――― 深夜


神使「Zzz・・・」スヤスヤ


ゴソゴソ


神使「ん・・・」ムクッ


ゴソゴソ


神使「・・・神様?」ポー

引用元: ・神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」 3社目 




神様、僕は気づいてしまった
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498: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:34:46 ID:lr4svDw2

幼女神「・・・・・・」

神使「幼女神さま? あれ、神様は・・・」キョロキョロ

幼女神「少し位はアイツと間違えると思ったのにのぉ」ハァ

神使「そんな失礼はさすがに・・・」

幼女神「しかも、目覚めて早々アイツの心配か」

神使「あ、いえ。 そういう訳では・・・ すいません///」

幼女神「謝る必要はない。 本心なのであろう?」

神使「ぅ・・・///」


幼女神「アイツなら本殿にいる」

神使「こんな夜中に本殿で何を・・・」

幼女神「キー子へ祈祷や祭儀の作法を教えているようだ。 ワシのやり方は古いそうでのぉ」

神使「そうでしたか」

幼女神「・・・・・・」

499: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:35:40 ID:lr4svDw2

幼女神「この度は、この地の問題を解決してくれてありがとう」ドゲザ

神使「ちょ、幼女神さま! 止めて下さい」オロオロ

幼女神「それだけでなく、その・・・ ワシ自身の問題ごとまで解決してくれ何と礼を申したら良いか」

神使「私は何も・・・ 全部神様が一人で解決されたことですので。 私ではなく神様に」

幼女神「お前に礼を言えば同じであろうと思ってな」

神使「・・・直接お話しして頂いた方が神様も喜ぶと思いますよ?」

幼女神「ワシはこう見えてプライドが高いのじゃ」

神使「はぁ・・・」

幼女神「見たんまんま、と思っているのであろう」

神使「いえ、そんな事は・・・ すいません、心を読まれているので嘘は付けないですね・・・」

幼女神「読んでおらん」

神使「え?」

500: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:36:30 ID:lr4svDw2

幼女神「そんなことより、お前に頼みがある」

神使「私にですか?」

幼女神「受け取ってもらいたい物がある」

神使「?」

幼女神「本来はアイツに渡すべき物なのだが」

神使「もしかして、神様が受け取ってくれないというやつですか!?」

幼女神「そうじゃ」

神使「しかし、それを渡してしまうと幼女神さまが・・・」

幼女神「今の最高神に渡せばな。 だがお前は違う、お前に渡してもワシは消えん」

神使「そんな大切な物を、私なんかがお預かりするというのは身分不相応かと」

501: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:37:16 ID:lr4svDw2

幼女神「いいや、お前になら安心して渡せる。 出来れば生涯アイツの身近にいるお前に預かってもらいたい」

神使「・・・・・・」

幼女神「ずっと一緒にいるのであろう?」

神使「・・・・・・///」

幼女神「案ずるな。 爆発したり、道中かさばるような物でもない」

神使「しかし・・・」

幼女神「頼む。 アイツが信頼し、心許すお前に頼みたいのだ」

神使「・・・・・・。 承知いたしました、お受けいたします」フカブカ

幼女神「よし、そのまま楽にしておれ」

神使「?」


ポワン ポワン


幼女神「終わった」

502: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:38:15 ID:lr4svDw2

神使「何か頭の中に・・・ 祝詞・・・ いや呪文でしょうか? なんですかこれ?」

幼女神「最後の言霊」

神使「最後の・・・ 言霊?」

幼女神「唱える者の願いを何でも叶えるそうじゃ」

神使「願い・・・」

幼女神「あぁ、何でも叶う。 この世をゼロにすることさえ出来る」

神使「え!?」

幼女神「その代わり、唱えた者の存在は消えるがの」

神使「命と引き換えの願い・・・ ということですか?」

幼女神「と、言われているがワシも知らん。 使ったことないしな」

神使「・・・・・・」

503: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:39:11 ID:lr4svDw2

幼女神「呪文の意味が理解できぬ。 意味を理解しないと唱えても効果はないみたいじゃ」

神使「と言いますか、これ発音自体分からないのですが・・・」

幼女神「そうじゃろ? ワシも分からん。 まぁこの先あいつも必要になる事などないと思うが」

神使「だと良いんですが、教えてしまうと面白がって使いかねませんからね・・・」

幼女神「あいつもそこまでアホではなかろうに」ハハハッ

神使「私の命にかえても守り通します。 それこそ墓まで持っていく覚悟で」

幼女神「賢明じゃ」


幼女神「これでワシの役目は終わったな。 はぁ~・・・ いざ消えるとなると少し寂しいな」フッ

神使「!? 幼女神さま! 先ほど渡しても消えないと!!」


幼女神「プッ! 引っかかった~ 本気にした? ビックリくりした?」ウヒャヒャ

神使「・・・・・・」

504: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 19:39:43 ID:lr4svDw2

幼女神「安心しろ。 ワシなら大丈夫じゃ」

神使「この雰囲気でそういう冗談は勘弁して下さい」ホッ

幼女神「すまぬ。 さて、少しキー子の様子でも見てくるか」ヨイショ

神使「お供してもよろしいでしょうか?」

幼女神「もちろんじゃ、行こうではないか」

505: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:37:38 ID:lr4svDw2


――― 本殿前


♪~


幼女神「なんじゃ? この音は」

神使「巫女舞ですね。 神様はキー子さんに巫女舞も教えているのでしょうか?」

幼女神「そういえば、あのガキは昔から踊るのが好きじゃったからのぉ」


 もっと前に! 足が伸びすぎ! 少ししゃがむ位の感じで!
 は、はい!


神使「随分とスパルタですね・・・」

幼女神「あのガキがこんなに熱心になるとは珍しいの」

神使「邪魔してもアレですし、こっそり覗いてみましょうか」

幼女神「そうじゃの」

506: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:38:14 ID:lr4svDw2


ソォー


神様「そんなんじゃ男どもを悩殺できないって! もっと襦袢見せて!! もっと肌出して!!」

キー子「え~っ!?」


神使・幼女神「・・・・・・」


神様「良い? 男達の視線を真っ赤な襦袢からその白い肌に向けさせる感じを意識し―――」


ガラガラ
バンッ!


神様「!?」ビクッ

507: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:39:00 ID:lr4svDw2

幼女神「おい」

神様「あれ~ 幼女ちゃん・・・ 神使さんも一緒で・・・」タラタラ


神使「神様? 巫女舞にそんな振りはございませんよね?」

神様「・・・・・・」


幼女神「何を悩殺させるって?」

神様「・・・・・・」

幼女神「勅令口呪符霊不~」ポワン ポワン


ゴゴゴゴゴ


神様「ちょ、お前それマズいって! ダメだよマジモンじゃねーかよ!!」アワアワ

508: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:41:19 ID:lr4svDw2


――― 数十分後


神様「・・・・・・」ゲッソリ


幼女神「ったく、何をしておるのじゃお前は」ハァ

神様「いや、キー子ちゃんが効率よく神力徴収が出来るようにと思いまして・・・」

神使「神様・・・ いくら何でもあれは・・・」

幼女神「祭儀の作法を教えるのではなかったのか?」

神様「教えたよ!」

キー子「神ちゃんさまからは一通り教えて頂き、時間が余ったので他の物をと私からお願いしただけですので」

神使「キー子さん、別に庇わなくても良いですよ?」

神様「いや待てよ! 基本形は本当に全部教えたって!」

509: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:42:05 ID:lr4svDw2

幼女神「キー子は他に何を教えてもらったのじゃ?」

キー子「そうですね・・・ 神ちゃんさまの有り難いお札を作成して神力徴収の際に神々の皆さんにお配りする案を」

幼女神「無料か?」

キー子「1枚500円です。 でも凄いんです! 神ちゃんさまが半分この神社に初穂料を寄付してくれると仰ってくれまして!」

幼女神「・・・・・・」ピクッ

神様「ぁ、キー子ちゃん? あんまりそこら辺は・・・」


キー子「あと、神ちゃんさまグッズの案も色々頂きました!」

幼女神「そうかそうか」ニコッ

神様「・・・・・・」

510: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:42:51 ID:lr4svDw2

幼女神「勅令口呪符霊不~」ポワン ポワン


ゴゴゴゴゴ


神様「だからそれダメだって! おい犬ころ! 逃げるぞ」ガシッ

神使「ちょ、神様!?」ズルズル

神様「あれくらったら意識失うぞ!」ダダダダッ


バリバリバリバリ


神様「犬ころ! もたもたするなー!」ダダダダッ

神使「私、関係ないのに何でー」タッタッタッ


幼女神「二度と足を踏み入れるな! この出来損ないの最高神がー!!」

511: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:43:34 ID:lr4svDw2


シーン


キー子「行ってしまいましたね」

幼女神「全く、あいつは別れ際はいつもこんなじゃな」ハァ

キー子「しかし、神ちゃんさまってとても尊敬できる方ですね」

幼女神「あんなのを尊敬などすると大変じゃぞ?」

キー子「私の憧れる神が増えました」

幼女神「・・・・・・」

キー子「幼女神さまと、神ちゃんさま。 私は尊敬しお慕い申し上げます」フカブカ

幼女神「アイツと一緒というのが癪に障るが・・・ まぁ確かにアイツは優秀だ。 認めよう」

キー子「はい」ニコッ

512: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/30(火) 21:44:19 ID:lr4svDw2

幼女神「さて、こんな遅くなのにアイツらのせいで寝られそうにない」

キー子「温泉、お作りになります?」

幼女神「そうじゃな。 明日からは少し多めに作らんといかんし」

キー子「あ、あの・・・ 私も一緒に作らせて頂いても良いでしょうか?」

幼女神「・・・・・・」

キー子「すいません! 調子に乗ったことを・・・」ペコリッ

幼女神「いいや、助かる。 手伝ってくれるか?」

キー子「はい!」

幼女神「では、行こう」

515: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:04:12 ID:ZiTUln7.


――― 神社入り口


神様「ハァ・・・ ハァ・・・」ゼエゼエ

神使「もう、神様・・・ 何てことを・・・」ゼエゼエ

神様「仕方ないだろ! お金欲しかったんだもん!」

神使「そんな直球で言わないで下さい」


神様「あ~ 折角の寝床が・・・ 今日は野宿確定か」ゲンナリ

神使「神様のせいです」

神様「へいへい、すんませんね~」


神使「さて、どこで休みましょうか」

神様「探しながら少し散歩でもしないか?」

神使「そうですね、とても眠れる感じでもありませんし」

516: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:04:59 ID:ZiTUln7.


テクテク


神様「あ~ 今日は月がまん丸だな」

神使「満月ですね」

神様「良いこと教えてやろうか、月にウサギなんていないんだぜ?」

神使「・・・知ってはいますが、立場上あまりそういう事は言わない方が良いですよ?」

神様「私は月より団子派、情緒より娯楽。 現実主義者なのだよ」

神使「神様って本当に我が道を行く、ですね」

神様「それ褒めてるの? 貶してるの?」

神使「褒めているんですよ」

神様「斬新な褒め方ですな~」

517: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:05:45 ID:ZiTUln7.


テクテク


神様「おっ、ここ野宿に丁度良いんじゃない?」

神使「程よい草地、月も見えて良い感じですね」


神様「私、こっち側~」ゴロン

神使「隣に失礼します」ゴロン


神様「もっとこっちに来いよ、お前半分草地から出てるじゃん」

神使「では、お言葉に甘えて」ピタッ


神様「はぁ~ 今日は長い一日だったな」

神使「とても良い一日でした」


神様「・・・・・・」

518: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:06:51 ID:ZiTUln7.


神様「なぁ、どう思う?」

神使「何がです?」


神様「私さぁ、お前とこうして旅に出てから毎日が楽しくて仕方ないんだ」

神様「朝起きてから寝るまで、いや夢の中でもかな。 本当に毎日が楽しくて楽しくて」

神使「・・・・・・」


神様「私は神だ。 この国にいる人の願いを聞き成就するのが責務であり、私が存在できる理由でもある」

神様「そんな私がこんなに楽しんで良いのかってさぁ」

神使「・・・・・・」

519: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:08:01 ID:ZiTUln7.

神使「良いと思いますよ? 神様が楽しければきっと周りも幸せです」

神使「神様が毎日ニコニコされていれば私は嬉しいですし、きっと皆も同じだと思います」

神様「・・・・・・」


神使「神様は最高神ですから。 神様がこの国で一番幸せになっても良いんじゃないですか?」

神使「周りに沢山迷惑かけて、自由奔放で何の悩みもなく好きなことを好きなだけする」

神様「・・・・・・」


神使「皆、そんな神様のお相手をするのがとても楽しいんです」

神使「朝起きてから寝るまで、夢も中でもいつも一緒の私が言うんですから間違いありません」


神様「そうか」

520: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:09:01 ID:ZiTUln7.

神使「私も、こうして神様と一緒にお供できて毎日とても楽しいです」

神様「よかった」


神使「神様と出会い、旅をするのが規定事項だったとしても偶然の悪戯だったとしても・・・」

神使「神様の隣でこうしてお話しができ、一緒に居ることのできる幸せを与えて下さったことに私は・・・・・・」

神使「・・・・・・」


神様「?」

神使「・・・・・・」

神様「何だよ、急に黙り込んで」

521: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:09:47 ID:ZiTUln7.

神使「神様、私は自分で意志が強いと思っておりましたが・・・」

神様「?」

神使「どうも違うようです」

神様「どしたの?」

神使「そして、私の身勝手な理由で待って欲しいなどとワガママを・・・」

神様「・・・・・・」


神使「・・・・・・神様」ジッ

神様「ぇ、ぁ・・・ な、なに?」

522: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:10:52 ID:ZiTUln7.

神使「先日、私が胸を張って神様にお伝えできるその日まで時間を下さいと言いました」

神様「・・・・・・」

神使「でも、お待たせするわけには行きません」

神様「・・・・・・」

神使「いえ、私が待てそうにありません。神様にはもっと幸せになって頂かないと」



神使「今日の私は少し・・・ いえ、かなり自信過剰です。 許して下さい」ニコッ

523: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:11:32 ID:ZiTUln7.





神使「神様、どうか私をあなたの―――――――」





神様「!?」

524: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:12:16 ID:ZiTUln7.


――― 神社・浴室


チャポン


キー子「幼女神さま?」

幼女神「なんじゃ?」

キー子「神ちゃんさまの神力なんですが・・・」

幼女神「・・・お前には見えたか」

キー子「幼女神さまによく似ておりましたが・・・」

幼女神「でも桁が違ったじゃろ」

キー子「はい。 一体どのくらいの量なのか検討もつかない位・・・」

525: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:13:23 ID:ZiTUln7.

幼女神「もう何百年も封印している感じじゃな」

キー子「封印?」

幼女神「きっと、渡したい相手がいるんじゃろ。 あいつは自身の神力を渡すことで神を作る」

キー子「神を?」

幼女神「あぁ、自身の半分の神力を渡すんじゃよ。 きっと沢山渡したい相手でも居るんじゃないのか?」

キー子「そうですか。 それであんなに」

幼女神「でも、近いうちにアイツも神力を再び使えるようになるじゃろ」


幼女神「アイツと同じ強い神力を授かり・・・ 二人がこの国を笑顔が絶えぬ国へと導いてくれる」

キー子「楽しみですね」


幼女神「見てみろ、今日は月がまん丸じゃ」

キー子「満月ですね」


幼女神「今日は素晴らしき日じゃ」


チャポン

526: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:14:33 ID:ZiTUln7.



神使「ぅ・・・///」カーッ

神様「嬉しいな。 今まで生きてきた中で一番嬉しい言葉だ」

神使「すいません・・・ ムードもへったくれもなく・・・///」


神様「神使・・・ いや、神使さん」

神使「!?」



神様「その言葉、お待ち申し上げておりました」ギュッ

神使「神様・・・」




喜んでお受けいたします
私の一生をあなたに捧げます
不束者ですが、どうぞよろしくお願いします



私の愛する神使さま

527: ◆8YCWQhLlF2 2017/05/31(水) 00:15:11 ID:ZiTUln7.

神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」―END

551: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:23:29 ID:zHnNduY.
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


【#16】「お花を摘みに」


ガタンゴトン


神様「ねぇねぇ神使く~ん」モジモジ

神使「どうしたんです?」

神様「私、結婚式は牡蠣の養殖場が見える海辺の教会がいいなぁ~」クネクネ

神使「どこにあるんですかそんな場所・・・ って、神社じゃなくて教会なんですか!?」

神様「白無垢よりドレスが着たい!」

神使「・・・・・・」

神様「それよりさぁ~ 一つ聞いてもいい?」

神使「なんです?」

神様「どこ向かってるの? 神宮と逆向きだよね、この電車」

神使「良くお分かりになりましたね」

神様「私くらい立派な神だと、上りと下りの電車くらい分かるんだわ」

552: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:24:34 ID:zHnNduY.

神使「夏と言えば?」

神様「夏休み!」フンスッ


神使「夏休みと言えば?」

神様「アルバイト!」


神使「アルバイトと言えば?」

神様「生活費の足しを求めて私達が行うもの!」


神使「さすが神様、正解です!」


神様「・・・予想はしていましたが、浮かれていた気分が一気に冷めました。 はい」

553: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:25:30 ID:zHnNduY.


─── とある神社・参道


テクテク


神様「はえ~ デカい神社だな~」

神使「参道も大きくて長いですよね。 本殿がまだ見えないですよ」


神様「お前の友達って結構良いとこに勤めてるのな」

神使「友さんはとても優秀な神使ですから」

神様「も~ 自分の方が優秀なくせに謙遜しちゃって~」ウリウリ

神使「・・・・・・」

554: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:26:49 ID:zHnNduY.


 お~い


神様「ん? あれ知り合い?」

神使「友さんです」


友「よー神使。 久しぶり」タッタッタッ

神使「ご無沙汰しております」ペコリ

友「わざわざこんな遠くまですまないな」

神使「お気になさらず。 バイトさせてもらう身分ですから」

友「ん? となりの子は巫女さんかい?」

555: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:28:04 ID:zHnNduY.

神使「ご紹介します。 こちら私の主神様で神様です」

神様「はじめまして。 かわゆい神ちゃんと申します」ペコリ


友「・・・確かお前って神宮の神付き神使だったよな」

神使「はい」

友「という事は、こちらは神宮の・・・」

神様「内宮神籍で女神をやらせて頂いております」

友「!? ・・・・・・」スッ

神様「おっと! ふかぶか禁止!」


神使「神様は仰々しいのが苦手なので友達感覚でフレンドリーに接してあげて下さい」

友「いや・・・ あの・・・ 神宮の女神様にそのような事は・・・」

556: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:29:08 ID:zHnNduY.

神使「神宮の神と言っても今は野良───」

神様「アッチョー!」ゲシッ

神使「痛いっ!」ガクッ

友「・・・・・・」


神様「気にせず、かわゆい神ちゃんと呼んで下さいね」ウフン

友「はぁ・・・ では、初めまして神ちゃん様」

神様「堅いな~ “かわゆい”かみちゃん、で良いって」

友「分かりました、神ちゃんさん」

神様「・・・うん」

557: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:30:00 ID:zHnNduY.

神使「しばらくご厄介になります」

友「いや~ 神使が来てくれて助かったよ。 この時期どこも人手不足で」

神様「夏休みだものねぇ~ みんな夏休みだものねぇ~」ジロッ

神使「・・・・・・」


神様「この神社って神は誰が配属されてるの?」

友「この神社に神は配属されていません」

神様「え? これだけ大きいのに?」

友「そう思いますよね・・・ でも立派なのは参道だけなんです」


神使「お社の方は小さいのですか?」

友「まぁ見てもらえれば分かるとは思うけど・・・ 立ち話も何だし、歩きながらでも」

558: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:31:01 ID:zHnNduY.


テクテク


神様「なんか、風化した石像みたいなのが参道横に沢山並んでるな」

友「八百万の神をお祭りしている石碑です」

神使「へぇ、珍しいですね」

友「何の神かは今となっては分からないんだけどな」


神様「八百万って便利なシステムだよね~」

神使「・・・立場上、あまりそう言う事は言わない方が良いですよ?」


友「昔は一体一体把握していたと思うんですが、さすがに今では何をお祀りしていたか分からずで」

神様「だいぶ風化しているし、神力は全部空っぽか」

559: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:32:20 ID:zHnNduY.


テクテク


友「着きました」

神様・神使「・・・・・・」


友「これが当社の本殿です」

神様「え? どれ?」キョロキョロ

友「ですから、こちらです」コンコンッ


神使「いや、友さん・・・ 今日は暑いですから冗談は良いので早く案内して下さい」

友「うん、言いたい事は分かる。 でも本当なんだよ」


神様「ちょっと待って、これって・・・」

560: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:33:20 ID:zHnNduY.

神使「あの・・・ これ、トイレですよね?」

友「厠だな」

神様「?」


友「当社の本殿でございます」

神様「・・・ごめん、ちょっと何言っているのか分からないんだけど」

友「当お社は、花摘み神社と申します」


神使「・・・なるほど、そう言うことですか」

神様「え? なんで今ので神使君は分かっちゃうの?」

562: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/24(月) 00:34:30 ID:zHnNduY.

神使「神様、よくお手洗い行くときに何て言って出かけます?」

神様「うんこ行ってくる、かな?」

神使「・・・普段おちゃらけて言う事があるじゃないですか」

神様「お花もりもり摘んでくる?」

神使「それです!」


神様「お花を摘む、花摘み・・・ 花摘み神社、トイレ!」

神使「そうです!」

神様「隠語じゃん! マジで?」

友「はい」


神様「このトイレが本殿?」

友「はい」



神様・神使「・・・・・・え!?」

570: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:01:09 ID:x9saOh.6

神様「・・・神使君、帰ろ?」

友「まっ! 待って下さい! 帰りたい気持ちは分かります! ですが!」

神様「いやいや、だってトイレじゃん! 私ずっとこの中でお花摘むの?」

神使「普段は自分から進んで本殿には入らないじゃないですか」

神様「お~ 良くお分かりで」


神使「しかし、本殿なのにどうしてこんな隅の方に・・・」

友「え? 厠だし」

神使「確かに普通神社ではお手洗いは隅に設置しますが・・・」


神様「あっちにある建物は? あれ本殿じゃないの?」

友「あちらは社務所です」

神様「何で社務所が参道の正面にあるの? 何で本殿が隅っこなの? 設計したヤツどんだけ捻くれてるの?」


神使「どうしてトイレが本殿がなんです?」

友「さぁ? 詳しい事は俺も・・・ やっぱ花摘み神社だからじゃないか?」

571: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:02:33 ID:x9saOh.6

神様「友くんは、この神社の神使なんだよね?」

友「いえ、私はここから5kmほど離れた立派天満宮の神使です」

神様「ん? ここの神使じゃないの?」

友「このお社は神がいませんから、神使も不在です。 神職も巫女もいません」

神使「では、なぜ友さんがこちらの管理を?」

友「数年までは宮司さんがいたんだけど、後継者がいなくて今は立派天満宮が管理しているんだよ」

神使「そういう事でしたか」


神様「こんな所で私達は何のバイトするの? トイレ掃除? まさか一日中ブリブリするの?」

友「さすがにそれは・・・ この神社は24時間見張りを付ける事になっておりまして」

神使「24時間体制ですか?」

神様「トイレしかないのに?」

572: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:03:53 ID:x9saOh.6

友「実は、このお社には埋蔵金伝説がありまして」

神様「埋蔵金!?」クワッ


神使「・・・本当にあるんですか?」

友「さぁね。 そんな資料や文献は見つかっていないし都市伝説だと思うけどさ」

神使「なるほど、埋蔵金目当てで忍び込む人達がいるんですね?」

友「そう言うこと」

神使「困ったものです」ハァ


神様「火のない所に煙は立たぬ!」キラキラッ

神使「神様・・・ 瞳に¥マークが浮かんでいます」

573: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:06:40 ID:x9saOh.6

友「これだけ広い神社で何にもないと逆に何かあるんじゃないか? って思う気持ちも分かるけどな」

神使「徳河の埋蔵金レベルの話しですね。 そんなありもしない物を・・・」

神様「徳河の埋蔵金ならあるよ?」

神使・友「え!?」


神様「いや、徳河の埋蔵金ならあるって」

神使・友「・・・はい?」


神様「日光にキラキラピカピカ神社あるじゃん?」

神使「西照宮の事ですか?」

神様「そうそう。 そこに今も手つかずで埋まってると思うけど」


神使・友「・・・・・・」

574: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:08:11 ID:x9saOh.6

神様「本気で金に困ったら掘り返しに行こうぜ」ニヒヒ

神使「あの、それって本当なんですか?」

神様「埋めるとき私もその場にいたし。 何を隠そう許可を出したのは私なのだ!」フンスッ

神使「・・・・・・」

友「何か、今凄い事を聞いてしまった気が・・・」


神様「それより、この神社の埋蔵金だよ。 さすがの私も初耳だ」

神使「徳河の埋蔵金の方が気になるのですが・・・」

神様「あんなの、すぐに掘り返せないしこっちの方が面白そうじゃん!」

神使「・・・・・・」

神様「私のカンだと、この神社間違いなく何か隠していると思うんだよ」クンクン

友「ま、まずは社務所の方にでも・・・ 参拝者の方に聞かれるとアレですし」

575: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:09:12 ID:x9saOh.6


─── 社務所


神様「変わった形の社務所だよね。 なんかキノコみたい」

神使「一周丸い形の社務所って初めて見ました」

友「この神社は色々と特殊でな」

神様「いいね~ もう埋蔵金が埋まっているって言っているようなものだよね」

神使「・・・・・・」

神様「よっしゃー! 燃えたぎってきた! 神使君、超特急でこの神社の事調べて!」

神使「え!?」


神様「神勅! 花摘み神社の由緒を徹底的に調べよ!」

神使「!?」フカブカ

576: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:10:23 ID:x9saOh.6

神様「神宮の総力を挙げ徹底的に調べるんだ。 財宝は私のものだ!」

友「まさか、財宝を独り占めに!?」

神使「友さん、神様の神勅中です」ボソッ

友「あっ」フカブカ

神様「うそうそ、財宝が出たら全部寄付するに決っているじゃん。 イヤだな~ 私これでも神だよ?」アセアセ

神使・友「・・・・・・」ジトー

神様「と、取りあえず花摘み神社の事を早急に調べよ! 内宮神籍神様からの神勅を申し伝えた!」

神使「神様! そんな事で神勅なんて出さないで下さいよ」

神様「良いから、さっさと仕事!」シッシッ

神使「全く・・・」

577: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:11:48 ID:x9saOh.6

神様「それより、この神社に詰めるのは私と犬ころの2人だけ?」

友「私も一緒にここにおりますので3人体制です」

神使「友さんはご自分のお仕事はよろしいのですか?」

友「夏休み中だし俺も一緒にここにいるよ」

神様「え? 夏休みなの?」

友「はい。 特に休んでもやる事はないですから」

神様「海とか、買い物とか、貝食いツアーとかしないの?」

神使「貝食いって・・・ そんな事するのは神様くらいですよ?」

神様「いやいや、巫女のA子ちゃんはプール行って海行って温泉入るって言ってたけど?」

神使「どんだけ水が好きなんですか・・・ そんな事するのは神様とA子ちゃんくらいです」

神様「何だよその言い方! 私とA子ちゃんが外れ者みたいじゃん!」

神使「そう言ったつもりです」

神様「・・・・・・」

578: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/25(火) 04:13:10 ID:x9saOh.6

友「神使・・・ お前、神に向かって随分とキツい発言するな・・・」

神様「友くん! もっと言ったって! この子、私に凄くきつく当たるの!」


神使「神様? 神社で奉職するというのは仕事とは違うんです」

神様「またそんな労働基準法の抜け道みたいな事言いやがって!」

神使「友さんも神様を甘やかさないで下さい。 すぐ調子に乗りますから」

友「・・・・・・」

神様「労働基準法を遵守せよ!」ギャーギャー


友「お、おれ夕飯買ってくるわ・・・」

581: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:03:47 ID:NBlwRsYE

─── 夜


侵入者A「おい、今日はこの辺でも掘ってみるか?」

侵入者B「そうだな。 じゃぁ早速───」


 神様「オラァァーーッ!!」ダダダダダ


侵入者A「やべ、巫女だ!」

侵入者B「逃げろ!」タッタッタッ


 神様「穢れなき神聖な場所で何やってんだ!! 呪うぞ! 狐神呼んで陰湿な呪いくらわすぞ!」



友「なぁ、あの方は本当に女神様なのか?」

神使「はい、神宮が誇る穢れなき神聖な女神さまです」

友「穢れなきねぇ・・・」



 神様「コラー!! お前も私の財宝を狙っているのか! 猫神呼んで折檻させるぞ!!」ダダダダダ

582: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:04:54 ID:NBlwRsYE


─── 社務所・深夜


ガラガラ


神様「ふぃ~ いい汗かいた」

友「・・・・・・お疲れ様でした」


神様「友君さぁ、盗人達の普段の追い返し方が不十分なんじゃない?」

友「そ、そのようですね」ハハハ

神様「まぁ、これでしばらくは邪魔者は来ないだろう」

583: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:05:44 ID:NBlwRsYE

神使「神様、神宮から花摘み神社の資料がメールで届いてます」

神様「お~ 早いな」

神使「神勅ですから・・・ 神宮の資料室の方達も総出で対応したようです」

神様「どれどれ~」


友「へぇ、さすが神宮。 見た事ない資料ばっかりだ」

神様「何か変わった事あった?」

神使「そうですね、この神社ですが過去に社名が変更されているようです」

神様「名前が?」

神使「はい、以前は“茶摘み神社”と言われていたようです」

神様「茶摘み? そうなの?」

友「はじめて聞きました」

584: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:07:00 ID:NBlwRsYE

神様「茶摘みって、トイレ関係ないじゃん!」

神使「私に言われましても・・・」

神様「あっ、お茶飲むとトイレ行きたくなるからってやつ?」

神使「そんな理由で神社名を変更しないと思うのですが・・・」


神様「他に何か埋蔵金のヒントになりそうなものは?」

神使「茶摘み神社時代の資料はもう残っていないようです」

神様「う~ん、茶摘みか・・・」

友「摘むという部分は変わっていないんですね」


神様「茶摘み・・・ 夏も近づく八十八夜・・・」

神使「え?」

585: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:07:52 ID:NBlwRsYE

神様「茶摘みだよ。 茶摘みの歌」

神使「歌?」

神様「♪夏も近づく八十八夜~ 野にも山にも若葉が茂る~」

神使「その歌が何か関係あるんですか?」

友「まさか、茶摘み歌がこの神社と関係があると?」

神様「・・・・・・」

神使「ちょっとこじつけ過ぎではないですか?」

神様「いや、そうとも言い切れないぞ」

神使「どういう事です?」

神様「大抵昔の歌は歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ」

神使「どこの常識ですかそれ・・・」

586: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:09:24 ID:NBlwRsYE

神様「この辺ってお茶の産地なの?」

友「いいえ、聞いた事ございませんね」

神様「八百万の神が祀られているんだったら、お茶の神もこの神社に祀ってあるんじゃない?」

友「あるかも分かりませんが・・・ 今この神社で把握しているのは三つだけです」

神様「三つ?」

友「はい。 今日は遅いですし、明日朝にでもご案内いたします」

神様「もう2時か・・・ 眠いわけだ」フワー

友「朝までは私が見張りを」

神使「いえ、私が見張りをします。 その為にバイトに来たので」

神様「犬ころが犬ころである所以、神使君は番犬なのだよ。 それ以外の何ものでもない」

神使「狛犬です」

神様「へいへい、それじゃおやちゅみ~」バタン

587: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/26(水) 23:10:09 ID:NBlwRsYE

神使「え!? ここで寝るんですか?」

神様「だって~ 私と神使君はもう離れられない関係だし~」ポッ

神使「うっ・・・///」

友「?」

神使「あっ、特に深い意味はございませんから。 気にしないで下さい友さん」

友「意味も何も、神付き神使は主神と道中離れちゃいけないからだろ?」

神使「え!? そ、そうでした。 そう言うことです」アセアセ

友「どうしたんだ?」


神様「ウヒヒヒ。 ま、そう言う事にしておきますか」

592: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:50:46 ID:Z6PQVj1o


─── 翌朝・社務所


チュンチュン


神様「・・・・・・朝?」ボー

神使「あっ、神様起きられます?」

神様「ん」モソモソ


神使「今日は珍しく寝相が良かったですね」

神様「・・・あ? お前膝枕してたの?」

神使「えぇ、まぁ」ポリポリ

593: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:51:30 ID:Z6PQVj1o


ガラガラ


友「あっ、神ちゃんさんおはようございます」

神様「おはよう」


友「献身的な神使ですな。 頭が下がるよ」

神使「からかわないで下さい」

友「からかってないよ」

神使「・・・・・・///」


友「朝食を買ってきました」

594: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:52:46 ID:Z6PQVj1o


─── 居間


神様「やっぱりおにぎりはツナマヨだよね」モグモグ

友「良くお分かりで」モグモグ

神使「お二人がツナマヨが好きなのは良いのですが、全部ツナマヨというのは・・・」

友「だから野菜スティックも買ってきただろ?」

神使「はぁ・・・」


神様「食べた食べた。 ごちそうさま」

友「では、昨日お話ししたお祀りしてある3つの石碑にご案内します」

神様「あ~ ここから近いの? 外暑そうだしあんまり動きたくない」

友「すぐ近くなので大丈夫です」

595: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:53:41 ID:Z6PQVj1o


─── 社務所前


神様「朝なのに暑いね~」

神使「ここ数日、良いお天気ですよね」


神様「それじゃ、行きま───」

友「こちらが石碑です」

神様「え? まだ社務所前だよ? 三歩しか動いてないけど」

神使「確かに、石像っぽいのが三つ並んでいますが」

神様「社務所の真ん前って・・・ 昨日は気がつかなかった」

友「原型は分からないほどに風化していますし、かなり小さいものなので」

596: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:56:10 ID:Z6PQVj1o

神様「これ参道の真っ正面にあるって事は結構重要なものじゃないの?」

神使「普通はこの場所には本殿がありますから、ご神体という事も考えられますよね」

友「確かに・・・ どうして脇にあるトイレが本殿なのかなぁ?」


神様「まぁいいや。 で、この三つは何を祀ってんの?」

友「“水”と“お米”の神と聞いております」

神様「水と米ねぇ~」

神使「確かに石碑には米印(※)の刻印がありますね。 真ん中のヤツは特に米印も大きいですし」

神様「三つとも米印があるのか・・・」

597: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:57:15 ID:Z6PQVj1o

神使「中心が米で両隣が水でしょうか? 随分と変わった祀り方ですよね」

友「米を育てるのに水は不可欠だし、日照り続きで米が不作にならないように合祀しているんじゃないのか?」

神様「ん~」キョロキョロ

神使「神様、どうされました?」

神様「この石碑の前だけ石畳が敷かれてるな。 結構広い」

神使「本当ですね。 綺麗に石が揃っています」

友「祭りの日にこの場所で巫女舞が奉納されるので、そのスペースになっているからだと思います」

神様「ここで巫女舞が・・・」

598: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:57:57 ID:Z6PQVj1o

神使「そのお祭りはいつ頃なのですか?」

友「確か、5月の第1日曜日だったかな」

神使「・・・八十八夜に近いですね」

神様「やっぱり何かあるなぁ~」

神使「まさか本当に埋蔵金が?」

神様「ここ掘り返してみる?」

神使「ダメに決まっているじゃないですか。 それに歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば他の歌詞も解かないと・・・」


友「失礼ですが、神ちゃんさんの神力で調べたり出来ないのでしょうか?」

神様「・・・・・・」

神使「・・・・・・」

友「?」

599: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 08:58:59 ID:Z6PQVj1o

神様「こんな事で神の力を使うなんて事は出来ない。 神力は人の願いを成就するためにあるのだよ」

友「!? し、失礼しました!」フカブカ

神使「・・・・・・」ジーッ

神様「そんな見るなよ。 照れるだろうがっ!!」ゲシッ

神使「痛い!」

友「ん? どうした神使」

神使「いえ、何でもありません」スリスリ


神様「他の歌詞かぁ~」


神様「♪夏も近づく八十八夜
    野にも山にも若葉が茂る
    あれに見えるは茶摘みじゃないか
    茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠~ 」


神使「茜(アカネ)、襷(タスキ)、菅(スゲ)という言葉が出てきますね」

600: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 09:00:42 ID:Z6PQVj1o

神様「茜・・・ アカネ・・・」

友「アカネは確か染料で使いますよね。 赤い染料」

神使「神社だと巫女さんの緋袴の色ですね」

神様「緋袴・・・ 巫女かぁ~ そう言えば昔はアカネで袴を緋色に染めたな」


友「あっ! そう言えば、参道の脇にアカネが沢山植えられています」

神様「マジで!?」

友「えぇ、入り口の鳥居からここまでの参道までビッシリと」

神様「アカネの帯か・・・ 茜襷はそれを意味しているな。 後は菅の笠・・・」

神使「スゲはしめ縄で使われたりしますが」

601: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/29(土) 09:01:47 ID:Z6PQVj1o

友「この社も、しめ縄と社務所の屋根がスゲで作られていた気が・・・」

神使「そう言えば、社務所の屋根が笠に見えますよね」

神様「このキノコ型の社務所の屋根は笠を表してるのか!」

友「菅の笠・・・ ですか」

神様「ほぉ~ 繋がったな。 間違いない、茶摘み歌はこの神社の事を歌っている」

神使「でも、肝心の茶摘みの由来が分からないですが」

神様「お茶と、この神社を結ぶ何かがあるはずだ」

友「お茶・・・ う~ん、思いつかないですね」

神様「財宝が近づいてきている! これで地獄のローンともおさらばだ!!」

神使「・・・・・・」ジトー

神様「うそうそ、皆が幸せになれるの間違い」ハハハッ

神使「全く・・・」ハァ

604: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 21:32:27 ID:K1rUDJU.

神様「それより、神事の時の巫女舞って誰が舞うの?」

友「伝承では村の生娘だったと聞いておりますが、今はうちの巫女達が奉納しています」

神様「ちょっと見てみたいんだけど、お願い出来たりする?」

友「夕方でよろしければ。 ただ巫女も夏休みに入っている者が多く人数が少ないですがよろしいですか?」

神様「うん。 一人だけでも振りが分かれば、他は何となく補完できるから」

友「え?」

神使「神様はこう見えて巫女なので」

友「巫女?」

605: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 21:34:06 ID:K1rUDJU.

神使「実は神力ゼロなので神宮では巫女の仕事しかやらせてもらえ───」

神様「セイッ!」ゲシッ

神使「痛っ!」

友「・・・・・・」


神様「私は巫女舞に関しては誰にも負けないほどには造詣が深いのだよ」

友「さすが神宮の女神さま。 見かけによらずやる事は押さえているのですね」フム

神様「・・・・・・」

神使「メモします?」

神様「う~ん、今のはいらない」

606: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 21:34:52 ID:K1rUDJU.

神使「さて、それでは本日の奉務をはじめましょう」

神様「今日は境内を徹底的に調べる感じだな」

神使「神様? お忘れかも知れませんがアルバイトをしに来たのですよ?」

神様「分かってるよ。 掃除しながら調べりゃ良いんだろ」


友「私は普段手つかずの裏庭の草むしりをしてきます」

神使「では、私は建物周りを。 神様は参道のお掃除をお願い出来ますか?」

神様「へいへい。 って、私の範囲広くない?」

607: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 21:35:38 ID:K1rUDJU.

神使「箒を持たせて神様の右に出るものはおりませんから」

神様「やっぱり?」

神使「神様の箒捌きは、神宮の庭師の方ですら真似できないと言わしめるほどです」

神様「だよね~ まぁこの位の広さの参道なら半日やればできちゃうけどね!」

友「半日!? 1人でですか?」

神様「あれ~ 信じてないな? よかろう! 神使くん、箒を」

神使「はい、どうぞ」スッ

神様「その目で刮目せよ、神ちゃんの箒捌きを!!」タッタッタッ


友「・・・単純で良いな」

神使「はい」

608: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:26:29 ID:K1rUDJU.


─── 参道入り口


サァ サァ


神様「♪夏も近づく八十八夜~」

じいさん「おんや~ 珍しい。 巫女さんがおる」ヨロヨロ

神様「おはようございます。 絶好の徘徊日和ですね」

じいさん「じじいはそれが仕事じゃからの」

神様「その年でボケないのは毎日の徘徊のおかげという事ですね!」

じいさん「徘徊するのはボケてる証拠じゃがな」

神様「面白い!」ハハハッ

じいさん「じゃろ?」ハハハッ


神様「・・・・・・」

じいさん「・・・・・・」

609: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:28:05 ID:K1rUDJU.

神様「じいさんはこの村は長いの?」

じいさん「生まれてからず~とこの村に住んどるな」

神様「じゃぁ、この神社の事って詳しい?」

じいさん「不思議な所じゃよ」

神様「不思議?」


じいさん「入り口の横に池があるじゃろ?」

神様「ん? あ~ まん丸の小さい池があるね」

じいさん「参道をはさんで反対側にもあるんじゃよ」

神様「そうなの?」トテトテ

じいさん「今は枯れているがのぉ」

神様「本当だ、空っぽ」

じいさん「小宝池と言ってな? 池の水はとても清らかで“宝水”と言われているんじゃ」

神様「宝水・・・ たから!?」

610: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:30:01 ID:K1rUDJU.

じいさん「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになるという言い伝えがあるそうじゃ」

神様「ほぉ~ 村が豊かに」

じいさん「ワシが小さいときに爺様から聞いた話じゃがな」

神様「両方の池に水か・・・」


じいさん「この地区は近くに川もなければ水もでない場所でな。 地下に水脈がなく昔は年中水不足じゃった」

神様「あ~ それで宝水か・・・ 財宝の事じゃないんだ」

じいさん「水の話をしていたら喉が渇いた。 巫女ちゃんも何か飲むか? その自販機で買ってやるぞ」

神様「コーラを! 赤い缶のやつ」

じいさん「これか」ポチッ


ガコン


じいさん「ほれ、じゃぁな。 可愛い巫女ちゃん」ヨロヨロ


神様「じいさん、トクターペッパーだよこれ・・・」

611: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:30:43 ID:K1rUDJU.


─── 夕方・社務所前


神様「ふ~ 疲れた」トテトテ

神使「ご苦労様です。 落ち葉は捨ててきました?」

神様「裏庭にまとめて置いてきた」

友「本当にお一人でやってしまったんですね」

神様「おかげで調査の方は出来なかったけど・・・」

神使「それで良いんです」


神様「ん? 友くんの隣にいる子は?」

612: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:32:31 ID:K1rUDJU.

巫女「初めまして、立派天満宮の巫女と申します」ペコリ

神様「これはこれはご丁寧に。 神宮の内宮巫女のかわゆい神ちゃんと申します」ペコリ

友「神事の巫女舞をと思いまして」

神様「あ~」

巫女「申し訳ありません、今日は私しか出勤しておらず・・・」

友「でも巫女舞は彼女が一番上手ですから」

巫女「いえ、そんな事は・・・」

神様「楽しみ~」

巫女「そんな神宮の巫女様にお目にかけられるほどのものでは・・・///」

神使「ご心配なく。 正式な神事とは違いますので、気を楽に」

友「じゃ、早速で悪いんだけどお願い出来る?」

巫女「はい」スタスタ

613: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:33:22 ID:K1rUDJU.

友「神ちゃんさん、始めてよろしいですか?」

神様「うん。 よろぴこ」


巫女「では、はじめます」



♪~


神様「・・・・・・」ジー

614: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:34:28 ID:K1rUDJU.


─── 十分後


♪~


巫女「以上です」ペコリ

神様「・・・・・・」

神使「神様、どうですか?」

神様「巫女ちゃんって浦安の舞とか出来る?」

巫女「浦安・・・ はい、あまり得意ではありませんが」

神様「さわりだけでも良いから見せてもらってもいい?」

巫女「分かりました」



♪~


神様「おっけ~ ありがと」

巫女「?」

615: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:36:01 ID:K1rUDJU.

神使「もうよろしいんですか? 10秒くらいしか経っていませんよ?」

神様「巫女ちゃん、舞が上手だね」

巫女「お褒め頂きましてありがとうございます」ペコリ

神様「A子ちゃんの百倍は上手だ」

神使「比べる相手の次元が・・・ A子ちゃんは舞で転んでそのままでんぐり返して退場しますからね・・・」

神様「アレは斬新だよね」

友・巫女「・・・・・・」


神様「気になった事があるんだけど聞いてもいい?」

巫女「はい」

神様「この神社の神事の舞の時、動きがぎこちなかった気がするんだけど」

巫女「あっ・・・」

616: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:37:07 ID:K1rUDJU.

神様「足下を気にし過ぎていた感じかな。 浦安の舞の時はそれを感じなかった」

神使「そうですか? とても美しい舞でしたが」

巫女「いえ・・・ 仰る通りだと思います」

神使「どういうことです?」


巫女「こちらが花摘み神社の舞の教本です」スッ

神様「見てもいい?」

巫女「どうぞ」

神様「・・・なにこれ?」ペラッ

617: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:38:21 ID:K1rUDJU.

神使「八五左、八七右・・・ 昔の棋譜のようですね」

巫女「はい、仰るとおり棋譜です」

神様「ん?」

巫女「実は、足の置く位置が石畳の決められた場所になっていまして」

神使「石畳?」

巫女「はい。 最初の“八、五、左”というのは正面から八つ目、右手から五つ目の石畳の上に左足を置くという意味なんです」

神様「なるほど・・・ それで足下を気にしながら舞っていたんだ」

友「へぇ~」

神使「友さん知らなかったんですか?」

友「さすがに巫女舞の事は・・・」

神使「これ、覚えるの大変ですよね」

618: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:39:18 ID:K1rUDJU.

神様「この舞って、他に何か特殊な事ってある?」

巫女「そうですね・・・ 神事の時は三人で舞うんですが、本当は一人だけのようです」

神様「一人?」

巫女「はい。 ただ一人だけですと少し寂しいので三人に増やしたと聞いております」

神様「・・・・・・」


神使「何か分かりましたか?」

神様「巫女舞に関しては私より知識のある奴はいないと自負しているけど、こんな変な舞は初めてだな」

619: ◆8YCWQhLlF2 2017/07/30(日) 23:40:41 ID:K1rUDJU.

神使「ちなみに、これは何という舞なのですか?」

巫女「“長閑の舞”と申します」

神様「“のどかのまい”か・・・」

神使「聞いた事ありませんね」

神様「私も初耳だ」


友「お役に立てましたでしょうか?」

神様「最後に一つ巫女ちゃんにお願いがあるんだけど良い?」

巫女「?」

625: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:38:02 ID:Tnbkc1KE


─── 夜・社務所


ガラガラ


巫女「お邪魔します」

友「おっ、ご苦労様」

巫女「」ペコリ

友「神ちゃんさんへの教授は終わった?」

巫女「私が知っている事は全て」

神使「あれ? 神様はまだ外ですか?」

巫女「それが・・・ もう少し練習したいと」

友「そりゃ随分と熱心だな」

626: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:38:56 ID:Tnbkc1KE

神使「巫女舞に関しては神様なりの拘りがあるようですので」

友「へぇ~」


巫女「凄いんですね」

神使「あ~ たぶん自分の知らない巫女舞だったので興味津々なだけだと思いますから」

巫女「はぁ・・・」

神使「もっと言えば、自分の知らない巫女舞が存在しているという事が納得いかないのでしょう」

巫女「・・・・・・。 で、でも神ちゃんさまとても綺麗な舞で・・・ あんなに美しく舞える方、初めてお会いしました」

神使「神様は巫女舞に関しては神宮で一番お上手ですから」

巫女「通りで・・・」


友「さて、今日は遅いし巫女ちゃんは上がって良いよ?」

巫女「はい。 それではお先に失礼させて頂きます」ペコリ

627: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:39:37 ID:Tnbkc1KE


─── 1時間後


ガラガラ


神様「ふへぇ~ 疲れた」トテトテ

神使「あっ、神様。 随分と熱心でしたね」

神様「ひっひっひっ」ニヤッ

神使「?」

神様「覚えてやったぜ!」

神使「覚えたって・・・ あの巫女舞をですか?」

神様「おうよ! 最初から最後までな!」

628: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:40:22 ID:Tnbkc1KE

神使「あんな数字の羅列、この短時間で良く覚えきれましたね」

神様「まぁ私にかかればこのくらい朝飯前だって事!」

神使「さすが巫女舞に関しては敵無しですね・・・」

神様「私の知らない巫女舞は存在しない! これがこの世の理!」

神使「そうなんですか・・・」

神様「でもさすがに疲れたな」

神使「時間も遅いですし、お休みになりますか?」

神様「そうね・・・ でもその前に」トテトテ

神使「どちらへ?」

629: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:41:04 ID:Tnbkc1KE

神様「寝る前にお花もりもり摘んでくる」

神使「・・・そうですか」


神様「それはもう、もりもりと!」

神使「分かりました・・・」


神様「信じられないくらい、もりも───」

神使「もう良いです。 あっ、社務所のお手洗いは友さんがお掃除中ですよ」

神様「まじで!? んじゃ外の方に行ってくるわ」トテトテ

神使「暗いので気をつけて下さいね」

神様「へいへい」ガラガラ

630: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:41:42 ID:Tnbkc1KE


─── 数分後


ガラガラ


友「ふぅ」

神使「あっ友さん、掃除の方は終わったんですか?」

友「あぁ。 ・・・あれ? 神ちゃんさんは?」

神使「お手洗いの方へ」

友「でも、すれ違わなかったけど?」

神使「お掃除中と言ったら外のトイレに行くと」

友「・・・多分、本殿のトイレだよな」

神使「だと思いますが」

631: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:42:22 ID:Tnbkc1KE

友「どうしよ」

神使「何か問題でも?」

友「あそこ、トイレって言っても一般には解放していないんだよ」

神使「え?」

友「一応本殿扱いだし。 あれでも重要文化財だから」

神使「連れ戻しましょうか?」

友「う~ん」

神使「出たばかりですからまだ間に合うかと思いますよ?」

友「いや、神に本殿使うなってのも失礼だろ」

神使「まぁ、そうですね・・・」

632: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:44:35 ID:Tnbkc1KE


─── トイレ本殿


ギー


神様「うわ~ 古! 和式じゃん! しかも蓋付き!?」パカッ


チョロチョロ


神様「ん? 下に小川・・・ 用水路か? この時代に垂れ流し式って平安でもオマルだったぞ・・・」

神様「まぁいいや。 秘技! 袴を脱がずにトイレをする術!」ゴソゴソ


神様「さて、お花をもりもり摘みませう・・・ って、壁に何か書いてある」

633: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:46:16 ID:Tnbkc1KE



 摘んだか



神様「摘んだか・・・ って、何を? あっ、取っ手がある」

神様「はは~ん、お花を摘んだ後に取っ手を引く。 中にちり紙が入ってるのかな?」ギィ


プシュー


神様「ウギャー! お尻に水が!! まだしてない! まだしてないよ!」ビクッ


プシュー


神様「真水のウォシュレットかよ! 冷てーよ!」ジタバタ

634: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:47:05 ID:Tnbkc1KE


ミシミシ


神様「?」


バキバキ


神様「なるほど、床が腐っているのですね? そして暴れた私は床が抜け無残に落ちてしまうのですね? 分かりました」


バリバリ


神様「覚悟は出来ている! さぁ落とせるものなら落とすが良い!」

635: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/07(月) 01:47:46 ID:Tnbkc1KE


ドーン
ジャボン


神様「あ~れ~ 流されるぅ~」


バシャ バシャ



神様「行ってきま~す」

638: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:34:32 ID:DUBIsCs2


─── 社務所


友「なぁ、神ちゃんさんちょっと遅くないか?」

神使「きっとコーラでも買いに自販機まで行ったのでは?」

友「コーラ?」

神使「参道の入り口に自販機がありましたから、時間的にそろそろ帰ってくるかと」

友「そう・・・ なのか?」


ガラガラ


神様「たでーま~」

友「お~」

神使「あっ、やっぱりコーラ持ってますね。 ダメですよ神様、こんな時間にコーラだな・・・ ん・・・ て?」

639: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:35:23 ID:DUBIsCs2

友「神ちゃんさん! どうしたんです?」

神使「ビショビショじゃないですか! 雨でも降っているんですか?」


神様「トイレに落ちた」

神使・友「・・・・・・」


神様「いや~ 久々に焦ったわ」

友「落ちたって・・・ トイレの中にですか?」

神様「そうそう」

神使「それにしては、その・・・ 綺麗ですね」

神様「ん?」

640: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:36:03 ID:DUBIsCs2

友「確かに。 使っていないトイレでもさすがに落ちれば・・・ もっと、こう・・・」

神様「くみ取り便所じゃないよ? あのトイレ、下に人が入れるくらいの用水路が流れてるんだよ」

神使「用水路?」

神様「すんげー昔の仕組みだね、あれ」

友「そんな構造になっているんですか」

神様「え? 知らないの?」

友「あそこはトイレとしては使っていませんから」

神様「・・・・・・」


神使「一応本殿ですし、一般開放されていないそうなんです」

神様「あ~ それで床が腐っていたのかぁ~ なるほどね~」ハハハ

友「あははは」

641: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:37:01 ID:DUBIsCs2

神様「先に言えよ!」ゲシッ

神使「痛っ! え!? 私ですか?」スリスリ

神様「ったく・・・」


友「でも、本殿の下に用水路があるなんて初耳でした」

神使「随分と変な構造ですね」

神様「そうか、そう言う事か!」

神使「何がです?」

神様トイレに流されて分かったことがあるんだよ」

友「?」

642: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:37:52 ID:DUBIsCs2

神様「神社の入り口横に池があるの知ってる?」

友「あ~ 小宝池でしたっけ」

神様「そう、参道を挟んで左右にある小さな丸い池」

神使「その池がどうしたんですか?」

神様「私が流されて、たどり着いたのが池だったんだよ」

友「トイレ下にある用水路が池と繋がっているという事ですか?」

神様「両方の池に水が張ったとき、村が豊かになる」

神使「?」

神様「参道を掃除していた時じいさんから聞いたんだよ」

神使「両方の池に水・・・」

神様「そう。 今は片方しか池に水がないの」

友「そう言われれば」

643: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/09(水) 05:39:09 ID:DUBIsCs2

神使「友さん、池の調査とかはやられていないんですか?」

友「一応、神池だしな。 この神社自体あまり調べたりとかそう言う事はしていないんだよ」

神様「きっと枯れた片方の池にも同じような仕組みがあるんじゃない?」

友「何かの原因で片方の用水路には水が流れていないと考えるのが普通ですよね」

神様「そう! きっとその用水路を見つけて水を流せば両方の池に水が!」

友「両方の池に水が張ると・・・」

神様「村が豊かになる」

友「それって・・・」

神様「財宝だよ」ニヤッ

友「神ちゃんさん!」

神様「友くん!」


友「」グッ!

神様「」グッ!


神使「・・・・・・友さんはいつから神様派になったんです?」

655: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 22:59:59 ID:iJE/KWfU

神様「よーし! それじゃぁ早速───」

神使「ダメです。 今日はもう遅いんですから」

神様「え~」

神使「盗人の監視役が盗人になってどうするんですか・・・」

神様「神社の物は私の物! 私が財宝をもらう権利があるの!」

神使「ないです」

神様「あるの!!」

神使「それでは、全国の神社の借金も神様の物という事で良いですか?」

神様「えっ!?」

神使「全部神様が引き取っていただけるんですね?」

神様「撤回。 神社の物は皆の物」

656: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:00:59 ID:iJE/KWfU

神使「ハァ・・・ まぁ、このまま無視しておくのもモヤモヤしますし明日調べてみましょう」

神様「よしっ! じゃぁ今日は寝る!」

神使「そんなビショビショで寝るんですか? シャワー浴びて着替えて下さい」

神様「ん」トテトテ


神使「パジャマ脱衣所に持っていきますから、ちゃんと着て下さいよ?」

神様「分かったよ」

神使「あとパンツもちゃんと履いて───」

神様「うるせーよ! 履くよ!! 私を全裸キャラにするなよ・・・」トテトテ

友「・・・・・・」

657: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:02:21 ID:iJE/KWfU


─── 翌日・朝


神様「はよ~」ムニャムニャ

神使「おはようございます、神様」

友「おはよ・・・う・・・・・・」

神様「ん? どったの友くん」

友「いえ、その・・・///」

神使「神様? パジャマどうされたんですか?」

神様「起きたら着てなかった」

神使「はい、廊下に落ちていましたから着て下さい」スッ

神様「お~」イソイソ

神使「上着とズボンが別々の場所にありましたよ?」

神様「たぶん、私のパジャマには付喪神が宿っているんだよ。 だから歩くんだよ」

神使「またそんな・・・ すいません友さん」

友「い、いや・・・」

658: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:03:36 ID:iJE/KWfU

神使「コンビニでおにぎり買ってきましたから」

神様「おにぎり飽きたな~」ゴソゴソ

神使「今日はいつもと違う具にしましたので」


神様「ねぇ、ツナマヨないよ?」

神使「聞いていました? いつもと違う具です」モグモグ

友「神使は分かってないよな~ ツナマヨを食べないと1日が始まらないって事を」

神使「友さんまで・・・ はい、神様は鮭です」

神様「これさぁ、本当に鮭なの? オレンジ色した糸くずじゃない?」

神使「友さんは昆布です」

友「・・・また微妙なものを」

神使「嫌なら朝食抜きです」

神様・友「!? 食べます!」

659: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:05:15 ID:iJE/KWfU

神使「それで、今日はどうされるんですか?」

神様「もちろん枯れた池に繋がる用水路探し」モグモグ

友「神ちゃんさんが流された用水路は地下を流れていたんですよね?」

神様「そうそう。 水量は多くなかったけど、ちょっと坂になっててツルツルーって」

神使「用水路の水はどこから来ているんですか?」

友「う~ん・・・ この辺に川なんて無いんだけどな」

神様「じいさんもそんな事言ってた」

友「あの池の水も地下から湧き出しているかと思ってた」

神使「用水路が繋がっているという事は、池に出口があるはずですよね」

友「そんなもの見た事無いんだけどな~」

神様「でも、私が流されてたどり着いた先は小宝池だったよ?」

神使「先に池の方に行ってみましょうか」

友「そうだな」

660: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:06:16 ID:iJE/KWfU


─── 小宝池(左)


神使「綺麗な神池ですね」

神様「でもトイレの出口~」

神使「・・・・・・」


友「ぱっと見、用水路の出口は見当たらないんだけどな~」キョロキョロ

神使「神様は本当にこの池に流れ着いたんですか?」

神様「嘘言ったって仕方ねーベ! 池から這い上がって自販機でコーラ買ったんだし」


友「あっ、おい神使あそこ見てみろ。 縁の所」

神使「木片がいっぱい・・・ 土手の土が少しめくれていますね」

友「もしかして・・・」テクテク

神使「ちょっと、友さん。 池に入るんですか?」

友「あぁ、膝下までしか深さはないし」

661: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:07:53 ID:iJE/KWfU


バシャバシャ


友「ん~」ゴソゴソ

神様「どう? なにか変なところある?」


友「この木片は・・・」

神使「?」


友「おい、これ見てみろ」


ギィー


神様・神使「!?」

662: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:08:34 ID:iJE/KWfU

友「用水路の出口だ」

神使「そんなところに扉が・・・」

友「内側からの圧で開いて押し出すタイプだな」

神使「水草や土が張り付いていて池の方からは分からないんですね」


友「この木片は神ちゃんさんが床を抜いた本殿の木だよ。 一緒に流されたんだろうな」

神様「わざとじゃないからね? 腐ってただけだから弁償はしないよ?」


神使「と言う事は、反対側の枯れた池にも同じ仕組みが・・・」

友「あぁ、見てみよう」テクテク

663: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:09:29 ID:iJE/KWfU


─── 小宝池(右)


友「あったぞ!」


ギィー


神様「用水路!」

神使「水は流れていませんね」


友「ギリギリ行けるな」

神使「まさか、中に入るんですか?」

友「行けるとこまで。 懐中電灯あるか?」

神使「えぇ」スッ

友「サンキュ、ちょっと見てくるわ」

神使「気をつけて下さいね」

664: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:10:32 ID:iJE/KWfU


─── 数分後


友「ふぅ~」

神使「あっ、友さん」

神様「どうだった? お宝山盛り?」

友「途中で扉があって進めないですね。 たぶん内側からじゃないと開かないと思います」

神使「池の用水路出口と同じ構造ですね・・・」

友「あぁ、どこかに用水路の起点があるはずだと思うんだけどな」

神様「もうさぁ、この参道全部掘り返しちゃおうよ」

神使「ダメに決まってるじゃないですか」

神様「茶摘み歌と良い、この仕掛けといい宝は間違いなくこの神社にある!」

665: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:11:16 ID:iJE/KWfU

神使「・・・う~ん」

神様「どったの?」

神使「いえ、何か引っかかるんです」

神様「?」

神使「茶摘み歌です」

友「何が引っかかるんだ?」

神使「確かに、フレーズを見るとこの神社と合致しているところは多いのですが・・・」

神様「なら良いじゃん」

神使「いえ、やはりおかしいと思います」

友「聞こうじゃないか」

666: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:12:13 ID:iJE/KWfU

神様「♪夏も近づく八十八夜
    野にも山にも若葉が茂る
    あれに見えるは茶摘みじゃないか
    茜(あかね)襷(だすき)に菅(すげ)の笠~ 」


神使「“あれに見えるは茶摘みじゃないか”って、思いっきり茶摘みと言っているんです」

神様「分かりやすくて良いじゃん」

神使「もし、茶摘み歌が埋蔵金のありかを示しているのであれば隠すはずです」

神様「マジで!?」

神使「神様が言ったんですよ? 歌詞をもじって秘密を記すのが常識だ、って」

神様「言ったっけ?」

神使「・・・・・・」

667: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:13:32 ID:iJE/KWfU

友「なるほど・・・ 確かに普通は隠すよな」

神使「はい、思いっきり場所を言ってしまっているんです」

神様「でも、茜・襷・菅の笠はこの神社じゃん」

神使「この神社の事をうたっているのであれば、その部分の歌詞は必要ないのでは?」

友「何か別の意味があると?」

神使「・・・・・・」

神様「え~ でもこの神社の事をうたっているのは間違いないと思うんだけどなぁ~」

神使「しかし隠す必要があるのであれば肝心の場所がすぐに分かっては意味ありません」

神様「だから神社名を変えたんじゃない?」

神使「歌に合わせて神社名を? 普通歌の方が合わせませんか?」

神様「まぁ、そうね」

668: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/13(日) 23:14:37 ID:iJE/KWfU

神使「仮に歌の方に合わせて神社名を変えたとなると、その時に初めてこの歌が秘密の歌として効力を発揮します」

友「つまり、埋蔵金は茶摘み神社時代ではなく花摘み神社時代に出来上がったと?」

神使「いえ、時代的にそれはないとは思うのですが・・・ なにか引っかかるんですよね・・・」

友「この辺は特に民間信仰が強かったから、何か別の意味があるのかもな」

神使「民間信仰ですか・・・」


神様「あっ、だったら専門家に聞けば良いんじゃない?」

神使「専門家?」

神様「ほら、民俗学の第一人者に知り合いがいるじゃん」

神使「・・・まさか」

671: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:21:21 ID:Yddk5ylg


─── 翌日


村長「お久しぶりです」ペコリ

神様「おひさ~」

神使「ご無沙汰しております。 たぬ吉さんはお元気ですか?」

村長「はい、毎日ご立派にお務めを行っております」

神様「たぬきのお務めって何だよ・・・」


神使「友さん、ご紹介します。 こちら村長さんで“こわこわ神社”の宮司さんと、村の村長さんを兼任されています」

神様「兼、神宮の民俗学研究担当なのだ!」

672: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:21:56 ID:Yddk5ylg

友「はじめまして、花摘み神社の管理を任されております友と申します」

村長「ご丁寧にどうも。 しかし中々興味深い神社ですね」

神様「でしょ? で、早速で悪いんだけどさぁ~」

村長「私にお手伝いできる事があれば何なりと」

神使「実は村長さんのご意見を伺いたい事がありまして」

友「とりあえず社務所の方へ。 詳しくお話しいたします」

673: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:23:03 ID:Yddk5ylg


─── 社務所


村長「なるほど・・・」

神使「いかがでしょうか?」

村長「非常に興味深いお話しですね」

神様「これ間違いなく埋蔵金だよね!」

村長「茶摘み歌がこの神社の事をうたっているのは間違いないと思います」

神様「やっぱり? さすが私の推理力も大したもんだ!」カッカッカッ

神使「村長さんの考えをお聞かせ頂けないでしょうか?」

村長「まだ仮説ですが紐解いていって見ましょう。 まず、茶摘み歌1番の3節目を見て下さい」

674: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:23:47 ID:Yddk5ylg

神様「あれに見えるは~ 茶摘みぢやないか~♪」


村長「ありがとうございます」

神様「どういたしまして」ペコリ


村長「これは、茶摘み神社の事です」

神使「私達もそう思ったのですが・・・」

友「直球で場所をバラすような事をするのは変ではないかという結論に至りまして」

村長「そうですね。 厳密に言えばこの神社の事を指してる訳ではないと思います」

神様「え?」

神使「どういう事です?」

675: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:24:39 ID:Yddk5ylg

村長「隠語です」

神様「隠語?」

村長「1番の第1節に戻ります」


神様「夏も近づく~ 八十八夜~♪」


村長「どうも」

神様「いえいえ」ペコリ


村長「八十八。 これはお米ですね。 88歳が米寿と言われる所以でもあります」

神様「社務所の前に※印の石碑があるんだよ」

村長「先ほど私も見ました。 両隣には2つの石像がありますね」

友「はい」

676: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:25:44 ID:Yddk5ylg

村長「八十八夜に行われる巫女舞の祭事写真はありますか?」

神使「神宮の資料に確か・・・」ペラッ

村長「なるほど・・・ 見て下さい、石碑の位置を」

神様「あれ? 縦に並んでる」

神使「今は横並びですよね?」

友「あ~ 神事の時には左右の石碑を移動させて横位置から縦位置にするんです」

村長「理由はご存じですか?」

友「いいえ、伝承でそのようにと」

村長「ちなみにこの舞は何という名だかお分かりに?」

神様「長閑の舞」

村長「のどか・・・ なるほど」

神使「何か気になる事でも?」

677: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:26:34 ID:Yddk5ylg

村長「その前に、第2節に戻りましょう」


神様「野にも山にも~ 若葉が茂る~♪」


村長「恐れ入ります」

神様「なんのなんの」ペコリ


神使「茂る・・・」

村長「はい。 茂っているんです。 ボウボウと」

神様「ボウボウ?」

村長「はい、それはもうボウボウです」

神様「嫌だな村長~ ひ・わ・い!」

村長「はい、かなり●●ですね」

神様「?」

678: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:27:37 ID:Yddk5ylg

村長「1番の最後、第4節」


神様「茜だ───」

神使「あかねだすきに~ すげのかさ~♪」


神様「!?」ゲシッ ゲシッ ゲシッ

神使「痛い! 痛いです! すいません」

友「・・・・・・」


村長「茜は真っ赤ですね、それは血のように」

神使「・・・・・・はぁ」


村長「茜で染めたタスキ、昔は止血として使われてもいます」

友「・・・・・・まぁ」


村長「そして、笠。 丁度この社務所のように立派な形をしているんじゃないですかね? 太くて先が笠のようになって」

神様「・・・・・・ぁぅ///」

679: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:29:10 ID:Yddk5ylg

村長「まとめます」

村長「八十八夜にこの神社ではある神事があったはずです」

村長「その奇祭では男は裸。 もうボウボウと茂った立派で勇ましい若い男」

村長「そして、中央には3つの※印が付いたものが縦一列に、中央がメインでしょうな」

村長「茶摘み、これは茶入の事だと思います。 隠語で女性の大切な場所の事です」

村長「そして、そこがあかね色に染まる───」

神様「シャウエッセン!! もう良い! もう良いって分かったよ! 何だよそれ・・・///」


村長「きっと、この祭りの伝承を茶摘み歌に託したのでしょう」

友「なるほど、と言う事はあの石像も・・・」

村長「はい、神事化した際に女性と見立てたものだと思います」

神様「シャウエッセン!」

神使「随分と変わった神事なんですね・・・」

680: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:30:07 ID:Yddk5ylg

村長「似たような奇祭が別の村にもあります。 その地区の昔の初夜についての伝承です」

神様「え? 初夜!?」

神使「という事は婚礼に関わる儀式という事ですか?」

村長「はい、忌み祭でなく夫婦を誓うとても幸せで大切な神事です。 町の人に囲まれて行われるんです」

神様「なら良いけど・・・ って良くねーよ! なんでそんな衆人環視でやるんだよ! どんだけ見られたいの?」

村長「今とは価値観も違いますから。 村の習わしで、村から出た事のない民は抵抗すらなかったのでしょう」

神様「ちょっと待って? って事は埋蔵金は?」

神使「この歌の歌詞を見る限りでは埋蔵金の事は差していないと思います。 伝承歌ですから」

神様「うぅ~ 私の埋蔵金・・・」ガクッ

神使「神様の物ではありません」

681: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:30:50 ID:Yddk5ylg

村長「しかし、気になる事があります」

友「なんですか?」

村長「私も民俗学者として、神職として様々な神社を見てきましたが・・・ この花摘み神社の設計は明らかに変です」

神様「そう! トイレが本殿なんて変だよ!」

村長「この神社の設計者ですが、からくり技師だった可能性があるんです」

神様「からくり技師?」

村長「はい、彼は様々な山車のからくりを考案した天才で生前に1社だけ神社設計をしたと記録があるのです」

神使「それがこの神社だと言うんですか?」

村長「分かりません。 しかし、彼はこの村出身だったと考えられているんです」

友「だとすると、この神社を設計した可能性が高いですね」

神使「そう言えば、小宝池の用水路もトリックじみた感じの作りですよね」

682: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/17(木) 00:31:42 ID:Yddk5ylg

神様「あっ、そう言えばトイレ本殿がウォシュレットだった」

神使・村長・友「え!?」

神様「何か取っ手引いたら水が勢いよく噴き出してきてビックリして飛び跳ねたから床が抜けて落ちたんだよ」

神使「友さん、本殿のトイレは改築や修繕などは行われているのですか?」

友「いや、重要文化財で勝手にはいじれないし出来た当時のままを維持しているはずだ」

神様「でも、あれウォシュレットだよ? 川の水で冷たかったけど」

村長「・・・からくりの可能性がありますね」

神使「と言う事は、この神社には何か別の隠された物があると言う事でしょうか?」


村長「・・・歌詞の2番です」

神様「そう言えば、茶摘み歌って2番があるね」

村長「はい。 この神社の別の秘密が2番に隠されているのではと」

神様「シャウエッセン!」

689: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/18(金) 22:23:22 ID:5mqrCtHE

村長「歌詞の2番です」

神様「・・・・・・」

神使「あれ? 神様、歌わないんですか?」

神様「・・・知らない」ボソッ


友「日和(ひより)つづきの今日このごろを
  心のどかに摘みつつ歌ふ
  摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ
  摘まにゃ日本(にほん)の茶にならぬ」


村長「ありがとうございます」

神様「いえいえ」ペコリ

友「!?」

690: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/18(金) 22:24:35 ID:5mqrCtHE

村長「先ほどのお話しの中で出てきた単語が入っています」

神様「ん?」

神使「のどか・・・」

村長「そうです」

神様「長閑(のどか)の舞!」


友「確かに・・・」

村長「関係がありそうですよね?」

神使「しかし、それ以外の言葉に思い当たる節が・・・」

村長「3節目の歌詞が気になります」

神使「摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ。 ですか?」

691: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/18(金) 22:25:19 ID:5mqrCtHE

神様「摘む・・・ あっ!」

神使「どうされました?」

神様「摘んだか!」

神使「はい?」

神様「いや、取っ手の横に“摘んだか”って字が掘ってあったんだよ」

神使「取っ手ってウォシュレットの取っ手ですか?」

神様「うん」

村長「・・・・・・」

神使「何か関係があるんでしょうか?」

692: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/18(金) 22:29:39 ID:5mqrCtHE

村長「再現してみましょう」

神様「トイレでお花摘む?」

村長「その前に歌詞の1番から順を追って再現しないとダメなような気がします」

神使「歌詞の1番って・・・」

友「さすがにそれは・・・」

神様「いくら私でも周りに人がいるとちょっと恥ずかしいなぁ~ ねぇ、神使君?」ポッ

神使「・・・・・・」

村長「いえ・・・ 行為は必要ありませんので・・・ と言いますか舞でないとダメだと思います」

神様「あぁ~ 舞だけで良いんだ、残念。 神使くんのフランクフルトは出番なしか」

友「フランク!? 神使、お前ってそんなに・・・」

神使「何言っているんですか友さん・・・」

神様「安心するんだ友くん、神使くんの普段はポークビッツだ。 フランクフルトになるのは朝起き───」

神使「やめてください!」

友「・・・・・・」

695: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:29:18 ID:CoQTw086

村長「えっと・・・ この辺りは最近お天気はどうでしたか?」

神使「え? お天気ですか?」

神様「快晴、ずっと良い天気だった」

村長「雨は降っていないんですね?」

友「はい、何か関係が?」

村長「“日より続きの”と歌詞にありますから、できるだけその状態が良いかと」

友「でしたら問題ありません。 取水制限が起こりそうなほど水不足です」

696: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:30:30 ID:CoQTw086

村長「それと、八十八夜の神事の“長閑の舞”が出来る方はおられますでしょうか」

友「巫女ちゃんを呼びましょうか?」

神様「いや、私が舞う」

神使「神様が?」

神様「巫女ちゃんに教えてもらったし」

神使「しかし、石畳の順番もありますよ?」

神様「私を誰だと思ってるわけ? 巫女舞に関しては誰にも負けないのだ!」フンスッ

697: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:31:22 ID:CoQTw086


─── 社務所前


村長「それでは、神事と同く再現してみましょう」

友「石像を動かします」

神使「手伝います」


ゴリゴリ ゴリゴリ


友「この並びが神事と同じものです」

神使「参道に向かって縦一列ですね」

村長「それでは神様、準備はよろしいでしょうか」

神様「おうよ! いつでもオッケー」

村長「ではお願いします」

698: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:32:19 ID:CoQTw086

神様「長閑の舞」ペコリ


♪~


友「!?」

神使「? どうされました?」

友「凄く綺麗な・・・ いや、優雅な舞だな・・・」

神使「神様は舞に関しては神宮一ですから」


♪~


友「毎年見ている巫女舞と同じとは思えない」

神使「ありがとうございます」

699: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:33:20 ID:CoQTw086


♪~


神様「・・・終わった。 ミスゼロ!」ヨシッ!


ガチャン
ギギギギ


神様「? 何この音」

神使「地下から聞こえますね」

村長「からくりが動き出したようです」


ギギ…


神様「止まった」

村長「第1段階クリアと言ったところでしょうか」

700: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/21(月) 01:34:11 ID:CoQTw086

友「毎年舞を奉納しているのに、こんなの初めてだ」

村長「たぶん人数の問題でしょう」

神使「そう言えば、巫女さんも本当は1人で舞うものだと言っていましたね」

村長「3人で舞えば石畳を押していく順番が狂いますからね」


神様「さて、お次は~?」

村長「神様が見つけたウォシュレットのあるトイレですね」

神様「トイレ本殿だ!」タッタッタッ


友「元気だな・・・」

神使「目に¥マークが浮かんでいた気がしますが・・・」

村長「私達も行きましょう」タッタッタッ


友・神使(村長の目も!?)

702: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/23(水) 23:22:32 ID:ovl5hACY


─── トイレ本殿


ギィー


友「うわっ、これは・・・」

神使「神様、盛大に壊しましたね・・・」

友「修復できるのかな・・・」

神様「床が腐ってたの! 私のせいじゃないから弁償はしないからね?」


友「でも、本当に下に用水路があるんですね」

神使「水量はそれほど多くないようですが」

703: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/23(水) 23:23:55 ID:ovl5hACY

村長「神様、取っ手というのは?」

神様「あ~ 座らないと見えないんだよ」

村長「床がほとんど崩れていて座るのは難しいですね」

神様「両端にちょっとだけ床が残ってるし、私なら大丈夫かな」ヨイショ

神使「また落ちないで下さいね?」

神様「あった。 で、この取っ手を引けば良い?」

村長「・・・4回引いて下さい」

神様「4回?」

神使「なるほど“摘めよ摘め摘め摘まねばならぬ”で摘むが4回」

神様「んじゃ、引くよ」

704: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/23(水) 23:24:36 ID:ovl5hACY


キコッ キコッ キコッ キコッ


一同「・・・・・・」

神様「何も起こらない、って言うかウォシュレットも動かな───」


ゴゴゴゴゴゴ


神様「ん? なにこの音」

神使「用水路の上流から聞こえる気がしますが」

村長「!? まずい! 神様、そこから離れて下さい!」

神様「え?」

705: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/23(水) 23:25:36 ID:ovl5hACY


ザザザザザー


神様「うわ! 水!! ぶばばば」

神様「あっ」ズルッ


ジャボン


神使「神様!」


ジャバ ジャバ


神様「あ~れ~ 流される~」


ジャバ ジャバ


神使「神様~!」


 神様「行ってきま~す」

706: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/23(水) 23:26:19 ID:ovl5hACY

友「神様が流された!」

村長「用水路はどこに繋がっているんです?」

神使「池です」

友「神社入り口の小宝池です」


村長「急ぎましょう」


タッタッタッ

708: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:43:17 ID:nzsW5IcU


─── 小宝池


神様「うへぇ~ また流されちゃったよ」ゲホッ

じいさん「・・・・・・」プルプル

神様「おっ、じいさん! また会いましたね! 今日も徘徊?」

じいさん「どうして・・・」

神様「?」


 神使「神様~!」タッタッタッ


神様「ん?」クルッ

709: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:44:51 ID:nzsW5IcU

神使「大丈夫ですか?」

神様「いや~ 地下の用水路が結構狭くてさぁ、あちこち体をぶつけて痛いの」


友「枯れ池に水が溜まってる!」

村長「先ほどのからくりはこれでしたか」

友「え?」

村長「おそらく、長閑の舞で作動したからくりで地下用水路のつなぎが変わったのでしょう」

神使「その後に、私達がトイレ本殿のからくりで水を流して枯れ池に水が流れたという事ですか?」

村長「そうだと思います」

友「じゃぁ、両方の池に水が溜まったという事は・・・」


神様「ねぇ、取りあえず私の心配しようよ。 早く引き上げて」

710: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:45:28 ID:nzsW5IcU

神使「あっ、すいません神様。 って・・・ 池の水が溢れ出してきましたが」

神様「へ?」

友「反対側の池からも水が溢れ出してる」


チョロチョロ


神使「どうしましょう。 水が参道まで」

村長「・・・・・・」

神使「村長さん?」

711: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:46:39 ID:nzsW5IcU

村長「見て下さい、参道まで溢れた水が社務所の方に向かって流れています」

友「本当だ・・・」


神様「これは・・・ フランクフルトの子宝原理!」

神使「フラ? なんですかそれ・・・」


村長「なるほど!」

神使・友(え!? なにが?)

712: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:47:49 ID:nzsW5IcU

村長「そう言う事でしたか! さすが神様!」

神様「褒めよ」


神使「すいません・・・ どういう意味でしょうか?」

村長「両方の丸池は小宝池、“子宝”です」

神様「●●●●!」

神使・友「・・・・・・」


村長「そこから出た水が参道を通り本殿に向かっています」

友「え~と・・・ それって・・・」

神使「左右の丸池、まっすぐ延びた参道・・・ まさか」

村長「はい、私には・・・ その・・・ “ナニ”に見える気がします」

神様「●●●●!」


神使・友「・・・・・・」

713: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/25(金) 07:48:35 ID:nzsW5IcU

村長「するとその先は」

神様「社務所だ! 社務所の屋根!」

友「なるほど、先っちょという事ですね?」

神使「先っちょって・・・」


神様「急ぐぞ! モタモタするな、極悪邪道腐れ犬ころ変態すけこま意識高い系ポークビッツアホ神使!」タッタッタッ

友「え!? 何それ? あだ名?」

神使「気にしないで下さい、と言うかどうしてそんな長い物を覚えていられるんですか・・・」


じいさん「・・・・・・」

715: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:12:05 ID:wk6/lV7Y


─── 参道正面・社務所前


タッタッタッ


友「・・・・・・」

神使「どうされたんですか、友さん」

友「いや、あのお爺さんどこかで見た気がするんだよなぁ」

神使「参拝でよくいらっしゃる方ではないんですか?」

友「う~ん・・・」


 神様「早く来いよ犬ころ!」


神使「今行きますから~」

716: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:13:28 ID:wk6/lV7Y


タッタッタッ


神使「お待たせしました」フー


神様「私より後に来るなんていい度胸してるね」

神使「あんな全速力の神様なんか追いつけるわけないじゃないですか・・・」

友「何かあったんですか?」


村長「見て下さい」

神使「池から流れ出た水が石畳の下に流れ込んでいますね」


ギギギ


村長「次のからくりが動き出したようです」

717: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:14:27 ID:wk6/lV7Y

神様「次はどこだ?」キョロキョロ


ゴゴゴゴ


友「見ろ! 社務所の屋根が!」

村長「これは凄い・・・」

神様「先っちょが割れた! 宝か! いよいよ財宝の登場なのか!?」


プシュー


一同「!?」

神様「先っちょから水が・・・」

718: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:16:22 ID:wk6/lV7Y


プシュー


神使・友「・・・・・・」

村長「これはまるで・・・ え~と・・・ 噴水のようですね」

神様「射せ───」

神使「神様? その先は言っちゃダメです」

神様「え~」


友「何と言いますか・・・」

神様「これでもか! って言うくらい●●な仕組み~ ウブな私は照れちゃうの~」クネクネ

一同「・・・・・・」


神様「それより、私の宝はどこ?」トテトテ

神使「神様、それ以上近づくと水が降って───」

719: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:17:35 ID:wk6/lV7Y


ザバー


神様「うわ! ぶばばばば」

神使「あ~・・・」

村長「皆さん、社務所の屋根を見て下さい」


ピュッ ピュッ


神使「一定間隔で水が噴き出していますね・・・」

友「凄いこだわりだな・・・」


 女神さま・・・


一同「?」クルッ

720: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:20:10 ID:wk6/lV7Y

じいさん「女神さまだ・・・」プルプル

友 (この人・・・ まさか・・・)


神使「失礼ですが、神様をご存じなのですか?」

村長「・・・神使さん、友さん、神様を見て下さい!」

友・神使「え?」クルッ


神様「も~ ビショビショだよ・・・」

一同「・・・・・・」


神様「ん? 何? 何でそんなに私を見てるの?」

神使「神様・・・」

友「なんと美しい・・・」

721: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:23:15 ID:wk6/lV7Y

神様「え? 何々? 私のかわゆさにようやく皆気がついた?」

村長「それは・・・ 神様のお力ですか?」

神様「はい? まぁ私のかわゆさの事を言っているのであればそれは私の生まれ持った───」

神使「神様にかかった水が太陽に照らされて光り輝いて・・・ それと、後ろに丸い虹が後光のように・・・ 」

神様「え? 虹? 私には見えないけど」キョロキョロ


じいさん「このお社に再び女神さまが・・・」ドゲザ

神様「ちょ、何?」アタフタ


カチャ


神様「ん?」チラッ

村長(この音・・・ トイレ本殿から?)チラッ

722: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:24:21 ID:wk6/lV7Y

神使「とてもお美しいですよ、神様」

神様「えっ? あ、うん。 その・・・ ありがと///」モジモジ


神使「神様、そんなにモジモジしてると足滑らせますから気をつけ───」

神様「あっ」ズルッ

神使「言ったそばから・・・」

神様「痛たたた・・・」

神使「・・・・・・」


ツルー


神様「ちょ、あれ!? 水に流される!」

一同「・・・・・・」


神様「行ってきま~す」ツルー

723: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/28(月) 23:26:25 ID:wk6/lV7Y

友「なぁ、神ちゃんさんはいつもあんな感じなのか?」

神使「この数日一緒にいてもまだ分かりませんか?」

友「いや、素なんだな・・・ あれは・・・」


 ズドン
 神様「ぐへっ!」


神使「・・・・・・」

友「あれ、絶対痛いぞ。 思いっきりコンクリの壁にぶつかったし」

神使「3分間動かなければ迎えに行きます」

友「・・・うん」


友「それより」キョロキョロ

神使「どうされたんです?」

友「じいさんがいない・・・」

神使「あれ? 先ほどまでいたんですが、どこに行ったのでしょう」キョロキョロ

友「・・・・・・」

725: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/31(木) 23:18:18 ID:OLIXrdgI


─── 翌日・社務所


チュンチュン


神使「神様? Anmazonから荷物が届いていますが」

神様「おっ、サンキュ~ 昨日の夜に注文したのにもう来るなんて凄いね~」

神使「何を買ったんです?」

神様「お洋服」

神使「あまり無駄遣いしちゃダメですよ?」

神様「分かってるって」

神使「・・・・・・。 開けてみないんですか?」

神様「ん? あとで見るの」ニヒヒ

神使「?」

726: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/31(木) 23:20:25 ID:OLIXrdgI

友「しかし、昨日は散々だったな」

神使「そうですね」

村長「警察や、役場の方がたくさん来ましたね」


神様「それよりこの社務所どうすんだよ」

神使「屋根が開いて空が丸見えになっちゃいましたね」

友「見事にぱっくり割れてるな」

村長「昨夜はとても綺麗な星が見えて良い眠りにつけました」

神様「私はたくさん蚊に刺されて、あちこち赤い膨らみが出来ました」

神使「それ、蚊ではなくダニじゃないですか?」

神様「え!? まじかよ・・・」ポリポリ


友「そうそう、役場から湧き出した水の簡易結果が朝一で届いてたよ」

村長「長年地下に溜まっていた水ですから衛生的に心配ですね」

神様「私たらふく飲んじゃってんだけど・・・」

727: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/31(木) 23:21:25 ID:OLIXrdgI

友「飲料にもそのまま使えるくらい綺麗な水質だそなのでご安心を」

神様「よかった」ホッ

友「地下に石が敷き詰められていて濾過の役割を果たしていたのではという事です」


神使「神社から湧き出るお水なんて御利益高そうですね」

神様「御利益なんてねーよ」ポリポリ

神使「神様? そう言う神聖なものを扱うのが私達の役目ですよ?」

神様「へいへい。 でも、財宝がただの水だったなんてショックだわ~」

神使「この町にとっては水源はとても貴重な物です。 まさに財宝ですよ」

神様「そーですね。 有り難きお水さまー」ポリポリ

728: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/31(木) 23:22:16 ID:OLIXrdgI

神使「?」ジー

神様「何だよ。 だからそんなに見つめられると照れちゃうって言ってんだろーがよ!」ゲシッ

神使「痛い! ・・・いえ、今回は随分と諦めが良いですね?」スリスリ

神様「へ!?」ギクッ

神使「いつもの神様だったら、諦めきれずにそこら辺を掘り返す位の事はすると思うのですが」

神様「神使くんさぁ、私をどういう目で見てるの?」

神使「まぁ、悪さしなければ良いんですが」

神様「そんな面倒くさいことしません~ ねぇ~村長さん」ポリポリ

村長「・・・・・・」


神使「?」

729: ◆8YCWQhLlF2 2017/08/31(木) 23:23:51 ID:OLIXrdgI

神様「さて、私は奥の部屋でちょっと二度寝してくるね~」スクッ

神使「神様?」

神様「え? 何? 悪さなんかしないよ?」

神使「荷物、持って行かなくて良いんですか?」

神様「お~ 忘れてた。 サンキュー」ヨイショ


神使「神様?」

神使「今度は何だよ・・・」

神使「足、掻きすぎじゃないんですか?」

神様「うおっ! 血が出てる!」

神使「はい」スッ

神様「ギンカン・・・ まさか、この状態で足に塗れと?」

神使「耐えて下さい」ニコッ

神様「・・・・・・」


友(・・・鬼だ)

731: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:27:20 ID:uRIuVrxM


─── 深夜・トイレ本殿前


覆面A「間違いないな」

覆面B「はい」


覆面A「どうやって中に入るかだな」

覆面B「・・・・・・」

覆面A「鍬を持ってきておいて良かった。 これで一気に!」


 待ちなさい!


覆面A・B「!?」クルッ

神使「そこまでです。 神聖なお社で何をしているんですか!」

覆面A「チッ、逃げるぞ!」

732: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:28:21 ID:uRIuVrxM

友「そう簡単には逃がさないぞ」ガシッ

覆面A「ぎゃ! 放せ!」ジタバタ

友「あれ? この声・・・」

神使「やはり・・・」ハァ

覆面A「うぐっ!」


神使「・・・忍び装束、良くお似合いですね神様?」

覆面A「な、何を言っている! 私は格好いい忍者だ!」

神使「友さん、覆面をはいで下さい」

友「覆面を取りますね神様?」


スポッ


神様「こんばんは。 友くんってよく見るとイケメンだよね」

733: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:29:26 ID:uRIuVrxM

神使「神様?」

神様「いやいや、神使くんの方がイケメンだって」

神使「そういう事を言っているのではありません」


友「という事は、もう1人は・・・」

村長「申し訳けありません・・・」スポッ

友「どうして村長さんまで・・・」

村長「神様がお忍びでどうしても調べたい事があると」


神使「何かこの本殿にあるんですね?」

神様「知らない」プイッ

神使「正直に話すか、今後コーラと牡蠣禁止の罰どちらが良いですか?」

神様「実は、昨日このトイレ本殿からからくりが動いた音がしたので見に来ました」

神使「音?」

734: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:31:26 ID:uRIuVrxM

友「どうしてお忍びで・・・」

神使「粗方、財宝があると睨んだ神様が独り占めしようと私達に内緒で来たのでしょう」

神様「うっ・・・」ギクッ


神使「しかしその忍び装束はどこから・・・ まさか、今朝届いたAnmazonからの荷物って・・・」

神様「雰囲気が大事だと思いまして。 やっぱり忍者の格好かなぁと思い購入させて頂きました」

神使「いくら使ったんです?」

神様「二着で3万です」

神使「二着って・・・ 村長さんの分もですか?」

神様「1人じゃ恥ずか・・・ きっと村長も着たいかなぁと思って」

村長「え!?」

神使「無駄使いにもほどがあります」

神様「はい、すいません」

友「・・・・・・」

735: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:32:27 ID:uRIuVrxM

神使「全く、神様はすぐ暴走する癖を直さないとダメですよ?」

神様「善処します」


友「しかし、何のからくりが動いたんですか?」

村長「中を見ないと何とも」

神使「なにも鍬で壁を壊さなくても、明日明るくなってから調査すれば良いのでは?」

神様「急ぎたいんだよ。 本当にわずかだけど中から神力を感じるんだ」

神使「え!? 中に神がおられるという事ですか?」

神様「分かんない。 今ここに来て初めて感じた位の微妙な神力だから」

神使「今までは感じなかったんですか?」

神様「うん、たぶんからくりが動いた事が原因だと思うんだけど」

736: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/01(金) 16:33:18 ID:uRIuVrxM

神使「でしたら急がないと行けませんね」

友「どうする? 1枚ずつ壁の木を剥がしていくか?」

神使「もし神がいるのでしたらそんな悠長な事をしているわけにはいきませんね」ガシッ

友「おい神使、まさか鍬で壁を!?」

神使「皆さん離れていて下さい」ソレッ


ドンッ!


神様「キャ~、神使さん格好いい~」ヒュー

友「重要文化財が・・・」


ボロボロッ


神使「これは!?」

738: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:45:28 ID:rEf8mi4s

神様「何々? 宝?」ヒョコッ

村長「小さな部屋のようですね」

神使「トイレの奥にこんな隠し部屋があったんですね・・・」


友「見て下さい。 下に降りる階段があります」


神使「神様どうですか? 神力は感じます?」

神様「う~ん・・・ 本当にわずかだけど階段の下の方から感じる」

村長「ご神体に入った神力とは違うのですか?」

神様「神体の神力と神の神力って微妙に違うんだよ。 この感じは神体の神力じゃない」

神使「神が幽閉されて弱っているのかも知れませんね」

神様「・・・・・・」


神使「行きましょう」


テクテク

739: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:46:27 ID:rEf8mi4s


─── 地下


テクテク


友「真っ暗だな」

神使「神様、足下気をつけて下さいね」

神様「分かって── うぎゃ!」ズルッ


コロコロ


神様「グヘッ!」ドンッ

神使「・・・・・・大丈夫ですか?」

神様「痛い・・・ 痛い! 痛ーい!!」ジタバタ

村長「壁・・・ いや、扉のようですね」

神使「開けてみましょう」

友「手伝うよ」

740: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:47:11 ID:rEf8mi4s

神使・友「せーの!」


ギーッ


一同「!?」

神様「なんだよ・・・ ここ・・・」

村長「これは・・・ 一面花畑ですね・・・」

友「なんで地下なのに明るいんだ?」

神使「電気ではないようですが、これもからくりなのでしょうか」


村長「見て下さい、部屋の中央に誰か倒れています」

神様「!?」タッタッタッ

神使「あっ、神様」

741: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:48:29 ID:rEf8mi4s


神様「おい、しっかりしろ!」ユサユサ


神使「女性の方・・・ 友さん、ご存じですか?」

友「いいや。 ただこの格好・・・」

村長「はい。 今では使われておりませんが、過去に使用されていた上級神様のご装束です」

神使「上級神様!? 神様、ご存じの方ですか?」


神様「うそだ・・・ どうしてこんな所に・・・」

神使「神様?」



?「良くこの場所までたどり着けたのぉ」テクテク



一同「!?」クルッ

742: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:49:43 ID:rEf8mi4s

神使「おじいさん?」

友「貴方・・・ もしかして?」

じいさん「5年前まで花摘み神社の宮司をしておった」

神使「花摘み神社の?」

友「それで・・・ どこかで見覚えがあると思いました」


神様「どうして・・・ どうして“ミズハ”がここに・・・」

神使「ミズハ?」

村長「まさか、ミズハノメ様!?」


じいさん「そうじゃ。 彼女はミズハ、この社の主神をしておった」

神使「どうして主神様がこんな所に・・・ 神様、ミズハ様の具合は?」

神様「神力がほとんど残っていないな。 かろうじて存在できるギリギリのレベルだ」

村長「ミズハノメ様といえば、数百年前に神籍抹消された水の女神様ですね」

友「神籍抹消?」

743: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/02(土) 06:50:43 ID:rEf8mi4s

神様「行方不明で神力確認が取れなくなったんだ。 でもミズハはこの社の主神じゃなかったはず」

じいさん「400年ほど前、この地に立ち寄られたミズハは村が水不足に悩んでいる事を知ってやってきたんじゃ」

神様「ミズハがここに?」

じいさん「」コクリ


じいさん「ミズハは、村の者と力を合わせ水不足を解消しようと尽力された」

じいさん「じゃが・・・ あろうことかミズハはこの村の男と恋に落ちたんじゃ」

村長「神と人の恋ですか・・・」

神使「・・・・・・」


友「その男というのは?」

じいさん「とある・・・ からくり技師じゃ」

一同「!?」

746: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:34:59 ID:46GEwBZ2

じいさん「人が神と恋に落ちるなど許されん。 男は村人達によってその命を閉じたそうじゃ」

神使「そんな・・・」

じいさん「じゃがのぉ、ミズハは自身の神力を使いからくり技師に再び生を与えおった」

神使「生き返らせたという事ですか? そんな神力を使ったらミズハ様は・・・」

じいさん「そうじゃな。 ミズハはそれ以降目覚める事はなかった」

神様「・・・・・・」


じいさん「からくり技師はミズハのために社を建て直し、再び目覚めるその日が来るまでこの場所でかくまったんじゃよ」

村長「見る限りミズハノメ様を囲んでいるのはアカネのようですが」

じいさん「彼女は花が好きでのぉ、特にアカネが大好きじゃった」

村長「・・・・・・」

747: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:36:05 ID:46GEwBZ2

じいさん「からくり技師は神社の名を花摘み神社に改め、彼女の残した神聖な水を年に一度村へ引く仕組みと神事を作った」

友「どうしてそんな回りくどい事を?」

じいさん「彼女を・・・ ミズハを忘れないため」

友「でしたら何も年に一度でなくても・・・」

村長「いえ、神事化すれば年に一度必ず行われ伝承も言い伝えとして後生に残ります」

神使「有り難みもその方が増しますからね」

友「なるほどな・・・ でも、こんな奇妙な仕掛けをこしらえる必要はなかったんじゃ?」

じいさん「彼女は面白い事が大好きでな、からくり技師のヘンテコな仕組みをいつも喜んで見てくれた」

748: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:37:22 ID:46GEwBZ2

神使「からくり技師さんのその後の事は残っているのですか?」

じいさん「・・・彼はからくりを捨て、宮司としてこの社を守る事を決めたそうじゃ」

神使「神職に・・・」


じいさん「じゃが・・・ 何年経ってもミズハは目覚める事はなかった」

じいさん「神事も次第に改変され神水を出す事もなくなった・・・ いや、必要が無くなったと言った方が良いかのぉ」

友「そんな大切な伝承なのにどうして・・・」

村長「時代の流れです。 こればかりは当事者にしか分かりませんが、どうしようもない事も多々あったのでしょう」

じいさん「いや、男は挫折してしまったんじゃよ・・・ 何百年待ってもミズハは・・・」

神使(何百年?)


じいさん「お社へ来る参拝者も減り、埋蔵金目当ての盗賊しか訪れん有様・・・ 不甲斐ない」

じいさん「宮司は社の管理を他社へ任せ退く事にした。 そして、ひっそりとこの社の行く末を見守る事にしたんじゃ」

神使「ちょっと待って下さい。 それって最近の出来事では?」

749: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:39:52 ID:46GEwBZ2

村長「あなたが、そのからくり技師なのですね?」

神使・友「え!?」


友「ちょっと待って下さい。 それじゃ宮司さんは・・・」

じいさん「どうしてじゃろうな? いくら経っても死ぬ事ができんのじゃ」

神使「まさか、ミズハ様の神力でおじいさんは・・・」

神様「いや、じいさんは間違いなく人だ。 神力を全く感じない」

神使「そんな・・・ ではどうして・・・」

じいさん「バチが当たったんじゃろうな。 人が神に恋などした罰じゃ」

神様「・・・・・・」


じいさん「もうこの社には足を踏み入れない、そう誓ったはずじゃったが・・・ からくりが動いているのを見てのぉ・・・」

神使「おじいさん・・・」

750: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:40:48 ID:46GEwBZ2

神様「からくり技師は、今でもミズハの事を想っているか?」

じいさん「一日も忘れた事などない。 毎日・・・ 日に何度も神社の入り口から・・・」


神様「再びミズハが生を取り戻すことが出来るとしたら?」

じいさん「許されるのであれば・・・ 死ぬまで彼女を守り・・・ 通したい・・・」


神様「代わりにからくり技師に残酷な罰が下るとしてもか?」

じいさん「彼女のためであれば喜んで受ける」


神様「ミズハノメノ神に誓えるか?」

じいさん「もちろんじゃ」

751: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/03(日) 03:42:12 ID:46GEwBZ2

神様「・・・・・・」

神使「神様・・・」


神様「残念だけど、今の状態のミズハを再び目覚めさせるのは正一位の神でも不可能だ」

じいさん「・・・・・・」

神様「ただ・・・ じいさん、アンタついてるな」

じいさん「?」

神様「あんたは私にジュースを奢ってくれた。 トクペだったけど・・・」


神様「神は人からもらった恩は、その者の願いを成就させるのが勤めだ。 神は人なしで存在できないからな」

神使「神様・・・」

神様「喜べ。 お前が願った神は神宮最高神であり、この国の神の頂点に立つ女神だ」

じいさん「!?」

友「さ、最高神様!?」


神様「私はそこら辺の神とはひと味違うぞ?」ニヤッ

755: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:06:53 ID:jBqi/5pA

神様「我が神使よ」

神使「はい」フカブカ

神様「神力を・・・ 少し使っても良いだろうか」

神使「私に断りを入れる必要などないと思いますが?」

神様「いや、私の神力はお前に渡すものだ。 自由に使えるような代物ではないと思っている」

神使「・・・・・・。 ミズハ様のためにぜひお使い下さい」ニコッ

神様「ありがとう。 ミズハは私にとっても大切な存在だ、親友のために少しだけ使わせてもらう」


神様「それに・・・ 私の神力解放の予行練習にも丁度良いしな。 いざお前に渡すとなったときに鈍っていたら格好もつかないし」

神使「神様の格好いいお姿をぜひ見せて下さい」

神様「分かった。 よく見ていろよ!」

神使「はい!」

756: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:08:22 ID:jBqi/5pA


神様「皆、私から少し離れていてくれ」

一同「」スタスタ


神様「これからここで行われる事は他言無用で頼みたい。 それと、事が済むまで言葉を慎んで欲しい」

一同「畏まりました」フカブカ



神様「我、神力を解放す」


ピカー キラキラ


一同「!?」

友(すごい・・・)

村長(なんという荘厳なお姿・・・)

神使(これが本当の神様・・・ 最高神様・・・)

757: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:08:53 ID:jBqi/5pA


キラキラ


神様「ミズハノメノ神よ、我が願いを聞き答えよ」

ミズハ「・・・・・・」


神様「汝に神力を与えん。 神としてその役を勤めよ」


ポワポワポワ


ミズハ「ん・・・」モソモソ

じいさん「!」

758: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:09:38 ID:jBqi/5pA


神様「おい、ミズハ」ユサユサ

ミズハ「はい!」バッ


神様「おはよう」

ミズハ「神ちゃん様・・・?」


神様「起きられるか?」

ミズハ「はい・・・ あの・・・ どうして神ちゃん様がここに?」

神様「私より、そっちの男を見て驚け」

ミズハ「殿方?」キョロキョロ

759: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:10:22 ID:jBqi/5pA

じいさん「・・・ミズハ」

ミズハ「技師・・・様・・・? 技師様!」

じいさん「ミズハ・・・ うっ・・・ うぅぅ」ヘナヘナ

ミズハ「そう言えば私、さっき技師様を生き返らせるために全神力を使って・・・」

神様「今、お前に新しく神力入れたんだよ」

ミズハ「そうだったのですか・・・ 申し訳ございません、ご迷惑をおかけしたみたいで」フカブカ

神様「本当だよ、折角神力たっぷり貯めておいたのに」ハァ

ミズハ「でも、神ちゃん様とてもご立派なお姿ですね。 久しぶりにそのお姿を拝見しました」

神様「うるさい。 神力封印!」シューン

ミズハ「あっ、お戻りに・・・」

760: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:11:15 ID:jBqi/5pA

神様「私をいじるより、そこで泣き崩れているじいさんを何とかしろや」

ミズハ「そうでございますね」スタスタ


じいさん「ミズハ・・・」

ミズハ「私にとっては先ほどまでご一緒におりましたが・・・ だいぶお待たせさせてしまったようで」

じいさん「うっ・・・ うっ・・・」

ミズハ「またお目にかかれて嬉しゅうございます。 技師様」ギュッ

じいさん「お帰り・・・ ミズハ・・・」ギュッ


友「神使・・・ ウッ・・・ 神使~・・・ ウッ・・・」ユサユサ

神使「友さん、気持ちは分かりますが・・・ あの・・・ あまり揺らさないで下さい」

761: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:12:00 ID:jBqi/5pA

神様「ハァ・・・ ちかれた」トテトテ

村長「お疲れ様です、最高神様」フカブカ

神様「それ、やめて?」


神使「神様?」テクテク

神様「あ?」

神使「とてもお美しかったです」

神様「お、おう・・・」

神使「・・・・・・」

神様「何々? 神使くんったら私を惚れ直しちゃった?」ウリウリ

神使「はい、こんなに美しくてご立派で素敵な女神様が私のお嫁様だなんて今でも信じられません」

神様「はぅっ///」

762: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:12:44 ID:jBqi/5pA

友「は!?」

村長「え!?」

ミズハ「お嫁さん!?」

神使「あっ・・・ いえ・・・ その~・・・」


神様「そう! 私と神使くんは結婚して仲睦まじい夫婦なのです! ドドン!!」フンスッ

一同「・・・・・・」

神使「神様、私が言うのも何ですがあまり大っぴらに言わない方が・・・」アタフタ


友「神使・・・ お前、奥手だと思っていたのに神を奥さんにするなんてそんな大胆な事を・・・ しかも最高神様と・・・」

村長「これはこれは・・・」

763: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/04(月) 01:13:53 ID:jBqi/5pA

ミズハ「神ちゃん様! あの・・・ 神と神使は結婚しても・・・ その・・・ 許されるのでしょうか?」

神様「ダメなんて言う規則ないし。 それに愛し合ってるんだも~ん///」クネクネ

ミズハ「で、では・・・ 神と人もその・・・ 結婚は許されるのでしょうか?」

神様「あ?」

ミズハ「・・・申し訳ありません、やはり禁忌でございますよね」シュン

神様「問題ないだろ、そんな事一々聞くなよ」

ミズハ「えっ?」


友「いいの?」クルッ

神使「私に聞かないで下さい友さん・・・」


神様「人、神使、神はみんな一緒に遊んで恋をし生きることができる」

神使「だ、そうです」

友「そうなんだ。 はじめて聞いた」



ミズハ「神ちゃん様・・・ そうでございますか。 それは、うれしいお言葉です///」ニコッ

765: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:49:07 ID:ss4O7wj.

神様「そんな事よりミズハ~」クネクネ

ミズハ「何でございましょう?」

神様「いきなりで悪いんだけど~ 財宝とかってない? 金銀財宝とかあったらさぁ~ くれ」

神使「神様・・・」

ミズハ「財宝ですか?」

神様「何て言うのかなぁ~ その~ お駄賃が欲しいわけよ」クネクネ

ミズハ「失礼を承知の上ではございますが、お金位しか・・・」

神様「お金!? 全然オッケー、むしろ喜んで!」

ミズハ「でも・・・ 神ちゃん様は莫大な役料の支給があると思いますので、私が持っているお金など大した額では・・・」

神様「いつの話してんだよ・・・ お金なんかもうスッカラカンよ」

ミズハ「はぁ・・・ 技師様、私のお金はまだございますでしょうか?」

じいさん「ミズハの眠っていた下に隠し扉があるはずじゃ」

ミズハ「ここでございますか?」ゴソゴソ

神様「手伝う、手伝うよ~ どれどれ」ヨイショ

766: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:50:29 ID:ss4O7wj.


パカッ


神様「?」

神使「うわっ! 小判じゃないですか!」

村長「慶長小判がこんなに!?」

ミズハ「たぶん1000両くらいだと思うのですが、これでもよろしいでしょうか?」

一同「せんりょう!?」

神様「・・・・・・」

村長「1000両といったら今の価値で───」

神様「え~ 昔のお金じゃ~ん」

ミズハ「え!?」

神様「こんな古いの今は使えないよ」

ミズハ「えっ、古い!? でも先日幕府から預かった物なのですが・・・」

一同(幕府って・・・)

767: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:51:48 ID:ss4O7wj.

ミズハ「あの・・・ 私、どのくらい眠っていたのでしょうか?」

神様「400年」

ミズハ「・・・・・・はい?」

じいさん「400年じゃよ」

ミズハ「・・・・・・江戸?」

神様「平成」

ミズハ「へいせい?」

神様「江戸、明治、大正、昭和、平成!」

ミズハ「・・・・・・家康公は?」

神様「誰それ?」

ミズハ「・・・・・・」

神使「いや、神様それはさすがにどうかと思いますが・・・」

768: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:52:37 ID:ss4O7wj.

ミズハ「あ、あの・・・ 私、外に出るのが少し怖い気が・・・」

神様「この時代は凄いんだぜ? 江戸から京まで二刻かかんないで行けるんだぜ?」

ミズハ「!?」

神様「1町の鉄の塊が人乗せて空飛んでるんだぜ?」ニヤッ

ミズハ「そ、そんな! 人が空を!?」ブルブル

神使「神様、そんなにいじめちゃダメですよ」グイッ

神様「うおっぷっ!」

じいさん「大丈夫じゃよ。 ワシがついている」

ミズハ「技師さま・・・///」ウルウル


神様「イチャついてんじゃねーよ! ねぇ~ 神使くん、私達もイチャつこう?」クネクネ

神使「・・・さて、皆さん取りあえず戻りましょうか」

神様「んも~ 照れちゃって、可愛いぞ!」ツンツン

神使「神様?」

神様「へいへい」

769: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:53:29 ID:ss4O7wj.

神様「あっ、そうだ。 神使くんさぁ、後でその小判を神宮に買い取らせる手続きしておいて」

神使「小判をですか?」

神様「そう。 んで、その金で花摘み神社の修繕を」

ミズハ・じいさん「え!?」


神様「じいさん、悪いけどあんたにはミズハを助けた代わりの罰を与えないといけない」

じいさん「・・・・・・」

ミズハ「神ちゃん様・・・ 技師様にも深いわけがあって・・・ せめて情状酌量の余地を───」

神様「あんた、この神社の宮司職に再び就く事」

じいさん・ミズハ「!?」

770: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:54:33 ID:ss4O7wj.

神様「それと、ミズハ」

ミズハ「は、はい」

神様「上級神のくせに元の担当神社ほったらかしにした罪は重いぞ」

ミズハ「心得ております・・・ どのような罰でもお受けいたします」

神様「よし。 それじゃ、これからこの社の主神として赴任する事」

ミズハ「え?」

神様「まぁ、花摘み神社を2人でよろしく立て直す事だな」

ミズハ「それが、罰でございますか?」

神様「そう。 このご時世、神社運営は大変だぞ~? まぁ頑張るこったな」

ミズハ「あ、ありがとうございます、神ちゃん様・・・」フカブカ

じいさん「ありがとうございます、最高神様」フカブカ

神様「罰を与えただけだし、お礼言われる事じゃないし」プイッ

神使「フフッ、では上に戻りましょう」ニコッ

771: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:55:06 ID:ss4O7wj.

じいさん「ミズハ、手を」スッ

ミズハ「はい、技師様///」スッ


神様「・・・・・・」ジー

神使「神様?」

神様「え!? あっ、何でもない」


神使「・・・神様も手を」スッ

神様「神使・・・///」スッ

772: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/05(火) 00:56:35 ID:ss4O7wj.

神使「1人で歩くとまた転ぶんですから、しっかり手を握って下さいよ」

神様「あ?」

神使「傷の手当て、薬代だってバカにならないんですから気をつけて下さいね」

神様「!」ゲシッ ゲシッ

神使「痛い! って、うわっ!!」ズルッ

神様「ちょ、お前私まで!!」ズルッ


コロコロ


神使・神様「グヘッ!」ドンッ!


友「仲がよろしい事で・・・」

777: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:30:25 ID:xkqcrbao


─── 数日後・社務所


神使「神様、神宮から小判の買い取り金の一部が入金されました」

神様「お~ おいくら万円?」

神使「・・・こちらが明細です」

神様「ん~ 一億円か・・・ まぁこんなもんだろうな」

神使「換金は全部で20億らしいです」」

神様「は!? 20億だぁ!? いやいやおかしいだろ。 私の感覚だと1億くらいだけど」

神使「やはり小判の価値をご存じだったのですね」

神様「そりゃ使ってたんだし、いくら位の物かは分かるよ」

神使「当時の価値で言えば神様の仰った額でしょうけど、現代では慶長小判は大変希少で1枚あたりの取引額がとても高いんです」

神様「そうなの!?」

778: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:31:32 ID:xkqcrbao

神使「希少価値がついてプレミアがついているというわけです」

神様「マジかよ・・・ え? じゃぁ残りの19億は?」

神使「残りは全て“ミズハ基金”の設立にまわされるそうです」

神様「なんだよ、ミズハ基金って・・・」

神使「おじいさん・・・ いえ、宮司さんから残りは他の神社の修繕にまわして欲しいと神宮へ連絡があったそうです」

神様「太っ腹すぎだろ・・・」

神使「1億でも結構立派なお社が改築できると思いますから」

神様「まぁ、ミズハも一応は上級神だな」


神使「ちなみに400年前、地方で神社建立を行うための1000両が行方知れずになった記録があるようです」

神様「間違いなくこの金やね」

神使「当時発行元の幕府と受け取り側の神宮の間でかなり揉めたそうで、結局幕府側がもう一度1000両を神宮に納めたと」

神様「よくあの堅物幕府が金出したな」

神使「当時、神宮の女神様がダダをこねて幕府に乗り込み暴れまくったと記録に書かれているそうですが」ジー

神様「そう・・・ すごい女神だね・・・ うん」プイッ

779: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:32:15 ID:xkqcrbao

神使「一応、神宮からこのお金の出所は明らかにしないように通達がありました」

神様「そうね、あんまり探らない方が良いかもね」


神使「でも神様、小判の価値を知っていてよくネコババしようと思わなかったですね・・・」

神様「そんな高額なプレミアがついているなんて思わなかったし・・・ それに」

神使「それに?」

神様「神勅出しただろ。 “財宝が出たら全部寄付する”って」

神使「覚えておられたのですか・・・」

神様「自分で出した神勅くらい覚えてるっつーの」フンッ

神使「さすがですね」

神様「まぁ、つい言っちゃっただけだけど・・・ 今はもの凄く後悔しています」

神使「やはり…」

780: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:33:07 ID:xkqcrbao

神様「あぁ~あ、1両だけでも貰っておけば良かったなぁ~」

神使「もらわないところが格好いいんじゃないですか」

神様「そうだけどさぁ・・・ まぁ、私はあんまりお金には興味ないし宵越しの分だけあれば十分だけど」

神使「それは困ります。 もう少し計画性を持ってお金を貯めて下さい」

神様「へいへい、善処しますよ」


神使「それと・・・」

神様「ん?」

781: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:34:04 ID:xkqcrbao


ガラガラ


棟梁「よう! また会ったな」

神様「・・・・・・」

棟梁「神宮からこの神社を作り直せと言われてな」

神様「まぁ、そうなるよな」

神使「はい」


棟梁「施主さんはどこだい?」

神使「ご案内します」

782: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:35:11 ID:xkqcrbao


─── 参道


神様「お~い! ミズハ~」トテトテ


ミズハ「あっ、神ちゃん様」

神様「どこ行ってたんだ?」

ミズハ「技師様と外に散歩へ」

神使「お着物、とてもお似合いですね」

ミズハ「お洋服というのがどうしても違和感がありまして・・・」

神様「馴れれば私みたいにかわゆい格好も出来るようになるって」

ミズハ「その・・・ 肌が露出しすぎではないのでしょうか?」

神使「Tシャツ短パンは可愛い格好とは言えないと思うのですが・・・」

神様「え~? そんな事ないと思うんだけどなぁ」

783: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:35:56 ID:xkqcrbao

神使「外の方は馴れましたか?」

ミズハ「まだ少し怖いですね。 あまりにも変わりすぎて・・・」

じいさん「ゆっくりでいい」

ミズハ「はい、技師様///」


神様「じいさんは、この神社の神域内にとどまっている限りは年をとったりしないけど、外出ると時間が流れるから気をつけろよ」

じいさん「はい」

ミズハ「申し訳ありません、私が下手な願掛けをしてしまったせいで・・・」

じいさん「こうしてまたお前と同じ時間を過ごせるんじゃ、気にするでない」

ミズハ「技師様はお優しいですね///」ポッ

784: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:37:03 ID:xkqcrbao

神様「人前でイチャつくのはその位にして頂けませんか?」

ミズハ「あっ、申し訳ございません・・・ あれ? お隣の方は?」

神様「あ~ 紹介するわ。 神宮お抱えの棟梁、花摘み神社の建て直しをするために来てもらった」


ミズハ「本当にこのお社を建て直してもよろしいのですか!?」

神使「さすがに社務所もぱっくり割れて住めませんし・・・」

神様「ちゃんとした本殿も必要だしな」

棟梁「最高の神社にしてやるぜ」

ミズハ「ありがとうございます」ペコリ

785: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:37:38 ID:xkqcrbao

棟梁「何かご希望はありますかい?」

ミズハ「あの・・・ その・・・」モジノジ

神様「一度作ったら建て替えなんか出来ないんだから、言うなら今のうちだぞ」

ミズハ「そ、そうですよね・・・ 実は、参道の両端は本殿まで茜と噴水に囲まれた感じにしたいと・・・」

棟梁「花と噴水が参道に・・・ これはまた面白い」

じいさん「地下にからくりの水路が通っておるから再利用できるはずじゃ」

棟梁「からくり?」

神様「あ~、このじいさんからくり技師なんだよ」

棟梁「ほぉ~」ニヤッ

神使(まずい雰囲気ですね・・・)

786: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:38:28 ID:xkqcrbao

ミズハ「あと・・・ 欲を言えば、参拝に来た方達に綺麗な水の音をお聞かせするような仕組みを・・・」

じいさん「手水舎がししおどしになっているとか良いかもしれんのぉ」

棟梁「水琴窟とかどうじゃ?」

じいさん「なるほど・・・ 一つ面白い手法を考えついたぞ」

棟梁「決まりだな。 少し予算オーバーしそうだが」

神使(あ・・・ その言葉は・・・)

ミズハ「棟梁様と技師様でお好きに作って下さいませ! 私、それが見てみたいです!」キラキラ

棟梁「任せろ、全力でいくぜ! 仕掛け満載の最高の水の女神を祀る神社にしてやる!」

ミズハ「うれしゅうございます!」キャッキャッ

神様・神使「・・・・・・」


神使「ミズハ様?」

ミズハ「はい?」

神使「神専用神社建て替えローンは100年までですから注意して下さいね・・・」

ミズハ「?」

787: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:39:08 ID:xkqcrbao


 タッタッタッ
 お~い 神使~


神使「友さん」

友「ミズハ様、綺麗なお着物ですね」

ミズハ「ありがとうございます」ニコッ


神使「手続きの方はいかがですか?」

友「あぁ、神宮に出す書類の申請は全部終わったよ」

じいさん「手を煩わせてすまなかったのぉ」

友「お気になさらず。 後日うちの神職達を来させますので引き継ぎはその時にでも」

神使「ご苦労様でした」

788: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:39:48 ID:xkqcrbao

友「そうだ、神ちゃんさん」

神様「ん?」

友「うちの立派天満宮の主神様が神様とお会いになりたいと言っているのですが」

神様「良いけど、友くんの神社って主神は誰なの?」

友「オカマ神さまです」

神様「・・・・・・」

神使「神様?」

789: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:40:38 ID:xkqcrbao

神様「うん。 私、忙しいから会うのはまた今度で。 じゃ!」トテトテ

友「あっ、神ちゃんさん! お願いします、会ってあげて下さい!」スタスタ


神様「ヤダよ! オカマだろ? 絶対イヤだ!!」ダダダタ

友「逃げないで下さい! オカマ様は我々男性の者にもとても優しくスキンシップしてくれる優しい神ですから~」

神様「あいつ男だろーが! ヤベーよそれ!」

友「大丈夫です~ 若い女性にもとても優しく、特に小さな女の子には愛を持って接してくれますから~」

神様「もっとヤベーよ!」

友「待って下さ~い」

神様「帰れ! とっとと帰れ~!!」


ダダダダ

790: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:41:15 ID:xkqcrbao


神使「騒がしくてすいません・・・」

ミズハ「そんな事ありません。 神ちゃん様はいつの時代でも楽しい方ですね」クスクス

じいさん「とても立派な神さまですな」

神使「そう言って頂けるとありがたいです」

ミズハ「ふふっ」クスクス

神使「?」

ミズハ「申し訳けありません。 お二人はとても良い仲なのですね」

神使「・・・///」

じいさん「大切にするんじゃぞ」

神使「はい」

791: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:42:06 ID:xkqcrbao

神使「あの、おじいさん・・・ いえ、宮司様に伺いたい事があるのですが」

じいさん「ワシにか?」

神使「どうして本殿がその・・・ トイレなのですか?」

じいさん「ワシはアレをトイレや本殿などとして作ってはいないぞ?」

神使「え?」

じいさん「ワシがあまりにも大切にしていたもんじゃから誰かが本殿などと・・・ 建屋の形もトイレのような感じじゃったからな」

神使「噂が一人歩きしてしまったのですね・・・」

じいさん「あの小屋はからくりの制御と地下への通路を繋ぐために建てたものじゃ。 中には、たくさんの茜が植えられていたんじゃよ」

神使「茜が?」

じいさん「そうじゃ。 その茜を摘んでいくと、からくりが動作する取っ手が現れる仕組みじゃったんだ」

792: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:43:15 ID:xkqcrbao

神使「しかし取っ手のある部屋には茜はありませんでしたが・・・」

じいさん「日光を反射して送り届ける仕掛けが壊れて、中の茜が枯れてしまっていたようじゃ」

神使「では、茶摘み歌の“摘めよ摘め摘め”というのは・・・」

じいさん「中の茜を摘めという事じゃ」

神使「そうだったのですか・・・」

じいさん「しかし、あの小屋のからくりは壊れかけていたんじゃがよく動いたのぉ」

神使「神様が床を壊したり取っ手を何度も動かしたので・・・」

じいさん「奇跡じゃな」


ミズハ「奇跡ではありませんよ」

じいさん・神使「?」


ミズハ「神ちゃん様が私達を助けてくれたんです」

じいさん「そうじゃな。 池で会ったのも偶然ではないのだろうな」

793: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:44:06 ID:xkqcrbao

神使「では、このお社の本殿は・・・」

じいさん「ミズハが目覚めてから建てるつもりじゃった。 神が不在の神社に本殿は建てられん」

神使「そうでしたか・・・」


じいさん「これで、ようやく・・・ 本殿が建てられる」

ミズハ「お待たせして申し訳ございません」フカブカ

じいさん「二人で力を合わせて立派な神社を作っていこう」

ミズハ「はい」ニコッ

神使「私達に出来る事があれば何なりと言って下さい」

じいさん「恩に着る」

794: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:44:45 ID:xkqcrbao

ミズハ「それより、はじめて聞く言葉なのですがトイレというのは何でしょう? 私が眠っていた小屋の事ですよね?」

じいさん・神使「・・・・・・」

ミズハ「?」

神使「その・・・ え~と・・・」

じいさん「なくてはならないとても大切な場所じゃ・・・ のぉ?」

神使「はい。 とても大切な場所です」アセアセ

ミズハ「そうでございますか。 私はそのような大切な場所で眠っていたのですね」

じいさん・神使「・・・・・・」



 ギャーーー!!


一同「?」クルッ

795: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:45:22 ID:xkqcrbao


ダダダダ


神様「なんでお前がここに居るんだよ!!」

オカマ神「いや~ん 神ちゃんに会いたくてぇ~ 久しぶりなんだからたっぷりお話ししましょうよ~」ウフン

神様「うるせーよ! 帰れよ! こっち来んなよ!!」

オカマ神「駆け足は負けないぞ~」ウフン

神様「早えー! ちょ、待って! イヤ! 助けて~!!」

オカマ神「私の勝ち~」ピョーン

神様「ひゃーーー!!」

796: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/06(水) 00:45:52 ID:xkqcrbao


神使「うるさくてすいません・・・」

ミズハ「ははは・・・」



ギャーーー! 喰われる~!!!






神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#16「お花を摘みに」 ―END

809: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:48:48 ID:zqIHe042
〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓〓


─── 廃神社・本殿


神様「・・・・・・暇だな~」ゴロゴロ

神様「お~い、神使く~ん」


シーン


神様「・・・・・・。 スマホでテレビでも見るか」ポチッ


ザー


神様「ですよね~」グテッ


神様「暇すぎ~! 誰か遊んで~!!」

810: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:49:27 ID:zqIHe042

~あらすじ


神様「私は神様! 神宮に籍を置く立派でかわゆい理想の女神!」

狐神「ぷっ! どこがかわゆいって? どこが理想だって?」ケラケラ

神様「・・・・・・」イラッ

811: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:50:33 ID:zqIHe042

【#17】


─── 少し前


テクテク


神様「おい~ まだかよ~」

神使「神宮アプリだとこの辺に廃神社があるみたいなんですが・・・」キョロキョロ

神様「も~歩けないって~」

神使「ですから一緒に行きませんか? って聞いたじゃないですか・・・」

神様「何で私が神使会に行く必要あるんだよ」

神使「別に会議に出席なさらずとも、宿にいれば良いのでは・・・」

神様「宿って神宮付属宿舎だろ? いかねーよ、そんな所」

812: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:51:13 ID:zqIHe042

神使「しかしこんな田舎・・・ せめて都会までは一緒に行けば良いと思うのですが」

神様「だって~ バスと電車で2時間もかかるじゃん」

神使「すでに田舎道を2時間は歩いているのですが・・・」

神様「地図で見たら近かったんだけどなぁ~」

神使「ここまで来たら仕方ありません。 見つけるまで探しましょう」

神様「もう、ここで野宿でも良いかな・・・」

813: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:51:56 ID:zqIHe042


─── 30分後


神使「あっ、神様見て下さい。 正面の小さい山の上」

神様「鳥居! やったー! 神社発見!」

神使「間違いありません、地図に載っている神社のようです」

神様「神社を見てこんなに嬉しいなんて初めてだよ」

神使「それは関係者としてどうかと思いますが・・・」

神様「早く行こうぜ~」タッタッタッ

神使「あっ、待って下さい~」

814: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:52:46 ID:zqIHe042


─── 廃神社


神使「廃神社にしては意外と綺麗ですね」

神様「小さいけど本殿はあるし良いね~。由緒とかは?」

神使「データベースには特に詳しい事は書かれてはいないようですが、八幡宮のようですね」

神様「まさか、長官くんリストの要注意神社とかじゃないだろうな」

神使「いいえ、ここはリストにも記載はございません」

神様「良かった。 んじゃ、私ここでお留守番してる」

神使「本当に一人で大丈夫ですか?」

神様「神使くん? こう見えて私は昔、一人で旅をしていたのだよ?」

神使「そうですね。 分かりました、ではこれをどうぞ」ドサッ

815: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:53:37 ID:zqIHe042

神様「重! なにこの袋」

神使「食料です。 二週間は持つと思いますので」

神様「え!? 二週間?」

神使「はい、合宿もありますから。 昨日言いましたよね?」

神様「・・・・・・そ、そうね」

神使「では、何かあれば電話下さい」

神様「あっ、うん」

神使「それでは行って参ります」ペコリ

神様「ぁ・・・ いってらっしゃい・・・」フリフリ


────
───
──

816: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:54:20 ID:zqIHe042


─── 廃神社・本殿


神様「なんだよ、二日位かと思ってたのに。 こんな所で二週間もどうすんだよ」モグモグ

神様「はぁ~・・・ 神使君と別れて早1時間。 すでにバナナは全部食べてしまった・・・」ポイッ


神様「どうやって暇潰すかなぁ~」ゴロゴロ


ゴンッ


神様「痛っ!」


ゴロッ


神様「この神社の神体か。 ん~ 暇だしちょっと覗いてみるか」

817: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:55:12 ID:zqIHe042

神様「・・・・・・。 たまには神使くんに買ってもらった祭儀服でも着て神さましちゃう?」


シュルシュル


神様「うん、良いね~ かわゆい」

神様「すげー、本物の神さまみたい」


神様「それでは、神ちゃんの成就の儀スタートゥ!」


ポワポワ


神様「う~ん・・・」

818: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:56:01 ID:zqIHe042


バンッ


神様「!?」クルッ

村人A「ん? お前、こんな所でなにやってんだ?」

神様「やだなぁ、誰もない本殿でやる事なんて言ったら一つしかないじゃんよ~」

村人B「まぐわい・・・」ゴクリ

神様「違うわ!」

村人A「何だ? このバナナの皮の量・・・ あんた何日住んでんだ?」

神様「1時間ほど前から」

村人B「たった1時間でこんなに散らかしたのか・・・」

819: ◆8YCWQhLlF2 2017/09/28(木) 00:57:09 ID:zqIHe042

村人A「この村の者じゃないな? おい、取りあえず縛っておけ」

村人B「おう」スタスタ

神様「やっぱり縄で縛られるのですね?」


ギシギシ


村人B「変な格好しやがって。 ほら大人しくしてろ、服が破けるぞ」

神様「おい。 私を痛めつけるのは別に良いが、この服に少しでも傷を付けたらタダじゃおかないぞ」キッ

村人B「はぁ?」

神様「理解できないか? この先まともな生き方が出来ると思うな、という意味だ」ギロッ

村人B「!?」ゾクッ

神様「それと変な服じゃない、祭儀服だ。 失礼だぞ」

村人B「あ、あぁ・・・ 分かった。 すまない」


ギシギシ


神様「あっ、でも縛るんですね・・・」

823: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 00:57:41 ID:pEwjv.VM


─── 数分後


村人A「で? こんな所でなにやってたんだ?」

神様「それはこっちの台詞! ここは神社の本殿だろ、関係者以外立ち入り禁止だぞ」

村人C「ここは村の集会場なんだよ」

神様「は? 神宮管轄の神社じゃないの?」

村人A「こんな山奥の田舎神社に参拝者なんか来るわけないだろ?」

神様「うん」

村人A「かといって放置していたら神社は崩れ落ちて本当の廃墟になる」

神様「うん」

村人A「人がいれば神社も廃墟にならない」

神様「うん」

村人A「ここで会合を開いて定期的に人が来れば神社は守られるわけだ」

神様「なるほど」フム

824: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 00:58:51 ID:pEwjv.VM

村人A「Win-Winだと思わないか?」

神様「思う」

村人A「だろ?」

神様「神社を維持して頂きありがとうございます。 神宮に変わってお礼をいたします」ペコリ


村人B「あんた、神宮の人なのか?」

神様「まぁ、遠からず近からず・・・ 一応神宮に籍はある」

村人B「籍?」

村人A「俺たち、これから村の会合をここで開きたいんだけど」

神様「ん~ まぁ良いけど。 私も一応ここにいるよ? 本殿以外いるとこないし」

村人A「分かった。 ただ会合の邪魔だけはしないでくれ」

神様「うん」

村人A「よし、みんな入った入った」


ゾロゾロ

825: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 00:59:40 ID:pEwjv.VM

村人A「それじゃ、会合を始める」


ペッコン


村人A「先週、役場から町営バス廃止の通達があった」

村人達「バスが廃止!?」


ペッコン ペッコン


村人A「1日に平均2人しか乗降客がいないというのが致命的なんだと」

村人B「鉄道の駅も廃止にるって噂もあるんだが・・・」

村人C「一つ先の駅は大きなロータリーまで作ってるのになぁ」

村人A「あっちは、去年ゴルフクラブが出来ただろ? 好調なんだとよ」


ペッコン

826: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:00:28 ID:pEwjv.VM

村人B「くそう・・・ 一つ前の集落は近所にイヤンモールが出来て賑わってるっていうのに・・・」

村人C「この集落もいよいよ終わりかもな」

村人A「うちも何か人が来るようなものを作れば良いんだよ!」

村人B「それ、先月も言ってた。 先々月も、ここ何年かずっと言っている気がする」

村人C「そうそう。 この村に何があるんだよ・・・ 野生の動物がうろついているだけじゃないか」


ペッコン


村人達「・・・・・・」


ペッコン ペッコン ペッコン ペッコン

827: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:01:12 ID:pEwjv.VM

村人A「・・・なぁ」

神様「ミー?」


村人A「さっきからペッコンペッコンうるさいんだけど・・・」

神様「いいでしょ、ビードロ」ペッコン

村人A「良くないし。 気が散るだけだから」

神様「どこも田舎は大変だよね~」ペッコン

村人A「勝手に会合に参加しないでくれ・・・」

828: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:01:54 ID:pEwjv.VM

神様「そこの端っこに座っている少女は参加しないの?」ペッコン

少女「!?」

村人達「・・・・・・」


村人A「あぁ~ 彼女は・・・ なぁ」

村人B「そうそう。 コン子はいいんだよ」

コン子「・・・・・・」シュン

神様「ふぅ~ん」ペッコン

829: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:04:09 ID:pEwjv.VM


─── 会合終了・本殿外


村人B「いや~ 次回の会合までに何か策を考えておかないとなぁ~」

村人C「そうだなぁ~」

ゾロゾロ


コン子「・・・・・・」トボトボ

 お~い!

コン子「?」クルッ


神様「初めまして、私は神ちゃん」

コン子「は、はじめまして・・・」ペコリ

神様「ちょっとお話ししたいんだけど良い?」

コン子「あっ・・・ でも私、家に帰らないと・・・」

神様「歩きながらでも良いから」

コン子「・・・・・・」コクリ

830: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:06:02 ID:pEwjv.VM


─── 農道


神様「コン子ちゃんで良いのかな?」トテトテ

コン子「はい」テクテク

神様「生まれはこの村?」

コン子「・・・そうです」

神様「ご両親も?」

コン子「・・・・・・」

神様「あんまり村の人と良い関係じゃない感じだったけど」

コン子「・・・・・・」

831: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/02(月) 01:06:38 ID:pEwjv.VM

神様「」クンクン

コン子「!? ちょ、急にどうしたんですか!?」

神様「ごめんごめん」

コン子「あ、あの・・・ 私の家そこですから///」

神様「そう」ニコッ

コン子「し、失礼します」ペコリ


タッタッタッ



神様「・・・・・・」

835: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:05:36 ID:Rpvh/qcg


─── 翌日・朝


神様「しかし本当何もないな~」トテトテ

神様「この道のどこがメインストリートなんだよ・・・ 店どころか家すらねぇじゃん」

神様「どっかに食える物でも生えてないかなぁ~」キョロキョロ


 ?「お利口さんだねヨシヨシ」


神様「ん? この声・・・」コソコソ


 コン子「山から出てきちゃダメよ? 後でご飯持ってくるからね」


神様「・・・・・・」ジーッ

836: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:06:39 ID:Rpvh/qcg

村人A「コン子! お前こんな所で何を・・・ こいつ、またキツネに餌付けしやがって!」

コン子「!?」

村人A「おい皆! コン子がまたキツネを呼んでるぞ!」

コン子「違うんです! この子達は悪さするために出てきたんじゃな───」

村人A「どけっ!」ドンッ

コン子「キャッ!」ドサッ


村人「猟銃持ってきたぞ」タッタッタッ

コン子「やめて! やめて下さい! この子達はまだ子供なんです!」

村人A「うるさい! おい、逃げないうちに早く猟銃で───」


神様「何やってんの?」トテトテ

村人達「!?」

837: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:07:44 ID:Rpvh/qcg

神様「あれ~ 猟銃? まさかキツネを撃つつもり?」

村人A「だ、だったら何だ」

神様「ここ公道だよ? 許可は?」

村人A「うっ・・・」

神様「大丈夫だよ。 私がコン子ちゃんにキツネを見せて欲しいって頼んでただけだから」

村人A「あんたが?」

神様「コンクリートジャングルで荒んだ暮らしをしている私は中々キツネを見る機会なんかないからね~」

村人達「・・・・・・」

神様「ダメ?」

村人A「程々にしておけよ、おい帰るぞ」スタスタ



村人達「全く、本当にキツネに取り憑かれてるんじゃないのか? あの子」

村人達「気持ち悪いったらありゃしない」

ゾロゾロ

838: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:08:38 ID:Rpvh/qcg

コン子「・・・・・・」

神様「大丈夫?」

コン子「ありがとうございます」ペコリ

神様「コン子ちゃん、強いね」

コン子「え?」


神様「この村、君みたいな子は居づらいんじゃない?」

コン子「・・・・・・」

神様「いつから人の姿に?」

コン子「!!」

神様「心配しないで、私は君みたいな子をいっぱい知っているから」ニコッ

839: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:09:55 ID:Rpvh/qcg


─── 神社・本殿


神様「自己紹介がまだだったね」

コン子「確か、神宮の方と・・・」

神様「神宮、内宮神籍の神様。 一応、神として女神なんかをやらせてもらっています」ペコリ

コン子「神宮の女神さま!?」

神様「いや~ そんな“かわゆい女神さま”だなんて言われると照れちゃうなぁ~」クネクネ

コン子「・・・・・・」

神様「?」

コン子「あっ、すいません。 神さまが本当にいるだなんて・・・」

神様「驚いた?」

コン子「」コクッ

神様「コン子ちゃんが、昔はキツネだったって事は見て分かった」

狐子「!?」

840: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:11:36 ID:Rpvh/qcg

神様「いつから人の姿に?」

コン子「・・・覚えていなくて」

神様「コン子ちゃんの周りに人の姿になったキツネは他にいる?」

コン子「」フルフル

神様「じゃぁ、ずっと一人?」

コン子「」コクン

神様「そっか・・・ ずっと一人でキツネたちを守って面倒を見てるの?」

コン子「あの子達は、人と仲良くしたいだけなんです・・・ でも、村の方達から見ればただの・・・」

神様「農作物を荒らす憎い存在」

コン子「あの子達が畑を荒らした事なんて一度もありません!」

神様「・・・・・・」

コン子「あっ、すいません・・・ 大声を出してしまって」

841: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:12:57 ID:Rpvh/qcg

神様「これ、何か知ってる?」コトッ

コン子「それは・・・ 確かこの神社のご神体」

神様「そう、神体には参拝に来た人の願いが記録されるんだよ」

コン子「願いが?」

神様「どうでも良いような願いが大半だけど、この中に無視できない大きな願いを2つ見つけたんだ」

コン子「大きな・・・ 願い・・・」

神様「一つは村の人みんなが思ってお願いをしている事」

コン子「みんな・・・ 村のことですか?」

神様「昨日も会合で話してたけど、みんなこの村が好きなんだね」

コン子「はい。 みなさんこの村を愛していると思います」

842: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:15:14 ID:Rpvh/qcg

神様「そして、もう一つはここ数十年に渡って毎日記録されているお願い」

コン子「・・・・・・」

神様「この2つのお願いを見てしまった以上、私はこれを叶える義務がある」

コン子「え?」

神様「まぁ、一つ目の願いは何てことはないけど問題はもう一つの方かな」

コン子「・・・・・・」

神様「神は人の願いを叶えるために存在する。 残念ながらもう一つは人ではない者の願いだ」

コン子「・・・そう ・・・ですか」

神様「他の神なら残念ながら成就する事は出来ない。 でも~ 私には出来る」

コン子「!?」

神様「その代わり、それ相応の対価は付く事になるけど」

コン子「対価・・・ でも私、その・・・ お金などは全く持っていなくて・・・」

神様「コン子ちゃんはどうやって暮らしているの?」

843: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:16:58 ID:Rpvh/qcg

コン子「村の畑のお手伝いをしたりしながら・・・」

神様「でも、それだけじゃ暮らしていくの大変じゃない? キツネたちの世話もしているんでしょ?」

コン子「月に一度、町に出てストラップを卸してます」

神様「ストラップ?」

コン子「これです」スッ

神様「お~ かわゆい。 キツネの尻尾みたい」

コン子「あの子達の抜け毛を使って・・・ 動物園などで売ってもらっているんです」

神様「なるほど。 まさに自給自足ってわけだ」

コン子「でも、抜け毛も売り物に使えるのはわずかしかなくて・・・」

神様「へ~」

コン子「なので、毎月の生活だけでほとんどお金を使ってしまって」

神様「大丈夫、お金なんかいらないよ。 対価・・・ いや、代償はコン子ちゃんのこれからの人生」

コン子「私の人生?」

844: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:17:56 ID:Rpvh/qcg

神様「コン子、其方の今後の人生を捨ててでも願いを叶えたいか?」

コン子「もし・・・ もし、あの子達が安心してこの村で暮らせるようになるなら私はどうなっても!」

神様「本当か?」

コン子「はい!」

神様「分かった。 其方の願い、この神ちゃんが叶えて進ぜよう」

コン子「あ、ありがとうございます」フカブカ

神様「んじゃ、2つとも一遍に叶えちゃいますか」

コン子「え?」

神様「その前に~ コン子ちゃんにちょっとだけお願いがあるんだけど~」

コン子「私に出来る事でしたら」

神様「本当に?」

コン子「・・・どのような事でしょうか?」

神様「ちょっと、言いにくいんだけど~」クネクネ

コン子「?」

845: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/03(火) 04:19:19 ID:Rpvh/qcg

神様「その~ お耳をチョコンと出して欲しいなぁ~ って」

コン子「耳?」

神様「そう、キツネのお耳を頭にチョコンて」

コン子「はぁ・・・」ニョキ

神様「!?」

コン子「これで良いでしょうか?」

神様「ぁ・・・ あぁ・・・」ワナワナ

コン子「?」

神様「辛抱たまらん」ピョン

コン子「え!? ちょ・・・」

神様「きゃわいい~!」アムアム

コン子「ぁっ、そんな耳をハムハムされると・・・」ヘナヘナ

神様「ちょー可愛い!! コン子ちゃんは私のものだ~!!」アムアム

コン子「はぅ///」ヘナヘナ

848: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:14:02 ID:yWgtJYFc


─── 30分後


神様「先ほどは我を忘れてしまい、大変失礼いたしました」ドゲザ

コン子「い、いえ・・・ 随分と長く我を忘れてしまっていましたね・・・」


神様「私からのお願いというのは、明日ここに村の人を呼んでもらえないかと」

コン子「村の方達をですか?」

神様「そう、夕方頃がいいかな」

コン子「・・・分かりました」

神様「コン子ちゃんは、その前にここに来てくれる?」

コン子「はい」

神様「あっ、それとキツネたちをすぐに呼べるように待機させておくことは出来る?」

コン子「はぁ、大丈夫ですが」

神様「よし、じゃぁ明日!」

849: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:17:27 ID:yWgtJYFc


─── 翌日・本殿


神様「犬ころのヤツ、缶詰おいてくのは良いけど缶切りがねーよ・・・」ポイッ


トントン


神様「お、来たか。 どうぞ~」


ギィ


狐神「・・・・・・」

神様「おせーよ」

狐神「遠い! 遠すぎ!!」

神様「だから言ったじゃんよ、始発で来いって」

狐神「始発よ! っていうか・・・ あんた、何でこんなに散らかってんのよ」

神様「堅い事言うなって、まぁ上がれや」

850: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:18:39 ID:yWgtJYFc

狐神「はい、これ」ドサッ

神様「お~ こんなに沢山」ゴソゴソ

狐神「重かったんだから。 でも、祭儀服なんて何に使うのよ」

神様「お前、結構良いヤツ持ってんじゃん」

狐神「一応体裁ってもんがあるし、それなりにお金は掛けてるつもり」

神様「おっ、これ良いね~」バサッ

狐神「さすが目の付け所が良いわね。 それは最近拵えたお気に入りなの」

神様「そう。 んじゃこれくれ」

狐神「・・・・・・は?」

神様「ん? これ頂戴って言ったの」

狐神「冗談じゃないわよ! あんた人の話聞いてたの?」

神様「え~ くれよ~」

狐神「それだけはダメ!」

神様「まぁ、お前はこの祭儀服を渡さなければならない状況にならなくなるから後でも良いや」

狐神「はぁ? あんた・・・ 私に何させるつもり?」

851: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:19:31 ID:yWgtJYFc


トントン


神様「お、主役も到着したようだ」

狐神「主役?」


ギィー


コン子「お待たせしました」

神様「ナイスタイミング」

狐神「・・・・・・」

コン子「あっ、お客様でしたか」


狐神「ねぇ・・・ 神ちゃん?」

神様「なに?」

コン子「説明してくれる?」

852: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:20:54 ID:yWgtJYFc

神様「こちらは、コン子ちゃん」

コン子「コン子と申します」ペコリ

神様「」ニコッ

狐神「終わりかよ! 説明になってない!」ムキー

神様「これ、コン子ちゃんの先輩で従一位の狐神」

コン子「狐神!?」

狐神「正一位、狐神。 あと、ちゃんと様を付けなさい」

コン子「す、すいません! 狐神様!」

神様「ん? 正一位だったっけ?」

狐神「位が上がったの」ニヤッ

神様「・・・マジかよ」

854: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:22:25 ID:yWgtJYFc

狐神「これで正真正銘、稲荷のトップってわけよ」フフン

神様「今度、お祝いに大好きな油揚げ食い切れないほど送りつけてやるよ」チッ

狐神「油揚げなんか好きじゃないし。 あんたが変なデマ流すから同族一同迷惑してんだけど・・・」

神様「まぁ位なんてどうでも良いけど。 さて、お互い紹介も終わったところで」

狐神「終わってない! ちゃんと説明しなさいよ!」


神様「コン子ちゃん、キツネたちは呼んである?」

狐子「はい、神社の裏にいます」

狐神「キツネ!?」

神様「沢山いるぞ~」

狐神「!?」

神様「会いたい?」ニヤッ

狐神「そりゃ~ まぁ・・・ 都会にはあまりいないし・・・ たまには・・・」ソワソワ

神様「コン子ちゃん、ちょっとだけ中に入れてもらっても良い?」

コン子「はい、呼んで参ります」テクテク

855: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:23:13 ID:yWgtJYFc


─── 数分後


狐神「あ~ かわいい~」ワシャワシャ

キューン キューン

狐神「お前、べっぴんさんだねぇ~ 私のキツネ時代にそっくりよ」デレデレ



神様「なんだよ、あの気持ち悪いヤツは・・・」

コン子「みんなとても楽しそうです」

神様「そうなの?」

コン子「あまり人とふれあえる機会なんてないですから」

神様「おい狐神、あんまり可愛いからって持って帰るなよ」

狐神「そんな事しないわよ。 この子達はここでコン子ちゃんと一緒に暮らしたいって言っているし」

コン子「・・・///」

856: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/06(金) 23:24:02 ID:yWgtJYFc

神様「それなんだけどさぁ~ ちょっと狐神の力を借りたいなぁ~って」

狐神「私の?」

神様「実はコン子ちゃんを含め、このキツネたちが村から迫害されているんだよ」

狐神「あ? この子達が?」ギロッ

神様「そう。 “迫害”されてんだよ」

狐神「分かった。 この村を呪えば良いのね? 滅ぼせば良いのね?」

コン子「!?」

神様「違うって。 お前のちんけな悪戯なんかじゃ何の解決にもなんねーよ」

狐神「ちんけ言うな!」

神様「村の奴らもこの集落を守るためにちょっと過敏になっているだけなんだよ」

狐神「なるほどね。 それで私に何をしろと?」

神様「それなんだけどさぁ~」ズイッ

狐神「何よ。 顔近いって」

神様「この・・・・・・ で~・・・・・・ ちょっとだけ・・・・・・」ゴニョゴニョ

狐神「はぁ!?」

860: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:49:26 ID:ASEw5dmI

神様「良い案でしょ?」

狐神「それ、マジで言ってんの?」

神様「マジ」

狐神「・・・・・・」ジー

コン子「?」


狐子「あんた、責任とれんの?」

神様「何バカな事言ってんだよ。 お前が責任を取るんだよ」

狐神「・・・・・・」

861: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:50:39 ID:ASEw5dmI

神様「このかわゆい子達は何?」

狐神「キツネ」


神様「コン子ちゃんは?」

狐神「・・・キツネ」


神様「お前は?」

狐神「・・・・・・キツネ」


神様「この神社は?」

狐神「稲荷・・・ じゃない! 八幡でしょ!」

神様「そんなの今日から稲荷にしておけば良いじゃん」

狐神「あんた・・・ そんな勝手な・・・」

神様「この神社、由緒がないみたいだし。 稲荷の勢力拡大、みたいな?」

狐神「勘弁してよ・・・」ハァ

862: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:52:03 ID:ASEw5dmI

神様「狐神ったら、同族想いだしその祭儀服をかわゆい後輩にあげちゃうんだろなぁ~」チラッ

狐神「・・・・・・」

神様「先輩がかわゆい後輩へ餞として上げちゃうんだろうなぁ~ 優しいなぁ~」チラッ

狐神「分かったわよ。 はい、これ貴方にあげる」ドサッ

コン子「え!? 私にですか?」

狐神「これから大変なこともあるだろうけど頑張りなさい」

コン子「?」

狐神「ん? ねぇ、神ちゃん?」

神様「あ?」

狐神「コン子ちゃんは、その・・・ これからのことを知っているの?」

神様「今から説明する」

狐神「ちょっと・・・ 順番が逆でしょ・・・」

863: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:53:31 ID:ASEw5dmI

神様「コン子」

コン子「はい」

神様「ちょっと、こっちに来て座りなさい」

コン子「はい」スタスタ


チョコン


神様「狐神、ちょっと神力もらうぞ」

狐神「え!? 私の力使うの!?」

神様「他に誰がいるんだよ。 その為にお前を呼んだんだから」

狐神「勘弁してよ・・・」

神様「も~ うだうだ言っていないで協力しろよ」

864: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:54:31 ID:ASEw5dmI

狐神「その前に、コン子ちゃんにきちんと説明しなさいよ」

神様「面倒くさいな~」

狐神「説明くらい最低限のことでしょ」

神様「分かったよ。 コン子、これからお前の人生をもらい受ける」

コン子「代償・・・ ですね」

神様「そうだ」

コン子「覚悟は出来ています。 ひと思いに!」

神様「そんじゃ狐神、ちょっと神力もらうぞ」

狐神「も~ あんまり持って行かないでよね・・・」

神様「んじゃ、二人とも私の手を握って」

狐神「ん」ニギ

コン子「・・・・・・」ニギ

865: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:55:29 ID:ASEw5dmI


ポワポワ


コン子(暖かい・・・)

狐神(辛い・・・)


神様「はい、オッケー」

コン子「?」

狐神「うへぇ~ ダルい・・・」グテッ


神様「どんな感じ?」

コン子「なにか・・・ 不思議な気分です」

神様「これでコン子ちゃんの代償は頂戴した」

コン子「今のでですか?」

866: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/07(土) 21:56:48 ID:ASEw5dmI

ガヤガヤ


神様「外が騒がしいな」

コン子「そろそろ夕方ですし、皆さんが集まりだしたのでは?」

神様「まぁ、頃合いだな」


狐神「う~ しんどい・・・」グテッ

神様「おい、コックス。 私は外で村人の相手してくるからコン子ちゃんに祭儀服着せて準備しておけ」

狐神「私が着させるの?」

神様「他にそんな変な服の着方なんか知っているヤツいねーよ」

狐神「変な服言うな!」

神様「それとコン子ちゃん」

コン子「はい」

神様「それ着たら、何匹か横にキツネを従えて扉の前に立ってて」

コン子「え!?」

神様「さて、神ちゃんプロデュースショーでも始めますか!」

868: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 22:56:56 ID:kaIrnNBQ


─── 境内


ガヤガヤ


神様「皆の者、待たせたのぉ」トテトテ

村人A「あんたは・・・」

村人B「俺たちはコン子に呼ばれたんだが」

神様「私がコン子ちゃんに言付けを頼んだんだよ」

村人A「俺たちを呼び出して何の用だ?」

神様「この村のこと、それからコン子のことを少し」

村人B「よそ者には関係ない」

村人達「そうだそうだ!」

869: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 22:58:32 ID:kaIrnNBQ

神様「そんな事を言って良いのかな?」ニヤッ

村人A「どういう意味だ?」

神様「この村を観光客がたくさん来る有名な村へと変えてやろう」

村人A「はぁ? 何をバカなことを」

村人B「アンタのようなガキにそんな事できるわけ無いだろ!」

神様「私の力を甘く見ているようだな」

村人A「お前みたいな小さなガキに何が出来るんだ?」

神様「村人A!!」

村人A「!?」

神様「娘さんの大切にしていた“ほそ末さん”ストラップを壊したようだな。 代わりは見つかったか?」ニヤッ

村人A「何故それを・・・」

870: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 22:59:28 ID:kaIrnNBQ

村人B「ほそ末さんって何だ?」

神様「村人B!!」

村人B「!?」

神様「収穫した人参の選別、SサイズをMサイズにしているのがバレないと良いな?」ニヤッ

村人B「な、何故それを・・・」

村人C「お前、そんな事してたのかよ・・・」

神様「村人C!!」

村人C「!?」

神様「イヤンモールの受付の子には告白できたか?」ニヤッ

村人C「どうしてそれを・・・ 誰にも言っていないのに・・・」

神様「誰にも言ってない? じゃぁなんで私は知っているんでしょ~か?」

871: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:00:48 ID:kaIrnNBQ

神様「村人D! 宝くじの当選祈願だけしかしないようなヤツが当選するはず無いだろ!」

神様「村人E! ジャガイモからかわゆい女の子なんか生まれないぞ!」

神様「村人F! 金くれって雑すぎだろ! 私が欲しいわ!」

神様「村人G! 賽銭くらい入れろ! アホちん!」

神様「村人H! ・・・なんか願っとけよ!」


村人達「・・・・・・」


村人A「あんた・・・ まさか・・・」

村人B「本物の・・・」


神様「ある時は“かわゆい少女”、ある時は“かわゆい巫女”、その正体は!」

村人達「正体は・・・」ゴクリ

神様「神宮が誇る美貌と教養を持つ“かわゆい女神”神ちゃんだ!」フンスッ

村人達「・・・・・・」

872: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:01:52 ID:kaIrnNBQ


─── 本殿内


狐神「も~ 神ちゃんったら、いつも一言どころか二言三言余計なんだから・・・」ヨイショ

コン子「面白い方ですね」

狐神「まぁね。 ほら、腕もっと高く揚げて、袖通すわよ」シュルシュル

コン子「はい! すいません」

狐神「まったく、この装束特注で作ったばかりなのに・・・」ハァ

コン子「あの、どうして私がこんな綺麗な格好をさせられているんでしょうか?」

狐神「この服は、これからアンタが毎日着て暮らす服だからよ」

コン子「え!?」

狐神「ちゃんと着方を覚えておきなさいな」シュルシュル

コン子「・・・・・・」

873: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:02:50 ID:kaIrnNBQ


─── 本殿外


村人達「・・・・・・」

神様「まぁ、皆が驚くのも無理はない。 神宮の女神が降臨しているんだからな」ウンウン

村人A「ほ・・・ 本当に神さまなのか?」

村人B「なんでこんな村に・・・」

神様「こんな村? おい、お前の住んでいる村はその程度のものなのか?」

村人B「!?」

神様「先日、この神社の神体を覗かせてもらった」

村人A「神体?」

神様「そうだ。 神体にはお前達が願ったことが記録される」

村人B「それで、俺たちの秘密を・・・」

874: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:03:54 ID:kaIrnNBQ

神様「お前達の願いだけじゃないぞ? この神社が建立されてからの全ての願いを覗かせてもらった」

村人A「全て!?」

神様「神体を覗き、とても大きな願いを知った私はそれを叶える事にした」

村人A「大きな願い・・・」


神様「お前達、この村が好きなんだろ?」

村人達「・・・・・・」


神様「この村のことを多くの人に知ってもらいたいんだろ?」

村人達「・・・」コクリ


神様「隣村に負けたくないんだろ? 隣村よりこの村の方が素晴らしいんだろ?」

村人A「当たり前だ! この村が一番だ!」

村人達「そうだそうだ!」

875: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:05:29 ID:kaIrnNBQ

神様「この村の素晴らしさを伝えられるんだったら何でもするんだろ?」

村人B「当然だ! 俺たちが出来ることならなんだってやるさ!」

村人C「おうよ、役場の集落活性化企画委員会設置準備室の奴らじゃあてにならねー!」

村人達「そうだそうだ!」

村人B「でも・・・ 意気込みだけはあるんだけど・・・」

村人C「あぁ、何から手を付けたら良いのか・・・」


神様「安心しろ、その為に私がいる。 私にかかればそんな事たやすいことだ」

村人達「お~」パチパチパチパチ

神様「この村を盛り上げるぞー!」

村人達「おー!」

神様「この村に観光客をいっぱい呼ぶぞー!」

村人達「おー!!」

神様「自分たちの手でこの村に元気を取り戻すぞー!」

村人達「おー!!!」

876: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:06:11 ID:kaIrnNBQ


─── 本殿内


コン子「すごい・・・ こんな村の皆さんはじめて見ました」

狐神「相変わらず周りを巻き込むことに関しては天才的ね、神ちゃんは・・・」ヨイショ

コン子「今回は本当に何とかなりそうな気がしてきました」

狐神「アンタがするんだけどね」

コン子「私が!?」

狐神「はい、着付け終わり! 姿見で自分の格好を見てみなさいな」

コン子「え? あっ、はい」


スタスタ

877: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/08(日) 23:07:38 ID:kaIrnNBQ

コン子「・・・・・・」

狐神「どう? すごく似合ってるわよ」

コン子「これが私・・・」

狐神「私のとっておきの装束だけど・・・ 悔しいけどアンタの方が似合うわ」

コン子「綺麗・・・ 自分じゃないみたい」

狐神「これからは、その格好に合った生き方をしないとね」

コン子「え?」

狐神「さ、そろそろ出番よ。 準備して」

コン子「出番?」

狐神「キツネちゃん達もコン子ちゃんの隣にスタンバイね」


テクテク


狐神「お利口ね。 コン子ちゃん、背筋を伸ばしてまっすぐ正面を見ていてね」

コン子「あの、何が始まるんでしょうか・・・」

狐神「あなたの、初仕事よ」

879: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:01:41 ID:CxJwnPaM


─── 本殿外


村人A「でも、神さまよ~ どんな策でこの村に人を?」

村人B「お金だって無いしなぁ」

神様「金なんか必要ない。 この村にあるものだけで1週間後には観光客でごった返すことになる」

村人達「たった1週間で!?」

神様「あぁ、でもそれを叶えるのは私ではない」

村人A「じゃぁ別の神さまが?」

神様「そうだ。 喜べ! 今日からこの神社に神が常駐することになった!」

村人達「お~~」パチ パチ パチ

神様「紹介しよう! 従三位コン之神だ!」


ギーッ

880: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:02:29 ID:CxJwnPaM


村人達「・・・・・・」


コン子「え? あ、あの・・・」キョロキョロ

狐神「キョロキョロしない。 背筋を伸ばして顔は正面、遠くでも見てなさい」ボソッ

コン子「は、はい!」


村人A「なぁ、神ちゃんさん・・・ あれ、コン子じゃないのか?」

村人B「立派な服着てるけどコン子だよなぁ」

神様「そうだよ? コン子ちゃんは神だから」


村人達・コン子「えっ!?」


村人A「おかしいだろ。 コン子自身が驚いているじゃないか」

881: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:03:15 ID:CxJwnPaM

狐神「ゴホン! お初にお目にかかる」テクテク


村人A「あなたは?」

神様「紹介しよう。 あいあい神社の主神で従一位、狐神だ」

村人A「狐神!?」

狐神「様を付けろ、無礼者」

村人A「す、すいません・・・」ペコリ

狐神「それと従一位ではなく、正一位! 稲荷を統括する神だ」


村人B「あぁ~ なんだ、こちらの方が本物の神さまですか」

村人C「ビックリした。 コン子が神さまだなんてなぁ」

狐神「なにを言っている、コン子は正真正銘の稲荷神だぞ?」

882: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:03:58 ID:CxJwnPaM

村人A「確かにコン子が人ではないことは知っているけど・・・」

村人B「だからって神さまだなんていきなり言われても、なぁ?」

村人達「うんうん」


神様・狐神「はい?」


村人A「いや、だって年とらないし」

村人B「俺が子供の時からコン子は村に居たし」

村人C「俺のばあちゃんが子供の頃もコン子は居たって聞いてる」

神様「あ~・・・」

883: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:04:52 ID:CxJwnPaM

狐神「お前達はコン子が人ではないことを知っていて今まで接していたのか?」

村人A「まぁ、コン子に関しては何て言うか~」

村人B「昔から触れないのが暗黙の了解っていう感じで」

神様「ほぉ~ この時代にこんな不思議な存在を受け入れているとは面白い村だ」

狐神「通りで神の存在もすぐに信じたわけだ」


村人A「でも、さすがコン子が神さまだなんて信じられないな」

村人B「そうだな。 神社になんか会合の時しか来ないし」

村人C「家も隅っこの小さな小屋だし」

村人D「畑の手伝いして生活する神さまなんていないよな」


コン子「ぅぅ・・・///」モジモジ

884: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:05:40 ID:CxJwnPaM

狐神「まぁ、証拠を見せた方が早いな」ハァ

村人A「証拠?」

狐神「コン子、お前には先ほど私の神力を分け与えた」

コン子「神力?」

狐神「この者達に神力を使って神としての証拠でも見せてやれ」

コン子「そんな・・・ どうやって・・・」

狐神「ここはお前の社だ。 神力も自由に使えるはずだ」

神様「コン子ちゃん、この神社の神体の力は感じ取れる?」

コン子「神体?」

神様「そう、頭の中で神体を感じてみて?」

コン子「頭の中・・・ あっ」

神様「そしたら、そうだなぁ~ 神体から力を少しもらって手のひらにのせる感じを想像してみて?」

コン子「手のひら・・・」ジーッ

村人達「・・・・・・」ジーッ

885: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:07:19 ID:CxJwnPaM


ポワポワ


村人達・コン子「!?」

神様「そうそう、うまいうまい」

狐神「狐火だな」

村人A「そんな・・・」

村人B「うそだろ・・・」


ザワザワ


狐神「コン子はこの地に住まうキツネたちを守り、そしてこの村の人々を守る存在」

村人達「・・・・・・」

狐神「お前達はコン子に今までどんな接し方をしてきた?」

村人達「・・・・・・」

狐神「この村のキツネたちに何をしてきた?」

村人達「・・・・・・」

886: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:08:15 ID:CxJwnPaM

狐神「コン子、神であるお前の口から村の者達に言うことはあるか?」

コン子「・・・・・・」

神様「コン子ちゃん、正直に」


コン子「私は・・・ 皆さんと違って人ではありません・・・」

コン子「でも、そんな私をこの村に居させてもらったことを本当に感謝しています」


村人達「・・・・・・」


コン子「この子達も、悪気があって村まで出ているわけではなかったのですが・・・」

コン子「でも、野生のキツネですから驚かせてしまったことはこの子達も反省しています」

コン子「私も、この子達もこの村が大好きです。 もし私が力になれることがあるのであればその恩返しをさせて下さい」

コン子「よろしくお願いいたします」フカブカ


村人達「・・・・・・」

狐神「本心でこれか・・・ 大した子だ」フッ

887: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:09:41 ID:CxJwnPaM

神様「コン子ちゃん、キツネ達を境内に呼んでもらえる」

コン子「はい。 みんな出ておいで」


テクテク


神様「お~ たくさんいるね~」

コン子「これでもこの村にいる子達の1/3程です」

狐神「結構な数がいるな」

コン子「ほら皆、ちゃんとご挨拶して? この日のために覚えたんでしょ?」


キツネたち「キュ~ン キュ~ン」ペコリ ペコリ


狐神「ふぁぁ~」ニンマリ

村人達「・・・・・・」

888: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:10:30 ID:CxJwnPaM

村人A「コン子・・・」

コン子「?」

村人A「すまなかった」ドゲザ

コン子「やめて下さい、謝らなければいけないのは私達ですから」オロオロ

村人B「すまない」ドゲザ

村人C「確かに・・・ キツネたちが村を荒らしてるところなんか見たことないしな・・・」ドゲザ

コン子「ちょ、皆さんやめて下さい」


スリスリ


村人B「?」

キツネ「」ペロ

村人B「・・・・・・。 こんな優しいキツネに猟銃を向けたなんて情けねぇ」グッ

コン子「あれはこの子達が出てきては行けない場所に出てきたのが悪いんですから」

村人B「いや・・・ 悪いのは俺だ・・・」

コン子「この子達には、村まで出て行かないようにキツく言っておきましたから」

889: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:11:04 ID:CxJwnPaM

神様「その必要は無い!」

コン子「え?」

神様「これからは、キツネたちは村中を自由に出歩くことを命ずる」

コン子・狐神「!?」

狐神「ちょっと神ちゃん、どういう事?」


神様「村人達も、これからは村の中をキツネが出歩いていても自然に接すること」

村人A「もちろんだ」

村人B「約束する」

村人達「うんうん」

神様「この村を活性化するにはそれだけで良い」


一同「はい?」

890: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/09(月) 23:11:48 ID:CxJwnPaM

神様「コン子ちゃん、これからはこの神社に住みキツネたちはここを住処にさせるように」

コン子「この神社にですか?」

神様「そう、そして村の中をキツネたちが多く出歩くように指示してほしい」

コン子「?」


狐神「ちょっと、どういう意味があるのか説明しなさいよ」

神様「キツネの住む神社と、キツネが町中を闊歩する村。 これは最高の村おこしだと思わないかね?」ニヒヒ

狐神「アンタまさか・・・」

神様「神ちゃんプロデュース第二章の始まりだよ、コックスくんや」ニヤッ

狐神「コックス言うな」ゲシッ

神様「あぅ」

896: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:02:22 ID:liiiw5Ho


─── 1週間後・神使会休憩室


ガチャ


神使「ふ~ さすがに座学だらけだと疲れますね」

神使友「おい、神使これ見てみろよ」

神使「テレビですか?」


レポーター『見て下さい。 今、私の横を可愛いキツネが何の警戒もなく通り過ぎていきましたよ』

レポーター『あそこにも、あっちにも村中にキツネがいます。 村の人達も一向に気にしていませんね』

897: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:03:08 ID:liiiw5Ho

神使「へぇ~ 凄い村ですね」

神使友「おれ、この村に住んでみたいなぁ~」

神使「そういえば、神使友さんはキツネさんでしたね」

神使友「あぁ。 最近この村の神社に神が常駐されたみたいで、その神の発案だって噂」

神使「人と動物のふれ合い・・・ 立派な神ですね」

神使友「この神社に転勤したいなぁ」

神使「これだけ大胆な発想ができる神なんて、きっと優秀でご立派な方なんじゃないですか?」

神使友「だよな~ 絶対ハードル高いよな」

898: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:04:00 ID:liiiw5Ho


レポーター『このキツネさん達、普段はこの神社で生活しているそうなんです』

レポーター『うわ~ 凄いキツネさんと観光客の数ですね~』


神使友「お! 神社も取材されてるじゃん」

神使「神も写りますかね?」


レポーター『あっ、巫女さんがいますね。 ちょっとお話を伺ってみましょう』

レポーター『こちらの神社の巫女さんですか?』

神様『あ! テレビ? いえ~い。 写ってる?』ピース


神使「・・・・・・」

神使友「なんだよ、この巫女さんは。 バイトか?」

899: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:04:42 ID:liiiw5Ho

レポーター『ははは・・・ 元気な巫女さんですね。 ちょっとお話しを伺っても良いですか?』

神様『これカメラ? イエーイ! 神使く~ん、見て───』


ピッ


神使友「おい、どうしたんだよ。 急にテレビ消して」

神使「も、もうじき次の座学の時間です。 行きましょう」

神使友「まだ早くないか?」

神使「早く行かないと良い席が取られてしまします。 行きましょう」

神使友「お、おう・・・ って言うか、今の巫女さん、お前の名前呼んでなかったか」

神使「気のせいでは?」

神使友「そうかなぁ?」

900: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:05:51 ID:liiiw5Ho


─── 翌週


ガタンゴトン


神使(おかしいです)


ガヤガヤ


神使(確か2週間前、この電車は1両編成でお客さんは全く乗っていなかったはず・・・)


ガヤガヤ ガヤガヤ


神使(どうして5両編成でこんなに混雑しているのですか? しかも・・・)


車掌『本日は臨時快速おきつねふれ合い号をご利用頂きありがとうございます』


神使(臨時って・・・)

901: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:06:59 ID:liiiw5Ho


─── 駅


神使「・・・・・・」


ガヤガヤ ガヤガヤ


村人A「こんこん稲荷神社行きの直通バスはこちらになります~」

神使「あの、すいません」

村人A「はい?」

神使「こんこん稲荷神社って先週テレビに映っていた神社ですか?」

村人A「そうですよ。 直通バスはこちら、先払いで片道250円です」

神使「うわ、満員ですね」

村人「後ろのバス2台も臨時なので空いている方へどうぞ」

神使「そうですか・・・」テクテク

902: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:08:08 ID:liiiw5Ho


─── 神社前


ガヤガヤ ガヤガヤ


狐神「境内へのご入場は現在1時間待ちとなっておりま~す」


神使「・・・・・・」


狐神「村の中にもキツネちゃん達が沢山いますので、お時間のある方は先に村の散策を───」

神使「あの、狐神様ですよね?」

狐神「ん?」クルッ

神使「お久しぶりです・・・」

狐神「お~ 神使君か。 丁度良かった、上で着替えてすぐに神ちゃんを手伝ってくれる?」

神使「それより、これは一体・・・」

狐神「説明は後! 神ちゃんヘロヘロになってるから!」

神使「は、はい!」タッタッタッ

904: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:09:13 ID:liiiw5Ho


─── 境内


ガヤガヤ ガヤガヤ


神使「あの廃神社にこんなに人が・・・ というか稲荷でなく八幡だった気がするのですが・・・」


 お守り~ 牡蠣フライ~ おみくじ~ 牡蠣フライ~


神使「あの声は・・・」スタスタ



神様「こちらがお守りになります」スッ

参拝者「ありがとうございます」

神様「名物の牡蠣フライも一緒にどうですか?」

参拝者「牡蠣フライは・・・」ハハハ

905: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:09:55 ID:liiiw5Ho

神使「あの・・・」

神様「はい、牡蠣フライですか? お守りでしたら全種一律300円!」

神使「何でお守りと牡蠣フライを一緒に売っているんですか? 神様」

神様「お~ 犬ころじゃん。 丁度良かった手伝ってくれ」

神使「今日はお祭りか何かなのですか? 凄い人ですが・・・」

神様「先週からずっとなんだよ。 凄いだろ、もうボロ儲けだよ」ウヒャヒャ

神使「巫女さんの格好でボロ儲けだなんて言葉を使わないで下さい・・・」

神様「良いから早く着替えて来いよ。 本殿あいてるから」

神使「後でちゃんと説明して下さいよ?」スタスタ

906: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:10:31 ID:liiiw5Ho


─── 本殿


ギィー


神使「全く神様ったら今回はどんな悪巧みを───!?」

コン子「!?」クルッ

神使「し、失礼しました!」

コン子「いえ、お気になさらず」


スリスリ


神使「? キツネさん?」

907: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:12:15 ID:liiiw5Ho

コン子「こら、ダメよ? 勝手にすり寄っちゃ迷惑でしょ?」

神使「いえ、お気になさらずに。 人懐っこくて可愛いキツネさんですね」ヨシヨシ

コン子「あの、失礼ですが・・・」

神使「失礼しました。 私、神様の仕いを務めております狛犬の神使と申します」ペコリ

コン子「神ちゃんさんの?」

神使「はい。 それより、主神様のいる本殿に勝手に入ってしまい申し訳ございませんでした」フカブカ

コン子「そ、そんな・・・ 主神様だなんて・・・///」

神使「?」

コン子「最近神ちゃんさんに神にされたばかりで、私なんかまだ何も・・・」

神使「・・・そうですか。 やはりこの惨状は神様の企てですか」ハァ

コン子「神ちゃんさんは、この村を・・・ とても素敵な村に変えてくれたんです」ニコッ

神使「・・・あの、詳しくお伺いしてもよろしいでしょうか」

コン子「はぁ」

908: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:13:04 ID:liiiw5Ho


─── 1時間後


バンッ


コン子「!?」

神様「犬ころ! 着替えにいつまで時間かかってんだよ!!」ズカズカ

コン子「あっ、神ちゃんさん・・・」


神使「はい・・・ えぇ、出来ればそのような形ですと有り難いのですが・・・ はい」


神様「ん? 犬ころ電話中なのか」

コン子「はい、先ほどから」

909: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:13:42 ID:liiiw5Ho

神使「では、よろしくお願いします」ピッ


神様「どこ電話してんだよ。 はよ手伝えや、忙しくてかなわないんだよ」

神使「お待たせしてすいません。 すぐ行きます」

神様「んじゃ、神使君はコックスと交代で下で入場列の整理やってくれる?」

神使「分かりました」

神様「そろそろコックスのヤツへたってる頃だと思うし」

神使「神様は?」

神様「私はもう少しお守りと牡蠣フライ売ってくる」

神使「何故、牡蠣フライも一緒に売っているのですか・・・」

神様「売れるから良いんだよ!」

910: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:14:19 ID:liiiw5Ho

コン子「あの、やはり私もお手伝いを」

神様「コン子ちゃんは、ここにいて」

コン子「でも、私も何か・・・」

神様「これから毎日この状態が続くんだから。 主神のコン子ちゃんに疲れが出ちゃうと村全体に影響しちゃうの」

コン子「・・・・・・」

神様「その気持ちだけで十分。 主神はこの村とキツネちゃん達を陰から見守るのが仕事」

コン子「分かりました」

神様「よし。 それじゃぁもうひと頑張り!」フンスッ

911: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:15:21 ID:liiiw5Ho


─── 夜


神様「うへ~ ちかれた~・・・」グテッ

狐神「ぁ・・・ ぁ・・・」ピクピク

神使「狐神様、大丈夫ですか?」

狐神「ダメかも・・・」


神使「しかし凄い人の量ですね」

狐神「神ちゃん・・・ これ人来すぎじゃない?」

神様「想像以上だな」

神使「テレビで取材されたらこうなりますよ・・・」

コン子「明日は土曜日・・・ 大丈夫でしょうか?」

神様・狐神「・・・・・・」

912: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:16:24 ID:liiiw5Ho

神使「ちなみに、土日対策は?」

神様「・・・・・・」

狐神「してるわけ無いじゃんよ・・・」

神使「だろうと思いました」ハァ


神様「どうしよう・・・ お守りも牡蠣も全然足りない」

神使「明日の早朝に神宮から巫女と神職の応援が20名ほど来ます」

一同「え!?」

神使「それと、仮設の授与所用にテントが3つほどきます」

狐神「そんな手配いつの間に?」

神使「稲荷用の祈祷済みお守りが5000個、おみくじ1000セットも明日着で届く予定です」

神様「まさか、さっき電話してたのって・・・」

913: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:17:28 ID:liiiw5Ho

神使「村おこしの案としては大変素晴らしいと思いますが、先のことも考えておかないとダメですよ? 神様」

神様「はい」

神使「それと、コン子さんの件を神宮に報告していませんね?」

神様「・・・はい」

神使「先ほど神宮に無理を言って、コン子さんの神籍追加と神社の社名変更を至急してもらうように手配しました」

狐神「あ~ 神宮に登録しておかないと面倒だもんね」

神使「神宮登録の内容と違うと巫女と神職の派遣も出来ませんので」

神様「すんません、ありがとうございます」ドゲザ

コン子「私のせいでご迷惑を・・・ 申し訳ありません」ドゲザ

神使「お気になさらず。 言い出しっぺの神様に変わって私がすることですから」

914: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:18:50 ID:liiiw5Ho

神様「ん? お守りとかの補充は良いけど牡蠣は? 牡蠣の補充は?」

神使「してませんよそんなもの・・・」

神様「それはマズいだろ~」

神使「土日は私が焼きそばの屋台でも開きますから」

神様「でも~ 牡蠣はこの神社の名物で~」


狐神「しかし、神宮が今日明日のことなんかでよく動いてくれたねぇ」

神使「神宮の各部署には知り合いが沢山いますので、少し無理を言って」

狐神「神宮に長くいる神ちゃんより神使君の方が顔が利くんじゃない?」

神使「さすがにそれは・・・」

神様「そうだよ! 私の方が顔聞くって!」

狐神「はいはい。 分かったわよ」

915: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/10(火) 23:19:23 ID:liiiw5Ho

神使「明日は早くから準備が必要です。 今日は寝ましょう」

神様「そうね、おやちゅみ~」ゴロン

狐神「おやすみ~」ゴロン

コン子「お休みなさいませ」ゴロン

キツネ達「」パタリ

神使「あの・・・ 私の寝る場所が・・・」


神様「Zzz」グガー

狐神「Zzz」スピー

コン子「Zzz」スヤスヤ

キツネ達「Zzz」


神使「・・・はい、外で寝てきます」テクテク

919: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:26:16 ID:asHAx.4c

─── 翌日・駅前

村人A「こんこん稲荷神社行きの直通バスはこちらで~す」

村人C「よ! 凄い人だな~」スタスタ

村人A「あぁ、役場に言ってもう何台かバスを出してもらわないとな」

村人C「臨時電車も増便になったぞ。 しかし、こんな事になるなんて想像できなかったな」

村人A「そうだな・・・ コン子が機会を与えてくれたんだ。 ここからは俺たちの頑張りだ」



─── 町中

観光客「きゃ~ かわいい~」モフモフ

村人B「この子はキッコちゃんって言うんだよ」

観光客「キッコちゃんか~ 街の中にキツネがいるなんて凄いですね」

村人B「この子達はこの村の住人だ。 いて当たり前なんだよ」

観光客「へぇ~ 住人か~」

村人B「あぁ、大切な村の仲間だ」

920: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:27:19 ID:asHAx.4c

─── 神社前

狐神「最後尾はこちらで~す。 現在境内までのご入場に2時間待ちとなっておりま~す」

巫女「狐神様、私が代わりますのでご休憩を」

狐神「ありがと、頼んだ」

 子供「ねぇ~ まだ並ぶのぉ?」

 母親「もう少し我慢してなさい」

狐神「ぼく?」

子供「な~に?」

狐神「あそこを歩いているキツネ、キツミちゃんって言うのよ? 呼んでごらん?」

子供「キツミちゃ~ん」

 キツネ「・・・」タッタッタッ

狐神「キツミ? 沢山遊んでもらいなさい?」

 キツネ「」コクコク

子供「すごい! 返事したみたい!」

狐神「順番がくるまで、この子と遊んであげてね?」ニコッ

921: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:28:03 ID:asHAx.4c

─── 参道

参拝客「焼きそば3つ下さい」

神使「はい! 3つですね?」


ジュージュー


参拝客「ねぇ、牡蠣フライは売ってないの?」

神使「・・・焼きそばじゃダメですか?」

参拝客「この神社、牡蠣フライが名物だって聞いたんで」

神使「・・・・・・。 すいません」

参拝客「無いんじゃ仕方ないか。 焼きそば2つ下さい」

神使「はい。 すいません・・・」


ジュージュー

922: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:29:19 ID:asHAx.4c

─── 境内

神様「お待たせしました、こちらお守りです」スッ

参拝客「ありがとうございます」


巫女「神ちゃんさん、お守りの補充を持って参りました」

神様「ありがと、あと釣り銭が少なくなってきたから祓い済みのヤツ持ってきてくれる?」

巫女「はい、すぐに準備します」


参拝客「すいません、このお守り下さい」

神様「はい、300円お納め下さ~い」



コン子「・・・・・・」ジー

 ?「こちらの主神かな?」

コン子「!? え? あの・・・ 私は・・・」

923: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:30:17 ID:asHAx.4c

?「大丈夫。 神宮の神様機構長官と申します」ペコリ

コン子「神宮・・・ あっ、神ちゃんさんはあちらに───」

長官「いや、良いんだ。 ちょっとした申請が出ていたから視察をしに来ただけだから」

コン子「はぁ・・・」

長官「しかし、凄い量の参拝者だね」

コン子「全部、神ちゃんさんのおかげです」

長官「いや、この神社の主神であるコン之神の力だよ」

コン子「私なんか何も・・・ ただこうして影から見ているだけで・・・」

長官「下地を作ったのは君が今まで頑張ってきたからだ。 誇りを持ちなさい」

コン子「・・・・・・」

924: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:31:04 ID:asHAx.4c

長官「はい、これ」スッ

コン子「これは?」

長官「神籍証。 神の証だよ」

コン子「神籍・・・」


長官「さて、視察も終わったし申請も問題なさそうだから私は帰るよ」

コン子「あの、申請って?」

長官「神ちゃんから、この神社に寄付金の申請があってね?」

コン子「寄付金?」

長官「あぁ、それが少し大きな額だったものでね」

コン子「おいくら位なのでしょうか?」

長官「1億円」

コン子「!?」

925: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:32:06 ID:asHAx.4c

長官「結構な額だろ?」

コン子「そんな大金をどうして?」

長官「そう思うよね? だから見に来たんだよ。 でも妥当な額だと思う」

コン子「妥当って・・・」

長官「これだけの参拝者がいるのに社務所もなければ拝殿もない。 授与所だって無いし、全部新しく拵えたら最低でもその位はかかるね」

コン子「この神社の?」

長官「一番急ぎなのは、稲荷神がいる神社なのに鳥居が八幡タイプだ。 これはすぐに直さないとね」ハハハ

コン子「そんな、私みたいな者にそこまで・・・」

長官「神のいる神社は今はとても少ないんだ。だから最大限の協力はさせてもらうよ。 それに・・・」

コン子「?」

926: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:32:52 ID:asHAx.4c

長官「村中の人が協力してくれているだなんて、こんな素敵な村には素敵な神社がないとね」

コン子「・・・嬉しいお言葉、ありがとうございます」ウルウル


長官「コン之神、ここからが君の力の見せ所だ。 大変だろうけど頑張るんだよ」

コン子「はい!」フカブカ


長官「それじゃ、神ちゃん達によろしく伝えておいてくれ」テクテク

コン子「・・・・・・」フカブカ

927: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:33:27 ID:asHAx.4c



 神様「は~い! お守り、おみくじはこちらですよ~」

 狐神「キツネたちと沢山遊んであげてね~」

 神使「焼きそばです」



コン子「ありがとうございます。 神ちゃん様、狐神様、神使様。 そして村の皆さん」フカブカ

928: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/11(水) 22:34:16 ID:asHAx.4c


狐神「? 神ちゃん」クイクイ

神様「何だよ」

狐神「あれ」

神様「?」クルッ



 コン子「」フカブカ



神様「・・・・・・」

狐神「あの子がいれば、この村も安泰ね」

神様「当然!」ニコッ

932: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:18:02 ID:DIrG99hY


─── 数日後


神様「い~や~だ~」ジタバタ

神使「ダメです。 ほら、ワガママ言っていなで」グイグイ


コン子「あれ? 神ちゃんさん、どうされたんですか?」

狐神「いやね、神ちゃん達帰るんだって」

コン子「え?」

933: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:18:49 ID:DIrG99hY

神様「帰んない! ここでコン子ちゃんとモフモフした生活をしてダラダラ暮らすの!」

神使「どんな生活ですかそれ・・・ 神様が居ても食い散らかして本殿を汚すだけです」

神様「これからは食べ終わったゴミはちゃんとゴミ箱に捨てるから!」

神使「そんな最低限のこと約束しないと出来ないなんて・・・」


狐神「神ちゃんったら、キツネたちの餌も食べようとしてたんだよ?」

神使「神様・・・」ゾッ

神様「引くな! だって、皆美味しそうに食べてたし・・・」

コン子「あの餌は寄生虫対策も兼ねた特製の物なのであまり食べない方が・・・」

神様「・・・ぇ?」

934: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:19:34 ID:DIrG99hY

狐神「ちょっと、まさかアンタ食べたの?」

神様「た、食べても大丈夫だよね?」タラタラ

コン子「自然の物で作っているので大丈夫ですが・・・ お腹壊しませんでした?」

神使「神様は牡蠣の毒にも負けない胃袋の持ち主ですから」

狐神「でも、野ねずみとかは食べちゃダメよ?」

神様「喰わねーよ!」

狐神「ここのキツネ達は食べるものが管理がきちんとされているんだね」

コン子「はい。 私のあげる餌以外は食べないように厳しく言ってありますので」

神使「神宮所属の獣医の方にキツネさん達を調べてもらってお墨付きを頂きました」

神様「狐神、お前もついでに調べてもらったら?」

狐神「必要ない」ゲシッ

神様「あぅ」

935: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:20:23 ID:DIrG99hY

コン子「あの・・・ 神ちゃんさん本当に帰られてしまうんですか?」

神使「次の仕事もありますので・・・ あまり一カ所に長居も出来ないんです」

コン子「そう・・・ ですよね・・・」シュン

神様「ほら! コン子ちゃんあんなに悲しそうな顔してるじゃん!」

神使「神様ここ数日何もしてないじゃないですか・・・」

神様「牡蠣フライの監修してるだろ!」

神使「食べてるだけじゃないですか・・・」

神様「巫女舞だってまだ教えてないし!」

神使「コン子さんは巫女じゃありません」

神様「祈祷とか、祈願成就の仕方とか!」

狐神「それは私が教えてる」

神様「・・・・・・」

936: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:21:17 ID:DIrG99hY

神使「だそうです」

神様「しょうがねーな~」チッ

コン子「・・・・・・」

狐神「コン子ちゃんも気持ちは分かるけど、ね?」

コン子「はい」


神使「では、早く荷物をまとめて下さい」

神様「へいへい」

コン子「もう一日だけ・・・ もう一日待って頂けないでしょうか?」

神使「はぁ・・・ 一日くらいでしたら大丈夫ですが」

コン子「ありがとうございます!」タッタッタッ

狐神「ちょ、コン子ちゃんどこ行くの!?」

937: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:21:55 ID:DIrG99hY

神使「行ってしまいましたね・・・」

狐神「全く」ハァ

神様「別に出かけるくらい良いだろうが」

狐神「出かけるのは良いけど、目立ちすぎるでしょ」

神様「?」

狐神「装束着たままよ?」

神様「あ~ 確かに、あんな変な格好じゃ怪しさ満点だな」

狐神「変な格好言うな!」ゲシッ

神様「あぅ」

神使「参拝者も観光客の方も帰られて少ないですから大丈夫だと思いますが・・・」

狐神「後で少しお説教しないとね」ハァ

938: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:22:35 ID:DIrG99hY


─── 翌日


神使「では、神様そろそろ行きましょうか」

神様「へいへい」


コン子「あの・・・」

神様「ん?」

コン子「これを」スッ

神様「わ! モフモフストラップじゃん! デカい! しかも真っ白!」

コン子「ぜひ、神ちゃんさんに使って欲しくて///」

神様「かわゆい~ これ、キツネちゃん達の抜け毛?」

狐神「白キツネなんてこの村にいたっけ?」

コン子「いえ・・・ その・・・ 私の毛を・・・」

一同「え!?」

939: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:23:26 ID:DIrG99hY

神様「だって、コン子ちゃん抜け毛なんてないでしょ」

コン子「昨日、ちょっとブラッシングをしまして。 ははは・・・」スリスリ

狐神「・・・・・・」


神様「そう・・・ わざわざありがとう。 宝物にする」

コン子「そんな! そこまでの物では・・・ 何か買ってプレゼントしたかったんですけど時間もないしお金もなくて・・・」

神様「」ギュッ

コン子「!?」

神様「沢山勉強して良い神さまになって。 そしてこの村を末永く守っていってね」

コン子「はい。 神ちゃん様に会えて、私・・・ 本当に・・・ ありがとうございました」グスッ

神様「元気でね」

コン子「はい」

940: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:23:58 ID:DIrG99hY

神使「では、参りましょうか。 コン子さんお元気で」

コン子「神使様も色々とありがとうございました」フカブカ

神使「村の皆さんにもよろしくお伝え下さい」

コン子「はい!」ニコッ


神様「じゃ、狐神。 あとはよろぴこ」

狐神「はいはい」


神様「じゃ、またね~」


テクテク

941: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:24:33 ID:DIrG99hY


─── 駅


ファーン


神使「あれ? 次の電車までまだ時間があるんですが、もう来ましたね」

神様「田舎だから交換待ちとかあるんじゃね?」


プシュー


神使「回送って書いてありますね」

神様「なんだよ、乗れないならドア開けんなよ」

942: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:25:42 ID:DIrG99hY

車掌「帰りの電車待ち?」

神様「あっ、村人C! あんた車掌だったのかよ!」

車掌「乗っていくかい?」

神使「しかし、回送では?」

車掌「おかげさまで最近満員で座れないから、ついでだし乗って行きなよ」

神使「そんな・・・ 良いんですか?」

車掌「気にすんなって」

神様「やったー! 貸し切り~」トテトテ

943: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:26:25 ID:DIrG99hY


─── 車内


車掌「右側の窓が全開になってる席に座って」

神様「うへ~ クーラーかかってない・・・」

車掌「回送だし」

神様「マジかよ・・・」ヨイショ

神使「座って帰れるだけよしとしましょう」

車掌「綺麗な車窓でも眺めながらごゆっくり」テクテク

944: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:26:57 ID:DIrG99hY


ガタンゴトン


神使「コン子さん、とても良い子でしたね」

神様「そうね」

神使「でも、大丈夫でしょうか?」

神様「心配ないよ。 あの子は絶対に道を間違ったりしない」

神使「そうですね」

945: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:27:45 ID:DIrG99hY


ファーン ファーン ファーン


神使「?」

神様「なんだ? 急にスピード落ちたぞ」


神使「あっ、神様! 外見て下さい、川の向かい側!」

神様「ん?」


 お~い! 元気でな~
 また遊びに来てくれよ~


神使「村の方達ですね。 大きな横断幕まで・・・」

神様「・・・・・・」

神使「コン子さんもあんなに大きく手を振って、キツネさん達も沢山いますよ」


神様「・・・中々イキなことしてくれるじゃん」チラッ

車掌「」グッ

946: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:28:19 ID:DIrG99hY


 コン子「神ちゃんさ~ん! また村に遊びに来て下さいね~!!」フリフリ


神様「・・・・・・」

神使「神様・・・」



神様「おーよ! また来るー! 皆元気でな~」フリフリ



ファーン
ガッタン ゴットン

947: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:29:13 ID:DIrG99hY


神様「神使くん」

神使「はい」

神様「・・・・・・。 やっぱ私、コン子ちゃんの所に帰るわ」ヨイショ

神使「神様、真顔で何言っているんですか。 ちょ、電車動き出してますから!」ガシッ

神様「放せ~ もっとコン子ちゃんをモフモフするんだ~」ジタバタ

神使「神様! ちょっと勘弁して下さいって。 結構なスピード出てますから!」



神様「モフモフさせろーー!!」









神様「神様だっ!」 神使「神力ゼロですが・・・」
#17「こんこん稲荷神社」 ―END

948: ◆8YCWQhLlF2 2017/10/12(木) 21:30:35 ID:DIrG99hY

#14 「キセキ野教会」 >>1-229
崩れかけの廃神社。寝るところが無い神様は隣の修道院にお世話になる事に・・・

#15 「神苑温泉」 >>246-492
休暇で訪れた温泉。お猿の神使キー子にメロメロの神様は何か気になる様子・・・

幕間 「満月の夜」 >>497-527
神様と神使は野宿する嵌めに。満月が綺麗な夜に二人の思いは一つになって・・・

#16 「お花を摘みに」 >>551-796
埋蔵金伝説が噂される無人神社。歌に隠された暗号を元に神様が真実に迫る・・・

#17 「こんこん稲荷神社」 >>809-947
廃神社でお留守番の神様。村八分状態のコン子ちゃんがとても気になる様子・・・



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