1: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 12:13:45.58 ID:OtGOqoLJO
P「明日から3年か…」

始業式前日、俺はそんなことを呟いた

去年は色んな事があった

後輩に知り合いも出来たし、プロダクションの手伝いや海美の大会を見に行ったりもした

中々に充実した1年だった

今年も充実した年にしたいものだ

そんなことを考えていると携帯が鳴った

ディスプレイを確認すると…

P「…母さん?」

母親からの電話だった

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1471144425

引用元: 【ミリマス】765学園物語HED √LR 


 

 
2: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 12:22:07.44 ID:8zPKYCRLO
P「もしもし」

久しぶりに聞く母親の声だ

P「母さん、元気そうだな」

P「俺?俺は元気だし桃子もこのみ姉さんも元気だよ、仲良くやってる」

P「それで、話って?」

P「…は?」

母親の話はとんでもないものだった

P「いやいや、いやいやいや!」

P「これ以上増えたらただでさえ俺の周りは男女比おかしいのにさらに肩身が!」

P「ていうかこのみ姉さんも母さんも何でいつも事後承諾なんだ!?…面白いから?」

3: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 12:28:24.70 ID:8zPKYCRLO
P「ちょ待てよ母さん!おい!」

P「…切りやがった」

P「…マジかよ」

いても立ってもいられなくなりリビングに向かった

P「このみ姉さん!」

このみ「なによ騒がしいわね、明日から3年生なんだからもうちょっと落ち着いたら?」

P「あ、うん、ごめん…ってそんなことはどうでもいい!」

P「母さんから電話があった」

このみ「女の子を1人、1年ほどうちで預かるって話でしょ?知ってるわよ」

P「なんで教えてくれなかったんだよ」

このみ「…面白いから?」

P「う、うちの家の女共は…!」

6: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 12:42:45.76 ID:8zPKYCRLO
このみ「あ、そうそう、その子もうすぐうちに来るから」

P「あ、もうなんでもいいや」

俺は大人しく受け入れることにした

少しすると

ピンポーン

呼び鈴がなった

このみ「来たみたいね、P、出迎えてくれる?」

P「へいへい」

俺は諦めて玄関へ向かった

玄関を開ける

そこに立っていたのは予想外の人物だった

P「北沢…志保!?」

「…よろしくお願いします、にいさ…P先輩」

武力で学園を制圧しようとしている、クイーンの二つ名を持つ少女がそこにいた

7: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 13:33:47.49 ID:8zPKYCRLO
P「北沢志保がなんでうちに…」

志保「…」

P「えーっと、うちに用事…で間違いない?」

志保「はい」

P「そ、そうか…」

預かる女の子って北沢志保のことだったのか…後で問い詰めてやる

P「それじゃあ、えーっ、北沢さん、上がってくれ」

志保「…はい」

一瞬不機嫌になった気がするが、何か気に障ったのだろうか

あまり怒らせないようにしないと…

9: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 14:16:27.04 ID:8zPKYCRLO
北沢さんとこのみ姉さんの話によると

行方不明だった北沢さんの父親らしき人が見つかり、うちの母親と北沢さんの母親が捜しに行くらしい

ただ北沢さんにはまだ幼い弟がいて、連れて行かなければならない

しかし北沢さんは学園があるので連れてはいけない、が、女の子の一人暮らしは治安のいいこの町でもあまり推奨されていない

そこでうちの母親がそれならうちで預かる、と言ったらしく、北沢さんはうちに来た…ということだ

P「なるほど…」

このみ「というわけで志保ちゃんは最低でも志保ちゃんのお母さんが帰ってくるまではうちで預かる事になってるから」

P「そういう事情なら俺は歓迎だ、よろしく、北沢さん」

志保「…」

P「北沢さん?」

志保「志保で良いです」

P「いや、でも」

10: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 14:21:41.74 ID:8zPKYCRLO
志保「にいさ…P先輩は年上ですから、敬語もやめてください」

P「うーん…」

志保「…」

このみ「ちょっといい?」

P「なに?」

このみ「あなた、志保ちゃんのこと覚えてないの?」

P「え?」

このみ「そう、覚えてないのね」

P「意味が分からない」

このみ「志保ちゃん、私達の従妹よ?」

P「…は?」

11: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 14:30:49.22 ID:8zPKYCRLO
志保「やっぱり憶えてなかったんですね…やっぱり」

P「え?え?いや、でも…え?」

このみ「混乱するのもわかるけど、落ち着きなさい」

P「俺、まったく覚えがないんだが…」

このみ「覚えがなくても事実だから受け入れなさい」

P「…」

このみ姉さんが嘘をついているようには見えなかった

ということは本当に北沢さんは俺の従妹なのか…

志保「…兄さん」

P「っ」

懐かしい感覚がする

12: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 14:35:27.13 ID:8zPKYCRLO
P「…志保」

志保「…はい」

P「正直俺は志保が従妹だったことは思い出せない」

P「それでも、良いのか?」

志保「無理に思い出さなくても良いです、ただ私は、もう一度兄さんに会えて嬉しい…それだけです」

P「そうか…俺もできる限り思い出せるように頑張るよ」

志保「はい」

P「それじゃあ志保、ようこそ我が家へ」

志保「…はい!」

志保が微笑む

とても可愛らしい笑顔だった

13: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 15:06:47.94 ID:8zPKYCRLO
その後、志保は帰ってきた桃子とも顔合わせを済ませた

志保が兄さんと呼んだとき、桃子が焦っていたが何故だろう

四人で夕飯を食べ、俺は部屋に戻った

部屋に入ると、俺のベッドで寝転がりながら漫画を読んでいる海美と遭遇した

海美「あ、お邪魔してるよ~」

P「お前な…」

そろそろ窓に鍵をかけた方が良いか

P「で、何してるんだ?」

海美「部屋にいても暇だから漫画読んでる」

P「言ったら貸してやるのに」

海美「Pの部屋で読むから面白いの!」

P「まったく理解できん」

14: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 15:36:22.09 ID:8zPKYCRLO
P「とにかく戻れ!」

海美「もうちょっとだけ!もうちょっとだけ!」

P「駄目だ!」

海美「こうなったら!」

ベッドに倒れ込んだ海美が俺の手を引っ張る

バランスを崩し海美の方に倒れ込むが、海美はその隙に体制を整え俺の背中に馬乗りになった

P「うおっ!」

海美「ふふーん、これで動けないでしょ!」

P「こ、こいつめ!」

海美「Pの背中大っきいね」

海美が背中を指でなぞった

P「っひぃ!」

思わず変な声が漏れる

15: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 15:51:14.63 ID:8zPKYCRLO
志保「…兄さん?騒がしいですけど、どうしたんですか」

そこへ志保が顔を覗かせた

P「あっ」

志保「…」

志保が凄く冷たい瞳で俺を見ていた

志保「…お邪魔だったみたいですね」

志保が顔を引っ込めた

P「待ってくれ志保!誤解だ!」

海美「今のってしほりん?」

P「ん、ああ」

海美「そっか、Pの従妹だもんね」

P「…」

21: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 18:43:02.14 ID:8LldA0YFO
海美も志保の事を憶えていた

なら何故俺だけ憶えていない?

一体何が…

海美「よっと」

海美が馬乗りをやめて俺の背中に寝転がる

P「…満足したら帰れよ?」

海美「うん!」

言っても無駄なのでされるがままにした

志保「…」

扉の隙間から志保が覗いていたが意識しないようにした

22: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 18:48:30.20 ID:8LldA0YFO
翌朝

リビングに降りると志保とこのみ姉さんが朝食の準備をしていた

P「おはよう」

志保「おはようございます、兄さん」

このみ「おはよう、もうすぐ出来上がるから座って待ってなさい」

P「あいよ」

テーブルに座り朝食を待つ

先に座っていた桃子は船を漕いでいた

23: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 18:52:26.85 ID:8LldA0YFO
そして朝食が運ばれてくる

このみ「それじゃあ食べましょう」

P「いただきます」

俺は味噌汁を啜った

P「あれ、味付け変えた?」

このみ「ちょっとね」

P「ふーん、こっちの味も美味いな」

志保「…」

P「ん?」

正面に座っている志保が一瞬微笑んだ気がした

このみ「ふふ」

このみ姉さんは楽しそうにしている

桃子「うっ…こ、このままじゃ桃子の立場が…!」

桃子は何やら戦慄していた

24: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 19:07:45.76 ID:a2WHuVRFO
四人で学園へ向かう

道中ヒソヒソ話が至る所で行われていた

P「…?」

ヒソヒソ話は特に気にしないタチだが、今日に限っては絡みつくような不快感があった

P「なんだ…?」

志保「…」

校門をくぐり、三人と別れるまで不愉快な感覚は続いた

25: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 19:17:02.15 ID:a2WHuVRFO
クラス表を確認する

…どうやら俺はB組のようだ

ざっと眺めた感じだと仲の良い連中とは離れてしまったみたいだ

P「教室行くか」

俺は教室へ向かった

教室に入ると、去年と同じく適当な席に座る

すると見覚えのある顔がやって来た

エレナ「P、同じクラスだネ!」

島原エレナだった

P「おう、知った顔があると安全だ」

27: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 19:19:34.67 ID:a2WHuVRFO
ジュリア「なんだ、あんたも同じクラスだったのか」

別方向からも声がかかる

視線を向けるとギターを背負った赤髪の女の子がいた

P「ようジュリア」

ジュリア「よ」

エレナ「えへへ、知ってる人がいるって良いネ!」

P「だな」

28: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/14(日) 19:20:01.42 ID:a2WHuVRFO
Happy
Enjoy
Dreaming

42: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 00:09:25.09 ID:rUjdf3M6O
P「顔見知りは三人だけか」

エレナ「コトハもメグミもウミもタカネもショウタも、あとついでにアマトウも違うクラスになっちゃったヨ」

P「一気に寂しくなったな」

ジュリア「賑やかし担当がいないからな」

P「ま、クラスが違っても休み時間に会えるし良いけどな」

…別に寂しくなんて無いんだからね!

そんな話をしているとチャイムが鳴り、先生が入ってきた

先生は教壇に立つと、自己紹介をした

「うぉっほん!Bクラスのみんな、元気かね-?」

「私がこのクラスを受け持つことになった高木順二朗だ、みんな、よろしく頼むよ!」

陽気な先生だった

43: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 00:21:44.95 ID:rUjdf3M6O
その後は全校集会のため、体育館…ではなく、今年完成したシアターへ移動する

このシアターは年々体育館の使用権を巡って対立し、溝が深まっている部活動同士の衝突を防ぐために設立されたものだ、と琴葉が教えてくれた

そこで高木順一朗学園長が何時ものように話をし、俺はそれをあくびを噛み殺しながら聞いていた

学園長の話が終わり教室へ戻る途中、志保を見かけた

志保は一人で歩いていたが、今朝の通学の時と同じように生徒がひそひそ話をしながら志保を遠巻きにしている

P「…」

やはり志保の渾名、クイーン沢志保と何か関係があるのだろうか?

帰ったら聞いてみよう

48: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 00:30:39.97 ID:rUjdf3M6O
HRが終わり、高木先生が教室を出た後一人の女生徒が教壇に立った

「わっほーい!Bクラスの皆さんにプレゼントがあります!」

黒い髪をポニーテールにした女の子…確か、佐竹美奈子といったか

美奈子「お近づきの印に胡麻団子を作ってきました!良かったらどうぞ!」

佐竹さんがどこからともなく出前に使うアレ(名前は知らない)を取り出し、教壇に皿を置いた

そこにはまるで出来たてのような胡麻団子が人数分並んでいる

49: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 00:37:39.55 ID:rUjdf3M6O
P「胡麻団子か…」

美味そうだ

エレナ「はいP、取ってきたヨー」

P「お、サンキューエレナ」

ジュリア「去年は大学いもだったな」

ジュリアが胡麻団子を囓りながら言う

P「へー」

胡麻団子を口に運ぶと、火傷しそうなくらい熱かったがもちっとした感触に香ばしい胡麻の味、さらに舌の上でさらりと溶ける餡…

P「美味え」

ジュリア「ああ」

P「これはおかわりが欲しくなるな」

刹那

美奈子「今おかわりって聞こえましたけど!」

教壇にいた佐竹さんが俺の後ろに立っていた

57: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 22:40:56.31 ID:Wb2Z4dpzo
P「おわッ!」

突然後ろに現れた佐竹さんに驚き思わず距離を取る

美奈子「今おかわりって聞こえましたけど」

P「あ、ああ…腹が減ってたらおかわりが欲しくなるくらい美味しかったよ」

美奈子「ならおかわり、どうですか?」

P「ごめん、昼飯もあるしまた今度で」

美奈子「なら私の家、佐竹飯店に食べに来ませんか?」

P「ふむ…」

60: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:11:04.76 ID:Wb2Z4dpzo
P「…いや、今回は遠慮しとくよ」

美奈子「そうですか、ならいつでも店に来て下さいね!クラスメイトスペシャルサービスで全品大盛ですよ!」

P「ああ、今度食べに行くよ」

美奈子「わっほーい!お待ちしてまーす!」

そういうと佐竹さんは出前に使うアレ(名前は知らない)を回収し、帰って行った

P「じゃあ俺も帰るわ」

ジュリア「おう、じゃあな」

エレナ「またネ~」

62: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:30:51.96 ID:Wb2Z4dpzo
靴を履き替え、校門に向かうと志保が所在なさげに立っていた

P「志保」

志保「…兄さん」

P「どうしたんだ、こんなところで?」

志保「いえ、別に…たまたま校門で立っていただけです」

P「そっか、今から帰るけど一緒に帰らないか?」

志保「!し、仕方ないですね、兄さんからのお願いを無碍にするのも忍びないので一緒に帰ってあげます」

P「はは、そうだな、じゃあお願いするよ」

63: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:36:00.29 ID:Wb2Z4dpzo
志保「兄さん、お昼は?」

P「ん?家で食べようと思うけど」

志保「では帰りにスーパーに寄りたいです」

P「材料を買うんだな?簡単なので良いよ」

志保「はい」





志保「兄さん、簡単なものとは言うもののどういう物が良いですか?」

P「何でも良いよ」

志保「…作る側としては何でも良いって言われるのが一番困るんですが」

P「うーん、それなら…うどんとか?」

志保「うどん…」

志保「…」

志保「別の物にしましょう」

P「?良いけど」

66: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:44:56.21 ID:Wb2Z4dpzo
P「思ったより買ったな」

志保「…そうですね」

志保はスーパーの袋を持っているが、重そうにしている

P「志保」

志保「はい」

俺は志保の手から荷物をさっと奪う

P「重そうだからさ、俺に任せてくれよ」

志保「…」

志保は荷物を持っていた手をもう片方の手で触れていた

P「志保?」

志保「あ、いえ、なんでもありません」

志保「兄さん、荷物を任せても良いですか?」

P「ああ、勿論」

志保「ありがとうございます」

荷物を持って歩き出す

志保「…ちゃんの…あの時と…かった…」

後ろで志保が何かを呟いていたが聴き取れなかった

67: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:48:53.15 ID:Wb2Z4dpzo
桃子「お兄ちゃん、志保さん、お帰り」

家に着くと桃子が既に帰っていた

P「ただいま、桃子」

志保「ただいま」

桃子「冷蔵庫に入れる物貸して」

P「ああ」

三人で買ってきた物を片付けた

志保「桃子、お昼に食べたいものはある?」

桃子「うーん…桃子なんでも良いよ」

志保「…」

68: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/19(金) 23:54:40.50 ID:Wb2Z4dpzo
結局簡単にパスタとなった

桃子「…桃子パセリ嫌い」

志保「好き嫌いは駄目よ」

P「パセリ要らないなら貰うぞ?」

桃子「じゃあお願い、お兄ちゃん、はい」

P「あーん」

志保「…」

志保「兄さん、私も実はパセリが」

桃子「志保さん好き嫌いは駄目だよ」

志保「…」

桃子「…」

P「?」

69: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 00:00:11.09 ID:hERGIMBto
食後の洗い物を志保と一緒に片付ける

P「志保、美味しかったぞ」

志保「…レトルトですけど」

P「それでも誰かが作ってくれるだけで美味いもんだ」

志保「そ、それなら良かったです」

志保「ところで兄さん、この後用事は?」

P「んー、特になかったと思うけど…どうした?」

志保「いえ、聞いてみただけです」

P「そっか」

75: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 22:55:34.99 ID:SVr7SG8AO
P「あ、そうだ志保」

志保「何ですか?」

P「学園での噂について聞きたいんだ」

志保「…」

P「答えにくかったら答えなくても構わない」

志保「…」

P「まずは1つ目」

P「志保が学園を暴力で支配しようとしている、これは本当か?」

志保「…はい」

P「2つ目、志保のあだ名のクイーン沢志保ってどういう意味なんだ?」

志保「ぶふっ」

突然志保が吹き出した

76: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:01:39.22 ID:SVr7SG8AO
志保「けほっ、けほっ」

P「だ、大丈夫か?」

突然むせた志保の背中をさすってやる

志保「だ、大丈夫です」

志保は深呼吸して息を整える

志保「…そのあだ名は私にも良くわかりません」

P「そうか…なら3つ目」

P「志保の目的はなんだ?」

志保「…兄さんには」

志保「兄さんには…関係…ありません」

P「…そうか」

77: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:28:02.63 ID:hERGIMBto
少し気まずい空気になってしまったが、夕食の時には元に戻っていた

ちなみに夕食は俺の好物だった

味付けはいつもと違ったけど、俺はこっちの方が好きだと言ったら志保が手元の生卵に溢れるくらい醤油をかけていた





シャワーを浴び、ベッドに寝転がる

家で見る志保と噂に聞く志保の姿がどうにも一致しない

確かに外と内で性格が変わる人もいるが志保はそのタイプではないと断言できる

P「…」

ヒソヒソ話をされているときの志保は顔にこそ出さなかったものの辛そうだった

一緒に暮らす家族としてはあんな思いをさせたくない

P「なにか出来ることがあれば良いんだけどな」

そのためには志保が誤魔化した質問を突き詰めていくしか無いか…

そんなことを考えながら瞼を閉じた

78: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:31:34.70 ID:hERGIMBto
翌日

冬馬「よう」

海美「お昼食べようよ!」

Aクラスから冬馬、翔太、海美、恵美、琴葉、貴音が弁当を持ってやって来た

P「大所帯だな…」

机をくっつけ弁当を取りだそうとして…

P「…あれ?」

恵美「どしたの?」

P「いや、弁当が…あー、忘れてきたかも」

海美「あはは、Pはドジだね!」

P「うるさいよ」

79: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:34:01.53 ID:hERGIMBto
今から購買に行けばまだ間に合うか…

そう考え立ち上がると

志保「失礼します」

志保が教室に入ってきた

P「志保?」

志保「…兄さん、忘れ物です」

志保は弁当の入った鞄を持っていた

恵美「…兄さん?」

P「お、ありがとうな」

志保「いえ」

80: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:36:41.53 ID:hERGIMBto
冬馬「北沢じゃねえか、久しぶりだな」

志保「…あまとう先輩」

冬馬「あまとう言うな!」

冬馬「しかし兄さんって呼んでるのか、あの頃は確かお兄ちゃ」

志保「…」

冬馬「」

志保が視線を向けると冬馬は黙った

志保「それでは兄さん、失礼します」

P「ああ、ありがとうな」

志保は教室から出て行った

81: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:42:01.41 ID:hERGIMBto
恵美「ねえP、志保とはどういう関係?兄さんって呼ばれてたけど」

P「え?なんだ急に」

恵美「良いから、答えて」

P「すまん、その前に」

気になったことを聞いておくか

P「冬馬は志保のこと知ってたのか?」

冬馬「?なんだその質問」

翔太「僕も志保ちゃんのこと、覚えてるけど」

P「そうか…」

82: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:44:46.49 ID:hERGIMBto
冬馬も翔太も志保のことを知っていた

やはり俺だけが志保を知らなかったようだ

P「恵美、さっきの質問だけど」

恵美「うん」

P「志保は俺の従妹…らしい」

恵美「らしい?」

P「ああ、実は俺、志保のこと憶えてないんだ」

冬馬「なに?」

翔太「あんなに仲良かったのに」

84: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/20(土) 23:52:54.16 ID:hERGIMBto
海美「…」

恵美「そっか、従妹なんだ…」

P「ああ」

エレナ「なんで憶えてないノ?」

P「俺にもさっぱり」

むしろ俺が憶えてない理由を知りたいくらいだ




冬馬「高坂」

海美「何?あまとう」

冬馬「あまとう言うな、お前、何か知ってるのか?」

海美「んー、1個だけ思い当たるかな、それからしほりん見てないし」

冬馬「…やっぱりなんか理由があるんだな」

海美「うん」

95: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/21(日) 23:59:21.75 ID:JeFJwD8+o
冬馬と海美が何やらこそこそやっているが放っておくことにした

P「…ん?」

弁当を一口食べる

やはり普段とは味が違う

ここ数日味を変化させているようだ

P「うん、美味い」

恵美「そういやPの弁当初めて見たかも」

P「ん、たまに持ってくるんだ」

P「このみ姉さんが気が向いたら作ってくれる」

恵美「そうなんだ」

P「最近割と俺好みの味になりつつあるんだよな」

恵美「どれどれ?」

恵美が卵焼きをパクった

96: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/22(月) 00:07:29.30 ID:8kQ07/FVo
P「あ、コラ」

恵美「ふーん、これがPの好みの味か~」

P「俺のおかずが…」

恵美「変わりにこれあげるって」

恵美が俺の口に唐揚げを突っ込んだ

P「…ま、良いか」

恵美の唐揚げも美味かった

98: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/22(月) 00:32:33.89 ID:8kQ07/FVo
放課後

志保「…」

P「志保」

志保「兄さん」

今日も校門で志保が立っていた

P「待っててくれたのか?」

志保「べ、別に兄さんを待っていたわけではないです」

志保「ただたまたま校門のところで考え事をしていたら兄さんが来ただけです」

P「そっか、たまたまか」

志保「はい、たまたまです」

99: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/22(月) 00:35:23.66 ID:8kQ07/FVo
P「それは残念だ、もし志保が待っててくれてたなら嬉しかったんだが」

志保「…」

志保「…実は兄さんが来るのを…」

海美「P!帰ろ!」

P「っと」

海美が後ろから飛び付いてきた

志保「…」

海美「あれ?しほりんだ、しほりんも一緒に帰ろうよ!」

志保「私は…」

P「まあせっかく一緒にいるんだし帰ろうか」

志保「…はい」

100: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/22(月) 00:39:33.42 ID:8kQ07/FVo
帰り道を三人で歩く

海美が左手に抱き付いているので歩きにくい

志保「…海美さん、兄さんに引っ付きすぎでは?」

海美「え?そうかな?」

志保「はい、二人とも良い年なんですからあまりくっついたりせずに…」

海美「じゃあしほりんは右手に抱き付けば良いんだよ!」

志保「…はい?なんでそうなるんですか」

海美「だって右手が空いてるとバランス悪いし」

101: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/22(月) 00:44:25.17 ID:8kQ07/FVo
志保「…そうですね、バランスは大事ですね」

P「大事か…?」

志保「このままでは兄さんのバランスが崩れてしまうので仕方なくです、仕方なくです」

そういうと志保は俺の右手におずおずと抱き付いてきた

志保「…ふふ」

志保が一瞬、笑った気がした

海美「…」

海美は海美で微笑ましそうに志保を見ていた

志保「…はっ!」

志保「に、兄さん、これは仕方なくですから、あまり調子に乗らないでください」

P「はいはい」

バランスのためなら仕方ないか

そのまま三人で帰宅した

125: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 22:59:23.87 ID:Pm0qsIVPo
P「そういやさ」

このみ「ん?」

P「ゴールデンウィークに海美達とキャンプに行くんだけど」

志保「…達?兄さん、それはもしかして女の人と行くんですか」

P「いや、冬馬や翔太も一緒だけど」

志保「…そうですか」

P「?」

このみ「で、どうしたの?」

P「ん、ああ、それでこのみ姉さん達も一緒にどうかなと思ってさ」

126: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:02:41.35 ID:Pm0qsIVPo
このみ「うーん、私はやることがあるからパスね」

桃子「桃子はもう育と約束あるから」

P「そっか、じゃあ志保は?」

志保「私は…」

志保に話を振ると、何故だか曇った表情を浮かべた

志保「…私には、兄さんと一緒に遊びに行く資格はありませんから」

P「資格?資格ってなんだよ」

志保「それは…」

127: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:14:07.53 ID:Pm0qsIVPo
このみ「志保ちゃん、大丈夫よ」

志保「…」

P「このみ姉さん、何か知ってるのか」

このみ「私からは何も言わないわ、でもね」

このみ「いつかわかる日が来るわ」

志保「…兄さんが」

P「ん?」

志保「兄さんが許してくれるなら、私も一緒に行きたいと思います」

P「許すも何も俺が誘ってるんだ、最初からOKだよ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

128: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:27:29.31 ID:Pm0qsIVPo
ゴールデンウィーク

海美、志保と一緒に家を出て駅へ向かった

P「お待たせ」

恵美「あ、来た来た」

冬馬「ん、北沢もいるのか」

翔太「なんか懐かしいね」

志保「そうですね、私も、久しぶりです」

エレナ「それじゃあ出発だヨ-!」

みんなで電車に揺られること二時間弱

お目当てのキャンプ場に到着した

129: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:42:13.01 ID:Pm0qsIVPo
恵美「んじゃ男子組はテントよろしくー」

P「おうよ」

女子組はレンタル品を借りに行った

冬馬「さっさと組み立てて釣りに行こうぜ」

翔太「そうだね!っと」

小さな頃はとても時間がかかると思っていたテントの組み立てだが、今となってはさほど時間もかからなかった

冬馬「こんなもんか」

P「だな」

テントを眺めていると女子組が戻ってきた

琴葉「全部レンタルだから、無くさないようにね?」

恵美「わかってるってー」

130: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:46:43.80 ID:Pm0qsIVPo
冬馬「P、翔太、一釣り行こうぜ」

P「おう」

翔太「ちょっと待っててー」

志保「…」

志保「兄さん」

P「ん?どうした志保?」

志保「私も釣りに行っても良いですか?」

P「良いぞ、じゃあ一緒に行こうか」

志保「!はい!」

P「恵美-!釣り竿もう一本くれー!」

恵美「あいよー!」

131: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:51:02.15 ID:Pm0qsIVPo
P「ところで志保、釣りをしたことは?」

志保「…見ていたことなら」

P「じゃあ未経験か、なら教えるから近くに来てくれ」

志保「はい」

P「餌はこれを使う」

志保「これは…イクラですか?」

P「ああ、これを潰さないように針につける、その後は指に引っかけないように針を持つんだ」

志保「…」

ぷち、ぷち

志保「…」

P「あー、はじめのうちは力加減がわからないから仕方ないよ」

132: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:56:00.76 ID:Pm0qsIVPo
その後、二三個ほどイクラを潰した後、ようやく針を通すことが出来た

P「じゃあ志保、針をこうやって持ったまま竿を斜め下から斜め上に振るうんだ」

P「この振るったときに針から手を放す」

志保「こ、こうですか」

志保の振った竿はあまり距離が伸びず、近くに着水した

P「ま、まあ慣れてくると遠くまで飛ぶようになるさ」

志保「…」

P「着水したら微妙に竿を動かしながら浮きを見ておく、浮きが沈んだら竿を引く、説明はこんなところかな」

志保「ありがとうございます」

133: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/23(火) 23:58:46.03 ID:Pm0qsIVPo
五分ほどすると

志保「!に、兄さん!浮きが沈みました!」

P「お!じゃあ竿を引くんだ!」

志保「は、はい!」

!?

確かに志保は竿を引いた、まるで綱を引くように

P「し、志保!その引き方じゃない!」

志保「え?」

志保に正しい引き方を教える頃には、浮きの先は針だけになっていた

143: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/25(木) 23:20:45.80 ID:LEXNObH/O
P「まあ逃がしてしまったものは仕方ない、次また釣れば良いさ」

志保「…はい」

P「しかし…ふふ」

志保「な、なんで笑うんですか」

P「いや、ちゃんとした釣り竿の使い方を教えたときの志保、顔が真っ赤で可愛かったなーと」

志保「かわっ…か、からかわないでください!」

P「悪い悪い…ん?」

ふと志保の釣り竿を見ると浮きが動きを見せていた

P「志保、竿に反応が」

144: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/25(木) 23:29:13.08 ID:LEXNObH/O
志保「!」

志保が竿を引くと竿が強くしなった

P「かかったか!」

志保「お、重い…!」

P「頑張れ志保!」

志保「っ!」

しかし釣りになれてない志保は足元が不安定で、いつ転んでも不思議ではなかった

P「志保、ちゃんと竿を持つんだ!」

志保の背中越しに釣り竿を掴み、姿勢を安定させる

志保「に、兄さん!?ち、ちかっ」

145: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 00:09:02.40 ID:WMFDrv9GO
P「落ち着いて竿を引くんだ」

志保「こんな状況で落ち着くなんて…出来るわけないじゃないですか!」

P「一気に釣り上げるぞ!1、2の…」

P「さん!」

俺は思い切り竿を引いた

志保「ば、バランスが…!」

志保がバランスを崩し俺にぶつかる

その衝撃で俺は尻もちをつき、志保が俺の足の間に挟まった

P「なんとか釣れたな」

陸地でのたうち回っている魚を見ながら志保に声をかけるが

志保「兄さん今ので怪我をしたりどこか打ち付けたとかはないですか!?」

とても心配そうな顔をしていた

146: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 00:15:07.64 ID:fNtyzSW5o
志保「兄さん…?」

P「ああ大丈夫、怪我はないよ」

志保「そうですか…」

志保は安心したように息を吐いた

P「?」

志保「それよりも兄さん、助けてくれてありがとうございます」

P「気にするなよ、それよりも見ろよ志保」

陸上で虫の息となっている魚を持ち上げる

P「立派な鯖だ」

志保「鯖!?」

155: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 18:25:08.32 ID:z+phd0/SO
志保「え…山の中ですよねここ?」

P「そうだけど?」

鯖をクーラーボックスにしまう

志保「鯖って淡水では生息出来ないんじゃ…」

冬馬「おーい、穴子釣ったぞ」

志保「穴子!?!?」

翔太「管理人さんに持っていく?確か焼き穴子にしてくれるんだよね?」

P「噂では炭になるらしいぞ」

156: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 18:29:42.06 ID:z+phd0/SO
冬馬「そういえばさっき鮪を見たぞ」

P「マジか、噂は本当だったんだな」

翔太「流石に僕たちじゃ鮪は無理だね」

志保「山の中に海水を持ち込んで養殖を…いや、それでも無理が…」

冬馬「後は岩魚に鱒も釣ってきたぞ」

P「やるなぁ」

志保「」

P「志保、どうしたんだ?」

志保「…頭が痛いです」

P「それはいかん、日射病か?木陰で休むんだ」

157: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 20:18:46.57 ID:0i/4QnXNO
P「ちょっとじっとしててくれよ?」

俺はそういうと志保の首の後ろと膝後ろに腕を回し

志保「?なにを」

P「よっ」

一気に持ち上げた

志保「」

P「あそこで良いか」

川に近い場所に良い感じの木陰があった

志保「ににに兄さんいきなり何するんですか!」

P「じっとしてろ、悪化するかも知れないだろ」

158: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 20:25:24.61 ID:0i/4QnXNO
志保「別に私は日射病じゃ…」

P「頭痛がするなら可能性はある、対策はするべきだ」

志保「ああもうそれで良いです…」

大人しくなった志保を木陰へ連れて行く

志保を降ろすと顔が赤くなっていた

P「顔が赤いな、やっぱり熱か何かがあるんじゃないか?」

志保「兄さんのせいなんですけど…」

P「冷やしたタオル置いておくから、温くなったら言ってくれ」

志保に濡れタオルを渡すと、俺は二人の所へ戻った

159: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 21:16:53.09 ID:fNtyzSW5o
私にタオルを渡して二人の元へ戻る兄さんの後ろ姿を見ながら私は木にもたれ掛かった

志保「いきなり抱き上げられるなんて…」

唐突に抱き上げられて動揺してしまった

…いや、事前告知があっても一緒か

昔から兄さんは優しさのベクトルが違う方向を向いている気がする

タオルに顔を埋める…冷たい

その冷たさが私の顔の火照りを取り、冷静にさせた

160: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/26(金) 21:34:16.56 ID:fNtyzSW5o
志保「…」

わがままを言ってついてきてしまった

私にそんな資格はないのに

兄さんの優しさに甘えてしまった

これ以上は許されない

…私自身が赦さない

私がわがままを言えばあの時のように兄さんを傷付けてしまう

もしかしたら最悪の事態を引き起こすかもしれない

だけど露骨に距離を取れば兄さんはすぐに気付いてしまうだろう

だから私は、嘘を吐く

適度にわがままで、適度に冷たい自分を

それが兄さんと一緒にいられるたった一つの方法だから

164: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 22:47:00.63 ID:cZM99k59o
沢山の魚を持ってみんなのところに戻る

P「志保、本当にもう大丈夫なのか?」

志保「大丈夫です、兄さんは心配症ですか?」

P「いや、でもさ…」

冬馬「あんま構うと嫌われっぞ」

P「うぐっ」

志保「兄さんがくれた濡れタオルもありましたし、そもそも最初から日射病じゃないから大丈夫ですよ」

P「わかった、でも調子が悪くなったら言うんだぞ?」

志保「わかってます」

165: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 22:52:04.87 ID:cZM99k59o
恵美「おかえりー」

P「ただいま」

海美「釣れた?」

冬馬「おう、大漁だ」

エレナ「サバにアユにウナギにタイ、他にもいっぱいいるネ!」

P「エレナ、鰻じゃなくて穴子だ」

琴葉「ちょっと待って、ここは山で川と湖しかないはずよね?」

恵美「良いじゃん細かいことは!それより早く捌いて焼いちゃおうよ」

P「おうよ」

166: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 22:59:01.44 ID:cZM99k59o
それぞれの調理が完了したので、昼食を取り始める

さっと塩を振って焼いただけだが、十分に美味い

P「美味い!」

翔太「うん!」

琴葉「…どうして私は山の中で釣りたての焼き鯖と鯛のお刺身を食べているのかしら」

エレナ「簡単だよコトハ!釣れたからだヨー!」

琴葉「あ、なんだか頭痛くなってきた」

167: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 23:13:52.65 ID:cZM99k59o
恵美「志保は料理上手いね!」

志保「魚に塩を振って焼いただけです、誰でも出来ます」

恵美「いや~魚を炭にしたりする子もいるし適切な塩加減がわかってないと塩辛くなるじゃん?それがわかってるってことは料理が上手いってことだよ」

志保「…ありがとうございます」

恵美「そうそう、褒められたら素直に喜べば良いんだって!人間素直が一番だって!」

志保「…恵美さんが言ってもあまり説得力が」

恵美「…何のことかな~」

志保「はあ…」

169: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 23:17:55.35 ID:cZM99k59o
海美「苦い~」

鮎を串に刺したまま食べていた海美が呻く

どうやら腸を食べたようだ

P「あれ、海美は腸食えなかったっけ」

海美「うん、サンマも鮎も腸苦手」

P「じゃあ腸取ってやるよ」

海美「ありがと~」

海美が腸のなくなった鮎に再び齧りつく

海美「うん!美味しい!」

P「そりゃ良かった」

170: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/27(土) 23:23:36.86 ID:cZM99k59o
志保「…」

恵美「どひたの?」

志保「いえ…」

恵美「ん~?あ、ははーん」

志保「な、なんですか」

恵美「P~ちょっと良い?」

P「なんだ?」

恵美「志保も腸苦手みたいだからさ、取ってあげてよ」

志保「ちょ、私は何も…」

P「良いぞ、ほら志保、貸してみ?」

志保「…」

志保が鮎の乗った皿を差し出す

P「ほら」

綺麗に腸を取り除き、志保に返した

志保「ありがとうございます…兄さん」

175: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/29(月) 23:22:53.38 ID:miel1O1po
P「昼を食べた後はどうするんだ?」

恵美「そりゃもちろん!もちろん…何しよっか?」

琴葉「私、湖の方に行ってみたいかな」

海美「ボート貸しだしてるんだって!」

冬馬「それじゃあ湖に行くか」

エレナ「楽しみだヨ-!」

176: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/29(月) 23:27:56.29 ID:miel1O1po
ボート乗り場

P「二人乗りみたいだな」

冬馬「どう分けるんだ?」

海美「私はPと乗りたい!」

恵美「おっと、ここにもPと一緒に乗りたい子が!」

志保「え?」

恵美の方を見ると恵美が志保の手を掴んで挙手させていた

志保「ちょ、恵美さん」

海美「えー、じゃあしほりん、じゃんけんで決めようよ!」

志保「私は一緒に乗りたいとは一言も…」

海美「最初はグー!じゃんけん!」

志保「あ、えーっと、ぽん!」

177: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/29(月) 23:52:56.89 ID:miel1O1po
俺と志保は今、ボートに乗りながら湖を回遊していた

湖は透明度高く、底こそ見えないもののかなりの深さまで見ることが出来る

P「お、志保、あっちに珊瑚が群生してるぞ」

志保「そうですね」

ボートに乗ってすぐはやれサンマだのやれ鰺だのうるさかったが、今は落ち着いていた

太陽の光とそよ風が心地良く、ボートを止めて昼寝をしたいくらいの陽気だった

178: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/29(月) 23:56:50.58 ID:miel1O1po
P「良い天気だ」

志保「はい、久しぶりにこういう所に来ましたが、とても気持ちが良いです」

P「来て良かったな」

志保「…はい」

P「俺も昔はこういう所でよく遊んだ気がする、あんまり覚えてないけど」

志保「…」

P「志保は?」

志保「私…は…」

志保「…よく…覚えてません」

P「そっか」

179: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 00:03:53.06 ID:h4EGSwy6o
P「正直なんで俺だけが志保を憶えてなかったのかとか、昔何があったのか気にならないわけじゃないけどさ」

P「昔のことは結局昔のことなんだよな」

P「何をやったって変えられはしない」

志保「…そう、ですね…変えられない…」

P「でもさ、確かに過去は大事かも知れないけど、俺はそれよりも今を大切にしていきたい」

P「だから昔の志保のことを憶えていなくても、今、これからの志保のことを知っていけたらなって思う」

志保「兄さん…」

P「はは、なんて、ちょっと大げさだったかな」

志保「そうですね、大げさでした」

志保「でも」

志保「すごく兄さんらしいと思います」

P「それなら良かったよ」

P「それじゃあ戻るか」

志保「はい」

180: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 00:06:16.35 ID:h4EGSwy6o
ボートを漕いで岸に戻る、その途中で

志保「それでもやっぱり…私には割り切れないです…兄さん」

志保が何かを呟いたが、オールを漕ぐ音に掻き消され俺の耳には届かなかった

188: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 23:31:09.75 ID:h4EGSwy6o
ボートで遊んだ後は夕飯となった

メニューは定番のカレーライス

女子組が少量のカレーをそれぞれ作ってくれた

冬馬「ちくしょう…ちくしょう…」

冬馬は5人分の玉葱を刻まされ、目を押さえながら地面に倒れていた

志保のカレーは、我が家のカレーと同じ味がした

夕飯を食べた後は天体観測をすることになっている

…今年は水瓶座流星群がある

191: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 23:43:53.68 ID:h4EGSwy6o
ブルーシートをひいて寝転がる

やはり山の星空はすごい

文字通り数え切れないほどの星が見える

海美「綺麗だね~」

恵美「良いよね、星空」

琴葉「そうね、この星空を独り占めできたら良いのに…」

エレナ「でも、皆で分かち合うからこそ価値があるものだヨー」

志保「…」

志保は黙って空を見上げていた

192: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 23:50:02.10 ID:h4EGSwy6o
P「どうしたんだ、志保?」

志保「いえ…星が綺麗だなと」

P「そうだな…」

立ち上がり志保の隣に立つ

空を見上げると流れ星が一つ、目の前を通り過ぎた

P「…流れ星ってあっという間に消えちゃうな」

志保「そうですね」

P「本当に流れ星に願い事をすると叶うのかな」

志保「非科学的ですね」

P「この山は?」

志保「…異次元です」

193: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/30(火) 23:54:54.16 ID:h4EGSwy6o
P「でもいざ何か叶えたいものってなると中々思い付かないもんだな…志保は?」

志保「私は…本当に願いが叶うのならば、たった一つだけ、叶えて欲しいことがあります」

志保「それが叶うのであれば、私は命を投げ出しても良い…それくらいの願いです」

P「…そんなに?」

志保「はい、でも、絶対に叶わない夢ですから」

P「ちょっと聞いてみたいな」

志保「駄目です、これは私が自分が死ぬまで抱えなくてはならないものですから」

P「そっか…」

194: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 00:00:23.87 ID:zLKSsA3Ao
もう一度空を見上げると流星群が来ていた

P「志保、流星群だ、願いが叶うかもしれないぞ」

志保「そうですね、どれか一つくらい…叶えてくれるかもしれませんね」

そう言うと志保は目を閉じて何かに祈るように瞑想した

一体何を願っているのだろう

命を投げ出してでも叶えたい願い、それが少し気になった

195: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 00:06:01.31 ID:zLKSsA3Ao
天体観測の途中で兄さんが眠ってしまった

風邪を引いてしまわないようにタオルケットをかける

そして私は兄さんの隣に座った

私の願い…それは過去を変えたいという子供染みたものだ

時間なんてどうやったって不変のものなのに、それでも過去を変えたいと願ってしまう

兄さんは過去を気にしないと言った、だけど私は…過去を気にすることしか出来ない

196: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 00:11:09.07 ID:zLKSsA3Ao
眠る兄さんの髪に触れる

旋毛の近くに縫い傷が見える

志保「…」

この傷が消せるのなら、私は…

兄さんが憶えていたのなら、誠心誠意詫びることも出来たのに

憶えていないことに甘えている

兄さんに糾弾され、見捨てられるのが怖いから、兄さんの記憶が無いことを利用して自己保身に走っている

志保「…」

私はポケットから首のズレた黒猫のキーホルダーを取り出す

…これを見せたら、兄さんは思い出すだろうか

けれども、今はやっぱり勇気が出せなかった

204: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 21:00:36.36 ID:HX+EODo5O
特に問題なくキャンプを終え、ゴールデンウィークの残りをだらだらと過ごした

ゴールデンウィークから数週間後、球技大会が始まった

今年は冬馬や翔太と違うクラスなのでやる気が出ない

ので適当に手を抜いて試合をしさっさと負けることで自由時間を作る

今は目的なくぶらついていた

P「ん?」

気がつくと中等部のテニスコートの辺りに来ていた

コートを見ると志保がダブルスをしているようだ

P「せっかくだし見ていくか」

205: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 21:05:08.28 ID:HX+EODo5O
スコアを見ると志保達は押されているようだ

志保の相方は…

「ちょっと志保!どうして私の邪魔ばっかり!」

志保「邪魔しているのは静香でしょ」

そうだ、翼に出会った時に知り合った最上静香だ

しかし何やら言い争いをしているようだ

静香「私は経験者だから未経験の志保をフォローしようと動いているのに台無しよ!」

志保「その上から目線、気に入らないわ…あなたが私のフォロー?必要ない、冗談はうどんだけにしたら?」

静香「何ですって!?」

206: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 21:07:28.72 ID:HX+EODo5O
周囲がにわかに騒がしくなる

聞こえてくるのは…

おいおいクイーン沢とウー・首領が喧嘩してるぞ

どっちが勝つかな

クイーン沢VSウー・首領、投票は1000円から受け付けてますよ~

どうやら何時ものことみたいだ

211: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:12:49.40 ID:zLKSsA3Ao
翼「あ、P先輩だ」

P「お、翼」

久しぶりに翼と出会う

「翼、知ってる人?」

翼「うん、去年お世話になったんだ~」

P「そっちの子は?」

「あ、私春日未来って言います!」

P「春日さんか」

未来「未来で良いですよ、先輩!」

212: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:17:07.46 ID:zLKSsA3Ao
とても元気な子だ

無性に頭を撫でたくなる

P「翼はあれからどうだ?」

翼「えへへ、おかげさまで美希先輩と友達になれました!」

P「お~、良かったじゃないか」

未来「P先輩はどうしてここに?」

P「ん?ああ、たまたま近くに来たら志保が試合をしてたから見に来たんだ」

未来「あ、じゃあ志保呼びますね!お~い!志保~!」

翼「ねえねえ先輩、先輩のおかげでもっともーっと魅力的になったわたしとデートしましょうよ~」

翼が抱き付いてくる

P「こらこら」

213: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:22:27.14 ID:zLKSsA3Ao
未来「お~い!志保~!」

未来に呼ばれたので声のする方を見てみると

こっちに向かって手を振る未来

その横で兄さんに抱き付いている翼

翼に抱き付かれて鼻の下を伸ばしている兄さん

が目に入った

志保「………………」

志保「静香」

静香「何?」

志保「あなたがフォローに回れば勝てるのね?」

気に入らないけど

静香「だからそう言ってるでしょ?」

志保「乗ってあげるから、失敗しないように」

静香「…どういう心境の変化か知らないけど…上等よ!」

今は形振り構っていられない

214: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:25:06.01 ID:zLKSsA3Ao
翼「…?」ゾクッ

P「?どうした?」

翼「ちょっと寒気が…気のせいかな?」

P「汗拭いてないんじゃないか?ほら、タオル貸してみ?」

タオルで翼の頭を拭いてやる

未来「私も私も!」

続いて未来の頭を拭いていると

スパァン!

コートに鋭い音が響き、志保と最上さんのチームが勝利していた

215: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:28:02.29 ID:zLKSsA3Ao
しかし

ひなた「あたしのサーブは山を削るよぉ」

決勝戦で木下さんに手も足も出ずに敗北した

穴だらけになったコートから志保が戻ってくる

P「お疲れさん」

志保「兄さん…」

P「凄いプレイだったぞ」

志保「気休めはやめてください、負けてしまった以上何も誇れません」

P「確かに決勝は負けただろうけど、他は勝ってた、それだけで十分誇れるさ」

志保「…」

216: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/08/31(水) 23:31:21.93 ID:zLKSsA3Ao
P「うん、頑張ってる志保は格好良かったぞ?惚れ惚れするくらいに」

志保「!本当ですか?」

P「ああ、ご褒美に何か一つ言うことを聞いてやろう」

志保「一つ…それなら」

P「うん」

志保「その…汗を掻いてしまったので…頭を拭いてください」

P「そんなので良いのか?」

志保「はい、それが良いんです」

P「わかった、じゃあジッとしてろよ?」

志保の頭をゆっくり拭いてやる

志保は気持ち良さそうに目を瞑っていた

226: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/01(木) 22:19:09.96 ID:iCsAbSy5o
静香「志保、お疲れ様」

志保「静香」

P「最上さんもお疲れ様」

静香「P先輩、お久しぶりです」

P「元気そうで何よりだ」

静香「翼の件ではお世話になりました」

P「気にしなくて良いよ、俺も楽しかったし」

静香「そう言って貰えるなら」

志保「…兄さん、静香と知り合いだったんですね」

227: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/01(木) 22:22:17.70 ID:iCsAbSy5o
静香「兄さん?」

P「ああ、志保は従妹なんだよ」

静香「従妹、ですか?…ああ、なるほど、それで」

最上さんが志保のほうを向いてにやにやしている

志保「…何?にやにやして」

静香「ふふ、なんでもないわ」

志保「何でもないならにやつくのやめなさいよ」

静香「ふふ、志保も可愛いとこあるのね」

志保「…やっぱり気に入らないわ」

志保はそっぽを向いていた

228: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/01(木) 22:26:44.93 ID:iCsAbSy5o
P「けど最上さんも凄かったよ、テニスやってるのか?」

静香「はい、嗜む程度ですが」

P「中々面白い試合が見られたからな…でも惜しかったな」

静香「はい…まさかひなたが必殺技を使ってくるとは…」

P「『7本目の木下』だっけ?」

静香「はい、あれの直撃を受けると即死してしまう恐ろしい技です」

静香「去年はちょうど7人埋まりました」

229: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/01(木) 22:32:23.22 ID:iCsAbSy5o
P「死にたくなかったら避けるしかないけど避けたらポイントを取られる極悪な技だったな…」

静香「対策がないわけではないんですが…ひなた自身の強さもあって中々に難しいんです」

最上さんとテニヌの話で盛り上がる

そのまま話していると

志保「兄さん」

志保が俺と最上さんの間に割って入ってきた

P「ん、どうした?」

志保「あんまり高等部の生徒が中等部に混じっているのもどうかと思うのでそろそろ戻った方が良いです」

P「そうかな?」

志保「はい」

静香「ふふ、志保、心配しなくてもあなたからお兄さんを取ったりしないわよ?」

志保「うどんは黙ってて」

静香「何ですって!?」

238: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/02(金) 23:48:11.58 ID:N5H0Mkwoo
765学園では毎年一回、近所の砂浜を貸し切って学園全体での海水浴を実施している

この時持ってくる水着は特に指定されておらず、学園指定のセーラー水着でも自前の水着でも構わない

もっとも、毎年何人かは過激な水着を持ってくる生徒がいて、問題になっているらしい

P「うーん、やっぱり海は良いなぁ」

海美「ほんと!?じゃあ結婚しよ!」

冬馬「とりあえず泳ぐか?」

P「そうだな…ん?」

241: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/02(金) 23:55:45.48 ID:N5H0Mkwoo
視界の端に志保が見えた

志保「…」

何処か寂しそうに佇んでいた

その姿を放っておけず、声をかけることにした

P「志保」

志保「兄さん…どうしました?」

P「ん、志保が暇そうにしてたから一緒に遊ぼうと思ってさ」

志保「別に私は…」

242: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/02(金) 23:58:52.13 ID:N5H0Mkwoo
P「何が良い?スイカ割りでも競争でも、なんならビーチボールもあるぞ」

志保「もう、兄さんは遊ぶとなると強引なのは昔と一緒ですね」

P「そうか?」

志保「はい」

志保「まあ…こうなった兄さんは頑固なので、付き合ってあげます」

P「よし、じゃあみんなと合流しよう」

244: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 00:21:39.52 ID:7MBhzW18o
皆のところに戻る

P「というわけで、志保も交えて一緒に遊ぼう」

冬馬「急だな…別に良いけどよ」

翔太「何やるの?」

海美「この人数ならビーチバレーとか?」

恵美「8人だしね」

P「チームはどうわける?」

琴葉「キャンプの時に乗ったボートと同じで良いんじゃないかな?」

245: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 00:31:47.70 ID:7MBhzW18o
海美「えー私Pと組みたい~」

冬馬「お前とPが組んだら戦力バランスがヤバいんだよ」

海美「ちぇー」

P「悪いな海美、また今度組んでやる」

海美「約束だからね!」

P「ああ」

志保「兄さん、よろしくお願いします」

P「ああ、よろしく」

246: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 00:34:51.34 ID:7MBhzW18o
一戦目は恵美とエレナが相手だ

恵美「手加減しないよ」

P「おう、掛かってこい」

エレナ「行くヨー」

エレナがサーブをする

P「志保!」

志保「はい!」

志保はエレナのボールをしっかりと捉え…

ポコッ

志保の頭がボールを跳ねさせた

252: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 23:10:15.25 ID:MX+25gU0O
「…」

砂浜に落ちたボールを無言で見つめる俺達

志保「そちらのポイントです」

志保はなんともいえない空気の中、ボールを拾ってエレナに投げた

エレナ「そ、そうだネ!わ、わー嬉しいナー」

恵美「さ、流石エレナ!」

P「え、エレナはダンスやってるからな、志保が取れなくても仕方ない!うん!」

志保「?」

253: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 23:37:17.92 ID:7NTHi4iOO
結局ストレート負けした

志保「…負けてしまいましたね」

P「エレナ強すぎぃ…」

こちらの行動を悉く見切られ完封されたのだ

志保「でも、楽しかったです」

P「そうか?」

志保「はい、私はあまり誰かと遊んだ経験が無いので」

P「そうなのか?最上さんとか、ダブルス組んでたし仲良いのかと思ったよ」

志保「…そうですね、親友になっても良いかな…」

254: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 23:51:36.57 ID:7MBhzW18o
そんなことを話していると

「志保ちゃん…」

後ろから声が聞こえた

志保「可奈…」

振り返るとオレンジに近い髪の女の子が志保を見ていた

P「知ってる子か?」

志保「はい、同じクラスの…その…」

志保は一度言葉を切ると

志保「…友達です」

可奈「志保ちゃん!」

可奈ちゃん?がそれを聞いて嬉しそうに顔を綻ばせた

255: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/03(土) 23:57:52.01 ID:7MBhzW18o
可奈「志保ちゃん、さっきはごめんね?」

志保「気にしなくて良いわ、可奈には可奈の付き合いがあるってわかってるから」

可奈「志保ちゃん、一緒に遊ぼ?」

志保「良いわよ」

志保「兄さん」

P「うん、俺は構わないしみんなも歓迎してくれるさ」

志保「ありがとうございます、兄さん」

志保「それじゃあ可奈、組みましょう」

可奈「うん!」

…なんだ、ちゃんと一緒に笑える友達、いるじゃないか

志保の楽しそうな顔を見ながら、そう思った

259: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 00:51:04.65 ID:UhIweG0KO
P「…」

このみ「次はあっちに行きましょ」

俺は今、家族4人で町に買い物に出ていた

女性陣は服やアクセサリーを見ている

俺は荷物持ちだ

このみ「これなんか志保ちゃんに似合うんじゃないかしら」

志保「そうですか?少し派手な気が…」

桃子「この服、良いかも」

志保「そうね…結構可愛くて着やすそう」

260: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 00:55:20.66 ID:UhIweG0KO
しかし女の子の買い物は長い

恵美やエレナ、翼に付き合わされているのである程度は慣れているがそれでもやっぱり長い

どうしてこんなに長くなるのだろうか

ショッピングモールのベンチに腰掛けて待とうと思ったのだが

このみ「こういうのは男の目が必要なのよ」

と休ませてくれなかった

そんな三人は今試着室に入っている

261: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 00:59:23.83 ID:UhIweG0KO
1番最初にこのみ姉さんが出て来た

このみ「ふふっ…どう?アダルティでしょ?」

しなを作ってセクシーポーズ(笑)をとるこのみ姉さん

P「アダルティ(笑)」(うん、そうだな、よく似合ってると思うよ)

このみ「少しは建前のほうを出しなさいよ!?」

P「なんか中学生が間違った方向に背伸びしてるみたいだな」

このみ「ぐぬぬ…私にも莉緒ちゃんのような肉体があれば…」

P「このみ姉さんと莉緒さんの精神を入れ替えたらある意味完璧美女が出来ると思うよ、うん」

262: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 01:05:01.50 ID:UhIweG0KO
このみ「まあ無いものねだりしても仕方ないわ…今できることをやらないと」

P「万が一…いや、億万が一身長が伸びてもその胸じゃなぁ…」

このみ「あんたも女にしてあげようか?」

P「ごめんなさい」

息子の危険を感じ、俺は即座に謝った

このみ「まったく…」

そんな話をしていると桃子が試着室から出て来た

桃子「二人とも、騒がしいよ」

263: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 01:08:56.59 ID:UhIweG0KO
桃子はフリルのついた可愛らしい服を着ている

P「おお、流石桃子、何着てもよく似合うな」

桃子「そりゃあ桃子は自分が何を着たらよく似合うかわかってるもん」

このみ「けどほんとよく似合ってるわね~」

桃子「ま、まあ褒められて悪い気はしないから?もっと桃子のこと褒めて良いよ」

P「ああ、流石だ桃子」

桃子「…」むふー

桃子がどや顔をした

264: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 01:11:51.97 ID:UhIweG0KO
志保「…」

気が付くと志保が試着室から出て来ていた

P「お、志保も着替えたか」

振り返ると

P「」

志保「ど、どうでしょうか」

純白のノースリーブワンピースに身を包み、麦わら帽子を被った志保がいた

272: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 23:48:45.07 ID:ze9HAFroO
綺麗だった

今の志保を知らない人にどこかの令嬢ですと目の前に出しても恐らく通用するだろう

志保「…兄さん?」

志保が固まった俺の反応を伺う

志保「…やっぱり私には似合わないですよね」

このみ「大丈夫よ志保ちゃん、これは志保ちゃんが可愛くて固まってるだけだから」

桃子「つ、強い…」

P「志保…」

志保「はい」

P「よく似合ってる…本当に、可愛くて綺麗だ」

志保「…」

志保は麦わら帽子を目深に被って顔を隠してしまったが、白い服を着ているためか肌が赤くなっているのが良くわかった

273: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/05(月) 23:57:06.78 ID:GzgTEs2LO
結局志保と桃子の服だけ買った

このみ姉さんは何やら文句を言っていたが、無視

荷物を持って歩いていると前から冬馬が歩いてきた

冬馬「よう、荷物持ち」

P「おう」

このみ「あら、冬馬くん」

志保「柳ヶ瀬先輩」

冬馬「天ヶ瀬だ!」

P「町で会うなんて珍しいな」

冬馬「まあな」

274: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/06(火) 00:00:18.81 ID:4rO2UcWjO
冬馬「それよりもお前、課題は?」

P「まだ夏休み三日目だし手はつけてない」

冬馬「なら丁度いい、一緒に消化しねえか?」

P「良いな、早めに終わらせるとするか」

冬馬「明日は?」

P「暇してる」

冬馬「よし、じゃあ明日行くわ」

P「おうよ」

冬馬「翔太には連絡しておくからよ」

P「じゃあこっちは琴葉とか恵美に声をかけとく」

冬馬「高坂は?」

P「間違いなく勝手に来る」

冬馬「了解」

275: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/06(火) 00:08:06.91 ID:4rO2UcWjO
P「そういえば志保、宿題とかは?」

志保「いえ、まだ手をつけていませんが…」

P「じゃあ志保も明日一緒に勉強するか?」

志保「え?」

P「勉強の出来る奴も来るからわからないところとかあれば教えて貰えるかも知れないし」

P「なんなら可奈ちゃん?も呼んで良いし」

志保「…兄さんがそう言うのなら」

P「よし、じゃあ明日はみんなで勉強だ」

P「さっさと終わらせて夏休みを満喫しよう」

276: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/06(火) 00:17:23.84 ID:4rO2UcWjO
翌日

静香「お招きいただきありがとうございます」

P「良いよ、そんな畏まらなくて」

翼「P先輩~!勉強終わったらデートしましょ~!」

志保「…」

未来「みんなで勉強するのってちょっと楽しみ!」

可奈「ね~」

海美「勉強やだな~」

恵美「課題は最終日まで溜めるから面白いのに」

エレナ「ワタシ日本語わからないヨ~」

琴葉「エレナ、それ英語よ」

冬馬「…多いな」

305: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/13(火) 22:55:45.68 ID:dc6yKq1dO
P「これだけいるなら俺達の分は後回しでも良いか」

冬馬「だな、俺達は二三日あれば出来るしな」

P「となると、だ」

俺は海美やエレナ、恵美の方を見る

…顔を背けられた

P「この放っといたら夏休み終了直前に泣き付いてきそうなのから片付けるとするか」

恵美「お、お手柔らかに~」

海美「そ、そんなことより体鍛えましょう!」

エレナ「ワタシ日本語わからないヨ~」

琴葉「エレナ、それ数学よ」

306: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/13(火) 23:23:14.85 ID:dc6yKq1dO
静香「先輩方、私も解らないところが聞いてもよろしいでしょうか?」

P「ああ、もちろんだ」

冬馬「それじゃ始めようぜ」





それから二時間ほど課題を進める

恵美「」

海美「我が脳の筋肉はこのようなトレーニングを求めては…がくっ」

エレナ「ワタシ言葉わからないヨ~」

琴葉「エレナ…」

冬馬「脱落早いなおい」

308: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/13(火) 23:49:59.22 ID:dc6yKq1dO
静香「P先輩、少しお聞きしたいところが」

P「ん?」

静香「ここの問題なんですけど…」

P「ああ、これか…これはこの公式をだな」

静香「なるほど…引っ掛け問題なんですね」

P「ああ、これ作ったの間違いなく黒井先生だな…去年の夏に似たような引っ掛け問題を出されたことがある」

静香「そうなんですね」

P「ああ…志保、どうしたんだ?」

志保が手を止めてこちらをジッと見ていた

志保「…いえ、何でもないです」

志保はそう言うと再びノートに向き直る

しかし手は動かなかった

309: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/13(火) 23:56:10.45 ID:dc6yKq1dO
P「そうか?」

俺は再び最上さんに向き直る

P「黒井先生が作った問題となると…ああ、やっぱりな」

意識から外れそうな部分を利用した問題の作り方をしている

あの人らしい

P「黒井先生は相変わらずだな」

静香「黒井先生、少し意地は悪いですが授業はわりと面白いです」

P「教えるの上手いよな」

黒井先生の性格を理解していればあの人はかなりわかりやすい人だ

310: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 00:03:21.75 ID:Z0vj4l5ZO
静香「さっきの例を当て嵌めると…この問題はこうなるってことでしょうか?」

P「そうだな、その問題はそうなるよ」

P「最上さんはわりと柔軟に対応できるんだな」

静香「勉強なら出来るんですけど…人付き合いや他のことは勉強のように柔軟には中々…」

P「大丈夫だ、きっと最上さんなら上手くやれるさ」

静香「そうですね…頑張ってみます」

311: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 00:12:34.65 ID:Z0vj4l5ZO
志保「…」

兄さんは静香に付きっきりになっていた

静香…普段は周りに対してつんつんしているくせに、兄さんや兄さんの友人にはそれを見せない

猫でも被っているのだろうか

兄さんも兄さんだ

海美さんや恵美さんがあまとう先輩や琴葉さんにスパルタでしごかれて捨てられた子犬のような目で助けを求めているのに静香にばっかり構っている

もっと満遍なく見るべきじゃないだろうか

志保「…」

課題に視線を落とす

…どうしてこの問題がこうなるのかわからない

だけど今は兄さんには聞けない

聞いたら間違いなく静香に馬鹿にされるに決まっている

だから私は、この時間がはやく終わることを願った

316: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:25:04.91 ID:vAHdhhthO
昼休憩を挟んだ後、課題を再開する

それを機に俺は気になっていたことを確認することにした

P「志保」

志保「はい」

P「ちょっと見せてみ?」

志保「え?」

P「課題」

志保「あ、はい」

P「うん、やっぱりな」

最上さんと同じところで躓いていた

P「良いか志保、これは引っ掛け問題だ」

志保「引っ掛け…?」

317: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:29:46.42 ID:vAHdhhthO
P「そう、志保みたいに理論的に考える子を引っ掛けるための問題だ」

P「これを解くには出題者の性格がわかっているか、出題者と同レベルに捻くれてるかだから解けなくても仕方ないよ」

志保「兄さんは…」

P「ん?」

志保「兄さんは…捻くれてるんですか?」

P「さあなー、自分じゃわかんないけど…捻くれてるかもな」

志保「…」

P「でもな、志保?捻くれてるおかげでこうやって志保に教えてあげられるんだ」

P「だから捻くれてるのも悪くはないだろ?」

志保「兄さん…」

318: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:37:50.31 ID:vAHdhhthO
志保「その…私を見ていて良いんですか?」

P「ん?」

志保「さっきまでうどんに付きっきりだったじゃないですか」

P「うどんて…最上さんは一段落ついたからな」

兄さんの視線の先では早々に脱落した未来と翼が、可奈と翔太先輩を巻き込んでゲームしているのを静香が後ろで見ていた

P「それにこっちを見てただろ?あれから手が動いてなかったからさ」

P「最上さんのはあと少しだったから先に終わらせたんだ」

志保「そうだったんですね」

兄さんが私を気にかけていてくれた

それがわかって私は内心嬉しくてたまらない

P「だから志保、わからなかったらどんどん聞いてくれて良いからな」

志保「はい、兄さん」

この時間が少しでも長く続きますように

私はそう願った

319: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:45:43.86 ID:vAHdhhthO
P「良い時間だな」

時刻は1730、夕食には少し早いくらいの時間だ

P「そろそろ終わろうか」

大体7時間近く勉強していたことになる

体力的にも集中力的にもここらが限界だろう

恵美「」

海美「脳が…震える…」

エレナ「ヨ~」

海美達はグロッキー状態だ

P「みんな、夕飯食べていくか?」

琴葉「良いの?」

P「ああ、といっても買い出しからだが」

静香「それなら」

最上さんが手を上げる

320: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:52:35.43 ID:vAHdhhthO
静香「人数のおうどんを持ってきたので、台所さえ貸していただければ」

そういってハンドバッグから寸胴鍋と15人分はあるように見えるうどんを引っ張り出す

P「おお、それは助かる、お願いできる?」

静香「はい、腕によりをかけて」

最上さんが立ち上がろうとしたその時

志保「私も作るわ」

志保が立ち上がった

P「志保?」

静香「…志保?おうどんを作るのは私一人で十分だけど」

志保「うどんだけじゃ栄養が偏るから」

静香「おうどんにトッピングをすれば良いだけよ」

志保「ならそのトッピングを作るだけよ」

静香「…」

志保「…」

冬馬「天ぷらとめんつゆでも作るか、台所借りるぞ」

P「おー、任せた」

321: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/14(水) 23:59:33.42 ID:vAHdhhthO
結局志保と最上さんは半分ずつうどんを茹で、冬馬は人数分の天ぷらと揚げ、翼用に醤油で煮た肉を作り、夕飯となった

P「いやー、相変わらず家事能力高いな」

冬馬「毎日やってるからな」

P「お前が女か俺が女なら結婚相手に欲しいくらいだ」

冬馬「やめろよ気持ち悪いな」

何故か周囲から突き刺さるような視線が複数飛んできた

未来は何かをメモっていた

322: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/15(木) 00:04:35.56 ID:FDhvdsXMO
夕飯を終え、みんなを見送る

静香「P先輩、今日はありがとうございました」

P「こっちこそ、うどん美味しかったよ」

静香「ありがとうございます」

静香「…ところで、P先輩は志保の噂を知っていますか?」

P「…クイーン沢がどうのこうのってやつ?」

静香「はい」

P「文字通り噂程度なら」

静香「ならお願いです、先輩だけは志保を信じてあげてください」

325: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/15(木) 00:10:08.20 ID:FDhvdsXMO
P「というと?」

静香「私はあの噂が流れ始めたころ、真偽も確かめずに志保に詰め寄ったんです」

静香「話を聞いてくれない辛さは十分にわかっているはずなのに」

静香「それから少し折り合いが悪くなったのは間違いありません」

P「…」

静香「あんな噂が流れて辛いのは志保の筈なのに、私は志保を責めてしまいました」

静香「よく考えなくても志保が屋上から人を突き落としたりするはずがないのに」

静香「きっと志保は私を許してくれないと思います、可奈も学園では友達から志保と引き離されていて…だから、P先輩だけは」

静香「あなただけは、志保の味方でいてほしい」

333: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/15(木) 23:01:47.71 ID:fUo6pWZxo
P「最上さんの気持ちは良くわかった」

P「大丈夫だ、俺はずっと志保の味方でいることを誓うよ」

P「ただ、最上さんも1つ約束してくれ」

静香「はい」

P「志保も、最上さんを嫌っているわけじゃない」

P「俺が保証する、だから」

P「君も、志保の友達でいてほしい」

静香「…はい!」

P「ありがとう、最上さん」

静香「呼び捨てで構いません」

P「ありがとう静香、志保のこと、よろしく頼む」

静香「はい」

334: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/15(木) 23:35:09.21 ID:fUo6pWZxo
P「それじゃあまた」

静香「はい、今日はありがとうございました」

静香達を見送り志保と一緒に来た道を戻る

その道中、志保が話し掛けてきた

志保「兄さん、うどんと随分親しげでしたね」

P「そうか?」

志保「はい、少なくとも私はうどんが男子にあんな態度を取っているのは見たことがありません」

P「俺が年上だからかもな」

志保「…それだけなら良いんですけどね」

P「?どういうことだ?」

志保「なんでもありません、帰りましょう」

そう言うと志保は少し強引に俺の手を取って前を歩き始めたのだった

335: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/15(木) 23:48:33.69 ID:fUo6pWZxo
まずい、非常にまずい

静香が兄さんに心を開いている

静香は気難しげに見えて案外単純だから兄さんに優しくされて勘違いしているに違いない

仮に勘違いじゃなかったにしても静香だけは駄目だ

海美さんや恵美さんならきっと兄さんを幸せにしてくれる、でも静香だけは駄目

私は兄さんが幸せになれるのならなんだってする

だから不幸になるとわかっていてみすみすとそれを進めさせるわけにはいかない

なんとかして静香を兄さんから引き離さないと…

志保「…」

手に力を込める

気のせいか、握り返されたような気がした

349: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:01:26.11 ID:MFqv5Ovoo
夏祭り、俺達は友人連中と花火を見に来ていた

この前の勉強会と同じメンバーなのでかなりの大所帯だ

静香「P先輩、見てください焼きうどんです」

P「珍しいな」

翼「P先輩P先輩!ステーキの串がありますよ!半分こしましょ~!」

P「こら引っ張るな」

志保「……………………」

可奈「し、志保ちゃん…?」

未来「恵美さん!    マウスパッドが!」

恵美「お!取ったげよっか?」

未来「でへへ~お願いしまーす!」

350: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:06:22.86 ID:MFqv5Ovoo
エレナ「みんな元気だネ!」

琴葉「そうね」

冬馬「元気なのは良いけどよ…あいつはもげろ」

海美「う~私も参加したい~!」

翔太「流石に年下を押し退けるのはちょっと大人気ないよね」

志保「押し退けても良いですよ、むしろ押し退けてください」

冬馬「北沢はあれに参加しないのか?」

志保「…私にその資格はありませんから」

冬馬「資格、ね…」

351: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:14:07.32 ID:MFqv5Ovoo
冬馬「大体の事情はわかってるけどよ、俺にはあいつが怒るとは…」

志保「怒らないのは当たり前です…記憶が無いんですから」

志保「記憶があったなら、とっくに…」

翔太「でもさ志保ちゃん、Pくんのこと理解してるんだよね?」

志保「わかってます、けど、確証はないじゃないですか」

志保「私のせいで過去に空白を作ってしまったのに…」

冬馬「…あのな、北沢、お前がどんな気持ちでいるのか理解できるとは言わねえ」

冬馬「だけどあいつの気持ちならわかる、あいつはきっと」

志保「わかるわけないじゃないですか!」

私は思わず声を荒げた

352: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:19:21.31 ID:MFqv5Ovoo
志保「他人の気持ちなんて、わかるわけない!」

志保「血の繋がった家族ですらわからないのに、ずっと会えなかった人の気持ちなんてわかるはずがない!」

志保「もし気持ちがわかるのなら、私は…!」

私はそこで言葉を切った

この先は口にしてはいけない

冬馬「…」

翔太「志保ちゃん…」

P「どうした、何があった」

兄さんがすぐに駆け寄ってきた

冬馬「いや、ちょっとからかいすぎただけだ」

翔太「ごめんね志保ちゃん」

志保「いえ…こちらこそすいませんでした」

353: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:22:32.97 ID:MFqv5Ovoo
P「年下をいじめるなよ、みっともない」

冬馬「わかってるよ」

翔太「ちゃんと反省するよ」

海美「しほりん」

海美さんが声をかけてくる

海美「ちょっとだけ話そっか」

海美さんに手を引かれ、人混みから離れた

少し歩いてから

海美「うん、ここで良いかな」

私達は立ち止まった

354: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:38:39.00 ID:MFqv5Ovoo
海美「ねえしほりん、ここ憶えてる?」

志保「…周防家が所有してる土地ですよね」

海美「うん、毎年花火を見るための場所を確保するのが面倒だからっておばさんが買った場所」

みんなで花火を見るために2回ほど来たことがある

志保「ここが何か?」

海美「ここはね、私にとって世界で一番大切な思い出のある場所」

海美「私の気持ちの原点」

海美さんが懐かしむように辺りを見渡す

海美「しほりんにもあるよね?そういう大切な思い出」

355: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/16(金) 23:50:56.47 ID:MFqv5Ovoo
大切な思い出…私は思わずポケットのキーホルダーに手を伸ばす

海美「大切な思い出があるなら、逃げちゃ駄目だよ」

志保「…別に逃げているわけでは」

海美「しほりんはさ」

海美「Pが記憶を取り戻したらしほりんのことを嫌いになるんじゃないかって思ってるみたいだけど」

海美「それで嫌われるなら私なんか間違いなく絶交されてるよ!」

志保「なんで楽しそうなんですか…」

356: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/17(土) 00:04:06.16 ID:PcoGXFgEo
海美「でもね、どんな思い出も大切なものだよね?」

志保「…」

海美「これは私の考えだからしほりんの考えじゃないけど」

海美「私はしほりんにも思い出を、ちゃんと大切にしてあげて欲しいな!」

志保「海美さん…」

海美「私が言いたいのはそれだけ!後はしほりんが自分の考えで動いてね!」

363: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/17(土) 23:35:18.59 ID:ElLnqnJNO
志保「私の、大切な思い出は…」

思い出は…

海美「思い出はね、告白する時も便利なんだよ」

志保「べべべ別にこここ告白なんて」

海美「え?しほりんはPの事好きなんだと思ってたけど」

志保「それは…その…はい」

やはり態度に出ていたのだろうか、海美さんは私の気持ちを見抜いていた

海美「やっぱり、それじゃあしほりん」

海美「私達は今からライバルだね!」

志保「ライバル?」

海美「そ!Pの事が好きな者同士、どっちが選ばれても恨みっこ無しだよ!」

海美「どっちも選ばれない可能性もあるけどね」

少し萎える

364: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/17(土) 23:41:18.06 ID:ElLnqnJNO
それでも

志保「海美さん」

海美「ん?」

志保「負けませんから」

海美「…うん!楽しみにしてるよ!」

背中を押してくれたから

志保「兄さんは…私の兄さんですから」

海美「そうだね!私のPだね!」

志保「ふふ…」

海美「にっ!」

私はこの人を裏切らない

365: BBP ◆SFvhMvS7IY 2016/09/17(土) 23:48:02.65 ID:ElLnqnJNO
恵美「むっ」

P「どうした?」

恵美「今アタシのアホ毛がアタシのアイデンティティを脅かす電波を察知した気がする」

P「なんだそりゃ」

恵美「うーん…あれ、志保と海美だ」

P「あ、いた」

俺は姿が見えなくなっていた二人に声をかける

P「海美、志保、どこに行ってたんだ?」

海美「ちょっとしほりんに付き合って貰ってた!」

そういう海美の手にはたこ焼きがあった

P「全く、移動するなら声はかけてくれよ、心配するだろ?」

海美「ごめんね?」