P「ゲームの世界に飛ばされた」2  その3

769: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:14:04.75 ID:nCICvjk2O
シルフの家

真「………っ」モゾモゾ

真「………んんっ」ガバッ



真「…………あれ……?」

真「ここ、どこだろ……?」キョロキョロ

真「………ふわぁ」

真(ボク、どうしたんだっけ……?)

真(確か、伊織と一緒に博士と戦って……ロボットが自爆しちゃって……)

真(……そうだ。その後に、巨大砲を壊したんだ……)

真(それで、力を使い果たして……)

真(……ん?なんだか、温もりを感じるような……)チラ

シルフ「……zzz」

真「………」

真「…………誰?」

真(なんでボク、こんなに小さい女の子と一緒に寝てるの……?)

シルフ「………んっ」モゾッ

シルフ「んん〜……」

シルフ「………おや〜?」

シルフ「起きたんですね〜?おはようございま〜す………」

真「おはよ……」

真「ねえ、ひょっとして……」

真「君が、ボクを助けてくれたの?」

シルフ「はい、そうですよ〜」

シルフ「バブイルの塔の入口で倒れていたあなたを、誘か………」

シルフ「………コホン」

シルフ「助けて、介抱したんです〜」

真「そうだったのか……」

真「お世話になっちゃったね。ありがとう!」スクッ

シルフ「あ、まだ寝てなきゃ……」




引用元: P「ゲームの世界に飛ばされた」2 


ファイナルファンタジーXII ザ ゾディアック エイジ - PS4
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770: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:16:22.73 ID:nCICvjk2O

ヒョイッ…スタッ!


真「ん〜〜っ!」ノビッ

シルフ「あ、あれ?怪我はもう、いいのですか?」

真「うん。多分、もう大体治ってるはず!」コキッコキッ

シルフ「ええっ?あんなにひどい怪我だったのに?」

真「……まあ、身体動かしてると自然治癒能力も鍛えられるからね!」グッグッ

シルフ「はぁ……なんだかすごいんですね〜」



真「………それじゃ、ありがとう!ボク、行くね!」クルッ

シルフ「えっ?えっ?ちょ、ちょっと待ってくださいよ〜!」

真「ごめんね?みんなが待ってるから……」

シルフ「ううっ……そ、そんなぁ……!」グスッ

シルフ「わ、わたし……また、ひとりぼっちに……っ……!」ヒック

真「な、泣かないでよぉ……」

シルフ「やっぱり……私はずっとひとりなんだ……」

シルフ「死ぬまでずっと、ひとりぼっちなんです〜〜!」

シルフ「うえぇぇぇええん!」ポロポロ

真「ま、参ったな………」ポリポリ

真「早くみんなのところに行かないといけないんだけどなぁ……」

シルフ「ううぅぅぅうっ!」

シルフ「……」チラ

真「うーん……」

シルフ「グスッ……えぐっ……!」

シルフ「……」チラ

真「はぁ………」

真「…………わかったよ」

シルフ「!」




771: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:20:32.76 ID:nCICvjk2O

真「もう少しだけ、ここにいる事にするよ」

シルフ「ほ、本当ですかっ!?」ズイッ

真「わっ!」

真「う、うん……本当だよ。ちょっと君、近い……」

シルフ「ありがとうございます〜!」

シルフ(……………チョロいです)ニヤリ



シルフ「ふつつかものですが、よろしくお願いします〜」

真「あ、うん。よろしくね!えっと……」

真「……そういえばボク達、自己紹介もしてなかったね」

シルフ「あ、そうでした……」

シルフ「私は、幻獣の『シルフ』と申します〜」

真「げんじゅう……?」

シルフ「あ、ご存知ないんですね?」

シルフ「まあ、妖精のようなもの、と思ってもらえれば〜」

真「妖精かぁ……初めて見るかも」

真「ボクは、菊地真!マコトって呼んでよ!」

シルフ「マコトさん、ですか〜」

シルフ「良い名前ですね〜」

シルフ「マコトさんは、ドワーフの方ではないんですか?」

真「違うよ?ボクは、人間だよ」

シルフ「に、にんげん……?」

シルフ「もしかして、召喚士ですか!?」

真「いや、違うと思うけど……」

真「っていうか、しょうかんしって、何?」

シルフ「召喚士は、私達のような幻獣を呼び出す事ができる人の事をいうんです」

真「呼び出す、かぁ……」

『……ヤバいって思ったら、急に変なおじいちゃんが出てきて……』

『あれ、やよいがやったんでしょ?』

真(………)

真(まさかね……)




772: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:22:25.73 ID:nCICvjk2O

真「それにしてもシルフ……」キョロキョロ

真「この部屋、埃っぽくない?」

シルフ「そうですかね?」

真「なんかよくわからないものがたくさんあるし……」スッ

真「これは、何……?」



シルフ「……ドッカーーーン!!」



真「ひっ!」ビクッ

シルフ「………って、爆発しちゃうかもしれないですよ?」

シルフ「……それ、不発弾ですから」ニコッ

真「え!?そ、そうなの……?」ドキドキ

真(びっくりしたぁ……)

シルフ「マコトさん、そこらへんに置いてある鉄くずには、触らない方がよろしいかと思います〜」

シルフ「ほとんどが、不発弾やら戦車の切れ端やらの危険物ですから」

真「えぇ〜……なんでまたそんなものを……」

シルフ「なんでと問われれば……」

シルフ「自分の身を守るタメ、ですね〜」

真「えっ?ひょっとして、誰かに命を狙われてるとか?」

シルフ「はい。魔物の方々に……」

シルフ「この家、洞窟の中にあるんですけど、一歩外に出たら、魔物だらけですから〜」ニコッ

真「魔物か……」

真「………」

真「………じゃあ、こうしよう!」

真「ボクの命を助けてくれたお礼に、少しの間、ボクがシルフの用心棒になってあげるよ!」

シルフ「ま、マコトさんっ……!」




773: ◆bjtPFp8neU 2014/12/27(土) 07:24:41.29 ID:nCICvjk2O

シルフ「……そんな事より、私の旦那様になってくださいっ!」ギュッ

真「うんうん、ボクが魔物なんてやっつけて………」

真「……って、えええっ!?」

シルフ「私、マコトさんに一目惚れしてしまったんです!」

シルフ「私の旦那様は、あなた以外に考えられないのです!」

真「いやいやいや!ちょっと待って!」

真「あのね、シルフ……」

真「ボク、奥さんがいるっていうか……」

シルフ「ガーン……!」

シルフ「そ、そんな、バカな……」

真「あ、でも、結婚してるのはこの世界の話で、実際は彼氏すらいないんだけど……」

シルフ「??」

シルフ「どういう事ですか……?」

真「えっと、なんて説明したらいいのかな……」

シルフ「よくわかりませんが……」

シルフ「私にもチャンスはあるって事ですねっ?」

真「い、いや、ボクはまだ結婚する気は……」

シルフ「ならば……」

真「っていうか、ボクは女のk」

シルフ「……既成事実を作ってしまえばいいのです!」

真「は………?」

シルフ「さあ、真さん!誓いのキッスを!」ズイッ

真「いや、ちょっと待って!落ち着いて!」

シルフ「さあ!」ズイッ



真「ご……ごめんっ!」ダッ

タタタタ…


シルフ「あっ、待ってくださ〜い!マコトさ〜ん!」フワフワ

シルフ「なんなら、子作りが先でもいいんですよ〜?」フワフワ



真「も、もっと無理だよーー!」



真(ああ……なんでボクはいつもこうなんだろう……)

真(助けてください、プロデューサー!)



776: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 21:48:59.71 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 フタミ号

真美「艦長!前方に不審な船を発見しましたであります!」ビシッ



P「………」

P「…………あ、艦長って俺の事だっけか」

真美「も〜、艦長がそんなんじゃシマらないっしょ〜」

P「そ、そうか。すまん……」

P「で、不審な船って?」

真美「ホラ、あれ!」スッ

P「ん?あれは……」

P「響が乗ってた飛空艇じゃないか?」

真美「だよね〜」

P「なんでドワーフ城なんかに停まっているんだ?」

雪歩「まさか、何かあったんでしょうか……?」

P「響のやつ、まだ春香達と合流していないのか……?」

あずさ「あら〜、それは心配だわ〜」

P「……亜美、あの飛空艇の近くに着陸してくれ!」



亜美「りょ〜か〜い!」



ブワッ…





777: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 21:54:45.85 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 エンタープライズ

P「………」

P「……静かだな」

真美「誰もいないね……」

あずさ「夕ご飯……でしょうか?何か食べた後がありますね〜」

P「そうですね」

雪歩「なんだか、とても大勢で食べたように見えるんですけど……」

P「……うん。確かに、そう見えるんだよなぁ」



亜美「ふわぁ……」

亜美「ねえ兄ちゃん。亜美、もう眠くなっちったよ……」

真美「また明日の朝に来てみない?」

P「……うーん、そうだな。もう子供はもう寝る時間だよな」

亜美「……カッチーン!」

真美「兄ちゃん、ひどっ!」

P「あ……す、すまん!そういう意味じゃ……」

真美「そういう意味にしか聞こえないっしょ〜!」

亜美「そうだそうだ〜!バツとして、兄ちゃんは亜美達と一緒に寝るんだかんねっ!」

雪歩「え、ええっ!?」

あずさ「あ、あらあら……それはちょっとどうかしら〜?」

P「そ、そうだぞ?それはさすがにダメだ」

真美「ちぇっ……」

亜美「兄ちゃんのケチんぼ〜!」

P「はいはい、わかったから」

P「ホラ、もう戻るぞ」

亜美「……ふぇ〜い」

真美(あ〜あ……)

真美(真美と亜美と兄ちゃんだけの時は、ふつ〜に一緒に寝たりしてたのになぁ……)

真美(………)

真美(みんなの兄ちゃんだもんね………ちかたないよね?)







778: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 21:59:53.77 ID:H3WJl6vJO
ーー翌朝ーー

飛空艇エンタープライズ 甲板

春香「ふわぁ……」

春香「ん〜〜〜っ!」ノビッ

春香「ふぅ……」

春香「………よく寝たなぁ」

春香「………」キョロキョロ

春香「朝……だよね?」

春香「地底って、太陽も月もないから、イマイチ時間がわからないんだよねぇ」



「…………はーーー!」

「……はっ、はっ、はーーーっ!」



春香「………あ!」

タタタタ…



春香「……千早ちゃん、おはよう!」

千早「あ……春香、おはよう」

春香「相変わらず、早いねぇ」

千早「もう、習慣になってしまっているのよ」

千早「………発声練習もね」

春香「ふふ、そっかぁ」

春香「………ん?」

春香(そういえば私、この世界に来てからアイドルらしい事をまるでやってない気が……)

春香(レッスンもご無沙汰だし……)

春香(千早ちゃんは真面目だから、こうして毎朝、発声練習をしているみたいだけど……)

千早「春香………春香?」

春香「………え?」

千早「どうかしたの?」

春香「あ、ううん、なんでもないよ」

春香(………大丈夫かな、アイドルとしての私…….)



千早「……いよいよ、最後のクリスタルね」

春香「うん」

千早「ねえ、春香。私、考えたんだけど……」

千早「小鳥さんの配下の魔物は、すでに7つのクリスタルを持っているわけよね?」



779: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:04:41.40 ID:H3WJl6vJO

春香「そうだね。どうにかして、取り返さないと!」

千早「………向こうも、同じ事を考えているんじゃないかしら?」

春香「あ……」

千早「魔物達は、あとひとつでクリスタルを揃えられる」

千早「けれど、最後のクリスタルの鍵は私達が持っているから……」

春香「……そっか!」

春香「私達が最後のクリスタルを手に入れたあとで、それを奪いに来る……!」

千早「ええ。おそらく」

春香「用心しないと、だね」

千早「そうね。どんな手を使って来るかわからないわ」




律子「………それについて、少し話があるわ」




春香「あ、律子さん。おはようございます!」

千早「律子、おはよう」

律子「おはよう、2人とも」

春香「話ってなんです?」

律子「本当は、みんなが起きたら話すつもりだったんだけど、あなた達には先に話しておくわね」

律子「大した話じゃないんだけど……」

律子「チームを2つに分けましょう」

千早「2つに……?」

律子「ええ。封印の洞窟に入ってクリスタルを取りに行くチームと、飛空艇で待機しているチームの2つ」

春香「え?じゃあ……みんなでクリスタルを取りに行くんじゃないんですか?」

律子「……そうすると、死角ができてしまうのよ」




780: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:08:45.74 ID:H3WJl6vJO

春香「死角……ですか?」

千早「洞窟を出てすぐに、待ち伏せされているかもしれない……とか?」

律子「その可能性ももちろんあるし、私達がいない間に飛空艇に何かされないとも限らないわ」

春香「な、なるほど……」

千早「それで、何人かを飛空艇で待機させておくのね?」

律子「まあ、店主さんとものまね士さんだけに任せるのもあれだし」

千早「……で、メンバーはもう決まっているの?」

律子「それは、みんなが起きてからにしましょう」

春香「………」

春香(律子さんも千早ちゃんも、頼りになるなぁ……)

春香(私、細かい事は全然考えていなかったよ……)

春香(私なんかがリーダーで……)

春香(………)

春香(……ううん、私も、頑張らなくっちゃ!)





春香「……そういえば律子さん、伊織はまだ寝てました?」

律子「ええ。しゃる……なんとかって、寝言を言ってたわね」

千早「水瀬さんの人形の名前って、確か……」

春香「うん。『シャルル』だったよね?」

千早「ふふっ……可愛らしい夢でも見ているのね」ニコッ

律子「……それにしては、なんだかうなされてたような気もするけど……」

律子「千早。あなたの部屋の子達は?」

千早「私と一緒に、高槻さんと我那覇さんも起きたわ」

千早「2人は、朝食を手伝いに行くって言っていたわね」

春香「うーん、響ちゃんもやよいも偉いねぇ」

律子「あとは……」

千早「四条さんと美希、ものまね士さんの部屋ね」





781: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:14:33.29 ID:H3WJl6vJO

春香「ものまね士さんは、まあいいとして……」

春香「問題は、貴音さんと美希だね」

千早「美希はともかく、四条さんは問題ないんじゃないかしら?」

律子「でも、貴音ってなんとなく血圧低そうに見えるのよねぇ……」

貴音「……そうでしょうか?」ヌッ



3人「うわあっ!!」ビクッ



貴音「おはようございます、皆の衆」ペコリ

春香「おっ、おっ……たっ………!」ドキドキ

律子「きゅ、急に出てこないでよ、もう!」ドキドキ

千早「………」ドキドキ

千早(思わず、発声練習の時より大声を出してしまったわ……)

春香「……すぅーー……はぁーー……」

春香「あー、ドキドキしたぁ……」

貴音「あの、おどかすつもりは無かったのですが……」

貴音「申し訳ない事をしてしまいました」

律子「いえ、貴音のおかげですっかり目が覚めたわ」

千早「……四条さん、あとの2人はどうしたんですか?」

貴音「わたくしが起きた時には、2人ともすでにいませんでしたね」

春香「ものまね士さんは、店主さんの手伝いだとしても……」

春香「美希、どこに行ったんだろう?」

律子「あの自由奔放娘を野放しにしておくのは危険ね」

律子「……手分けして探しましょ」

春香「そうですね」

千早「ええ」





782: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:20:05.05 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 エンタープライズ 厨房

イフリート「うおりゃあああああっっ!!」

イフリート「地獄の火炎んんんっっっ!!」


ゴオオオオオオオ!


響「うわああ!こ、こんなに強くて大丈夫なのか!?」

店主「こ、これはヤバいな……」

店主「なあヤヨイ……ちょっと火力が強すぎないか?」

店主「これじゃ、鍋が焦げちまう」

やよい「そ、そうですね」

やよい「あのー、いふりとさん。もう少し火をよわくしてもらってもいいですか?」

イフリート「わかったぜえええっっ!!」

イフリート「地獄の………火炎」ボソッ


…ボッ!


響「………ふぅ」

響「丁度いい強さになったぞ!」

店主「……ありがとな!幻獣さん!」

イフリート「気にする事はねえええぜっっ!!」

イフリート「じゃあな、ヤヨイっっ!!また呼び出してくれよなっっ!!」

やよい「いふりとさん、ありがとうございましたー!」


スゥゥゥ…


響「うーん……やよいの力は便利だなぁ」

やよい「そうですか?」

店主「ああ、やよいのお陰で料理がはかどるよ」

やよい「えへっ!じゃあ、のこりもがんばって作っちゃいましょー!」

響「よ〜し、自分も頑張るぞ〜!」


ガチャ…



貴音「……たのもう!」






783: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:31:07.67 ID:H3WJl6vJO

響「あ、貴音。はいさ〜い!」

やよい「貴音さん、おはようございまーすっ!」

貴音「おはようございます」

やよい「ひょっとして、貴音さんも手伝ってくれるんですか?」

貴音「いえ、そういうわけではないのですが……」

貴音「………」ギュルル

貴音(と、とても良い匂いが……)

貴音(そういえば、お腹が空きました……)

響「………おーい、貴音?」

貴音「………はっ!」

貴音「危うく、本来の目的を忘れるところでした」

貴音「美希を探しているのですが、来ていませんか?」

やよい「ここには来てませんよー?」

貴音「ふむ……どこへ行ったのでしょう……?」

やよい「美希さん、いないんですか?」

貴音「はい。皆で手分けして探しているところなのですが……」

響「お腹が空いたら戻って来るんじゃないの?」

貴音「………」

貴音「あの……」

貴音「味見役が必要ではありませんか?」

響「………」

やよい「………」

店主「そうだなぁ。じゃああんた……タカネ、だっけ?」

店主「味見してみてもらえるか?」

貴音「是非っ!!」

響「だ、ダメだぞ!」

やよい「ちょっとキケンかなーって」

店主「え?何か問題でもあるのか?」

響「貴音に味見させたら、みんな食べちゃうぞ」

店主「んなアホな……」

貴音「………響、やよい。あなた達はいけずです……」シュン





784: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:39:47.29 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 エンタープライズ 2号室

千早「………」キョロキョロ

千早「………」

千早「部屋に戻っている様子はないわね……」

千早「やっぱり、飛空艇を降りて行ったのかしら……?」



伊織「……………千早?」



千早「あ……水瀬さん」

千早「おはよう」

伊織「……………おはよ」

千早「………?」

千早「なんだかいつもの元気が無い様に見えるのだけど……」

千早「……大丈夫?」

伊織「あ……!」

伊織「へ、平気よ!」

伊織「……ちょっと、夢見が悪かっただけだから!」

千早「そう……」

千早(水瀬さん、うっすらと涙の跡が残っているのだけど……)

千早(……でも、プライドの高い水瀬さんには、ちょっと言いづらいわね……)



伊織「……千早に心配されるようじゃ、私もまだまだね」ボソッ

伊織「…………よし!」グッ

伊織「で、あんたはこんなところで何してるのよ?」

千早「美希が見当たらなくて、みんなで探しているところなのだけど……」

伊織「ふーん……」

伊織「ま、美希の事だから、どっかその辺で寝てるんじゃないかしら?」

千早「……いくら美希が強いとはいえ、辺りは魔物だらけだから心配だわ」

伊織「………」

伊織「ほんっと世話が焼けるわね、あの自由人は……」

伊織「……仕方ないから、私も手伝ってあげるわ」

千早「ありがとう、水瀬さん」

千早「それじゃ、他の部屋も見てみましょう」

伊織「言っとくけど、私がいた部屋にはいなかったからね?」

千早「ええ」




785: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:51:29.49 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 フタミ号 船室

P「………」

P「………う〜ん……」ムニャ

P「んん………」モゾモゾ

P「なんか……重い……」



「ハニー!朝だよ!早く起きるの!」ユサユサ



P「ん〜……」

P「あと5分……」



「も〜、ハニーはねぼすけさんなの」

「せっかく久しぶりに会えたのにぃ!」プクー



P「ごめんな、美希………まだちょっと眠い……」

P「……………ん?」




P「………み、美希!?」ガバッ




美希「あはっ☆やっと起きたの」

P「な、なんでここに……?」

美希「ん〜とね、朝起きたら、近くにハニーの気配がしたから、飛んで来たの!」

美希「おはよう、ハニー!」ダキッ

P「あ、ああ、おはよう……」

P「あれ?美希がいるって事は……」

P「向こうにみんないるのか?」

美希「うん」

美希「………真クン以外はね」

P「そうか……」

P(真………必ず迎えに行くからな……!)



P「とりあえず、みんなのところへ行こうか」

美希「えー………あと少しだけ、このままでいたいの」ギュッ

P「み、美希、ダメだ!こんなところを誰かに見つかったら……」


ガチャ…


亜美「兄ちゃん、おは〜!」

真美「朝だよ〜ん!」




786: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 22:57:13.36 ID:H3WJl6vJO

真美「…………え!?」

真美「に、兄ちゃん、ミキミキ……!」

亜美「な〜んで朝っぱらからミキミキとラヴシーンやってるのさ〜!」

亜美「亜美達とは一緒に寝てくれなかったクセにぃ〜!」

真美「兄ちゃん……真美達とは寝てくれなかったクセに、ミキミキとは一緒に寝たんだね……」

真美(やば……真美、イヤな子になっちゃう……)

真美(でもでも……)

真美(…………かなしいよ、イヤな気持ちが止まんないよ、兄ちゃん……!)



P「あ……亜美、真美!」

P「べ、別に一夜を共に過ごしたわけじゃ……」

美希「亜美、真美!おはよ〜なの」



真美「………」

真美「…………亜美」クイッ

亜美「………ま、ちかたないね」

亜美「兄ちゃん、バツを受けてもらうよん?」ニヤリ

P「ちょ、ちょっと待て!話せばわかる!」

亜美「もんど〜むよ〜!」

P「や、やめてぇ〜!」

亜美「……トード!」


…ボンッ!


…ポテッ


P「うぎゃっ!」


美希「ハニーがべろちょろになっちゃった……」

美希「へ〜、亜美の魔法でハニーは変身するんだね〜」

亜美「フッ……また、つまらぬものをカエルにしてしまった……」

真美(兄ちゃんの…………バカっ!!)



787: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:07:33.46 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 エンタープライズ付近

春香「も〜、美希どこへ行っちゃったのかなぁ……?」キョロキョロ



春香「……あれ?」

春香「あっちに飛空艇が停まってる!」

春香「誰が乗ってるんだろう……?」

タタタタ…




P「……なあ亜美、あとでちゃんと元に戻してくれるんだよな?」

亜美「兄ちゃんがちゃんと反省したら、元に戻してあげるよ?」

P「反省ならちゃんとしてるから……」

真美「すぐに戻したら、バツにならないじゃん」

P「ま、真美……」

P(真美が恐い……)

美希「ハニーも苦労してるんだねー?」

亜美「いや、ミキミキにも非はあると思うんだ、亜美は」

美希「……そうなの?」

真美「………」




春香「あ、美希!やっと見つけた〜!」

春香「……って、亜美と真美までいる!?」

美希「あ、春香。ミキね、ちょっとハニーのとこに行ってたの」

春香「なぁんだ、そうだったんだ」

春香「も〜、みんな心配したんだからね?」

美希「ごめんなさいなの」

亜美「はるるん!いや〜久しぶりだのぅ」

亜美「しばらく見ないうちに、すっかり立派になって……!」

春香「いやいや、ほんの数日ぶりだよね?」

真美「はるるん……」

春香「……あれ?真美、なんだか元気ない?」

真美「そ、そんな事ないよっ!」

春香「それで、プロデューサーさんはどうしたの?」キョロキョロ

亜美「兄ちゃんはただ今絶賛反省中なんだよ〜」スッ

春香「え?またべろちょろになっちゃってるの?」

P「ま、まあ、いろいろあってな……」

P「それより春香。ちょっと話があるから、みんなを集めてくれないか?」

春香「あ、はい。わかりました」

春香(ふふ。……プロデューサーさんがべろちょろの姿でいるの、なんだか懐かしいなぁ……)




788: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:13:23.59 ID:H3WJl6vJO
飛空艇 エンタープライズ

P「………というわけで」

P「みんなに集まってもらったわけだが……」




伊織「……あんた、本当にべろちょろになっちゃったのねぇ」

伊織「まったく、ちゃんとやよいの許可は取ったの?」

P「伊織……」

P「ええと、これはその……不可抗力というか……」

貴音「……あなた様、それは世を忍ぶ姿なのですか?」

P「貴音……」

P「いや、別に忍ぶつもりはないんだが、この世界での俺は忍ばざるを得ないというか……」

P「……そもそもそういう問題じゃないんだよ」

律子「……相変わらずその姿なんですね、プロデューサー殿?」

P「いろいろあってな……」



P「…………まあ、なんというか、俺としてはかなり予想外な展開なんだが……」

P「伊織も貴音も、無事合流できて良かった」

P「それに律子も、音無さんの支配から逃れられたみたいだな」

律子「……ええ、貴音のおかげで」




律子「……で、別行動を取っていたプロデューサー達がここにこうしているという事は……」

律子「何か用事があるんですよね?」

P「ああ。ちょっとやよいに渡すものがあってな」

やよい「………へ?」

やよい「わたしに……ですか?」

P「うん」

P「………雪歩、あずささん。例のものを」

雪歩「わかりましたぁ……」

あずさ「は〜い」



…………

……



789: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:20:52.12 ID:H3WJl6vJO

やよい「あのー、身につけてみたんですけど……」

やよい「どーでしょーか?」



P「これは……」

P「うん、似合ってるぞ、やよい!」

やよい「ほんとーですか?ありがとうございまーす!」

春香「なんていうか、カラフルになったねぇ、やよい」

響「やよいー、かわいいと思うぞー!」

千早「高槻さんなら、なんでも似合ってしまうわね」

伊織「でも、あのマントはどうかと思うんだけど……」

亜美「王者のマントにケチつけるなんて、バチ当たりだよいおり〜ん!」

伊織「王者?」

亜美「そうそう!」

亜美「このマントには、黒ぴょんのアツきタマシイが込められているのだよ!」

伊織「そんなの知らないわよ」

伊織「黒はやよいにあまり似合わないわ。やっぱりやよいには原色系の色が云々かんぬん……」

真美「うあうあ〜!いおりんがやよいっちについて語り出したよ〜」

亜美「こ〜なると長いですからな〜」

あずさ「伊織ちゃん、やよいちゃんの事良く見てるものね〜。さすがだわ〜」

雪歩(あの黒いマント、真ちゃんが身につけたらどうなるかな……?)

雪歩(……結構アリだと思うんだけどな……)



やよい(……たしかに、社長や黒井社長、ジュピターさんたちのぬくもりを感じられるかなーって)

やよい(えへっ……ちょっとうれしいかもです)ギュッ



790: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:29:32.74 ID:H3WJl6vJO

貴音「ふむ……わたくしも、ぴんくの宝石なら持っているのですが……」

貴音「やよいに差し上げた方が良いのでしょうか?」スッ


キラーン!


響「わあ……キレイだなー!」

響「貴音、これどうしたんだ?」

貴音「月で、ぷりんの魔物を倒した時に見つけました」

響「へー……」

響「月には、こんなに硬いプリンの魔物がいるのかー」コンコン

貴音「いえ、硬いのは尻尾の部分だけのようです」

響「ん?じゃあ、これは……」

貴音「ええ。ぷりんの尻尾、だと教わりました」

亜美「!!」

亜美「お、お、お姫ちん……今、なんて……?」

貴音「ええ、ですから、ぷりんの尻尾だと……」

亜美「な、なんだって〜っ!!?」

亜美「こ、こりゃ〜一大事だ!」

亜美「真美っ!」

真美「う、うんっ!」

真美「……ねえ、お姫ちん?」

真美「そのしっぽ……ゆずってくれないかなぁ?」

貴音「これを……?」

真美「うん、お願いだよ〜!それ、チョーゼツゲキレアアイテムなんだよ〜!」

貴音「………真美。しかしこれは、わたくしの友との友情の証でして……」

真美「そこをなんとか、ゴショ〜だからさっ!」

貴音「ふむ………」

真美「ええい!二十郎のラーメン、一ヶ月おごったげるっ!」

真美(……兄ちゃんが)

貴音「乗った!」

響「貴音ぇ……それでいいのか……」

真美「コウショウセイリツだねっ!」

亜美「まさか、『ピンクのしっぽ』を持ってるとは……」

亜美「さすがはお姫ちん、あなどれませんな〜」

亜美「ね、兄ちゃん?」

P「うん。貴音はすごい幸運の持ち主だな!」

貴音「そう、なのですか?」

貴音(わたくしは一度命を落としているのですが、それでも幸運だといえるのでしょうか……?)

貴音(……まさか、それで差し引きぜろだとでも……?)

貴音(れああいてむ、とやらと引き換えの命……冗談にしても、笑えません……)



791: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:36:25.80 ID:H3WJl6vJO

P「………そうだ、やよい」

やよい「はい?なんですか、プロデューサー?」

P「黒井社長の力を借りるに当たって、ひとつ条件を出されたんだが……」

やよい「じょうけん……?」

P「ああ……」




P「最終決戦………」

P「つまり、やよい達が音無さんと戦う時には必ず、黒井社長を呼び出す事」

P「これが、黒井社長の出した条件だ」




やよい「えっと……?」

やよい「小鳥さんと、たたかうんですか……?」

律子「………」

律子「小鳥さんに会ったら、やよいは黒井社長を呼べばいいのよ」

やよい「あ、はい!わかりましたー!」

P「………」




P「律子……」

律子「ええ」

律子「まだみんな、実感が湧かないんじゃないでしょうか?」

律子「本当に、小鳥さんと戦う事になるなんて……」

P「そう、だな……」

P(俺だって、まだよくわからないもんな)




792: ◆bjtPFp8neU 2015/01/04(日) 23:45:01.31 ID:H3WJl6vJO

P「なあ、春香」

P「春香達は、これから封印の洞窟へ行くんだな?」

春香「はい、そうですよ!」

春香「頑張って、クリスタルを取りに行ってきます!」

P「うん。気をつけてな」



P「千早……」

千早「……はい、なんですか?」

P「………」

P「律子の支配は、もう解けたんだよな?」

千早「ええ。ずいぶん前に」

千早「それがどうかしましたか?」

P「いや………すまん。変な事聞いて」

P(律子はもう、音無さんの支配から逃れた)

P(なら、心配ない……よな?)

千早「………?」






P「……それじゃあ、俺達はそろそろ行くから」

P「みんな、また会おう!」

律子「プロデューサー、次は待ち合わせ場所を決めておいた方がいいんじゃないですか?」

P「……それもそうだな」

P「じゃあ……」




P「………ミシディアで、待ち合わせよう」



春香「プロデューサーさん、ミシディアってあの、長老さんのところですか?」

P「ああ」

春香「……わかりました」

春香「私達は、クリスタルを手に入れたら、一度ミシディアへ行きます」

P「待ってるからな!」




793: ◆bjtPFp8neU 2015/01/05(月) 00:00:26.67 ID:2evYEQKnO
飛空艇 フタミ号

亜美「ねえ兄ちゃん。先にマコちんを助けに行くの?」

P「いや……」

P「真には悪いが、先にしっぽを交換しに行こう」

雪歩(……えっ?)

雪歩(真ちゃんより、しっぽ優先……?)

亜美「りょ〜かい!じゃあ、地上に戻るんだね?」

P「うん。頼む」

P「………あれ、真美は?」キョロキョロ

亜美「あ〜、我が姉なら、どこかでたそがれてるんじゃないかねぇ?」

亜美「兄ちゃん。人間に戻してあげたんだから、真美の事、元気付けてあげてよ」

P「……わかった。探してくるよ」

スタスタ…






794: ◆bjtPFp8neU 2015/01/05(月) 00:03:49.12 ID:2evYEQKnO

真美(はぁ〜あ……)

真美(結局、兄ちゃんはミキミキと一晩中一緒にいたわけじゃなくて、朝、ミキミキが来ただけらしいし……)

真美(真美、勝手に勘違いしてひとりで怒って……)

真美(こんな子供じゃ、兄ちゃんに女の子として見てもらえないのもと〜ぜんだよね……)

真美(ミキミキにも、イヤな態度とっちゃったかなぁ……)

真美(ま〜、ミキミキはそんな事気にしてなさそうだけど……)

真美「………」ショボーン



P「真美……なんだか元気ないけど、どうかしたのか?」

真美「あ、兄ちゃん……」

P「……今朝の事、まだ怒っているのか?」

真美「ううん……」

真美「今朝の事は、真美の方こそごめんね?」

真美「真美、いつまでたっても子供で、兄ちゃんを困らせてばっかりで……」

P「真美……」

P「真美は、もう子供じゃないと思うぞ?」

真美「え……?」

P「今朝の事は、勘違いされても仕方ない状況だったし、それに……」

P「そうやって自分の悪いところを見つめるのはな、人が成長するためには、とても大切な事なんだ」

真美「………」

P「真美は、今まさに成長している途中なんだなぁ」ナデナデ

真美「あっ……」

真美(兄ちゃんの手が、真美の頭をナデナデしてる……)

真美(えへへ、これ、好きなんだよね〜)

P「だから、もっとたくさん悩めばいい」

P「その分だけ、きっと真美は大人に近づけるはずだから」

真美「兄ちゃん……」

真美「あ、ありがと……///」

真美「……ん〜でも、悩んでばっかなのもなんかやだな〜」

P「心配するな。俺で良かったら、いつでも相談に乗るからさ」

真美「………うんっ」

真美「約束だかんねっ?」

P「……ああ!」




797: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:09:02.43 ID:w4pLhUvuO
シルフの洞窟 シルフの家

グラグラ…


ガッシャーン!


真「うわあっ!」



シルフ「マコトさ〜ん、あまりバリケードをいじらないでくださいね〜?」

シルフ「バリケードが無くなったら、この家は魔物に押し入られてしまうんですから〜」

真「そ、そうなんだ……」

真「……それにしても」

真「このバリケード、全部シルフ一人で積み上げたの?」

シルフ「はい。この家には私しかいないですし……」

真「はー……」

真「そんな小さな身体で、すごいなぁ……!」

シルフ「えへへ!それほどでもありますけどっ!」

真「でもさ、シルフはどうやって出入りしてるの?こんなにガッチリ組まれてたら、スキマなんか……」

シルフ「ちゃんとありますよ?私だけが通れる穴が」

真「あ、そうなんだ」

真「………あれ?」

真「シルフしか通れない穴って事は……ボクはどうやってこの家に入ったの?」

シルフ「それは、企業秘密ですよ?」

真「あ、そう……」

真(………ひょっとしてあの、身体が小さくなる魔法を使ったのかな?)



真「………さっきさ、この家にはシルフしかいないって言ってたけど……」

真「家族とかは、いないの?」

シルフ「あ………」

シルフ「………」シュン



798: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:12:53.40 ID:w4pLhUvuO

真「あ……」

真「ご、ごめん!聞いちゃいけない事だったかな?」

シルフ「…………いえ、いいんです。気にしないでください」

シルフ「ひとりぼっちは………慣れてますから」ニコッ

真「シルフ……」

真(ずっと、ひとりぼっちだったのかな……?)

真(なんか、かわいそうだな……)



シルフ「………」じーっ

真「どうしたの?そんなに見つめて」

シルフ「マコトさんは、人間、なんですよね?」

真「うん。そうだよ」

シルフ「………人間のお仲間がいらっしゃるんですよね?」

真「うん!」

真「へへ、ボクの仲間達、シルフに会わせてあげたいなぁ!」

真「きっと仲良くやれると思うんだ!」

シルフ「マコトさん……」

シルフ「マコトさんは、優しいんですね〜」

真「そうかな?」

シルフ「………」



シルフ「マコトさん。少し、私の事をお話してもいいですか?」

真「………うん。話してよ、シルフの事」





799: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:14:49.85 ID:w4pLhUvuO

シルフ「マコトさん。私は『幻獣』だって言ったじゃないですか?」

真「うん。妖精のようなもの……だっけ?」

シルフ「実は、私は……『エルフ』という種族の妖精なんです」

真「ん?本当に妖精って事?」

シルフ「はい。ややこしい言い方をしてしまってすみません」

真「気にしないよ」

真(あれ?でも、エルフってどこかで聞いたような……)

シルフ「私達エルフは……」

シルフ「人間に滅ぼされたようなものなんです」

真「ええっ!?」

シルフ「あ、とは言っても、別にマコトさんの事を悪く言うつもりはないので……」

シルフ「勘違いしないでくださいね?」

真「シルフ……」

シルフ「どうやって滅ぼされたのかは……面白いお話ではないので、割愛しますね?」

真「うん………」

シルフ「人間に迫害されて、残りわずかになってしまった私達は、幻獣の方々に助けを求めました」

シルフ「この洞窟から少し南へ行くと、幻獣達が住む幻獣界へ通じている洞窟があるんですけど……」

シルフ「私達は、その幻獣界にしばらく身を隠す事にしました」

真「………」

シルフ「幻獣の方は、私達エルフを匿う代わりに、私達も幻獣として生きるように言いました」

シルフ「まあ、私達エルフはもうすでに絶滅寸前でしたので、その事に反対する人はいませんでした」

シルフ「でも……」

シルフ「幻獣達は………そのうち、人間と交流を持つようになりました……」

真「……!」

シルフ「その人間というのが、前にマコトさんに言った『召喚士』です」

シルフ「人間という種族は、数も多く力も1番持っていたので、幻獣達は人間に守ってもらおうと思ったんでしょうかね〜……」

シルフ「幻獣達と人間の召喚士は契約を交わして、そのうち、幻獣界にも人間が出入りするようになりました」

真「………」

シルフ「………そうなったらもう、私達エルフの居場所なんて、そこには無いようなものです」

シルフ「私達を絶滅寸前まで追いやった人間と一緒には、いられませんから」

シルフ「まあ、その召喚士の方が私達に何かをしたわけじゃないんですけどね……」

真「………」

シルフ「私達は、新しい住処を探して彷徨いました」

シルフ「旅を続けるうちに、仲間がひとり減り、ふたり減り……」




シルフ「…………気づいたら、私だけになっていたんです」




800: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:17:57.69 ID:w4pLhUvuO

シルフ「それから私は……逃げて、逃げて、必死に逃げて……」

シルフ「自分でもどうやってここまで来たのかは覚えていないんですけど……」

シルフ「……いつの間にか、ここに家をこさえてたんです」

真「………」



シルフ「えへっ……つまらない話をしてしまってすみませんでした」ニコッ

シルフ「こんな話、聞いても面白くないですよね?」

シルフ「……でも、マコトさんには、私の事を知ってもらいたくて……」

真「………」

シルフ「………」

真「………」

シルフ「……あの、マコトさん?」



真「…………シルフは、強いんだね」

シルフ「え……?私が、強い……?」

真「うん。だってさ、そんなに辛い目に合ったのに、ひとりでも頑張って生きてる。尊敬するよ!」

真「ボクだったら、気持ちが折れちゃってるかもなぁ」

真「きっとシルフの仲間達も、天国で安心してるんじゃないかな?」

真「強くなったシルフを見てさ」

シルフ「ま、マコト……さんっ……!」ウルッ

シルフ「わだじ……わだじっ……ヒック」ポロポロ

真「ご、ごめん!泣かせるつもりじゃなかったんだけど……」

シルフ「えぐっ……うわああぁぁぁあん!」ポロポロ

真「………」ダキッ

真「さみしかったんだね……」ナデナデ

真「……旦那さんにはなれないけどさ」

真「ボク、シルフの友達になりたいな」

シルフ「!」

シルフ「ま、マゴドざんっ……!」ポロポロ

シルフ「ううっ……グスッ……あ、ありがどうございまず〜!」ギュッ

真「へへ……」ナデナデ

真(もしボクに妹がいたら、こんな感じなのかなぁ……?)




801: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:27:13.11 ID:w4pLhUvuO

シルフ「ふぅ……」

真「……落ち着いた?」

シルフ「は、はい。すみません、みっともないところを見せてしまって……」

真「ううん……」

真「でもさ、ちょっと不思議に思ったんだけど、なんでボクは平気なの?ボクだって人間だよ?」

シルフ「………」

シルフ「マコトさんはなんだか、オーラが違うというか……」

シルフ「私、マコトさんを見つけた時に、ピンと来たんです」

シルフ「ああ、この人なんだな。私はこの人について行く事にしようって」

シルフ(本当は、ただの一目惚れですけど……)

真「そっか」



シルフ「はぁーあ……」

シルフ「本当に……マコトさんが召喚士だったら良かったのに……」

真「あ、その事なんだけどさ。幻獣に、おじいちゃんっている?」

シルフ「おじいちゃん……」

シルフ「あ、ひょっとしてラムウおじいちゃんの事ですかね〜?」

真「らむ……う?」

真(やよい、確か『らむさん』って言ってたよね……?)

真(これはビンゴかもしれないな)

真「シルフ。ボクの仲間に、召喚士がいるかもしれない」

シルフ「え……?ほ、本当ですかっ!?」

真「たぶんね」

シルフ「じゃあ、これでマコトさんとずっと一緒にいられます!」ギュッ

真「あ、うん……」

真(ずっと一緒ってわけには、いかないけど……しばらくは、この子にさみしい思いをさせないで済むかも)

真(プロデューサーは、亜美と真美を助けてくれた)

真(だから、きっとボクの事も……)

シルフ「……マコトさん?どうかしたんですか?」

真「うん……」

真「そのうち、ボクの仲間達がここへ、ボクを迎えに来ると思う」

シルフ「あ……」

真「………そしたらシルフ、君も一緒に行こう!」

シルフ「ま、マコトさん!」

シルフ「……という事は、それまでは夫婦水入らずですねっ!?」

真「あ、いや……だからそれは……」

シルフ「嬉しいです〜!」ギュッ

真(やれやれだよ……)





802: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:33:28.11 ID:w4pLhUvuO
封印の洞窟 入口

律子「……それじゃああなた達、よろしく頼むわね」

春香「はい!」

千早「やれるだけやってみるわ」

やよい「がんばりまーすっ!」

伊織「……まあ、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんにかかれば、こんなの楽勝よ!」

美希「あはっ☆じゃあミキは、ハイパーキラキラアイドルなの!」

伊織「ちょっと!なに真似してんのよ、美希!」

美希「ぶー、デコちゃんはケチなの」

春香「まあまあ……」

律子「伊織、美希、洞窟の中でケンカなんかするんじゃないわよ?」

律子「命にかかわるんだからね?」

伊織「わ、わかってるわよ!」

美希「ケンカしてるつもりなんて、さらさら無いなの」

響「ホントは自分もみんなと一緒に行きたかったんだけどなー」

響「エン太郎に何かされるのは嫌だから、貴音と律子と一緒にみんなを待ってるぞ」

貴音「……皆、どうかお気をつけて」







春香「……それじゃ、行ってきまーす!」


スタスタ…







803: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:38:14.75 ID:w4pLhUvuO
封印の洞窟 B1F

小鳥(……みんな、段取りは覚えてくれた?)

ルナザウルス「自分達はここで待ち伏せして……」

ルナザウルス「あの子達がクリスタルを取って来たら……」

白龍「出て来たところを奪う、という事ですね」

小鳥(そうよ)

小鳥(これで、ようやくクリスタルが全て揃うのねぇ……感慨深いわぁ……)

ルナザウルス「でもコトリ様。ひとりだけ、めちゃくちゃ強いコがいるんス」

小鳥(強い子……?)

ルナザウルス「あの金髪の娘なんスけど……」

小鳥(金髪……美希ちゃんの事ね)

ルナザウルス「自分とプーちゃん、前回はそいつにボコボコにやられたッス……」

白龍「2人がかりでやられるとは……」

白龍「なかなかの娘なのですね。是非、戦ってみたい」

小鳥(まあ、みんな強くなる可能性は秘めているけど……)

小鳥(大丈夫、心配しないで)

小鳥(クリスタルを奪うっていっても、直接戦わなくても済む方法を考えているから)

ルナザウルス「それを聞いてホッとしたッス」

白龍「私は、戦って奪うのも良いかと思いますが」

小鳥(まあまあ。今はまだ決着を付ける時じゃないわ)

小鳥(メインディッシュは、最後に取っておくものよ?)

小鳥(バブイルの塔のクリスタルを守るために留守番してくれている蛇君とプレイグ君のためにも、2人とも、頼むわね!)

ルナザウルス「了解ッス!」

白龍「……御意」



ルナザウルス「……そういえばハクさん」

ルナザウルス「『地上』の方は、もう終わったッスか?」

白龍「侮ってもらっては困りますね、ルナ。人間共がいくら束になろうと、私に……いえ」

白龍「コトリ様から力を授かった私の敵に、なり得るはずがありません」

白龍(……しかし、ひとつだけ落ちていない国がありましたか……)

白龍(あいどる………いずれ、決着を付ける時が来るでしょう)



804: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:41:25.68 ID:w4pLhUvuO

ルナザウルス「ひゃあ〜……さすがはハクさん。頼りになるッス!」

白龍「地上の方は、私とプレイグで少々痛めつけました」

白龍「地底の方は、どうなのです?」

ルナザウルス「そ、それが、まだ……」

白龍「………はぁ」

白龍「まったく、あなた達ときたら……」

白龍「楽して仕事を終わらせる事ばかり考えているから、いつまでも仕事がはかどらないのですよ?」

ルナザウルス「た、タイちゃんと一緒にしないで欲しいッス!」

白龍「……まあ、クリスタルが集まれば、この星での仕事は終了です」

白龍「……この星の人間共の運命も、ね」

ルナザウルス「カッコいいッス!自分も、そういう決め台詞をバシッと言ってみたいッス!」





「………はわわ、このどうくつ、けっこう暗いんですねー」

「ホントだね。一応、うっすらと周りは見えるけど……ちょっと灯りが欲しいかな」

「みんな、足元気をつけて。……特に春香」

「う、うん。転ばないように気をつける」

「ねえデコちゃん、火の魔法使えないの?」

「この洞窟、暗い上になんだか寒いの」ブルッ

「……魔法じゃなくて忍術!それと、デコちゃん言うなっ!」






ルナザウルス「……来たみたいッスね」

白龍「ええ。せいぜい私達の………いえ」

白龍「コトリ様のために、働いてもらうとしましょうか」




805: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:45:29.24 ID:w4pLhUvuO
封印の洞窟 B1F 封印の扉

春香「この扉が入口、だよね……?」

春香「うーんっ……!」グッ

春香「………開かないや」



『封印を解く鍵を掲げよ……』

『さすれば、暗き水晶への道は開かれん……』



やよい「はわっ!だ、だれでしょーか?」キョロキョロ

千早「……ずいぶん凝った演出ね」

春香「暗き水晶……って、クリスタルの事かな?」

千早「そうだと思うわ。つまり……」

伊織「やっとその首飾りの出番ってわけね」メラメラ

美希「うー……デコちゃんの出した火、あったかいのー……」

伊織「ちょっと美希。私の火遁は焚き火じゃないんだからね?」

やよい「でも伊織ちゃん、このどうくつ、なんだかさむいから仕方ないかなーって」

伊織「………」

伊織「やよいがそう言うなら、別にいいけど……」

美希「む〜……デコちゃん、やよいにばっかり優しいの」

美希「ミキに対しても、もうちょっと優しくしてもいいって思うな!」

伊織「はいはい、悪かったわよ」

伊織「……ホラ、あっためてあげるから、もっとこっち来なさいよ」

美希「なんだか投げやりな感じもするけど、まあ許してあげるの」ギュッ

伊織「ちょ、ちょっと!そんなにくっついたら危ないじゃない!」ヨロッ

やよい「あっ、美希さんいいなー」

やよい「わたしもーっ!」ギュッ

伊織「や、やよいまで……!」




806: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:48:05.94 ID:w4pLhUvuO

千早「………あの、3人とも」

春香「そろそろ、扉開けてもいいかな?」

伊織「………あ」

伊織「コホン……」

伊織「待たせたわね。さっさとやっちゃって」

千早「じゃあ……春香」

春香「うん」スッ

春香「………」ジャラッ

春香「お願いします。封印、解けちゃってくださいっ!」ギュッ



…パァァァァ!



やよい「はわわ!まぶしいですっ!」

美希「目を開けていられないの!」



…カチッ



春香「あ……」

春香「明るくなった……?」キョロキョロ

千早「さっきまでの薄暗さが嘘みたい……」

伊織「封印が解けたから、洞窟の闇も晴れたってところかしら……?」

伊織「……だったら、もう灯りはいらないわよね」フッ

美希「あ……」

やよい「たきびが、消えちゃいましたー」

伊織「………」



春香「扉は……」グイッ


ギィ…


千早「開いたわね」



春香「………さあ」

春香「行こう。みんな!」



4人「………」コクリ







807: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 22:57:32.50 ID:w4pLhUvuO
地上世界 アダマン島の洞窟

あずさ「なんだか不気味なところね〜」

雪歩(恐い……)

亜美「まあ、洞窟なんてみんなこんなモンっしょ〜」

P「みんな、足元に気をつけるんだぞ」

真美「………おや?」チラ




しっぽ娘「………」じーっ




真美「誰かいますな〜」

亜美「そのようですな〜」

あずさ「あら、あの子……なんだか変わった格好をしてるわね〜」

雪歩「コスプレ……とかでしょうか?」

P「そうだな。動物の耳としっぽを付けてるな……」

亜美「いや、あれはまぼろしのハンジュージンってやつかも……」

真美「夢が広がりますな〜」

P「……半獣人なんてキャラ、FF4に出て来ないだろ……」




しっぽ娘「………」じーっ




真美「うーん、話しかけてくる気配はないね」

亜美「よし!ここは、亜美におまかせだよっ!」



亜美「………チィーッス!」

しっぽ娘「!」

亜美「ここに、しっぽを集めてるオジサンがいるはずなんだけど、知らない?」

しっぽ娘「………」

真美「……反応なし?」

あずさ「無口な子なのかしら?」



しっぽ娘「…………わん」



亜美「え?」

真美「ひょっとして、犬のつもり……かなぁ?」

雪歩「い、犬……?」

しっぽ娘「………」コクリ

あずさ「あらあら、お犬さんの格好だったのね〜?」

亜美「よーし、それなら……」


808: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:00:22.88 ID:w4pLhUvuO

亜美「……おちゃ!」

しっぽ娘「……わん?」

亜美「たい!」

しっぽ娘「……わん」

亜美「東京?」

しっぽ娘「……わん」

亜美「おお〜!さすがわんちゃん、わかってるね〜?」

P「亜美のやつ、完璧に遊んでるな……」



亜美「あなたは私のオンリー?」

しっぽ娘「……わん」

亜美「亜美はこの世でナンバー?」

しっぽ娘「……わん」

P「……こらこら亜美。話が進まないからその辺にしなさい」

亜美「あちゃー……兄ちゃんにはやっぱり、かな」

しっぽ娘「……わん」

真美「……ええかげんにせいっ!」スパーン

亜美「…………と、ここまでが、マンザイの典型的な流れなんだよ?」

しっぽ娘「??」



あずさ「うふふ。亜美ちゃん、もうあの子と仲良しなのね〜」

雪歩「完全に亜美ちゃんのペースですね……」

亜美「いや〜、ちゃんとマンザイが成立するなんて、亜美達、意外と相性いいのかもね〜?」

真美「でも、なんで犬のマネしてんのかね〜?」

しっぽ娘「………犬は人間の言葉、話さないって、お父さんに言われた」

雪歩(あ、普通にしゃべるんだね……)

亜美「あー……」

真美「……うん。なんとなく、事情が理解できたかも」

P「この子の父親は、しっぽを集めて自分の娘にコスプレさせてたのか……?」

雪歩(こういう犬なら、恐くないのにな……)

亜美「……で、わんちゃんのパパはどこにいるの?」

しっぽ娘「………わん」クルッ

スタスタ…



真美「あり?行っちゃった……」

あずさ「もしかして、『ついて来て』って事じゃないかしら?」

亜美「そっか。あの子の中では、犬の言葉しかしゃべっちゃいけない設定なんだっけ」

P「とりあえず、あの子の後をついて行こう」

スタスタ…



809: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:02:34.61 ID:w4pLhUvuO

しっぽ親父「………こんな辺鄙な洞窟へわざわざ訪ねて来る人たちがいるとは、あなた方も物好きですねえ」

しっぽ娘「………」

しっぽ親父「私に何か用ですかな?」



亜美「んっふっふ〜!」

亜美「じゃじゃーんっ!」スッ

しっぽ親父「そ、それは……ネズミのしっぽ!」

しっぽ親父「き、君、これをどこで手に入れた?」

しっぽ親父「いや、そんな事はどうでもいい」

しっぽ親父「そのネズミのしっぽ、譲ってくれないかね?」

亜美「え〜、タダで〜?」

しっぽ親父「もちろんタダとは言わない」

しっぽ親父「この洞窟でしか採れない貴重な鉱石『アダマンタイト』と交換だ!」

真美「やった!」

しっぽ親父「ええと……」ゴソゴソ

しっぽ親父「……ほら、どうぞ」スッ

亜美「あんがと、おっちゃん!」



雪歩「あのしっぽは、この石と交換するのが目的だったんだね……」

真美「そうだよ。この石は、チョー強力な武器を作るのに必要なんだよ!」

雪歩「へえ、そうなんだ……」

雪歩(武器、かあ……。私には関係ない話だね……)

あずさ「あら?でも確か、もうひとつしっぽがあるのよね?」

真美「そうだよ!」

亜美「よ〜し、第2弾といきますか!」




810: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:05:46.78 ID:w4pLhUvuO

亜美「おっちゃん。実は、もうひとつしっぽがあるんだけど……」

しっぽ親父「そうなのかい?でも、私はもう大抵のしっぽは集めたからなぁ……」

しっぽ親父「相当の品じゃないと、私は満足しないよ?」

亜美「そっかぁ……」

亜美「………じゃあ、この『ピンクのしっぽ』も、もう持ってるんだね」スッ

亜美「ザンネンだなぁ……」チラ

しっぽ親父「なん……だと……!?」

しっぽ娘「きれい……!」

しっぽ親父「そんな……!まさか、実在したのか……!?」ワナワナ

しっぽ親父「しっぽの王様、いや、女王、『クィーン・オブ・テール』の異名を持つ、ピンクのしっぽが!」

P(そんな異名があったのか……)

しっぽ親父「君、是非交換してくれないか?もちろんこちらも、自慢の品を差し出そう!」

亜美「んっふっふ〜!亜美、相当の品じゃないと、マンゾクしないかんね?」

しっぽ親父「も、もちろん!ちょっと待っていておくれ!」

スタスタ…



亜美「こりゃあ、お姫ちんに感謝だね!」

真美「うんうん!」

しっぽ娘「………」じーっ

亜美「どったの……?」

しっぽ娘「しっぽ……きれい……」

真美「あー、わんちゃん、ピンクのしっぽを気に入ったんだね」

雪歩「この子なら、似合いそうだよ」

あずさ「そうねえ……亜美ちゃん、ちょっと付けてあげたらどう?」

亜美「そうだね!じゃあわんちゃん、ちょっとおしりこっちに向けて?」

しっぽ娘「………///」スッ

亜美「じゃあ、付けるよ〜」

亜美「よいしょ……」ゴソゴソ

しっぽ娘「……く、くすぐったい……///」モゾモゾ

亜美「………よし、おっけ〜!」

しっぽ娘「………」クルッ

しっぽ娘「………しっぽ、きれい……」ニコッ

あずさ「うふふ。気に入ってくれたみたいね〜?」

雪歩「はぅ……ちょっと可愛いかも……///」




811: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:11:46.72 ID:w4pLhUvuO

しっぽ親父「……お待たせ!これと交換でどうだい?」スッ

しっぽ親父「世界最高の硬度を誇る『アダマンタイト』をふんだんに使って作った、その名も『アダマンアーマー』だ!」

P(おお、アダマンアーマー……!)

P(実際のゲームでも見た事なかったぞ)

亜美「うん、いいよ!」

しっぽ親父「よし!交渉成立だね」

しっぽ親父「……では、ピンクのしっぽを」

亜美「あ、それなら……」クイッ

しっぽ娘「………」ウットリ

しっぽ親父「おお、もう付けていたのか」

しっぽ親父「さすが我が娘、あのしっぽの価値を理解してるみたいだなぁ」




P「……………で、アダマンアーマーを手に入れたはいいが……」

P「いったい誰が着るんだ?」

あずさ「私は、遠慮しておきますね〜」

あずさ「なんだか動きづらそうだし……」

雪歩「わ、私も……」

亜美・真美「んっふっふ〜!」

亜美「この中でアダマンアーマーを着れるのは……」

真美「ゆきぴょん、君しかいないんだよ!」ビシッ

雪歩「え?ええっ!?」

P「確かに、雪歩以外はみんな魔道士だもんな……」

亜美(真美、計画通りだね!)

真美(もちろん!これぞ、亜美と真美、2人で考えた……)

亜美・真美(『萩原雪歩、改造計画』第1弾!)

P「せっかく手に入れたのに、使わないんじゃもったいないよな……」

雪歩「うぅ……」

亜美「ゆきぴょん!」

真美「ゆきぴょん、さあ!」

あずさ「も、もしかしたら、意外と似合うかもしれないわよ〜?」

雪歩「こんな鎧、似合いたくないですぅ……」

P「雪歩……これは、雪歩の為でもあるんだ」

雪歩「わ、私の……ため……ですか?」

P「ああ。この鎧を着る事で、雪歩の命を守る事にもつながるんだ」

雪歩「………」

雪歩「わ、わかりましたっ……」

雪歩「プロデューサーがそう言うなら……」




812: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:14:36.44 ID:w4pLhUvuO

雪歩「……ど、どう、ですか?」ガシャ



あずさ「え、ええと……」オロオロ

亜美「……」

真美「……」

P「……」

雪歩「な、何か言ってくださいぃ……」ガシャン

亜美「……つ、強そう?」

真美「う、うん!すっごく強そうだよ、ゆきぴょん!」

あずさ「た、確かに、強そうね〜」

雪歩「う、嬉しくないですぅ……」ガシャン

雪歩「こ、こんな強そうな私なんて……」ガシャッ

雪歩「穴掘って、埋まってますぅ〜!」チャキッ

ザクザクザクザクザク…


3人「」

P(雪歩………頑張れ)



813: ◆bjtPFp8neU 2015/01/08(木) 23:18:14.44 ID:w4pLhUvuO

しっぽ親父「……いやあ、実に充実した時間だったよ!」

しっぽ親父「また何かしっぽを見つけたら、ぜひ訪ねてくれ!」

亜美「ん〜、もう来る事はないと思うけどね〜?」

しっぽ娘「………」ギュッ

亜美「……ん?どったの、わんちゃん?」

しっぽ娘「……さよなら?」

亜美「わんちゃん……」

亜美「よせよ……おいらにほれると、ヤケドするぜ……?」

亜美「わんちゃんの気持ちは、うれしい。でも……」

亜美「……亜美には、兄ちゃんという心に決めた人があああっ!」

しっぽ娘「また一緒にまんざい、やる……」ニコッ

亜美「………って漫才目的かーいっ!」ビシッ

しっぽ娘「あうっ!」



真美「んっふっふ〜!亜美、すっかり懐かれちゃったみたいだね〜?」

雪歩「亜美ちゃん楽しそう……」ガシャン

あずさ「亜美ちゃん、本当に誰とでもすぐに仲良くなってしまいますね〜」

P「そうですね……」

P(やっぱり、天真爛漫で他人を巻き込んで楽しくしてしまうのが、亜美のいいところだよな……)



亜美「ねえ、わんちゃん」

亜美「亜美、ウソはつきたくないからしょーじきに言うよ?」

しっぽ娘「………」コクン

亜美「亜美達はね、大切な用事があるから、もうここには来れないかもしれないんだよ」

しっぽ娘「!」

亜美「………もし、さみしくなったらさ」

亜美「亜美のツッコミを思い出してよ!」

亜美「亜美のツッコミは……いつだってわんちゃんのそばにいるかんね?」

しっぽ娘「………!」

しっぽ娘「………」コクリ

真美「……なんか、カンドー的なのかマヌケなのかわからないね〜」

P「はは、亜美らしいじゃないか」




亜美「じゃあね〜!わんちゃ〜ん!」

真美「ばいば〜い!」

あずさ「お邪魔しました〜」

雪歩「さ、さようなら〜……」ガシャンガシャン

雪歩(うぅ……歩きにくいよぉ……)




820: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:25:48.41 ID:AptUONNdO
封印の洞窟 B1F

スタスタ…


春香「うーん……なかなか、下に降りる階段が見つからないねぇ……」キョロキョロ

伊織「ここまで分かれ道もなかったし、道を間違えたって事はないわよ。きっと」

やよい「でも、このどーくつには、まものさんはいないんですかねー?」

千早「そうね。ここまで魔物が出てこないと、逆に何かしらの罠がありそうで恐いわ」

やよい「わ、わな……ですか?」

伊織「罠……確かに、千早の言う事も一理あるわ」

伊織「用心して進むわよ!」

春香「そ、そうだね……!」

やよい「は、はい……!」

美希「きっと、この洞窟の魔物はみんなお昼寝してるって思うな……」

美希「……あふぅ」

春香「そんな、美希じゃないんだから……」




春香「…………ん?」ピタ

春香「扉がある……」

伊織「扉があるわね……」

やよい「とびらがありますねー……」

美希「扉があるみたいだけど、ミキはあんまりキョーミ無いの」

千早「ねえ、みんな」

千早「………扉、開けないの?」

春香「い、いやあ……」

春香「千早ちゃんがさっき、『罠があるかも?』とか言うから……」

春香「この扉が罠だったらどうしよう?なんて考えちゃって……」

春香「あ、あはは……」

伊織「バカね。罠だろうとなんだろうと、この扉を開けなきゃ、先へ進めないじゃないの」

春香「そ、それは、そうなんだけど……」

千早「……じゃあ、私が開けましょうか?」

春香「………」

春香「ううん、私が開けるよ」

やよい「は、春香さん、気をつけてくださいね……?」ドキドキ

春香「う、うん……」

スタスタ…


春香(罠じゃありませんように……!)


ガチャ…



821: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:31:52.80 ID:AptUONNdO

…ガタンッ!


春香「わああっ!」ビクッ



アサルトドアー「グゲゲ……!」ガタガタ


春香「…………や」

春香「やっぱり罠だったよぉ〜!」


アサルトドアー「グゲゲ……!」


千早「春香!」ダッ

タタタタ…


千早「春香、しっかりして!」ガシッ

春香「だ、大丈夫、ちょっとびっくりしただけだから……」

伊織「のんきに話してるヒマはないわよ!ホラ、戦闘準備なさい!」チャキッ

春香「う、うん!」チャキッ

千早「ええ……!」チャキッ



やよい「えっと、えっと……」オロオロ

美希「あふぅ……やよい、春香達に任せるの……」ムニャ

やよい「で、でも……」



アサルトドアー「グゲゲ……!」




822: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:34:24.28 ID:AptUONNdO

伊織「………変ね」

千早「ええ……」

春香「え、何が?」

伊織「襲ってくる気配がないわ」

春香「あ、そういえばそうだねぇ」

春香「魔物とはいえ、無抵抗なのに攻撃するのは、ちょっと気が引けるよねぇ」

千早(無抵抗……)

伊織「まったく、相変わらず甘いわよ、春香」

伊織「相手は何考えてるかわからない魔物なのよ?」

伊織「しかも、この登場の仕方……明らかに罠じゃない!」

春香「そ、そうだ!罠なんだった」

千早(自分からは攻撃しない……罠……か)



伊織「……先手必勝!」ダッ

春香「伊織っ!」


伊織「はああっ!」

伊織「火遁っ!」バッ


ボオオオオオ!


アサルトドアー「………」




823: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:45:57.41 ID:AptUONNdO

アサルトドアー「グゲゲ……!」



伊織「……効いちゃいないみたいね……!」

伊織「……じゃあ、次よっ!」チャキッ


千早「……水瀬さん、気をつけて!」


伊織「……えっ?」


千早「おそらく、カウンターが来るわ!」

春香「カウンター?」


伊織「……ふん、上等じゃない!このスーパー忍者……」


アサルトドアー「……ターゲッティング」


……ガキーン!


伊織「な、何……?」チラ

伊織「なんなのよ、この光は……!?」ホワホワ


春香「い、伊織の身体が、光ってる……!?」

千早「ターゲッティング……?」

千早「水瀬さんに狙いを定めたというわけね……!」



825: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:48:54.00 ID:AptUONNdO

春香「じゃ、じゃあ、伊織が狙われるの……?」

千早「春香、私、行くわ!」ダッ

タタタタ…


春香「あっ!ま、待って、千早ちゃん!わ、私もっ!」ダッ

…ズルッ

春香「うわわっ……!」ヨロッ

ドテッ




伊織「……ふっ!」ブンッ


ザシュッ!


アサルトドアー「………!」


伊織「ほら、攻撃するんじゃないの!?」ブンッ


ザシュッ!


伊織「……やれるものなら」

伊織「やってみなさいよっ!」ブンッ


ズシャッ!


アサルトドアー「………!」


伊織「……なによ、拍子抜けだわ」

伊織「何もして来ないじゃない!」


千早「……水瀬さん!」



826: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 21:54:39.95 ID:AptUONNdO

アサルトドアー「………!」


千早「攻撃……効いているのかしら?」

伊織「さあね……」

伊織「でも、まったく無傷って事はないでしょ」

千早「……だと、いいのだけれど」



アサルトドアー「グゲゲ……!」ブォン


千早「!」

伊織「ついに来るってわけね……!」

伊織「でも、この伊織ちゃんの動きなら……」


アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイイイン!


伊織「か、身体が、動かないっ……!?」グッ

千早「み、水瀬さん!?」

美希「………」

伊織「ま、まずいわ、これ!」



…キュルルルルル!



伊織「………っ!」

伊織「………あ…れ……?」チラ



春香「う……!」


伊織「……は、春香っ!?」


春香「え、えへへ……い、伊織……だい、じょ……ぶ……?」

春香「まに、あっ……て……よかっ……」フラッ


ドサッ


伊織「……春香っ!」ダキッ

千早「くっ……!」ギリッ


やよい「は、春香さんがっ!」

美希「春香……!」



伊織「ちょ、ちょっと春香!しっかりしなさいよっ!」ユサユサ

春香「………」グッタリ



827: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 22:00:07.58 ID:AptUONNdO

千早「……美希、高槻さん!援護をお願いっ!」チャキッ


タタタタ…


美希「了解なのっ!」

やよい「わ、わかりましたっ!」



千早「くっ……!」タンッ


…フワッ


アサルトドアー「グゲゲ……!」チラ


美希「……ヘイスト!」


カタカタ…シャキーン!


千早「………はっ!」


ズシャッ!


アサルトドアー「………!」


やよい「……お母さん!力をかしてくださいっ!」ギュッ


スゥゥゥ…


ミストドラゴン「……お久しぶりですね、ヤヨイ……」

ミストドラゴン「……ミストブレス!」


シュゥゥゥ…キラキラ…!


コォォォォォ!



828: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 22:08:01.02 ID:AptUONNdO

アサルトドアー「………!」チラ

アサルトドアー「………ターゲッティング」


……ガキーン!


やよい「……はわわっ!?」ホワホワ


千早「高槻さんっ!?」

千早(なぜ、私じゃなく高槻さんに……?)

千早「……やらせないわっ!」ブンッ


ドスッ!


千早「はっ!」ブンッ


ズバッ!


千早「やあっ!」


ズドドドドッ!


アサルトドアー「………!」ブォン

アサルトドアー「……9ディメ」


美希「……させないのっ!」ギリッ


…ヒュンッ!ドスッ!


アサルトドアー「………」


ボロボロ…


グシャアッ


アサルトドアー「」




美希「ふぅ……間に合って良かったの」

千早「美希、助かったわ」

やよい「で、でも、春香さんが……!」




伊織「春香………春香っ!」ユサユサ

春香「………」





829: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 22:12:12.90 ID:AptUONNdO

美希「……ケアルガ!」


シャララーン!キラキラ…


春香「………うっ」ピクッ

伊織「春香……!」ギュッ

春香「伊織、みんな……」

春香「えへへ、よかったぁ……」ニコッ

伊織「よくないわよバカっ!」

伊織「何勝手に飛び出して来てんのよっ!危ないでしょうが!」

春香「ご、ごめん……」

伊織「ごめんじゃないわよ……死んだら、どうするのよっ……!」グスッ

春香「伊織……」

千早「……水瀬さんの言う通りよ」

千早「少し、無茶をしすぎだと思うわ」

千早(私だって、どれだけ心配したか……)

春香「千早ちゃん……」

美希「ミキも千早さんと同じなの」

美希「春香は、もうちょっと自分を大切にした方がいいって思うな」

やよい「そうです!心配したんですよっ!」

春香「美希、やよい……」



春香「……ねえ、千早ちゃん。バブイルの塔で私が言った事、覚えてる?」

千早「え……?」

春香「ほら、言ったでしょ?みんなを守るのが、私の仕事なんだーって」

千早「ああ……そうね。確かに言っていたわね。でも、だからって……」

春香「……大丈夫。私は死なないよ!」

千早「春香……?」

春香「……だって」




春香「……私は、天海春香だから!」




4人「………」




830: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 22:27:33.91 ID:AptUONNdO

春香「………あ、あれ?」

春香「これって感動のシーンじゃないの?」

春香「私のセリフで、みんなウルッとくると思ったのに……」





伊織「………あのね」

伊織「あんた、それ、ニューイヤーライブの前にも言ってなかった?」

春香「う……!」ギクッ

千早「春香。それっぽいセリフを適当に言えばいいってモノでもないと思うわ」

美希「ボキャブラリーの底が知れるの」

やよい「春香さん。わたし、よくわからなかったです……」

春香「み、みんなぁ……」

春香(うーん、失敗しちゃったかな……)



伊織「それに……あんたにそういうカッコつけたセリフは10年早いわよっ」

春香「そ、そんなぁ……」

伊織「にひひっ!」

伊織「春香はやっぱり、こうしていじられている方がお似合いね」

やよい「いつもの春香さんですー!」

美希「ミキも、春香の役回りはイジられキャラだって思うな」

千早「……申し訳ないけれど、私も、やっぱりこっちの方が春香って感じがするわ」

春香「む〜……」

春香「あ、あんまりイジメたら、私だって拗ねちゃうんだからねっ!?」

伊織「拗ねてるヒマがあったら、さっさと出発するわよ、リーダー?」

美希「……これじゃ、どっちがリーダーかわからないの」

やよい「春香さん、立てますか?」スッ

春香「あ、うん。ありがと、やよい」ギュッ



千早(………でも、春香)

千早(そんなあなただから、みんなあなたに信頼を寄せるのよ……?)



春香「………千早ちゃーん、何してるのー!」

春香「置いて行っちゃうよー?」


千早「………ええ。今行くわ」

スタスタ…





831: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:24:47.60 ID:AptUONNdO
飛空艇 フタミ号

真美「兄ちゃん、次はどうするの?」

P「……それじゃ、真を迎えに行こうか」

真美「おっけ〜!んじゃあ、次の目的地はシルフの洞窟だねっ?」

P「ああ。よろしく頼むな」

真美「りょ〜かいであります、艦長!」ビシッ





雪歩「……やっと、真ちゃんと会えるんだ……!」ギュッ

亜美「そだね!まあ、それには、ゆきぴょん2の持ってる『あいのフライパン』が必要なんだけどね」

ユキコ「は、はい……」

あずさ「でも亜美ちゃん、いったいフライパンをどう使うのかしら?」

あずさ「ちょっと想像がつかないんだけど……」

亜美「そりゃ〜、あれだよ。寝てるマコちんをフライパンでゴチーンっ!って……」

雪歩・ユキコ「そ、そんなのダメですぅ!!」

あずさ「わ、私も、それはちょっとどうかと思うわ〜」

亜美「ん〜……でも、ゲームだとそ〜いうテンカイなんだよね〜」

雪歩「で、でも、真ちゃんを殴るなんて、そんな……」

亜美「……ま、もうすでにゲームとは全然違うカンジになってきてるから……」

亜美「ゲームと同じように、なぐってマコちんを起こすコトになるかはわかんないケドね?」

亜美「………ね、兄ちゃん?」クルッ

P「うーん、そうだなぁ……」

P「そもそも、真を起こすのに本当にフライパンが必要かどうかも微妙なところだし……」

P「何より、真ならそんな事をする必要もなく復活するんじゃないか、とも思うんだよなぁ」

雪歩「そ、そうですか……」ホッ

雪歩「それを聞いて、少し安心しましたぁ……」

P「……なんにしろ、真のところへ行ってみない事には何もわからないからな」

亜美「ふむ、『作文は一見、としかず』ってヤツですな?」

P「百聞は一見にしかず、な」

P(としかずって誰だよ……)




P(もう俺には、この先どうなるかはわからない)

P(なんせ、今の段階で伊織、律子、貴音まで合流してしまったからなぁ)

P(………あれ?そういえば貴音のやつ、魔導船で地球まで来たって言ってたけど、肝心の魔導船はどうしたんだ……?)

P(………まさか、忘れてるんじゃないか……?)

P(まあ、俺も忘れていたけど……)





832: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:30:09.03 ID:AptUONNdO
飛空艇 エンタープライズ

貴音「………………はっ!」ガバッ



響「た、貴音?どうかしたの?」

貴音「わたくし、今の今まで大切な事を忘れておりました……!」

律子「大切な事……って?」

貴音「律子嬢。わたくしは月から来た、と申しましたね?」

律子「ええ。そうだったわね」

貴音「月から地球へは、魔導船、という船で来たのですが……」

貴音「その魔導船を、置き去りにしていた事を、たった今思い出しました」

響「へぇ、宇宙を越えられる船があるのかー!見てみたいぞ!」ワクワク

律子「そうか、そうよね……!」

律子「なんで気づかなかったんだろう、私……」

律子「その船があれば、小鳥さんに会いに行けるじゃない!」

律子「それで、その船は今どこにあるの?」

貴音「ばぶいるの塔……と申しましたか」

貴音「確か、あの塔の地上からの入口に突き刺さ……」

貴音「……停めてあります」

律子「地上の入口か……」

律子「ここからだと、少し遠いわね」

響「でも、ピヨ子に会いに行くには、必要なんでしょ?」

律子「そうね」

貴音「……どう、致しましょうか」

律子「………」

律子「………回収しに行きましょう」

響「でも、春香達を待ってなくていいの?」

律子「大丈夫よ。春香達はまだ洞窟に入ったばかり。そんなにすぐには出て来ないでしょ」

律子(……それに小鳥さんは、『最後のクリスタルが1番厄介だ』って言っていたわよね)

律子(だったら、春香達がクリスタルを手に入れて戻って来るまでに、まだまだ時間はあるはず)




833: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:35:02.75 ID:AptUONNdO

律子「今から、行きましょう」

貴音「わかりました、律子嬢」

貴音「……響。頼みます」

響「ん、わかったぞ」

スタスタ…



響(魔導船かぁ……。どんな船か気になるけど……)

響(エン太郎じゃ、宇宙は越えられない)

響(月に行く時には、エン太郎とはお別れなんだな……)

響(…………そんなの、嫌だぞ……)グッ




貴音「律子嬢。魔導船を回収するならば、もはや、くりすたるに拘る必要は無いのでは?」

貴音「皆で、魔導船で月へ行き、小鳥嬢を説得する」

貴音「これで皆、元の世界へ帰れるはずです」

律子「………」

律子「………貴音の言う通り、それが最短なんでしょうけど」

律子「私には、この世界を放って置く事はできないわ」

貴音「………」

律子「この間も話したけど、私、この世界の人達に、たくさん迷惑をかけてしまった」

律子「だから、せめて小鳥さんの企みくらいは阻止したいの」

律子「小鳥さん、きっとひどい事するつもりだもの」

貴音「……わかりました。わたくしもお供致します」

律子「貴音……ありがとう」

貴音「……しかしわたくし達も、随分とこのげぇむの世界に毒されてしまったものですね」ニコッ

律子「ふふ、そうねぇ……」



律子(クリスタルが集まって、次元エレベータが動いたら、何が起こるんだろう?)

律子(次元エレベータは、地球と月を繋いでいるのよね、確か)

律子(……ゲームを知ってるプロデューサー殿に聞いておけば良かったなぁ)

律子(次に会った時に、聞いてみよう)





834: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:38:55.88 ID:AptUONNdO
封印の洞窟 B2F

春香「うわー……扉がいっぱいあるよぉ……」キョロキョロ

伊織「まさか、これ全部……」

千早「ええ。さっきのような罠かもしれないわね」

やよい「ぜ、全部わななんですか……?」

美希「なかなかに面倒な洞窟なの」

春香「うーん、どうしよう……」

千早「春香。落ち着いて、あの扉の魔物の対策を考えましょう」

伊織「そうね。どうやら、こっちから扉に接触しない限りは、罠は発動しないみたいだし」

春香「うん。ちょっと作戦会議しようか……」




伊織「まず、戦ってみてわかった事は……」

伊織「あの扉の魔物は、カウンターしかしてこないらしいって事ね」

伊織「しかもそのカウンターは、ご丁寧に攻撃した者に狙いを定める」

春香「うんうん……」

やよい「かうんたー………?」

千早「……補足するわ」

千早「『狙いを定める』と『カウンター発動』の2種類の行動」

千早「おそらく、この2つの行動を決まった時間ごとに繰り返しているだけね」

千早「……さらに、ターゲットにされるのは、どうやら『最後に攻撃した人物』みたいね」

春香「え?そ、そうなの……?」

やよい「えっと、えっと……」

やよい「うー……よくわからないですー……」

伊織「千早、何か作戦はある?」

千早「そうね……カウンターを受けるより早く倒してしまうか、1人が犠牲となってる間に倒すか……」

千早「速攻は難しそうだけど……」

伊織「なら、扉に触れる前に、扉ごと破壊するのはどう?」

千早「どうかしら?もしそれができるなら、罠自体の意味が無くなると思うのだけど……」

伊織「それもそうねぇ……」チラ

美希「あふぅ……」

伊織「ちょっと美希、あんたも何か考えなさいよ」

美希「ん〜……」

美希「……ミキ、思ったんだけど」

美希「……あの魔物の攻撃って、魔法なのかな?」



835: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:50:09.80 ID:AptUONNdO

春香「魔法かどうかって……それ、関係あるの?」

美希「大有りなの。魔法かどうかによって、対処の仕方も変わってくるって思うな!」

伊織「そういえば美希は魔法を使うんだったわね」

伊織「もし魔法の攻撃だったら、あんたならどうにかできるっていうわけ?」

美希「うんっ」

春香「でも、どうやってそれを確かめる?」

美希「それは……もう1回あの魔物と戦って、攻撃を受けてみるしかないって思うな」

千早「その時に見極める、という事?」

美希「うん。ちょっと試したい事があるの」

やよい「でも、そうなると……」

やよい「だれかがギセイになるかもしれないんですよね……?」

美希「んー、ミキの試みが失敗したら、そうなるかなー?」

伊織「じゃあその、攻撃を受ける囮役は誰がやるのよ?」



4人「………」じーっ



春香「……へっ?」

春香「ま、また私……!?」



千早「……心苦しいけれど、もう一度春香に頑張ってもらうしか……」

伊織「一度受けた攻撃だもの。もう慣れたわよね?」

やよい「春香さん、がんばってくださいっ!」

春香「………」

春香(『みんなを守るのが私の仕事!』なーんて言っちゃった手前、断る事なんかできないよね……)

春香「わ、わかった。私がやるよ!」

美希「心配しないで、春香。ミキの読み通りなら、春香は無傷で済むの!」

春香「うん。美希、信じてるからね!」




836: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:54:20.36 ID:AptUONNdO

春香「………じゃあ、開けるよ?」


4人「………」コクリ



春香「えいっ……!」


ガチャ…


ガタンッ!


アサルトドアー「グゲゲ……!」


伊織「出たわね……!」

伊織「じゃあ、作戦通り行くわよっ!」ダッ


伊織「はああっ!」

伊織「水遁っ!」


ズバシャァーッ!


千早「……くっ!」タンッ


フワッ…


やよい「……らむさん、お願いしますっ!」ギュッ


スゥゥゥ…


ラムウ「……ふふ。ヤヨイさん、うまく力を使いこなしているようじゃのぅ」

ラムウ「……裁きの雷!」


バリバリッ…ズガガガーン!



千早「……はっ!」


ヒュンッ…ドスッ!


千早「……春香っ!」


春香「行きますっ!」ダッ


春香「無双……稲妻突きっ!」


ビュンッ…ドシュッ!



アサルトドアー「………!」




837: ◆bjtPFp8neU 2015/01/11(日) 23:57:08.27 ID:AptUONNdO

アサルトドアー「……ターゲッティング」


…ガキーン!


春香「わっ……!」ホワホワ


伊織「来たわね……!」

伊織「……美希っ!」


美希「ミキに任せるのっ!」

美希「……リフレクっ!」


ブゥーーン!


春香「これは、魔法の……壁?」



アサルトドアー「グゲゲ……!」ブォン

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイイン!


春香「……っ!」グッ



…パキーン!



春香「……えっ?」



千早「攻撃が……!」

伊織「跳ね返ったわ!」

やよい「わぁ……!」



…キュルルルルル!




アサルトドアー「」



美希「あはっ☆大勝利なのっ!」ブイッ

春香「美希……!すごいよ!」

やよい「さすがですっ!」

伊織「ふん……まあまあやるじゃない」

千早「魔法で攻撃を跳ね返すか……。考えたわね、美希」




838: ◆bjtPFp8neU 2015/01/12(月) 00:00:46.47 ID:7Rym0adgO

伊織「……でも、こんな手があるなら、なんで最初から使わなかったのよ?」

美希「んー、最初は、あんな攻撃してくるなんて思わなかったの」

美希「ミキの勘だとー、成功する確率は、50%くらいだったの」

美希「でも、うまくいったから結果オーライだよねっ」

春香(50%……)

春香(ま、まあ……うまくいって良かったよね……)



伊織「……さ、とっとと行きましょ」

伊織「これでもう、罠なんて恐くないわ!」

やよい「うっうー!ミキさんがいれば、こわいものなしですっ!」

千早「そうね」

春香「美希、またよろしくね?」

美希「うん。それはいいんだけどー……」チラ

美希(扉、たくさんあるけど……)

美希(あれがぜーんぶ罠だったら……)

美希(ミキの魔力は、持つのかなぁ……?)

美希(………)

美希(……ま、きっとなるようになるの)


スタスタ…






『なるほど……』

『私の出番もそう遠くないようだ……』






847: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:27:56.57 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 一つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレクっ!」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「……やったの!」


ガチャ…


千早「あ……行き止まりみたいね……」

美希「がっくしなの……」シュン

伊織「まあ、これだけ扉があるもの、簡単には当たらないでしょ」

やよい「そうですよ美希さん!気をとりなおして、つぎに行きましょー!」

美希「そうだね!あはっ☆ミキ、ガンバるの!」

春香「よーし、次行ってみよう!」

スタスタ…



848: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:33:38.11 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 二つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレクっ!」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「余裕なの!」



ガチャ…



千早「あ……また行き止まり……」

美希「ついてないのー……」シュン

伊織「まあ、まだ2回目だもの、簡単には当たらないでしょ」

やよい「そうですよ美希さん!気をとりなおして、つぎに行きましょー!」

美希「そうだね!あはっ☆ミキ、次もガンバるの!」

春香「よーし、次行ってみよう!」

スタスタ…



849: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:37:29.85 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 三つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレクっ!」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「……おとといくればいいって思うな!」


ガチャ…


千早「あ……今度も、行き止まりね……」

美希「えー!……また行き止まりなの?」

伊織「うーん、3回目もハズレか……なら、次は当たりそうね」

やよい「そうですよ美希さん!気をとりなおして、つぎに行きましょー!」

美希「そう……だよね。うん。ミキ、ガンバるの!」

春香「よーし、次行ってみよう!」

スタスタ…



850: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:40:37.62 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 四つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレク」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「……倒したの」



ガチャ…



千早「………」

千早「また………行き止まり……」

美希「そんなぁ……ちょっとついてなさすぎって思うな!」

伊織「ま、まあ……これだけハズレが続いたって事は、当たりの確率が増えたって事よ。次は当たるわ!」

やよい「そ、そうですよ美希さん!気をとりなおして、つぎに行きましょー!」

美希「うん。まあ……やってみるの」

春香「よ、よーし、次行ってみよう!」

スタスタ…



851: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:44:41.66 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 五つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレク……」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「……終わったの」



ガチャ…



千早「………」

千早「……美希、ごめんなさい。また、行き止まりみたい」

美希「そんなのって、ないの……」ガックリ

伊織「ちょっと、なによこれ!本当に先に進む階段なんてあるの!?」

やよい「い、伊織ちゃん、おちついて……」

美希「なんか、やる気なくなってきたの……」

春香「ま、まあまあ、次こそは階段があるよ、きっと!」

スタスタ…




852: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:50:08.50 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 六つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレク……」ボソッ


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「………」



ガチャ…



千早「………」

千早(また、行き止まり……)チラ



美希「………」ズーン



伊織(さすがに、美希がかわいそうになってきたわ……)

やよい(こんなに行き止まりばっかりなんて……このめいろ、いじわるすぎですっ)

美希「……もういい。もうミキ、帰って寝るの」クルッ

春香「ちょ、ちょっと待って、美希!」ガシッ

春香「大丈夫、次は絶対に先に進む道があるから!」

春香「もうちょっと頑張ろう?ねっ?」

美希「だって……ミキ、もう疲れちゃったの」

春香「……はい、これ飲んで?」スッ

美希「何これ……?」

春香「これはね、魔力を回復するお薬なんだって。プロデューサーさんが言ってたんだ」

美希「ハニーが……」

美希「………」キュポ

美希「ゴクッ…ゴクッ……」

美希「!」

美希「……なんだか、ちょっぴり力が湧いてきたの!」

春香「良かった!なら……」

美希「うん。ミキ、もうちょっとだけガンバってみるねっ」

春香「じゃあ、行こう!」


スタスタ…




853: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:53:08.31 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B3F 七つ目の扉

アサルトドアー「……9ディメンジョン」


ギュイイイイイン!


美希「リフレクっ!」


ブゥーン!


キュルルルルル!


アサルトドアー「」



美希「……倒したよ!」

美希「千早さん、お願いしますなの!」

千早「ええ。それじゃ、開けるわね……?」



ガチャ…



千早「あっ………!」

伊織「か、階段があるわ……!」

やよい「うっうー!おめでとーございますっ!美希さん!」

春香「ついにやったね、美希!」

美希「みんな……ありがとうなの!」

美希「ミキ、やったの!」

春香「よーし、この調子で、次の階も頑張ろう!」

スタスタ…




854: ◆bjtPFp8neU 2015/01/16(金) 23:59:16.72 ID:IJFFqR8JO
封印の洞窟 B4F




5人「」





美希「………もういい。ホントに帰るの」クルッ

春香「み、美希、待って!」ガシッ

美希「離して、春香!あんなにガンバったのに、また扉がたくさんあるなんて!ミキ、もうやってられないの!」ジタバタ

伊織「ちょっと、落ち着きなさいよ、美希っ!」

やよい「はわわ……み、美希さんっ」オロオロ

千早「美希……」



春香「ここで諦めたら、プロデューサーさんが悲しむと思うなぁ……」

美希「!」

美希「ハニー……」

春香「プロデューサーさんのためにも、頑張ろ?」

美希「………」

美希「その言い方は、ひきょ〜なの」

美希「……わかったの。ミキ、ハニーのためにガンバるっ!」



伊織「あんた、なかなかずる賢くなったわね……」

春香「……うん。今回は、ちょっとズルかったかもね」

千早「でも、クリスタルを取りに行く事は、みんなのため……ひいては、プロデューサーのためになるのだから……」

千早「あながち間違っているとも言えないわ」

伊織「……ま、みんなのモチベーションを保つのも、リーダーの仕事よね」

伊織「そういう意味では……」

伊織「春香。あんた、少しはリーダーとして成長したのかもね?」

やよい「さすが春香さんですねっ!」

春香「えへへ、そうかな……?」



美希「ねえ春香。早く行くの!」グイッ

春香「わ、わかったから……引っ張らないで、美希」ズルズル






855: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:04:23.45 ID:I2a2TiD2O
シルフの洞窟 入口

ーーー地のソコにある世界、そのさらに深くに……




雪歩「………」

ガシャン!ガシャン!




ーーーマボロシのよ〜せいへと続くど〜くつが、ひっそりと口を開けていた……




ユキコ「………」

スタスタ…




ーーーそのおくふかくに眠る、オモイビトを求めて……




雪歩「………」ゴゴゴゴ

ユキコ「………」ゴゴゴゴ




ーーー今、一匹の龍と虎が、降り立つ……




雪歩・ユキコ(………この洞窟に、真(さん)ちゃんが……っ!)




雪歩「……………って」

雪歩「へ、変なナレーションつけないでよぉ、2人とも〜……!」

ユキコ「そ、そうですぅ!私とユキホさんは、龍でも虎でもないですぅ!」

亜美「え〜!フインキにバッチリ合ってたじゃん!」

真美「そ〜そ〜、2人とも、『マコちんは俺の嫁』オーラがすっごい出てたよ?」

雪歩・ユキコ「そ、そんな事ないですぅ!!」

あずさ「でも、なんだか2人とも、とても気合入っているみたいね〜」

P「うーん、そうみたいですね」

トロア(マコト殿……)

トロア(ユキホ王女の想い人で、ユキコ殿の夫……か)

トロア(武勇に優れているらしいが……果たしてどのような御仁なのだろうか)




857: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:09:18.84 ID:I2a2TiD2O
…………

……


P「……と、いうわけだから、みんな、この洞窟に出てくる『モルボル』の『臭い息』には充分気をつけるんだぞ?」



アイドル達「は〜い!!」



ユキコ「あ、あのぅ……」

トロア「妖精殿は、何と?」

亜美「モルボルってゆ〜マモノがいるんだけどさ、そいつの息がチョーくっさいから気をつけろって」

トロア「息……ですか」

ユキコ「く、臭いって、どのくらい臭いんでしょーか?」

真美「もぉね、ほんのちびっとかいだだけで、混乱目くらちんもく小人カエルになっちゃうぐらいなんだよ!」

トロア「混乱して目くらで……そ、そんなにですか?」

ユキコ「そ、それは恐いですぅ!」

あずさ「そうねぇ……それなら、鼻に詰め物をして行った方がいいかしらね〜?」

雪歩「た、確かに、それなら臭い息を嗅ぐ事もないですね……!」

真美「あずさお姉ちゃん……」

真美「対策としてはいいかもだけど、アイドルとしてど〜かな、それ……」

トロア「私には必要ありませんね。これでも腕には自身があります」グッ

亜美「とろ姉ちゃん。それ、思いっきりフラグ立ってるよ?きっと」

真美「うん。真美も、フリにしか聞こえないYo」

トロア「心配無用です、お2人とも。そんな魔物など、我が半身たるこの戦斧で……」チャキッ

亜美「……ま、期待してるよ。いろいろ」




…………

……



858: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:12:46.63 ID:I2a2TiD2O
シルフの洞窟 B1F

モルボル「………」クネクネ




トロア「……ゲコッ!ゲコッ!」ピョン




亜美・真美(……だから言ったのに……)



あずさ「と、トロアさん?とりあえず下がってくださいね〜?」



トロア「……ゲコッ!ゲコッ!」



真美「ムリだよ、あずさお姉ちゃん。混乱しちゃってるから、言う事聞いてくれないよ、たぶん」

あずさ「……どうしましょう、プロデューサーさん?」

P「……雪歩、今のお前なら、ヤツの息も効かないはずだ!頼むぞ!」

雪歩「わ、私ですかぁ?」

雪歩「うぅ……わ、わかりました……」


ガシャン!ガシャン!


雪歩「と、トロアさん……」スッ


トロア「ゲコッ!ゲコッ!」


雪歩「あ、あずささん、お願いしますぅ!」スッ


あずさ「ええ。わかったわ」

あずさ「……エスナ!」


シャララーン!


トロア「…………はっ!」

トロア「わ、私は、いったい……?」

亜美「とろ姉ちゃんの体を張ったボケ、しっかり見せてもらったよ〜!」

真美「いや〜、とろ姉ちゃん、神官じゃなくて芸人の方が向いてるんじゃない?」

トロア「あの魔物の息を食らってしまったのか……!」

トロア「………む、無念……!」ガクッ




859: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:15:24.09 ID:I2a2TiD2O

モルボル「ブハァ……」


モワ〜ン…


ユキコ「ひぃぃ!い、息がああっ」


雪歩「ゆ、ユキコさん、私の後ろに隠れてっ!」ガバッ



ユキコ「ゆ、ユキホさん、ありがとう……!」

雪歩「うん!」



P「雪歩!アダマンアーマーのおかげで、雪歩がカエルになったりする事はないから、心配するな!」



雪歩「わ、わかりまひたぁ……!」ツマミ

雪歩(でも、臭いものは臭いですぅ……!)




雪歩「………」




亜美「…………あり?」




雪歩「…………………ふふっ」




真美「ゆきぴょん……?」







雪歩「うふふふふふふふふふふふふふふっ!」




あずさ「ゆ、雪歩ちゃん……?」

P「ゆ、雪歩?どうしたんだ、いったい?」

亜美「ゆきぴょんがご乱心だよ〜!」




861: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:24:47.32 ID:I2a2TiD2O

雪歩「……ねえ、プロデューサー?」クルッ

P「な、なんだ?」

雪歩「おかしいと思いません?」スタスタ

P「な、何がだ……?」ズサッ

P(おかしいのは、どっちかと言うと雪歩の方だと思うぞ……)

雪歩「こんなに、貧相でちんちくりんな私が、化け物と戦っているなんて……」ガシッ

P「そ、そんな事……」

雪歩「………あるんですよ?」ズイッ

P「ゆ、雪歩……」

P(顔、近いって!)



モルボル「ヌボォ!」ガバッ



雪歩「……五月蝿いっ!」ブンッ


グシャアッ!


モルボル「」



全員「」





雪歩「うふふふふっ!」

雪歩「……だって私、化け物どころか、男の人やわんちゃんですら、恐いと思っているんですよ?」ニコッ

雪歩「そんな私が、化け物と戦うなんて、出来るわけありませんよね?」ガシッ

P「そ、そんな事ないぞ!男性恐怖症だって、少しずつ治ってきてるじゃないか!」

雪歩「…………そう。少しずつ治ってきてるんです」

雪歩「プロデューサーのおかげで……ね?」ギュッ

P「ゆ、雪歩、ダメだ!」

P(雪歩がアダマンアーマーを着てなければ、雪歩の温もりを感じられたのかな……)

P(……って、何考えてるんだ俺はっ!)

雪歩「……ねえ、プロデューサー?」

雪歩「私に、本当の男を教えてくれませんか……?」ジッ

P「な、何言って……!」ドキドキ

雪歩「そうすれば、私の男性恐怖症も完全に…………ね?」ス…




真美「……エスナっ!」

真美「エスナ、エスナ、エスナ〜っ!!」


シャララーン!



862: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:32:13.69 ID:I2a2TiD2O

雪歩「………はっ!」

雪歩「………あ…れ……?」

雪歩「わ、私……?」



P「あ………」

P「そうか、混乱してたのか……」

P(そ、そりゃそうだよな……)

P(雪歩があんなダイタンに迫ってこれるはず、ないもんな……)



真美「も〜、見てらんなかったよ〜……///」

真美(あのままほっといたら、ヤバかった……)

真美(よ〜ちゅ〜いジンブツだよ、こりゃ……)

亜美「ゆきぴょん、やるねぇ……」

あずさ「と……とりあえず、雪歩ちゃんが正気に戻って良かったわ〜」



雪歩「み、みんな……?」

雪歩「わ、私、何かとんでもない事をしちゃったんでしょうか……?」オロオロ

P「だ、大丈夫だ、気にするな!はは……」

雪歩「うぅ〜、気になりますぅ……」



P「……でも、おかしいなぁ」

P「アダマンアーマーは、『混乱』も防いでくれるはずなんだけどなぁ……」



亜美「………ああっ!」

亜美「兄ちゃん、ちょっと来て!」

P「……どうした?」



亜美「……ホラ、アダマンアーマーの右腕の部分!」スッ

真美「すっごいちっさい字で、なんか書いてあるねぇ」

P「ええと……」

P「『ごめんなさい。この部分だけアダマンタイトが足りませんでした。てへっ』」

P「……『byしっぽ親父』」

亜美「……あんのクソオヤジ〜!」

真美「こんなんサギっしょ〜!」

P「つまり……」

P「本来のアダマンアーマーよりもアダマンタイトが少なかったから、混乱を防げなかった、という事か……?」

亜美「兄ちゃん、クリーニングオフだよ、クリーニングオフ!」

P「……ひょっとして、クーリングオフの事か?」

P「この世界に、そんなシステム無いだろ……」



863: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:36:20.03 ID:I2a2TiD2O

あずさ「不良品だなんて、ついてなかったですねぇ……」

亜美「これはすぐにでもしょ〜ひしゃセンターにソウダンすべきだよっ!」

真美「そうだよ!アクシツなギョーシャを許してはいけない!我々は立ち上がらねばならないのだよ!」

P「い、いいよ別に。話がややこしくなるから……」






雪歩「………」

雪歩(…………確かに、自分の意思とは別に勝手に言葉が出てきたんだけど……)

雪歩(ホントは、あの気持ち悪い魔物を倒した時には、正気に戻ってたんだよね……)

雪歩(ふふっ……)

雪歩(私の『演技』も、まだまだ捨てたものじゃないって事かなぁ……?)

雪歩(それに……)

雪歩(プロデューサーにあんな風に迫るのも……)

雪歩(すっごい恥ずかしかったけど、楽しかったなぁ………///)





P「……おーい、雪歩ー!」

真美「ゆきぴょ〜ん!置いてっちゃうよ〜?」



雪歩「い、今行きますぅ!」

タタタタ…







雪歩(………また、機会があったら……)

雪歩(なんて、ね)






864: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:43:51.34 ID:I2a2TiD2O
アガルトの大穴


…ブワッ!



響「………よーし!」

響「もうすぐ地上に出るぞー!」

律子「久しぶりね。何だか私達、長い事地底にいた気がするわ」

貴音「時間にしてみれば、ほんの数日のはずなのですが……いろいろな事がありましたね」

律子「……さ、早いとこ貴音の乗って来た魔導船とやらを回収しに行きましょ!」

響「ねえ律子。ここからだと、どう行けばいいの?」

律子「ええと、確か、バブイルの塔があるのは、エブラーナ島の山奥だから……」

律子「この穴を抜けたら、まっすぐ西へ進めばバブイルの塔が見えてくるはずよ」

響「わかったぞ!」

ものまね士「月へ渡る船なんて、ロマンチックですよねぇ……」ウットリ

店主「うーん、飛空艇マニアとしても、是非見てみたいなぁ」

響「あ、店主にものまね士」

響「地上へ来たついでだから、2人をカイポまで送ってあげるね!」

ものまね士「あ……」

店主「そっか……もうそろそろ、お別れなんだな……」

律子「私達の戦いに、関係の無いお2人を巻き込むわけにもいきませんからね」

ものまね士「リツコ様……」

ものまね士「私、楽しかったです!皆さんと、お知り合いになる事ができて……!」グスッ

律子「ちょ、ちょっと、泣かないでくださいよ……」

店主「やれやれ、あんたは涙もろいなぁ……」ナデナデ

ものまね士「うぅ……だ、だって……っ!」グスッ

貴音「出会いがあれば、別れもあります……」

貴音「あなた方との出会いは、わたくし達の中で、永遠に生き続ける事でしょう……!」

店主「タカネ……」

貴音「………そして、店主殿。あなたの生み出した素晴らしき料理の数々は、今もわたくしの血となり肉となり、生き続けていますよ……?」ニコッ

店主「は、はは……そりゃあ良かった……」



響「……そろそろ穴を抜けるぞー!」




865: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:49:07.83 ID:I2a2TiD2O
アガルトの村 上空

響「ん〜〜っ!」ノビッ

響「久々のてぃーだの光だぞーっ!」バッ

ものまね士「ふふっ、ヒビキさん、とっても元気ですねぇ」

ものまね士「……まるで、ヒビキさんそのものが太陽みたい……」

貴音「ええ。仰る通りです」

貴音「響は、わたくし達の大切な太陽なのです」

律子「こうして太陽の光を浴びていると、当たり前の事に感謝したくなってくるわね……」



店主「………ん?なんだあれ?」



ものまね士「……店主さん?どうかしたんですか?」

店主「あれを見てみろよ」スッ

ものまね士「あれは……」



…モクモク



ものまね士「煙が上がっていますね。狼煙、か何かでしょうかね……?」

律子「……狼煙?こんな寂れた島で……?」

貴音「狼煙、というよりは、単に何かが燃えているだけではないでしょうか?」

響「……どうかしたの?」

貴音「ええ。何やらあちらで、煙が上がっている様です」スッ

響「…………ホントだ」

律子「まあ、大方、山火事でもあったんでしょ。そんなに気にする事じゃないわよ、きっと」

響「火事……?」

響「………」キョロキョロ

響「あれ?そういえば、村はどこにあるんだっけ?」

律子「村?……ああ、そういえばあったような気がするわね、この島に」

響「あの煙……!」



響「村の方から上がってるみたいだぞ!」




866: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:53:01.92 ID:I2a2TiD2O

律子「……じゃあ、火事になったのは、村って事?」

響「そんな……!」

響「……ば、ばあちゃん!」グイッ



ガクン…



律子「きゃ……!」ヨロッ

律子「……ちょっと響、どうしたのよいきなり!?」

響「その村に……その火事になった村に……」

響「自分達がお世話になったばあちゃんがいるんさー!」

響「だから、助けに行かないと!」

響「エン太郎、着陸だぞ!」



律子「響!今はそれどころじゃ……」

貴音「……律子嬢」スッ

貴音「世話になった人を心配する響の気持ちを無碍にするのは、あまりに酷というものです」

貴音「行かせてあげましょう」

律子「………」

律子「……わかったわ」

律子「それに、響がお世話になった人なら、私からもお礼を言わなきゃね」

貴音「ありがとうございます、律子嬢」ペコリ



貴音(………何故か妙な胸騒ぎがします)

貴音(いくら小さな村とはいえ、1日や2日で燃え尽きてしまうものでしょうか……?)

貴音(杞憂であってくれれば良いのですが……)




867: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:55:28.88 ID:I2a2TiD2O
アガルトの村

響「なんだ、これ……!」キョロキョロ

律子「これは、ひどいわね……!」

律子「建物らしい建物は、何も残ってないわ……」

貴音「響。本当に、ここに村が『あった』のですか?」

響「うん……ほら、たぶんあの瓦礫、家が崩れちゃったんだと思うぞ……」スッ

貴音「……確かに、その様に見えますね……」

響「………!」グッ

タタタタ…



律子「……あっ!ちょっと、響っ!」

貴音「律子嬢、追いかけましょう!」

律子「……まったくもうっ!」

タタタタ…



…………

……



868: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 00:58:31.20 ID:I2a2TiD2O

響「……確か、この辺りにばあちゃんの家があったはずなんだけどなー……」キョロキョロ

律子「家らしきものは、見当たらないわね……」

貴音「あるのは、燻っている瓦礫ばかり……」

貴音「まこと、悲惨なものです」





「………………おねえちゃん?」





響「!」

響「少年……!」

少年「ほんとに、おねえちゃんだぁ!」

少年「あはは、ひさしぶりー!」

響「少年、大丈夫か!?」ダキッ

少年「うん……ちょっといたいけど、がまんできるよ……?」

少年「だってぼく、どわーふのしそんだもんね!」

少年「これくらいがまんしなきゃ、ばっちゃにおこられちゃう!」

律子「こんなに幼い子まで、巻き込まれているなんて……!」

響「そ、そうだ、ばあちゃんはどこにいるんだ?」

少年「………」

少年「ばっちゃは……」

響「ま、まさか……死んじゃったのか……!?」




「…………こらこら、勝手に人を殺すんじゃないよ」




響「ば、ばあちゃんっ!」

老婆「……まったく、魔物の次は、あんたかい……」

老婆「こんな田舎村にやってくるなんて、物好きが多いねぇ……」

響「ばあちゃん!生ぎででよがっだぞ〜!」ポロポロ

老婆「何泣いてんだい、みっともない」

老婆「……ん?そういえばポニーテール。メンバーが変わっているみたいだが……?」チラ

響「あっ……」ゴシゴシ

響「春香達とは、ちょっと今は別行動なんさー」

老婆「そうかい……」




869: ◆bjtPFp8neU 2015/01/17(土) 01:05:19.36 ID:I2a2TiD2O

貴音「……けあるら」


シャララーン!キラキラ…


少年「おねえちゃん、ありがとう!」

貴音「いえ、礼には及びませんよ」ニコッ

老婆(……明らかにケアルラの治癒力じゃないね。ケアルガに匹敵するよ……)

老婆(あたしが若い頃でも、ここまでの魔力は無かった……)

老婆(あの銀髪、いったい何者だい……?)

貴音「……申し遅れました。わたくし、月の民の、四条貴音と申します」

貴音「以後、お見知り置きを」ペコリ

老婆「月の………そうか」

老婆「なるほどねぇ。あんたのアホみたいな魔力にも、納得だ」

貴音「?」

律子「私は、秋月律子といいます」

律子「職業は……」

老婆「……暗黒騎士、だろ?」

律子「えーと……はい……」

老婆「………」じーっ

律子「あの、何か……?」

老婆「……勿体無いな」ボソッ

律子「??」

響「それよりばあちゃん。いったい何があったんさ?こんな……」

老婆「………龍だ」

律子「龍……?」

老婆「ああ。いきなりどこからか龍が現れて、あっという間に、村を壊滅させちまった……」

老婆「あたしは、この子を守るのが精一杯で……村の連中を、守ってやれなかった……」

響「そうだったのか……」

貴音「…………あの、奥方殿」

貴音「その龍は、真っ白ではありませんでしたか?」

老婆「うん。その通りだが……」

老婆「銀髪の。あんた、何か知っているのかい?」

貴音「……その魔物は、わたくしが追いかけていた魔物のうちの、一匹なのです」

響「追いかけてたって……どういう事?わかりやすく説明して欲しいぞ!」

律子「私も、『貴音が月の魔物を追っていた』という事しか知らないわ」

貴音「できれば、わたくしだけで……と、思っておりましたが……」

貴音「もはや、わたくしだけでどうにかなる問題ではない様です」



…………

……


872: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:45:51.09 ID:Tk6xAV0nO

貴音「………と、いうわけで」

貴音「骸骨、大蛇、目玉の妖怪」

貴音「そして、この村を襲った、白い龍……」

貴音「この4体が、わたくしの追いかけていた魔物達です」

響「地球をめちゃくちゃにするなんて、許せないぞ!」

響「こうしてる内にも、どこかの村が襲われてるかもしれないぞ!」

響「助けに行かなきゃっ!」スクッ

貴音「……待ってください、響」ガシッ

貴音「少し、落ち着きましょう」

律子「そうよ、響。私達には、他にやる事があるでしょう?」

律子「魔導船を回収しないといけないし、春香達のところへも戻らないと……」

響「わかってるけど……」

老婆「……ポニーテール。あんたの気持ちもわかるが……もう手遅れかもしれないよ」

響「ど、どういう事?」

老婆「この村を廃墟にした後に、龍が言ったんだよ」



老婆「『この村で最後だ』……ってな」



律子「じゃあ……!」

貴音「他の村や町も、すでに滅びたと?」

老婆「……おそらくは。歯がゆいがね」

老婆「だが、龍はこうも言っていた」

老婆「『あの城だけ、落とせなかった』と」



873: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:48:46.95 ID:Tk6xAV0nO

老婆「無事だった城が一つだけあるって事なんだよ」

老婆「……そこで、あんた達に頼みがあるんだ」

響「自分達にできる事なら、なんでもするぞ!ばあちゃんには、世話になったからね!」

老婆「坊やを……その、生き残ったっていう城まで、送り届けてもらえないかね?」チラ

少年「………」スヤスヤ

律子「うーん、まあ……」

律子「……飛空艇があれば、城一つ探すくらいは、何日もかかる事じゃないわね」

貴音「そうですね。それに、未来ある子供を見捨ててはおけません」

老婆「ありがたい!それじゃ……」



響「………自分は、嫌だぞ」



律子「響……?」

貴音「何故です、響。先ほどまでは、あれ程……」

響「だって……」

響「じゃあ、ばあちゃんはどうするんだ?」

律子・貴音「!」

老婆「………あたしの事は、心配するな」

老婆「もともと、老い先短い身だ。安全な場所にいようが、危険だろうが、すぐに迎えが来るだろうからね」

響「いやだ。ばあちゃんも一緒に行くんだ!家族がバラバラになるなんて、おかしいもん!ばあちゃんが行かないなら、自分、エン太郎は操縦しないからねっ!」

律子「そうね……私も響に賛成だわ」

貴音「そうですね……」

貴音「奥方殿」

貴音「あなたもわたくし達と共に来ていただけないでしょうか?」

老婆「………」

老婆「まったく、つくづく物好きな連中だね」

老婆「こんなババアに媚売っても、いい事なんかないのにねぇ……」




響「さ、そうと決まったら、さっさと行くぞ!やる事はたくさんあるんだからねっ!」




874: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:51:33.18 ID:Tk6xAV0nO
地上世界 アガルトの村 上空

店主「………婆さん。その話、本当なのか?」

老婆「あたしゃ、見聞きした事をそのまま話しただけだ」

老婆「信じるか信じないかは、あんた次第。違うかい?」

店主「………」

ものまね士「……いきなり『魔物が攻めて来た。あんたの村も、おそらく無事ではすまないだろう』なんて言われて、信じろっていう方が無理だと思います!」

老婆「そうだろうな。だが、変に包み隠して話すよりは、ありのままを伝えた方が、後で受けるダメージは少なく済むと思うがね?」

ものまね士「そ、そんな言い方……!」



律子「お婆さん、あなたの考えには賛同しますけど、事が事なので、もう少し相手を想った言い方があると思いますよ?」

老婆「……ふん。時代遅れの暗黒騎士が偉そうに……」

律子「ぐ……!す、好きでやってるわけじゃないですからっ!」

響「律子もばあちゃんも、落ち着くさー!」

響「今は、言い争ってる場合じゃないぞ!」

貴音「響の言う通りです。まずは、まだ魔物の手に落ちていないという城を目指し、皆の安全を確保する事が最優先かと」

貴音「話し合いは、後でもできます」

律子「………」

律子「そうね……お婆さん、生意気な口を聞いてごめんなさい」ペコリ

老婆「……へぇ、ずいぶん簡単に折れるんだねぇ」

老婆「あたしの見立てじゃ、眼鏡、あんたはもっと自分に自信を持っていると思ったんだが……」

律子「そ、そんな事は今は関係ないです!」

老婆「そうか。すまなかったね」

老婆(……眼鏡の暗黒騎士……何か自信を無くすような事があったのか?)

老婆(……っと、あたしが詮索する事じゃないか)




875: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:53:15.46 ID:Tk6xAV0nO

店主「……なあ、ヒビキ」

店主「一度、カイポに寄ってもらえないか?」

響「店主……」

響「そうだよね……自分の故郷がめちゃくちゃにされたら、心配だよね……」

響「ねえ、貴音、律子。ちょっと寄り道してもいいかな?」

律子「いいも何も、この船はあなたの船でしょ?」

律子「あなたが決めなさい、響」

貴音「わたくしも、異論はありませんよ」

響「わかった!」




響「よーし!まずはカイポに向かうぞ!」




店主「……なあ、ものまね士。あんたはいいのか?」

ものまね士「いいって……何がですか?」

店主「あんただって、バロンが気になるだろ?」

ものまね士「?」

ものまね士「なんで私が、バロンを気にするんですか?」

店主「だって、あんたの故郷だろ?」

ものまね士「あー……」

ものまね士「そういう意味ですか……」

ものまね士「実は私、生まれはバロンじゃなくて、ファブールなんですよ」

ものまね士「恥ずかしくて、言ってませんでしたけど……」

店主「ファブール……どうりで腕っ節が……」

ものまね士「私、モンク僧になるのが嫌で故郷を飛び出して来た身なので……思い入れなんて、ほとんどありません」

ものまね士「だから、私の事は気にしないでください」

店主「……そうか」

店主「ふーん……」

ものまね士「なんですか?なんか言いたそうですね?」

店主「いや、まあ……」

店主「少しだけど、あんたの事を聞けて良かったなぁ……と思ってさ」

ものまね士「!」カァァ

ものまね士「きゅ、急に何を言い出すんですかぁーっ!」ブンッ

店主「おわっ!お、落ち着けって!」

ものまね士(嬉し恥ずかし〜〜!)




876: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:55:59.40 ID:Tk6xAV0nO
カイポの村

響「………着いたぞ」

ものまね士「そ、そんな……!」

ものまね士「本当にこれが、カイポの村だっていうんですか……!?」

ものまね士「こんなの、ひどい……!」

律子「村としての面影がまるで無いわね……」

貴音「………」

店主「……ヒビキ。すまないな、わがまま言って」

響「そ、そんなの、気にする事ないさー!」

響「あ、あのさ、店主……」

店主「………オレ、ちょっと行ってくるよ」

店主「村の『みんな』に挨拶しなきゃいけないしな」

響「あ……」

ものまね士「じゃ、じゃあ、私も行きます!」

店主「悪い、ひとりで行かせてくれないかな?」

ものまね士「で、でも……」

店主「それじゃあ、後でな」クルッ

スタスタ…




ものまね士「店主さん……」





877: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 19:58:05.27 ID:Tk6xAV0nO

…………

……



スタスタ…


店主「………」キョロキョロ

店主(………ひでえな、こりゃ)

店主(みんな……死んじまったのか……?)

店主(……………クソッ!)




店主「………」チラ

店主(親父から受け継いだ、オレの店……)


…ボロッ


店主(ちくしょうっ……!)グッ

店主(なんでこんな……)



ガサッ



店主「ん?」チラ



魔物「グルル……!」


店主「魔物……!?」


店主「………」グッ

店主「おまえ達のせいで、この村が……!」

店主「このやろうっ!」ダッ

店主「くらえっ!」ブンッ


魔物「………」ヒョイッ


店主「うわっ!」

ドサッ


店主「痛てて……!」


魔物「グルル!」ブンッ


店主「や、ヤバいっ……!」




878: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:00:15.07 ID:Tk6xAV0nO

ダダダダ…


ものまね士「……店主さんに何するんですかーっ!」


ものまね士「………せいっ!」


ドゴォ!メキメキメキッ!


ドサッ


魔物「」


店主(つ、強ええ……)


ものまね士「店主さん!大丈夫ですかっ!?」

ものまね士「あーっ!血が出てるじゃないですか!」

店主「大丈夫、ちょっと転んだだけだよ」

ものまね士「傷口から菌が入ったりしたら、大変ですよ?」

ものまね士「……ケアルラ!」


シャララーン!キラキラ…


店主「……ありがとな」

店主「……そういえばあんた、白魔道士なんだったっけ」

ものまね士「そうですよ。……やっと本来の仕事ができました」

ものまね士「それより……」チラ

店主「……うん」

店主「もう、挨拶は済んだよ」

店主「あんまりヒビキ達を待たせるのも悪いしな」

店主「……戻ろうか」

ものまね士「………」

ものまね士「はい。わかりました」

スタスタ…





店主(………じゃあな、みんな)







879: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:02:49.87 ID:Tk6xAV0nO
シルフの洞窟 B3F シルフの家の外

あずさ「ええと……」キョロキョロ

あずさ「ここに、真ちゃんがいるんですか?」

P「多分、そうだと思うんですけど……」

真美「なんか、すっごいごちゃごちゃしてるね」

雪歩「よくわからないモノが、たくさん積み上がってますぅ」

亜美「入口も見つからないし……これじゃ、中に入れないよぉ〜」

P「まさか、シルフの家がこんなだとは……」

P「うーん、どうするか……」




亜美「…………あっ!」

亜美「じゃあじゃあ、亜美が魔法でドカーン!って吹き飛ばしてあげるよ!」

あずさ「でも、それじゃあ中にいる真ちゃんが危険じゃないかしら……?」

亜美「あ、そっか……」

真美「こりゃ〜、『正面突破』はムリそうだね〜」

真美「ねえ、ゆきぴょん?」

雪歩「えっ?…………あ!」

トロア「そうか……!ユキホ王女の穴掘りなら……!」

ユキコ「確かに、中に入れますね……!」

P「その手があったか……」

P「雪歩、頼めるか?」

雪歩「わかりました。やってみますぅ!」チャキッ




880: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:05:01.56 ID:Tk6xAV0nO
シルフの洞窟 B3F シルフの家

真「………2998!」グッ

真「………2999っ!」グッ



真「………さん……ぜんっ……!」ググッ



真「はぁ、はぁ……!」

シルフ「お疲れ様です、マコトさん。タオルをどうぞ〜」スッ

真「ありがと、シルフ」

シルフ「ずいぶん熱心なんですね〜?」

真「まあ、これは日課のようなものだからね」フキフキ

シルフ「日課……ですか」

シルフ「でも、そんなに身体を鍛えてどうするんです?」

シルフ「私には、もう充分に見えますけど……」

真「健全な魂は、健全な肉体にのみ宿る」

真「身体を鍛えているとね、心も鍛えられるんだってさ」

真「ボクの師匠が言ってたんだ!」

シルフ「そうなんですか〜」

真「……それに」

真「もうボクは、絶対に負けられない!」

真「みんなのためにも……!」グッ

シルフ(とても大切な方々なんですね……)

シルフ(私が入る隙なんて、あるんでしょうか……?)




……ザバァ!




真「うわっ!」

シルフ「な、何事ですかっ!?」




881: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:06:55.17 ID:Tk6xAV0nO

雪歩「ふぅ……開通しましたぁ」



真「ゆ、雪歩!?」

雪歩「あっ……!」

雪歩「ま、ま……真ちゃんっ!」



ガシャンガシャン!



真「ゆ、雪歩、ちょっと待って!」

真「その格好じゃ……」

雪歩「そ、そう、だね……私、こんな変な格好で、ごめんね……?」

真「いや、それはいいんだ」

真「……来てくれて嬉しいよ、雪歩!」ニコッ

雪歩「真ちゃんっ……!」ウルッ



シルフ(誰も入れないように、バリケードを張り巡らせたのに……)

シルフ(まさか、穴を掘って来るなんて……)

シルフ(あの方が、マコトさんのお仲間……)



亜美・真美「マコち〜ん!お久〜!!」

あずさ「真ちゃん、ずいぶん逞しくなったわね〜」

真「亜美、真美!……あずささん!」

P「……待たせたな、真!」

真「プロデューサー!」

真「……あれ?後ろの2人は……?」

ユキコ「マコトさん、お久しぶりですぅ!」

真「ユキコ!どうしてここに?」

真「……と、あなたは確か、トロイアの……」

トロア「こうしてお話するのは初めてでしたね」

トロア「トロイアの神官、トロアと申します」ペコリ




882: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:09:48.62 ID:Tk6xAV0nO

P「……まあ、いろいろあってな」

P「気づいたらこんな大所帯になってしまっていたんだ」

真「そうなんですか……」



雪歩「真ちゃん、身体は大丈夫?」

真「うん。この通りだよ!」グイッ

真「あ、そうだ。みんな、紹介するね!」

真「この子は、シルフ。ボクを助けてくれたんだ!」

シルフ「どうも〜」ペコリ

雪歩「あ、こちらこそ……真ちゃんを助けていただいて、ありがとうございましたっ!」ペコリ

シルフ「いえ、妻が旦那の面倒を見るのは、当たり前の事ですから〜」ニコッ

雪歩「……えっ?」

ユキコ「……えっ?」

真「ちょ、ちょっとシルフ……!」



亜美「……血のニオイがしますな〜」

真美「シュラバですな〜」



ユキコ「……ま、マコトさんの妻は、私ですぅ!」

シルフ「なるほど〜。マコトさん、結婚してるって仰ってましたもんね〜」

シルフ「でも、今は私が妻なんですよ〜」

シルフ「だから、昔の女は引っ込んでてくださいね〜?」

ユキコ「む、昔の女……」フラッ

雪歩「ゆ、ユキコさんっ!」ダキッ



あずさ「プロデューサーさん。なんだか雲行きが……」

P「ええ……。ややこしい事になってますね……」



雪歩「い、今のは、ちょっと言い過ぎだと思いますぅ!」

シルフ「……私、事実を言っただけなんですけどね〜」

シルフ「それに、妻でもなんでもないあなたには、関係ないと思うんですが……」

雪歩「うぅ……」



883: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:12:29.46 ID:Tk6xAV0nO

雪歩「ポッと出のキャラに、そんな事言われたくないですぅ!」

真「ちょ、ちょっと雪歩……!」

シルフ「むむっ……!」

シルフ「なかなか言ってくれますね……」

シルフ「単なる愛人のクセにっ!

雪歩「そ、そんな……!」

ユキコ「ま、マコトさんと『正式に』結婚したのは、私だけですぅ!」

ユキコ「あなたとは、きっと一夜限りの火遊びだったんだと思いますぅ!」

シルフ「ぐぬ〜!人間のクセに生意気です〜!」

ユキコ「妖精のクセに、生意気ですぅ!」

雪歩「私、真ちゃんの愛人なんかじゃないですぅ!」

真「………」



真「あーもうっ!いい加減にしてよっ!!」



雪歩「ま、真ちゃん……?」

真「ボクは3人とも好きだし、誰が1番なんて、選べないよ……」

真「それに何より……」

真「何度も言ってるけど、ボクは女の子なのっ!」

真「だから、そ、その……君達と結婚したり、とか、そういう事はちょっと……」ごにょごにょ

雪歩「真ちゃん……」



亜美「おお!マコちんの捨て身のカミングアウト!」

真美「こりゃ〜、勝負はイタミワケですかな〜?」

P(カミングアウトって……微妙に真に失礼だろ……)



シルフ「あの〜、私は性別なんて気にしませんよ?」

シルフ「エルフの世界では、そんなに珍しい事でもないですし……」

ユキコ「わ、私もっ……!」

ユキコ「お、女の子同士で愛し合う方法も、無いわけではないですし……///」




884: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:15:50.73 ID:Tk6xAV0nO

真「いや、だから……」

真「ボクが無理なんだってば……」



真「……と、とにかくっ!」

真「早く行きましょう、プロデューサー!」

P「あ、ああ……」

P「でも、いいのか?」チラ

シルフ「………」ズーン

真「はぁ……」

真「どうしたんだよ、シルフ。そんな暗い顔をしてさ」

シルフ「マコトさん……」

シルフ「だって、マコトさんはもう行ってしまうんですよね……?」

真「何言ってるのさ?」

真「ボク、言ったよね?『一緒に行こう』ってさ」

真「シルフはもう、ボク達の仲間なんだから!」

シルフ「マコトさん……!」

真「……いいですよね?プロデューサー」

P「まあ、今もすでに大人数だしな。ひとりくらい増えても変わらないさ」



真「……って事だからさ」

真「仲良くしてよね、3人とも」

雪歩「真ちゃんがそう言うなら……」

ユキコ「わかりましたぁ」

シルフ「仕方ないですね。今は停戦という事にしましょうか」



P(よし、これでみんな揃ったぞ!)

P(物語もいよいよ大詰めだ。みんなで心を一つにしていかないとな)

P(あれ、そういえば………フライパン、必要無かったな)

P(……ま、いいか)




885: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:19:07.22 ID:Tk6xAV0nO
封印の洞窟 B5F


スタスタ…


春香「……うーん、やっぱり魔物は出て来ないね」

伊織「扉の魔物以外は、ね」

美希「もう扉はたくさんなの〜」グッタリ

春香「もしかして……」

春香「最後にすっごい強いボスが待ち構えてたりするのかな……?」

千早「それはあるかもしれないわね」

伊織「ふん。何が来たって、このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんが、打ち破ってみせるわ!」




やよい「はわー……!」




千早「ん……?高槻さん、どうかしたのかしら?」

春香「やよいー!どうかしたのー?」



やよい「はい!とーってもひらけた場所に出ました!」

やよい「それに、なんだかおーきな穴があいてますっ!」



タタタタ…


春香「わー……ホントだぁ……」

春香「こんな穴、落ちたら大変だよね……」

春香「でも、道が途切れちゃってるよ」

春香「どうやって先に進めばいいんだろう……?」キョロキョロ



千早「………春香、あそこ」スッ

春香「ん……?」

春香「……なんだろ、あれ?」

伊織「橋……かしらね?」

伊織「それにしては、少し頼りない感じねぇ……」

やよい「ねえ、伊織ちゃん。あれって、つり橋じゃないかな?」

伊織「あ、確かにそうね」

春香「じゃあ、あのつり橋を渡ればいいんだね!」

千早(つり橋……)

千早(なんとなく、嫌な予感が……)




886: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:22:50.87 ID:Tk6xAV0nO

…ギシッ


春香「だ、大丈夫だよね?つり橋、切れたりしないよね?」ビクビク

伊織「そ、そういう事を考えるから恐くなってくるのよ!余計な事は考えないの!」

春香「う、うん……」

美希「ねえ、ここって、地底だよね?地底のもっと下って、どうなってるのかな?」

伊織「さあ……マントル、とかじゃないの?」

やよい「まんとる……?」

千早「地球の中心……つまり核の、すぐ外側にある層の事を、マントルと言うのよ」

美希「千早さんの言ってる事が、さっぱりなの」

やよい「うー……むつかしいですー」

伊織「難しく考える必要は無いわよ」

伊織「なんにせよ、ここから落ちたら終わりなんだから」

春香「い、伊織〜、恐い事言わないでよぉ……」

伊織「落ちなければいい話じゃない」

春香「そ、それはそうなんだけど……」




887: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:25:49.62 ID:Tk6xAV0nO

…ギシッ


春香「………長いね、つり橋」

千早「そうね。まるで、永遠に向こう岸に着けない罠みたい」

春香「やだなあ、そんな罠……」




やよい「さ〜みっしが〜り〜らいおんっ、つりばっしっを〜わ〜た〜る〜♪」

やよい「さっばんなじゃみんなにきら〜われた〜っ♪」

やよい「はっし〜の〜むこ〜で〜、で〜あったや〜つは〜♪」

やよい「たいよ〜によくにたすがただあたっ♪」




美希「やよいは元気だね〜」

伊織「あら、あんたもさっきまで元気だったクセに」

美希「えっへん!ミキは、この先に何が待ち受けていてもいいように、力を抑えてるんだよ?」

伊織「へぇ、美希にしては殊勝な事言うじゃない?」

美希「だって、なんだかここ、不気味なんだもん」

美希「こんなところ早く抜けて、ベッドでお昼寝したいの」

伊織「……同感だわ」




やよい「……なみだ〜の〜りゆ〜をしってるかっ♪」

やよい「おれに〜は〜わ〜か〜ら〜ないが〜♪」

やよい「ぬれた〜ほほの〜あたた〜かさは〜♪」

やよい「おそらっく〜おまえがくれ〜たんだ〜っ♪」



春香(ホント、やよいは元気だねぇ……)



千早「………あ、見えたわ、向こう岸」

春香「ホントだぁ!……良かったぁ……!」




888: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:27:38.80 ID:Tk6xAV0nO
封印の洞窟 B5F クリスタルルームへの扉




5人「………」




春香「ねえ、この扉……」

やよい「また、わなですかねー……?」

美希「罠だったら……めんどくさいけど、ミキに任せるの」

千早「……でも、今までのとは、明らかに違うわ」

伊織「ま、なんにせよ、開けてみない事には始まらないわよ」

春香「そうだね……」



春香「……じゃあ、開けるよ?」グッ



ガチャ…




春香「………っ!」



春香「………ん?」

春香「罠じゃ……ない?」

千早「……どうやら、ゴールみたいね」

伊織「やっと着いたのね……」

美希「長かったの〜」

やよい「ぶじについて、よかったですねー!」

春香「あっ、でも……」

春香「ボスがいるかもしれないから、気をつけないと……」




889: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:32:20.54 ID:Tk6xAV0nO
封印の洞窟 B5F クリスタルルーム

春香「………」キョロキョロ

春香「………うーん」

春香「とりあえずは、誰もいないみたいだね」


スタスタ…



春香「……すいませーん!クリスタル、もらっていきますねー!」


キラーン!


伊織「あんた、誰に断ってんのよ……」

春香「いやあ、一応、声かけておいた方がいいかなあって……」

千早「さあ、早いとこ出ましょう」

千早「こんなところ、長居してもいい事はないわ」

春香「そうだね。行こう!」



スタスタ…



やよい「まものさんがいなくて、よかったですねー」

千早「ええ、そうね」

伊織「意外とあっけなかったわね」



春香「……そういえば美希」

春香「あの、ビューーーン!ってワープする魔法は、使えないの?」

美希「あふぅ……」

美希「さっき試したんだけど、使えないみたいなの」

春香「そっかぁ……」

春香(残念……。あの魔法が使えれば、楽チンだったのになぁ……)









『さあ、侵入者ども。試練の始まりだ……!』






890: ◆bjtPFp8neU 2015/01/18(日) 20:35:43.59 ID:Tk6xAV0nO
封印の洞窟 B5F 吊り橋付近

春香「……それじゃみんな、帰りも気をつけて渡ろう!」

伊織「まあ、あんたが1番心配なんだけどね」

春香「や、やだなぁ伊織……さすがに私も、こんな危険な場所じゃ転ばないよぉ」

伊織「……ホントに気をつけなさいよ?春香」

春香「う、うん」

美希「とにかく、春香は吊り橋をたたいて渡るべきだって思うな」

伊織「それは石橋でしょうが……」



千早(本当にこれで終わりなの……?)

千早(ここまではあれだけ罠があったのに、肝心のクリスタルルームには、何も無かった)

千早(まだ終わっていない)

千早(そんな気がしてならない……)



千早「……ん?」チラ

千早「………」じーっ

千早(……あの壁、何か違和感が……)

千早(……考えすぎかしら?)



春香「……千早ちゃーん!行くよーー!!」



千早(……何があるかわからない。用心だけはしておいた方がいいわね)

千早「……ええ。今行くわ!」


タタタタ…





ズズ…





897: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:01:38.19 ID:SwNynrn6O
飛空艇 フタミ号

真「………さて!」

真「悪者をやっつけに行きましょう!プロデューサー!」

P「おお、やる気満々だな、真」

真「へへっ、そりゃ〜そうですよ!」

真「ボク、前の戦いでは不完全燃焼でしたからね!」

P「そうなのか」

P「うーん、気持ちはわかるが……そんなすぐに真の出番があるわけじゃないんだよなぁ」

真「そ、そうなんですか……」シュン

P「そうガッカリするなよ。近いうちに、必ず真の出番は来るからさ」

真「……ホントですかっ!?」

真「ボク、頑張っちゃいますよ!」

P「ああ。期待してるよ!」



雪歩「真ちゃん、なんだか嬉しそうだね?」

真「うん!ボクの出番はまだあるみたいだからね」

雪歩「良かったね、真ちゃん」

真「ありがと、雪歩」

真「でもボク、ひとりで戦うんじゃなくて、雪歩やみんなと一緒に悪者と戦いたいな、って思ってるんだよ」

雪歩「うん……!」

雪歩「私も、真ちゃんやみんなと一緒なら、頑張れる気がするよ……!」

シルフ「………むぅ」



亜美「……おやおや、見せつけてくれますな〜」

真美「まあ、久々の再会ですからな〜」

雪歩「あ、亜美ちゃん、真美ちゃん……」

真「も〜、ボクと雪歩はそんなんじゃないってば……」

亜美「マコちん、とろ姉ちゃんが用があるんだってさ」スッ

真「え?」チラ



トロア「………」ペコリ





898: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:08:20.06 ID:SwNynrn6O

真「……組手、ですか?」

トロア「ええ。是非、あなたの力を試させていただきたい」スッ

トロア(……あなたに、ユキホ王女を守る力があるかどうかを)

真「いいですけど……」

雪歩「ふ、2人とも、気をつけてくださいね……」




真「……さあ、遠慮なくかかって来てください!」スッ

トロア(……気迫は感じられないな。やる気が無いのか、舐められてるのか……)

トロア(……しかし、油断はできない!)ダッ


トロア「はあああっ!」ブンッ


真(右上段回し蹴り……と見せかけて)


トロア「ふっ!」ブンッ


真(左上段回し蹴りっ!)ガッ


トロア(……読まれた!)

トロア「はあっ!」ブンッ


真(右中段突き)ガシッ


トロア「……せいっ!」ブンッ


真(左後ろ回し蹴り)ヒョイッ


トロア「ふんっ!」ブンッ


真(右中段突き……はフェイントで)


トロア「はっ!」ブンッ


真(左中段回し蹴り……!……よし!)


…タンッ


トロア「!」


真「………はっ!」


ブォンッ!


トロア「………っ!」


トロア「……ん?」

トロア「…………寸止め……?」




899: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:11:49.29 ID:SwNynrn6O

トロア「ま……参りました……」ペコリ



雪歩「真ちゃんが何をしたのか、全然見えなかったよぉ……」

トロア「私自身、腕に覚えが無いわけではないつもりでしたが……」

トロア「まさか、ここまで実力差があるとは……」

トロア(あの攻撃を受けていたら、私は……)

トロア(ユキホ王女を守るのは、私の役目だと思っていたんだがな)



真「……あなた、本当は武器を使うんですよね?」

真「武器有りだったらボク、負けちゃってたかもなぁ」ニコッ

トロア「………!」ドキッ

トロア「い、いえ……たとえ武器を手に立ち合ったとしても、結果は変わらないでしょう」

トロア「……どうやら、ユキホ王女を守るのは、私では無くあなたの役目の様だ……」ボソッ

真「……え?」

トロア「いえ、なんでもありません」

トロア「お付き合いいただき、ありがとうございました」ペコリ


スタスタ…



真「真面目な人だなぁ……」

雪歩「そうだね」

雪歩「ちょっとだけ、千早ちゃんと雰囲気が似てるかも」

真「あー、言われてみれば確かに」

雪歩「ところで真ちゃん、また強くなった?」

真「……どうかなぁ?一応、トレーニングは欠かさずやってるけどね」

雪歩「今の真ちゃんに敵う人なんて、いないんじゃないかな?」

真「いやいや、ボクなんてまだまだだよ」

真「それに、今の雪歩には勝てる気がしないよ」

雪歩「あ……」

真「……その鎧、ボクでも傷つけるのは難しそうだもんね!」

雪歩「そ、そんな……」

雪歩「こんな頑丈な鎧を着てる私なんて……」



雪歩「………穴掘って埋まってますぅ〜〜!」チャキッ



真「わあああ!ダメだよ雪歩!墜落しちゃうよぉー!」アセアセ




900: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:18:42.73 ID:SwNynrn6O
トロイア城 上空

響「あっ、あのお城……」

貴音「……ええ。見たところ、どうやら原形を留めている様ですね」

貴音「それに、幾許かの人の営みを感じます」

響「貴音、わかるの?」

貴音「なんとなく、ですが……」

貴音「行ってみましょう、響」

響「うん!」



響「……エン太郎、着陸だぞ!」



ブワッ…



貴音「……しかし、なんとも自然豊かな場所ですね」

貴音「木々の緑が、目に染み渡る様です」

響「確かこのお城へは、前に雪歩を探しに来た気がするぞ」

貴音「そうなのですか」



律子(……生き残ってる城って、よりによって『ここ』だったのね……)

律子(ああ……気まずいわ……)

律子(あの神官にも、会わないといけないのかしら……)

律子「………はぁ」

ものまね士「あの、リツコ様?どうかされたんですか?」

律子「い、いえ……」

律子「ちょっと、気分が良くないだけですから……」

ものまね士「あっ………ひょっとして、あの日」

律子「ち、違いますからっ!!」

ものまね士「す、すみませぇん……!」

ものまね士(恐いよぉ……)



少年「……ねえ、ばっちゃ。あの日って、なんの日?」

老婆「坊やにはまだ早いね。もう少し大人になったら教えてあげるよ」

少年「ふ〜ん、わかった!」





901: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:22:35.96 ID:SwNynrn6O
トロイアの町

貴音「………」キョロキョロ

貴音「……穴だらけなのが、少々気になりますが……」

貴音「なんとも、風情があって良いところですね」

響「うん!ここへ来ると、やっぱり身体を動かしたくなってくるぞ!」

律子(……なるべく目立たないようにしなきゃ)コソコソ



女性「………あら?旅の方ですか?」



響「あっ、はいさーい!」

律子「ど、どうも……」

貴音「ごきげんよう」ペコリ



女性「うふふ。こんにちは、旅の方」

女性「ここは、トロイアの国。森と湖と穴……そして、救済の都……」



響「……ん?なんか一つ増えてるぞ」

律子「救済……?」

律子「あ、そうか……」

律子「すでに、この城以外の国は、全て魔物に滅ぼされてる」

律子「各国から人々がこの国へ避難して来ている、という事かしら……?」



女性「その通りです。そして、救済の女神像は、あちらにありますわ」スッ

女性「ぜひ、お参りしていってくださいね?」



響「救済の……」

律子「女神像……?」

貴音「……もしや、あそこに見える石像の事でしょうか?」スッ

貴音「ここからでは、わたくしにははっきりとは見えませんが……」





響・律子「」






902: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:26:29.99 ID:SwNynrn6O




女神像「………」




響「ねえ、律子。あれって……」

律子「え、ええ。気のせいかしら……?」

律子「あの石像、少し……いえ、とても雪歩に似てるわね……」

響「っていうか、スコップ持ってる時点で120%間違いないと思うぞ……」

律子「まさかとは思うけど、『救済の女神』って、雪歩の事……?」

響「一体どうなってるんだ……?」



貴音「…………なんとっ!」ガーン



貴音「ああ、雪歩……!何故、この様な姿に……!?」ワナワナ

響「た、貴音?」

貴音「待っていてください!わたくしの魔法で、すぐに治療して差し上げますっ!」

律子「貴音、この石像は雪歩じゃなくて……」

貴音「……えすなっ!」バッ


シャララーン!


女神像「………」



貴音「な……何故です!?」

貴音「何故、魔法が効かないのです……!?」



響「貴音っ!ちょっと落ち着くさーっ!」ガシッ

貴音「し、しかし、響!」

貴音「このままでは、雪歩があまりに……っ!」

律子「あのねぇ、貴音……」

律子「私達、雪歩とは今朝会ったばかりじゃないの」

貴音「……む、そう言われてみれば……」

貴音「で、では、この石像は一体……?」




903: ◆bjtPFp8neU 2015/01/25(日) 23:31:56.82 ID:SwNynrn6O
…………

……





貴音「……この石像が、雪歩を模して造られたもの?」

響「うん。そうとしか考えられないぞ」

律子「普通、記念碑とかって、その人が亡くなった後に造られるものだと思うんだけどね」

律子(あの神官、何考えてるのよ、まったく……!)

貴音「なるほど……」

貴音「雪歩は、この国では女神として崇められている、という事なのですね?」

貴音「まこと、頼もしき事です……!」



響「……ん?石碑に、何か書いてあるぞ」

響「なになに……」





『その勇気は、我らに生きる強さを与え賜うた』

『その優しさは、我らに労わる心を与え賜うた』

『そのスコップは、我らに住まう処を与え賜うた』





律子「なんなのよ、コレ……」

響「えーと、スコップが住むところをくれた、ってどういう意味なんだ……?」

律子「ウチの大切なアイドルを、勝手に奉ってくれちゃって……!」

律子「……私、ちょっと文句言って来るわ!」

スタスタ…



響「あっ、ちょっと!律子ぉ!」

貴音「……はて?律子嬢は、何を怒っているのでしょうか……?」





909: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 22:52:15.94 ID:x4RyNS7JO
バブイルの塔 1F 次元エレベータ

タイダリアサン「……と、いう事ですから」

タイダリアサン「こちらとしても、あなた達と争うのはめんどくさ……」

タイダリアサン「……じゃなくて、メリットがありませんのでね〜」

ルビカンテ「オレ達とは、敵対する意思は無いと?」

タイダリアサン「はい。だから、そう構えないでください」

カイナッツォ「ふん!信用できるわけがないだろう!」

プレイグ「こ、恐いよぉ……」

スカルミリョーネ「……ま、魔物同士、仲良くす…る……」

バルバリシア「………どうするの?リーダー」

ルビカンテ「………」

ルビカンテ「……お前達、あの人間達と戦うと言っていたな?」

タイダリアサン「ああ、あいどる達の事ですか?」

タイダリアサン「ダルいんですが、上からの命令ですからね〜」



ルビカンテ「……あの人間達は、オレの獲物だ」

ルビカンテ「お前達に手出しさせんぞ」クルッ

スタスタ…



スカルミリョーネ「……ま、待て、ルビカン…テ……」

ズズ…


カイナッツォ「あ、こら!私を置いて行くなっ!」

スタスタ…



バルバリシア(へぇ……ずいぶん執着してるのね、ルビカンテったら……)

タイダリアサン「あのー……」

タイダリアサン「あなたは行かなくてもいいんですか〜?」

バルバリシア「………」

バルバリシア「ふふ……あなた達が、果たしてミキ達に勝てるかしらね……?」


…ビュオオオ!



プレイグ「き、消えちゃった……」

タイダリアサン「勝てるかしら、って言われても……」

タイダリアサン「……勝たなきゃ、意味無いんですよね〜……」




910: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:01:02.27 ID:x4RyNS7JO
封印の洞窟 B5F 吊り橋

…ギシッ


春香「無事にクリスタルを手に入れる事ができたし……」

春香「あとは、帰るだけだね」

千早(帰るだけ……か。何事もなければいいけど)

美希「ミキ、早く帰ってお昼寝したいの」

伊織「……安心するのは、まだ早いかもしれないわよ?」

伊織「例えば今、魔物が出てきたら、どうする?」

千早(………)

春香「ええっ!?……こんな不安定な吊り橋の上じゃ、戦えないよ〜!」

美希「ひじょ〜にめんどくさい事になるの」

伊織「もしもの話よ。最後まで気を引き締めなさいって事」

春香「……そうだね」

美希「うん。わかったの」



やよい「……ひびっくらいめい〜、おちるつりばし〜♪」

やよい「いたみ〜に〜めをさませっば〜♪」

やよい「そらは〜と〜く〜せまく〜なったっ♪」

やよい「おっまえをなかすものかっあ〜あ〜♪」



春香「や、やよい……その歌詞はちょっと……」

千早「いや………でも………」ブツブツ

春香「?」

春香「……千早ちゃん、どうかしたの?」

千早「……少し、考え事をね」

春香「あ、もしかして、さっき伊織が言った事?」

春香「大丈夫じゃないかな?クリスタルルームにも、魔物はいなかったし……」



ズズ…



千早(……ん?何か、音がする……?)

春香「そりゃあ、油断はできないかもしれないけど……」



ズズ…



千早「…………」クルッ



千早「!」

千早「あ、あれは……!?」



911: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:06:14.03 ID:x4RyNS7JO

春香「どうしたの?千早ちゃ……」



春香「……んうわあああっ!!」




デモンズウォール「さあ、逃げまどえ……」

デモンズウォール「おまえ達に、逃げ場など無いがな……!」



ズズ…



千早「か、壁が……!」

春香「ち、近づいてくるっ!」




春香「……みんなー!走ってー!」



美希「……なんだか、春香が騒がしいの」

やよい「何かあったんですかねー?」

伊織「ちょっと、どうしたのよ、春香?」



タタタタ…

春香「はぁ、はぁ……!」

春香「か、壁が、迫って来てるんだよ!」

伊織「はぁ?壁……?」

千早「みんな、説明している時間が惜しいわ!とにかく、早く向こう岸へ!」



ズズ…



美希「あっ!……ホントに壁が近づいてくるの!」

やよい「はわわっ!た、たいへんですっ……!」

伊織「まったく、本当に魔物が出てくるなんて……!」

春香「みんな、早くっ!」

タタタタ…



ズズ…



千早「!」

千早「もう、あんなところまで来てるわ……!」




912: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:12:23.70 ID:x4RyNS7JO


タタタタ…


春香「ど、どうしよう!?このままじゃ追いつかれちゃう……!」

伊織「……仕方ないわね」

伊織「私に任せなさいっ!」ダッ

春香「伊織!?」



伊織「あんたは少し、大人しくしてなさいっ!」

伊織「……影縛りっ!」


ヒュンッ…ドスドスッ!


デモンズウォール「………む?」



…ピタ



春香「壁が、とまっ……た?」

千早「水瀬さん……すごいわ!」

伊織「こんなの、時間稼ぎにしかならないと思うけど……」

伊織「……とにかく、今のうちよ!」

春香「うんっ!」

タタタタ…



デモンズウォール「ふん………」

デモンズウォール「伊達にここまで辿り着いてない、という事か……」





タタタタ…

やよい「……やっととびらに着きましたー!」

美希「やよい、早いとこ開けちゃった方がいいって思うな!」

やよい「はいっ!」グイッ


ガチャガチャ!


やよい「………あ、あれ?」

美希「……どうしたの?」

やよい「と、とびらが……あかないんですっ!」ガチャガチャ

美希「な、なんで!?」




913: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:19:14.92 ID:x4RyNS7JO

美希「……やよい、ちょっと代わって!」グイッ


ガチャガチャ!


美希「……な、なんで?なんで開かないのっ!?」

やよい「こ、これじゃあ、外に出られないですっ!」



タタタタ…

伊織「はぁ、はぁ……!」

伊織「やっと追いついたわ……!」

春香「つ、疲れた……!」

千早「高槻さん、美希。早くここを出ましょう!」

やよい「そ、それが……!」

美希「扉が、開かないの!」



春香・千早・伊織「!!」





デモンズウォール「……さて、サービスタイムは終わりだ」

デモンズウォール「全員、押し潰してやろう……!」



ズズ…




春香「か、壁が……また動き出したよ!」

伊織「どうやら、あの壁を破壊するしか道は無さそうね……!」

千早「ええ……!」

千早「距離がある今の内に、畳み掛けないと!」

美希「速攻って事だよね?わかったの!」

やよい「わ、わたしも、がんばりますっ!」

千早「……春香!」

春香「うん!………行こう、みんな!」



4人「………」コクリ





914: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:22:57.06 ID:x4RyNS7JO

美希「……ヘイスト!」


カタカタ…シャキーン!



伊織「はああっ!」

伊織「……雷迅っ!」


ズガガガガガーン!


デモンズウォール「………ほう。悪くないな」



春香「……やあっ!」ブンッ


ザシュッ!


デモンズウォール「効かぬ……」



千早「………水平ジャンプ!」タンッ


ビュンッ…ドスッ!


デモンズウォール「その程度か……?」



やよい「しばさん、お願いしますっ!」


スゥゥ…


シヴァ「……絶対零度!」


コオォォォォ…シャキーン!


デモンズウォール「……まだまだだな」



ズズ…



伊織「ちっ……!」

伊織「さすが壁だけあって、硬いわね……!」

千早「まるで効いてないみたい……」

やよい「ど、どうしましょー……」

美希「次は、ミキも攻撃するの!」



915: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:28:14.06 ID:x4RyNS7JO

春香(攻撃が、ほとんど効いてない……?)

春香(私達一人ひとり、結構強くなったと思うんだけどな……)

春香(ん?一人ひとり……?)



伊織「……こうしていても、仕方ないわ!」

千早「ええ。攻撃の手を休めては……」

春香「……ねえ、みんな」

春香「こういうのはどうかな……?」



春香「………」ごにょごにょ



伊織「へぇ、あんたにしては、まあまあいい考えじゃない?」

美希「うん。ミキもやってみたいの!」

千早「でも、即席でうまく行くかしら……?」

春香「大丈夫!きっとうまく行くよ!」

伊織「その自信はどこからくるのかしらね」

やよい「………」



デモンズウォール「………どうした?もう諦めたのか……?」

デモンズウォール「つまらん。ならば終わりにしてやる……!」



ズズ…



美希「……千早さん、行こう!」

千早「春香、私達はもう行くわ!」

タタタタ…


春香「頼んだよ、2人とも!」



916: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:36:18.92 ID:x4RyNS7JO

美希「いくよ、千早さんっ!」

美希「ブリンクっ!」


シュパパッ!



伊織「千早が分身した……!」

伊織「ふん。このスーパー忍者アイドル伊織ちゃんを差し置いて、分身の術を使うとはね……」



千早「………くっ!」タタタンッ


…フワッ


春香「3人に分身して、威力も3倍……」

春香「さらに……」



美希「……バーサク!」


キュピーン!


千早s「うあああああっ!」


ヒュンッ…ドスドスドスッ!



デモンズウォール「………ぬぅ!」



千早「ううぅあああっ!」ブンッ

ザシュッ!

千早「があああっ!」ブンッ

ドスッ!



伊織「ちょ、ちょっと!大丈夫なの?アレ……」

春香「うーん、攻撃力が上がる魔法ってプロデューサーさんに聞いたんだけど……」

春香「あれはちょっとマズいかも……」

春香「………美希!」



美希「はいはい、りょ〜かいなの」

美希「普段と違う千早さんが見れて、面白かったのになー」

美希「エスナ!」


シャララーン!


千早「う………」

千早「あ、あれ……わ、私……?」



917: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:51:36.72 ID:x4RyNS7JO

春香「千早ちゃん、美希、お疲れ様!」

千早「なんだか、達成感が無いわ」

美希「あはっ☆暴走した千早さん、とっても可愛いかったの!」

やよい「2人とも、すごかったですっ!」



デモンズウォール「やるな……侵入者共……!」



ズズ…



伊織「……さて、次は私達ね」

伊織「春香、しっかり受け止めなさいよね?」

春香「多分、大丈夫だと思うよ」

春香(漫画とかで、そういうの見た事あるし……)

伊織「……よし!」

タタタタ…



千早「春香達は、どんな連携を見せてくれるのかしら?」

美希「これは、楽しみなの!」



伊織「春香!行くわよ!」チリッ

春香「う、うんっ!」チャキッ


伊織「……雷迅っ!」バッ


バリバリッ…ズガガガーン!


春香「わわっ………と!」ビリビリ



千早「春香の剣に、水瀬さんの雷が……!」

美希「へぇ、ミキ達のより、あっちの方が合体技っぽいの」



春香「行きます!」

春香「無双っ……!」スッ

春香「……雷迅突きっ!」ブンッ


ビュンッ…ズガガガガガーン!



デモンズウォール「ぐ………!」



ズズ…





918: ◆bjtPFp8neU 2015/01/26(月) 23:56:45.51 ID:x4RyNS7JO

春香「まだ倒せないのかぁ……」

美希「さすが、この洞窟のボスって感じだね……」

千早「でも、私達にはまだ高槻さんがいるわ」

伊織「やよい、出番よ!」

やよい「う、うんっ!」

やよい「………」ギュッ




ーーー回想ーーー


春香「ひとりの力じゃ通用しないなら、2人で攻撃するのはどうかな?」

春香「千早ちゃんと美希、伊織と私で、それぞれ力を合わせてやってみようよ!」

千早「それはいいけど……」

伊織「……じゃあ、やよいはどうするのよ?」

春香「やよいにはね……」

春香「特別ゲストを呼んでもらおうかなって、思ってるんだ」

やよい「とくべつゲスト、ですか……?」

春香「うん。せっかく『繋がり』ができたんだもん」

春香「『あの人達』にも、協力してもらおう!」



ーーーー

ーー




デモンズウォール「なかなかやるな……」

デモンズウォール「だが、まだまだ私は倒せんぞ……?」



ズズ…



やよい(……お願いしますっ!力をかしてくださいっ!)



やよい「………じゅぴたーさんっ!」ギュッ



スゥゥゥー…




919: ◆bjtPFp8neU 2015/01/27(火) 00:06:13.65 ID:KG7MPC3qO

「………ぉぉおおおお!!」



伊織「ちょ、ちょっと、何よあれ!?」

千早「じゅ、ジュピター……なのよね……?」

美希「まさに、一心同体なの……」

春香「ま、まさか、こんな事になってるなんて……」

やよい「うっうー!じゅぴたーさん、お久しぶりでーすっ!」



冬馬「……高槻をイジめてんじゃねーぞこのヤローーっ!!」



冬馬「正拳突きっ!」


ドゴォ!


冬馬「爆裂拳っ!」


ドゴゴゴゴッ!



デモンズウォール「ぐぅ………!」



翔太「冬馬君、それドラクエの技だよ……。ただ殴ってるだけだし……」

北斗「……でも、敵さんには効いてるみたいだぞ?」



冬馬「気合い溜めっ!不思議な踊りっ!えーと……ふ、深く思い出すっ!」

ドゴッ!バキッ!ベキッ!



北斗「おいおい冬馬。言ってる事とやってる事がめちゃめちゃだぞ?」

冬馬「う、うるせぇ!間違えたんだよ!」

冬馬「だああ!めんどくせぇ!」



冬馬「おらあああああああっ!!」


ドゴゴゴゴゴゴゴゴ…




921: ◆bjtPFp8neU 2015/01/27(火) 00:13:16.53 ID:KG7MPC3qO

デモンズウォール「………」


冬馬「ど、どうだっ!」



ピシッ…



デモンズウォール「………見事だ。侵入者よ……」



ピシピシッ…


ボロッ…ガラガラ…


グシャッ




冬馬「ふん!口ほどにもねえぜっ!」

翔太「あ〜あ。結局、僕達の出番はないしぃ……」

北斗「まあ、いいんじゃないか?」

北斗「エンジェルちゃん達を守る事はできたみたいだしな」チラ



春香「あ、え、えーと……」

春香「ありがとうございました……」ペコリ

春香「あの、ジュピターさん?ですよね……?」

冬馬「いや、見ればわかんだろ!」

美希「あはっ☆あまりに人間離れしてたから、わかんなかったの!」

冬馬「ぐ……!」

翔太「まあ、仕方ないよね〜」

北斗「こんな姿じゃなぁ」

伊織「ふん。人間離れどころじゃないわ。まるで魔物じゃないっ」

やよい「伊織ちゃん、それはちょっと言いすぎかなーって」

千早(ジュピターの人達、あんな姿になっても、とても仲がいいのね……)




922: ◆bjtPFp8neU 2015/01/27(火) 00:20:38.09 ID:KG7MPC3qO

冬馬「……高槻、ケガはないか?」

やよい「はいっ!助けていただいて、ありがとーございましたっ!」ペコリ

やよい「鬼ヶ島さんて、とーってもつよいんですねっ?」

冬馬「へっ!このくらい、全然余裕だぜっ」

伊織「………」じーっ



春香「鬼ヶ島……?」

春香「……千早ちゃん。あの人って、天ヶ崎さんじゃなかったっけ?」ヒソヒソ

千早「いいえ。確か……天ヶ瀬さん、だったと思うわ」ヒソヒソ

春香「あれ?そうだっけ……」ヒソヒソ



伊織「……ま、今回は一応助けてもらったみたいだから……」

伊織「勝手にやよいと馴れ馴れしくしてた事は、特別に大目に見てあげるわっ」

冬馬「べ、別に馴れ馴れしくなんて……!」



スゥゥ…



北斗「ん……そろそろ時間切れみたいだな」

翔太「さようなら〜。765プロのお姉さん達〜」

冬馬「……た、高槻っ!」

冬馬「え、えーと……」

やよい「あのー、また呼んでもいーですか?鬼ヶ島さんっ」

冬馬「!」

冬馬「お、おう!し、仕方ねえな……!」

冬馬「そこまで言われちゃ、力を貸してやらん事もねえぜ!」

やよい「えへへ、ありがとーございますっ!」ニコッ

冬馬「う……///」ズキュン

伊織「むぅ………」



やよい「さよーならーっ!」



923: ◆bjtPFp8neU 2015/01/27(火) 00:27:49.09 ID:KG7MPC3qO

伊織「あーあ、ジュピターに余計な借りを作っちゃったわね……」

美希「ん〜でも、ジュピターの人、けっこー強かったよねー」

春香「だねぇ。天ノ川さんしか攻撃してなかったけど」

千早(……確かに、強かった)

千早(ジュピターの人達の力は、この先も必要になって来るんじゃないかしら)

千早(でも春香、天ノ川さんじゃなくて、天ヶ瀬さんよ)



伊織「いい?やよい。ジュピターとは仲良くしちゃダメよ?」

やよい「ふぇ?なんで?伊織ちゃん」キョトン

伊織「あの天ヶ谷ってやつ、やよいをおかしな目で見てたもの」

やよい「でも、じゅぴたーのみなさん、とってもやさしいんだよ?」

伊織「やよいは騙されてるのよ!優しい振りして近づくなんて、変質者の常套手段じゃないっ」

やよい「えー、でもー……」

春香「へ、変質者って……言い過ぎじゃないかな」

美希「デコちゃんはねー、ジュピターにやよいを取られちゃうって思ってるんだよ、きっと」

やよい「えっ、そうなの?伊織ちゃん」

伊織「そ、そんな事ないわよ!ただ、あいつはちょっと危険な感じだから……」

伊織「もうっ!余計な事言わないでよ、美希っ!」

美希「あはっ☆ミキ、ホントの事を言っただけだよ?」

春香「まあまあ。ジュピターさんには、これからも協力してもらうかもしれないんだからさ」

春香「仲良くやろうよ、ね?」

伊織「元はといえば、あんたが『ジュピターを呼ぼう』とか余計な事言うのが悪いのよっ!」

春香「ええぇ!?そんなぁ……」

千早「ふふ……」



千早(……良かった。どうやら無事に帰る事ができそうね)

千早(これでとりあえずは、魔物達が全てのクリスタルを手にする事はなくなった)

千早(……早く、休みたいわね)




924: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 19:59:18.06 ID:ghZgurP/O
地底世界 鍛冶屋ククロの家

ククロ「ゴクッ…ゴクッ……」

ククロ「ぷはぁ!うぃ〜……」

弟子「師匠、飲み過ぎですよぉ」

ククロ「うるせぇあ!オレぁもう、剣なんて打たねーからなぁ!」ヒック

弟子「はいはい、伝説の鉱石『アダマンタイト』も見つからないですしねぇ」

弟子「でも、せめて何か仕事をしてくださいよぉ。こんな落ちぶれた師匠、見たくありません……」

ククロ「あ〜?てめえ、誰に口聞いてんだコラ?」

ククロ「身寄りのないお前を引き取ってここまで育ててやったのは、どこの殊勝な鍛冶屋様だっけか〜?」ヒック

弟子「う……」

弟子「師匠……酒癖悪過ぎですよぉ」

ククロ「あ〜、あったま来た!」

ククロ「も〜、鍛冶屋なんてやめてやらぁ!」

弟子「はぁ……」




「………ごめんくださ〜い」




弟子「……あれ?お客さん……?」

弟子「まさか、こんなところに人が訪ねてくるなんて……」

ククロ「『こんなところ』で悪かったなあ、クソ弟子!」

弟子「う……す、すみません……」




「あの〜……どなたかいらっしゃいませんか〜?」





ククロ「おら、お客様がお呼びだぞ〜!」

弟子「はいはい、ちょっと出て来ますよ……」

ククロ「おい、ついでに金目のモノでもかっぱらって来いや!」

弟子「な、何言ってるんですか……」

ククロ「嘘に決まってんだろバーカ」

弟子「………はぁ」

スタスタ…



925: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:03:25.07 ID:ghZgurP/O

弟子「はーい、何かご用ですか?」



あずさ「あ、すみません、突然」

あずさ「ここは、鍛冶屋さん?で、よろしかったでしょうか?」

弟子「はあ、一応……」

弟子(キレイな人だなぁ……)

あずさ「まあ、よかったわ〜」

あずさ「あの、私達……武器を強くしていただきに来たんですが……」

あずさ(……で、良かったのよね?)

真美(バッチリだよ、あずさお姉ちゃん!)

弟子「へぇ、あなた達みたいな美人さんがねぇ……」

弟子「あ、でも……」

弟子「今はちょっと、タイミングが悪いかもしれないですね……」

あずさ「あら、そうなんですか?」

亜美「……やる気無くしちゃってるんでしょ?」

弟子「な、なんでそれを?」

真美「みなまで言うな、わかってるんだよ……」

真美「これが、欲しいんでしょ?」スッ


キラーン!


弟子「そ、それってまさか……!」

亜美「アダマンタイトだよっ!」

弟子「やっぱり!」

弟子「これがあれば、師匠のやる気を取り戻せるかもしれない……!」

弟子「ご案内します。こちらへどうぞ!」クルッ

スタスタ…




926: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:10:06.61 ID:ghZgurP/O

弟子「師匠!お客さんをお連れしましたっ!」

ククロ「………」チラ



亜美「ちわ〜!」

真美「おじゃま〜!」

真「うわ、お酒臭いなぁ……」

雪歩「うぅ……お、男の人が2人も……」ガシャン

P(あれが鍛冶屋ククロか)

P(確か、アダマンタイトを見せればやる気を取り戻してくれるはずだが……)

ククロ「おいおい、ここは女子供の来るところじゃねえんだよ!」

ククロ「帰れ帰れ!オレぁ機嫌がわりーんだっ!」シッシッ



あずさ「あらあら、困ったわねぇ……」

ククロ「!」

あずさ「プロデューサーさん、どうしましょうか〜?」

P「うーん……」

ククロ「お、おい、あんた……」

あずさ「……はい?あの、私ですか?」

ククロ「け、け……!」




ククロ「……結婚してくださいっ!」ペコリ




アイドル達「」

P(……おいおい)



あずさ「……え、ええと……」

ククロ「あなたの美しさに惚れましたっ!ぜひ、オレの伴侶になってくれっ!」

弟子(……師匠は○○好きだからなぁ)

あずさ「………」

真「そんなの、ダメに決まってるじゃないですか!」

真「あずささんは人気アイドルなんだ!結婚なんて……」

真「それに、結婚はちゃんと……あ、愛し合った人同士じゃないと……///」ごにょごにょ

雪歩「ま、真ちゃん……」

亜美「ふむふむ、さすがマコちん」

真美「経験者は騙るってやつですな〜」

P「『かたる』の字が違うけどな」

ククロ「うるせえっ!ガキは黙ってろっ!」

真「な、なんだとっ!?」



927: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:15:27.03 ID:ghZgurP/O

ククロ「ガキにゃ用はねえっ!」

ククロ「オレが用があるのは、このお美しいお嬢さんだけだ!」

あずさ「あらまあ……」

真「こ、この〜!」

雪歩「ま、真ちゃん、落ち着いて……」ギュッ




あずさ「あの〜……」

あずさ「お気持ちは嬉しいんですけど……」

あずさ「私、他に心に決めた方がいまして……」

あずさ「だから、あなたの申し出は、お受けする事ができないんです」

あずさ「……本当に、ごめんなさい」ペコリ

ククロ「………」

ククロ「そうか……」

ククロ「そいつとはもう、結婚の約束も?」

あずさ「………いえ」

あずさ「その人が私に振り向いてくれる可能性は……」

あずさ「ほとんど、ゼロに近いですから」ニコッ

ククロ「ば、バカか?あんたは?」

ククロ「振り向いてもらえる可能性がないのに、ずっと想い続けてるっていうのか?」

ククロ「そんなの、意味ねえじゃねーかっ!」

あずさ「うふふ。そんな事はありませんよ?」

あずさ「誰かを想う気持ちって、とっても素敵なものなんです」

あずさ「たとえ報われないとしても……」

あずさ「私は、幸せなんですよ?」ニコッ

ククロ「………」



928: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:19:26.12 ID:ghZgurP/O

亜美「……ねえ、あずさお姉ちゃんの想い人って……」ヒソヒソ

真「うん。きっと、あの人の事だよね……」ヒソヒソ

雪歩「あずささん……」

真美「あずさお姉ちゃんなら、ゼロどころか、100パー振り向いてくれると思うけどな〜」ヒソヒソ

真美(……まあ、それはそれでフクザツなんだけどさ……)



P(みんな、なんの話をしてるんだろう?)




ククロ「誰かを想う気持ちは、素敵なもの、か……」

ククロ「あんた、見かけによらず強いんだな」

あずさ「いえ、そんな事はありませんよ〜」

ククロ「……気に入ったぜ!ますますあんたを嫁にしたくなった!」

あずさ「で、でも……」

ククロ「わかってるよ。無理にとは言わねえ」

ククロ「そんな節操の無い男じゃないつもりだぜ?」

あずさ「そうですか……」

P(初対面の人にいきなりプロポーズするのは、節操が無いって言うんじゃ……)




ククロ「……で、あんたらは何の用でこんなとこまで来たんだ?」

ククロ「見たところ、旅人みたいだが……?」

亜美「やっと本題だよ〜」

真美「じゃ〜ん!これを見たまえっ!」スッ


キラーン!



929: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:22:25.70 ID:ghZgurP/O

ククロ「そ、それは……!」

ククロ「伝説の鉱石『アダマンタイト』じゃねーかっ!」

ククロ「なんでこれを……?」

亜美「まあ、かくかくしかじか……という事で」

真美「これで、おっちゃんに強くしてもらいたいものがあるんだよ〜」

ククロ「………」

ククロ「悪いが、オレぁもう剣は打たねーって決めたんだ」

弟子(師匠……)

亜美「え〜、なんでさ?」

ククロ「オレが鍛えた武器が争い事に使われて、人の命を奪うなんて、もうまっぴらごめんだからな!」

ククロ「だから、申し訳ないんだが……」





真美「な〜んだ、良かった!じゃあ、ぜんぜん問題ないよね!」

ククロ「え?」

亜美「亜美達がおっちゃんに強くしてもらいたいって思ってるのは、剣じゃないもんね!」

ククロ「剣じゃないって……じゃあ、何を……?」

亜美「それは〜……」

真美「これだよっ!」チャキッ

ククロ「こ、これは……!」



雪歩「…………えっ?」

雪歩「わ、私のスコップ!?い、いつの間に……?」

ククロ「………」




930: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:27:14.52 ID:ghZgurP/O

ククロ「まあ、人を傷付けるものってわけじゃないしな……」

ククロ「……わかった。やってやろうじゃねーか!」

亜美「やった〜!」

真美「これで、最強キャラの完成だ〜!」

真「雪歩のスコップが強くなるのかぁ。楽しみだなぁ!」

あずさ「雪歩ちゃん、良かったわね〜」

雪歩「は、はい……」

雪歩「…………あっ!」

雪歩(そうだ。ついでに……)ゴソゴソ




雪歩「あ、あのぉ……」オドオド

ククロ「……あん?」

雪歩「ひぅ!」ビクッ

ククロ「んだよ。別に取って食ったりしねーよ」

雪歩「すすす、すみません……」

雪歩「こ、これも、研いでもらえないでしょうか……?」スッ

ククロ「うわ、なんだこの包丁……!」

ククロ「どういう使い方したら、こんなにボロボロになるんだよ!」

雪歩「ひぃぃ!ごごごごめんなさいぃぃ!」

ククロ「あ、いや、別にあんたを責めてるわけじゃ……」

雪歩「わ、私なんかがこんな厚かましいお願いをしてしまって……」

ククロ「お、おい?」

雪歩「わ、私なんて、穴掘って埋まって……」

雪歩「あ、今スコップ無いんだった」

雪歩「こ、こうなったら、素手で……!」ワキワキ

真「雪歩、ストップ!ここ他人の家!」



931: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:30:59.12 ID:ghZgurP/O

ククロ「……じゃあ、今から始めるからよ」

ククロ「ちょっと時間かかるけど、待ってろよな?」



アイドル達「はーーい!!よろしくお願いしまーす!!」






真美「……ねえ、あずさお姉ちゃん。さっき言ってた、心に決めた人ってさ……」

あずさ「真美ちゃん……」

あずさ「真美ちゃんが考えてる人で、合ってるわ、きっと」

真美「そ、そっか……」

あずさ「うふふ。安心して、真美ちゃん」

あずさ「私は、『今』がとっても幸せだから……」

あずさ「『これ以上』を望んだりはしないから」

真美「あずさお姉ちゃん……」

あずさ「……だから、頑張ってね?真美ちゃん」

真美「ななな、なんの事かなっ?」ドキドキ

あずさ「うふふ。私、真美ちゃんだけじゃなくて、みんなの事を応援してるわ〜」ニコッ

真美「………」




真美(あずさお姉ちゃんは、本当にそれでいいの……?)

真美(好きなのに振り向いてもらえないって、すっごいつらい事だよね……)

真美(つらいのに笑っていられるなんて……)

真美(真美、よくわからないよ……)






932: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:33:58.73 ID:ghZgurP/O
トロイアの城 謁見の間


…バタンッ!



律子「……ちょっとあなた!あの表の石像はどういう事ですかっ!?」



アン「………あら?あなたは、確か……」

アン「リツコさんではありませんか!」

アン「ご無沙汰しておりましたわ」

アン「『その節』はどうも〜」ペコリ

律子「うっ………」

貴音「……律子嬢。こちらの女性とは知り合いなのですか?」

律子「ま、まあ……ちょっとね……」

律子「……って、今はそれは関係無いわ!」

律子「雪歩はウチの大切なアイドルなのよ!まだちゃんと生きてるし!勝手に奉らないでちょうだい!」

アン(あいどる……)

アン「まあ、そうでしたの……」




アン「石碑は、お読みになりまして?」

律子「石碑?ああ……」

律子「勇気がどうの……とか、ありきたりな事が書いてあったやつね」

律子「読んだけど……それが何か?」

アン「あの石碑に書かれている事は、全て事実ですわ」



933: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:37:02.69 ID:ghZgurP/O

律子「事実って……」

響「勇気とか優しさはわかるけど、スコップが住むところを……ってのがわからないぞ」

アン「そうですね。……説明しますわ」

アン「ユキホさんは、穴を掘るのがお好きみたいですね?」

響「それは、まあ……」

律子「好きというか……」

貴音「少々度の行き過ぎた照れ隠しの様なもの、だと認識していますが……」

アン「……なんにせよ、ユキホさんがいらっしゃってから、この国はあっという間に穴だらけになってしまいました」

響「うーん、それはお気の毒だぞ……」

アン「ええ。私もはじめは、困ったものだと少々頭を抱えていたのですが……」

アン「ついこの間、ユキホさんの掘った穴に感謝せざるを得ない状況になったのです」

律子「……どういう事?」

アン「世界が、魔物の手に落ちてしまったのは、ご存知ですね?」

律子「ええ。今日知ったばかりだけど」

アン「村や城、人の住むところは大体滅ぼされてしまったと聞きます」

貴音「………」

アン「……ですが、この国は奇跡的に難を逃れる事ができました」

アン「ユキホさんとそのお仲間の皆さんが、この国に攻めて来た魔物を退けてくださったのですよ」

律子「雪歩と、仲間達……?」

響「もしかして、プロデューサー達が……?」




934: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:42:06.36 ID:ghZgurP/O

アン「トロイアの国は滅びていない」

アン「その噂を聞いた世界中の方々が今、我が国に集まって来ています」

律子「………」

律子「でも、この国に世界中の人を受け入れるほどのキャパは無いと思うけど……?」

アン「ええ」

アン「………ユキホさんがいなければ、そうだったと思いますわ」ニコッ

貴音「まさか……」

アン「あら、お気づきの様ですね?」

貴音「すこっぷは、住まう処を与え賜うた、とは……そういう事でしたか」

響「貴音、どういう事なのさ?」

貴音「おそらく、こういう事でしょう」

貴音「この国にはもともと、たくさんの人が住んでいるので、魔物に住むところを奪われた人々がこの国へ避難して来ても、住む場所がありません」

貴音「……しかし、穴の中となれば、話は別です」

律子「あ……!」

貴音「避難して来た人々は、雪歩の掘った穴の中に居を構えた」

貴音「つまり、難民に住居を与えたのは……」

貴音「雪歩のすこっぷ、という事になります」

アン「うふふ、ご名答ですわ」

響「なるほどなー。そういう事だったのか」

響「でも、地面の中に住むなんて、なんかモグラみたいだなー」

律子「………」



アン「ユキホさんに会った事がある者、会った事がない者……」

アン「……今やユキホさんは、全ての民たちの心の拠り所となっているんです」



935: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:44:04.67 ID:ghZgurP/O

アン「私は詳しくは存じ上げませんが……」

アン「リツコさん。あなたとユキホさんの間には、深い絆がお有りなのでしょう」

アン「ですが、今、民からユキホさんという支えを取り上げる事は、生きる気力の源を奪うに等しい行為です」

アン「『勝手に奉るな』との言葉は、どうか取り消してはいただけませんか?」

アン「そうすれば、前にあなたがこの国のクリスタルを奪おうとした事は、水に……」

律子「あーーっ!あーーっ!」

響「ど、どうしたの?律子……」

律子「な、なんでもないわ!」



律子「…………はぁ。わかったわよ」

律子「まあ、雪歩本人に害があるわけじゃないし。それに……」

律子「ふふっ。雪歩が人の役に立っているのは、私も嬉しいものね!」

律子(……本当は、雪歩の出演料でもふんだくろうかと思ったんだけどね)



アン(……なんて、考えてるのかしらね?)

アン(リツコさんったら、なかなかやり手ねぇ)

アン「有難いお言葉ですわ」

アン「もちろん、こちらとしてもユキホさんに迷惑をかけるつもりはありません」

アン「あくまで、救国の英雄として、お名前だけお借りするだけですから」

アン(……今はまだ、ね)

アン(戦いが終わったら、ユキホさんを我が国にお招きして、永住してもらいますわ!)

アン(うふふ。英雄の住まう国ともなれば、このトロイアの発言力は、世界随一に……)

アン(ああ、夢が広がるわぁ……)



律子(あの女、何か変な事考えてないわよね……?)

律子(雪歩には指一本触れさせないんだから!)

律子「ええ。じゃあ、それでいいわ」



律子「……さて、そろそろ帰りましょうか」

響「ちょ、ちょっと待ってよ律子!」

貴音「律子嬢。わたくし達がこの国へ来た目的を、お忘れですか?」



律子「……………あ、忘れてた」



936: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 20:47:03.50 ID:ghZgurP/O
トロイアの町

律子「……お待たせしてしまってごめんなさいね、みなさん」



店主「ま、まあ……気にしてないよ。リツコ様」

ものまね士「そ、そうですよ。私達は、素晴らしい景色を堪能してましたよ!」

店主(この人には、『待ちくたびれた』なんて口が裂けても言えないよなぁ)

ものまね士(ええ。リツコ様を怒らせるなんて、死を意味しますから)

老婆「……ま、あたしゃ何か言える立場じゃあないけど……」

老婆「年寄りを待たせるとは、あんたもなかなかだねぇ」

少年「スヤスヤ……」

律子「もー、すみませんでしたって……」



老婆「……で?あたしらがこの国に住む許可は出たのかい?」

律子「はい。住居は穴の中なので、何かと不便だとは思いますけど」

老婆「そうかい……」



老婆「あんた達には、世話になったね」

ものまね士「感謝しても、しきれません!」

店主「ホント、ありがとな!」

律子「いえ、気にしないでください」

律子「あなた達には、私のところのアイドル達がお世話になったみたいですし……」チラ

響「うぅっ!グスッ……」

響「み、みんなぁ……ぜっだい、わずれないがらなっ……!」ポロポロ

貴音「短い間でしたが、とても楽しゅうございました」ペコリ

貴音「………響、はんかちを」スッ

響「あ、ありがと……」フキフキ




律子「……それじゃ、さようならー!」

スタスタ…




老婆(どうやら、この世界の命運はあんた達に懸かってるみたいだね)

老婆(……負けるんじゃないよ。あんた達……!)





937: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:05:44.99 ID:ghZgurP/O
封印の洞窟 B1F

美希「あっ……やーっと出口が見えたの〜!」

やよい「やっと外に出られますねーっ!」

伊織「長かったわね……」

春香「無事に帰ってこれて良かったね、千早ちゃん!」

千早「ええ。そうね」

春香「……さ、早く律子さん達のところへ戻ろう!」




ルナザウルス「………そうはいかないッスよ〜!」

白龍「さあ、クリスタルを渡しなさい」




春香「ま、魔物!?」

千早「………!」チャキッ

伊織「ちっ、まさかこんなところで待ち伏せとはね……!」




美希・やよい「あーっ!!」




春香「美希、やよい……どうかしたの?」

やよい「あのまものさん……」

美希「何ちゃらの塔で見たやつなの!」

春香「え……?」

ルナザウルス「その節は世話になったッスね〜」

美希「ミキ、あなたのお世話した覚えなんか無いの!」

ルナザウルス「あ、いや、そういう意味じゃなくて……」

白龍(金髪……あの娘が、ルナの言っていた……?)



ルナザウルス「………と、とにかく!」

ルナザウルス「クリスタルは、もらうッスよ!」




938: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:08:11.85 ID:ghZgurP/O

伊織「そう簡単に渡すわけないでしょうが!」チャキッ

やよい「どろぼーはいけませんよっ!」

美希「貴音にヒドい事したの、ミキ、許してないんだからねっ!」



ルナザウルス「まあ、そうッスよね」

ルナザウルス「……じゃあ、お願いするッス」

ルナザウルス「こっちに、『持って来て』もらえるッスか?」



小鳥(………ごめんなさいね、千早ちゃん)



千早「………!?」ビクンッ



春香「いや、だから……」

春香「それはできませんって言っ……」



…ドスッ!




939: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:11:13.55 ID:ghZgurP/O

春香「あ……ぐ……!」ヨロッ


ドサッ


…コロン



伊織「は……春香っ!?」



千早「………」スッ


キラーン!


やよい「ち、千早さん!?ど、どーしたゃったんですか……?」


千早「………」クルッ


スタスタ…


美希「千早…さん……?」

伊織「ちょ、ちょっと千早!?」

伊織「クリスタル持ってどこ行くつもり!?」

伊織「返事くらいしなさいよっ!」




千早「………」スッ

ルナザウルス「ご苦労様ッス!これでやっとクリスタルが全て揃ったッスね!」

ルナザウルス「ま、そ〜いう事で……」

ルナザウルス「さよならッス〜」

スタスタ…



白龍(……こんなやり方は本意ではありませんが……)

白龍(コトリ様の命令とあらば、仕方ないでしょう)

白龍(金髪の娘。いずれ手合わせ願いたいものです)




940: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:18:03.56 ID:ghZgurP/O

伊織「あ、ちょっと待ちなさいっ!」

美希「デコちゃん待って!」グイッ

伊織「っ……美希、離しなさいよ!早く行かないと、千早が……!」

美希「ミキ、今、千早さんを追いかけても無駄だって思うな」

伊織「は?どういう事よ?」

美希「千早さん、明らかに様子がおかしかったの」

やよい「そ、そうですよね」

やよい「まるで、わたしたちの声が聞こえてないみたいでしたよね……」

伊織「そう、なのよね……」

伊織「ついさっきまでは、普通に話してたのに……」

伊織「ひょっとして、あの魔物に何かされたのかしら……?」

美希「ミキも、何があったかはわからないけど……」

美希(ミキの勘だと、多分……)

やよい「……あっ!それより、春香さんが!」

美希「あ………忘れてたの!」




美希「……ケアルラ!」


シャララーン!キラキラ…


春香「う………」

美希「……ふぅ」

美希「うぅ……もう、ミキの魔力は空っぽなの〜……」ヘナヘナ

伊織「………」

伊織「このままここにいても仕方ないわね」

やよい「どうしようか、伊織ちゃん」

美希「……デコちゃん?」

伊織「……とりあえず、ここを出るわよ!」

スタスタ…




941: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:24:06.48 ID:ghZgurP/O
封印の洞窟 入口

美希「………あれ?」キョロキョロ

やよい「ひくーていが、見当たりませんねー……」キョロキョロ

伊織「どういう事?まさか、律子達まで……」



美希「ねえ、どうする?デコちゃん」

やよい「春香さんを、休ませてあげないと……」

春香「………」グッタリ

伊織「本当は、バラバラに動くのは良くないんだけど……」

伊織「美希はもう魔法が使えないし、春香を安全な場所に連れて行かないとね」

伊織「……仕方ないわね。とりあえず、ドワーフの城に戻りましょ」

やよい「そーだね!」

美希「ん〜、でも……」チラ



ボコッ…グツグツ…



美希「ここって、溶岩に囲まれてるんだよね?」

美希「どうやって溶岩を越えるの?」

伊織「そういえば、ここへは飛空艇で来たんだったわね」

伊織「私の水遁じゃ、蒸発するのがせいぜいよね……」

やよい「あ、それなら、わたしにまかせてくださいっ!」



942: ◆bjtPFp8neU 2015/02/01(日) 21:27:31.04 ID:ghZgurP/O


シヴァ「……絶対零度!」


コオォォ…シャキーン!




美希「わぁ……!」

伊織「溶岩が、一瞬で凍りついたわ……!」

やよい「しばさん、ありがとうございました!」


シヴァ「ヤヨイさん、またね……」


スゥゥゥ…



やよい「美希さん、伊織ちゃん、行きましょー!」

伊織「ジュピターといい、やよいってすごいやつらを従えてるわよね……」

美希「うん」

美希「……やっぱり、ミキ的には、やよいの力が最強だって思うな」

スタスタ…


次回 P「ゲームの世界に飛ばされた」FINAL 前編