1: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 20:56:34.12 ID:RC0FnebZo
小鳥「…………」カタカタ

小鳥「…………ふぅ」

春香「…………」

春香(後ろからソーっと……)

春香「ことーりさん♪」

小鳥「わっ! ど、どうしたの?」

春香「えへへぇ……はいどうぞ! 疲れたときには甘いもの、でしょ?」

小鳥「クッキー? どこで買ってきたの?」

春香「作ってきたんです!」

小鳥「え? これ春香ちゃんが作ったの!?」

春香「はい!」

小鳥「えー! うそ……えぇー!?」

春香「やだなぁ~、私がお菓子を作るのは初めてじゃないですよ?」

小鳥「だってこれ包装だってしっかりしてるし……ホント、売り物みたいよ」

春香「そうですか?」

SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1391946993

引用元: 伊織「言いたい事も言えないこんな世の中じゃ」 



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2: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 20:59:43.19 ID:zBHNfNCLo
小鳥「でも誰か他の人にあげるんじゃなかったの? 私なんかが貰っていいの?」

春香「みんなの分もありますよ。 それは小鳥さんの分です」

小鳥「そっか……うん、ありがとう」

春香「どうぞ食べてください」

小鳥「その前に……ちょっとコーヒー淹れてくるわね!」

小鳥「春香ちゃんも一緒に食べましょ?」

春香「あっ、私淹れてきますよ!」

小鳥「お茶汲みは事務員の仕事よ。 ちょっと待ってて」


小鳥「はいどうぞ」

春香「ありがとうございます」

小鳥「お砂糖とミルクはお好みで入れてね」

春香「はーい」

小鳥「さて、それじゃ頂いてもいいかしら?」

春香「いいですとも!」

3: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:03:09.66 ID:zBHNfNCLo
小鳥「……あむ」

春香「…………」ドキドキ

小鳥「うん、とっても美味しいわ!」

春香「よかったぁ~」

小鳥「これはタダで食べちゃいけないってぐらい美味しいわね」モフモフ

春香「そんなことないですよぉ」


小鳥「春香ちゃんはホント、お菓子を作るのが好きなのね」

春香「それは……きっと嬉しいからです」

小鳥「嬉しい?」

春香「私がお菓子を作るのは、もちろん自分で食べる為っていうのもありますけど……」

春香「やっぱり誰かに食べてもらって、その人に元気になって欲しいから」

小鳥「…………」

春香「でも気付いたら、元気になっているのは私でした」

小鳥「え?」

4: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:05:43.74 ID:zBHNfNCLo
春香「お世辞かもしれませんけど、みんな私のお菓子を食べたとき……」

春香「『美味しい』って言ってくれて、私に笑顔のお返しをくれます」

春香「そのお返しのおかげで、逆に私の方が元気を貰ってるんです」

小鳥「笑顔のお返し………なんか、良い言葉ね」

春香「そうですね」

小鳥「やっぱり春香ちゃんはすごいなぁ」

春香「……へ?」

小鳥「私は今の今まで、元気を与えるのは一方的なものだと思っていたわ」

小鳥「自分が持っている元気を、相手に分け与えるものだって思ってた」

小鳥「でも春香ちゃんは違う」

春香「…………」

小鳥「う~ん、なんて言ったらいいのかな?」

小鳥「『人に元気を与えることで、自分も元気になれる』って、実はすごいことだと思うの」

春香「すごいこと?」

5: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:09:57.33 ID:zBHNfNCLo
小鳥「普通は……って言うと変だけど、相手に何かを与えるときって……」

小鳥「心のどこかで見返りを求めていたり、驕るような気持ちになっているものなのよ」

春香「確かにそうかもしれませんね」

小鳥「でも春香ちゃんは、自分まで元気を貰えるって言ったわ」

小鳥「その言葉が自然と出てくるような心を持ってる春香ちゃんは、とっても素敵」

小鳥「もっと言うなら、そんな春香ちゃんこそアイドルに相応しいのよ」

春香「ちょ、ちょっと話が大げさになってませんか?」

小鳥「そんなことないわ。 お菓子を作ることと、アイドルの活動は似ているの」

春香「え? そう……ですか?」

小鳥「春香ちゃんがアイドルを続ける理由ってなにかある?」

春香「それは、少しでもファンの皆さんに元気になって欲し………ぁ」

小鳥「ね? この二つは手段が違うだけで、根本的には同じことなのよ」

春香「そっか」

小鳥「私も春香ちゃんには、いつもたっくさんの元気を貰ってる」

小鳥「それは何も私だけじゃないの」

6: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:14:27.03 ID:zBHNfNCLo
小鳥「春香ちゃんは本当に優しい子で、いつも周りを気にかけてる」

春香「う、う~ん」

小鳥「みんなの中で一人だけ元気のない子が居たら、自分から話しかけてあげるし……」

小鳥「元気がないにも色々あって、そっとしておいて欲しいときもあるじゃない?」

小鳥「そんな時には、付かず離れずの距離で相手を見守ってあげてる」

春香「……そんな自覚ないですけど」

小鳥「春香ちゃんは、相手の性格とか、その時のテンションとか、周りの空気とか……」

小鳥「それだけじゃなくて、その場に居る他の子たちの性格なんかも見てるの」

春香「…………」

小鳥「その上で自分がどういう距離感でその人と接すればいいか……」

小鳥「自分がどう振舞えばいいかを瞬時に、そして無意識に判断してる」

春香「私そんなにすごい人じゃないですよ?」

小鳥「あら、さっきだってそうじゃない」

小鳥「私が疲れてるのを見て、お菓子をくれたわ」

春香「あれは…………そっか」

7: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:17:42.22 ID:zBHNfNCLo
小鳥「私達はね、春香ちゃん。 みんなで夢に向かって歩いてるわけじゃない?」

春香「そうですね」

小鳥「だけど、足並みを揃えて……ってわけには、なかなかいかないわ」

小鳥「歩くのが早い子も居れば遅い子も居る。 疲れて立ち止まっちゃうことだってある」

小鳥「そういうときに春香ちゃんがみんなの歩幅を考えて、調整してくれるの」

春香「歩幅の調整?」

小鳥「例えば歩くのが遅い子が一人居て、みんなと離れてしまったとするわ」

春香「はい」

小鳥「春香ちゃんは、その子のそばに駆け寄って手を引いてあげる」

小鳥「もしくは、そっと背中を押してあげるの」

春香「それは……逆の場合でも?」

小鳥「そうね」

春香「で、でもそういうのって……私じゃなくてプロデューサーさんが……」

小鳥「うん、プロデューサーさんもそういう面にはすっごく気を遣ってらっしゃるわ」

小鳥「でもやっぱり難しいっていうか……」

8: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:19:54.63 ID:zBHNfNCLo
小鳥「あの方はみんなのプロデューサーであって、お友達ではないでしょ?」

小鳥(それ以上の感情を抱いてる子ばかりだと思うけど……)

春香「ま、まぁ……そうですね」

小鳥「対する春香ちゃんは、みんなのお友達でしょ?」

小鳥「んー友達って言葉は的確じゃないか……」

春香「でも、たしかに友達です」

小鳥「プロデューサーさんは立場上、少し高いところからみんなを見ているの」

小鳥「……上から目線って意味じゃないわよ?」

春香「はい」

小鳥「でも春香ちゃんは、みんなと同じ場所に立っているわ」

春香「同じ場所?」

小鳥「そう……その微妙な立ち位置の差が、私達の関係をより良いものにしてるの」

春香「…………」

小鳥「プロデューサーさんは男性だし、年だってみんなとは違う」

小鳥「手の届かないところだったり、触れてはいけないところがあると思うの」

9: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:21:38.88 ID:zBHNfNCLo
小鳥「そういった隙間を、春香ちゃんが埋めてくれてる」

小鳥「だからプロデューサーさんは春香ちゃんに感謝してるはずよ?」

春香「えー?」

小鳥「なんていうのかな? 嫌味を感じさせないお節介焼きっていうか……」

小鳥「見返りを求めない優しさっていうのが、春香ちゃんの魅了だと私は思うの」

春香「そ、そう……ですか」


小鳥「ゴメンなさいね、なんか……変な話になっちゃって」

春香「いえ……なんとなく理解できましたし、なんとなく……嬉しいです」

小鳥「実はね、私も自分で何を言ってるのか、なんとなくしかわかってなかったの」

小鳥「自分のボキャブラリーの貧困さに逆に感心したわ」

春香「あはは」

小鳥「でも、なんとなぁーく伝わったなら……まいっか! ふふっ」

春香「そうですね、うふふっ」

10: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:23:29.60 ID:zBHNfNCLo
――――
――


ガチャ


小鳥「あっ……プロデューサーさん、おかえりなさい」

P「お疲れ様です、小鳥さん」

春香「おかえりなさい!」

P「おっ? 春香は今日も元気だなぁ。 俺は激つかヘトヘト丸だよ」

春香「そんなときは……じゃーん! クッキーですよ、クッキー!!」

P「クッキー? どこで買ってきたんだ?」

小鳥「んふっ、私とおんなじこと言ってる」

春香「これは私が作ってきたんですっ」

P「えっ? マジで!? 春香、スゴイじゃないか!!」

春香「えへへ」

P「ちょうど小腹が空いてたんだ。 さっそく頂こう」

11: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:24:48.76 ID:zBHNfNCLo
P「いただきまーす」

春香「どうぞ!」

P「もっ……もっ……」

P「うん、旨い」

春香「……やった」

P「これだけ旨いと、クッキーモンスターもビックリだよ」

小鳥「セサミストリート? 懐かしいですね」

小鳥「……は、春香ちゃんも知ってるわよね?」

春香「はい知ってますよ」

小鳥「あー良かった! 知らないって言われたらどうしようかと……」

P「まだお若いですよ、小鳥さんは」

小鳥「んなっ……それはお世辞と皮肉、どちらですか?」

P「いえ、他意は無いです」

小鳥「り……りょうほーですかあああ~」

P「NO! NO! NO! NO! NO!」

12: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:26:53.68 ID:zBHNfNCLo
ガチャ


伊織「…………」

小鳥「あら? 今度は伊織ちゃん」

P「ん? 律子と一緒じゃないのか?」

伊織「今日律子はあずさ達と一緒。 私は一人だったわ」

P「そうだったっけか……」


春香「伊織、おつかれさま」

伊織「…………」

春香「クッキー食べる? 私、作ってきたんだー」

伊織「いらない」

春香「えっ……あ、そう……」

春香「それじゃ、お家に帰ってから――」

伊織「いらないって言ってるでしょ」

春香「…………ごめん」

13: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:29:10.28 ID:zBHNfNCLo
P「こら伊織、そんな言い方ないだろ」

伊織「なによ」

P「それは春香が伊織の為に作ってくれたんだぞ」

伊織「誰もそんなこと頼んでないわよ。 勝手に作ったんでしょ」

春香「ぇ……」

小鳥「伊織ちゃん……」

P「どうしてそんなこと言うんだ?」

伊織「…………ウルサイわね」

P「伊織ッ!」

伊織「大声出さなくても聞こえてるわよ!」

P「それなら答えてみろ、どうしてそんなこと言うんだと聞いてるんだ」

伊織「アンタには関係ないでしょ!」

P「なんだと!」

伊織「……もういい帰る!」


バタン!

14: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:33:36.09 ID:zBHNfNCLo
P「ったく……なんだってんだ」

小鳥「プロデューサーさん、どうして大きな声出すんですか」

P「いや、それは伊織があんなこと……」

小鳥「あんなこと、伊織ちゃんが本気で言うわけないです」

春香「そ、そうです……よね。 伊織、何かあったのかも……」

P「本気じゃないとしても、何かあったとしても、あんな態度を取るのはいけないことだ」

P「伊織の為を想って作ったのに……春香が可哀相じゃないですか」

春香「いいんです私は……それよりも伊織が心配ですっ」

春香「私、ちょっと行ってきます!」


P「はぁ……」

P「ウチはみんな優しい子たちばかりなのに、どうしてこうなるんですかね」

小鳥「きっと、みんな優しい子だからですよ」

P「……え?」

小鳥「もちろんプロデューサーさんも含めて」

15: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:38:48.81 ID:zBHNfNCLo
春香「はぁ……はぁ………あっ、居た!」

伊織「…………」

春香「伊織ー!」ダッ

伊織「あっ、危な――」

春香「きゃぁ!」


ステテーン


春香「痛つつつつ……また転んじゃった」

伊織「だ、大丈夫!?」

春香「えへへ……大丈夫だよ」

伊織「よかった……」

春香「って、私のことはどうでもよくて……」

春香「伊織、どうしたの? 何かあったの?」

伊織「ぁ……いや……」

16: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:42:23.97 ID:zBHNfNCLo
伊織「…………」

春香「伊織?」

伊織「どうして……」

春香「???」

伊織「どうして怒らないの?」

春香「……どうして怒らないといけないの?」

伊織「だって……春香が作ってくれたクッキー、いらないなんて……」

春香「そんなの本気じゃないことぐらいわかるよ」

春香「……ちょっとショックだったけど」

伊織「それなら……」

春香「そんなことより、何かあったんでしょ? 私で良ければ相談に……」

伊織「…………」

春香「そっか……ゴメンね、無理に聞いたりして」

17: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:44:46.96 ID:zBHNfNCLo
春香「私、先に事務所に戻ってるから」

伊織「…………ぁ」

春香「元気出してね……それじゃ!」

伊織「……は、春香!」

春香「なぁに?」

伊織「…………」

春香「どうしたの?」

伊織「…………ぐすっ」

春香「!?」


伊織「わだじ……ぎょうね………ひっく……」

春香「ゆ、ゆっくりでいいよ」

伊織「うぅ……うわぁぁぁん!」ダキッ

春香「おっとっと」

伊織「すんっ……ぐず……」

春香「落ち着いてからね」

18: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:46:35.53 ID:zBHNfNCLo
伊織「うぅ……はるかぁ……」

春香「よしよし、泣かない泣かない」ナデナデ

伊織「ひっく……ぐずっ………はるか……」

春香「うん、ここに居るよ」

伊織「ぅぅ……」

春香「嫌なことがあったんだね……もう大丈夫」

伊織「…………すんっ」

春香「みーんな伊織の味方だよ」

伊織「ごべんなざい」

春香「いいのいいの」

春香「それより、何があったのか聞かせて?」

伊織「…………」コクッ

春香「ありがと」

19: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:48:45.83 ID:zBHNfNCLo
春香「そっかぁ……テレビ局の人が悪口を……」

伊織「通りかかったら、たまたま聞こえてきたの」

伊織「何人かで……笑ってた」

春香「悪口って、伊織の?」

伊織「うぅん……765プロとか、プロデューサーのことも」

春香「冗談半分だったんじゃない?」

伊織「悪口は悪口よ」

春香「そうだけど……」

伊織「私……何も出来なかった」

春香(伊織にしては珍しい……)

伊織「プロデューサーとか、みんなの顔が浮かんで……」

伊織「文句を言いに行くと、ソイツ等の悪口を認めちゃうみたいで……嫌だった」

春香「……うん」

伊織「でもでも……何も言えなかった自分が情けなくて、悔しくて……」

20: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:50:53.52 ID:zBHNfNCLo
春香「私は……伊織が何も言わなかったのは正しかったって思うなぁ」

伊織「えっ?」

春香「私だって765プロの悪口を言われたら悔しいし、言い返してやりたいと思う」

春香「でも、よくわかんないけど、私達が居る芸能界とか大人の世界って……」

春香「多分感情だけで動いちゃダメな場所なんだと思う」

伊織「感情……だけで?」

春香「うん、大人って面倒臭いんだよ」

伊織「…………」

春香「前にね、プロデューサーさんがちょっとしたミスをしちゃって」

春香「テレビ局の人に謝ってたんだけど……」

春香「その人も怒ってたんだろうけど、結構ひどいこと言われちゃったりしたんだ」

伊織「ひどいこと……って?」

春香「うーんと、よく覚えて無いんだけど……とにかく厳しいことを言われたと思う」

春香「あとは、ミスした内容とは直接関係ないことまで言い出したりとか……」

伊織「そう……」

21: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:52:44.85 ID:zBHNfNCLo
春香「それでね、プロデューサーさんは気付かれないように拳を握って、歯を食い縛って……」

春香「すっごく悔しそうな顔してた。 でも……最後まで頭を上げなかった」

伊織「…………」

春香「プロデューサーさんも今日の伊織と同じで、悔しかったんだと思う」

春香「でも言い返したりしなかったのは、やっぱり私達の為を想って我慢してくれたんだよ」

伊織「私達を想って?」

春香「うん。 だってあそこで感情的になっても、得るものは無いじゃない?」

伊織「だからって好き勝手言われて黙ってるの?」

春香「そうだよ」

伊織「そんなの……」

春香「情けないかな? カッコ悪い?」

伊織「そ、そういうわけじゃ……」

春香「私にはすっごくカッコ良く見えたなぁ」

伊織「…………」

22: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:54:56.18 ID:zBHNfNCLo
春香「だから今日伊織が我慢したのも、間違いじゃなかったんだよ」

伊織「…………でも、やっぱり私は悔しいと思うわ」

春香「うん、悔しいのは私も同じだよ?」

伊織「だったら……」

春香「私はね伊織……『悔しいと思うこと』が悔しいと思うんだー」

伊織「……えっ?」

春香「顔も知らない人に言われたことなんてさ、別に気にしなくていいじゃん」

春香「それなのにわざわざ悔しいと思って、モヤモヤした気持ちになるのって……」

春香「なんだかその人達に負けたみたいじゃない?」

伊織「…………」

春香「伊織の大切な時間を、その人達の為に使ってあげてるようなものだよ?」

伊織「……そっか」

春香「嫌な人とか嫌なことの為に時間を費やすなんてもったいないよ」

春香「もっと楽しいことに使わなくっちゃ」

23: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:57:10.14 ID:zBHNfNCLo
伊織「そうよね。 あんな奴等の言うことなんて、聞くだけムダよ」

春香「うん、その調子その調子」

伊織「アイツ等に躓くような伊織ちゃんじゃない」

伊織「私達765プロは、そんなに軟弱じゃないわ」

春香「そうだよ。 誰にも悪口言わせないように、もっともっと頑張ろうよ」

伊織「そうよ、ギャフンと言わせてやるんだからっ!」

春香「……実際にギャフンと言った人に会ったことはないけど」

伊織「ギャフン」

春香「あはは」

伊織「ふふっ」

春香「……やっと笑ったね」

伊織「…………ぁ」

春香「おかえり、いつものいおりん」

伊織「……た、ただいま」

24: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 21:58:39.26 ID:zBHNfNCLo
伊織「でも……私も馬鹿よね」

春香「え? どうして?」

伊織「だって、みんなの悪口言われて機嫌悪かったのに」

伊織「それで春香とかプロデューサーに八つ当たりするなんて……」

伊織「これじゃ一緒になって悪口言ってたようなもんじゃない」

春香「そだね」

伊織「私……馬鹿よ」

春香「大丈夫だよ伊織。 私達はちゃーんと分かってるんだから」

伊織「……なにを?」

春香「伊織が優しい子だってこと!」

伊織「いや……そ、そうでもないわよ」

春香「あー照れてるー」

伊織「もぉ」

春香「えへへ」

25: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:00:36.95 ID:zBHNfNCLo
春香「さっ伊織、戻ろ?」

伊織「…………やめとく。 なんか顔合わせづらいし」

春香「それじゃー私からプロデューサーさんに伝えておくね」

春香「もう大丈夫、心配ないって」

伊織「うん、お願い。 それと……代わりに謝っておいてくれないかしら?」

伊織「プロデューサーと、小鳥にも」

春香「うん! わかった」

伊織「それから、一番は……」

春香「???」

伊織「春香、本当にゴメンなさい」

伊織「あんなこと言って………ぐすっ……ゴメンナサイ」

春香「もう……泣かなくていいよ」

伊織「だって……私………」

春香「ちゃんと分かってるから……ね?」

26: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:02:28.22 ID:zBHNfNCLo
伊織「すんっ………グス……」

春香(うーんと……そうだ!)ガサゴソ

春香「はい伊織、どーぞ」

春香「落ち込んだ時には甘いもの、でしょ?」

伊織「ぁ……」

春香「今度は……貰ってくれるよね?」

伊織「……ふえぇぇぇん!」ブワッ

春香「あれ?」

伊織「ひっく……ぅぅ……」

春香(もっと泣いちゃった……)


伊織「ごべんなざい…………はるか……ありがどう」

春香「こちらこそ、貰ってくれてありがとう」

伊織「帰っでがら…………食べる……から……」

春香「うん!」

28: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:04:57.33 ID:zBHNfNCLo
春香「……落ち着いた?」

伊織「うん」

春香「私、そろそろ戻るけど……大丈夫かな?」

伊織「えぇ、もう大丈夫よ」

春香「そっか……それじゃ、またねー!」

伊織「バイバイ」


春香『…………ワァッ!』

ステテーン


伊織「…………」

春香『エヘヘ……バイバーイ』


伊織「優しい子……か」

伊織「優しいのは春香の方よ」


伊織「ありがとう」

29: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:09:54.67 ID:zBHNfNCLo
――――
――

春香「天海春香、帰還しましたー」ビシッ

P「ど、どうだった!?」

小鳥「その様子から見ると、良い結果が聞けそうね」

春香「えぇ安心してください、大丈夫です」

春香「誰かが悪口言ってるのを聞いたらしくて、それで落ち込んでたみたいです」

P「そうだったのか……伊織らしくないな」

小鳥「でも、それでお二人に当たっちゃうのは、伊織ちゃんらしいですね」

P「あはは、確かに」


小鳥「……オスカーみたいですよね、伊織ちゃんって」

P「オスカー? またセサミストリートですか?」

春香「それって、ゴミ箱に住んでる……」

小鳥「そうそう!」

P「むしろ伊織は豪邸に住んでますけど……」

30: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:11:56.85 ID:zBHNfNCLo
小鳥「普段はつい憎まれ口をきいちゃうけど、本当は優しい子なんですよ」

P「あぁ、なるほど」

春香「セサミストリートかぁ……」

P「ん? どうしたんだ?」

春香「なんだか、私達みたいですよね」

小鳥「えっ?」

春香「いろんな個性のキャラクターが居て、でもみんなが仲良しで」

春香「お互いがお互いを思いやってる」

P「……うん」

春香「そういう関係って、すっごく素敵だと思います!」

小鳥「そうね、そんな素敵なみんなに囲まれて……私は幸せよ」

P「小鳥さんだって素敵ですよ」

小鳥「やーだぁ! もぅプロデューサーさんったらぁ~ん」

P「…………」

春香「…………」

31: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:12:48.17 ID:zBHNfNCLo
小鳥「とにかく! 今日もみーんな救われた!」

小鳥「さて、残しておいたクッキーを…………あら?」


小鳥「ない」


P「…………ぁ」

小鳥「ぁ?」

P「い、いえ……」

小鳥「…………」

P「…………」

小鳥「春香ちゃん?」

春香「は、はい」

小鳥「あれって、何枚入ってたの?」

春香「5枚……ですかね」

小鳥「そう………私ね、2枚食べたのよさっき」

P(…………ヤバイ)

32: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:14:02.18 ID:zBHNfNCLo
P「…………」ソローリ

小鳥「プロデューサーさん?」

P「はい?」

小鳥「……食べやがりましたね?」

P「…………」

小鳥「私のクッキー」

P「て、てへ……ぺろ……」

小鳥「ぷ…………ぷ…………」

P「……ぷ?」


小鳥「プロデューサーさんのばかぁぁぁーーーーー!!!」


P「うわぁー! すいませ~ん!」

小鳥「かえせかえせかえせーーー!!」

P「イタッ………ちょ………バイオレンス反対!」

小鳥「ばかばかばかばか!!」

33: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:16:14.35 ID:zBHNfNCLo
小鳥「フゥー! フーッ!」

小鳥「トイレに逃げ込むなんて、卑怯ですよっ!」

P(食い物の恨みは恐ろしや……)

春香「あ、あの! 小鳥さん、まだありますからっ」

小鳥「ダメよ! それじゃー私の気が収まらないわ」

P「どうしたら収まってくれるんですかー?」

小鳥「…………」

小鳥「うぅ………」


小鳥「ふえぇぇぇん! はるかちゃ~ん!」


春香「おっとっと」

小鳥「グスン…………」

春香「……よしよし」ナデナデ

春香(ふふっ、子供みたい)

P「……お?」

34: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:18:17.17 ID:zBHNfNCLo
春香「よぉ~しよしよしよしよしよしよしよし……」

小鳥「…………ぅぅ」

P(なになに? もしかして抱き合ってるのか?)

P(……見てみたいな)


ガチャ


小鳥「……ん?」ギロッ

P「……げっ」


小鳥「ふ、ふえぇぇぇん! プロデューサーさぁ~ん!」

P・春香「「えぇっ!?」」


P「ちょ……小鳥さん?」

小鳥「うぅ……ひっく……」

P「……よ、よしよし」ナデナデ

春香「…………」

35: 以下、2013年にかわりまして2014年がお送りします 2014/02/09(日) 22:20:34.60 ID:zBHNfNCLo
P「小鳥さん……ごめんなさい」

小鳥「いいですよもう」

P「よかった」

小鳥「そのかわり……」

P「そのかわり?」

小鳥「もうすこし……このまま……」

P「あっ……は、はい」ナデナデ

春香「むぅ」

小鳥「……春香ちゃん」

春香「はい?」

小鳥「てへぺろ(・ω<)」

春香「ぐぬぬ……」


伊織「…………」

伊織(戻ってきたけど……やっぱりもう帰ろ)

END