1 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 21:57:26 ID:4bXMxmP6
チュンチュン…

死柄木「……」

死柄木「寝坊した……」

死柄木「あ―――……」

死柄木「学校行きたくねえええええええええ」ガリガリ 

 

2 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 21:59:03 ID:4bXMxmP6
死柄木「……」

死柄木「分かってますよ……お父さん……」ボリボリ

死柄木「黒霧!」

黒霧「急ぎましょう。今なら間に合います」ズズズ

死柄木「はぁ――……」 


3 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:01:39 ID:4bXMxmP6
キーンコーンカーンコーン

死柄木「遅刻遅刻――っと」ズズズ

取り巻き「死柄木さんおはよっす!」

取り巻き「今日もイカしてるっすね!」

死柄木「うるせ――……」

不良「来たぞ! 手マンだ」ヒソヒソ

死柄木「は?」ギロッ

不良「うお怖えっ」 

4 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:12:30 ID:4bXMxmP6
担任「みんな揃ってるな!」ガラッ

担任「わが美蘭高校は、表向きは普通の不良学校だが――」

担任「歴代に名を残す優秀な敵たちを多数輩出している、いわば敵学園だ!」

担任「みんなも先輩たちに恥じないよう、ここで学んだことを将来に生かしてほしい!」

担任「今日も狡く! 賢く! 力を合わせてアンチヒーローといこうじゃないか!」

生徒「それ完全にヒーローのノリだろ!」アハハ

死柄木「だり――……」 

5 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:20:37 ID:4bXMxmP6
教師「まずは我々が倒すべきヒーローについて学ぶ必要がある」

教師「なかでも特に有名なのは――」

教師「事件解決数ナンバーワン! 燃焼系ヒーロー、エンデヴァー!」

生徒「色々あくどい噂も聞くけどな」

教師「ベストジーニスト賞3年連続受賞! ベストジーニスト!」

生徒「こいつなら俺でも倒せそうだぞ」

教師「そして、こいつが最もやっかいだ……」

教師「平和の象徴、オールマイト!」

生徒「マジでやべーよな……どうやって倒すんだよ」

教師「こいつが存在し続ける限り、我らヴィランに自由はない……!!」

死柄木「……」 

6 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:26:21 ID:4bXMxmP6
教師「――次に、正しい人質の選び方について……」

死柄木「はぁ……」ポチポチ

死柄木「詰んだ。おしまい」ポイッ

死柄木「動画でも見るか」スッ


リポーター「今日もオールマイトが大活躍です! ヴィラン達を次々と蹴散らし――」

オールマイト「私が来た!」


死柄木「……」

取り巻き「死柄木さん! オールマイトの野郎の動画見てるんすか?」

取り巻き「もしかして、実はヒーローに憧れてるとか!?」

死柄木「声がでけえよ……」

死柄木「……社会のごみが……」 

7 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:33:11 ID:4bXMxmP6
教師A「死柄木弔ですか?」

教師B「ええ。授業態度はあまりよくない不良生徒ですが――」

教師C「ここではむしろ優等生だな」

教師B「妙な人望というか、カリスマ性もあるようです。今後に期待大ですね」

教師A「でも彼、よくオールマイトの動画を見てるんですよ」

教師A「家にはヒーローのフィギュアなんかもあったりして」

教師C「なんだと! ヒーロー堕ちの可能性もあるわけか」

教師B「それは心配ですね……」

担任「……」 

8 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:40:12 ID:4bXMxmP6
黒霧「残念なお知らせがあります」

死柄木「言ってみろ」

黒霧「購買の焼きそばパンが、売り切れていました……」

死柄木「……は?」

死柄木「はぁぁぁぁ~~~~~~……」ガリガリガリガリ

死柄木「黒霧おまえ……」

死柄木「お前がワープゲートじゃなかったら粉々にしてたよ……」

黒霧「すみません」

死柄木「その個性で後れを取るとかどんだけだよ……」

取り巻き「死柄木さん! 食堂行きましょう!」 

9 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:45:43 ID:4bXMxmP6
ワイワイ ガヤガヤ

取り巻き「俺が買ってきますね!」

死柄木「……なあ黒霧」

黒霧「なんでしょう」

死柄木「この中で本物のヴィランになるやつがどれだけいると思う?」

黒霧「そうですね……おそらく大体はチンピラ崩れのようなものかと」

黒霧「平和の象徴を殺すなどと大それた考えを持つ人はいないでしょう」

死柄木「だろうな。つまんねぇ……まるでヌルゲーだここは……」

死柄木「何か面白いこと起きねーかな……」 

10 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:52:16 ID:4bXMxmP6
死柄木「おい黒霧、なんか面白いことやれ」

黒霧「かつてない無茶振りですね……」

黒霧「適当なヒーローを捕まえて引き裂いてみせましょうか」

死柄木「食事中だろうが……使えねーな」

取り巻き「雑魚ヒーローの一人や二人、俺がボコッてみせますよ!」

死柄木「黙ってろ。あ―――つまんね……」 


11 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 22:57:55 ID:4bXMxmP6
担任「最近ヒーローによってヴィランが捕まえられる事件が多発している!」

担任「みんなも気を付けて帰るように! 解散!」

ガタッ ザワザワ

黒霧「送りましょうか」

死柄木「いい。太るしな……」

黒霧「あなたはもっと食べたほうがよろしいかと」

死柄木「じゃあマック寄って帰ろう」

担任「ああ死柄木! ちょっと来てくれ」

死柄木「?」 

12 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:02:02 ID:4bXMxmP6
死柄木「雄英高校?」

担任「ああ。そこにスパイとして潜り込むんだ」

担任「あそこは多くのプロヒーローと、金の卵である生徒たちが集結している」

担任「情報を盗むことで奴らを袋叩きに――」

死柄木「……それは、あんたの意向か?」

担任「え?」

死柄木「それとも……あんたを雇ってるヒーロー事務所の意向か?」ガシッ

担任「!!」

ボロボロッ 

13 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:07:18 ID:4bXMxmP6
死柄木「あ」

死柄木「あ――やっちまった……どうすんだよくそ……」ボリボリ

黒霧「死体は私が始末しましょう」ズズズ

死柄木「尋問するつもりだったのに……」

黒霧「何故彼がヒーロー側のスパイだと分かったのですか?」

死柄木「気づかないとでも思ったのか……? こいつの偽善臭さは癇に障るんだよ……」

黒霧「しかしここの存在を知っているのに、奴らは何故乗り込んでこないのでしょう」

死柄木「スカウトだよ」 

14 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:15:23 ID:4bXMxmP6
死柄木「俺がヒーローに興味ある素振りしてたからな……」

死柄木「雄英に取り込んでなし崩しに更生させるつもりだったんだろ」

死柄木「平和的交渉か……反吐が出る」

死柄木「ああいう大人にはなりたくないね……」

黒霧「勧誘ですか。考えることはヴィランもヒーローも同じですね」

死柄木「思ってたより簡単に釣れたのに……くそっ!」ガリガリ

死柄木「……あ。そうだ……」

死柄木「黒霧、そいつの死体を貸せ」 

15 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:24:51 ID:4bXMxmP6
―翌日―

ザワザワ…

死柄木「今日も遅刻ギリ……」ズズズ

取り巻き「あ! 昨日先生と最後に会ったのって死柄木さんっすよね!?」

死柄木「知らねーよ……」

教師「静かに!」ガラッ

教師「みんなも知っていると思うが、昨日このクラスの担任が殺された」

教師「死体のそばには『悪党ヴィランに死を!』という血文字が残されていたそうだ……」

教師「我々はこれをヒーロー共からの挑戦状であると受け取る!」

教師「したがって今晩! 各地のヒーロー事務所に襲撃をかける!」

教師「未来ある若きヴィランの命を無残に奪ったヒーローを許すな!!」

一同「オー!!!」

死柄木「へえ……そう来るか……」ニヤ 

16 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:31:36 ID:4bXMxmP6
ザワザワ…

取り巻き「先生を殺すなんて許せないっすね! ボコボコにしてやりましょう!」

黒霧「どうするつもりですか?」

死柄木「さあ……」ポチポチ

死柄木「どっちにしろこの学校はもう詰んだ」ポイッ

黒霧「スパイが殺されたとあっては、向こうも黙ってはいないでしょうね」

死柄木「……スパイは死んだと思うか?」

黒霧「はい?」

死柄木「教師だけで得られる情報には限りがある」

死柄木「生徒側にもスパイを送り込むはずだ。俺ならそうする」

黒霧「つまり……スパイはもう一人いると」 

17 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:34:59 ID:4bXMxmP6
ドゴォォォン

一同「!?」

生徒「な、何だ!?」

ヒーロー連合「ここが悪名高いヴィラン学園か」

生徒「なんでヒーローがここに!?」

生徒「襲撃はさっき決まったばっかりだ……誰かが情報を漏らしたんだ!!」

死柄木「ほらな」

生徒「畜生! やっちまえ――」

死柄木「あーあ、開始即ゲームオーバーだ」

黒霧「どういうことです……?」

死柄木「奴が来る」 

18 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:41:09 ID:4bXMxmP6
オールマイト「私が来た!」SMASH!!!

一同「うわああああああ―――!!!!」

死柄木「はは、全然相手にもならない……無理ゲーだこんなの」

黒霧「早く逃げましょう! 今の私たちでは相手にもなりません」ズズズ

死柄木「ああ……また会いたいな……」ズズズ

オールマイト「?」

オールマイト「今、誰かがいたような……」

ヒーロー連合「……もう全部オールマイトだけでいいんじゃないかな?」 

19 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:51:38 ID:4bXMxmP6
黒霧「間一髪でした」

死柄木「ああ……結構楽しめたな。間近でオールマイトも見れたし」

黒霧「何故、通報したのですか?」

死柄木「あ……バレてた?」

死柄木「どうせもう詰んでるし、最後に面白いものを見せてもらおうと思って」

死柄木「あいつら、やっぱり全然だめだった……」

死柄木「俺が従えるのは、もっと……オールマイトにも負けないくらいの……」ガリガリ

黒霧「そうですか、それなら私にも教えてくださればよかったのに。本気で焦りましたよ」

死柄木「敵を騙すにはまず味方からって言葉があるだろ?」

黒霧「自分が楽しみたいだけでは?」

死柄木「バレるの早……」ニヤ 

20 :以下、名無しが深夜にお送りします:2015/05/11(月) 23:56:31 ID:4bXMxmP6
黒霧「しかし、行くところがなくなってしまいましたね」

死柄木「あー、そこまでは考えてなかった……」

死柄木「名簿なんかは全部処分したが、近所にはいられないだろうな……どうする?」

黒霧「どこへでも付いて行きますよ」

死柄木「ヴィラン事務所でも開くか……」

黒霧「最後に、ひとつ聞きたいことがあります」

黒霧「あの担任は本当にスパイだったのですか?」

死柄木「……」

死柄木「さあ?」ニヤ

死柄木「次は何して遊ぼうかな……」


おしまい
五年前マイトが怪我負う前くらいの設定