バットマン「グランド……オーダー?」 前編

391: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/06(水) 23:34:07.79 ID:QnT/yd9k0

ドクター「時刻、08:56。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライト、清姫の三名ともにコフィンにスタンバイ完了」

所長「……ふぉ、フォウは何処に行ったのかしら……」キョロキョロソワソワ


職員A「存在証明開始! 三名ともに証明続行中!」

職員B(あれ、一瞬だけスクリーンに緑のハテナマークが浮かんだような……き、気のせいだよね。疲れてるのかなぁ)

職員B「電子機器類に異常、ありません! こちらも良好!」

職員C「シバによる時代特定も良好です!」


所長「分かりました。古代ローマへのレイシフト、カウントダウン開始!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」


ドクター「よし、今回もよろしく」

レオナルド「大雑把な八割は任せたまえ。大事な二割はキミの仕事だ」

ドクター「よぉし、やるぞ!」




SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1511494020

引用元: バットマン「グランド……オーダー?」 



392: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/06(水) 23:35:19.38 ID:QnT/yd9k0


コフィン内「」シーン……

バットマン「……」

ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』

バットマン「……」

???「フォウ」

バットマン「……! 何故ここに入って来た……!?」

ドクター『3! 2! 1!』

フォウ「フォウ、フォーウ!」

バットマン「……くっ、離れるな!」ガシッ

フォウ「フォーウ!」


『0!』



393: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/06(水) 23:35:50.09 ID:QnT/yd9k0

第二章

永続狂気帝国 セプテム

407: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:35:44.96 ID:R49UtULq0

――――


レフ「……ふん、奴に引っ張られて余計な存在まで召喚されたようだが……まあいい。
ロムルス。『ローマ』を作れ」

ロムルス「無論である。召喚された理由も把握している。すなわち、この世界に消えることの無いローマを作る。それこそが我が使命」

レフ「良いぞ、それこそが貴様の使命。いや、貴様ら『ローマ皇帝』の使命だ! 頭に立つ者として、民を愛する者として、いずれ消える土台など不要! 永遠を築き上げろ!」

???「……なぞなぞだ」

レフ「……あ?」

???「なぞなぞだ。奴はどんな時でも必ずやってくる、しかし到達する事は決してない。それは何だ?」

レフ「……下らん事を言ってないで策を考えておけ」スタスタ


408: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:36:35.36 ID:R49UtULq0

???「あ~あ、行ってしまったか。アレは結構自信作だったんだが」

ロムルス「……『明日』だな」

???「なんだって?」

ロムルス「どんな時でも必ずやってきて、到達する事はできない。それは『明日』だ。我々は明日に届かない。そうだろう、リドラ―」

リドラ―「……まったく皮肉な事だが、大正解だね」

ロムルス「ふ……」

リドラ―「いいや、やってしまおう。消えないローマを作る。馬鹿げているが面白いじゃないか」

ロムルス「ああ、面白い。やってやろう、我々が永遠を証明する」


409: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:37:17.08 ID:R49UtULq0

…………

「……シュ……おき……」ギィン‼ ガィン‼

「旦那様……あぶな……」

「うおおおお!!」
「あああああ!!」

マシュ「……う、うぅん……」ピクッ


「マシュ……くっ、目を覚まさ……」ギャリィン‼ ガァン‼

「旦那様、後ろを……」ガギャァン‼

「フォウ! フォーウ!!」


マシュ「……はっ」バッ



410: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:37:57.09 ID:R49UtULq0

バットマン「! 起きたかマシュ! 戦闘が既に開始されている!」

ドクター『周囲をサーチ中! 魔力反応は両陣営から確認されている! キミたちは残念ながら戦争の真っ只中にレイシフトしてしまったようだ!』

清姫「それはおかしい話ですね、確か絢爛な首都が我々を出迎えてくれるはずでは!?」ゴゴウッ‼

ドクター『座標は固定してあったが……何者かが介入したのか、もしくは首都の位置がズレているか、だ! いずれにせよ、その窮地を脱してくれ!』

兵士A「おおおおお!!」キィン
兵士B「やああああ!!」ギィン
兵士C「たああああ!!」ガァン
兵士D「どらあああ!!」ギャァン


マシュ「あ……ど、どちらの陣営を……いえ、どちらも真紅と黄金の意匠があしらわれた鎧……非常に似ていて……」

バットマン「自分の身の安全をまず確保しろ! 突破口を開くのはその後だ!」ガシッ、ドッガァ‼

兵士A「おがあああ!?」ドサァン

マシュ「は、はいっ!」ガチャリ



411: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:38:38.95 ID:R49UtULq0

兵士B「おらあああ!!」ブゥン‼

バットマン(真紅と黄金の意匠……古代ローマで好んで使われた色だ。レイシフトした場所に間違いは無いようだが、しかしこの戦争は……)ガシッ


バットマン「ドクター、年代特定を頼む。ローマでの内紛があった時代なのか?」グイッドスッ

兵士B「うごっ!?」ドシャァン

ドクター『……いや、そこは1世紀ごろのローマだ。そんな戦争は歴史にはない』

バットマン(ならば、歴史の異常による戦争の可能性が高いか……)

マシュ「やああっ!」ブォン‼

兵士C「ぐげっ!?」ドゴォン

清姫「カァァァッ!」ゴウッ‼

兵士D「あづぁづぁづぁ!?」ゴロゴロゴロッ


ワーワー‼ ギャリィン‼ ガァン‼


バットマン(キリが無い。少々強引でも、この混乱を突破して……)


???「我が!!!! 愛しき!!!! 妹の!!!!! 子よ!!!!!!」ゴォッ

バットマン「……!?」



412: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:39:22.91 ID:R49UtULq0

マシュ「アレは……」

兵士E「カリギュラ様だ……テメェらもう終わりだぜ!」


カリギュラ「ネロォォォォォォ!!」

???「叔父上……!」


バットマン(何だ? 戦場の動きが硬直した? あの二人は一体……? いや、先程ネロ、カリギュラと……)


バットマン「ドクター、あの二人の分析を頼む」

ドクター『……男性の方はサーヴァントだ。女性の方は……奇妙だな、魔力はあるけどサーヴァントじゃない。魔術師か? いや、でもあの手に持った真っ赤な剣は……』


バットマン(あの二人の会話を鵜呑みにするならば、女性の方がネロ。男性の方がカリギュラだ。カリギュラはサーヴァントであり、ネロは生身……)

バットマン(ならば、歴史を乱そうとする陣営はあちらで合っている……のか?
だがこの物量差、カリギュラの陣営が圧倒的に人数が多い……)


バットマン「マシュ! 援護に……」

バットマン「っ」ゾクリ


清姫「旦那様!!!」


???「圧政!!!」ゴォッ

バットマン「っ!!」ババッ

ドッゴォォォォォォン‼



413: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:40:30.98 ID:R49UtULq0

パラパラ……


???「キミからは圧政者の気配がする。すなわち、我が愛の対象である」

兵士F「す、スパルタクス!! てことは、ブーディカ様も……! へっ、俺達に分があるみてえだな!」

兵士E「くっ……」


スパルタクス「さあ、圧政者よ! 我が愛を! 受け取るがいい!!」

バットマン(……熱狂に呑まれた瞳。清姫と同じ、話を聞く者ではない。そして……)

地面「」グチャグチャ

バットマン(この膂力……ほぼ間違いなく、サーヴァント。さあ、いよいよどちらの陣営を援護したものか)

スパルタクス「ふははははははは!! さあ! さあ、黒き猫の扮装者よ!! 来るがいい!!」

バットマン「(正面からでは勝ち目が薄い)マシュ!」


マシュ「はい! マシュ・キリエライト、援護を……っ!?」ガガッ

???「だぁーめ。アンタはお姉さんが相手してあげるから」ヒュンヒュンッヒュンッ

マシュ「くっ……!?」ガガッガィン‼ ギュリィン‼


兵士G「ブーディカ様! いいぞ、やっちまえ!!」

ブーディカ「ふふ……」

マシュ「……退いて下さい!」

ブーディカ「退かせてみなさい」



414: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:41:12.24 ID:R49UtULq0

清姫「旦那様、ここはわたくしが……!」

???「■■■■■■――――――!!!!!」ドォン‼

清姫「チッ……そこを退きなさい、無粋な……!」

兵士H「りょ、呂布様まで……やっぱり首都は堅牢なんだ!」


バットマン(……成程、読めたぞ。防衛戦だ。向こうに見える都市の影……こちらの陣営は守りを固めていたのか。そして、それを落とそうとする勢力の戦争……)


呂布「■■■■■■■■■―――――――!!!」ブゥン‼

清姫「ああもう……」ガガッ


バットマン(……冷静に考えろ。この時代の人物として正しいのは、ネロ・クラウディウスだ。史上では暴君ではあるが、それでも時代に合った皇帝だ。
だが今、その陣営に敵視されている……)

バットマン「……不味いか」

スパルタクス「ハハハハハハハ!」ドッガァァァァァァァ

バットマン「……」バッババッ

スパルタクス「素早いな、圧政者よ! だが同じように素早い者がこちらにも居るぞ!」

???「……」スタッ

バットマン「……」スッ

バットマン(この身のこなし。暗殺者か)



415: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:42:04.39 ID:R49UtULq0

兵士I「け、荊軻様まで! やれるぞ! 物量差なんてメじゃねえ!」


荊軻「……堅物の匂いがするな。これまでの人生、遊びという言葉とは縁遠かった者の発する匂いだ」

バットマン「……」

荊軻「どうも、苦手だが……やるか」ヒュンッ

バットマン「っ」パシィ‼

バットマン(針……毒針)


荊軻「そこっ!」ヒュォン

バットマン「くっ……」ダッ、ゴロゴロッ

スパルタクス「圧政!」ドッゴォォォン‼

バットマン「ふっ!」シュポッガシッ、ギュルギュルギュルギュルッ

荊軻「遅い!」ヒュンッドガッ

バットマン「うっぐ……!?」ドッシャァァァ

スパルタクス「愛を! 愛を!! おお愛を受け取り給え!!」グワッ

荊軻「どう、どう。コイツは人間だ、殺さず捕縛するんだぞ」

スパルタクス「……至極不満である」


バットマン(油断しきっている……スモークペレット……いや、爆破ジェルで地面を砕いて……)スッ

荊軻「おっと、妙な真似はしてくれるなよ? 本当に殺す羽目になる」ガシッ

バットマン「……」ピタッ


416: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:42:35.34 ID:R49UtULq0


マシュ「マスター!」

ブーディカ「ほら、余所見は危険だっての」ヒュンッ

マシュ「あぐっ……」ドサッ

ブーディカ「……まったく、可愛い顔してこんなに粘るんだもんなー。捕縛隊、ロープを……っ!?」

マシュ「……ふっ!」ガガァン‼

ブーディカ「狸寝入りなんてやってくれるじゃない!」ババッ

マシュ「マスターを助けます……そこを、退いて下さい!」ギリィ

ブーディカ「駄目じゃないのさ、女の子が血塗れで歯を剥き出したりしたら……嫌いじゃないけどね」ニッ



清姫「ああもう! しつこい殿方ですね!」

呂布「■■■■■■■――――!!!」

清姫「せめて人語を操ってはいかがです!?」

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」ブゥン

清姫「うっく……」ガガッ

清姫(一発一発が重い……ふざけている余裕もなくなってきてしまいますね……)

清姫(そして、旦那様……ああもう、ここは宝具を……ああでも、それでは安珍様に被害が……)

清姫「あーもー!!!」キシャーーーー‼‼

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――!!」



417: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:43:34.41 ID:R49UtULq0

マシュ「はあっ、はあっ……」ヨロッ

ブーディカ「……もうやめときなって。これ以上やっても結果は分かってるでしょ」

マシュ「……でも、私は……マスターの、盾に……守らなきゃ……」ヨロ、ヨロ

ブーディカ「……」


スパルタクス「おおおおおおおお!! か弱い少女を力でねじ伏せるのはまさに圧政者の如き振る舞い! しかし毒を以て毒を……」ドスドス

ブーディカ「……やめだよ、スパルタクス。この娘はもう戦えない。縛って連れて行くんだ」

スパルタクス「であれば納得である! 私はあくまで反抗者であり、それ以上になれば私は私を……」

ブーディカ「ほら、ロープ」

荊軻「……すまないな、ブーディカ。結局いつもキミがスパルタクスの操縦役になる」

ブーディカ「いいよ、慣れてるし」

マシュ「私は、まだ……!」

ブーディカ「ふっ」ガッ

マシュ「あぅっ……」ドシャッ

ブーディカ「……あーあ、いつから娘みたいな年頃の奴が戦うようになったんだかね」



418: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:44:22.77 ID:R49UtULq0

清姫「……」

清姫(わたくし以外が撃沈しましたわね。ええ、見事に今回も行き遅れです。川があったら飛び込みたい。……自分のブラックジョークが身に染みますこと)

呂布「■■■■■■■……」ゴトッ

清姫「……あらあら、武器を置かれたりなんてして。『勝負あった』とでも仰るつもりですか?」

呂布「……」

清姫「……良いでしょう。女清姫、負けを勝ちと言い張るほど盲目ではないつもりです」

呂布「■■■■■■■■■■■■■■―――――!!!」


419: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:45:46.28 ID:R49UtULq0


カリギュラ「……」

ネロ「……とった!」ザシュッ‼

カリギュラ「……撤退せよォォォォォォ……」スゥゥゥゥゥ……

ネロ「……くっ、今回もまたあの不可解な消え方か……トドメを刺し損ねた」


兵士E「クソッ、撤退、撤退ーーーー!!!」ダダダダダダダ

兵士達「「「撤退しろーーーー!!!」」」ダダダダダダッ



荊軻「今回もお疲れ様だな、皇帝殿」

ネロ「ああ。だが、このままではいずれやられてしまう……相手方の皇帝も一斉に出てくれば、こちらの勝ち目は薄いしな」

荊軻「……兵の消耗も激しい。それに今回捕らえた捕虜の事もある。一度首都に戻り、策を練ろう」

ネロ「うむ、それが最善であろう。多勢に無勢はいくさの常であろうが、余も少々疲れた。無勢の側は嫌になる」



420: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:46:19.87 ID:R49UtULq0


ゴトゴト……ゴトゴト……

バットマン「……マシュ、居るか」

マシュ「はい、マスター。ここに居ます」

バットマン「……こちらは目隠しをされていて状況が把握できない。縛られていて身動きも取れないが、そっちはどうだ?」

マシュ「私もです……」

清姫「わたくしも……どうやら荷台の中のよう。炎を吐いたら旦那様を燃やしてしまうやも……あ、でもそれも良い」

バットマン「……とにかく、このまま連行されるぞ。ネロは味方である可能性が高い。話をする必要がある」

マシュ「でも危険が……」

バットマン「……危険はあるが、今はこれが最善だ」

清姫「……旦那様?」

バットマン「平気だ。危険は引き受ける」

清姫「旦那様」

バットマン「……もし駄目だったなら、清姫。お前に賭ける」


ゴトゴト……ゴトゴト……


421: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:46:50.65 ID:R49UtULq0

………………

「さっさと歩け!」

マシュ(目隠ししてるままなのに、無理を言いますね……)ソロソロ

ブルース「……」スタスタ

清姫「……旦那様? 異様に歩くのがお早いですが、まさか旦那様だけ目隠しが外されてたりはしませんよね?」ソローリ

ブルース「……音と足裏の感触で大体の予測は可能だ」スタスタ

マシュ「……いや、無理では……」


「ここで装備は全て剥奪する! 抵抗はしないように!」ガチャガチャ

バットマン「……」

マシュ「……」

清姫「……あ、今誰かおしりを触りましたね? 後で燃やしますので。ええ、匂いで覚えました。逃げても無駄です。ええ」




422: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:47:47.57 ID:R49UtULq0

…………

ブルース「……」ムクリ

マシュ「……おはようございます、マスター。牢の中で眠るのは初めてで、少し戸惑いましたが……
マスターはよく眠れましたか?」

ブルース「……ああ。最低限はな」


ブルース(地下牢の中だと時間を把握しにくいが……恐らく今が朝だ。そろそろ尋問に誰かが引き出される頃合いか)


ドクター『……駄目だな、その周囲に聖杯の反応はない。そっちの陣営は聖杯を所持していないようだ』

ブルース「……なら計算通りだ。今日の尋問でネロの信用を勝ち取る……」

マシュ「……マスター、やはり私が……」

ブルース「……お前はバックアップを」


兵士「男。出ろ」

ブルース「……」スクッ

清姫「……」

清姫(ご武運を)

ブルース(頼むぞ)


兵士「もたもたするな!」

ブルース「……」スタスタ



423: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:48:39.52 ID:R49UtULq0

…………

兵士「捕虜を連行して来ました、ネロ様」

ネロ「うむ、ご苦労。行って良いぞ」

兵士「はっ」ススッ


ブルース「……」

ネロ「さて、この玉座の間へようこそ! どうだ? 赤と金の絨毯が映えるであろう? ふふん、この国最高峰の技術を持つ者共に作らせたのだ、当然最高に決まっておる!」

ブルース「……」

ネロ「おお、あの絵が気になるか? あれもこの国の最高の絵師に描かせたのだ! 余の美しさが溢れるようだ、うむ、つくづく素晴らしい仕事ぶりであるな!」

荊軻「皇帝殿」

ネロ「あ……ごほん。うむ、今回呼んだのは尋問のためだったな。よし、貴様! 名を何という?」

ブルース「……ブルースだ。ブルース・ウェイン」

ネロ「ぶるーすうぇい……ん。聞き慣れぬ名であるな。まあ良い、それではブルース。何故『連合』側についたのか、理由を述べよ!」

ブルース(連合……?)

荊軻「……」ジッ



424: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:49:10.71 ID:R49UtULq0

ブルース「……少なくとも、どちらの側について戦った覚えもない」

ネロ「むぅ、隠し通せると思っているなら……」

荊軻「……嘘はついていないかと」

ネロ「むむむ、そうなのか? ……ケーキの勘は当たるゆえ、馬鹿には出来んな」

荊軻「あぁ、真偽と臆病者は見れば分かる。……あと、ケイカだ」

ネロ「ならばブルース! なにゆえあの場所に居た? 戦場の真っ只中で何をしていたというのだ?」

ブルース(……さて、ここからが正念場だが……)

ブルース「……これから話す事は、妄想でも出任せでもない。それをよく念頭においてくれ」

荊軻「それを判断するのは私の役目だが……良いだろう、聞いてみよう」


425: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:49:50.10 ID:R49UtULq0

…………

ネロ「……未来から来た……それはまことか?」

荊軻「……」

ブルース「……ああ、本当だ」

ネロ「ううむ、事実だとしたら難儀な事よな。階段から転げ落ちでもしたか?」

ブルース「……狂ってはいない」

荊軻「……」

ネロ「しかしな……」

荊軻「ひとつ質問を許してくれ」

ブルース「……」

荊軻「お前の身のこなし……お前は暗殺者なのか?」

ブルース「……!」


426: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:50:40.90 ID:R49UtULq0

荊軻「一目見た時から分かってはいた。……お前が私の事を暗殺者だと見抜いたように、私もまた見抜いた。
お前は修羅場を潜って来たのだろう。よく鍛えられた暗殺者だ」

ネロ「……それが本当ならば、今までの話は全て嘘八百だという事か? やはり、こやつは余を殺しに来たと?」

ブルース「……」

荊軻「いや……これまでの言葉に偽りはない。だからこそ、試させてほしい。一度、手合わせを。それで分かる」

ブルース(…………成程、不味い事になった……)ピッピッ



427: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:51:30.24 ID:R49UtULq0

………………

ドクター『……! マシュ、清姫、連絡だ。ブルースくんの救援要請』

マシュ「!! 早く助けに行かないと……」

清姫「……ここを、こうして、こうやって……縄抜け完了ですね」スルスルッ

清姫「ふふふ、旦那様の縄からも脱したわたくしに隙はありません。さあマシュ、戒めを解いてさしあげましょう」

マシュ「お、お願いします!」

清姫「こうして……うふふふ、造作もない事です」スルスル

マシュ「行きましょう! 牢屋の外に武装が置いてあったハズです!」

清姫「お待ちなさい。まずは鉄格子を……」ガシッ

マシュ「私も……!」ガシッ


鉄格子「」グググググ……グンニャリ


マシュ「マスターは上階です!」ダッ

清姫「では急ぎましょうか」


盾「」

マシュ「……」パシッ、ガシャリ

マシュ(必ず守ります、マスター……!)

???「ちょっと待ちなさいな」

マシュ「……!」



428: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:52:19.86 ID:R49UtULq0


ブーディカ「牢屋の警護やってたら、やっぱりというかなんと言うか……脱走するとは思ってたよ」

スパルタクス「キミたちは反抗者だ! 好ましく思うが、我が反抗には敵うまい!」

清姫「まあ。手早く燃やして昇りましょう」

マシュ「退いて下さい。私達は行かなければ」

ブーディカ「そりゃ、そっちもこっちも事情があるしね。ま、ただじゃ通れないのは分かってたでしょ?」

マシュ「……」ガシャリ

ブーディカ「そうそう。……それじゃ、やろうか」



429: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:52:57.64 ID:R49UtULq0

………………

荊軻「……戒めを解く。いいな、皇帝殿」

ネロ「……構わんが、余は手助けをせんという事で良いのだな?」

荊軻「ああ。そこで見ていてくれ。この男の戦いぶりを」スパッ


縄「」ハラハラ


ブルース「……」スクッ

荊軻「ふ。少し滾っているのも事実だ。私とキミは正反対だが、根本の部分で似ている気がしてな」

ブルース「……」

荊軻「……では、やろうか」


430: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:54:07.60 ID:R49UtULq0

上等な絨毯を踏みしめ、荊軻は円を描くようにジリジリとすり足で移動する。

ブルースは動かず、向き合った姿勢を維持したまま、じっと相手の動きを見詰め、全ての一撃を想定する。


荊軻はなおも動き続け、動かないブルースの構えを見る。

その時、地下から轟音が響いた。


(地下牢。マシュ)


 その瞬間、マスターは無防備になった。気付いた時には、暗殺者は踏み込み、懐から抜いた隠し刀を一閃させていた。

 ブルースは肘で荊軻の腕をブロック、手首を掴んで舞うように放り投げる。だが彼女は軽やかな身のこなしで着地、絨毯のたわみを足にかけ、蹴り上げた。

 腕で絨毯を払う……その先に居たハズの暗殺者は既に消えている。

(いや)

絨毯の下だ。勘をフル活用し、ブルースはストンプを繰り出す。絨毯に出来ていた不自然な膨らみが移動し、ブルースから数メートルの場所で布を切り裂いて荊軻が飛び出した。

「成程、やる」

 荊軻は不敵な笑みを浮かべ、手に手に小刀を持ち替え始める。次の一撃の方向を悟らせないためのフェイントだ。

(……あまり刺激してはこちらが殺される……だが本気で向かわなければ、それも殺される。マシュ達は何らかの妨害にあっていると見ていいだろう。独力で切り抜ける……それが可能か?)

 一方の騎士は、自身の生死に際して異常なほど冷静に思考を回す。

(荊軻。単独で始皇帝を暗殺しようとし、失敗。斬殺。……伝説では、脚をまず斬られ……身動きが出来なくなったところを斬り殺されたハズ)


 狙うべきは脚。ブルースもまた暗殺者の目になり、冷徹な足運びで距離を詰める。荊軻も相手の雰囲気が変わったことを悟り、腰を落として構える。

 荊軻がまず仕掛けた。匕首を高速で持ち替え、目にもとまらぬ突きを繰り出した。

 だがいくら素早かろうとも、予測済みでは意味がない。ブルースは既に数センチ横にずれ、突きを躱して拳を繰り出している。

 荊軻はステップで躱した……

「っぐぅ!?」

 予想外の部分から伸びた打撃が荊軻の脚を打った。暗殺者は拳の勢いを利用し、身体を捻って足払いを繰り出していたのだ。堪え切れず倒れるそこへ、ブルースは更に蹴りを放つ。

 だがたおれた暗殺者も伊達ではない。蹴りを両手で弾き、脚を庇いながらもスムーズに立ち上がる。

 ブルースも反動を利用し、するりと立ち上がる。二人の暗殺者が見合う。身体能力を除けば、二人の力は拮抗しているといえる。


(……次はどう来る)


 過熱した頭で考えるのは荊軻だ。熱中ともいえるほどに没頭し、荊軻は舌なめずりすらしかねないほど興奮している。恐怖などない。生前、単身で皇帝の暗殺に挑んだ彼女に、恐怖など。笑わせる。

 目の前の男にも恐怖は無い。見れば分かる。分かるのだ。彼はずっと考えている。次の手を。自分はあくまで彼を取り巻く世界に過ぎず、所詮は脅威のひとつでしかない。

(最高じゃないか。ようやく分かって来たぞ)

 この男が嘘など吐くはずがない。何故ならば、私を見た時に既に気付いていたからだ。嘘は通じないと。そして利用しようとしていたのだ。ネロの信用を得るための装置として。

 そこまで気付き、荊軻はふとうすら寒い心地を覚えた。

(ならば)

 生唾を嚥下し、彼女は男を見た。ここまで賢しいのならば。

(この男は……世界と別離してしまっているのか?)

 ぞわり。最悪の孤独を想像してしまった彼女の身体が震えた。

 そこへ、踏み込んだ掌底が叩き込まれた。



431: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:56:28.36 ID:R49UtULq0

荊軻「うっ……!?」ドズシャァァ

ブルース「……勝負あり、で良いか」スッ

ネロ「……うむ、一本入ったと見るべきであろうな」

荊軻「……私の、負けか……」


マシュ「マスター!!」ダダダッ

清姫「旦那様!!」タッタッ


ブルース「……無事だ」


――――

ブーディカ「あいたたた……もー、やってくれるわ……」グッタリ

スパルタクス「やはり圧政者以外への愛は表現が難しい! ふはははははははは!! だが悪くないぞ!!」

ブーディカ「アンタは良いよね、元気で……」


432: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:57:17.62 ID:R49UtULq0

荊軻「……」

ネロ「うむ。今なら一対一の話し合い……とはいかぬが、そちらの本音が聞けそうだな。目的を聞かせて欲しい」

ブルース「……目的は、この戦争の元を取り除く事だ。皇帝の暗殺でも、こんな打ち合いの試合でもない」

ネロ「……ふむ、成程。だがそれだけの戦力では厳しいのではないか?」

ブルース「……ああ。そちらも、戦力不足が深刻なようだ」

ネロ「ナマイキな奴め。……だが事実だ。これを余から言うのは恥ずかしくて毎回慣れぬのだが……余に力を貸して欲しい」

ブルース「……良いだろう。こちらこそよろしく頼む」

マシュ「え……え?」

清姫「待って下さい。旦那様のピンチにわたくしが颯爽と駆け付けて助けてからキスするシーンは? 『待たせたな』は何処です?」

ブルース「……そんなものはない」


荊軻「ふー……ようやくショックから立ち直れたぞ、うん」

荊軻(……身体能力は人間のそれに合わせたとはいえ、まさか打ち負けるとはなぁ)

荊軻(……何者なんだ、ブルース・ウェイン)


ブルース「……」


ネロ「うむ、協力すると決まったなら早速現状の確認に入ろう。未来人とはいえ、この世界の事は知らぬようだからな」


433: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:58:17.03 ID:R49UtULq0

………………

ブルース「『連合ローマ帝国』?」

ネロ「……そうだ。そう名乗る国が西に突如現れ……うむ、まさに突如現れたのだ。そして、余の……ゴホン、東ローマを脅かし始めた」

マシュ「ですが、突如現れたにしては……その、物量が凄まじかったというか」

ネロ「……」

荊軻「それは……」

ネロ「いや、良い。ついて来て欲しい、未来の客人たちよ」

ブルース「……」


434: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 00:59:24.84 ID:R49UtULq0

ネロ「……このバルコニーに立ってみて欲しいのだ。見渡して欲しいのだ、この首都を」


ザワザワ……ガヤガヤ……


ブルース「……普通の都市に見えるが」

清姫「ええ。何の変哲もない……」

ネロ「そこが問題なのだ。数か月前まで、この都市はもっと活気に満ち溢れていた。
全ての国の者がここに集い、昼夜を問わず祭りじみて……それが、消えた。連合ローマ帝国が現れた事によって、民の大部分はあちらへと移住を始めた。兵達でさえ」

ブルース「……」

ネロ「余は皇帝としての誇りを持っているつもりだった。だが、民が居なくなった途端、その誇りは……情けなくも揺らいでいる」

ブルース「……民が居てこその皇帝だ。それは正しい揺らぎだろう」

ネロ「……うむ、有難う。噂では、あちらには『過去の皇帝達』が居るらしい。眉唾なものだが、我が叔父カリギュラが妖しげな術を行使している事を考えると……」

ブルース(……十中八九、サーヴァントだろう。この特異点はつまり……ローマを懸けた戦いか)



435: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:00:50.51 ID:R49UtULq0

ネロ「そこで! いつまでも守りに入っている訳には行かぬと見た余は、そろそろ攻勢をしかけようと思うのだ!」

荊軻「ジリ貧だしな」

ネロ「うむ、そのとお……いいや、ローマならばいつまででも籠城戦ができるぞ! できるもん!」

荊軻「悪かった、できるよな。すまない。話を続けてくれ」

ネロ「むぅ……我々はまずマッシリアへ赴き、ガリアの砦を取り返そうと思う。そこで大きな戦争を起こし、敵の目を引いている内に『連合』の首都へと少数精鋭で殴り込むのだ!」

ブルース「……地図を見ても?」

ネロ「構わんぞ、見てみろ」スッ


地図「」ペラッ


ブルース「……ドクター、この地図に現在の衛星観測による地形を重ね合わせてくれ」

ドクター『ほい来た、ちょっと待ってくれ……ローディング完了。展開するよ』ブゥゥン

ブルース「……」

ブルース(マッシリア……どうやら連合首都のすぐそばにあるようだな。
ガリアの砦はそこからやや離れた場所に……地理的には確かに重要。ここを取らなければ挟み撃ちにされる)

ブルース「……その作戦に賛同する」

ネロ「おお、本当か!? よし、出発はすぐにでも……と言いたいが」

マシュ「?」ボロボロ

清姫「??」ボロッ


ネロ「……うむ、一晩だけでも休憩を取らせるとしよう。明日の明朝に出発だ、準備をしておけ」

ブルース「了解した。ところで私のスーツを……」



436: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:02:06.09 ID:R49UtULq0

………………

マシュ「凄いですマスター、見て下さい! この大きな建物が全部お風呂らしいです!」

清姫「さあ旦那様、お背中をお流しします……」グイグイ

バットマン「……私は夜風に当たってくる。二人は入っていろ」


ネロ「む、異国の者共も丁度入浴か! よし、余と共に入る栄光を与えよう!」

清姫「チッ」

ネロ「!?」

ブーディカ「騒がしいわね、何を……あら、アンタ達も入るの?」

スパルタクス「アッッッッッッ!!! セイ!!!!!」

ブーディカ「いやアンタは駄目だから」


437: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:03:10.31 ID:R49UtULq0

…………

ヒュオオオオオオゥ……

バットマン(……ここが首都で最も高い建物か。グラップネルガンで……)シュポッガシッ

バットマン「ふっ」ギュルギュルギュルギュルッ

スタッ

荊軻「やあ、こんばんは」

バットマン「……」


438: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:03:40.82 ID:R49UtULq0

荊軻「良い眺めだろう。天にも星はあるが、地上にだってそれはある。見ろ、灯された篝火がポツポツと」

バットマン「……」

バットマン(……地形を肉眼で一望して簡易の戦略を立てるつもりだったが)

荊軻「……そう身構えないでくれ。昼間の戦いは見事だった」

バットマン「……そうか。こちらも、かなり追い詰められた」

荊軻「ふふ、まあな。暗殺者の名は伊達ではないよ」

バットマン「……」

荊軻「…………」


439: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:04:34.28 ID:R49UtULq0

荊軻「ところで」

バットマン「……」スッ

荊軻「ごほん。ところで、キミは酒に興味があるか?」

バットマン「……残念だがあまり無い」

荊軻「ふむ……」

バットマン「……」

荊軻「……」

バットマン「…………」

荊軻「少し頼みがあるんだが」

バットマン「……聞こう」


440: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:05:30.06 ID:R49UtULq0

…………

松明「」パチパチ

ワーワー、ギャーギャー


バットマン「……ここが?」

荊軻「ああ。お気に入りの酒場だったんだが、最近どうにも治安が悪くてな。
戦争難のあおりというのはやはり、こういう場に出やすい」

バットマン「……私に頼らなくとも鎮圧できると思うが」

荊軻「ふふ、サーヴァントが人間の営みに口を出すのもな」

荊軻(……そして君の本質を見極めるためにも、君にやってもらわなければな)

バットマン「……分かった」



441: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:06:11.35 ID:R49UtULq0

バットマン(……しかし、今見ている限りでは普通の酒場だが)


???「……」スタスタ

???2「……」スタスタ

???3「……」スタスタ

???4「……」スタスタ


バットマン(……フードを被った人物が四名。歩き方がぎこちない? 顔は見えない。背丈が全く同じ……)


???「……」ドンッ

酔っ払いA「ああああ~?? いってえなあこの野郎!」

酔っ払いB「どこ見て歩いてやが……ぐえっ!?」ドンッ

???『うるさい奴だ、黙っていろ!』


バットマン「……合成音声?」



442: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:07:28.04 ID:R49UtULq0

酔っ払いA「上等だこの野郎! ぶっ飛ばしてやるぁ!!」

酔っ払いB「クソ喰らえ! ぶん殴ってやる!」

???「……」スッ


バットマン(ここで止めるか……)ヒュンッ

バットラング「」ヒュォンッ

松明「」パッ


酔っ払いA「なんだ!?」
酔っ払いB「灯りが……真っ暗だ」


バットマン「……」バッ、バサササササササ



443: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:08:18.13 ID:R49UtULq0


???『環境の急変への対応策を検索しています』

バットマン「……」ガッ

???『ガピー! ガガガー!』ドシャッ


酔っ払いA「なんだ!? 何の音だよ!?」

酔っ払いB「俺が知るかよ!!」


バットマン(思った通り。このフードの連中はロボットだ……ならば)グシャア

ロボット『……』キュゥーン……

バットマン(次だ)


ロボットB『一体目の反応消失を確認。サーヴァント反応確認できず』

バットマン「ふっ!」ガシッ、ゴギッ

ロボットB『……』キュゥーン……


バットマン(次を)


ロボットC『サーモグラフィーに切り替えます』

ロボットD『互いの視界をカバー……』ガシッ

バットマン「一気に……!」ドドッ‼


ロボットC『ギギッ‼』グジャア
ロボットD『ゴゴッ‼』ドシュウゥ


バットマン「……片付いたか」



444: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:09:09.43 ID:R49UtULq0

…………


松明「」パチパチ……

酔っ払いA「なんだこの……鉄が動いてたってのか」

酔っ払いB「ぎゃははははは! 飲みすぎて幻覚が見えるぜ、あぁぁ~」ドタッ


バットマン(基盤からチップを引き抜き、解析に掛けてもらうか……)

荊軻「お見事、手際は見せてもらったよ」

バットマン「このロボット……鉄の人形に見覚えは?」

荊軻「……残念だが無いな。キミは?」

バットマン「……」

バットマン(緑の塗装、背中に描かれた自己顕示欲の塊のようなクエスチョンマーク……思い当たる人物は居るには居るが)

バットマン「……いいや」

荊軻「嘘か?」

バットマン「何故?」

荊軻「目に出ている」

バットマン「……こんな事をしそうな奴に覚えがある。それだけだ。
ドクター、チップのデータを送る。周波数の特定を頼む」ピッ

ドクター『……zzz……』

バットマン「……ドクター」

ドクター『……うぅん、ハッ!? ご、ごめんよブルースくん、ちょっと寝てた!』

バットマン「……今送ったデータの解析を頼む」


445: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:09:57.45 ID:R49UtULq0

店主「近頃この辺の店を荒らしている連中が居ると聞いて……本当に恐ろしかったです。
助けて頂いて、何とお礼を言ってよいやら……この酒はこの店で一番上等なものです、よろしければ」

バットマン「……いや、私は」

荊軻「良いじゃないか、酒の礼なんて洒落てる。貰っておくといいさ」

バットマン「……」

店主「どうか受け取って下さい」スッ

バットマン「……分かった」パシッ

荊軻「……店主、この酒は本当に上等なモノじゃないか。前に私が来てコレをねだっても頑として譲ってくれなかったアレだろう」

店主「……」

荊軻「ブルース、金なら出すぞ。その冗談のように度数の高い酒を私にもくれ」

バットマン「……お礼の品を本人の目の前で他人に渡す奴は居ない」スタスタ

荊軻「なら目の前じゃなかったら良いんだな!? まあ待てブルース! 待つんだ!」タッタッ


446: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/12(火) 01:10:36.98 ID:R49UtULq0

…………

荊軻(……あの時、暗闇でも見えた)

荊軻(彼は致命的な攻撃を繰り出す直前に、それが人間かどうかを確かめていた)

荊軻(……彼の事を暗殺者、などとは言ったが。アレは失言だったかもしれないな……)


バットマン「……急に黙り込んだが、どうかしたか」

荊軻「いいや、なんでもないさ。ともかく……」

バットマン「なんだ」

荊軻「ありがとう、と言いたかったんだ。全く君は性急に過ぎるぞ」

バットマン「それは……すまない」

荊軻「……いいのさ」




473: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:32:01.45 ID:3wpvpcHB0

チャプチャプ……カポーン……

ブーディカ「ふー、やっぱりいい湯だね……」

ネロ「うむうむ、そうであろう! この湯を引くのにはかなり苦労したのだ!」

マシュ「……本当に、こんなに大きな……」

清姫「油断したら溺死しますね、この深さ……全く逸話持ちの身というのは」フゥ

フォウ「フォウ、フォーウ!」ジャブジャブ

マシュ「あ、フォウさん泳いじゃ駄目ですよ」



474: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:32:27.50 ID:3wpvpcHB0

ネロ「向こうには露天風呂もあるぞ! 今の時期は寒いが……」

ブーディカ「贅沢すぎるでしょ」

マシュ「じゃあ私、露天風呂に行ってみますね」ジャバッ

ブーディカ「あ……ちょっと待ってよ、私も行くからさ」


ネロ「……」

清姫「……」ニコリ

ネロ「待ってくれ! 余も! 余も!」ジャバジャバ

清姫「あらあら、どうして嫌がるのですか皇帝様ぁ~? 少しお話でもしましょう?
わたくしは旦那様の束縛を許可されていなかったのに、皇帝様だけ旦那様を縛った事とか……ね?」ギラリ

ネロ「待ってくれ! 何か誤解が……目にハイライトが無いぞこやつ! まだ余は死にたくない! 誰かー!!!」


ギャアアアアアアアアアア……



475: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:33:11.37 ID:3wpvpcHB0


カポーン……

ブーディカ「ふー……綺麗な星だね」チャプ

マシュ「……はい、本当に」チャプチャプ

フォウ「フォーウ……」ブクブク


ブーディカ「……その、さ。昼間は悪かったね、斬り掛かったりして」

マシュ「……」ビクッ

ブーディカ「痛くなかった? 確か、腕を斬り付けちゃったけど」

マシュ「……ええ、大丈夫です。デミ・サーヴァントなので、傷の治りも早いんです」

ブーディカ「……」



476: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:33:46.45 ID:3wpvpcHB0

ブーディカ「……あのさ、もうちょっと近くに寄ってもいい?」

マシュ「え? ……はい」

ブーディカ「……」チャプチャプ

マシュ「……」

ブーディカ「……」ピトッ

マシュ「……」プルプル


ブーディカ「……」

ブーディカ(やっぱり、この娘……)



477: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:34:16.53 ID:3wpvpcHB0

ブーディカ「……ねえ、マシュ達はさ。未来から来たって、そう言ったよね?」

マシュ「はい、そうです」

ブーディカ「戦うのって、やっぱり未来のためなの?」

マシュ「……そう、なのだと思います。今の私には、はっきり分かりませんが」

ブーディカ「へえ……未来じゃ、戦うのって普通なの?」

マシュ「……いいえ。戦うのも、戦争に立ち会うのも……全くと言っていいほど経験が無くて」

ブーディカ「……怖い?」

マシュ「……!!」



478: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:35:06.49 ID:3wpvpcHB0

マシュ「私、は……」

ブーディカ「別に恥じる事じゃないよ。そんな歳の娘が急に戦争に放り込まれて、ビックリしない方が無茶なんだ。怖がってしまうのも当たり前」

マシュ「……はい。情けないとは思いますが、私は……戦いが怖い。人が死ぬのを見るのが怖い。たとえそれがサーヴァント相手だとしても、怖くてたまらないんです。
マスターが居てくれるから、私は立っていられますが……守るものが無くなった時、私は……」

ブーディカ「……」ガシッ

マシュ「!? ぶ、ぶーでぃ……」

ブーディカ「シー。今はこのまま……ね? よしよし……」ナデナデ


479: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:35:37.97 ID:3wpvpcHB0

マシュ「……」ジワ

ブーディカ「……いいの、いいんだ。怖かったら怖いって言っていい。無茶しすぎなんだよ、こんな歳で……」ギュッ

マシュ「……わ、私、は……」ポロ

ブーディカ「……大丈夫。アンタは十分強いし、頑張ってるんだ。盾の後ろが重くなったら、他の奴だって支えてやれるんだから……」ナデナデ

マシュ「……」ポロポロ……

ブーディカ「……」

ブーディカ(……そう、支えてやれるんだ。だから、守ってやらないと……今度こそ)


チャプ……


ガラガラッ‼‼

ネロ「助けてくれ!! もう一人では抑えきれん!!」ダダダダ

ブーディカ「コラ! 風呂場で走んな!」

清姫「あらあら、少し『お話』しただけだというのに、やわなお方ですね……」スルスル

ブーディカ「アンタもねー……空気を読みなさいよ、もー」

マシュ「……あ、あははは……」クシクシ


480: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:36:14.09 ID:3wpvpcHB0

…………

ネロ「ほれ、風呂場の中でもここに立てば……都市が一望できるぞ!」

清姫「ふむ……これは素晴らしいですね。旦那様にも見せてあげたかったです」

ネロ「あそこに見えるのが花屋だ! 先週娘が産まれてな、大層喜んでいたぞ!
そしてアレが鍛冶屋! 良い仕事をする男でな、剣の話ならあやつに任せれば間違いない!
アレが服屋! 世界の流行の最先端はあそこで生まれるのだ!」

清姫「流行の最先端……ですか。それはその、可愛いようなものも……?」

ネロ「? うむ、無論である。今からでも余の衣装の数々を見せてやっても良いぞ?」

マシュ「わ、私も良いですか?」

ネロ「ふむ、どうやらドレスに興味があるようだな! 良い良い、試させてやる! 目にも明るく、着るに楽しく! 道行く民の視線を釘付けにする数々の服を!」ザバァッ

ブーディカ「コラ! ちゃんと肩まで浸かって100数えろ!」



481: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:36:43.04 ID:3wpvpcHB0

………………

清姫「こ、これはちょっと……攻めすぎではないでしょうか……」

ネロ「そうか? 真っ赤なドレスが映えると思うが」

清姫「だってこれ……背中が丸見えで……うう、すうすうする……」

マシュ「……」フムフム

ネロ「マシュにはこれであろう! この黒のフリルがついているものを!」

マシュ「……これは……その……随分胸元が強調されていますね?」

ネロ「無論、余・セレクションのドレスは女の武器を活かすのだ! 全身武器庫の貴様にはこれがふさわしい!」


482: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:37:18.32 ID:3wpvpcHB0

マシュ(……着てみたら、これ……丈が足りなくてお尻も見えそうになりますね)カァァ

清姫「……赤い色で身を包んでいたら何だか興奮してきました! 旦那様! 旦那様は何処ですか!!」フーッ、フーッ

ネロ「お、おうおう。その姿で息を荒くしておると痴女にしか見えんな……余が選んだとはいえ……」

清姫「もう我慢できません! 旦那様を探してまいります!!!」ダッ

バットマン「戻っ……た……」ガチャリ

マシュ「あ……」

清姫「あ……」カァァ

ネロ「うむ、よくぞ戻った! 今、乙女たちがこうして……」


バットマン「邪魔をした」バタリ

ネロ「あれっ?」



483: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:37:56.86 ID:3wpvpcHB0

荊軻「どうしたんだブルース」

バットマン「……」

――――

清姫「どどどどうしましょう……勢いに乗っていたとはいえ、完全に痴女っぽかったですね今の……」ヘナヘナ

マシュ「お、落ち着いて下さい! 今からリカバーすればきっと……」

ネロ「ふっ……落ち着け、清姫よ。見られたからには押し倒しに行く、これで万事解決だって本に書いてあったぞ」

清姫「な、成程! 一理あるような無いような!」スクッ

マシュ「無いですよね。理の欠片も」

清姫「では清姫、行ってまいります!」ダダッ

ネロ「武運を祈る!」

マシュ「マスター……」



484: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:38:50.87 ID:3wpvpcHB0

…………

荊軻「成程なぁ、それで突進して来て押し倒したと思ったら返り討ちにあい、グルグル巻きにされたと」

清姫「はい……」プラーン……プラーン……

バットマン「……」ギュッ、ギリッ

清姫「痛い痛い痛い!? 旦那様!? つ、吊り下げられてるだけで十分な罰では!?」ギチギチギチギチ

バットマン「懲りない奴には追加の罰を与える。これで二度目だろう」ギュリギュリギュリ

清姫「どうかお慈悲を! そんな残酷な!」ギチギチギチギチ

バットマン「もうしないと誓うか?」

清姫「何度でもします。諦めたらそこで試合終了です」

バットマン「……」ギュリギュリギュリ

清姫「痛い痛い痛い痛い!! ……あ、でも気持ちイイかも……」ギチギチギチギチ

バットマン「……」ギュリギュリギュリ

清姫「いややっぱり痛いだけでした!!」ギチギチギチギチ

荊軻「ははは、夫婦漫才だな……それじゃあ私はこの辺りで。失礼するよ」スタスタ

清姫「荊軻さん!? ここはわたくしを助けるところでは……いだだだだ!」ギチギチギチ



485: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:39:55.01 ID:3wpvpcHB0

…………

バットマン「……」

清姫「……あ、……あう……」プラーン……プラーン……

バットマン「……ひとつ聞いてもいいか」

清姫「ハイなんでございましょうか!」ピーン

バットマン「何故私に固執する。お前と私とは何のかかわりも……」

清姫「貴方様が安珍様の生まれ変わりだからです。一目で分かりました」

バットマン「……一目で? どうやって?」

清姫「……ふらんすで、わたくしをあの騎士から庇ってくれた時に。迷いなく人を助ける事ができるその魂の気高さに、安珍様を見たのです」

バットマン「……」

14

バットマン「……意外だな。お前は安珍を憎んでいると思っていたが」

清姫「どうして憎むハズがありましょうか。……いいえ、そうですね。
確かに、わたくしは安珍様を焼き殺しました。ですがそれも愛ゆえです。離れたくなかったのです。
証拠に、わたくしは安珍様を焼き殺した直後に……溺れ死ぬ事を選びました」

バットマン「……死ねば、魂は共に……」

清姫「その通りです。
愛は、それそのものでは甘い蜜でしかありませんが……悲しみが加われば、途端に激しく燃え上がる炎と化しましょう」

バットマン「……」

清姫「……あの、わたくし、格好の良い事を言っている自覚はあるのですが、吊るされてて恰好が付かないと言いますか……」プラーン……

バットマン「……」ス、ガチャリ……バシュッ

清姫「……」スタッ

バットマン「……行け、着替えてこい」

清姫「……旦那様は?」

バットマン「もう少しここに居る」

清姫「でも……」

バットマン「行け。久々の着替えなんだろう。楽しんで来ると良い」クルリ、スタスタ



486: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:41:06.69 ID:3wpvpcHB0
(14とかいう数字は気にしないで下さい)

487: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:41:35.78 ID:3wpvpcHB0

清姫(……)

清姫(その時去っていく背中が、やっぱりわたくしを置いて行く安珍様にそっくりで)

清姫(声を掛けたかったのに、掛けられず)

清姫(ああ、わたくしは……史実で定められた存在なのだと、感じてしまう)



488: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:42:12.81 ID:3wpvpcHB0

バットマン(死ねば共に居られる、か)

バットマン(私も、死ねば……)

バットマン(……いや、違う。人理を救う使命がある)

バットマン(……だが、いずれ死ぬ命ばかり抱える世界を……命を賭して守る価値は、あるのだろうか)

バットマン(死を潜り抜けても、待つのは死……あの時ソロモンの言っていた事は、本当に全ての生命の理想なのか……? 永遠は、悲劇を避けられるのか?)

バットマン(不確定な悲劇より、確定された平穏の方が望ましいのではないのか?)


バットマン(……私は……)


489: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:43:06.22 ID:3wpvpcHB0

…………

チュン‼ チュンチュン‼

フォウ「フォウ、フォーウ! フォウ!」パタパタ

ブルース「……」ムクリ

ブルース(朝か……)


ブルース「……」ガチャ、ガチリ。ガキッ

ブルース「……」ガキ、ガチッ。シュルッ

マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」


フォウ「フォウ、フォーウ!」

バットマン「……ああ、おはよう」



490: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:43:41.75 ID:3wpvpcHB0

マシュ「おはようございます、マスター」

ネロ「良い朝であるな!」

バットマン「ああ、おはよう……」

ネロ「早速行こうではないか! ガリアまでの遠征は遠いぞ、気を張れ!」

ブーディカ「アタシが一番心配なのはこの皇帝なんだけど……まあいいや、行こっか」


491: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:44:10.14 ID:3wpvpcHB0

ネロ「第一から第八大隊はマッシリアへ行き、連合首都へ向けて大きく布陣を展開させろ! 囮とはいえ油断は禁物であるぞ!」

兵士達「「「はい!!」」」


マシュ「……荊軻さん、確か囮の布陣を指揮なさるんでしたよね」

荊軻「ん? ああ、指揮というよりは呂布と共に大暴れする役目だが……どうかしたか?」

マシュ「この通信機をどうか。ガリアを侵攻する我々と、常に連絡を取り合えるようにしていて下さい」ス

荊軻「ほう、こんなものが……良いだろう、よろしく頼む」パシ


ネロ「では第九、第十大隊は我々について来い! ガリアの砦を取り戻すぞ!」

兵士達「「「おおーーー!!!」」」

バットマン「……」

バットマン(さて、一筋縄で行くか……)



492: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:44:40.01 ID:3wpvpcHB0

ザッザッザッザッ

バットマン「……待て」ピタッ

清姫「へぶっ」ドスッ

ネロ「全隊、停止! ……どうした、ブルース?」

バットマン「…………」ジッ

清姫「は、鼻が……」

マシュ「マスター?」


バットマン「フッ!」ヒュンッ


地面「」ドッガァァァァァァァァァァ……


ネロ「!? なんと!?」


493: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:45:18.54 ID:3wpvpcHB0

バットマン「……やはり、地雷だ」

マシュ「地雷!? こんな時代にそんな技術が……」

バットマン「有り得ないだろうな、聖杯にでも頼まない限りは……荊軻、聞こえるか」ピッピッ

荊軻『やあブルース、どうかしたか?』

バットマン「地面に注意しろ。爆発物が仕掛けられている」

荊軻『……成程な。了解した』

バットマン「ドクター、辺り一帯の地面の解析を頼めるか? 荊軻の方も頼む」

ドクター『ちょっと待ってね……オッケー、解析完了だ。レーダーに点が表示されただろう? それが地雷さ』

バットマン「ふむ……」


494: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:46:35.53 ID:3wpvpcHB0

マシュ「しかし、こうまで多いと……って、マスター!?」

バットマン「念のため離れていろ……」ザリザリ

バットマン(地雷を掘り出し、詳しい解析にかける……)ザリ、ザリ

清姫「……」ジッ

バットマン「離れろと言ったハズだが」

清姫「死ぬ時は一緒に、です」

バットマン「……好きにしろ……よし、見つけた」ゴバンッ、パラパラ……

地雷「」ピピッ、ピピッ

バットマン(……緑の塗装がされている。これもリドラ―の仕業か)

バットマン(見た限りでは……重量を感知するタイプか。だが、中の機構に電子的な発光体が見える……やはりジャミングでコントロールが可能。
これから支配するつもりの土地に操作不能の爆弾を撒くほど愚かではないか……)


バットマン「ドクター、この前チップの解析を頼んだと思うが」

ドクター『うん、完了してる……ってええええ!? ブルースくん何持ってんの!?』

バットマン「……これも解析にかけてくれ。ジャミングを……」

ドクター『ぶ、ブルースくんが自爆する気だ! 大変だ!!』

レオナルド『なんだってぇ!? はやまるなブルース! キミのスーツをダサいって思ってた事は謝るから!』

所長『ちょっとブルース!? やめなさい! そんな事したって……やめて! やめなさいよ!!』


通信機『』ギャーギャー‼ ワーワー‼


バットマン「……解析を頼みたいんだが」



495: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:49:45.48 ID:3wpvpcHB0

ドクター『……うん、同じ周波数だ。それじゃあ通信機から電磁パルスを放射するよ!』

荊軻『よく分からないが、爆弾が無力化できるという事か?』

バットマン「そうだ。だが少し待て」

ドクター『3、2、1、0!』ブゥゥゥゥゥーン……

地雷「」シーン……

ネロ「どうだ? うまく行ったか?」

バットマン「退いてくれ、試す……フッ!」ブゥン

地雷「」ヒューン

バットマン「シッ!」ヒュンッ

バットラング「」ヒュォォォォガッ‼

ドサッ

地雷「」シーン……

バットマン「……成功だ」


ネロ「よし! ではこのまま一気に……」

バットマン「数百メートル進むごとにもう一度電磁パルスを放つ必要がある。荊軻も行軍を遅くしてくれ」

ネロ「えぇー!! ……ごほん、うむ、仕方なかろう。兵のためよな」

バットマン「…………行くぞ」



496: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:50:45.63 ID:3wpvpcHB0

バットマン「……待て、止まれ」

ネロ「今度は何……おお、あれは」


バットマン(砦の前……端が霞むほどの兵士の列が並んでいる……)

バットマン「あれほどの人員がローマに居るのか?」

ネロ「……い、居るぞ! ローマの兵士の数は海よりも……」

ブーディカ「居ないね。どう考えても多すぎる」

バットマン「……だが、あそこには確かに……」


マシュ「……いいえ、居ません」



497: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:51:26.62 ID:3wpvpcHB0

清姫「と、言うと?」

マシュ「……聴覚を研ぎ澄ませてみて下さい。鎧の擦れ合う音も、足音も、何も……聞こえないんです」

清姫「……成程たしかに。ではあれは、『ほろぐらむ』というやつですか」

バットマン「……」

バットマン(凄まじい成長だ……教えた事以上に学んでいる……)


ネロ「なんだ、見掛け倒しであるか! ならば突撃だ! 全隊、ガリア砦を奪取せよ!」


バットマン「!? 待て、それは……」


兵士達「「「うおおおおおおお!!」」」ダダダダダダダ

ネロ「余も行くぞぉぉぉぉぉおぉぉ!!!」

バットマン「待て! 止まれ! その先は……」



地面「」ドドドドドドドドドドドドォォォォォォォォォン‼‼‼



498: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:52:15.07 ID:3wpvpcHB0

ネロ「!? なんだ、また地面が爆発した……!?」

兵士E「うわああああ!!」グシャァ

兵士F「いぎゃあああああ!?」ドシャァ

兵士G「あが……」ドチャッ


マシュ「な、なんで……!? 電磁パルスは正常に機能してたハズ……なんで……!?」

バットマン「……」



バットマン(やられた)



499: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:53:03.42 ID:3wpvpcHB0

バットマン(電磁パルスで停止させる事が出来る地雷を手前に置き、停止不可能な地雷は本命の周囲へ置く。この可能性は確かに有り得た。
……止められなかったとはいえ、油断していたとしか言いようがない)

バットマン(……となると、そろそろ出て来るか)

ネロ「戻れ、全隊戻れ! か、壊滅状態に……」

ブーディカ「落ち着け! 頭のアンタが混乱してたら全員にそれが伝わるよ!」


???『ハローハロー、久しぶりだなバットマン? 引っ掛け問題の味はどうだ?』ブゥゥゥゥゥゥン……

バットマン「……リドラ―」



500: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:54:20.11 ID:3wpvpcHB0

バットマン「わざわざホログラムでの登場か」

リドラー『天才はそうそう簡単に人前に姿をさらさないものだ。会えて嬉しいぞぉバットマン、ここでひとつナゾナゾでも出してやりたいが……
今回はそう暇ではないのでな』

ドドドドドド……

ネロ「……今度は何の音だ?」

リドラー『天才が本気になった時には、誰一人として逃れられないのだ! 諦めたまえ!』

バットマン「……陣形を組み直せ! 来るぞ、兵士達のホログラム後方から……『本物』だ!」

敵兵達「「「うおおぉおおおおおお!!!」」」ドドドドドドッ‼

ネロ「なっ……陣形をたてなおせ! 我らも出るぞ!」

ブーディカ「当然!」

マシュ「はい!」

清姫「ええ!」

スパルタクス「迫りくる濁流に立ち向かうのもまた、圧政への愛である!!」



501: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:55:26.75 ID:3wpvpcHB0


兵士E「いてえ、いてえよぉ……」

バットマン「……」シュポッガシッ

兵士E「ぐわあああ!?」ギュルギュルギュルギュルッ

バットマン「下がっていろ!」ヒュドッ

敵兵A「うぎゃっ!?」ドシャッ


敵兵B「おらぁ!」

敵兵C「逃がすかぁ!」

兵士F「たすけてくれぇ!」

兵士G「う……うぐ……」


バットマン(形勢は既に圧倒的に不利。敗走を始める兵達も多い)

ネロ「逃げるな! 戦え! 戦死した者には死した後、とこしえの栄誉を約束する! ローマの地を守るのだ!」ガィン‼ギャァン‼

ブーディカ「そうは言ってもね……!」ギュリィン‼


???「……どおりゃああああっ!」ドッゴォォォォォォォン

バットマン「なっ……」

バットマン(この上に、更にサーヴァント……不味いか)



502: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:56:19.14 ID:3wpvpcHB0

???「テルモピュライの戦いとは逆! ですが! 手加減するつもりは毛頭ありませんぞぉぉぉぉ!!」

マシュ「テルモピュライ……? まさか貴方は、レオニダス!?」

レオニダス「いかにも! だがここでは私も一個の兵である! さあ、打ち合いといこう!」ブォン

マシュ「くっ……」ガギィン‼ガァン‼


敵兵C「うらああ!!」ヒュン‼

敵兵D「どらあああ!!」ブゥン‼

バットマン「くっ……」ババッ


バットマン(兵のひとりひとりがよく訓練されている……いや、訓練されているという言葉では生ぬるい! 奴らの腕の一振り一振りがまるでサーヴァントのように)


バットマン「まさか……! この兵士は!」


レオニダス「そちらにも聡明な人間は居たか! そう、その通り! 私は『テルモピュライの戦いで共に戦った戦士三百人』を、宝具で召喚できる!
本来なら守りに使うこの宝具ですが、兵の強さも馬鹿になりませんぞ!!!」


バットマン(これはいよいよ全滅を覚悟しなければならないか)


敵兵V「やああっ!」

敵兵W「らあっ!!」

スパルタクス「うぐ……圧政……これぞ、これぞ圧政! 圧政の極みである!! ハハハハハハハハハハハハハハ!!!」


503: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:57:13.72 ID:3wpvpcHB0


ブーディカ「しまった、スパルタクスが暴走状態に……くっ!」ガガァン‼

ネロ「なんだ!?」


スパルタクス「この痛み! この圧力! 私は! 今! 圧政の下にある! ふあぁぁはははははっはは! 行くぞっ! 我が愛は、爆発するぅぅぅ!!!」


ブーディカ「……! 全員衝撃に備えて!! スパルタクスが……」


スパルタクス「『疵獣の咆哮(クライング・ウォーモンガー)』!」グオォォォォォォォォォォォォォッ‼


バットマン「なっ……」

清姫「旦那様……!」

マシュ「ますた……っ」


ドォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォォガガガァァァァァァァァァァァ‼‼ 



504: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:58:33.32 ID:3wpvpcHB0

バットマン「うっぐあ……!?」ゴォッ‼

バットマン(しまった、爆風がモロに……吹き飛ばされ……)ヒュォォォォォオッ

清姫「――――!! ――――!」

バットマン(……意識が、飛ぶ……)

バッシャァァァァァァァン‼


マシュ「……!」ムクッ

マシュ(マスターと清姫さんが川に……助けに行かないと!)


レオニダス「隙だらけだ!」ガッ

マシュ「あうっ……!?」ドサッ

レオニダス「……」

レオニダス(むう、あと何人だ? 砂埃で視界が遮られる……)


敵兵D「倒れた女性サーヴァントを一人発見! ネロは逃亡した模様!」

レオニダス「捕縛しろ。皇帝は後だ」

レオニダス(……若干の不安要素は残ったか)



505: ◆GmHi5G5d.E 2017/12/16(土) 01:59:25.47 ID:3wpvpcHB0


ネロ「けほっ、こほっ……なんだったのだ、あの爆発は……」

ネロ「……」

ネロ「……おい! 誰も居ないのか? マシュ! 清姫! スパルタクス! ブーディカ!? ブルース……?」

ネロ「……いかん、すぐに街を見つけて隠れねば。ここは危険だ」

ネロ「……」ダッ




515: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:23:34.89 ID:JSdIgYqK0


 世界に取り残されるのは、初めてではなかった。


 愛した人は、自分を置いて行ってしまう。どこか遠い、手の届かない場所へ。消えていくあの人の笑みは、未だ瞼裏から離れない。


 こうなる事は、分かっていた。世界が私をそう定義付けているのだ。どれほどの召喚を重ねようとも、現世での恋心は叶わない。



 だから、ああ、だから。目の前で死にゆく貴方を見ても、わたくしはちっとも悲しめない。それどころか、歓喜の情すら湧いて来る。また一緒になれる。


 その筈、なのに。


(違います、旦那様)



 水が全身にまとわりつき、力を奪ってくる。私は皮肉な笑みを浮かべ、旦那様の頬に手を添える。世界はやはり私達を裂くのだ。だってこんなにも、貴方に生きていて欲しいのだから。


 唇を重ね、空気を送り込む。旦那様の瞼が跳ね、目を見開く。


(美しい瞳)


 私が恋した人なのだ。零れない涙があふれ、水中へ溶けだして消えた。

516: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:25:25.98 ID:JSdIgYqK0


バットマン(……清姫)コポポ……



バットマン(……)ガシッ、ゴポポポポポ……



バットマン「……っはあ、はあ、はあ……」バシャッ‼

バットマン「清姫、清姫! 目を開け! 清姫!」


ザザァン……ザザァン……

バットマン(……海まで流されたのか。向こうに島がある、上陸するしかない)


バットマン「清姫、今陸に上げる! 待っていろ!」バシャバシャ

517: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:27:41.28 ID:JSdIgYqK0

ザザーン……ザザーン……


バットマン「……っく……」ドシャリ

バットマン「清姫……」


バットマン(脈……無し。呼吸無し。心肺蘇生を……いや、令呪を。通信して準備してもらう)


バットマン「ドクター、清姫に心肺蘇生を施す。令呪発動の準備を頼む」

通信機『……ザザッ……ブルース……ザザ……ザザザザザ……』

バットマン「ドクター! 令呪のリアクター発動準備を!」

通信機『……そちら……ザザ……大気中の神力の濃度が高い、通信に支障……今対応中……ザザ……』


清姫「……」シュウシュウシュウ……

バットマン(消滅が始まってしまった……! 心臓マッサージだけでも!)ガバッ


バットマン「待て、清姫……! 死ぬな! 死ぬんじゃない!」グッ‼ グッ‼ グッ‼


清姫「……」シュウシュウシュウ……


バットマン(動かない……冷たい。まるで死体のように……)グッ‼ グッ‼ グッ‼


ドクター『ブルース! ああ、ようやく通信機能が復活した! 待ってくれ、モニタリングを……ああ、そんな……』


518: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:30:00.23 ID:JSdIgYqK0

ドクター『ブルース、彼女の霊基はもう死んでいる。いくらやっても、無理だ』

バットマン「……令呪はどうだ」グッ‼ グッ‼ グッ‼

ドクター『……残念だけど、彼女自身が離別を覚悟してしまっている。誰より強い、自分への呪いだ。……カルデアの令呪じゃ、覆せない』

バットマン「……」グッ‼ グッ……ドサッ


ドクター『……ブルースくん、残念に思うけど……』


バットマン「…………」



バットマン(……)


バットマン「……マシュは何処だ。無事なのか」

519: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:32:10.87 ID:JSdIgYqK0

ドクター『ああ、マシュの方もしっかり見てる。どうやら敵に捕らえられてしまったようだ、自由に動けるのは君だけ』

バットマン「……荊軻は?」

ドクター『荊軻くんも、連合首都の軍勢相手に奮闘していたようだけど……今は呂布と一緒に、一旦マッシリアまで戻ってる。やっぱり守りは固いみたいだ』

バットマン「……」


バットマン「……マシュに通信を試みる」

ドクター『気を付けて。その間に、キミが流れ着いたその島をこちらでよく調べてみるよ』

バットマン「頼んだ」

520: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:37:12.56 ID:JSdIgYqK0
……………………

カタカタ、カタ。ピッ……ピッ……ウォォォォォォォォォン……


職員C「ドクター、清姫……さんは、その。どうなったんですか」

ドクター「……あと一歩、間に合わなかったみたいだ。僕の力不足だ、すまない」

職員B「そんな! 違います、ドクターのせいなんかじゃ……」

レオナルド「それを言うなら、通信機のメンテナンスを怠った私の責任でもあるしね。これは誰の責任でもない。強いて言うなら皆の責任だ。へこたれるより、今は次へ繋げよう」

ドクター「……」

レオナルド「……」バンバン

ドクター「いたた、分かったよ切り替えるよ……そうだね、悔やむのはブルースくんとマシュくんが帰って来てからにしよう」

レオナルド「当然さ! さあ、観測観測!」


所長「…………」

521: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:40:24.69 ID:JSdIgYqK0
職員B(……でも、大気中の神力の濃度が高かったからって、本当にそれだけで通信に支障を来すかなぁ……)

職員B(……なんか、変な感じ。今のは、なんというか……)

職員B(誰かがわざと計器を狂わせた、みたいな。通信を……ジャミングするために)

職員B「……まさか、外部からのハッキングとか……そ、そんなワケないよね、ハハハ……」

522: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 20:41:52.83 ID:JSdIgYqK0

…………


ピピピ‼ ピピピ‼


マシュ「……うぅ……ん……こ、ここは……?」

マシュ(確か……マスターを助けようとして……一撃をもらってしまって、そこから意識が……)

マシュ(鉄格子……捕らえられた、みたいです)


通信機『』ピピピ‼ ピピピ‼

マシュ「もしもし、もしもし。こちらマシュ・キリエライトです」

バットマン『マシュ。無事か』

マシュ「! マスター! はい、装備を剥奪されて囚われていますが、無事です! そちらも……」


バットマン『清姫が死んだ』


マシュ「え……」

523: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:44:28.91 ID:JSdIgYqK0

マシュ(あまりに平坦な声色だった。感情が読めなかった)

マシュ(私は、聞き間違いかと思った。だって、戦いの前は、あれほど元気で……)


バットマン『彼女は助けられなかった。そこは何処だ? 一人だけ捕らえられているのか?』

マシュ「わ、私……はい、私一人です。場所は分かりません。その、清姫さんは……」

バットマン『恐らくだが、そこはローマ連合首都本部だろう。少し時間はかかるが、救助に向かう。下手な動きは起こすな。また連絡する』

マシュ「あ、あの!」


通信機『』プツッ、ツー、ツー……


マシュ「……ます、たー……」

524: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:46:07.10 ID:JSdIgYqK0

マシュ(なんで)

マシュ(なんで、平気なんですか、マスター)


???「んっん~、どうやら大変な行き違いの時期に直面しているようだな?」コツ、コツ

マシュ「……誰ですか!」

???「おっと、そう怒鳴らないでくれ。私はそうだな、ニグマと呼んでくれ。または……そう、リドラーと」コツ、コツ……ピタッ

マシュ「リドラー……?」


マシュ(そう言えば、マスターが何か言っていたような……思い出せない)


525: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:48:09.10 ID:JSdIgYqK0

マシュ「どうするつもりですか」

リドラー「どうもしない。話がしたくて来ただけだ、キミがあの黒くておっかないマスターの事をどれだけ知っているのか、把握しておきたくてね」

マシュ「どれだけ知っているか……?」

リドラー「ああそうとも。さっき盗み聞かせてもらった限りじゃ、あまり知らないみたいだが……
そうだな……芸がない言い方をするが、キミはあのマスターの事が信用できないんだろう? 『いつか私も捨てられる』と」


マシュ「……!」

526: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:49:30.47 ID:JSdIgYqK0


リドラー「……その反応! 可能性には気付いていたが、考えないようにしていたんだな? けなげな抵抗だ」

マシュ「そんな事! マスターが、そんな事……」

リドラー「ではキミは、今までにあの男の態度に不信感を抱いた事はないと……そういう事か? ん?」

マシュ「……」


マシュ(他者への隠し事。不気味なほどの冷静さ。そして絶対にこちらを信頼してくれないあの瞳……)

マシュ(……違う。そんな筈はない。マスターはそんな人じゃない)

マシュ(……でも、清姫さんは……)


リドラー「揺れているな? そうだろうとも。奴は嘘つきだ。私はキミよりもっとアイツの事を知っているが、ロクな男ではないぞ? 嘘を吐き、裏切り、仲間でさえ道具のように利用してはばからない奴さ」

マシュ「……」

527: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:50:59.67 ID:JSdIgYqK0

リドラー「なぞなぞだ。仲間を大切にしない男を信じられる奴は誰だ?」

マシュ「…………」

リドラー「誰も居ないのさ! 信頼できるとしても、それは騙されているからだ! 目を開けてみろ、キミにあの男はどう見える!?」

マシュ「……私は、」

マシュ「……私、は……」


(おとう、さん……おかあさん……)

(安心しろ。すぐに霊脈へ連れて行ってやる)

(……大丈夫だ)

(必ず生きて連れて帰る。約束だ)

(清姫は死んだ)


マシュ「……私は……」

528: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:52:12.97 ID:JSdIgYqK0

リドラー「時間をやろう。難しいなぞなぞだ、考えておいて損はないだろう。キミの答えを楽しみにしておこう……」コツ、コツ……


マシュ「……」

マシュ(……私は、何を信じれば……)



リドラー「……踊る子らを止める事はできないし、止める必要もない……冷たい心があるなら、うなだれる事も無い……朝が来たら、忘れなさい……何事も、いつかは終わるのだから」コツ、コツ……

コンピューター『通信機の電波発信源を特定。周波数をロック、レーダーに表示します』ピッピッ

リドラー「……だから、もう子供のせいにはできないぞ。楽しくなってきたなバットマン……さあ、次は彼女に繋げ」ニヤリ

コンピューター『了解しました』

529: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:54:42.68 ID:JSdIgYqK0



………………





荊軻『……そうか。清姫が……』


バットマン「……ああ。そちらの状況はどうだ?」

荊軻『マッシリアまで後退してる。兵士の疲労も大きい。相手にサーヴァントが居てな』

バットマン「真名は判明したか?」

荊軻『ああ。アレはカエサルと名乗っていた。見事な兵指揮と奇抜な計略、まず間違いなく本人だろう』

バットマン「……私も、この島を脱出した後にマッシリアへ赴く。それまでは兵を休めさせておいてくれ」

荊軻『分かった。……ブルース』

バットマン「何だ」

荊軻『……気を落とすな』

バットマン「……ああ、分かっている。そちらで会おう」

荊軻『ああ、またな』プツッ


530: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:56:16.81 ID:JSdIgYqK0

サア……サア……


バットマン(雨か……)


バットマン「……」スッ

ブルース「……」


ブルース(……)


(どうか、お逃げ下さい。ブルース様)

(死ぬ時は一緒に、です)


ブルース「……」


ザアザア……ザアザア



531: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 20:57:42.61 ID:JSdIgYqK0

ドクター『ブルースくん、その島周辺の解析が終わった。どうも強い神性が島の中心から発されていて、ジャミングじみて通信が妨害されていたが……
サーヴァント反応が二騎、少し離れた海岸に確認できたよ』

ブルース「そうか。島を出る算段を立てつつ、サーヴァントに接触を試みる」

ドクター『……大丈夫かい? キミを守ってくれるサーヴァントはそこには……』

ブルース「大丈夫だ。幸いこちらは雨、夜も近い。隠密には丁度良い」スッ


バットマン「グランドオーダーを続行する。引き続きサポートを頼む、ドクター」



532: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 20:59:50.38 ID:JSdIgYqK0

………………

ザアザア……ザアザア……


???「……キャットは雨が嫌いなのだ……」

???2「アタシだって嫌いよ、もー! もうちょっとそっち詰めらんないの!?」

???「無理だ。というか、このキャットアンブレラはキャットのもの。まずは図々しくも傘下の割合を占めるその体積をどうにかするのだな」

???2「キィー、何よそれ! アイドルのアタシが太ってるっての!?」

???「……フッ、胸は太れていないがナ」

???2「ジョートーよこのクソ猫! ぶっ潰してやるわ……は、はっくち!」

???「うわ、きちゃな」

???2「ズズ……ホントにお願いだから、ちょっと詰めてよ……」

???「……モー、しょーがないナ……一分五百円」

???2「ちょっと何よソレ!」


バットマン「……」


バットマン(聞き覚えがある声が一つ。聞いた事のない声が一つ)

533: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:01:11.34 ID:JSdIgYqK0

バットマン(……接触か、回避か。どうしたものか……一旦退いて考えるか)ジリッ

枝「」パキッ

バットマン(! しまっ……)


???「オノレ何奴ーーーー!!!」ブゥン‼

バットマン「っ」バッ

包丁「」ガァン‼


エリザベート「何よ!? ……あ」

バットマン「……」

???「む? 知り合いカ?」


534: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:02:48.11 ID:JSdIgYqK0

エリザベート「ちょっとちょっと、何よ小鹿。もしかしてアタシの追っかけになっちゃっ……」

バットマン「違う」

エリザベート「……そう」


???「……よく分からないガ、シリアスとそうでない空気は見分けもとい嗅ぎ分けがつくアタシ。今回のそれは後者と見た」

バットマン「敵意はない。邪魔をするつもりもない。ただ、島を出る手段が欲しい」

???「その前に自己紹介だナ。微妙にキャラ被りしている感じがするが、アタシはタマモキャット。よろしくだワン」

バットマン「ブルース・ウェインだ。で、手段だが」

キャット「焦るなネコミミ、冷静な行動こそが勝利のカギだ」

バットマン「……」

キャット「ここはそう、水泳を極めたキャットに任せるが良い。水が苦手だが」

バットマン「…………」


535: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:04:14.04 ID:JSdIgYqK0

バットマン「……実質、脱出手段は無いと」

エリザベート「そんなものがあったらアタシが逃げ出してない訳ないじゃない。誰が好き好んでこんな猫と一緒に居るもんですか」

キャット「む、それはこちらの台詞なのだナ。というか、そろそろキャットアンブレラから出るのダ」グイグイ

エリザベート「ちょ、やめなさいよぉ」グイグイ

バットマン(……進退極まったか。いや、この辺りの木を伐採してイカダを……)


「ネロォォォォォォォオオオ!!!」ゴォッ


バットマン「……!」


536: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:05:58.63 ID:JSdIgYqK0

エリザベート「もー、今度は何よ!?」

バットマン「伏せろ」バサッ

キャット「むー、アレは……」

バットマン(……以前見たことがある。アレは確か……カリギュラ。兵を率いてここに来たようだ)



カリギュラ「探せ……黒き、衣装の……男を。そして、捕縛……せよ」

敵兵達「「「はっ!!!」」」



バットマン(……成る程、私を探しに来たのか)

バットマン(……船で来たらしい。上出来だ)


エリザベート「うわー、あんな大量の兵を引き連れちゃってる……アタシパス、帰るわね」ゴソゴソ

キャット「何処へ帰るのダ、男らしく腹をくくれ」ガシッ

エリザベート「うわーん! アタシ女だし、だいたい戦う理由が無いわよぉー!」

キャット「助太刀するぞ、黒猫よ。弱きを助け強きを挫くは一匹オオカミ……いや、一匹猫の使命。猫同盟と行こうではないカ」

バットマン「……恩に着る。しかしアレだけの物量相手となると、ジャングルへ引き込みながらのゲリラ戦になるが」

キャット「それこそキャットの本領発揮。飼いならされた野生を解放し、兵士全員をズタズタのミネストローネに変えてやるのだワン」

バットマン「……分かった。だが殺しは無しだ。
兵士を少しずつ倒して島の中心へ退きつつ、罠も仕掛ける。そして船を奪い、大陸へ移る。準備をしろ、行くぞ」

エリザベート「ちょ、ホントにアタシもやんの!?」


537: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:08:06.51 ID:JSdIgYqK0

プシュ-……ギコギコギコ


カチャカチャ、ガチャリ


敵兵A「……? 森の中からか?」ガサガサ

プツッ

ヒュオンッ!!


敵兵A「グワァッ!?」ドガァッ



敵兵B「なんだ、どうした!?」

ガサガサ

敵兵B「……! 敵を発見! 森の中へ退却して行くぞ、追え!!」


敵兵達「「「オオーーー!!!」」」ドドドドドッ


538: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 21:09:39.43 ID:JSdIgYqK0

敵兵B「何処だ……ん?」ガサガサ

敵兵B「何だこれは……何か見つけたぞ!」

敵兵C「なんだ」ガサガサ

敵兵D「これは……」

敵兵E「ニンジン?」


「獲ったりィーーーーー!!!」シュイン!!!


敵兵B「ぐわっ!?」ドサッ

敵兵C「ぎゃっ!?」ドシャッ

敵兵D「のごっ!?」ドッ

敵兵E「うげっ!?」ゴシャッ


キャット「……ふふ。キャットにかかればこの程度、晩飯前。しかしこのニンジンは返してもらうのだナ!」ガサガサ

539: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:11:22.61 ID:JSdIgYqK0

敵兵F「奴らめ、何処に……なんだこれは?」

敵兵G「土くれで作られた……舞台か?」


エリザベート「フッフーン! 今日はアタシのリサイタルによく来たわね豚共!」


敵兵H「見つけたぞ! あそこだ!」

敵兵I「行くぞ、ひっ捕らえろ!」


エリザベート「ちょちょ、アタシアイドルなのに全然友好的じゃないんですけど!?」

バットマン「急げ!」

エリザベート「わ、分かったわよぉ! 歌えば良いんでしょ! スゥーーーッ……」ググッ……

エリザベート「ボォエエエエエーーーーーーーーーーーーーー♪」ドドドドドドドドドドドドドガガガガガッ!!!!!!

敵兵達「「「うぎゃあああがああああああああああ!?!?」」」ゴォォォォォッ!!!


バットマン(……やり過ぎたかもしれないな……)

バットマン「よくやった。もっと奥へ退却するぞ」ガサガサ

エリザベート「なーんか複雑……」ガサガサ


540: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:12:44.99 ID:JSdIgYqK0

バットマン(……)ガサガサ……ピタッ


バットマン(前方に敵兵士……3人。いける)スッ


バットマン「……」ゴッ

敵兵J「うご……」ドサッ


バットマン「…………」シュドッ

敵兵K「ごあ!?」ドササッ


敵兵L「なんだ!? どうし……なっ、貴様!?」

バットマン「……」シュポッガシッ

敵兵L「うわぁぁぁぁぁ!?」ギュルギュルギュルッ


バットマン「フッ!」ド ゴ ォ !!

敵兵L「あっぐ……」プラ-ン……


エリザベート「アンタ、なんか怖いわね……」ガサガサ

バットマン「……行くぞ、合流地点へ急ぐ」ガサガサ


541: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:13:25.96 ID:JSdIgYqK0

キャット「おお、無事だったカ」ガサガサ

バットマン「ああ、そちらも」

エリザベート「良かった、無事……い、いや! 別に無事で居て欲しかったとかそんなの全然ないけど!!」


キャット「……嬉しくないツンデレであるナー。ま、キャットは野生の使徒。そう簡単には……!!」


「ネロォォォォォォォオオオ!!!」ドッゴォォォォオオオオオ!!!


エリザベート「あぶなッ!」ババッ

キャット「ぬお!?」ガバッ

バットマン「くっ……来たか。正念場だ」


542: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:14:07.97 ID:JSdIgYqK0

パラパラ……ザアザア……

カリギュラ「我が、愛しき、妹の、子。その、同盟者よ」ポタ……

カリギュラ「たとえ、光射さぬ森の中に、逃げ込もうとも。たとえ、我が兵を、幾百倒そうとも……」

カリギュラ「……我が名は、カリギュラ。ローマの礎を、築かんとする者。月の光を、見上げる者……」ググ……

カリギュラ「その美しさ! その永遠に!」グワァッ!

カリギュラ「すべてを!! 捧げよ!!」



543: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:15:09.26 ID:JSdIgYqK0

キャット「--なるほど、月に魅入られた男であるカ。狂ってしまったのだナ」

バットマン(……カリギュラ。ローマ皇帝。初めは優れた統治を行っていたが、狂気に飲まれ……その治世は長続きせず、暗殺された)

エリザベート「……なんか、親近感というか……」


敵兵達「「「…………」」」ゾロゾロ

バットマン「……撤退戦になるが、良いか」

キャット「構わんのだワン」

カリギュラ「逃が、さん!!」グォォッ!!


544: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:16:26.88 ID:JSdIgYqK0

キャット「むっ!!」ガギィィィ!!

カリギュラ「ネロォォォォォォ!!!」ドゴォォォ!!

キャット「ワンッ!?」ズシャァァァ!!


エリザベート「ちょっ、何なのよコイツ!?」

カリギュラ「愛しき! 皇帝よ!!」ゴァッ!!

エリザベート「アタシはアイドルだけど皇帝じゃないっつーの!」ガガァン!!


敵兵M「オラァ!」ブゥン!!

敵兵N「そらっ!」ヒュン!!

敵兵O「どりゃああ!!」シュオン!!

バットマン「くッ!!」ガギィィィィン!!


バットマン(敵の数……数十。森の奥でも陣形を維持しつつ攻め立ててくるか……
仕掛けたトラップを踏み壊し、進んで来るほどの人数。……駄目だ、押し切られる。このエリアからも撤退するしかない)


バットマン「退くぞ! この数ではまともにやり合えない……シッ!」ズドドドドッ!!

敵兵達「「「うがあ!?」」」ドシャアアアアッ!!


エリザベート「しつこいわね!!」ギャリィン!

カリギュラ「ウォォォォォ!!!」ゴゴァ!!


敵兵達「「「ウォォォォォ!!!」」」ドドドドドドッ

キャット「ぬおーー!! 舐めるな人類!!」ガァァァッ!!


バットマン(ここから考えられる最悪のシナリオは……分断、各個撃破の流れだ。それは避ける……)スチャ……


バットマン「フッ!」ドシュウゥゥゥゥゥ……



545: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:17:30.55 ID:JSdIgYqK0


敵兵Q「なっ……煙幕!?」


キャット「これは……」

エリザベート「けほっ、こほっ! なにこの煙、纏わりついてくる!?」


バットマン「行くぞ! 全員C地点へ向けて走れ!」ダダッ

キャット「む、心得た!」

エリザベート「アイドルなのに、何でこんなことぉ!!」

バットマン(スモークペレット、残数……少し心もとないか。だがこの場を切り抜けるにはじゅうぶ……)


「逃が、さん」ブゥン!!



546: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:18:45.63 ID:JSdIgYqK0

バットマン「!!」ガガッ、ゴロゴロッ

バットマン(馬鹿な……天候は雨、既に夜、しかも森で視界は最悪な中、さらに煙幕まで炊いたというのに……ここまで正確に追撃を!?)

ザアザア……ゴロゴロ……ピシャアッ!

カリギュラ「闇夜の、戦士よ。月の祝福を、受けぬ、者よ」

カリギュラ「貴様の、覚悟を、聞かせよ。ローマを打倒する、その覚悟を聞かせよォ!」

バットマン「ローマを……打倒だと!? 逆だ、私達はローマを守る為に……」

カリギュラ「否で、ある! 覚悟を、定めよ! 守るべきものを、自らの手で滅ぼす、その覚悟を!」グワッ!!

バットマン「ぐっ……」ガガァン!!



キャット「黒猫! 注意するのダ、森の奥から何か……!」


ガサガサガサガサッ!!

???「「「フシュルアアアアアアッ!!」」」

バットマン「なっ……」

バットマン(人間の上半身、蛇の下半身……ラミア!?)


547: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:19:16.41 ID:JSdIgYqK0

バットマン(大量の、ラミアの群れ? 今でさえ撤退しつつの戦いだというのに……!)

バットマン「タマモキャット! エリザベート! プランFだ!」ゴガガッ!!


ラミアA「ギャアッ!?」ドッシャアアアアア!!

エリザベート「プランF!? ってなんだったっけ!?」

キャット「敵に構わず逃走だワン!」ダッ


カリギュラ「逃が、すな……!」グッシャア‼

ラミアB「ギャアアアア!!?」ドサッ



548: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:20:28.25 ID:JSdIgYqK0

ラミア達「「「フシュルアアアアアアアッ!!」」」

敵兵達「「「うおおぉぉぉぉぉぉぉぉっ!!!」」」

ガァン‼ギャァン‼ギィン‼



バットマン(……ラミア達は見境なく襲っている? これならまだ、勝機はあるか?)

ラミアC「フシャアッ!」ブンッ! 

バットマン「フッ!!」ガシィ‼


バットマン(……当然、そう甘くはないな。無差別な襲撃は混沌を産むだけだ、むしろこちらのコンビネーションが崩れる可能性もあり得る……やはり撤退するしか)


キャット「黒猫! 気を付けるのダ、そっちは……!」

バットマン「何? ……!?」ガラガラッ

バットマン(しまった、こんなところに大穴が……!!)ヒュウウウウゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……



エリザベート「ちょ、洞窟の中に落ちたァーーーーーー!?」

キャット「む……仕方ない、あのカラーリングなら洞窟の暗闇はむしろ好都合のハズ。放っておいて我々は逃げるべしだワン!」ダッ


カリギュラ「ウォォォォオオオオ!! 待てェェェェェェェェェ!!!」


549: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:21:25.63 ID:JSdIgYqK0


バットマン(落ちる……深い)バッ、バサササササササ……

バットマン(暗い……地面が、見えない……)バサササササササ……

バットマン(!!)ドシャアッ


バットマン「っぐ……」ゴロゴロ……

バットマン(……深さ、数十メートル……遥か上方に落ちて来た穴が見える……)

ピチャッ……ピチャッ……

バットマン(水の気配。天井から垂れて来る水が跳ねて……地底湖か?)

バシャッ


バットマン(……何か居る)

バットマン「誰だ」



550: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:22:51.99 ID:JSdIgYqK0

???「あら、落ちて来て早々に生意気な口がきけるのね。でも、まずはそちらが名乗るべきではなくて?」

バットマン(少女の……声? だが、暗さで見えない……)

バットマン「……ブルース・ウェイン」

???「へえ、面白い名前ね。良いわ、その愉快な名前に免じて土足でこの領域を踏み荒らした事は許してあげる。
……でも、頭が高いようね? 跪いたらどう?」フアァァァ……

バットマン(……? なんだ、これは……)ググググ……


バットマン(まるで、本能が、跪けと言っているかのような……)


???「あら? ……妙ね、貴方」



551: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:24:53.71 ID:JSdIgYqK0

バットマン「……」ググググ……

???「……あらそう、つまらない人。良いわ、立ってなさい」

バットマン「……」ガクッ

バットマン(一体何だ? 消耗が激しい……息が乱れる)

???「……理性だけで生活してきて本能が衰弱してるのね、怪物みたい。素直でない殿方は嫌われるのに」

バットマン(……たった一言で、精神に働きかけてきたのは確か……つまり、見えないこの相手も、サーヴァントか)

ドクター『ザザ……ルースくん、今そこは何処だい!? キミの目の前にとんでもない反応があるんだけど!?』

バットマン「……ドクター、今恐らく『それ』と対話している。解析を頼めるか」

ドクター『解析なんてするまでもない、これは神の力だよ! キミの目の前には神霊が居る! どの伝説に属しているかは知らないけど……ぼ、防護策を……!』


552: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:25:55.74 ID:JSdIgYqK0

バットマン「神……?」

バットマン(……不味い。相手の正体を掴まなければ、無策のままここに居れば相手の掌の上だ……)

???「あら、私の事を話しているのかしら? ふふ……美しいモノを見たら、誰だって驚くものね。構わないわよ」

バットマン「……」

バットマン(……)


553: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:30:19.25 ID:JSdIgYqK0

???「クスクス……ふふふ……でも、気を付けてくださる? 聞こえない会話というのは、苛立つものなの」

???「特に、目の前でされるとね……思わず、微笑んであげたくなってしまうほどに」

???「女神を苛立たせたら……その気が無くても、殺してしまうかもしれないのよ?」


554: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 21:32:22.79 ID:JSdIgYqK0

ザワザワ……ザワザワッ


バットマン(……逆鱗に触れたか? 周囲に蠢く気配。三つ。不味いか)


???「クスクス……私は死んでほしくないけれど、この暗闇でどうするつもりでしょうね?」

バットマン「……」スッ


バットマン(……五感を、研ぎ澄ます)


ザワザワ……ピチャン……ジャバッ



555: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 21:33:04.76 ID:JSdIgYqK0

バットマン「……」

バシャリ……バシャバシャバシャッ‼

バットマン「フッ!」ガシッ、ドゴォ‼

ゴギャアアアアアアアアア‼

ドシャッ


バットマン(残り気配……二つ。足元に水。下手に動かず、相手を待つ)ジリッ

フシュルルルル……シャァァァァ……

バシャッ‼

バットマン「!!」

バットマン(顔面に冷たい感触……!)

シュドッ‼

バットマン「うぐ……!?」バッシャアン……


556: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:34:27.28 ID:JSdIgYqK0

バットマン(……水だ。水を顔にかけられ、動揺した所に鳩尾へ一撃……)

バットマン(だが、位置は特定)チャプ……


バットマン「……」チャキ、ヒュンッ

ドシュッ‼

ゴギャアアアアアアアアア!?

バットマン「シッ!」ヒュドッ‼

ドッシャアアアア……


ヒュンッ!


バットマン「ッ!!」バシッ‼


バットマン(次の奴は間髪を入れずに来たか……手練れだ)

ヒュンッヒュンッヒュンッ‼

バットマン(だが)バシッ、ザザッ……スッ

バットマン(甘い)ザシッ……


ヒュンッ‼


バットマン「フン!」ギュドォッ‼


ドバッシャァァァァァァン‼



557: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:38:01.15 ID:JSdIgYqK0

???「……へえ、やるのね」

バットマン「……」

バットマン(さて、どうする)


???「暗闇では目が見えない、と思っていたけど……そうね、訂正しておきましょう。貴方は見えるのね、闇の中が」

バットマン「……」

???「ふふ、勇者にはそれなりの敬意を払うわ、私は女神ですもの」パチンッ

ボ、ボ、ボボボ……


バットマン(洞窟が、明るく……三体のラミアが倒れている。つまり、暗闇で襲い掛かって来たのは奴等か)

???「私の名はステンノ。……ほら、跪きなさい? 見下ろされるのは嫌いなの」


558: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:38:56.71 ID:JSdIgYqK0

バットマン(そして、ラミアを操っていたという事は……このステンノも、上の兵達を少なからず疎ましく思っているハズ)


バットマン「……ここから出たい。可能か?」

ステンノ「あら、出る必要があるの? むしろ美しい私と二人きりになれる栄光に浸れるのよ、動きたくないんじゃなくて?」

バットマン「……上に兵達が来ている。彼らの蹂躙は恐らくこの地下洞窟にまで及ぶぞ」

ステンノ「脅しかしら? 私は構わないわよ、無粋な連中は指先ひとつで従わせられるもの」

バットマン「……いや。このまま何もせずに居れば、人理が焼かれる。人が滅ぶぞ」

ステンノ「ふふ……それがどうかして? 私に関係、あるかしら?」

バットマン「その美しさを理解できる者が少なくなる。お前もそれは本望ではないだろう」

ステンノ「……何が言いたいの?」

バットマン「手を貸して欲しい。後悔はさせない」

ステンノ「……」


559: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:39:47.04 ID:JSdIgYqK0

………………

ザアザア……ザアザア……


キャット「うむむ、こっちカ……?」ガサガサガサ

エリザベート「もーサイアク……きゃっ!?」ドッターン‼


敵兵「!! 今あっちから音が!」


キャット「ええい、走るのだ!!」

エリザベート「ぐすっ……もう無理よぉ……」

キャット「……諦めるという選択肢は野生には無いのだ! さあ立つが良い!」グイッ

エリザベート「うぅ……」


カリギュラ「ウォォォォオオオオ!!!」


キャット「む……」



560: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/11(木) 21:40:30.50 ID:JSdIgYqK0

ザアザア……ザアザア……

キャット「……先に行け、ドラゴン娘。ここはアタシが引き受ける」

エリザベート「えっ……あ、アンタ何言ってんの……」

キャット「行け。共倒れは御免だワン」

エリザベート「だって、あんなに沢山……いるのに。あ、あのイカれた男だって居るのよ?」

キャット「……心配するな、猫は気まぐれなのだ。今日はたまたまそういう気分だったから、ここに残るに過ぎないのだワン。
……ああ、だが。お前と過ごした時間は、鬱陶しかったが……悪くなかったと言っておくぞ」

エリザベート「……」

キャット「さあ行け。デレタイムはもはや終了、ここからは血みどろの酒池肉林大騒ぎ。イヌまっしぐらの大激闘である。お前だけなら逃げられるだろう」

エリザベート「……」


561: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:41:28.03 ID:JSdIgYqK0

エリザベート「……んなのよ……」

キャット「む?」

エリザベート「……なんなのよっ、そんなのでアタシが逃げる訳ないでしょ! 一緒に戦えば勝てるわよ!!」

キャット「……ふむ、ではやる気は起きたか?」

エリザベート「あったりまえでしょ! あんなに言われてへこたれてるような尻尾してないわよ!」ピョンッ‼

キャット「ではやるぞ。アタシも逃げにはうんざりなのだ、ここで一発反撃の狼煙をぶち上げようではないカ」

エリザベート「……ええ、やってやるわ!」


ドッサァァァァァァァァァン……

カリギュラ「……見つ、けたぞ」パラパラ……

ザアザア……ザアザア……



562: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:42:14.08 ID:JSdIgYqK0


キャット「月に魅入られた男よ。そろそろしつこいナ、決着といこう」

カリギュラ「……!!」ブォン‼

キャット「フン!」ガガァン‼


エリザベート「こんにゃろー!! 吹っ飛びなさい!」ブンブンブンッ!

敵兵S「ぐわああっ!?」ドッシャア‼

敵兵T「おらあっ!」ブゥン‼

エリザベート「このっ!」ガァン‼



563: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:42:53.77 ID:JSdIgYqK0

キャット「やはり貴様を抑えれば勝機はあると見た!」

カリギュラ「不可能、だ!」ドッゴォォォ!

キャット「ちぃっ!」ガガッ


エリザベート「ボォォォォエエエエエエエエ~~~~~♪」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴッ‼

敵兵達「「「ぐわああああああああ!?」」」ドシャシャシャシャシャシャッ


キャット(ドラゴン娘の調子はかつてないほどに良い……だが森の向こう、続々と兵達は来ている。ここで一気にこの男を片付けねば駄目なようだナ!)

キャット「やはりここで決める!」

カリギュラ「……ネロ……ネロォォォォォォ!!!」ドドッ、ドッガァァァァァァ‼

キャット「なっ……」ズサァァァァァ

キャット(この上に、更に膂力が上昇するとは……いや!!! 違う、これは)



564: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:45:06.82 ID:JSdIgYqK0


 タマモキャットは気付く。上空、雲の切れ目より、月が顔をのぞかせている事に。

(まさか、月の光が……)

 呪いじみて、彼女の力を奪っている。その事実に気付いた時、カリギュラは既にタマモキャットの懐に飛び込んでいた。

「しまっ」

 防御姿勢を取ろうとし、よろめいた彼女の鳩尾に蹴りがめり込んだ。一瞬遅れて衝撃が胴体を貫き、吹き飛ばす。

「キャットっ!!!」


 エリザベートは我を忘れて叫び、カリギュラへ……狂った男目掛けて駆け出す。だが、雨粒を滴らせ、彼は笑った。

 エリザベート渾身の槍の振り下ろしは、いともたやすく腕甲で止められる。反撃の裏拳が脇腹に叩き付けられ、彼女は横ざまに吹き飛んだ。

「ネロォォォォォォ!!」


 叫ぶ。それは彼にとって、自分が人間であった最後の記憶。美しい皇帝。華のような。だが月の美しさには敵わない。あの輝きには。彼は歯を食い縛る。

 とどめを。カリギュラは目付きを鋭くし、倒れたタマモキャットへ歩いて行く。


 その時、輝きが降り注いだ。月の輝き……ではない。それはもっと神々しい、何かだった。


 カリギュラは飛び退いた。森の奥、小さな少女がクスクスと笑っていた。

「このステンノの誘いを断るなんて……無粋な人」


 カリギュラは本能的にそれを恐れた。

 月より美しいものなど無い。あってはならない。彼の存在理由が汚されてはならない。狂気が汚されてはならない。

 彼は月を見上げた。すがるように。だがその視線は、無情にも遮られる。


 月の光を背に受け、巨大な蝙蝠のシルエットが飛来した。


「やめろ」


 カリギュラは呻く。黒い騎士が降り立つ。雨が月光を湿らせる。


 力無く振られた腕を止め、バットマンは蹴りを繰り出した。まともに受け、カリギュラはよろめく。そこへ光球が着弾、爆発。ステンノ。


「っぐぅ……」


 カリギュラは転がり、起き上がろうと……力が籠らない。狂気が、消えてゆく。彼の存在理由が。月より美しいモノを、見つけてしまったのだ。


「……ネロ……」

 小さな呟きが、雨音に呑まれる。月光はもはや曇天に包まれ、わずかの輝きを灯す雨粒が降るのみである。

「……必ずローマを救う。約束する」

 雨に打たれ、ブルースは、死に行く彼を見下ろしていた。

 カリギュラは消えながら、笑みを浮かべた。その輝きの最後の一片が消えた時、彼の永遠もまた途絶えた。



565: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:47:03.92 ID:JSdIgYqK0

ザアザア……ザアザア……


バットマン「……」

エリザベート「はあ、はあ……ようやく終わった、かしら……」

キャット「うーん……ここは? む、黒猫! 無事だったのカ!?」ガバッ

バットマン「ああ、無事だ。……ドクター、海岸の船の位置を探してくれ」ピッピッ


ステンノ「行くの?」

バットマン「……ああ。船を奪い、あちらに戻る。力を合わせれば可能なハズだ」

ステンノ「残念だけど、私はここまでよ。これ以上はついていけない」

バットマン「……そうか。世話になった。必ず世界は救う」

ステンノ「くすっ……期待してるわ、勇者さん。それじゃあね」

バットマン「ああ、さらばだ」



566: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/11(木) 21:48:19.58 ID:JSdIgYqK0


バットマン(…………雨は未だにやまず、だが皇帝の一人は仕留めた)

バットマン(どこまでが奴の計算通りかは知らないが、マシュを助け出し、必ずこの世界を救う……)

バットマン(その為にはまず、荊軻達と合流。可能ならばブーディカを救出し、ガリア砦を奪取する……)

バットマン(……絶対に、やり遂げる)


バットマン「……覚悟しろ」


バットマン(ローマを、救う)



573: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:56:50.25 ID:p3VFfcpc0

 世界に取り残されるのは、初めてではなかった。


 何かを守ろうと伸ばした手は、アタシじゃ決して届かない。


 戦争だから、仕方ない事なんだ。手を伸ばせば、届かぬ痛みも必ず返る。覚悟していたハズだ。アタシは自分に何度も言い聞かせた。そうして、自分の世界が蹂躙されたのを許容した。


 たとえ、娘達の悲鳴が聞こえたような気がしても。それはとっくの昔に終わった事だった。


 終わった事、だった。


574: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:57:20.02 ID:p3VFfcpc0

…………



ブーディカ「……うーん……」ガチャガチャ


ブーディカ(硬い鎖……これは解けないかな。全く、捕まるなんてね……さしずめここはガリアの砦ってとこかな?)


???『ハローハロー、聞こえるか?』

ブーディカ「! 誰だ!」

???『キミは確か……ブーディカ、だったかな? 声だけで失礼するよ』

ブーディカ「……」

???『おっとすまない、まずは自己紹介だったな。私はリドラー、ここでの役割は優秀な頭脳の戦士と言ったところかな?』

ブーディカ「……あっそ。で、その頭脳の戦士が何の用?」




575: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:57:47.64 ID:p3VFfcpc0

リドラー『まあそうカリカリしてないで、遊ぼうじゃないか。なぞなぞだ』

ブーディカ「……なに?」

リドラー『なぞなぞだよ、キミにとってはとても簡単なハズだ』

ブーディカ「……何かは知らないけど、お遊びなら付き合ってらんない……」

リドラー『では一問目! プラスタグス王の死に便乗してブリタニアを蹂躙したのは何処の国だ?』

ブーディカ「……!」


576: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:58:14.18 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「何が言いたいのか知らないけど……!」

リドラー『おやぁ、本当かな? 答えは……古代ローマ! 少し簡単すぎたかもしれないが、許してくれ。では次の問題!』

ブーディカ「ふざけんな! 何が言いたいんだ!」

リドラー『その古代ローマを率いていたのはだーれだ?』

ブーディカ「この……」ギリィ


リドラー『……そう、ネロ皇帝だ』




577: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:58:47.65 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ(……まだ、悲鳴が聞こえる。涙が見える。ローマに蹂躙しつくされる郷土が見える。
違う、幻だ。それはとっくに終わった、過去の幻だ。飲まれては駄目だ。飲まれては……)


リドラー『不思議でならなかったよ、キミがネロの側についたと知った時は……だが合点がいった。どうやらキミも、自分を誤魔化して生きるのが好きなようだ。
何故自分を誤魔化す? 人理を守る為か? 自分の故郷すら守れなかった者が?』

ブーディカ「……うるさい……」

リドラー『キミは誇り高き女王だった。そしてその誇りが、更に故郷を追い詰めた……にも関わらず、何故こんな状況に甘んじている? 仇も討たずに』

ブーディカ「黙れ! やめろ!」

リドラー『キミは気付いているな? その自制心も長くはもたない。キミは永遠に自責の念から逃れられない……ネロを討つ、その時までは』

ブーディカ「そんな事は……」


ブーディカ(……無い、なんて、言えない。言えるわけがない。だって……)



ブーディカ(まだ、終わってないんだもの。アタシの中じゃ、あの戦争はまだ続いてる)



リドラー『……キミに良い事を教えよう。未来から来たあの男はまだ生きている』




578: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 00:59:42.75 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ(未来から来た男……マシュのマスター。ああ、生きていたのか……)


リドラー『奴は必ずキミを助けに来るだろう。チャンスをあげよう、ブリタニアの女王よ』

ブーディカ「チャンス……?」

リドラー『なに、簡単な事だ。奴を殺せ。そうすればキミをこちらに迎え入れよう。ネロの処分もぐっと楽になる』

ブーディカ「そんな事……!」

リドラー『できない? 触れる事もできない未来がそんなに大事か? ……ならもう一つ、教えてやろう。人理焼却が完遂した後も、この世界は残る』

ブーディカ「え……?」


579: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:00:26.18 ID:p3VFfcpc0

リドラー『残るのだよ。時が満ちれば、この世界は聖杯の力によって正式な時流の中に食い込み、歴史を阻む異物として永遠に残る。
……さあ、考えてみろ。ブリタニアを救うチャンスだ。キミがただの妻に戻り、娘と夫に出会う事も出来るだろう。全て順調な世界を作れるのに、何故今の世界を救う必要がある? この永遠の中に身を浸そうじゃないか』



ブーディカ「…………あ……」

リドラー『……返答は要らない。時間はやる。バットマンが助けに来るその時まで、じっくりと考えるがいい』プツッ


580: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:01:19.97 ID:p3VFfcpc0


ブーディカ「……」


ブーディカ(……アタシは、王国に永久の繁栄を祈っていただけだった)

ブーディカ(ローマが来て、蹂躙されて。それでも、故郷の永遠は取り返せると思っていた)

ブーディカ(そんな自分の身の程知らずな願いが、故郷を追い詰めて……)

ブーディカ(でも、今、贖罪のチャンスが目の前にある。今度こそ、ブリタニアを救えるかもしれない。
……それどころか、あの頃の幸せが、取り戻せるかもしれない。夫娘二人と暮らしてた、あの頃の……)

ブーディカ(……)



581: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:03:41.68 ID:p3VFfcpc0

ザアザア……ザアザア……

ジャバッ、ジャバ……バシャッ……

エリザベート「もー無理、もー限界。腕動かない」ダラー

キャット「だらしない奴だワン。黒猫を見習え、ずっと漕ぎっぱなしでも文句ひとつ言わないではないカ」

バットマン「……陸までもう少しだ、気張れ」ジャバッジャバッ

エリザベート「だってぇ……大体、キャットの役目だっておかしいでしょー!? 何よ、船尾に座って微動だにしてないじゃないの!」

キャット「風を読むのだって立派な役目だワン。……む、そろそろ帆を張るぞ。手を休めろ、黒猫よ」ゴソゴソ

バットマン「分かった……」

エリザベート「休めるー!!」

キャット「休みっぱなしだったクセに……」



582: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:04:10.94 ID:p3VFfcpc0

帆「」ブワァッ‼

キャット「おおおおお、良い勢いで進むナ……」ユラユラ

エリザベート「はー、チョー快適……」

バットマン「……すぐに陸に着くが、お前達二人はどうする?」

キャット「……んー、気分次第で」

エリザベート「アタシは街でちょっと休むぅー……」

バットマン「分かった。なら、今までの礼を言っておく……手を貸してもらった事、感謝する」

キャット「構わんワン……ん? 構ワン? え?」

エリザベート「お礼はファンクラブの拡張で良いわよ! ええ!」

バットマン「……前向きに検討する」


バットマン(……あのリドラーの事だ。今まで通りにいくとは思えない……何か仕込んでいるハズだ。用心しなければ)


583: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:04:46.45 ID:p3VFfcpc0

ザザーン……ザアザア……

エリザベート「とぉ~ちゃくっ!!」

バットマン「……よし。私はマッシリアへ」

キャット「アタシもついて行くぞ。街に行かねば猫缶も無い」

エリザベート「あ、アタシもアタシも!」

バットマン「……街に行っても猫缶は保証できないが」



584: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:05:16.29 ID:p3VFfcpc0


………………

ザアザア……ザアザア……

呂布「■■■■……■■■■■■■―!!」

荊軻「……」ハァ……


荊軻(……マッシリアへの駐在、二日目。ガリアの戦線が崩れた事は未だに知らせていないが……勘のいい兵士は気付き始めている、か)

荊軻「……」

荊軻(こんな時、ブーディカが居れば。呂布も上手く扱いつつ、兵士も綺麗に纏め上げただろうに……)

コン、コン

荊軻「どうした?」

兵士A「失礼します! ブルース様がこちらにいらっしゃいました!」

荊軻「!! ブルースが!?」


585: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:05:45.09 ID:p3VFfcpc0

………………

バットマン「……荊軻」

荊軻「ブルース、ようやく会えたな。で……あの話は本当なのか? マシュが囚われ、皇帝とブーディカ、スパルタクスも行方不明と……」

バットマン「……残念だが、本当だ。戦力は半減したと言っても過言ではない」

荊軻「……それでは、我々の勝ち目が……」


586: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:06:25.01 ID:p3VFfcpc0

バットマン「いや、ある。ガリア砦へと少数精鋭で攻め込み、そこに囚われているであろうブーディカとスパルタクスを救出する」

荊軻「救出……と言っても、二人は生きているか死んでいるかも分からないのに」

バットマン「必ず生きている。アイツは……リドラーとはそういう男だ。
自分の知性を証明するために、敵の存在を利用したがる。殺せば、それが不可能になる。歴史に残っているような人物が相手なら、なおさらその性質は強く出るハズだ」

荊軻「……何と言うか」

バットマン「異常だ」

荊軻「……だな。それか、極めて正常か」

バットマン「…………」


587: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:06:57.21 ID:p3VFfcpc0

荊軻「それで、いつ行く?」

バットマン「……早い方が良い。明日か、行けるなら今からでも」

荊軻「随分と急ぐな……何故だ?」

バットマン「通信機の位置を探知されている。私が川から流された時、精確な追撃を寄越して来た。可能性としてはそれしか考えられない」

荊軻「成程な……では、稲妻のように速く攻めるとするか」

バットマン「それが望ましい」

荊軻「好みだ」

バットマン「頼りにしている」


588: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:07:28.78 ID:p3VFfcpc0

荊軻「しかし、問題もある……キミたちが遭遇したというサーヴァント、レオニダスの事だ」

バットマン「……」

バットマン(炎門の守護者、レオニダス。三日に渡り、三百の兵で三千のペルシア軍を堰き止めていた英雄)

バットマン「……そちらについても、対抗策はある」

荊軻「本当か?」

バットマン「……『本来は守りに使う宝具』。奴はそう言った」

荊軻「……?」

バットマン「そのままの意味だ」


589: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:08:03.22 ID:p3VFfcpc0

バットマン「ガリア奪還メンバーは私、呂布、荊軻、それと大隊を一つ。これで行く」

荊軻「随分……少ないな?」

バットマン「あれだけ派手に敗北した以上、もう戦力は過剰には注ぎ込めない。最低限の戦力で、最高の戦果を納めるしかない」

呂布「■■■■■■■……」

荊軻「……ふむ。兵士には伝えておこう」

バットマン「頼んだ。それと、通信機を兵に渡しておいてくれ。連絡は常に取り合いたい」

荊軻「了解した。では」

バットマン「ああ」

バットマン(……雨も止み始めた。太陽も昇り出した。決行のタイミングは今を置いて他にない……さあ、この挑発に食いつくか、リドラー)



590: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:08:29.71 ID:p3VFfcpc0


………………

ネロ「むむ……マッシリアを目掛けて戻って来たつもりが、ここは全く違う都市か……」

ネロ「……しかし、四の五の言ってはおれんな。ここに潜伏し、あわよくば連合ローマ帝国の事も探らねば!」

敵兵A「待て! この先はパレードの最中だ、身分証を!」

ネロ「……ってしまったァー!!」ダダッ

敵兵A「なっ……」



591: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:09:56.77 ID:p3VFfcpc0

ガヤガヤ……ワイワイ……

ネロ「……はあ、はあ。何とか逃げきれたか……」

ネロ「……布で顔を隠しておいた方が良さそうだな。ブルースと微妙にキャラが被るが、致し方なし!」クルクル、キュッ

ネロ「それにしても、なんと活気に満ち溢れた通り! 余の統治していたローマでもここまでは……これほどの大きな都市とは、いったいここは何処だ……?」


果物屋の店主「いらっしゃい、いらっしゃい! とれたての果実が美味いよ!!」

ネロ「む、丁度良い。店主、この都市はいったい何と言う街なのだ?」

果物屋の店主「なんだ、見ねえ顔だな! ここは連合ローマ帝国の首都だよ、こんなでけえ都市なんてそうそうねえだろ!」


ネロ「……え?」


果物屋の店主「今、そこで皇帝様がパレードもやってる! どうせなら見て行ったら……あれ? どこ行った?」



592: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:10:54.15 ID:p3VFfcpc0

ガヤガヤ……ガヤガヤ……

ネロ「……」

ネロ(なんという事だ。敵をまくために都市に逃げ込んだというのに、ここは敵の本陣だったというのか)

ネロ(……いや、そんな事より、この活気。余が統治していたローマの……何倍の活気だ? 
人の表情は生き生きと輝き、通りの犬は元気に吠え、子供達は喜んで聖職者の説教を聞き……熱量が、違い過ぎる。
余の、ローマでは、こんな……)

ネロ「……まるで……」

ネロ(まるで、余は皇帝として……間違っていたかのような)


593: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:11:25.69 ID:p3VFfcpc0

ドドォン‼ ジャァァァァン‼


ネロ「!?」

『これより、ローマ神祖様が凱旋なされる! 花弁の用意をせよ!』

子供「ろむるす様だ!!」
聖職者「おお、偉大なる神祖……」
店主「凱旋だー!! 捧げる料理を用意しろー!!」

ガヤガヤガヤ……ウォォォォォォォォォ‼‼


ネロ「神祖……ロムルス!?」


594: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:12:04.46 ID:p3VFfcpc0

花弁「」ブワァァァァァァァッ‼‼


ウォォォー‼ ロムルスサマ‼ ロムルスサマバンザイ‼


???「民よ!」

ネロ(あの声が……神祖? 人だかりで見えぬ……)

ネロ「すまぬ、どいてくれ……すまぬ」グイグイ……グイグイ


???「全ての民よ! 命ある者達よ! 聞くがよい!」

シーン……

ネロ(ようやく抜けた……)

ネロ「……あれが、」



595: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:12:46.06 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「我が名はロムルス! 私こそはローマ!」


ロムルス「民よ! 果てぬ欲望を持つ者よ! 満たされて尚、乾く者よ!」

ロムルス「手を伸ばすが良い! このローマでは、それが許される! たとえ世界が果てようとも、ローマの先に果てはない!」


ロムルス「民よ! 永遠の安寧を望む者よ! 潰えぬ国を望む者よ!」

ロムルス「地を、空を、隣人を見るが良い! それこそがローマ! お前達のひとりひとりが、絶対に失わぬ光!」


ロムルス「民よ! 苦難の時を迎える者よ! 歩みを止め、下を向いた者よ!」

ロムルス「前を向け! 歩き出せ! たとえどんな歩みであろうと、すべての道はローマに通ず! 胸を張れ! 此処こそ、ローマである!!!」


ウォォォォォォォォォ‼‼ ロムルスサマ‼ バンザーイ‼ ローマ、バンザーイ‼



596: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:13:23.79 ID:p3VFfcpc0

ネロ「……あ……」

ネロ(……何処かで、望んでいた。ローマ皇帝を名乗る偽物の軍団が、この件を操っているという筋書きを)

ネロ(だが、同時に分かっても居た。偽物が皇帝を名乗ったとして、民や兵までもが移っていくはずもない。だが……)

ネロ(だが、余は……)


『ロムルス様は暫く休まれる! 供物は兵達に預けるように!』


ネロ「……」

ネロ(……思い出せ、ネロ・クラウディウス。ローマを取り返すのだ。今、ここで神祖を尾行し、暗殺できれば。形勢逆転が可能になる……)



597: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:14:10.32 ID:p3VFfcpc0

………………

ロムルス「……良い凱旋であった」

???「そうかな? アレは派手すぎだと思わないでもないが……まあ良いさ、民衆は馬鹿だ。馬鹿をまとめるのはキミに任せる」

ロムルス「お前は変わらんな、リドラー。民衆こそ至高の宝だ。忘れてはならん」

リドラー「あーあー、聞き飽きた。僕には興味が無い。この世に頭脳以上の宝など存在しえない」

ロムルス「……ゆえに、今回の敵にこだわるか」

リドラー「……それはとても繊細かつ腹立たしい質問だ、回答は控えさせてもらうよ」

ロムルス「ふふ……世界は広いぞ」

リドラー「狭いさ」


598: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:14:37.27 ID:p3VFfcpc0


ウワッ!? ダレダ……ウグッ!?

ドサッ……ドシャッ


ロムルス「……」

リドラー「……来たか。お客様だ、一体どっちの客かな?」

ロムルス「先程私が凱旋していたのだ。私だろう」

リドラー「んー、簡単すぎるなぞなぞだったか」



敵兵A「ろ、ロムルス様! お逃げ下さい、敵襲……っぐ」ドシャッ

ネロ「……」スタスタ

ロムルス「……」

リドラー「おやおや、なんとまあ」

ネロ「……神祖」

ロムルス「ふむ……」


599: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:15:23.65 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「来たか、ローマ皇帝よ」

ネロ「……」

ロムルス「……」


ロムルス(……やはり、迷いがあるか。しかし、乗り越えてみせよ)

ネロ(……これは、絶好の、機会! ここで躊躇う事は許されぬ!)


ネロ「ここで首を獲る……! 今は余の時代だ!」チャキッ

リドラー「ふっふふ、言うね。流石暴君様」

ネロ「……何?」


600: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:16:10.23 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「リドラー!」

リドラー「何だ、聞かせてやれば良いじゃないか。辛い事は一度に済ませた方が良いだろう?」

ネロ「何の事だ!? 何故余が暴君などと呼ばれねばならぬ!?」

リドラー「おっとっと、怒らないでくれよ。ただ、キミが後世でそう呼ばれてるだけさ……最悪の弾圧、暴政。悪名高きローマ皇帝、ネロ・クラウディウスとね」

ネロ「弾圧……暴政?」


ネロ(馬鹿な……余は、そんな……)


リドラー「ふふふ……キミは今まででも我儘で人を苦しめた事があるはずだ。暴政なんてその延長線上、気にする事は無いだろう?」

ロムルス「リドラー、もうよせ!」

リドラー「ああ、ロムルスが言う『至高の宝』である『民衆』だったかな? そいつらが自分のせいで苦しんで死んでも、気に病む事はない。世界にとっては小さな誤差で、それがキミの正しい姿だ」

ネロ「……余の……」


ネロ(……では、余は……本当に、民衆から必要とされなくなる……?)

ロムルス「……リドラー」

リドラー「……おっと、そろそろ黙るかな。味方に殺されちゃあ不味い」



601: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:17:24.79 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「ネロ・クラウディウスよ。たとえ未来でその言葉が本当になったとしても、お前はローマの御子。今はなすべき事をなせ」

ネロ「……ひとつ、聞かせて欲しい」

ロムルス「……」

ネロ「神祖、ロムルス……貴方は、永遠のローマを作る気なのか」

ロムルス「……」


ロムルス「……ああ、そうだ」


602: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:17:52.74 ID:p3VFfcpc0

ロムルス「私とて、その魅力には抗えん。その熱には」

ロムルス「永遠に続くローマ帝国。事実、私はそれを夢見た」

ロムルス「神祖としてのロムルスではなく、一人の男として」

ロムルス「理性の対極にあるそれは、浪漫だ。私の胸で燃え盛る、世界への挑戦だ」

ロムルス「……私も、永遠のローマへ辿り着きたい。祖でありながら、私は未だにその頂点を欲している」



603: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:18:31.96 ID:p3VFfcpc0

ネロ「……」

ロムルス「……だが、世界が燃え尽きれば、ローマが消えるのもまた事実。さあ、ネロ・クラウディウスよ。私を斬るのだ。斬ってこの夢を終わらせてくれ」


敵兵B「……なんだ!? テント前の護衛が倒れているぞ、応援を呼べ! 敵襲、敵襲―!!」

ザワザワ……


ロムルス「急げ。あと30秒もあれば、我が兵達が突入してくるだろう。さあ、やるのだ」

ネロ「……」チャキ


ネロ(……余に、斬れるのか。神祖を)

ネロ(斬って、どうするというのだ。神祖が死に、望まれぬ皇帝としてまた玉座に座るのか)

ネロ(誰が幸せになれる? 誰が望む? このような、半端な皇帝など……)

ネロ(……やはり……)


ネロ「……やはり、余には斬れぬ……」ガチャンッ

ロムルス「……」


604: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:19:29.59 ID:p3VFfcpc0

敵兵達「「「ご無事ですか、ロムルス様!!」」」ゾロゾロ

ロムルス「……ああ、心配は要らぬ。侵入者があった……あちらの皇帝だ。処遇は追って伝える、今は牢に入れておけ」

ネロ「……」


リドラー「くくく……僕の事を悪く言うが、キミもなかなか良い性格をしてるじゃないか。斬れ、だって?」

ロムルス「……」

リドラー「できる訳がない。分かってただろ? 自分で止まるしかないんだ。それをキミは」

ロムルス「……」

リドラー「……こうなったらもう止まれない。まっしぐらに、永遠めがけて落ちて行く」

ロムルス「望む所だ。それならば、浪漫を追求してやろう」

リドラー「……結局、キミには負ける選択肢なしか。羨ましいね」

ロムルス「お前と同じ、負けず嫌いなのだ」

リドラー「ふっ……」



605: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:20:09.29 ID:p3VFfcpc0

………………

ガシャンガシャン、ガシャンガシャン

マシュ「……?」ムクリ

ガゴーン‼

敵兵B「入れ!」ドサッ

ネロ「うぐっ……」

ガシャン‼


マシュ「……ネロ皇帝!?」

ネロ「……ましゅ……ましゅうううううううううう!!!」ダキッ

マシュ「え、えええええ……」



606: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:20:45.52 ID:p3VFfcpc0

………………

ピピピ‼ ピピピ‼

バットマン「……もしもし、マシュか。どうした?」スタスタ

マシュ『あの……ネロさんも捕まってしまいました』

バットマン「何? ネロ……ネロ・クラウディウスがか?」ピタッ

マシュ『はい、その……すごく心を折られてて……泣き喚いています』

ウワァァァァァァァン‼ ヨハイラナイコニナッテシマッター‼

バットマン「……生きている事が確認できて良かった。こちらは今、ガリアへ向けて進行中だ。砦を奪還した後、可能な限り速くそちらへ向かう」

マシュ『は、はい。その、ネロさんはどうしたら?』

バットマン「……好きにさせてやれ」プツッ



607: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:21:27.29 ID:p3VFfcpc0

荊軻「どうかしたか?」

バットマン「ネロの生存が確認できた」

呂布「■■■■■■■―――――!!!!」

荊軻「朗報じゃないか。よし、希望が見えてきたな」

バットマン「……ああ」


バットマン(心を折られた……か。厄介な事をする)

バットマン(誰がやったかは、大方の想像がつく)

バットマン「やってくれたな……」

荊軻「どうした?」

バットマン「……いや。必ずガリア砦を取り戻そう」

荊軻「……ああ、勿論だ」


608: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:21:55.47 ID:p3VFfcpc0

ドクター『その辺り一帯の地雷は一時停止状態とはいえ、気を付けてくれ。派手な衝撃が加われば危険だ』

バットマン「ああ。……ドクター、敵性反応は未だに無いか?」

ドクター『……それもそろそろ、だね。戦闘の準備をしておいてくれ』

バットマン「了解した……」

通信機『』ピーッ‼ ピーッ‼

バットマン「……緊急だ。すまないドクター、少し切る……」ピッピッ

兵士A『もしもし! こちらマッシリア駐留部隊! 大変です、敵の首都より大部隊がこちらへ……!』

バットマン「……」


バットマン(やはり、来たか)



609: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:22:31.10 ID:p3VFfcpc0

荊軻「どうした? 緊急か?」

バットマン「連合首都から、敵の大部隊がマッシリアへ向けて進行中だ」

荊軻「……どうする? 戻るか?」

バットマン「いいや、計算通りだ。もしもし、そちらで出来得る限りの時間稼ぎを。ガリア砦を取り戻し次第、こちらもすぐに加勢する」

兵士A『了解! 武運を!』

バットマン「そちらも」プツッ


荊軻「成程、素早く攻め落とす必要がある訳だ」

バットマン「行くぞ……隠密状態解除! 砦奪取へ動け!」

兵士達「「「おおおおおおーーーー!!!!!」」」

呂布「■■■■■■■―――!!!!」



610: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:23:09.50 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「……来ましたな。あの数、あの気迫。速攻戦に違いなし」

レオニダス「ならば、我が三百の宝を見せるまで。たとえ十倍の数が相手であろうとも……」

レオニダス「スパルタとしての意地! 誇り! 今度こそ守り抜いてみせる!!!」


敵兵達「「「おおおおおおおおおおお!!!!」」」


611: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:23:40.21 ID:p3VFfcpc0


バットマン(相手も三百の兵を展開済み! 全速力でこちらへ突っ込んで来る!)

バットマン「良いか、教えた通りの戦法をとれ!」

兵士達「「「うおぉぉぉぉぉーーーー!!!」」」ドドドドドドド

呂布「■■■■■■■――!!!」

バットマン「別れるぞ! 武運を祈る!」

荊軻「キミも! 無事を祈るぞ、ブルース!!!」


612: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:24:13.66 ID:p3VFfcpc0

バットマン「フッ!」ドシュゥゥゥゥゥゥ……

レオニダス「……?」

レオニダス(煙幕? あんな小規模な……)


レオニダス「!!」ガガァン‼


レオニダス(これは……シュリケン?)


レオニダス「ああ、バットラングというヤツですな! 報告はあがってきており……」

荊軻「そらっ!」ヒュンッ

レオニダス「おおう!?」ガァン‼

荊軻「ちっ、一撃で上手く行かないのはもはやお約束か!」

レオニダス「成程、兵に構わず私を潰しに来たか! 賢明ですが、そう上手く行きますかな!?」ブゥン‼

荊軻「舐めるなッ!」ギィン‼



613: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:24:50.15 ID:p3VFfcpc0

兵士B「矢を撃て! 放て! 狙うのは大将だ!」

兵士達「「「おおおおおーーーー!!!」」」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ‼


敵兵「ぐっ……」ギギィン‼ ギャァン‼

レオニダス(厄介な……三百の兵の『防衛的性質』を見抜いた者が居たのか。私が狙われれば、この兵達は私を守る……反撃に転ずる事が出来ない!)

レオニダス「……なんの、この程度の逆境で泣きが入ってはスパルタの名も傷付くというもの! ここからですぞおおおおおおお!!!」

荊軻「くっ……」

荊軻(うまくやってくれ、ブルース……!)




614: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:25:24.01 ID:p3VFfcpc0

………………

バットマン「……」タタタタ……


バットマン(砦の内部に潜入したは良いが……見張りが居ない?)

バットマン(嫌な予感がする……)


バットマン「……」スタスタ……

バットマン(この下が地下牢か。ブーディカ達が居るのか、それとも……)



615: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:26:22.70 ID:p3VFfcpc0


バットマン(鍵は……これか。よし、あとは牢を見つけるだけだ)ジャラリ

バットマン(……それにしても、この砦は静かすぎる。……外敵が攻め入ってくる事を想定していないとでも?)

バットマン(いや……成程な。最初から、私達をおびき寄せるためだけの餌だったという事か)



「おーーーい!!! こっち!! 誰か居るんでしょーーー!!!」


バットマン「!!」

バットマン(あの声は……)



616: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:26:53.42 ID:p3VFfcpc0

バットマン「見つけたぞ、ブーディカ」


バットマン(……? 何故だ、違和感が……)


ブーディカ「えへへ、ごめんね。ドジ踏んじゃってさ、捕まっちゃった」

バットマン「……心配いらない。すぐに出してやる」ジャラ……ガチャガチャ

ブーディカ「……本当に、ごめんね……」

バットマン「敵の策を予測できなかった私の責任だ。……開いたぞ、外に出ろ」

ブーディカ「……いいや、謝ったのは、それに対してじゃなくてね」

バットマン「何に対してだ?」


バットマン(……何に対してだ? 何故さっき、私は違和感を抱いた? 何がおかしい?)



617: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:27:31.85 ID:p3VFfcpc0

バットマン(リドラー。心を折る。ブーディカ。ブリタニアの女王)

(((引っ掛け問題の味はどうだ、バットマン?)))

バットマン(引っ掛け問題。……ああ、そうだ、なんて単純な答えなんだ)

バットマン(牢の中に繋がれていたのに、何故武装が解除されていない?)



ブーディカ「ふッ!!!」ブゥンッ‼

バットマン「っぐ!?」ガギィィィィ‼



618: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:28:23.48 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「……やっぱり、一瞬じゃ無理か。キミ、手練れっぽいもんね」ギリッ

バットマン「くっ……」ヨロ


バットマン(何故? ……ああ、考えるまでもない。この裏切りは想定できていた)

バットマン(ブーディカ。ブリタニアの女王。ローマに……ネロ・クラウディウスに蹂躙された地を取り戻そうと戦った、誇りの女王)

バットマン(……なら、こうなる方が自然か)



619: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:29:00.91 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「ごめんね。死んでほしいんだ」

バットマン「……」


バットマン(大方、あちらにつけばブリタニアが取り戻せるとでも言われたのだろう)


ブーディカ「っ!」ヒュッ‼

バットマン「フッ!」ガギィン‼

ブーディカ「やあっ!」ヒュンヒュンヒュンヒュンッ‼

バットマン「……!!」ババッバッバッ‼

ブーディカ「逃がさないよ……! アタシはブリタニアを……!」グォンッ

バットマン「!! しまっ……!」


620: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:29:31.10 ID:p3VFfcpc0


………………

荊軻「そこ!」シュンッ‼

レオニダス「甘いッ!!」ガギィィィ‼


呂布「■■■■■■■―――!!!!」

兵士達「「「うおぉぉおぉぉぉぉぉぉ!!!」」」ヒュンヒュンヒュンヒュン

敵兵達「「「ぐおぉぉぉぉぉぉぉぉぉぉ!!!」」」ガガガガガガガ……


ドガァァァァァァァァン……

荊軻「何!?」

荊軻(砦の壁が……)


バットマン「ぐっ……」ゴロゴロッ

荊軻「ブルース!?」


ブーディカ「……」スタスタ


荊軻「ブーディ……」

荊軻(違うな。アレは私の知っていたブーディカではない)



621: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:30:15.47 ID:p3VFfcpc0


レオニダス「形成逆転のようですな!!」ギャリィィィ‼

荊軻「ちぃっ!?」ガガッ‼


荊軻(こいつを抑えておかなければ……だが、それではブルースが)


ブーディカ「……」ヒュンッ

バットマン「うぐっ……」ギィン‼

ブーディカ「フンッ!」ドゴォッ‼

バットマン「っぐあ!?」ドシャアアッ


呂布「■■■■■■■―――!!!!」ドスドスドスドス

バットマン「!? 駄目だ、来るな! 戦線を維持しなければ……!」

敵兵B「今だ! 攻撃が緩んだぞ、反撃ィ!!!」

敵兵達「「「ウオォォォォォォーーー!!!」」」ドドドドドドド‼


兵士達「「「おおおおおおおおおおおぉぉぉぉ!!!!」」」ドドドドドドドッ‼


呂布「■■■■■■■―――!!!!」ダッ



バットマン(駄目だ、総力戦では絶対に打ち負ける!)


ブーディカ「まだだ……!」ブゥン‼

バットマン「くっ……」ギャァン‼



622: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:30:50.35 ID:p3VFfcpc0

バットマン「ッ……お前はそれで良いのか、ブーディカ……!」

ブーディカ「……良い悪いなんて単純な動機じゃ、人間は片付けらんない時もあるんだ。アタシは絶対に負けられない! 今度は、絶対に!」ヒュンッ

バットマン「……お前は何を誤魔化している。何を恐れている。誰の為に戦っている!?」ガギィ‼

ブーディカ「アタシは! 何も! 誤魔化していない! アタシはブリタニアの為に戦ってんだ!」

バットマン「嘘を吐くな!」

ブーディカ「吐いてない!」

バットマン「目を見れば分かる!」

ブーディカ「うるさいっ!!!」ギャリィン‼



623: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:31:35.34 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「アンタに分かるのか! 愛してた人が、郷土が蹂躙されて、どうにかしようと立ち上がって!! そのせいで、もっとひどい事になったのに!!」

ブーディカ「アタシが黙ってあの世界を許容していれば、娘達は生きていられたのに! ブリタニアはそのままでいられたのに!!」


ブーディカ(まだ、まだ聞こえる。あの泣き声が。耳を塞いでも、謝っても、泣いても、何をしたって消えてくれないあの声が)


ブーディカ「ローマさえ居なければ! ネロさえ居なければ! アタシさえ居なければ!」

ブーディカ「だから……! だから、これはチャンスなんだ! アンタを殺して、ブリタニアを取り戻して、今度こそ……! 今度こそ、アタシは……!」ブォン‼



624: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:32:43.09 ID:p3VFfcpc0

バットマン「っっ……!」ガガッ、ドサッ


バットマン(しまっ……!)


ブーディカ「……!」グワッ


バットマン(ガードが、間に合わない……)



625: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:33:15.22 ID:p3VFfcpc0

(((わ、私、は……)))

(((戦いが、怖い。人が死ぬのを見るのが怖い……)))


ブーディカ「…………」グ……ピタッ

バットマン「……?」

ブーディカ「…………」



626: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:33:47.56 ID:p3VFfcpc0

(((大丈夫。アンタは十分強いし、頑張ってるんだ。盾の後ろが重くなったら、他の奴だって支えてやれるんだから……)))


ブーディカ「……ちくしょう……」ドシャリ

ブーディカ「ちくしょう、ちくしょう、ちくしょうちくしょうちくしょう!!
あああああ!!!!! あああああああああ!!!!」ドスッ、ドスッ……ドッ……

ブーディカ「ああ……あああああ……」ポロポロ


ブーディカ(できる、わけがない。マシュの声だって、聞こえてるのに)



627: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:34:40.55 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……」

ブーディカ「……」


レオニダス「……フハハハハハハハハ! 良いでしょう、孤軍奮闘には慣れています! むしろスパルタの本領発揮ィ!」ヒュガガ‼

荊軻「まっっったくこの筋肉だるまはしぶといな……! ブルース! 手伝ってくれ!」ギィン‼

バットマン「……今行く」ムクリ


628: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:35:20.98 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「ふっ!」ギャァン‼

荊軻「ブルース!」ギリッ

バットマン「フッ!」シュポッガシッ

レオニダス「ふふ、これがグラップネルガン! 無論、報告を受けております! 驚きもしませんな!」グイッ

バットマン「ぐっ……」グワンッ

レオニダス「そぉらっ!!」ブゥン‼



629: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:35:56.89 ID:p3VFfcpc0

バットマン(ここだ!)プシュー……


レオニダス「むぐ、何を掌から……!」

バットマン「離れろ荊軻」スタッ

荊軻「え?」

ポチッ

レオニダス「どわぁぁぁぁぁぁぁ!?」ドゴォォォォォォン



630: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:36:30.36 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……奥の手だ。掌から爆破ジェルが噴出できるのは、報告されていなかっただろう?」

レオニダス「ぐ……ぐむ……まだだ! 私の筋肉は未だに! 潰えていない!!」

バットマン「荊軻!」

荊軻「隙有りッ!」ドシュッ

レオニダス「……ぐっ……」ヨロ……



631: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:36:56.23 ID:p3VFfcpc0

レオニダス「……またしても、敗れるか……」ドシャッ


敵兵達「「「……」」」シュウゥゥゥ……


バットマン「……」

荊軻「……よし! ガリア砦、奪取成功だ!」

バットマン「ああ」


632: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:37:28.15 ID:p3VFfcpc0

ブーディカ「……」


バットマン(……このまま放置すれば、また敵になりかねない。ここで……)

バットマン「……」ス……

パシッ

荊軻「ブルース……頼む。彼女は彼女なりの結論を出すハズだ。今、ここで結論を急がせるのはやめてやってくれ」

バットマン「……それは……」


兵士A「た、頼む! 俺からも! ブーディカさんは悪いヤツじゃねえんだ!」

兵士B「そ、そうだ! 俺達だって何度も助けられた、ここではブーディカさんの方を助けるべきだ!」

兵士C「頼むブルースさん! 俺達、ブーディカさんに世話になったんだ!」


バットマン「……」

ブーディカ「……」



633: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:38:01.08 ID:p3VFfcpc0

バットマン「……分かった……」ス……

荊軻「……!」

バットマン「では急ぐぞ。マッシリアへ」

荊軻「ああ! 行くとしよう!」


634: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:38:31.28 ID:p3VFfcpc0

ブゥゥゥゥン……

リドラー『ハローハロー、見えるかな? ガリア砦の奪取おめでとう。だが見えている結論に飛びつくのは危険だなぁ』

バットマン「リドラー……またホログラムか」

リドラー『そう焦るな、この後生身で登場してやるさ。だが、その前に……軽率な行動を悔いる時間だ。
マッシリアに我々の大部隊が攻撃中……キミ達は占領された街に、一歩遅れて到着するだろう』

バットマン「……なら、リドラー。お前も、見えている結論に飛びつくのは危険だ」

リドラー『……何?』



635: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:39:02.34 ID:p3VFfcpc0

………………

リドラー「どういう意味だ、この僕が何かミスを犯したとでも?」

敵兵「失礼します、リドラー様!」

リドラー「おい、今良い所なんだ! 邪魔をするんじゃない!」

敵兵「し、しかし……マッシリアを攻めている部隊が、サーヴァント二体の妨害にあっていると」

リドラー「……何? サーヴァント、二体? 有り得ないぞ、だって今、人理を守る側のサーヴァントはバットマンの周囲に全て……」

敵兵「分かりません……ただドラゴンのような娘と、猫のような恰好をした女に邪魔されているとしか」

リドラー「なんだその漠然とした情報は……!?」


636: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:41:13.00 ID:p3VFfcpc0
………………

タマモキャット「あの黒猫!! これが分かっていてアタシ達をここに残らせたのカ!!」ゴシャアッ‼

エリザベート「せっかく羽を伸ばせると思ったのにぃ! なんでアタシ達が働かなきゃなんないのよ……ほらもっと、アンタ達もキリキリ働きなさいよ!」

兵士「は、はいっ!!」


敵兵W「ば、化け物共が……!」


637: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:42:12.37 ID:p3VFfcpc0
………………

リドラー「馬鹿な! そんな連中はデータには無い……
なんで急に、イレギュラーが!? 計算が狂うじゃないか!」

バットマン『……リドラー』

638: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:42:49.62 ID:p3VFfcpc0

バットマン『お前がいくら私の仲間の心を折ろうと、構わない。いくら地雷を仕掛けようと、いくらホログラムで挑発しようと、いくら仲間を誘惑しようと構わない』

バットマン『……だが、心しておけ。私は根に持つぞ』

バットマン『今からそちらへ向かう。何処へ逃げ込もうと、どんな対策を施そうと、私は必ずそこへ辿り着く』

バットマン『覚えておけ。私は、絶対に、諦めない』


639: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/20(土) 01:43:29.13 ID:p3VFfcpc0

リドラー「……は、ははははははははははは!! ではせいぜい楽しみにしておくとしよう、バットマン! 途中で死なない事だな!」プツッ

敵兵「あ、あれが……バットマン?」

リドラー「……フー……ふ、くくく……ああ。あれでこそバットマン。我が宿敵……最高のライバルだ」

敵兵「わ、我々は……」

リドラー「……マシュを連れてこい。そろそろ、舞台の準備を整えておかないとな」

敵兵「は、はい! 失礼します!」ダッ


リドラー「……はー……全く……」プルプル……

リドラー「……コウモリめ……!」ギリィ……




646: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:33:04.84 ID:biE0lZxz0

ネロ「……」

マシュ「……」


マシュ(あれから、何時間経ったのでしょうか……それとも、数分? 数日? 静かな地下牢だと、全く時間の経過が把握できません……)

ネロ「……マシュ。マシュよ」

マシュ「は、はい?」


647: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:33:33.76 ID:biE0lZxz0

ネロ「お前は……ローマがいつか滅び、余がいつか、暴君となる事を知っていたのか?」

マシュ「……それ、は……」

ネロ「……」

マシュ「……」

ネロ「……知って、いたのだな」

マシュ「……はい……ですが……」



648: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:34:00.27 ID:biE0lZxz0

ネロ「……良いのだ。慰めは要らぬ。余は不要とされるようになり、ローマはいつか崩れ去る。それは……理解、できる」

マシュ「……」

ネロ「……だが」

ネロ「……だが、たとえ、理解、できていても……」ジワ

ネロ「やはり、辛いものだな……」ポロポロ……



649: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:34:33.75 ID:biE0lZxz0


(((別に恥じる事じゃないよ。怖かったら怖いって言っていいんだ)))


マシュ「……」スッ

ネロ「……? ま、まs……」

マシュ「……」ヒシッ

ネロ「!!??」


ネロ(ななな何がどうなっておる!? マシュに頭を抱きかかえらrrrr)


マシュ「……大丈夫です、ネロさん」



650: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:35:00.68 ID:biE0lZxz0

ネロ「……」

マシュ「貴女は十分に強いし、頑張ってるんです。……それに、一人じゃない」

ネロ「……!!」グムッ

ネロ「う……」ジワッ

ネロ「う“わ”あ“あ”あ“あ”ん“……ま”し“ゅ”、ま“し”ゅ“ぅ”ぅ“ぅ”……」

マシュ「……」ナデナデ



651: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:35:35.33 ID:biE0lZxz0

………………

ネロ「……有難う、マシュ。もう大丈夫だ」パッ

マシュ「そう、ですか」

ネロ「うむ。余は……少し、弱気になっておったのだ。まるで、世界の全てが敵になったような気になっておった」

マシュ「そ、そこまで……」


652: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:36:03.82 ID:biE0lZxz0

ネロ「だが、もう迷わん! 余は民が好きなのだ! 民の踊り、歌声、歓声が好きなのだ!」

ネロ「余は、余の好きなローマを守ってみせる! たとえ、何が立ちはだかろうとも……」

ネロ「余は皇帝、なのだからな!」




653: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:36:29.61 ID:biE0lZxz0

………………

兵士達「「「うおおおおおおおお!!!」」」

敵兵達「「「やってしまええええええ!!!」」」


キャット「シャーッ! キリがないぞ!」シュババッ‼

エリザベート「もーやだ! アタシ帰る!」ギャリィン‼


???「ふむ、あの二人が防御の要。しかし落ちるのも時間の問題と言ったところか。まだ攻撃の手を緩めるな」

敵兵A「はっ!」

???「まったく、私は軍師としての働きの方が向いているというのに。前線に出すというのはそもそも運用を間違っている」


ヒュォォォォォォォォッ……

???「……」ギギィン‼

敵兵B「か、カエサル様!? ご無事ですか!?」

カエサル「騒ぐな、無事だ。……それより、このコウモリの手裏剣。真打ち共が帰って来たぞ、戦況の激化に備えろ」



654: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:36:55.82 ID:biE0lZxz0

バットマン「待たせたか」

キャット「黒猫! 全く、説明責任を果たすのダ!」

バットマン「すまない、敵の出方は分かっていたが残ってもらった。黙っていた事は謝る」

エリザベート「謝罪で済んだら警察は要らないわよぉ!」

バットマン「埋め合わせは必ずする。もう少し踏ん張ってくれ」ダッ

キャット「く、黒猫!? 何処へ……」


655: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:37:22.25 ID:biE0lZxz0


『戦闘やめ! 引き揚げろ!!』グォォォォォォォ……


敵兵A「!? あ、あれはカエサル様の声……?」

敵兵B「ど、どういう事です!? このまま続ければ、我々の勝ちは……」

ザワザワ……ザワザワ……

カエサル「……今のは私の声ではない! 戦線維持! 混乱するな!!」

カエサル(……どういう事だ、今のは私の声に似ていたが……)



荊軻「今のは?」

バットマン「ボイスシンセサイザー。人の声を真似る事が出来る機械だ」

荊軻「成程」

バットマン「混乱に乗じて突破するぞ」

呂布「■■■■■■■―――!!!!」


656: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:37:54.73 ID:biE0lZxz0

カエサル「そう簡単に通すと思うか!」ザザッ

バットマン「!!」ピタッ


バットマン(……ガイウス・ユリウス・カエサル。優れた軍師であり、三頭政治の一角であった男。終身独裁官に任命されたが、その後暗殺……実に23もの刺し傷をその身に負っていたという)


カエサル「ふふ、貴様らの動きは予測済みだ。この戦線に何らかの混乱を発生させ、その間にローマ連合首都に攻め入る腹積もりであったのだろう! 残念だが私には通用せんぞ!」

呂布「■■■■■■■……」

バットマン「……」


バットマン(さて、どう退かせたものか)


荊軻「……」


657: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:38:24.37 ID:biE0lZxz0

呂布「■■■■」スッ

バットマン「……?」

荊軻「呂布……どうするつもりだ?」

呂布「■■■」クイッ


バットマン「……まさか、一人で相手取るつもりか?」

呂布「……」コクリ

荊軻「……呂布、平気なのか」

呂布「……」ニヤリ

呂布「■■■■■■■―――――!!!!」ゴォッ‼



658: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:38:53.02 ID:biE0lZxz0

荊軻「……ふ、そうか。任せるぞ、大英雄殿」

呂布「■■■■■■!!!」


カエサル「ふん、嘗められたものだな。ならばその腕が如何程のものか……」

カエサル「っ」ギャギギギィン‼

呂布「■■■■■■■■……!!!」ニィィィィ

カエサル「……ほう、成程。英雄の名は伊達ではないと、そういう事か」ギリギリギリギリ……


バットマン「任せるぞ!」ダッ

荊軻「また、必ず会おう!」

呂布「■■■■■■■……■■■■!!!」



659: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:39:33.12 ID:biE0lZxz0

荊軻「それで……」シュドッ‼

敵兵C「ぐわっ!?」ドシャッ

荊軻「すまない。それで、これからどうする?」タタタタ……

バットマン「……事前に話した通りに動いてくれ」

荊軻「……うまく行くと思うか?」

バットマン「大丈夫だ。もしうまく行かなかった時は、一人で逃げろ」

荊軻「私だけ逃げる? そんな事はできないぞ、ブルース」

バットマン「…………だが、無駄死にも出来ないだろう」

荊軻「……計算の話をしているんじゃない。私の心の話だ」

バットマン「なら、この計画の間だけは心を殺せ」

荊軻「…………」

バットマン「……」

荊軻「……全く、キミは」


660: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:40:03.60 ID:biE0lZxz0

………………

ピピピ‼ ピピピ‼


マシュ「もしもし、もしもし。こちらマシュ・キリエライトです」

バットマン『マシュ。脱出は可能か』

マシュ「! マスター! はい、可能です!」

ネロ「む、その声! ブルースか!」

バットマン『立ち直ったか』

ネロ「うむ! マシュのお陰である!」

マシュ「そ、そんな事は……」


661: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:40:30.57 ID:biE0lZxz0

バットマン『なら……今から五分後に脱出してくれ。内側からも混乱を波及させるんだ。
こちらも、もう少しで連合首都へ到着する。そこで会おう』プツッ

マシュ「はい!」

ネロ「し、しかしだな。余が言わずとも分かっていると思うが、この脚に縛り付けられた鉄球は外せぬのでは?」

マシュ「……大丈夫です!」ガシッ


マシュ(清姫さんが教えてくれた、縄抜けの要領で……!)ギュ……ギュ……



662: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:40:58.58 ID:biE0lZxz0

マシュ「っ、外せました!!」

ネロ「おおおお!!」

マシュ「では、鉄格子を……」バチィッ‼

マシュ「っ」


マシュ(電流? ……サーヴァント対策……)


マシュ「……こんな事で!!」バチィッ、バチバチバチバチ‼

ネロ「……余も手伝うぞ!」バチバチバチバチバチ……



663: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:41:27.95 ID:biE0lZxz0

ネロ「ぐぐぐぐぐぐぬぬぬぬぬぬ……」ブルブルブルブル

マシュ「サーヴァント、じゃ、ない人、が、無理したら、駄目です!!」バチバチバチバチバチ

ネロ「もう、やめ、なのだ。いつ、までも、誰かに、守って、もらうのは。余は、皇帝で、ある……!」バチバチバチバチバチ

マシュ「……ああああああああ!!」バチ……ギュギギギギギギギギィィィィィ‼

ネロ「……開いた!」シュウシュウシュウ……



664: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:41:54.37 ID:biE0lZxz0

マシュ「さあ! 装備を取り返して……」


ガシャ、ガシャ……


敵兵D「あーあ、なんで俺が捕虜の移動なんて……!? な、だ、脱走だ!!」ポチッ

ウー‼ ウー‼

ネロ「な、なんという間の悪さ……このように早く見つかってしまうとは」


マシュ(警報ボタンなんてあったんですか……!)


マシュ「武装を取り返して、脱出を……!」



665: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:42:34.17 ID:biE0lZxz0


ガパッ、ガパパパパ……


ロボットA『脱走者有り。ただちに対処』

マシュ「な……ロボット!?」

ネロ「むむ、なんだあの人形は!? 鉄で出来ているのか……?」


ワラワラ……


ロボットB『脱走者有り。ただちに対処』

ロボットC『脱走者有り。ただちに対処』

ロボットD『脱走者有り。ただちに対処』


ロボットE~Z『『『脱走者有り。ただちに対処』』』


マシュ「……ネロさん! ここは私が引き付けます!」

ネロ「何!? し、しかしマシュはどうする!?」

マシュ「……必ず無事で追いつきます! さあ早く! 逃げて!」

ネロ「……必ずだぞ! あとで会おう!」



666: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:43:08.24 ID:biE0lZxz0


敵兵D「くっ、捕虜の反乱だ! 首都に居る戦力をこの城へかき集めろ!」

敵兵E「ちくしょう、なんでこんな事に!?」


マシュ「やあっ!」シュドッ‼

ロボットA『ガガッ……』ドシャッ

マシュ「はあっ!!」ドゴッ‼

ロボットB『ギ……』ドサッ


ロボットC『抵抗は』

ロボットD『無駄です』

ロボットE『ただちに捕縛』


マシュ(どれだけ時間が稼げるでしょうか……)ジリッ


ドゴォォォォォォン……

マシュ「!?」


巨大ロボットA『脱走者、有り。ただちに対処』

マシュ「なっ……」

巨大ロボットA『対処』ブォンッ

マシュ「ぐっ」ドッガァァァァァァ



667: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:43:59.91 ID:biE0lZxz0

巨大ロボットA『……?』ウィィィィィィィ……

マシュ「…………」グググググググ

巨大ロボットA『抵抗は無意味』

マシュ「……ぁぁぁぁぁぁぁぁああああああああああああっ!!!」グググググググググググィィィィイィィィッ‼

巨大ロボットA『サーヴァント反応増大……対処困難』ドッサァァァァァァァン

マシュ「やあああっ!!!」ドッゴォ‼

巨大ロボットA『対処たいたいたいたいたい……』バチチチッ‼


マシュ「……やりました!」スタッ



668: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:44:45.05 ID:biE0lZxz0

盾「」カラーン


マシュ「!」パシッ、スチャ

マシュ(これで武装も取り返せた……! ネロさんに追いつける!)


ドガァァァァァァァァン

マシュ「……?」


巨大ロボットB『抵抗は』

巨大ロボットC『無意味』


巨大ロボットD~Z『『『ただちに、捕縛』』』


マシュ「……え……」



669: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:45:28.77 ID:biE0lZxz0

………………

リドラー「おいおい、随分騒がしいな。何が起きている?」

敵兵F「だっ、脱走した捕虜の反乱です! 暴れているのです! 捕らえた二人のうち、皇帝は行方が知れないとの事……」

リドラー「……まさか、ロボット達を使ってないだろうな? アレは僕専用の尖兵だぞ」

敵兵F「そ、それは……使用もやむなく……」

リドラー「何だと、この無能共め! 連合帝国の永遠を約束するのはあのロボットありきだろう、全滅させられる前に動け!」

敵兵F「は、はっ!」

リドラー「まったく、使えない奴ばかりだ……! ロムルスに連絡しなければ」ピッピッ


670: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:46:08.85 ID:biE0lZxz0

リドラー「もしもし、ロムルスか? 玉座の間に居るのか?」

ロムルス『ああ、そうだ。何やら騒がしいが、何かあったか?』

リドラー「何かあったか、じゃあない。キミが捕らえていた捕虜が逃げ出したんだ。反乱だぞ」

ロムルス『そうか……ふ。そうか』

リドラー「……なんでキミはそんなに嬉しそうなんだ!?」

ロムルス『いや、良い。特にこだわりが無ければ、ネロの方は好きに泳がせるのだ』

リドラー「……ち、キミのローマ贔屓もそこまで行くと病気だな。良いだろう、だがマシュは僕が拘束する」

ロムルス『ふふ……言ってなかったか? お前のコウモリ贔屓も、なかなかのものだ』



671: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:46:58.31 ID:biE0lZxz0

リドラー「ふん、言ってろ」

ロムルス『……リドラー』

リドラー「何だ?」

ロムルス『共に永遠を目指せた事を、誇りに思う』

リドラー「……なんだ、気色悪いな。永遠の別れでもあるまいに」

ロムルス『……そうだな』

リドラー「そうだ。僕はこんなところでは終わらない。……これが終わった後に、またローマの運営について話し合いが必要だぞ」

ロムルス『……ああ。では、そこで会おう』プツッ


リドラー(……終わらない……)

リドラー「……そうだ。知性を……天才を証明するまで、終われない……!」



672: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:47:37.27 ID:biE0lZxz0


………………

荊軻「はあ、はあ……こんなに走ったのは久々だ」パタパタ

バットマン「……ドクター、ローマ連合首都への潜入が成功した」

ドクター『おお! 良かった、今その周辺を解析している! ……どうやら、主力敵性反応の多くは城の中に居るみたいだ』

バットマン「成程……ではドクター、マシュの位置を……」

ピピピ‼ ピピピ‼

バットマン「……すまない。一旦通信を切る」ピッピッ

バットマン「もしもし? マシュか?」


リドラー『ハロ~。元気にしてるか、コウモリくん? マシュは少し眠ってる、代わりに僕が話し相手になってあげよう!』

バットマン「……リドラー」


673: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:48:15.74 ID:biE0lZxz0

バットマン「マシュは何処だ?」

リドラー『それは言えないなぁ。でもヒントなら出してやろう! いいか? それは木製だ』

バットマン「お遊びに付き合っている暇は……」

リドラー『焦るな、ヒューズを入れてしまうかもしれないぞぉ? おっと、余計なヒントだったか』

バットマン「……ヒューズ?」

リドラー『くくく、続きだ! それはとても刺激的で、座った途端に電撃が走る! これまでの人生、まるで死んでいたかのような……』

バットマン「……電気椅子か!」

リドラー『……マシュは寝てるさ、快適な椅子の上でな。だが、その睡眠はいつまで続くだろうな? 
急げバットマン、私は気が短いんだ』プツッ


674: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:48:41.89 ID:biE0lZxz0

バットマン「……ドクター、マシュの周辺を解析してくれ」

ドクター『了解。……暗い部屋に……一人で居るのか? 何かに座ってるな、これは……まさか、嘘だろ!? 電気椅子だ!?』

バットマン「……」


バットマン(……リドラーの言葉は本当か。ならどうする……)


荊軻「……どうする、ブルース?」

バットマン「……プランHだ」

荊軻「本当に? 『やられたらやり返す計画』を実行するのか?」

バットマン「……妙な呼び名を付けるな。プランHだ。良いか荊軻、お前の働きに賭ける」

荊軻「……分かった。ブルース」

バットマン「何だ」

荊軻「必ず生きて、後で会おう」

バットマン「……確約できない誓いは立てない」

荊軻「……キミは全く本当に!」



675: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:49:24.18 ID:biE0lZxz0


………………

バッ、バササササササ……スタッ……


リドラー「……来たか。バットマン」

バットマン「……」

荊軻「……」スタッ


25

リドラー「まあ座ってくれ。そこの椅子に」

バットマン「……」

リドラー「安心しろ。その椅子には何も仕掛けていない」

荊軻「……」スッ

バットマン「……大丈夫だ」スタスタ……スチャッ

リドラー「ふふ……ようこそ、バットマン。お前が来るのを待ちわびていたぞ……
さあ、さっそくゲームを始めようじゃないか。彼女の命を懸けたゲームを」



676: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:49:54.46 ID:biE0lZxz0

バットマン「……彼女」

リドラー「ふふ、勿論彼女だ」ピッ


モニター『』ブゥゥゥゥン……

マシュ『う……ま、マスター……』


バットマン「……マシュ」

リドラー「彼女の命は、このボタンにかかっている」ゴトリ

リドラー「じゃあ遊び方の説明に入るとしようか? ……説明が要るかな? このゲームを知っているか、バットマン?」スッ

トランプ「」バサァッ

677: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:50:30.59 ID:biE0lZxz0


バットマン「……これは……トランプ?」

リドラー「くっくく、お前の知識不足は不安だったが……知っていて良かったよ。なら、このゲームも知っているな……『ポーカー』」

バットマン「……!」

リドラー「そうだ。ポーカー……これをして遊ぼうじゃないか。マスクは付けていて良いぞ、ハンデ有りでも圧勝してみせよう」



678: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:51:04.26 ID:biE0lZxz0

バットマン「何故だ」

リドラー「何故? ああ……バットマン。天才は一を見て百を知る。このポーカーというゲームこそ、私の知性を証明するのに適したゲームじゃないか?」

バットマン「……」

リドラー「チップは10枚。ドロップは連続三回まで……さあ、始めよう」


679: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:51:41.02 ID:biE0lZxz0

バットマン(……ここは相手のフィールド。イカサマもし放題だろう)

バットマン(……さて、ここで勝つ事が出来るのか……)


リドラー「安心しろ。イカサマなどしないよ、私は誇り高き頭脳の戦士なんだ……何なら、バットマン。お前自身がカードをシャッフルして配ると良い」

バットマン「……」

荊軻『……ブルース』

バットマン「……一度、全てのカードを確認する」

リドラー「どうぞ、ご自由に」



680: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:52:17.87 ID:biE0lZxz0


………………

バットマン(……カードそれぞれに判別できるような特徴無し。全て、普通のカードだ……)

バットマン(つまり、リドラーは……本当に、頭脳で勝負を仕掛けてきている?)


バットマン「……」

リドラー「面倒だからそのままシャッフルもしてくれ」

バットマン「何が狙いだ」

リドラー「言っただろう? 私は私の知性を証明したい。私は天才になりたいんだ」

バットマン「……」



681: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:52:47.06 ID:biE0lZxz0


バットマン「……」シュッシュッシュッシュッ

リドラー「おお、カード配りも慣れたものだ。お前もよく遊んでいたみたいだな、バットマン」

バットマン「……」シュッシュッシュッシュッ……

リドラー「……さあ、手札を確認しようじゃないか」


682: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:53:21.44 ID:biE0lZxz0


バットマン(……スペードのA、ダイヤのA、ハートの4、ダイヤの5、ハートの6……ワンペアか)

バットマン「……」

リドラー「私はカード交換は不要だ。お前はどうする?」

バットマン「……一枚出そう」スッ


バットマン(ダイヤの5を出し……何が代わりにドローできる?)スッ


バットマン「……」

バットマン(……クラブの6。悪くない)


リドラー「……」ニヤリ



683: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:53:51.10 ID:biE0lZxz0

リドラー「では……私はチップを四つ、ビッドしよう」

バットマン「……」


バットマン(初手で四つ賭けたか……動きとしては大きな方だ。それは自信の表れか、それとも……)


バットマン「……コール。私も四枚賭ける」


バットマン(……様子を見る。これで負けても、保険はある)


リドラー「ではショウアップだな!」パラッ



684: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:54:21.33 ID:biE0lZxz0

リドラーの手札『ハートの8、ハートのK、ハートのJ、ハートのQ、ハートのA』


リドラー「おっと、フラッシュだな。幸先が良い、ククク……」

バットマン「……」

リドラー「んん~? そちらはツーペアか。……ふふ……」

リドラー「まあ目線で分かっていたがな、バットマン」


バットマン「……」


685: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:55:28.23 ID:biE0lZxz0

リドラー「視線の動きだよ、バットマン。端の二枚をチラ見、そしてドローしたカードを見た時の表情筋……簡単な予測だ。キミはツーペアで、私はフラッシュ。必ず乗ってくると思ったよ」

バットマン「……」

リドラー「ともあれ、一回目は私の勝ちだ。チップ四枚、もらうぞ」スッ

バットマン「……」


バットマン(こちらの残りチップ枚数、六枚)



686: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:56:00.58 ID:biE0lZxz0

………………

バットマン(……二回目。手札……ハートの2、クラブの2。ダイヤの7。ダイヤの9。スペードのK)

バットマン(……さあ、あちらはどうだ)


リドラー「……」

バットマン「……」

リドラー「……」ニヤリ


バットマン(……)

リドラー「私は二枚、交換に出そう」

バットマン「……私は一枚だ」

リドラー「へえ……」

バットマン「……」


687: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:56:30.19 ID:biE0lZxz0

バットマン「……ドロップする」

リドラー「……ふーん? つまらないなあ」イラ

バットマン「……」


バットマン(表情を読め。こちらのぼろを出すな。心を殺せ。怪物になれ、ブルース・ウェイン)



688: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:57:04.69 ID:biE0lZxz0

………………

リドラー「……さあ、今回はどうだ?」

バットマン「……ビット。一枚」

リドラー「一枚だと!? レイズだ、三枚!」

バットマン「……ドロップ」

リドラー「……そうやって逃げ続けられるのも、連続で三回までだぞバットマン……!」


バットマン(…………読め。表情を。手の震えを。筋肉の動きを。心臓の拍動を聞け)



689: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:57:34.96 ID:biE0lZxz0

………………

リドラー「今度はどうだ! ビット、4枚!」

バットマン「……チェック」

リドラー「チェックだと……!?」


リドラー(何を企んでいる、バットマン……罠か? それともブラフ……? ここで私にドロップを使わせる気か? そんな手には乗らんぞ!)

リドラー「レイズだ。チップを五枚に増やす!」

バットマン「コール。同数のチップを賭ける」

リドラー「……!」


690: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:58:03.79 ID:biE0lZxz0

リドラー「スリーカードだ!」

バットマン「フルハウス。……さあ、チップを五枚もらおうか」

リドラー「……貴様……!」


リドラー(……いや、落ち着け。今のは偶然だ。次は勝つ)


バットマン「……」


バットマン(これでこちらのチップは11枚。リドラーの残りチップは9枚)



691: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:58:39.36 ID:biE0lZxz0

………………

リドラー(どう来る? どう出る? バットマンは気付くか?)

バットマン(……手の震え。網膜の縮み。全てをコントロールしろ……)

リドラー(私は天才になれるのか? 目の前に居る怪物を超えられるのか?)

バットマン(怪物になれ、ブルース。敵は自分だ)

リドラー(全てのモノの中で唯一価値あるもの、それは知性を持った自分という存在だ。僕はそれを証明できるのか?)

バットマン(自分を信じるな。世界はシステムであり、自分もまたシステムの一部だ。逃れ出る足掻きではなく、世界に溶け込む諦観を持て)

リドラー(目の前の怪物の)

バットマン(目の前の異常者も)

リドラー(価値を消せるのか?)

バットマン(システムへ落とし込んでみせる)



692: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:59:10.47 ID:biE0lZxz0

………………

ネロ「……はあ、はあ……!」タッタッ


ネロ(何階登ったのだ? ここは城のどのあたりだ……?)


ネロ「む、大きな扉が……ふっ!」ググッ


扉「」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ……


ネロ「あれは……」スタスタ……ピタッ


ロムルス「……よくぞ来た、ローマ皇帝よ」

ネロ「……神祖」



693: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 02:59:43.73 ID:biE0lZxz0

ロムルス「私の永遠のローマを邪魔しに来たのだな」

ネロ「……そうだ」

ロムルス「……ああ、良い目をするようになった」

ネロ「神祖。確かに、貴方はローマを作った偉大なる祖。余がもっとも尊敬する男の一人。
永遠のローマ。世界でこれほどの熱を持つ夢も無かろう」

ネロ「……だが」

ネロ「だが、神祖。浪漫を追い求める、偉大なる祖よ。貴方はひとつ、見落としている」

ロムルス「……なんだ」

ネロ「すべてのものに、終わりは来るのだ」



694: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:00:26.57 ID:biE0lZxz0

ネロ「余は皇帝だ」

ネロ「皇帝は、永遠などという言葉に寄りかかってはならぬ。……世界を停滞の中に落としてはならぬ!」

ネロ「たとえ神々が永遠を望んでいようとも! たとえ世界が炎にまかれる事になろうとも! 余は抵抗し、立ち上がり、決して退かぬ事を誓おう!」

ネロ「退かず、君臨し、華々しく栄えてみせよう!!」

ネロ「余こそが! 紛うことなきこの世界(ローマ)である!」



695: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:01:10.79 ID:biE0lZxz0

ロムルス「……!!」ニィッ

ロムルス「ならば! 覚悟は出来ていような、ネロ・クラウディウスよ!」

ネロ「無論だ! 余はローマ帝国、五代皇帝! ネロである! 道を開けよ!!」チャキッ

ロムルス「開けさせてみよ!!」バッ



696: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:02:46.18 ID:biE0lZxz0
………………


バットマン(……あれから数戦。互いにチップは十ずつ……)

バットマン(……そして……)


通信機『』チカチカ


バットマン(……潮時だ)


バットマン「……チップ、十枚。オールインだ」スッ

リドラー「……!!」



697: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:03:19.34 ID:biE0lZxz0


バットマン「…………」

リドラー「…………」

バットマン「…………」

リドラー「…………」

バットマン「…………」

リドラー「……ふ、ふふふ」

バットマン「…………」

リドラー「ふふふ、ははははははは、はははははははははは!!」



698: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:03:49.94 ID:biE0lZxz0

リドラー「楽しいなあ、バットマン! 今、僕は確信したぞ! たとえ世界が終わっても、この瞬間だけは消えない! 人生という名の知を使い、敵を超えようとするこの瞬間だけは!」

バットマン「…………」

リドラー「僕は! この世界に爪痕を残す! 決して消えぬ傷を! そして認めさせる! 僕は知性の戦士であったと! 知性でもって世界を跪かせた天才であると!」

バットマン「……」

リドラー「代償に世界が燃え尽きようが知った事か! 僕は自分を、永遠であると認めさせる! 絶対に! お前は道具に過ぎないんだ、バットマン!」

バットマン「…………」

リドラー「さあ、ショウアップだ……行くぞ!」


699: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:04:18.32 ID:biE0lZxz0

バットマン側の手札『ダイヤ、スペード、ハート、クラブのK。そしてQ』フォーカード


リドラー「……はははははは……はははははは!! 勝てると思ったんだろう、馬鹿め! 哀れな男だ、バットマン!」

バットマン「……」

リドラー側の手札『スペードの10、J、Q、K……ジョーカー』ロイヤルストレートフラッシュ


リドラー「お前は! また! 愛する者を、ジョーカーに殺されたな!」

バットマン「…………」


バットマン「ああ。楽しかった」



700: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:04:45.89 ID:biE0lZxz0

リドラー「……何?」

バットマン「楽しかった、と言っているんだ。リドラー。良いゲームだった」

リドラー「……負け惜しみか? それとも狂ったか?」

バットマン「そう見えるか?」

リドラー「……分かっていなかったのか? マシュ・キリエライトだよ! お前のお仲間は死ぬんだ! お前がポーカーに負け、私がこのボタンを押す! すると電気椅子の機構が働いて……」

バットマン「やればいい」

リドラー「……何だと……」



701: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:05:15.85 ID:biE0lZxz0

リドラー「き、貴様……状況が分かっているのか?」

バットマン「……リドラー。それは私の台詞だ」

バットマン「随分私に執着していたようだな。こんな舞台まで用意してカードゲームとは恐れ入る」

バットマン「だから、だろうな。お前を欺くのも容易だった」

リドラー「何の話だ……私がいつ騙された!?」

バットマン「……本当に、まだ気付かないのか」


702: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:05:46.13 ID:biE0lZxz0

バットマン「ずっと、私の隣に立っていた荊軻が……ホログラムだったという事に」

荊軻『……』ザザザザ……

リドラー「……!!」


703: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:06:18.02 ID:biE0lZxz0

バットマン「言ったハズだ。私は根に持つと」

リドラー「ばかな……それじゃあ、本物は何処に……?」

バットマン「……天才的な知性を持つお前なら、既に気付いているだろう?」


荊軻「遅くなったな」バタン

マシュ「ま、マスター!」タタッ


バットマン「……さあ、形勢逆転だ」



704: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:06:53.05 ID:biE0lZxz0

リドラー「……馬鹿め! この僕が何も策を用意していないとでも!?」


ガシャン、ガシャン

巨大ロボットB『抵抗は』

巨大ロボットC『無意味』

巨大ロボットD『ただちに殺害』


リドラー「結局のところ、勝てばいいのさ! 世界の構造なんて分かってる!」


バットマン「本性を現したな、リドラー。それ以上品格を下げない内に片付けてやる」

マシュ「マスター! 指示を!」

荊軻「やれるぞ!」

バットマン「構えろ。やるぞ」




705: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:07:25.03 ID:biE0lZxz0

………………

ネロ「はあっ、はあ……」

ロムルス「…………うぐっ……」ドシャッ

ネロ「……ふう!」

ロムルス「……見事であった、ネロ・クラウディウス」

ネロ「……」

ロムルス「私は、お前の中に……永遠のローマを見た。満足だ」シュウシュウシュウ……

ネロ「神祖……」

ロムルス「……さらばだ、ローマの御子。お前達の道に……祝福の、あらんことを……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

ネロ「…………」



706: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:07:56.17 ID:biE0lZxz0


バタンッ‼

バットマン「……無事だったか!」

マシュ「ネロさん!」

荊軻「ネロ……久しぶりに会えたな」


ネロ「……ブルース、マシュ、ケーキ……」

荊軻「ケイカだ……!」



707: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:08:23.46 ID:biE0lZxz0

マシュ「ロムルスさんは……」

ネロ「倒した。……なんとか、といったところだが」

荊軻「心配をさせてくれる。……だが、これにて一件落着だな」


バットマン「……ドクター、聖杯の場所は?」

ドクター『今検索してる。……ん? 妙だな、反応はキミ達のすぐ目の前だ』

バットマン「何……?」


???「……いや、いや。まさかあの二人を倒し切るとは」


バットマン「……!!」

バットマン(この声……!)



708: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:08:56.39 ID:biE0lZxz0

レフ「サーヴァントもどきが、よくやるものだ。冬木で目にした時よりも、多少は力を付けたのか?」

バットマン「レフ・ライノール……! 全員下がれ!」

ネロ「な、なんだ?」

荊軻「……これは……」

マシュ「ま、マスター……!」

バットマン「……!」グッ


レフ「特に、そこの目障りな黒装束だよ。まったく、虫唾が走る……だが、所詮は屑サーヴァント、そして屑のマスターだ。悲しいかな、聖杯の力に勝る事などありえない」


バットマン「……大人しく聖杯を渡せ。レフ・ライノール」


709: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:09:27.03 ID:biE0lZxz0

レフ「ほう。相変わらずその減らず口は治らないようだな。
聞けば、フランスでは大活躍だったそうじゃないか。まったく……お陰で私は大目玉さ」

レフ「本来ならとっくに神殿に帰還しているというのに、子供の使いさえできないのかと追い返された!」ギリィ

レフ「結果、こんな時代で後始末さ。聖杯を相応しい愚者に与え、その顛末を見物する愉しみも台無しだよ」


バットマン「……」フ

レフ「……何が可笑しい」

バットマン「その愚者さえ満足に操り切れない男が高見の見物のつもりか。三流の人形師でももっと上手くやるだろう」

レフ「……」ピキピキ

バットマン「お前などを使うとは……お前のバックに居る連中も、よほど人材不足のようだ」

レフ「……嘗めるな、俗物め。我ら72の同胞の前では、貴様など塵に等しい」

バットマン「成程、やはりグループで動いているのか。挑発に乗って数まで丁寧に教えてくれた事、感謝する」

レフ「……」



710: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:09:57.34 ID:biE0lZxz0

レフ「……成程、認めよう。キミ達は確かによく足掻いている」

レフ「実に醜悪な足掻きだが、認めねばなるまい! その無駄な努力は!」

レフ「フランスを救い、古代ローマを救い……特異点を修復し、人理を救う? 無理だ。キミ達では、既にどうにもならない!」

レフ「抵抗しても何の意味もない。結末は確定している。貴様達は無意味、無能!」

レフ「哀れにも消えゆく貴様たちに! 今! 私が! 我らが王の寵愛を見せてやろう!」ズズズズズズ……


バットマン(何だ? 聖杯の魔力が反応して……レフの肉体が……)

マシュ「あ……あれは……」



711: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:10:44.48 ID:biE0lZxz0

ネロ「なんだあの怪物は……この世のどんな怪物よりも、醜いあの姿は……」


バットマン(地面に突き立った……肉の柱……? 目玉がいくつも表面に付いた、肉の柱のような……)


レフ?「はは! ははははは! それはその通り!
その醜さこそが貴様らを滅ぼすのだ!」

ドクター『この反応、この魔力……サーヴァントでもない、幻想種でもない!
これは……伝説上の、本当の“悪魔”の反応か……!?』

レフ?「改めて、自己紹介しよう。私は、レフ・ライノール・『フラウロス』!」

フラウロス「七十二柱の魔神が一柱! 魔神フラウロス……これが、王の寵愛そのもの!」

マシュ「ここまで大量の魔力は……ドクター……!」


ドクター『フラウロス。七十二柱の魔神と、確かに彼は言った。なら、彼の言う王とは……』

バットマン「ドクター、今は憶測を走らせるべき時ではない。脅威が目の前にある。解析を」

ドクター『あ、ああ。そうだ、そんな筈はない。魔神なんて実際は存在しない!』

マシュ「……!」

ドクター『詳細はすべて不明。だが、それは危険なものだ。
来るぞ……この場で完全に撃破するんだ!』


712: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:11:40.67 ID:biE0lZxz0

フラウロス「死ね」ドドドドドドドッ

バットマン「……っ」ガガッ


バットマン(なんだ、この攻撃は……魔法か? ノータイムで……いや)


フラウロス「滅びるがいい」ズドドドドドッ‼

ネロ「うおっ!?」ババッ


バットマン(……まるで、あの身体から魔法から染み出しているように見える。という事は……あれ自体が意思を持った魔法陣のようなものか。流石は魔神、理解が出来ない)


バットマン「ふっ!」シュパッ


バットラング「」ヒュォォォォォンッ


フラウロス「嘗めるな!」バシィ‼


バットマン(弾く……という事は、物理攻撃が通用するという事か)


バットマン「マシュ!」

マシュ「たああっ!!」ゴシャアッ‼

フラウロス「っぐぅ!?」ユラァ


713: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:12:11.01 ID:biE0lZxz0

フラウロス「おのれ……」

ネロ「まだだ!」ズバァッ‼

フラウロス「うぐ……『焼却式、始動』!」ガガガガガガガッ‼


ネロ「むっ、これは……」

マシュ「危ないッ!」ガギャギャギャギャギャァン‼


フラウロス「……おのれ、生意気にも防ぐか!」


バットマン(ここだ……!)


バットマン「荊軻!」

荊軻「応!」シュドッ‼

フラウロス「……な、に……」


714: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:12:37.62 ID:biE0lZxz0

ネロ「そこ!」ドシュッ‼

マシュ「もう一発!」ドッゴォ‼

フラウロス「な……んだと……」ユラァ……

フラウロス?「馬鹿な、この、私、が……」ズォォォォォォォォ……


レフ「……」ドサッ


バットマン(……人間の形に戻ったか)



715: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:13:04.87 ID:biE0lZxz0

レフ「くっ……長時間の酷使で、既に腐敗が始まっていたとはいえ……たかが英霊如きに、退けられるとは……」ギリィ

レフ「いや、計算違いだ。そうだ、そうだろうとも」

レフ「しかし、私も未来焼却の一端を任された男だ。万が一の事態は想定済み……奥の手は取ってあるさ」


ドクター『……気を付けて! 聖杯の活性化を感知! また何かが来るぞ!』

バットマン「……!」



716: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:13:31.29 ID:biE0lZxz0

レフ「古代ローマそのものを生贄として、私は、最強の大英雄の召喚に成功している」

バットマン「最強の……大英雄だと?」

レフ「くく……喜ぶがいい。これこそ、真にローマの終焉に相応しい存在だ」

レフ「さあ人類(せかい)の底を抜いてやろう! 七つの定礎、その一つを完全に破壊してやろう!」

レフ「――我らが王の、尊き御言葉のままに!」

レフ「来たれ! 破壊の大英雄アルテラよ!!」

聖杯「」ギュォォォォォォォォォォッ


717: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:14:02.11 ID:biE0lZxz0

シュゥゥゥゥゥゥ……

???「……」

マシュ「……!」


レフ「……さあ、殺せ、破壊せよ、焼却せよ。その力で以て、特異点もろともローマを焼き尽くせ!」

レフ「ははは! 終わったぞ、ロマニ・アーキマン! 人理継続など夢のまた夢!
このサーヴァントこそ究極の蹂躙者! アルテラは英霊ではあるが、その力は――」


アルテラ「……黙れ」ズバァッ



718: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:14:29.26 ID:biE0lZxz0

レフ「」ドシャアッ

聖杯「」カラァン


マシュ「な……」


バットマン(馬鹿な……アルテラが、レフを両断した?)


聖杯「」コロコロ……

アルテラ「……」スッ


マシュ「せ、聖杯を……吸収、した?」

バットマン「構えろ、危険だ……」


アルテラ「……私は……フンヌの戦士である。そして、大王である」

アルテラ「西方世界を滅ぼす、破壊の大王」

アルテラ「……破壊の……!」キィィィィィィィィン



719: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:15:01.43 ID:biE0lZxz0

バットマン(何か来る……これは、不味い!)


バットマン「『令呪を以て命ずる!』マシュ、宝具を展開しろ!」

マシュ「はい!」

アルテラ「お前達は言う。私は、神の懲罰なのだと。
――神の鞭、なのだと」


アルテラ「フォトン・レイ」ゴォォォォォォォォォォォォッ‼


マシュ「ロード・カルデアス……!!」ドォォォォォォォォォッ



バリィィィィィィィィン




720: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:15:39.99 ID:biE0lZxz0


………………


バットマン(……これは……)

バットマン(ここは、何処だ……私は、何故横たわっている?)

バットマン(……そうだ、私は、……アルテラの、宝具を……)


バットマン「……うおぉぉぉぉぉぉ……!」ドシャア

バットマン「ここは……」ムクリ

バットマン(……城があった場所、なのか……跡形もない……)


ピピー‼ ピピー‼


721: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:16:14.90 ID:biE0lZxz0


バットマン「もしもし、ドクター……アレから何分経った?」

ドクター『ブルース! ブルースくん! ああ良かった、生きてたんだね……! まだ二分ほどしか経っていない! でも、マシュのバイタルサインが極端に弱まってる! 彼女を見つけてくれ!』

バットマン「……! 了解した」


バットマン「マシュ! 何処だ!」ガシッ、ドサッ


バットマン(瓦礫……アルフレッド……いや、マシュは生きている。必ず生きている、筈だ……)


ドクター『ブルース、キミの後方三メートルの地点だ! そこにマシュの反応がある!』

バットマン「分かった……」ガシッ、ドサァ……

マシュ「……っはあ……っは……」カヒュッ、カヒュ……



722: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:16:40.74 ID:biE0lZxz0

バットマン「……マシュ。マシュ、聞こえるか」スッ

マシュ「ま、……すたー……」ヒュー……ヒュッ

バットマン「『令呪を以て命ずる』。回復しろ、マシュ」

マシュ「……ご、ほっ……」ブル、ブルブル……

バットマン「……ドクター! マシュの傷の治癒が……治らないのか?」

ドクター『……! これは……アルテラの「破壊した」という強い認識が、マシュの傷を呪いじみて覆ってる……! 治癒速度が極端に遅れてしまう!』

バットマン「……そのアルテラは何処だ」

ドクター『い、今は……マッシリアへ向かっている。多分、ネロの都へ向かい……そこを滅ぼすつもりだ!』

バットマン「……成程」


723: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:17:09.25 ID:biE0lZxz0

バットマン(……何を躊躇っている。ブルース・ウェイン)

バットマン(メタヒューマンと戦うのは……初めてじゃないだろう)


バットマン「……今、動けるのは私だけのようだ。私が向かう」

ドクター『!?』

マシュ「!?」

ドクター『駄目だ。ブルースくん、それだけは絶対に認められない!』

バットマン「……すまない、ドクター」プツッ

ドクター『ブルースく』プツン……



724: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:17:36.93 ID:biE0lZxz0

マシュ「ます、たー……やめて、ください……」ヒシッ

バットマン「……マシュ。ここで横になっていろ。動くな。
……時間は稼ぐ。もし私が死んだら、グランドオーダーの残りは頼む」

マシュ「だ、め……」

バットマン「……」スッ



725: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:18:14.32 ID:biE0lZxz0


マシュ(また、思い違いをしていた)

マシュ(マスターは、人の死を悲しまないんじゃない)

マシュ(人の命を、道具として見る事に躊躇いが無いだけ……たとえそれが、自分の命であっても)


マシュ「ます、たー……いかないで……いか、ないで、ください……」ヒューッ、ヒューッ

バットマン「……」スタスタ



726: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:18:41.86 ID:biE0lZxz0

………………

ドクター「ブルースくん? ブルースくん!?」

レオナルド「どうしたんだ、ロマニ」

ドクター「ブルースくんが……一人でアルテラを止めに」

職員達「「「はああ!?」」」ガタタッ

所長「!? な、なんで止めないのよ!? 死ぬに決まってるでしょ!?」

ドクター「ぼ、僕だって止めようとしたんです! でも、ブルースくんが通信を切断して……」



727: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:19:11.65 ID:biE0lZxz0

所長「…………いいえ、アレよ。非常通信。令呪用のチャンネルを使って、念話形式で話すアレをしましょう」

職員A「め、名案です! それにしましょう!」

職員B「そうと決まったら早速変電を……あ、あれ?」カタカタカタ、カタ、カタ。

職員C「どうした?」

職員B「……何か、おかしい。制御装置が、言う事を……」エラー‼エラー‼エラー‼


モニター『』ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……



728: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/23(火) 03:19:41.13 ID:biE0lZxz0

モニター『ハローハロー、見えるかな? ようやく捕まえたぞ、カルデアの皆』

ドクター「……なんだこれは……」

レオナルド「……緑の、巨大な、ハテナマーク……?」

モニター『これが流れるって事は、私はこっちでは死んでしまったのだろう。だがまだだ、まだまだ天才の証明は終わらない!』

所長「……ふざけてるの!? はやく通常の状態に戻して!」

職員B「そ、それが……なにこれ、ハッキング……!?」カタカタカタ、カタカタカタ、カタ


モニター『さあ……』


リドラー『なぞなぞの時間だ』

733: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:52:15.02 ID:U2Rv23+B0

 夢以上の宝は無い。分かっていたつもりだった。

 だが、私は自分を誤魔化していた。民こそ至高の宝だと言いながら夢を崇め、世界をないがしろにしながらローマの永遠の存続を願った。

 矛盾だらけだった。私の隣に立っていた怜悧な男は、何度も私を笑った。

「キミは馬鹿だ、ロムルス」

「だが、私には夢があるのだ」


私の返答はいつも決まっていた。その度に、奴はくたびれたように首を振った。


 夢など無駄だ。そう言いながら、奴は私に手を貸した。

 ……本当は、私も気付いていたのかもしれない。夢など、世界を壊すだけの凶器なのだと。




734: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:53:45.65 ID:U2Rv23+B0

 頭脳以上の宝は無い。そんな事は分かり切っていた。

 ロムルスも、結局のところは馬鹿だったのだ。浪漫などという存在しないものを追い求め、自ら命を絶つような真似をした。

 ……奴は、本当に馬鹿だ。熱に取りつかれ、夢の行方を見失い、敵に斬られる事を選んだ。


 人間は熱無しには生きていられない。僕はその点賢いんだ。最低限の熱量だけで生きていける。いつもそうしてきた。熱など、疎ましいだけ。

 ……だから、奴の持つ夢は、眩し過ぎた。


「キミは馬鹿だ、ロムルス」


 僕はいつも言っていた。言っていないと、いつか自分の世界が壊れてしまう。僕の世界はそうではなかった。いつも雨が降りしきる、闇の世界だったのだから。

「だが、私には夢があるのだ」


 奴の返答はいつも決まっていた。その度に、僕はその愚直さから目を逸らした。



 ……本当は、僕も気付いていたのかもしれない。永遠とは、自分の夢でもあるのだと。


735: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:54:15.49 ID:U2Rv23+B0

 取り返しがつかない時間の中で、彼は緑のシルクハットをかぶり直した。

「……さらばだ」

 誰も聞いていない別れの言葉を呟き、彼はニヒルな笑みを口元に灯す。その身体がノイズで霞んだ。




736: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:54:49.14 ID:U2Rv23+B0


………………

職員A「不味いです! 存在証明式が途絶えた事により、二人の『輪郭』がどんどん時流に溶けて行く!」

ドクター「なんだ、これは……! ウィルス!? なんで急に!?」

レオナルド「……駄目だ、カルデアのAIも完全に機能停止している。早く復帰させなければ、ブルースとマシュだけの問題ではなくなる!」

所長「なんとかしなさい! 全ての機器を手動に切り替える事は!?」

ドクター「無茶な! ただでさえ人材不足も甚だしいのに!」

リドラー『チチチ……そんじょそこらのウィルスなんかと一緒にしてもらっちゃ困るなぁ。
僕は元々電脳系のサーヴァントだったんだ。キミ達の使う周波数から、カルデアを探知……そして、こうやってハッキングしてる。簡単な仕事だったよ』



737: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:55:21.87 ID:U2Rv23+B0

所長「電脳系の……?」

リドラー『そうとも、僕の得意分野さ。……とまあ、身の上話はここまでにしておこう。本題だ。
なぞなぞ遊びをしようじゃないか。楽しい楽しいお遊びを……な』

ドクター「冗談じゃない、お遊びだって!? こっちは人命がかかってるんだ!」

リドラー『勿論それも計算の内だ。命をかけたお遊びほど、熱中できるものも無いだろう?』

ドクター「……!」

レオナルド「……付き合うしか無さそうだ。そのなぞなぞに答えたら、カルデアは返してもらえるのかな?」

リドラー『当然だ、そこはフェアに行こうじゃないか』


職員A「……コンピューター補助無しでの存在証明式を開始します! ほんの少しの延命にしかなりませんが、やってみます!」

レオナルド「私も手伝おう。かなり大雑把な計算になるが、少しは保つハズだ」

職員A「はい!」



738: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:55:50.87 ID:U2Rv23+B0

リドラー『いいかな? では第一問!』


ドクター「こんな事馬鹿げてる……!」

レオナルド「ああ、そうだ。だが常識で挑んでいたら超えられない問題もある。……やるしかない」サラサラサラサラ……カタカタカタ、タン。

職員A「…………」カリカリカリカリカリカリカリカリ……

リドラー『……それは8より多い。でも9には届かない。さあ、どんな動物だ?』



739: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:56:26.50 ID:U2Rv23+B0

所長「8……より多い、9には届かない!?」

職員B「ええーと、えーっと……8,5……8,6……」ブツブツ

職員C「……うーん……」

ドクター「……9には届かない……9には……」ブツブツ

リドラー『さあ急げ、制限時間付きだ! チクタクチクタク……あと一分!』

ドクター「馬鹿な、あと一分だって……!?」

職員C「……9……9には届かない……」



740: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:56:57.20 ID:U2Rv23+B0

職員C「……ああ、成程。クジャクだ」

ドクター「へ?」

職員C「九弱で、クジャクです」

ドクター「……ああ!!」

リドラー『大正解だ! だがまだまだここからだぞ、次の問題!』


職員A「……不味いです、そろそろレイシフト先の二人の存在に矛盾が……」サラサラサラサラ……

レオナルド「分かってる。存在証明式を取り戻すためにも、手早く終わる事を祈ろう」カタカタカタ、カタン



741: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:57:32.96 ID:U2Rv23+B0


………………

ブーディカ「……」


ブーディカ(もう、戻れないよね。分かってる……ここで、どうする事もできずに、傍観者のまま……居るしかない)


???「フォウ」ピョコ

ブーディカ「……アンタ……ここで何してんのさ。……さっさとご主人様達のところへ帰りなよ」

フォウ「フォウ、フォーウ……」スリ

ブーディカ「……」


ブーディカ(……ごめんね、マシュ……ごめんね、ブルース……)


ドッサァァァァァァァン‼

ブーディカ「!?」バッ

フォウ「フォーウ!?」


742: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:58:03.24 ID:U2Rv23+B0


スパルタクス「……完全復活! 強大な圧政の下、一度は敗れ去ったが! そんなものは過去の事である!」ドスドス

ブーディカ「スパルタクス……アンタ、生きてたの……」

スパルタクス「何、自分で引き起こした爆発のせいで土の下へ埋まっていただけである! ……キミはそこで何をしている?」

ブーディカ「……別に。行きなよ、アンタ。マッシリアで皆待ってるよ」

スパルタクス「何故来ない? 仲間に何も伝えない沈黙は時に圧政足りうる……」

ブーディカ「……アタシはもう、戻れないから……」

フォウ「……」


743: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:58:36.96 ID:U2Rv23+B0

スパルタクス「……ふむ……何かしらの致命的な過ちを犯した後と見る!」

ブーディカ「……そーだよ、そうなの。もう戻れないって……あんだけ自分勝手な事したらさ」

スパルタクス「しかし! 反抗者は時に道を違える事もあろう! だがそれでも、立ち上がるからこそ反抗者なのである!」

ブーディカ「……アタシ、もう反抗者じゃないよ。それに……アンタみたいに、反抗が上手く行けば良かったけど……反抗して、事態悪化させた馬鹿なんだから……」

スパルタクス「……」



744: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:59:04.70 ID:U2Rv23+B0

スパルタクス「……初めから全てが分かっている者など居ない」

ブーディカ「……」

スパルタクス「圧政の下、もがき苦しみ、世界を変えようと動くのは素晴らしい事だ。反抗と反撃、そして結果。残酷ながら、世界には常に結果が付いて回る」

ブーディカ「……」

スパルタクス「だがだからこそ! まだ今、その結果は出ていないと見える!」

ブーディカ「……うるさいな……! アンタに何が……!」

スパルタクス「分かるとも、我が同盟者! 反抗者よ、成功する反乱など一握りだ!」


745: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 00:59:34.32 ID:U2Rv23+B0

スパルタクス「だが、勝てる戦いにのみ挑む者を、果たして我々は反抗者と呼べるのか!? いや、人間とも呼べまい!」

スパルタクス「それは機械だ! まごう事無き圧政の業! 我々は違う! 証明してみせよう! 我らは圧政者ではなく、人間なのだと!」

ブーディカ「だって! アタシ……アタシ、世界が大変な時に、自分の欲を……」

スパルタクス「自分のために戦えない者が! 世界など救えるものか!!」

ブーディカ「……!」



746: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:00:17.99 ID:U2Rv23+B0

スパルタクス「立つがいい、女王よ! 世界はまだ終わっていない!」

ブーディカ「……はは。アンタの勢い、本当に羨ましいよ……」

スパルタクス「……行くぞ!」

ブーディカ「……分かった。行こう」カチャリ



747: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:00:56.80 ID:U2Rv23+B0

………………

呂布「■■■■■■■――――!!!」シュウシュウシュウ……

カエサル「ふ、私にかかれば……む?」シュウシュウシュウ……

呂布「……」シュゥゥゥゥゥゥゥ……

カエサル「……何故私まで消え始めて……ああ、そうか。もう『奥の手』を出したのか、奴は……」シュウシュウシュウ……

敵兵A「か、カエサル様!?」

カエサル「うるさい、騒ぐな。……良いか、この後に怪物が来るが、決して立ち向かうな。ここから逃げ出せ」シュウシュウシュウ……

敵兵A「は、はい……?」

カエサル「……全軍撤退。家族の元へと帰るがいい。世界は終わった」シュゥゥゥゥゥゥ……



748: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:01:27.65 ID:U2Rv23+B0

キャット「……なんだ? 敵が……退いて行く……?」

エリザベート「やったんじゃない? ふー、ようやく休めるわ!」

キャット「馬鹿、もう少し空気を感じ取るのダ。先程からやけにピリピリした殺気が伝わってくる……」

エリザベート「そんなワケ……な……い……何よ、この魔力……」

キャット「……アレは……」



749: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:02:06.32 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……」ズバッ

敵兵A「あぎゃ……」ドシャッ

敵兵B「あ……」ゴシャッ


キャット「……撤退する兵の波の向こう。何か来る」

エリザベート「これ……これ、ソイツの魔力なの? 異常すぎて、鳥肌が……」

キャット「……この嫌な魔力。聖杯を取り込んでいるようだワン」


アルテラ「……」スタスタ


キャット「……やれるか、ドラゴン娘」

エリザベート「……死ぬ気なら、数分は足止めできるかもね」

キャット「GOOD。ならばぶちかますとしよう」



750: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:02:36.86 ID:U2Rv23+B0


………………

バットマン「……」ダッダッダッダッ


バットマン(あれから恐らく十分ほど。全力疾走のまま追っているが、追いつけるか……)

バットマン(……!)


バットマン「これは……」



751: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:03:03.34 ID:U2Rv23+B0

敵兵A「う……うぐ……」

敵兵B「……たすけて、たすけてぇ……」

バットマン「……」


バットマン(連合ローマの兵士達か……本当に見境なく襲っているようだな)

バットマン(……やはり放ってはおけない。このままでは、マッシリアも危ない)


ドッゴォォォォォォォォォォォン……


バットマン「!!」

バットマン(あれは……)



752: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:03:29.78 ID:U2Rv23+B0

キャット「ぐぬ……やはり、力及ばずか……」シュウシュウシュウ……

エリザベート「……」シュウシュウシュウ……


アルテラ「……」

アルテラ「……私の、行く手を阻むからだ」クルッ


753: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:03:58.65 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……」スタスタ

アルテラ「……」スタスタ……ピタッ


バットマン「……」

アルテラ「……お前も行く手を阻むのか」チャキリ



754: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:04:24.38 ID:U2Rv23+B0

バットマン(……周囲の地形は観測済み。そして目の前の敵の弱点も把握済み。準備も済んでいる)

バットマン(あとはどれだけ上手く立ち回れるか……)


アルテラ「私は、フンヌの戦士である。そして、大王である。西方世界を滅ぼす、破壊の大王である」

バットマン「……」スッ


バットマン(アルテラ。フン族の王。西欧世界に巨大な帝国を築き上げ、大王を自称し……)


アルテラ「……それでもなお、立ち塞がるか」


バットマン(……ローマ帝政末期のキリスト教信者からは、神の災い、神の鞭と呼ばれた。成程、彼女ほどこの世界を滅ぼすのに適した英霊も居まい)


バットマン「……それが役目なら、そうするまでだ」



755: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:04:53.50 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「人間は、機械にはなりえない。貴様は、怪物にはなれん」

バットマン「……試してやる。来い」

アルテラ「……哀れな男だ」ヒュォンッ


ゴガァァァァァァァァァァァァァァァッ‼


バットマン「!!!」ギャギャギャギャギャギャ……バガァァァァァァァッ


バットマン(馬鹿な……ブレーサーが、一発で……!?)



756: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:05:23.54 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「次は首だ」ヒュオッ

バットマン「くっ」バッ


バットマン(まだ右腕のブレーサーは残っている……立て直しを、)

アルテラ「……」ドゴッ

バットマン「うっぐぉ……!?」ドドドドドドドドド……


バットマン(この、馬鹿げた、膂力……!)ゴロゴロ……



757: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:05:49.59 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……」スタスタ


バットマン(今だ!)ピッピッ

地面「」ドッゴォォォォォォォォォォォン‼


バットマン「……どうだ」


バットマン(リドラーの地雷の一時停止を解除……少しは効いたか?)


煙「」モクモク……ユラッ

アルテラ「……」スタスタ


バットマン(やはり無理か)



758: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:06:17.92 ID:U2Rv23+B0


バットマン「ふっ!」ヒュッ

アルテラ「……」パシッ

バットマン「……くっ!」グッ、グッ‼

アルテラ「フン」ブォンッ‼

バットマン「うっ……ぐあ!?」ドッサァァァァァァァン


アルテラ「そろそろ決着を付けてやる」カチャリ

バットマン「ごほっ、ごほ……」



759: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:06:47.40 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「死ね」ブンッ


バットマン「……!!」プシューッ、ゴロゴロッ

アルテラ「!?」ガッシャァァァァァン‼


バットマン「……どうだ。効いたか」ムクッ

アルテラ「何だ……なにを、噴射した……」ヨロ

バットマン「……さあ、何だろうな」



760: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:07:18.00 ID:U2Rv23+B0


バットマン(アルテラ。453年、急死……死因は……)


(((この酒はこの店で一番上等なものです、よろしければ)))


バットマン(……死因は酒。こればかりは荊軻に礼を言わなければな)カチャリ


アルテラ「……こんな……これは……」ヨロヨロ

バットマン「……そろそろ反撃させてもらうぞ」



761: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:07:53.05 ID:U2Rv23+B0

………………


マシュ「……」ユラユラ


マシュ(……気を、失ってた……? 誰かに、運ばれて……)


荊軻「ああ、目を覚ましたか。おはよう、マシュ」

マシュ「……荊軻、さん」



762: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:08:21.60 ID:U2Rv23+B0

荊軻「はは、友に置いて行かれる辛さは分かっている。動けないなりに、少しでも……追いつきたくてな……」ズル、ズル……

マシュ「……! 荊軻さん、脚が……」

荊軻「……全く、生前と同じじゃないか、これじゃあ。目的を一歩前にして、死にそうとは」シュウシュウシュウ……

マシュ「……」


763: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:08:52.90 ID:U2Rv23+B0

荊軻「……マシュ。最後に、私の魔力を持って行ってくれ」

マシュ「……それは……」

荊軻「キミと共に、戦わせてくれ。……あの不器用な男は、放っておけない」

マシュ「……」

荊軻「……頼む。私を、二度も失敗した女にさせないで欲しいのだ」

マシュ「……」



764: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:09:18.97 ID:U2Rv23+B0

シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ

マシュ「……」

マシュ「……」スクッ


マシュ(……いける。走り出せる。間に合う)


マシュ「今行きます、マスター……!」ダッ




765: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:09:44.97 ID:U2Rv23+B0

………………

職員A「……」カリカリカリカリカリカリカリカリ

レオナルド「……」サラサラサラサラ……カタカタカタ、タン


リドラー『三問目だ! キミは家を飛び出し、3回左折して帰ってくる。そこにはマスクを被った二人の男が待っていた。さあ、キミの職業は何だ?』

ドクター「……家を飛び出して……」

所長「……三回左折……」

職員B「……マスク二人……」

職員C「……」


766: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:10:16.84 ID:U2Rv23+B0

リドラー『チクタクチクタク、あと40秒だ』

職員C「……」

ドクター「家……ホーム……野球だ! 野球選手だな!?」

リドラー『ぴんぽーん、正解だ。賢いな、だが次の問題からはもっと厳しくなるぞ』

ドクター「まだあるのか……いい加減にしてくれ!」


767: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:10:48.52 ID:U2Rv23+B0

職員A「……」カリカリカリカリカリカリカリカリ……ツー

職員B「ちょ、ちょっと! 鼻血が……」

レオナルド「……無理をしちゃ駄目だ。脳は大切にしなよ、倒れられたら困るんだ」サラサラサラサラ……

職員A「……ブルースさん達も命懸けで戦ってるんです、俺達が命を懸けない理由が無い……!」カリカリカリカリカリカリカリカリ

職員B「だからって……!」

職員A「……鼻血で済んでる内は可愛いものさ……!」カリカリカリカリカリカリカリカリ


リドラー『ふふふ、らしくなってきたな? 命のぶつかり合いだ。もっとも、僕のは命ではなく存在意義だが……』

ドクター「……」

リドラー『……では、五問目だ』



768: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:11:19.71 ID:U2Rv23+B0

………………

バットマン「ふっ!」シュドッ‼

アルテラ「うっぐ……」フラフラ……ブンッ

バットマン「っ……」バッ、ドゴォ‼

アルテラ「かはっ……」ドサッ

バットマン「……」ガシッ、シュドッ

アルテラ「っぶ……」

バットマン「……」シュドッ、シュドッ、シュドッ、シュドッ……

アルテラ「が……かは……」



769: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:11:58.25 ID:U2Rv23+B0

バットマン「……」シュドッ、シュドッ、シュドッ……

アルテラ「……」パシッ

バットマン「……!」グッ

アルテラ「……ふっ!!」ブォンッ‼

バットマン「うっぐ……」ドシャァァァァァァン……

アルテラ「……」ムクリ

バットマン「……!」ムクッ


バットマン(まだ噴射の効果は続いている……ここでケリをつけなければ!)ダッ



770: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:12:43.40 ID:U2Rv23+B0


 夕暮れを受け、輝く剣が振り抜かれた。紙一重でそれを躱しながら、バットマンはアルテラの懐へと滑り込む。

「ちっ」

 アルテラは未だに身体のコントロールを全て取り戻せない。隙だらけの胴体へ、小ぶりなフックが叩き込まれた。

 振りに見合わず身体が浮くほどの衝撃に、彼女は目を見開く。黒い騎士は身体を回転させ、肘打ちで腹部を叩く。くの字に折れ曲がる体、ダメージに呻き声が漏れる。

 バットマンは流れるように蹴りを繰り出した。だがその足首が掴まれる。

「嘗めるな」

 アルテラ。そのまま渾身の力で振り回し、騎士を地面へと叩き付ける。内臓が爆発するような感触。白く眩む視界。バットマンは歯を食い縛って意識を保つ。

 破壊の大王が剣を振り上げる。しかし彼はその顎を蹴り上げ、遠く森の木へ向けてグラップネルガンを発射した。

 巻き上げ機構が作動、コウモリが飛んで行く。しかしその足は掴まれたままだ。アルテラはバットマンの脚にしがみついたまま、剣を振り上げ、振り下ろした。火花が散り、神の鞭と黒い騎士が落ちて行く。


 地面に墜落。バットマンはいちはやく起き上がり、倒れたままのアルテラへ向かって行く。だが彼女も立ち上がり、剣で迎え討つ。ブレーサーと剣がぶつかり、甲高い音が鳴り響く。

「諦めろ」

 アルテラは冷たく言い放つ。小細工の効果もそろそろ切れる。目の前の男は死ぬ。それはどちらも、分かっているハズだ。

 だというのに、何故この男は表情を崩さない?

「……この位置は、計算通りだ」

 コンピューター操作音の直後、彼らの足元の地面が爆発した。




771: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:13:46.31 ID:U2Rv23+B0


ドガァァァァァァァァ……

バットマン「っぐあ……」ドサァッ‼


マスク「」パキ、ボロッ……


ブルース「はあ、はあ……」ツー……


ブルース(どうだ……やったか?)


772: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:14:14.03 ID:U2Rv23+B0


煙「」モクモク……


スタスタ


アルテラ「……」スタスタ


ブルース「……!」


773: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:14:41.99 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「よく戦った。だが、所詮はこの程度」

アルテラ「私は破壊の大王だ。ただの人間が、私に歯向かう。それ自体が愚かな事」

アルテラ「……もう、策もあるまい。たとえ貴様が億の策を用意していようと、全て破壊する」

アルテラ「……さあ、顔を上げろ。たった一人で立ち向かってきた勇者よ。貴様の顔は覚えておいてや……」


「一人ではないっ!!!」



774: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:15:10.40 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……?」


「その者は! 一人ではない!」

ブルース「……」

「ここに居るぞ、そやつの仲間が! 余を忘れたとは言うまいな!」

アルテラ「……何者だ。名乗れ」

ネロ「余こそは! ネロ・クラウディウスである!」



775: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:15:36.08 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……貴様か、皇帝よ。いずれ世界に不要とされる者よ」

ネロ「ふっ、その台詞には慣れたぞ! 余はどれだけ打ちのめされようが、絶対に皇帝である事をやめん!」

アルテラ「貴様が何者であろうと、誰が立ち塞がろうと、世界は破壊する。それが私の役目だ」

ネロ「そうはさせん。世界には花が、歌が、美が満ち溢れている! 護るべき美だ!」

アルテラ「……私はフンヌの戦士である。大王である。破壊の、大王である……!」

ネロ「これより先は、余のローマである! 退かんぞ!!」



776: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:16:05.48 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「ならば、破壊する。貴様も……!」ブォンッ‼

ネロ「ふっ! ……その言葉には、まるでお前の意思が感じられんぞ、アルテラ! 本音を聞かせるがいい!」ギャリィン‼

アルテラ「……本音……私は、フンヌの戦士であり……」

ネロ「そらっ!」ヒュンッ

アルテラ「っく……私は……破壊の大王である……!」ズサァァァッ

ネロ「……お前の中には矛盾がある。きっと止めてみせるぞ、アルテラ」チャキリ

アルテラ「……矛盾など、無い。私は、破壊する。それだけの存在だ……!」グォォォォォォォォォォォッ


ブルース(不味い、アレは……マシュの宝具を破った、アルテラの……!)

ブルース(だが、対抗策が無い……!)


777: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:16:38.30 ID:U2Rv23+B0


アルテラ「『その文明を粉砕する』……!」キィィィィィィィィィ……!

ネロ「……!」


ネロ(……今、背にはマッシリア! 幾百もの民の命! 避ければそれが消える! そんな事は許されぬ!)

ネロ(余が、受け切る! 必ず!)


ブルース「ネロ! 避けろ! 無茶だ!」

ネロ「……無茶は百も承知だ、ブルース。だが、余は皇帝なのだ。ここで避ければ、その権利を失うだろう」

ネロ「……さらばだ」ニコリ


ブルース(馬鹿な! 何か手はないのか……!?)


アルテラ「フォトン・レイ!!」グォォォォォォォォォォォッ


「……『チャリオット・オブ・ブディカ』!!!」ドッガァァァァガガガガガガガガガガガガガガガギギギギギギギギギ‼



778: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:17:23.88 ID:U2Rv23+B0

ネロ「なっ……」

ブーディカ「…………!!!」ギャギギギギギギギギギギィィィィィィィィィ‼

ネロ「ぶ、ブーディカ!?」

ブーディカ「……勝手に死なれちゃ、困るんだよ……! 一発くらい殴らせて欲しいしさ!」ガガガガガガガガガガガガガガッ‼

ネロ「な、殴る……!? 余を!?」

ブーディカ「……あーもぉぉぉぉぉぉおおおおお!!!」ギギギギギギギギギギ……シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……


アルテラ「……馬鹿な。私の宝具が……」

ブーディカ「代わりにアンタをぶん殴る。良いよね、やるよ」ツカツカ

アルテラ「くっ……」ガシャリ


スパルタクス「圧!! 政!!」ドゴォ‼

アルテラ「!?」ドシャアアアアア‼



779: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:17:59.52 ID:U2Rv23+B0

スパルタクス「ははは、大王とは圧政の象徴。我が反抗の矛先に相応しい」

アルテラ「……何を……!」

ブーディカ「やああっ!」ヒュオンッ‼

アルテラ「くっ」ガキィン‼

スパルタクス「フ ン !」ゴガァァッ‼

アルテラ「っぐ……!」ドシュゥゥゥゥ


ネロ「……なんだかよく分からんが、勝機に違いなし! 一気に攻める!」ダッ



780: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:18:25.09 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「……まだだ……!」ギュオッ‼

スパルタクス「むぐっ!?」ドシャァッ

アルテラ「はあっ!」

ネロ「くっ!?」ガギッ、ドサァァァァァァ

アルテラ「潰れろ!」ブン‼

ブーディカ「ぐぅっ!?」ガギ、ギリギリギリ……



781: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:18:52.63 ID:U2Rv23+B0

アルテラ「私は……破壊の大王である。それ以外の役目などありえない」ギリギリギリギリギリッ

ブーディカ「……なら、アタシは守る側だ。ローマの巻き添えでブリタニアまでやられるのは御免だからね」ギリギリギリギリギリッ

アルテラ「誰も、何も、守れはしない。美しき蝶も、楽しき調べも、愛しい人さえ。全てはいずれ、無に帰る。私は時期を早めるだけだ」

ブーディカ「…………ならその美しさに触れなよ、破壊の大王サマ! その美しさの、楽しさの、愛しさの裏にある汚い部分に触れろってんだ! 全部知った気になって、世界を滅ぼすなんてそんな事……させるか!」

アルテラ「……すべては、無駄だ!」ググッ‼

ブーディカ「うっ……」グググググ……


ブーディカ(重い……! 支えきれない……)



782: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:19:38.71 ID:U2Rv23+B0

パシッ

グググググッ‼

ブーディカ(……なんだ? 急に、軽く……)


ネロ「むうぐぐぐぐぐぐ……」ギリギリギリ……

ブーディカ「アンタ……」

ネロ「……お前は一人ではない、ブーディカ……余も、共に戦っているのだ」

ブーディカ「……!」


783: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:20:09.24 ID:U2Rv23+B0

ブーディカ(…………)


ブーディカ「……フン、ならせいぜい足手まといにならないようにね!」グググググッ

ネロ「無論である!」ググググググ……


アルテラ「おのれ……」ギリギリギリギリ……


アルテラ(……!)


アルテラ「っ」ギャリィン、ババッ


「たああっ!!」ドシャアアアア‼


ブーディカ「!! アンタ……」

ネロ「おお! 来たか!」


マシュ「遅くなりました!」



784: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:20:36.32 ID:U2Rv23+B0

………………

リドラー『……いやはや、正直ここまでやるとは思っていなかった。驚いてるよ』

職員A「……っ……」カリカリカリカリカリカリカリカリ……

レオナルド「……そろそろ無理だ。あちらの世界での存在矛盾が致命的になってくる」サラサラサラサラ……カタカタカタ、タンッ


リドラー『では、最後の問題といこうじゃないか』

所長「ようやく……」

職員C「……」

ドクター「最後の問題……」


785: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:21:17.35 ID:U2Rv23+B0

リドラー『……むかし、むかーしのお話だ。ソロモン王が、忠実なる家臣へ命令を下した。
「幸せな男が見れば悲しくなり、悲しむ男が見れば幸せになる」そういう指輪を持ってこいと。
数か月後、その家臣は見事言われた通りの指輪を持って帰った。……さあ、問題だ。その指輪には何と書かれていたでしょう?』

ドクター「……、……」


所長「……ソロモン王……指輪……何と書かれていたか?」


786: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:21:55.45 ID:U2Rv23+B0

リドラー『制限時間は三十秒だ。よく考えるがいい』

所長「こんなの分かる訳ないじゃない! ソロモン王に直接聞きなさいよ!」

職員C「落ち着いて下さい所長! よく考えて!」

所長「落ち着いてるわよ! ……いえ、ごめんなさい。考えるわ……ああもう、なんで……!」

職員B「……幸せな男が見れば悲しくなり、悲しむ男が見れば幸せになれる……?」

ドクター「……」


リドラー『25、24、23……』



787: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:22:25.62 ID:U2Rv23+B0


………………


アルテラ「……」


アルテラ(……この数。負ける)

アルテラ「……ならば。ここから全魔力を込めて撃ちだすまで」スッ


ネロ「……? なんだ、奴は……何処へ剣を向けている??」

ブーディカ「……海?」


ブルース(……この、角度は……!!)


ブルース「注意しろ! アルテラは……海峡を隔てて、首都ローマへ宝具を放つつもりだ!」

マシュ「な……!?」

アルテラ「『命は壊さない』」グォォォォォォォォォッ……



788: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:22:56.25 ID:U2Rv23+B0

………………

リドラー『さあ、答えられる者は居ないか!? いなければ、二人の勇敢な戦士が死ぬまでだ』

職員C「……くそ、全然わかんねえ……!」ガリガリガリ

職員B「幸せな人が見たら……って一体なんなの……」

所長「……くっ……」ギリィ

ドクター「……」


ドクター(……でも、二人の命を救わなきゃ。僕は……)グッ……


レオナルド「……?」



789: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:23:28.62 ID:U2Rv23+B0

………………

アルテラ「『その文明を粉砕する』」

ブルース「マシュ! 宝具を展開しろ!」

マシュ「っ、はい!」


マシュ(一度は破られた……でも、やってみせる!)

マシュ「仮想宝具、展開!」

ブーディカ「守ってみせる……!」

マシュ「ロード・カルデアス!」

ブーディカ「チャリオット・オブ・ブディカ!」


アルテラ「フォトン・レイ」ギュィィィィィィィィィィィィッ‼



790: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:24:24.59 ID:U2Rv23+B0


ブーディカ(……ああ。こりゃ、駄目だ。受けきれない)

ブーディカ(……でも、マシュを庇えば……何とか軌道は、逸らせるかな)スッ


マシュ「……? ブーディカさ……」

ブーディカ「じゃあね、マシュ。……元気で、ね」

マシュ「……!! まっ……」


ゴォォォォォォォッ‼



791: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:24:59.34 ID:U2Rv23+B0

ブルース「!!」

ブルース(軌道が逸れた……! ローマを逸れ、海洋の方へと飛んで行く……)


マシュ「……ブーディカ、さん……」ドサッ


アルテラ「……そうか。またしても、私には破壊できなかったのか」シュウシュウシュウ……

アルテラ「……ふ……」シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……


聖杯「」カラン……

マシュ「……聖杯、確認。回収します」



792: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:25:33.81 ID:U2Rv23+B0

ブルース「……」シュウシュウ……


ブルース(……何だ? 身体が……いや、世界が……)グニャリ


マシュ「……? こ、これは……」シュウシュウ……グニャリ

マシュ「お、おかしいです、何かが……」シュウシュウ……


ブルース「……これは……」シュウシュウ……



793: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:26:11.71 ID:U2Rv23+B0

………………

ドクター「トゥー・シャル・パス」

リドラー『……』

ドクター「……彼は……彼は、家臣に指輪を持って来させた。そうして、見てみた指輪には……こう彫ってあった。トゥー・シャル・パス。全ての事は、いつか終わると」

リドラー『……見事だ』プツッ



794: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:26:45.86 ID:U2Rv23+B0


モニター『congratulations! congratulations! congratulations!』


職員C「……や……」

職員B「やった……」

職員A「喜んでる場合じゃない! 早く! 存在証明式を再稼働!」

職員B「あ、ああ! しないと!」


レオナルド「……」

ドクター「……」

レオナルド「……よくやったよ、ロマニ」

ドクター「……」



795: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:27:20.22 ID:U2Rv23+B0

職員C「……駄目です、やっぱり遅すぎた! レイシフトが強制終了へ向かってる!」カタカタカタ、カタカタカタ

レオナルド「おっと、それってかなりヤバイ状況だね」カタタタタタタタタタ

ドクター「……もしもし、もしもし! こちらカルデア! ブルースくん、マシュ! 聞こえるかい!?」



796: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:27:47.99 ID:U2Rv23+B0

………………


ドクター『もしもし、こちらカルデア! ブルースくん、マシュ! 聞こえるかい!?』

マシュ「……ドクター! はい、聞こえます!」シュウシュウ……

ドクター『これからそちらの世界へ「穴」を開く! 身体が崩壊する前にその穴へ飛び込んでくれ!』

ブルース「了解」

ブルース(……果たして、二人とも入れるか)



797: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:28:33.16 ID:U2Rv23+B0

ネロ「どうしたというのだ、そのか……」ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……


ゴゴゴ……ゴゴゴゴゴゴ……


マシュ「……消えていく……人が……世界が……」

ドクター『聞こえるかい!? 自己を強く認識して!』

ブルース「……」


穴「」グォンッ


ドクター『今開いた穴がそれだ! 飛び込んで!』



798: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:29:01.82 ID:U2Rv23+B0

マシュ「今、いきます……!?」ググググッ

マシュ(か、身体が……重い……)


ブルース「くっ……」ズシ……ズシ……

ブルース(……やはり、無理か……)



799: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:29:41.28 ID:U2Rv23+B0


ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……

マシュ「このままじゃ、先に世界が崩壊してしまう……!」

ブルース「……」ガシッ

マシュ「え……ま、マスター……?」

ブルース「さらばだ。マシュ」ブンッ

マシュ「きゃっ!?」グォンッ


穴「」シュポッ……シュゥゥゥゥゥン


ブルース(……閉じたか)

ブルース「……」


ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……


800: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:30:06.63 ID:U2Rv23+B0

………………


マシュ「っ」ガバッ


ドクター「! マシュ・キリエライトが帰還!」

所長「……!」


マシュ「……ドクター、マスターがまだ!」


801: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:30:37.30 ID:U2Rv23+B0

職員A「そ、そんな……まさか、ブルースさんはまだ、あっちに……?」

職員B「……だ、駄目です! もう穴を維持できていません! 存在救出不可!」

マシュ「……え……」

所長「……ロマニ、魔力反応は。魔力反応はどうなの」

ドクター「……駄目です、一世紀ローマからはもう……恐らく、時流に呑まれて、何処かへ……」

マシュ「……そ、それじゃ……ますたー……マスターは……」



802: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:31:21.80 ID:U2Rv23+B0


ドクター「……すまない。僕のせいだ。本当にすまない……」

レオナルド「……」

職員A「……そんな」

職員B「……うそ……」

職員C「……」


所長「……」



803: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/24(水) 01:31:50.88 ID:U2Rv23+B0


第二章

永続狂気帝国 セプテム

生存者 マシュ・キリエライト

死者 清姫 ブルース・ウェイン

811: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 00:48:45.24 ID:sdblcI+t0

………………

マシュ「……」カチャカチャ……

レオナルド「……おはよう、マシュ。隣、空いてるかな?」

マシュ「……」ビクッ

マシュ「……ダヴィンチさん……ええ、空いてます。どうぞ」

レオナルド「ははは、いつも言ってるじゃないか。ダヴィンチちゃんと呼んでくれってね」

マシュ「……ごめんなさい」

レオナルド「……冗談だよ、これはキミに言うのは一回目だから」

マシュ「……ごめんなさい」

レオナルド「……」



812: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 00:49:31.23 ID:sdblcI+t0

マシュ「……」カチャカチャ……

レオナルド「……マシュ。キミ、スープはかき混ぜるだけじゃあお腹に入らないよ」

マシュ「……はい」カチャカチャ……

レオナルド「……」

所長「……」スタスタ

レオナルド「……ああ、おはよう所長」

所長「……あ……」

所長「……」クルッ、スタスタ

レオナルド「ちょ、ちょっと。……はあ……」


813: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 00:50:00.72 ID:sdblcI+t0

………………

ドクター「もしもし、もしもし。こちらカルデア。ブルースくん、聞こえるか? 返事をしてくれ。……駄目だ、この時代にチューニングしても答え無しか……」

ドクター「……いや、まだだ。今度は半年刻みで現在から……」カチカチ

職員B「あ、あの……ドクター? ご飯、ここに置いておきますから……」

ドクター「え? ああ、ありがとう」

職員B「いえ、良いんです。……あの、少しは休まないと……」

ドクター「え? いや、うん。大丈夫だ。……もしもし、もしもし。こちらカルデア。ブルースくん、聞こえるか? ……」カチカチ

職員B「……」


814: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 00:50:37.12 ID:sdblcI+t0

………………

職員A「……あの……所長?」

所長「……ブツブツ……ブルースの肉体を一から錬成して……ブツブツ……」

職員A「……床に描いてある魔法陣は一体……」

所長「……ああ、この部屋には入らないで。入ったら危ないわよ。比喩抜きで死ぬわ」

職員A「え……」

所長「出てって。今実験中だから」

職員A「……あの……」

所長「出てって。さもなきゃアンタを『使う』わよ」

職員A「……はい……」



815: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 00:59:08.38 ID:sdblcI+t0

………………

レオナルド「……さて、状況報告会議を」

職員B「……ドクターは一週間、何も食べていません。ずっと管制室に閉じこもって、時流の中からブルースさんを特定しようとしています」

職員A「……オルガマリー所長は、怪しげな魔法陣でブルースさん復活の儀式をしようとしています」

職員C「コフィン内の調整は一応、順調です。ブルースさんがいつでも戻って来れるようにしています」

レオナルド「……ふう。マシュは恐らく鬱だ。生活する気力すら消えそうになっている」

職員A「……」

職員B「……」

職員C「……」

816: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:00:05.22 ID:sdblcI+t0

レオナルド「良いかい、今のカルデアを支えていけるのは私達だけだ。空気に呑まれそうになるのは辛いけど、踏ん張りどころだぜ」

職員達「「「はい!」」」

レオナルド「うん、いい返事だ。よし、今日も一日カルデアを引っ張ろうじゃないk……」


ピーンポーンパーンポーン

ドクター『皆っ、皆聞いてくれ! ブルースくんが漂流している時代を特定した!』

レオナルド「って言おうとした途端にこれか……よし、一応管制室へ急ごう」


817: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:01:00.70 ID:sdblcI+t0

………………

所長「本当なんでしょうねロマニ!?」

マシュ「ドクター! あの放送は!」

ドクター「ああ、本当だ。ようやく見つけた。どうやら今から30年ほど前の時代を漂ってるみたいだ」

レオナルド「やあ、ロマニ……速いなキミたち」

ドクター「レオナルド、レイシフトの準備に取り掛かってくれ。ブルースくんを救出できる」

レオナルド「……」


818: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:01:39.25 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……マシュは良いのかい?」

マシュ「はい。いつでもレイシフトできます。今からでも」

ドクター「早い方が良い。また漂流して、何処かへ消えてしまわないとも限らないんだ」

所長「レイシフトの許可は出します。早く救出を」

レオナルド「……待ってくれ。やっぱり性急に過ぎる、もう少し考える時間を置こう」

ドクター「……言いたい事は分かる、でもチャンスは少ない。少なすぎるんだ、レオナルド」



819: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:02:26.92 ID:sdblcI+t0

レオナルド「マシュの身の危険を考慮すべきだ。まともにAIに検査すらさせて無いんだろう?」

ドクター「……それは、……」

マシュ「わ、私は……私は、いくら危険でも……」

レオナルド「マシュも。いいかい、キミ達はもう少しよく考えるべきだ。私達は世界を支えなきゃならないんだ。それがこんな体たらくでどうするのさ?
……ブルースだって、きっと悲しむ。キミ達をこんな風にするために戦ったんじゃない、ってね」

ドクター「……」

マシュ「……」

所長「……」

レオナルド「……」


820: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:03:17.01 ID:sdblcI+t0

ドクター「……ごめん。軽率だった」

マシュ「……私も……急ぎ過ぎてました」

所長「……ちょっと、焦ってたかも……しれないわね。ごめんなさい」

レオナルド「……良いのさ。ただ、もう少し時間を置こう。
そうは言っても早い方が良いんだろうから、明日には協議の結果を出すようにしよう。それなら、文句は無いだろう?」

ドクター「ああ!」

マシュ「はい」

所長「そうしましょう」


821: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:03:47.01 ID:sdblcI+t0

………………

レオナルド「……」

レオナルド(……昼間、ああは言ったけど……やっぱり、ブルースは心配だ……)

レオナルド(明日の朝、マシュがレイシフトする事は決定した。……何か胸騒ぎはするが……それでも、やるしかない)

レオナルド「……はあ~」

レオナルド(……いつの間にか、私もこんなに感化されてたなんてなぁ。ちょっと夜風に当たってくるか……)


822: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:04:15.81 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……」スタスタ


グス……ウッ……ウゥ……

レオナルド「……?」


レオナルド(誰かの……泣き声? キッチンから? こんな夜中に?)


823: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:04:52.34 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……」ソォ~ッ


マシュ「……うっ……ひぐっ……うぇえ……」

レオナルド「……」

レオナルド(ああ、これは……うん。まあ、分かってたけど……)



824: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:05:36.40 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……ごほんっ!」

マシュ「!!」ビクッ、バシャバシャ

レオナルド「あ~夜中に急にお腹が空いて困った困った!! 何か缶詰でも無いかな~~ってマシュじゃないか!?」

マシュ「……こっ、こんばんは。夜食ですか? 奇遇ですね」ニコッ

レオナルド「……」


レオナルド(……咄嗟に顔を洗っても、目が真っ赤だぜ)


825: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:06:09.36 ID:sdblcI+t0

レオナルド「うん、何か食べるモノはないかと思ってね。漁りに来たという訳さ」ガサガサ

マシュ「あ、あはは。夜にお腹が空くと困りますね」

レオナルド「全くだ。……何かないかなー……おっ、豆だ! どうだいマシュ、一緒に食べる?」

マシュ「……はい、頂きます」

レオナルド「うん、そうしよう。それじゃ、そこの椅子に座ろうじゃないか」



826: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:06:37.65 ID:sdblcI+t0

マシュ「……」モグ……

レオナルド「……」モグモグ

マシュ「……」

レオナルド「……どうした、食べないのか?」

マシュ「……あ……その……」

レオナルド「……お腹、空いてなかったり?」

マシュ「……」


827: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:07:21.52 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……私じゃ、頼りないかもしれないけどさ。ほら、ロマニはあの性格だ、人の悩みとかも抱え込んじゃうし。その点、私ならうまく処理できる」

マシュ「……」

レオナルド「……だから、なんだ。強制するワケじゃないけど、相談も時には必要だよ」

マシュ「……」

レオナルド「……」


828: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:07:50.79 ID:sdblcI+t0

マシュ「……皆」

レオナルド「……」

マシュ「皆、私のせいで死んでいくんです。マリーさんもそうだったし、清姫さんだって……荊軻さんも……ブーディカさんも……」

レオナルド「……」

マシュ「……マスター、も」

レオナルド「……」

マシュ「私が、もっと強ければ……皆、守れたのに。全部、私のせいなんです。半端な覚悟で、レイシフトに臨んで……全部、駄目になる」

レオナルド「……」


829: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:08:26.86 ID:sdblcI+t0

レオナルド「マシュ。良いかい?」

マシュ「……」

レオナルド「ブルースが居なくなって辛いのは分かる。でもね、全部の責任を自分で背負い込む事はない。皆、行動を選択して、ベストだと思った動きをしているんだ」

マシュ「……私なんかを、救う事が……ベスト、なんですか?」

レオナルド「……自分の価値を下げて見ちゃいけないな。キミはかけがえのない存在なんだ」

マシュ「……かけがえのない……」

レオナルド「そうだ。キミだって、皆に死んでほしかった訳じゃないんだろう?」

マシュ「それは! それは、当然です」

レオナルド「なら大丈夫。キミはもう一度立ち上がれるね?」



830: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:08:57.06 ID:sdblcI+t0

マシュ「……はい」

レオナルド「……なら、いいんだ。ほら、豆も食べなよ」

マシュ「……はい」モグモグ

レオナルド「……」モグモグ


レオナルド(……もう少し、普段から人に興味を持ってればな……もっと上手い激励も出来たんだろうけど)


831: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:09:24.21 ID:sdblcI+t0

レオナルド「……」モグモグ

マシュ「……あの」

レオナルド「なんだい?」

マシュ「ありがとう、ございます」

レオナルド「……良いのさ。ほら、早く豆を食べて。夜食は職員に見つかったら怒られるんだ」モグモグ

マシュ「はい」モグモグ


832: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:10:07.51 ID:sdblcI+t0


………………


ブルース「…………」


 世界が流れて行く。時間が流れて行く。この場所では、物理的な概念は消えうせる。

 視界が歪む。地面に足をついたまま飛ぶ。雨粒が天へ上がる。稲妻が地を走り、砂嵐が宇宙を覆う。人々は死んで活動を始め、生まれて活動を停止する。

 極天の流星雨が、滝のように降り注ぐ。輝く世界は、嘘で覆われている。


清姫「嘘はいけませんわ、旦那様。嘘は忌むべきもの。心無き者の所業」

リドラー「だが何故嘘はいけない? 人々の世界を上手く回すためには必ず必要になる潤滑剤だ」

清姫「嘘はいけませんわ、旦那様。嘘はいけませんわ、旦那様。嘘はいけませんわ……」

リドラー「何故嘘はいけない? 何故嘘はいけない? 何故嘘はいけない?」



833: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:11:21.51 ID:sdblcI+t0

ブルース(……ここは、何処だ……)

荊軻「ここは何処でもない、ブルース。川の流れの途中にある、岩のようなものだ。流された者が引っかかる『淀み』だ」

ブーディカ「あちゃあ、キミもここに来ちゃったか。でも大丈夫。ここも案外心地良いよ?」


ブルース(流された……何故私はここに居る? ああ、思考が……心地良さで、染まる……)


荊軻「ここは何処でもない、ブルース。ここは何処でもない、ブルース。ここは何処でもない……」

ブーディカ「ここも案外心地良いよ? ここも案外心地良いよ? ここも案外心地良いよ……」

ブルース(……そうだ、私は……マシュを庇い、レイシフトの帰還から取り残され……)

フォウ「フォウ、フォーウ」

ブルース(……思考をクリアに保て……自分を見失うな……私はブルース・ウェイン……私はバットマン……)



834: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:12:09.59 ID:sdblcI+t0

バットマン「だが、何故お前がバットマンなんだ?」

アルフレッド「ブルース様、私はあなたに生きていて欲しかった。それだけが、私の望みだったのです」

バットマン?「私はバットマンではないのか?」

アルフレッド「貴方は死んでしまった。貴方をお守りするべきだったのに、私は死んでいた。私はきっと地獄へ堕ちるでしょうな」

???「私はバットマンだったはずだ」

アルフレッド「さようなら、ご主人様」

怪物「……私は、バットマンではなかったのか?」



835: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:12:46.67 ID:sdblcI+t0

ブルース(……)

怪物「頼む、教えてくれ。私は何だ? なぜこうなってしまった?」

ブルース(……ああ、心地いい……)

怪物「父さんと母さんは何処だ? 会わせてくれ。私を怪物にしないでくれ」

ブルース(……このまま、思考を止めてしまえば……)

フォウ「フォウ!!」ガブッ


836: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:13:23.84 ID:sdblcI+t0

ブルース(……ぐっ……)

怪物「あ……」

怪物?「……私は……」シュウシュウシュウ……

バットマン?「……私は……」シュゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥ……

マスク「」カラン

ブルース(…………)パシッ

ブルース(……)スッ


バットマン「……」スタッ


837: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:13:59.75 ID:sdblcI+t0

バットマン「……フォウ。居たのか」

フォウ「フォウ、フォーウ!」

バットマン「ここは何処か、分かるか? ……いや、答えるハズも無いか」

フォウ「フォウ……」シュン


バットマン(……地面……と、呼んでいいものか……? 土の橋が、曲がりくねって奥まで続いている……先が見えないほど奥まで……)


バットマン「……とにかく、歩くとしよう。ついて来れるか、フォウ?」

フォウ「フォウ、フォーウ!」コクリ



838: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:14:42.56 ID:sdblcI+t0

バットマン(……妙な感覚だ。歩いているのに、脚に負担を感じない……それに、道の向こうにはずっと宇宙が広がっている……)スタスタ


バットマン「……」ピリピリッ


バットマン(……それに、視線を感じる)


フォウ「……」テクテク

バットマン「……」スタスタ



839: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:15:36.92 ID:sdblcI+t0

「夢、というのは奇妙なものだ。何処から何処までを夢と定義するのか、その仕切りは結構曖昧でね」


バットマン「……誰だ!」

フォウ「フシャー!」ゾワゾワ

「いやいや、キミ達に敵意は無いんだ。むしろ味方、大ファンさ。いつも見てるからね……ほら、歩いてくれ。僕の用意した道の上を、さ」


バットマン「……」ジリッ


「……そんなに警戒したって、どうせその道しか残ってないんだからさ。ほら、キャスパリーグからも何か言ってやってくれよ」


フォウ「……」ジリジリ


「……なんでキャスパリーグが一番僕の事を警戒してるんだよ。いいよ、じゃあ好きにしなよ。時間はたっぷりあるからね……」


バットマン(……妙に軽薄な声。だが敵意は感じられない……大人しく従うか?)


840: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:16:53.39 ID:sdblcI+t0

バットマン「……」スタスタ

「……僕、最近結構暇しててね。キミ達の活躍をずっと見てたんだ。いやぁ、素晴らしいモノだった。特にブルースくん、人間なのにガッツがあって……アレ、アルトリアにも負けないくらいスゴイんじゃないかな?」


バットマン(アルトリア……冬木で戦った、黒い騎士王……)


「いや誰かと比べるつもりは無いんだけどね、ぶっちゃけ言ってキミの精神力だけで言うなら宇宙でもダントツくらいじゃないか? ハチャメチャな時流の中で全く自我を損傷してないって、どんな精神構造してるんだ」


バットマン「……」スタスタ


「あ、ごめんよ。気を悪くしたなら謝る。褒めたんだ、一応……」



841: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:18:02.73 ID:sdblcI+t0

バットマン(……? 光が、見え始めた……?)


「……ああ、そろそろ着くね。この後、ちょっとした悪意がキミを襲うだろう。でも大丈夫、きっと助けが来るよ。だからいつも通り、諦めずに立ち上がってくれ」

バットマン「……お前は誰だ?」

「……言っただろう? 僕はキミの大ファンだ。頑張ってくれよ、ヒーロー……」ヴゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥゥン……


バットマン(気配が……消えた……)


フォウ「フォウ、フォウ」

バットマン「……ああ。行こう」スタスタ



842: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:18:51.92 ID:sdblcI+t0

ザアザア……ザアザア……

バットマン「……!」


バットマン(妙な空間を……抜けた? ここは一体……妙に既視感が……)


母親「ふふ、公演が楽しみね」

子供「……うん」

父親「それにしても、酷い雨だな……間に合うか?」


バットマン「……!!」

バットマン(いや、まさか。そんな筈はない。そんな馬鹿な)




843: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:19:20.86 ID:sdblcI+t0


子供「……今日も、仮面をつけた人達がいっぱい居るの?」

父親「ははは、ブルース。怖がることはない。それがオペラのマナーのようなものだ」

母親「ブルース、大丈夫よ。今日のオペラはね、仮面をつけた正義の味方が、悪人をやっつけるお話なの」


ピシャアッ‼

子供「!! あ、あの暗いところ……あそこに何か居たよ、父さん」

父親「全く、ブルースは臆病だな。大丈夫、闇の中には何も居ない」



バットマン「……」


バットマン(……)



ザアザア……ザアザア……





844: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:20:22.70 ID:sdblcI+t0

………………

ザアザア……ザアザア……


ギュォォォォォォォォォォッ

マシュ「……っ」ドサッ

ドクター『もしもし、マシュ? レイシフトはうまくいった?』

マシュ「っ……はい、今回のレイシフトも上手く行きました。ここは……裏、路地……?」


バットマン「……マシュ」

マシュ「え……ま、ます、たー……?」

バットマン「……こっちへ来てくれ」

マシュ「マスター、生きてたんですね……! ここは何処なんですか? いえ、それより……」

バットマン「マシュ、頼む。来てくれ」

マシュ「……わ、わかりました……」



845: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:21:11.31 ID:sdblcI+t0

ザアザア……ザアザア……


バットマン「……」

マシュ「……ここは……屋根の上?」

バットマン「……ここからなら、どこまで行ったかがよく見える」

マシュ「え……」

バットマン「……」


???「……でも、こんなに怖がるなんて思わないじゃないか」

???2「それはそうだけど、でもしょうがないじゃないの」

???3「くちゅん!」

???2「大変……あなた、ブルースが風邪をひいてしまうわ。早くタクシーでも捕まえましょう」



846: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:21:50.70 ID:sdblcI+t0

バットマン「32年前。とある家族が、雨の日にオペラを鑑賞しに行った。
まだ幼かった子供は、舞台に出て来た巨大なコウモリ、そして仮面の男を恐れ、両親に帰りたいと伝えた」


父親「そうだな、そこの裏路地を通って……」


バットマン「……両親は子供を気遣い、舞台の途中で抜け出して帰る事を決めた。
酷い雨だった。子供の体調を思い、彼らは近道を選んだ」


強盗「止まれ……財布を寄越せ」チャキッ

子供「お、お父さん……」


バットマン「……クライム・アレイ。犯罪通りを通り抜けようとしていた彼らは……」


父親「くっ、この……」ガシッ

強盗「抵抗するんじゃねえ! この……!」カチッ


パン、パン


847: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:23:56.18 ID:sdblcI+t0

父親「……ぐっ、逃げろマーサ、ブルース……」


マシュ「たっ、助けに! 行かないと!」

バットマン「……駄目だ、マシュ。これは……止めては、駄目なんだ」



母親「あ、あなた! いや! そんな!」

強盗「うるせえ! 騒ぐんじゃねえ!」カチッ、パン‼

母親「あ……」


マシュ「なんでですか!? なんで助けては……」

バットマン「……」



848: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:24:26.65 ID:sdblcI+t0

父親「……」

母親「……」

子供「おとう、さん……おかあさん……」


マシュ「……ぁ……」

バットマン「……これは、私が私になるための……必要な、時間だ」



ザアザア……ザアザア……


849: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:25:04.07 ID:sdblcI+t0

???「……ふん、つまらん。肉親の死を見せても助けにすら行かんか」

バットマン「……ソロモン。やはりお前の仕業だったのか」

ソロモン「そうだ。貴様に命のもろさをもう一度教え……あわよくば、貴様という存在を消そうとしていたのだ」

マシュ「……あなたが……!」

バットマン「よせ、マシュ……では、今回の特異点はこれで終わりだな」

ソロモン「……怪物め。お前は怪物だ、ブルース・ウェイン」



850: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:25:40.81 ID:sdblcI+t0

バットマン「……」

ソロモン「……だが、覚えておけ。怪物は、自分以上の怪物には勝てん。お前はいつか敗れ去る」

バットマン「……」

ソロモン「……さらばだ。次に会うその時こそ、貴様の答えを聞こう」シュゥゥゥゥン……

バットマン「……」



851: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:26:17.34 ID:sdblcI+t0

ピピー‼ピピー‼


ドクター『……マシュ、随分長い間通信が途切れていたが……大丈夫かい?』

マシュ「……はい、ドクター。マスターを発見しました」

ドクター『本当かい!? 良かった、それじゃ……これよりレイシフトを終了、帰還させる! ブルースくんの手を掴んでいてくれ!』

マシュ「……はい。マスター」スッ

バットマン「……ああ」パシ


ギュォォォォォォォォォォッ



852: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:26:57.24 ID:sdblcI+t0

………………

バットマン「……」ムクッ


ドクター「……! ブルース、くん……よかった、ブルースくん」

所長「ブルース! ああ、本物よね? 良かった、ブルース……ブルース?」

バットマン「……すまない。迷惑をかけた……」スタスタ


レオナルド「ちょっとブルース、皆心配してたんだ。いくらなんでもそれは……」

マシュ「ダヴィンチちゃん……」

レオナルド「……どうしたんだ?」

マシュ「……」フルフル

レオナルド「……?」



853: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/25(木) 01:27:36.75 ID:sdblcI+t0


バットマン「……」スタスタ


バットマン「……」ピタッ


バットマン「…………っ……」ググググ……


(((おとう、さん……おかあさん……)))



バットマン(……私は、怪物だ……)グググ……




867: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/25(木) 17:42:39.54 ID:M7t47Hin0
バットマン「……これは、私が私になるための……必要な、時間だ」

マシュ「……違う! あなたはどう生きてもあなたになる!」

マシュ「あなたが過去に打ちのめされ! 動けぬのであれば!」

マシュ「わたしは! わたしの盾を! あなたを打ちのめす過去に!」

ブルース「マ、シュ……私、は……」

マシュ「叩きつけてやる!」

868: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/25(木) 17:43:09.31 ID:M7t47Hin0
強盗「うわあああああ!」ドンッ

マシュ「はやく! ここは私に任せて逃げてください!」

トーマス「だがこんな場所できみ一人で!」

マシュ「大丈夫です! それより警察を呼んでください!」

トーマス「……すまないがここは任せる! マーサ、ブルース!」

869: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/01/25(木) 17:44:01.15 ID:M7t47Hin0
ブルース「(あの日は、暗い雨の夜だった)」

ブルース「(あの夜、両親と、私を助けてくれた彼女の姿は、既に朧気なものとなっていた)」

ブルース「(だが、あの時、芽生えた憧憬は)」

ブルース「(私を常に突き動かした)」

ブルース「(両親は、放蕩息子の道楽としか言い様のない活動に気付いてはいたが、黙認してくれた)」

ブルース「(唐突に現れ、唐突に姿を消した彼女に、恩人に)」

ブルース「(何らかの形で報いたかったのだろうと、私は考えている)」

ブルース「……さて」

ブルース「デッドショットの次の計画は……」カタカタ

871: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 01:58:42.70 ID:N5jYKcwR0

………………

マシュ「…………」カチャカチャ……

レオナルド「……やあ、おはようマシュ」

マシュ「あ……ダヴィンチちゃん。おはようございます」

レオナルド「隣、いいかな?」

マシュ「はい。どうぞ」

レオナルド「ありがとう」



872: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 01:59:45.41 ID:N5jYKcwR0

マシュ「……」モグモグ

レオナルド「……あれから、ブルースと話、したかい?」

マシュ「……」ピタッ

レオナルド「……まあ、そんな事だろうとは思ったけどさ」

マシュ「……おかしい、ですよね。会いたくて、話をしたくてたまらなかったのに……いざ会ってみると、こんな……」



873: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:00:20.62 ID:N5jYKcwR0


レオナルド「あのレイシフト先で何があったのさ? 短時間すぎて、こちらでは何の情報も……」

マシュ「……それは……」

レオナルド「……言えない?」

マシュ「……ごめんなさい」

レオナルド「別に、謝る事じゃない。……でもその反応から察するに、何かは確実にあったんだろうね」

マシュ「……」



874: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:00:50.39 ID:N5jYKcwR0


マシュ「……ときどき、思うんです」

レオナルド「何を?」

マシュ「人間である事をやめられたら、どれだけ楽なんだろうって」

レオナルド「……それは、キミ。どちらにしても辛いものさ」

マシュ「……そう、なんでしょうか」

レオナルド「ああ、保証するよ」



875: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:01:28.49 ID:N5jYKcwR0

………………

ブルース「……」ペラ、ペラ……カタカタ


コンピュータ『マシュ・キリエライト サーヴァント
英霊の真名:未判明 弱点:未判明
長物相手の戦いだと苦戦しがちな傾向有り
精神面の弱さが目立つ それも留意』


ブルース「……」


(((お前は怪物だ)))

ブルース「……」カタカタ


コンピュータ『オルガマリー・アニムスフィア 人間
       人理継続保障機関カルデアス  所長
       魔法の使用が可能 格闘の才能は無し
       パニックを起こしやすい 留意』

コンピュータ『レオナルド・ダ・ヴィンチ サーヴァント
       発明家 頭が非常にキレる 天才型
       魔法の使用が可能  格闘の才能は不明
       実質カルデアの柱 負担大 留意』



876: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:02:22.79 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……」

コンピュータ『ロマニ・アーキマン 素性不明
       ドクター 腕は確か 優柔不断
       魔法の使用・格闘の才能:不明
       カルデアの陰の柱 負担大 留意』

ブルース「……」カタカタ

コンピュータ『ロマニ・アーキマンについては不明な点が多い。今後も気を抜くべき相手ではn』


ガチャリ

所長「……こんなところに居たの、ブルース」

ブルース「……オルガマリー所長か」ピッピッ、シュゥゥゥゥン……



877: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:03:08.40 ID:N5jYKcwR0


所長「何をしてたの?」

ブルース「……本を読んでいた」

所長「そう。図書室だものね」

ブルース「……ああ」

所長「……」グッ……

ブルース「……」

所長「うそ、つかないでちょうだい」キッ

ブルース「……」



878: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:03:35.52 ID:N5jYKcwR0

所長「……また、死ぬ気?」

ブルース「違う」

所長「何が違うの? 全部秘密にしてるのに、なんで違うなんて言えるの?」

ブルース「……それは……」

所長「……」

ブルース「……すまない」

所長「……そう。また、何も言わないのね」

ブルース「……」



879: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:04:05.21 ID:N5jYKcwR0

所長「……でも、もう、他人じゃないでしょ。私と……私達と、アンタって」

ブルース「……」

所長「いきなり、居なくなったら……辛いのよ。こっちだって」

ブルース「……」

所長「……だから……」

ブルース「……悪かった」

所長「……」



880: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:04:41.85 ID:N5jYKcwR0

所長「……そう言って、何も反省してないくせに。私だって分かってる」

ブルース「……」

所長「だから、私……アンタが帰って来たら、これだけは伝えようと思ってた。
アンタのやり方、大っ嫌い。本当に大嫌い。心の底から、嫌いよ」スタスタ、ガチャッ

ブルース「……」


ブルース「……」パタン

ブルース「…………」スクッ



881: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:05:38.14 ID:N5jYKcwR0

………………


ブルース「……」スタスタ

レオナルド「やあブルース! スーツをまた直しておく……どうしたんだ、眉間の谷間が凄まじいぜ?」

ブルース「……いや、何でもない」スタスタ

レオナルド「おいおい、それが何でもない奴の顔かよ……おーい、ちょっと? 聞いてるー?」

ブルース「……」スタスタ


レオナルド「……まったく、なんだってどいつもこいつも! いくら天才の私だって堪忍袋の緒が切れるぜ!」プリプリ

レオナルド「…………まったく、なんだって……」シュン

レオナルド「……は~……」ガクッ


882: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:06:11.45 ID:N5jYKcwR0

………………

ブルース「……ふっ!!」ゴズッ、ズズズズズズズズ……

ブルース「ふーっ、ふーっ……!」ズズズズズズズズ……


(((逃げろマーサ、ブルース……)))

(((お前は怪物だ)))

(((アンタのやり方、大っ嫌い)))


ブルース(私は、死ぬ言い訳が欲しかっただけなのか? 誰かを守ろうと思っていた事などあるのか?)


ブルース「……ふーっ……ふーっ……!」ズズズズズズズズ……


重り「「「」」」ズズズズズズズズ……



883: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:06:55.76 ID:N5jYKcwR0

ドクター「……精が出るね、ブルースくん」

ブルース「……ドクターか」ズズズズズズズズ……

ドクター「それ、何キロの重り?」

ブルース「……450キロだ……!」ズズズズズズズズ……

ドクター「……それ、絶対サーヴァント用のトレーニング器具だよね。全く、無茶しすぎだよ」

ブルース「……」ズズ……ピタッ

ドクター「休憩するかい?」

ブルース「……ああ」

ドクター「ん」



884: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:07:35.17 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……」

ドクター「……」

ブルース「……」

ドクター「……水、いるかい?」

ブルース「……ありがとう」

ドクター「どうぞ」スッ

ブルース「……」パシ



885: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:08:01.45 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……」

ドクター「……大変みたいだね」

ブルース「……」

ドクター「カウンセリング、必要かい?」

ブルース「……何故、私なんだ」

ドクター「そりゃ、……男友達だし。何か話せる事とかあるんじゃないか?」

ブルース「……」



886: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:08:28.07 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……私のやり方は、ここでは受け入れられないのかと思ってな」

ドクター「……そうだね。いきなり消えられたら、ちょっとびっくりしたかな」

ブルース「……私にとっては、最適解だった」

ドクター「うん、分かってる。でも……でも、頼ってくれれば、何とかできたかもしれない」

ブルース「……」



887: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:08:56.68 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……できたかもしれない、というのは、理想だ。理想で世界は救えない」

ドクター「分かってる。でも、理想が無きゃ戦えないだろ?」

ブルース「……そうかも、しれない。だが私には理解できない」

ドクター「……ブルース、キミは人間なんだ。人間として人理を救わなくちゃ……そうでなくちゃ、何のためのカルデアなんだい?」

ブルース「……」



888: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:09:37.34 ID:N5jYKcwR0

ブルース「…………考えてみる」

ドクター「……うん。ふふ……」

ブルース「何か可笑しかったか?」

ドクター「いや、何でもないんだ。……そうだね、考えてみてくれ」

ブルース「……ああ」



889: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:10:42.38 ID:N5jYKcwR0

ブルース(……怪物では、怪物には勝てない)

ブルース(私は……私は、戻れるのか)

ブルース(……いや、戻るしかない。たとえ、不可能でも……挑戦し続けるしかない)

ブルース(何故なら、その必要性があるからだ。カルデアと共に戦うには、人間に……なる必要が、ある)

ブルース(……ゴッサムシティとは、真逆か……)



890: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:11:17.99 ID:N5jYKcwR0

………………


レオナルド「……」チュイイイイィィィィィィ……カチャカチャ

レオナルド「……うーむ、このスーツのチタンの構造は正直……流体金属に……」カチャカチャ


ブルース「……そこは軽さを重視して欲しい」

レオナルド「……うん、私もそう思ってた。工房へようこそ、ブルース」



891: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:11:55.96 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……昼間は悪かった」

レオナルド「何、お互い様さ。私も空気が読めないところは自覚してるしね」チュイイイイィィィィィィ

ブルース「……スーツの機構も。特異点で、もっと活かせられれば良かった」

レオナルド「そこも、お互い様かな。ま、次があるだけ良いって事だよ」カチャカチャ

ブルース「……」

レオナルド「……」カチャカチャ……ジュウッ

ブルース「……」

レオナルド「……マスク、割れてたっけ」

ブルース「……ああ」



892: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:12:27.14 ID:N5jYKcwR0

マスク「」ボロッ

レオナルド「また随分無茶をしたもんだ」

ブルース「……」

レオナルド「……まあ、アルテラを一人で相手するって言われた時から分かってたけどね。一応強化しておいた防具をよくまあここまで」

ブルース「……怒っているのか?」

レオナルド「怒ってないと思うか?」

ブルース「……」

レオナルド「当然、怒ってるさ。一人で聖杯持ちのサーヴァントの相手? 無茶にも程があるよ。人理を焼かれる前に心配で死ぬさ。皆の前だから冷静に振る舞ってたけど、私だって心がある」

ブルース「……」

レオナルド「……まあ、キミをいくら責めても何の足しにもなりゃしない。レイシフトは元々危険なものだし、命懸けだって事くらい把握して、理解してた」



893: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:13:06.58 ID:N5jYKcwR0

レオナルド「……でも、頼れよ。そのための仲間だろう?」

ブルース「……」

レオナルド「……それとも、仲間だと思ってたのはこっちだけかい?」

ブルース「…………」

レオナルド「……はあ、呆れた。キミはよっぽど孤独体質みたいだ」

ブルース「……すまない」

レオナルド「責めてないよ。ただ、不器用なんだなって思っただけだ」

ブルース「……悪かった」

レオナルド「だから……まあいいや」



894: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:13:55.79 ID:N5jYKcwR0

レオナルド「でも、次からは頼る事。でないと、もうスーツを直してやらないぞ」

ブルース「それは困る」

レオナルド「だろう? ふふ、人の弱みに付け込むのはいいものさ」

ブルース「……良い性格だな」

レオナルド「誉め言葉として受け取っておくよ」チュイイイイィィィィィィ



895: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:14:23.85 ID:N5jYKcwR0

………………


所長「……」

ブルース「……」

所長「何よ」


ブルース(……手強い……)



896: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:14:55.24 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……昼間は、悪かった」

所長「昼間? だけ?」

ブルース「……この前の特異点でも」

所長「……それだけ?」

ブルース「……冬木でも」

所長「……」

ブルース「……計算だけの行動だった」



897: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:15:29.45 ID:N5jYKcwR0

所長「……はあ……」

ブルース「……」

所長「別に、ね。アンタが計算して行動する事は、悪いとは思ってないわよ。それは必要な事だし、やらなきゃ駄目な時に躊躇ってたら死んじゃうし」

ブルース「……」

所長「……アタシも、ごめんなさい。自分の感情に振り回されるなんて、所長としてあるまじき醜態よね」

ブルース「……」

所長「……」



898: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:16:10.85 ID:N5jYKcwR0


所長「……だけど……だけどね、ブルース」

ブルース「……」

所長「やっぱりアタシ、アンタに……いえ、誰にも死んでほしくないのよ」

ブルース「……必ず善処する」

所長「……」

ブルース「……」

所長「……ごめんなさい」

ブルース「……いや」



899: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:16:46.33 ID:N5jYKcwR0

………………

ブルース「……マシュ」

マシュ「……!」タタッ

ブルース「……」

………………

【キッチン】

ブルース「マシュ」

マシュ「!!」ダッ

ブルース「……」


【廊下】

ブルース「マシュ」

マシュ「!!」シュンッ

ブルース「……」


【図書室】

ブルース「ま」

マシュ「!!」ヒュンッ

ブルース「……」



900: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:17:21.97 ID:N5jYKcwR0

………………

ブルース(……マシュに避けられている。被害妄想ではない)


ピーンポーンパーンポーン


ドクター『もしもし、こちら管制室。次のレイシフト先が特定できた。カルデアの職員、レイシフト要員はただちに集合してくれ』

ブルース「……」


ブルース(……この最悪なコミュニケーション状態のまま、レイシフトができるのか……?)



901: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:17:56.91 ID:N5jYKcwR0

………………

所長「では、今回のレイシフトの説明を始めます。よろしく」

職員達「「「よろしくお願いします!!」」」

所長「時代は16世紀後半。場所は……何処かの海洋という事は判明していますが、判然としません。性質から判断するに、ヨーロッパ、大西洋……その辺り」


マシュ「……」ジ……

ブルース「……?」チラ

マシュ「……」フイ

ブルース「……」



902: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:18:42.97 ID:N5jYKcwR0

所長「今回のレイシフトも恐らく過酷なものになるでしょう。ロマニ、レイシフト組の二人の健康状態は?」

ドクター「良好です。ただ、今回のレイシフト先は海ばかりだと聞いてて……いきなり湿気と潮風まみれになると、人間であるブルースくんの健康状態に少し懸念があるかと」

所長「……レオナルド、なんとかできるかしら?」

レオナルド「勿論、既にスーツには超速乾燥機能と暖房機能をつけておいた。あと、沈まないための軽量化も完璧」

所長「流石ね。ではレイシフト要員は解散して大丈夫よ。次、サポート班。今回の動きを確認します」

職員達「「「はい!!」」」



903: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:19:15.94 ID:N5jYKcwR0

マシュ「……」スタスタ

ブルース「……マシュ、待ってくれ」

マシュ「……」ピタッ


マシュ「はい、なんでしょう?」クルッ



904: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:19:42.14 ID:N5jYKcwR0

ブルース「この前のレイシフトの事を……」

マシュ「大丈夫です。……大丈夫、ですから」

ブルース「……大丈夫とは?」

マシュ「……私は、平気です」

ブルース「……」



905: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:20:09.76 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……だが……」

マシュ「話はそれだけですか? では失礼しますね」スタスタ

ブルース「……」


ブルース(……これは、厄介かもしれない)



906: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:20:40.26 ID:N5jYKcwR0

マシュ(……もう、分からない。どうしたら良いのか、分からない)

マシュ(マスターは……ご両親を殺されて……自分も、死のうとしてて……それが、理解できてしまう)

マシュ(……これ以上、近付いたら……もしマスターが私を庇って死んだら……耐えられない……)


マシュ「……」スタスタ



907: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:21:09.17 ID:N5jYKcwR0

………………


ブルース「……」

時計『03:27』

ブルース(……)

ブルース(……私の努力など、所詮その場しのぎの一時的なものに過ぎないのだろう)

ブルース(……だから、か。マシュにはそれが通用しない。彼女は純粋で……私の魂胆など、すぐに見抜く)

ブルース(……根底の部分は変えられない、か……)


908: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:21:37.89 ID:N5jYKcwR0

(((お前は怪物だ)))


ブルース(……本当に、変われないのか……)

ブルース(……コウモリの怪物に怯える、子供の頃から……何も……)

ブルース(……)


ピピピピ‼ ピピピピ‼


時計『07:00』ピピピピ‼ ピピピピ‼


ブルース「……」ムクリ



909: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:22:10.03 ID:N5jYKcwR0

ピーンポーンパーンポーン

所長『朝の七時です。おはよう。第三回レイシフト前最後の打ち合わせをするので、関係者は管制室へ集合してください。今から20分後、遅れないように!』

ブルース「……」スクッ、スタスタ


910: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:22:36.86 ID:N5jYKcwR0

マシュ「あ……」

ブルース「……おはよう」

マシュ「……おはよう、ございます」

ブルース「マシュ、少し話が……」

マシュ「……」スタスタ


ブルース(……成程、アルフレッドに「人と触れ合え」と言われたわけだ……大人の女性ならまだしも、この年頃の娘の扱い方が全く分からない)フム……



911: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:23:06.42 ID:N5jYKcwR0


………………

所長「……以上が、今回のレイシフトにおける概要となります。何か質問は?」

職員達「「「……」」」

ブルース「……」

マシュ「……」


所長「……あの、ちょっといい?」

ブルース「……ああ。何だ?」

所長「貴方とマシュって、いつもそんな離れて座ってた?」


ブルース「……」

マシュ「……」

ドクター「……」

レオナルド「……」


所長「……い、いえ。別に構わないのだけど、ちょっと気になっただけだし……それじゃ、九時までに準備を!」



912: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:23:38.08 ID:N5jYKcwR0

ドクター(……マシュとブルースくんって……)

レオナルド(シッ、静かに。あれは二人で解決させるべき問題だよ)


マシュ「……」スタスタ、ガチャッ

ブルース「……」ジッ


レオナルド「……ごほん! そろそろ準備をしなよ、ブルース」

ブルース「……ああ、そうだな」スクッ



913: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:24:12.09 ID:N5jYKcwR0

ブルース「……」ガチャガチャ、ガチッ

ブルース「……」シュッ、カチリ。シュルッ


マスク「」

ブルース「……」スッ

バットマン「……」



914: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:25:07.61 ID:N5jYKcwR0

ドクター「時刻、08:58。ブルース・ウェイン、マシュ・キリエライトの両名ともにコフィンにスタンバイ完了」

職員A「存在証明式、運転開始。観測は順調」

職員B「電子機器類に異常は認められません! AIによるウィルス検査もクリア!」

職員C「シバによる時代特定、良好! 16世紀後半の特異点をロック!」


所長「では……海洋へのレイシフト、カウントダウン開始!」

職員達「「「了解、カウントダウン開始!」」」


ドクター「……ほんとに上手くいくのかなぁ」

レオナルド「大丈夫だ。ブルースは不器用な男だが、馬鹿ではないからね」

ドクター「……うん、確かに。よし、僕たちはしっかりサポートしなきゃね!」

レオナルド「勿論! 今回もやってやろうぜ!」



915: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:25:34.38 ID:N5jYKcwR0

(((大丈夫です。私は、平気です)))

バットマン(……拒絶か……)

ドクター『レイシフト10秒前! 9! 8! 7! 6! ……』


バットマン(……いや、諦めるわけにはいかない)

ドクター『3! 2! 1!』

バットマン「……」グッ

『0』



916: ◆GmHi5G5d.E 2018/01/26(金) 02:26:05.11 ID:N5jYKcwR0


第三章

封鎖終局四海 オケアノス


次回 バットマン「グランド……オーダー?」 マシュ「その2です」 前編