈴谷がHDF着れば提督だって、イチコロなんだから……!」


チロちゃん(野次馬が長蛇の列となっていた)

チロちゃん(やれやれ。もう一仕事するか)

チロちゃん(私は全身から催涙ガスを噴出しつつ、列の中に突っ込んだ)

243: ◆qvf.IClkDc 2016/03/17(木) 16:28:39.79 ID:f+kxnK+B0
おしまいです。


長々とお付き合い頂き、ありがとうございました。
他にも「宇宙ひも理論」とか「ヒモなしバンジー」ネタとかを考えていたんですけど、これ以上続くとだれそうなのでこれで終わりにしておきます。
またの機会があれば見てください。