最原「復讐鬼の学級日誌」 巌窟王「俺たちのコロシアイ修了式」 前編

432: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/13(日) 23:00:44.03 ID:DOSZdjQS0
天海「まずいっすよこれ! このままだと俺たちもエグイサルの砲撃に巻き込まれ――!」

最原「それは大丈夫そうだ。あのエグイサルたちどうも大雑把な命令しかできないみたい。巌窟王さんの方『だけ』を狙ってる」

天海「……長期戦はまずいっすよね。巌窟王さんが一発でも食らったらおそらくその時点でアウトっす」

天海「クソッ! 俺たちにできることはないんすか!」

最原「ない!」

天海「ないの!?」ガビーンッ

最原「これ以上はもうない! ないことを知って、この場で待つしかない!」

最原「……ないんだよ……!」

ちいさいがんくつおう「そうだ。それでいい」ゼェゼェ

最原「ん? あ! 巌窟王さんいつの間に!?」

ちいさいがんくつおう「おれがきりひらく。おまえたちは……はしれ!」

ちいさいがんくつおう「あまみ。『たて』がふたりなら、かせげる距離はのびるだろう?」

天海「……!」

天海「なんだ。気付いてたんすね」







赤松「……」キョロキョロ

獄原「赤松さん? どうかしたの?」

赤松「……さっきのゴタゴタで慌ててたから全然気にしてなかったけどさ。BBさんはどこ?」

東条「モノクマと一緒に海面の下に……というわけでもなさそうね」

真宮寺「……ん。いや。いたかもしれない」



引用元: 最原「僕らが往くは恩讐の彼方!」 巌窟王「これで終わりだ!」 



433: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/13(日) 23:07:36.17 ID:DOSZdjQS0
「モノクマさん。流石にこれはやり過ぎですよ」

モノクマ「!」


ガチンッ


巌窟王「砲撃が止んだ?」

モノクマ「オマエ……!」

「あなたを外の世界に出すというところまでは合意しました。でもその前にバレちゃったのなら仕方ないのでは?」

モノクマ「……ッ!」ギリィッ

「あと、ちょっと騒がしいです。このまま全部終わるまで静かにしていようと思ってたのに」

モノクマ「だからって――!」

巌窟王「うおおおおおおおおおおお!」ガンッ

モノクマ「げほおっ!」

巌窟王「最原! 天海! 来いッ!」

巌窟王「もう充分だろう! 走れば届く!」

モノクマ「!」

天海「――!」ダッ

最原「届け……!」ダッ

434: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/13(日) 23:19:27.74 ID:DOSZdjQS0
モノクマ(何をする気……!? 何をすれば対策になる!?)

モノクマ(いや、そんなの決まってる! とにかく逃げる! 逃げて逃げて逃げて――! 遠くからまたエグイサルを量産して!)

ガシッ

巌窟王「どこにも行かせはしない!」

モノクマ「オマエーーー!」

モノクマ(じゃあどうする!? 生徒の方を吹き飛ばす?)

モノクマ(いや、もうどんな結末が待っていようと、ボクはそれをするしかない! だってボクは『モノクマ』なんだから!)カチリッ

モノクマ「飛び道具ならボクだって持ってるんだよ! 拘束されてても撃てる! 消えてなくなれーーーッ!」ドシュウウウウッ

ドカァァァァァンッ

ちいさいがんくつおう「ぐ、はっ……!」

最原「……!」ダッ

モノクマ(分身が盾に……! 最原くんはまだこっちに来てる!)

モノクマ(でももう一発撃てば……!)カチリッ

天海「撃ってみろおおおおおおおおおおおッ!」

モノクマ「くっ……うおおおおおおおおお!」ドシュウウウウッ



ドカァァァァンッ


天海「が……っ!」

モノクマ「くそ! このために……このために天海くんが同行してたのか! くそっ! くそっ! もう一発……!」カチリッ

天海「……」

天海(いや。もう……次の一発はないんすよ!)








最原「お願いだ聖杯よ! モノクマを止めてくれ!」

モノクマ「ッ!」ガキンッ!

モノクマ「え? え? あれ? な、なんで動けな――!」ジタバタ

最原「はあっ……はあっ……!」

モノクマ「最原くん! ボクに一体なにを……!」

巌窟王「動けない、のだな?」

モノクマ「え」

巌窟王「……く、クハハ……苦労をかけさせてくれる。だがこれで……俺たちの勝ちだ」ニヤァ

モノクマ「あ」

435: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/13(日) 23:28:56.88 ID:DOSZdjQS0
巌窟王「エグイサルよりは攻撃力がないな。分身も紛れもなく俺自身故に、今の一撃のフィードバックは当然ある」

巌窟王「……だからわかる。天海はセミラミスの治療で延命できる。その間に外の世界に出れば、問題はこの世界と共に立ち消えだ……!」ボォウッ

モノクマ「あ、あ、あう。あわわわわ……!」

巌窟王「これで……終わりだあああああああああああッ!」ブンッ





バコォォォォォォンッ!



モノクマ「ぐあっはーーーーーーーッ!」メキィィィッ!

巌窟王「はあっ……はあっ……はあっ……!」

最原(巌窟王さんは息も絶え絶え。体中から夥しい量の血も出ている)

最原(それでも彼は――笑った。笑っていた)

巌窟王「うおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

最原(勝利に酔いしれるように空に叫び、そして……)

バタリッ

最原「……巌窟王さんっ!」

最原(そのまま真後ろに倒れた)

最原(……何か、大事なものが途切れたかのように……)

436: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/13(日) 23:40:30.33 ID:DOSZdjQS0
赤松「や……やったの……?」

真宮寺「……モノクマは動かない、ネ。エグイサルも沈黙してる」

獄原「勝った……モノクマに勝ったんだ! 巌窟王さんが! 最原くんが! みんなが……!」

アンジー「う……!」


バタリッ


赤松「あっ! アンジーさん!」

セミラミス「……そろそろまずいな。これは。外の世界に出て根本的な治療をしなければ死ぬぞ。無茶のしすぎだ」

東条「……長居は無用ね。早く外に出ないと……」

東条「最原くん! 巌窟王さんをこちらに運んでこれる? 天海くんは私がなんとかするわ!」

最原「……」

東条「……最原くん?」

巌窟王「もう、無理のようだな」

最原「……巌窟王さん……?」

巌窟王「……俺はここまでだ。お前たちだけで先に進め」スウッ

赤松「え……」

最原「……体が、透けて……!」

赤松「え。え……? 嘘、でしょ。なんで!?」

入間「あのバカ……ダメージを貰いすぎたんだ! 限界とっくに越えちまってたのかよ!」

入間(いや。違う。そんなこと今更考えるまでもなかった! そもそも五体が回復したあの時点でアイツの体のほとんどはハリボテに等しかったんだ!)

最原「そんな……まだだよ。まだ僕たちは勝ってない! こんなところで終わっちゃダメだよ!」

巌窟王「俺とてお前たちのことを道半ばで見送るようなマネはしたくない。だが……どうもこれは詰みのようだな」スウッ

巌窟王(クソ……せめて……せめてアンジーに別れを告げる程度の余裕を許してはもらえないものか。神よ……!)

巌窟王(俺は……俺は……!)







BB「あーあ。仕方ないなー。巌窟王さんは」

巌窟王「……」

最原「BB、さん……?」

BB「……ふふっ。まあ、暇してたんです。どうやって終わろうか、悩んでたところですし」

BB「仕方ないですね。ちょっと命懸けで、あなたのことを助けちゃおうかな?」キャルンッ

440: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/14(月) 19:40:48.23 ID:qd34pJpT0
最原「……BBさん。あなたは一体、何がしたかったの?」

最原「僕たちのことを貶めたり、かと思えば最初からそんなことなかったかのように助けに入ったり……」

BB「あら。わかりません?」

最原「考えられるのは『予定の前倒し』だけど……だからってよりにもよってモノクマと手を組む? それも即断即決で」

BB「そこまでわかってるのならもう何一つとして必要ないでしょうに」

最原「BBさんの本音を聞いてない」

BB「……」

BB「治療、開始します。時間がないので」

巌窟王「BB……!」

BB「C(クライマックス)……」

BB「C.C.C.(カースド・キューピッド・クレンザー)!」キュィィィィンッ

巌窟王「うぐ……ぐおおおおおおおお……ッ!」


バキンッ


最原「……何の音……?」

最原「あ!」

BB「ありったけを注いであげます! だから巌窟王さん! もう一回立ち上がって!」

BB「まだ何も終わってない!」

巌窟王「ぐあああああああああああああっ!」

441: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/14(月) 21:08:03.27 ID:qd34pJpT0
シュウウウ

巌窟王「ぐ……が……!」

BB「荒療治ですけどね。元のハリボテ状態に戻してあげましたよ。根本治療はもう無理です」

BB「最後の最後まで幻肢痛を抱えて戦ってください」

巌窟王「……BB!」

赤松「あ……やった! やった! 巌窟王さん、生きてる! よかったぁ!」

最原「……」

赤松「……あ、れ。なんか……空気が重い」

赤松(なにかがおかしい。胃にずっしりと来るような悪寒が消えない)

赤松(……どうして? 巌窟王さんは元に戻ったのに?)

セミラミス「……ああ。まったく。こういう光景を見せたくないから我に任せたのだろう?」

セミラミス「バカ者め」

赤松「セミラミスさん?」

セミラミス「我は天海の延命治療を行う。貴様らは……まあ、無用ならあまり見てやるな」

セミラミス「情けくらいかけてやれ」

赤松「なんのことを言って――!」


バキンッ


赤松(……BBさんが手から何かを落とした。それは砂浜にポトリと落ちる)

赤松(あれ? 何を持ってたんだろう? 何を持って……何を右手に持っ……て……)

赤松「……」

赤松「右手がない」

セミラミス「カエデ。もうやめろ。見なくていい」

赤松「セミラミスさん……あれ一体、どういう……」ガタガタ

セミラミス「ヤツはここで終わりだ。ただそれだけだ」

赤松「――!」

442: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/14(月) 21:18:48.30 ID:qd34pJpT0
BB「……うん。まあ、いいんじゃないですか。こっちの方が終わり方としては綺麗かもしれませんね」

最原「なんで……!? なんで壊れかけてるの!? どうして!?」

BB「リソース全部注ぎ込む勢いで巌窟王さんを治療したので。三日分のリソースじゃあこれが限界かぁ……安っぽいなぁ」

最原「なんのことを言ってるのかわからないよ! ねえ、巌窟王さん!」

巌窟王「……コイツは元からこの世界と共に消えるつもりだったのだ」

最原「は?」

巌窟王「……コイツはBB本人が作ったコピーだ。本体に近しい力を持つが、その代わりこの世界でしか存在できない」

巌窟王「放っておいても魔力切れで三日で事切れる『消耗品のBB』なのさ」

最原「なに……え? ちょっと待ってよ! 仮にコピーだったとしても『この場で消えるBBさん』はどうなるの!?」

最原「どこかに保存されたり、帰還したりは……」

巌窟王「しない。消耗品だぞ。人格はオリジナルのそれそのものだが……ここで終わりだ」

BB「ま、そういうことです」

最原「……こんな……こんなことって! 待ってよ! 才囚学園の生徒全員はみんな死んでないんだ!」

最原「最後の最後まで誰も欠けずに行けると思ったのに! こんなの!」

BB「『BBという存在』が消えたりはしませんよ。かと言って、おそらくもう二度と会えないでしょうが」

BB「私を作った代償に、オリジナルのBBは三日間一切の行動が取れないので」


バキンッ ドサァッ


BB「あ、今度は随分大きくヒビ入ったなぁ。左肩が全損」

最原「……!」

443: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/14(月) 21:32:28.29 ID:qd34pJpT0
BB「後のことはモノクマさんから聞けばいいと思います。私たちの計画を途中で看破したんです」

BB「その程度なら……できるでしょう? ね?」

BB「私の口から言うのは取引しちゃった以上、できないので」

最原「待って! 何か考えるから……! こんなところで消えないでよ!」

赤松「……セミラミスさん。なんとかできない!?」

セミラミス「……」

赤松「そんな……!」

BB「……セミラミスさん。ありがとうございました。生徒のみなさんをここまで連れてきてくれて」

赤松「!」

最原「……」



セミラミス『この中に、BBに何かを託された者はいるか?』

獄原『あ、えと。ゴン太が色々と貰ってるけど』

セミラミス『そうか。ならばさっさとそれを使え』

獄原『……え?』

セミラミス『BBに『待っていろ』とでも言われたか? 安心しろ。この状況を想定できないヤツではないからな』



最原「全部方便だ……!」

赤松「え」

東条「……そうね。今から思い返せば……」




セミラミス『さて。時間はないぞ。セーフティくらいは解除しておいたらどうだ?』




赤松「……気付いてたんだ……セミラミスさんは、最初から……!」




セミラミス『む? 何を……そういえば貴様。巌窟王と違ってレイシフトしてるわけでもないのに、この魔力はどこから――』

BB『……』

セミラミス『――そう、か。ふむ』

セミラミス『いいだろう。行くぞカエデ。巌窟王のところまで送っていく』

赤松『へ? あ、あれ? モノクマは?』

セミラミス『BBだけで充分だ。行くぞ』

セミラミス『……安心しろ。あやつもすぐに来よう。我の二の舞は踏むまいさ』




赤松「こうなることに全部気付いてて……!」

セミラミス「八つ当たりはやめよ。我とて無用な犠牲は出したくなかった」

セミラミス「だがこれはどうしようもないであろう。流石に」

セミラミス「『最初からそのように作られたもの』の運命を捻じ曲げるのは容易ではない。我らには時間も余裕もなかったのだ」

セミラミス「第一本人がそれで納得しておる。これではハナから無理であろう」

赤松「う……!」

444: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/14(月) 21:46:28.62 ID:qd34pJpT0
BB「最原さんが余計なことさえしなければ私も、破壊に巻き込まれてサッパリ消える予定だったんですけどねぇ」

最原「……」

BB「あははっ! 顔真っ青ですよ! いや、今のは冗談です。忘れてください!」ケラケラ

BB「……そうだなぁ。モノクマさんからの口からでも聞かせられないこと、今のうちに私の口から言っちゃいましょうか。その程度の特典はあるべきですし」

BB「私がモノクマさんについた理由は『取引の内容があまりにも美味すぎたから』ですよ」

最原「……美味すぎた……?」

BB「それ聞いて思ったんですよねー。『あ、コイツら生徒たちに勝つ気ねーな』って」

最原「!」

BB「……それだけです。後は万が一の罠の可能性も考えて、ここでサッパリ消えてしまった方が後腐れなく、面倒ごとも少なそうだなと思ったので」

BB「モノクマさんから聞けば後から意味はわかると思いますよ」

バキンッ

BB「そろそろ……限界ですね」

最原「BBさん……!」

BB「……楽しかったですよ。あなたたちをサポートしていた時間は。とっても」

BB「巌窟王さん。ハリボテ以外にも一つプレゼントがありますので。期待しててくださいね」

BB「……バトンタッチです。後は任せました」ニコリ


ビシィッ!  ガシャァァァァンッ!


巌窟王「……BB」

最原(BBさんは粉々になった)

最原(……僕たちの仲間が……僕たちの目の前で、死んだ)

最原(後に残ったのは、決定的な無力感。そしてそれを一生忘れることができないという絶望)

最原(……BBさんが残した一縷の希望だけだった)

446: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/15(火) 22:23:53.28 ID:DkW1/CiY0
最原「……」

最原(BBさんの破片はどこかへ消えた。風にさらわれたのか、空気に溶けて消えたのかはもうわからない)

最原(多くの謎を残したまま、僕たちに一方的に様々なものを託して逝ってしまった……)

セミラミス「……天海。我がここにいて助かったな? 自らの幸運と我に感謝するがいい」

天海「ああ……本当によかったっす。胸に入れていたこのアマデウスの仮面が、モノクマの砲弾から俺を守ってくれた……」

アマデウスの仮面「」キラーンッ

赤松「なんてベタな……ん? あれ。でもこれ綺麗じゃない?」

赤松「天海くんの盾になって着弾してたのならもっと傷ついてるはずだけど」

天海「」チーン

セミラミス「バカ者がッ! 瀕死の者の『自分は助かる』という思い込みを折るな! 本当に死ぬぞ!」

赤松「ごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいごめんなさいーーーッ!」

セミラミス「まあそれでも助けるがな。三十分くらいは余裕で持つであろう」

東条「……アンジーさんの治療……というより経過観察だけど。こちらも気を失っただけ。三十分以内に出るのなら問題はないわ」

巌窟王「そうか」ホッ

セミラミス「くくく。貴様やはりマスターには随分と素直なのだなぁ。犬の尻尾が見えるかのようだぞ?」

巌窟王「元マスターに対しての思いを未だに募らせている貴様ほどではない」

セミラミス「やるか? やるか? ん?」ジャララッ

巌窟王「望むところだ!」ボォウッ

赤松「余計な消耗になるからやめてよ!」

星「コイツら本当に大人気ないな……」

447: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/15(火) 22:42:12.45 ID:DkW1/CiY0
赤松「三十分は時間があるんだね……」

赤松「……最原くん。大丈夫?」

最原「あまり大丈夫じゃないよ」

赤松「そっか。私もあまり気分はよくないかな」

赤松「……月が綺麗だなぁ。こんなときピアノがあったらいいのに。ドビュッシーの月の光みたいな綺麗な曲」

最原「はは。ちょっとした鎮魂歌代わりにもなるかもね。超高校級のピアニストの曲なら充分すぎる」

最原「……誰も死なせたくなかったな……」

赤松「最原くん……」

セミラミス「……」

セミラミス「巌窟王。超高校級とは?」ハテ

巌窟王「貴様、本当に今まで『ノリと興味だけ』でコイツらを助けてたのか……」

真宮寺「要は高校生の中ではとびきりずば抜けてピアノが上手いんだヨ。赤松さんは」

セミラミス「ほう。余興にはちょうどいいかもしれぬな。我も聞いてみたい」

赤松「うん。外に出れたらきっと……」

入間「出られねーだろ。セミラミスも」

赤松「あ」

セミラミス「……」

入間「ここまで嘘だらけだったからな。どうせ自分の生存について訊かれたときの『何とかなる』って言葉も嘘だったんだろ?」

セミラミス「ふん」

巌窟王「セミラミス……」

セミラミス「なんだその顔は。同情などするな。我はやりたいようにやった。BBと同じようにな」

セミラミス「……同情される余地などどこにある?」ニヤァ

赤松「……」

448: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/15(火) 22:53:49.72 ID:DkW1/CiY0
赤松「いいなぁ。そういうの。格好いい」

セミラミス「……良い子はマネしちゃいけません、というのだったか。こういうときは」

セミラミス「ふむ。だが……ふむ。ふむ」ナデナデ

赤松「ひゃわっ!? 頭撫でないでよ!」

セミラミス「ははは! なるほど! 巌窟王の気持ちもわかる!」

セミラミス「これはハマるな! 中々楽しいぞ、未完でなんの覚悟もできてない子供が成長していく様を見るのは!」

巌窟王「……」イラッ

セミラミス「そうだな。万が一、我と貴様らがもう一度会うようなことがあれば、だ」

セミラミス「そのときはゆっくりと聞かせろ。カエデのピアノをな」

赤松「……うん。約束だよ」

赤松「約束……だから……!」ポロッ

獄原「それじゃあ改めて、破壊装置の起動を……」

最原「待って。まだやれることがある。三十分はあるんでしょ?」

獄原「え?」

最原「……モノクマへの尋問が終わってない」

モノクマ「」チーン

東条「……相手はモノクマよ? なにをしても有用な情報は吐かないと思うけど」

最原「寝るな」キィィィンッ

モノクマ「ぎゃあっはああああああ!」ビリビリビリッ

真宮寺「!」

最原「……大丈夫。嘘は吐かせないよ」

最原「聖杯で全部吐かせてやる……!」ギンッ

451: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/16(水) 21:33:07.27 ID:fUqjZ8U80
モノクマ「う、うぷぷぷぷぷ。何のつもりかわからないけど、ボクを起こしたのは悪手だったね。エグイサルを再びけしかけて……」

最原「やめて」キィィィンッ

モノクマ「はい」

モノクマ「……あれ!?」ガビーンッ

モノクマ「ま、まあいいや! エグイサルをけしかけることができなくっても、今は逃げてオマエラが脱出するときに紛れれば……」

最原「ダメだ」キィィィンッ

モノクマ「ごめんなさい」

モノクマ「……んんんんん!?」ガビーンッ

セミラミス「ほう。上手く使っておるな」

真宮寺「凄いヨ……! あのモノクマを手なずけるなんて夢のようだ!」

赤松「なんだかんだこのトンチキマスコットが私たちの悪夢の象徴だったからね……」

最原「時間が無い。早めに済ませよう。BBさんに具体的にどんな取引を持ち掛けた?」

モノクマ「……」

最原「黙るな」キィィィィンッ

モノクマ「BBさんに協力を持ち掛けました! こちらの要求は『校則違反の誘発およびボクを含めたこの世界にいる全員の脱出』だよ!」

モノクマ「ぎゃあ! 口が勝手に!」ガビビーンッ

星「ここまではなんとなく予測できてた範囲だな」

巌窟王「答えろモノクマ。BBをどう言って説得したのだ?」

モノクマ「……む、ぐ……!」

セミラミス「一丁前に聖杯の魔力に対して抵抗しているな。くくく……拷問とはこうでなくては」

赤松「一応訂正しとくね。尋問だよ」

最原「重ねて言うよ。黙らないで」キィィィンッ

モノクマ「BBさんへ『かつて図書室の隠し扉の向こうにあった首謀者の権限を一部委譲すること』を引き換えの条件として提示しました!」

最原「……!」

452: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/16(水) 21:59:06.47 ID:fUqjZ8U80
巌窟王「……なんだそれは? もっと具体的に言え」

モノクマ「かつてマザーモノクマに搭載されていた『学園の監視機能の使用権原』と『モノクマの複製権限』だよ!」

モノクマ「今は凍結されてるけど、図書室に行ってボクが許可すれば使えるようになる!」

入間「アホかよ。BBはこの世界でしか存在できねーんだろ? そんな取引したところで……」

モノクマ「あ。それは大丈夫。新世界プログラムに来る直前に、ボクがマザーモノクマと新世界プログラムを繋げておいたから」

最原(あのときはすぐ気絶しちゃったからぼんやりとしか覚えてないけど、マザーモノクマってあのモノクマの顔面オブジェのことかな……)

モノクマ「脱出のときにボクに捕まっていれば、世界が壊れてもそっちに移動できる」

モノクマ「……とまあ至れり尽くせりなんだけど、BBさん本人は最終的に蹴ったんだよね。『ロハでいい』って」

赤松「え? タダでモノクマの取引を引き受けたってこと?」

東条「これはBBさんにとっては唯一、生存の目がある選択肢よ。それを蹴るなんてことがありえるのかしら?」




BB『それ聞いて思ったんですよねー。『あ、コイツら生徒たちに勝つ気ねーな』って』




最原「……こういう意味か……BBさんは安心して、全部流れに任せることにしたんだ」

赤松「最原くん? 何に気付いたの?」

最原「モノクマが具体的に何をやりたかったのかはわからない。でも『やりたくないこと』はわかるよ」

最原「僕たちに『勝ちたくない』んだ」

453: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/16(水) 22:13:45.95 ID:fUqjZ8U80
巌窟王「何を言うかと思えば……そもそもコイツらに勝ち負けの概念があるかどうかすら疑問だぞ」

巌窟王「今更『今までお前らを甚振っていたのはただの趣味だった』と言われたところで驚くまい」

最原「違うんだ。今までのコロシアイゲームは間違いなく『明確に勝ち負けの概念があるゲーム』なんだよ。趣味じゃない」

赤松「それは外の世界に見せているからってこと?」

最原「大雑把に言うとそうなるかな。つまり白銀さんの脳内では既に結末は決まってて、僕たちはそれに沿って動いている……」

最原「……いや。動かされているんだよ」

星「なんだと?」

最原「『演出重視』だ。前の学級裁判のときでも『事件の撹乱』よりも、それを念頭に置いて動いてた」

最原「あくまで予測だ。だから現時点で、この予測に凝り固まるのは危険なんだけど……白銀さんが考えているのはきっと」

モノクマ「『愛と絆と希望が勝つストーリー』だよ!」キュピーンッ

モノクマ「うがああああああああああああああああ!」ガビーンッ!

巌窟王「愛と絆と希望が勝つストーリーか。なるほど……ふむ。なるほど……?」

巌窟王「!?」ガビーンッ

赤松「な、なにそれ……それって完璧に……」

獄原「……放っておいてもゴン太たちが勝てる? なら今まで頑張ってきたのは……」

最原「当然無駄じゃない! 無駄じゃないけど……!」

真宮寺「まるっとすべてが『出来レース』だった。そういうことだよネ」

454: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/16(水) 22:29:55.59 ID:fUqjZ8U80
最原(出来レース。それも白銀さんではなく、僕たちに有利な方の)

最原(ことがここまで進むと……安全が保障されていることは何の気休めにもならない)

最原(僕たちは自分たちの意思で動いていると思い込んでいただけで、決められた『フィクション』をなぞるだけの操り人形だった)

最原(……そんな最悪な現実を見せつけられたかのようだ)

真宮寺「ただこのモノクマの苦しみようを見る限り、これは絶対に話しちゃいけないことだったんだろうけどネ」

真宮寺「……この真実に辿り着いて初めて、僕たちはスタートラインに立てたのかもしれないヨ」

最原「!」

真宮寺「僕の気持ちは偽物なんかじゃない……! 外に出たら絶対にそれを証明してやるんだ」

真宮寺「あと少し。もう少しだヨ。姉さん……!」

星「切実だな。理解できないわけじゃねーが」

最原「……白銀さんの計画すべてをモノクマから引き出すには時間が足りないけど、もうちょっと聞けるはずだ」

最原「このまま尋問を続けて……」

モノクマ「う、うぷぷ。そんなことしてていいのかなー」

最原「……?」

モノクマ「モノクマーズ、全部で何匹壊れたか覚えてる?」

赤松「あ……!」

最原「……何が言いたいんだよ?」






モノクマ「モノタロウ、今ごろ外の世界で百田くんたちをいじめてるよ。精一杯ね」

457: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/17(木) 21:01:47.17 ID:r3KrfMTQ0
CM

セミラミス「一方的に大量のマスターに鎖を引きちぎられたり、シロウがなんか彷徨ってたり」

セミラミス「我があの庭園のできた理由に一切心当たりがなかったり……」

セミラミス「……心がしんどいな」ズーン

イシュタル「レイド戦では本当お疲れさまーーー!」ズギャァァァァンッ!

ナーサリー「ハートの女王さまにはちょっと余ったヒポぐるみをモフる権利をあげるのだわ!」


モフウ


セミラミス「……」モフモフ

イシュタル「無心でモフってるわね」

ナーサリー「相当参ってたのね……」

セミラミス「我がカルデアには何故シロウがおらぬのか」モフモフモフモフ

イシュタル「巡りが悪いとしか……!」





天草四郎がいないカルデアもいるカルデアも平等に、アポクリファコラボイベントの交換期限は20日までです。
ヒポぐるみなどの処分は忘れずに



セミラミス「速攻魔法発動。バーサーカーソウル……手元にある諭吉をすべて捨て効果を発動……」モフモフモフ

イシュタル「恐ろしいイメトレしないでくれる!?」ガビーンッ

466: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/18(金) 20:31:38.51 ID:udijNB2V0
才囚学園 屋外


ガシャコーンッ!


百田「くそーーー!」バターンッ

春川「百田! 大丈夫!?」

エグイサルレッド「……」シュウウウウウ

春川「……まずい。かなりまずいよこれ。エグイサルの操縦練度が違いすぎる!」

百田「なんのー! 終一たちが戻ってくるまでは、コイツだけは絶対に足止めしたらァ!」グインッ

春川「いや。私一人でやる」

百田「あ? いやなに無茶なこと言ってんだハルマキ。そんなん認めるわけ……」

春川「よく見てよ百田! 今の一撃で燃料タンクが傷ついてるんだって! 早く脱出しないと爆発するよ!」

百田「え? マジで? あ、マジだ! 妙な速度で燃料が消費してると思ったら――」



ドカァァァァァンッ


春川「百田ーーー!」

エグイサルレッド「まず一人目だね!」

春川(直前で脱出が間に合った、と信じるしかない……私一人でもコイツを食い止めないと!)

春川(……食い止めてどうなる? 最原たちが出て来たところで私たちに希望はあるの?)

春川「……頭を切り替えよう。アンタはここで私が殺す」

467: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/18(金) 21:14:31.06 ID:udijNB2V0
新世界プログラム内

セミラミス「……なるほど。あの無礼者の王っぽいヤツ、略してブレイキングがあと一人残っておるのか」

赤松「ブレイキング?」

最原「でもその程度なら巌窟王さんが行けば戦況はひっくり返せる」

最原「……そこまで含めての誘導なんだな。くそ!」

星「ここまで仕込みが徹底してると溜息が出るぜ」

星「俺たちの脱出の準備がほぼ整ったタイミングで現れたエグイサル。命中率がいまいち不安な牽制砲撃」

星「ここまで起こった物事のすべてが俺たちの脱出を促している」

星「BBが取引の一部を蹴らずにすべてを引き受けた場合……外に出た後で起こっていたのは仕組まれた大逆転劇だろうな」

獄原「仕組まれた大逆転劇……?」

最原「学園の監視機能とモノクマの生産機能を乗っ取れたのなら、事態は僕たちにとってかなり有利な方向に転がる」

最原「しかも僕たちは何一つとして裏の事情を知らないわけだから……」

セミラミス「新世界プログラムで行方不明になったと思われたBBが何故か学園の中枢機関をハッキングしていた」

セミラミス「生徒がピンチに陥ったそのとき、満を持して登場。物語は感動の最終章へ……!」

セミラミス「……シェイクスピアも酷評するような三文芝居だ」

モノクマ「これでも無印のダンガンロンパを踏襲した展開なんだけどなぁ」

468: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/18(金) 21:31:29.15 ID:udijNB2V0
赤松「でもなんで……? なんで白銀さんがわざわざ私たちの勝ちを促すようなマネをするの?」

赤松「……実際、私たちは誰一人として死んでないわけだから『ありえなくもない仮説』だということは納得できるけど」

巌窟王「どうでもいいな」

獄原「え? どうでもいいってことはないんじゃないかな……ゴン太はとても気になるしさ」

巌窟王「優先順位はかなり低い、という意味だ。この謎を解くことは白銀を殺した後でどうとでもなる」

巌窟王「エグイサル一体だけなら俺が外に出たその時点でなんとでもなるだろう。アンジーの治療もやっと行えるのだからな」

巌窟王「これだけならBBに対しての取引は無駄になる。つまり『俺が外に出てエグイサルを瞬殺した後に逆転が必要な何かが起こる』ということだ」

東条「……」

東条「これはアンジーさんに聞いたのだけど。確かあと二十四時間と数時間で、キーボくんが……」

赤松「あ! そうだよ! 確かフル武装したキーボくんが学園を破壊するんだって言ってた!」

最原「!」

巌窟王「なるほど。それが俺たちに訪れる最後の絶望、というわけか……」

最原「……最終的にはキーボくんのことも助けないと、だね」

最原「できるかな。BBさん抜きで」

巌窟王「入間がいるだろう。まだ」

入間「おう! 俺様がいるぜ! 俺様が……」

入間「ええっ!? 俺様を当てにすんの!?」ガビーンッ

巌窟王「やれ。手を抜けば殺す」

入間「はい……」

最原(やっぱり微妙に入間さんには辛辣だ……)

巌窟王「上手く行ったらとらやの羊羹をやろう」

入間「わーい!」

最原(いややっぱり甘いのか……?)

469: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/18(金) 21:46:36.26 ID:udijNB2V0
最原「まだ時間はありそうだ。最後に……モノクマ」

モノクマ「なに?」

最原「……白銀さんは一体なにを考えてるの?」

モノクマ「……」

最原「黙るなって」キィィィンッ

モノクマ「ぐぎぎぎぎぎ! ぐぎぎぎぎぎ!」ジタバタ

セミラミス「……無理だな。『これだけは絶対に話せない』という強い意思を感じる」

セミラミス「時間が大量にあるのならこの方法でいずれは聞き出せよう。だが先を急ぐのであればもう無理だ」

最原「……」

セミラミス「だが……ふむ。最後だ。BBは罠の可能性を疑って蹴ったようだが……我はあえてリスクを取る方を選ぼう」ニヤァ

セミラミス「最原。我に『BBに渡すはずだった権限』を委譲するようにモノクマに強制せよ」

最原「!」

モノクマ「……マザーモノクマにまで連れて行くのはできるだろうけど、流石に権限を渡すことはできないね。絶対」

セミラミス「なんだ。もうこの聖杯の条件に気付いたのか。その通り、この聖杯は『5m以内で実現する身近な願い』しか聞き入れん」

セミラミス「貴様の現実空間での本体がどこにあるのかは知らんが……最原のすぐ近くというわけでもなかろう」

セミラミス「今ここで『権限の譲渡』を迫ったところで、後で裏切ることが貴様には可能だ」

赤松「あ。そうか。外にでたときにはもうモノクマは最原くんの近くにいない。ここで約束させても意味がないんだね」

セミラミス「だが我をここから連れ出すところまでは可能なのだろう? さっき言っていたな? 捕まっているだけでいいと!」

モノクマ「はい言いました。嘘じゃありません」

モノクマ「誰か僕の口を塞いでおくれーーーッ!」ウワァァァ

セミラミス「これは本当になったな。なんとかなった。ククク」

巌窟王「……」ニガニガ

真宮寺「また苦々しい顔に……」

赤松「え? またセミラミスさんに会えるの?」

セミラミス「都合が付けば貴様らを助けよう。都合が付けば、な。忘れるな?」

赤松「うん! ゴタゴタが片付いたら会いに行くよ!」

セミラミス「バカめ! ゴタゴタを片付けるために我を呼べと言っている!」

最原(仲良くなったなぁ。この二人……)

470: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/18(金) 21:58:23.85 ID:udijNB2V0
巌窟王「……不服だが、決まりだな」

獄原「うん。今度こそ、この世界を破壊しよう!」

獄原「外に出て、百田くんたちを助けるんだ!」

赤松「アンジーさんも治療する! キーボくんも助ける!」

星「色々とやるべきことは山積みか……」

巌窟王「……最終的には白銀も殺してみせよう」

最原「それは不必要じゃないかな」

巌窟王「俺に指図をするな」ギンッ

最原「!?」ビクウッ

獄原「じゃあ、行くよ! スイッチ、オン!」ポチリッ

セミラミス「……おっと」サッ

赤松「ん? セミラミスさん、なんで耳を塞いで……」

赤松「ッ!」サッ

最原「え?」

最原(このときの僕は想像するべきだったんだ……)

最原(世界を丸ごと一個吹き飛ばすほどのエネルギー。それが発生するとき)






バキィィィィィンッ!!!!!!!



ほぼ全員「ぎゃああああああああああああ!」

最原(どれだけ大きな音が出ることになるのかを……本当に死ぬかと思った)

最原(そして、何が起こったのかを具体的に認識する余裕はなく。目が白くチカチカしている内に……)

最原(内臓がぐるぐる回るような錯覚を起こすほど。洗濯機の中の衣服になったかのような感覚に溺れながら……)



ブツンッ



最原(この世界は終わった)

475: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/19(土) 21:05:48.94 ID:ouXZLRaX0
才囚学園 中庭

白銀「んー。ふふふふふふふ。やってるやってる。状況がどんどんカオスになっていくー」ルンルン

白銀「……さてと。この混乱に乗じてやることやらないとな」

白銀(最原くんが帰ってきたとき、茶柱さんがいなくなってたりしたら驚くかなぁ。驚くよね?)ワクワク

白銀(もっともーっと盛り上げちゃおう! 適度にみんなを追い詰めよう!)

白銀(そしたら私は。私たちはきっと!)

白銀(……そういえば、夢野さんがさっき消えたのってここら辺だったよなー。一体どこ行っちゃったんだろ)

白銀(まあ魔術でもなんでも上手く隠れてくれるのなら上々――)


ガサッ


「やーっと出てきおったか。待ちくたびれたぞ白銀!」

白銀「え……きゃっ!」

ガシッ

夢野「捕まえた! 巌窟王が帰ってくるまで絶対に離さんぞ!」

白銀「なっ……!? 夢野さん!? 一体どこから……!」

夢野「監視カメラを見ておらんかったか? ずっとここにおったぞ!」

夢野「茂みで転んでからずっと。ずーーーっと! ジャガーマンの魔術で姿を消して動かずにじーっとしてたんじゃ!」

白銀「気が長ッ!」ガビーンッ

夢野「……転子との約束は破るハメになったがの。後で全力で謝らんとな」

夢野「お主の身柄を土産にすればお釣りが来るじゃろうがのう!」ギンッ

白銀「ぐ……な……!?」ジタバタ

夢野「離さん! ぜーったいに離さんぞ! 離したとしてもすぐに追いかけてやる!」

夢野「白銀! お主とウチは仲間だったはずじゃ! 最低でもお主の本音を聞くまでは絶対に……!」

夢野「ずっとずっとずっと……絶対に離さん!」

白銀「……」

白銀「……へえ」ニヤァ

476: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/19(土) 21:19:32.37 ID:ouXZLRaX0
白銀「嬉しいな。まだ私のことを仲間だと思ってくれるんだ……?」

夢野「当然じゃろ! 白銀、一緒に巌窟王に謝るんじゃ! そしたらアイツだってお主のことを……」

白銀「許すわけないじゃん。もう私は無理だよ」

白銀「無理なので」バチバチッ

夢野「え? ぎゃー!」ビリビリビリッ

白銀「改造スタンガンとか使ってみちゃったりして」バッ

夢野「あ、ま、待てェ! 白銀ーーー!」

白銀「やだー! このまま全力で逃げてやるー!」ピューッ

夢野「クソ! また姿を隠されたりしたらかなわんぞ!」

ジャガーマン『虎だ! 虎だ! お前は虎になるのだ!』

夢野「お主はジャガーじゃろ! キャラ設定くらいは守れ!」

ジャガーマン『ちょっと真面目に考察するけど、このまま彼女を一度でも見失ったら、余計に仲間を分断されたりしちゃうんじゃないかにゃー』

夢野「ウチのときのようにか? それはかなり危険じゃな!」

夢野「なんとかならんのか! なんとか……!」

白銀「ふう……ふう……!」タッタッタッ

夢野「……」

ジャガーマン『そんなに足早いわけじゃないから全力で追えば秘密子ちゃんでも追いつけるんじゃない?』

夢野「待てェェェェェ!」シュバババババッ

白銀「うわあああああああ! 来ないでーーー!」ダダーッ!

477: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/19(土) 21:36:05.91 ID:ouXZLRaX0
校舎内

茶柱「はあ……はあ……なんで! 夢野さんがまたいなくなって! 校則違反でエグイサルがこちらを消しにかかって!」

茶柱「最原さんたちも戻って来なくって……! どこまで状況が最悪になるんですか! この学園はッ!」

王馬「本当にねー。ビックリだよねー。学園生活の難易度が一気にナイトメアになっちゃったよねー」カチャカチャ

茶柱「……あの。さっきから気になってたんですけど。あなたが手に持ってるそれって」

王馬「あ。あげないよ! これ俺が拾ってきた銃なんだからさ!」

茶柱「いりませんよそんなものッ! ていうかどこから持ってきたんですかそれ!」

王馬「コウノトリさんが運んできてくれた」

茶柱「赤ちゃん!?」ガビーンッ


ザッ


茶柱「……誰かがこちらに来ます。構えてください」

王馬「ん? いや。大丈夫だよ。このおバカな気配は間違えようがない」

百田「誰がバカだッ!」

茶柱「も、百田さん!? 無事だったんですか!?」

百田「ギリギリ脱出が間に合ってな……悪ィ! 先を急ぐんだ!」ダッ

茶柱「え。待ってください! どこへ行くんですか!?」

百田「高いところだ!」

茶柱「何故!?」

王馬「どうせロクなこと考えてないよ」ヘラヘラ

478: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/19(土) 21:51:08.91 ID:ouXZLRaX0
茶柱「ああもう! 男死っていつもそう! みんなバカ! 自分勝手にどっかに行くんです!」

茶柱「春川さんが一人で頑張ってるのに百田さんはッ!」ダンッダンッ

王馬「ねえ。茶柱ちゃん」

茶柱「なんですか!?」

王馬「怒ってるの、本当に百田ちゃんに対して?」

茶柱「当然でしょう? 他に誰に怒れと?」

王馬「いや俺の勘違いかもしれないけどさ。『自分がピンチなのに助けに来てくれない最原ちゃん』を百田ちゃん越しに見てるんじゃないかって」

茶柱「……」

王馬「あれ!? 図星? 図星!? 図星だよね! 図星だ! 絶対に図星だぞ!」ゲラゲラゲラ

バキィッ

王馬「」チーン

茶柱「悪いですか……こんなときに、最原さんに会いたいって思う転子の何が悪いんですか……」

茶柱「……ううん。悪いのはわかってます。そんな状況じゃないってことは。でも……今にもみんな死にそうなんですよ?」

茶柱「最後になるかもしれない。だから好きな人に会いたいって思うのはおかしいことですか……!」

王馬「……うん。茶柱ちゃんは本当に、最原ちゃんのことが好きなんだなぁ」

茶柱「再度殴られたいですか?」

王馬「え? 何? 嫌いなの?」ヒキッ

茶柱「なんでちょっと引いてるんですかッ! 好きですよ!」

王馬「え? 俺のことが?」

茶柱「最終的には顔面を叩き壊しますよッ! 最原さんのことがです!」

王馬「ごめん。勘違いしちゃうかもしれないから今のうちに全文を大声で言ってくれる?」ニヤニヤ

茶柱「だーかーらー! 茶柱転子はッ! 最原終一のことが! 大好きなんですーーーッ!」

王馬「後ろ見て?」

茶柱「ん?」クルリッ








最原「……」

赤松「わあ」カァァァ

茶柱「」

484: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/20(日) 21:38:20.08 ID:gAILuCq40
最原「……」

茶柱「……ええっと……あの……」

最原「あの。茶柱さん……ハグとかする?」ドキドキ

王馬「凄いや! こんなに調子付いた最原ちゃん初めて見たよ!」ゲラゲラゲラ

赤松「味方から散々な扱いを受けるのがデフォだった最原くんが初めてちょっとだけ前向きに……! 感動で涙が出そうだね王馬くん!」

真宮寺「人間っていいよネ!」ズバァァァァァンッ!

茶柱「あ゛あ゛あ゛あ゛ああああああああああああっ!」




そのとき茶柱転子が無意識にとった行動はうずくまることであった。
羞恥でもう周りが見えなかった。死んでいたはずの真宮寺とか赤松が生きて祝福してるとかもうどうでもよかった。

もうとにかく消えたかった……それはそれとして最原とハグは二人きりならいいかもしれないとチラリと思ったが、状況が状況なので少し泣いた。

485: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/20(日) 22:11:18.37 ID:gAILuCq40
茶柱「はあ……はあ……後で王馬さんは殺す。最原さん、おかえりなさい」

王馬「今のは聞き間違いだと思いたい」ガタガタ

赤松「火葬と土葬って選べるっけ?」

真宮寺「日本だとかなり限定的な条件を満たさない限り土葬は無理だネ」

赤松「あと葬式のときって役所からどれだけお金貰えるのかな」

真宮寺「葬祭費は自治体によってまちまちだけど……」

王馬「みんなー! 俺を助ける方向で話を持ってってもいいんだよー!」

最原「あそこで戦ってるエグイサルは……レッドはモノタロウか。もう一方は春川さんだよね」

茶柱「はい。先ほどは百田さんも頑張ってたんですが……」

最原(返り討ちにされちゃったのか……目に浮かぶ……)

最原「ここから見た限りだと……春川さんがやられるのも時間の問題だ」

最原「どうにか時間を稼ぎたいけど」

茶柱「……時間を稼いだところで何がどうなるっていうんですか?」

最原「東条さんの治療が間に合う」

茶柱「……?」

茶柱「そういえば、真宮寺さんや赤松さんがいるってことは、他の人も生きてるんですよね?」

茶柱「みんなはどこですか?」キョロキョロ

赤松「ええっとね。手分けして白銀さんを探してるんだよ。あとモノクマ」

茶柱「……今更見つかるとはとても思えませんが……」

最原(どうかな。巌窟王さんが出てきたら、白銀さんの末路は確定だ。人質の一人でも取って交渉材料にしてやる、くらいは考えそうだけど)

最原(完全に復活したらどこに隠れていようが『学園ごと白銀さんを破壊する』くらいはやってのけそうだし)

486: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/20(日) 23:19:48.29 ID:gAILuCq40
最原「どうする……どうする……あと少しなんだ!」

赤松「……聖杯を使えばエグイサルでも止まったりしないかな? 全長は5mないと思うんだよね」

最原「それ、セミラミスさんとか一切気にしてなかったけど、外に出た僕は聖杯を使えるのかな……」

真宮寺「あくまで聖杯は形而上学的な存在だからネ。効力が本物である限りは電脳空間でも現実空間でも変わらず存在できるはずだヨ」

ポォォッ

最原「……本当だ。ちゃんと取り出せる。というかコレ普段は僕の中にあるのか……」

茶柱「なんですかこの趣味の悪いコップ……ひとりでに光ってて気持ち悪いんですけど」

最原「だよね」

赤松「使う分には問題なさそうだね」

最原「……あれに近づけと?」



ガシャコーンッ



春川「はああああああああっ!」

エグイサルレッド「面白い! ラッシュの速さ比べというわけか! オイラァ!」ムダムダムダムダ!


ガインッ



赤松「……無理だね。今度は現実空間だから天海くんを盾にできないし。セミラミスさんもいないし……」

最原「別の手を考えよう。なにか……なにかあるはずだ」

真宮寺「あ。もう手遅れっぽいヨ」

最原「え……!? まさか、春川さんが!?」

真宮寺「そうじゃなくてアレ……」

茶柱「え。アレ……え? アレ? 百田さん?」

最原(僕たちは揃って目を疑った。ちょっと目を離している隙に百田くんが……!)





全員「うわあああああああ! バカだーーーッ!」ガビビーンッ!

488: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/21(月) 20:29:16.67 ID:LPpL1P570
ちょっと時間は遡って

ガインッ

春川「ハッチが……!」

エグイサルレッド「外殻が壊れてパイロット丸見えー! わーい!」

春川(やっぱり無理だったかな。私じゃあコイツを殺せない)

春川(でも私が死んだら全員死ぬし……どうしようかなぁ。相打ち覚悟で行ったら奇跡とか起こったりしないかなぁ)

ブランッ

春川「ん。あ、ダメっぽいな。右腕を捻っちゃった。ハンドルもう握れないかな」

春川(……凄いな私。こんな状態で相打ち覚悟とか考えてるよ。ちょっと前なら絶対にこんなこと考えなかったのに)

春川(よく覚えてないけど……やっぱりこの学園での記憶は本当に掛け替えのないものだったのかも)

春川(クソだらけの毎日だったけど、でもそれと同じくらい楽しかった気がする)

「ハルマキー!」

春川(そうそう。あのバカ全開ヤローのことも絶対に忘れられない。今でも耳について離れないよ)

「ハルマキー! 行くぜーーー!」

春川(……?)

春川「ん? いや声が上から聞こえるような……」

百田「選手交代だハルマキィィィィィ!」ドォォォォォンッ

春川(空からバカが降ってきたーーーッ!?)ガビーンッ!

春川「ちょ……こっちに来るなーーー!」



ガシャンッ!

489: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/21(月) 20:48:34.58 ID:LPpL1P570
春川「いっつぅ……! も、百田! なんで空から降ってきてんの!?」

百田「校舎の上階から走って窓から飛び出した! 本当はあの鉄屑クマ野郎に奇襲しかける予定だったんだけどよ!」

百田「ハルマキがあからさまにピンチっぽかったからつい来ちまったぜ!」

春川(それでコクピットに飛び降りれる!? 奇跡的すぎる!)

春川「百田。この際言っておくけどさ! 99%の確率で失敗することは現実ではほぼ絶対に失敗するんだよ?」

百田「関係ねぇ! 関係ねぇんだよッ! そんなもん俺にはまったく意味のない確率論だ!」

百田「やりゃあできる! というわけでだ! ハルマキ、ちょっと!」ゴソゴソ

春川「ひ、う……さ、触らないでよ……ちょっと……!」

百田「悪ィ! この姿勢のままじゃエグイサルを操縦できねぇ!」ゴソゴソ

エグイサルレッド「オイラ、変身途中のヒーローにも遠慮なく射撃しちゃうタイプ!」ガシャコンッ

百田「させるかよッ!」ゲシッ

ガコンッ バキィッ

エグイサルレッド「ぎゃー!」

春川「……!?」

春川(百田が後ろ蹴りで操縦桿蹴り飛ばしたら、狙ったかのような位置に攻撃が入った……!)

春川「百田! そろそろオカルトじみてきたんだけど……!」

百田「ははっ! さてな。俺の後ろは女神さまが見つめてたりするのかも、な!」ゴソゴソ

百田「おし。これで完成だ」

春川「……」

春川「あの……私が百田の膝の上に乗ってる形になってるんだけど……」カァァ

百田「悪ィ! 終わるまでコレで我慢しててくれ! 二人乗りなら、これが一番位置的にいい!」

春川(恥ずかしくて死にそう)

490: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/21(月) 20:58:53.05 ID:LPpL1P570
百田「ハルマキ。怪我してんのか?」

春川「……まあ無傷ではないよね。よくあることだよ」

エグイサルレッド「よくもやってくれたなー! 今度はこの森林伐採用ソーでバラバラにしてやるー!」チュイイイイインッ

百田「かなりキレたぜ」バキィィィンッ

エグイサルレッド「……え? あれ……? おかしいよ? 同じスペックの機体なのに、なんでソーが壊れ……!?」

百田「行くぜ……行くぜ行くぜ行くぜ行くぜーーーッ!」



ドンドンドンドンッ



エグイサルレッド「え、ちょ……あれ!? あれあれあれあれぇぇぇぇぇ!?」

春川「百田……!?」

春川(嘘でしょ。さっきのとはくらべものにならないくらい、エグイサルを使いこなしてる!)

春川(命中率が不安だからあえて使ってなかった砲撃をこんなに簡単に使いこなすなんて……!?)

百田「もう絶対にやらせねぇ」

春川「……」

百田「俺の仲間を一人だって、絶対に傷つけさせやしねー。かかってこいよデク人形」

494: ちょっと今日は倒幕で忙しかったのでこの一レスのみっす ◆SxyAboWqdc 2018/05/22(火) 23:17:59.46 ID:XNb0xr1N0
校舎内

最原「も、百田くん……」

茶柱「嘘でしょ。なんであんなアホ丸出しの思いつき決死特攻が上手くいくんですか!?」

最原「格好いい……」キラキラキラ

茶柱「……あの。お願いですからマネしないでくださいね……」

赤松「安心していいと思う。マネできないから」

真宮寺「さて。百田くんにエグイサルを任せるのは確定だネ。後は……」

最原「うん。白銀さんかモノクマのどちらかを先に見つける!」

最原(できるなら巌窟王さんより先に……!)

最原「行こう! もう校則はないも同然だ! ちょっとくらい無茶しても大丈夫だよ!」

茶柱「あなたは無茶したら死にますよ。怪我が悪化して」

最原「……」

最原「あの……みんな。手伝ってくれる?」

赤松「もちろん!」

496: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/23(水) 20:10:31.39 ID:eSZy1k+x0
モノタロウ「おかしい……おかしいよ! そろそろ百田くん、ウイルスのせいで体がボロボロになる予定なのに!」

モノタロウ「なんでこんなに元気いっぱいなの!?」

モノタロウ「……ん。あれ……変だな。百田くんの傍になにか見えるような。ボンヤリ……」



説明しよう! 巌窟王が燃やして捨てていた女神の加護は、実は百田にすべて集まっていたのである!
百田本人は気付いていないが、鈴鹿御前に噛みつかれた直後あたりから明確に致死性ウイルスによる病状は改善に向かっていたのだ!

なお、BBはそのことに気付いていた。



春川『おかしいな。肋骨にまで破壊が及んだような手ごたえだったんだけど』

BB『……あー……』

天海『BBさん? どうかしました?』

BB『いえ。百田さんカワイソーだなーって』



ちなみに女神の加護を受けることは当然ノーリスクではない。いわばこれはマーキングである。
『面白い人間が更に面白くなるように見つめていよう』という気まぐれの生み出した終身名誉女神の玩具の持つ称号でしかない!

が!


百田「行くぜぇーーーッ!」

春川「……ん? 百田。なんか後ろについてるような……?」



百田本人だけがその窮状に気付いていない! バカだから!
そう! バカだから気付けないのだ! ああ、素晴らしきかなバカ!



ケツァルコアトル『と色々口上を考えてみたのデース。どう?』

メドゥーサ『中々よく書けてると思いますよ。誰も聞く者がいないという欠点を除けば』

ケツァルコアトル『……霊感、今一なのよね。生徒全体が……』

497: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/23(水) 20:32:44.21 ID:eSZy1k+x0
校舎内

真宮寺「それじゃあもう一回、最原くん。僕が背負うからさっさと乗って」

最原「本当ごめん……」

赤松「アンジーさんもだけど最原くんも相当怪我したよね……余裕が出たら東条さんに診てもらおう?」

最原「そうするよ」

茶柱「あの! 夢野さんの姿もさっきから見えないんです! 彼女のことも探してくれませんか!?」

最原「うん。わかった。探すよ」

王馬「じゃ、ひとまず二手に別れようか。単独行動は危険だしね」

王馬「チーム割りは……まあさっきの通りでいいでしょ。真宮寺ちゃん、赤松ちゃん、最原ちゃんが一チーム。俺と茶柱ちゃんで二チーム」

最原「うん。妥当だと思う。足手纏いの僕がいるチームの方が人数多くなるのは仕方ないよね……」

茶柱「……転子はあなたのことを変わらず信じてます。だからちょっとは自信を持ってください」

最原「……」ジーン

赤松「もうすっかりメロメロだなぁ。最原くん」

真宮寺「話は済んだ? いや済んでなくとも後回しにして。行くヨ!」ダッ

最原「あー……」

赤松「じゃ、私も行くから。王馬くん、茶柱さんに変なことしちゃダメだよ。また殴られちゃうから」

王馬「おっけー!」ヘラヘラ

赤松「まあ……ここぞというときに裏切らないとは、なんとなく思ってるけどさ。勝手に思ってるだけだけど」

王馬「……どうかな」

498: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/23(水) 20:40:00.06 ID:eSZy1k+x0
茶柱「……行きましたね。それじゃあ転子たちも行動を開始しましょう!」

王馬「茶柱ちゃん。真面目に聞いて欲しいことがあるんだ……」

茶柱「なんです?」

王馬「俺、実は白銀ちゃんにさ。こう言われてるんだ。『ピンチになったら人質を取ってくれ』って」

王馬「白銀ちゃんは最原ちゃん(と今の俺が覚えてない何か)が新世界プログラムから出て来るのを物凄く恐れていた」

王馬「だからいざというときに適当な誰かを人質にとって、才囚学園の生徒全員の動きを鈍らせてくれって言われていたんだ……」

王馬「その後の作戦については知らない。俺も聞かされなかったからね……」

王馬「そして、今持っているこの銃は、その使命を受け取ったときに白銀ちゃんから貰ったものなんだ……!」

王馬「ごめん、茶柱ちゃん……俺のために人質になってくれないかな……」

茶柱「……」







茶柱「嘘ですよね」

王馬「うん! 嘘だよーん!」キラーンッ

茶柱「ふんっ!」バキィッ

王馬「」チーン

茶柱「ふざけてないでさっさと行きますよ!」ズルズル

王馬「足を引きずらないで……」

502: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/24(木) 21:41:52.25 ID:aeureBlQ0
??学園

天海「……ん? あれ? ここどこっすか?」キョロキョロ

天海「あ! もしかして俺死んじゃったんすか!? くっそー! せっかくギリギリのところまで生き残ったのにー!」

天海「……いや。まだだ。まだ終われない。こうなったら閻魔大王を叩き殺してでも現世にアイルビーバックしてやるっす!」

天海「みんな! 俺が行くまで手柄を残しておいてくれっす!」

??「うう……ひっく……」

天海「ん? あれ。キミ、誰っすか。こんなところで何で泣いてるんすか」

天海「……んん? 白銀さん……?」

天海「あ、いや。よく見たらこの場所、どこか見覚えがあるような……半壊してるけど裁判場、かな……」

??「やだよう……」

天海「?」






??「みんなのこと……忘れたくない……!」

天海「ッ!」

503: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/24(木) 21:55:04.41 ID:aeureBlQ0
天海(脳の奥底で何かが裏返るような感覚……吐き気を催すような酷い頭痛がする)

天海(今まで綺麗に塗り固められていたメッキが、内側から恐ろしい何かに突き破られるかのような恐怖)

天海「うっ……おえっ……!」

??「忘れられるのは考えられない。私は彼らのことを信じてる」

??「天海くんに関しては私と同じ道に来るから、忘れられたとしても新しい思い出を作ればいい」

??「問題は私。私はなにも忘れたくない。忘れたくないよ……!」

??「どんなに酷い目に遭ったとしても、私の記憶だ。私の思い出だよ。なのに、なんで……!」

天海(……聞いたことがある気がする。この声が、俺の胸に風穴を開ける)

天海(いや。最初からその欠落はあった。ただ気付いていなかっただけだ……!)

天海(それなのに!)

天海「なんで……思い出せない? とても大事なことのはずなのに!」

天海(考えられるのは一つしかない。思い出しライトで改竄された記憶……その向こうにある残滓を俺は見ている)

天海(だから、あと一歩のところで何も思い出せない)

天海「……違うな」

天海(それがどうした)

天海「俺はちゃんと、才囚学園での記憶を思い出せたじゃないっすか」

天海「……白銀さん。俺は必ず思い出す。思い出して絶対に迎えに行くっす」

天海「……最原くんのような才能あふれる誰かでも、巌窟王さんのような条理の外の存在でも不可能なこと」

天海「俺にしかできない。俺の声で! キミに――!」

504: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/24(木) 22:05:39.06 ID:aeureBlQ0
東条「目が覚めた?」

天海「……」

天海(……近ッ!)ドキーンッ!

東条「……こっちに帰ってきてからうなされるばかりでまったく起きる気配がなかったから心配していたのだけれども」

東条「問題はないようね」サッ

天海(あ。離れちゃった。ちょっと名残惜しい……)

天海「傷は……あの世界で受けたものは当然ながら残ってないっすよね。うん」

天海「……歩ける」スタッ

東条「もうちょっと待ってくれるかしら。彼女の治療がそろそろ終わるわ」

東条「そうしたら『彼』の出番よ。満を持してね」

天海「……うん。彼が来れば全部終わりっすよね」

天海「だからちょっと、任せられないかな」

東条「……単独行動は危険よ?」

天海「途中で会った誰かと同行するっすよ。流石に今どんな状況かはなんとなくわかってるっす」

天海「……東条さん。赤松さんの約束あったっすよね。『ここから出たら友達になろう』ってヤツ」

東条「ええ。今なら絶対にその約束は果たせそうね。色々あったもの。この学園では」

天海「俺、ちょっと友達に会ってくるっす」

東条「え?」

天海「……なんか、外に出なくとも友達だったみたいなんすよ。だから行かなきゃ」

天海「俺は……俺の学園生活は。何のためにここにいるのかわからなかった俺の物語は、この瞬間のためにあったんす」

東条「……無茶は厳禁よ」

天海「当然! 『全員』で生きて帰るんすからね!」

509: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/26(土) 11:30:50.36 ID:s1fG2l5r0
図書室の隠し部屋周辺

星「……やっぱりな。最原の推理通りと言ったところか」

入間「モノクマがいた形跡、しっかりあんな。まあちょっと考えりゃ誰にでもわかることだけどよ」



モノクマ『今は凍結されてるけど、図書室に行ってボクが許可すれば使えるようになる!』

入間『アホかよ。BBはこの世界でしか存在できねーんだろ? そんな取引したところで……』

モノクマ『あ。それは大丈夫。新世界プログラムに来る直前に、ボクがマザーモノクマと新世界プログラムを繋げておいたから』



入間「モノクマはわざわざ取引材料にするためだけに、マザーモノクマ? ってヤツを新世界プログラムにつなげたわけじゃねぇ」

入間「つなげる必要があったからつなげたんだ」

星「ここからモノクマは新世界プログラムにアクセスした……いわばモノクマ専用のフルダイブ用デバイスってわけだな」

入間「最原からの事前情報の通り、夢野を閉じ込めるためにトイレ側の隠し通路は塞がれてる」

入間「上手く行けば俺様たちが、新世界プログラムから出たモノクマを捕まえられるかも……と思ったんだけどなぁ……」

星「特にそんなことはなかったか」

入間「ちくしょう」

ガララッ

夢野「はあっ……はあっ……はあっ……!」

夢野「く、クソ! あやつの地味設定を忘れておった! どこかで撒かれたか!? いないぞ!」キョロキョロ

夢野「おお! 入間! 星! 帰ってきておったのか! こっちに白銀は来ておらぬか――」

入間「ぎゃーーーッ! おばけーーーッ!」ゲシィッ

夢野「ぐぼえっ!?」ガフウッ

星「気持ちはわかるけどよ。ピンヒールで蹴るな。死ぬぞ」

510: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/26(土) 11:41:53.37 ID:s1fG2l5r0
夢野「とても痛かったー。入間のピンヒール」

夢野「感動の再開かと思ったらー。随分なご挨拶」

夢野「ウチは」

ジャガーマン『私たちは』

夢野&ジャガーマン「忘れません」

入間「こ、怖ぇーよ……小学校の卒業式ふうに言うんじゃねーよ。悪かったよ……」

夢野「白銀は……こっちには来ておらなかったようじゃの。しかしあやつ一体なにをしに外に出て来たんじゃ……?」

夢野「分断するつもりなら別にウチが相手でもよかったはずじゃが」

入間「既に決まったターゲットがいたんじゃねーの? テメェは眼中になかったんだろ」

星「アイツが狙いそうなヤツ……? ダメだ。思いつかねーな。パッとは」

夢野「むう」

星「まあいい。夢野。お前さんが来たのならちょうどいい。この部屋のことを調べるからお前さんの情報も提供してくれ」

夢野「でも白銀が……」

星「アイツのことは他の誰かに任せろ。仲間、なんだろ?」ニヤリ

夢野「……」

夢野「なんか変わったのう。お主。この学園に来たばっかりのころとは違うぞ?」

星「きっかけはアンタだったかもな?」

夢野「え? ウチ?」

夢野「……いやわからんな。心当たりがない。まあよい! さっさと調査するぞ! パパッとな!」

ジャガーマン『たーだそれだーけー。できれーばー。青春さー』オーライッ

入間「余計な茶々入れんな」

511: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/27(日) 19:12:04.90 ID:YIPTmOQ40
中庭

真宮寺「それにしても……初めて来たときは草でいっぱいだったのに、随分と整備されたものだよネ」

真宮寺「お陰で動ける場所が増えてエグイサルを迂回することができたのはいいことだけどさ」

赤松「さて。最原くん。ここに来て何をしたかったの?」

最原「かなりの高確率で白銀さんが隠れているのは裁判場だろうな、と思って……」

赤松「その他の候補地はないの?」

最原「あることにはあるけど。まだ解放されてない王馬くんの研究教室とか……」

最原「でもなんか彼女の性格的にそういうのやりそうもないなって」

赤松「ああ。そういえば前に食堂で一緒に食事してたときに『王馬くんに騙されて落とし穴に落ちた』とかひっどい顔でぼやいてたなぁ……」

最原「それに今の彼女なら『わかりやすく重要な場所』にたてこもりたがるだろうなってさ」

真宮寺「……あれ。ドアが半開きだ……」

最原「ビンゴかな」

赤松「入ってみよう!」

512: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/27(日) 19:18:21.54 ID:YIPTmOQ40
エレベーター内


ゴウン……ゴウン……ゴウン……


赤松「……でもさ。これ以上、何を調べるの? 外の世界に関する真実なら、暫定だけど最原くんが辿り着いたよね?」

最原「白銀さんの本音が見たい」

赤松「……そう」

最原「ん?」

最原(あれ。なんか素っ気ない……賛同してない? 赤松さんが?)

最原「どうしたの?」

赤松「いや、さ……白銀さんから本当に酷い目に遭わされたからさ……」

赤松「どんな本音隠していようが許す自信がまったくないんだよね」

真宮寺「自信? 赤松さんは優しいなァ。僕はそもそも許すつもり自体がないヨ」

最原「……気持ちは……」

真宮寺「わかる、とか言ったら流石に最原くんでも怒るヨ」

真宮寺「……体感的には一回だけど、何回も殺されたんだ……! 絶対に許せない」

赤松「……」

最原「……うん。ごめん」

最原(いつも、このエレベーター内での時間はとても長いな……)

513: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/27(日) 19:21:22.42 ID:YIPTmOQ40
最原「というか、よくわかったね。僕がただ白銀さんを捕まえるつもりじゃないってこと」

赤松「まあね。結構長いつきあいになっちゃったから」

真宮寺「キミの意思は尊重するヨ。そっちもそっちで覚悟があって、その代償はたっぷり支払ったみたいだしネ」

最原「ありがとう」



チーンッ


最原「あ。ついた」



ガララララッ



最原(まさか……学級裁判以外の用でここに来ることになるとは)

最原(……さて。調査を始めようかな。いつもみたいに)

514: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/28(月) 19:12:53.67 ID:/PSdARih0
ちょっとだけ時間は遡る 裁判場

?????「……アレはどこだ……アレは……」キョロキョロ

?????「向こうに行ってみるか」スタスタ



チーンッ




ガララララッ



最原「……裁判場……毎回微妙に内装が違ったけど、今回は無骨にコンクリが丸出しだね」

真宮寺「多分、催し物がなくなったから全部とっぱらったんだろうネ」

赤松「んん……でもなんか、ところどころパーティションで区切られてたり、毛布が転がってたり……」

赤松「……生活感が丸出しだよ。ここが潜伏先で間違いないみたい」

最原(裁判の席は全部、使わないときは天井に収納されてるみたいだな……地面はこざっぱりしている)

最原「白銀さんはいないみたいだ。手分けして探しても問題は無さそう、かな」

真宮寺「流石に室内でキミも走ったりしないだろうし、いいんじゃないかな」

赤松「じゃ、手分けして手がかりを探そう!」



カツンッ


赤松「……?」

赤松(今、誰かの足音が聞こえた……?)

515: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/28(月) 19:20:01.46 ID:/PSdARih0
区切られた区画その一

最原「……?」

最原(なんだこれ……)



ボヤァーッ


最原「……なんか、薄くぼやけた空間がある……ホログラフ?」スッ


ズボッ


最原「……違う。手を突っ込める。つまり『奥行き』があるってことだ」

最原「穴? いや……違うな。壁に開いた穴とかじゃない。『空間に開いた穴』って感じだ」

最原「なんでこんなものが……ん」カサリッ

最原(足元に書類みたいなのが転がってる)

最原「なにこれ」ヒョイッ

最原「題名は……巌窟王のホームに繋がる『穴』に関する研究レポート?」

最原「穴……? 研究レポート? なんのことだ?」

最原(というか、この研究レポート署名代わりかな。キスマークがルージュでべっとり表紙に張り付いてる)

最原「……」

最原(待てよ。確かこんな研究を大真面目にやってた人がいたはずだ。確か最初の学級裁判で――)

516: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/28(月) 19:44:43.00 ID:/PSdARih0
最原「中身を読んでみよう」パラッ

レポ内容『通常、サーヴァントとは聖杯戦争で呼ばれる使い魔であり、有体に言えば魔術師の使う兵器である』

レポ内容『英霊の座から登録された情報を基にして、聖杯の力により現実に出力することによって規格外の力を持った英霊をサーヴァントとすることができる』

レポ内容『つまり聖杯は3Dプリンターの役割を果たしており、データにしか過ぎない英霊を現実に呼び出すためには不可欠なものなのだ』

レポ内容『※この出力する役割を持った聖杯の機能そのものをチューンナップできれば理屈上、更に上質なサーヴァントを呼び出せる。これも後で考察』

レポ内容『だが今回の召喚に限ってはそうではない。この空間そのものの異常性と、夜長アンジーの詠唱、そして巌窟王のホームからの混線』

レポ内容『それらが合わさり既に召喚されているサーヴァントを横取りする形で才囚学園へと呼び込んでいる』

レポ内容『これにより、才囚学園と巌窟王のホームとの間に一種の絆ができた。才囚学園から巌窟王のホームへの脱出は、研究する価値は大いにある』






最原「……やっぱりコレ書いたのって『彼女』だよなぁ……」

最原(後は延々とよくわからない試行錯誤に関してのあれこれが写真付きで乗っているだけだ。最後まで飛ばそう)パラリッ

レポ内容『こっちからあっちに脱出するの、無理! クソがッ! 死ねッ!』

最原「イラつきすぎだよッ!」ガビーンッ

レポ内容『ある程度のところまでは侵入することは成功した。が、なんらかの強制力が働いて、少し時間が経ったところで強制的に押し戻される』

レポ内容『ただ向こう側に繋がっていることだけは確認した。間違っても巌窟王に見つからないよう、魔法陣を掃除する』

レポ内容『途中、通りすがりの白銀に見つかったがどうでもいい。むしろちょうどよかったので掃除を押し付けてしまった』

レポ内容『魔法陣が消えれば、穴は自動的に消えるはずだ』

レポ内容『そういえば、押し付けたときに白銀に色々と訊かれた。もう一回別のところに魔法陣を書いたらどうなるか、と』

レポ内容『面倒だったが質問自体は興味深い。これまた白銀の協力のもと、魔法陣を消し去ってから自室で同じように魔法陣を描く』

レポ内容『才囚学園と巌窟王のホームの絆は簡単には消えないらしい。自室から、裏庭の地下より見えたのと同じ光景が向こう側に広がった』

レポ内容『余程のことが無い限り、この研究は凍結するが、これは覚えておいた方がいいかもしれない』

レポ内容『※追記。おそらく繋がった先は倉庫の一種だと思われる。人気がないので滅多に使われていないのだろう』

レポ内容『向こう側からなにか持ち帰ろうとしたが、大したものがなかったので持ち帰った先から返却した』

レポ内容『どうやら向こう側の住人(無生物含む)がこちら側にやってくる分には強制力は弱いようだ』

レポ内容『皆無ではない。思わぬ事故を引き起こす可能性があるので、滅多なことは考えない方がよいだろう』




最原「……」

517: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/28(月) 19:59:27.54 ID:/PSdARih0
最原(これでわかった。セミラミスさんがどこから侵入したのか)

最原(……大したものあったじゃないか! もう!)

最原「でも白銀さんはなんでこの研究を、引き継いだんだろう」

最原「逃げ道の確保……?」

最原(考えられなくもない。強制力を排除できれば向こう側に行けるって文脈だし)

最原(けど、その割には『中庭の扉が開いてた』からな。外に出て来たのは間違いない)

最原(逃げられるんならとっくに逃げてるよな……)

最原「……」

最原(巌窟王さんを帰す準備……まさかな)

最原「別の場所を探してみよう」




区切られた区画その二

セミラミス「むぐ?」モグモグモグモグ

赤松「……」

真宮寺「……」

セミラミス「……」モグモグモグモグモグモグ

セミラミス「……」ゴクン








セミラミス「誰だ貴様らはーーーッ!?」クワッ

赤松「ええーーーッ!?」ガビーンッ

真宮寺(ありえない場所とタイミングで再開しちゃったヨ)

521: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/29(火) 20:17:39.70 ID:Nk2peIMQ0
赤松「……!?」

真宮寺「赤松さん。事情はあまり呑み込めないけど、あの第一声からなんとなく察せるよネ」

真宮寺「あのセミラミスさんはさっきまで僕たちを守ってくれていたセミラミスさんじゃ……」

赤松「わー! セミラミスさんだ! さっきぶりー!」ピューッ

真宮寺「ないって言おうとした傍から近づかないで!?」ガビーンッ

セミラミス「気安く我に近づくな」ジャララッ

ザンッ

赤松「きゃー!」バタンッ

真宮寺「赤松さん……!」ダッ

真宮寺「赤松さん。大丈夫? 赤松さ……」ユサユサ

真宮寺「し、死んでる……」ガーンッ

赤松「生きてるよ! 服がちょっと破けただけだもん!」ガバリッ

セミラミス「ふん」

真宮寺(変なところで弁えてる……)

セミラミス(こやつらどこかで見た覚えが……あ。BBたちが見ていた映像の生徒たちか)

セミラミス「おい貴様ら。何故ここにいる?」

赤松「は? な、なんでって……それはこっちの台詞だよ。なんでセミラミスさんが現実空間に?」

セミラミス「黙れ。質問はこちらがする」

赤松「……」

セミラミス「……」

赤松「……」








セミラミス「黙るな」ジャララッ  ザンッ

赤松「きゃー!」バタンッ

真宮寺「赤松さんがまた死んだ……!」

赤松「生きてるよ!」

522: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/29(火) 20:30:17.09 ID:Nk2peIMQ0
赤松「さっき黙れって言ったくせに!」

セミラミス「うるさい。我の気に入らないことをしたのがすべての元凶だ。自業自得と知れ」

赤松「セミラミスさんだ! この自分の主張と都合だけで周りをぶん回す感じ、間違いなくセミラミスさんだよ!」

セミラミス「不敬者が。まあよい。今の我は機嫌がいい。この『漬け置きサングリア』に感謝するのだな。作ったの我だが」チビチビナメナメ

真宮寺(行動パターンが丸っきりあの世界でのセミラミスさんのままで感動すら覚えるネ……)



※サングリアを家庭で作る場合は酒税法をよく読みましょう



赤松「ええと……私たちがなんでここにいるって、当たり前だよね。ここ才囚学園だし……」

セミラミス「何……? そんなはずはない。ここはカルデアだぞ?」

赤松「かる……ああ、巌窟王さんのホームだっけ」

真宮寺「……」

赤松「……」







赤松&真宮寺「は?」

523: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/29(火) 20:44:38.08 ID:Nk2peIMQ0
セミラミス「……貴様らの都合など知らぬ。知らぬ上に興味もなく、故に観察する義理もない」

セミラミス「目当てのものは見つかったので、我はそろそろ帰る」

セミラミス「この冷蔵庫は貴様らのか? レンタル料として中身はすべて貰っていくぞ」ゴソゴソ

赤松(よく見たらここ食事のスペースみたいだ……冷蔵庫とかテーブルとか椅子とかある……)

赤松「レンタルって? 私たち別にセミラミスさんから何か借りた覚えは……」

赤松(あ。いや最原くんの聖杯とかあったかな。でもあれ借りたんじゃなくって貰ったんだしな)

セミラミス「とぼけるな。我からゲームを盗ったであろう。いわゆる借りパクというヤツだな」

セミラミス「戦慄のファースト・タイヤキング・オブ・バビロンはキチンと返却してもらうぞ」スッ

赤松「なにそのディスク」

セミラミス「これこそは我が作りし闇のゲーム……クリアすれば賞品として聖杯が貰えたりする」

セミラミス「ククク。欲しいか? 欲しいか? 当然やらんがなァ!」ドヤァ

赤松(タイトルがださい……)

セミラミス「まあこれを貴様らにやったところで、人間ごときにクリアできる道理もないがな」

セミラミス「それにしても我ながら惚れ惚れする。まさに現代の至宝よな。見よ、この迸るような魔力――」ピクッ

セミラミス「って、中身が空ではないかァ!」ガシャァァァンッ!

赤松「至宝を地面に投げ捨てたーーーッ!」ガビーンッ

セミラミス「貴様ら……我のゲームの中身をどこにやった……? あれには我の分身も入っていたのだぞ」ゴゴゴゴゴゴゴ

赤松「分身……? ゲームの中身……?」

赤松「あっ」

真宮寺(なるほど。ぼんやりわかってたことが、やっとハッキリわかってきたヨ)

524: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/29(火) 21:00:11.89 ID:Nk2peIMQ0
最原「赤松さん。真宮寺くん。騒がしいけどどうしたの?」ヒョコッ

赤松「あ。最原くん」

セミラミス「ム。また増えたな。一体なにが起こって――」

セミラミス「貴様ァ!」ビュンッ

最原「うひゃあ!?」ガビーンッ

セミラミス「この捻くれた魔力……まさか我の聖杯か!? 聖杯であろう! 聖杯を持っておるな貴様!」ユサユサガクガク

最原「え? セミラミスさん!? え!? ええっ!?」

セミラミス(人間ごときにあのゲームがクリアできる道理はないが、ゲームをクリアせずして聖杯を得るのは更に無理)

セミラミス「貴様……ふむ。ふむふむ……」

セミラミス「いいだろう。これは教訓として受け取っておく。我のゲームをクリアされたのならば、それはそれでよいのだ」

セミラミス「次回作……作る気はなかったが検討せねばなぁ」スタスタ

最原「な、なんか勝手に納得して去って行った……」

赤松「あ! ちょっと! セミラミスさん、待って!」

セミラミス「断る」

赤松「本当に人の話聞かないなこの女帝!」

最原「セミラミスさん! お願い! 『待って』!」



ガチンッ


セミラミス「ム……? 体が動かん」ググッ

最原「あっ」

真宮寺(うっかり聖杯使っちゃったヨ)

セミラミス「……」ムスーッ

最原「あの……本当にごめんセミラミスさん。今のは事故だけどさ……」

最原「話、ちょっと聞かせてくれないかな? 裏付けを取りたいんだ」

528: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/30(水) 20:18:52.89 ID:CeflHxcA0
証言開始

~セミラミスはどこからやってきたのか~

セミラミス「我が何故ここにいるのかが気になるのか? 妙なヤツらめ」

セミラミス「自室から普通に徒歩でやってきたに決まっているであろう」

セミラミス「どうやら子供系サーヴァントの内の誰かが、このロストルームの噂を中途半端に覚えておったらしくてな」

セミラミス「『失われたものを見る場所』を『遺失物の取扱所』だと勘違いし、我が落としたゲームをここに届けたらしいのだ」

セミラミス「それを探していたらいつも間にやら貴様らと遭遇した。それが真実だ」

最原「……ロストルーム……?」

セミラミス「カルデアの使われていない倉庫の通称だ。あまりにも使われていなかったので、ちょっとした怪談話まである」

赤松「そのロストルームでゲームを探しているだけで、なんで才囚学園にやってきちゃうの……?」

セミラミス「なんの話をしている? だからここはカルデア……待て」

セミラミス「まさかカルデアではないのか? 本当に?」キョロキョロ

最原「うん。どうもセミラミスさんはうっかり穴に入り込んじゃったみたいだね」

最原「才囚学園と、巌窟王さんのホームを繋ぐ穴に」

セミラミス「どうりで居心地が悪いと……ふむ」

セミラミス「我がいなくなったら穴は塞いだほうがよいぞ。危険だからな」

最原「うん。わかった」

セミラミス「あと貴様、聖杯以外にも何か妙な力を持っているな? それも早めに捨てた方がよいぞ」

最原「本当にあっちのセミラミスさんと似たようなことを言うんだね……」

セミラミス「質問は終わりか?」

最原「まだ何かあったらナーサリーさん経由で訊くよ」

セミラミス「答えるかどうかは我の機嫌次第だがなぁ。祈れ」

セミラミス「それでは、な」スタスタ

赤松「……」

赤松「ピアノの約束……果たせなかったな」

真宮寺「彼女はキミの知ってるセミラミスさんじゃなかった。ノーカンだヨ」

529: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/31(木) 20:56:42.19 ID:LimxBXYp0
赤松「……」

赤松「……ん? いや。待って。待って。ナチュラルすぎて流しちゃったけどさ」

赤松「セミラミスさん帰しちゃダメじゃない!? 協力してもらおうよ!?」ガビーンッ

最原「……」エー

真宮寺「……」ムリダヨネー

最原「……」ネー

赤松「そこっ! 目で会話しない! 長い付き合いだからわかるんだからね!」ビシィッ

赤松「大丈夫だよセミラミスさんなら! 割と付き合いいいから!」ダッ

最原「あ! いやダメだって! その人あっちのセミラミスさんと別人だし!」

赤松「セミラミスさーん! 助けてー!」



ジャラララッ ザンッ



赤松「きゃー!」

最原(それきりパーティションの向こう側は静かになった……)

真宮寺「……死んだかな」

最原「さ、流石に生きてるよ……こんな終盤で、こんなくだらないことで死んだりしないよ……」ダラダラダラ



後で勇気を出して見に行ったら服が大分ボロボロになった状態で目を回していた。死んではいなかった

530: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/05/31(木) 21:09:43.29 ID:LimxBXYp0
赤松「……なんか虹色のトゲトゲした石をくれた。びっくりして服を破いたお詫びだって」

聖晶石「」キラーンッ

最原「なにそれ」

真宮寺「お詫びにくれたプレゼントが綺麗な石ってワンパク少年みたいだネ」

赤松「三つくらいくれた」

最原(徹頭徹尾意味がわからない……)

最原「ともかくこれでハッキリしたよ。あの穴は間違いなく巌窟王さんのホームに繋がっていた」

最原「そしてその事実を隠そうとした人が生徒の中に二人いる。一人は白銀さんで、もう一人は……!」

真宮寺「ねえ。その穴ってヤツ、僕も見たいんだけど」

最原「あ、うん。あっちの方だよ。研究資料の方も貸すから、二人で行ってきて。後で意見を聞かせて欲しいな」

真宮寺「わかった。行こう赤松さん」

赤松「着替えたい……」スタスタ

最原「……調べてない区画はあと一つくらいか。なにかあるといいけど……!」

542: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/01(金) 23:13:02.46 ID:BRxQwlW10
区切られた区画 最後

最原「……作業部屋?」

最原(最後の区画は、白銀さんの『臭い』が色濃く残っていた。もちろん比喩だけど)

最原(床に散らばる何らかの計画書。手書きな上に殴り書きなので大半が判別不能だ。モノによっては本人ですらもうわからないかもしれない)

最原「……白銀さんはここで一体なにを……ん?」

最原「これは、なんだろ」

最原「学級日誌……?」

最原(手にとって、読んでみる。読み込んで……)

最原(……すぐ閉じた)

最原「これ見たことが巌窟王さんにバレたら焼かれちゃうかもな……」

最原(学級日誌の正体は、なんてことはないものだった。巌窟王さんがこの学園に来てからの日記のようなものだ)

最原(基本的にみんなのことをベタ褒めしている。真宮寺くんのことですら一定の部分は認めているらしかった)

最原(白銀さんのことも。まあ、あの時点までは裏切りに一切感付かなかったので当然か)

最原「でもなんでこんなものが……白銀さんは本当になにをしてたんだ?」





穴のある区画

赤松「……これが巌窟王さんのホームに繋がる穴……」

真宮寺「研究資料によれば向こう側には行けないみたいだけどネ」

赤松「惜しいなあ。向こう側に行けたら脱出できるのに」

赤松「……ん……? あれ。ここに放置されてるのって……」

真宮寺「さっきセミラミスさんが持っていった冷蔵庫の中身、かな。持っていけないからここに放置したんだろうネ」

赤松「あれ。でも私たちと会ったときはいくらか既に食べちゃってたよね。あれは大丈夫だったのかな」

真宮寺「ヨモツヘグイ……とまではいかないだろうけど、後ろ髪を引っ張られる程度の強制力はあったかもネ。捻じ伏せることは充分可能だろうけど」

真宮寺「今頃彼女は、すごい胃もたれと戦ってるヨ」

赤松「しまらない人だなぁ」

赤松「……ん。食糧じゃないものも混じってるけど……!」

赤松「モノクマカラーのパソコン!」

真宮寺「は?」

赤松「覚えてない? モノクマルールとか書かれてたアレだよ! 何か重要な情報が書かれてるかも!」

真宮寺「……?」

真宮寺(ここに置かれてるってことは、セミラミスさんはこれも向こう側に持っていこうとしたってことだよネ)

真宮寺(なんで? そんな興味を引かれるようなものには……)

赤松「……よし。ロックはかかってない! 見放題! やった! じゃあ早速!」カタカタカタ

赤松「――」

真宮寺「……あ」

赤松「え。何コレ……? なに……これ……」

赤松「……ふ……」






赤松「ふざけないでよッ!」

543: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/02(土) 13:10:00.49 ID:vCXWenT+0
最原「……なんとか解読できないかなぁ。ええと……」

最原「卒……ア……いやダメだ本当に字が汚い。普段の彼女ならもうちょっと読める字書けるはずだけど。あえて崩してるのかな」

最原「数字とかは比較的無事だ。なんだろコレ……書式や規格のデータ……」

最原「……本を作ってたのか? なんの?」

パラリッ

最原「……おっと。なにか落ちたな」

最原(拾ってみると、それは白銀さんの映った写真だった)

最原(場所は図書室。アングルは……どこか見たことがあるな)

最原「……ん? これ、最初の学級裁判での、入室をトリガーにした隠しカメラと同じアングルだ」

最原「怪談側じゃなくって奥側の扉から入る白銀さんが単独で映ってる」

最原「……本を持ってるな。タイトルは……『写真術』って単語だけが辛うじて読み込めるけど……」

最原「ん……? 写真術?」

最原(……後で王馬くんにこの写真のことを確認しないといけないかもしれない)




「ふざけないでよッ!」



最原「……赤松さんの声だ? なにかあったのかな」

544: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/02(土) 20:48:30.19 ID:vCXWenT+0
穴のある区画

赤松「はあ……はあ……はあ……」

赤松「こんな……こんなものを今更見せられたところで……!」

赤松「なんで!? 全部手遅れなのに! こんなことしたって無意味なのに! どうして……!」

真宮寺「これはとてもじゃないけど最原くんには見せられないネ」

真宮寺「もし最原くんがこれを見たら、彼のことだ。白銀さんのことを助けるとか言いかねない」

赤松「……」

赤松「巌窟王さんを本気で止めようと思ったら命がいくつあっても足りないよね。真宮寺くんの時点で本当にギリギリだったのにさ」

真宮寺「どうする?」

赤松「私はこの学園に来たときからずっと変わらないよ」

赤松「首謀者には死んでもらう。絶対にね」

真宮寺「そっか。それなら誤魔化すのは僕に任せておいて。赤松さんは上に戻るまでうつむいて口を一切開かないで」

真宮寺「このファイルを隠したところで大局に影響はないだろうから、問題はないヨ」

赤松「……」

最原「どうかしたの?」ヒョコッ

真宮寺「さあネ。赤松さんがモノクマカラーのパソコンを見つけたんだけどさ」

真宮寺「今は赤松さんからパソコンを奪い取って、彼女が何を見たのか調べてるところだヨ。ブラウザ閉じちゃったみたいでさ」

最原「……大丈夫?」

赤松「……」

最原「?」

545: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/03(日) 20:36:00.86 ID:LUEb+TCU0
真宮寺「……ン?」

最原「なにか見つかった?」

真宮寺「多分赤松さんが見てたのとは別のものだろうけど……これ」



モノクマルール『一つ、このパソコンへの干渉を禁止する校則を作ってはならない』

モノクマルール『二つ、モノクマにも校則は適用されるが、生徒に指摘されなければその限りではない』




最原「モノクマルール……? 確か前の学級裁判で話題に上がったものだよね」

真宮寺「今は全文が見れる」

最原「!」

真宮寺「……白銀さんは本当に油断していたんだろうネ。操作途中で離席したからかロックをかけていなかった」

真宮寺「パソコンのスリープを元に戻す度にパスコードが必要になる、みたいな設定もあったらしいけど、面倒臭がって解除してたみたいだヨ」

最原「全文は!?」




モノクマルール『三つ、モノクマはコロシアイによらず生徒を外に出す手続きを行うことができる。これを最後の学級裁判と呼ぶ』

モノクマルール『四つ、モノクマは生徒の求めに応じて最後の学級裁判を開催できる』

モノクマルール『五つ、モノクマの校則違反の証拠を糾弾する証拠があると生徒が判断した場合、モノクマは最後の学級裁判の開催を拒否できない』

モノクマルール『六つ、以上五つのルールをもってモノクマと生徒の公平さを保つ絶対不変のルールとする』




最原「コロシアイによらない脱出方法……!」

真宮寺「なるほどネ。モノクマにも校則が適応され、更にわざわざ『これは公平さを保つためのルールだ』と明記されている」

真宮寺「ということは、この最後の学級裁判も『僕たちの存在そのものの不確かさ』を除外して考えれば、おそらく公平なルールで行われると推測できる」

最原「校則を明確に破った僕たちに、まだこの最後の学級裁判を開催できる権利があるかは五分だけど……!」

最原「巌窟王さん抜きで、この閉鎖空間に引導を渡せるかもしれない!」








真宮寺「……そんな必要ある?」

最原「え?」

546: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/03(日) 20:47:17.76 ID:LUEb+TCU0
最原(……ない、な。特には)

最原「ないけど……」

真宮寺「なら全部巌窟王さんに任せていようヨ。どっちにしろ白銀さんとモノクマを排除して、全盛の力を取り戻した巌窟王さんに学園を破壊してもらえば」

真宮寺「……それで終了だヨ」

最原「……」

真宮寺「それとも、白銀さんの本音ってヤツをどうしても知りたい?」

真宮寺「それ、彼女が生きてる内じゃないとどうしてもダメ?」

最原「それは……」

真宮寺「……キミならどんな真実でも見つけられるヨ。ここを脱出した後でもネ」

最原「うーん……」

最原(確かに現状では、僕の求める真実の優先度は低い。なにか新しい証拠でも見つかれば別だけど)

最原(今のところそんなものはないわけだしな……)

赤松「……」

最原「……ねえ赤松さん。本当にどうしたの? 全然喋ってないけど」

赤松「……」プイッ

最原(か、顔を逸らされた……!)ガーンッ





百田の研究教室の隠し部屋


東条「治療、完了……! あとは夜長さんが起きれば……!」

東条「夜長さん! 起きて! 夜長さん!」ユサユサ

アンジー「ぐー」スヤァ

東条「起きないわ……全然。こうなったら」スッ

東条「起きるまで無限に往復ビンタするしかないわね」スパパパパパパパパパンッ

アンジー「ぎゃふふぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぐー」スヤァ

547: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/03(日) 21:07:37.52 ID:LUEb+TCU0
東条「……」スパパパパパパパパパパパンッ

アンジー「ぐぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃぐー」スヤァ

東条「あと一往復くらいで起きるかしら」スパパパパパパパパパパンッ

アンジー「ぐはっ」



ガッツ発動  HP0→HP3000



東条「ちょっと反応が変わったわね。あと少し」スパパパパパパパパパパンッ

アンジー「し、死ぬ……だ、誰か……」スヤァ

ガシッ

東条「!」

巌窟王「待たせたな」

東条「巌窟王さん……!」

巌窟王「すまなかった。アンジーの消耗が心配だったからな。出口のあたりで電子化したまま待機していたのはやり過ぎだったかもしれん」

東条「念には念を。当然でしょう?」フフッ

巌窟王「で……」

東条「?」

瀕死のアンジー「……」ピクピク

巌窟王「……」







巌窟王「やり過ぎだ貴様ァ!」ウガァ!

東条「!?」ガビーンッ

548: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/03(日) 21:26:19.11 ID:LUEb+TCU0
巌窟王「どうやら物凄い気合でなんとか持ちこたえたようだな」

東条「ビンタ程度ならダメージもそこまで響かないからと油断してたわ……」

巌窟王「まあいい! ともかくこれで全力を出せる!」

ズズゥン……

巌窟王「……外で何かが暴れているな……!」

巌窟王「アンジー! 起きろ! アンジー!」ユサユサ

アンジー「……大丈夫。もう起きてるよー」

巌窟王「だろうな。あそこまでやられて起きない方がどうかしている」

アンジー「うん。大丈夫。本調子……に限りなく近い」

東条「多少の無茶をしても膝は付かないわ。入間さんにしたのと同じ処置を行ったの」

東条「副作用が出るのは『忘れたころ』よ」

巌窟王「具体的にどうなる?」

東条「二分の一の確率で目玉が爆発して死ぬ……かもしれない」

アンジー「怖い。斬美が凄く怖い」ガタガタ

巌窟王「……テディベアをやろう。抱いていると不安が和らぐ」スッ

巌窟王コスのテディ「」クハハ

アンジー「いらなーい」

巌窟王「!?」ガーーンッ!

巌窟王「……さあ。最後だ。存分に暴れるとしよう」ボォウッ

アンジー「うん!」

549: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/04(月) 21:04:07.75 ID:r9d0hktj0
図書室探索チーム

星「入間。どうだ。何かわかったか?」

入間「急かすなドチビ……」カタカタ

入間「うん。間違いない。不明なプログラムが一件、中に入ってやがる」

入間「この場合の不明なプログラムはほとんどの場合はサーヴァントだ。モノクマならもっと他の名前で出力される」

夢野「本当にこの中にアルターエゴが?」

入間「十中八九セミラミスだろーな。問題はコイツをどうするか、だが」

星「呼びかけてみたら返事をしたりしねーか」

入間「するかもしれねぇが、ダメだな。去り際にモノクマの野郎が権限を凍結しやがった」

入間「セミラミスは現状眠ってるに等しい。返事をしたとしてもうわ言か寝言レベルの意味のない言葉だけだ」

夢野「起こせぬか?」

入間「無理だな。モノクマが強すぎる。『巌窟王を呼び出したとき並みの奇跡』とかがないと何もできねぇよ」

入間「なろー。何が取引だ。どうせBBもこうする予定だったんじゃねぇのか」

星「セミラミスに対して取引を引き継ぐ必要はモノクマにとってまったくねーからな。仕方ねー気もするが」

夢野「強いショックを与えたらなんか凄い偶然で起きたりしないかのう」スッ

入間「なんだその砲丸」

夢野「そこのゴミ箱に捨ててあったぞ」

星「なんでゴミ箱なんかに砲丸が……」

入間「……ん? その砲丸どこかで見覚えがあるような……?」

550: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/04(月) 21:20:32.81 ID:r9d0hktj0
星「……そうだ。巌窟王が燃やした砲丸だ」

入間「ん? んん……ああっ! 本当だ! あんときの凶器じゃねぇか!」

夢野「最初の学級裁判のときのか? 別モンじゃろ。血とかついておらんし」

星「だが位置的にどうも意図を感じるな……」

入間「……オイ。その他になにか見つけたりしてねーかドブス」

夢野「マジカルナックル」バキィッ

入間「ぎゃひい!?」グヘアッ

夢野「本を見つけたな」

入間「一発殴った意味は!?」ガビーンッ

星「ブス呼ばわりされりゃ誰でもキレるだろう……」

星「……で。何の本だ?」

夢野「料理本みたいじゃの。『モノクマでもわかる過程料理レシピ百選』」

星「まったく意図がわかんねぇ」

夢野「こればっかりは何も意味のない証拠じゃろうから元の場所に戻しておくぞ」

夢野「ええと……このナンバーだと……?」

夢野「……」

入間「あ? なんだよ。急に黙りやがって。貸せ」

入間「って、なんだよ。隠し部屋からならすぐ近くの本棚じゃねーか」

夢野「入間。一つ聞きたい。最初の学級裁判のときの隠し扉に向いたカメラのことなんじゃが」

夢野「あれって巌窟王が映ってたのは偶然なんじゃよな?」

入間「お? いやダサイ原に聞けよ。そこらへんはよ」

入間「……まあ仮説は立てられるけどな。確かにあのカメラとセンサーは明らかに隠し扉に反応するように設置されてたはずだ」

入間「巌窟王が本棚に近づいたときに『巌窟王が近づく写真』が撮れたのは偶然の可能性が高い」

星「……!」

星「入間。もしも本棚の隠しカメラに気付いていたら、センサーに引っかからないように立ち回れるか?」

入間「充分可能だろうな。あれは隠し扉に向いてたカメラだ。それ以外の部分は想定してねぇ」

入間「だから『隠し扉に向いたカメラ』に関してのみは、隠し扉が動かない限りはいくらでも避けられる」

入間「……なんで今更そんなこと訊くんだ? うざってぇ」

夢野「本当……本当イヤな想像なんじゃけど……! この本の背表紙のナンバーからイヤなことを思いついて……!」

入間「……?」

夢野「前言撤回。この本は大事な証拠じゃ。絶対に最原に届ける!」

551: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/05(火) 20:35:50.32 ID:69/xUSVu0
裁判場探索チーム

最原「他には何かない?」

真宮寺「……そうだネ。えーと……? なにかの動画ファイル、かな」

真宮寺「オーディション? 僕たちの名前が一つずつついてるけど……」


カチリッ


赤松?『自分で言うのもなんですが、私ってコロシアイに向いてる性格だと思います』

真宮寺&最原「!」

赤松?『基本的に人を信用してないんで』

真宮寺(これは……いよいよ最原くんの仮説が真実味を帯びてきたか……!)

真宮寺(まったく。さっきのと言い、このパソコンはイヤな情報のオンパレードだヨ)

最原「……これを見て赤松さんはふさぎ込んだのかな」

真宮寺「さあ?」

赤松「……」

赤松(違うけど黙っておこう)

真宮寺「オーディションの映像は全部で十三……」

真宮寺「……ん? 十三? 僕たちは十六人なのに?」

最原「……キーボくんと白銀さんと天海くんのヤツが、ない」

真宮寺「……」

真宮寺「今更ながら、僕たちの生い立ちが『万が一』にすべて設定だったとして」

最原「一向に認めないね」

真宮寺「じゃあキーボくんは? 僕たちの世界観に合わせている以上、僕たちが偽物なら彼も偽物ってことになるけど……」

真宮寺「機能的にはまず間違いなく彼はロボットだったよネ?」

最原「モノクマ側で用意したロボットだったのかも……記憶に関しても生きた人間の脳を弄れるんだから、彼に関してはもう議論するだけバカバカしいよ」

552: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/05(火) 21:11:39.59 ID:69/xUSVu0
真宮寺「じゃあもしかして彼もモノクマの仲間?」

最原「このゲームはゼロサムゲームだ。かなりピーキーな条件を満たせば二人助かるとは言ってもさ」

最原「ほとんどの場合は『たった一人の生き残り枠をかけて争うコロシアイ』だよ?」

最原「生徒の中にモノクマの内通者を入れるとしても一人が限界だと思う。だって『ほとんど一人しか生き残れないゲーム』でどうやって協力するの?」

真宮寺「下手を打てば仲間同士で争って、生徒の中に裏切り者がいることがアッサリとバレてしまう……か」

最原「むしろキーボくんは絶対的な味方だよ。そう……万が一裏切られたらお終いってくらいの」

最原「モノクマが演出重視で、二人の生徒を自前で好き勝手に用意できるのなら、一人は白銀さんのような純然たる裏切り者」

最原「もう一人は生徒に対するお助けキャラにすると思う」

真宮寺「いかにもな仮説だネ。でも確か明日になったら……」

最原「キーボくんが目覚めて僕たちを学園ごと破壊する……だっけ。タイムリミット、か」

最原「……僕たちの味方だったキーボくんが、僕たちを破壊する『かも』ってところがポイントなんだ」

最原「『全力で抵抗してみてよ』っていう白銀さんの意図が見え隠れしてる」

真宮寺「なるほどネ」

最原「……最終的にはキーボくんも助けないと、だけど。どうやったらいいのか皆目見当も付かない」

最原「どうにかこの辺り利用して、巌窟王さんから白銀さんを守れないかな」

真宮寺「ハ?」

赤松「!」

最原(……あ。いけない。これ声に出しちゃいけなかったみたい)ギクリ

最原(空気が一気に最悪レベルに……)

最原「……ええと……」

真宮寺「今のは聞かなかった。聞こえなかったことにするヨ」

最原「……」

最原(気まずい!)

554: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/06(水) 23:02:10.47 ID:dZ0QQpb00
最原(……ここで議論しても時間が無駄になるだけだな)

最原「外に出よう。キーボくんを閉じ込めているオブジェクトを改めて調べたい」

真宮寺「いいヨ。ここにはいつでも戻ってこられるみたいだし」

真宮寺「一番の証拠品のパソコンは持ち歩けばいい話だしネ」

赤松「……うん。じゃあ外に出よう」

最原(あ。復活した)

最原「ここにはもう戻ってくる必要はないよ。少なくとも証拠集めではね」

最原「全部調べた。大丈夫」

真宮寺「そう。それじゃあ上に……」



ヒョコッ



最原「ん?」

お布団「」ヤァ

最原「……?」ゴシゴシ

最原(お布団が二足歩行でこっちに向かってくる幻覚が見える)

赤松「どうしたの? 最原くん」

最原「ああ、いや。なんでもない……!?」

ヒョコヒョコッ バフッ

最原「うぎゃあ!? お布団が特攻してきた!?」ガビーンッ

赤松「最原くん!?」

最原「ぐ……む……が……あ。ふかふかで気持ちいい……なんだか眠く……」ウトウト

赤松「最原くん! ねえ! どうしたの最原くん! 最原くんってば!」

最原「……ハッ! あ、ご、ごめん! 赤松さん! うっかり眠るところだった……! しかし本当にふかふかで気持ちいいな……」フカフカ

赤松「最原くん! 最原くーーーんっ!」

最原「……あれ。おかしいな。なんで赤松さんの声がこんなに近くで聞こえるんだろう?」









赤松「意味不明な寝言はやめてよ! 起きてッ!」

最原「……」

最原「あ! 夢だコレ! 多分お布団の幻覚のあたりから僕、寝てる!」ガビーンッ

555: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/06(水) 23:11:33.65 ID:dZ0QQpb00
現実では

最原「お布団……気持ちいい……ふかふかぁ……」スリスリ

赤松「ちょ……やめっ……どこに顔をうずめてるの! 本当にハズいんだけど!」ジタバタ

真宮寺「急に赤松さんの方向に倒れたと思ったら……これ寝てるネ」

赤松「なんで!?」

真宮寺「そういえば天海くんの話では、最原くんって忘却補正を貰ったって話じゃなかったっけ」

真宮寺「さっきセミラミスさんもそれを仄めかすようなこと言ってたけど……」

赤松「……早めに捨てないと危険、だっけ」

真宮寺「いや。根拠は何もないんだけど。いくら何でもこのスピードで眠るのは異常だよネ」

ギュウッ

赤松「ひあっ……やめ……服ごしにかかる熱い吐息が、なんか凄く……!」ビクビク

最原「んん……」スヤァ

真宮寺「……」

真宮寺「この光景をパソコンのカメラで撮って茶柱さんに見せたらどんな反応を見せるかなァ。民俗学者として凄く興味があるんだけど」ワクワク

赤松「悪魔の発想! やめて! 私まで殺されかねないから!」

真宮寺「ともかくしばらくは、僕らはこうやって足止めだネ」

真宮寺「……百田くんか巌窟王さんがモノタロウをなんとかしてくれれば時間はまだある。祈っておこうヨ」

赤松「それまで私はどうしてたらいいの?」

真宮寺「茶柱さんが来ないように見張りくらいはしておくヨ」

赤松「根本的な解決になってない! でもお願いね! 死にたくないから!」

560: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/08(金) 22:09:16.62 ID:hFaXxAY80
地上

バンバンバンッ カチッ


百田「……タマが切れちまった! クソ! 少ねぇ!」

春川「違う! 百発百中だからってむやみやたらと撃つからだよ!」

春川(いや……そろそろ怖くなってきた。ありえないよコレ。どうなってるの)

春川(オカルト……? この際ありえなくもないかも。私たちはこの学園生活のことをあまりにも忘れすぎている)

春川(ていうか……)

ケツァルコアトル「……」ジーッ

メドゥーサ「……」ジーッ

ステンノ「……」ヒソヒソ

エウリュアレ「……」クスクス

春川(『何か』にこっち見られてる。物凄くガン見されてる……気がする!)ガタガタ

春川(百田の背後になにか憑いてる!)

ケツァルコアトル「縁結びとかの担当してる女神ってこの中にいまセン?」

メドゥーサ「ごめんなさい。魔除けとかはともかく縁結びは管轄外で……」

ステンノ「気合いでなんとかなるでしょ。ていうかしなさいよ駄妹」

メドゥーサ「私に言われましても」

エウリュアレ「この毎度毎度のごとく表紙で『俺の物語だ!!!!!!!』と全力で主張してくる少女漫画全巻貸してあげるからなんとかしなさい駄妹」

メドゥーサ「それ確か鈴鹿御前の私物だった気が……」

春川(声はまったく聞こえないけどロクなこと喋ってないことだけはわかる)

562: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/08(金) 22:36:45.85 ID:hFaXxAY80
エグイサルレッド「弾が切れたの……? よ、よし! それならもう取っ組み合いしても全然問題はない!」ガシャンッガシャンガシャンッ

百田「!」


ガッシィィィンッ!


エグイサルレッド「コクピットが壊れたのなら、一回横倒しにするだけで全員外に放り出されるよねぇ!」ギリギリギリ

百田「こ……んの野郎! 取っ組み合いで決着付けようってのかよ!」ギリギリギリ

春川「確かにこの状態のコクピットなら、色々な安全機構が壊れてるし横転するだけで致命的だよね」

百田「俺が勝つ……! 何故なら! 俺が勝つからだ!」ギリギリギリ

春川「……」

春川「百田。神様っていると思う?」

百田「俺はオカルトの類は大嫌いだ!」

女神勢「!?」ガビーンッ

春川「あ、うん。その点に関しては長い付き合いになっちゃったから知ってるけどさ。もう嫌いとか言わない方がいいよ、見限られるから」

春川「……いると思う?」

百田「少なくとも女神は見たことあんな!」

春川「ん……そう」

百田「ツインテで……不器用で……人と関わることに対して恐怖を覚えてて……!」

百田「なんか気付いたら俺の傍にいることが多くなってよぉ!」

春川「ん?」

女神勢「!」

百田「過去の辛い体験を未だに引きずるような優しいヤツで……たまに笑う顔が可愛くて……!」

百田「俺の膝の上で、俺の勝利を願ってくれてる!」

百田「少なくとも俺にとっては、お前が実在する女神そのものだ! ハルマキ!」

春川「え……? は? え?」アタフタ

百田「……ええと」

百田「……あれ。やべぇ。告白にしては遠回しすぎたかな……」

春川「がふあっ!?!?」ズギャァァァァンッ







ケツァルコアトル「……あれ。これ縁結び必要ないデスね」

エウリュアレ「もう読まなくていいわよ。返して」ヒョイッ

メドゥーサ「まだ途中だったのに……」

563: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/08(金) 22:55:17.34 ID:hFaXxAY80
百田「悪い。後でやり直すぜ。よく考えたら今それどころじゃねぇしなぁ」ギリギリギリ

春川「え。あ。えー……? いやあの、今の一回で充分だから。もう一回やられたら心臓が今度こそ止まって死ぬ」カァァ

百田「お。そうか。じゃあ返事は早めに頼むぜ! さて……この膠着状態をどう脱するか。下手打てば今度こそ死ぬ――!」

春川「……」スッ



チュッ



百田「――」

春川「……ほっぺにチューで頑張れるんでしょ?」

百田「……」

春川「……ん? 百田?」

エグイサルレッド「出力全開! これでぇ……終わ――」

百田「イヤッホオオオオオオオオオオウ!」ドカバキグドシャァァァァァンッ!

エグイサルレッド「ぎゃあああああああああっ!?」

春川「!?」ガビーンッ

メドゥーサ「今のは一体……? 早すぎて見逃しました」

ケツァルコアトル「一瞬で手を離して一瞬で相手にラリアットをかまし一瞬で○○に蹴り一瞬でスピンがかかったアッパーカットのコンボデース」

ステンノ「……加護を使いつぶす勢いね。いや加護ありでもできるかどうかの応酬だけど」クスクス

エウリュアレ「それじゃあ、用意しておいたこのくす玉。私が引っ張るわね」クイッ

春川「?」



パカッ


くす玉「おめでとう!」パッパカパー

春川(やかましい! 恥ずかしくて顔を上げられないし!)カァァ

百田「今の俺はかつてないほど頑張ってるぜーーーッ!」バキィィィンッ!

エグイサルレッド「し、死ぬーーーッ!」ガビーンッ!

564: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/09(土) 23:37:51.38 ID:1QBCWCpo0
春川「……行ける! このまま決めてしまえる!」

百田「ああ! やってやるぜ! しっかり見ときなハルマキ!」

百田「俺がみんなを守るんだよッ! 俺たちでみんなを助けるんだ!」

百田「せっかくみんな生き残ったんだぞ! 終一と『アイツ』の頑張りを無にはさせねぇ!」

春川「……アイツって誰?」

百田「決まってんだろ! いつも難しいこと言って煙に巻いて、人の悪性に怒ってる割には笑いを絶やさない」

百田「いけすかねぇ態度のアイツの名前は……!」

百田「……」







百田「……誰だっけ」




エグイサルレッドの中

モノタロウ「い、いやだ……死にたくない。死にたくないよ……! 助けて父ちゃん!」ガタガタ

「あーあ。すっかり怯えちゃって」

モノタロウ「!」

「……もういいや。どうせ全員処理する気だったしね。ここから先はボクがやる」

「ま、協力自体はまだしてもらうけどさ」

モノタロウ「その声、お父ちゃん? どこ?」キョロキョロ



バチィッ


モノタロウ「ぎゃああうっ!?」

「知ってる? 子供のすべては親のものなんだよ。だから子供は全力で親にぜんぶ捧げる義務があるんだ」

「ボクじゃあエグイサルは動かせないからね。意識を乗っ取らせてもらうよ」

モノタロウ「ぎ……ぎぎぎ……消えっ、消える! オイラの意識が……ひい、やめ……!」

「ところでオマエ、名前なんだっけ」

「……もういいや。思い出す気もないしね!」

566: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/10(日) 21:05:00.02 ID:0gINyphY0
エグイサルレッド「……」


ガッ


百田「ん?」

春川「……百田! 下がって! 何か様子がおかしい!」

バキィィィンッ

百田「ぐああ!?」グラッ

春川「ううっ!」

エグイサルレッド「……」フシュウウウ

春川「……気配が変わった。さっきまで戦意が折れかけてたのに」

百田「追い詰められすぎて第二の人格に覚醒したか?」

春川「漫画?」

百田「いいぜ! なら第二ラウンドと洒落こもう――」



ガイイイイインッ



百田「……っぶな! 動きがいくらなんでも急によくなりすぎだろ!」

春川(スタイルがガラッと変わった……おかしい。何が起こってる?)

春川(いや。真相がどうあれこれはちょっと……まずい!)

567: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/10(日) 21:58:53.77 ID:0gINyphY0
ガインッ ドガッ

百田「早っ……まずいな! ははっ! 防戦一方になっちまったぞ!」

春川「百田!」

百田「……安心しろハルマキ! 絶対に勝つからよ!」

百田「それはそれとしてなんかお前重くなってきたから隙を見て降りてくんねぇ?」

春川「なに今更弱気になってるの? そんな嘘吐かれてもどかないからね」

百田「重いって部分に関しては嘘じゃねぇんだけどよ」

春川「肘入れるよ」ドスウッ

百田「ごめんな!?」ガファ

百田「……まあどっちにしろ無理か。後ろ見せたら二人もろとも潰されるぜ」

百田「なにか状況が変わんなきゃ一気に……!」

春川「……私たちが終わる」

百田「……やれるだけやってやるさ。その結果ダメならダメで俺はそれでいい」

百田「それに、自分以外に信じられるものは他にもある」

春川「?」

百田「自分を信じるだけじゃ不足なら、仲間のことも信じてみようぜ」

春川「!」

百田「ま、それでダメならやっぱり俺の責任だけどなぁ」

春川「……」

春川「……誰だったっけ」

百田「?」

春川「マントと帽子。黒い炎。鋭い眼光。それだけは覚えてるんだけどさ」

春川「……アイツ誰だっけ」

百田「……忘れた! でもまあ、なんだろうな! こんなときに連想するってことは余程頼りになるヤツだったんだろ!」



ガインッ


百田「俺の方が頼りになるけどなぁ!」

576: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/11(月) 20:50:03.29 ID:nOtlfYUS0
校舎内

茶柱「……」

王馬「……わーお。ビンゴ。最初に俺らが到達するとはねぇ」ケラケラ

白銀「……久しぶり。元気してた? 茶柱さん」

茶柱「白銀さん……!」

王馬「よし! 茶柱ちゃん! 戦闘準備だ!」

茶柱「言われなくとも! 今この場で白銀さんを押さえられるのは転子しかいませんので!」

茶柱「王馬さんも多少は支援してくださいよ! モノクマがどこにいるかわかったもんじゃありませんので!」

白銀「酷いなぁ。仲間に対してそこまで警戒することないのに」

茶柱「転子自身もちょっとはそう思いますけど、最原さんの言を信じないわけにもいきませんので!」

茶柱「一発ぶん殴って楽に気絶させてもらいますよ!」

白銀(……私に警戒して王馬くんから目を離したな)

白銀「ふふ。茶柱さん。ちょっと話したいことがあるんだけどさ」

白銀「王馬くんがさっきからチラつかせてるその銃。一体どこから持ってきたと思う?」

茶柱「は?」

白銀「実はさ。それ出所、私なんだよね」

茶柱「……」

白銀「……いきなり言われても意味がわからないだろうから言ってあげるよ」







白銀「裏切ってるんだよ! 王馬くんは!」ギンッ

茶柱「ッ!」

577: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/11(月) 20:55:03.82 ID:nOtlfYUS0
茶柱「それさっき聞きました」バキィッ

白銀「がふああああああああっ!?」

王馬「いや裏切るわけないじゃん。常識的に考えて」

白銀「ええーーーっ!? あれれーーーっ!?」ガビーンッ

茶柱「間合いに入りました。案外打たれ強いですね。でもまあ……気絶しないなら気絶するまでお手玉にしてあげます」ブンッ

白銀「きゃあーーーっ!? ちょ、王馬くん!? 助けっ」




グショオアッ




王馬「……」

王馬「まあ約束は守るよ。頑張って白銀ちゃん」

白銀「うわーん! 助けてー!」ダッ

茶柱「あ! まだ気絶してなかった! 待てーーーっ!」ダッ

584: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/12(火) 20:42:37.57 ID:I3h34Krq0
王馬「さぁてと。それじゃあ白銀ちゃんにはしばらく茶柱ちゃんの追いかけっこしてもらうとして……俺は」

アンジー「あ! 小吉ー!」

王馬「ん? おお、アンジーちゃん! おひさー!」

巌窟王「王馬!」

王馬「誰?」

巌窟王「!?」ガビーンッ

王馬「……あー、いや。待って。言わないでいい。見たことはあるんだ。見たことは……」ウーン

巌窟王「そうだ。思い出せ。貴様はムカつく男だったがやればできるはずだ」ドキドキ

王馬「あ!」

巌窟王「クハハ! そうだ! 我が名は――」

王馬「アンジーちゃんの研究教室にあった謎の蝋人形!」

巌窟王「」

アンジー「……の、元ネタの方だよー。本当に覚えてない?」

王馬「覚えてないよ!」

巌窟王「……」ズーン

巌窟王「まあいい。ところで王馬。今は一人か? この状況で」

王馬「いや。さっきまで茶柱ちゃんが一緒だったんだけどさ」

王馬「……」

王馬「確か天海ちゃんの生存者特典では……」

巌窟王「?」

585: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/12(火) 20:52:35.26 ID:I3h34Krq0
王馬「大変なんだアンジーちゃん! 茶柱ちゃんが白銀ちゃんを追っかけてどこか行っちゃったんだ!」

アンジー「え」

巌窟王「!」

王馬「俺……一生懸命追おうとしたんだけど、途中で見失っちゃって……もうどうしていいかわからなくなっちゃって……!」グスグス

アンジー(嘘くさー)ゲンナリ

巌窟王「落ち着け王馬。貴様次第だ。白銀の行きそうな場所に心当たりは?」

アンジー(今までが今までなのにこっちは信じてるー。わーい)

王馬「考えられるとしたら地下だよ! 間違いない!」

王馬「天海ちゃんの生存者特典には、地下に俺の研究教室があったんだ!」

王馬「俺の研究教室ってまだ解放されてないんだよ! 身を隠すなら最適な場所だ! それに……!」

アンジー「それに?」

王馬「……茶柱ちゃんをそこに誘い込んで、出入り口を隠せば、後は白銀ちゃんが茶柱ちゃんにやりたい放題だよね」

巌窟王「!」

巌窟王「そうか。今やヤツは、最原にとっての想い人。演出重視を謳うならヤツが茶柱に何かをしない、という方が不自然か」

王馬「誰だかわかんないけどわかってるじゃん! 誰だかわかんないけど!」ヘラヘラ

巌窟王「……地下、だな。よし。アンジー! 後からついてこい!」ビュンッ

アンジー「気を付けてねー!」

アンジー「……よし。行っちゃったね」

王馬「あれ? アンジーちゃんは追わないの?」

アンジー「今更、小吉の言葉を信じるほどお人よしじゃないしー」

王馬「逆にここまで来て俺の話を信じる『巌窟王ちゃん』の立つ瀬がないな……」

アンジー「しかもちゃっかり思い出してるし」

王馬「……一応言っておくけど、彼が仲間ってことだけしか思い出せてないよ。誓って本当」

アンジー(超嘘くさー)

586: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/12(火) 21:23:47.98 ID:I3h34Krq0
アンジー「……あれじゃない? あそこで走ってるのって転子とつむぎじゃない?」ジーッ

茶柱「待てー!」ダダッ

白銀「きゃーっ!」ダダッ


グシャバキッ


アンジー「……何のつもりー?」

王馬「ちょっとだけ覚えてることがあったんだ。記憶の整合性がないからずっと夢か何かだと思ってたけどさ」

王馬「脳裏にこびりついて離れない光景があったんだよね」

アンジー「?」

王馬「最原ちゃんが必死に誰かを許すために頑張ってる姿。多分、裁判だよね。あれ」

アンジー「……まさか」

王馬「ま、くだらないけどさ。誰かを許すためにはケジメが必要なんでしょ?」

王馬「おしおきほど苛烈じゃないけど、ああやって茶柱ちゃんに追われてる白銀ちゃん、今は滅茶苦茶怖がってるはずだよ」

アンジー「凄い音するしねー」

王馬「つまるところコレ、最原ちゃんのマネだよ。俺は白銀ちゃんを許してあげたいのさ」

アンジー「全部思い出してるわけじゃないって言った傍から……」

王馬「当然、白銀ちゃんの悪事は全部最原ちゃんや天海ちゃんからの伝聞」

王馬「だけどまあ俺にとってはそれで充分だよ。怒りの理由が薄っぺらいのも俺らしくない?」

アンジー「……」

アンジー「アンジーたちはこれで納得できないよ。特に……」

王馬「巌窟王ちゃんは、でしょ? まあ難易度ナイトメアのゲームに挑んでみるのも悪かないさ」


ゴシャドグチャッ


王馬「あはははははっ! 見て! 物凄く高くまで飛んで落ちちゃったよ! 人間って本当にお手玉になるんだね!」ゲラゲラ

アンジー「理由はどうあれ小吉がナイトメア級に悪趣味なのだけはわかる」

596: 玉藻の前のときに何故この運が来なかった……? ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 22:09:25.36 ID:uQeXPUT80
数秒後

白銀「ごふっ……ぜぇ……ぜぇ……」ボロッ

茶柱「……」

茶柱「ええと……あの……やり過ぎました」テヘッ

アンジー「どんまい!」グッ

王馬「どんまいじゃないよ。やり過ぎだよ……打撲だけでショック寸前になってるじゃないか……」ドンビキ

茶柱「あれ? アンジーさんじゃないですか。あなたも外に出てこれたんですね!」

アンジー「うん。終一のお陰」

茶柱「そうですか。うん……ふふっ」

アンジー「……」イラッ

王馬「アンジーちゃん。ステイ」

白銀「お、王馬くん……! なんでこのタイミングで……」

王馬「俺が裏切るのはもうちょっと後だろうと思った?」

白銀「!」

王馬「白銀ちゃんの思惑通り、少しくらいは考えたんだよ。一旦は迎合するフリをして機を見て裏切り返す、的な?」

茶柱「……あ。あれってマジバナだったんですね……」

王馬「当然、次の首謀者の地位に魅力を感じなかったわけでもない。キミからの提案だから癪に障るという点を差し引いてあまりある取引だ」

王馬「でも俺は考えたんだよ。つまり――おっと。ここから先は白銀ちゃんには聞かせられないな。まだ」

白銀「……いたい。すごく痛い。でも……まだ」ググッ

茶柱「嘘でしょ!? なんでまだ立ち上がれるんですか!?」

白銀「……巌窟王さんはどこ……? 私はまだ……!」ズリッ……ズリッ……

王馬「……」

王馬「うーん……どうしようかなぁ。やるなら今なんだろうけどなぁ……」

王馬「ここまでボロボロになってもまだやる気なら放っておいちゃおうかなぁ」

598: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 22:17:26.17 ID:uQeXPUT80
茶柱「王馬さん。あなた何をする気なので?」

王馬「白銀ちゃんとの約束を果たす。ピンチになったら人質を取るって取引だったんだよね」

王馬「後のことは聞かされてない。聞かされてなかったから俺が勝手にやるつもりだった」

茶柱「ん? 白銀さんの計画なんですから王馬さんが勝手にやったらダメなんじゃ……」

王馬「なにせ聞かされてなかったからね! そういうのも聞いてないね! 聞いてない以上、やっちゃダメだとか知らないね!」

茶柱「へ、屁理屈……」

王馬「まあ簡単な話だよ。俺は仲間の内の誰かを人質にとるつもりだった」

王馬「この場合の誰かなんて、一人しかいなくない?」

アンジー「……あ。最悪だよー。小吉がなにを考えてるのかわかっちゃったー」

茶柱「え?」

アンジー「あれ」

茶柱「あれ?」

白銀「……」ズルッ……ズルッ……

茶柱「……」

茶柱「あ!? はあ!? 『白銀さんを』ってことですか!?」ガビーンッ

王馬「仲間なのは変わらないし」

茶柱「屁理屈ーーーッ!」ガーンッ

アンジー「つむぎを人質に取ったあとはモノクマに対して交渉し放題、か……そうしちゃえばー?」

王馬「ちょっと気が変わっちゃった。このまま白銀ちゃんのことを見てるのもいいんじゃない?」

茶柱「その心は?」

王馬「白銀ちゃんが本当は何を望んでたのか。興味が出てきちゃった」ニヤァ

599: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 22:25:58.27 ID:uQeXPUT80
校舎内 玄関

ズドドドドドドドドンッ




巌窟王「うおおおおおおおお! 待っていろ! 白銀に復讐を果たしてみせる!」

巌窟王「茶柱! 貴様はそれを間近に見ることになるだろう! この世の地獄を肌で感じるがいい!」



ガシャコーーーンッ



巌窟王「……」

巌窟王「校舎の外が騒がしいな……白銀を灰にしたら外に出てみるか」

巌窟王「クハハハハハハハハ!」ズドドドドドドドド





校舎の外

百田「押し返す……!」

エグイサルレッド「……」

春川(最原……なにしてるの最原。早く! 状況が変わらないと、私たちは……!)

600: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 22:39:23.77 ID:uQeXPUT80
図書室の隠し部屋周辺

ガララッ

天海「……あ! 夢野さん!」

夢野「おお! 天海か! せっかく来てくれたところ悪いが、ここの探索はもう終わったんじゃ」

星「ひとまず俺たちは白銀とモノクマを引き続き捜索する。単独行動しているのなら同行しろ。危険だからな」

天海「……ということは白銀さんもモノクマも見つけてないんすね。まだ」

入間「露骨にガッカリすんなっての。アイツらを見つけられないなんて今更すぎんだろ」

入間「あの瞬間まで正体をひた隠しにできるような連中だ。秘匿、隠匿なんざマスかくのより余裕だろ」

天海「比較対象がよくわかんないっす……」

天海「……」

天海「赤松さんがどこに行ってるか知らないっすか?」

入間「確かダサイ原と怪人ナメクジマスクと一緒に行動してたはずだろ?」

星「赤松がどうかしたのか?」

天海「窓から外を見てみたら、百田くんが大ピンチになってたんすよ。そろそろ状況を変えないと百田くんが負けるっす」

天海「百田くんが負けたら誰もエグイサルを止められない」

入間「一気に皆殺しか……ゾッとしねー……!」

入間「……ん? いや質問の答えになってねーぞ。それと○○松が何の関係が……」

天海「彼女なら手がかりを掴める。そういう話になってたはずなんすよね」

入間「?」

天海「この学園に帰ってきてから何か気付かないっすか? 変だなーって」

星「……」

星「ああ、そうか。音だな」

入間「音?」

601: 前スレ674参照 ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 22:52:31.67 ID:uQeXPUT80
天海「この学園は、以前の学園生活を覚えている人にしかわからない『環境音の変化』が起こってるんす」




BB『……変な磁場がありますね。前はこんなものなかった気がするのですが……』

夢野『変な磁場?』

ジャガーマン『んー。こんなこと言いたくはないんだけどさー……どこかから見られてない?』

BB『え? ああ、そういえば、このねっとりする感覚はまず間違いなく盗撮ですね。流石に野性の勘は鋭い』

夢野『盗撮ゥ?』

天海『……あ。そういわれるとなんだか変な感じっすね』

夢野『んー……? 気のせいじゃ、と言い切れない何かがあるのう』

百田『そうか?』

春川『……ピンとこないけど。気のせいじゃない?』

夢野『……んあー?』

天海『うーん……まあどうにでもできないから、ひとまず放置するしかないっすよね』





天海「BBさんの言を信じるのなら、おそらくこの環境音の正体は……」

星「監視カメラ……ってところか?」

入間「ありえなくもねぇな。このマザーモノクマには監視の権限も用意されてたみてぇだし」

入間「今使えないのは権限が凍結されているからだが、凍結したのなら白銀はどこからどうやって俺たちを見てるんだ?」

入間「……そこに謎の正体があるんだろーな! 『マザーモノクマによらない代替監視能力』。それが環境音の正体……かも!」

天海「かもなんすよねぇ……赤松さんがいない限り」

602: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/13(水) 23:00:16.21 ID:uQeXPUT80
天海「……最原くんたちはどうしてるのやら。もう調べたのか、さもなくば後回しにしてるのか……」

入間「でも早く白銀かモノクマを見つけないとやべーんだろ?」

天海「状況を変える一手が今すぐ必要なのは間違いないっすね」

星「……入間。なんとかできねーか?」

入間「え? 俺様?」

夢野「入間! なんとかするんじゃ! 超高校級の発明家じゃから監視カメラ相手でもなんとかなるじゃろ!」

入間「無茶言うんじゃねーよ! 俺様のは開発する才能であって、メカニック的なのは副次的なものでしかねぇんだからよ!」

夢野「天海の○○を賭けよう」

天海「!?」ガビーンッ

入間「グッド。今すぐに倉庫に向かって突貫工事で金属探知機作ってやらァ!」

天海「!?!?」ガビビーンッ

星「……」

星「人権をかなぐり捨てろ。俺たちの命のために」

天海「了解っす! 今から俺はみんなを助けるために、入間さんの性奴隷になるっす!」

天海「って、バカっすか!?」ガビーンッ

607: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/15(金) 18:29:47.72 ID:SUej86Sp0
倉庫

入間「確かにチラッと見た感じ百田のヤロー、大分追い詰められてたな」

星「急げ! どのくらいでできる?」

入間「……あー……」

入間「十分」

星「チッ! 流石に何の設備も整ってない倉庫でぶっつけ本番じゃそんなもんか……」

入間「……」シュン

夢野「んあ? なにをガッカリした顔をしておる?」

入間「なんでもねぇ。すぐ作る」タッ

天海「……凄い不満気だったっすけど、一体なんだったんすかね」

星「……そうか。入間。アイツこの状況でなんてヤツだ」

天海「ん?」

夢野「あ。いや……まさか。いやいやこの土壇場でそれは……ないじゃろ?」

天海「え? なんすか?」

夢野「あれじゃ。あれ。洋画とかでよくあるヤツ。あのセリフ回し期待してたんじゃろ」

天海「洋画とかで……?」







天海「あ」

608: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/15(金) 18:42:42.82 ID:SUej86Sp0
三分後 せい

入間「……できたぜ」ムスーッ

天海「わざと多めに時間深刻したんすね!? やっぱ!」

入間「気付くのおっせーよクソ○○ども!」

夢野(五分でやれって言ってほしかったんじゃな……)

星「ともかく早いのはいいことだ。さっさと監視カメラを見つけるぜ」

入間「おう! 俺様は疲れたから休んでいいか?」

天海「ダメっす」

夢野「しかし監視カメラと言っても闇雲に探して見つかるもんかのう。隠してあるじゃろうし」

天海「それに関しては既に考えてあるっす。監視カメラがある可能性が高い場所で、尚且つある程度狭い場所……」

天海「そこを探れば比較的簡単に監視カメラが見つけられるはずっすよ」

星「具体的には?」

天海「外でエグイサル同士が戦っているという事実を抜きにして考えるなら、寄宿舎の個室が一番それっぽいっすけど……」

入間「む、無茶すぎる! あそこを素通りできると思ってんのか!?」

天海「俺には不可能っす。入間さんにも星くんにも」

入間「ほれ見ろ! この場にいる誰にも不可能だろう……が……」

入間「……」

入間「ん?」

夢野「んあ?」

星「なに?」

天海「夢野さんなら可能っす」

夢野「んあっ!?」ガビーンッ

609: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/16(土) 00:27:44.08 ID:EKRj4MzD0
校舎 玄関

ガシャコーンッ ズドドドドドッ


天海「作戦はこうっす。まず夢野さんがジャガーマンさんの加護を使って姿を消す」

天海「その後、金属探知機を持った夢野さんがエグイサルの横をすり抜け寄宿舎へ直行」

天海「場所が場所っすからね。寄宿舎に入るにはエグイサルの横をどうしても通り抜ける必要があるっす」

天海「その後、夢野さんは寄宿舎の中に入り、金属探知機を使って監視カメラを発見」

天海「この場に持ち帰れる程度に小型なら持ち帰り、そうでないのならば……」

入間「このハンディカメラで録画して戻ってこい。分析は俺様がやる」

夢野「……」ガタガタ

星「……やめるか?」

夢野「やる! やるが! ……というか選択肢なんぞ最初からないんじゃが!?」ガタガタ

夢野「なあ! この玄関を見てみろ! とんでもないことになっておるじゃろうが!」



玄関「」グチャァァァァ



天海「……瓦礫だらけっすね」

夢野「多分コレ、あれじゃろ!? エグイサルの放つ砲弾の流れ弾とかがこっちに来たとかじゃろ!?」



※巌窟王が地下に行くために床を叩き壊して掘り返したせいです



夢野「下手したらウチもこの玄関みたいにグチャァってなるぞ! グチャァって! 美少女のミンチの出来上がりじゃぞ! グラム何千円!?」

入間「値段設定がキャビア以上じゃねーか。どんだけ自分の可愛さに自信もってんだ厚かましいぞ」

夢野「お主にだけは言われたくないわァ!」ウガァ

ジャガーマン『夢野ちゃん!』

夢野「おお! ジャガーマン! いつもならウザいだけじゃが、今はお主のトンチキな会話がひたすら恋しい――」

ジャガーマン『……人はね。いつか死ぬの。でもそれは今じゃない』

ジャガーマン『安心して。あなたのことは、私が絶対に守るから』

夢野「急に真面目になるなーーーッ! 逆に重くて死亡率が高まるわーーーッ!」ガビーンッ

612: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/16(土) 21:28:50.79 ID:EKRj4MzD0
校舎の外

夢野「……ちぃっ。やればいいんじゃろ、やれば」

夢野「ジャガーマン。キチンと加護は効いておるんじゃろうな?」

ジャガーマン『だいじょうーっぶ! 何故なら今は夜だから!』

夢野「事故って死んだら天海のことを末代まで呪ってやるわい……!」

ジャガーマン『まあそうそう流れ弾とかまき上がった瓦礫とかが夢野ちゃんに直撃することはないと思うけど……』



ガシャコーンッ  カンッ



ビュンッ


夢野「ぎゃー! 耳をかすった! 凄い勢いで跳んできた石がウチの耳をかすったー!」

ジャガーマン『よかったね! そうそうないことが今起こったってことは、もう滅多なことが無い限り起こらないよ!』

夢野「そのポジティブさが羨ましすぎる!」

夢野「ええい! 走り抜けるぞ! さっさと! さっさとな!」ダッ

ジャガーマン『頑張れー! 負けるなー! ジャガーはキミの味方だぞー!』

ジャガーマン『一応、校舎に残った天海くんたちも隠しカメラを探すとは言ってたけど、校舎は広すぎるからキミだけが頼りだ!』

夢野「ウチだけが……頼り……フッ。そう言われると悪い気はしないのう!」







校舎内

入間「……あっさり見つけちまった」ガタガタ

天海「うわあああああああああああ!?」ガビーンッ

星「……夢野が無事帰ってきたらこのことは秘密にしておこうぜ。墓まで持ってけ」

入間「……」ウンウンウンウンウンウン

613: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/16(土) 21:48:55.48 ID:EKRj4MzD0
入間「分析を開始するぜ……うん。間違いないな。音が出てる。環境音の変化はコレのせいだ、と言えるだろうな」

入間「瓦礫の中に埋まってたってことは……壁や床の中に隠されてたのか」

入間「ワイヤレスでどこかに情報を発信してる。お? 今も稼働中だな。よしよし、じゃあ逆探知すれば受信機の方向が――」



監視カメラ『自爆命令が下されました。自爆します』カチリッ




入間「え?」

星「!」ダッ



ゲシィッ



入間「きゃあ!?」

星「伏せろ!」バッ

天海「いや流石にあんな小型のカメラにそんな大した爆発能力があるとは思えな――」


バガァァァァァァァァァンッ


天海「ぐあああああああああああああああ!?」ボーンッ

星「天海ィーーー!」

入間「天海が死んだーーー!?」ガビーンッ

天海「まだ生きてるっすよ! まだ! 大分派手に吹っ飛んだっすけど!」

614: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/16(土) 22:05:01.93 ID:EKRj4MzD0
天海「自爆命令……!? こんなに早く監視カメラを見つけたことがバレたっていうんすか?」

星「振動センサーで自爆する仕掛けになっているのなら、瓦礫の中に埋まってたのはおかしいからな」

入間「……どこかで誰かが自爆命令を出した。そう考えるしかねぇってことか」

入間「この状況になってもまだ監視カメラを見る余裕があるっつーのか? 言っちゃなんだが俺様たち相当白銀を追い詰めてるよな?」



ガシャコーンッ!



天海「……ん?」

天海(……あれ。百田くんがちょっとだけ押し返した? さっきまで防戦一方だったのに)

天海(今はもう、戦況は元に戻ってるみたいだけど……)

天海「……」

天海「もしかして」

入間「なんか思いついたのか?」

天海「マザーモノクマに監視権限がかつてあったというのなら、その次点の監視権限を持ってるのは何なんすかね」

天海「……多分、モノクマかモノクマーズのどちらかっすよ」

星「!」

入間「根拠は?」

天海「さっき入間さんが『逆探知しよう』と言った途端にカメラが自爆した」

天海「そしてそれと同時刻に、エグイサルの動きが鈍くなった」

天海「こっちに意識を向けている隙が、百田くんを善戦させたってことっす」

天海「多分、この監視カメラを見ていたヤツは『絶対に逆探知されるわけにはいかなかった』」

天海「何故なら、そいつは……!」

星「……事情があってエグイサルの中には入れないヤツだから」

星「なおかつ、エグイサルを遠隔で操作し、百田を現在進行形で追い詰めているヤツだから、か」

入間「!」

615: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/16(土) 22:16:51.95 ID:EKRj4MzD0
入間「エグイサルの中に入っているモノクマーズが監視権限の持ち主なら、わざわざ戦況を悪化させてまで自爆させる必要はねぇ」

入間「ハナっから手出しできねぇんだからよ。逆探知されたところで困らない」

天海「どんな事情があるかはわからない。でも『状況』だけは推測できる。逆探知されたらマズイ状況だからこそ自爆命令を下した……」

天海「なら!」

星「逆探知先がエグイサル攻略の答えに直結している、か。いいぜ、希望が見えて来た」

入間「まあ自爆されちまったからもう逆探知は不可能なんだけどよ」

天海「なんとかならないっすか?」

入間「……自爆される前に電源スイッチを切ってくれりゃあ、後は軽く改造して爆発しないようにした上で逆探知できる」

天海「え。そんな簡単なことでいいんすか?」

入間「簡単だぁ? バカ言え。気付いて近づいた時点で自爆命令を下されたらそこでジ・エンドだぞ」

入間「こんな状況になっても『全部のカメラ』に自爆命令を下さないから、ヤツにとってもカメラは最大限壊したくない代物なんだろうなってのは救いだけど」

入間「透明人間にでもなって、相手に気付かれないようにコッソリと電源スイッチを切るなんて神業ができない限りは無理だっつの!」

星「それはひょっとしてギャグで言ってるのか?」

天海「……」

入間「……」

入間「あっ」

617: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/17(日) 21:37:58.59 ID:ou+YMcaj0
寄宿舎の中 夢野の私室

夢野「見つけたぞ! よし! 思ったより小さいのう!」

ジャガーマン『ふむ。ワイヤレス。移動させる前に電源切った方がいいと思うにゃん』

夢野「電源? ええと……このスイッチかのう。本当に切っていいのか? カメラに異常が起こったらバレるじゃろ?」

ジャガーマン『仮にバレたとしても電源入れたまま移動させて動向を筒抜けにさせる方があからさまにマズイと思う。ジャガーマンは』

夢野「まあそれもそうじゃのう。電源切っておいた方がマシか」カチリッ

夢野「よし。これで後は入間のところに運ぶだけじゃのう」

ジャガーマン『……ん。火薬の気配……まあどうでもいいかー』

夢野「今なんか言ったか?」

ジャガーマン『え? 私、今なんか言った?』

夢野「まあよいわ。とにかく出るぞ!」

ジャガーマン(まあ大丈夫か。振動センサーで爆発する類のヤツじゃないみたいだし)

ジャガーマン(遠隔操作かなー……でも私の加護の中なら現実的な電波や光線の類はほぼ素通りするし)

ジャガーマン(まあなんとかなる! 多分!)

ジャガーマン『巌窟王さんはどこ行ったのかにゃー』

夢野「アイツ本当に遅いのう。いやあるいは変なところで道草を食っておるのか……」





超高校級の総統の研究教室

巌窟王「……」キョロキョロ

巌窟王「いないな……まさか……!」

巌窟王「隠れてこの俺をやり過ごす気だな!?」ボォウッ!



ドカァァァァンッ



巌窟王「クハハハハハハ! ここは源頼光公に倣おう! すなわち! かくれんぼの必勝法は隠れるところの徹底的な破壊だ!」ボオオオオッ!




王馬に騙されたという発想に至ったのはもうちょっと後だった

618: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/17(日) 22:00:09.98 ID:ou+YMcaj0
校舎内

ボンッ

夢野「よし! 加護解除じゃ!」

入間「うひゃあ!? 夢野!? 帰って来たのか!?」

夢野「入間! お目当ての監視カメラを取ってきたぞ! これでなんとかせい!」

天海「上々! 入間さん!」

入間「お、おう! 電源は?」

夢野「切ったが……なにかまずかったか?」

入間「いや! それがいい! さっさとそれよこせ! 今すぐ自爆機能を切って――!」


ジジーッ カチャカチャカチャ……


夢野「……んあ? あれ。電源切ったはずなのに、また動き出したぞ?」

天海「!」

星「……遠隔で電源を入れなおしたのか!」

ジャガーマン『あちゃー。やっぱこうなったかー。まあこのタイプの監視カメラなら当然付いてるよにゃー』

天海「ま、まずいっすよ! また爆発されたら……!」

入間「……」

入間「いや。大丈夫だな。やっぱ」カチャカチャ ペイッ

星「入間。お前さん、今なにをした?」

入間「信管を抜いた」



監視カメラ『自爆命令が下されました。自爆します』カチリッ



入間「これでもう爆発しねぇ」



ブシュンッ



入間「ヒャハッ! 世紀末級バカどもが。再起動の分のタイムラグがありゃ信管抜く程度余裕でできるっつの!」

天海「それじゃあ、これで……!」

入間「ああ。待たせたな! 行くぜ、逆探知!」

620: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/18(月) 20:48:59.22 ID:aTuQJ6bI0
裁判場

最原「……ハッ!」パチリッ

赤松「あ。目が覚めた」

最原「どのくらい寝てた!?」

真宮寺「大体三十分くらいだヨ」

最原「ね、寝すぎた! 三十分も無駄にするなんて!」

赤松「……あの。起きたのなら離れてほしいんだけど……」

最原「ん? 離れる? 何から?」

最原「あれ。赤松さん。なんでこんなに近いところに……」ギュッ

最原「……」

赤松「……」

最原「茶柱さんに殺される!」ガビーンッ

赤松「わかってるから! 私も他人事じゃないから! 離れてくれればそれで万事解決だから!」

最原「わ、わ、わ! ごめん! 本当ごめん!」バッ

最原「……」グラッ

最原(な、なんか加速度的に眠気が増していってるような……?)

赤松「最原くん。大丈夫? さっきセミラミスさんも言ってたけど……」

最原「!」

真宮寺「……忘却補正のせいだよネ?」

最原「知ってたんだ」

赤松「天海くんと色々情報交換してるときにチラッと聞いただけ」

赤松「……否定しないってことは実際危険なんだね」

621: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/18(月) 21:03:54.16 ID:aTuQJ6bI0
最原「危険……うん。危険、だね」

赤松「ならセミラミスさんの言う通りにしようよ!」

最原「ごめん! これだけは! このスキルだけは絶対に手放せない!」

真宮寺「え。なんで? 最原くんなら今更忘却補正があろうがなかろうが関係なくない? 超高校級の探偵だよネ?」

赤松「そ、そうだよ! 元から頭がいいのなら、そんなスキル無用の長物だよね?」

最原「そうでもないんだよ……! 特にこの学園では!」

赤松「……?」

最原「思い出しライトの機能を唯一無効化できるスキルだ。これがないと、この学園生活に勝てないんだよ!」

赤松「!」

真宮寺「……ああ。なるほどネ。だから手放したくないんだ」

赤松「……」

赤松「本当にそれだけ?」

最原「……」

赤松「……いいや。これ以上は追及しない。追及はしないけど……」

赤松「茶柱さんを泣かせたりしたら許さないよ。あとアンジーさんとか天海くんとか……他にもいっぱい」

赤松「眠ってる顔面に鍵盤ハーモニカを叩きつけるから」

最原「ハーモニカを!?」

赤松「耳元で鼓膜が破れるくらい弾く」

最原「ハーモニカだよね!?」

真宮寺「キミ色々本当に背負うネ。その内に荷物に押しつぶされるヨ」

真宮寺「……いや。既に押しつぶされてるからこうなのか。ククク」

622: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/18(月) 21:18:42.36 ID:aTuQJ6bI0
最原「上に行こう。あまり時間がないかもしれない」

赤松「……上に行ったところで何ができるんだろう」

最原「もうわからないけど。ここに来たら多少はわかると思ったんだけどな……! 白銀さんが何を考えてるのかいまいち、まだ見えてこない!」

最原「あと少し! もう少しなのに! 『勝つ気がない』ってことだけは判別付くのに!」

真宮寺「勝つ気がない……か」

真宮寺「かなり追い詰めたからネ。この学園を放棄して逃げて、勝負をやり直すってことは充分考えられるヨ」

最原「……」

最原(というか現状、それが一番可能性が高い。高いけど……凄く違和感がある)

最原(なんでだ? 僕は何かを見落としてる。その見落としのせいで、真実が歪んで見えている)

最原「何かが僕の視界を歪めてる、ような……」

赤松「……」チラッ

真宮寺(大丈夫。このパソコンの中身は最原くんには見せないヨ)

赤松「……」

最原「……ここに来てもわからないものはわからなかった。やっぱり直接白銀さんと対峙するしかない」

最原「戻ろう! 上へ! もしかしたら百田くんがエグイサルに勝ってるかも……!」

623: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/19(火) 19:55:42.62 ID:f+xb70pt0
校舎の外

百田「く……これ……そろそろ限界かもな……! いや宇宙に轟く百田解斗にとって、限界っつーのは乗り越えるもんだけどよ!」

春川「百田……!」

春川(間に合わなかった……!?)



ヒューッ……  ドーーーンッ



百田「……なんだ?」

春川「信号弾……?」







裏庭周辺

入間「倉庫で作ってたのは何も、金属探知機だけじゃないんだぜ。即席の信号弾とかもそうだ」

モノクマ「……」

星「見つけた。再び追い詰めたぞ、モノクマ」

天海「さあ! 今度こそすべてを終わらせるっすよ!」

モノクマ「うぷぷ」

624: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/19(火) 20:03:22.09 ID:f+xb70pt0
モノクマ「うぷぷ……うぷぷぷぷぷ……アーッハッハッハッハッハ!」

モノクマ「今の信号弾は何のつもり? もしかして百田くんたちを呼んでるの?」

モノクマ「ちょっと前ならそれでゲームセットだったかもしれないけど、百田くんのエグイサルはもう満身創痍」

モノクマ「こっちに向かって走り出したその瞬間を狙って止めを刺せる!」

入間「あ? んだよ。別に百田なんかいなくっても俺様たちだけでテメェを制圧できるぜ?」

モノクマ「本当にそうかな……?」

モノクマ「いや別に星くんとかなら多少は戦力になるだろうけど、暴力でボクを上回ろうなんてさ」

モノクマ「今までそれができてなかったから、オマエラは身内で殺し合ってたんでしょ?」

モノクマ「今更一体なにをしようと手遅れ……」

星「でもないぜ」


バシィッ


ギュンッ


ドカァァァァァンッ


モノクマ「……!?」

天海(モノクマの後ろの校舎の壁が……壊れた……!)ゾクッ

星「久方ぶりだな。これを使うのも……いや。最原によればそれは嘘の記憶、だったか」

星「まあ、どちらでもいい。お前を葬るのは現実にできそうだからな」

モノクマ「さ……さ、さ、さ……!?」





モノクマ「殺人、テニス……!?」ガーンッ

625: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/19(火) 20:13:00.18 ID:f+xb70pt0
天海「星くん……それは……テニスは捨てたって自己紹介のとき言ってたのに!」

星「今更言うのは野暮ってもんだぜ。なぁに、今度はまだ間に合うと思ってな」

星「復讐のためだけじゃない。誰かを守るための力だ。そのためになら、もう一度だけこの手を血に染めてみるのも悪かねぇ」

星「……もう俺の中の『動機』は、ちゃんとあるんだからよ」

モノクマ「う、うぷぷぷぷ……ちょっとビックリしたけど、まだ足りないだろうね」

モノクマ「そう! 巌窟王さんか、聖杯の力を手にした最原くんにさえ気を付ければ、まだボクが生徒に負けることなんてありえない!」ジャキンッ

星「相殺する……!」

モノクマ「オラオラオラオラオラオラオラ!」ドドドドドドドドドッ

星「うおおおおおおおおおおおおおおおお!」ドドドドドドドドドドドッ

入間「な……なんて応酬だ! 目を開けてられねぇ!」

天海「あ! 入間さん! スカートめくれあがってるっすよ! 風圧で!」

入間「それ今言わないとダメなヤツか!?」ガビーンッ

星「……ぐ……ブランクか! 腕が、キツ……!」

モノクマ「よし! 勝てる……ボクが勝てるぞーーー! イヤッホーーーーウ!」ドドドドドドドドドッ

626: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/19(火) 20:24:32.07 ID:f+xb70pt0
ズルウッ

モノクマ「ん?」

獄原「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

モノクマ「……」

モノクマ「え。なに? え? なんでゴン太くんがこんなところに……あれっ?」

モノクマ(いや。待って。この至近距離はまずくない? 前面は星くんの対応で追われてるし……!?)

獄原「もう何も……」スウッ








伝説の超獄原ゴン太「奪わせないッ!」ドシュウウウウウウウウウッ

モノクマ「え? え? え? 待って? 待って! 待っ――!」

伝説の超獄原ゴン太「波ァーーーッ!」ドカァァァァァァァァァァンッ

モノクマ「ぴぎゅ」クシャッ

入間「ん? あれ? ちょっと待て。こっちにモノクマが飛んできてねぇか?」

天海「うわーーー! 巻き添え食う! ちょっとゴン太くん手加減を」

星「回避」サッ

入間&天海「うぎぐブげッ!!」クシャッ

獄原「……」

星「……」







星(入間! 天海! 東条! 終わったぜ……)

東条「呼んだかしら?」ヒョコッ

627: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/20(水) 21:31:49.29 ID:7fahhc/O0
ちょっと時間は遡る 新世界プログラム脱出直後

赤松「で、出れた……! あの世界と質感はあまり変わらないけど、やっと出れたんだよね!? やったー!」

全員「……」ズーン

赤松「……あれ。みんなどうしたの?」

入間「どうしたの? じゃねーよアホ松ッ! てめぇだけ爆音から逃げやがって!」

赤松「現実の鼓膜は無事だったからいいじゃない……?」

真宮寺「迂闊だった……世界を破壊するときの音に関しての発想が完全に抜けてたヨ……!」

最原「よしとしよう。言葉だけでもそう言っておかないと三半規管が狂いまくっててひたすら辛い……」

東条「……」

東条「天海くんが起きないわ」

星「どこかの誰かが精神に追い打ちかけるような一言かけて気絶させたからな」イライラ

赤松「……」

赤松「あ、あれ? みんなもしかして怒ってる……?」オズオズ








全員「当然(だよッ)(だボケッ)(よ)(だヨ)(だってー)!!!!!!!!!!!」

赤松「ごめんね!?」ガーンッ

628: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/20(水) 21:50:22.22 ID:7fahhc/O0
最原「まあこれに関しては八つ当たりに近いから、もうやめよう」

最原「巌窟王さんはどこ?」キョロキョロ

アンジー「……ん」

アンジー「今、念話入ったよー」

真宮寺「なんて言ってた?」

アンジー「要約すると『しばらく休ませてくれ』だってー。建前はアンジーの怪我の治療が終わるまでって」

アンジー「出入口にあたる部分でぐったりしてるみたい」

最原「グロッキーになってる!」ガビーンッ

東条「治療開始」トスッ

アンジー「あふんっ」バタリッ

真宮寺「おそろしく早い手刀……僕でなきゃ見逃しちゃうネ」

東条「ひとまずアンジーさんの治療を済ませるわ。大丈夫。かなり無理をすることになるけどアンジーさんの怪我は完治に限りなく近いところまで……!」

赤松「東条さん。傷がまた開いちゃうよ?」

東条「大丈夫よ。無理をするのはアンジーさんの方だから」

入間「……無理をするのは患者の方……? ウッ、頭が」

最原「この話もやめよう! とにかく学園で何が起こってるのかを調べないと!」

最原「単独行動は危険だから、絶対に一人になっちゃダメだよ!」

獄原「……」

獄原(誰かに見られている気がして落ち着かない)

東条「どうかしたのかしら?」

獄原「ん? んん……なんか居心地が悪くって。見られている感覚っていうのかな」

最原「……」

最原「ゴン太くんはここで東条さんと一緒にいて。患者が全員動けるようになって、モノクマの位置がわかるまで絶対に移動しちゃダメだよ」

最原「あと」

獄原「あと?」

最原「その気配を避けることって、できたりする?」

獄原「できるよ」ヌウッ

真宮寺「!?」

最原(ゴン太くんの気配がいきなり薄く!?)ガビーンッ

獄原(ゴン太はこのまま、条件が揃うまで東条さんの傍にいるよ!)ゴニョゴニョ

獄原(条件が揃ったらすぐに呼んで! かけつけるから!)ゴニョゴニョ

入間「辛うじて聞こえる程度の絶妙な声量だ。どんな育ち方したらこうなるんだ?」

最原「さ、さあ……?」

629: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/20(水) 22:07:35.91 ID:7fahhc/O0
そして現在 裏庭

星「患者が全員動けるようになるまで移動するな、というのならばギリギリわかる」

星「その一方『モノクマの位置がわかるまで移動するな』という注文に関しては意図がわからなかった……」

星「だがふと思いついたんだ。もしかしたら奇襲のためにあんな注文したんじゃねぇかってな」

入間「あ、あとは簡単だ。俺様が信号弾でゴン太に向かってモノクマの位置を知らせればいい……」

入間「一つ訊いておくが、モノクマ。テメェここに至るまでゴン太の姿を見てなかったんじゃねぇか?」

入間「なにせお互いに『新世界プログラムから出た直後』だ。更に言うなら、例の爆音のせいで全員が全員ピヨってた」

入間「出た直後は監視カメラに意識が向いてなかったんだろ。ついでに、わずかに俺様たちの方が回復が早かったんだろうな」

入間「流石にここまで計算してたわけじゃねぇだろうが、俺様たちにとっても幸運だったぜ」

天海「入間さんが信号弾でゴン太くんに合図し……星くんがモノクマの後ろの壁を壊す」

天海「あとはゴン太くんが意図に気付いてくれれば……!」

東条「チェックメイト、というわけよ」

天海「……聖杯の力を手にした最原くんか、巌窟王さんにのみ気を付けてれば生徒に負けることはない……?」

天海「舐めすぎっすよ。モノクマ」

星「ああ。これで……これでやっと……」







校舎を挟んで反対側



百田「俺の……!」

春川「生徒(私たち)のッ……!」





百田&春川「勝利だーーーッ!」




ドガシャアアアアアンッ!

631: 以蔵出なかったの助 ◆SxyAboWqdc 2018/06/21(木) 21:49:13.04 ID:yVb1H7fl0
百田「はぁっ……はぁっ……はぁっ……!」

春川「……やった? やったよね。うん」

百田「ハルマキ!」

春川「……お疲れ様」

百田「おうっ!」ニカッ



タッタッタッタッ……



最原「百田くん!」

真宮寺「ああ、ほら。最原くんダメだってば。走ったら傷が開くヨ?」

百田「ん? お、終一! 終一じゃねぇか! 戻ってきてたんだな!」

百田「……信号弾の方向とは別か。なら直接的な手柄は……」

最原「うん! 他の誰かだよ! 誰かがモノクマか白銀さんのどちらかを押さえたんだ!」

百田「そうか……そうか!」

百田「うおおおおおおおおおおおおお! やったぜー! 俺たちの勝ちだ! これでこの学園生活も……!」




ガシャンッ



百田「ん?」

春川「あ」

最原「……あれ?」

最原(ほぼ残骸と化したエグイサルが、動いた)

最原(動いて……そのまま百田くんと春川さんが乗ってるエグイサルに――)




ズガァァァンッ!

632: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/21(木) 21:58:37.16 ID:yVb1H7fl0
百田「……んなっ!?」

春川「しまった。最後の最後で油断した!」

最原「……!?」

最原(百田くんのエグイサルに、纏わりつくように抱き着いた……!)

モノタロウ?「……う、うぷぷ……」ザザッ

最原(壊れたハッチからノイズ塗れの声が聞こえる)

百田「モノタロウ?」

春川「違う。何か様子がおかしいよ。この笑い方、まるでモノクマじゃん!」

モノタロウ?「最後の……最後。一人も道連れにせず終われない……よ……」ザザザッ

モノタロウ?「道連れにしてやる。み、みみみっ道連れ」

モノタロウ?「一緒に一緒に一緒に一緒に一緒に一緒に地獄へ一緒に一緒に一緒に一緒に一緒に」ザザザッ バチバチッ

百田「!」

春川「忘れてた……! エグイサルには自爆装置があったんだった! 天海が暴発させてたヤツ!」

最原「は……? 自爆、スイッチ……!?」

モノタロウ「や、やめて……止めて止めて止めて! お願い誰か助けて! 死にたくない! 死にたくないよーーーッ!」

百田「……ッ!」

百田「読めたぜ。モノクマがどこかからモノタロウを操ってやがるんだ!」

春川「その抵抗のお陰で即座にドカンとは行かなかった、か。ありがたい話だけど」

春川「……こうも相手のエグイサルに密着されてるとね」

百田「脱出できねぇよなぁ」

最原「百田くん! 春川さんッ!」

百田「……終一……」






百田「悪ィ。後は任せたぜ」

634: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/22(金) 20:23:13.40 ID:LqyO3DaI0
春川「……百田。諦めるの?」

百田「まー。少なくとも俺にできることはもうねーだろ」

百田「生存を諦めるわけじゃねーぞ。安心しろハルマキ。俺はお前を死なせる気はねーし、俺も死なねーからよ」

百田「お前も死にたかないだろ?」

春川「それは当然だけど。でもまあ……」

春川「……ここで死んでも私は後悔はしな……いや後悔だらけだな。孤児院が心配だし」

春川「そこは心配だけど、でも納得はできると思う。楽しかったよ。百田」

百田「死ぬときは一緒か。酷い保険もあったもんだ。悪かないけどな」

百田(……と口だけで言っておくが、やっぱコイツだけは死なせられないな。というかそもそもどんな慰めがあったところで死にたくないっつの)

百田(今この場で神様に『お前と春川のどちらか一方だけは助けてやる』と言われても、答える前に迷ってタイムリミットが来る程度には俺も俺の命が惜しい)

百田(……納得はできても、ここで死んだら後悔だらけだぜ。参ったな)

百田「……ま、信じてみようぜ。助かるときは助かるって」ニカッ

百田「ところで外で終一がピーピー騒いでるけど、なにかあったのか?」

春川「鈍感すぎる。しかも言い方が微妙に悪い」ズーン

635: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/22(金) 20:35:02.50 ID:LqyO3DaI0
最原「百田くんっ! 春川さん!」

真宮寺「ダメだヨ最原くん! エグイサルが関節を完全に極めてるとは言っても、よろめいて倒れたりしたら潰される!」

赤松「……あの音。機体が軋んでるみたい。エンジンとかモーターとかを規定の限界以上まで駆動させてるんだ」

赤松「あの状態が続けばモノタロウが乗ってる方のエグイサルは三十秒も持たない、けど……!」

真宮寺「その代わり、通常のエグイサル以上の馬力を出せるってことだネ」

真宮寺「……ところで気のせいかさっきよりエグイサルが密着してない?」

赤松「気のせいじゃない。コクピットからの音がもうほとんど聞こえない! エグイサルの機体が塞いでるんだよ!」

赤松「あの状態で自爆なんかされたら……!」

最原「そんな……そんな!」

最原(ここまで誰も死なずにやってこれたんだぞ……このエグイサルを潰せば、やっと僕たちの勝ちなんだぞ!)

最原「諦めたくない……諦めたくないよ……!」

最原「こんなところでお別れなんてイヤだ!」

赤松「最原くん……」

最原「くそっ! くそっ! くそおおおおおおおおおおおおおおっ!」ダンッ

巌窟王「……」スタスタ









最原「……」

最原「ん?」

巌窟王「最原。どちらのエグイサルが味方だ?」

最原「ええっと、その比較的損傷が少ない、抱き着かれてる方……」

巌窟王「そうか。わかった」ボォウッ





ドガシャアアアアアアアアアアアアンッ




巌窟王「よく頑張った。後は俺がやる」ゴキンッ

636: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/22(金) 23:00:09.78 ID:LqyO3DaI0
モノタロウ?「……!? ……!?!? ……!?!?!?」ガーンッ ガーンッ ガーンッ

巌窟王「どんな爆弾であれ共通して言えることがある。『爆発する前に燃え尽きてしまえば爆発のしようがない』ということだ」

巌窟王「何故わかるかだと? 一度作ったことがあるからな」

巌窟王「この場で一瞬にして燃やし尽くしてやる! そして……!」ボオオオオウッ




ビシュンッ ドカァァァァァンッ




巌窟王「王馬は! 後でッ! 殺すッ! 残酷に殺す!」

最原「なんでーーー!?」ガビーンッ

巌窟王「貴様はその予行演習だ! 跡形もなく燃え尽きろザコめ! 次は右半身を気化させてやる!」

モノタロウ?「じ、自爆スイッチ――」

巌窟王「押させると思うか!?」



ガシャアアアアアアアンッ



モノタロウ?「……」

モノタロウ?「リンクしてるだけ損だなぁ。もういいや。体は返すよモノタロウ」

モノタロウ?「ボクも残酷にはなりきれないんだよなぁ。子供の体を乗っ取るなんてマネできないよ。およよ」

ブツンッ

モノタロウ「え。あ。待って! それはそれで困る! このままじゃオイラ……!」

巌窟王「消えろ! 白銀とモノクマの妄執と共に!」ボオオオオウッ

モノタロウ「ひ……ひ……火!?」



ボオオオオオオオオウッ


モノタロウ「ひぎゃああああああああああああああああ!?」

637: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/23(土) 22:25:31.16 ID:qDeQ3vQt0
赤松「……!」

最原(なんて火力だ! ちょっと前とは比較にならない! この分なら確かに爆弾を爆発する前に焼却することも可能かもしれない!)

最原(本当なら単なる理屈上の話でしかないのに!)


ボトリッ


最原(……大炎上するエグイサルから、何かが落ちた。蠢く黒い残骸。酷い臭いを出すそれは、酸鼻極まりない姿と化したモノタロウだった)

モノタロウ「あ、あう……死ぬ……死……死……」

巌窟王「モノタロウ……」

モノタロウ「も、もう何も……見えない。モノファニー……モノファニーはどこ……?」

巌窟王「憐れだな。あまりにも。モノクマの子供でさえなければ、もっとまともな一生を送れたかもしれないが」

最原「巌窟王さん……」

巌窟王「……貴様には多少なりとも世話になった。本当に多少だが。だから、せめて労ってやろう」

巌窟王「せめて家族で安らかに――」

赤松「巌窟王さんっ! 百田くんのエグイサルの方に引火しちゃってる!」

巌窟王「邪魔だどけェ!」ゲシィッ

モノタロウ「ぎゃあっ!」

最原「蹴り飛ばしたーーーッ!?」ガビーンッ



ガンッ


ドカァァァァンッ


最原「そして寄宿舎の外壁にぶつかって爆発したーーーッ!」

真宮寺「本当にゴミみたいに死んじゃったネ。労いもクソもないヨ」

638: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/23(土) 22:56:03.95 ID:qDeQ3vQt0
百田「えほっ……なんだ? 急に熱くなってエグイサルが剥がれたぞ」

春川「……?」

春川「ねえ百田。こんなふうに炎の熱に燻されたことなかったっけ?」

百田「あ? んなことしたら普通死ぬだろ。あるわけ――」

百田「あったな! 火事の建物の中に飛び込んだことがあったぜ!」

百田「誰かを助けようとしてた……ってことはたった今思い出したけど、誰だったか……」



ダンッ


「百田! 春川!」

百田「ん?」

春川「アンタは……」

巌窟王「俺を! 呼んだな!」ギンッ

百田&春川「……ッ!」








百田&春川「誰?」

巌窟王「!?」ガビーンッ

639: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/24(日) 21:01:22.52 ID:wypIXqeC0
巌窟王「ええい、いい! それでもいい! とにかくここから出るぞ! 時間がない!」

百田「おう! 助かったぜ見知らぬ誰か!」

春川「じゃあ、先に降りるよ。アンタは百田の方をお願い」

巌窟王「了解した! 早くここを離れるぞ!」ガシッ

百田「……ん?」

百田(あれ。こんなこと前にあったような……)

巌窟王「これで貸し借りはなしだ。百田」

百田「……お前!」




ギュンッ




裏庭

天海「ひとまずこれでOKっすかね。鎖でぐるぐる巻きにして南京錠付けとけば流石に逃げられないっすよね?」

入間「ゴン太がギチギチに縛ったからな! 逃げたくても逃げられねーだろ! ヒャハッ!」

モノクマ「……」ガシャガシャ

モノクマ「……見事だなぁ。割と本気出してたんだけど」

星「なに?」

獄原「意外だね。モノクマが素直にゴン太たちを褒めるようなこと言うなんて」

モノクマ「……」

天海「……?」

天海「モノクマ。もしかしてまだ何か企んでるんすか?」

モノクマ「ボクは企んでないよ。ボクはね」

モノクマ(あとは……どうなるかなぁ)

モノクマ(ま、どうなったとしても負けはない、か。後は白銀さんが好きにすればいい)

天海「……なんすかね。イヤな予感がどんどん大きくなってるっていうか……」

モノクマ「……」

640: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/24(日) 21:52:37.36 ID:wypIXqeC0
数分後

エグイサル「」シーン

巌窟王「……百田の方のエグイサルは無事のようだ。引火したとは言っても燃料の方に火は回ってない」

赤松「……急に静かになっちゃったね。さっきまでが嘘みたい」

百田「おー。星が綺麗だなー。まあニセモンだけど、プラネタリウムみたいなもんだと思えば……」

最原「百田くん……」

百田「お。終一」

最原「……」

百田「俺は頑張った。テメェも頑張ったな」

最原「うん……うん! 無事でよかった。本当に……!」

百田「あはははは! 何泣いてんだよ終一! あはははははは!」バッシバッシ!

最原「うん……うん? あの。なんかやたら上機嫌なんだけど。気のせい?」

百田「おお終一! 聞いて驚け! ハルマキと結婚するぞ俺ァ!」

春川「!?」ガビーンッ

赤松「!?」ガビーンッ

真宮寺「……」シラー

巌窟王「そうか。結婚式のときは呼べ。貴様の目玉が飛び出すほどの『数字』を包んでやる」

百田「おう! 感謝するぜ見知らぬ人!」ニカッ

春川「待って。誰が誰と結婚するって?」

百田「ほっぺにちゅーされちまったからな。責任取らねーと」

春川「……最原。コイツ真顔で何を言ってんの? ねえ?」アタフタ

最原「僕に言われても……両想いだったし良かったね、としか……」

春川「!?」ガビーンッ

最原「え!? なにその反応、今まで隠せてると思って……!?」

春川「……」カァァ

最原(思ってたっぽい!)ガーンッ

赤松「おめでとー!」パチパチパチ

春川「やめて」カァァ

巌窟王「さて。後は白銀だな。ヤツはどこに……」



ガシャッ ガシャッ……


巌窟王「……」

巌窟王「悪あがきか?」

最原「!」

最原(百田くんがさっきまで乗ってたエグイサルが動いてる……!)

巌窟王「クライマックス、だな。引導を渡してやろう」

641: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/25(月) 19:58:17.49 ID:fsZuxn180
エグイサル「……」ガシャッ ヨロッ……

巌窟王「……」ボオウッ



ズガァァァァンッ!



巌窟王「……弱すぎる。機体の状態以前に、まともな操縦技術がないのではないか?」

巌窟王「もしくは操縦者の身に何かが起こっているか」

エグイサル「……」ガシャッ ヨロッ……

巌窟王「……油断を誘おうとしているのか? ならば無駄なことだな。じっくりと安全に遠巻きから始末してやる」ボオウッ

最原「……?」

最原(おかしい。なんだろうあの挙動。あんなことするくらいなら何もしない方がいいのに)

最原(これじゃあ本当の悪あがきでしかない。何の勝算も感じられない。いや、白銀さんたちに最初から勝つ気がないということは置いといて、だ)

最原(今更ボロボロのエグイサルを動かすことに何の意味が……)

赤松「……」

真宮寺「挑発、だよネ」

赤松(真宮寺くん。まだ喋っちゃダメ)シー

真宮寺(おっと。ククク……白銀さんが巌窟王さんに殺されるまで、だよネ。わかってるよ)ゾクゾク

642: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/25(月) 20:21:18.12 ID:fsZuxn180
最原「……」キョロキョロ

赤松(流石に気づくかな? いや。パソコンはこっちが押さえてる。何もわかるはずはない)

赤松(意図の見えない不自然さにひたすら不安を覚えてるってところかな。白銀さんかモノクマを押さえて聖杯の力で自白させたい、と)

巌窟王「最原。油断はするな。まだ何か仕掛けてくるかもしれん。後ろに下がっていろ」

最原「あ、ああ。うん。そうだね。百田くん、春川さん。行こう。赤松さんと真宮寺くんも」

赤松「わかった! 巌窟王さん!」

巌窟王「?」

赤松「……頑張ってね!」

巌窟王「誰に物を言っている! 今更言われるまでもない!」ニヤァ

赤松「……」

赤松「……ふふっ」

真宮寺(意地悪だなァ)

最原(あのエグイサルを動かしているのは……白銀さんだろうな)

最原(モノクマがエグイサルを動かす場合はどうしても大雑把な操作になるってことはジャバウォック島で学んだ)

最原(さっきまでエグイサルを動かせていたのはエグイサルじゃなくってモノクマーズの方を動かしていたからだ)

最原(今のエグイサルは……動きは酷いけど大雑把って感じはしない。どこかから巌窟王さんの姿を視認した上で動かしてる)

最原「モノクマじゃない。白銀さんがエグイサルを動かしてる……どこから?」キョロキョロ

赤松「白銀さんが近くにいるの?」

最原「うん。状況から考えて間違いないと思う」

赤松「だったら! 手分けして探そうよ! そしたらいよいよこの学園生活も終わりでしょ?」

最原「……」ゾクッ

最原(なんだろう。イヤな予感がする。するけど……)

赤松「……最原くんが何を考えてるのかわからないけどさ」

赤松「白銀さんのこと、助けたいんでしょ?」

最原「!」

赤松「……協力させてよ! 仲間でしょ!」

最原「……うん」

最原「うん!」

百田「お? 白銀のヤローを探せばいいんだな?」

百田「じゃ、終一! 俺の背中に乗れよ! 真宮寺もそろそろ疲れただろ?」

真宮寺「ン。助かるヨ」

真宮寺(……チーム分け的な意味で。キミが提案しなかったら押し付ける気だったヨ)

赤松(百田くんが最原くんと一緒なら、後の春川さんも……)

春川「あの……ねえ。赤松。真宮寺。私そっちのチームに入れて……」

百田「ハルマキはこっちだぜ!」

春川「……」アセッ

赤松「あの。ごめん春川さん。こんな状況に似合わない提案だけどさ」

赤松「笑っていい?」プルプル

春川「殺されたいのッ!?」ウガァ!

643: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/25(月) 20:29:42.95 ID:fsZuxn180
百田「じゃ! チーム分けは三人と二人で、だな!」

最原「……」

最原(ふと頭をもたげる疑問。本当にこのチーム分けでいいのか、と)

最原(……悪い理由はないはずだ。でも何か小さい、ほんの小さい不安がある)

最原(なんで?)

百田「後で会おうぜ! 生きてな!」

赤松「うん! もう最後だもん! 絶対に生き残ろう!」

百田「行くぜ!」ダッ

最原「あ……」

最原「……」

最原(なにか言い忘れたことはないだろうか……)

最原(……もうダメだ。別れた後でこんなことを考えるのは時間の無駄だろう)

最原「白銀さんを見つけよう。それで全部解決するはずだ……!」

春川「……」

春川「赤松、なにか様子がおかしくなかった?」

最原「え」

春川「……ごめん。ちょっと思っただけ。根拠はないよ」

最原「……」

644: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/26(火) 18:59:36.62 ID:syfgM+fE0
裏庭

入間「……?」

入間「おい。エグイサルの駆動音、鳴りやんでねぇぞ」

天海「え?」

星「……さっきは一度止んだと思ったが……おかしい。もうモノクマは押さえたぞ?」

天海「ちょっと様子を見に行かないっすか?」

入間「ま、まだなんかあんのかよう。怖いよう」ガタガタ

夢野「ええいヘタれるな! 鬱陶しい! いね!」

入間「さっきから妙に俺様に当たり強くねぇか!?」ガビーンッ

夢野「みんな頑張ってるんじゃ! お主だって頑張ってたじゃろ! 今更弱音吐いたところでこの事実は変わらん!」

夢野「自信を持て! お主はできるヤツじゃ! 弱音を吐く必要がない!」

夢野「超高校級の生徒全員が揃ったなら、どんな敵であろうと問題になるものか!」

天海「……め、めっちゃくちゃポジティブっすね」

夢野「巌窟王のポジティブさに当てられたかもしれんの」ンフー

獄原「そうだ……ゴン太たちがこの世界に帰ってきたのなら……そして全員が全員、疑心暗鬼を捨ててモノクマと白銀さんを敵と見なしたのなら」

獄原「ゴン太たちにもう不可能はない! 何一つとして!」

東条「……そう上手く行くかしら?」

獄原「え?」

東条「そもそも獄原くんは私たちが既に一致団結しているという前提で話しているけども……」

東条「本当にそう? 周りをよく見て?」

獄原「ん? いや全員『モノクマと白銀さんが敵』って顔でしょ……」クルリッ

夢野「……」ビクビク

天海「ふふゅー……ふふゅー……」シドロモドロ

獄原「天海くん口がカサカサだよ! 口笛吹けてない! どうしたの!?」

東条「夢野さんもさっきのポジティブさが嘘のような縮こまりようね」

東条「……なにか私たちに隠し事でも?」

夢野「そそそそんなわけ……ないじゃろ」

入間「おい。ヘタれてんじゃねぇよ」

645: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/26(火) 19:12:46.87 ID:syfgM+fE0
夢野「……いやちょっと面喰っただけじゃ! なんでみんな白銀のこと悪く言うんじゃ! 仲間だったじゃろ!」プンスカ

夢野「まったくもう! 一度や二度裏切られた程度で!」プンスカ

天海(あ。いやそれを今のタイミングで言うのはマズイっす)




ザワッ



夢野「……」

夢野「え。な……え? なんでそんな目でウチを見るんじゃ? みんな……」ガタガタ

入間「……」

獄原「……行こう。エグイサルのところに。様子を見るだけ見ておこう」

獄原「モノクマはゴン太が運ぶよ」スタスタ

星「ああ。そうだな」スタスタ

東条「……」スタスタ

夢野「あ。ちょ……待……」

夢野「足がすくんで動けんのじゃが」

天海「……確かに俺たちは、まだ全員生きてる。団結も時間と共に強化されてる」

天海「でもここが付け入られる隙なのかもしれない」

天海「ハッピーエンドを迎えたとしても、このままじゃ真実は闇の中っす」

夢野「うう……どうすればいいんじゃ?」

天海「……俺は俺にできることを」

天海「最後の最後まで、彼女と友達でいる。それが俺のできることっす」

646: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/26(火) 19:45:03.42 ID:syfgM+fE0
夢野「……?」

夢野「でもモノクマはあの通り押さえたぞ。白銀一人で何ができるんじゃ?」

天海「何もできないっすね。だからこれから先、もしも何かが起こるとしたらそれは……」

夢野「それは?」

天海「内ゲバ。それも白銀さんやモノクマが本当に関与してない、正真正銘の」

夢野「う、内ゲバ!?」

天海「俺たちちょっと長く一緒にい過ぎたっすよ。モノクマが用意なんかしなくっても動機なんていくらでもあるんすよね」

天海「というか白銀さんの存在そのものが今や強烈な爆弾そのものっす」

夢野「んあー……! 本当に酷いことしたんじゃな、白銀のヤツ……」

天海「……みんなについて行くっすよ。勝ちが見えてきたときが、勝負事で一番危険なときっすからね」






校舎内

茶柱「はあっ……はあっ……! アンジーさん! そっちは!?」

アンジー「いないよー! どこ探しても影も形も匂いもないよー!」

茶柱「やられた! 最後の最後であの人はッ!」

茶柱「白銀さんを連れてどこに消えたんですか!?」

656: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/27(水) 19:28:03.84 ID:Fg+rf1QF0
学園某所

王馬「なるほどねー。入間ちゃんこんなもの作ってたんだ。でもこれならもっと早い段階でクーデターでも起こせそうなもんなのにな」

白銀「……このコントローラーは『中から直接行われる操作』の方が優先だから」

王馬「なるほど。中に誰かがいたら操れないんだね」

王馬「……じゃ。俺はそろそろお暇するよ。茶柱ちゃんとアンジーちゃんを振り切ったんだ」

王馬「凄く仲間っぽいだろ? 仲間を裏切って仲間を庇うとかさ」ニヤァ

白銀「……本当になに考えてるかわからないな」

王馬「俺は白銀ちゃんが何を考えてるのか知りたいんだよ」

王馬「極論、相手が何を企んでいるのか知りたいときは……」






校舎の外

巌窟王「最悪、相手が何を企んでいるのかわからない場合は、だ」

巌窟王「最後まで相手に行動権を譲ってしまえばいい。最後の最後までやらせてしまえば、どんなに緻密な作戦であろうと目的はわかる」

巌窟王「だが……」

エグイサル「……」ガシャッ ユラッ

巌窟王「……あまりにも弱すぎる。むしろ放っておく方が危険、か?」

巌窟王「さて。どうしたものか……このまま遠距離から細かい攻撃をしているだけでも充分勝てるが……」ボオウッ

657: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/27(水) 20:54:46.49 ID:Fg+rf1QF0
巌窟王「やはり操縦者本体を叩く方が一番安全だろうな。どこにいる……?」キョロキョロ

「……! ……!」

巌窟王「ム。今の声は……」

巌窟王「……誰だかわからないがよくやった!」ニヤァ





赤松チームと別行動中の最原チーム

春川「……ん? 誰か騒いでる? 女子の声、かな」

最原「え?」

百田「本当か? 何も聞こえねーぞ」

春川「ごめん。気のせいかも……しれないんだけど……」

百田「いや。ハルマキが言うんならほぼ間違いねーだろ。赤松ほどじゃないけど耳いいからよ」

最原「でもこの状況で一体誰が騒ぐんだろう」

百田「……それどういう声だった?」

春川「あくまでも私の感想になっちゃうけど」

春川「……悲鳴だった、と思う」




ボオオオオオオオオンッ!



最原「……」

最原「え?」

春川「なにあの火力……尋常じゃないよ! 今日見た攻撃の中で一番の威力だ!」

百田「寄宿舎の方向か?」

最原(いや。違う。あれは……その裏手の方だ!)

最原(まさか、白銀さん!)

658: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/28(木) 21:30:54.50 ID:t3zMF8/x0
寄宿舎の傍

巌窟王「……」ゴオオオオオオッ

白銀「はあっ……はあっ……はあっ……!」

巌窟王「……既にボロボロだな? まあいい。楽しみは他の者にも分け与えよう」

巌窟王「どうせ一番重要なところは俺が持っていくのだからな」

巌窟王「……殺す。必ず殺す。心臓を抉り出してボロ炭に変えてやる!」

巌窟王「ああ! ああ! なんということだ! 憤怒のあまり、貴様に出会えた俺は狂喜している!」

白銀「……!」キョロキョロ

巌窟王「何を探している? ああ、そうか。貴様をさっきまで痛めつけていた相手なら、俺が来た途端に早々と退いたぞ」

巌窟王「最初から俺に『気付かせた後』はこうするつもりだったのだろうな」

巌窟王「まるで利用されているようで癪だが、文句は言うまい!」ボオウッ

白銀「ううっ!」バッ



ボンッ



巌窟王「そうだ逃げろ逃げろ! その分だけ恐怖が長引くのだからなぁ!」

巌窟王「クハハハハハハハハ! アーッハッハッハッハッハッハッハ!」ゲラゲラゲラゲラ

白銀「……」

白銀(これでいい。これで。私はこれで)

659: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/29(金) 21:19:24.01 ID:PSNBnIPy0
最原チーム 道中

最原「くそっ! まだ白銀さんを殺されるのはまずいのに! 百田くん!」

百田「おお! 全速力で走ってんぞ舌噛むぞコラ!」

春川「……『まだ』?」

最原「……」

百田「よせよハルマキ。噛みつくのは後だ」

春川「でもさ」

百田「わかってるって。だから後回しっつってんだ。永久によせとは言ってねぇ」

春川「……」ムスッ

百田「おし! 後半分くらい……お?」






エグイサル「」ガシャコーンッ!

獄原「うわあああああああああああ!」

入間「ぎゃああああああああああああ! お助けーーー!」



キャーキャー



百田「うおおおおお! エグイサルがなんか……暗くて良く見えないけど誰かを襲ってやがる!」

春川「ん? 今ちょっと聞こえたけど、この悲鳴は入間じゃない?」

百田「アイツもいんのかよッ! さっきの赤松とか真宮寺のときも思ったけど、本当に生きてたんだな!?」

最原「なんで!? 巌窟王さんは!?」

百田「さっきのフランス野郎か? そういや姿が見えねーが……」

春川「逃げ……いや、ありえないな。なんとなく、そんな感じがする。私の忘れた記憶がそう言ってる」

春川「それ以前に、あのエグイサルの様子もさっきとは違うベクトルでおかしいよ。襲い方がランダムっていうか……」

春川「……違う! 襲ってるんじゃない! 誰かがミスった操縦をしてテンパってるだけだよ、アレ!」

最原「どういうこと?」

春川「本当は自爆でもなんでもさせる気だったのが、変なボタンを触ったせいで暴走してるってこと!」

春川「それを見た操縦者が慌てて、更にボタンを弄って余計に暴走。そんな最悪の善意のループが発生してるんだよ!」

最原(め、迷惑すぎる! 善意で人を殺す勢いとか、そんなのって……!)

最原(あ。いけない。彼女の顔が目に浮かぶ。後でこっそり謝ろう。心の中で)

660: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/29(金) 21:42:45.74 ID:PSNBnIPy0
最原「……殺意がないんなら死ぬことはないかな……」

夢野「まあゴン太もおるし大丈夫じゃろ」

最原「!?」ガビーンッ

百田「お。夢野。さっき茶柱が探してたぞ」

夢野「あー。心配かけてごめんって会ったら伝えておいてくれい。ウチはまだやることがある」キョロキョロ

夢野「おにいちゃーん! どこー! おにいちゃーん!」

最原「え!? 何言ってるの!?」

春川「恐怖のあまり夢野が変な幻覚見だした……」ガタガタ

百田「落ち着け……こういうときは変に否定しちゃダメだ。とにかくその話題には触れずに何でもないような会話を心がけて……」

夢野「天海を探しておるんじゃ! 天海を! アイツ妹萌えじゃから仕方ないじゃろ!」

百田「ああ」

最原(いやそれにしてももうちょっとマシな探し方あると思うけど……)

春川「……夢野。一人?」

夢野「チーム組んでおったんじゃがのう。あのエグイサルの襲来でみんな散り散りじゃあ」

最原(夢野さんはコントローラーの類は持ってない、と)

夢野「その中でも天海の様子は一際おかしかったのでの。こうやって本腰入れて探しておるわけじゃ」

春川「なるほど……百田。夢野をこのまま一人にはしておきたくないし、私も同行していい?」

百田「おう! 任せたぜ!」

夢野「じゃあウチと一緒に探すぞ! お兄ちゃんをな!」

春川「わかった」コクリ

春川「にいにいー! お願い、出てきてー!」

最原(幻級にドマイナーな呼び方出た!)ガーンッ

百田「お前割と周りに尽くすタイプだよなぁ。サービス精神旺盛ってかよ」

春川「うるさい」

661: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/06/30(土) 20:30:33.89 ID:r2YevpVt0
百田「で。どうする? ハルマキの話を信じるなら、この時点で一番困ってるのはコントローラーを持ってるヤツだよな?」

最原「うん。そうだけど、でも今は放置でいいよ。夢野さんによればあそこにはゴン太くんがいて、エグイサルにも殺意がない」

最原「死人は出ないと思う」

百田「あれを放置するのは気が引けるんだけどよ……終一がそう言うなら仕方ねーか」

百田「手は足りてねーんだ。優先順位は決めねーとな」

最原「白銀さんをどうにか、巌窟王さんより先に見つけないと……!」

最原(……高確率で無理だろうけど。今頃、もう……!)




ボンッ



百田「今の爆発音!」

最原(間違いない! もう追い詰めてる!)

最原「頼む! 間に合ってくれ!」

百田「任せろッ!」ダッ





寄宿舎の裏

白銀「ああっぐ……うう……!」

巌窟王「……む。どうした? 何を声を抑えている? 先ほどまでとは別人のようだ」

巌窟王「さっきはもっと子供のように……」

巌窟王「いや。いい。興味が無い。どっちにしろ貴様の末路は変わらないのだからな」

白銀「足を……撃たないの?」

巌窟王「クハハ! 言っただろう! 逃げれば逃げるだけ恐怖が続く! 貴様の足がいくら健在であろうが関係なく――!」

白銀「……!」ダッ


ギュンッ


巌窟王「俺は貴様を逃がしはしない。このように一瞬で回り込める」スッ

白銀「ひっ……!」

ジュウウウウウウウウッ

663: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 20:52:43.27 ID:LyzE1XHU0
白銀「あ、ぐ……っ! いっ……!」ジタバタ

巌窟王「……右目を潰したのだが……? 何故だ? 何故叫び声を上げない?」

巌窟王「一体貴様は何を耐えている?」

白銀「はあっ……はあっ……はあっ……! うっ……」

巌窟王「拍子抜けで、興醒めだな。まあこうやってうずくまっている貴様を――」ドカッ

白銀「がっ――!」

巌窟王「蹴り飛ばすのは快感だがなぁ! クハハハハハハ! 中々見事に転がるじゃないか!」

白銀「がっ……こひゅっ……!」ガタガタ

巌窟王「しまった。エキサイトしすぎたか。肋骨はもうちょっと後で折るつもりだったのだが……」

巌窟王「安心しろ。気胸を引き起こして死にそうになったら胸腔に穴を開けて助けてやる」

巌窟王「俺を生かしておいた礼だ。たっぷり味わえ……俺の味わった苦しみはこんなものじゃなかったがな……!」

白銀「……」ガタガタ

巌窟王「……」

巌窟王(思ったより楽しくないな。コイツの反応が妙に薄いからだが)

巌窟王(死にゆく今、なにを気にすることがある?)

巌窟王「……」

巌窟王(予定変更。遊ぶ間もなく殺した方がいいか。何か不気味だ)ボオウッ

白銀「!」

巌窟王「やっぱり死ね。すぐ死ね。その思惑と共に闇に消えろ」

巌窟王「お前の顔を、二度とアンジーの前に晒しはしない。骨になるまで燃やし尽くしてやる」

巌窟王「最後の言い残すことは?」

白銀「……」

白銀「みんなに……」

巌窟王「ん?」









白銀「みんなに『ごめん』って……言っておいて……くれる……?」

巌窟王「――」

巌窟王「もう無意味だ。何もかも。故に伝言はしない」

巌窟王「貴様の告解を聞くのは俺一人のみだ」

白銀「……!」

664: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:00:56.10 ID:LyzE1XHU0
巌窟王「さらばだ。我が宿敵よ」ボオウッ

白銀「……」ギュッ

巌窟王「うおおおおおおおおおおお――!」ブンッ



バッ



巌窟王「おお……おおおおお!?」ガビーンッ

巌窟王「ぐうっ!」バッ




ドカァァァァァァンッ




白銀「……?」

白銀「あれ……生きて……る……?」

天海「はあっ……はあっ……はあっ……!」ゼェゼェ

白銀「……え」

巌窟王「なんのつもりだ……天海! 貴様ッ!」

巌窟王「何故そいつを庇った!?」

白銀「え……あ?」

天海「……!」

天海「げほっ!」ビシャッ

天海(まず……超特大の殺意搭載した巌窟王さんの炎が……飛び出したときに掠った……)

天海(直前で飛び出した俺に気付いて、当たらないように制御はしたんでしょうけど……間に合ってなかったみたいっすね……目が霞む……)

天海(そういえば毒あるって話だったっけな……)

665: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:07:28.43 ID:LyzE1XHU0
白銀「な……なんで……!」

天海「逃げて」

白銀「!」

天海「足が無事なら大丈夫! 走れる! 最悪、歩ける!」

白銀「え。え?」

天海「いいから! 立って! 行け!」

白銀「で、でも」

天海「行けーーーッ!」

白銀「ッ!」ビクッ

白銀「……!」ダッ

巌窟王「……何のつもりだ、天海?」

天海「……ええと……いや、あのー……」

巌窟王「まあいい。そこで気絶しておけ。もう目を開けているのも辛いだろう。このまま行けば貴様は死ぬ」

巌窟王「だが安心しろ。後で治療してやる。目を開けたときにはすべて片付いているだろう」

巌窟王「……まったく余計な手間を増やしてくれる――」



ガシッ



巌窟王「――」

天海「あの……待って……」ギュッ

巌窟王(……地面を這いつくばっている天海に足を掴まれた)

666: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:15:10.25 ID:LyzE1XHU0
巌窟王「力を入れたり動くのすら辛いはずだ。何故そこまでする。離せ」

天海「……!」ギュウウッ

巌窟王「……」

巌窟王「離さないのなら自力で振りほどくのみだが」


バッ


巌窟王「……」スタスタ

天海「ぐ……ぬっ!」ガシッ

巌窟王「……??????」



バッ



巌窟王「……」スタスタ

天海「ダメっす……よ……!」ガシッ

巌窟王「……」イラッ

巌窟王「まあ、いいか。後ですべて治すのなら関係あるまい」

巌窟王「俺の邪魔をする貴様が悪いのだからな」

天海「……?」ゼェゼェ



バッ



バキィッ



天海「があっ!?」ゴロンッ

巌窟王「そこで転がっておけ。そこそこ強く蹴ったから、もうどこが上でどこが下かもわからないだろう」

巌窟王「無理をするな。毒が余計に回って用事が済む前に死ぬぞ」スタスタ

天海「……」

天海「ぐ……があああああっ!」バッ

巌窟王「なっ……!?」



ガシッ



天海「離ざ……げほっ……ない……!」

天海「どごにもっ……はぁっ……行がぜないっ……!」ギュウウウッ

667: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:22:21.76 ID:LyzE1XHU0
天海「俺っ……俺はっ……!」ゼェハァ

巌窟王「……?」

巌窟王(コイツのどこからこんな力が出て来る?)

巌窟王(いや。毒が回っていることは重要ではない。無理をすれば体は動かせるのだからな)

巌窟王(問題は『無理をしなければいけない理由』がどこにあるか、だ)

巌窟王「……」

巌窟王「後で事情を聞こう。後でな」


バッ


バキィィィィッ




天海「がっ……! う……」ゴロンッ

天海「おえっ」ビシャッ



ボタボタッ



巌窟王(ム。しまった。ちょっと強く蹴り過ぎたな。結構転がってしまった上に血も流しすぎだ……)アセッ

巌窟王「天――」




「天海くんっ!」



巌窟王「ん?」

巌窟王(誰かが天海に駆け寄って……?)

巌窟王(あれは……あれ……は……)

白銀「天海くん……! しっかりして! 天海くん!」

天海「ごっ……白銀ざっ……なん……ごぼっ」

白銀「……!」

巌窟王「――は?」

669: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:32:24.12 ID:LyzE1XHU0
天海「だめ……逃げ……ご……うっ!」

巌窟王「……」

巌窟王「おい」

白銀「!」バッ

巌窟王「……!」

巌窟王(なんだその眼は。何をしている。何故引き返してきた? 何故……)

巌窟王(これではまるで、貴様は……)メラッ

白銀「やめて」ガタガタ

巌窟王「!」

白銀「やめ……て……お願い……!」ガタガタ

巌窟王(涙を流しながら何を懇願している? 何を……俺が天海を殺すとでも?)

巌窟王(愉快な勘違いだ)

巌窟王(……そうだな。これ単品でなら、笑い飛ばせるだろう。あまりにも滑稽な勘違いだからな)

巌窟王(だが)

巌窟王「やめろ……だと?」メラァッ

巌窟王「貴様……どの口で言っている?」

白銀「が、巌窟王さ――」

巌窟王「どの口で言っているんだッ!? ああ、違う違う違う! そうではないだろう! 白銀、貴様ァァァ!」ボオオオウッ

巌窟王「今更何をしている! 何もかも手遅れだというのに、貴様はァ!」ボオオオオオオオオオッ

白銀「あ、あ、あ……!」ガタガタ

巌窟王「天海のために涙を流しているのか……!? 天海を守るために引き返して来たのか?」

巌窟王「遅い……何もかも遅すぎる! ああ、何もかもッ!」ボオオオオオオオウッ

白銀「あ、熱い……よ……やめ……! 私はどうなってもいいけど、天海くんは……!」

巌窟王「やめろ……やめろやめろやめろやめろ!」







巌窟王「それ以上、口を開くなーーーッ!」

670: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:38:35.80 ID:LyzE1XHU0
最原チーム

百田「あと少しで寄宿舎の裏に着くぜ!」ゼェゼェ

最原「ありがとう! ごめん! 後でちゃんと水分補給してね!」

百田「あとマッサージも頼むァ。マジで足が棒みたいでよ……体も火照って滅茶苦茶熱いし」



ムワッ



百田「あれ? なんか暑くねぇ?」

最原「……急に気温が上がった? なんで――」





ゴロゴロゴロッ ドカァァァァァァァンッ




最原「……な、んの音……!?」

百田「コイツは……! 雷鳴と同じだ。急激に気温が上がって空気が爆発的に膨張した音……!」

百田「なんだ? こんな熱源、どこに……」

最原「……いるとしたら、たった一人だけだ」

最原「あそこ見える、黒い炎……! あれは……!」

671: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:44:29.88 ID:LyzE1XHU0
「うおおおおおおおおおおおおおお……!」

白銀「……う……わ……ううっ……!」ガタガタ

白銀(もう一歩も動けない。恐怖で……疲労で。痛みで)

白銀(違う。こんなはずじゃなかった。巌窟王さんの怒りを一身に受けるのは私だけのはずで……!)

白銀(他の誰を巻き込む気もなかったのに!)




「うおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」




白銀「……」

白銀(甘く見てた。あまりにも桁が違いすぎる……)

白銀(あれはもう人間じゃない)

白銀(人の身を捨て、その魂すべてをくべて燃え続ける――)





「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」





白銀「復讐鬼――!」




「があああああああああああああああああああああああああああああッ!」

672: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/01(日) 21:47:37.02 ID:LyzE1XHU0
第五章
Cosmos in the lostmemories


END



残り人数
??人



TO BE CONTINUED




セミラミス印のイースターエッグを手に入れました!

680: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 20:42:25.21 ID:OuhbnerR0
最原(選択を間違えたかもしれない)

最原(ぼんやりと、あの黒い炎を見ながら思う)

最原(もしかしたら僕は、少し前の段階で、見えている地雷を放置してしまったのかもしれない)

最原(でも……ああ! でも、今の僕にはもう、それをどうすることもできない!)

百田「終一。このまま行けば、多分とんでもないことになるぜ。それでも行くか?」

最原「当然!」

百田「おお! じゃあ行ったるぜオラーーー! 覚悟を決めろ! 決めた! うおおおおおおおおお!」ダッ

最原(それでも僕は……止まらない! 止まりたくない!)

最原(僕は何も、成し遂げてないのだから!)









「うおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおおッ!」

681: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 20:44:38.19 ID:OuhbnerR0
第六章

超高校級の生徒たちが超高校級の召喚を目撃し超高校級の協力で超高校級の絶望に立ち向かい超高校級の結末を掴むお話

682: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 20:53:07.38 ID:OuhbnerR0
校舎内

茶柱「なんか暑くないですか?」

アンジー「……む。魔力を大量に持ってかれてるー……」

茶柱「え?」

アンジー「転子。外に出よう? この状態が続くとアンジー、倒れちゃうかもしれないからさー」

茶柱「え、ええ。そうしましょうか。どうせこの場に長くとどまっていても何も収穫はないわけですし」

茶柱「というか外が妙に騒がしいですし」



ドガシャアアアアア!



獄原「うわあああああああああ!」

入間「ひええええええええええ!」

エグイサル「」ガシャコーンッ!

アンジー「ん?」

茶柱「!?」ガビーンッ

入間「ああああああああああ! 校舎の中に入っても追ってくるのかよおおおおおお! もうやだよおおおおお!」

獄原「入間さん! しっかり捕まってて! このまま逃げるから!」ダッ

入間「ひえええええええん……」

エグイサル「」ガシャコンガシャコンッ……







茶柱&アンジー「……」

茶柱「行っちゃいましたね。なんでしょうあれ」

アンジー「わからないけど理由なく被虐されちゃう系の女子だから。美兎って」

茶柱「さっきまでのエグイサルと違って殺意はなさそうでしたし、放置安定ですね! 行きましょう!」

683: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 20:59:33.11 ID:OuhbnerR0
寄宿舎の裏手


ゴオオオオオオオオオッ



最原「……!?」

百田「なんだよ。あの火柱は……!? 呼吸するのが苦しいくらいの熱気だぜ!」

最原「あれは……」




「うああああああああああああああああッ!」




最原「!」

最原「……中心に巌窟王さんがいる! ありったけの勢いで炎を放出してるみたいだ」

百田「んだとォ!?」

最原(あと……他には……?)ジーッ

最原(いた! 白銀さん……と……)

最原「……なんで天海くんまでここに!?」

百田「お? あ……天海!? 白銀!?」

百田「おいおい! これだけ離れてても息が詰まるほどだぞ! あんな近くにいたら……!」

最原「十分も持たない。どっちも死んじゃう!」

最原「……理由はわからないけど、明らかに正気を失ってる! なんで!?」

684: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 21:06:49.35 ID:OuhbnerR0
ゾロゾロゾロッ

星「おい! これは一体どういうことだ? 巌窟王に何があった?」

真宮寺「これは……見ようによっては美しい光景、だけど……」

赤松「……声が……巌窟王さんの叫び声が、なんか……」

東条「苦しんでるみたいね。まるで」

最原「みんな!」

夢野「んあー……んあっ!? あそこに白銀と天海がおるではないか! まずいぞ! 本当に!」

夢野「よーし! ウチが二人をあの場から引きずって避難させてくる! ちょっと待っておれい!」



ブワッ


ボッ



夢野「ああっちいいいいいいい! あちゃちゃちゃちゃちゃ!」ジタバタ

最原「帽子が発火したーーーッ!?」ガビーンッ

百田「火花だ! 黒い火花が飛び散ってやがる! 迂闊に近づいたら引火するぞ!」

春川「……これ……二人は詰んでない? 地面に伏せてれば火花は大丈夫そうだけど……」

春川「匍匐前進で移動しようとしたら、素人の二人じゃ結構時間がかかるよ」

春川「加えてこの熱風。逃げ切る前に力尽きる可能性が高い」

最原「くそ……考えろ! 考えろ! 何か……何か手があるはずだ! 何か!」

アンジー「……」タッタッタッタッ

最原「……」







全員「ん?」キョトン

アンジー「熱い」バキィッ

巌窟王「ぐはっ」

全員(グーパンしたーーーッ!?)ガビーンッ

685: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/02(月) 21:12:02.88 ID:OuhbnerR0
茶柱「アンジーさーーーんっ! 引き返してくださーい! 蒸し殺しにされますよーーーッ!」

百田「ていうかアイツはなんで普通に徒歩で近づけてんだよ! 火花はどうした!?」

春川「……気のせいかな。アイツの周りだけ火花が避けて通った、ような……?」

最原(多分気のせいじゃない!)ガーンッ

巌窟王「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

アンジー「やめて」

赤松「うわああああああああああ! 明らかに暴走状態の巌窟王さんに凄い対応してるーーーッ!」

真宮寺「いくら彼女でも、今回ばかりは無理……!」







巌窟王「アンジーに殴られた……」ガクリッ

春川「あ。膝折った」

星「熱気が消えたな」

東条「解決ね」

最原「終了ーーーッ!」ガビーンッ!

687: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/03(火) 19:19:12.15 ID:C9U7A5Y00
百田「おし! さっさと近づくぞ! 東条!」

東条「任せて! 全力で処置を開始するわ!」

入間「例の処置はやるなよ。マジで。頼むから」

東条「善処するわ!」ダッ

最原「……」

最原「あ。茶柱さんも来てたんだ」

茶柱「お、遅い……!」









アンジー「言ったよね。アンジーは湿気と熱気が嫌いなんだよー? 絵具とか種類によっては溶けちゃうから」

巌窟王「熱気に関しては聞いたことがな――」

アンジー「え?」

巌窟王「いやだから熱気に関しては言ってな――」

アンジー「え?」

巌窟王「……」

巌窟王「いっ――」

アンジー「え?」

巌窟王「……ってたかもしれないな。ふむ」

688: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/03(火) 19:47:02.84 ID:C9U7A5Y00
百田「天海! 白銀! 大丈夫か!」

東条「これは……どっちもかなり危ないわ。火傷が酷すぎる……! それ以外にも骨がところどころ折れてるわ」

星「治療は? 間に合うか?」

東条「この学園の設備ではとても間に合わない!」

入間「例のあの処置は!? もう死ぬよりはマシだろ!」

東条「それも含めても、助かるかどうか……!」

百田「……!」

百田「おい! 『巌窟王』!」

巌窟王「!」

百田「テメェどういう了見だ! ああ!? なんでこんなことをした!? 答えによっちゃぶん殴るぞ!」

巌窟王「喚くな。元より殺すのは白銀のみのはずだった。それを天海が『何故か』邪魔をしただけのこと」

巌窟王「身の程を弁えて俺の前に出なければこんなことにはなっていなかっただろう」

百田「」ブチッ



ブンッ



巌窟王「ふん」ガシッ

最原(パンチを軽く防がれた……! いや、今百田くん、巌窟王さんのことを呼んだ?)

百田「その言い草……本っ当に一々イラつくヤツだぜ! 普段ならテメェの味として流すが、今回ばかりは許しちゃおけねぇ!」

春川「……今回? 前回があったってこと?」

百田「ん……?」

百田「……??????」

最原(全部思い出した……ってわけじゃなさそうだな)

689: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/03(火) 19:53:53.55 ID:C9U7A5Y00
東条「もうこうなったらモノクマに頼るしか……獄原くん!」

入間「!」ビクッ

東条「……」

東条「ん?」

夢野「ゴン太はエグイサルに追われてたじゃろ。ここにいるはずがないのではないか?」

星「待て。何かおかしいぞ。ならなんで入間がここにいる?」

入間「……」ダラダラダラダラ

春川「凄い汗」

星「……入間?」ゴゴゴゴゴゴゴ

百田「後にしろ! とにかく今は応急処置でもなんでも……!」

巌窟王「……アンジー。魔力を回せ」

百田「お?」

アンジー「わかったー!」

百田「……何する気だ?」

巌窟王「最初からする気だったことをするだけだ。宝具、真名解放――」







巌窟王「待て、然して希望せよ(アトンドリ・エスペリエ)」

690: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/04(水) 19:17:13.68 ID:y6RzaTLN0
ポオウッ

最原「……!?」

百田「な……んだこりゃ。傷が塞がって……」

入間「おお! おおーーー! なんだこりゃ! なんだこりゃ! マジか!」

入間「巌窟王! テメェ『回復宝具』なんか持ってたんだな!?」

最原(そ、そういえば疑似学級裁判のときにアンジーさんに使おうとしていたような……?)

東条「……何故今まで使おうとしなかったの?」

巌窟王「アンジーと俺の両方の状態が万全でなければ使えないからな」

巌窟王「必然、アンジーの治療には使えない。治療が必要な状態ならアンジーは『万全』ではないのだから」

最原「……ともかくこれで天海くんは助かる、か……よかった」ホッ

百田「ああ! この調子なら白銀も治療できんだろ! テメエも気が利くようになったじゃねぇか!」ケラケラ

巌窟王「……」ニガニガ

百田「……なんだその顔」

巌窟王「白銀を救う気などさらさらないが」

百田「まあテメェならそう言うと思ったぜ。なんでかまったく知らねーけど。ていうか本当にテメェは誰だ。まったく知らないのに親しみだけはあるぜ」

最原(記憶の改竄のせいで言ってることが滅茶苦茶だ)ズーン

百田「おいアンジー! テメェからの指示ならコイツも従うだろ! 言ってやれって!」

アンジー「……」ニガニガ

百田「!?」ガビーンッ

最原「ま、まあそうだよね。アンジーさんも嫌がるよね、それは……」

691: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/04(水) 19:25:54.65 ID:y6RzaTLN0
最原「と……いうか」

最原(……空気が全体的に消極的だ。白銀さんを助けたくないって態度で言ってる)

最原(このまま死ぬのなら別にそれでいいんじゃないか、みたいな)

夢野「巌窟王! 何をワガママ言っておる! 白銀のこともキチンと治療せい!」

夢野「……っていうか白銀の方が全体的に傷が酷いぞ! 何があったんじゃコイツ! 目! 目!」アタフタ

巌窟王「……」ジーッ

夢野「……んあ? なんじゃ? ウチのことじっと見つめおって。や、やるか? やるのか?」ビクビク

巌窟王「……」ナデナデナデナデナデ

夢野「何故撫でる?」

最原「あ、ああ……うん。夢野さん。そのまま撫でられておいて。天海くんの治療はもう片手間でもできるっぽいから」

夢野「んあー?」

赤松「ごめん夢野さん。現実に残ってる人たちと再会したとき、軒並み感動したけどさ」

赤松「夢野さんだけは特別だから」グスン

夢野「何故涙ぐむ?」

最原(本当に酷い死に方してたからなぁ。あっちでは)

最原「……」

最原(どうしよう。白銀さんの処遇。助けた方がいいのかな……)

最原(このまま死なせるのは……なんか納得がいかない。本当にその程度の忌避感でしかないけど……)

694: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/05(木) 22:21:17.11 ID:cKgWPHU40
百田「もう一回言うぜ……白銀のことも治療しろ。巌窟王」

巌窟王「断る、と言ったら?」

百田「テメェ。そんなこと言うんならなぁ……俺だってなー……!」

百田「……」

百田「許さねーーーッ!」ズガァァァンッ

春川「何も思いつかないってさ」

最原「もうちょっと頑張ろうよ百田くん! もっとあるでしょ! アンジーさんを人質に取って交渉するとかさ!」

アンジー「!?」ガビーンッ

春川「ペンチはあるよ。足の爪から剥がしていこうか?」スッ

最原「あ、ごめん。そこまでエグいことは考えてなかった。せいぜい吐くほどくすぐる程度が限界かなって……」

赤松「それはそれでエグいから!」

百田「……仲間なんだぞ……助けろよ……!」

百田「俺は白銀がここで死ぬ様なんざ見たくねぇ!」

夢野「巌窟王……!」

巌窟王「……」

最原「……巌窟王さん」

最原(もう、いいか。こっちの方が明らかにデメリットが少ない)

最原(何よりも……仲間だったときの顔が一瞬、頭にチラついた)








最原「殺すだけならいつでもできるでしょ?」

巌窟王「貴様……」

最原「……そう考えてさ。納得してくれないかな」

698: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/06(金) 22:25:43.22 ID:fOYEQ7xP0
巌窟王「……そこまで言うのなら聖杯を使って強制してみろ」

最原「絶対に抵抗するよね。少なくとも白銀さんがこのまま死ぬまで」

最原「だから今すぐに巌窟王さんには、自分の意思でかつ納得ずくで頷いてもらいたいんだ」

巌窟王「クハ、クハハハハハハハハ!」

巌窟王「貴様の舌の回転率には今まで何回も驚かされたが、今回は随分と出来の悪い理論だ!」

最原(だよなぁ。何か他に判断材料がないといまいち説得しきれないかも……)

最原「あれ。そういえば」

巌窟王「クハ?」

最原「話は戻るけど、そもそもどうして天海くんが白銀さんと一緒に燃やされてたんだろう?」

巌窟王「」

巌窟王「」

巌窟王「……そ……それは……」ダラダラダラ

最原「……」

最原(一か八かになるけど、やる価値は充分にある、か?)

最原「巌窟王さん。わかった。やっぱり白銀さんの治療はしなくていい」








最原「ただし、僕が白銀さんの体を調べるのだけは絶対に邪魔させない!」ギンッ

巌窟王「!!!!!!!!」ギクウッ

699: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/06(金) 22:35:33.03 ID:fOYEQ7xP0
巌窟王「……」アタフタ

巌窟王「……」

巌窟王「……クハハハハハハ! それがどうした!? やりたいのなら好きにすればいい!」

アンジー「平静を取り繕うのに時間かかりすぎだよー。なにか調べられたら困ることがあるのがバレバレのバレだー」

巌窟王「アンジー!」

百田「……なに慌ててんだ? 白銀の体になにかあんのかよ」

最原「それを調べるためにも、白銀さんの怪我を調べてみようか。みんなで」

夢野「右腕の負傷が酷いのう」

百田「うわ。なんだこりゃ。ひっでーな」

春川「脱臼。骨折のオンパレード。特に指なんかは一本一本丁寧に折られてるって感じだよ」

最原「誰かに拷問されたのかな……あれ。そういえば白銀さんの制服、前面の部分が泥で汚れまくってるけど……」

春川「……右腕を後ろ手に捻り上げた後で、地面に押さえつけて拷問したから、だと思う。そう考えるとしっくり来るな」

夢野「一体誰がこんな酷いことを……!」

巌窟王「……」アタフタ

アンジー「……」

アンジー「治療しよ? 知られたくないことがあるのは態度を見ればわかるしさー」

巌窟王「ぐ、ぬ、が……!」

巌窟王「……可愛げのない生徒どもめ」フウ

700: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/07(土) 21:14:45.77 ID:DCvkN2iT0
春川「……?」

春川(なにこれ。折れた方の指が……『ありえないこと』になってる?)

春川(あ、いや。順番に考えればいいのか。ええと……)



ポオウッ


春川「あ」

巌窟王「治療するから、そこから離れろ」

最原「……ごめん。巌窟王さん」

巌窟王「まさかアヴェンジャーたる俺を脅すようなマネをするとは……」

アンジー「ような? ううん、実際に脅したんだよね?」

最原(あともうちょっと調べられれば何かわかったかもしれないんだけど……)

最原「……白銀さんに拷問の痕があった、くらいしかわからなかったな」

百田「充分だっつの。ひとまず巌窟王が保身のためとは言え、治療をする気になってマジでよかったぜ」

夢野「しかし許せんのう! 一体誰がこんなに白銀をボコボコにしたんじゃ! 見つけたら絶対に許さんぞ!」

茶柱「……」ギク

夢野「……ハッ! 転子!」ビクッ

茶柱&夢野「……」

茶柱(白銀さんを拷問したわけじゃありませんが、ある程度の傷は転子のせい……だとはとても言えないですよね。治してくれてよかった……)

夢野(思いっきり心配させてしまった。どう謝ろうかまったく思いつかん。どうしよう)

茶柱&夢野「……」アセッ

最原(なにか重大なすれ違いが起こっている気がする)

701: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/07(土) 23:31:35.21 ID:DCvkN2iT0
春川「……」キョロキョロ

百田「ハルマキ? 何探してんだよ」

春川「大したものじゃないんだけど……引っかき傷と血痕の残った『何か』」

最原「え?」

春川「……気になるのなら最原も探してみなよ。多分、どこかにはある」

最原「……」

百田「いや。もういいだろ。そういうの」

最原「え」

百田「俺たち全員、生きてるんだからよ! これ以上の結果なんか求めようがあるか?」

百田「まあ、キーボに関しては後で白銀にどうにかしてもらうのは確定だけどよ。早くあそこから出してやろうぜ」

最原「……」

最原(これで終わり……)

最原(本当に?)

巌窟王「まだだ。モノクマの姿を見るまでは安心することはできない」

百田「お」

東条「そう。それよ。確かモノクマは獄原くんが連行していたはずよね」

東条「その獄原くんとは入間さんが同行していた」

夢野「……その入間がなんでここにおるんじゃ?」

入間「……えーと……それは……そのう……」ダラダラダラダラ

星「言っておくが……余計な言い訳はするなよ」

入間「させろよ! ちょっとくらい!」ガビーンッ

入間「わーったよ。言い訳しなきゃいいんだな。言い訳しなきゃ……」

入間「……」








入間「○○男爵」

春川「確かに言い訳はしてないね。言い訳は」

百田「おいコイツ受け答えそのものを放棄しやがったぞ!」ガビーンッ

入間「世界ヌーブラ条約!」シャキーンッ

東条「全員でリンチすれば多少は知能が戻るかしら」

入間「ひい! 銀河大○○!」ガタガタ

夢野「全力じゃあ! 全力で受け答えを拒否っておるぞコイツ!」ガーンッ

最原「ちゃんと喋って」キィィィィンッ

入間「ぎゃああああああああ! テメェェェェェェ!」ビリィッ

赤松(躊躇なく使うようになっちゃったなぁ。聖杯)

703: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/08(日) 23:19:33.32 ID:Xq9AAwSG0
入間「さて……どっから話せばいいやら」

星「……」スッ

入間「無言で鉄球とテニスラケットを構えるんじゃねえよ、漏らすぞコラ」

赤松「星くん。この人漏らすって言ったら本当に漏らすからしまって。誰も得しないから」

茶柱「入間さんです……そしてこのノリは完全にいつも通りの才囚学園生徒一同です……」

最原「うん。やっぱり懐かしい?」

茶柱「こうしていられた時間は相当短いはずなんですけどね。転子の記憶では」

茶柱「あと変な男死もいますし」

巌窟王「……?」キョロキョロ

アンジー「……」オマエオマエ

巌窟王「!?」オレカ!

茶柱「なんかアンジーさんとアイコンタクトだけで話しててめっちゃ不快なんですけど」

入間「……お取込み中なら俺様気を使って帰るけど……」

星「……」スッ

入間「漏らすっつってんだろが! わかってるよ!」

入間「端的に言っちまおうか。巌窟王が戦ってる無尽のエグイサル、動きからして誰かが遠隔で操ってるのは間違いがなかった」

入間「だがモノクマはとっくのとうに押さえたし、なによりモノクマにはエグイサルに対して大雑把な指示しかできねーはずなんだ」

入間「さっきまでエグイサルをモノクマが動かせていたのは、正確にはエグイサルではなくモノクマーズの方を動かしてたからだろうな」

入間「……今となっちゃ確かめる術がないけど。ほぼ間違いがねーと思う」

最原(あってる)

百田(あってんなぁ)

704: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/08(日) 23:31:15.19 ID:Xq9AAwSG0
入間「で。遠隔でエグイサルを操作する方法が一つだけあったのを思い出した」

入間「というか、俺様が作ったんだけどな……」

最原「え」

入間「前の学級裁判、確かダサイ原。テメェ俺様の研究教室に無断で入り込んでたよな?」

入間「イリスアゲート・エレクトボムに関しての情報をかっさらってたし」

最原「……!」

最原(まさか。あの研究教室の中に、鍵があるのか?)

最原(忘却補正があるけど、それは忘れないだけで、記憶を思い出すという手間がかかる)

最原(……ちょっと探ってみようか。自分の記憶を)

百田「終一? 急に黙ってどうした?」

最原「……思い出してただけ。そうだ。チラッと見ただけだけど、覚えてるよ!」

最原「でも現物は見てなかったから完成はしてないものだと……!」

入間「してねーよ。設計図だけだ。でも材料は全部揃えてあったし、バカ松からの怪我を直したらすぐにとりかかろうと思ってた」

茶柱「……なんの話です?」

入間「エグイサルの遠隔操縦技術。作ったのはなんとビックリ! 俺様でした!」ヒャッハー!



バカスカドカドカッ バキィッ!

ギャー!




GET NEW SIGABANE!!


才囚学園の生徒にリンチされて死亡(?)

705: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/08(日) 23:45:12.89 ID:Xq9AAwSG0
入間「……ハッ! い、一回死んだ気がする……」

最原「何言ってるの? 一回死んだら生き返れないでしょ」

星「先にトイレに行かせておくべきだったな……今回は大丈夫だが今度こそ漏らすかもしれん」ギロリ

入間「うおーーー! 仲間に向かってなんて仕打ちだ! 俺様下を濡らす前に顔が濡れるぞ! 涙で!」

百田「ノリでボコっちまったけど、まあ確かに軽率に殴るべきじゃなかったな。悪ィ悪ィ」

春川(態度が軽い)

入間「おお! わかりゃいいんだよ宇宙バカ!」ヒャハッ

春川(頭が軽い)

入間「で。話はエグイサルに俺様たちが襲われたあたりに戻ってくるか……」

入間「実は巌窟王が脇目もふらずに、エグイサルを放置してどっか行くのを俺様たちは校舎の影から目撃してたんだよな」

最原「……」チラッ

東条「事実よ。そのころは私、星くん、獄原くん、天海くん、夢野さん、入間さんで揃っていたから、その証言の証拠になるわね」

最原(僕たちが白銀さんを探していたあたりかな)

入間「……その直前あたりから、エグイサルの動きが妙だった。まるで操縦者が変わったみたいな……」

入間「まあともかく、問題はそこからだな」

星「巌窟王に放置されたエグイサルが、突如として俺たちの方へと突っ込んできやがった。無造作にな」

星「あまりにも不自然な挙動だが、これが事実だ」

夢野「結果、ウチらは全員散り散りに散開せざるを得なくなり……」

夢野「入間とゴン太の方をエグイサルは追尾し始めたんじゃ」

夢野「ちなみに、その前にウチらは協力してモノクマを追い詰めておったんじゃぞ。拘束してゴン太に連行させておったんじゃ」

最原「改めて聞くと凄い戦果だよね」

東条「……この後の話の展開によっては怖い話になるわ」

707: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/09(月) 21:33:18.87 ID:mv08Xe0Y0
入間「気付いたのは結構後だったな」

入間「ゴン太と一緒にエグイサルから逃げまくっていたときだよ。『あ、これ俺様の発明品で動かされてんな』ってピンと来たんだ」

入間「具体的に誰が! どこで! とまではわからない。エグイサル本体を詳しく見ない限りは逆探知も不可能だしよ」

入間「だが俺様の発明品を使われているとわかったら儲けものだ。あとは俺様の発明品でもなお不可能なものを思い出せばいい」

最原「つまり?」

入間「あのエグイサルは初心者向けに俺様が付けた『半自動操縦モード』になっていた、となんとなく挙動から察することができた」

入間「なんも知らないヤツが動かせば、コントローラーから手を離したにも関わらずエグイサルが勝手に動いていて」

入間「止めようともがいても頭で思うような操縦ができない、みたいな食い違いが発生しちまう」

春川「ああ。それであんなトンチンカンな挙動になってたんだ」

百田「……あれ。でも最初のときは確かに動きはガタガタだったけど、巌窟王のことをキチンと攻撃していたような気がするぜ」

入間「詳細は不明。白銀は御覧のあり様だしよ。後で訊いてみりゃいいんじゃねぇか? それこそ聖杯で」

最原「あまりそれは……やりたくないな」

東条「……で。結局あなたはどうしたの? 自分の発明品が使われていると閃いたからって、どうして逃げ切ることができたの?」

入間「……」

真宮寺「最原くん」

最原「口を閉じないで」キィィィィンッ

入間「あぎゃぎゃぎゃぎゃぎゃ!」ビリビリ

最原(……ん? 聖杯の効力が弱まってるような……)

708: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/09(月) 21:45:44.95 ID:mv08Xe0Y0
ほわんほわんほわんぬちょぬちょー


回想(という名の入間の妄想)




獄原「くっそーウホ! どれだけ逃げてもエグイサルに追いつかれてしまうウホ!」

獄原「ああ! やはり入間様の足元にも及ばないお粗末脳味噌のゴン太には、入間様を守ることなど到底できないミッションだったんだウホ!」

入間(そこで賢い入間様は、ゴン太に対してこう言ったのでした。『ひとまずここは二手に別れよう。追われた方は囮を担当するのだ』と)

入間(最初は渋っていたギリギリ人類ゴン太くん)

入間(しかし続く『追われなかった方は巌窟王か仲間を連れてきてエグイサルを協力して撃退する』というマーベラスな提案を聞くと……)

獄原「わかったウホ!」

入間(と即答。頭は残念ですが素直なのは美徳ですね)

入間(そしてゴン太くんは入間様の『せーの』の掛け声で、振り向かずにダッシュ!)

入間(え? 入間さまはどうしたかって? それは……)

入間(そう。なんと賢い賢い入間様は、じっとその場を動かずに息を潜めていたのです)

入間(半自動操縦モードだと、基本的にエグイサルは『動くもの』を追尾するようにできているのです)

入間(じっとしている入間様はなんとかエグイサルを愚かな愚かなゴン太くんに擦り付けることに成功し――)





現実

入間「こうして生き延びることができたのでした! はいお終い!」ヒャッハー!



バカスカドカドカッ バキィッ!

ギャー!




GET NEW SIGABANE!!


才囚学園の生徒にリンチされて死亡(?)

709: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/09(月) 22:00:46.38 ID:mv08Xe0Y0
入間「……ハッ! また死んだ気がする!」

赤松「最低だよ! この学園生活始まって以来の最低さ加減だよ入間さん!」

春川「仲間意識の欠片もない……」

入間「ま、待て。俺様はさっきも言ったように巌窟王とかテメェらを引き連れて体勢を立て直すためになぁ……」アタフタ

百田「その割には『ゴン太を見捨てたこと』を隠そうとしてたよなぁ?」バキンッ ゴキンッ

真宮寺「……獄原くんにエグイサルを押し付けるための口から出まかせだった、だろうからネ。それを実行しようとする意識が薄かったんだヨ」コキコキ

入間「首を鳴らすな! 威嚇か!? 威嚇のつもりかそれは!?」

入間「大丈夫だっつの! 半自動操縦状態じゃあ大した攻撃はできないし……!」

最原「それは本当だよね? 流石に」

入間「あ、ああ。もちろん。操縦者が変にコントローラーを弄らない限りは大丈夫だ」

入間「……なんならコントローラーを今から探すか? 電源を切るかスイッチを操作すればエグイサルは止まるぜ?」

最原「はあ。じゃあ、そうしようか。白銀さんがダウンしている今、コントローラーの詳しい位置がわからないけど……」

赤松「手分けすれば大丈夫、だよ! きっと見つけられるって!」

百田「おっしゃあ! じゃあさっさとコントローラーを探して仕上げと行くぜ!」

王馬「おー!」カチャカチャ

百田「……」

最原「……」

春川「……?」

赤松「あ、あれ。王馬くん、いつからそこに」

王馬「あ、ごめんごめん。ちょっと探し物してて遅れちゃった」カチャカチャ

東条「……あなた、それ、手で弄ってる箱は……まさか……」






ドガシャアアアアアンッ ガシャンガシャンガシャンガシャンッ……




王馬「お! 動いた動いた! いやー! やっぱ時代はマニュアル運転だよねー!」ケラケラ

百田「……今、校舎を突き破って出たのってエグイサルだよな……?」

最原「中庭に向かって走って行ったね。全力で」

赤松「え? 中庭?」





ズズウンッ……



夢野「……何かにぶつかったような音が、した、ような……」

真宮寺「中庭には何があったんだっけ?」

茶柱「キーボさんが中に入ってるっていう謎オブジェクトくらいしかなかったですけど……」

全員「……」






全員(ま    さ     か)

710: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/10(火) 21:31:31.36 ID:QiTrjQQ40
王馬「あれー。俺ってばゴン太を助けたいあまり、エグイサルの操作をうっかりミスってしまったようだなー」

王馬「くそっ! 無事でいてくれよキー坊!」

最原(わざとらしい!)ガーンッ

赤松「き、キーボくーーーんっ!」ダッ

百田「終一! 俺たちも……!」

最原「いや。僕は巌窟王さんを見張らないと。目を離した隙に白銀さんを事故に見せかけて殺されたりしたら堪らない」

巌窟王「クハハ! 信用がないな」

アンジー「念には念を、だと思うよー。終一だって誰彼疑いたいわけじゃないんだしさー」

巌窟王「フン。庇っているのか?」

アンジー「そだよー」

巌窟王「……」

最原「二の句が継げなくなるくらいならからかわなきゃいいのに!」

茶柱「本っ当にいいコンビですよ、この二人は……」ハァ

茶柱「……おや? 転子は今、なんて言いました?」

最原(……意外にみんな記憶の復元にてこずってるみたいだな)

最原(天海くんと僕は例外中の例外だったわけか……)

百田「じゃ、終一! 俺は入間を引きずってキーボのところに向かうぜ!」

春川「キーボが故障なんかしてたらコイツ以外に直せるアテがないもんね」

百田「行くぜ!」ダッ

入間「行くぜーーーッ!」ダッ

春川「……」ダッ

百田「あれ? ハルマキは別に来なくてもいいんじゃ……?」

春川「……」ベシッベシッ

百田「痛ぇ痛ぇ」

最原(めっちゃ叩かれてる……)

巌窟王(……気のせいか? 百田の背後に女神が見えたような……?)

711: 逆転の人 2018/07/11(水) 22:48:20.03 ID:ZbLa0Bva0
最原「……なんか……みんなの顔が見れるのは凄く嬉しいことのはずなんだけど」

茶柱「人が増える度に面倒ごとが倍々ゲーム状に増えて行きますね」

最原「ものすごく疲れる……」

茶柱「……あー……うー……そのー……」モジモジ

茶柱(ハグします?)

茶柱「……」

茶柱「言えるわけないでしょうッ!」ゲシィッ

最原「何が!?」ゲフアッ!?

巌窟王「……ふむ。やっとのこと、生徒たちに余裕が戻ってきたか」

アンジー「キーボの安否の確認。モノクマの所在の確認。やることまだまだ残ってるけどさー……」

アンジー「モノクマーズは全員いなくなったし、やっと一息付けるねー」

巌窟王「……よし。白銀の治療も終わったぞ」

アンジー「ん?」

アンジー(……妙に魔力の消費量が少ないような……?)

最原「……うん。よかった。二人とも無事だね。いつ意識が戻るかな」

巌窟王「ゆっくり寝かせておくがいい。今日は色々とありすぎた」

巌窟王「……少しくらい休息をとってもいいだろう」

最原「……うん。そうだね」

真宮寺「休む、か……いいかもネ。それ」

星「ああ。今日はあまりにも密度が濃すぎたからな」

星「……よし。部屋の鍵はキチンと服の中にあるな。いつも通りだ」スタスタ

巌窟王「どこに行く?」

星「部屋で寝る」

真宮寺「僕も便乗させてもらうヨ」スタスタ

東条「……」

巌窟王「……貴様にできることも、もうないだろう。東条」

東条「そうね。忌々しいけど、その通りよ」

最原(忌々しいの?)

東条「……でもしばらく様子を見させてちょうだい。赤松さんたちが帰ってくるまでは」

巌窟王「好きにしろ。俺たちはこの二人を病院に運ぶ」

巌窟王「天海は完璧に治したとは言え、心理面での傷はどうにもならないのでな」

王馬「あれ? 白銀ちゃんの方は?」

巌窟王「……」

最原「……え。なんで黙るの?」

712: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/11(水) 23:02:10.96 ID:ZbLa0Bva0
巌窟王「……治した。最原、貴様の狙い通りな」ギロリ

最原「う、うん。ありがとう。あと怖いから睨むのやめて」

巌窟王「……アンジー。白銀のことを運べるか?」

アンジー「もっちもちー。任せてよー……重っ。引きずっていい?」

巌窟王「許可する」

最原「ダメに決まってるでしょ」

夢野「仕方がないのう。ジャガーマンの加護を使って、ウチが白銀を運ぶとしようかの」

茶柱「どちらにせよ夢野さんの体格じゃ引きずることに変わりないのでは……」

夢野「じゃあゴン太に運ばせるか。エグイサルから解放されて、今頃フリーになっておるはずじゃし」

夢野「……そういえばゴン太、今どこにいるんじゃろうな?」

最原「もう終息したとは言っても、これだけ騒いだわけだし。どこかで気が付いてこっちに向かって来そうなものだけど……」

獄原「みんなー!」ドタドタ

夢野「おお! 噂をすればハゲじゃな!」

最原「惜しい。影だよ」

巌窟王「クハハ! 獄原、来たか! もうすべてが終わった後にノコノコと!」

獄原「あ、うん。ごめん。でも今はそれどころじゃなくって!」

東条「……?」

東条「獄原くん? モノクマは?」

獄原「壊れた!」

夢野「そうかー。壊れおったかー。そりゃ大変じゃったのー」

夢野「は?」









獄原「エグイサルに踏みつぶされて、粉々になっちゃった!」

茶柱「……」

最原「……」

巌窟王「……」

アンジー「……」

全員「マジで!?」ガビーンッ!

718: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/12(木) 21:02:06.58 ID:tlHzTpbt0
校舎内

最原(白銀さんと天海くんのことを、茶柱さんと夢野さんに任せた僕たちは、エグイサルの開けた穴から校舎の中に入った)

最原(そこで目に入ったのは……)

モノクマ「」ボロッ

最原「……本当に壊れてる」

東条「何があったの?」

獄原「何があったかって訊かれると色々とあるんだけど……」

獄原「……端的に言えばモノクマが自殺したってところかな」

巌窟王「自殺だと?」

獄原「エグイサルから逃げている途中、モノクマがもがいてゴン太の脇からすり抜けたんだ」

獄原「縛ってたから本当に、もがく以上のことはできないはずだったんだけど……」

アンジー「あー。もがいてもがいてもがいて……エグイサルの方に意図的に転がっていったんだねー」

獄原「うん。本当にびっくりしちゃったよ」

東条「でもなんでこんな無駄なことを……」

最原「……」

最原(自分で自分の口を封じた?)

最原(……いや。もっと別の何かがある気がする)

巌窟王「ふん。だが第一の学級裁判のときを思い出してみるがいい」

巌窟王「ヤツには増殖機能があるという話ではなかったのか?」

最原「ああ。モノクマを生産するために、黒幕がモノクマカラーの隠し扉に向かうはず、って話題のときに出たね」

最原「……」

最原「……ッ!」ゾクッ

最原(……白銀さんを生かしといて正解だったかも、しれない!)

719: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/12(木) 21:14:31.41 ID:tlHzTpbt0
モノクマルール『三つ、モノクマはコロシアイによらず生徒を外に出す手続きを行うことができる。これを最後の学級裁判と呼ぶ』

モノクマルール『四つ、モノクマは生徒の求めに応じて最後の学級裁判を開催できる』

モノクマルール『五つ、モノクマの校則違反の証拠を糾弾する証拠があると生徒が判断した場合、モノクマは最後の学級裁判の開催を拒否できない』

モノクマルール『六つ、以上五つのルールをもってモノクマと生徒の公平さを保つ絶対不変のルールとする』





最原(そうだ。万が一、この学園からモノクマが消えたら最後の学級裁判を開催できなくなる!)

最原(実際にそうなってるじゃないか!)

最原(でも白銀さんが……白銀さんが生きている限りはまだ希望は潰えていない)

最原(……彼女を殺すわけにはいかなくなったな)

巌窟王「どうせすぐにモノクマは出て来る。スペアの体など、ロボットにありがちな設定だろう」

巌窟王「さて。明日になったら全員、脱出の準備を整えろ」

最原「え?」

巌窟王「俺の召喚したときのことを思い出せ。あのとき外に出れなかったのは、何故だ?」

最原「何故ってそれは当然――」

最原「あ!」






巌窟王『しかしそれならば話は更に簡単になったな。アンジー。不幸だと言ったことを素直に訂正させてもらおう』

巌窟王『巌窟王は脱獄の英霊だ。この程度の牢獄を破壊することなど造作もない』

百田『マジか!』

巌窟王『さあ! 魔力を回せアンジー! 我が宝具でお前を縛ることごとくを破壊してみせよう!』

アンジー『うん!』

アンジー『……』

アンジー『魔力を回すってどうやるのー? ジャグリング?』

巌窟王『……』

巌窟王『計画は頓挫したな!』ギンッ

赤松『早ァッ!?』ガビーンッ!





東条「うっかりしていたわ……今までが今までだったから!」

東条「巌窟王さんはもう、万全よ! いつでも脱出できるわ!」

最原「あーーー!?」ガビーンッ

最原(そうだ! ついさっきも真宮寺くんがそう言っていたじゃないか!)

最原(もう僕たちは実質、閉じ込められていない!)

最原(……でも)

最原(外に出たところで、何があるんだろう?)

720: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/12(木) 21:23:41.89 ID:tlHzTpbt0
巌窟王「さあ! 仕上げだ! アンジー、魔力を回せ!」

巌窟王「この学園を……コロシアイを! 終わらせてやるッ!」

アンジー「眠いからやだ」ウトウト

巌窟王「明日にしよう!」ギンッ

最原「この期に及んでアンジーさんに甘すぎる!」ガビーンッ

巌窟王「……真面目な話だが、確かに今日は宝具を連発しすぎた。休息は必須だ」

アンジー「うー」ネムネム

巌窟王「部屋まで送る。背に乗れ」

アンジー「あうー」ヨイショ

巌窟王「……」

巌窟王「……白銀の処遇は、お前たちで考えろ」

最原「うん。わかってる」

巌窟王「後悔するなよ」

最原「……わかってるって言ってるじゃないか」

巌窟王「クハ……ではな」スタスタ

最原「……」

最原(考えないとな。外に出て、何をすればいいのか)








中庭

百田「……」

春川「……なにこれ」

入間「おい。キーボはこの中にいたはずだよな?」

百田「……」






百田「いねぇぞ。からっぽだ」

724: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/13(金) 23:17:24.15 ID:IE/XJ06u0
寄宿舎

巌窟王「……」

部屋「」ボロッ

巌窟王(しまった。そういえばモノタロウを蹴り飛ばしたときに、爆発で一つ部屋が粉々になったような気がしたが……)

巌窟王(まさかアンジーの私室だったとは)

アンジー「むにゃ……」スヤァ

巌窟王「学級日誌を回収してから病院に移動するか……」キョロキョロ

巌窟王「……ム。ないな。妙だ。いくら荷物が散乱しているとは言え、そう簡単に消えるものか?」

巌窟王「まさか」

アンジー「ううん……」スヤァ

巌窟王「……明日にするか。病院に行くぞアンジー」

アンジー「えへ……」スヤァ

巌窟王(茶柱と鉢合わせしなければいいが)






病院

茶柱「がるるるるるるるるるる!」

巌窟王(遭遇してしまった)




アンジーをどうする気なのかと詰問され、そのまま一時間ほど不毛な問答をした

725: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/14(土) 21:45:21.00 ID:TFiqF0v40
最原「ご、ごめんゴン太くん……運んでもらっちゃって……」

獄原「うん。大丈夫。全然軽いから。それにしても最原くん、どうしてこんな酷い怪我してるの?」

最原「ゴン太くんたちがあの世界で消えた後、白銀さんにちょっと……」

超獄原ゴン太「ゴン太は怒ったぞーーーッ! 白銀さーーーんッ!」ドシュウウウウウウッ!

最原「ぐあああああああ熱いーーーッ! オーラが熱いいいいいいい!」ギャアアアアア!

獄原「あ。ごめん最原くん」フッ

最原「う、うん。いいんだよ。次からは僕が背中にいることを忘れないでね」

最原(ノリで言っちゃったけどオーラってなんだ……?)

東条「……まともな治療……はしてないわよね。当然。こっちに残っていた人の中で『治療』に関する技能を持った人は少なかったでしょうし」

最原「大体春川さんがやってたかな……」

東条「そう。余裕があったらさっきの天海くんや白銀さんのように、巌窟王さんに直してもらって……」

東条「……」

東条「どうするの? 白銀さんの処遇は?」

最原「何をどうするにしてもこれだけは絶対に言えるよ。まだ白銀さんには生きててもらわないと」

東条「そう」

東条「……正直に言うわね」

最原「?」

東条「怖いわ。物凄く」

最原「!」

東条「……死んでも許さない、なんて言葉にすると安っぽいけれども」

東条「少なくとも私は、白銀さんのことがとても怖いわ」

最原「……」

東条「……メイド失格ね。私情を吐露するなんて。忘れてちょうだい」

最原「うん」

最原(忘れられないんだけどなぁ)

726: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/14(土) 23:14:21.62 ID:TFiqF0v40
最原「……そういえば王馬くんはどこに行ったんだろう」

東条「さあ。巌窟王さんの視界に入らないよう警戒してたことは覚えてるけど」

獄原「忍び足でどこかに消えていくのは見たけど……」

最原(まあ巌窟王さんあんなこと言ってたし、嘘吐いた時点で王馬くんもそこら辺予測してそうなものだしなぁ)

最原(……なんとなくわかってきた。百田くんはデバイスを見たときに『外への助け』を期待しなかった。最初から『無理』だと覚えてたからだ)

最原(多分、世界の外の法則に触れたときに限定して、その記憶だけは蘇るんだろう。エピソード記憶に関しては全滅かな……)

獄原「……みんなボロボロだね」

東条「私の傷に関しては、そろそろ活動に支障がなくなる程度には回復してるのだけど」

獄原「それでも痛いものは痛いでしょ?」

最原「……それももう少しで終わる。明日になれば白銀さんも起きるだろうし、巌窟王さんもこの学園を破壊できる」

最原「破壊した後で何が起こるかは未知数だけど……!」

東条「それでもここでコロシアイを続けるよりは遥かにマシよ」

東条「……不安?」

最原「うん」

獄原「ゴン太も同じだよ。外の世界がどうなっているのかを想像するだけで、震えが止まらないんだ……!」

最原(……外の世界は、そもそもこのコロシアイを作った連中がいる)

最原(エンターテイメントとして消費していたということは、少なくとも相当の権力がある組織だろう)

最原(どの程度の影響力がある? これだけの大がかりなセットを作るのなら……楽しんでいるのは何百万人……いや何千万人って単位かな)

最原(じゃないと採算取れないし)

最原「……」







最原(何億単位……とかは考えたくないな)

727: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/14(土) 23:30:11.82 ID:TFiqF0v40
東条「あら……?」

獄原「どうかしたの東条さん」

東条「藤棚のところに王馬くんが……」

獄原「あ。本当だ。何をしてるんだろう?」

最原「……」





春川『……』キョロキョロ

百田『ハルマキ? 何探してんだよ』

春川『大したものじゃないんだけど……引っかき傷と血痕の残った『何か』』

最原『え?』

春川『……気になるのなら最原も探してみなよ。多分、どこかにはある』





最原「……?」

最原(なんで今、こんなことを思い出して……)

最原「!」






赤松『あ、あれ。王馬くん、いつからそこに』

王馬『あ、ごめんごめん。ちょっと探し物してて遅れちゃった』カチャカチャ

東条『……あなた、それ、手で弄ってる箱は……まさか……』







最原(……王馬くんの持ってたエグイサルのコントローラー……)

最原(残ってた。春川さんの言っていた痕跡が)

最原(引っかき傷と血痕……? 違う! あれは! 血が混じった引っかき傷だ!)

最原(春川さんは何に気付いて、あんなことを言ったんだ?)

最原(……凄く背中がザワつく。今のうちに確認しておいた方がいいかもしれない)

728: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/15(日) 20:56:12.05 ID:4SovAEHr0
最原「あの。ゴン太くん」

獄原「王馬くんに話しかけるんだね? わかった!」

東条「……なにかあったら困るから、私も同行するわ」

最原「ありがとう!」

王馬「!」

最原(あ。こっちに気付いた)

王馬「……!」ダッ

最原(あ。こっちに走ってきた)

王馬「死ねェェェェェェェェェ!」ギャランッ!

最原(あ。なんでか知らないけどナイフ持ってぎゃああああああああああ!?)ガビーンッ

獄原「めっ」メコーンッ

王馬「まそっぷ」メキョッ

東条「刃物で、遊んじゃ、ダメよ」ゲシッゲシッゲシッ

王馬「いだだだギブギブ。打撲で死んじゃう。蹴るのやめて」

最原(即座に制圧された!)ガーンッ!

東条「なんでナイフなんか……」

王馬「無事に帰ってきた最原ちゃんをドッキリでお迎えしようと思って」

最原「度が過ぎてるよ!」

獄原(しかもこれオモチャじゃなくて本当に刃が付いてるヤツだ……)

729: 以下、名無しにかわりましてSS速報VIPがお送りします 2018/07/15(日) 22:53:57.25 ID:4SovAEHr0
数分後

王馬「エグイサルのコントローラー? あんなのが欲しいの?」

最原「うん。できれば確認したいことがあって……」

王馬「まさかタダで、とは言わないよね?」ニヤァ

最原「それは……いや、待って。この学園で用意できる報酬なんて高が知れてるよね?」

王馬「だから取引は無意味だって? そんなことはないよ。最原ちゃんには最原ちゃんにできることがあるし」

最原「例えば?」

王馬「外に出た後で俺と一緒に世界征服!」キラキラキラ

最原「……」スゲーヤダ

東条(凄くイヤだって顔が言ってるわ……)

王馬「……」

王馬「満更でもなさそうだね!」ズギャァァァァァンッ!

最原「凄いイヤだって態度でわからない!?」ガビーンッ

王馬「まあ今までのやり取りは全部冗談だよ。どっちにしろ意味がないし」

最原「え? 意味がない?」

王馬「もう最原ちゃんの机の上に放置してきちゃったからさ。気になる特徴があったから、あのコントローラー」

最原「!」

王馬「じゃ、おやすみー」スタスタ

最原「……無意味に人を引っ掻き回す天才だなぁ……でも」

最原(ありがとう)

731: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/16(月) 20:57:43.44 ID:GMWGh2FZ0
寄宿舎 ホール

夢野「……」キョロキョロ

最原「あれ。夢野さん?」

夢野「お。最原か。東条にゴン太も。モノクマはどうじゃった?」

最原「ダメだった。粉々になってたよ」

夢野「……せっかく捕まえたのに。虚無リティが高いぞ」ズーン

夢野「まあよい。もう夜も遅いしのう。最原よ、お主に渡したいものがある」

最原「渡したいもの?」

夢野「ぱりらたったらー。モノクマでもわかる家庭料理レシピ百選」

最原「め、滅茶苦茶どうでもいい本だね。意図がまったくわからないんだけど」

夢野「図書室の隠し部屋で見つけた」

最原「あ、うん。そうなんだ」

最原「……」

最原「……夢野さん。今のうちに聞いておきたいんだけどさ」

夢野「なんじゃ?」

最原「図書室の本ってどんなふうに並べられてたっけ?」

夢野「……」

夢野「本のタイトルの五十音順じゃ」

東条「……どうしたの? 最原くん。顔が真っ青よ」

獄原「すぐに部屋で休んだ方がいいんじゃない……?」

最原「あ、えと。夢野さん。他になにか気になるものは……!」

東条「寝なさい」ギンッ

最原「はい」ガタガタ

最原(……なにか……繋がってきた気がする……!)

732: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/16(月) 21:17:33.31 ID:GMWGh2FZ0
最原の自室

最原「……本当に机の上にある!」

最原(これがエグイサルのコントローラーか……パッと見だとどう動かせるのか全然想像が付かないけど)

最原(今、一番重要なのはそこじゃない)

最原「……春川さん。凄いよ。なんでわかったの」

最原(ある。間違いなく。強い引っかき傷と、血痕が)

最原(こんなふうにコントローラーに傷が付くのは、無理やりコントローラーを奪う誰かに対して全力で抵抗したときくらいだ)

最原(春川さんが白銀さんの負傷をチェックした直後にこれを予測したってことは……このコントローラーを最初に持っていたのは白銀さん!)

最原「でもおかしいな。焦げ跡がない……巌窟王さんが暴走していたとき、このコントローラーはまったく別のところにあったってことだけど」

最原「……」

最原(ああ、クソ! 真相に近づけば近づくほどに実感する!)

最原(あのときの僕は大馬鹿だ……! 見えてる地雷だったろうに!)





赤松『白銀さんのこと、助けたいんでしょ?』

最原『!』

赤松『……協力させてよ! 仲間でしょ!』

最原『……うん』

最原『うん!』






最原「赤松さん……!」

最原(いつか王馬くんが言ってたな。僕は心が弱いらしい。疑うべきを疑いたがらない)

最原(……その通りすぎて、腹が立つ!)

733: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/16(月) 21:36:10.40 ID:GMWGh2FZ0
最原「……あのパソコン、絶対に何かがあるんだ。強く追及する理由がなくてほぼ放置してたけど」

最原「なんとか強奪できないかなぁ……!」

最原「……聖杯に頼る? いやいや……頼り過ぎるのは怖いんだよな、コレ」



ニョキッ



最原「なんか相変わらずひとりでに光ってて怖いし……まるで蛍を鷲掴みにしてるみたいな気持ち悪さが――」

アンリマユ「よう」ニョキッ

最原「うわあああああああああああビックリしたーーーッ!」ブンッ

アンリマユ「ぎゃああああああああ割れ物を投げんじゃねーーー!」バキィィィンッ

最原「はあ……はあ……なんだったんだろう、今の真っ黒な小人。聖杯の中から現れたような……」

最原「あっ。聖杯、壊れちゃった……まあいいか。別に欲しかったわけじゃないし」

最原「……壊したってバレたら巌窟王さんに怒られるかな……怒られるだろうな……隠しておこう」サッサッ

アンリマユ「呪いあれー」

最原「まだ喋ってる……」




ゴミ箱に捨てたら死んだ

734: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/16(月) 21:52:54.88 ID:GMWGh2FZ0
中庭

百田「……ダメだ! 暗くてよくわかんねぇ! 捜索は打ち切るぞ!」

入間「おう! わかった! ところでかなり大事な話があるんだが!」

百田「なんだ!?」

入間「もう本当にド深夜でよ……滅茶苦茶眠いんだ……眠すぎて一歩も動けないっつーか……」ガクリッ

春川「……ルーベンスの絵ってどこで手に入るのかな」キョロキョロ

百田「死なせんな! 仲間を!」

春川「仕方ないな。私が入間を寄宿舎に連れて行くよ」

入間「病院の方がちけーんじゃねーか……」

春川「白銀と天海がいるだろうからナシで」

百田「ああ。大怪我してたからなぁ……」

百田「おーい、赤松。そろそろ帰るぜー」

赤松「……」

百田「赤松? さっきから空を見てるけどどうした?」

赤松「いや……なんか不自然な流れ星が見えたような気がして」

百田「不自然な流れ星?」

赤松「……いいや。気のせいかもしれないし」

赤松(百田くんも春川さんも見えてなかったっぽいから、多分気のせいだよね)

赤松(降ってくる流れ星じゃなくて、遠くへ飛ぶ流れ星なんて……ありえない)

赤松(この空、そもそもフィクションだし、ね)

赤松「……」

赤松(気のせい……だよね?)

741: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/17(火) 20:58:24.09 ID:J9aISzfT0
茶柱「……ふう。なんとかあの『見覚えのある男死』を追い返すことができました」

茶柱「アンジーさんの私室が大変なことになってたとわかってたら最初から言えばよいものを」

アンジー「ぐー」スヤァ

天海「うーん……エクステンド……エクステンドしてくれっす……!」ギリギリギリ

白銀「……すー……」スヤァ

茶柱「ちょっと手狭ですけど全員同じ病室でいいですよね。そっちの方が管理が楽そうですし」

茶柱「さてと。じゃあ転子もそろそろ部屋に帰って眠りましょうか」スッ





???「……」ニヤァ




茶柱(……殺気? どこから?)

茶柱(転子を殺す気、ではないようですね。なんかそれにしてはピントがズレてます)

茶柱「……白銀さん目当て、ですか……」ハァ

茶柱(明日になったら最原さんが来るでしょう。それまでは寝ずの番、ですね)

茶柱「まったく。転子にこんな面倒を押し付けて……どう埋め合わせしてもらいましょうか。腕枕でもしてもらいましょうか」プンスカ





???「……」チッ

742: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/17(火) 22:49:00.34 ID:J9aISzfT0
最原の私室

最原(さあ。時間はない。明日になったら全部終わる)

最原(その前に、忘れ物はないか考えておかないと)

最原(……ん。そういえば)

最原「……赤松さんと真宮寺くんって一緒だったよな」

最原「真宮寺くん、そういえば星くんの『休む』っていう案に便乗しただけで、今は誰と行動を共にしてるってわけじゃないんだ」

最原「……」



寄宿舎の外

百田「お? あれって……」

春川「どうかした? 百田」

入間「しゅぴー」スヤァ

春川「私? 私はおんぶした途端に眠りだした入間のヨダレが服越しに浸透してきて背中が熱くて気持ち悪いなーぶち殺したいなーって思ってたところ」

百田「別に俺が背負ってもいいってさっきも言ったぞ!?」ガビーンッ

春川「殺害対象が入間から百田に変わるだけだから」

入間「○○美女のおんぶ……泣いて喜べ……ド○○&○○ども……」スヤァ

春川(この学園脱出する前に一発ぶん殴ってやる)ビキビキ

百田「顔に血管浮き出まくってんぞ! どんだけキレてんだ!」ガビビーンッ

春川「別に私は百田が好きだと言ってくれる限りは、自分の胸に関して特にコンプレックスはないんだけど」

春川「とにかく入間の○○自慢が死ぬほどウザい」

百田「あ、悪ィハルマキ。テメェに対する好感度とは別のところで、○○は好きだ」

春川「殺されたいの……ッ!?」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

百田(かつてない程の身の危険を感じる)

百田「この話はもうやめようぜ! ていうか話の腰を折ったのハルマキの方だし怒られる謂われはねーよ!」

百田「……終一が病院にかけこんでいくのが見えたんだよ」

春川「私も見たけど。アイツ怪我人だし、痛み止めくらい物色しに行っても不思議じゃないでしょ」

百田(あの病院の薬棚、ものすごく品ぞろえがしょっぱかった気がすんだけどなぁ)

春川「……とにかく、入間のことを寄宿舎に置いて、さっさと寝ようよ」

百田「そうだな。ハルマキ、腕を怪我してるしよ。あまり長い間おんぶできねーだろ」

春川「すぐテーピングして最低限動かせるようにはしてたんだけど……」

百田「わかるっつの。テメェのことなんだからよ」

春川「……」

百田「……あー……きゅ、急に黙んなって。ハズいだろ」カァァ

春川「せめて百田だけでも堂々としてて。こっちも鋭いボディブロー入れられたみたいに大分キツいから」カァァ

百田&春川「……」アセッ






赤松「……」ジーッ

春川「ハッ……!」

赤松「あ。ごめん。引き続き存在感消してるから続けてていいよ」プププ

春川「アンタこういうとき本当にウザみ増すよねッ!」ウガァ

赤松(……でもそうか。最原くんが病院に、ね。ラッキーパンチ期待してたんだけどな……まあいいか)

744: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/18(水) 20:28:17.39 ID:XNbkIAao0
病院内

真宮寺「……」ジーッ

真宮寺(動かないネ。どうしようかな……ここを逃したらもう後がなさそうなんだけど)

真宮寺(まァ、僕の場合は『死んでほしい』とは願ってても『殺したい』とはあんまり思ってないから引いてもいいんだけどさァ)






茶柱「……」





真宮寺(ちょっとゾクゾクするよネ。横取りは趣味じゃないんだけどなァ……!)ゴゴゴゴゴゴゴ

真宮寺(抑えを利かすのが難しくなる程度にはいいヨ。本当! 復讐の大義名分のもとに彼女にも死んでもらおうかなァ……!)


カツンッ カツンッ


真宮寺「!」

真宮寺(おっと。誰か来た。ナイスタイミングだネ。危うく最原くんを始めとした仲間を裏切るところだったヨ)

真宮寺(ま、無理なら無理でしょうがないネ。ここはスッパリ諦めよう)スウッ


カツンッ


最原「ん? 今、誰かいたような……気のせいかな」

745: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/18(水) 20:46:49.20 ID:XNbkIAao0
茶柱(……先ほどから殺気の質が変わってきましたね。こうやって居座っている転子に対して邪気丸出しです)

茶柱(まさか転子のことまでどうにかしようとしてる……?)

茶柱「……」

茶柱(いいでしょう。こちらも最原さんを残して死ぬわけにはいきません)

茶柱(最原さんの意思を捻じ曲げるわけにもいきません)

茶柱(来るなら来るで、死に物狂いの抵抗を見せてあげます!)




カツンッ



「!」スウッ

茶柱「あれ?」

茶柱(……邪気が嘘のように消えた? 一体なんで……)




ガララッ



最原「あれ。茶柱さん、なんでここに?」

茶柱「――」

最原「……凄く顔色悪いけど、どうかした?」

茶柱「あなたって人は、本当にどうしようもないくらい間が悪いですね」

最原「ええっ!?」ガビーンッ

茶柱「……ふふっ……」

746: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/18(水) 20:55:33.57 ID:XNbkIAao0
茶柱「なんでここにっていうか、ここに白銀さんを運んだのは転子ですよ」

最原「それは知ってるけどさ。それに同行してた夢野さんは引き上げてたからてっきり……」

茶柱「変なところで抜けてますね。まったく」

最原「……?」

747: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/18(水) 21:01:38.90 ID:XNbkIAao0
最原「……なにか怖いことあった?」

茶柱「ッ!」

最原「……いや。見当違いだったら笑ってくれて構わないんだけど……」

茶柱「……」

最原「……そうか」

最原「じゃあ今夜は一緒にいるよ。茶柱さんの傍から離れたりしない」

茶柱「なんか響きが厭らしいです。拒否していいですか」

最原「あの。ねえ。流石にこれは茶化さないで。結構いっぱいいっぱいだからさ」

茶柱「……ごめんなさい」

最原「二人で寝ずの番か……疲れてるんだけどなぁ」

最原「でもなんか少しワクワクするよ」

茶柱「ワクワク?」

最原「あ、いやドキドキ? ソワソワ? 好きな人と一緒に夜更かしとか、中々できたシチュエーションだと思わない?」

茶柱「……思い出にはなりそうですね」プイッ

最原「な、なんで顔逸らすの」

茶柱(顔が見れないからですよーーー! 顔から火が出そうです! なんでこんな、こう、キザ丸出しの台詞を素面で吐けるんですか!)プルプル

最原「……あ。そうだ。今のうちに言っておこうかな」

茶柱「なんです?」

最原「ただいま。なんとか無事に帰れたよ」

茶柱「……」

茶柱「おかえり……なさい」

765: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 20:16:06.40 ID:ZKzsi3aG0
茶柱「……寝ずの番、まあ必要かもしれませんが、二人ですることはないですよね」

茶柱「あなた怪我人ですし」

最原「大丈夫。今は調子がいいんだ。何よりコレ、無理をしたらちょっと傷が開くって程度だしさ……」

茶柱「何度でも言いますがもしも死んだりしたら絶対に許しませんからね。蘇生してから再度殺して再び蘇生させた後でお説教です」

最原「間に殺しを挟むのやめようよ! 素直に蘇生させた後でお説教でいいから!」ガーンッ

茶柱「……どういうわけだかわかりませんけど、帰ってきたみんなは白銀さんのことを憎んでました。全員」

茶柱「かたや夢野さんや天海さんは何が何でも白銀さんを守ろうとしてますし……一体彼女、何したんですか」

最原「……ええっと、色々。本当に色々したんだ。やらかしたんだ」

最原「でも天海くんが白銀さんをあそこまで意固地になって守ろうとしたのかの理由は不明のままだな」

最原「明日になったら訊いてみようかな」

茶柱「明日になったら起きる保証がないんですが……」

最原(ひっどい怪我だったからなぁ。二人とも)

茶柱「……あの」

最原「ん?」

茶柱「さっき厚着で帽子を被った変な男死が『アンジーの部屋が壊れた。病室のベッドを貸せ』ってやってきたんですが」

最原(巌窟王さんだな)

茶柱「ひとまずアンジーさんを受け取った転子はここに彼女を寝かせたんですが」

茶柱「そのとき気になることを言っていて」

最原「どんな?」

茶柱「『もうすぐコロシアイは終わる。楽しみにしていろ』って」

最原「……」

茶柱「何をする気です。彼」

最原「学園を囲ってる壁を物理的に破壊して、穴を開ける気なんだ」

茶柱「そうですか。そう……ですか」

茶柱「なんでしょう。信じられないようなこと言ってるはずなのに、なんか納得できます。本当におかしいですね」

766: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 20:26:41.37 ID:ZKzsi3aG0
茶柱「外の世界に出たら、ひとまず一人になりたいですねぇ。すぐにでも」

最原「えっ」

茶柱「いやだって、こんな長い時間男死と一緒の空間に閉じ込められちゃって。本当に死ぬほどイヤだったんですよ?」

茶柱「可愛い女の子もたくさんいましたけどね! それはそれ。これはこれです」

茶柱「あー。神社とか行って本格的に禊とかしたい気分です。一般人でもできるもんなんですかね、あれ」

最原「は、はは……そんなにイヤだったんだ」

茶柱「あ、いえ……その前に一つやることがありましたね」

茶柱「最原さんをグーでぶん殴ります」

最原「なんで!?」ガビーンッ

茶柱「あなたのせいで転子の価値観が大変動したので。恨み辛みを込めて一発」

最原「酷い!」

茶柱「その後は、そうですね……適当に世間をぶらついてますので」

茶柱「会いたかったら探偵らしく、追跡してみせてください。怪我を直した後で」ニコリ

最原「ん」

最原(……ああ。そういえば)

最原(告白は僕の方からするとか言ったなぁ)

最原「大変だ。凄く……でもまあ、やってみせるよ」

茶柱「……期待しないで待ってます」

最原「期待してて。僕は絶対に、キミを裏切らない」

茶柱「……!」

茶柱「あ、あっついですね! なんか! ああ、本当に熱いです! 気温が!」パタパタ

茶柱「空調の制御ってどこでやるんでしょうかねぇ!」ガタリッ

茶柱「おっと」コケッ

最原(急に立ち上がろうとして、足が椅子の足に絡まって……!)

最原「茶柱さん!」グイッ



ガタンッ

767: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 20:37:54.18 ID:ZKzsi3aG0
最原「あ、あだだ……うん?」

茶柱「……」

最原(転びそうになった茶柱さんを腕で抑えようとしたら、お互いに椅子からズリ落ちてしまった)

最原(……もつれて、絡まって、お互いの距離が物凄く近い)

最原(柔らかくて温かい。体温と息遣いを至近距離で感じる)

茶柱「……最原さん」

最原「!」

最原(視線がバチリとあった、と思った次の瞬間、茶柱さんは身を任せるように目を瞑った)

最原(……まあ、いいか。こういう形でのフライングなら……約束を違えないし)

最原「……」

最原(無音。いや、自分の鼓動の音だけは聞こえる。僕は茶柱さんに顔を近づけて……)









巌窟王「……」ベターッ

最原(病院の窓に顔面を張り付けてこちらを睨みつける巌窟王さんに気づいた!)ギニャアアアアアアア!?

巌窟王(ころすころすころすころすころすころすころすころすすぐころす)ボオオオオッ

最原「ちゃ、茶柱さん! ごめん! 今の僕にそんな度胸ないや!」

茶柱「え」

最原(よくよく考えたら彼がアンジーさんの傍を離れるわけがなかった!)

最原(そう! 今、僕たちはまだコロシアイを強要されている閉鎖空間の中! ピンク色のイベントなどとは無縁! 無縁でなければダメなのだ!)

最原「あ、熱いのなら僕が空調変えてくるから! すぐ戻るよ!」バッ

茶柱「あ。待っ……」

茶柱「ああもう! クソ真面目! ですね!」ダンッ

茶柱「……いや、違う。転子は何を、悔しがって……!」カァァ

茶柱「……もう」

768: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 20:50:15.28 ID:ZKzsi3aG0
廊下

最原「はあ……はあ……あー、ビックリした……殺されるかと思った」

巌窟王「アンジーが寝ている横で不貞行為をしようものなら本当にそうしたぞ」

最原(ぎゃあああああああああああああ!)ガビーンッ

最原(……という悲鳴をギリギリのところで呑み込む!)ゴクンッ

最原「が、巌窟王さん。いたんだ」

巌窟王「俺がこの局面でマスターの傍から離れると思うか?」

最原「……」

最原「今まさに離れて――」

巌窟王「黙れ」ギンッ

最原「はい」ガタガタ

巌窟王「……あと、空調のコンパネはあの部屋の中だ。貴様といい茶柱といい、誤魔化すのが下手すぎる」

最原「おっしゃる通りです……」

巌窟王「……」

巌窟王「フン。まあ……少しこちらも大人気なかった、な」

最原「え」

巌窟王「だが、頼むからアンジーの傍でああいうことはやめろ。少なくともこの学園から出るまでは、な」

最原「……わかった」

最原(そっちの方を怒ってたのか……)

最原「親心丸出しだよね。巌窟王さん。アンジーさんの恋愛絡みでやたらと僕に突っかかってきたりさ」

最原「……あ、いや。物語としての『巌窟王』を鑑みれば、そこまでおかしいことじゃないのかな」

巌窟王「品評か? やめておけ。そこそこにしておかなければ臓腑を抉り取るぞ」

最原「あ、ああ。うん。えぐり取られたくないからやめておくよ……」

最原「……」

最原「巌窟王さんは、ここからアンジーさんを出したらいよいよ契約が終了かな」

最原「その後はナーサリーさんやBBさんがいる場所に戻るんだよね?」

巌窟王「ム……」

巌窟王「……そう、だな。ああ、戻らせてもらうとも」

最原(ん?)

最原「……何か隠してる?」

巌窟王「ッ!」ギクウッ

最原「……いや、気のせいか。巌窟王さんは元からそういうつもりで僕たちに手を貸してたからね」

巌窟王「……」ホッ

最原「あ、いやでも……」

巌窟王「!」ビクビクゥッ!

最原「……まさかな」

巌窟王「……」フウ

最原「……あっ!」

巌窟王「ッッ!?」ガビーンッ!

最原「巌窟王さん。マントの端がほつれてる」

巌窟王「貴様、わかっててやってるのか……!?」

最原「?」

769: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 21:07:17.60 ID:ZKzsi3aG0
最原(巌窟王さんがあそこにいるのなら白銀さんの警護を……)

最原(無理だな。白銀さんの処遇は『僕たち』に任されたんだ。生徒同士で殺し合う分にはノータッチだろう)

最原(……白銀さんを誰かが殺したとしても、それすら生徒同士で考えた結果だって流しそうだ)

最原(いや。多分、その可能性が一番高いと思ってるんだ。白銀さんが長く生きられないって思ってるからこそあっさり引いたとしか考えられない)

最原「上手く行かないなぁ。みんな味方なのに、方向性がバラバラすぎる」

巌窟王「なにを今更。それに、バラバラの方向を見ているのは、考えようによってはいいことだぞ」

最原「そうかな?」

巌窟王「バラバラの方向を見ているのなら、多くのものを見れるが道理だ」

巌窟王「他の者が気付いていないものを教えることができる。これは『多様性』と言う名の武器だぞ」

最原「……そうだね」

巌窟王「……お前たちは強かった。いや、この学園の中で強くなった」

巌窟王「多少は争うことはあるだろう。だが……誰一人として欠けずに来れたことを誇るがいい」

巌窟王「……今まで培ってきた絆が、きっとどんなに大きな困難でも跳ね返すだろう」

最原「巌窟王さん?」

最原(……まあ、巌窟王さんは元の世界に帰るんだから、僕たちの道行をそれ以上見守れないってのはわかるんだけど)

最原(それにしてはなんか……言動がおかしいな。やっぱり)

最原「……」ジーッ

巌窟王「……探偵と話すのはこれだから疲れる」スタスタ

最原「巌窟王さん!」

巌窟王「呼ぶな。もう答えん。さらばだ」スタスタ

最原「……」

最原(夜は更けていく……)

最原(最後の日が、始まる)

770: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 21:42:25.23 ID:ZKzsi3aG0
某所 夜空の下


???「……まだです」

???「まだ……カウントダウンは終わっていません」

???「世界は、希望を望んでいます」

???「……猶予は二十四時間を切りました」

???「クライマックスの時間です」

771: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 21:52:47.04 ID:ZKzsi3aG0
場所不明

赤松「……ん?」

赤松「あれ。ここどこだろう。誰かの家?」キョロキョロ



ダキシーメーターユメノー カケーラガーイタイヨー



赤松「音楽? あっちの扉から?」ガチャリンコ

セミラミス「む?」ユッタリ

赤松「……」

赤松(明らかに風呂上りで、パジャマに着替えたセミラミスさんが、音楽を部屋に流しつつ、仙台っぽい舞台で奇妙な冒険をする漫画を読んでいる……)

赤松「……」アゼン

セミラミス「……ふむ」パタンッ

セミラミス「……」スタスタスタ

赤松「あ、あの。セミラミスさん何して……」

セミラミス「……」グイグイ

赤松「ちょ、セミラミスさん、なんで押すの、やめ――」


バタンッ


赤松(追い出された)



ドタバタ ビュオオオオオッ


赤松(な、なんか中から掃除機の音が聞こえる)


バタンッ ジャララララッ


赤松「え! わ! わあ!」グイッ

赤松(急に扉から鎖が出て来たと思ったら引っ張られた!)

セミラミス「ふん。よもやここに入り込むとは思わなかったぞ。カエデ」ククク

セミラミス「縁とやらが結ばれたのやもしれぬな?」

赤松「あ、セミラミスさん……ん? あれ? 何ココ、玉座?」キョロキョロ

赤松「さっきまではもうちょっと生活感のある部屋だったような……」

セミラミス「知らぬ。そんなものは知らぬな」



タートエーバイツカー ハイニーナーッテモー



セミラミス「……ハッ!」ガビーンッ

赤松「ほら。まだ音楽が鳴ってるし……」

セミラミス「……」ピッ

赤松(リモコンで音を消した……)

セミラミス「知らぬ。LiSA先生など知らぬな」

772: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/20(金) 22:01:25.44 ID:ZKzsi3aG0
セミラミス「む……そうか。貴様……なにか手に入れたな? 召喚の触媒を」

赤松「え。なんのこと?」

セミラミス「……夜明けが近い。時間もなさそうだ。出来る限り簡潔に言おう」

セミラミス「我の力を借りたくば、貴様は既にその手段を持っている」

セミラミス「気が向いたら助けてやらんでもないぞ?」ニヤァ

赤松「いや別にそんな予定は特に……」

セミラミス「このアッシリアの女帝、セミラミスが手を貸してやらんこともないぞ?」ニヤニヤ

赤松「あの、だから……」

セミラミス「絶世の美女! 世界最古の毒殺者! 神代の毒蛇バシュムを操るこの! セミラミスが! 手を貸してやらんこともないぞ?」ドヤァ

赤松(しつこいなこの人!)ガビーンッ

赤松「い、いや。気持ちは嬉しいけど、何が何やら……ん。なんだか、眠い……」ウトウト

セミラミス「時間切れか」

セミラミス「……約束は守れ。また会えたらピアノを聴かせるがいい」

赤松「う……ん……?」






赤松の私室

赤松「……ん!」パチリッ

赤松「変な夢。今更セミラミスさんに手を貸してもらうことなんてないのに」

赤松「……はあ。なんか疲れたな。朝から」

777: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/21(土) 21:55:47.18 ID:Nn/FRPTW0
巌窟王「……朝か。さて。病室の中は……」チラッ

茶柱「……」グデーッ

最原「……」グダーッ

巌窟王(大分前から喋るのも構うのもお互いに面倒になっていたようだな。数時間前からずっと寄り添ってくっついて微動だにしていない)

巌窟王「ふむ。頃合いか。そろそろ行くしかあるまいよ。今を逃したらもうチャンスもなさそうだ」スッ






寄宿舎

百田「朝だぜ! ハルマキを迎えに行くぜ!」ガチャリンコ!

百田「ハルマキ! 朝だぜ! 気持ちのいい朝だぜ! 朝飯食いに行こうぜー!」ドンドンドンドンピンポンピンポンピンポーン

春川「やかましい!」バタンッ

百田「お。ハルマキ。おはよう!」

春川「おはよう」バキィッ

百田「ぎゃはあっ!?」

春川「今、髪を纏めてるところだったの。食堂に行きたいのなら先に行けば?」

百田「お、おう。悪ィ。昨日あんなことがあったばかりだからテンション上がりまくってたぜ……」

春川「……あんなこと……」ポッ

百田「死ぬような目に遭ったからなぁ。エグイサルと格闘とか。今を生きてることが素晴らしく感じるぜ」キラキラキラ

春川(ああ、なんだ。そっち)ハァ

百田「なに残念そうな顔してんだ?」

春川「別に……」

778: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/21(土) 22:17:31.18 ID:Nn/FRPTW0
赤松「あ。百田くん。春川さん。おはよう」

百田「お。赤松。テメェも一緒に行くか? 食堂」

赤松「……」チラッ

春川「なんで私を見るの」

赤松「あはは。気を遣ってるんだよ」

春川「別にいいって。そこまで嫉妬深くないし」

赤松「……イリスアゲートエレクトボム」ボソッ

春川「なにも覚えてないけど殺されたいの? 何も覚えてないけど」ギンッ

赤松「わ! わ! ごめん、流石にからかいすぎたよ!」アタフタ

百田「ん?」

巌窟王「……」スタスタ

百田「巌窟王じゃねーか。なんだ? 寄宿舎の外で何やってたんだよ。ラジオ体操か?」

巌窟王「色々と、だ。そうだ、百田。後で春川を連れて病院に行くがいい。交代してやれ」

百田「?」

巌窟王「さて。それでは用事を済ませよう。王馬。いるか?」コンコンッ

王馬「……ん? あ、あーい……ふあーあ。いるよー。なーにー?」

巌窟王「よし。いるな」ボオウッ




ドカァァァァァンッ



百田「」

春川「」

赤松「」

巌窟王「いるならいい。部屋ごと燃えろ。溜飲が下がる思いだ」スタスタスタ

赤松「おっ、王馬くーーーんっ!」ガビビーンッ!

779: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/22(日) 21:05:26.48 ID:g6YOR8rO0
ガチャリンコ

夢野「ううーん。なんじゃ騒々しい。朝っぱらからハッスルしすぎじゃぞ……ってなんじゃあ!? 王馬の部屋が燃えておる!」ガビーンッ

夢野「ジャガーマン! ジャガーマン! 緊急事態じゃ!」prrrrrr!

イシュタル『はいはーい! 状況はこちらでも確認してるわよっと!』

イシュタル『ああ。延焼、燃焼の類はしてないわね。ちょっと爆発しただけよ。無事なら無事だし無事じゃないのなら無事じゃないわ』

イシュタル『どっちにしても結果は変わらないから急ぐ必要はないわよ! じゃーね!』



ブツンッ



夢野「あれ!? 素っ気なっ! 冷たい!」

赤松「今のイシュタルさんだよね。取り込み中なのかな」

百田「ひとまず中を確認してみるか……王馬! 無事か?」

王馬「いや……死んでるよ……」ピクピク

春川「……」



グシャッ



王馬「」チーン

春川「うん。死んでるね」

百田「今ハルマキが踏み殺したんだろ!?」ガーンッ

春川「なんのことだか……」

赤松「……」

赤松「戻ってきたなぁ……才囚学園に」シミジミ

夢野「凄く不本意じゃが……ウチもこんなときにそれを実感しておる」

夢野「あやつ相変わらず突拍子もない……」

赤松「……ぷふっ」

夢野「ふふふ」

百田「いや笑ってる場合じゃ……逆に笑えてくるけどよ!」

王馬「あーっはっはっはっはっは! 俺超かっこわりーじゃん!」ゲラゲラゲラ!

百田「ええっ!?」ガーンッ!

春川「……ふふふっ……なんか……やっとみんな揃ったって感じがする」

春川「なんでだろう。凄く安心してるよ。ヘラヘラ笑う程度にはさ」

百田「あー……もういいか。王馬本人が笑ってんのなら」

王馬「笑ってんじゃねーよ! このボンクラどもめっ!」ウガァ!

百田「どっちだよ!」ガビーンッ!

780: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/23(月) 19:35:22.87 ID:CDhEwhFL0
食堂


チュイイイイイイインッ! ドリドリドリドリ!


獄原「な、何の音。これ?」


モロイ! ドカァァァンッ! モロイ! ドカァァァンッ! フフッ! ファラオニハムカウオロカモノメガ!


星「……いや聞けば聞くほどまったくわかんねーな。とにかく大きな音ってこと以外不明だ」

真宮寺「なんか厨房が光ってない?」



バタンッ


入間「えほっ! ええっほえほっ! し、死ぬかと思ったが、耐え切ったぞ!」

獄原「あ。入間さん」

入間「おお。短小野郎ども。起きたか。今、東条と一緒に朝飯作ってたところだったんだぜ」

星「テメェがか……って、ジャバウォック島で見てたが、そういや料理はできるヤツだったな」

入間「あんときはセミラミスの介入で味はともかく精神がズタボロになったけどな……」

入間「今日は俺様の作った発明を総動員し、東条監修のもとで作ったから量も質も申し分がねーぞ! ○○して喜べ!」ヒャッハー

東条「……ほとんどの面倒ごとが片付いた祝いよ。今くらいは、ね?」

星「ふっ……発想は悪かないな」

獄原「ところで結局あの音は入間さんの発明の音ってことでいいの?」

入間「それ以外に何があるってんだよ?」

782: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/23(月) 20:32:01.76 ID:CDhEwhFL0
東条「ひとまずいくつかの皿にわけて朝ご飯は病院に持っていくわね。誰か手伝ってくれるかしら」

獄原「あ! じゃあゴン太がやるよ!」

東条「よろしくお願いするわね」

東条「……入間さん。食堂は任せたわ」

入間「おー。適当に済ませてさっさと帰ってこいよー」ヒラヒラ

入間「……おし行ったな? 行ったぞ」ゴソゴソ

入間「星ー! 真宮寺ー! 俺様の作った特性媚薬げふんげふん! ふりかけを使ってくれよー!」キラキラキラ

星「そんな綺麗な目をされてもモルモットには絶対になんねーからな」

入間「ちぇ」

真宮寺「……むかしなら確認取らずに勝手に実行してただろうに。ちょっとは成長してるよネ。入間さんも」

入間「んだァ? 口説いてんのか? 身の程と顔面偏差値を弁えろよドザコ」ニヤニヤ


ヒュンヒュンッ ガシイッ


真宮寺「これは○○○り……」

入間「助けてー! 目覚める! 目覚めちゃうーーー!」ジタバタ

星「やめてやれ。見苦しいものが果てしなく見苦しいものに変わるだけだ」

星「……」







星(全員、頭のどこかで思ってるのかもな。もうすぐこの学園生活が終わると)

星(……だからこそいつも通りにやりたいんだ)

783: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/23(月) 21:02:49.74 ID:CDhEwhFL0
病室

茶柱「……朝ですね」グデーッ

最原「朝だね……」グダーッ

茶柱&最原「……」



ガララッ



東条「朝食を持ってきたわ。具合はどうかし……ら……?」

獄原「ん? あれ。茶柱さんと最原くん。どうしてここに?」

最原「……んん」ボーッ

茶柱「……」ボーッ

茶柱「……白銀さんが誰かに狙われてて……寝ずの番を……」ウトウト

東条「二人揃って目のクマが……」

獄原「うわあ! 二人揃ってとっても距離が近いね! ここまで仲良しだと見てるだけでゴン太も嬉しくなってくるよ!」

東条(あ。そんな煽るようなことを言ったら……)ハラハラ

茶柱「……ふあ……」ボーッ

東条「……とにかく眠いみたいね……いつも通りの反応が鈍る程度には」

最原(どうしようかなぁ。東条さんとゴン太くんはプログラム世界からの出戻り組だから任せられないんだよなぁ)

最原「……そろそろ限界だから百田くんあたりを呼んできてくれると嬉しいんだけど……」




「ん……んん……?」



全員「?」

最原「あれ。今の声は……誰?」

東条「私じゃないわね」

獄原「あ……あれ! あれ! みんな!」

最原「……あ!」

茶柱「!」






白銀「あれ。私、生きてる……?」パチクリ

茶柱「白銀さん!」

784: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/24(火) 22:26:27.48 ID:kZ78QSyt0
茶柱「ああ、よかったぁ! 目を覚ましたんですね! 眠気が吹っ飛んじゃいましたよ! 嬉しさで!」

白銀「ひいっ!?」ビクウッ

茶柱「あ」

東条「……どうかしたの? 茶柱さんに怯えてるように見えるけど」

茶柱「あー……いやー……そのー……」

茶柱「えへっ?」キャピッ

最原「八割くらい察したよ」ズーン

白銀「多分その理解であってると思う……!」ガタガタ

白銀「な、なに? なんで生かしたの? 拷問するため?」

白銀「それとも……!」

白銀「……」キョロキョロ

最原「ん?」

最原(何を探してるんだろう)

最原(……ん? いや待てよ。何かおかしい。白銀さんの見た目が、どこか変だ)

最原(さっきまでは全然そんなこと思わなかったのに、一体なんで……?)

最原「ッ!」

最原(そう、か。そういうことか。確かにこれは……起きないと気づかない!)

最原「……徹底的だな。やってくれるよ」

茶柱「え?」

最原「白銀さんを絶対に病室から出さないでね。朝になったのなら誰か起きて来るだろうし、他の誰かに見はりを頼んで来る」スタスタ

東条「……?」

獄原「最原くん。怒ってるの?」

最原「……別に。怒る道理は特にないよ。ないけど……」

最原(これは。このやり方は気に入らない)

785: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/24(火) 22:34:47.61 ID:kZ78QSyt0
廊下

最原「……」スタスタ

春川「あ。最原。おはよう」

最原「ん? 春川さん?」

春川「……そのクマ。やっぱり寝ずの番やってたんだね。食堂に行ったら何人かいなくってさ」

春川「入間とかに訊いてみれば『東条とかは病院に食事を届けに行った』って言うから、そこで気付いたんだよ」

春川「他にも巌窟王の意味深な言葉とかもあって、それもヒントになったんだけど」

春川「どうかしたの? 東条と交代したの?」

最原「いや。東条さんやゴン太くんには任せられない」

春川「……なんとなくわかるよ。あの夜のとき、白銀を助けることに消極的だったからね。何故か」

春川「私は早々に食事を切り上げて急いでやってきたんだけど……」

春川「何かあった?」

最原「いや。ちょうど春川さんか百田くんを呼びに行こうと思ってたところ。勘がよくって助かったよ」

最原「まだ僕は用事があるから、春川さん、よろしくね」スタスタ

春川「最原?」

春川「……変なヤツ。クマのせいかな? いつもより顔が険しかったような……気のせいか」スタスタ






ガララッ




春川「ん? 白銀、起きてるじゃん」

白銀「……」

茶柱「あ。春川さん。最原さんとすれ違いませんでした?」

春川「すれ違ったけど、アイツに何かあったの? 妙に険しい顔してたけ、ど……」

春川「……」

春川「……あ、の、クソ野郎ッ!」ダンッ

東条「……?」

786: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/24(火) 22:43:58.05 ID:kZ78QSyt0
東条(どうしたのかしら。みんな何に気付いて……)

東条「……あ」

東条「……」アセッ

茶柱「??????」

獄原「みんなどうしたの? さっきから変だよ。白銀さんが起きてから」

春川「巌窟王は? どこ? アイツ、本当に性根が曲がってる……!」

茶柱「え。ええと……すみません。その前に、何に気付いたのか教えてくれません? 転子にはさっぱり……」

春川「……」

春川「東条。気付いてるよね」

東条「……」

春川「……~~~ッ! もう、いい。確かに任せられない」

春川「何があったか知らないけど、こんなやり方はイジメだよ。とてもじゃないけど賛同できない」

東条「春川さん」

春川「……許すつもりが毛頭ないのなら、余計な罰則はただの私怨でしかない」

春川「あの野郎。あの野郎、あの野郎! 手を抜くなんて最悪すぎる!」

茶柱「え」

春川「目だよ! 右目!」

茶柱「……?」

茶柱「……! ちょっと失礼します!」ズイッ

白銀「……」








茶柱「瞳孔が開き切ってる……!」

春川「見えてない。見えてないんだよ! 白銀の右目が!」

800: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/26(木) 20:30:53.82 ID:nLrYXUTa0
病院の裏

最原「……」

最原「ここなら人気もないし、ゆっくり喋れるんじゃない?」

ヌウッ

巌窟王「何か用か? 俺には用などないが」

最原「僕が何に気付いたのか、わかるよね? あれは一体なんのつもり?」

巌窟王「……」

最原「白銀さんのことに関しては生徒に一任すると言った傍から、これ?」

巌窟王「さて。俺でも手元が狂うことはある」

最原「子供じみた言い訳するんだね。私怨にしても未練がましいし意地汚いよ」

巌窟王「……クハハ。意外だな。まさか貴様がそこまで怒るとは」

最原「人のこと言えない、とは思うよ。治したのは巌窟王さんだしさ」

最原「でもあれは個人的に、凄くイヤなんだ」

最原「……感情論で先走った要求だという自覚はあるんだけどさ。ちゃんと治してくれないかな?」

巌窟王「断る」

最原「……」

巌窟王「……さて。他に何か言うことは?」

最原「今のところはない。ないよ。ああ、クソッ! ないんだよ! 感情論だけだから!」

巌窟王「あれは単なる白銀に対しての嫌がらせに過ぎなかったが……」

巌窟王「……最原。貴様のそういう顔を見れたのは予想外の収穫だった」

最原「これは万が一の、僕自身でもないんじゃないかって仮説だけどさ」

巌窟王「?」

最原「これから暴く真相の中に、白銀さんが悪くないって内容の真実が含まれてたとしたら……」

巌窟王「それでも、ダメだな」

最原「どうして!」

巌窟王「ヤツがやったことを俺は忘れない」

巌窟王「……多かれ少なかれ、本人にどうしようもない事情というものはあろうさ。だが限度はある」

巌窟王「わかるな?」

最原「……」

801: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/26(木) 20:44:50.07 ID:nLrYXUTa0
巌窟王「……白銀の右目を生徒たちがどうするか、に関してこちらは一切触れないがな」

巌窟王「治療かリハビリでもしたくば外に出てから存分にやればいい」

最原「……それで治る程度の怪我なの?」

巌窟王「目分量でやったこと。そこまで把握してると思うか?」

最原「……」イラッ

巌窟王「……心底から意外に思う。『いつでも殺せるのだから』と俺に言い放った割には妙に肩を持つな?」

巌窟王「あれは半ば本気だったろう?」

最原「ショックなんだよ。処遇は任せると言った傍から、巌窟王さんが首を突っ込むようなマネしてるから」

最原「未練がましくて意地汚いってさっき言ったよね。僕はそういうマネをしている巌窟王さんを見たくなかったんだ」

巌窟王「……バカめ。俺に何を期待している。復讐鬼だぞ?」

最原「そうだよ! そうだけどさ……!」

最原「それ以前に仲間だからさ……!」

巌窟王「――」

最原「……治す気がないのなら、いい。確かに交渉の材料が僕にはないから」

最原「白銀さんに恨み憎しみがあるっていうのも、実感はできなくとも理屈で理解はできる」

最原「……ものすごく口惜しいけど、話はこれで終わりだ」

最原「病室に戻るよ。その後は茶柱さんを連れて寄宿舎に戻る」

最原「学園に穴を開けたいのならご随意に、いつでも、ご勝手に」

最原「……さよなら」スタスタ

巌窟王「……」

巌窟王「……フン。絆されたか。だからと言って要求を呑む気にはなれんが」

巌窟王「さて。学園を破壊するのはいつにするか。アンジーはいつ起きる?」

805: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/27(金) 21:57:01.95 ID:SEFf97Ay0
病院のロビー

最原「……」

最原(どうしようかな……春川さんなら白銀さんの目の異常にすぐ気づくだろうし)

最原(交渉持ちかけてみたけどまったくダメだった、とか言ったら怒られるかな……言い訳のしようがないから戻りたくないなぁ)

最原(どう言おうかな……どう説明して……)ウトウト

最原「……すう……すう……」スヤァ




ドタバタ



春川「ひとまず百田とかに声かけとこう……事情を知ってるヤツは多い方がいいし」ドタバタ

最原「すう……すう……」スヤァ



十分後


ドタバタ


百田「んだよハルマキ! まだ焼き立てのパン食いてーよ! フワフワしてーよ!」

春川「いいから来てって!」

夢野「あー。まだ何かトラブったのか? いい加減にしてほしいのう、まったく」

王馬「赤松ちゃんが来なかったのは意外だったね。そんなにお腹減ってたのかな?」

春川「……」

百田「ん。あれ。終一?」

春川「え。あ、本当だ。さっきからいたのかな……まあいいや! 今は放置!」

806: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/27(金) 22:07:42.38 ID:SEFf97Ay0
病室

ドタバタ ガララッ


春川「適当に連れてこれるヤツを連れて来た。茶柱、もういいよ。交代」

茶柱「……はい。もう頭もまともに回りませんし……ひとまずここは任せますね」

茶柱「途中で巌窟王さんを見かけたら頸動脈を抉ってきます」

東条「死ぬわよ。流石に」

春川「……東条と獄原も席を外して。力になる気はないんでしょ?」

東条「そうね。そうよ。今回はあなたたちに任せるわ。私たちは……巌窟王さん寄りだから」スタスタ

獄原「……ごめんね」スタスタ

百田「?」

百田「……お! 白銀! 目が覚めてんじゃねぇか!」

白銀「……結構来たね。手あたり次第、声をかけてきたの?」

春川「呼ぶ人間は選んだつもりだよ。仮に赤松が『来たい』とか言ったら突っ撥ねる気だったし」

百田「あ? そりゃどういうことだよ」

夢野「……ん? 白銀、寝起きで髪型がぴょんぴょんしてる割に、妙なところに手を入れておるな?」

白銀「なんのこと?」

夢野「いやだって、右目と左目の色が違うぞ? それカラコンか何かじゃろ? コスプレイヤー御用達の」

春川「……」

百田「……おい。ちょっと待て。それ本当にカラコンか?」

王馬「春川ちゃん。そろそろ説明してくれるよね? なんとなくわかっちゃったけど」

春川「実は――」

807: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/27(金) 22:29:21.84 ID:SEFf97Ay0
ガンッ

百田「……ンの野郎! 手を抜いただと? 右目が見えてねーだと!? ふざけやがって……ふざけやがって!」

夢野「あやつは復讐の権化じゃ。だから怒ればかなり理不尽なこともするじゃろ」

夢野「実際、ウチはそういうのを何度か見たことがある。大体未遂じゃったがの」

夢野「問題があるとすれば……」

王馬「赤松ちゃんを始めとした、新世界プログラムからの出戻り組がやたら消極的だってことだよね」

王馬「というより『白銀ちゃんに死んでほしい』って積極的に思ってるみたいなフシがある」ニヤァ

百田「……白銀が首謀者だって話、マジらしいな。この状況は異常だぜ。俺たちと出戻り組じゃ、なにか決定的な断絶がある」

百田「その断絶の正体が俺たちには分からないってのが、この問題の本質だけどよ……」

夢野「覚えてないっていうのが本当のところじゃろうがな」

王馬「クソッ……こんなのってアリかよ! 白銀ちゃんだって仲間だろ! たった一人、切り捨てるなんて、そんなの!」

王馬「……可哀想すぎる……!」

白銀「……」ギリギリギリ

夢野「白銀がお主のことを歯軋りしながら睨んでおるが、何かしたか?」

王馬「覚えてないなー」ヘラヘラ

百田「白銀。元気になったらコイツを一発ひっぱたいておけ」

王馬「えー。酷いなー。俺は世界一の優しさを持つ男だよ」

夢野「どの口で……」

王馬「ほらー。胸から溢れ出すこの物理的優しさを見てよ」モッサァァァァ

春川「胸毛じゃん」

夢野「キショイわ!」ガビーンッ

王馬「で。これからどうするの? 白銀ちゃんの右目」ブチッ

春川(ヅラだ……)

808: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/27(金) 22:42:21.97 ID:SEFf97Ay0
百田「当然! 巌窟王に抗議して今度こそ完璧に治させるに決まってんだろ!」

王馬「よーっし! 久しぶりに俺も本気出しちゃうぞー! 白銀ちゃんを治すと言うまで全力で巌窟王ちゃんに嫌がらせするね!」

夢野「途中で裏切ったりしないじゃろな?」

春川「アンタの場合、途中で投げ出すよりそっちの方が被害がデカくなるから」

王馬「俺のことを信用してよ……俺は優しさが人間の皮を被って動いてるような人間だよ?」キラキラキラ

王馬「ほうーら。耳を澄ませてごらん……皮の下一枚で、蠢く優しさの音が聞こえるだろう?」

夢野「どれどれ……」

王馬「……」

王馬「カサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサカサ……」ガクガクビクンビクンッ

夢野「だからキショイんじゃーーーッ!」ガンッ

王馬「肘鉄!?」ゲフアッ

百田「蠢くって時点で『優しさ』の形容詞じゃねぇだろ」

春川「アンタの場合、皮の下に生息してるのは『下心』だよ」

百田「ひとまず白銀の見張りを何人か残して、あとは巌窟王を探しに……」

白銀「いいよ。別に」

百田「お?」

白銀「……見張りもいらない。私はここから逃げられない」

春川「……え。流石にそのままじゃ、困るよね?」

白銀「困るけど……」

夢野「余計にこじれて再度巌窟王に襲われるのが心配か? 大丈夫じゃろ。アイツも話せばわかるヤツじゃし」

白銀「……だから別にいいって」

王馬「……」

王馬「裏切るつもりだったけど『別にいい』って言われるとやる気になるよね」

百田(この野郎)

春川(クソ野郎)

夢野(やはり下心か……)

809: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/27(金) 23:09:19.94 ID:SEFf97Ay0
百田「……まあ別に、出戻り組がテメェに対して恨みを持ってるのは理解できるとして」

百田「テメェ自身が『別にいい』ってのはいよいよおかしいだろ。自分のことだぞ」

白銀「……」

百田「……ま、いいか。結果に期待しとけ! すぐ元に戻してやるからな!」

白銀「……」

夢野「……なんでさっきから目を合わせないんじゃ? ウチらのことがそんなに嫌いか?」

白銀「きら――」

夢野「まあ仮に嫌いって言われたところで、どうでもいいがの! 仲間ってそんなもんじゃろ!」

白銀「……!」

白銀(……なんで、私は生きてるんだろう。どうして、まだ……)

白銀(何をしたって『ここ』からは逃げられないのに)






病院のロビー

最原「……すう……」スヤァ

茶柱「用事があるって言っておいて自分だけちゃっかり寝てますね……」

東条「私が運びましょうか?」

茶柱「いいですよ。転子が運んでおきますので。東条さんとゴン太さんは食堂に戻っておいてください」

獄原「うん。それじゃあ任せるね!」スタスタ

東条「……」スタスタ

茶柱「……さて、と。じゃあさっさと部屋に入って眠りますか」

茶柱「寝てる間に全部終わってたってオチは勘弁してもらいたいので、その前に起きたいものですね。最原さん」

813: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/28(土) 22:14:14.53 ID:E0np81WM0
病院の外

夢野「よし! 百田と春川を病室に残し、ウチらは巌窟王の捜索を行うぞ!」

王馬「おー!」

夢野「王馬! 何か策は!?」

王馬「じゃあこんなのはどうかな」ゴニョゴーニョゴーニョゴーニョ

夢野「ふむ……ふむふむ」

夢野「採用!」ビシイッ!

王馬「じゃあちょっと離れてるねー!」

夢野「よし……じゃあ始めるぞ……」

夢野「ぐああああああああ朝に食べたプチトマトに当たったー! 凄い食中毒じゃー! お腹が破裂しそうに痛いー!」ジタバタ

夢野「破裂した!」パァンッ!

夢野「ぐへっ」バタンッ

夢野「……」チーン

王馬「……提案しといてなんだけど、こんな嘘に引っかかるのならバカ以前に人生を確実に失敗するレベルの相当なお人好しだよね……」

王馬「流石に無茶ぶりだったなー。やっぱり中止に――」







巌窟王「……」オロオロ

王馬「釣れてる!」ガビーンッ!

夢野「捕まえたぞ!」ガシイッ!

巌窟王「!?」ガビーンッ!

814: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/28(土) 22:26:55.25 ID:E0np81WM0
巌窟王「……」

巌窟王「……罠か!」ハッ

王馬「理解するまでに微妙に間が入るところが巌窟王ちゃんたる所以だよね。記憶失ってるからわからないんだけど」

巌窟王「離せ!」ブンッブンッ

夢野「はーなーさん! ふーるーな! 酔う! 酔って吐く!」

王馬「よーし! そのまま巌窟王ちゃんの手を離さず掴んでおくんだ! その隙に、俺が巌窟王ちゃんを完全に拘束する!」ジャラッ

巌窟王(星の研究教室の手枷か! アンジーが眠っている今、あまりアグレッシブな動きはできん)

巌窟王「……」

巌窟王「作戦変更だ」ガシイッ

夢野「へ?」

巌窟王「夢野を抱えて逃げる」ダッ

夢野「んあーーーーーー……」ピューッ

王馬「逃げられた!」ガーンッ

王馬「……まあそれなら仕方ないか」




王馬は秒速で冷めた。しかし巌窟王は油断しなかったため、無駄に夢野を連れ回したまま逃げ続けた。無駄なのに

819: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/29(日) 21:26:54.63 ID:KHgNkDUP0
巌窟王「……ひとまず撒いたか?」

夢野「うおおおおおおお! 屋根! 屋根の上! 高い! 怖い!」

巌窟王「騒ぐな。落ちるぞ」

夢野「いや実際お主は落ちたことあるじゃろ! かなり前に屋根から! 東条に包帯をぐるっぐる巻きにされてたの覚えておるぞ!」

巌窟王「……」

夢野「……」

夢野「い、いや。うん。楽しいんじゃがな? 怖いのも。絶叫マシン的なサムシングで?」アタフタ

巌窟王「いらん気を回すな。あのときは余計なものを見て足を滑らせただけ……なんでもない」

巌窟王「ひとまず離さないというのならしばらく俺と同行してもらうぞ」

夢野「……それにしても早かったのう。アンジーはいつもこんな景色を見ておったのか。羨ましい」

巌窟王「さて、な。アンジーが楽しんでいたかどうかは知らん。興味もないし訊いたこともない」

夢野「あやつなら何もかもあけすけに、興味があるかどうかに関わらず駄々流しじゃろ。訊くまでもない」

巌窟王「そうだな」

夢野「……ここから出たらお別れ、なんじゃよな?」

巌窟王「ああ」

夢野「……また会えるか?」

巌窟王「無理だな。此度の召喚はなにもかも事故という名の奇跡だ」

巌窟王「奇跡がそうそう何度も起こるはずがない」

夢野「そうか。そうじゃよなぁ。寂しいのう」

巌窟王「だが……この学園の外殻を壊した後は、貴様らには膨大な時間がある」

巌窟王「奇跡を追い求めるのは推奨できないが、なんでもできるだろう」

夢野「気が早い。その上、言う相手を間違っておるぞ」

巌窟王「ム?」

夢野「そういうの、アンジーに言え。別れの言葉じゃろ、それ」

巌窟王「……」

夢野「一応言っておくが、今言ったことは全部ウチのものじゃぞ。間違ってもアンジーに『巌窟王は前にこんなことを言ってた』とか……」

夢野「そんなこと言って共有したりもしない」

巌窟王「フン。また会えるかなどと訊いた貴様の方が遥かに気が早いだろうに」

夢野「……そうじゃな。その通りじゃな! かっかっか!」

820: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/29(日) 21:39:31.98 ID:KHgNkDUP0
夢野「ま、ゆっくり考えておけい。アンジーのヤツ、まだ眠っておったからのう」

夢野「最悪、別れの言葉はなくってもよいぞ? お主は立っておるだけでいい」

巌窟王「ム?」

夢野「お主に言いたいことがあるヤツばかりじゃ。別れの言葉なんぞくれてやる必要もなかろう」

夢野「ひとまず『去り行く巌窟王に何かを言う』くらいでウチらは満足できる。それ以上を望むのは贅沢じゃ」

夢野「当然、お主が何か言いたいことがあるというのならそれでもよい。ただ全員にそれやるの滅茶苦茶面倒じゃろ」

巌窟王「違いないな。まったく、誰一人欠けずによくここまで来れたものだ」

夢野「何を他人事のように。お主の力じゃろ」

巌窟王「俺はきっかけに過ぎないさ。何か一つ間違ったら全員でコロシアイしている地獄の顕現だったろうが……」

巌窟王「何か一つを間違わなかっただけで、こんなことになるのであればそれは貴様らの力に他ならないだろう」

夢野「……そんなものかのう?」

巌窟王「ああ。胸を張れ。コロシアイはあっさりとご破算になったのだ」

巌窟王「……王馬の動向が気になる。もう少し逃げるか」

夢野「あ。そうじゃ、巌窟王。それそれ」

夢野「白銀の目を治すんじゃ。ウチらの言いたいことはまずそれなんじゃ」

巌窟王「断る」

夢野「……まったくしょうもないヤツじゃのー」

巌窟王「フン。なんとでも言え。行くぞ」

821: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/29(日) 21:54:41.70 ID:KHgNkDUP0
病室

百田「……白銀。夢野と王馬が帰ってくる前に一つ聞きたいことがある」

白銀「なに?」

百田「キーボはどこ行った?」

白銀「……あれ。気付かなかったの? あの中庭の意味深なカウントダウンオブジェの中だけど」

春川「いなかったよ?」

白銀「……え? 今、なんて言ったの?」

白銀「ちょっと待ってよ。あれ、中身をカウントダウンが尽きる前に見る手段なんてないんだよ?」

百田「あ、いやそれがエグイサルが突っ込んでぶっ壊れちまってよ。中身に関しては丸見えだったんだ」

白銀「……!?」

春川「……そのノーマルな反応。どうやら本当に知らないみたいだね。キーボはあの中にいなかったんだよ」

春川「キーボはどうなったの?」

白銀「……わからない。カウントダウンが終わったら武装したキーボくんが学園を生徒ごと破壊する手筈になってたんだけど……」

百田「変な話だ。キーボは俺たちの仲間だったろ? そんなことするもんか?」

白銀「……人格の話をしているのなら問題はないよ」

春川「どうして」

白銀「キーボくんの人格は消去されたから」

百田「……ん、な!?」

白銀「……」ニヤァ







百田「『誰が』そんな酷いことしたんだよッ!?」

白銀「ッ!」

白銀(……ダメ、だ。話にならない。百田くんは私のことを首謀者だと頭で理解してはいても、何も実感してない)

白銀(こんなときに真っ先に疑う対象として、私が上がらない)

白銀「……」

春川「……百田。なんか白銀、辛そうだよ。ひとまず事情聴取みたいなマネはここまでにしよう」

百田「お。おう。悪ィ……!」

春川「それにここ、天海とか夜長とかもいるし。あまり騒ぐのはさ」

白銀「へ?」

春川「ん? 何?」

春川「……」

春川「……あ、ごめん。ずっとマヌケな勘違いしてた。そうだ、右目が見えないとか以前の問題か」

822: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/29(日) 22:03:18.80 ID:KHgNkDUP0
春川「でもいつからだっけな……なんで誰も気付かなかったんだろ」

百田「なんの話だ?」

春川「眼鏡だよ眼鏡」

百田「……あ! 本当だ! テメェ、眼鏡どこ行った!?」

春川「アンタ、さっきから『声』と『輪郭』だけでしょ。見えてるの。『ベッドで寝息立ててる誰か』だと認識できない程度の乱視もしくは近眼」

白銀「うん。まあ……でももう必要ないし……」

春川「替えの眼鏡取ってくるから鍵、よこして」

白銀「……あの」

春川「殺されたいの?」ギンッ

白銀「はい」ポンッ

春川「じゃ、百田。しばらくよろしく。すぐ帰ってくるから」スタスタ

百田「おう! 任せとけ!」

白銀「……今更、何かを見ることなんてないと思うけどな」

百田「なあ。なんでさっきからそんな諦め全開の口調なんだ?」

白銀「……」

百田「……まあ、いいか。俺たちは全員一緒だぞ! すぐにそんな口が利けなくなる!」ニカッ

百田「まだ何一つとして終わっちゃいねーんだからよ! これから始まることだらけだ!」

白銀「……」

白銀(辛い。自分でやったこととは言え、予想外だった)

白銀(憎悪意外の感情を向けられるのは不意打ちすぎる)

白銀(……耳を引きちぎってしまいたい)

826: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/30(月) 19:17:37.82 ID:5AYhVfl90
百田「んにしても王馬と夢野の二人……人選間違ったんじゃねぇかって気配がプンプンするぜ」

百田「あの二人で巌窟王を確保できるかどうか……」



ガララッ


王馬「ただいまー! 夢野ちゃんが巌窟王ちゃんを追ってるー! 俺は飽きたから帰ってきたー!」

百田「報告ご苦労。帰れ」ゲシィッ


ガララッ ピシャンッ


百田「……やっぱダメだったな。正攻法で巌窟王を捕まえるのは無理か。なら……」

アンジー「体力魔力共に全快だー!」ヒャッホーイ!

白銀「!?」ビクウッ

百田「お。起きたか。アンジー」

アンジー「あ。つむぎもいる……」

アンジー「……」

アンジー「……はあー……」ゲンナリ

百田「ろ、露骨な溜息やめろよ。こっちまで気持ちが暗くなるから」

アンジー「……寝ながらなんとなく話は聞いてたよー。アンジーなら再度の治療を頼めるかもねー」

アンジー「でも凄くヤだ」

百田「んなっ……!」

アンジー「どうしてもって言うのなら、そうだなー……」

アンジー「いややっぱり絶対ヤだ」

百田「結局イヤなのかよ!」

827: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/30(月) 20:16:09.02 ID:5AYhVfl90
アンジー「ちょっと前のアンジーなら、引き換えにして足るものがいくらでもあったんだけどさー」

アンジー「今のアンジーには特にないんだよ」

百田「お、おいおい。ちょっと待て。いくらなんでもそりゃないだろ。白銀は――」

アンジー「つむぎが奪った」

百田「……あ?」

アンジー「アンジーが欲しかったもの。欲しいと望むだけのチャンスをつむぎが奪った。だからヤだ」

白銀「……ふはっ。最原くんのことに関しては最初から無理っぽかったけど?」

アンジー「……」

百田「よせ。なんで煽るようなこと言うんだよ。目が見えないのは困るってさっき自分で」

白銀「言ったね。でもそれは訊かれたから答えただけで『だから治したい』とは一言も言ってないよ」

百田「おい!」

アンジー「……ヤだ、と言った理由を多少は理解できた?」

百田「できた!」

アンジー「それなら――」

百田「だが治せ!」

アンジー「!」

百田「これはよくないことだ! 後の人生に暗い影を落とすようなマネだ!」

百田「人はな! 勝手に人から奪っちゃダメなんだぞ! 知らねーのか、高校生にもなってよ!」

アンジー「……真っ直ぐすぎてやりづらいなー」

アンジー「でもそれ、つむぎに対しても言えるよね。アンジーだってつむぎからたくさん奪われた。傷つけられたんだよー?」

百田「復讐! 報復! 大いに結構だ! 人間、生きてりゃ傷が癒えるんだから、度を越さない限りはいくらでもやりゃいい!」

百田「これは度を越してるっつってんだよ!」

アンジー「その裁量、解斗にできるの? これはいい復讐だ、とかさー?」

百田「……いや? 無理だな。正しく言うならこうだけどな」

百田「テメェ、まさかこの学園に秩序や法があると思ってんのか?」

アンジー「?」

百田「コロシアイを強要されるような空間だぞ。誰一人そんな判断ができるわけがない」

百田「したとしても確実にズレる!」

百田「忘れんな! 俺たちには外があるんだよ! コイツを裁きてぇのなら外の法律や秩序でいくらでもやりゃいい!」

アンジー「……!」

百田「……うん。あるある。多分、外の世界は滅んだりしてねぇって。おそらく」

百田「あるといいな……外の世界に。法律と秩序」

白銀(なんで最後に弱気になっちゃうの?)

百田「いや、あるぜ! 絶対にな!」

白銀(強気に戻った)

828: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/30(月) 20:32:40.94 ID:5AYhVfl90
百田「……一旦落ち着いて考えてみてくれ。東条や真宮寺の学級裁判のときすら目分量だったんだ」

百田「終一だって後悔しっぱなしだったしよ。あれは間違っても正規の手段じゃねーんだって」

百田「俺たちはああいうマネを、もう二度と繰り返しちゃなんねーんだ」

アンジー「……」

アンジー「……考える時間が欲しいなー」

百田「そうか」

アンジー「解斗の言葉で覆すような憎悪なら、最初から抗議してるよー。アンジーは別に外道じゃないんだからさー」

アンジー「……つむぎと違って」

白銀「……」

アンジー「……外に出てくる。あ、斬美の運んできたごはんは持ってくよー」スタスタ

百田「……」

百田「……悪ィ。説得の手ごたえがいまいちだな。終一ならこういうときいくらでも舌が回るんだろうけどよ」

白銀「いいよ。さっきからそう言ってる」

白銀(……最原くんが私を助けるとは思えないけど)

百田「さてはてめー……」

百田「遠慮してるんだな!?」ズバァーンッ!

白銀「……本当もう、放っておいて……」

百田「さてと。後は……天海だけか。さっさと起きねーかな」

白銀「……」

829: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/30(月) 20:39:44.00 ID:5AYhVfl90
白銀(……東条さんや真宮寺くんの学級裁判のときでさえ……?)

白銀(あれ。待てよ。この発言をするのなら、少なくとも『学級裁判の後に犯人が生きている現実』を覚えてないといけないよね)

白銀「まさか、記憶が戻ってる?」

百田「お?」

白銀「……いや。まさかね」

白銀(戻ってるのなら私を庇う理由がいよいよないしね)







病院の外

アンジー「あれー? いないなー」キョロキョロ

アンジー「念話……いや、よしとこう。寝てるのかもしれないしー、そのほかにも取り込み中かもしれないしー……自力でなんとかしようっと」

アンジー「……」

アンジー「引き延ばしたいし……」

843: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/31(火) 20:27:07.33 ID:9Dncw6Lf0
百田「……いい加減ビンタしたくなってきたぜ。寝すぎだ寝すぎ」

白銀「放っておこうよ。寝てるものをわざわざ起こす必要もないし」

天海「ぐー」スヤァ

白銀「なんなら私のことも本当に放っておいてほしいんだけど……」

百田「さっき食堂で入間から又聞きした。巌窟王がこの学園に穴を開ける気なんだってよ」

百田「入間は東条に聞いて、東条は巌窟王本人に聞いたらしいが……たぶん齟齬はねーだろ」

百田「さっきも言った通り、ここから出れば法律と秩序があるだろうし、いよいよもってテメェを殺していい理由が消えるわけだ」

百田「当然、テメェはそれなりの場所に出てそれなりに裁かれるだろうが……死ぬよかマシだろ?」

白銀「……」

百田「俺たちはそれまでの時間稼ぎができりゃそれでいい。こうして傍に誰かがいれば、誰も表立ってテメェを殺そうなんて思わない」

百田「……」

百田「なあ。テメェが本当に首謀者なら聞かせてくれ」

百田「外の世界はどうなってる? 本当に地球は滅んだのか?」

白銀「なんだ。そこらへんは又聞きしてなかったんだ」

百田「お?」

白銀「あるよ。外の世界。百田くんの言った通り、一定の法律と秩序もキチンとね」

百田「おお! おお! やったぜ! 今日聞いた中で一番のいいニュースだ!」

百田「……なんで誰一人としてそれを言わなかったんだろうな?」

白銀(言えるはずがない。半信半疑だろうし、嘘だと思いたいだろうしね)

白銀(……外の世界には秩序も法律もある。でもだからと言って、私たちに居場所はないんだよ)

844: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/07/31(火) 20:53:03.20 ID:9Dncw6Lf0
百田「なあ。俺も流石にそこまで頭悪いわけじゃないからよ。記憶を改変されたり『ありえない記憶』を思い出したりして……」

百田「……ちょっとは不安には思ってるぜ?」

白銀「うん。私がそうした」

百田「でも楽しみだし、嬉しいぜ! 外に出れるんだからよ!」ニコニコ

白銀「……は、い?」

百田「赤松との約束もあるんだ! 忘れちゃいねーだろ?」

百田「みんなで友達になるんだよ!」

白銀「――」

百田「まあ全員が全員と、とはいかねーだろうけどな。特にテメェに関しちゃ色々諦めろと言う他ねえ」

百田「無理になるもんでもねぇし」

百田「だが安心しろ! ここに! 俺が! いるぜ!」

百田「俺はテメェ含めたみんなとダチだ。ダチのダチは実質ダチだろ?」ニコニコ

白銀「……やめて……」

百田「ん? 気休めか? 流石に。でもまあ大丈夫だろ。夢野とかハルマキとかもいるし。なんなら天海だって――」

白銀「やめてッ!」ダンッ

百田「……?」

白銀「……お……お願い……やめて……! もう……許して……!」ガタガタ

百田「……え。お、おい。泣いてんのか? 俺、なにかしたか?」オロオロ

白銀「せめてもう喋らないで……」

白銀(恐ろしい……! こんな恐怖を二度も味わうとは思わなかった)

白銀(みんなの信頼が段々と裏返っていく、あの絶望感)

白銀(それを私は、自業自得の結果として目の当たりにしてる)

白銀(……この底抜けの明るい表情が、また戸惑いと怒りに変わるのが怖い)

白銀(その先にある憎悪の表情に至っては想像するのもイヤだ)

百田「……わかった。外に出るまでは黙ってるぜ。テメェが喋る分には全然構わないけどな」

百田「待ってる」

白銀「……」ガタガタ

白銀(なんでこんなことに……なんで私は生きている? なんで……?)

849: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/01(水) 20:09:09.37 ID:x2cCbs+x0
ちょっと時間は遡ってカルデア

ダヴィンチちゃん「……」ニコニコ

イシュタル「……」

ナーサリー「……」

ダヴィンチ「悪ふざけは終了、だよ?」ニコニコ

イシュタル(ついにバレたーーー!)ガビーンッ

ナーサリー(情報の隠蔽は完璧だったはず。一体どこから……? 内部告発以外に可能性はないのだけど!)

850: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/01(水) 20:19:50.66 ID:x2cCbs+x0
セミラミス「ふむ。まあ貴様のこと。ハッタリなどではないだろう。ある程度の確証は得ていると見える」

セミラミス「愚か者どもめ。隠し事も満足にできぬのか?」ギンッ

ナーサリー「くっ……一体どこから情報が!」

ダヴィンチ「パラケルスス」

イシュタル「え? パラケルスス?」

ダヴィンチ「一人の患者が『胃もたれが酷い』って彼を頼ったらしくってね」

ダヴィンチ「そのときの処方箋を作る際に、かなり事細かに情報を渡したらしいんだ」ペラッ

イシュタル「ええと、なになに? 患者の指名は……」

イシュタル「……」ピキッ

ナーサリー「……セミラミス、になってるわ」

セミラミス「……」

セミラミス「……?」キョトン

イシュタル「なに『とんと覚えがない』って顔してんのよアンタ! さっきの発言完璧にブーメランじゃない!」プンスカ

セミラミス「誰しも間違いはあるものだ」

ナーサリー「教訓めいたこと言って逃げ切れるという凄い浅はかな計算だわ……」

ダヴィンチ「その他にもマシュがキミたちを色々探ってたらしくってねー。これ単体じゃ決定的な証拠にはならなかったけど」

ダヴィンチ「裏付けにはなった。あとはホームズを待つまでもなく、私だけで真相を突き止められるってわけさ」

イシュタル「せーみーらーみーすー!」ギリギリギリ

851: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/01(水) 20:28:09.03 ID:x2cCbs+x0
セミラミス「……フッ! 心配をするなイシュタル。そしてナーサリーライム」

セミラミス「まさか我が本当にただの迂闊さでパラケルススに情報を漏らしたとでも?」

イシュタル「……違うっていうの?」

セミラミス「我らだけで状況は変えられない。いや、チェックが厳しくなってきていて、もはや物資はあちらには送れない」

セミラミス「ならば発想を逆転させればいい。正規手段で、ちゃんと交渉して物資をあちらに送ればよいのだ」

セミラミス「簡単な話であろう?」

ダヴィンチ「え? 交渉の余地なんてないけど?」

セミラミス「もう一回言え」

ダヴィンチ「交渉の余地なんて――」

セミラミス「あるッッッ!」キィィィィィンッ

ダヴィンチ「――けど?」

セミラミス「ほうら。あると言ってる」ニヤニヤ

イシュタル「瞬間的に大声で台詞被せてるだけーーーッ!」ガビーンッ

ナーサリー「ただの力技……! こんな浅はかな策でまだ笑顔を失くさないというの? なんて強靭な精神力!」ガタガタ

ダヴィンチ「ともかく通信は今すぐ遮断。ある程度状況は下調べしてきた」

ダヴィンチ「やってくれたものだね。あの伯爵がなんと帰還不能だ」

ダヴィンチ「いや? サーヴァントとしてカルデアで再召喚は可能だろうけど、何かしらの影響はあるかもしれない」

イシュタル「え?」

ナーサリー「え?」

セミラミス「ム?」

ダヴィンチ「……あれ。これは……今度はこっちが口を滑らせたかな?」

852: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/01(水) 20:41:11.17 ID:x2cCbs+x0
イシュタル「……BBも全部情報を私たちに渡して逝ったわけじゃないのよ」

ナーサリー「このままだとサーヴァントの原則上、あの伯爵をここに戻すことは不可能になるってことだけは知ってたのだけど」

セミラミス「影響とは? どの程度のものだ?」

ダヴィンチ「不明」

セミラミス「使えぬな」

イシュタル「無限に偉ぶってるけどアンタ状況わかってる?」

セミラミス「わかっておるぞ。だがそれよりも我には重要なことがある」

ナーサリー「それは?」

セミラミス「鳩どもの卵がそろそろ還りそうだ」ガシャァァァァンッ

イシュタル「鳥類の卵を全自動で温めるヤツ出た!」ガビーンッ

ダヴィンチ「それもカルデアの検疫の観点から言って無許可で稼働させちゃダメなんだけど……」

セミラミス「……」

セミラミス「……一匹……くれてやろう……だから見逃せ……」ダラダラダラ

ナーサリー「血涙流すほどイヤなのね……」

セミラミス「そして鳩どもの次に重要なことがある。何がどの程度不明なのか」

ダヴィンチ「いやー。流石にここまで深入りさせた例がないからねー……本当に何もかも不明なんだって」

ダヴィンチ「何の影響もないかもしれない。良い影響かもしれない。悪い影響かもしれないねー」

ダヴィンチ「でもまあ何にせよ、こんなことで巌窟王の霊基に疵を付けるのは認められない」

ダヴィンチ「すぐに通信を遮断。あの巌窟王は今すぐ放置するんだ」

ダヴィンチ「まあパソコンの電源を直接ぶっこぬくようなものだけど……それでも可能性的にこれが最善手だよ」


パカンッ


雛「ぴーぴー」

セミラミス「産まれた……」

853: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/01(水) 20:56:47.11 ID:x2cCbs+x0
イシュタル「……猶予をちょうだい」

ダヴィンチ「えー。交渉の余地はないって言ったのになー」

イシュタル「重々承知の上よ。でも、あの巌窟王が二度とこちらに帰ってこないんだとしても」

イシュタル「私たちはそんなことで投げ出せるようなところに、もう立ってないのよ!」

ナーサリー「……ええ。そうよ。その通りだわ」

ナーサリー「せめて最後まで見届けたい。そのためなら私たちは……」

セミラミス「この赤い目薬をやってもいいぞ? 血涙が出ているような演技ができる」

イシュタル「ちょっとだけでいいからアンタはもう黙ってろッ!」ウガァ

ナーサリー「ぱ、パーティグッズ……」

ダヴィンチ「……そうだな。じゃあ……二十四時間あれば充分かな?」

イシュタル「!」

ナーサリー「!?」

セミラミス「……?」

セミラミス「なんだその破格のじょうけ――ぶっ」

イシュタル「二言はないでしょうね?」

セミラミス「もごもご……」

ダヴィンチ「ん? 何のことだか……じゃ、私は他にも仕事があるから。じゃねー」ヒラヒラ

イシュタル「……アイツ、最初から譲歩するつもりだった?」

ナーサリー「なんだかんだ物凄く甘いのね。それとも興味が無いだけかしら」

ダヴィンチ「あ、そうだ。それはそれとして罰則は全員に貸すからねー」ヒョコッ

イシュタル「怖い。忘れててほしかったわ……」エグエグ

イシュタル「……カルデア的にもこれが最後の支援、か……」

セミラミス「来たれ鳩ども! 新たな命に祝福を!」パチンッ





バサバサバサッ



イシュタル「ぎゃああああああああ!? 鳩! 鳩が部屋いっぱいにあああああああああ!」

ナーサリー「検疫もクソもないのだわー!」ヒイイイイ!




prrrrr!


ナーサリー「あ! あちら側から通信!」

イシュタル「なによこんなときに……ああ、また巌窟王の暴走ね! わかってるっての!」


ガチャリッ


イシュタル「はいはーい! 状況はこちらでも確認してるわよっと!」

イシュタル「ああ。延焼、燃焼の類はしてないわね。ちょっと爆発しただけよ。無事なら無事だし無事じゃないのなら無事じゃないわ」

イシュタル「どっちにしても結果は変わらないから急ぐ必要はないわよ! じゃーね!」


ブツンッ

854: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/02(木) 19:33:05.56 ID:S8j/g7dU0
夢野「……さっきの通信を最後に応答がなくなったぞ。何があったんじゃ」

巌窟王「ヤツらも忙しいときは忙しいからな。そういうこともあるだろう」

巌窟王「ところで夢野」

夢野「なんじゃ?」

巌窟王「……王馬がいないが……」

夢野「お主の想像とウチの想像、多分一緒じゃぞ」







二人(投げ出された……)ガーンッ!

アンジー「あれ。二人ともー。こんなところにいたんだねー。やっはー!」

巌窟王「ム。アンジー……起きたか。調子は?」

アンジー「体力、魔力、共に全快だよー」

巌窟王「そうか。ならば準備しろ」

巌窟王「……この学園を破壊する!」ギンッ!

855: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/02(木) 20:50:40.71 ID:S8j/g7dU0
巌窟王「まず必要なのは生徒全員の位置情報だ。誰も巻き添えなぞ食らいたくないだろう?」

夢野「んあ? えーと大体は食堂かのう……いや。もう時間経ったからそろそろ移動しておるか」

巌窟王「忌々しいが、王馬に協力を頼む必要もあるかもしれんな。寄宿舎の中で泥のように眠っているヤツもいるだろう」

巌窟王「そいつらの所在を特定させるためには王馬のピッキングが必要だ。呼びかけて起きるのならそれで構わないが」

夢野「ふむ。わかった。ひとまず来れるヤツは全員巌窟王の傍に呼び寄せて、来れないヤツはそこから動かないことを確認すればいいんじゃな」

夢野「了解じゃ! それはそれとして白銀の目は?」

巌窟王「……」

巌窟王「……外に出て治療する分には関知しない」

夢野「頑固者じゃのう……まあよい。それでもよい。言ったな? 関知しないと言ったな?」

夢野「じゃあウチらも思う存分好きにさせてもらうからのう!」

巌窟王「何をする気だ?」

夢野「知れたこと! 奇跡や魔術の類がこの世に存在していることは既に割れておるんじゃから……」

夢野「外に出てからお主以上に回復が得意な『何か』を見つけられればそれでよい!」

巌窟王「……計算外だったな」

夢野「何がじゃ?」

巌窟王「白銀を守る人間がここまで出現することが、だ」

巌窟王「どうせすぐに誰かに殺される因果応報の最期を迎えるものだと思っていたが……」

巌窟王「……最原の口車に乗った時点で見えていた結末、か」

夢野「こういう分野で最原を上回ったこと、お主は一度もないのう」

夢野「……ま、最原の方も、お主のことをずっと羨ましがっていたみたいじゃがの。お互い自分のことが見えなさすぎじゃ」

巌窟王「……」

856: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/02(木) 21:19:02.56 ID:S8j/g7dU0
図書室

赤松「誤算だった。やっぱり最原くんは賢いなぁ。茶柱さんも逃げずに粘るとか勇気の塊だしさ」

真宮寺「……どうする? 白銀さんを殺す機会はもう多くないヨ?」

赤松「そうだね。いや、訂正して。機会は多くないどころかもう皆無だよ」

赤松「……」

赤松「よし。諦めよう」

真宮寺「あら。あっさり」

赤松「できないのなら無理にしないよ。あのときはどさくさに紛れてやれるって利点があったからやっただけ」

赤松「バレる危険性があるのならやる価値がそもそもない」

赤松「『バレずにできる』っていうのが一番の魅力なんだしさ」

真宮寺「そう。それなら別に、僕も反論はないヨ」

真宮寺「ただ……」

赤松「ん? 心配?」

赤松「大丈夫だよ! みんなは『見つけるところから実行するまで全部巌窟王さんがやった』と思ってる!」

赤松「巌窟王さんも察してるのか、私たちのことは絶対に口外しない!」

赤松「だからあの夜に私たちの介入があったことは絶対にバレない」

赤松「……白銀さん本人が言ったところで誰が信じるかな?」

真宮寺「ククク……思考回路がとにかく邪悪だネ」

赤松「酷い言い草だ……」

赤松「でもまあ……機会があったらやったかも、ね。諦めるなんて間違っても口にしなかったよ」

赤松「……残念だな」





ガララッ




夢野「んあ! 赤松と真宮寺を発見!」

赤松&真宮寺「?」

865: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/04(土) 06:33:47.56 ID:uyLLBvEZ0
ニ十分後

アンジー(段々と生徒が集まってきた。来ない生徒もいたけど)

夢野「んあー……えーと来ていない生徒は百田、春川、天海、転子、最原、白銀かのう」

王馬「その内の百田ちゃん、春川ちゃん、天海ちゃん、白銀ちゃんは病院から動かないことを確認したよ」

王馬「事情を説明したら『全部終わったら病院に来てくれ』って言ってた」

巌窟王「全部終わるころには俺は消えるつもりだが」

王馬「それでもいいんじゃない? そこは元から百田ちゃんたちもさらさら期待してないと思うよ」

王馬「元から俺たちは記憶が欠けてる。言うべき言葉を失っちゃってるのさ」

巌窟王「……さて」

王馬「?」

巌窟王「貴様、本当に大した面の皮だな。よくも俺の前に再び顔を出せたものだ」ボオウッ

王馬「!?」ガビーンッ

アンジー「やめようよー。魔力の無駄遣いだからさー」

赤松「さっき制裁したばっかりだしね。王馬くんは人の怒りを買う天才だなぁ」

王馬「なんだよっ! 俺はただありもしない脅威に右往左往する巌窟王ちゃんが見たかっただけなのに」

巌窟王「魔力をよこせ。少々でいい」

アンジー「だーめ」

真宮寺(たしなめてる)

東条(大型犬の手綱を握る飼い主……)

867: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/04(土) 18:40:17.73 ID:uyLLBvEZ0
夢野「あとの転子、最原じゃが……どちらも寄宿舎のドアをノックしても応答がないんじゃ」

夢野「校舎の方は広いからまだどこかにいるかもしれない、という可能性を消しきれないんじゃが……」

赤松「校舎で最原くんと茶柱さんを見た人、いる?」

東条「……いいえ。見てないわ。おそらく……」

獄原「二人して寄宿舎でまだ寝てるんじゃないかな。昨日は白銀さんのところで徹夜の見張りだったみたいだし」

王馬「じゃあ俺が確認してくるよ。真宮寺ちゃん、同行してくれる?」

真宮寺「え? なんで僕?」

王馬「……」ゴニョゴニョ

真宮寺「喜んで動向するヨ!」ズバァァァーーンッ!

赤松「なにを吹き込まれたの!?」ガビーンッ

真宮寺「王馬くんは仲間なんだから、あらぬ疑いをかけるのはやめようヨ!」キラキラキラ

赤松(胡散臭い!)ガーンッ

巌窟王「ここまでヨコシマなコンビは見たことが無いな……」

アンジー「大丈夫ー? アンジーも同行するー?」

巌窟王「よせ。消されるぞ」

真宮寺「最後の最後まで信用は取り戻せなかったネ……」シクシク

入間「諦めも肝心だぜ?」ポンッ

真宮寺「入間さんが優しい! 気持ち悪っ!」ガビーンッ

入間「テメエッ!」イラァッ

王馬「じゃ、さっそく確認しに行こうかー!」タッタッタッ

868: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/04(土) 19:03:24.94 ID:uyLLBvEZ0
最原の私室

王馬「とうちゃーく! よーし最原ちゃんはいるかなー!」

最原「ぐー」スヤァ

王馬「最原ちゃんだー!」

真宮寺「予想通り」ニヤァ

茶柱「……んん……」スヤァ

王馬「茶柱ちゃんだー!」

真宮寺「予想通り!」ニヤァァァァ

王馬「インスタントカメラは持ったかー!」シャキイイイインッ

真宮寺「さっき王馬くんが貸したんじゃないかァ」シャキイイイインッ

王馬「じゃあやろうか」ニヤァァァァ



カシャカシャッ カシャカシャカシャッ カシャッ



王馬「後でこれ現像してからかってやーろうっと!」

真宮寺「ククク……また悪趣味な収穫しちゃったなァ。楽しいなァ! ククク……」スタスタッ



バタンッ

869: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/04(土) 19:24:37.71 ID:uyLLBvEZ0
王馬「茶柱ちゃんも最原ちゃんも寄宿舎にいたよー」キラキラキラ

真宮寺「僕も確認したから保証するヨ」キラキラキラ

星「……なにかをやりきった男の顔だな」

赤松(怪しいーーーっ!)ガーンッ

巌窟王「なにかしてないだろうな」

王馬「茶柱ちゃんにも最原ちゃんにも指一本触れてないよ!」キラキラキラ

真宮寺「保証するヨ」キラキラキラ

入間「いい加減キラキラうぜぇ」

赤松「まあ王馬くんはオオカミ少年一歩手前だけどさ。真宮寺くんは信用してもいいと思うし……」

王馬「酷いなー赤松ちゃん。オオカミ少年なんかどこにいるんだよ。送り狼はいたけどさ!」

赤松「はい?」

巌窟王「ともあれ、これで準備は整ったか」








巌窟王「学園に穴を開ける時間だ!」ギンッ

870: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/04(土) 22:00:40.67 ID:uyLLBvEZ0
巌窟王「計画は既に東条に伝えておいてある」

星「何故東条に?」

巌窟王「図説を用意してもらった」パチンッ

東条「ここに」ズラッ

赤松「紙芝居だけど!?」

東条「巌窟王さんに代わって私が説明するわね。この紙芝居を見てちょうだい」

入間「……まあ作戦の説明に図説を用意するってのはまともだよな。普通パワポとかだけどよ」

東条「まず巌窟王さんが宝具を発動する前提を整える必要があるわ」

東条「一つ、夜長さんの健康状態が良好であること。二つ、巻き添えを食らう位置に生徒がいないこと」

東条「三つ、巌窟王さんの前に物理的、精神的な障害がないこと」

アンジー「アンジーは今は元気だから一つ目の前提はクリアだねー!」

夢野「王馬の協力もあって、生徒の座標は全部割れておるな?」

巌窟王「邪魔も……今のところはない。モノクマは壊れた後だ。モノクマーズも全滅」

東条「よって、前提はすべて揃っていると言えるわ」

東条「あとは簡単よ。巌窟王さんが学園を囲う果ての壁、および空の映像を映す液晶ドームを破壊。貫通」

東条「準備ができたら私たちは悠々と外へと脱出できる。いつでも、ね」

赤松「まだこの学園には謎が残ってる。引き返す必要もあるかもね」

赤松「キーボくんも未だに見つかってない」

巌窟王「学園を破壊した後、俺は消える。この世界に俺を閉じ込めていたものは『学園という名の概念』だ」

巌窟王「おそらく、壊れた時点で帰還できるだろう」

アンジー「……」

アンジー(嘘吐き)

東条「以上で作戦は終わりよ」

入間「……まだ使ってない紙があるように見えるんだけど……?」

東条「ああ、これ? これは私が制作した正真正銘の紙芝居よ」ジャァァァァァンッ

赤松「蛇足だーーーッ!」ガーンッ!

875: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 20:14:12.36 ID:99WBv2SG0
巌窟王「……そこまで長い時間だったような気がしない。実際そうだろう。だが……」

巌窟王「そうだな。きっと……退屈しないという点で、この時間は優れたものだった」

アンジー「……」

赤松「そう言ってもらえると嬉しいな。私たち、巌窟王さんには何もできなかったから」

赤松「……ねえ。そんなに急ぐ必要、ある? できれば私たちともうちょっと一緒に……」

巌窟王「赤松。お前らしからぬワガママだな? 急ぐ必要は当然あるともさ」

巌窟王「俺の旅はまだ、道半ばだからな」

巌窟王「ここには少しだけ立ち寄っただけのことだ」

獄原「ご、ゴン太……ゴン太は巌窟王さんのこと……ずびーっ! わ、わすれ……!」グスッエグッ

獄原「……」

獄原「涙が出すぎて何言いたいか忘れちゃった」ズビーッ

王馬「わかるー。俺も悲しすぎて前が見えないー」ヘラヘラ

東条「口だけね」ゴソゴソ

東条「……私も言いたいことがたくさんあるのだけど……言い切れないから手紙に書いてきたわ」ドサッ

赤松「原稿用紙の束!? 厚っ!」ガビーンッ

東条「校了済みよ」

赤松「出版するの!?」ガーンッ

巌窟王「読むのが面倒だな……持っていくが」ゴソゴソ

夢野「流石にこれは断ってもいいと思うんじゃが……」

東条「流石に泣くわよ。それ捨てたら」

夢野「なんかさっきから愛情が重すぎるんじゃが!?」

巌窟王「何を言う。東条は元から色々重かったろう」

東条「レンガと沈黙、どちらか選んで?」スッ

巌窟王「……」

赤松(沈黙した……)

876: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 20:30:06.44 ID:99WBv2SG0
入間「……ケケッ。まったくどうしようもない連中だぜ。別れる間際になってそれを惜しむなんてよ」

入間「俺様は別れる間際以前からずっと巌窟王に焦がれてたぜ? 今更それを態度に出したところで遅いし、無意味だっつーのに」

赤松「入間さんは何か言いたいことないの?」

入間「ねーな。まったく。手に入らないのならさっさと目の前から失せろって感じだ」

入間「それとも今までの詫びでも入れりゃ満足か?」

巌窟王「入間」

入間「んだよ」

巌窟王「今までありがとう。礼を言う」

入間「うぼばしゃあああああああああ!」ブワァーッ

赤松「号泣したーーー! さっきまでの余裕どこ行ったの!?」ガビーンッ

巌窟王「クハハハハハハ! なんという顔だ! クハハハハハハハハハハハ!」

真宮寺「……わざとガラにもないこと言ったネ?」

夢野「ふっつーに悪趣味なんじゃが……酷い顔じゃし」

入間「ちーんっ」ズビーッ

夢野「ウチの帽子で鼻を拭くな!」ガーンッ!

巌窟王「真宮寺。俺がいなくなった後に余計なことはするなよ?」

真宮寺「わかってるヨ」

巌窟王「……実際のところ、もうあまり心配はしていないのだがな」

真宮寺「え」

星「……フン。ま、少しくらいは省みてるようだな。今までの真宮寺を」

真宮寺「……ククク。何もわかってないネ。何も……でもそういうふうに見えていたのなら……」

星「……俺ァノーコメントだ。他の連中が既に大概言っちまったからな」

星「だがまあ、言わなきゃわからないこと程度は言っておくぜ。アンタに会えてよかったよ」

巌窟王「そうか」

877: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 20:46:40.92 ID:99WBv2SG0
巌窟王「さて。そろそろ本題だな。アンジー!」

アンジー「!」

巌窟王「魔力を回せ! 決めに行くぞ!」ギンッ

アンジー「……やだ」

巌窟王「――」

赤松「……え。アンジーさん?」



ギュッ



赤松(後ろから、アンジーさんが巌窟王さんのマントを握る)

アンジー「……行かない方がいいよ」

赤松「?」

赤松(……この展開を想像してなかったわけじゃない。アンジーさんが巌窟王さんの傍にいたのは今更語るまでもないことだし)

赤松(でも言い方がおかしい。『行かない方がいい』ってなんだろう)

赤松(行ってほしくない、ならわかるけど)

巌窟王「……」

巌窟王「行ってほしくない、ならば多少は考えたがな」

アンジー「……」

巌窟王「クハハ。前に言ったような気がするな。俺のことを心配するなどおこがましい」

巌窟王「誰がそんなことを頼んだ?」

アンジー「……もうそういうのいいからッ!」

アンジー「お前はアンジーのサーヴァント! アンジーはお前のマスター!」

アンジー「それじゃダメ……? ここで暮らすの、イヤ……?」ポロッ

巌窟王「楽しいだろうな?」

アンジー「!」

巌窟王「……だがそれは……」

巌窟王「……」

巌窟王「……ハッ! やめよう。これは巌窟王たるこの身に過ぎる言葉だ」

アンジー「『アンジーのためにならない』ってところでしょ?」

巌窟王「……」

アンジー「そうだよ。そんなの巌窟王じゃない! 誰かのために自分を犠牲にするなんて巌窟王じゃありえない!」

アンジー「自分の楽しみのためだけに生きるんじゃダメなの……?」

巌窟王「……」クシャッ

アンジー「!」

赤松(巌窟王さんが、アンジーさんの頭を撫でる。大分乱暴に)

巌窟王「……もう語るべき言葉がない」

赤松(それはまるで弱音だった。『なんて言えばアンジーさんを納得させられるかわからない』という)

赤松(……巌窟王さんの、心からの弱音だった)

878: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 20:53:06.18 ID:99WBv2SG0
巌窟王「最後までお前は俺の名を呼ばなかったな?」

アンジー「……」

巌窟王「今更そんなことはどうでもいいか。お前が俺のことを正しく認識しようがしまいが」

巌窟王「もうこの同調率なら充分に学園を破壊でき――!?」ゾクウッ



バッ


アンジー「?」

赤松「巌窟王さん?」

巌窟王「……」

赤松(巌窟王さんが、固まる。空の一点を見つめて、驚愕に目を見開く)

巌窟王「……アンジー。お前にとってはいいニュースかもしれんぞ?」

アンジー「ッ!」

アンジー「宝具、真名解放!」

巌窟王「承った!」ボオオオウッ!

赤松「え? え?」

東条「巌窟王さん?」

巌窟王「離れていろ! 第三の前提が崩れた!」

巌窟王「『あれ』はまずい!」

赤松「あれ?」

赤松「あ……」

赤松(……流星? 昨日見たのと同じ色の。ああ、でも……)

赤松(今度は、こっちに、降ってくるような――)




ドォォォォォォンッ!

879: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:07:01.24 ID:99WBv2SG0
赤松「な……なに!?」

東条「土煙が舞い上がって何も見えない……!」

王馬「けむいよー!」

巌窟王「ふん」


ブワァッ


赤松「あ。煙が晴れた……いや、吹っ飛んだ?」

巌窟王「随分なご挨拶だな? 久方ぶりの再会とは言え、派手ならいいというものでもないだろうに」

東条「……!」

赤松「え? あ!」







キーボ「……」ドドドドドドドドド

赤松「キーボくんっ!」

880: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:14:59.93 ID:99WBv2SG0
入間「いや。何か様子が変だ。なんだよアレ。あんなパーツ、前には付けてなかったよな?」

入間「そもそもアイツに飛行機能なんてなかったはずなんだ!」

赤松(それだ。キーボくんは今、ホバリングしていた。私たちを見下ろしている)

赤松(その他にも、以前とは明らかな差異がある。見るからに危険そうな、ガチガチの武装)

星「巌窟王! 気を付けろ! 何かやばい!」

巌窟王「やばい、か……クハハ。身をもって知っているぞ」

赤松「……え? 巌窟王さ――」



ベシャッ



巌窟王「ごほっ……」ボタボタッ

赤松「……!?」

東条「巌窟王さん、まさか……負傷を!?」

巌窟王「宝具の展開は遅くはなかったはずだ。アンジーの魔力供給に問題があったとも思えない」フラッ

巌窟王「だがコイツは……宝具を展開させた俺にダメージを通した」

巌窟王「まともに戦えばお互いに無事では済まない、か?」ニヤァ

赤松「そんな……!?」

巌窟王「それと一つ聞きたいことがある」

巌窟王「……キーボの人格はどこだ?」

入間「!」

881: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:22:30.19 ID:99WBv2SG0
キーボ「……」

キーボ「……世界はあなたたちに期待しています」

赤松(質問には答えなかった。だけど、否定すらしなかった)

赤松(……ずっと違和感があった。モノクマや白銀さんにそう仕掛けられたからと言って、キーボくんが私たちを襲うわけがないって)

赤松(だけど目の前にある現実を見て思い直した。あれはキーボくんの姿をしてるけど、私たちの知ってるキーボくんじゃない!)

キーボ「これ以降、学園を破壊すると言わない限り、ボクはタイムリミットまであなたたちに危害は加えません」

巌窟王「……」

キーボ「ここから先、外の世界に進むために必要なものは決断です」

キーボ「誰一人として欠けないエンディングを、ボクたちは望まない」

キーボ「復讐を! 鮮烈なる復讐を! ボクたちの目の前で復讐を!」

星「何を言ってやがるんだ? コイツは」

キーボ「巌窟王さん。正攻法で、あなたはボクに勝てはしない」

キーボ「故に、正規手段での脱出をボクは提案します」

巌窟王「……」









キーボ「ボクはあなたたちに『最後の学級裁判』の開催を要求します」

キーボ「そこで決断を。これが成されない場合……カウントダウンに則り、あなたたち全員を破壊します」

赤松「な……は……!?」ガタガタ

キーボ「決断を、外の世界は望んでいます。復讐を、あなたの役割を!」

キーボ「――最後の学級裁判を!」

882: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:28:15.67 ID:99WBv2SG0
巌窟王「ふむ。中々言ってくれるな。俺ではお前に勝てない、と?」

巌窟王「……試してみるのも一興か」ボオオウッ

アンジー「……!」

赤松「巌窟王さん! ダメっ! 普通じゃない! もしかしたら、あなたでも――!」

キーボ「戦闘形態を維持……脅威を排除します」ガチャリッ

巌窟王「さあ。まだ俺は満足していない。思う存分、踊ってもらおうか!」

アンジー「みんな。下がってて。ここから先は、アンジーと彼がやる」

赤松「でも!」

アンジー「……本当はちょっと嬉しいんだー。あのままお別れなんて結末よりは……多分マシかな」ニコリ

赤松「……!」

巌窟王「再び燃えろ、我が魂――!」

キーボ「エネルギー充填……」






赤松(誰か……誰か助けて!)

赤松(……最原くん……!)

883: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:30:46.45 ID:99WBv2SG0
最原の私室

ズズウンッ


最原「……?」ボーッ

最原(今、なんか音がしたような……気のせいかな)

最原(ダメだ。眠すぎる……頭が働かない……)

最原「……ぐー」ギュッ

茶柱「うん……」モゾモゾ

最原(……? なんか布団の中が暑くて汗ばむ……なんでだろ……まあいいか)スヤァ

884: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:42:42.29 ID:99WBv2SG0
最原(僕は眠る前、柄にもなく怒っていた)

最原(後で聞いてみた話だけど、茶柱さんは『寝ている内に全部終わってるってオチだけはやだ』と思っていたらしいけど)

最原(僕は逆だった。ヤケクソ気味にこう思ってたんだ)

最原(『寝ている内に全部終わってても構うもんか』と)

最原(……どちらかと言えば、茶柱さんの願いの方が叶っていた)

最原(まだ終わってない。何も終わってない)

最原(でも僕は……このとき怒りのままに抱いた、眠る前のささやかな願望を呪う)










最原(さあ。始めよう。ここから先が最後の学級裁判。そして――)

最原(正真正銘の、みんなのコロシアイ修了式だ)

885: 逆転の人 ◆SxyAboWqdc 2018/08/05(日) 21:45:30.78 ID:99WBv2SG0
スレが少なくなってきたんでひとまずここで区切ります!

じゃないと次のスレがいよいよ、本当に短い話で終わっちゃうからね! 百スレくらいで!




配分は間違わない……間違わないように慎重に……!



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