晴絵「個人戦は見学していくからね」 前編

479: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:41:00.33 ID:LBEBAcSa0


『宮永照はヒトじゃない』

チャンピオン……たしかにとてつもない強さだったなぁ



引用元: 晴絵「個人戦は見学していくからね」 



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480: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:42:28.54 ID:LBEBAcSa0

玄「でも、見た感じチャンピオン結構ヒトっぽかったですよ?」

憩「ん?」

キョトンとされてしまった

憩「……ああ、宮永照ですかーぁ?」

玄「はい……近くで見たけどたぶんヒトなんじゃないかと……」

憩「……玄ちゃんってー」

玄「なんですか?」

憩「ちょーっとだけぇ……アホやんなぁ?」

玄「えぇ!?」


481: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:43:32.64 ID:LBEBAcSa0

玄「そんな……こ、これでもしっかりものの若女将で通ってるんですよ!?」

憩「そうなん? にしてはちょーっとばかしズレてるというか……」

玄「どういうことですか?」

憩「わかんないならやっぱりズレとるんやろうねー」

玄「?」

憩「まあ、玄ちゃんかわいいしそういうところも魅力のひとつだと思いますよーぅ」

玄「……ありがとうございます?」


482: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:44:51.63 ID:LBEBAcSa0

憧「でもたしかに玄って……なんかちょっとアホよね」

玄「憧ちゃんまで!? 酷いよぉ……」

憧「あーほら、憩さんも言ってたでしょ? 玄はそこがいいんだから」

玄「そう言われても……アホって言われちゃ素直に喜べないよ……」

憧「あ、卓空けたんで憩さんどうぞ! 玄は入る? 私はまだご飯大丈夫だけど……」

玄「あ、それなら私はいいよ……憧ちゃん続けてどうぞ」


483: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:46:08.35 ID:LBEBAcSa0

今日は、荒川さんたちの練習にお付き合いさせていただいてる

団体戦の時に練習を手伝ったもらったお返しに来たのだ

憧「いいの? せっかく来たのに……」

玄「私も打ちたいけど……ほら、私って癖が強いし荒川さんたちの練習にはならないかなーって……」

灼「……気になるなら玄は一回ドラ切ればいいとおも……」

玄「……なるほど」

自分のことなのに考えつかなかったよ……

うぅ……だからアホなんて言われちゃうのかなぁ?


484: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:47:19.76 ID:LBEBAcSa0

憧「灼さんはお昼休憩入る?」

灼「ん……それに今日はハルちゃんが……」

玄「ああ、そういえば今日だったね! 小鍛治プロのラジオに呼ばれてるの!」

憩「インハイレディオのスペシャルゲストって監督さんだったん? 先週の放送からこーこちゃんが散々煽ってたからうちはてっきりはやりんとか戒能プロ辺りが来るんかと思ってましたよーぅ」

憧「……ですよねー」

玄「赤土先生も頭抱えてたよ……」

灼「ラジオ、つけてい……?」

憩「いいですよーぅ」


485: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:49:03.38 ID:LBEBAcSa0

玄「よろしくお願いします」

憩「よろしくお願いしますよーぅ」

穏乃「よろしくお願いします!」

もこ「…………」

個人戦の選手が同時に卓を囲めない以上、打つのは私たち阿知賀の面子が多くなる

結局私たちの練習みたいになっちゃって申し訳ないなぁ

恒子『ふくよかすこやかインハイレディオーーーーーー!!』

玄「あ、始まったみたいですね」

憩「こーこちゃん相変わらず元気やねぇ」


486: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:50:16.29 ID:LBEBAcSa0

藍子「実際、赤土さんって知名度どうなの? 正直こーこちゃんハードル上げすぎっしょ?」

宥「吉野では知らない人はいないって感じですけど……」

絃「私はちょっと……」

利仙「私は知ってましたよ? 福岡の実業団チームでプレイされていたので……」

穏乃「当時の赤土先生ってどうだったんですか? チームにスカウトされたのは知ってたんですけど……」

憩「それ、ロンですよーぅ」

穏乃「うげっ!」

憩「お話もいいけど集中せんとねー?」

穏乃「す、すいません……」


487: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:51:38.83 ID:LBEBAcSa0

利仙「赤土さんですが……かなり活躍されてましたし、人気もありましたよ? ただ……ここ一番という勝負を落としがちだったので……」

憧「あー……そっか、ハルエ……」

……阿知賀こども麻雀クラブも元々は赤土先生のリハビリだったんだもんね

でも、きっと今の赤土先生なら昔と変わらずかっこいい姿を卓上でも見せてくれると思うなぁ

憩「それ、ロンですよーぅ」

玄「はぅあ!?」

憩「ふふっ……みんな赤土先生気になるみたいやし、一回休憩にしよ?」

玄「で、でも! 憩さんの練習が……」

憩「まぁまぁ……ほら、インハイレディオやしなんかためになるかもですよーぅ?」

玄「……すみません、ありがとうございます」


488: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:52:36.63 ID:LBEBAcSa0

恒子『誰だよ赤土って知らねぇよ!って思ったそこのあなた! 今すぐ謝れ!』

藍子「あ、私正直これ思ったわ……すみません」

絃「ごめんなさい……」

灼「いいよ」

憧「灼さんが許すんだ?」

宥「灼ちゃんあったかいね~」

憩「でもこれってこーこちゃんがハードル上げすぎたせいできっとたくさんの人が思ってますよーぅ」

玄「あはは……」


489: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:54:18.64 ID:LBEBAcSa0

晴絵『三人とも……攻守に優れた……』

穏乃「あ、荒川さん褒められてますよ!」

憩「でもやっぱりチャンピオンの方が褒められてますよーぅ?」

宥「宮永さん、すごかったもんねぇ」

憧「玄なんて歯が立たなかったしねー」

玄「だってすっごく強かったよ……? 準決勝も花田さんや園城寺さんがいたからなんとかなったって感じで……」

灼「一応、最後に一矢報いた」

絃「それも園城寺さんたちがお膳立てしてましたけどね……」

藍子「玄ちゃんドラ抱えてただけっしょ?」

玄「……ふぇぇ」

藍子「ちょ!? 泣かないでよ! 冗談だから! もこもなんとか言ってくれよ」

もこ「…………」

藍子「ほら! もこもこう言ってることだし……」

穏乃「……なんて言ったんですかね……?」


490: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:55:23.60 ID:LBEBAcSa0

利仙「しかし、実際のところチャンピオンからあれほどの打点で直撃を取ったのは団体戦では玄さんだけですしね」

憩「まぁ、まだ個人戦がありますよーぅ」

利仙「当然、三連覇などさせるわけにはいきません……私の手で神代小蒔もろともに……」

憩「うちも遅れはとりませんよーぅ」

憧「……二人とも意外と結構好戦的ですよね」

絃「これでも県の上位プレイヤーを自負していますし……プライドもありますよ」

藍子「まぁそうじゃなきゃ強くなれないって……お、噂をすれば」


491: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:57:21.03 ID:LBEBAcSa0

晴絵『奈良個人戦一位、エースの小走選手は……』

憩「県予選一回戦の牌譜、見ましたよーぅ」

藍子「エグかったねーありゃ」

絃「小走さん、初見の玄さん相手でよく頑張りましたよね……」

玄「え、いや、その……」

憧「実際、私以外公式戦の参加経験もなかったし……メンバーの打ち筋考えれば完全に初見殺しですからね……晩成と初戦で当たれて良かったですよほんと」

穏乃「灼さんのくじ運に助けられましたね!」

灼「それほどでも……」

利仙「やえさん、悔しかったでしょうね……」

藍子「あの人のことだから団体戦終わってすぐ対策始めたんだろうなー」

憩「結局、対戦の機会は無かったんやけどねー」


492: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 22:59:32.61 ID:LBEBAcSa0

穏乃「あ! でも、東京に出てくる前に小走さんが阿知賀と晩成壮行試合組んでくれたんですよ!」

憩「へぇー」

藍子「ああ、らしいっちゃらしいかもね……ただ打ちたかったってのもあるだろうけど」

灼「なんか……『か、勘違いしないでよっ! べ、別にあんたたちのためじゃないんだからねっ!』って言われた……」

憧「いや、そうは言ってなかったでしょ……」

絃「でも、不思議としっくりきますね」

宥「小走さんあったかーい」

憩「で、結果はどうだったん?」

玄「……さ、さすがは奈良個人戦一位と言いますか……」

灼「かなり研究されてて……結構やられた」

憧「もちろん!負けっぱなしってわけじゃありませんけどねー」


493: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 23:01:05.18 ID:LBEBAcSa0

恒子『他に気になる有力選手などいらっしゃいますか?』

晴絵『そうですね……団体戦優勝校の清澄からは宮永選手……宮永咲選手との……原村和選手が参加していますが――』

健夜『それに団体戦では奮いませんでしたが、去年も活躍した鹿児島の神代選手なども――』

利仙「むっ」

絃「利仙さん落ち着いて……」

玄「やっぱり赤土先生も和ちゃんたちのことは気にしてるんだね」

憩「そういえば原村さんも赤土さんの教え子なんやってね」

憧「一年ぐらいでしたけどね……ま、和は安定した結果出してるし宮永さんもあれだけ暴れりゃ注目されるでしょ」

藍子「穏乃ちゃん打ってみてどうだった? 山は穏乃ちゃんの領域っぽいけど」

穏乃「結局最後は王牌を持ってかれちゃったので……」


494: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 23:04:30.52 ID:LBEBAcSa0

絃「こうして考えると……なんと言いますか、支配の強度で言えばやはり玄さんが特に強力なようですね」

玄「そ、そうですか?」

もこ「…………」

藍子「もこもそう思う? じゃあとりあえず玄ちゃんにはドラ抱えたまま打ってもらって強度の高い支配を打ち破る特訓を……」

憩「ちょっと待ってー? 玄ちゃんはうちと打ってる途中やったし取らんといてよ~」

憧「よかったね玄、大人気じゃん」

灼「きゃーすてきーだいてー」

玄「えっと、こう?」

ぎゅっ

灼「…………」

憩「……玄ちゃんやっぱりアホやんな?」

玄「えぇ!? どうしてですか!?」


495: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 23:08:12.78 ID:LBEBAcSa0

――――――

憩「ツモ! 2000・4000ですよーぅ」

穏乃「うわぁー!やられたっ! 憩さん強いっ!」

もこ「…………」

玄「ありがとうございました……」

憩「どーもですーぅ」

うぅ……憩さん、やっぱり強いなぁ

チャンピオンと比べても遜色ないくらいには……


496: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 23:09:21.83 ID:LBEBAcSa0

憩「玄ちゃん? 大丈夫ですかーぁ?」

玄「あ、いえ! 憩さん、本当に強いなぁって……チャンピオンともきっと互角以上に戦えると思いますっ」

憩「え~本当にーぃ? ちょっと褒めすぎやない? 」

玄「私、お二人と打ってますからっ! 頑張ってくださいっ!」

憩「えへへ……ありがとっ! うちも頑張りますよーぅ」

憩「……でも、チャンピオンは……チャンピオンの強さは」


497: ◆FYW.3i5lks 2014/08/13(水) 23:10:04.77 ID:LBEBAcSa0


憩「宮永照は、ヒトじゃないっ!」


藍子「それ、気に入ったの?」


カン!



505: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:27:38.66 ID:y0tPDlOK0


夏場には熱中症などの危険があるのでこまめに水分をとりましょう


……私には縁のない話なんだけどね



506: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:35:05.63 ID:y0tPDlOK0

今日は灼ちゃんとお散歩だ

いつもは一人で散策することが多いのでちょっぴりうきうき気分なのです

宥「今日もあったかいね~」

灼「……どちらかと言うとあつ……」

宥「そっかぁ~」

夏場はどうしてもその辺りの感覚が周りと合わない

……もしかして、無理させちゃってるのかなぁ?


507: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:36:57.12 ID:y0tPDlOK0

宥「……灼ちゃん、大丈夫?」

灼「大丈夫……気を遣わなくても、好きで来てるから」

宥「そう? ……ふふふっ」

灼ちゃんは……口数は少ないけど、とっても優しくてあったかい

昔、松実館で麻雀を打っていた頃のように……いや、それ以上に仲良くなれたことがとっても嬉しい

灼「あ……」

宥「どうしたの?」

灼「あそこ……劔谷の……」


508: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:37:48.85 ID:y0tPDlOK0

美幸「あっついわもー……」

友香「私水筒持ってるんでー! 飲みます? ミルク麦茶!」

美幸「……どうしてそれを選択したのよもー」

友香「いやいや、これが結構いけるんでー! コーヒー牛乳的な?」

美幸「それならコーヒー牛乳飲むってばもー」

宥「こんにちはー」

灼「ども……」

美幸「あれ? 阿知賀の……」

友香「どーもでー」


509: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:38:56.56 ID:y0tPDlOK0

友香「阿知賀の人って個人戦出てましたっけ?」

灼「見学で……」

宥「あ、あの……私、お茶でよければ持っているので……」

美幸「いいの? 助かるわもー……ってあっつっ!? なにこれもー!」

宥「あぅ……ご、ごめんなさい」

友香「この時期に熱いお茶を持ち歩いてるんでー?」

宥「私、あったかいのが好きで……」

灼「まあ、そもそもマフラーとか着けてるし……」


510: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:39:45.65 ID:y0tPDlOK0

美幸「限界だわもー……どっか入ろー」

友香「お昼にはちょうどいいかもでー……あ、よかったら一緒にどうです?」

宥「いいんですか?」

美幸「せっかくだしどうぞー」

灼「それじゃあ……」

宥「ご一緒させてもらいますね」


511: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:41:35.32 ID:y0tPDlOK0

――――――

美幸「このファミレス、会場に近いから解説のプロや関係者がよくいるらしいよー?」

宥「そういえば、赤土先生も小鍛治プロや福与アナと来たって言ってたね」

友香「飲み物取って来るんでー! 先輩はベース何にします?」

美幸「私は……ちょ、ベースってどういうことよもー」

友香「ファミレスのドリンクバーは混ぜるものだって聞いてるんでー?」

灼「いや、別にルールでは……小学生なんかは結構やるけど」

友香「? この前ラジオでこーこちゃんが小鍛治プロに特製ドリンク飲ませたって言ってたんでー?」

美幸「……あの人はちょっと特別なのよもー」


512: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:43:09.56 ID:y0tPDlOK0

灼「宥さんはあったかいのでい……?」

宥「あ、ありがとう灼ちゃん」

友香「行ってくるんでー」

美幸「ちょっと、普通のドリンク持ってきてよもー」

灼「私が見ておきますから……」

パタパタと森垣さんが走りだし、灼ちゃんがそれを追っていく

美幸「友香は帰国子女で……ちょっとズレてるんだよねー」

宥「そうなんですかぁ」

美幸「……松実さんもズレてるよね」

宥「そうですか?」

美幸「そうでしょー……その格好、見てるだけであっついわもー」


513: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:44:57.13 ID:y0tPDlOK0

宥「ご、ごめんなさい……」

美幸「いや別にいいんだけど……暑くないの?」

宥「あったかくてちょうどいいです」

美幸「えー? やっぱりおかしいってばもー」

まぁ、たしかに他の人と違うのはわかってるんだけど……

灼ちゃんも好きな服着てればいいって言ってたし、期にすることないよね?

灼「宥さん、どうぞ」

宥「灼ちゃん、ありがとう」

友香「先輩どーぞ!」

美幸「んー……なにこれ? 」

友香「なにも書いてないボタン押したからわからないんでー!」

美幸「なにそれもー! 自分で飲んでよー」


514: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:45:59.00 ID:y0tPDlOK0

美幸「鷺森さんちょっとー」

灼「たぶん炭酸水なんで害はないとおも……」

美幸「そりゃあ害はないでしょうけど……友香のは?」

友香「私はオレンジジュースでー!」

美幸「チェンジ!」

友香「そんなー」

美幸「変なの持ってきたのは自分でしょー?」

友香「それなら最初から何が飲みたいのか言ってほしいんでー」


515: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:47:01.59 ID:y0tPDlOK0

美幸「口ごたえするとは生意気よもー」

友香「いひゃいれすせんぱい」

椿野さんが森垣さんの頬をぐにぐにと引っ張る

……先輩後輩の関係ってああいうものなのかなぁ?

うちは昔から家同士の付き合いがあったりで、先輩風を吹かすこともあまりないから……

宥「…………」

灼「……宥さん?」

宥「えいっ」


516: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:47:51.43 ID:y0tPDlOK0

ふにっ

あ、灼ちゃんのほっぺた柔らかい

灼「……?」

ふにふに

ふにふに

えへへ……あったかーい

灼「……?……???」


517: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:49:05.56 ID:y0tPDlOK0

美幸「そういえば阿知賀! 団体戦三位おめでとー」

宥「あ、ありがとうございます……」

友香「やっぱり応援するならうちに勝ったチームだと思ったんでー」

灼「ども……ふばひのふぁんも」

宥「あ、灼ちゃんごめんねほっぺ」

灼「ん……椿野さんも個人戦頑張って」

美幸「……ありがとね」


518: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:50:11.33 ID:y0tPDlOK0

宥「……どうかしたんですか?」

美幸「いや……敗退してからも試合は見てたんだけど……」

美幸「正直、全国上位の雀士とのレベルの違いを感じて……自信ないわもー……」

友香「チャンピオンとか意味わかんないんでー」

美幸「私は半荘一回で千里山の園城寺に5万点差つけられたけど、宮永照はそこに7万点差つけてるし……」

灼「ん……チャンピオンや辻垣内さんなんかは特に……格が違うって感じ」

宥「玄ちゃん、大変そうだったもんね……」


519: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:52:20.91 ID:y0tPDlOK0

美幸「妹さんのドラもすごかったけど……全国はほんとに化け物揃いよもー」

宥「えっと、でも、椿野さんも激戦区兵庫を勝ち抜いた名門劔谷のエースじゃないですか」

美幸「まぁ……でも、今大会うちは友香が一番稼いでるんだよねー……もー私の代わりに個人戦出る?」

友香「!! いいんでー!?」

灼「いや、それは大会規定的に無理……」

美幸「ちょっと髪切って変装したらいけるってばもー」

宥「さすがに無理があるんじゃ……」

友香「むむ……たしかに、私先輩ほど顔丸くないんでー」

美幸「うん……って、ちょっとそれ私が太ってるってこと!? もー怒ったからねもー!」


520: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:53:18.59 ID:y0tPDlOK0

……いいなぁ

ああいう言い合いっていうのも、仲が良くないとできないよね?

喧嘩するほど……なんて言葉もあるし

灼「あ、宥さんの来ましたよ……あっつあつの茶碗蒸し」

宥「ありがとー……ふふ、あったかーい」

……じゃなかった

えっと、えっと……


521: ◆FYW.3i5lks 2014/08/18(月) 00:54:24.63 ID:y0tPDlOK0


宥「灼ちゃん!」


灼「?」




宥「わ、私をあったかくしてくれないと、おこっちゃうぞ?」



灼「……じゃ、とりあえずハグで……」


カン!

528: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:40:49.76 ID:rzw/Bjr70


個人戦前に調整相手に指名されるということは、それだけ力を認められているってことだ


ここで燃えないでどうする!



529: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:42:00.51 ID:rzw/Bjr70

雅枝「どうも赤土監督……団体三位が相手してくれるとなるとこっちも助かりますわ」

晴絵「そんな、愛宕監督……こちらこそ勉強させていただきます」

雅枝「それにしても……泉が話持ってきた時は驚きましたわ……」

晴絵「それは私もですよ……宥が千里山と試合できる、なんていきなり言い出すもんだから何事かと……」

雅枝「生徒同士交流しとるようでなによりですわ……ところで赤土監督、今回のインハイの結果とか今までの実績とか結構評価されとるようやけど、プロとか……同じ関西圏の誼で私の居たチームで良ければ紹介したっても……」

晴絵「あ、まぁその辺の話はまたのちほど……」


530: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:42:51.01 ID:rzw/Bjr70

到着してすぐ、赤土先生は千里山の愛宕監督と挨拶してそのまま盛り上がっているようだ

……とにかく! まず最初に大切なのは挨拶だ

大事な時期に対戦相手に選んでくれたことに感謝して……

穏乃「こんにちはっ! 今日はよろしくお願いしますっ!」

竜華「阿知賀のみんな! 今日は来てくれてありがとー! よろしくなー!」


531: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:43:57.11 ID:rzw/Bjr70

宥「泉ちゃん、こんにちは~」

泉「宥さんどもですっ!」

玄「園城寺さん、お体の方は……?」

怜「もう大丈夫やで……準決の時は倒れちゃってごめんなー? 気になったやろ?」

セーラ「よっ! 憧ちゃん久しぶりやなー! 元気やったか? 風神とか悪待ちとか決勝は楽しそうやったなぁ!」

憧「ちょ、え、江口さん! 近いって!」

浩子「本日はどうも……来年に向けてデータ取らせてもらいますわ」

灼「よろしく……ま、来年にはもっと強くなってるけどね」


532: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:44:45.43 ID:rzw/Bjr70

竜華「えっと……一応今日は個人戦参加するうちとセーラの調整ってことになっとるんで、二人を中心に回させてもらいます」

浩子「そちらさんが5人になるんで……」

泉「とりあえず清水谷先輩と江口先輩を別にして、うちから一人づつ阿知賀から二人っつ入ってもらって……空いた二人は見学なり牌譜検討なり……あ、補欠の先輩方に入ってもらえば卓囲めますね」

セーラ「泉、一年のくせに仕切るなぁ」

泉「あっ……いやその、すんませんっ!」

宥「わぁ……てきぱきしててかっこいいよ泉ちゃん!」

泉「いや、今褒める流れじゃなくってですね……」

宥「?」

泉「あー……ありがとうございます」


533: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:45:40.70 ID:rzw/Bjr70

竜華「それじゃあ……あ、松実さん二人おるし名前で呼んでええ?」

玄「はい! よろしくお願いします、清水谷さん!」

竜華「うちも竜華でええって! じゃあくろちゃん打とっか? あと二人ー! この指とーまれー!」

浩子「ああ、私は最初見学させてもらいますんで……お先にどうぞ」

怜「じゃ、私が入ろっかなぁ」

セーラ「あ、俺は高鴨指名や! こっち入ってーな!」

穏乃「私ですか!? よろしくお願いしますっ!」

憧「あ、私清水谷さんの方入っていい? 江口セーラ……さんとは一回打ってるし」

灼「ん……じゃあ最初は私が抜けるよ」


534: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:46:29.40 ID:rzw/Bjr70

セーラ「ってわけで、よろしくなー!」

穏乃「頑張りますっ!よろしくお願いしますっ!」

宥「江口さん、泉ちゃん……よろしくね」

泉「宥さん……今度は私が勝たせてもらいますよ!」

さっそく四人で卓を囲み打ち始める

江口セーラさん……去年は二年生にして全国ランキング二位の千里山でエースを張った高打点プレイヤーだ

そんな人から直々に指名を受けたとなるとこっちのテンションも上がるってものだ

セーラ「リーチや!」

――速いっ!


535: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:47:28.51 ID:rzw/Bjr70

泉「うわ……先輩速いっすね」

セーラ「おう! 個人戦に向けて今からガンガンギア上げてくでー!」

雅枝「セーラ! くっちゃべってないで真面目にやれや! あと、対外試合の時は制服着ろって言うたやろ!」

セーラ「えー……いいじゃないですか監督……なぁ?」

穏乃「そうですね……私も……あれ!? 私ジャージだ! しかもノースリーブ!」

泉「今気づいたんか!?」

宥「ノースリーブで泉ちゃんとおそろいだねぇ~」

泉「……そ、そうですね」

セーラ「あ、一発ツモや……3000・6000」

泉「いきなり親被った!?」


536: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:48:19.28 ID:rzw/Bjr70

泉「きっついなぁ……」

セーラ「おう泉! 気ぃ抜いてるとトバすでー!」

雅枝「セーラ!」

セーラ「だぁー! わかりましたって! 黙ってやります!」

泉「先輩、それポンです」

セーラ「泉! 黙ってやれや!」

泉「それはおかしいやろ!」

雅枝「お前らええ加減にせぇよ!」


537: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:49:21.62 ID:rzw/Bjr70

――――――

穏乃「やられたー……序盤に削られ過ぎた……」

やる気満々だったんだけど……少し、空回りしちゃったかなぁ

泉「でも、高鴨は後半かなりよかったやんな? 南2の和了なんかは巧く気配消してたし……」

宥「うん……それに、後半はなかなかあったかい牌が来なくなって……」

セーラ「ふむ……竜華もこれに……おもろいやっちゃなー」

穏乃「うー……なんか、個人的にはいまいちな感じでしたけど……」

セーラ「いや、全然よかったと思うわ……序盤に振った分点は差が出たけどな」

セーラ「それに、個人戦はお姉ちゃんみたいに手牌偏ったり高鴨みたいに……なんつーか、支配効かせてくるやつも多いから……それこそ高鴨と打った白糸台の大星とかな? いい勉強になるわ」


538: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:50:13.35 ID:rzw/Bjr70

穏乃「そうですか……?」

セーラ「おう! もっかい頼むわ!」

穏乃「……はい! 今度は勝ちますよ!」

泉「私も今度こそ……」

浩子「あ、泉は私と交代な」

泉「……はい」

竜華「待って待って! うちお姉ちゃんとも打ちたい!」

セーラ「えー……じゃあ玄ちゃんと交換なー」

玄「おまかせあれ!」

憧「灼さん代わるよー」

灼「ありがと」

怜「なんならうちが代わるで? ほら、うち病弱やし……」

竜華「そのアピールやめ!」


539: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:50:59.59 ID:rzw/Bjr70

それからは面子を交代しながらひたすら打ち続けた

千里山はさすがに伝統ある名門校といったところで、攻守のレベルが非常に高く、駆け引きも巧い

特に、江口さんは手作りも速いし打点も高い

愛宕監督……愛宕雅枝元プロの指導を受けれたのも嬉しかったりする

……ちょっとミーハーかな?

雅枝「そろそろ時間やな」

晴絵「そうですね……次の半荘で最後にするよー」

セーラ「よっしゃ! 高鴨! ……と玄ちゃん!最後にもっかい相手してやー!」

……今日の収支はマイナスだ

穏乃「……よろしくお願いします!」

ここで、一矢報いる!


540: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:52:09.34 ID:rzw/Bjr70

――――――

穏乃「ツモ!」

穏乃「自摸平和三色ドラ2で3000・6000です!」

玄「……穏乃ちゃん!」

浩子「はぁ……これはこれは……」

セーラ「すごいやん! とうとう玄ちゃんのドラゴンロード破ったで!」

雅枝「…………」

セーラ「監督! 今の……」

雅枝「あんたが支配破る特訓やろ! しかも今ので捲られとるやないか!」

セーラ「はい! すいません!」

晴絵「しず……今日は来てよかったな」

穏乃「はいっ! ありがとうございました!」


541: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:53:03.36 ID:rzw/Bjr70

晴絵「今日はみんなお疲れさま! ここで解散にするけど、私と愛宕監督はちょっと話があるからさ……」

雅枝「竜華、これやるわ」

竜華「へ……? ってこ、これ!」

晴絵「それでなんかおいしいものでも食べてきなよ」

雅枝「大会前やしな……鋭気を養ってき」

怜「え、ちょ……マジで!?」

憧「ハルエ!? お金ないのに無理しなくても……」

晴絵「うるさいよ! とりあえず問題起こさないようにね! 頼むよ灼」

灼「え、あ、うん……任せて」

雅枝「飯食ったら真っ直ぐ帰れや……浩子、しっかり見といてな」

浩子「あいよおばちゃん……にしても、洋榎が聞いたら贔屓や言うて怒るで……」


542: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:54:14.13 ID:rzw/Bjr70

――――――

泉「いや、驚きましたわ……どうします?」

穏乃「ラーメン食べたい!」

セーラ「おっ! ええな!」

宥「あったかーい……」

憧「いや、折角なんだからそんなお小遣いで食べれるものじゃなくてもいいじゃん……」

玄「じゃあ、高価なものって……お寿司とか?」

浩子「回るやつなら行けますね」

灼「この人数で制服だとあんま凄いところは……」

怜「肉! 肉がええ!」

竜華「いや、怜はそんな食えんやろ?」


543: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:56:25.13 ID:rzw/Bjr70

セーラ「……つか、まだ晩飯にはちょい早いしどっか遊び行かへん?」

竜華「監督に遅くなるなって言われとるやん」

宥「……まあ、少しぐらいなら平気なんじゃないですか?」

灼「ボウリングとか?」

穏乃「いいですね! あとは……バッティングセンターとか、ビリヤードとかダーツとか!」

セーラ「その後は……あ、近くに公園あったなぁ! フットサルとか……なんなら鬼ごっことか!」

玄「複数こなすの前提ですか!?」

怜「そんなんうち死んでまうわ……」

泉「なんでそんな体育会系な選択肢ばっか……」

セーラ「なんや高鴨気ぃ合うなぁ!」

穏乃「今度一緒に山登りましょう!」


544: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:57:33.69 ID:rzw/Bjr70

憧「まったくもう……あの二人は……」

浩子「セーラは脳みそ筋肉でなぁ……」

セーラ「浩子! 聞こえとるで!」

浩子「褒めてるんや」

セーラ「お? そっか!」

穏乃「褒められましたよ!」

泉「……いやいや」

憧「……アホね」


545: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:58:17.40 ID:rzw/Bjr70

竜華「まあどっか行くにしても、もう少し落ち着いた感じにせん?」

灼「せめてどれかひとつに……」

怜「うちら麻雀部やで……運動からちょい離れて……」

セーラ「せやなぁ……そうだ!」

穏乃「うーん……あ!」


546: ◆FYW.3i5lks 2014/08/19(火) 01:59:18.50 ID:rzw/Bjr70



「「帰って麻雀打とう!!」」



浩子「はい、飯食って帰るでー」

憧「了解でーす」


カン!


554: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 00:56:47.12 ID:GXEbZdQT0


高鴨穏乃にちゃんとした服を着せよう委員会発足!



555: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 00:57:34.45 ID:GXEbZdQT0

灼「……で?」

憧「いや、なんというか……あまり変な道に入り込ませないでほしいと言うか……」

灼「私が率先して引き込んでるわけじゃないし……むしろ、それとなく諭したんだけど」

憧「で、でも……」

灼「穏乃がああいう服が好きなら、私は止めれない……憧が私になにも言わないのと同じ」

憧「うぅ……」

それを言われると弱い

似合う服、似合わない服だけじゃなく好きな服、嫌いな服っていうのはあると思うし……

でも、しずにはやっぱり普通にお洒落させて、そういう話題も共有したいのだ


556: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 00:58:49.14 ID:GXEbZdQT0

憧「……それじゃあ岩館さん!」

揺杏「なにー?」

憧「いや、なにじゃなくてですね……」

というか、最近普通に灼さんの部屋に入り浸ってるなこの人

憧「なんというか……ああいう服を作るのは」

揺杏「あ!そうだそうだ……憧ちゃんにワンピース作ってきたんだけど」

憧「へ? うわっ! すごい! かわいい!」

揺杏「いやー昨日急にピーンときてさぁ……憧ちゃんかわいいからつい気合入っちゃったよー」

憧「わぁ……ありがとうございます!」

うわー岩館さん本当に手先器用なんだなー

センスも普通に良いし……なんであんな変な服作って……

憧「って! 誤魔化されるとこだった!」

揺杏「ちっ」


557: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:00:17.35 ID:GXEbZdQT0

憧「変な服作ってしずを煽るのやめてくださいよ!」

揺杏「そんなこと言われても頼まれたから作ってるだけだしなぁー」

揺杏「つーかさ、今日憧ちゃんに服作ってきたじゃん? で、これがその時に余った布なんだけど……」

憧「それがどうかしたんですか?」

揺杏「これをこう……適当に縫い合わせてみると……あら不思議! 普段ーが身に付けてる服のようななにかに!」

憧「はぁ!?」

揺杏「リサイクルで地球にもやさしいし、私も楽しいし、一たちは嬉しいし誰も損しなーい」

憧「いや、私が……」

揺杏「あーそろそろ腹減ったァ」

灼「食べ行こっか……憧はどうする?」

憧「え、ちょ……私はまだいいや」

灼「そ……じゃあ、ちょっと出てくるから」


558: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:01:44.61 ID:GXEbZdQT0

揺杏「あ、ひとついい?」

憧「……なんですか?」

揺杏「私らに言うよりさー……一や初美さん、それか穏乃本人に言った方がいいんじゃね? マジで」

憧「ぐぬっ……でも、しずに言っても聞いてくれないし……」

揺杏「一番付き合い長い憧ちゃんが言っても聞かないなら私らがどうこうしたとこで変わんなくね?」

憧「むむむ……」

灼「……揺杏」

揺杏「あいよー。 じゃ、またねー」

わかってる……わかってるんだけど……

……とにかく、まだ諦めたくない……手は尽くす!



憧「――というわけで、助けてください!」

胡桃『まかせて!』


559: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:02:49.63 ID:GXEbZdQT0

――――――

胡桃「こんにちはー」

憧「胡桃さん!」

胡桃「今日は頼もしい助っ人を連れてきたよ!」

エイスリン「Aislinn Wishartデス! ヨロシク!」

憧「新子憧です! よろしくお願いします、エイスリンさん!」

胡桃「……ね、憧ちゃん……今この部屋来るときに高鴨さん見たんだけどさ」

憧「またジャージでしたよね? ほんと……聞く耳持たずって感じで」

胡桃「いや、一緒にいた子がさ、なんか凄い格好してて……ほっぺに星のシール貼った」

憧「……それが龍門渕の国広さんですね」

胡桃「あまりのことに開いた口が塞がらなかったよ……」

エイスリン「ンン……エット、ショウキノサタジャナイネ!」


560: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:04:25.74 ID:GXEbZdQT0

憧「難しい言葉知ってますね……で、まぁしずがあそこまでいかないうちに何とかしたいんですけど……」

胡桃「聞いたところ、もはや高鴨さんは服を試着すらしてくれない……そこでエイちゃんの出番なわけです! 先生、お願いします!」

エイスリン「ウム、セッシャニマカセルデゴザル!」

……時代劇でも見たのかな?

とにかく、エイスリンさんが手に持ったボードにさらさらとイラストを描き始める

エイスリン「コノモンドコロガメニハイラヌカ!」

バッと掲げたボードには、阿知賀の制服を着たしずのイラストが……

憧「ってすごっ! 速い上に上手い!」

エイスリン「カタジケノウゴザル」

胡桃「エイちゃんがいれば試着要らずだからね! これで視覚から高鴨さんのイメージを膨らませて、こういう服もいいかも、って思わせればこっちの勝ちだよ!」

エイスリン「『勝訴』」

憧「エイスリンさんさっきからなんか違いますよ!?」

エイスリン「ンン……マチガエタ?」

胡桃「エイちゃんはかわいいからオッケーだよ!」


561: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:05:46.53 ID:GXEbZdQT0

灼「ただいま」

揺杏「ちーす」

純「国広くん来てるかー?」

憧「おかえりー……って井上さん!? 」

揺杏「イケメンお持ち帰りだぜ!」

胡桃「あれ? 鷺森さんと、たしか北海道の……そっちの男の人は知り合い?」

純「オレは女だ!」

エイスリン「オジャマシテマス!」

揺杏「うぉ……コニチハー……あー、ワタシノ、ナマエハ……」

灼「なんで揺杏が片言に……」

純「日本語喋ってんだろ?」

憧「簡単な挨拶ぐらい英語でできるでしょ……」

揺杏「……ついだよ! 恥ずかしいからあんま突っ込むなよなー」


562: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:07:11.66 ID:GXEbZdQT0

憧「きょ、今日はどうしたんですか?」

純「ちょっと国広くんと連絡つかなくてさー……高鴨のとこ行くって言ってたからさ」

灼「ちょうど下で会った」

揺杏「モデル体型のイケメンが現れたから服作って着せ替え人形にしてやろうかと……で、憧ちゃんはお友だち集めて作戦会議?」

憧「……まぁ、そうですけど」

純「作戦会議? なんの?」

憧「実は……」


563: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:08:47.53 ID:GXEbZdQT0

――――――

純「あー……なんか、すまんな」

憧「いや、井上さんのせいでは……」

胡桃「とりあえず、すまないと思うなら協力する!」

純「まぁ、暇だしな……よーしまかせろ!」

揺杏「つーかエイちゃんさんマジで絵上手ですねー……純に作る服の案出すからいくつか書き起こしてくれません?」

エイスリン「オッケーデス!」

灼「……穏乃、国広さんと薄墨さんとしばらく買い物してから帰ってくるって」

憧「一、二時間ぐらいは余裕あるかな? それまでにいくつか仕上げてもらってなんとかしましょう!」

胡桃「エイちゃん、高鴨穏乃ちゃんってわかる?」

エイスリン「ワカルヨ! ンン……オヤマノタイショウ!」

胡桃「……山の好きな阿知賀の大将さんだからだいたい合ってるね!」

憧「……まぁ、はい……だいたい合ってますね」


564: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:09:51.69 ID:GXEbZdQT0

純「描けた! どうだ!」

エイスリン「Oh! ジュン、ハヤイネ!」

憧「……えっ、と」

揺杏「……お、おう」

灼「……味のあるイラスト」

うん、まぁ……かろうじてしずに見えなくもない

あーその、うん、井上さんもちょっとかわいいとこあるじゃない

胡桃「下手くそだね!」

純「うっせーチビ! わかってるよ! これでも頑張ったんだよ!」

胡桃「うるさいそこ! チビって言わない!」

エイスリン「ユアン! ジュン、デキタヨ!」

揺杏「おー……純の後だから余計に上手く見える」

純「いちいち要らんこと言うなよ!」


565: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:10:48.93 ID:GXEbZdQT0

純「あー……もういいよ!」

バタン!

勢いよく扉が閉まり……井上さんはクローゼットの中に引っ込んでしまった

……拗ねちゃった?

くそっ! イケメンのくせにかわいいな……ギャップ萌えってやつ?

揺杏「よーし……純のはだいたい揃ったから次はどうする? エイちゃんさん? 鹿倉さん?」

胡桃「……いいの?」

揺杏「いいよいいよー! 私個人戦無いからしばらく暇だし」

胡桃「……えっと」

憧「いいじゃないですか! 私が今着てるのも岩館さんに作ってもらったやつで……」

灼「せっかくだしいいんじゃないですか?」

エイスリン「クルミカラ! ニアウフク、カイチャウヨ!」

胡桃「エイちゃん……ありがとう! よろしくね!」


566: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:11:57.20 ID:GXEbZdQT0

――――――

穏乃「ただいまー」

一「おじゃましまーす」

初美「おや? エイちゃんと胡桃ちゃんがいますよー?」

エイスリン「ハッチャン! オヒサシブリデス! 」

ガチャ

純「国広くんやっと来たかー……誰も相手してくんないから寂しくって……」

一「なんでクローゼットから!? そりゃそんなとこいたら相手されないって!」

純「みんな夢中で……まさか一時間近く放置されるとは……」

一「どうして一時間もそこにいたのさ!?」

純「なんか、自分から出てったら負けな気がして……」

一「なにと戦ってるの!?」


567: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:13:02.81 ID:GXEbZdQT0

憧「く、胡桃さん……」

胡桃「うん……忘れてたね、高鴨さん……」

揺杏「まぁ忘れてたもんは仕方ないっしょー」

灼「ドンマイ」

つい夢中になってしまった……

っていうか岩館さんわざとやってない?

私をからかって楽しんでる気がするんだけど……

胡桃「うー……とりあえず私たちの絵になっちゃうけど、いくつか抜き出して見てもらおうか」

胡桃「ほら、最悪気に入らなくてもエイちゃんになんか描いてもらおうかなー?とか、そういう気分になるかもだし……」

憧「そうですね……なにもしないよりは……」


568: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:14:42.51 ID:GXEbZdQT0

一「ところで、夢中になって……純くん放置してみんなはなにしてたの?」

純「んー? ほら、エイスリンに絵を描いてもらって、それを元に揺杏が服を作るんだってよ」

エイスリン「カキマス! ……エイッ! ドウ? シズノデス!」

穏乃「わぁ……すごーい! 」

初美「やっぱりエイちゃんは絵が上手ですねー」

一「かわいいなぁ」

エイスリン「……ソウ?」

穏乃「すごいですっ! これ、もらっていいですか?」

エイスリン「ドウゾ!」

初美「ただ、服のデザインは改良の余地がありますねー」

一「もう少し描いてもらってもいいですか?」

エイスリン「オマカセアレ!」


569: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:15:37.58 ID:GXEbZdQT0

胡桃「……よし! 候補はこんなところじゃない?」

憧「それじゃあこれをしずに……」

純「新子……すまん! オレには止めることができなかった……」

憧「へ?」

純「ほら……アレ」

井上さんがそう言って指した先には……


570: ◆FYW.3i5lks 2014/08/22(金) 01:16:50.38 ID:GXEbZdQT0

穏乃「もうね、刀や王冠に勝つにはこれしかないと思うんですよね……ズバリ! 羽を付けましょう!」

一「その発想力……高鴨さん、やはり天才……!」

エイスリン「wings? アー……コンナ、カンジ?」

初美「おおー! 布削れば本当に飛べちゃうんじゃないですかー?」

穏乃「鳥人間コンテストとか出れますか!?」

揺杏「いや、飛ぶのはさすがに……羽ばたくギミックぐらいは仕込めるかも……」

エイスリン「You can fly! シンジレバソラモトベルヨ!」



胡桃「エイちゃん……目を離した隙に壁の向こう側に……」

憧「」

カン!

577: ◆FYW.3i5lks 2014/08/25(月) 08:37:43.79 ID:wcuN1n3x0

憧「うぅ……やっぱり私たちだけじゃ限界があるんですかね? 他に頼りになる人とかいませんか?」

胡桃「うーん……シロはダルいって協力してくれないだろうし、豊音は純粋すぎて取り込まれそうだし……塞は常識あるけどお団子パッツンにモノクルと、かなり個性的で素養あるようにも見えるよね……」

エイスリン「……カケタヨ! アコチャンデス!」

揺杏「じゃ、次の新作はこれでー」

憧「うわ……(普通に)かわいい! ありがとうございます! それにしてもエイスリンさん、この前はなんであんな……」

エイスリン「?」

胡桃「……この前エイちゃんがはっちゃん達の絵描いたでしょ?」

エイスリン「ウン! ハッチャンモ、ハジメモ、シズノチャンモホメテクレタシ……ミンナヨロコンデタヨ?」

憧「そうなんですけど……最初の目的でいうとアレじゃあ、その、逆効果と言いますか……」

エイちゃん「Why? ……アコチャントクルミ、シズノチャンノエヲカイテッテイッテタ……マチガエタ?」

胡桃「……間違ってないよ! エイちゃんは頑張ったから! ありがとう!」

エイスリン「……ウン! コレカラモガンバルヨ!シズノチャンノエ、イッパイカクヨ!」

憧「……胡桃さん」

胡桃「……エイちゃんはほら、ちょっと趣旨を履き違えてただけだから……」

580: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:50:56.50 ID:usjB6EB80


私には力があった……いや、あると思っていた


仲間の信頼、周囲の期待、多くのものを背負って戦い……最後には勝つ自信があった



581: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:51:43.10 ID:usjB6EB80

きっと、この子も私と同じだったと思う

多少立場は違えど、そこで自分の戦いが終わるなんて思いもしなかっただろう

昔のこともあるし……正直、恨まれてすらいるんじゃないかと思っていた

やえ「赤土さん、こんにちは……団体戦、おめでとうございます」

晴絵「小走さん、ありがとう……東京に出てきたんだね」

やえ「そろそろ個人戦も始まりますから……今日は、たまたま近くまで来たので挨拶しておこうかと」


582: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:53:22.12 ID:usjB6EB80

晴絵「そっか、わざわざごめんね? 今日はみんな出ててさ」

やえ「べ、別にわざわざ来たわけじゃないですし……たまたまですから、たまたま!」

頬を染めてそっぽを向く小走さん……結構分かりやすい子だ

これは、今流行りのツンデレってやつだよな?

やえ「……といいますか、今回はむしろ……その、どちらかというと、赤土さんにお会いしたかったので」

晴絵「私に?」

これはただの照れ隠しか? 灼と仲いいみたいだし、そっちだと思ったんだけど

小走さんからの用事って特に思い当たらないけど……まさか……

晴絵「……十年前と、団体戦のお礼参り?」

やえ「どうしてそんな発想がでてくるのよ!? 違うっつーの!」


583: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:54:30.12 ID:usjB6EB80

やえ「っと……すいません、つい」

晴絵「あはは……こっちこそごめんね? 冗談だよ、一応」

やえ「一応って……まぁたしかに、また赤土晴絵にやられたって上の方は悔しがってましたけどね」

晴絵「ま、だろうね……晩成の歴史中二つの傷……その両方に私が関わっていることになるからな……」

晩成高校は40年間で39回の県大会優勝というとてつもない記録を打ち立てている

私の代で負かされるまでインターハイ30年連続出場……一度は記録が途切れたものの、その後もまた勝ち続けて9年連続出場をしていた

北大阪の千里山女子が過去35回出場、現在11連続出場……東東京の臨海女子が現在16年連続出場と、名門校と呼ばれる中でも別格の記録だ

晴絵「……実際のところ、晩成のエースで部長の小走さんとしては私に対して思うところもあるんじゃないのか?」


584: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:55:28.50 ID:usjB6EB80

やえ「えっと、その……」

晴絵「……ごめん、ちょっと意地悪だったな……私も、インハイに関してはちょっとね」

……みんなの手でインターハイに連れてきてもらって、やっと一歩前に踏み出すことができたとは思う

それでも、やっぱり私にとってインターハイは特別なものだ

多少は気持ちも落ち着いたけど……まだ、冷静にはなりきれていないところもあるみたいだ

今となっては、期待を受けながら敗北した……晩成側の気持ちもわかってしまうだけに、どちらかというと私が小走さんに対して思うところがあるのかもな……


585: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:56:13.26 ID:usjB6EB80

やえ「……そりゃ、なんとも思ってないわけじゃありませんけど、少なくとも恨んだりはしてませんよ」

晴絵「……そうかい?」

やえ「恨んでたら、壮行試合なんて組みませんよ」

晴絵「それもそうだね……ありがとう、あの時は本当に助かったよ」

やえ「いえ、こちらとしても……負けたのは悔しかったですし、単純にもう一度打ちたかったのもありましたから」

やえ「インターハイ……今年こそは、という気持ちもありましたし……団体でやられた分、個人戦で雪辱するつもりだったんですけどね」

晴絵「うちは個人戦登録してなかったからなぁ」

やえ「私としては、インターハイ前にその分打たせてもらったって思ってます……負けっぱなしで、悔いを残してインターハイに挑みたくはなかったので」


586: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:56:49.27 ID:usjB6EB80

晴絵「そっか……私さ、小走さんと晩成には本当に驚いたよ」

晴絵「正直、団体戦でも玄相手に一万点以上プラスを維持されるとは思わなかったし……チーム全体でもあそこまで巻き返されるとは思ってなかったからね……壮行試合の時はかなりの勢いでうちの子たちやられてたしね」

みんなには晩成に勝つのは厳しい、なんて言っていたけど……実際、うちは特殊な打ち手を抱えているし情報アドバンテージを加味して大会では8-2有利ぐらいに考えていたが……想定以上に地力のあるチームだった

もし、県決勝で当たるようなことになっていたら本格的に危なかったかもしれない

やえ「……私は、今年のメンバーは私のいた三年間で一番だったと思ってますよ」

晴絵「うん……小走さん自身も去年よりレベルアップしているのがよくわかったし……巽さんは特によかったね、二年生で晩成の大将を任されるだけはある」

晴絵「……個人戦、応援してるよ……敵の私に言われても複雑かもしれないけどさ」


587: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:57:32.18 ID:usjB6EB80

やえ「……いえ、素直に嬉しいです……その、この間のラジオも聞きました」

晴絵「うぇ……恥ずかしいな……結構酷かったろ?私」

やえ「詳しい情報を発信できない中で、各選手の考察なんかもしっかりしてたと思いますよ……酷かったのは福与アナでしょう」

晴絵「あはは……はしゃぎにはしゃいでたね、こーこちゃんは」

やえ「ちょっとキャラ強すぎじゃないですか? 小鍛治プロと相性いいみたいですしなにかやらかさなきゃ干されはしないと思いますけど」

やえ「って、その話は今はいいんですよ! その……赤土さんに期待しているって言われたこと……本当に嬉しかったんです、例えテレビ的なことだったとしても」

晴絵「……期待してるってのは本当だよ。 小走さんは実力もあるし、世話にもなった……それに、私も奈良の人間だしね……同郷の子に頑張ってほしいさ」

やえ「ふふ……私も、阿知賀の応援してましたよ。 県人未踏の決勝戦……私の手で果たしたかったんですけどね」


588: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:58:20.06 ID:usjB6EB80

やえ「……その、阿知賀のみんなほどではないと思いますけど、私にとっても赤土晴絵は特別な雀士なんです」

晴絵「……私が?」

やえ「はい……私だけでなく、奈良の雀士にとっては多かれ少なかれ特別な雀士だと思いますよ、赤土晴絵は」

晴絵「…………」

やえ「県大会前、コンビニの前で一度見かけましたけど……夜中だったのに後輩の車井はすぐにわかったみたいですし、岡橋も名前を聞いてピンと来たみたいですし……」

やえ「それに、インハイの時期になると王者晩成! ってすぐに騒がれますけど、晩成の話題になれば赤土晴絵の名前も大概出てきますしね……」

晴絵「……そう言われてみると、たしかに奈良では知名度がある方なのかもな」


589: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:58:53.66 ID:usjB6EB80

やえ「赤土さんが晩成を破った十年前のインターハイ……私はその頃には麻雀牌を握っていて、マメもできないほど練習に打ち込んでました」

やえ「大きくなったら晩成高校に入ってインターハイに出て、プロ雀士になるんだ! ってその頃からの夢でしたよ」

晴絵「ま、私もそんな感じだったよ。 偏差値70の壁があったから晩成は諦めたけどね……」

やえ「その頃から私は麻雀以外の時間は勉強してましたけどね」

晴絵「私は勉強嫌いだったんだよ……」

やえ「ふふ……ま、晩成高校は県内の幼年雀士の憧れで……衝撃的でしたよ」

やえ「晩成高校の敗北と……赤土晴絵の登場は」


590: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 02:59:25.39 ID:usjB6EB80

晴絵「……すぐに消えちゃったけどね」

やえ「それでも、県民にとって……私にとって王者晩成は絶対的な強さの象徴でしたから」

やえ「……強い、ってのは子どもが憧れるのに十分な要素ですよ」

晴絵「…………」

やえ「赤土さんが当時の小鍛治健夜や瑞原はやり、野依理沙と打って……敗北したとはいえ、その対局は多くの人の心に残ってます」

晴絵「……酷い負け方したからね」

やえ「敗北のイメージが強かったら根強い人気はないと思いますよ」

やえ「……灼だって、赤土さんが帰ってきたのを出迎えたんでしょう?」


591: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:00:07.25 ID:usjB6EB80


『はるちゃんお帰りなさい! 』


『インターハイカッコよかったです! 』


『これからも応援してます!』



592: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:01:02.30 ID:usjB6EB80

晴絵「…………」

なんか、結構覚えてるもんだな……

ちんまい灼が木の陰からパッと出てきてさ……

……ヤバい、なんか泣きそ

最近涙腺ゆるみっぱなしだ

やえ「結果的には敗戦も……対局相手は現在のトッププロ三人です」

やえ「赤土さんの実力は日本リーグでの活躍でも証明されてると思いますし……」

やえ「私も……憧れの、目標の雀士である赤土晴絵に……期待していると、そう言われて……本当に嬉しかったんですよ」

やえ「だから、その、なんというか……今日はまぁ、感謝といいますか……」

晴絵「あはは……サインでもしよっか?」

やえ「……い、いただけるなら」

晴絵「マジでかー」


593: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:01:39.78 ID:usjB6EB80

やえ「……壮行試合の時とか結構緊張してました」

晴絵「……インターハイで、地元以外にファンがついてるとは思わなかったよ」

やえ「赤土さんも、もっと自分に自信を持ってくださいよ」

やえ「結果も出てますし……いつまでも自分を卑下しているようじゃ、灼や阿知賀のみんなもかわいそうです」

晴絵「……そうだな」

……高校生に説教されてるよ、私

カッコ悪いなぁ……


594: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:02:14.29 ID:usjB6EB80

晴絵「あのさ、灼たちはもう知ってるけど……私、プロになろうと思ってる」

やえ「……!」

晴絵「あ、これ内緒だぞ? まだいろいろ白紙だし」

晴絵「なんか……踏ん切りつけたつもりだったんだけどなぁ」

……まぁ、あの頃のことは忘れられることじゃないか

精々引きずらないように、しっかり抱えて行くとしよう

やえ「……陰ながら応援してます」

晴絵「ありがと……もしかしたら私より先に小走さんがプロ入りするかもしれないけどね」


595: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:02:51.34 ID:usjB6EB80

憧「あれ? ハルエと……小走さん?」

灼「来てたんだ?」

やえ「……ついさっきね」

晴絵「おかえりー」

玄「ただいま帰りました!」

穏乃「こんにちは!」

やえ「どーも……団体戦おめでとね」

宥「ありがとうございます~」


596: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:03:29.02 ID:usjB6EB80

やえ「どうだった? 全国の雀士は?」

穏乃「すっごく強くて、すっごく楽しかったです!」

憧「大会外でも去年二位の荒川さんとかいろんな人と打たせてもらってるんですよー」

玄「チャンピオンが強くて……」

やえ「そりゃ弱かったらチャンピオンじゃないでしょ」

宥「玄ちゃんが一番大変だったから……」

灼「……個人戦も始まるし、次はそっちの番だね」

やえ「ええ……個人戦、始まるわね」


597: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:04:10.04 ID:usjB6EB80

やっぱり……なんだかんだ仲良くやってるなぁ、この子ら

晴絵「……どうだい? 勝算のほどは」

宥「小走さんもとっても巧いけど、全国の雀士はやっぱりレベル高かったよ?」

玄「チャンピオンに勝つのは大変だと思いますけど……」

やえ「……まぁ心配しなさんな」

灼「私はあまり心配してないけどね」

憧「ふふ……全国にニワカ雀士はいませんよ?」

穏乃「やっぱりなにか作戦があるんですね!?」


598: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:04:46.72 ID:usjB6EB80

……小走さんは私に似た雀士かもしれない

やえ「私は私の麻雀を打つだけよ」

県大会以降の取り組みを見ていても、玄を中心にうちの選手の少ない牌譜からよく研究をされていた

やえ「団体戦はあんたたちにやられちゃったけどね……」

思考は止めず……基本に忠実に、時に大胆に打ち回す……彼女が私と違うところと言えば

やえ「私たちは個人戦の奈良代表としてまだ残ってる……全国の舞台で、存分に戦えるわ」

彼女が、晩成の人間だということだ


599: ◆FYW.3i5lks 2014/08/26(火) 03:05:27.62 ID:usjB6EB80


やえ「お見せしよう……王者の打ち筋を!」


カン!


623: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:06:56.89 ID:1rP3xB/20


私の頃も同世代の雀士は少なかったし、麻雀を打つ場もなかなか無かった


だから、子どもたちにこういう場を用意してあげられることがとってもうれしいんだ



624: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:07:58.51 ID:1rP3xB/20

桜子「こんにちはー!」

望「いらっしゃい! ひなちゃんたちもう来てるよー」

望「団体戦の時にみんなでテレビ見た部屋! 今録画見ながら研究会してると思う!」

桜子「わかりましたっ!」

ドタバタと廊下を駆ける桜子ちゃんの姿を見てるといろいろと懐かしい気持ちになる

私たちの頃は晴絵があんな感じだったかな? いや、もう少し落ち着いてたか……

ちょっと前までは穏乃ちゃんがあんな感じだったっけ


625: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:08:41.86 ID:1rP3xB/20

今日はみんな来てるから……こどもクラブの子達7人に初瀬ちゃんと私とで9人か

人数分のお茶を用意して部屋に向かう

綾「岡橋先輩、今のところの打ち回し不自然じゃありませんでしたか?」

初瀬「松実……玄さんが卓にいるから、ドラ表示牌も実質使えないし危険も多いから……」

望「お茶入れてきたよー……初瀬ちゃん、来年に向けて玄ちゃんの研究はバッチリな感じかな?」

初瀬「あ、望さんありがとうございます……県予選敗退したその日のうちに小走先輩たちが牌譜かき集めて研究してたんで、その受け売りです」

望「玄ちゃんは癖強い上に一撃必殺だからねぇ……部活の方はいいの?」

初瀬「個人戦参加者以外は当分自主練です……進学校でもありますから」

未来「ってことはやっぱり晩成は宿題いっぱい出るんですか?」

初瀬「そりゃもう、かなり出るよー」

凛「大丈夫なんですか? こんなところにいて……」

望「人の家をこんなところとは言うようになったねー」

凛「ご、ごめんなさい! そういうつもりでは……」


626: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:09:34.36 ID:1rP3xB/20

初瀬「ま、私はもうほとんど終わらせちゃったから」

「「「「「「「!?」」」」」」」

初瀬「……え、なに?」

春菜「ま、まだ8月半ばですよ……?」

初瀬「うん……でも、団体戦も全国行ける予定だったから……宿題終わらせとかないと応援も連れてってもらえないからね」

よし子「あ、そういえば個人戦は応援いかないんですか?」

初瀬「個人戦だけになると応援よりも勉強しなさい、だって……まぁ、学校の方針ね」

望「憧は今年はインハイ優先で帰ったら宿題3日で終わらす、なんて言ってたけどねー」

ひな「み、3日で……?」

初瀬「ま、私もこうなった以上さっさと宿題終わらせて麻雀の特訓するなり遊ぶなりしたいので……」


627: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:10:14.90 ID:1rP3xB/20

綾「……宿題、終わってる?」

よし子「あー……中学上がったら量増えたよね……」

桜子「あとは算数と自由研究ぐらいかなー」

凛「桜子意外とやってるね!?」

春菜「私もあと半分くらいかな……」

未来「少しは進めてるけどまだ終わるってほどでは……」

ひな「……今日はみんなで宿題を終わらせたい所存ー」

望「麻雀の勉強会から普通の勉強会にシフトかー」

初瀬「ま、せっかくだしお手伝いしますかー」


628: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:11:01.61 ID:1rP3xB/20

初瀬「うわ、このプリント私もやったわ」

よし子「あ、初瀬さんも阿太中でしたっけ」

初瀬「そうそう……この教科教え方下手くそで苦労したなぁ」

綾「英語のプリント……終わってるんだけど、合ってますか?」

望「どれどれ……うん、大丈夫だと思うよ」

凛「自由研究かー……いっそ共同でやっちゃわない?」

春菜「うん、同じクラスだしそれもありかな……でも、それならそこそこしっかりしたのじゃないとだよね……」

桜子「インハイの牌譜まとめて考察と一緒に提出とかじゃダメかなー?」

望「んー吉野山小も地元だし、レジェンド効果でいけるかもね」

ひな「それなら私も混ぜてもらいたい所存ー」

未来「同じ阿知賀こども麻雀クラブの誼でよろしく!」


629: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:11:53.06 ID:1rP3xB/20

初瀬「それじゃ、みんなでささっとプリント終わらせてまたインハイの映像見よっか……わからないところがあったら教えてあげるから、丸写しはダメだよ?」

「「「「「「「はーい」」」」」」」

……初瀬ちゃん、こどもたちと顔合わせて一週間程度なのにすっかりお姉さん役で馴染んでるなぁ

ここらじゃ晩成の生徒ってだけで一種憧れの対象になるし、憧と似てるところもあるから結構話しやすいのかもしれない

望「よーし、みんな頑張って宿題終わらせてね! アイス買ってきてあるからあとで出したげる!」

こどもたちが盛り上がるのを確認してから席を立つ

お利口さん揃いで初瀬ちゃんもついてることだし心配はいらないだろう

そろそろ境内の掃除をする時間だ


630: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:12:59.68 ID:1rP3xB/20

憧が小学校を卒業してから、こんなにこどもたちが集まることはなかったので私もちょっとテンションが高い

退屈な掃除もなんとなく楽しい気分になる

望「やっぱり、懐かしいな……」

高校を卒業しても燻ってる晴絵のやつを見てられなくて、リハビリにこどもたちに麻雀教えたら? なんて言ったんだっけ

さすがにうちに大人数で卓は囲めないから私が学校の方に頼み込んで場所を借りて、憧が近所のこどもたちを集めて……

今の阿知賀のメンバーも元はあの教室に参加していた憧と穏乃ちゃん、玄ちゃんを中心にスタートして……その姉の宥ちゃん、晴絵のファンだった灼ちゃんか

私たちが過ごしたあの部室で、今は憧たちが麻雀を打って……もう何年かすれば綾ちゃんや桜子ちゃんたちが同じように過ごすのかもしれないと思うと感慨深い


631: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:14:11.03 ID:1rP3xB/20

望「……やめやめ、おばあちゃんじゃないんだから」

この時期はつい感傷に浸ってしまう

今年は特に、憧がインターハイに参加しているってのもあるけど……

晴絵が自信や誇りを失い、結果として全てであった麻雀を失った季節で……私にとっても頼れるチームメイトであり、親友を失った季節でもある

あの一戦から少し暗くなり、自虐的になった晴絵が、憧たちと麻雀に触れることで少しずつ回復してきて……

今回のインターハイで昔みたいに明るく自信に溢れた赤土晴絵が帰ってきてくれるといいな、と思う

……私が直接復活させてやれなかったのは少し悔しいけどね


632: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:15:39.02 ID:1rP3xB/20

望「……結局しんみり過去を振り返ってるなぁ」

これは良くない……辛気くさい顔をしてれば幸運も逃げていくし美人も台無しだ

……さっきから晴絵と憧のことばっか思い出すし、かわいい妹と10日も顔を会わせてないしちょっと寂しくなってるのかもしれない

望「この前電話かかってきたと思ったらすぐ切られちゃったしなぁ……」

ついうれしくなってからかったのがいけなかったのか

まぁ切ったってことは憧のやつも図星だったんだろうけど

望「ま、今度は私の方から電話してみますか」

時計を見るとおやつにはちょうどいい時間だ

こどもたちの声も聞こえるし、宿題も一段落したんだろう

アイス持ってってあげるとしましょうかね


633: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:16:44.75 ID:1rP3xB/20

望「どう? 宿題終わったー?」

綾「終わりましたー」

桜子「日記も書き終わったよ!」

凛「それは終わってたらダメでしょ!?」

未来「インハイ見よー」

よし子「自由研究で出すなら量的にも全部は無理だよね?」

ひな「決勝を使いたい所存ー」

春菜「それじゃあ決勝の牌譜作って……」

初瀬「あ、決勝の牌譜人数分コピーしてきてるからそれ使ってやろっか」

「「「「「「「!?」」」」」」」

望「……初瀬ちゃん優秀」

初瀬「今日はもともとインハイの映像見ながら研究会したいって言ってたんで……用意しといた方が便利かなって」


634: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:17:33.00 ID:1rP3xB/20

綾「岡橋先輩すごーい……」

よし子「できる女って感じ?」

初瀬「え、いや、どうせ自分の勉強にも使うから……ちょっとコピーしてきただけで……」

凛「さすが晩成……」

春菜「謙遜が奥ゆかしいね」

初瀬「ちょ、やめてよ……やりづらいって」

ひな「是非ご指導いただきたい所存ー」

未来「先生ー」

桜子「初瀬先生ー!」


635: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:19:03.42 ID:1rP3xB/20

……これは憧が帰ってきたら拗ねるわね

子どもたちを初瀬ちゃんに取られ、初瀬ちゃんを子どもたちに取られ……

まぁ、インハイ頑張ってたし私がその分かまってあげるとしよう

初瀬「はいはい、ほらテレビつけるよー」

桜子「くろちゃんだー! テレビー!」

綾「録画だよ……?」

よし子「でも、知り合い映ってるとちょっとテンション上がるわ」

凛「それはわかるかもー」


636: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:19:41.08 ID:1rP3xB/20

――――――

初瀬「うーん……」

未来「ど、どうですか?」

ひな「悪いところが有れば言ってほしい所存ー」

初瀬「あ、いやみんなまだ小学生……綾ちゃんとよし子ちゃんは中1か……にしては考察とかしっかりしてるな、と」

春菜「ほめられちゃったー」

望「子どもとはいえ、一応晴絵が指導してたからねー」

初瀬「はぁ……さすが阿知賀のレジェンドってとこですかね」

綾「岡橋先輩のお陰でかなり早く完成しちゃったね」

よし子「もともとちょくちょく決勝は見てたし、スムーズに進んだね」

桜子「少し時間あるし打ちたいなー」

ひな「賛成ー」

望「じゃ、牌とマット持ってくるよ……1セットしかないから順番に打ってねー」


637: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:20:25.54 ID:1rP3xB/20

よし子「ツモ! 2000・3900!」

春菜「うわわ……きっついなぁ」

桜子「四人で打つの久々で楽しい!」

綾「ねー」

未来「私も打ちたいなぁ」

ひな「東風で早く回したい所存ー」

凛「賛成! 早く打ちたーい!」

初瀬「へぇ……」

望「初瀬ちゃんどう? うちの子たちは」

初瀬「打つ方も年のわりにしっかりしてますね……よし子ちゃんなんて冬には団体レギュラー入れるんじゃないですか?」

よし子「ほんとですか!?」

初瀬「私が見てないうちに後輩が伸びてたらわからないけど、印象的には2年……じゃなくて今は3年か……あの子ら抜けたら余裕じゃない?」


638: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:21:26.03 ID:1rP3xB/20

よし子「……実は、まあ団体狙えるかなーとは思ってたんですけど」

綾「えー……まじかー」

よし子「綾も頑張んなよー」

綾「阿知賀は中等部に麻雀部ないもん……」

桜子「来年になれば私たちが入るし待っててよ!」

凛「……でも、人数揃うかわからないなら阿太中行くのもありだよねー」

春菜「そこら辺はやっぱり悩むよねー」

望「……ま、私たちの時もだったけど……麻雀するなら進学先はよく考えないとね」

初瀬「……そうですね」


639: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:22:16.08 ID:1rP3xB/20

望「……どうしたの?」

初瀬「……その、憧は結局阿知賀に進学したじゃないですか?」

望「……ああ」

ずっと晩成行くって話してたけど、結局昔一緒に打ってた穏乃ちゃんや玄ちゃんと麻雀打つことに決めたんだもんね

阿太中で3年間一緒に過ごした初瀬ちゃんとしては複雑だよね……

初瀬「今は……それ自体はまぁ納得してるんですけどね……少しは相談するなりしてほしかったとは思いますけど」

望「……中学で憧が一番仲良くしてたのは初瀬ちゃんだったからね……ここらでは麻雀やってれば晩成目指すのが当然だし、言いにくかったんだろうね……」


640: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:23:05.18 ID:1rP3xB/20

初瀬「……憧は計算できるやつだから、阿知賀に行くなんてなにやってんだって思いましたけど……今年はあいつがインハイ行ってるんですよね……」

望「正直私も1年目でインハイ行くのは難しいと思ってたんだけどねぇ」

初瀬「無理じゃなくて難しいな辺り、望さんは憧のこと信頼してますよね……」

望「自慢の妹だからね……優秀なコーチもついてたし」

初瀬「ほんっと悔しいなぁ……あいつ、すごく上手くなったし……」

望「……このまま終わるつもりじゃないんでしょ?」

初瀬「もちろんです! とりあえず来年までに……いや、冬には団体メンバー入りして王座奪還しますからね!」


641: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:23:50.69 ID:1rP3xB/20

桜子「ツモ!8000オール!」

よし子「はぁ!?」

春菜「と、トビです……」

綾「桜子バカヅキだね……」

未来「交替ねー」

ひな「打とう打とう!」

凛「よかったら初瀬さんもどうですか?」

初瀬「えっ? ……いいの?」

桜子「どうぞー!」

よし子「先輩の腕のほどを見せてもらいますかー」

綾「晩成の実力見せてください!」

初瀬「ありゃ……後輩もいるし、晩成の名を背負うとなるとこれは負けられないなぁ」


642: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:24:25.81 ID:1rP3xB/20

望「……せっかく麻雀打てるんだし、今日はうちで夕飯食べてきなよ」

初瀬「え!? さ、さすがにそこまでお世話になるのは……」

桜子「やったー!」

未来「今日はいっぱい打てるねー!」

春菜「望さん料理も上手だよねー」

望「みんなの家には連絡しとくからゆっくりしていきなよ……ね?」

初瀬「……この盛り上がりようだと帰りづらいですし……お世話になります」

望「なんならあとで相手してあげるよ……これでもインハイ出場経験あるんだよ?」

初瀬「……! そうでしたね……勉強させてもらいます!」


643: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:25:15.42 ID:1rP3xB/20

初瀬ちゃんも、子どもたちもこうしてみるとしっかり雀士の顔をしている

みんながこれからどこまで成長するか楽しみだ

……憧は阿太中に進学して穏乃ちゃんや玄ちゃんと別れて、高校で初瀬ちゃんと別れて阿知賀に進んだ

もう何年かすると憧たちと入れ違いで綾ちゃんとよし子ちゃんが高校に上がる

……あの子たちも晩成か阿知賀かで悩んで、学校も別れることになるのかもしれない

望「……ま、心配はいらないか」

私も晴絵が麻雀から離れても付き合いがあったわけだし、憧だって今は穏乃ちゃんとも初瀬ちゃんとも仲がいい

学校が離れたとしてもこの子たちなら仲良くやっていけるだろう


644: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:27:18.91 ID:1rP3xB/20

……少し時間あるなぁ

望「……もしもし? 憧?」

憧『お姉ちゃん? どうしたの? ……さては、そっちが寂しくなっちゃったんじゃないの?』

望「実はそうなのよねー……かわいい妹に会えないから寂しくって」

憧『ふきゅ』

望「そっちはどう?」

憧『え、えっと……その、わ、私も』

望「あ、こっちはあんまり寂しいから今日は子どもたちと初瀬ちゃん呼んで遊んでたのよー」

憧『えっ』

望「子どもたちも初瀬ちゃんにすぐなついてねー……みんなもう超仲良し!」

憧『えっ』

望「私もあとでみんなと麻雀打つのよねー……最後に打ったの憧が小学生の頃だから負けちゃわないか心配だわ」

憧『……お姉ちゃんのバカ!』

切られちゃった


645: ◆FYW.3i5lks 2014/08/29(金) 00:28:31.29 ID:1rP3xB/20

望「あぁもう……かわいいなぁうちの妹は」

憧と長いこと打ってないのに他の子と打つってことで妬いてるんだろう

……でも、私としても? やっぱり次打つときはお姉ちゃん強い! かっこいい! ってやりたいわけで

今のうちから勝負勘を取り戻しておきたいのですよ



望「というわけで……気合い入れていきますかっ!」


カン!



653: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 01:53:39.65 ID:iYz4POaz0


個人戦に向けて頑張る和ちゃん、宮永さん、福路さん


みんなにはお世話になったし、今度は私がお返ししないと!



654: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 01:55:19.65 ID:iYz4POaz0

玄「おや? 龍門渕の執事さんと、清澄の……」

京太郎「あ、ども……須賀です。 須賀京太郎」

ハギヨシ「こんにちは、松実さん」

玄「これはこれは失礼をば……須賀くん、萩原さん、こんにちは」

ハギヨシ「本日はどうされました?」

玄「和ちゃんたちが練習頑張っているので……そろそろ軽く食べられるものでも用意しようかと思いまして」

京太郎「え……もうそんな時間ですか?」

ハギヨシ「松実さんが気を遣われなくても、私が用意いたしますよ?」

玄「みんなのためになにかしたくって……お邪魔でなければお手伝いさせてくれませんか?」

ハギヨシ「……お断りするのも悪いですし、お願いしましょうか」


655: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 01:56:52.99 ID:iYz4POaz0

京太郎「じゃあ片付けますんで……ハギヨシさん、ありがとうございます」

ハギヨシ「……いや、そのままで結構ですよ。 せっかくですから須賀くんの腕前を披露しましょうか」

京太郎「マジですか? ……まぁ、料理のできる男はモテるっていうしアピールとしては……」

須賀くんがブツブツとなにやら呟いている

そういえば、厨房だから食材が並んでいることに違和感はなかったけど……男の人が二人で厨房にいるのって結構珍しいなぁ

玄「もしかして、お料理の途中でしたか?」

ハギヨシ「須賀くんがタコスの作り方を覚えたいとおっしゃられたので……私には幸い多少心得があったものですから」

なるほど、お料理のお勉強かぁ


656: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 01:58:24.75 ID:iYz4POaz0

玄「タコスってことは……片岡さんの?」

ハギヨシ「そうなりますね」

仲良しなんだなぁ……ちょっと羨ましいかも

地元にはただでさえ同世代が少ない上に女子校に通っていると男の子と知り合う機会もないしなぁ

京太郎「……松実さん?」

玄「はい?」

京太郎「……松実さん的にはどうですかね? 料理のできる男ってのは 」

玄「……料理のできる男の子、かぁ」


657: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 01:59:22.19 ID:iYz4POaz0

玄「うーん……素敵だと思います」

京太郎「っしゃ!」

玄「けど……」

京太郎「けど!?」

玄「私は、どちらかと言えば自分の作ったお料理を食べてもらいたいかなぁ」

京太郎「なるほど……

ハギヨシ「お相手の方が料理をできるようなら、学生のうちはお弁当の交換なんかもできるかもしれませんね」

玄「それはとっても素敵ですね!」


658: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:00:08.22 ID:iYz4POaz0

京太郎「松実さんの手料理……」

玄「そうだ! せっかくお手伝いに来たんですからなにか作ろっか?」

京太郎「…………」

玄「……須賀くん?」

ハギヨシ「……とりあえず、須賀くんはすぐに自分の世界に入ってしまう癖を直した方がいいですね」

京太郎「うへへ……」

玄「……えっと」

ハギヨシ「……そのうち帰ってくるでしょうから、準備を進めておきましょうか」

玄「おまかせあれ!」


659: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:01:11.03 ID:iYz4POaz0

玄「……とはいえ、私タコスって作ったことないんですけど……」

ハギヨシ「心配なさらずとも難しい料理ではありませんから……何かあれば私がお教えしますよ」

京太郎「ハギヨシさんそんな、手取り足取りなんて……」

ハギヨシ「言ってませんよ。 帰ってきたのなら少し落ち着いてください」

京太郎「はーい……とりあえずここは任せてくださいよ! せっかく教えてもらってるんだし、できるところ見せたいですし!」

ハギヨシ「……料理ができるのとタコスが作れるのではだいぶ話が違うとは思いますが……」

玄「でも須賀くん、結構な包丁さばきですね」

京太郎「そうですか?」

ハギヨシ「ほら、刃物を扱うときはよそ見をしないで……危ないですよ」


660: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:02:32.60 ID:iYz4POaz0

京太郎「あの! 松実さんは彼氏とかいらっしゃるんですか?」

玄「えぇ? 私はそういうの全然だよ~」

京太郎「マジですか? それじゃあ……」

玄「あ、須賀くんは片岡さんとお付き合いしてるんだよね?」

京太郎「違いますよ!?」

あれ?

玄「違うの?」

京太郎「違います!」

それこそお弁当……というか、タコスの交換をしているみたいだからそういうことかなーと思ったんだけど


661: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:03:47.65 ID:iYz4POaz0

玄「あ、宮永さんとお付き合いしてるんだっけ?」

そういえば、灼ちゃんが宮永さんが部活の男の子の話をよくするって言ってたような……

京太郎「いやいやいや! そんな事実はありませんよ!?」

あれー?

玄「違うんだ?」

京太郎「違います!」

共学だからってそういう話があるわけじゃないんだね……

京太郎「なんでそういう話になってるのかはわかりませんけど、俺としてはもっとこう……大きい、松実さんぐらいの……」

ハギヨシ「須賀くん、その発言がどう取られるか落ち着いて考えてみましょうか」


662: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:06:14.27 ID:iYz4POaz0

玄「私、宮永さんとそんなにかわらないよ?」

京太郎「はい?」

玄「私も宮永さんも150ちょっとだよね?」

京太郎「……ああ、はい、 そうですね! そういえば!」

須賀くん、なんだか慌ててる? どうかしたのかな?

ハギヨシ「まったく……もう少し発言には気をつけていただかないと見ていてハラハラするといいますか……ああ、須賀くん手が止まっていますよ」

京太郎「あ、すいません」

玄「……?」


663: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:07:30.50 ID:iYz4POaz0

玄「……そういえば、萩原さんはご結婚とかされてるんですか?」

ハギヨシ「おや、こちらに矛先が来ましたか……残念ながら私は独り身ですよ」

京太郎「え、ハギヨシさんフリーなんですか?」

ハギヨシ「……私に興味がおありで?」

玄「え……」

京太郎「ちょっ!? 違いますってば! なんでそうなるんですか!」

ハギヨシ「もちろん、冗談ですよ? ……私もなかなか女性と知り合う機会もありませんので……」

京太郎「龍門渕さんのお屋敷って結構女所帯じゃないですか?」

ハギヨシ「職場恋愛はあまり気が進みませんね……例えば、屋敷のメイドが相手だとしますと……私の立場ですとパワハラになりかねませんし」

玄「お嬢様と禁断の恋とかないんですか!?」

ハギヨシ「物語の中ならばロマンチックで素敵だと思いますが……透華お嬢様に手を出そうものなら私の首が物理的にトビかねないので……」


664: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:09:20.11 ID:iYz4POaz0

京太郎「はぁ……ハギヨシさんですら恋人いないとなると俺はどうしたら……」

玄「ハギヨシさん、とっても素敵な人なのにね……」

ハギヨシ「……ああ、それでは参考までに松実さんの好みの男性のタイプなど教えていただけませんか? 簡単にで構いませんので」

玄「私の、ですか? そうですねぇ……」

私の話で参考になるのかなぁ……?

京太郎「ハギヨシさん……!」

ハギヨシ「いいってことですよ」

玄「?」

なんの話だろう?


665: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:10:56.70 ID:iYz4POaz0

玄「やっぱり、優しくて頼りになる人がいいですね!」

ハギヨシ「なるほど……そうなるとやはり、身長なんかは高い方がいいんでしょうか? 例えば、須賀くんは180ほどありますが」

玄「言われてみるとそうですね……あまり容姿にこだわりはないですけど、背が高い人の方が頼り甲斐があるように見えるかもしれませんねぇ」

……須賀くんが小さくガッツポーズしてるけどどうしたのかな?

あ、野菜とっても上手に切れてるし嬉しかったのかな?

ハギヨシ「ありがとうございます……とても参考になりました。 私もまだまだ精進が必要ですね」

玄「いえいえ、お役に立てたのなら良かったです」


666: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:12:00.88 ID:iYz4POaz0

京太郎「それにしてもハギヨシさんがまだまだ精進って……今のままでも十分なんでもできるじゃないですか」

ハギヨシ「私などまだまだですよ……主に求められれば常に応えられるようにありたいですし、成長し続けなければいけません」

玄「立派ですねぇ……」

それにしても、萩原さんはすごいなぁ

インハイ前に龍門渕と練習試合したときにお屋敷に招待されたけど、あの広いお屋敷でたくさんの使用人さんを取り仕切っているらしいし……

その、こだわりはないって言っちゃったけど、すっごい整った顔だちで物語の王子様みたいだし、とっても立派な人だし……

そういえば須賀くんより身長も高いし、もしかしたら190近いんじゃないかな?

玄「……あれ?」

ハギヨシ「どうされました?」

玄「私の理想のタイプって……もしかして萩原さん?」

京太郎「!?」

ハギヨシ「……はい?」


667: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:12:41.55 ID:iYz4POaz0

ハギヨシ「あの……私の聞き間違いでしょうか? あと、須賀くんは私を睨まないでください」

玄「いえ、だって考えれば考えるほど萩原さんとっても素敵な人だなって!」

ハギヨシ「ど、どこかで考え違いをされているかと……だから睨むのやめてくださいって怖いです」

玄「考え違いじゃないですよ! 子どもの頃に読んだ絵本の王子様みたいですし! 白いタイツも似合いそうですし!」

ハギヨシ「し、白いタイツ? いや、私はむしろ王に仕える身でして……」

玄「やっぱり女の子の夢だと思うんですよね! 白馬に乗った王子様が迎えに来てくれるっていうのは!」

ハギヨシ「あぁ聞いていない……たしかに乗馬はできますが」

京太郎「とりあえず乗馬教えてください!」

ハギヨシ「構いませんが、恐らくそのスキルを活かす場面はほぼ来ませんよ……?」


668: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:13:48.91 ID:iYz4POaz0

玄「あっ!」

ハギヨシ「こ、今度はどうしました?」

玄「よく考えたら……私は実家の旅館を継がなきゃいけないので王子様が迎えに来てくれてもお嫁にいけません……」

ハギヨシ「……あ、あぁ、それでは私とは縁がなかったということで……」

京太郎「え? でも迎えに実家まで来てくれたんならそのまま婿に貰っちゃえばいいんじゃないですか?」

玄「そっか! そうだね!」

ハギヨシ「……どうして話をややこしくするんですかね? 松実さん狙いなら黙ってればいいじゃないですか……」

京太郎「いや、つい……ってハギヨシさん怒ってます? 言葉遣いが……ちょ、ほんとに怖いですってすいませんごめんなさい!」


669: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:14:49.20 ID:iYz4POaz0

ハギヨシ「えー……ですから、年の差もありますし、まだ知り合ったばかりですから、もう少し落ち着いてよく考えてですね……」

玄「ふぅ~む……なるほど、なるほど、なるほどー」

ハギヨシ「……聞き流していませんか? ああ、タコスもほとんど出来上がりましたね」

京太郎「なんだかんだお二人が手伝ってくれたんで……一人でやるよりもかなり手早くいいものが作れたかと」

ハギヨシ「それではお二人でみなさんに渡してあげてください……私は仕事に戻りますので……」

玄「はい……って消えた!?」

京太郎「ハギヨシさんですから……逃げた? いや、二人きりのチャンスを作ってくれたと思えば……」

またなにかブツブツと呟いてるけど……まぁ、須賀くんの癖なんだろうな


670: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:15:40.39 ID:iYz4POaz0

――――――

玄「ご飯作ってきましたよー」

優希「この芳しい香り……タコスか!」

京太郎「ハギヨシさんと松実さんに手伝ってもらって……ってお前は個人戦ないんだから少しは遠慮しろよ! ほら、咲、和、福路さんもどうぞ」

咲「ありがとう京ちゃん、松実さん」

美穂子「ありがとう……いただくわね」

和「すみません、助かります」

しかし、こうして見ると……福路さんも和ちゃんも大変素晴らしいおもちをおもちだ


671: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:16:22.63 ID:iYz4POaz0

玄「おもち……」

京太郎「おもち?」

玄「ああ、●●●●のことです」

京太郎「おっぱ……!?」

玄「いいよね、和ちゃんも福路さんもすごいよね本当に……大きくて柔らかそうで……」

京太郎「え、いや、その……」

玄「こう、やっぱりおもちっていうのは……」


672: ◆FYW.3i5lks 2014/09/03(水) 02:17:12.74 ID:iYz4POaz0

――――――

ハギヨシ「おや、須賀くん……どうでしたか?」

京太郎「タコスの方はかなり評判良かったですよ……阿知賀や風越の人も喜んでくれて……」

ハギヨシ「そうですか、私も指導した甲斐がありました……松実さんとはどうでしたか?」


京太郎「……あの人は、いろいろとダメな人でした」


カン!

686: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 12:53:59.63 ID:usCLtNOb0


友達の友達は友達、らしい



687: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 12:54:31.51 ID:usCLtNOb0

揺杏「ちーす」

灼「いらっしゃい……毎日暇だね」

揺杏「うん、まったくもってその通りだけどさー……もっとこう、毎日来てくれてうれしい! とかそういう言い方をしようぜー?」

灼「毎日来てくれてうれしいよ」

揺杏「あ、やっぱり?」

揺杏「……なんか言わせたみたいじゃね?」

灼「……嘘ではないよ」

揺杏「……えっへへー灼がデレたー」

灼「抱きつかないで、暑いから」

揺杏「……うす」


688: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 12:56:42.63 ID:usCLtNOb0

爽「ところで揺杏くん、そろそろ私を紹介してくれてもいいんじゃないかね?」

灼「何奴?」

爽「なにやつ!?」

灼「獅子原さんだ」

爽「知ってるじゃん!」

揺杏「なんかついてきちゃってさー」

爽「まぁ揺杏のダチなら私のダチだから! 仲良くやろうぜ!」

灼「馴れ馴れし……」

爽「……なぁ、こいつ結構酷くない?」

揺杏「いや、爽も相当馴れ馴れしいだろー」

爽「ゴメン……」


689: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 12:57:56.39 ID:usCLtNOb0

揺杏「じゃあ改めて……これ、獅子原爽ね」

爽「獅子原爽です! 有珠山高校3年生です! よろしくお願いします!」

揺杏「お、礼儀正しい」

爽「……今怒られたから」

揺杏「んで、こっちが鷺森灼」

灼「阿知賀女子2年、麻雀部部長鷺森灼です……実家はボーリング場を経営しています。 尊敬する雀士は赤土晴絵です。好きな言葉は……」

爽「え、え、ちょっと待って急にいろいろ喋らないでよ」

灼「ん……」

爽「えーと……」

灼「……………」

爽「……今度は黙るのかよ!?」

揺杏「早速翻弄されてますなぁ」


690: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:00:03.59 ID:usCLtNOb0

爽「むむむ……まぁいいや!私の方が年上だけど気にせず爽と呼んでくれ! 」

灼「それじゃあ私も鷺森さんでいいよ」

爽「この距離感! なんで!? 急に押し掛けてごめんなさい!」

灼「ジョーク……灼でいいよ……よろしく、爽」

爽「……ヨロシク」

揺杏「自己紹介も終わったところで……灼はさっきからなに書いてんの?」

灼「夢日記」

爽「夢日記!?」

灼「……夏休みの宿題」

爽「宿題で!? 奈良県どうなってんの!?」

揺杏「あ、数学のプリントか」

灼「うん」

爽「嘘かよ!」


691: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:01:46.24 ID:usCLtNOb0

揺杏「爽のツッコミ新鮮だわ……どことなくぎこちない感じがなんともまぁ」

爽「うっせ……もしかして灼って愉快な子か?」

揺杏「気づくの遅いなー」

灼「二人は宿題とかないの?」

爽「あ、いつもなにして遊んでんの? トランプとか持ってきたけど!」

揺杏「いつも適当にだべってるけど……」

灼「今日は宿題しよっか」

爽「あ、麻雀! 麻雀打とうぜ! 個人戦あるし練習しよう!」

揺杏「正直私じゃ爽の相手にならんしなー」

灼「爽は今年受験生だよね?」

爽「なんで!? なんで執拗にそこ攻めるの!? やってないよ! つか東京まで持って来てないよ! インハイに来たんだし!」


692: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:02:52.50 ID:usCLtNOb0

揺杏「……まぁアレじゃね? プロになれば受験しないで済むんじゃね?」

爽「揺杏冴えてるな! プロになるわ! どうすればいいんだ?」

灼「個人戦で上位入賞して……チャンピオンや辻垣内さんとか愛宕さん辺りの有名どころに直接対決で勝てばスカウトとか来るかもね……」

爽「なるほどなー……じゃあ余裕っぽいし宿題はいいか! 最悪チカの写せばいいし!」

揺杏「最悪もなにもいつも通りじゃん」

灼「…………」

揺杏「ん? どしたの灼?」

灼「……なんでも」

プロ入りは余裕か……凄い自信だ

……ちょっと足りてないだけかもしれないけど


693: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:04:11.78 ID:usCLtNOb0

爽「ん? 今なんか失礼なこと考えてなかった?」

灼「……爽は勘がいいね。 それが麻雀の強さに繋がってるのかも……」

爽「お? 褒められた? デレた?」

揺杏「うん、よく考えたらバカにされてるぞ?」

爽「あれ? ……なぁ、灼って結構辛辣な子か?」

灼「まだまだジャブみたいなものだよ」

爽「まだ苛められるのかー」

揺杏「いや、ジャブである程度距離感を掴んだら素直でかわいらしい本性を見せてくるぞ」

爽「マジで!?」

灼「……か、かわいくないもん」

爽「あざとい!」


694: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:05:09.69 ID:usCLtNOb0

爽「かわいくないもん、だって! かわいい! もっかいやって!」

灼「かわいくないもんっ」

爽「意外とノリいい!」

揺杏「灼マジヤバいよなー やっぱり私的に超ツボなんだけど」

灼「今なら二百万であなたに幸福が……」

爽「壺じゃねーよ!」

揺杏「お、爽もだんだん調子出てきたなー」

灼「あ、私はどちらかと言うとツッコミだからここからは爽がボケてね」

爽「酷い無茶振りだな!?」


695: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:07:00.23 ID:usCLtNOb0

爽「散々ボケ倒しておいてそりゃないだろーよー」

揺杏「今日は灼テンション高いなー」

灼「だって……宿題とかストレスたまるし……」

揺杏「それはわかるわー」

爽「いや、初対面の私でストレス発散してたのかよ……」

灼「揺杏のダチなら私のダチだし……」

爽「私が言い出したから反論しづらい!」

揺杏「ん? 逆説的に言えば爽は私の幼馴染みだから灼も私の幼馴染みってことに……」

爽「揺杏天才じゃね? 私たちもう幼馴染みで親友だぜ灼!」

灼「なんでやねん」

爽「ツッコミ雑だな!?」


696: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:07:43.43 ID:usCLtNOb0

灼「ごめ……なんかめんどくさくて……」

爽「……地味に傷つくこと言うなよ」

灼「あ……」

……ちょっと悪ノリが過ぎた?

爽「わかってるんだよ……私もこう、悪ノリする方だし、騒がしいし……ちょっとウザいかなーって……」

灼「……その、違くて……嘘、嘘だから」

爽「……ほんとうに?」

灼「うん……その、爽のことはわりと……す、好きだよ」

爽「……ちょっとキュンキュンした! お持ち帰りしたい!」

揺杏「ほら、灼は素直でかわいいだろー?」

灼「…………」

……恥ずかしい


697: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:08:27.73 ID:usCLtNOb0

爽「なぁ見た? ヤバい! って顔したあとちょっと泣きそうになりながら恥ずかしいけど……言わなきゃ! 私本当は爽のこと……! って頬を染めながら灼が私に告白したとこ!」

灼「……そ、それは色々違……」

揺杏「見た見た! 灼ちょーラブリー!」

爽「灼マジかわいい! 見た目もコロポックルっぽいし! 葉っぱの傘とか持ってよ!」

灼「いや、意味わかんな……」

揺杏「よし! コロポックルTシャツ作ろう! 」

……それはちょっとほしいかも

一「かわいい服ができると聞いて」

初美「登場ですよー」

灼「……あれ? いらっしゃい」

揺杏「あ、私が呼んだんだー……ほら、さっき麻雀するって言ってたし」


698: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:09:35.82 ID:usCLtNOb0

爽「よく来たな! まぁ自分の部屋だと思ってくつろいでくれたまえ」

灼「爽が言うのはおかし……」

揺杏「これうちの獅子原爽ねー」

初美「新たな同好の士ですかー?」

一「獅子原さんにはどんな服が似合うかなぁ」

爽「あ、違うんで! そういうのほんといいんで! 遊ぼうぜ!」

灼「……個人戦の選手は大会前の対局は禁止されてるよ」

揺杏「あ、そういやはっちゃんさん個人戦選手だったっけ? 失敗したなぁ」

初美「ハブられるよりは呼んでくれた方がうれしいですよー」

一「それじゃあトランプでもする?」

爽「あ、私持ってきてる……ちょ、今どこからトランプだしたの!?」


699: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:10:34.22 ID:usCLtNOb0

一「企業秘密だよ……種明かしするマジシャンはいないからね」

揺杏「あ、そんな特技あったんだ」

爽「すげー! なんか見せてよ!」

一「じゃあ……はい、親指が取れちゃったー」

初美「わぁーすごいですよー」

爽「適当にあしらうのやめてよ!」

揺杏「……うちはいつも爽のペースだから新鮮だなぁ」

爽「くっそー……よし! トランプしようトランプ! とりあえず大富豪で!」

灼「大貧民?」

一「大貧民だね」

初美「大貧民ですよー」

爽「地域差出た!」

揺杏「よーしやろうか大貧民」

爽「裏切られた!?」


700: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:11:23.26 ID:usCLtNOb0

揺杏「いやまぁこういうのは多数決かなーって」

一「っていうかこれルールしっかり確認しとかないとまた混乱するんじゃ……」

爽「じゃあスペ3返し7渡し8切り9リバース10付け11バック階段4枚革命階段革命都落ちジョーカー貧民隠し財産アリで!」

灼「いくつか知らないのが……」

初美「もっかい言ってほしいですよー」

爽「……何て言ったっけ?」

揺杏「さぁ?」

一「……別のゲームにしよっか」


701: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:13:20.88 ID:usCLtNOb0

――――――

揺杏「……トランプはやめにしよう」

初美「……賛成ですよー」

灼「ん……」

爽「え?なんで? 楽しいのに」

一「ボクは別にかまわないけど……」

揺杏「一強すぎ……つか爽今日バカヅキじゃん! 個人戦にとっとけよ!」

爽「とっとけるもんならとっとくけど……まぁどうせ勝つしいいじゃん」

初美「む! 今のは聞き捨てなりませんねー」

爽「お、やるかーはっちゃん?」

初美「前哨戦といきますかー?」

一「だから打ったらダメだってば……」

灼「みんな呼んできて2卓囲めるようにする?」

揺杏「それでいいんじゃね?」


702: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:14:41.97 ID:usCLtNOb0

爽「いいねいいね……阿知賀変な子多いし面白そう」

一「その言い方はどうかと……」

灼「間違っちゃいないけどね」

年中ジャージの穏乃に、反対に年中厚着の宥さん、●●●●の人……あ、憧は割りと普通か

爽「身内にも厳しいなー」

揺杏「ま、身内だからこそ言えることもあるっしょ」

初美「それでは総合収支で勝負ですねー」

爽「よっしゃ! 負けたら罰ゲームだぞ?」

初美「ふふん……後悔させてあげますよー」

灼「じゃ、何人いるかわからないけど声かけてくる」

揺杏「よろしくー」

爽「罰ゲーム決めとくから!」

一「……ボクたちも罰ゲームありなんだね」


703: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:15:18.74 ID:usCLtNOb0

――――――

灼「というわけでどう?」

穏乃「初美さんたち来てるんですか!? 私打ちたいです!」

憧「獅子原さんって準決でバカみたいに暴れてた人でしょ? 興味あるし私も行くわ」

宥「それじゃあ私も……」

灼「……玄は?」

憧「さっき出てったわよー」

灼「それは残念……」

宥「玄ちゃんにはメールしとくよ」

穏乃「それじゃあ行きましょう!」


704: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:16:00.66 ID:usCLtNOb0

爽「というわけで罰ゲームは『揺杏が今日一に作ってきた衣装の試着』ってことで!」

憧「」

穏乃「え? それ罰ゲームになるんですか?」

初美「むしろご褒美じゃないですかー」

一「岩館さんの実力は信頼してるし別に試さなくてもいいんだけど……失敗作ってわけじゃないんでしょ?」

揺杏「うん……どうこれ?」

憧「」

宥「あ、あったかくなさそう……」

一「流石だね」

穏乃「完璧ですね!」

初美「かっこいいですよー」

爽「……え、こいつらマジなの? ネタじゃなくって?」

揺杏「面白いだろ?」


705: ◆FYW.3i5lks 2014/09/06(土) 13:18:01.93 ID:usCLtNOb0


穏乃「うーん……ちょっと着てみたいかも」

一「手を抜いたりしちゃダメだよ?」

穏乃「わかってますって!」

初美「これは勝っても負けても恨みっこなしの粋な計らいってやつですねー」

揺杏「こう、自分の作品でここまで盛り上がってくれると私としてもテンション上がるなー」

憧「」

宥「ま、負けなければいいんだもんね……」

揺杏「よーし! 優勝者にも1着プレゼントだ! こっちの国広スペシャル! 優勝した人もこれ着てね!」

一「おお! これはボクとしても優勝を目指さないと……」

初美「半荘一回で役満二回和了れる私の強さを見せてあげますよー」

穏乃「そうそう好きにはさせませんよ! 燃えてきたー!」

憧「」

宥「か、勝ってもダメなの……?」




灼「……なにがあっても責任とってね」


爽「ゴメン……」



カン!

716: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:19:42.61 ID:jd56fb170


麻雀って、むずかしい



717: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:20:27.43 ID:jd56fb170

それはまぁ間違いではないし、最初はむずかしく感じると思う

たしかに、私も最初はむずかしく感じたけれど……何度も打っているうちにルールは自然と覚えることができた

……玄ちゃんより先に覚えてお姉ちゃんぶりたかったのもあるし、ひとつ覚えるたびにお母さんが頭を撫でてほめてくれるのがうれしかった記憶がある

……とにかく、ルールや定石というのは覚えるのがそれほど大変というわけじゃあない

人間を相手にする競技だから、駆け引きとかそういう部分はむずかしいんだけれどね

宥「……でも、どうしてうちに? 鶴賀の人や長野のみなさんの方がよかったんじゃ……?」

佳織「その、智美ちゃんと加治木先輩はこっちでも受験勉強で忙しそうで……邪魔しちゃったら悪いかなーって思いまして……」

……インターハイも終わったことだし、そろそろ私もちゃんと受験勉強始めないとなぁ

家の手伝いをするにしても大学ぐらいはしっかり出ておけ、ってお父さんにも言われてるし……

佳織「それに、私が麻雀のお勉強しようとすると、みんな『今のままでもいいんじゃない?』って……」


719: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:21:25.98 ID:jd56fb170

妹尾さんが麻雀を始めたのはつい最近だと聞いている

もともと数合わせで、県大会に参加したときにはルールもあやふやだったなんて言ってたけど……

宥「それは不思議だね……」

佳織「なんでですかねぇ……?」

……でも、そんな状態で染谷さん、沢村さん、吉留さんの3人を相手に役満を和了って区間一位だというのだからすごい

合同で行った合宿でももう一度役満を和了っていると聞いたし、なんというか……いわゆる持ってる人、なのかなぁ

佳織「とにかく、今は私も麻雀楽しいなぁって思いますし、秋からの大会や来年のこともありますから……みんなに迷惑かけたくないし、しっかり打てるようになりたいんです!」

宥「うん……気持ちはわかるし、準決勝の前にお世話になってるから……時間もあるし、できる限り協力するね」

佳織「ありがとうございます!」


720: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:24:36.09 ID:jd56fb170

――――――

晴絵「そういうわけなら任せてよ、妹尾さん」

宥「赤土先生いてくれてよかったぁ」

実際、赤土先生の指導者としての力は大きいと思う

もともと、うちのメンバーは半数が赤土先生の元で勉強していたし、冬に赤土先生が来てくれてからチームとしての地力が一気に伸びた

私自身、準決勝で戦えたのは赤土先生に授かった弘世さん対策が大きかったし……

佳織「ありがとうございます! レジェンド先生に見てもらえるなんて……」

晴絵「……レジェンド先生は勘弁してほしいんだけど」

憧「よっ! 阿知賀のレジェンド!」

穏乃「赤土先生レジェンドかっこいい!」

晴絵「やめろって!」

佳織「それじゃあ、赤土先生よろしくお願いします」

晴絵「……おっけー! 大船に乗ったつもりでいいよ!」

穏乃「レジェンド号出発進行!」

憧「いぇーい!」

晴絵「だからやめてくれよ!」


721: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:25:18.25 ID:jd56fb170

晴絵「とりあえずせっかく四人いることだし、一回普通に打ってみようか……私は後ろから見てるからさ」

佳織「わかりました!」

憧「私たちも普通に打っていいの?」

晴絵「うん、普通によろしく……県大会の牌譜は見てるけど、実際に妹尾さんの打ち方見ておきたいからね」

宥「私も入っていいんですか? その、手に偏りが出ちゃうし……」

晴絵「全然問題ないよ……玄ほど強い影響出るわけじゃないしね」

穏乃「お腹減ったのでおかし持ってきていいですか!?」

晴絵「……牌が汚れないようにね」

穏乃「はい! 妹尾さん一緒に食べましょう!」

佳織「ふふ……ありがとう、高鴨さん!」


722: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:26:23.84 ID:jd56fb170

憧「チー!」

穏乃「うげっ」

佳織「……私、あまり鳴くなってみんなに言われてたんですけど」

晴絵「うん、初心者のうちは鳴きまくった挙げ句役がなくて和了れない、なんてことがあるからね……大会でそれをやらないようにってことじゃないかな?」

宥「面前でリーチすればとりあえずそれは防げるからね……憧ちゃんは鳴くの上手だから参考になると思うよ」

晴絵「ま、とりあえず自分の思うように打ってみて大丈夫だから……知りたいことがあればあとで教えるし、今回は気にせずチャレンジしてみよう」

佳織「はいっ!」


723: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:27:44.84 ID:jd56fb170

佳織「えっ、と……3つずつ、3つずつ……」

晴絵「あー……とりあえず、それはやめた方がいいかな? 手の揃い具合とか相手に見られちゃうし、口に出さないように、牌を3つずつ区切らないように……癖になっちゃってるのなら早めに直した方がいいよ」

佳織「あっ! そ、そうですよね……つい……」

穏乃「でも、妹尾さんのそれが始まると怖いってのはあるかなー」

宥「準決勝の前に打ってもらったときもあそこから役満和了ってたもんね……」

憧「あ、フェイントに使えるんじゃない? 手が揃ってないときにもやれば相手が警戒するかも……」

晴絵「いやいや、初心者だから仕方ないっていうのならともかく、意図的にやるのはマナー的にどうなのよ……」

佳織「あっ! ツモです! これは覚えました……四暗刻、ですよね?」

晴絵「うぇ、マジで和了ったの!? もう!?」

宥「い、いちまんろくせんオール……」

穏乃「さ、さすがですね……」

憧「……トビました」

724: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:28:35.59 ID:jd56fb170

穏乃「妹尾さんトップです! おめでとうございます!」

佳織「あ、ありがとう! その、どうでしたか!?」

晴絵「……なんか、もうこのままでいいんじゃないかな……?」

佳織「ええっ!?」

宥「……それじゃあ折角来たのに意味ないんじゃ……」

晴絵「だって……私がなにか教えて、この持ち味消しちゃったらやだし……」

憧「やだし、って子どもじゃないんだから……」

晴絵「でもうらやましいじゃん! 私もポンポン役満和了りたい!」

憧「子どもか!」

穏乃「妹尾さんすごいです! 私も役満和了りたいです!」

憧「子どもだ!」


725: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:31:13.48 ID:jd56fb170

晴絵「うー……とりあえず冗談は置いといて、なんか知りたいこととかある?」

佳織「えっと、じゃあ筋がどうこうとか聞くんですけどよく意味がわからなくて……」

晴絵「ああ、1ー4ー7とか2ー5ー8とか聞いたことあるだろ? それは順子……数字が順番にくっつくときに……」

穏乃「……なんかさ、昔を思い出すね」

憧「麻雀クラブができた頃はハルエがああやって教えてたのよねー……私は最初お姉ちゃんに教わってたかなぁ」

穏乃「あ、そっか……憧は私より麻雀歴長いもんね」

憧「そういえば宥姉はいつ麻雀覚えたの? あの頃には玄も普通に打ってたけど……」

宥「私は4歳ごろから……お母さんと玄ちゃんと一緒に覚えたの……その、お母さんが亡くなってからはあまり打つ機会もなかったんだけどね」

憧「あー……ゴメン」

宥「いいよ、気にしなくて……もうだいぶ前のことだから……」


726: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:32:35.54 ID:jd56fb170

晴絵「鳴くと点数が下がったり、和了れなくなる役とかあるんだけど……」

佳織「あ、それも聞いたことあります! 染め手とかは一役分点数下がっちゃうんですよね! そういえば合宿の時に鳴いて索子の染め手を和了ったらなんかそれは役満だって言われたんですけど……」

晴絵「緑一色!? 私も和了ったことないぞそんなの……」

宥「妹尾さんやっぱりなにか持ってるんじゃ……」

憧「……あの、鳴きとか私が教えるんで役満の和了り方教えてくれませんか?」

佳織「え? え?」

穏乃「憧だって言ってること変わってるじゃん!」

憧「しょうがないでしょ! 私だって和了れるもんなら役満和了りたいわよ!」

晴絵「ま、役満は夢だよなー」

穏乃「和了ったことあるのって四暗刻と国士ぐらいかなー」

憧「私はそもそも役満狙いに行くことほぼないし……和了ったのは小学生の頃が最後かもなー」

宥「私も高い手は染め手がメインで役満はほとんどないかなぁ」


727: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:33:40.47 ID:jd56fb170

晴絵「私も役満はほとんどないかな……今年のインハイでは薄墨さんの四喜和や姫松の愛宕さんが清老頭和了ったりしてたっけね……今年はまだ役満4、5回しか出てないって話だけど」

佳織「そうなんですか? 役満ってそこそこ出るものなのかと……」

憧「いやいやいやいや! そんなに役満出たらゲームになりませんって!」

晴絵「ま、もともと運の要素の強いゲームなんだけどなぁ」

穏乃「……妹尾さんかっこいい! 役満とか普通でしょ? みたいな! 強者の余裕っぽい!」

佳織「え、その、そんなつもりじゃ……」

宥「でも、麻雀はじめたばっかりなのにいろいろな役を和了ってるんだからすごいよ~」

佳織「……そうですか?」

宥「うんうん、きっと牌に好かれてるんだよ……麻雀と縁があるんじゃないかなぁ」

佳織「えへへ……そうなんですかね?」

宥「うん! 自信を持って頑張ろう?」

佳織「……ありがとうございます、宥さん!」


728: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:34:43.19 ID:jd56fb170

――――――

晴絵「……ああ、ごめん! 私用事あってそろそろ行かなきゃなんだ」

佳織「赤土先生ありがとうございました! いろいろ勉強になりました!」

晴絵「こちらこそ、見慣れない役満もいくつか見れたし……」

憧「……この数時間で役満3つ和了るってどういうことなのよ……」

穏乃「なんか役満って普通に和了れる気がしてきた!」

宥「まぁ、これだけ役満出ると普通に和了れちゃう気がするよね……」

晴絵「瑞原プロとか大沼プロとか麻雀の指南書出してたと思うからそこら辺読むと勉強になると思うよ……じゃ、ごめんね? ちょっと準備して出てくるわ」


729: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:36:30.52 ID:jd56fb170

憧「お疲れさまでーす」

佳織「お疲れさま! 今日はありがとうね! 本当に助かっちゃったよ」

穏乃「こちらこそありがとうございました!」

宥「私たちも楽しかったよ~」

佳織「それじゃあ、私もそろそろ……」

穏乃「あ、せっかくだからみんなでちょっと出ませんか? ご飯食べたりとか!」

憧「いいねー」

宥「時間あったら、どうかな?」

佳織「……そうですね! せっかくですからどこか行きましょうか!」


730: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:37:21.66 ID:jd56fb170

智美「ワハハ、話は聞かせてもらったぞー」

佳織「智美ちゃん!?」

宥「こんにちはー」

穏乃「蒲原さん! こんにちは!」

憧「え、受験勉強は……」

智美「ワハハ、いやー佳織が阿知賀のみんなのところに遊びにいったと聞いて……交通費も勿体ないし迎えに来たぞー」

佳織「ありがとう、智美ちゃん……でも、勉強の方は大丈夫なの?」

智美「ワハハ、いやぁこうでもしないとユミちんは休ませてくれないしなー」

憧「いや、しっかり勉強した方がいいんじゃ……」

宥「……わ、私もちゃんとやらないと……」

穏乃「私は休憩も大事だと思います!」

智美「ワハハ、高鴨さんはよくわかってるなー」


731: ◆FYW.3i5lks 2014/09/09(火) 01:40:23.73 ID:jd56fb170

智美「ワハハ、そういうわけで足もできたことだしちょっと遠出しておいしいお店でも行ってみるかー?」

佳織「……まぁ、せっかくだしそういうのもいいかも……」


「「「…………」」」


憧「そこのコンビニでおかし買ってきておかしパーティーとかもいいんじゃない!?」


宥「えっと、この前みんなで行ったあったかいラーメン屋さんもすぐそこにあったよね?」


穏乃「売店で売ってるお土産のお饅頭とかもおいしいですよね!」


智美「…………」


佳織「え、えっと……」



智美「このくらいでは泣かないぞ」


カン!


743: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 01:58:36.24 ID:asoHmlXu0


互いに切磋琢磨することのできるライバルの存在は大切だ



744: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 01:59:08.43 ID:asoHmlXu0

由子「高鴨さん! お久しぶりなのよー」

穏乃「こんにちは!真瀬さん!」

由子「また会えてうれしいのよー!」

いぇーい! なんて言いながら勢いよくハイタッチする

真瀬さんは2つ上の先輩になるけど、気さくな人柄と人懐っこい笑顔で距離感をほとんど感じない

恭子「急に呼びつけてスマンなぁ」

灼「私たちは大会終わって暇ですから……」

憧「それに、横の繋がりは大事にしろって言われてますんで」

恭子「まぁ将来的に活きるかもしれんし……練習試合とか組みやすくなればそれに越したことはないしな」

絹恵「せっかくだし、縁があったってことでよろしくお願いしますわ」

玄「こちらこそ! よろしくお願いしますね!」

漫「……その、手をワキワキしてるのはなんなんですかね?」

宥「玄ちゃん……その、ほどほどにね……?」


745: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 01:59:44.07 ID:asoHmlXu0

憧「……っていうか、愛宕さん……洋榎さんとか個人戦ありますよね? 遊んでていいんですか?」

漫「その愛宕洋榎が言い出したんですわ」

灼「でも、なんでうち……? それこそ千里山とかと仲いいんじゃ……?」

由子「接点も私と高鴨さんがちょっとお友達ってぐらいなのよー」

洋榎「そこら辺の説明はうちがするで!」

恭子「ああ、遅かったですね主将」

洋榎「ちょっとあってな……で、なんであんたら阿知賀を誘ったかと言うとやな……あんたら、こないだ千里山の奴らと遊び行ってメシ食ったやろ?」

穏乃「はい! 練習試合の後にみんなで……」

……そういえば、愛宕さんと船久保さんは従姉妹だったっけ

江口さんとはライバル関係で昔からなんだかんだ仲良くやってる、なんて話も聞いたっけ

穏乃「船久保さんや江口さんにも、とてもよくしてもらいました!」

洋榎「…………」

あれ?


746: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:01:01.47 ID:asoHmlXu0

洋榎「高鴨! 騙されたらアカンで! 」

穏乃「え、騙されてる……?」

洋榎「セーラはな、悪いやつや!」

穏乃「ええっ!?」

洋榎「ほら、学校の制服着とらんし……不良の証拠や!」

穏乃「な、なるほど!」

憧「いや、しずも普段ジャージじゃん……」

洋榎「つか実はあいつ男やし! 学ランっつーのはつまりそういうことや!」

穏乃「そ、そうだったんですか!?」

恭子「……高鴨、付き合わんでええよ?」

灼「あの子素なんで……」

恭子「……やっぱりええ子なんやな、高鴨は」


747: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:01:32.88 ID:asoHmlXu0

洋榎「だいたいあいつもそこそこ強いけど、うちのが麻雀も強いし!」

宥「……実際のところどうなんですか?」

絹恵「小中高と打ち続けてどっこいどっこいですね」

玄「ライバルっていうとそういうものですよねー」

洋榎「それに浩子なんか……えーと、眼鏡やし!」

漫「絹ちゃんも眼鏡ですよ……?」

洋榎「だいたい! 浩子やセーラたちがなんでオカンに小遣い貰ってメシ食ってるんや! 贔屓や! ズルいやろ!」

恭子「結局そこかいな……」


748: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:02:19.43 ID:asoHmlXu0

洋榎「うちだってもっと小遣い欲しいわ!」

灼「……少ないの?」

絹恵「いや、不自由しない程度には貰ってますよ……そもそも、私たちバイトもしないで麻雀ばっかやってますし……お母さんにはホンマ感謝してますわ」

憧「あー……愛宕元プロってかなり活躍してたし結構稼いでますよね?」

由子「こないだ遊びに行ったらおっきいテレビ買ってたのよー」

漫「もうちょっと買い食い控えたらいいんじゃないですか?」

洋榎「……じゃあ漫んち行くの控えるわ」

漫「えぇ!? そんな、結構サービスしとるやないですか!?」

洋榎「今気づいたわ! 毎日漫んちでメシ食っとるから金無いんや! 恭子、油性!」

漫「いやいやいやいや! ちょ、それはおかしいやろ!」

恭子「油性は今ちょっと……あ、口紅ならあるで」

漫「なんでノリノリなんですか!? 止めてくださいよ!」


749: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:03:08.29 ID:asoHmlXu0

漫「うぅ……理不尽や……」

宥「だ、大丈夫?」

由子「いつものことだから気にしなくていいのよー」

玄「い、いつも額に……?」

洋榎「漫のことは今はええんや! 高鴨!」

穏乃「は、はい!」

洋榎「今日はお代もうちが持つから! 今度セーラに会ったら『洋榎さんの方が麻雀も強くて美人で面白かったです』ってちゃんと言うんやで!」

穏乃「え、えっと……」

憧「……江口さんと張り合いたかっただけですか」

由子「そうみたいなのよー」

恭子「金無いんやなかったんですか、主将?」

洋榎「おう、それな! それで遅くなったんや……ほれ」


750: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:03:46.75 ID:asoHmlXu0

恭子「……なんですか、この封筒」

洋榎「うちが赤阪監督と交渉してな……軍資金はバッチリ調達してきたで!」

絹恵「え、監督にお金出して貰ったん!?」

洋榎「そりゃもう……名門千里山の監督がやってるって教えてやったら『うちもちゃんとした監督さんになりたいから~』言うてポンっと……」

穏乃「監督さんいい人ですね!」

由子「赤阪監督とっても優しいのよー」

宥「あったかーい」

憧「いやでもそんな、一方的に出してもらうのも……」

洋榎「気にせんでええから! 誘ったんうちらやし! あ、恭子それ幾らぐらいあるん?」

恭子「……百万あるで」

穏乃「ひゃくまん!?」


751: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:04:23.79 ID:asoHmlXu0

洋榎「……え、マジで?」

恭子「マジや」

漫「……な、なんかヤバいお金とかじゃないですよね?」

灼「……監督さんヤバいことやってるの?」

憧「いや、ポンっと百万出すこと自体ヤバいでしょ」

絹恵「普通そんな大金持ち歩かないですよね? やっぱりなにか大事なお金なんじゃ……」

恭子「……さすがにこれは使えんなぁ」

洋榎「た、たしかにいくらうちでも百万は……」

恭子「百万円札じゃなぁ」

洋榎「子供銀行か!」


752: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:04:58.51 ID:asoHmlXu0

洋榎「監督それ財布から出したで!?」

玄「普段から仕込んでるんですかね……?」

絹恵「お姉ちゃん監督のボケ潰しちゃアカンやん」

由子「浮かれて気づかなかったのよー?」

恭子「減点やな」

洋榎「す、すみません……」

漫「だいたい主将は普段から……」

洋榎「漫、お仕置きが足らんかったみたいやな?」

漫「なんでうちだけ怒られるんですか!?」


753: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:05:39.02 ID:asoHmlXu0

漫「どうしてこんな目に……」

憧「外でアレはきついわね……」

玄「上重さん、あちらにお手洗いありますしとりあえず落としてきたら……」

洋榎「ドラローちゃん漫を甘やかしたらアカン! これはな、愛のムチなんや……漫の成長を願ってうちも涙を飲んでやっていることなんや……!」

玄「!」

穏乃「さすが関西にその人ありと言われた愛宕洋榎……!」

洋榎「せやろー? さすがやろー?」

恭子「……高鴨、あまり主将を調子づかせんでな」

漫「あの人は何を言ってるんですかね……?」

絹恵「漫ちゃん堪忍なー」

灼「……まぁそれはそれとして、このあとどうします?」


754: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:06:37.67 ID:asoHmlXu0

恭子「あてにしてた軍資金がなくなったみたいですけど、金出せるんですか?」

洋榎「ぐっ」

宥「その、私たちも出しますから……」

洋榎「いや! 1度言った以上意地でも今日はうちが持つで! 愛宕洋榎に二言はないんや!」

絹恵「さっすがお姉ちゃん!」

穏乃「洋榎さんカッコいい!」

洋榎「いやまぁ? それほどでもあるけどな!」

由子「いっつもあんな感じだから懐がさびしいのよー」

憧「結構なお調子者なんですね……麻雀は堅実なのに」

灼「……ふむ」


755: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:07:41.34 ID:asoHmlXu0

灼「……さすが愛宕洋榎、気前がいいですね」

洋榎「お! 鷺森にはうちの凄さがわかるかー」

灼「同じ部を率いる人間として尊敬……」

洋榎「リスペクト? リスペクトオブ愛宕洋榎?」

灼「超リスペクトです。 しかも関西一の高校生雀士」

洋榎「関西一? セーラや荒川よりも?」

灼「もち……しかも段違いの美人」

洋榎「……鷺森! いや灼! あんたようわかってるわ! なんかあったらうちんとこ来ぃや! あ、アメちゃんやるわアメちゃん!」

灼「ありがとうございます……」

憧「……なにやってんの灼さん」

灼「いや、つい……」

玄「あの、英語間違って……」

恭子「ホンマ恥ずかしいわ……」

灼「ん……アメちゃんおいし」


756: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:08:17.81 ID:asoHmlXu0

漫「で、結局どうするんです? 主将が集めたんですしなにかしらプランあるんですよね?」

洋榎「任せとき! とりあえずこっちや!」

絹恵「あ、お姉ちゃん待って!」

穏乃「かけっこなら負けませんよ!」

玄「あっ! は、早く追いかけないと!」

恭子「ちょ……あぁもう! 町中で走らんといてくださいよ!」

憧「……大変ですね、末原さん」

恭子「もう慣れたけどな……なんだかんだ言って主将の引っ張ってるチームやし、あれがないと始まらんわ」

宥「みなさん洋榎さんが好きなんですねぇ」

由子「そろそろ追いかけないと見失うのよー?」

灼「……行きましょうか」

恭子「……せやな」


757: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:09:26.07 ID:asoHmlXu0

――――――

恭子「……主将」

洋榎「ん? どうした恭子?」

恭子「……どうして宿に帰ってきたんですかね?」

洋榎「決まってるやろ! 監督シメて改めて金出してもらうんや!」

恭子「それただの恐喝や!」

洋榎「だってみんなの分出せるほど金持ってないもん! だいたい監督がうちに恥かかせたのが悪いんや!」

漫「いや、単に主将の不注意ですよね……?」

灼「逆恨みだね」

洋榎「うっさいわ! 監督、おるか!?」


758: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:10:48.16 ID:asoHmlXu0

郁乃「あれー? みんなどうしたん? あ、阿知賀のみんなはじめまして……うち、赤阪郁乃いうて姫松の監督してるんよー よろしくねー?」

穏乃「よろしくお願いします!」

洋榎「挨拶はええんや! 監督、さっきのお金なんや! 使い物にならんやろ!」

郁乃「高鴨ちゃんに、松実ちゃん姉妹に、鷺森ちゃんに新子ちゃんやんなー? 良かったら姫松にきーひん? 」

玄「え、いや、その……」

洋榎「なにスカウトしてるんや! 話聞きーや!」

郁乃「だってそれ愛宕のお姉ちゃんが大喜びして持ってったやんか? うちだって渾身のボケをスルーされて悲しかったんよ?」

洋榎「う……」

郁乃「まぁお客さんも来とることやし……ちょっと待っててー?」

漫「……マジで出してくれるんですかね?」

絹恵「うちのお母さんと赤土監督は出したらしいですけど……?」

憧「実際のところハルエ……赤土先生のプロ進出とかそっち系の話するのに追い出された感じでもあったのでなんとも……」


759: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:12:04.85 ID:asoHmlXu0

郁乃「じゃあはい、好きなだけお買い物してええよー」

由子「赤阪監督すごいのよー!」

玄「わぁ……赤阪監督器用なんですねー」

宥「すごーい」

洋榎「……折り紙の商品並べられても困るわ!」

郁乃「えー? でも、子供銀行券じゃ外でお買い物できひんし……」

洋榎「いいから金出せって言っとるんや! 監督失格やで!」

恭子「だからそれ恐喝やって!」

絹恵「お姉ちゃん……さすがにそれは……」

憧「むしろ洋榎さんが人間失格っぽくなってますよ……?」

郁乃「んー……まぁ、うちも息抜きは必要だと思うけど……それじゃあ条件な?」


760: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:12:51.18 ID:asoHmlXu0

――――――

恭子「結局麻雀か……」

憧「総合成績の良かったチームに赤阪監督がご飯を奢る……と」

漫「練習試合頑張ったらご飯奢ったるーってことですよね?」

灼「姫松の人と打てるのは嬉しいけどね」

穏乃「よろしくお願いします、愛宕さん、真瀬さん!」

洋榎「ドラローちゃんと高鴨が相手か……楽しませてくれるんやろな?」

玄「おまかせあれ! 負けませんよー!」

由子「よろしくなのよー」

絹恵「あはは……あぶれちゃいましたね? お茶でよかったですか?」

宥「あ、ありがとう絹恵ちゃん……」

郁乃「それじゃあみんながんばってなー?」


761: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:13:39.55 ID:asoHmlXu0

――――――

玄「ツモ! タンヤオドラ8です!」

由子「……これ、ちょっとマジなのよー?」

洋榎「はぁ……とんでもないやっちゃなー」

穏乃「玄さんの火力は桁違いですからね! いくら洋榎さんでも大変ですよ!」

洋榎「だがしかし! この関西随一の天才美少女雀士愛宕洋榎をなめたらアカンで……リーチや!」

穏乃「速い……!」

由子「洋榎今日は調子いいのよー」

玄「むむむ……通りますか?」

洋榎「通したるが……来るでー!一発来るでー!」

洋榎「ツモ! リーチ一発自摸タンヤオ平和三色一盃口で4000・8000や!」


762: ◆FYW.3i5lks 2014/09/11(木) 02:14:43.69 ID:asoHmlXu0

穏乃「おぉ……すごい! カッコいい! さすが愛宕洋榎さんです!」

洋榎「ふっふーん……どうや! セーラと比べても……」

穏乃「江口さんと同じぐらい強い!」

洋榎「……高鴨! いいか!? セーラは悪いやつや!」

穏乃「ええっ!?」

洋榎「学校の制服も着とらんし……不良の証拠や!」

穏乃「な、なるほど!」

洋榎「つか実はあいつ男やし! 学ラン着てるのはつまりそういうことや!」

穏乃「そ、そうだったんですか!?」



憧「し、しず……あんたそれさっき……」

恭子「すまん……ホンマに恥ずかしいわ……」


カン!

769: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:31:49.29 ID:HAkaTMO2O


少し緊張するけど……いや、別に緊張しなくていいんだけど!


とにかく、覚悟を決めて通話ボタンを押した



770: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:33:53.73 ID:HAkaTMO2O

純『もしもし?』

憧「い、井上さん、お久しぶりです」

純『お、新子久しぶりだなー! 夏ぶりか?』

憧「はい……その、お誕生日おめでとうございます!」

純『サンキュ! なんだよ、それでわざわざ電話くれたのか? つか誕生日とか言ってたっけ?』

憧「しずから……その、この間国広さんから聞いたらしくて」

……ちょっと嘘をついた

この間国広さんから電話が来てわざわざ教えてくれたのだ

国広さんは……その、ある一点においては決して相容れないけれど、そこ以外はかなりしっかりした人で気の回るいい人だ

……なんでファッションセンスだけあんなことになってしまったのだろうか

それはともかく、お蔭でポイント稼ぎを……いや別に井上さんが好きとかじゃないけど! 女の子同士だし! 違うけど!


771: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:35:11.69 ID:HAkaTMO2O

憧「今、龍門渕は誕生日月間らしいですね」

純『ああ、先週が衣で次に透華、今日がオレで来週に国広くんだな……智紀は3月だけど』

憧「すごい固まりかたですよねー……龍門渕さんのとこだと、やっぱりでっかいパーティーみたいなのやるんですか?」

純『毎年ってわけでもないけどな……金持ちってやっぱりちょっと感覚違うわ。 でも、去年なんかはちっこくて安っぽいパーティーを衣のとこから4回やったしけっこう自由だぜ?』

憧「へぇ……コンビニでおかし買ってきたりとかですか?」

純『そうそう! まぁ、今年は透華の時にでっかいのまとめてやったからのんびりしてるんだけどな』

憧「そうなんですか……その、なにか欲しいものとかありますか? せっかくだしなにかお贈りしますよ」

純『いいよ、そんなの……新子が電話くれただけでうれしいって』

憧「ふきゅ」

こ、これはアレね? 脈アリね? こ、こここ告白しなきゃ!

純『ちょうど暇してたんだよなー 時間あるなら相手してくれよ』

……OKOK、落ち着こう

井上さんに他意はない

っていうか好きとかじゃないし! 女の子同士だしそういうんじゃないし!


772: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:35:49.70 ID:HAkaTMO2O

一『純くーん、ちょっと……って電話中?』

純『ん、今新子から電話来て……どうかしたのか?』

一『あぁ……それじゃあ後でも』

純『あぁいいよ今行くって……悪いな新子、ちょっと用事できちまって……』

憧「あ、そんな、大丈夫です……」

純『それじゃあまた……』

一『ちょっと待った! 代わって! ……ごめんね? 新子さん……タイミング悪かったみたいで』

憧「あ、国広さん……」

一『ほんとごめんね?ちゃんとフォローしておくから』

憧「え、あ! 別に……その、そういうんじゃないですから!」

一『あはは……じゃあそういうことにしておこっか』

純『悪いな……後で電話するよ』

憧「……はいっ! それじゃあ、また!」

純『おう、また後でな』


773: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:36:39.48 ID:HAkaTMO2O

憧「ふぅ……」

……こう、変にあがっちゃうのはよくないな

別にそういうアレじゃないんだし、落ち着いて話さないと

……後で電話してくれるのか

憧「……んふふ」

望「あーこ! どうしたの?ニヤニヤしちゃって……彼氏でもできた?」

憧「ふきゅ!? お、おおおお姉ちゃん!? み、見てたの!? 聞いてたの!?」

望「……え、マジで彼氏?」

憧「ち、違うし! 彼氏じゃなくって……っていうか電話の相手女の子だから!」

望「ふーん……?」

あ、なんか疑われてる

……っていうかお姉ちゃんに隠し事できる気がしないし、あまり詮索しないでほしい……

望「憧?」

憧「な、なに?」


望「……相手が女の子でも、お姉ちゃんは応援するからね!」


憧「ふきゅ!? ち、違うってばぁ!」


カン!



774: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:37:16.00 ID:HAkaTMO2O

純「で? どうしたんだよ」

一「ちょっとそこの部屋でさ、棚の上の物取りたかったんだけどボクじゃ届かなくって」

純「なるほどね……それじゃ」

パァン! パァン!

純「な、なんだ!?」

「「「「誕生日おめでとー!!」」」」

純「は……?」

一「えへへサプライーズ!」

衣「驚いたか?」

透華「作戦大成功ですわ!」

純「な……この前まとめてやったから今年はそれで終わりじゃないのかよ!?」

智紀「パーティーならたくさんやった方が楽しい」

衣「ケーキもいっぱい食べられるしな!」

透華「純もまさか追加のパーティーをするとは思わなかったようですわね!」

純「そ、そりゃあまさかオレの時にやったら……国広くんの時はどうすんだよ!?」

透華「当然! サプライズパーティーですわ! 後で作戦会議ですわよ!」

一「透華……それはボクのいないところで言わないと……」


775: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:38:01.01 ID:HAkaTMO2O

智紀「……純、もしかして泣いてる?」

衣「泣いてしまうほど嬉しいか! 衣おねえさんも準備を頑張った甲斐があったぞ!」

純「な、泣いてねぇし! これは、ちょっとクラッカーの音に驚いただけだし!」

一「それはそれで情けないよ?」

透華「まったく……もう少し男らしくしたらどうですの?」

純「オレは女だ!」

智紀「ふふ……とりあえず、はじめようか?」

衣「このケーキ! ハギヨシに教えてもらいながら衣が作ったんだぞ!」

純「マジか! すげぇじゃん! サンキュー衣!」

衣「ふわ……! こら! 撫でるな! 衣の方がおねえさんなんだぞ!?」

純「今日から同い年だろ? 固いこと言うなよ」


776: ◆FYW.3i5lks 2014/09/14(日) 20:39:42.03 ID:HAkaTMO2O

――――――

一「あ、そういえばさ……9月14日はメンズバレンタインデーらしいよ」

純「なんだそれ? 今度はどこの陰謀だ?」

一「なんか、日本ボディファッション協会ってとこが制定したんだって。 今は特に行事とかやってないみたいだけど……男性が女性に下着を贈って愛の告白をする日らしいよ」

純「へぇ……」

一「せっかくだし、純くんもなんかやったら? 新子さんも電話くれたことだし下着をプレゼントして愛の告白を……」

純「だから! オレは女だって言ってるだろ!」


もいっこカン!

785: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:03:14.20 ID:neUE/pf00


兄弟姉妹にもいろいろある



786: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:04:07.12 ID:neUE/pf00

昔みたいに毎日和と打てる

そんな期間は今この時、インハイで東京にいる間だけだろう

団体戦では直接打つことができなかったし、個人戦に参加していなかったことがここで活きてくるとはさすがの私でも計算できなかった

……とにかく、和の調整相手になってあげたい気持ちもあるし、清澄の宿舎には風越の福路さんもいる

お世話になった恩返しもできるし、強い雀士と打つことは私自身のレベルアップにも繋がる

清澄の宿舎に通うことは、和と旧交を温めつつ福路さんに恩返しをしながら私も麻雀が上達するという一石三鳥……いや、それ以上の効果も望める偉大なる作戦なのだ!

穏乃「あこー! 早く早く! 遊ぶんだ、和と!」

憧「はいはい……しずは少し落ち着こうねー」

玄「元気なのはしずのちゃんのいいところだよー?」

憧「……それは知ってる」

まぁ、いろいろ言ってみたところで私もやっぱり和と遊べるのが楽しみだし、はしゃぎたい気持ちもあるんだけどね


787: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:04:55.23 ID:neUE/pf00

穏乃「こんにち……っと、すみません」

華菜「ああ、悪いな文堂……チビたちは……」

池田さん、どうやら電話中みたいだ

気にするな、とばかりに笑顔を見せて、ちょいちょい、とジェスチャーで中に入るように促してくれる

池田さんに小さく会釈を返して部屋に入る

咲「あ……こんにちは」

玄「こんにちは、宮永さん」

憧「どーもっ……あれ? 和は?」

咲「みんなが来る前に、って優希ちゃんと買い出しに行っちゃって……ちょうど入れ違いになっちゃったみたいだね」

穏乃「ありゃ……ちゃんと連絡しとけばよかったなぁ」

未春「せっかく来てくれたんだし、打ち始めちゃおっか?」

玄「吉留さん、お邪魔してます」

未春「こんにちは! 宮永さん入る?」

咲「はい、それじゃあお願いします」

憧「それじゃあ私最初見てますね」

玄「いいの?」

憧「いいよー 和来たらそっちと打つし」

穏乃「和と打ちたいだけかよー」


788: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:05:47.29 ID:neUE/pf00

未春「でも、原村さんと片岡さん帰ってくる頃には華菜ちゃんも電話終わると思うからちょうどいいんじゃないかな」

玄「池田さん、どなたとお電話されてるんですか?」

未春「文堂さん……うちの1年生なんだけど、そこからの電話みたいだから妹さんたちと話してるんじゃないかな?」

穏乃「へぇ……池田さんって妹さんいるんですか」

咲「……姉妹、かぁ」

未春「しかも、まだちっちゃくて三つ子ですっごくかわいいの!」

穏乃「三つ子ですか!?」

玄「ちっちゃいって綾ちゃんたちみたいな感じかな?」

憧「いやいや……気持ちはわかるけどあの子らももう中学生に高学年よ?」

未春「んー……詳しくは知らないけど10歳は離れてるかなぁ」

玄「10歳ですか……」

穏乃「だいたい憧と望さんぐらいの差かー」

未春「新子さんも姉妹いるんだ?」

憧「はい、10こ上のお姉ちゃんが」


789: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:07:08.86 ID:neUE/pf00

華菜「じゃあ、けっこうかわいがられてんだろ?」

憧「池田さん……えぇ、まぁ」

玄「電話、もういいんですか?」

華菜「おー……なんか、あいつら文堂になつきすぎだ……まだ帰れないって言ったら星夏おねえちゃんいるから平気ーって……」

未春「あはは……文堂さん毎日通ってくれてるみたいだし仕方ないんじゃない?」

華菜「それはそうだし、助かってはいるんだけど……」

穏乃「そうなると、ちょっと寂しいですよねー」

華菜「まーなー……もう打ちはじめてんの? どんな感じだ?」

咲「まだ東1です……あ、カン! 嶺上開花です」

穏乃「うー……早いなぁ」

未春「来年を考えるとこれを止めれるようにならないとなんだよねぇ……」

憧「玄またドラ8とかわけわかんないことになってるわね……」

玄「和了れなかったら意味ないよぉ……」


790: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:08:35.10 ID:neUE/pf00

華菜「……なぁなぁ新子」

憧「なんですか?」

華菜「お姉さんとは仲良いのか?」

憧「えーまぁ、そこそこです」

玄「そこそこって……」

穏乃「超仲いいくせに照れちゃって! この前なんて寝言でお姉ちゃーんとか言ってたし」

憧「ふきゅ!? う、嘘でしょ!?」

穏乃「嘘だけど?」

憧「……しーずー!」

穏乃「あはは! 言っちゃうかもって思うくらいには望さんのこと好きなんだー」

咲「穏乃ちゃん、それカンだよ」

穏乃「えっ」

咲「嶺上開花、責任払いで12000です」

穏乃「あぁーやっちゃった……」

未春「生牌が全部危険牌に見えてきた……」

玄「カンドラが増えて手が進まないよぉ……」


791: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:09:47.62 ID:neUE/pf00

華菜「そっかー……新子はお姉ちゃん大好きかぁ」

憧「あ、いや、まぁ……そ、そうですね」

玄「どうかしたんですか?」

華菜「ほら、一応電話も来るわけだし平気だとは思うんだけど……いなくても平気とか言われるとけっこうダメージがくるわけで……」

華菜「けっこう年の差もあるわけだし、やっぱり感覚も違うわけだろ? 私としてはちっこくてすっげーかわいいんだけど……下の子って姉のことどう思ってるのかなーって」

玄「私はお姉ちゃんと仲良しですし、大好きですよっ」

華菜「それは見てればわかるし!」

未春「華菜ちゃんのとこも見てればわかるぐらいには仲良しじゃないかな?」

憧「うーん……まぁ、お姉ちゃんの影響は大きいと思いますよ。 私は麻雀だってお姉ちゃんがきっかけで始めましたし」

華菜「お姉さんも麻雀するんだ?」

穏乃「望さん、赤土先生の同期なんですよ」

華菜「へぇ……ってことは姉妹揃ってインハイ出場か」

未春「お姉さんも鼻が高いだろうね」

憧「……そ、そうですかね?」

華菜「そりゃそうだろー……私だってあいつらがお絵かきで先生に褒められたとか言ってたら鼻が高いし!」

穏乃「親みたいになってますね……」

華菜「言われてみると……まぁうちは両親忙しいから普段は私が面倒みてるしなー」


792: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:12:07.87 ID:neUE/pf00

華菜「ま、妹が嫌いな姉はいないけど……下の子はどうかなって思っただけだから……ほら、うるせぇババァ! とかドラマだとよく言われてるし」

未春「いやいや……それは不良少年が母親に言うやつなんじゃ……」

憧「でもたしかに、宥ねえも玄もお互いのこと大好きよねー」

玄「えへへ……そうかなぁ?」

穏乃「望さんも憧のこと大好きだしねっ!」

憧「……ま、まぁ、そうかもね?」

お姉ちゃん、そんなに私のこと好きなように回りからは見えてるんだろうか?

そりゃあ仲のいい姉妹だとは思うけど……

咲「……でも、姉妹って一口にいっても、それぞれ事情が違いますし……ひとくくりにはできないんじゃないですか?」


793: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:13:05.99 ID:neUE/pf00

華菜「んーまぁ、たしかに個別の事情ってのはあるよな」

玄「……うちは小さいときにお母さんが亡くなっちゃったから、より姉妹で仲よくって感じかもしれないなぁ」

華菜「うちもそれこそ私がほとんど面倒見てるからなぁ……親みたいなとこもあるし、姉でもあるし、年も離れてるからよそとはたしかに違うかもな」

……そういえば、宮永さんのところはちょっと喧嘩してるっぽいんだっけ

うーん……この話題はまずかったのかなぁ

華菜「……宮永のとこはさ、仲悪いのか?」

憧「えっ」

未春「ちょ、華菜ちゃん!?」

いやいやいやいや! それ確実に聞いちゃダメなとこでしょ!?

咲「…………」

華菜「あ、話したくないなら無理しなくていいぞ?」

咲「……その、仲が悪いというか、私が……嫌われちゃってて……お姉ちゃん、怒ってると思うから……」


794: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:14:10.87 ID:neUE/pf00

華菜「なんか怒らせるようなことしたのか?」

未春「か、華菜ちゃん……?」

憧「ちょ、もう少し言い方をですね……」

池田さん心臓に悪いってば!

っていうか、なんで玄もしずもキョトンとしてんの!? 話についてこれてないの!?

咲「……いろいろあって……去年会いに行ったときは話もしてもらえなかったから……」

華菜「うーん……でもさ、宮永は仲直りしたいんだよな?」

咲「……それは、はい」

華菜「じゃあなんとかなるって!」

憧「適当だな!?」


795: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:15:28.76 ID:neUE/pf00

華菜「おいおい、上級生には敬語使え?」

憧「あぅ……すいません、つい」

華菜「……まあほら、宮永は仲直りしたいんだろ? 諦めなきゃなんとかなるって! 妹を嫌う姉なんていないからな!」

咲「……でも」

華菜「でも、とかすぐ言うなよ! いちいちマイナス方面に考えても気が重くなるだけだし! いい方に考えなきゃ疲れるぞ?」

穏乃「……そうだよ! きっとなんとかなるって!」

あ、しずこれよくわかってないけど勢いで入ってきたな

華菜「そうそう! 県大会やインハイの時も最後まで諦めないで打っただろ? それで勝ってきてるんだからそれと同じことだし!」

咲「そう……なんですかね?」

華菜「私が言うんだから間違いないし!」

未春「その自信はどこから出てくるのかな……?」


796: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:16:46.11 ID:neUE/pf00

華菜「そうだなぁ……とりあえず個人戦でチャンピオンと打って、卓上でしっかり話すといいし!」

未春「そんな、漫画じゃないんだから……」

穏乃「河原で殴りあうと友情が生まれる的なアレですね!」

憧「なんでそれで納得できるのよ!?」

玄「宮永さん頑張ってるから、きっとうまくいくよ~」

咲「……そう、ですね……お姉ちゃんと仲直りして、また、家族で……」

華菜「その調子だし! チャンピオンもなかなかやるから練習頑張らなきゃな!」

咲「はい! カン! カン! もいっこカン! 嶺上開花8000・16000!」

穏乃「……トビました!」

玄「あわわわわ……」

未春「……来年までに宮永さんに勝てるようになるのって無理なんじゃ……」

華菜「みはるん弱気になるなし! 華菜ちゃんの潜在能力を舐めちゃいけないし!」

穏乃「私も全国に来たら宮永さんと打つんだし負けてられませんね!」

玄「しっかり特訓して来年こそは勝たなきゃね!」


797: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:18:04.59 ID:neUE/pf00

華菜「よーし、みはるん交代だし! 来年に向けて今から宮永を倒すイメージ作ってくし!」

憧「じゃあ玄交代して! 私も打ちたい!」

玄「いいよー」

穏乃「よし! 今から来年に向けて地獄のオニ特訓だ!」

咲「私も負けないよ! お姉ちゃんに勝てるぐらい強くならなきゃ……!」

未春「……そういえば、原村さんたち遅いね?」

咲「道に迷っちゃったのかな?」

華菜「宮永じゃあるまいしそれはないだろー」


ガチャ


華菜「お、来たし! 遅いぞー? どこで油売ってたし!」

美穂子「あ……ご、ごめんなさい……ちょっとお買い物に行ってたのだけれど、阿知賀の皆さんももう来てたのね……お客様をお待たせしてしまって……」

華菜「キャ、キャプテン!? すみません! 今のは、その、間違いで! 人違いだし!」

未春「キャプテン、おかえりなさい! 華菜ちゃんそそっかしいから……」


798: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:18:52.01 ID:neUE/pf00


ガチャ


華菜「あっ! こら! 本当にどこで油売ってたし! トロトロしてさっさと帰ってこないから私がキャプテンに……」



貴子「あ゛?」



華菜「」

美穂子「あ、久保コーチ……お疲れさまです」

未春「お、お疲れさまです……」

憧「お邪魔してまーす」

穏乃「こんにちは!」

貴子「ああ、阿知賀のみんな、いつも練習付き合ってくれてありがとな? お菓子買ってきたからみんなで適当に食べてくれ」

玄「わぁ……すみません、気を遣わせてしまいまして……」

貴子「いや、本当に助かってるから気にしないでくれ……池田、ちょっとこっち来い」

華菜「あ、いや……その、今のは……違うし」

貴子「何が違うんだ? いいから来いって、怒ってないから」

華菜「は、はい……」


799: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:21:43.71 ID:neUE/pf00

美穂子「……華菜、大丈夫かしら?」

玄「怒ってないから、って怒ってる人が言う台詞だよね……?」

未春「久保コーチ普段は優しいんだけど……風越はけっこう体育会系だからああいうところは厳しくて……」

穏乃「熱血指導ですね!」


ガチャ


優希「たっだいまー!」

和「ただいま戻りました」

憧「あ、おかえりー!」

咲「えっと、福路さんとは打てないから私と和ちゃんが同卓すればいいのかな?」

美穂子「そうなるわね……それじゃあ片岡さん、お願いできるかしら?」

優希「よろしくだじぇ!」

憧「打とっか、和」

和「はい、よろしくお願いしますね、憧」



800: ◆FYW.3i5lks 2014/09/16(火) 00:22:24.34 ID:neUE/pf00

和「……そういえば、今池田さんと久保コーチとすれ違ったのですが、なにかあったんですか?」

憧「あー……それは」



貴子「池田ァァ!! てめぇ口の聞き方も知らねぇのかっ!」



和「……あぁ、なるほど」

優希「散ったじぇ」


カン!

807: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:06:20.78 ID:Yi8HXlaZ0


いくらすごいと言っても、やっぱり同じくらいの女の子なんだ



808: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:09:03.74 ID:Yi8HXlaZ0

「「あ……」」

伸ばした手と手が触れあう

一昔前の少女漫画なら恋が始まるところだ

……咲なんかは好きなシチュエーションなのではないだろうか

図書館とか好きみたいだしもしかしたら既にこのシチュエーションには遭遇済みの可能性も……

ああ、恋人はいないって言ってたっけか

……それはともかく、引かないなこの人

普通譲り合うものじゃないのか

というか、最後のひとつとはいえ、コンビニスイーツぐらい譲ってくれてもいいじゃないか

灼「……あれ? チャンピオン?」

照「……阿知賀の、鷺森さん?」

あ、さりげなく商品手元に持ってったな

油断した私が悪いのか


809: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:10:43.12 ID:Yi8HXlaZ0

灼「……すごい量ですね?」

チャンピオンは買い物かごに大量のおかしを積み重ねている

部の買い出しだろうか? チャンピオンの仕事とは思えないけど……

照「……違う。 私だけの分じゃない。 ちゃんと、みんなにも……分ける。 分けるよ?」

あ、これは一人で全部食べるやつだな

照「……麻雀で頭使うから、カロリーは充分に消費できる。 というか私は食べても……そんなに、そんなには太らないタイプだから。 太らないから」

聞いてもいないのに言い訳をはじめた

しかもこれ太っちゃうやつだ

照「……こっちは新商品だし、これはこの前淡がおいしそうに食べてたから気になって……あ、あれはこの前誠子が」

灼「そんなに食べると太りますよ」

照「……太らないもん」

なにもそんな、涙目にならなくても……


810: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:11:34.97 ID:Yi8HXlaZ0

「2670円です」

照「はい」

……コンビニでどれだけ買うんだ

照「……あの、鷺森さん?」

灼「なんですか?」

照「……100円貸してもらえませんか?」

灼「……少し諦めたらいいんじゃ」

照「お願い、貸して……?」

灼「……どうぞ」

だから泣かないでほし……


811: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:12:15.33 ID:Yi8HXlaZ0

照「ありがとう。 この恩は一生忘れない」

もぐもぐ

灼「……いや、そんなに恩にきせるつもりは」

照「でも、本当に助かった」

もぐもぐ

灼「あの、話すのは食べ終わってからでいいですから」

照「わかった」

チャンピオンはコンビニを出てすぐに……お礼を言う前に、シュークリームの袋をあけて食べはじめた

どれだけ食べたかったんだ

というかおいしそうだな

照「……一口食べる?」

灼「……いただきます」

照「おいしい?」

灼「おいし……」


812: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:12:57.50 ID:Yi8HXlaZ0

照「やっぱり甘いものはいい」

そう言ってチャンピオンはエクレアの袋を開封する

灼「……まだ食べるんですか?」

照「こんなに買ったってバレたらまた怒られるから……少し食べてから帰らないと」

やっぱり買いすぎじゃないか

というか毎回怒られるほど買ってるのか

照「……おいしい」

……そんなにいい笑顔をされると、なにも言えなくなる


813: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:14:16.47 ID:Yi8HXlaZ0

照「鷺森さん、鷺森さん、せっかくだから一緒に食べよ? まだまだたくさんあるから……」

灼「ん……ありがとうございます」

……メディア関係ではしっかりものの優等生、そんなイメージを持ってた

実際に全国大会で打ってみると……打ったのは玄だけど、少し怖いぐらいのイメージだった

しかしこうして話してみると、ちょっとおかしが好きな……いや、すごくおかしが好きな、自分達と変わらない普通の女の子なんだと思う

照「こんなにおいしいのに……菫は少し量を抑えろと言う……意味がわからない」

灼「あ、口のとこクリームついてますよ」

照「え? こっち?」

灼「反対……よいしょ」

ポケットからハンカチを取り出して、拭き取ってあげる

照「ん……ありがと」

灼「いえいえ」

……気づいたらチャンピオンはポテチを開封している……いったいどういうことなの


814: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:14:59.04 ID:Yi8HXlaZ0

照「……甘いものとしょっぱいものを交互に食べることで飽きずに食べ続けることができる」

聞いてもいないのにまた言い訳をはじめた

灼「……太りますよ?」

照「……太らないもん……意地悪言わないで」

灼「……ごめんなさ」

こう、ちょっと涙目になるのが年上なのにかわいらしい

……その目や、特徴のある跳ねた髪とか……やっぱり、咲のお姉さんなんだよね?

喧嘩してるって、咲は言ってたけど……

灼「……あの」

照「なに?」

灼「……長野の」

照「私に妹はいない」


815: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:16:06.99 ID:Yi8HXlaZ0

灼「……まだなにも言ってませんけど」

照「ん……? あ……」

灼「やっぱり……」

照「いや、違う。……これは、その、間違い」

灼「間違い?」

照「口が滑った」

灼「それは妹がいるって白状したようなものでは……」

照「あ、違う……その、咲は妹じゃなくって……たまたま、たまたま名字が同じだけ」

灼「私、咲がどうとか言ってませんけど」

照「……本当だ」

灼「…………」

大丈夫なんだろうか? いろいろ心配だ


816: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:16:52.78 ID:Yi8HXlaZ0

照「見事な誘導尋問だった……」

灼「いや、勝手に全部喋ってたような……」

照「私がおかしを食べている間はおかしのことしか考えられないのを見越して……?」

灼「……そうなんですか?」

それはちょっとどうなんだろうか

照「ま、まさか100円貸したのもその布石だった……?」

灼「それは考えすぎ……」

照「あ、この新商品おいしい……」

……本当におかしのことしか考えられないのだろうか?

照「食べる?」

灼「……ども」

うん、おいしい


817: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:18:40.76 ID:Yi8HXlaZ0

灼「……咲とは、友だちで」

照「……そうなんだ」

灼「詳しくは、知りませんけど……」

照「うん……まぁ、ちょっとね……」

灼「……すみません」

照「いや、私も……どうにか、しないといけないとは、思ってるんだけど……」

……やっぱり、あまり踏み込まない方がいいだろうな

私のせいでこじれちゃったら、咲にも悪い

灼「……あ、こっちのもおいしいですね」

照「……本当だ……おいしいね」

照「……鷺森さん」

灼「はい?」

照「……咲は……その、元気、なのかな?」

灼「……元気ですよ。 麻雀も、練習頑張ってます」

照「……そっか」



818: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:21:24.76 ID:Yi8HXlaZ0

照「……あ、ごめん、電話」

灼「どうぞ」

照「もしもし? 菫? どうしたの?」

照「うん、買いもので……人と会って……」

照「……違う。 知ってる人。 淡じゃないんだから、そんな心配はいらない」

照「おかし? 食べてるけど……違う、釣られたりしてない。ついてってない。 子供じゃないんだから……」

……チャンピオン、いったい仲間にどういう風に思われてるんだろうか

照「練習……? ね、今何時かな?」

灼「ん……」

黙って時計を見せる

照「……違う、忘れてない。 ちょっと、ちょっと時間を間違えただけ」

……おかしのことしか考えられなかったから仕方ないね


819: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:25:52.38 ID:Yi8HXlaZ0

照「うん……わかった。わかったから……うん、じゃあ」

灼「……大丈夫ですか?」

照「少し怒られた」

灼「……練習ですか?」

照「うん……ごめんね? 戻らないと」

灼「いえ、楽しかったです。 ありがとうございました」

照「こちらこそ……話を聞けて、よかった」

……やっぱり、本当に嫌っていたり、気にかけていないわけじゃないんだ

この人も、いろいろと悩んで、苦しんでいるんだと思う

……当然だよね。私や咲とも変わらない、18歳の女の子なんだから……

照「……その、また会えるかな?」

灼「え……」

照「あの……100円借りちゃった、から」

灼「……連絡ください。 待ってますから……照さん」

照「……ありがとう、灼」


820: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:27:02.13 ID:Yi8HXlaZ0

――――――

灼「……咲」

咲「灼ちゃん、こんにちは」

灼「どう? 調子の方は」

咲「うん……いい方だと思う」

灼「そっか」

咲「この調子で……お姉ちゃんと仲直りできるように、頑張るんだ」

灼「……咲」

咲「なぁに?」

灼「きっと、うまくいくよ」

咲「……うん!」


カン!


821: ◆FYW.3i5lks 2014/09/18(木) 20:31:00.22 ID:Yi8HXlaZ0
宮永姉妹は物語の重要なポイントなので触れづらいっちゃ触れづらい。本編の進行が楽しみなとこです
しょっちゅうポンコツ姉妹扱いされてる気がしますが公式的にはポンコツ娘って優希を指すんですよね…風潮って恐ろしい。クロチャーの「ですのだ」とか…一回も言わせてないと思うけど

ブルーレイも来たことだし時間作って全国編見直さなきゃ!

834: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:49:04.40 ID:fYW11At10


どうしてこんなことになったのか


……わっかんねー



835: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:49:40.72 ID:fYW11At10

私は今、ついこの間……瑞原さんと野依さん、小鍛治さんと打ったバーにいる

そして隣には……

咏「…………」

圧倒的な火力でチームを優勝に導き、数々の賞を授賞。 さらに日本代表チームの先鋒でエースとして活躍している……横浜ロードスターズ所属、三尋木咏プロだ

……すごい勢いで飲んでるけど、大丈夫なのか?

咏「ねぇ、赤土さん?」

晴絵「は、はい……?」

咏「あっはっは! 赤土さんだ! 赤土晴絵だ! 隣で飲んでるよ! なんで!? わっかんねー!!」

晴絵「あ、あはは……」

……あんたが無理矢理引っ張ってきたんでしょうが

っていうか大丈夫なの? できあがっちゃってないか? いや、普段からこんなテンションなのか?


836: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:50:12.06 ID:fYW11At10

引っ張ってこられたからにはなにかしら話があったんだろうけど……

咏「おおぅ……ちょっとこれ、なかなかおいしいねぃ……あんま高い酒飲むのはじめてだからつい……」

晴絵「だ、大丈夫ですか?」

咏「あぁ、敬語はいいっすよ? 私の方が若いし」

……せめて年下って言えよ! なんか私がおばさんみたいじゃないか……年の差も、たしかひとつかふたつだろ?

晴絵「……わかった。 で、なにか話があるんだよね?」

道を歩いていたら、捕まって、バーに連れ込まれたと言っていい

初対面でこんな強行手段を使うわけだから用がないってことはないだろう

咏「そうなんだけど……ちょっとタンマ……み、水取って……」

晴絵「……どうぞ」

お酒、慣れてないみたいだな……ペース配分が酷すぎる

そんな、ジュースみたいに飲んだら頭痛もするだろうさ


837: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:50:54.36 ID:fYW11At10

咏「あー……で、なんだっけ?」

晴絵「……話があるのはそっちですよね?」

咏「そうだっけ? わっかんねー」

晴絵「はぁ……」

この子……いったいなに考えてんだか……思考を読まれないってのはプロ雀士としては強みだけど……

いや、もしかして話しづらいことなのか?

咏「……ちょっと待ってくださいね、赤土さん……少し、まとめてから話すんで」

晴絵「……ええ、構いませんよ、三尋木プロ」

咏「あ、プライベートだしプロはやめましょうってー」

晴絵「それじゃあ、三尋木さん?」

咏「もっと気軽に咏ちゃんとかでいいけどねぃ……ね、ハルちゃん?」

晴絵「……あんまりからかわないでくださいよ、咏さん」

咏「敬語もいいって言ってんのに……ハルちゃんはつれないねぇ」

けっこう妥協して咏さんなんだけど……いくら年下でも、世界クラスの雀士相手ではこちらも気が引けるってもんだ


838: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:53:21.37 ID:fYW11At10

咏「あー……そうだ、阿知賀女子、インハイ、おめでとうございます」

晴絵「え、あ、どうも……ありがとうございます」

咏「…………」

晴絵「…………」

……気まずい

そりゃそうだ、初対面なんだから

一人ですごい勢いで飲んじゃうし、どうすりゃいいんだよ私は……

咏「……すみません、本題入りますわ」

晴絵「……よろしく」

咏「…………」

晴絵「…………」

……早く話せよ!

咏「……あのさ、うちら、もう友達な?」

晴絵「……ん?」

咏「咏ちゃんハルちゃんの仲だし、友達な?」

……やっぱり普通には話しづらいってことかな、これは

ずいぶんと飲んでいるのも、踏ん切りをつけたいのかな

晴絵「……OK、一緒に酒まで飲んだんだ……友達だよ、咏ちゃん」

咏「……サンキュー、ハルちゃん」

839: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 09:58:04.94 ID:fYW11At10

咏「……学生時代、小鍛治さんと打ってるよねぃ?」

晴絵「……ああ」

……最近、この話をすることが多いな……私自身、考える時間が増えたことでもあるけど

教え子たちとインターハイの舞台に戻ってきて……あの頃向き合えなかった分、今からでもしっかり自分の中で昇華しなきゃいけない問題だとは思ってる

晴絵「……それを知ってるなら、結果も知ってるだろう?」

咏「もちろん……ボロ負けだったねぃ」

晴絵「……ああ」

咏「……それでも、あの対局は小鍛治さんの中に残り続けていたんだ」

晴絵「……!」

咏「団体戦準決勝、私はすぐにわかったよ……小鍛治さんの話した、たった一度の跳満……相手はあんただ」

咏「あの人は国内無敗……世界でも最前線で戦って、多くの雀士を屠って来た……」

咏「結局世界二位まで登り詰めて……結局、途中で地方リーグに隠居しちまった。こっちは対局の機会もないのに昔の牌譜まで引っ張り出して研究して!ずっと追いかけてたってのに……!」

咏「なにがあったのかは知らんけど、少なくともあの人は世界のトップだったんだ! 世界のトップクラスの雀士と戦い続けて……なのに、あの人の中にいる雀士は! 世界の強敵たちじゃなくって!あんたなんだよ……!」


840: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:00:43.27 ID:fYW11At10

晴絵「…………」

咏「……私の戦績、知ってるかぃ? 知らんけど」

晴絵「……ロードスターズと日本代表のエース、首位打点王、ゴールドハンド他多数の賞……あなたも国内じゃほぼ敵なしだ」

咏「そう! そうなんだよ! ……でも、私がインターハイに参加したときには入れ違いであの人はプロに行っちまってた!」

咏「私がプロになったときにはあの人は戦場を世界に移してた! ……私が辿り着いたときには、あの人はもう、そこにはいなかった……」

咏「小鍛治健夜……国内無敗の史上最年少八冠、永世七冠、恵比寿時代は毎年リーグMVP……」

咏「私がどれだけの大会を制しても! どれだけ賞を取っても! あの人がいないのに、それになんの意味があるんだよ!?」

晴絵「…………」

咏「わっかんねーんだ……私は、どうすれば……」

……なんというか、小鍛治コンプレックスとでも言えばいいのか?

いわゆる小鍛治世代は彼女の他にも瑞原はやり、野依理沙らトッププロが名を連ねているが……反対に言えば、トッププロ以外にはほとんどプロ人口が存在しない

……大きすぎる才能と実力に押し潰され、その道を諦めた人間も多いのだ

例えば……私とか、ね


841: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:07:25.29 ID:fYW11At10

三尋木咏は、ひとつ下の世代に当たる

そこで小鍛治健夜のように先頭に立って、現在の日本麻雀界を牽引している彼女は比較対象にされることも多いだろう

「国内最強の雀士は誰か?」なんて話題になると二人の名前は必ず挙がるが、対戦機会に恵まれなかったこともあり結局議論に決着はつかない……なんてことはざらだ

どれだけ勝っても、小鍛治さんに勝たなければ真の最強の名は手に入らない……」

……まあ、やってられないよな

晴絵「……でも、どうして私に?」

咏「……小鍛治さんが認めた、あんたと打ちたい」

咏「納得できないんだよ……あの小鍛治さんが……悪いけど、はっきり言うぜ? あんた程度の雀士に気持ちを置く理由がわっかんねー……日本リーグ時代の牌譜も見せてもらったけど、あんな縮こまった手を打つようなヘタレ雀士に、拘る意味がわからんね」

晴絵「……なるほど、ね」

随分とはっきり言ってくれるもんだ……

だけど、それは私自身認めているところだ……日本リーグ時代も、小鍛治さんの影に怯えて、踏み込んだ打牌ができなかった自覚はある

だけど……今はもう違う! あの子達のお蔭で、私の止まっていた時は再び動き始めたんだ……過去と、麻雀と向き合うことで!

晴絵「こちらこそ、望むところだ……日本代表の力、見せてもらうよ」

咏「ふん……威勢がいいねぃ……少しは楽しませてみろよ? 阿知賀のレジェンド……!」


842: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:08:10.89 ID:fYW11At10

咏「ここなら、余計な情報が漏れる心配もない……マスターも口が固いしね」

晴絵「……それなら、小鍛治さんを直接誘えばいいんじゃないのか?」

咏「わかってるくせに言うなよなー……私と小鍛治さんはマスコミにマークされてるからね……二人揃って麻雀バーに入ったら、さすがにわっかんねーでかわせないっつーの」

晴絵「ま、だよな……」

咏「マスター! 卓借りるよ!」

晴絵「ふぅ……じゃ、始めるか?」

咏「もち!」

晴絵「で、面子は?」

咏「……ん?」

晴絵「いや、二人じゃ打てないだろ?」

咏「……おお?」

晴絵「……面子は?」

咏「……存じ上げぬ」

晴絵「……あんたさぁ」

咏「いや、知らんし! だってハルちゃん見つけてつい反射的に引っ張ってきたから……」

晴絵「あんた一応プロだろ!? そんな無計画でどうすんだよ!」

咏「わっかんねー! 全てがわっかんねー!」

……結局、仕方ないから二人で飲むことになった


843: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:09:05.89 ID:fYW11At10

咏「つーかなんなの!? めっちゃはずいんですけど! 散々煽った挙げ句、楽しませてみろよ? キリッ! とかやっちゃったんですけど! 」

晴絵「あっはっは! マジで恥ずかしいなあんた! 楽しませてみろよ(笑) こっちが楽しいっつーの!」

咏「うっせー! 知らんし! 阿知賀のレジェンド(笑)」

晴絵「あぁ!? マジでそれやめろって! 洒落になんないぞお前!」

咏「さっきはノリノリだったじゃんよー」

晴絵「そっちが決め顔してたから付き合ってやったんだよ!」

咏「は? 知らんし! 実は気に入ってんだろ? 阿知賀のレジェンド(笑)」

晴絵「あーあー! マジふざけんなお前! ちょっと卓につけよ!」

咏「やっべー! 必殺のレジェンドツモ(笑)されるんですけど! 」

晴絵「また言ったなお前!? あんまり調子乗んなよチビ!」

咏「はぁ!? チビじゃねーし! 身長は関係ねーし! そういうあんたはいくつあんだよ!?」

晴絵「174だよ! どーせデカ女だよ! 悪かったな!」

咏「え……ひゃ、174……? う、羨ましくねーから!身長とかわっかんねー!」

……他に客がいなかったからまだよかったものの……二人して相当酷い酔い方をしていたと思う

それこそ、恥ずかしさとか鬱屈した気分とか、酔わなきゃやってらんない感じだったんだけどね

……そこから先は、よく覚えていない


844: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:10:05.52 ID:fYW11At10

――――――

晴絵「……あたま、いったぁ」

どうも、飲みすぎたようだ……周囲を見回せば、今はもう見慣れたホテルの部屋で

一応、しっかり帰ってこられたらしい

晴絵「うぅ……水……灼、いるか……?」

隣のベッドに灼の姿はない……時計が視界に入るが、もうお昼になろうかという時間だ

……そりゃあ、まだ寝てたりはしないだろうな

気を遣ってそっとしておいてくれたのだろうか?

というか、学校の部活の引率で来てるのに二日酔いで動けないなんて……教師失格だ

晴絵「はぁ……しっかりしないとな」

とりあえず、水は自分で用意しないといけないらしい


845: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:10:41.15 ID:fYW11At10

……それにしても体が重い

立ち上がるのにこんなに力がいるなんて……ん?

晴絵「……なんだ?」

腰に絡みついた……腕?

晴絵「……あれ? 三尋木プロ……?」

昨日一緒に飲んだのは覚えてるけど、なんで私のベッドに……?

しかも、なんで下着姿で……!?

晴絵「っ!? え? なにこれ?」

とりあえず、私は服着てるぞ? いや、同性だし間違いはないと思うけど! ないよな!? いくら酔ってたと言っても!


846: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:11:32.17 ID:fYW11At10

ガチャ

灼「……あ、ハルちゃん起きたの? 大丈夫?」

晴絵「あ、灼!? ちょ、ま、待って……!」

灼「いいよ、遠慮しなくても……水持って、き……な、なに? その人……」

晴絵「ち、違う! 誤解だ誤解! なんもない! なんもないから!」

……なんで浮気がバレた男みたいになってんだ私!?

タイミング悪すぎ! せめてもう少し落ち着いてから来てくれれば……

憧「ん? 灼さんどしたの? ……え、ハルエ……と、三尋木プロ? な、なんでそんな格好……ま、まままさか!? お、男と縁がないからってそっちの道に!?」

晴絵「違うって! あーもう! 入って! 説明するから余計なこと言わないで! お願いだから! 頼む!」


847: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:12:15.25 ID:fYW11At10

灼「……で?」

晴絵「え、いや……ちょっと待って……その、なんで」

灼「文句あるの? 二日酔いの引率教師が?」

晴絵「……ないです、はい」

生徒に正座させられて尋問される教師……最高にカッコ悪いな

憧「……なんで三尋木プロが? 知り合いだったっけ?」

晴絵「……いや、昨日はじめて会ったんだけど……いろいろあって、飲みに行った」

灼「いろいろ?」

晴絵「あ、うん……いろいろ」

灼「説明しろって言ってるんだけど」

晴絵「あ、はい……」

憧「灼さんこーわーいー」

灼「ハルちゃんが悪いし」

憧「あはは、だよねー! 心配かけといて女の子連れ込んでるとか……」

……味方はいないらしい

しずや玄、宥を呼ばれてこれ以上失態を晒すことになるよりはいいけど


848: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:13:08.01 ID:fYW11At10

晴絵「えーと、町を歩いてたら、三尋木プロに声をかけられて、そのまま飲みに行きました……」

憧「で? 酔いつぶしてお持ち帰りしたの? 好みだった?」

晴絵「だから違うってば!」

なんでこの子はそういうことを……!

憧「あはは! 図星? ちっちゃい子が好みなんだ? 灼さんと同室になったのはそのためかなー?」

灼「……生徒に手を出すつもりだったの?」

晴絵「いや、違うって! 本当に! 誤解だから!」

くそっ! 本当に望にそっくりだな!? 面白がって煽って……

灼「じゃあなんで? 三尋木プロがハルちゃんのベッドで一緒に寝てるの?」

晴絵「それは……」

正直、あまり覚えてません……とは言えないよなぁ

晴絵「……二人ともけっこう飲んで、三尋木プロがつぶれちゃったんだ」

憧「やっぱりつぶしてお持ち帰りのパターン……」

晴絵「宿がわからなかったから! 仕方なく! 連れてきたの!」

……たぶん、そのはずだ


849: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:13:53.03 ID:fYW11At10

灼「……まあ、ここにいる理由はわかったけど」

憧「なんで脱がした上に同衾してるわけ?」

晴絵「えー……それは……」

……なんでだろう? 全然覚えてないぞ……

咏「あー……うっさいぞー……ひとが、きもちよくねてるってーのに……」

晴絵「三尋木プロ! 目が覚めましたか!」

よし! 当人である三尋木プロに、なにもなかったことをしっかり説明してもらえばとりあえず切り抜けられるだろ!

咏「んー……ハルちゃん? ちょっとみず、ちょうだい……あたまいてー」

灼「……ハルちゃん?」

憧「ほほう……」

あ、これなんかヤバい?


850: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:14:47.92 ID:fYW11At10

晴絵「はい、水! そんでさ、とりあえずいろいろ説明してあげてよ! なんか誤解されてるから!」

咏「んー……なんの? だれに?」

晴絵「うちの生徒がさ、ほら! ね? なんでここにいるのかとか! いろいろ!」

咏「ん……昨日私が誘って、飲み行って……ちょっと酒回って宿がわっかんねー感じになったんで……泊めてもらった? んだよな? 知らんけど」

晴絵「ほら! なんもないだろ? 咏ちゃんはただの友達だから!」

灼「……咏ちゃん?」

憧「へぇ……で、なんでハルエと一緒に寝てて、服も着てないんですかぁ?」

咏「ん……?」

晴絵「ほ、ほら……こいつらちょっと、そういう誤解をしててさ! そういう年頃だから! なんとか言ってやってくれよ!」

咏「そりゃ、寝る場所ないし、着物に皺とかついたら……あ」

晴絵「あ?」

咏「……ほうほう」

晴絵「ほうほう?」


851: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:15:57.04 ID:fYW11At10

咏「……酔って動けなくなったところを脱がされてさー」

晴絵「はぁ!?」

憧「ふきゅ!?」

灼「……へぇ」

晴絵「ちょ、ちょ、あんた! なに言ってんの!?」

咏「実際脱がしたのハルちゃんだぜぃ? 覚えてねーの?」

晴絵「んん……?」

そういや、動けないから脱がしてー、とか言われたような気も……

憧「え? え? 嘘? じょ、冗談じゃなくって!? あ、あわわわわわ……」

灼「…………」

晴絵「ってなんで状況を掻き乱すんだよ!?」

咏「わっかんねー! 嘘言ってないし! 知らんし!」

灼が凄い睨んでる。 怖い。

憧は……なんかテンパってるな。 そこだけは望と違うな……って今はそんなことを言ってる場合じゃなくて……!

咏「そんで、隣で教え子が寝ているという背徳的な状況が余計に燃えるとか言って、無理矢理……」

憧「ふきゅ!?」

灼「……ハルちゃん、最低だね」

晴絵「いやいやいや! それは絶対に言ってない! つーかヤってないし!」

憧「ヤ、ヤ、ヤるって……ふきゅう」

……憧には刺激が強かったらしい

言葉は選ばなきゃダメだね、うん

852: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:17:08.64 ID:fYW11At10

咏「ハルちゃんちっちゃい子が好みみたいだから鷺森とか高鴨とかヤバいんじゃね? 知らんけど」

あ……! こいつ、チビって言ったの根に持ってんのか!?

灼「……今日から玄と一緒に寝る」

晴絵「え、いやいや! 待って灼! 違うから!誤解だから!」

咏「ほら、部屋別れられるの嫌なんだって! こりゃ狙ってたね! 知らんけど!」

灼「……ちょっと、半径五メートル以内に近づかないでもらえますか」

晴絵「部屋から出てけってか!?」

これはマズい。 生徒からの信頼が音を立てて崩れていく……いや、二日酔いの時点でだいぶアウトだったけれども

晴絵「いや、待って! よく考えるんだ灼! もし私が……あー、そういうことを咏ちゃんにしたならあの態度はおかしいだろ!? もっと怒るとか、泣くとか、そういう感じが普通だろ!?」

灼「……!」

よし! やっと反撃できたぞ!

灼「……どうなんですか? 三尋木プロ」

咏「え、えっと……」

晴絵「わっかんねー、とか! 知らんし、じゃ通りませんよ!」

咏「……その、すっごく良かったから」

演技派か! なんだそれ頬染めんな! 女子校生相手にそういうネタで攻めるのマジでやめろ!

灼「……ハルちゃん」

晴絵「あ、灼……」

灼「一回死んだら?」

晴絵「」


853: ◆FYW.3i5lks 2014/09/21(日) 10:20:02.36 ID:fYW11At10


しばらく教え子に距離を置かれた上に、大会関係者に夜の方もレジェンドとかいう噂が流れた


プロになって小鍛治さんに公式戦でリベンジする、それが目標だったけど……


小鍛治さんへのリベンジより先だ……あのチビ、プロになったら真っ先に叩き潰してやる……!


カン!

862: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:10:07.27 ID:A8FR4TMp0


圧倒的な強者のオーラ


……卓上で出会ったのなら燃えるけど、日常ではさすがに怖い



863: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:10:50.69 ID:A8FR4TMp0

「高鴨穏乃だな?」

穏乃「え?」

「うちのもんが世話になったようだな」

穏乃「……え?」

町中で、急に話しかけられた

キリッとした目付き、隙のない佇まい……その上美人だ

美人なんだけど、それゆえに迫力があり、威圧感が際立つ

玄「し、穏乃ちゃん……?」

隣に立つ玄さんにちょいちょいとつつかれる

憧「……しず、なにしたの? ヤバいって……なんか、そっちの筋の人だって」

穏乃「え、いや……覚えがないんだけど」

憧「10円で高そうな車引っ掻いたりしてない?」

穏乃「そんなことしないよ!」

「……おい」

「「「はいっ!?」」」


864: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:11:39.54 ID:A8FR4TMp0

「なにをこそこそ話してるんだ?」

憧「い、いや……なにも……」

玄「なんでも、なんでもないですから……」

「……なにをそんなビビってんだ? 別に取って食いやしない……顔色が悪いぞ、松実?」

玄「ふぇ!?」

穏乃「く、玄さんなにしたんですか? あの人の胸揉んだりしてないですよね?」

玄「し、してないよ! どうせするならもっとおもちな子に……」

憧「なにバカなこと言ってんのよ! あ、あんた今の聞かれてたら東京湾に沈められるわよ……!」

「……おい、ちょっと」

憧「ふきゅ!?」

玄「わ……私が余計なこと言ったから……二人は絶対に守るから……」

穏乃「そ、そんな……玄さんだけに酷い目に合わせるわけには……」

「いや、待て待て待て! 落ち着け!」


865: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:12:32.88 ID:A8FR4TMp0

「そりゃ、ちょっと目付き悪いかもしれんが……ああ、そうか……これでどうだ?」

上着のポケットから眼鏡を取りだし、髪を右手でさっと纏めると……

穏乃「……あ! 辻垣内さんだ!」

智葉「やっぱわかんなかったか」

ははっ、と軽く笑顔を見せる

……なんとなく雰囲気に飲まれてたけど、そんなに怖くないかもしれない

憧「あ、辻垣内さん!? し、失礼しました……試合の時と全然違うから気がつかなくって……」

智葉「いや、こっちこそすまなかったな……急に声をかけて、随分と怖がらせたみたいだし」

玄「辻垣内さんでしたか……大会の時とおもちが違ったから気づきませんでした……」

智葉「……おもち?」

憧「あ、お気になさらず……」


866: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:13:12.23 ID:A8FR4TMp0

穏乃「あ、じゃあうちのもんって……メグさんですか?」

智葉「……ここ最近落ち込んでたあいつがさ、友達ができたって喜んでたよ」

穏乃「 ……へへ、そうですか」

智葉「ああ……あいつが日本に来てからの付き合いだが……なかなか、かける言葉が見つからなくてな」

智葉「……臨海は実力至上の結果主義だ。 金を出してる奴らが麻雀を知っているわけでもない、力があっても結果を残せなければ……当然、あいつもその覚悟でいたわけだが」

智葉「……ただ、メグに何も言ってやれなかった自分の不器用さが恨めしい」

穏乃「……辻垣内さん」



玄「どうしておもちの大きさが違うのかなぁ? なにか詰めて……いや、むしろ大会の時は潰してたとか……」

憧「真面目な話してるから黙ってようね」


867: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:14:15.00 ID:A8FR4TMp0

智葉「……急にすまなかったな、明るい話ではなかったし」

穏乃「あ、いえ! 気にしないでください!」

智葉「……そういや、メグと飯食う約束したってな? 昼、まだだったら一緒にどうだ? 」

穏乃「是非……って、そちらは大丈夫なんですか?」

智葉「監督は話がわかる、飯ぐらい平気だろう……ああ、私が出すからそっちの心配はいらないぞ」

穏乃「え、でも……」

智葉「私からの礼だ、気にするな……ここら辺はうちのシマだしな」

憧「……シマ?」

智葉「……地元だからな、任せてくれ」

玄「お姉ちゃんと灼ちゃんに電話してみるよ」

智葉「うちの留学生組も暇してるからな……連絡すればすぐ来るだろ」


868: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:15:03.35 ID:A8FR4TMp0

――――――

宥「こんにちは~」

灼「ども……穏乃は顔広いね」

穏乃「メグさん……ダヴァンさんとはラーメン屋で知り合ったんです」

灼「穏乃らしいね……というかダヴァンさんラーメン屋とか行くんだ」

智葉「あいつ普段からカップ麺ばっか食ってるんだよ……ん、来たな」

ネリー「ご飯だご飯! サトハが奢ってくれるんだよね?」

ダヴァン「シズノ、阿知賀の皆サン、こんにチハ!」

穏乃「メグさんこんにちは! ネリーさんも決勝ぶりです!」

ネリー「どうも! タカカモさんに負けちゃったせいでお金ピンチだよー」

穏乃「うぇ!? す、すいません……」

智葉「こら、冗談でもそういうことは言うなって……東京湾に沈めるぞ?」

ネリー「サトハの冗談の方が怖いよ!」

憧「……すみませんでした」

智葉「ん? なんのことだ?」

玄「じょ、冗談ですよね?」

智葉「はっはっは」

宥「はっはっは……?」


869: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:15:54.24 ID:A8FR4TMp0

智葉「で、ハオと明華はどうした?」

ダヴァン「作戦会議中だったんでスガ、明華がいつも通りで……ハオに迎えに行ってもらってマス」

ネリー「日本じゃ、時は金なりって言葉があるらしいね……明華はムダ遣いしすぎだよ! お金は大事!」

玄「お金は大事だよね……うちも最近経営大変で……」

灼「インハイで実家の宣伝もっとしておけばよかったね」

宥「それは……テレビ的にアウトなんじゃないかなぁ?」

憧「作戦会議って……やっぱり辻垣内さんの個人戦のために、ですか?」

智葉「なんだ、私がいないのにそんな……」

ダヴァン「あ、いえ、この先我々留学生が生き残るためにどうするかという会議デス」

ネリー「メグ強いけど切られちゃったからね……私たち1年生も危機感を持ったんだよ」

智葉「……そうか」


870: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:16:37.12 ID:A8FR4TMp0

ダヴァン「優勝のために手の内を隠す……これは仕方ありまセン。 それに、決勝で活躍して目立てばいいのですカラ」

ネリー「でも今年みたいに優勝逃すとお金貰えなくなっちゃうし、ハイスクール出ても日本のチームに拾ってもらえなくなっちゃう……」

玄「うちで仲居さんでもしますか?」

宥「そういう話じゃないと思うよ玄ちゃん……」

ダヴァン「当然、勝つのが一番ですが、勝てなかったときのことも考えなければいけまセン。 転ばぬ先の杖、デス」

憧「よく知ってますねそんな言葉……」

ネリー「日本語いっぱい勉強したからね! で、やっぱり大事なのは目立つこと! 人気あればいっぱいお金貰って日本のチームに入れるからね!」

灼「それは、たしかにそうだけど……」

ダヴァン「私は痛感しまシタ……キャラ付けが甘かっタト……!」

智葉「……は? キャラ付け?」


871: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:17:57.97 ID:A8FR4TMp0

ダヴァン「あれデス、外見はよそ者である以上目立って当然でスガ、それ以上に……はやりんみたいな強力な個性が必要でシタ」

玄「いいですよね! はやりん!」

ネリー「メグはアメリカ産で体も大きいのに●●●●小さいのは個性だと思うけどね」

玄「そんな個性誰も得しないよ!」

穏乃「玄さん落ち着いて……」

ダヴァン「まあ、我々はキャラクター性にももっと個性を持つべきだという結論に達したわけデス」

智葉「……あー、つまり、どういうことだ?」

ダヴァン「私で言エバ、日本でよく言われる面白黒人とかですカネ? HAHAHA! ヘイジャップ! チョットジャンプシテミロヨ!」

穏乃「なんか色々間違ってますよ!?」

ダヴァン「そうでスカ? フム……ここら辺はまだまだ研究が必要でスネ……」

灼「なんだかんだ生き残るタイプと真っ先に死ぬタイプがいるから気を付けないと……」

ダヴァン「奥が深いデス……」

智葉「はぁ……」

憧「……結構、なんというか……気楽な感じなんですかね?」

智葉「……あいつらは真面目にやってるからなんとも言えん」


872: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:19:14.73 ID:A8FR4TMp0

ネリー「ネリーが注目したのは中二病ってやつだよ!」

穏乃「へ?」

ネリー「日本では子供が大好きで、誰もが1度はなるものだって聞いたよ! つまり大人気確実だよね?」

憧「あー……それはなんというか」

ネリー「ポエム詠んだりカッコいい決め台詞とか考えればいいんだよね? みんなと協力すればなんとかなるよ!」

宥「……あの、それはやめておいた方が……」

ネリー「なんで?」

宥「ええと……だって、ねぇ?」

灼「……後々、苦しむことになる可能性が」

ネリー「あれだね? くっ……静まれッ……! ってやつだね? ちょっと勉強したよ!」

灼「あ、いや……それ、ちょっと違……」

ネリー「カッコいい設定とか考えるといいんだよね? とりあえずサトハの設定考えてきたよ!」

智葉「……は?」


873: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:20:15.46 ID:A8FR4TMp0

ダヴァン「サトハは『組織』の所属デス」

智葉「待て」

ダヴァン「あ、『組織』と戦う一匹狼の方がいいでスカ?」

智葉「違う。 ちょっと待て」

ネリー「ここら辺は日本人の趣味に合わせた方がいいよね……この『組織』っていうのもよくわからないんだけど……」

ダヴァン「ネットで見た限り謎であることが重要らしいでスガ……」

ネリー「名前は大事だと思うんだけどなぁ……『オーバーワールド』とかどう?」

穏乃「カッコいいですね!」

智葉「いや、だから……」

ネリー「あ、サトハは普段と試合の時でナリが違うよね? だからサトハの『異能』はそれに絡めたのにしようと思ってね?」

智葉「おい、話を……」


874: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:21:53.94 ID:A8FR4TMp0

ダヴァン「心配しないでくだサイ……私たちにカッコいい漢字を並べるのは無理でしタガ、某検索エンジンで『ドイツ語 かっこいい』という日本人の嗜好を掴みまシタ!」

ネリー「ズバリ! 『Drei Brillenードライブレリンー』……ドイツ語で『3つの眼鏡』って意味だよ! かける眼鏡によって打点が上がったり、聴牌速度が上がったりするよ! 」

穏乃「すごい強そうです! ね、玄さん!」

玄「え? あ、うん! すごいね!」

ダヴァン「個人戦では和了る時に決め台詞言ってくだサイ。 「貴様は所詮壁の内側の人間……ロンだ」とか、そんな感じでよろしくお願いしマス」

智葉「……あんま調子くれてっと痛い目見せるぞ?」

ダヴァン「あ、それいいでスネ……相手に和了られた時に言いましょウカ」

ネリー「サトハもノリノリで安心したよ!」

智葉「お前らに言ってるんだよ!」

ネリー「あ、痛い! グリグリしないで! ネリーお金持ってないよ!」

智葉「私がカツアゲしてるみたいに言うな!」

灼「臨海の人達面白いね」

憧「……それ以上に辻垣内さん大変そうだけどね」


875: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:23:33.38 ID:A8FR4TMp0

穏乃「……ね、憧」

憧「ん? どしたのしず?」

穏乃「私もああいうの考えた方がいいかな!?」

憧「えっ」

穏乃「あ、準決の時ジャージから制服になったしそんな感じで……」

憧「やめときなさい」

穏乃「でも」

憧「やめなさい」

穏乃「でも! 玄さんだってドラゴンロードとかカッコいいのあるし!」

玄「え、私?」

憧「……ちょっと玄!」

玄「じ、自分で言い出したわけじゃないよ!?」

ダヴァン「あ、参考になるかもしれませンネ」

智葉「その話はもういい……! だいたい、私は日本人だから余計に目立たなくていいんだ!ほら、行くぞ」

ネリー「あ、そっか……ハオと明華は?」

智葉「店で合流すればいいだろ」


876: ◆FYW.3i5lks 2014/09/24(水) 21:26:01.03 ID:A8FR4TMp0

「お嬢、個人戦頑張ってください!」

智葉「おう、お疲れさん」

「せんせー!」「師匠!」

智葉「元気か? またな今度な」

穏乃「子どもにも人気なんですね!」

ダヴァン「サトハは面倒見がいいですカラ」

宥「あったかいねー」

玄「……ねぇ、警察の人にお嬢って」

憧「そこに触れるのやめよ……湾に沈めるってジョークなのよね……?」

智葉「ん……?」

憧「な、なんでもないですよっ!?」

智葉「あ、いや……あそこ、ハオたちだな……先に合流できたか」

穏乃「あ、あそこですね」

目を凝らすと、ハオさんと雀さんの姿が見える



ハオ「どうも……遅れて申し訳ないアル」


智葉「それはもういい!」


カン!

883: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:01:16.82 ID:tFf4qcN+0


晴れ渡る青い空


人は空に憧れ、自由に飛び回ることを夢見ていた――


884: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:02:12.27 ID:tFf4qcN+0

ネリー「そして宙を舞う少女は風を受け、広がる髪は美しく、その姿はまるで天使のように……」

智葉「……お前は何を言っているんだ」

ネリー「え? 明華の登場に合わせてポエムを……」

智葉「だからそれは要らないと言っただろうが!」

ハオ「アイヤー! まぁ怒らないでほしいアル……私たちも生き残るために必死で考えたアルよ」

智葉「恥ずかしいからやめろ! というか、お前らは制服も着てないしかなり目立ってるから心配すんな!」

ハオ「なるほど……メグ、ネリー、明華」

ネリー「なぁに?」

ハオ「どうやら私には……特殊な語尾は必要ないようです」

ダヴァン「あ、それ前も言ってましタネ! こちらの麻雀の話をしている時でしタカ?」

ハオ「決め台詞は目立つために大切らしいので使っていこうかと……」

智葉「だからそういうのは要らないんだよ! 麻雀で頑張れって!」


885: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:03:42.50 ID:tFf4qcN+0

穏乃「……灼さん、見ました?」

灼「……飛んで、たね」

雀明華……欧州選手権で活躍し、風神と呼ばれる世界ランカーだ

風牌が彼女の手に集まることから付いた渾名だが……傘で風を受けて飛んでいた……ように、見えた

明華「あらあら……皆さん楽しそうで」

ダヴァン「明華、日本人は時間に厳しいデス……こちらでお仕事もらうにはきっちりしないといけませンヨ」

明華「はぁ……そうですか。 ……あ、これも個性のひとつってことにはなりませんかねぇ」

ダヴァン「いい方には取られまセン……悪目立ちしまスヨ」

明華「んー、まぁそれならそれで……欧州の方なら打つ場所もあるでしょうし」

ダヴァン「それを言っちゃあおしまいデス」


886: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:04:25.13 ID:tFf4qcN+0

ダヴァン「あ、明華、ハオ、ご存じだとは思いますがこちら阿知賀女子の皆さんデス」

ハオ「郝 慧宇です。アジア大会と日本の大会はルールが似ているのでその勉強のために留学してきました……皆さんがプロチームに入ることになったら是非口利きしてください。 よろしくお願いします」

憧「売り込んできた!?」

ネリー「お仕事もらえないとお金ももらえなくて困るからね」

宥「さっきの……アル、っていうのは」

ハオ「ついさっき始めたキャラ作りです。 日本では中国系は語尾にアルをつけると聞いたものですから……実際どうでしょうか?」

玄「漫画とかだと定番な気もするけど……」

ハオ「では、やはりこれでいくアル……しっかり印象づけるのは大切アルね」

智葉「ああ、もう……!」

憧「……なんか、外国の方ってやっぱりどこかズレてると言いますか……」

智葉「目立って結果を残さなきゃいけないのはわかるが……努力の方向性がなんか違うんだよ……! 優勝逃して迷走始めやがった……!」


887: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:05:29.64 ID:tFf4qcN+0

明華「雀 明華です……どうぞよろしく」

灼「……あの、今空飛んでませんでした?」

明華「ええ、まあ……こう、風に乗ってひょいっと……」

穏乃「……雀さんすごいです! え、空!? カッコいい!」

明華「ふふふ……そうですかぁ? あ、明華で結構ですよ」

穏乃「明華さん! どうやって飛んでるんですか!? 私も飛んでみたいです!」

明華「えっと……まずは、こう、風を感じて……」

ダヴァン「……シズノ、凄い食い付いてまスネ?」

憧「私としては見なかったことにしたいんですけど……まあ、しずは子どもだからああいうの好きなんですよ」

「「「!?」」」

ハオ「……私たちも空飛びましょうか」

ネリー「明華タダで教えてくれるかな!?」

ダヴァン「私はみんなよりガタイいいですが飛べるのでしょウカ……?」

憧「あー……なんか、すみません」

智葉「もういい……どうにもならん」


888: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:06:20.52 ID:tFf4qcN+0

灼「でも、たしかに明華さんは日本人の好きなものを兼ね備えてると思……」

ダヴァン「フム……是非お話を窺いたいところデス」

灼「まず、可憐な容姿と歌声……ポイント高いです。 男性の」

ダヴァン「……見た目に関しては今からはどうしようもありませンネ」

玄「ダヴァンさんカッコいいからそれはそれで需要があると思いますよ?」

ダヴァン「そうでスカ? じゃあ、キリッとしてマス」

灼「そして麻雀強いです。 ポイント高いです……プロ側や麻雀ファンの」

ハオ「そこら辺はいくらでもカバーできま……できるアルね」

ネリー「ネリーたち麻雀強いもんね!」

宥「あの……無理して語尾つけなくても」

ハオ「そうですか?」

宥「最初は物珍しくっても、キャラが飽きられたら終わりってこともありますし……」

ハオ「……たしかに、できるだけ長く打っていたいですし、語尾はやめておきましょうか」

智葉「……ありがとう」

宥「い、いえ、そんな……」


889: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:07:28.34 ID:tFf4qcN+0

灼「そして、最も重要なのは……」

ネリー「……重要なのは?」

灼「渾名……これはなんだかんだみんな好きです」

ネリー「そうなの?」

灼「『風神-ヴァントゥール-』……いわゆるネリーさんの言ってた中二病的要素が強いですね」

ハオ「そうなんですか? 特に変なところは感じませんが……」

灼「子どもと、この層は漢字にカナでルビ付けるのが好きなんで……穏乃、明華さんの『風神-ヴァントゥール-』ってさ」

穏乃「超カッコいいですよね! ね、玄さん!」

玄「え……そ、そうだよね! なんというか、漫画みたいだし!」

灼「そして、日本には風神、雷神というのもいて……そういうモチーフに繋げるのも好きなんですよね」

ダヴァン「なるホド……あ、そう言えば白糸台の宮永照たちのチーム虎姫というノハ……」

灼「あれも中二病……臨海もチーム名とか付けてみればどうですか?」

ハオ「考えましょうか」

ネリー「漢字はハオに任せて上にカッコいい読みを付ければいいんだね!」

ダヴァン「モチーフを取るといいらしいですがなにがいいのでしょウカ……」

智葉「……というか、鷺森は急にどうした?」

憧「諦めて遊ぶ側に回りましたね……こうなると基本的に突っ込みが私だけに……」

智葉「……お前も大変だな」


890: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:08:55.68 ID:tFf4qcN+0

ハオ「しかし、それぞれの渾名も考えなければいけません」

ネリー「とりあえず『運命奏者-フェイタライザー-』とかどう?」

穏乃「すごくいいと思います! 夕方にアニメとかやってそうですし!」

ダヴァン「アー、明華の風神に合わせた方がいいですカネ?」

明華「日本では風神とセットで雷神というものがいるという話でしたね」

ネリー「今ネットで調べたよ! 雷の神様って言うと……ゼウスとかトールとかインドラとか、そういうのがいるらしいよ!」

灼「シドルファス・オルランドゥって言うのも……」

穏乃「なんですかそれ!? すごく強そう!」

灼「……源氏シリーズは小数点以下の確率で」

玄「灼ちゃんダメ!」

ハオ「合わせるなら雷神、龍神で」

                    ハードラック ダンス
ネリー「三鬼龍だね! 『"振り込む"奴は……"不運"と"踊"っちまったんだよ……』」

智葉「……そういうのどこで覚えてくるんだ?」

ダヴァン「この間みんなで古本屋行きまシタ! 日本文化の勉強デス!」

智葉「……そうか」

憧「……もう止めないんですか?」

智葉「疲れた。 好き勝手やらせといて後でやめさせる方が楽だ」


891: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:09:56.89 ID:tFf4qcN+0

ネリー「臨海女子、チーム『オーバーワールド』大将……『運命奏者-フェイタライザー-』ネリー・ヴィルサラーゼ」

灼「もっとこう、ニヤッって感じの悪い顔で」

ネリー「こう?」

灼「いいね」

ダヴァン「カッコいいポーズというのはいったいどのよウナ……」

宥「え? えーと……く、玄ちゃん!」

玄「お姉ちゃん!? ……えー、こう、腕を組んだり……?」

ハオ「こうでしょうか?」

玄「……もっとおもちを腕に乗せる感じで」

宥「玄ちゃん!?」

明華「あのー、私はどうすればいいんでしょうか?」

灼「……十分キャラ立ってるからとりあえず保留で」

明華「そうですかぁ」

穏乃「はいはい! 私も飛んでみたいです! お願いします!」

明華「では改めて……まず、風を掴まないといけませんね」

穏乃「そういうの得意です! ……山に籠ってた頃を思い出せ! 自然を……自然の風を感じとるんだ……!」

憧「はぁ……」

智葉「……もう考えるだけ無駄だ、やめておけ」


892: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:10:32.68 ID:tFf4qcN+0

穏乃「あ……なんか、そろそろ飛べるような気がしてきた!」

憧「は!?」

智葉「もう放っておけって」

明華「では、この傘をお貸ししますね」

穏乃「よし! 行くぞー!」

憧「ちょ、どこ行くのよしず!?」

穏乃「風の声が聞こえる!」

憧「んなわけあるか!」

智葉「っておい! そっちは結構長い階段が……!」


893: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:11:05.14 ID:tFf4qcN+0

山の中でそうしていたように、走る

自然を……自然の中の風を感じながら、走る

――今だ!

思いっきり力を込めて、跳ぶ

そして背中に追い風を受けながら傘を開き、飛ぶ

そう、私はこの瞬間たしかに風とひとつになり空を飛んだのだ


894: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:11:46.96 ID:tFf4qcN+0

穏乃「…………」

憧「しず!」

智葉「おい! 大丈夫か!?」

穏乃「……見ましたか!? 今私飛びましたよ! すっげー!!」

憧「跳んで! 落ちたのよ! バカしず!」

智葉「本当に飛ぼうとする奴があるか!」

ハオ「次は私が……」

ネリー「ネリーも飛びたい!」

明華「はいはい、順番ですよ~」

智葉「お前もやめんか!」

ダヴァン「それにしてもシズノは丈夫でスネ……」

明華「そうですね……やはり、夏の高校生は侮れません」

玄「夏の……? なんか山を走り回ってたらああなったとか……」

ハオ「山で修行したんですか?」

ダヴァン「ニンジャやサムライが行うという山籠りでスネ!」

ネリー「タカカモさんニンジャだったの!?」

宥「いや、忍者は……」

灼「……夢は壊さないでおきましょう」

智葉「変な勘違いをさせたまま放置しないでくれ!」


895: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:13:08.33 ID:tFf4qcN+0

――――――

穏乃「いやぁ、怒られちゃいましたね」

明華「怒られましたね」

智葉「……こっちの身がもたん、さっさとどっか入ろう」

明華「なんでや! 阪神関係ないやろ!」

智葉「関係ないよ! 阪神どこから出てきたんだよ!?」

明華「ネットで調べたら日本ではこれがいい突っ込みだと……」

智葉「お前ら揃いも揃ってネットの影響受けすぎなんだよ! 自分で考える力を養え!」

ダヴァン「しかし、文化が違うとこちらも大変なんデス」

ハオ「ネットで調べるのは手軽で楽なんですよね」

ネリー「学校の備品使えばお金もかからないしね!」

明華「しかし、姫松の愛宕さんに言われた通りに……激しく! というのは意識したのですが」

憧「試合中にいったいどんな会話を!?」

灼「愛宕さんなら突っ込み指南とかしそうだけどね」


896: ◆FYW.3i5lks 2014/09/25(木) 23:14:11.05 ID:tFf4qcN+0

憧「ま、まぁ! とりあえずどっか入りましょう……本当に保ちませんよ?」

智葉「……そうだな、とりあえずお前らなに食べたい?」


穏乃ダヴァン「「ラーメン!!」」

明華「久しぶりにフレンチでも……」

灼「カレー」

ハオ「中華で」

玄「夏ですし、お蕎麦とか……」

ネリー「ハチャプリ!」※グルジア料理 ピザ的なもの

宥「お鍋とかどうかなぁ」



憧「…………」

智葉「…………」




明華「これが国境……!」


カン!


904: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:02:53.13 ID:j6GcA2hY0

永水の人たちは、神様を身に宿して戦うらしい


……おもち大明神かな!



905: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:04:05.04 ID:j6GcA2hY0

玄「憧ちゃん! 永水の狩宿巴さんとお友だちになったんだってね!」

憧「だめ」

玄「まだ何も言ってないよ!?」

憧「絶対迷惑かけるからだめ」

玄「……いわ」

憧「絶・対・嫌! 巴さんに迷惑かけたくないもん!」

玄「大丈夫だよ! 申し訳ないけど狩宿さんには興味ないから!」

憧「二度と来んな!」

ちょっと前にそんな会話をした覚えがある

そこで1度は諦めたけど……信じるものは救われる!

私はおもちと……じゃなかった、石戸さんとお近づきになれる機会を掴んだのだ!


906: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:04:53.62 ID:j6GcA2hY0

玄「薄墨さん! こんにちは!」

初美「おや? えっと、松実……玄さんですね! お邪魔してますよー」

玄「今日も穏乃ちゃんたちに会いに来られたんですか?」

初美「はい! 穏乃ちゃんや灼ちゃんとは趣味も合いますし、個人戦に関係なく麻雀も打てますから……とっても楽しいですよー!」

玄「それは良かったです! ……その、私もご一緒してもいいですか?」

初美「もちろん! 大歓迎ですよー! 松実さんも服」

玄「そ、そっちじゃなくてですね! その、薄墨さんはインハイ屈指の高打点プレイヤーですし……私はドラ絡めるタイプですけど、得点傾向は似てるかなって!」

初美「ふむ……つまり、私と打ってみたかったんですねー?」

玄「はい! 薄墨さんの麻雀かっこいいです! 尊敬してます!」

初美「……そ、尊敬ですかー?」

玄「もちろんです! 弟子にしてもらいたいぐらいです!」

初美「……それでは! 私が一人前に育ててあげますよー!」

玄「よろしくお願いします! 薄墨さん!」

初美「初美でいいですよー! 仲良くしましょう!」

……嘘は言ってないよ?


907: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:05:47.26 ID:j6GcA2hY0

穏乃「今日は玄さんも一緒に打ってくれるんですか?」

玄「えへへ……いつも初美さんが来てるの気になってて……まぜてもらっちゃった」

一「薄墨さんほど役満和了る人もそうそういないからね……あとは、白糸台の渋谷さんとか?」

揺杏「ま、初美さんの半荘一回で役満二回は反則だよなー……東風とか勝てる気しないし」

初美「そんなに褒めてもなにも出ませんよー?」

灼「……玄」

玄「なぁに? 灼ちゃん?」

灼「ほどほどにね」

……灼ちゃん、結構鋭いんだよね


908: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:06:39.29 ID:j6GcA2hY0

玄「そう言えば、穏乃ちゃんは狩宿さんや神代さんともお知り合いなんだよね?」

穏乃「はい! 憧と一緒にちょっとお世話になって……永水の方たちの旅館のお部屋で少し休ませてもらったんです」

初美「ここもいいですけど、私はやっぱり和風の旅館が落ち着きますねー…… あ、いつもこちらにお邪魔してますし今度はこちらに遊びに来てください!」

一「いいんですか?」

揺杏「それじゃあお邪魔しよっかなー」

穏乃「神代さんたちにおみやげ持って行きますね!」

初美「そんなに気を遣わなくてもいいですよー?」

玄「いえ! 憧ちゃんもお世話になったみたいですし、しっかりお返しさせていただきますね!」

初美「玄ちゃんはしっかりしてますねー……姫様は甘味でしたらなんでも好きですよー」

玄「おまかせあれ!」

こ、これでおもち……もとい石戸さんに……

玄「うっへへへへ……」

揺杏「……なんか、ヤバくね? 玄ちゃん大丈夫なの?」

灼「ほっといていいよ……稀によくあるから」

揺杏「どっちだよそれー」


909: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:07:30.19 ID:j6GcA2hY0

――――――

一「お邪魔しまーす」

穏乃「こんにちはっ! おみやげです!」

巴「穏乃ちゃん久しぶり! 気を遣わせちゃってごめんね?」

初美「あれ? 姫様はどうしましたー?」

春「お昼寝……」

霞「さっきまで起きてたんだけど……我慢できなかったみたいねぇ」

玄「おお……これは……なんという……」

神代さんと滝見さんもかなりのおもちをおもちだけど、やっぱり石戸さんは格が違う

おっきいなぁ……なんか、こう、頼んだら少しぐらい触らせてくれないかなぁ……

灼「ていっ」

玄「ぐえっ!? ……な、なにするの灼ちゃん……」

揺杏「チョップかな」

玄「ど、どうして……」

灼「なんというか、邪念が……」

春「お祓いする?」

巴「あはは……私は特に何も感じなかったけど」

玄「それは、狩宿さんにはおもちが」

灼「うらっ!」

玄「ぐえっ!?」


910: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:08:45.55 ID:j6GcA2hY0

玄「い、痛いよ灼ちゃん……」

灼「ごめ……でも、玄も少し落ち着いて」

……たしかに、あまりのおもちにちょっと取り乱してたからこれでちょうどいいかもしれない

穏乃「いつも初美さんにはお世話になってまして……」

霞「あらあら、初美ちゃんに?」

初美「なんですかー? その言い方は……私の方がお姉さんなんですから当然のことですよー」

いいなぁ……穏乃ちゃんったら抜け目なく石戸さんとお話しして……

ってうおおおおおお!? は、初美さん石戸さんに抱きついて、あ、頭の上におもちを……

なんだあれ!? 私もやりたい! 代われ! そこ代われよ! おい!



巴「もしもし? 憧ちゃんどうしたの? うん、来てるけど……そんな気にしなくてもいいよ? 初美ちゃんがいつも遊びに行ってるし……松実さん? おもち? なんの話を……」


911: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:09:26.70 ID:j6GcA2hY0

初美「あ、玄ちゃん玄ちゃん! こっちに来てください! 霞ちゃんに紹介しますよー!」

玄「は、はい!」

うっひょう! さっすが初美さんわかってるぅ!

初美「霞ちゃん、こちらお友だちの松実玄ちゃんですよー! 阿知賀の先鋒さんです!」

霞「初めまして、石戸霞です……初美ちゃんがいつもご迷惑おかけしていませんか?」

石戸さんにはいい印象を持ってもらいたい……

そして、石戸さんは初美さんがこちらに迷惑をかけていないか心配している……

つまり、ここは初美さんとは仲が良くて迷惑になんて思ってないことをアピールだよっ!

玄「そんな、こちらこそお世話になってますから! 初美さんとはとっても仲良しです! 迷惑なんてとんでもないです!」

さっきまで石戸さんのもとにいた初美さんをぎゅっと抱き締める

あ、この頭の上にさっきまで石戸さんのおもちが乗ってたんだよね……これはもう間接的に石戸さんのおもちに触れていると言っても過言ではないんじゃないかな!

とりあえず初美さんの頭撫でておこう


912: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:10:27.96 ID:j6GcA2hY0

霞「……あら、そうでしたか」

初美「ほら、もう穏乃ちゃんとも玄ちゃんとも親友ですからねー! 霞ちゃんも私をあまり子供扱いしないでほしいですよー」

穏乃「初美さんは同志で親友ですから! 私にとってお姉さんみたいなものですよ!」

初美「ふふん、お姉ちゃんと呼んでかまいませんよー?」

穏乃「初美お姉ちゃん!」

初美「なんですかー?」

穏乃「呼んでみただけです!」

初美「そうですかー!」

玄「この通り、とっても仲良しですから!」

霞「……うふふ、みたいですね」



一「おいしいね、この黒糖」

春「喜界の黒糖……食べやすくてダイエットにもいい……今なら10袋セットでこのお値段」

揺杏「金取るのかよ……」

灼「安い、買った」

揺杏「しかも買うのかー」


913: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:11:18.92 ID:j6GcA2hY0

よし……よし!

おそらく石戸さんにいい印象を与えているはずだ

……そ、そろそろおもちの話を

灼「せいっ」

玄「あたっ!? ……な、なにこれ……黒糖?」

春「こ、黒糖が……」

灼「あ……ごめ、つい」

黒糖を投げつけられました

穏乃「あ、これおいしいですね」

一「拾って食べるのはどうかと思うよ?」

穏乃「三秒ルールです!」

初美「食べ物で遊んじゃだめですよー?」

灼「すみません……強烈な邪念が」

春「……やっぱりお祓いする?」

玄「あ、あはは! 気のせいだよ灼ちゃん! 大丈夫だよ!」


914: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:12:19.72 ID:j6GcA2hY0

巴「みなさん、卓の準備できましたよー」

霞「それじゃあ、打ちましょうか?」

玄「是非! お願いします!」

初美「私はいつも打ってますからねー……はるる先に入っていいですよー」

春「ありがとう」

初美「玄ちゃん見ててもいいですかー? いろいろ興味深いですし」

私の手は傾向がわかりやすいから今さら見られることになんの問題もないだろうし、初美さんとの仲良しアピールは石戸さんにもプラスになるはずだ

玄「かまいませんよ! 初美さんに見てもらうとなると失敗できないですね!」

初美「私の弟子として頑張るといいですよー」

霞「……松実さん、ちょっと」

玄「はい?」

ってうわっ! ち、近い! こ、これはもうおもちに触ってもいいってことなんじゃ

カリッ

霞「黒糖、髪についてたわよ?」

玄「あ……す、すみません」

石戸さん優しいぃぃぃ! おもち大きいし! 素敵! おもち大きいし! 黒糖は恋を呼ぶ!あとおもち大きい!

灼「黒糖関係ないよね」

玄「!? 私、口に出してた?」

灼「いや、顔見ればなんとなく……」

灼ちゃん鋭すぎて怖いよぉ


915: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:13:20.96 ID:j6GcA2hY0

気を取り直して、狩宿さんが用意してくれた卓につく……面子は私と滝見さん、穏乃ちゃんに石戸さんだ

穏乃「いいんですか?」

揺杏「せっかくだし強い子達から打った方がいいっしょ」

一「ボクはインハイまで来れてないしね……見てるのも勉強になるから」

灼「私は……まあ、ストッパー?」

春「……ストッパー?」

穏乃「……ああ、お願いします」

灼「任せて」

なんの話だろう? 灼ちゃんが私のすぐ後ろについてるのが気になるところだ

玄「……ところで、なぜそこに?」

初美「宮守の胡桃ちゃんもシロちゃんとやってましたよー? でも、たしかにこれは居心地がいいですねー」

膝の上に、初美さんが座っている

初美「玄ちゃんの●●●●がクッションになってちょうどいいですよー」

玄「えぇ……恥ずかしいですよぉ」

……小瀬川さんのおもちをクッションに? 羨ましい

というか、そういうことなら私も石戸さんの膝に乗りたいんですが!

霞「……初美ちゃん、あまり松実さんに迷惑をかけちゃダメよ? その、よかったらこっちに……」

玄「あ、大丈夫です! 私は初美さん大好きですから!」

初美「そんなに言われると照れちゃいますよー」

霞「……そうですか」


916: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:14:06.32 ID:j6GcA2hY0

初美「……玄ちゃんの手牌、分かってはいましたがやっぱり凄いですねー」

玄「あはは……ツモです! ツモ、タンヤオ、平和、ドラ5で4000・8000です!」

霞「これは……すごいわねぇ」

揺杏「うげっ……普通に麻雀打つの馬鹿らしくなるなー」

巴「お茶ですよー……って、でたらめな和了りですね……」

春「ドラの気配が……」

一「松実さんに一回和了られちゃうとドラなしで取り返さなきゃだから大変なんだよね……」

穏乃「うーんなんとかしないとなぁ……サイコロ振りまーす」

……よしっ! いいところ見せられたよ!

この調子で活躍して……

初美「うん、もう私が教えることはないですねー」

玄「えっ……もうないんですか!?」

初美「よく考えたら、元々基本はできてますし、私はドラ麻雀できませんし……四喜和も教えればできるってものでもありませんしねー」

玄「言われてみればそうですね……」

初美「そういうわけで玄ちゃんは卒業です!」

玄「ありがとうございます!」

霞「……それじゃあ初美ちゃんこっちに」

初美「卒業のご褒美に先生の椅子になることを許しますよー」

玄「光栄です!」

霞「…………」


917: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:15:14.22 ID:j6GcA2hY0

初美さん、かわいいよなぁ

背丈が穏乃ちゃんと同じくらいだから親しみやすいと言うか……

まあ、そんなことより対面の石戸さんのツモ動作の度におもちが凄いことになってる方が気になるけど!

牌をツモる時に●●をツモっちゃってもうっかりで許されないかなぁ……

灼「玄」

玄「ど、どうしてわかるの!?」

灼「……さぁ? 玄のこと好きだからじゃない?」

玄「そっかぁ……私も灼ちゃんのこと大好きだよー」

おもちはないけど

灼「……ども」

揺杏「いちゃいちゃすんなよなー」

霞「……松実さん、それロンです」

玄「はわっ!?」

霞「12000、お願いしますね」

玄「はい……」

初美「守備重視の霞ちゃんにしては珍しく攻めてきましたねー」

霞「親被りだったから、取り返さなきゃと思って……」

ふ、振り込んじゃった……しっかりしないと!


918: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:16:14.40 ID:j6GcA2hY0

霞「2000です」

玄「わわっ」

霞「5800」

玄「あい……」

な、なんか狙われてる……? いや、たまたまだよね……たまたま……ドラで手が窮屈になりやすいし仕方ないんだよ、うん

はっ! む、むしろこれは好きな子に意地悪しちゃう的な!? 石戸さんからのOKサイン!?

巴「……ちょ、霞さん!?」

霞「ツモ……8000オールです」

春「……なにも降ろさなくても」

霞「えっと、ほら……練習からしっかりやらないと、ね?」

巴「……祓うのはこの対局が終わってからでいいんですね?」

霞「ええ、ごめんなさいね」

一「これは……二回戦の大将戦のやつですか」

穏乃「うーん……この感じだと私の領域までにツモ和了されちゃいますね」

初美「穏乃ちゃんの支配が山の前半に影響を及ぼすまでに霞ちゃんが和了きったら終わりって感じですかねー」

穏乃ちゃんに山は無いけど石戸さんの山は素晴らしいよね

揺杏「……私もわかるようになってきたわ」

灼「玄は顔に出るからね」


919: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:16:58.76 ID:j6GcA2hY0

――――――

玄「あうう……」

初美「し、仕方ないですよー……霞ちゃんのと相まって手がかなり窮屈になってましたし、相性の問題もありますからー」

玄「もっといいとこ見せたかったんですけど……」

初美「諦めないで最後まで打ったじゃないですかー! 立派でしたよー!」

玄「あ、ありがとうございます……」

霞「……後半はやっぱり高鴨さんに巻き返されちゃったわね」

穏乃「それでも稼ぎきれませんでしたから……二回目の親番滝見さんに流されちゃったのが痛かったですね」

春「私ももう少し打点上げないと……」

小蒔「おはようございます! ……どうして起こしてくれなかったんですか……?」

一「あ、お邪魔してます」

巴「姫様気持ち良さそうに眠っていたので起こすのも悪いかなって……今からはるると霞さんのお祓いするので、よかったら卓に入ってください」

小蒔「わかりました! みなさん、よろしくお願いします!」

穏乃「人数いますし全員交代しましょうか」

揺杏「神代さんと、一と初美さんと……灼入る?」

灼「……いろいろ不安だから揺杏先にどうぞ」

揺杏「……監視が必要なレベルなのかー」


920: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:17:52.96 ID:j6GcA2hY0

巴「それでは、申し訳ありませんが私たちはしばらく席を外しますので……」

玄「お、お疲れさまです……」

ああ……神代さんが来たとはいえ滝見さんと石戸さんが席を外すんじゃおもち偏差値マイナスだよ……

初美「玄ちゃん、ちょっといいですかー?」

玄「……初美さん?」

初美「これ、あとちょっとしたら霞ちゃんたちのところに持っていって上げてください」

玄「……お茶ですか?」

初美「神様を降ろしたり、祓ったりするのは結構体力使うんですよー……これで気の利くところを見せるんですよー」

玄「え……」

初美「玄ちゃん、ずっと霞ちゃんの方見てましたから……きっとお友だちになりたかったんですよね? 霞ちゃんは少し引っ込み思案なところがありますからもうちょっと強引にアピールしてもいいと思いますよー」

玄「は、初美さん……!」

初美「いいってことですよー! 私たち、親友じゃないですかー」

玄「……ありがとうございます! これをきっかけにして、きっとお友だちになってみせます!」

そしておもちを……ぐふふふふ……


921: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:18:54.45 ID:j6GcA2hY0

一「ロンです。3900でお願いします」

小蒔「は、はいっ!」

揺杏「大会の時はすごかったのに……もしかして私とあんまり変わんない……? なーんて」

初美「普段の姫様は普通の頑張り屋さんですからねー」

……そろそろかな?

初美さんの方をうかがうと小さく頷かれる

玄「……それじゃあ、ちょっと」

穏乃「あ、玄さんどこ行くんですか?」

玄「え? あ、えーと、お手洗いだよお手洗い」

穏乃「あ、ごめんなさい」

玄「ううん、それじゃあ……」

灼「……穏乃」

穏乃「へ? ……あ、わかりました」



……よし、大丈夫だ

お茶を渡して、素直にお友だちになってくださいって言えば大丈夫なんだ

実家のお手伝いをするときのように襖の前で膝をつきしっかりと挨拶をする

玄「狩宿さん、滝見さん、石戸さん……失礼します! お茶をお持ちしました!」


922: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:19:58.88 ID:j6GcA2hY0

――――――

巴「霞さん、終わりましたよ」

春「祓った」

霞「ありがとう……春ちゃん、巴ちゃん」

春「……少し、大人げなかった」

霞「え?」

巴「ハッちゃんがたくさんお友だち作ってきて寂しかったんですか?」

霞「な、なな、なにを言って……」

春「霞さんも拗ねてないでみんなと仲良くすればいいのに……」

巴「昔からハッちゃんのこと大好きだもんね、霞ちゃんは……神境まで追っかけてくるぐらい」

霞「ちょ、ちょっとやめてよ! そ、そんなんじゃないから……」

巴「ハッちゃんが松実さんの膝に乗ってる時とか、こわーい顔してたよ?」

春「狙い打ちしてみたりとか」

霞「それは、その……」

巴「お役目のこともあるのはわかるけど、無理して大人ぶることはないよ? 子どもの頃から一緒なんだから……ちょっと子どもっぽいところも霞ちゃんのかわいいところだしね」

春「大人ぶる前にもう少し大人にならないと……」

霞「も、もう二人とも……! ……松実さんには、後で謝ってくるから」

巴「うん、それでちゃんとお友だちとして仲良くすればいいと思うな」



玄「狩宿さん、滝見さん、石戸さん……失礼します! お茶をお持ちしました!」


霞「え、え? ちょっと、心の準備が……」

春「難しいことはないですよ」

巴「がんばれ霞ちゃん!」


923: ◆FYW.3i5lks 2014/09/29(月) 01:20:49.90 ID:j6GcA2hY0

玄「お茶をお持ち……おも、おもち……おもち!?」

襖を開くと、そこには一糸纏わぬ滝見さんと石戸さんの姿が――もう一人いたような気がするけど多分気のせいだ ――つまり、大変素晴らしいおもちが二組も……

霞「あ、あの……松実さん、さっきは……」

玄「お、おもちぃぃぃぃぃ!!」

霞「き、きゃああああああ!?」



灼「穏乃! GO!」

穏乃「おまかせあれ! 玄さんストォォォップ!!」



その後、穏乃ちゃんと灼ちゃんに取り押さえられましたが、たしかに一瞬、そのやわらかな感触をこの手に掴むことができました


玄「我が生涯にいっぺんの悔いなし……!」


春「……お祓いしましょうか」


灼「……お願いします」


カン!

933: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:04:12.36 ID:2oF5dJ0K0


原村さんは阿知賀女子学院麻雀部にとって特別な存在だ



934: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:05:01.68 ID:2oF5dJ0K0

穏乃「のーどかっ! 早く打とう! 早く早くっ!」

和「そんなに急がなくても大丈夫ですよ」

玄「団体戦では直接打てなかったから楽しみだったんだよ」

灼「……どうもすみません」

憧「いやいや、灼さんは悪くないでしょ……オーダー決めたのハルエだし」

晴絵「悪いとか悪くないとかそういう話なの!?」

出発点は赤土先生の阿知賀こども麻雀クラブ

穏乃ちゃんと憧ちゃん、玄ちゃんたち三人と近所のこどもたち……そこに、転校してきた原村さんが参加するようになったらしい

そのうち、赤土先生が実業団にスカウトされてクラブは解散……原村さんがまた転校しちゃって、この頃には玄ちゃんもみんなで集まって麻雀を打つことは無くなっていたみたいだ

その後、中学時代にインターミドルで活躍する原村さんの姿をテレビで見た穏乃ちゃんが一念発起、玄ちゃんが守った部室に憧ちゃんが帰ってきて……そこからまた再出発

私も晴れてみんなの仲間に入ることができた


935: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:05:52.37 ID:2oF5dJ0K0

晴絵「悪いね、毎度みんなで押し掛けちゃって」

久「いえいえ、清澄にはちゃんとした指導者がついてないので助かります……咲と和、鍛えてやってください」

穏乃「個人戦、絶対優勝してよ!」

和「優勝できるとは言いませんが、私としては全力を出しきるつもりです」

憧「和は相変わらずだねー」

優希「●●●●は大きくなったけどな!」

和「む、胸は関係ないでしょう!?」

玄「なに言ってるの!? おもちは大切だよ和ちゃん!! そもそもおもちとは……」

灼「はぁ……その話は私が聞いてあげるから、迷惑かけないようにあっち行こ……」

玄「!? 灼ちゃんもおもちに興味が」

灼「ないけど」

玄「ないの!?」

咲「あの……卓、まだありますから、お話ししながらでも打ちましょうか?」

灼「時間無駄にするよりはいいね」

玄「おもちの話は有意義だよ!?」

京太郎「失礼しまーす……優希、タコス置いとくぞ」

優希「お! 気が利くな京太郎! 誉めてつかわす!」

京太郎「へいへい」

玄「須賀くん! おもちの話は有意義だよね!?」

京太郎「へ? おもちって、そりゃあ……」

和「…………」

咲「…………」

京太郎「え、えーと……」

憧「…………」

穏乃「?」

京太郎「……あ、俺ハギヨシさんに用事あるんで! じゃあみなさん頑張ってください! お疲れさまです!」

玄「……あれ?」

灼「……男の子にその話振るのはどうかと思うよ」


936: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:06:31.18 ID:2oF5dJ0K0

久「松実……玄さん、面白い子ね」

宥「あはは……ごめんなさい、その……あの話をしているときは玄ちゃんちょっと……」

憧「アホなんで」

玄「憧ちゃんひどい!」

灼「玄の方が酷かったよ」

まこ「ほれ、いつまでも遊んでないでそろそろ始めんか?」

晴絵「そそ、せっかくなんだから打っときなよ」

穏乃「そうだよ! 早く打とう! 和! のーどーかー! へいへーい!」

和「わかりましたから! 少し落ち着いてください! ……そういうところは変わりませんね」

憧「ま、しすがおしとやかに座ってたらその方が気持ち悪いって」

穏乃「そうだよ! せっかくだからこどもクラブ面子で打たない!?」

憧「女子としてちょっとは否定しなさいよ……玄、入る?」

玄「うん!」

憧「あ、おもちの話は禁止ね」

玄「そんなご無体な!?」

灼「こっちも打つ?」

咲「うん、お願い」

優希「タコスも食べたし負けないじぇ!」

まこ「あんたはどうする? 入るか?」

久「まこ入りなさいよ……私はもう引退だし、秋以降も大会ある後輩たちが優先! ね?」

宥「はい……最初は見てますから」

まこ「すまんのう……じゃ、よろしくな」

灼「よろしく」


937: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:07:16.94 ID:2oF5dJ0K0

晴絵「やっぱり和は成長したね……インターミドルも見たけど、あの頃よりも全然」

和「……そ、そうですか?」

玄「うん! 元からかなりのものだったのに一目でわかるぐらいには……」

憧「あんたは黙ってなさい」

玄「ま、まだおもちの話とは言ってないよ!?」

穏乃「……まだ?」

和「……玄さん、ほどほどにしておかないとセクハラですよ」

玄「……はい」

和「それと、ロンです……3900」

玄「あうう……」

晴絵「デジタルもミスがなくなったし……本当に上手くなってるよ。 胸もでかくなったけど」

和「だから! 胸は関係ないじゃないですか!」

みんなが一緒に打ってたのは3年以上前になる

玄ちゃんがアレなのはともかく、みんな楽しそうだ

久「どうかしたの?」

宥「あ……その、私はこども麻雀クラブに参加してなかったから……」

久「入りづらい?」

宥「それも少し……でも、やっぱりちょっと羨ましいかなぁ……」


938: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:08:04.76 ID:2oF5dJ0K0

クラブが始まったときには私はもう中学生で……なんとなくタイミングを逃しちゃって結局参加することはできなかった

その間に玄ちゃんと憧ちゃんに穏乃ちゃん、それに原村さんとで一緒に過ごして……

そこにはやっぱり私が立ち入れない時間があるんだと思うと、ちょっと寂しいし、羨ましい

久「……まあ、時間はまだあるんだし気にしなくてもいいんじゃないの? 和だってちょっと融通効かないとこもあるけどいい子だから」

宥「……そうですね、ありがとうございます……どちらへ?」

久「ん? 須賀くん呼び戻そうと思って……せっかく赤土さんみたいなちゃんとした人いるし、今まであまり見てあげられなかった分ちゃんと先輩しないとね」

宥「えっと……頑張ってくださいね」

久「そっちこそ頑張ってねー」

ひらひらと手を振りながら竹井さんが部屋を出ていく

須賀くんは春に麻雀を始めたと聞いているし、竹井さんも指導の面でまだまだやり残したことがあるんだろう

……私も、みんなと過ごす時間はまだまだあるとはいえ、高校生活は残り少ない

悔いの残らないよう、たくさんいい思い出を共有できたらいいなと思う

優希「おねーえさん! タコス食うか? 京太郎はてんでダメな奴だがタコスはおいしいじぇ?」

宥「あ……ありがとう、片岡さん……対局はどうしたの?」

優希「東風は私の独壇場だじぇ!」

灼「……トバされました」

宥「灼ちゃんが!? それはまた……珍しいね」

まこ「まぁ、2巡目の親っ跳ねは事故じゃろ」

咲「しかも一本場で優希ちゃんが親倍ツモっちゃったので……」

……チャンピオンや辻垣内さんたち各校のエースたちと渡り合ってきただけあって、なかなかとんでもないことになっているようだ


939: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:08:57.17 ID:2oF5dJ0K0

灼「……入りますか? 代わりますよ」

宥「え、いいよ? その、すぐ終わっちゃったみたいだし……」

まこ「それに代わるなら2,3位のわしらじゃろ……うちの部長はどこに?」

宥「須賀くん連れてくるって出ていきましたよ」

咲「あぁ……京ちゃん、逃げちゃったから」

宥「……どうもすみません」

優希「お姉さんは悪くないじぇ……だから、おいしいもの食べて元気出して!」

……いろいろ考え事してたの、顔に出ちゃったのかな?

宥「ありがとう、いただきます」

優希「……どうですか?」

宥「うん、おいしいよ……あったかい味がするね」

優希「それを聞いたらうちのシェフも喜ぶじぇ!」

咲「京ちゃんいつの間にシェフになったの?」

まこ「いつの間にと言えば、いつの間にかタコス自分で作って来るようになったのう」

灼「……売ってるお店少なそうだもんね」

咲「ふふ……たしかにお店探すよりも作った方が早いかも」

優希「こんなにおいしいのに不思議だじぇ……」

まこ「そんなに不思議そうに言われるとこっちまでそんな気がしてくるのう」


940: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:10:26.44 ID:2oF5dJ0K0

片岡さんたちがタコスの話で盛り上がりはじめた

……たしかにおいしかったけど、そこまでメジャーな食べ物ではないから仕方ないんじゃないかなぁ……?

灼「……大丈夫ですか?」

宥「灼ちゃん……うん、ありがとう」

灼「私よりも……」

宥「……そうだね」

片岡さんは優しい子だね

その優しさも、見た目も昔の憧ちゃんに似ているし、なんとなく親近感……仲良くなれたらいいな

灼「……玄たち、気になりますか?」

宥「まあ、ね……灼ちゃんは? 私たちはクラブに参加してなかったでしょ?」

灼「ん……そうですね」

灼ちゃんが顎に手をあてて、ちょっぴり考えるような仕草をする

灼「……私はあの頃、自分で打たないハルちゃんに憤りを感じてたし……参加しなかったのは自分の意思だから」

宥「……うん」

灼「でも、たしかに後悔はあるかもしれません……うちの部はやっぱりそのクラブが根本にあって……穏乃や憧とも、もっと一緒にいられたのかなって」

宥「わかるなぁ……私も、もっと勇気があればよかったんだけど」

灼「……原村さんとの対局も、もっと盛り上がったかもしれないし」

宥「ふふふ……以外と気にしてる?」

灼「……少し。 三人に悪かったなーとは」


941: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:11:25.53 ID:2oF5dJ0K0

灼「……でも、結局は私が選んだことだから……昔のことはもう気にしないようにしてます」

宥「そうなの?」

灼「気にしてもどうしようもないですし……それに」

灼「私は今、みんなと一緒にいるから」

宥「……うん、そうだね」

私も、あまり昔のことを気にしてないで積極的になってもいいのかもしれない

灼「……原村さん、いい子だと思いますよ?」

宥「うん、わかってるよ? 玄ちゃんや憧ちゃん、穏乃ちゃん……みんなからいっぱいお話聞いたもんね」

灼「それこそ昔からの友だち、ってくらいいろいろ知ってますもんね」

宥「ふふ、そうかもね」

あの頃は玄ちゃんが帰ってくると、麻雀の話、憧ちゃんや穏乃ちゃんの話、赤土先生の話……原村さんのお話も、いっぱいいっぱいしてくれた

玄『お姉ちゃん! 今日の和ちゃんのおもちは……』

玄『それでね! 和ちゃんのおもちが……』

玄『おもちおもち』

……いろんな話を聞いたはずなんだけど、おもちの話の割合が多すぎるなぁ……


942: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:13:30.19 ID:2oF5dJ0K0

和「ツモ、2000・3900」

玄「和ちゃん……相変わらず速いなぁ」

晴絵「玄はどうしても手作り遅くなるからな……一発の火力で逃げ切る形が理想だとは思うんだけど」

憧「ぐぬぬ……親被りでラス転落かぁ」

穏乃「個人戦に向けてギア上がってきてるね!」

和「この調子で頑張りますから……応援、お願いしますね」

穏乃「任せて! フレー! フレー!のっどっかっ!」

憧「いや、早い早い」

玄「でも穏乃ちゃんの応援は元気いっぱいで効果ありそうだね!」

晴絵「応援ってのはやっぱり力になるよ……対局室に声は届かないけど、それでもね」

憧「公式の場で打ってた人気雀士が言うと含蓄あるねぇ」

晴絵「からかうなって……今度こそは、しっかりそれに応えられる雀士になりたいもんだ」

和「私も、応援してますから」

晴絵「ありがとな……そういやさ、実際わりといろんなとこから声かけてもらってんだけど……みんなどこのチーム好きなの?」

和「私は瑞原プロの大宮ですかね」

玄「はやりんいいよね! ……あ、新人王の戒能プロもなかなかのものをお持ちで……」

憧「あんたそれちょっと違うでしょ……チームはあんまりどことかないけど、地元出身の栗巣プロとか応援してるかな」

穏乃「ああ、和が奈良にいた頃晩成の選手だったね……私は横浜! やっぱり三尋木プロかっこいいよね! あ、佐久の藤田プロの最後の切り札感とかも大好き!」

憧「藤田……ああ、カツ丼の人ね……プロ麻雀せんべいカードのハズレア担当の」

穏乃「ハズレじゃないよ! レアだし! 当たったらうれしいから! あとカツ丼の人じゃなくて『まくりの女王』だってば!"Reversal Queen"だよ! 超かっこいいじゃん!!」


943: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:14:32.03 ID:2oF5dJ0K0

どうやら、対局も一段落して雑談が始まったようだ

灼「私はハルちゃんかな」

晴絵「あはは! まだプロじゃないし気が早いって!」

灼ちゃんが後ろ手にちょいちょいと合図をくれる

……たしかに、話題に入るチャンスだよね

宥「私は……えっと……?」

……あれ? よく考えたらプロの人とかあまり詳しくないや

灼「あー……咲は?」

咲「私、あまり詳しくなくって……」

宥「あ、私もあまり……」

まこ「プロの対局も参考になるし少し勉強してもいいと思うんだがのう……わしは大沼プロじゃろうか」

憧「染谷さん渋いですね……大沼プロって今シニアリーグで打ってるんですよね?」

まこ「そうじゃ……うちのおじいちゃんがファンで、昔から結構見とったんじゃ」

晴絵「私がみんなくらいの時はかなり活躍してたし……ってなんかすごい年取ったみたいで嫌だな……」

優希「因縁の小鍛治プロはアラフォーなんて言われてますけど……」

晴絵「アラサーだよ! ……うわ、これすごく言いたくないな……小鍛治さんの気持ちが少しわかった……そっか、区切るなら私も26だしアラサーか……」

憧「もうおばさんだねー」

晴絵「お前、自分が26の時におばさんって言われたらどれだけ傷つくか考えてみろよ! つーか望も同い年だからな!?」

穏乃「そういえば部員探ししてたときの失言で望さんにはすごい怒られたなぁ」

灼「……?」

玄「灼ちゃんが入ってくる前にちょっとね」

宥「懐かしいなぁ」


944: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:15:19.13 ID:2oF5dJ0K0

……気づいたらまた身内ではなしちゃってるなぁ

えっと、原村さんは……

和「咲さんも少しは興味持ってみたらどうですか? 染谷先輩の言う通りプロの対局は参考になると思いますよ」

まこ「あんたらの腕なら将来プロ入りも選択肢になるじゃろうし……知ってて損はないと思うぞ?」

咲「うーん……それはたしかにそうなるんですかね……?」

宥「あ、あの……それじゃあ、原村さんの好きな瑞原プロのところはどんなチームなのかな? 玄ちゃんは瑞原プロ好きみたいだけど……なんだか、その、違う感じだし」

和「玄さんは……そうですね、かわりなくて安心と言えば安心ですが、逆にいろいろ心配です」

まこ「あれはもう……どうしようもないんじゃないかのう……? 瑞原プロの大宮は安定しとるのう」

和「そうですね……エースの瑞原プロが素早く綺麗な手を作るのが得意なので、チーム全体としても早くて堅実な麻雀を打つのが特色でしょうか」

咲「へえ……プロってもっと派手な感じの麻雀するのかと思ってたよ」

宥「三尋木プロとかはそれこそ高火力のエースだし……その方がお客さんのうけもいいんじゃないのかな?」

まこ「……大宮の集客率は二位の横浜を大きく引き離してトップじゃ」

和「はや……瑞原プロがいますからね。 堅実な打ち筋は玄人の評価も高いですし、アイドルとしての活動もしておられるのでファンの数自体が桁違いのようです」

咲「……和ちゃん今はやりんって」

和「気のせいです」

まこ「大宮は……はやりんのそれもあってファンサービスも充実しとるからのう」

和「そうですね。 試合会場限定のはやりんのグッズとかもたくさん販売してますし」

咲「やっぱり今はやりんって」

和「……染谷先輩に釣られただけです」


945: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:16:26.84 ID:2oF5dJ0K0

宥「でも、瑞原プロかわいいよねー」

和「そうですよね!」

まこ「……やっぱりただのはやりんファンじゃろ?」

和「……いえ、別に、客観的な事実に基づいてですね……」

咲「そういえば、この前クラスの男子がはやりんキツいって」

和「はやりんのどこがキツいんですか!?」

宥「…………」

まこ「…………」

咲「…………」

和「……今人気のプロと言えば三尋木プロですが」

まこ「驚くほど誤魔化せとらんぞ!?」

和「別にいいじゃないですか!? はやりんかわいいでしょう!!」

咲「まさかの逆ギレ!?」

和「小さい頃、牌のお姉さんの番組で麻雀覚えましたよ! はやりんの出した麻雀の本もCDも、ライブのDVDも全部持ってますよ! なにが悪いんですか!?」

宥「誰も悪いなんて言ってないよ……?」

まこ「……というか、実はわしも」

咲「染谷先輩!?」

和「そういえば、以前お借りした服とか……」

まこ「いや、ああいうフリフリ系とかちょっとは憧れるじゃろ?」

和「今度改めてお邪魔させていただきます!」

まこ「大歓迎じゃ」


946: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:17:28.61 ID:2oF5dJ0K0

宥「なんというか……意外なところから出てきたね」

咲「……驚きました」

宥「それにしても……」

咲「?」

宥「原村さん、もっと落ち着いた子だと思ってたけど、けっこう子どもっぽくってかわいいところがあるんだね」

咲「ああ……牌譜だけ見ると完全デジタルだからちょっと冷たい感じに見えるかもしれませんね」

なかなか面白い子だ……卓上では完全にポーカーフェイスだったけど、普段は表情豊かで感情表現も大きい

晴絵「つーか和、瑞原さんのファンだったんだねー……言ってくれればこの前会ったときにサインぐらい貰ってきたのに」

和「赤土先生、はやりんとお知り合いなんですか!?」

晴絵「え、うん……友だち、かな? 勧誘も受けてるけど……」

和「なんでもっと早く言ってくれないんですか!?」

晴絵「え、ごめん……」

和「っていうかはやりん直々に勧誘受けてるんですか!? もう大宮でいいじゃないですか!! 応援いきますから!! はやりん紹介してください!!」

晴絵「おおう……思ってたより重度のファン? つーか大宮の……瑞原さんみたいな衣装は私はちょっと……」

宥「チーム全体でああいう感じなの?」

まこ「良くも悪くもはやりんがチームの顔じゃから……同じではないけど系統は揃えとるのう」

灼「ハルちゃんはどっちかと言うとかっこいい系だし……」

憧「たしかにねー……ハルエは背も高いし男装でもしたらウケるかもよ?」

穏乃「かっこいいといったら刀とか翼とか……」

優希「少年漫画的な奴かー?」

晴絵「いやそれ麻雀に関係ないだろ!?」

玄「大切なのはおもちだよ!」

晴絵「もう大きくならないって! その枠は瑞原さんだけで十分足りるだろ!」


947: ◆FYW.3i5lks 2014/10/03(金) 21:18:37.69 ID:2oF5dJ0K0

和「まったく玄さんは……はやりんの魅力はもっといろんなところにあるのに……」

宥「……本当にごめんね? なかなか治らなくって……」

和「いえ、宥さんのせいではありませんから……」

宥「その、私でよかったら聞きたいな……原村さんのお話」

和「いいんですか!?」

宥「うん……私、玄ちゃんたちからいっぱい原村さんのお話聞いてたから……仲良くしたいなってずっと思ってたんだぁ」

和「ふふ……ありがとうございます! それでは、まずはやりんの魅力ですが……」

灼「あ……それ、長くなるやつ……」

宥「好きなことの話は長くなるものだよ……でも、そういうお話をする時は、みんなとってもあったかいんだよ?」

宥「……灼ちゃんは聞くの嫌?」

灼「聞きますよ。 その……友だちの、話ですし」

宥「……ふふふっ」

和「それでですね、アイドルとしての活動だけでなくプロの雀士としても……聞いてますか? 今いいところなんですけどっ!」

宥「うん、聞いてるよ~」

灼「……私も後でハルちゃんについて熱く語るしか」

和「あ、それは是非聞きたいです! 一時期ご指導いただきましたが、レジェンドとしての活躍は詳しく聞く機会がなかなかなくて……」

灼「……任せて」

和「それと……宥さんのお話も聞きたいです」

宥「……私の?」

和「私が奈良を離れてからのみんなのことや、麻雀のこと、宥さんのことでもなんでもいいんです……せっかくこうしてお友だちになれたんですから」

灼「宥さんの好きなあったかい話……たくさんしましょう?」

宥「……うんっ!」


カン!


954: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:03:12.88 ID:HwPvNa/Z0

穏乃「おはようございまーっす! 今日は和の誕生日ですよっ!」

憧「おはよ、しず。 玄ー? この前みんなで買ってきたあのでっかいペンギン、ちゃんと送った?」

宥「大丈夫、ちゃんと今日届くはずだよ」

玄「……あれだけで良かったのかなぁ? もっとなにか和ちゃんの好きなもの……はやりんのCDとかもつけた方がよかったんじゃ」

灼「ファンならたぶん自分で買ってるし被っちゃうんじゃないかな」

玄「あ、そっか……」

穏乃「……やっぱり長野まで行って直接渡した方がよかったんじゃ!?」

憧「……どうやって行くのよ?」

穏乃「電車!」

玄「日帰りで長野まで往復はおこづかい的にも……」

穏乃「……赤土先生に車出してもらおう!」

灼「ハルちゃん今日は熊倉さん来るからって言ってたけど」

穏乃「むむむ……」

宥「前もって準備してたならともかく、急に長野は無理なんじゃないかなぁ……」

穏乃「……仕方ない、走ろう!」

憧「無理に決まってるでしょ!?」

穏乃「いやいや、さすがに冗談だって……大阪辺りならともかく」

憧「それも無理だっつーの!」


955: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:04:11.91 ID:HwPvNa/Z0

穏乃「じゃあどうすればいいの!?」

灼「いや、プレゼントは送ったんだから別に長野行かなくても……」

穏乃「せっかくだから会いたいじゃないですか!」

玄「気持ちはわかるけど……会いに行くのは難しいんじゃないかなぁ」

穏乃「……ですよねぇ」

宥「メールとかしてみれば?」

憧「私は昨日、日付回ったぐらいにちょこっとメールしたけど」

穏乃「夜中にメールするのも迷惑かなって……それに昨日は九時ぐらいに寝たし……」

憧「小学生か!」

穏乃「朝は五時に起きたけど」

憧「年寄りか!」

灼「早寝早起きは健康的でいいね」

穏乃「朝からちょっと走って山登るのがまた気持ちよくって……」

宥「朝から山に登ってるの?」

穏乃「朝の空気は爽やかでいいですよ! なんなら今度一緒に行きますか?」

宥「……五時起きはちょっと辛いかなぁ」

玄「お姉ちゃん朝はなかなかお布団から出られないもんね……」

灼「でも、たまにはそういうのもいいかも……」

穏乃「ほんとですか!? それじゃあ……」

憧「ちょ、灼さんやめた方がいいって! しずのペース普通じゃないから! そもそもなんでジャージに運動靴で山の中走り回れんのよ!?」

穏乃「まぁ……経験、かな?」

憧「どや顔やめなさい!」


956: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:04:52.83 ID:HwPvNa/Z0

玄「山はともかく、和ちゃんはどうするの?」

穏乃「んー……じゃあ、妥協して電話で!」

灼「無難だね」

憧「最初からそうしときなさいよ……」

穏乃「……なんて言おうか!?」

宥「普通に誕生日おめでとう、でいいんじゃないかな?」

穏乃「なんか、もっと特別感っていうか……欲しくないですか!?」

憧「変にひねってスベると最悪よ?」

灼「こういうのは普通が一番……大切なのは気持ちだと思……」

穏乃「……そうですね! じゃあ今から電話するから、和が出たらみんなで誕生日おめでとう! ですよ!」

憧「あ、みんなでやるの?」

穏乃「みんなでやらないの!?」

玄「和ちゃんも、きっとみんなでお祝いした方が喜んでくれるんじゃないかな?」

宥「お祝いなら、みんなでした方がいいと思うよ? 私だったらその方があったかくてうれしいなぁ」

憧「……いや、私も嫌なわけじゃないのよ? ちょっと、恥ずかしいっていうか……」

穏乃「憧は照れ屋だなぁ……よし、電話しますよ!」


957: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:05:49.93 ID:HwPvNa/Z0

穏乃「…………」

憧「…………」

玄「…………」

宥「…………」

灼「…………」

穏乃「……出ない!」

憧「出ないわね」

玄「まだ寝てるのかな?」

灼「いくら休日でも宥さんじゃあるまいし……」

宥「えぇ!?」

玄「それもそうだね」

宥「くろちゃー!?」

憧「……それこそ、清澄でパーティーとかやってるんじゃない? 優希とか竹井さんとかそういうの好きそうだし」

穏乃「言われてみれば……」

玄「たしかに、それだとちょっと気づかないかもね……」

灼「……じゃあ、とりあえず練習始めようか。 終わる頃にはあっちも一段落してるかもしれないし」

憧「それもそうね……ま、和が気づいたら折り返してくると思うし、打とっか!」

穏乃「じゃあ、今日一番成績よかった人が電話出るってことで!」

灼「……いや、折り返してくるなら穏乃が出ればいいんじゃない?」

穏乃「え、でもなにか特典あった方が燃えませんか?」

灼「それは、まあ……」

玄「和ちゃんをかけて勝負だね!」


958: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:07:49.31 ID:HwPvNa/Z0

――――――

穏乃「ロンっ! チートイドラ2で6400!」

憧「うっわ……変なの振ったー! やめてよこの巡でチートイとか!」

宥「うーん……これはさすがに読めなかったなぁ」

灼「これで……うん、総合収支も逆転して穏乃がトップだね」

穏乃「このまま逃げ切れば……」

玄「……? あ、穏乃ちゃん電話鳴ってるよ」

穏乃「あ、玄さん出ちゃってください! よぉし、この勢いで勝ち抜けるぞー!」

憧「そうはさせないわよ! 私の親番だしこっから連荘で逆転あるからね!」

灼「ふふ……いい感じに燃えてるね」

宥「あったかーい」



玄「もしもし? あ、和ちゃん?」

穏乃「ちょおぉぉぉ!?」

憧「いやいやいや! え、和!? それならそうとちゃんと言いなさいよ!」

宥「玄ちゃん……それはダメだよ」

玄「えっ? えっ? でも今穏乃ちゃんが出てって言ったから……」

憧「和だったらそれは話が違うでしょ!?」

灼「ストップストップ……一回落ち着いて」

灼「……はい、じゃあ穏乃」

穏乃「はい! ……和? ちょっと待ってね……せーのっ!」


959: ◆FYW.3i5lks 2014/10/04(土) 00:08:18.01 ID:HwPvNa/Z0



「「「「「誕生日おめでとう!!」」」」」



カン!



973: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:07:48.95 ID:GuD0riF/0


迷惑はかけたくなかったけど……仕方がない


ここで、決着をつける!



974: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:08:35.38 ID:GuD0riF/0

胡桃「今回の助っ人は頼りになるの?」

憧「はい……これはもう、最後の手段だと思ってます」

揺杏「……ねぇねぇ、私と灼ここいていいの? 一応中立の立場だと思うんだけど」

憧「敵ではないし、この際人多い方がいいです!」

灼「……もう諦めたら?」

憧「絶・対・に! 諦めない! 麻雀と同じで諦めたら試合終了!」

エイスリン「シッテル! ユウジョウ・ドリョク・ショウリ!」

憧「それですよエイスリンさん!」

この夏、インターハイで知り合った仲間たちと集まり会議を開く

今日は強力な助っ人も呼んでいることだし、状況の改善に繋がることを期待したい……いや、絶対に改善するんだ!


975: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:09:38.14 ID:GuD0riF/0

巴「こんにちは! お邪魔しますね」

憧「巴さん! 待ってました!」

胡桃「あ、巴ちゃんだー」

エイスリン「ウミブリデスネ!」

巴「あ、胡桃ちゃんにエイちゃんも……ひさしぶり」

揺杏「ども、こんちはー」

灼「先日はどうもご迷惑を……」

巴「そんな、気にしなくていいよ……これおみやげ、ケーキ買ってきたからみんなで食べましょう?」

胡桃「おおー」

エイスリン「ケーキ、スキ!」

灼「……私は苺のが」

揺杏「ちょい待ち! おねーさんがた、ここはきっちりじゃんけんで……」

憧「巴さん、ありがとうございます! すみませんまた気を遣わせてしまったみたいで……」

巴「この前こっちももらったから気にしないで。 それに、私が食べたかったっていうのもあるし……それで、憧ちゃん」

憧「なんですか?」

巴「相談事って聞いたけど……これは、なんの集まりなのかな? メンバーから内容がいまいち想像つかなくて……」

憧「『高鴨穏乃にちゃんとした服を着せよう委員会』です!」

巴「……うん?」

憧「つまりですね……」


976: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:10:46.34 ID:GuD0riF/0

巴「ふむ……つまり、ジャージとか、穏乃ちゃんの偏った服の趣味をなんとかしたいってことかな?」

憧「はい……なんとか力をかしていただけませんか?」

胡桃「恥ずかしながら……いくら作戦たてても空振っちゃって」

揺杏「憧ちゃんも胡桃さんもすぐ横道に逸れるからなー」

灼「揺杏が誘導してるんだけどね」

胡桃「やっぱりわざとなの!?」

揺杏「いやーほら、私も楽しくなっちゃって、つい? わざとじゃないですよ?」

エイスリン「タマタマ?」

揺杏「そう、たまたまです! ほら、やっぱりエイちゃんさんの素敵な絵が? 新作のイメージの具体化に繋がるっていうか?」

エイスリン「ヤクニタッテル?」

揺杏「もち! 最高ですよ!」

エイスリン「ヨカッタ!」

胡桃「……なんか、釈然としないんだけど」

灼「まあ、私たちは中立なんで」

巴「うーん……なんとなくわかったけど、私にお手伝いできることってあるのかな? 服の趣味って他人から言ってもなかなかどうしようもないような……」

憧「巴さんにしかできないことなんです! しずはもともとあまりファッションとか興味なくって今みたいに服装に関して積極的ではなかったんですけど……この大会中、ある二人の人物と出会っておかしな方向に目覚めてしまったんです!」

巴「二人の? ……あ、もしかして」

憧「……はい、龍門渕の国広一さんと、そちらの薄墨初美さんです」


977: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:11:57.24 ID:GuD0riF/0

灼「……国広さんも薄墨さんも……すごく、開放的な服だよね」

揺杏「一部噛み合っちゃってる灼が言う?」

灼「私は服着てるし」

胡桃「それ、あれは服じゃないって言ってるようなものだよね!?」

エイスリン「ヌノキレ!」

揺杏「はっきり言っちゃうかー」

巴「ああ……なんか、ごめんね?」

憧「いえ……巴さんは悪くないですし……」

巴「ううん……私もこの前国広さん見たときは驚いたし……そうだよね、ハッちゃんは結構すごいことになってるよね……」

憧「しずは自分と近しいセンスの持ち主を見つけたことでギア入ったみたいで……このままだと今以上にズレた感性になっちゃうと思うから……それまでになんとかしたいんです! 力を貸してください!」

巴「うん、憧ちゃんのお願いだし協力してあげたいんだけど……この場合、私の仕事って……」

憧「薄墨さん……なんとか、なんとかなりませんかね……? しずも先駆者として尊敬してる薄墨さんが普通になれば目が覚めるかも……」

巴「ふ、普通に……そうだよね、ハッちゃん普通じゃないよね……なんとか説得してみるよ」

憧「巴さん……! ありがとうございます! 大好き!」

巴「もう、憧ちゃんったら……」

揺杏「仲いいねー……あ、わり、ちょっと電話……もしもし? あ、一じゃんどしたのー?」

憧「国広さん……!? まさか、これは……」

揺杏「うん、うん……私? 今灼んとこ、穏乃は別だけど……おう、じゃ後で……はいはーい」

胡桃「国広さん来るの?」

揺杏「初美さんも一緒だって……グッドタイミング? 」

エイスリン「Good timing! ダネ!」


978: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:12:54.36 ID:GuD0riF/0

憧「くっ……ボスキャラが同時に……!」

灼「ボスキャラって……」

揺杏「酷い言いぐさだなー」

胡桃「まあ、憧ちゃん的にはそうなるよね」

エイスリン「Why? ハジメモハッチャンモトモダチダヨ?」

揺杏「女にはね……戦わなきゃいけない時もあるんですよ……」

エイスリン「Oh……カナシイウンメイ?」

揺杏「それですね!」

灼「またよくわからないことを……」

胡桃「エイちゃんに変なこと教えないでよー」

巴「それじゃあ、ハッちゃんたちが来たら、私の出番かな?」

胡桃「うん! 巴ちゃん頑張って!」

巴「うん……ハッちゃん、昔は普通に服着てたんだけどなぁ……」

揺杏「え、マジ……ですか?」

巴「無理に敬語使わなくていいよ? ……うん、いつからだったかな、今みたいな着こなしになったのは……」


979: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:13:41.14 ID:GuD0riF/0

――――数年前

巴「あれ? ハッちゃん、袴の裾の方少し破けてるよ?」

初美「ええ!? 本当ですかー? ……あぁ、これはやっちゃいましたねー……」

霞「その、私が縫おうか? この間巴ちゃんとお裁縫の練習したから、きっと上手にできると思うんだけど……」

初美「うーん……霞ちゃんの気持ちはありがたいのですが、これも結構長いこと着てましたからねー……よく見たらそこら中ボロボロになっていますし……」

小蒔「それでは、新しいものに取り替えてもらいましょうか?」

初美「今回のところはそうしましょうかねー」

霞「……そっか」

初美「それでは、これを捨ててしまうのはもったいないですしお裁縫の練習にでも使いましょう! 霞ちゃん、よかったら私に教えてもらえますかー?」

霞「……うん!」

小蒔「あ、ずるいです! 私も一緒に練習したいです!」

巴「それじゃあ、春ちゃんも呼んでみんなで一緒に練習しましょうか」

小蒔「はい! みんな一緒がいいですよね!」

霞「初美ちゃんの新しい服、もらってこないとね」

初美「そうですねー……どうせすぐに身長も伸びますし、ちょっと大きめのをもらってきましょう!」


980: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:15:03.37 ID:GuD0riF/0

――――――

巴「……そうだ、それでそのままハッちゃんの身長止まっちゃって……」

胡桃「じゃあ、もともとはちょっと大きめのを軽く着崩してたのかな?」

揺杏「それがいつしか……新たな扉を開いてしまったと」

憧「……もとからそういうセンスだったしずって……いや、まだ間に合うはず……手遅れじゃない、手遅れじゃない……」

灼「……穏乃のファッションセンスより憧の精神状態の方が心配なんだけど」

エイスリン「ダイジョウブ?」

憧「大丈夫です! エイスリンさん、心配かけてすみません、頑張ります!」

揺杏「つかさ、そんなこと言ったら一は何がどうしてあの服に行き着いたんだろーね、マジで」

エイスリン「Ah……ジンセイイロイロアルンダヨ?」

憧「まあたしかに……って危ない! なんか納得しかけた!」

灼「……マジシャンしてたらしいし、その衣装だったとか?」

巴「あー……ギリギリ納得できるような、できないような……」

胡桃「私、マジシャンには絶対にならない」

憧「……私も」


981: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:15:54.29 ID:GuD0riF/0

揺杏「んー……じゃ、とりあえず私は灼と穏乃のとこ行くんで」

憧「えっ!?」

揺杏「いや、一に呼ばれたし……こっちいるって言っちゃったしさ」

灼「私も?」

揺杏「いいじゃん私ら中立だし……灼も一緒に! って言われてるから」

灼「ん……わかった」

憧「え、ちょっと灼さん……」

灼「まあ、お呼ばれしたらしいので……薄墨さん来たらこっちに行くよう言っといてあげるから」

胡桃「……まあ、あっちに乗り込むよりも説得しやすいかもね」

憧「……じゃあよろしくね、灼さん」

灼「ん」

揺杏「あ、よかったらエイちゃんさんも来ない? お絵描きしましょー?」

エイスリン「イイネ! ……クルミ、イッテモイイ?」

胡桃「ううーん……まあ、説得には私たち絡めないし……えっと、いろいろ気を付けてね?」

エイスリン「ハイ! イッテキマス!」


982: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:17:06.03 ID:GuD0riF/0

憧「……なにか、作戦とかあります?」

巴「そうだなぁ……それとなく話振ってみる……とかじゃあダメだろうしなぁ」

胡桃「はっきり言うしかない、かな」

巴「……今さらその服おかしいよ、なんて言いづらいなぁ」

憧「……すみません」

巴「謝らないでよ。 まぁ、責任の一端は身内の私にもあるような気がしてきたし……ハッちゃんのためにもなるはず、だからね」

胡桃「……あのさ、揺杏ちゃんがエイちゃん連れてったけど、たぶんアレだよね? 恐怖の新作会議だよね?」

憧「おそらくは……でもエイスリンさんは……なんというか、善意の協力者だから止めづらいしなぁ……」

巴「……恐怖の新作会議?


胡桃「……センスのぶっとんだ人たちが意見を出しあって、エイちゃんがイラストに起こして、揺杏ちゃんがアレンジしながらすごい勢いで衣装を作っていくの」

憧「よくわからない生き物を貼り付けてみたり、肌の露出がおかしかったり……尋常じゃない要素が昇天ペガサスmix盛りって感じで」

巴「ぺ、ペガ……? というか、服って個人でそんなに量産できるものじゃあないよね……?」

憧「圧倒的に少ない布地がそれを可能にしてるんですよ……!」

胡桃「揺杏ちゃん、面白がってノリノリで作ってくからね……自分にはない閃きを持ってるから楽しいって……あの子たちの発想にはついてけないよ……」

憧「そりゃああんな発想、普通は出てきませんからね……」

巴「……あっちでなにが起きてるのか気になるなぁ」

憧「と、巴さん!? ま、まさか……!?」

巴「ち、ちがうよ!? 興味本意で……怖いもの見たさというか……!」

コンコン

「「「!?」」」

薄墨です、入ってもいいですかー?

胡桃「お、思ったより早い!」

憧「ど、どうぞ!」


983: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:18:04.34 ID:GuD0riF/0

初美「こんにちはー! 憧ちゃんから用事とは珍しいですねー」

憧「す、すみません……呼びつけてしまって」

初美「お気になさらず……あれ、胡桃ちゃんに巴ちゃんも……こちらに来てたんですかー」

胡桃「どうも!」

巴「えーと……ハッちゃんは今日はどうしたの?」

初美「私ですかー? いやぁ、なんと穏乃ちゃんがとうとう空を飛んだと聞きましてねー」

巴「……はい?」

胡桃「……飛んだ?」

憧「……あぁ、はいはい」

初美「あ! 憧ちゃんネタばらしはダメですよー? これから穏乃ちゃんにお話を聞きますからねー! すごいですねー! いったいなにが起きたんでしょうかー?」

巴「……え、どういうこと?」

憧「……飛んだというか、落下ですね」

胡桃「……バカみたい」


984: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:18:41.75 ID:GuD0riF/0

初美「あ、それでこちらはなんの用事ですかー?」

憧「と、巴さん」

巴「うん……えーとね、ハッちゃんの服装のことなんだけど……」

初美「……!」

巴「その……あまり、よそでは見ない着こなしだけど……」

初美「巴ちゃんも興味を持ってくれたってことですねー!」

巴「え、ちが……」

初美「そうとなれば話が早いですよー! 一緒にみんなのところに行きましょう!」

巴「ちょ! ハッちゃ……」





胡桃「……連れていかれちゃったね」

憧「……はい」

胡桃「……なんであんなに前向きなんだろうね」

憧「……どうしてでしょうね」

胡桃「……助けなきゃだよね」

憧「……放ってはおけませんね」

胡桃「……あのカオス空間に行くの怖いなぁ」

憧「ですよねぇ……でも、やっぱり巴さんを見捨てるわけにはいきません! 行きましょう!」

胡桃「……おー!」


985: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:22:20.01 ID:GuD0riF/0

胡桃「……この扉の先に巴ちゃんが」

憧「……なんだか、すごい盛り上がってますね」

胡桃「……やめとく?」

憧「うう……いえ、行きます!」

胡桃「……行かないの?」

憧「うぅ……胡桃さん先に入ってくださいよ……」

胡桃「いや、ここは言い出しっぺの憧ちゃんから……」

憧「……くっ! しず、入るわよ!」



穏乃「それでですね、こう、ぐわーってきて風を受けて飛んだんですよ!」

エイスリン「シズノ、スゴイネ!」

初美「すごいですよー! 私も1度は空を飛んでみたいですねー」

揺杏「うわーマジやべぇ……そういうの爽とかすげぇ好きだわ」

ダヴァン「私も挑戦しようと思ったのでスガ、サトハに怒られてしまいまシテ……」

一「それは……さすがに危ないよ! 高鴨さんもあまり危ないことしちゃダメだよ? みんなに心配かけちゃうから……」

穏乃「はい……すみません


憧「ってあれ? ダヴァンさん?」

ダヴァン「お邪魔してマス……あ、これおみやげデス! おすすめのカップラーメン持ってきまシタ!」

憧「あ、ありがとうございますダヴァンさん」

ダヴァン「同じ釜の飯を食べた仲ではないでスカ……どウゾ、気軽にメグと呼んでくだサイ」

エイスリン「キガルニメグ!」

揺杏「よろしく! 気軽にメグ!」

ダヴァン「……メグでいいんでスヨ」


986: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:23:33.41 ID:GuD0riF/0

胡桃「えっと、臨海女子のメガン・ダヴァンさん? どうしてここに……?」

ダヴァン「Aislinnのお友だちのクルミさんでスネ? はじめまシテ、Megan Davinデス! 今日は穏乃が呼んでくれまシテ……悩みが解決できるかもしれなイト」

胡桃「悩み?」





憧「巴さん! 大丈夫ですか!?」

巴「憧ちゃん……大丈夫だよ。 灼ちゃんが助けてくれたし……今まで飛んだお話してたから」

灼「危うく薄墨さんスタイルにされるところだったけどね」

巴「……あはは」

憧「灼さん……ありがとう……!」

灼「ん……でも、何度も言うけど私はあくまで中立だから……服装は個人の自由だと思うし、この件に関してはあまり口出ししないからね」

憧「……はい」

……タヌキのプリントTシャツ着てる人が言うと説得力があるなぁ


987: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:24:50.15 ID:GuD0riF/0

胡桃「……日本で活躍するために?」

ダヴァン「ハイ……私は契約が切れましたが明華やハオ、ネリーがいますカラ……同じ麻雀留学生とシテ、友人とシテ、なにかプラスになるものを残したいのデス」

穏乃「それでですね……この前あった時の辻垣内さんの言葉の中にヒントがあったんですよ!」

ダヴァン「サトハの言葉ニ……?」

穏乃「はい! ほら……」

智葉『お前らは制服も着てないしかなり目立ってるから心配すんな!』

ダヴァン「……! つマリ……!」

穏乃「よりかっこいい衣装を着れば、より目立つ!」

憧「ああああぁぁぁぁぁぁ!!」

穏乃「お、憧も私の発想力に驚いた? いやぁ、こう見えて頭も結構回るんだよねー」

初美「つまり、メグちゃんとその仲間たちの衣装を考える手助けのために私たちを呼んだんですねー?」

一「いい話だね……ボクがどこまで力になれるかわからないけど、協力するよ!」

揺杏「おお……臨海の外人部隊はみんないい素材だし楽しそうだなー……よし、いつも通り衣装作るのは任せろ! エイちゃんさん、デザイン案出すからイラストよろしく!」

エイスリン「ガンバル!」



胡桃「やっぱり……恐怖の新作会議……!」

憧「あうう……しずがまた悪の道に染まってしまう……」

灼「悪って……」

巴「……なんか、もう私にはどうにもできないんじゃ……」


988: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:26:04.04 ID:GuD0riF/0

揺杏「んじゃ、とりあえずメグさんからねー」

エイスリン「メグカラ!」

初美「とりあえず、方向性を決めないといけませんねー」

一「うん……ダヴァンさんはかっこいい系だから、ボクや薄墨さんより高鴨さんの意見を採用してく方がいいかもね」

穏乃「任せてください! えっと、それじゃあ……」



巴「……穏乃ちゃんがかっこいい系担当なの?」

胡桃「……一ちゃんがかわいい系でハッちゃんがオシャレ系らしいよ」

憧「……ぜんっぜんわかんない」

灼「え?」

憧「え? って……灼さんわかっちゃうの……?」

灼「布切れを身に纏おうとは思わないけど、それくらいは……」

憧「……だんだん灼さんがわからなくなってきた」


揺杏「あ、とりあえず穏乃たちの意見まとまるまでに採寸とかしちゃおっかー……メグさん、こっち来てちょっと脱いでもらえます?」

ダヴァン「わかりまシタ……ありがとうございマス」

揺杏「いえいえ……って、メグさんいい身体してますね……結構鍛えてます?」

ダヴァン「多少ハ……カップラーメンは健康的な食品とは言えませンシ、体型維持などのセルフコントロールが出来ないだらしない人間だと思われてはスポンサーたちに切られかねませんカラ」

穏乃「おぉ……腹筋とかすごい……この肉体を活かさない手はありませんね!」

一「とりあえずここら辺の布はごっそり削れるね」

初美「一ちゃんはガンガン攻めますねー! そういうところ素敵ですよー!」


989: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:27:16.77 ID:GuD0riF/0

エイスリン「オナカ、ダス?」

初美「そうですねー……ここは、こんな感じで……」

エイスリン「ナルホド……」

穏乃「あ、袖は切り落としましょう! それで、肩のところはギザギザに切りましょう!」

揺杏「……あっはは! そっかー! ギザギザ……ギザギザは基本だよな……くくっ」

一「ぐーんとかっこいい感じになったね!」

初美「穏乃ちゃんさすがですよー!」

穏乃「いやぁ……そうですか? えへへ」

憧「」

胡桃「憧ちゃん! 気をしっかり持って!」

灼「……背中にレオナルドを」

穏乃「おお、名前がアメリカっぽい!」

揺杏「あぁ、例の漫画書くタヌキね……この前作った型がホテルの方に残ってるから……」

ダヴァン「ア、アノ! ちょっと待ってくだサイ!」

穏乃「メグさん?」

初美「どうかしましたかー?」

ダヴァン「ソノ、大変ありがたいのでスガ……ちょっと肌の露出が大きすぎませンカ?」

憧「!!」

胡桃「あ、生き返った」


990: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:28:10.96 ID:GuD0riF/0

ダヴァン「これデハ……少し恥ずかしいデス……」

憧「ですよね!? しず、ちょっと目を覚ましなさいって! 普通に考えたら……その、薄墨さんも国広さんもですよ!? ちょっとその服装はマズいですって!」

胡桃「はっきり言った!」

巴「憧ちゃんよくこの場で言えたなぁ……」

穏乃「……はぁ」

憧「なにそのため息!?」

初美「いつの時代も天才と言うのは理解されないものなんですねー……」

一「いいんだよ、今はわかってくれなくても……いつかは、きっといつかはボクたちのファッションが世の中に認められてスタンダードになっていくんだから……」

憧「あぁもう! なんで国広さん普段はまともなのにこういう時だけ……っ!」

揺杏「……は、腹痛い……っ! 憧ちゃんいつまで頑張れるかなー……くくくっ」

灼「もうそっとしとけばいいのにね……」

ダヴァン「とにカク……私としてはもう少し布を足シテ……」

穏乃「メグさん! それでいいんですか!?」

ダヴァン「!?」

憧「!?」


991: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:29:53.12 ID:GuD0riF/0

穏乃「たしかに、前衛的な衣装かもしれませんけど……メグさんが求めているのは……仲間のみんなを助けることじゃないんですか!?」

ダヴァン「……!!」

穏乃「私だって、このファッションがみんなに……親友の憧にさえわかってもらえなくて辛い思いをしています……でも、私には一さんや初美さんがいるから頑張れます」

穏乃「でも! メグさんが帰っちゃって、辻垣内さんが卒業しちゃったら! 明華さんやハオさん、ネリーさんはどうなるんですか!? 仲間が減っていくなかで孤独な戦いを強いられるんですよ!?」

ダヴァン「あ……アア……」

穏乃「メグさんが新しい、かっこいい衣装を身に付けることで、3人に衣装を持ち帰ることで……あの3人の力になれるかもしれないんですよ!?」

胡桃「……どうして穏乃ちゃん泣いてるの……?」

巴「さぁ……?」

ダヴァン「わ、私が間違っていまシタ……」

憧「メグさぁぁぁぁん!?」

揺杏「だから! 何故泣くし……!」

エイスリン「イイハナシダナー?」

灼「そんな感じですね」

ダヴァン「そうでスネ……私が多少恥ずかしい思いをするだケデ……みんなの力になれるナラ……」

憧「ちょ、メグさん! 落ち着いてくださいよ! 冷静になってください!」

ダヴァン「いいんデス……アコちゃん、私が間違っていたんデス……シズノたちの考えてくれた衣装を着マス……」

憧「そんな……どうして……」

ダヴァン「大切な仲間たちを守るためデス……それにシズノも大切な親友デス……」

穏乃「メグさん……」

ダヴァン「フフッ……そレニ、彼女たちの誰にも認められずとも孤独に戦う姿ガ……私たち麻雀留学生の姿に重なったのかもしれませンネ……」

初美「メグちゃん……!」

一「ダヴァンさん……!」

穏乃「メグさん……!」


992: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:31:10.63 ID:GuD0riF/0

憧「」

胡桃「……ほんと、バカみたい」

巴「あはは……ちょっと、ついていけないかな……?」

憧「……どうなってるんですか!?」

胡桃「あ、お帰り……」

憧「なんでメグさん納得しちゃったんですか!? 普通に考えておかしいじゃないですか!?」

灼「……目立って印象づけるって点ではまず間違いないとは思うけどね」

憧「それでもあの服はおかしいでしょ!?」

胡桃「っていうか、あの3人の結束すごく固いよね……今回なんか穏乃ちゃんがグループの中心に」

憧「胡桃さんやめて! 聞きたくない……」

巴「……ごめんね、ハッちゃんの説得はもう無理だと思うな」

憧「いえ……もう仕方ないですから……」

揺杏「ほんとに面白いなーあの子ら」

憧「面白くないですよぉ……いつになったらしずと一緒に普通のオシャレできるの……?」


993: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:33:09.12 ID:GuD0riF/0

揺杏「……新たな仲間を加えて、とうとう悪のファッションリーダーたちとの決戦に挑んだ憧! しかし、そこに待ち受けていたのは苦難の連続であった!」

憧「!?」

灼「……新たな仲間、巴はかつての友人、ファッションリーダー初美の説得に失敗……」

揺杏「助っ人外人のメグも穏乃同様に洗脳されてしまう!」

灼「岩館博士の生み出す数々の新衣装の前に倒れる仲間たち……!」

揺杏「戦場に現れる謎のタヌキTシャツの少女は敵か味方か!」

灼「果たして憧は穏乃を悪の手から取り戻すことができるのか!」

揺杏「次回、ファッションファイター憧! 」

灼「新ファッション登場!NAGANOスタイルの恐怖!」

揺杏「君は、服を着ることができるか……!」



憧「……あの」

エイスリン「カイタヨ! サシエデス!」

揺杏「うぉ! エイちゃんさんすげぇ! 即興だったのに!」

灼「見事な腕前……」

エイスリン「カタジケノウゴザル」

揺杏「つーかなんだよー岩館博士って、死神博士かなんか?」

灼「そっちこそ、タキシード仮面的ポジションなら私よりも井上さんが適任」

憧「ふきゅ!?」

揺杏「あー……私としたことがそれは失敗したなぁ」

憧「ちょ、ちょ、それは違うってば! っていうかなんの話してんのよ!?」

揺杏「今考えたファッションファイター憧の話だけど……ほら、エイちゃんさんのイラスト、変身ヒーローみたいでかっこいいよ?」

憧「あ、しかも結構かわいいデザイン……じゃなくって! だいたい、なんですか最後の!? 私が服着てないみたいじゃないですか! 着てないのはあっちですよ!?」

胡桃「そこ!?」

揺杏「あ、気に入らなかった? それじゃあ……とりあえず」

灼「あ、了解……」


994: ◆FYW.3i5lks 2014/10/06(月) 23:34:13.53 ID:GuD0riF/0



灼「「……憧たちの戦いは、これからだ!!」」揺杏


揺杏「カン!」


憧「息を合わせて煽るなぁ! 打ち切らないでよ! まだ諦めてないからね!?」




次スレに続く