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 │ これは――「呪い」を解く物語。   ..│
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 ――この物語に奇跡なんてない。

 ――あるのは人々が作り上げた、必然である。



SSWiki : http://ss.vip2ch.com/jmp/1388329933

引用元: ・【咲安価】 京太郎「これが俺の、最後の……変身ッ!」  最終話【ライダー】 



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21: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 00:58:59.36 ID:WKY7KPnwo

京太郎「なんつーか、本当……ありがとうな、淡」

淡「へっ?」

京太郎「どうした?」

淡「いや、こーゆーときのきょーたろーはいつも……」

淡「『悪かったな……俺のせいで……』」

淡「とか言っちゃうキャラだったでしょー?」

淡「だから、なーんか変わったなーって思って」

京太郎「……そうか?」


 そんな人間だったのかと、首を捻ってみる。

 ……そんな人間だったのかも、しれない。

 今は実に、憑き物が落ちたように心が軽いんだが――かつてはどうだっただろうか。


京太郎「ところで、憧は大丈夫なのか? アイツ、無事か?」

淡「ぶー」

京太郎「なんだよ」

淡「彼女の目の前で、いきなり他の女のこと聞くー?」

淡「そーゆーとこ、ほんっときょーたろーってデリカシーないよねー」

京太郎「うっ……」

京太郎「いや、でも……ほら、やっぱりアイツ大変なことになってたんだしその心配をしても……」

淡「なーんて。じょーだんだよ、じょーだん」

淡「そんな、人の命が懸ってるのに変なこと言うわけないじゃん。ばーか」

京太郎「……おまえなぁ」


 辺りを、見回してみる。

 ガッツポーズをする仮面ライダー電王――神代小蒔とイマジンズ。
 こちらに向けて親指を立てる仮面ライダーアクセル――江口セーラ。
 腕を組んで頷く仮面ライダーW――白水哩と鶴田姫子。
 それを見守る染谷まこと片岡優希、伊達明。

 そして――。


憧「……いきなり、イチャついてくれちゃって」


 溜息を漏らして、京太郎の頭を小突く仮面ライダーバース――新子憧。
 あのときバースは破壊されてしまったので、別バージョンなんだろう。微妙に幾分か差異がみられる。
 というか、小突かれた。普通に痛い。

22: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:09:29.12 ID:WKY7KPnwo

憧「……というか普通に目の毒だっていうかなんていうかいや別に京太郎に対してそういう感情を抱いてるわけじゃないけど」

憧「でもだからってやっぱり完全にないと言えば嘘になるし、何でもない奴の為に命張ったりしないっていうか、どうなんだろあたし」

憧「いや流石に彼女いるような奴に横恋慕することはないっていうかそんな風に勝ち目のない戦いはしたくないっていうかあり得ないけど」

憧「でもなんだろうもしかして、まだあたしにも……違う違う違う、ないないないないないない別にあたしこいつのことをそんな風に思ってないし」

憧「でもどうなんだろ仕方ないよねだって今までこれぐらい近い距離に男が居たことないしだってこいつかっこいいし優しいし真面目だし」

憧「きっとこれは気の迷いに決まってるわよねそうに決まってるあたしに経験がないから仕方ないんだって彼氏欲しいなぁ……うん」

憧「でもきっとこいつ以上に優良物件見つからない……いやでもよく考えたらこいつ結構重いからどうなんだろって違う違う別に何でもない」


 なんだろう。
 恐ろしく高速でぶつぶつ呟いているから聞き取りづらい。
 まあ、紫メダルの力の使い過ぎのせいで、猶更何て言ってるか判らないんだけど。


淡「……へー」

淡「ふふーん♪」

淡「ねえ、きょーたろー、きょーたろー」

京太郎「なんだ?」

淡「ここまでやったんだし、ご褒美があってもいいよねー?」

京太郎「?」

淡「たとえば……そう、キスとか!」

憧「ふきゅん!?」


 何を言ってるんだ、お前は。


淡「そうそう、いつもみたいにさ」

憧「いつも!?」

淡「こう、ベロでちゅーって」

憧「ベロで!?」

淡「それからぎゅーってして、私のことを……」

憧「ふきゅっ」


 なんだこれ。

25: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:27:14.89 ID:WKY7KPnwo

淡「ほらほら、ぎゅーってしようよー」

京太郎「……ライダーに変身したままとか、絵面がおかしいってレベルじゃねーぞ」


 抱き合うプトティラとエターナル。
 ごついわ。色々ごつい。
 ボディラインが浮かばないから、それとなくホ っぽい。


京太郎「ま、あとでな」

淡「はーい♪」


 かわいい。淡かわいい。
 略してあわいい。
 こいつ彼女なんだぜ。いいだろ。


憧「……で、まあ、そんな話は置いといて」

淡「ふふーん」

憧「……何よ」

淡「べっつにー? 私は何でもないかなー?」


 何て言いながら、腕を絡ませてくる淡。
 柔らかさはない。
 別にグリード化の影響とか淡の胸が育ってないからとかではなく、変身してるから。

 というか変身前は結構身長差があるんだけど、どんな原理か、変身後は似たような高さだ。
 だから、顔の横に淡の顔がある。
 ……ただし、エターナルで。ハッキリいって怖いとしか言いようがない


憧「……ぐぎぎ」

淡「ざんねーん。きょーたろーはもう、私のものですからー」

淡「んへへ」

憧「うぐぐぐぐ」


 おい、誰だよ冷気使える奴。寒いぞ。

 ……俺だった。

 なんだろう。
 別にプトティラの力を使ったわけでもないのに、空気が果てしなく凍り付いてる気がする。
 

26: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:41:24.40 ID:WKY7KPnwo

憧「……そ、そんな話はともかくとして」

淡「うんうん」

憧「ともかくとして……」

淡「うんうん」

憧「……」

淡「どしたの? いーよー、続けて」

憧「……」

憧「だー、もう、離れろってば! 集中できないでしょ!」

淡「へへーん」


 なんだこれ。いや、なんだろう。

 憧がこっちをどうこう思ってるってのは聞いては居たが……。
 でもあれはメズールによる精神攻撃の一種だと思っている。
 本来の憧が思っていることを、嘘はついていないが本当のことを言ってはいない状態としてこっちに伝えたという。
 或いはまあ、端から出まかせで……。

 ……出まかせだよな、うん。そうに違いない。そう思おう。


淡「……ま、じょーだんはともかくとして」

淡「なーに、話って」

京太郎「ああ。そこんとこは、俺も聞きたい」

憧「……はぁ」

憧「ずばり、さっきのあんたのグリード化についてよ」


 ……。


憧「なんとか今は収まってるけど……このままだと、いつ暴走するか判らない」

憧「一応、引き剥がす策って言うか――これ以上あんたが化け物にならない策っていうか」

憧「そういうのを皆で考えたから、さっさとやっちゃおうって話」

京太郎「……」

京太郎「……確かにそりゃあ、ありがたい」

京太郎「淡の話でも分かってる……けど、な」

淡「けど?」

京太郎「やっぱりまだこの力は、俺に必要なんだ……と思う」

京太郎「カザリとアンクを連れ戻すのは……家族を取り返すためには、この力が」

憧「……はぁ」

淡「ウェザーのメモリもあるし、皆だっているよね?」

京太郎「……」

淡「さっきも言ったようにさ、別に無理しないでいいんだって。私たちが力になってあげるから」

淡「だからさ……その力は危ないし、もう、取っちゃおうよ」

京太郎「……」

京太郎「……ああ、そうかもな。確かに」

京太郎「もう――」

27: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:46:44.33 ID:WKY7KPnwo

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: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
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ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /              γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
  i: ;ィノ          ,....-ィ /               |  ……もう、俺にはさ   |
,,:‐レリ    _       ̄ /                 乂__________ノ
゛=!_    \ `ー-、_  _/
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    __,.ィ ̄ ̄`ヽ/ヽ__
      > ´ ̄  /   `   `、  、
、 -  ´    /   '     } ヽ ヽ\  \
 `  ̄ >'  /   ,: |    ∧/! |   } ヽ  ヽ
   /,ィ  / ' / /|   _/,.ム斗}-/  ハ   :.
  {/.'   ,| ,.|-}/-{ | / ,ィチ斧ミ }/ }  |    .
  /  イ/{ : ! ィ斧从}/   Vzソ ノ /イ ,:
<__  ´// 从{ Vソ /         / イ- 、  |          γ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄`ヽ
     {'{  { ,    '           /' ⌒ }  |           |   必要――   ´ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
      从Ⅵ              /.: ノ  |            ヽ______   ないの……かもな    }
       叭   v_ ̄ヽ      ,rー'   从                    入__________ノ
         、           イj   / /
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28: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:56:26.42 ID:WKY7KPnwo

 確かに、あのとき鴻上光生には「いざとなれば自分が砕く」とは言った。

 でもそれは――ある意味で、逃げているんじゃないだろうか。
 確かに、いざとなったらやらねばならないことがある。それは判っている。
 それが自分の責任だってことは……ちゃんと。

 でも、そうやって「いざ」を求めることで、自分は目を瞑って止まってやしないのか。
 無意識の内に、諦めてはしなかったのか。
 都合がよく覚悟って言葉を手に入れて――最終手段を持ってきて。
 本当の意味で、限界の限界まで……無理だと思ったその先まで、手を伸ばすことを諦めてやしなかったか。


京太郎「……必要だってのはやっぱり、今でも思うけど」

京太郎「そうだな」

京太郎「手放すってそんな方法を聞いといても……それは別に悪くないよな」


 いつまでも、この力を使い続ける訳にはいかなかった。

 いつも通り、おんなじ方法じゃいつかは追い込まれて――。
 戸惑って、ただ自分を犠牲にするような方法を選べなくなってしまうのは怖くて、嫌だった。
 誰かを悲しませたくはない。誰かを失いたくない。

 だから、この力を使うときもあったけど――。

 それが「いざ」ではなく、「いつも」になってしまうとしたら、問題なのかもしれない。


京太郎「……そうだな」


 プトティラコンボの変身を解く。
 体の中に納まるメダルを見て、複雑な気分を抱いた。


京太郎「聞かせてくれるか、憧」

京太郎「その……俺の身体から、こいつを取り除く方法って奴を」

憧「勿論よ」

憧「じゃあ、その前にみんなと合流しましょ」


 変身を解除しようと、憧がバースドライバーに手をやった。


29: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 01:57:28.24 ID:WKY7KPnwo

























 ――その時、だった。


30: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:03:00.28 ID:WKY7KPnwo

カザリ「か、はっ」

アンク「……クソ、化け物が」


 弾き飛ばされてきたのは、二体のグリード。
 かつての京太郎の家族にして――今は袂を分かっていたはずの存在。
 カザリと、アンク。

 今、この場で――別れたこの場所で。
 再びの邂逅を果たしたのだ。


京太郎「カザリ! アンク! お前ら――どうして、ここに!?」


 京太郎の問いかけに、眉を顰めたアンクが顔を向けた。
 一方のカザリは、先を見据えたまま。
 その口が――開かれると同時に。


小蒔「きゃっ」

セーラ「なッ!?」

憧「うぁ、っ」

哩「――ッ」

姫子『部ちょ、……ッ』

カザリ「う、ぐ」

アンク「ク、ソ……!」


 襲い来る紫の波動が、辺り一帯を薙ぎ払った。
 倒れ伏す数々のライダー。地に蹲るグリード。
 皆が皆、限界状態での――この一撃。

 須賀京太郎はと、言うと……。


31: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:05:33.66 ID:WKY7KPnwo

京太郎「あ、わ……い……?」

淡「へへっ、ほらね? きょーたろーに護られる訳にはいかないけどって……言ったでしょ?」

淡「だって、逆に私が……きょーたろーを護るんだからさ」


 エターナルローブを剥がして、京太郎に被せて。
 自分は身一つ、京太郎の盾になっていた。
 大星淡が、膝から崩れ落ちる――罅割れて吹き飛んだ、永遠の記憶。


淡「嬉しいよね……うん」

淡「私、きょーたろーのこと……ちゃーんと、傍で護れたんだからさ」

京太郎「淡! しっかりしろ、淡!」

淡「きょー、た、ろー……怪我、は……?」

京太郎「俺は大丈夫だ! お前が……、みんなが……! 庇ってくれたからッ!」

京太郎「淡、お前は……お前は、大丈夫なんだよな? なあ、大丈夫なんだよな!?」


 須賀京太郎に今、以前のごとき視力はない。
 すべてが罅割れた、グリードの世界。決して満たされない欲望の渦。
 淡の身体に、一体どこまでの負傷が被さってしまっているのか、それが判らない。

 辺りを見回した。

 皆が倒れて、呻いている。
 変身が解除されるもの。変身を保ちこそすれ、立ち上がることができないもの。
 そのまま気絶してしまっているもの――様々居た。


京太郎「――ぁ」

京太郎「淡! なあ、返事をしてくれよ! 淡!」

京太郎「憧! 小蒔さん! セーラさん! 優希! 染谷先輩!」

京太郎「なあ、皆……皆!」

京太郎「カザリ! アンク!」

京太郎「なんだよ、これ……なんなんだよッ!」


34: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:14:42.99 ID:WKY7KPnwo

哩「……ッ、落ち着け、京太郎」

姫子『ヒートメタルじゃなきゃ、相当、危なか……ったとです』


 メタルシャフトを片手に、膝立ちになる仮面ライダーW。
 かろうじて、と言った様子であった。


京太郎「無事、だったんですね!?」

哩「……ああ」

哩「ばってん……何でんなかとは、言い難い」

姫子『少なかて、まあ、五体満足ですけん……皆』


 混乱していた。冷や水を浴びせられたかの如く。
 意識を取り戻したと思ったら――その後に、これだ。

 カザリとアンクが戻ってきたこと。彼らを改めて連れ戻したいこと。そのためには戦う必要があるだろうということ。
 何故だか彼らが、ダメージを負っていること。ここに吹き飛ばされてきたこと。その後に起こったこと。
 それらも含めて――全部。


京太郎「カザリ! アンク!」

京太郎「お前ら、どうしてここに……? なあ!」

カザリ「久しぶり、って言いたいところだけど……それどころじゃないみたいだね」

アンク「チッ……あの女」


 あの女という言葉。
 そして二人の視線に釣られて――そちらを見た。
 そこに、少女が居た。

 自分がよく知る、あの少女が。
 

もこ「あら、鳥さんと猫さんは……そんなに戻りたかったの?」

もこ「しぶといって思ったけど……これはこれで、面白そうね」

もこ「御機嫌よう、怪物さん――目覚めてくれて嬉しいってところだけど」


 ギンと、対木もこの瞳が紫色に染まる。
 途端に暴れ出しそうになるメダルの衝動を、胸元を掴んで堪える。
 ここで意識を手放してはならない。欲望に屈してはならない。
 皆が命がけで……この自分を、取り戻してくれたのだから。

35: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:19:07.59 ID:WKY7KPnwo

もこ「あれ、変だなぁ……変ね」

もこ「どうして……あなた、まだ、なりきってないの?」

もこ「だってあなたはわたしと同じ虚無なのに――そんなの、おかしいよね」


 首を傾げるその姿は、見知った対木もこのものである。
 だけれどもこれは――こんな喋り方をしているなんてのは、一切知らない。

 そして、彼女の言葉によるのなら――


京太郎「お前が……もう一人の、紫のメダルの所持者……!」

もこ「うん、そうだよ」

もこ「わたしがあなたの半身。あなたと一緒の、あの炎から生まれた虚無」

もこ「だから――わたししかあなたのことを判らないし、あなたしかわたしのことを判らない」

もこ「なのに……どうして……?」

京太郎「お前が皆を……!」

京太郎「どうして、お前が……! 今まで、俺たちの手伝いをしてたのは……あれは、なんだったんだよッ!」


 共に戦う仲間だと思った。
 頼りになる、仲間だと――こちらの良きサポート役であると。

 あのような失敗をしてしまったことは……メズールたちを甦らせてしまったことには思うところがあるけれど。
 それでも、対木もこも京太郎の仲間の一人だった。


もこ「?」

もこ「だって、あなたはわたしと一緒だから……」

もこ「だからねっ、あなたのこと、ちゃーんと目覚めさせてあげようと思ったの!」

もこ「全部壊して、何もかも奪って、絶望だけが周りにあって……隣にいるのはわたしとあなただけ」

もこ「それって、とってもとっても素敵だって思わない? 思うでしょ?」

京太郎「何……お前、訳わかんないこと言ってんだよ……ッ!」


 首を傾げながら、紫色の、光のない瞳で辺りを見回して踊る対木もこ。
 寒気がした。鳥肌が立った。
 今まで、須賀京太郎が知っていたあの対木もこはどこにもいない。
 ここにいるのはただ、醜悪な怪物。誰の言葉も聞き入れずに、加速していく虚無の爆弾。


もこ「ねえ、思うよね? 思うよね? 思うよね?」

もこ「どうして目覚めてないの? おかしいなぁ、なんで? どうしてなの? だってあなたはわたしと一緒なのに」


 この女が今まで自分を騙していたことそのことよりも――。
 これまでの仮面の下に覆われていたその本性が、何よりも恐ろしい。
 今までの京太郎の常識には存在していない、悍ましい異形じみた化け物。
 言葉をいくら交わしても、その心の中が通じ合うことは決してない平行線上の異常者。

 これこそが――“怪物(モンスター)”。


36: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:22:00.71 ID:WKY7KPnwo

もこ「ああ――そうね」

もこ「うん、まだ……起きるには足りないのね? うん、そっかそっか」

もこ「だったら――うん。紅茶を入れましょうか。真っ赤で真っ赤で真っ赤な紅茶」

もこ「そこに、猫さんのシャーベットと鳥さんのハンバーグを並べて……その人たちでマーマレードを!」

もこ「うん、これって素敵。とっても素敵っ」

もこ「出来るなら、あなたの手で殺させてあげたいところなんだけど――」

もこ「もう、本当のあなたに出会いたくて我慢できないのっ! だから、だからだから――仕方ないよねっ!」


 不味いと思った瞬間に、京太郎はプトティラコンボに変身していた。
 そのまま、襲い来る波動目掛けて冷気と氷の防御幕を展開。
 それが容易く砕かれて――宙に、硝子細工のような結晶が舞った。


もこ「あれ? やっぱり、自分でやりたかった?」

京太郎「何を――言ってんだよ、お前は!」

もこ「え? だって、そこまで積み上げたら――自分で壊さないと、スッキリしないかなって」

京太郎「は……?」

もこ「だって、そうやって頑張って頑張って頑張って用意するから……壊す時も、楽しいんだよね」

もこ「あなたと一緒だから、わたしにも……判るよっ、うん、判ってあげられるのはわたしだけ!」

京太郎「……何なんだよ。何だってんだ、お前は」


 心底、理解不能な言葉と行動。
 一片も――ただの一片も、その言葉が理解できない。


もこ「うーん」

もこ「まだ、目覚めきってないから……あなたには判らないのかな?」

もこ「でも、大丈夫。わたしがちゃーんと、あなたに教えてあげるから!」

もこ「だから、身を任せて? あなたがわたしを裏切らないように、わたしも裏切らないから」

もこ「ね?」


 本当の本当に、こいつは狂っていた。
 何も話が通じない。すべての話を、自分に都合よく改変してくれている。
 そしてその言葉の節々には、疑念と妄執と依存が見て取れた。
 会話のすべてに思い込みと予防線が張られていた。断言しているようで、疑り深く京太郎に確認をしていた。

 狂っているのだ。
 根本がではないが――歪んで、歪に出来上がっていた。
 こいつは――危険すぎる。


京太郎「皆に、手出しなんてさせない」

京太郎「お前が起こす悲劇を――ここで、俺が終わりにする!」

37: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:33:55.06 ID:WKY7KPnwo

京太郎「うおおおおおおおおぉぉぉぉぉぉぉぉ――――――ッ!」


 メダガブリューを携えて、一直線に対木もこを目指す。
 身長差はどう見ても頭二つ分以上ある。その点に置いては、戦斧の刃などを向けるべきではない相手。
 だが、油断してはならない。
 こいつは――小さくても、紛れもないモンスターであるのだ。


もこ「まだ判らないなら……もう、直接目覚めさせてあげるしかないよねっ」


 対木もこの身体が、膨れ上がる。
 出現したメダルが裏返り、その姿が、恐竜を模した虚無のグリードへと。
 全身は紫色を基調とした、醜悪なる怪物。
 そのマントはどこかおどろおどろしく、近づく存在を全て地獄に引きずり込む闇の魔物。

 メダガブリューの刃を、受け止められた。
 実に容易く、暴れる子供をあやすかの如く。


もこ「そんなに、大事なんだね」

もこ「だったら――壊したらきっと、きっとあなたはわたしになれるわ」


 無理やり引き剥がして、距離を取る。
 この怪物が皆を傷付けた。カザリとアンクを、追いつめた。
 油断してはならない。

 裂帛の気迫と共に、戦斧を繰り出す。
 腕で止められる。だが構わずそのまま押し込んで、皆から引き剥がす。
 力で勝っている気はしないが、特に抵抗もされなかった。
 
 ここから、遠ざけねばならない。一刻も早く。

 こんな化け物を、皆に近付ける訳にはいかない。
 この場で戦える力があるのは――真実、自分しかいない。
 護るための力が、今この手にある。
 そしてこの力以外では――この化け物と、戦うことすらままならない。


京太郎「誰が……近付け、させるかよッ!」

京太郎「ふざけるな……お前、ふざけるなよ!」

もこ「大丈夫、わたしは本気だから……ね?」

京太郎「うるっ、せえ――――ッ!」

38: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:44:29.40 ID:WKY7KPnwo


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       / 乂   u      ::::::: Vソ' ,l ∧l |
        /イ , 八   ,...、    '   /ムイ,'∧ |
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>----イ///\   .  `  ー '  イ/从
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////////////>、  {、     〉                   γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
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                                   __
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                        ∧_/ /. :V_/ ̄∧       __
                    / /f'.: : : : :}__%//}     厂ヽ ̄ `ー─┐
                      {/ⅵ介ー=彡//////|    / / }、       !
                   __ViⅣ_/ \_{///〈 __/ /  //    /
                 γ⌒Xi ̄Ⅵ_/_/////ムィ´∠ イ _彡' >‐‐<     
                     ノ_/ i}   |/////「   彡' /   厂   V⌒ヽ    
                     `ー 彡iレ´≫=ァ== ミ 二ニ=‐ァ´ ̄∨     ',   ,      γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
                 / 厂iV7、`v 《 / \、 /    |       }   }      |  俺の仲間を――   |
                   / /  %7 \_Ar′/ _X%    |       ∧   !       乂_________ノ
                { {   |」 ,__》_八 ヘ. ≫  i_}    ∧    {/∧__|
                LN   |」《 ェ匕)i} 〕 ≫ i」∧  {  ー=ニヘ                  |\     /\     / |   //  /
                     》勹% {_r 、 /i! 〕  ≫ }」// ーヘ    厂\  ヘ           _|  \/\/   \/\/ |∧/ ///
                / /_∧,/ ー一⌒ 、/7 /////∧  〈     Y   '.          \                     /
.            __   ←=ニ癶  \、__辷7⌒≫%7 ////∧/ヽ  ト、   |    〉‐ ミ       ∠   ――俺の、家族を!     >
            , ⌒V        } } 人≫===≠ 彡'´ ̄ /      Ⅵ \__r ⌒V   〉       /_                 _ \
       / )   }}      -=≦  《`し、    / 厂   r┴v  }   「\ /    /        ̄ / /∨| /W\  /\|\  .|  ̄
                                                           //   |/     \/     \|



39: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 02:54:42.58 ID:WKY7KPnwo


                . :'´⌒ \/: : :./\:\
               /=‐-  _/: : : /  .\:\
.            /´: : : /: : :`: : : :/      ∨:ヽ __     /l /!
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.            / / : : : : l| : :Ⅵ八ト、{      /ヽ,    _|_   ! lノ |// `
           ' /(: : : : :从 : 爪庁抃`ー‐‐/_  |/   ノ   |   /
            / ⌒ヽ : \| 乂ソ  / 个=='  γ'´ ___ l    |
           '"      \八vwxv 〈   И    〔 ̄ ̄ Ⅴ__   |
         /           `ー{\    `ー==、,_   | ヽ   ,イ  ヽノ        γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
   ____,. /          人'ヘ`=- 人    ,  -= '"ヽ   ,イノ         |  だいじょーぶっ♥   |
 ´      ,.イ     _, イ/ /、ノ  ̄≦_,  ‐=   \ ヽヽ < 〕/___         乂_________ノ
    -= '       /⌒ ノ(/(     /      ヽ    イ´ /γ  /
`>´   .,___/(      У    〔         Ⅵイ 、L∠⌒(_   /i__
   ∠⌒      )  ノ/     ノ`ー __ -=ニノ    ー=''"⌒〕_/ ' /
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   /`ーァァ乂_.ノ '"⌒⌒ヽL∠|ん'⌒ ⌒∨、   \_γ⌒~´  `゛y′/`ヽ
  /    /      ,′   八  |  人  ⌒ヽ、 」ノ  \     〈⌒´ /
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          /: :,イ:f^リ≧ミ丶: : : : /: :|: |: : ≦彡ミ、
         ,:: {: :|: ゝ': : :,=、: : : : ,:'ゝ、レ’: : :: ,ヘソ: ヘ
         .: : L: : : >': : ノ: : ノ: : : : Y: : : : :ゝ ヽ: : : .
         !:: : :: : /: く: : : : : : : :.=、 | r=、: :: ::、::::≧、ハ
        ,: : : : :/: : : : : へ: : : :(rへ j:ノフ: : :へゝ::ヘ::::い
        ノ: :: : :/、ー<彡へ::\: : :: :`ーイ::/: ノ\: ::〉::::}!          __,.._,,...-=≠=-,...-=≠==≠,...-=≠==x、_
       (: : : :/: :ーニ {: :{:::::>__≧、: : :/ <ミ::| ノ|: : :ヘリ      /´ ̄  ¨                            ̄¨ハ
        }: ∧: :|i!i!ハ\!Y    ヽ'     .Y}レクゝ'!: /        |I  ちゃーんと、わたしが壊してあげるからっ!  I|
        ∨: :Y:!i!i!、: ゝ____,、        .ヘ_彡'リi!| {7        ゞx、_     __,,..     _    __,,.. _   __,,.._,,...ィⅣ
    __ノ≧--V: :|:: ゝミ丶: : :: : ゝ-.......,ヘ......彡': : :// : y!         ` =≠彳⌒¨ヾ=≠彳≠彳⌒¨彳=≠彳⌒¨⌒¨ ̄
_r<      >: ::{: : : :`ヾ、ヽ!: : : : ゝ-=|=-≠: :イ彡'   )_,、===≧ミ、__......
   ><      ヘ!、: :f: :`ヽ、:ゝ=r-...: : :;: : /| ゝイ7/`)/  /   /   `¨丶 `ヽ
> ミ、   丶、.、  しへ: : : : :f`ゝ' ,ィ==Vミ、  `¨ ///´ヘ./      / ̄ ̄ ̄ノ   (\
      X  \丶、ヘ: : :い: : ∨ //´r==、 ゝ)  ノ!: : :∧'   /≠\/    //    7イス                                  ___,,...-=≠=x、_
丶、 ノ   ノ   \ \: j: :、: :弋__ X__r-、_ノヽ_/: : : /===ヘ' ,===、 \ /≠、=--/ /                                 /´ ̄¨           ̄¨ハ
   丶、 '     へ: :: :\: : 、: : :f: : :/\: : |: : :/::::::::::::::::::レ_  \__ X   >’   /ヘ、                                |I あはっ、うふふっ I|
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  X       ─≠',::::::::::::::::\./>< 丶∨::::::::::::/   > ’      ,  '   / \、__                                `ヾー=≠彳⌒¨ ̄
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40: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:10:07.86 ID:WKY7KPnwo

 本当に守りたいものの為に、京太郎は刃を取った。
 振りかぶり、斬りつける。

 すでにその身には、幾多の傷跡が刻まれている。
 意識がなかったとはいっても、ライダー数人と交戦していたのだから無理もない。


京太郎「このッ!」


 更にはそれ以前に、メズールとの戦いで負った傷。
 人を助けんと、ドーパントに立ち向かった傷。
 それらすべてが京太郎を蝕み、静かに戦闘能力を低下させる。

 だけれども、立たねばならない。

 これは――これが、俺の望みなのだ。
 護りたいものなのだ。本当の欲望なのだ。
 だから、立つのだ。だって護りたいんだ。ああ言ってくれた仲間を、家族を。


もこ「あなたは、踊りが得意じゃないの?」


 しかし、思いとは裏腹、体はついてこない。
 魂だけが先に行ってしまうように、その動きは精彩に欠ける。
 袈裟懸けに切りつけたそれを躱されて、腕を取られた。


もこ「大丈夫よ。だって、あなたはわたしと一緒だから」

もこ「紫のメダルに魅入られたなら……あなたは、わたしと一緒に決まってる」

もこ「だからきっと、壊したら気持ちよくなれる」

京太郎「――ッ、勝手なこと、言ってんじゃねえ!」


 腕を取られたまま走り出す。そのまま、大木に叩き付けた。
 ロックが緩んだ。
 その隙に一閃/二閃/三閃――メダガブリューの牙で、目の前のグリードの身体を薙ぎ払う。

 踏鞴を踏んだグリード。

 このままならいける――そう、京太郎は思った。
 傷が多くても、体力が付きかけていても、集中が限界でも。
 自分は戦える。たとえ身一つでも、護るためになら――戦える。

 だけど……。


もこ「……はぁ。あなたってば、聞き訳がないのね」

もこ「少し、おとなしくしてて貰えるかな?」


 沈んだ声色――その直後。

 仕掛けた斬撃を、左腕で止められた。同時に、跳ね上げて攻撃。
 胸のあたりで火花が散った。踏鞴を踏む。後退。
 構えなおす、その暇なくさらに一撃。よろけた。

 肩息を吐いた。
 気合と共に、走り出した――そのカウンターとして一撃。
 先ほど、大星淡に加えられたその傷を抉った。なすすべもなく、吹き飛ばされる。

 屈した。その場に、崩れ落ちた。


もこ「そこで、見てたらいいわ」

もこ「あなたと――わたしが一緒であるってことを、証明してあげるから」

41: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:21:41.55 ID:WKY7KPnwo

 寝てろと言われて、寝てられるものではない。
 何とか身を起こし、目の前のグリード目掛けて走り出す。
 振り上げたメダガブリューを、その勢いで下ろし――


もこ「寝てて」

もこ「ね?」


 一撃。地面に叩き付けられた。
 その腹のあたりを、グリードの足先が跳ねる。
 急転する上下と異常なまでの加速の衝撃で、視界が目まぐるしく揺れた。
 碌に受け身も取れずに、地面と衝突。

 体は限界を告げていた。
 元々罅割れていた五感は、さらに警鐘を鳴らす。
 ここが限度だと――全身が表現する。

 だが、止まらない。止まってなどなるものか。

 歯を食いしばり、立ち上がった。
 皆に、近付かせてはならない。皆の元に向かわせてはならない。
 ここで自分が、止めなくてはならないのだ。


京太郎「う、おぉ――――!」


 痛みを噛み殺し斬りかかった。
 それは往なされた。だが構わず、尻尾の一撃。グリードの身体を、跳ね飛ばす。
 回る勢い。地を蹴り、メダガブリューの斬撃。重力と速度を合わせた攻撃だ。

 それも、及ばない。
 すんでのところで回避されてしまっていた。
 それでも構わない。躱すということは、相手にも通じるということだ。
 無理に避けて体勢が崩れたグリード目掛けて、追撃を行う。


もこ「……はぁ。しつこい男だと、嫌われちゃうよ?」


 その掌から放たれる波動が、京太郎をいとも簡単に吹き飛ばす。
 背中から打ち付けられた。肺から、空気が零れ落ちる。
 思い切り咽た。口腔に溢れる血の味と、鼻腔を漂う血の香り。
 狂った五感のせいでそれが果たして本当に血なのか判らないが――また、その味と匂いで咽る。

 それが痛みに響いた。体を丸くして、その場で蹲っていたかった。

 でも、立つ。
 こんなところで、屈せられない。こんなところで、倒れていていいはずがない。
 だから――立つ。

42: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:23:12.96 ID:WKY7KPnwo

京太郎「う、ぁ……俺が……! 俺が、皆を、護らないと……!」


 矢尽き、刀折れ。
 それでも須賀京太郎は、身を起こした。
 その手に握った、紫の戦斧が零れ落ちる。
 肩息の度に、口腔を支配する鉄錆の味。

 最早、京太郎に残された手段はたった一つしかなかった。

 そして京太郎は、それを強く願った。それこそが己の欲望であると、声を上げた。
 その声に――体内のメダルが応える。


 器の空虚は、膨れ上がる京太郎の器の方向が決定される。
 彼の欲望は守る事。
 大星淡を。神代小蒔を。江口セーラを。新子憧を。白水哩を。鶴田姫子を。染谷まこを。片岡優希を。
 自分に関わった人々を。
 自分の手の届く範囲の人々を。
 傍にいて寄り添って――その存在を。

 護りたいと思う人々を、護る事。


 死なせたくない。もう誰も。
 これ以上、死んでほしくない。誰の手も放したくない。

 その手が、恐竜のそれに変貌した。


小蒔「京太郎、くん……!」

セーラ「きょ、うたろ……それは、アカン……!」

哩「ぁ……そいば、お前がそうしたら……、お前は……!」

姫子「そいしよっぎ、絶対に悪か……! そいは、悪かよぉ……! きょーたろ君ぅ……!」

憧「あんたを、助けるために……! ここ、まで、来た……のに……あんたが、今……それを、やったら……!」

カザリ「京太郎……君、それ……!」

アンク「チッ……オイ、何考えてるんだ!」


 判っていた。
 皆がどれほどまでに自分のことを考え、決死でこの場所に戻してくれたのかも。
 その為にどれほどの痛みと苦しみに耐えたのかを。

 だけど――。

 そこまでしてくれた皆を。傍に居たいと思った皆を。
 今現実自分が傍にいて、護ることができる――ここには自分しか護るものがいないときに――。
 須賀京太郎に使える力は、ただの一つしかなかった。
 それしか、存在していないのだ。


京太郎「――俺を、見ないでくれ……!」


 京太郎の世界が滅ぶ。
 京太郎の姿が変わる。
 京太郎の命が燃える。

 欲望の強い認識と共に――。

 彼は、紫色のグリードへと、変貌を遂げた。


43: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:29:53.69 ID:WKY7KPnwo


                           .i!   ( ∨
                           |!.  /ヽ、,ゝ、
                         ./ i!  /    ヽ`ヽ、   _ ノ!
                       _ノ   i!,/      .〉  〉-‐'': : : :ヘ
                      _(   ; !   i ,  /  /{-:-:-:、:_: : ゝ--::,,-''(
                      /.:i)、  i |i!  !:/ /(::)ソ∧: : : : : `':‐:-:;、: : :ヘ
                  __/ノ:.i(::ヽヽ!|! '; レ /≦彡゛ 》∧: : : : : : : : : :\: : :ヘ,
                  ∨;/: : :}ヾ_ヘ |   〉  ´// _/,ノ .〉: : ::. : :_: : : : :∨: : :ヘ
                   i: i: : : : ;∨、_ノ_ヽ、/   ´_,,ィ彡〉` ∥:::::: ://: : : : : :\: : :\  これ以上は――奪わせない
                  /: !: : : : ';:トヘゝム 、  ノ ,.ィ三彡/〉、/、:::/: /; ; : : : : : : /: : : : /
                 /: / : : : : :';ヽ、ヾミミ、_ _イ三彡"//|/_ノ : :/: : : : : : : : / : : : : /  俺が、止めてやる……!
                <: : : :∨: : : : :'; : :ヾャ、ヾミ彡´;-ャ/〉//: : : :./: : : : : : ; ,.-''´: : : : :∧
_ヽ、              ヘ: : : ! : : : : : :'; : : ト、´;ヽ、,イ-ィ/〉/ ,〉: : :./: : : : /´: : ; ; ;_ ;_;_∠i!: : ヽ、
\ \             / : : :! ; : : : : : '; : :ヽヾ∧_ノヽ//: : : /: : /: : /: : : : : : : :;ヘ: : : : ヽ
  ヽ-ヽ-ォ 、        .!/ ̄ヽヘ_ヽ; : : : :':; :':;:ヽ,´ `_y /: : : : :./: :/_:_:_∠! : : : : : : : : :.ヘヽ: : : :.i
      ヽ、 `ヽ         ノ:.、: 、|/: : : ヽ; : :ノ` ̄ ;` : : : : ;/: ∥: : : : : : : : : : : : : ◎ :〉 \: :.!
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 ュ::::-''"´     ヾ`ヽ、_ `ヽ、  /`::"::''‐-''"´!: : : /ヽ、__,ノ`\: |: :∨ /: : : : : : : : : : :\ 〈: : : i !
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::::::::::.ヾ;、リ、::::::::::;;::-''"  ` ヽ、 ` \: : : : : : /   ゝ、: :`ヽ: /: : ノノXXx〉' : : : : : : : : : : ' ; :.∨ |/
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 ゛´:::::`ヾミ㌧、:::::::::.....   _,, -:.,,_   ' ::::::ヘミ、         ` ̄  ̄       _ ,,. -''´/i
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 ::::::::::::::::::::::::}ミソ、: : : : : : : : : : : : : : : ; ; ; ;::::::::《}::::::ヘ: : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : : :./::::::)


44: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:36:37.91 ID:WKY7KPnwo

















                                                            γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
                                                            |  ――その必要はないわ    |
                                                             乂____________ノ



45: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:40:50.48 ID:WKY7KPnwo


                                _   lヘ
                              〉ヽヾ、ゝ::〉ヘ i、
                                /:::ヽ` ヘr 、 ,、V l
                                l::::::::`ーヘ__,l::i Y
                             l:::::::::::::ヘ:llミrf冫
                                 Y:::::::::ヽニニ/
                       _      コ:::::::::::::,-┴、    />,            _...、
                       i :´:::>=, 、...rト、::_/>===7ソ/ ∧      , -/フ'´> ´二ニフ
                          l.l ::://三ニl ∧!'=/, 、<:>///   ∧     r' l ヾ_ノ,三ハ
                      l ヘ//三ニl l /.::....`'''、::>//:|lニニニ<i、 _ >ヽ `<_ー、彡'
                          l , l |、三ニ| y´<:...''、:>ノ/::::|l::::::::::::`::Y´ヾ,   >- '´
                      y::::l.|ヘヽ>/<> ´<´ l l::::::ハ::::::::::::::::::::〕 .ノ   /´
                          l::::::::ヘ `i 1三//´_>- ´| l:::::/ `ヾ:::::::::< <_ ノ
                    >ソ:::::::::ト.>|.|三./´(_ >-‐>一'    ` ''`ー '
      ,.. _           / ヽ'''´ `ヽL ||三l| (_ >‐'´
     _\\\           /ヽ _/´`>hr-j==i、r-、::::::::/.-、_
    /:::, \\\\     /     >|ニi iミ(A)ミ i+'i吉ニト:::、:、
    \\ノ:\\\\  r'` ヽ   >´  ,!廿ヾ二ノ=ー廿 ̄ヘ:::ヘヘ         γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
     \:::::::::` x =、::::>´ ヘ、 `>'   /::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ>'          |  ……早くこの場を離れて。私が、相手をする     |
      /´>,_..ノ  >, r=ノ、 l´   ./::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::::ヘ           乂_____________________ノ
     /::::::::::l    .lミヽ)y 、_>,..r 、 /ー,:、::::::::::::::::::::::::::>:::´:::`:ヾ
  _ _ y::::::::/      ̄``コノ::::></ ̄ヘ:::ヽ::::ヽ::::::::::::/:ヘ:::> 、::::ヘ
   \ノ>-<         /ヘ::><ミ l  / ヘ:::::L::::::r'´`ヾ::::::l 、 ヘヘ::::ヘ
    、> ノ`>::..._ ,.<:::::/`ー l  l l´:::::::l::::/  ヘ, ヾ::ヽ_  ヘ!:::::ヘ
     ` < ‐=<::::::::> ´ ヘ.,_ l  l |;::::::::l::/\  ヘ ヾ::::ヘ 、. ヘ=,::ヘ
            `<, -<_  ヘ l /:::::ノ/\'´\  ヘヾ::::::'、 、 l:::::l、
                   `ヘト::::'::>:://\\. \ ヘ. ヾ:::`::::´:::/ヘ
                        >、 ,--!::{`ヽ,. \\. \. ヘ. ヘ<:::<-ヘヘ
                         l l_l. 'l/  ト、  `ヽ.\\ \ \ マー、ヽ´:lヘ
                         ト_ノ   .l \  \\\.\ `ハ、ヽ'゙ ノ,  ヽ
                        ト一'、  /   \   `ヽ/ \', `コ、_〉ヽ ヽ
                     l.|  l ノ     `ヽ   \ x ヘ l  ヘ  ヘ l
                     |ハ  .l l        \_ \\\',  ヘ  l.|
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                 _- <>'_,-一                  〉 ヘ__ yハ
                     /ヽ, ヘ ̄__//彡i                  ヽ___ノ
                ' _ >-一'ー'´                   〉ヘ<|. 〉,
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                                                 l /    l
                                                  ヘ 、 ,===、ノ,
                                                `≧===ノ
                                                 ̄´

46: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 03:54:42.75 ID:WKY7KPnwo

淡「バカだね……やっぱりバカだ。きょーたろーは」


 突如撃ち込まれた銃撃が、京太郎の姿を元に戻した。
 グリードとなりかけていた京太郎を元に戻した相手は――ゼロノス・アルタイルフォーム。

 言葉と共に割り込む影。
 仮面ライダーゼロノスが、京太郎を護る形で、間に立っていた。
 ゼロノスが、繰り出された一撃を受け止める。
 須賀京太郎の代わりに、装甲を軋ませて。強力な攻撃を一身に受けるゼロノス。


淡「……久しぶり、きょーたろー」

淡「この場は私がどうにかするから、皆を連れて逃げて」


 そのゼロノスが指さす先には、ゼロライナー。
 そこから飛び出したデネブが、駆け寄ってくる。
 抱き起される仲間のライダー。確かに皆の状態を考えるなら、ここは逃げた方が得策だろう。

 助けに来たのだろう。このゼロノス――未来の大星淡が、現在の須賀京太郎を。


京太郎「あんたは……!」

京太郎「未来の、あわ――」


 呼びかけようとしたその瞬間。
 発せられた、紫のグリードの波動。
 ゼロノスは耐えきれず、弾き飛ばされて変身が解除された。
 京太郎も余波で、変身が解けた。薄れていた猛烈な痛みが、襲い掛かる。

 それでも構わず、地面に倒れ込むその少女に声をかけようとして――須賀京太郎は。
 目の前の女性の名前がなんであるのか、女性が誰なのか、自分がなんと言おうとしていたのかを忘れた。

 開きかけた口のまま、呆然とする。
 何故、その場に女性が倒れてるのかが分からない。
 見知らぬ女性が、この場に出ている。そして倒れている。
 誰かわからずともそれは、京太郎の心を刺激するには十分だ。

 再び奮起する。
 戦わねば――守らなければならない。
 腕が折れても、脚が砕けても、目が潰れても、心臓が破れても、戦わなければならない。

 幾度目かの噛み締めで、奥歯が削れる。
 それにも構わず拳で――砕けた拳で、身を起こそうとする。
 変身して、戦わねば。


47: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 04:00:53.11 ID:WKY7KPnwo

 そんな京太郎の体を、何かが包んだ。
 デネブだった。もう、京太郎以外の全員を退避させ終えたのか。
 何を、と言おうとした京太郎に。女性が笑いかける。
 心配はいらないのだとでも、言いたげに。


淡「……デネブ。皆を、連れてってね」

デネブ「……ああ、分かった」


 事情が見えないが。
 このゼロノス――女性はデネブとも知り合いであり、京太郎たちの味方のようだ。
 自分たちが足止めを買って出ると、京太郎たちを庇うように前に立った。

 ならばやはり戦える力を持ったライダーなのだろうが。
 それにしても、敵が強すぎるのだ。
 どれほど実力があるか判らないが、単騎で戦うのは不可能に近い。

 ゼロノス――は確か、大星淡のはずであるが。
 ここには別のゼロノスが居た。
 淡が以前言っていた――淡に、戦う力を授けた“誰か”であろうか。


京太郎「あんた、誰だか知らないけど……」

京太郎「無理だ……! そいつは、一人じゃ危ない……!」


 確りと叫んだつもりのその声は、掠れてひび割れていた。
 横隔膜にも障害が残ったのか、胸腔のどこかが歪んだのか、喉がイカれてしまったのか。
 理由は分からないが、ただ、思ったほどの大きさにはならなかった。

 それとも、グリードに近付いている影響で、自分の声すらも碌に聞き取れなくなっているのだろうか。

 これで、伝わったのだろうか――と。
 何とか瞼を開いて、女性の顔を眺めた。


淡「――」


 複雑そうな顔をして、女性が京太郎を見つめ返す。
 それから、女性はどこか寂しそうな笑みを浮べてると、


淡「大丈夫だよ……私はかーなーり、強いからさ」


 自信ありげにそう言うと、問題ないと、京太郎に背を向けた。
 伸ばした手が、遠ざかる。
 デネブに抱えられる形で、その場から引きはがされているから。

48: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 04:11:49.10 ID:WKY7KPnwo

 他の皆を見た。
 京太郎が稼いだ時間は無駄ではなかったのか――辛うじて、本当に辛うじてだが。
 牛の歩みと雖も、己の足で立ち上がる事が可能となっていた。
 中でも比較的ダメージの少ない哩と姫子が、皆を先導していた。

 それはよい。

 だが――それにしてもこの女性は誰で、一体、何の目的で京太郎たちを助けようとするのか。
 確か以前に、淡から聞いた。未来を護りたいのだと、この世界がイマジンの世界になるのを避けたいのだと。
 でも、あの笑みは。今しがた自分に見せたあの微笑みは、何だったのか。

 そんな疑問に答えが与えられないまま。
 京太郎の体は、女性から離されていく。
 せめて理由が欲しかった。ただライダーだから助けに来たのではないと思えるのだ。
 あの哀愁漂う微笑には、何か意味があると。


淡「もう憶えてないし、私の知ってるあなたとは違うけど……」

淡「――――大好きだったよっ。バイバイ、きょーたろー」


 最後にそう、金髪の女性が語りかけたのが聞こえた。

 混乱が残る。
 初対面であるはずなのに、何故自分の名前を知っているのか。その言葉の意味は何なのか。
 口を開いて呼びかけようとしても、声が出ない。

 それから彼女は京太郎を一顧だにする事なく、ベルトを取り出すとその腰に巻いた。
 そしてもう一枚、ゼロノスカードをベルトに挿入。


淡「――変身」


 京太郎に背を向ける女性=ゼロノス。
 これ以上は、語るべき言葉もないと言いたげに。
 手を伸ばした――だが当然、届かない。その、“誰だかも判らないライダー”には、手が届かない。


もこ「逃がさない――、――ッ!?」

淡「ここから先には、行かせない。絶対に通さない」

淡「あの時は護れなかったけど……今度は、私がきょーたろーを護る」

もこ「……誰、あなた。邪魔しないでよ」


 ゼロノスの銃撃が、対木もこ=恐竜のグリードの身体を押しとどめる。
 煩わしそうにマントを翻すグリードを、ゼロノスは鼻で笑った。


淡「愛した男に、変な女を近付ける訳ないでしょ?」

淡「十年経ってから、出直すことね」

49: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 04:22:40.35 ID:WKY7KPnwo

 そうして、ゼロノスは恐竜のグリードに躍りかかった。
 繰り出される剣閃が、一歩たりとも対木もこの歩みを許さない。
 まさしく不退転の覚悟で女性――京太郎の記憶からは消えてしまったが――未来の大星淡は、対木もこと切り結ぶ。


京太郎「デネブ……まだ、あの人が……!」

デネブ「須賀、駄目だ! 無駄にしちゃいけない!」

京太郎「だけど……あの人一人じゃ……!」

デネブ「大丈夫だ! さあ、早く!」


 有無を言わさず、ゼロライナーへと押し込まれた。
 抵抗しようにも叶わない。それほどまでに、京太郎の身体は限界を迎えているのだ。
 立ち上がろうとする意志とは裏腹に、ほとんど体が伴わない。


京太郎「だけど……!」

デネブ「淡は生きてる! 皆も、逃げなくちゃだめだ!」

デネブ「須賀が残っても、どうしようもないんだ! さあ!」

京太郎「――ッ」


 やりきれない、不甲斐ない気持ちを噛み締める。

 何のためのこの力なのか。
 だけれども、デネブの言う通りだ。
 皆が取り返してくれたそれを――犠牲にはできない。自分が一人ここに残っても、できることがない。


京太郎(頼む……!)

京太郎(頼むから……あんたも、無事でいてくれ……!)


 そうして列車は動き出した。
 それを横目で眺めながら――。


淡「今度はあなたを護れて……本当に、よかった」


 未来の大星淡は、静かに笑った。

50: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2013/12/30(月) 04:26:55.88 ID:WKY7KPnwo




       第16話「家族と仲間と本当の気持ち」




                           B-Part 終了
←To be continued...

63: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 22:30:23.28 ID:+rq/EJg1o

淡「ふ――――ッ」


 ゼロガッシャーを構えて、疾走する大星淡。
 弾幕で対木もこ=紫色のグリードの行く手を封じ、攻め手を封じる。
 伊達に単身、イマジンたちに戦ってはいなかった。その戦闘経験は、他のライダーの誰よりも高い。
 行動のその“先”を封殺する射撃に、対木もこは苛立たしげに舌を打つ。


淡(きょーたろーたちのところに、行かせない)

淡(あのきょーたろーは、私の知ってるきょーたろーじゃない)

淡(あのセーラも憧も、私の知ってる二人じゃない)

淡(でも――今日は、今日こそは……!)

淡(私が……護られてたばっかりだった私が、護る……! 護るんだ……!)

淡(皆を……! きょーたろーを……!)


 そのまま弾幕で押し通して、ボウガンモードからサーベルモードへと転換。
 両手で振り抜いて、グリードの身体を切り刻む。何度も、何度も。
 倒しきれる――とは思ってはいないが、一撃でも届かせる。
 ここで倒せたら、どれだけいいだろうか。また、あくまでも倒しきるというそのつもりで戦っている。
 だけど、相手は最強のグリード。
 通常のゼロノスの力だけで、打倒できると信ずるにはあまりに難がある。


淡「ハァッ!」


 ひたすらの連撃。連打。連続攻撃。
 グリードの体表で細かな火花が散る。木の葉の如く回転し、踏鞴を踏む対木もこ。
 そこに、躍りかかる。

 一撃でも多く、一発でも多く攻撃を与える。
 きっとこいつはいずれ、京太郎たちの元へ行くだろう。
 その時間を、少しでも遅らせる。少しでもダメージを与えて、京太郎たちの突破口を開く。
 死ぬつもりはない。死にたくもない。

 だけどそれ以上に――愛した彼の面影を持つ、あの少年を護りたかった。


淡(あなたがどんな人間なのかは知らない)

淡(きょーたろーみたいなことがあって、そのメダルに魅入られているだけなのかもしれない)

淡(私と同じように、家族の愛に飢えているのかもしれない)

淡(でも――)

淡(綺麗ごとをいうつもりもないし……悪びれるつもりもないよ)

淡(私は、私の家族を護るために……! 死んでも、ここであなたを止める……!)


64: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 22:31:55.59 ID:+rq/EJg1o

>未来の大星淡が対木もこに与えるダメージ
>そのダメージ分、対木もこの最大HP・スタミナ・気力が減衰されます


↓5 コンマの大小どちらか

78: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 22:55:16.68 ID:+rq/EJg1o

 思い返されるのは――彼との出会い。
 麻雀が原因だったと思う。確かそれが原因で生み出されたヤミーが、暴れていた。
 怪物に、ヤミーに襲われていた自分を助けてくれたその少年は、彼もまた自分と同じように恐怖に震えていた。

 「俺は、仮面ライダーオーズ――須賀京太郎だ」

 それでも彼は、こちらを勇気づけようと笑った。
 降り注ぐメダルと爆発を背後に背負う彼は、物語の中のヒーローに見えた。
 伸ばされた手は震えていた。それでも彼は、恐怖を噛み殺して、誰かの恐怖のために立ち上がった。


 なんとなくそれから、彼とは交流を深めた。
 彼と江口セーラ。新子憧。その中に混じって、自分が居た。
 知ってしまった以上、放っておくよりは一緒に居た方がいいかと江口セーラが言ったときは、小躍りしたくなった。
 せめて何かサポートをと考えた自分は、色々とやった。
 それなりに顔が広いことを生かして、生徒たちの間から情報の収集など。

 「やめろよ、そういうのは! そういうのはな、余計なお世話って言うんだ!」

 それを頭ごなしに叱られた時は、あわや掴み合いになりそうだった。
 少しでも役に立ちたいという気持ちを――何故判ってくれないのかと思った。
 暫く、彼と顔を合わせてもつんけんした態度をとっていたと思う。
 だけれども江口セーラから、彼らが相手にしている強大な敵の正体を、須賀京太郎の抱えている闇を知ったとき、その言葉の真意に気付いた。
 彼は怖がっていたのだ。
 何よりも、自分に関わったものが傷付いてしまうことを。
 そうして誰かを護れずに――裏切ってしまうことを。


 だから自分は、言った。

 「でも――じゃあ、私が勝手に信じてる。きょーたろーが裏切るだなんて絶対に思わない。きょーたろーは、ヒーローだって」

 「だから私を助けてくれるよね」と言うと、彼は困った風に笑った。
 ひょっとしたらこれも重荷になってしまわないかと思ったが……逆に吹っ切れたらしい。
 頭に手を置くと、「まあ、女にそう言われてできないのも恥ずかしいよな」と言っていた。


 ただ、あまり彼に迷惑をかけない方が良いというのは確かなので、情報の収集は最小限、目立たぬように行なった。
 代わりに、料理を作った。
 四苦八苦で、両親が居ない自分にそれは難しくて、味付けというのはどうしても祖母に寄って歳より臭くなってしまっていたけど……

 「あ、これ美味いな。うん、美味いよこれ」

 「へへーん! でしょ? なんたって、高校100年生だからね!」

 「俺も料理かなんかできた方がええんやろか……おかわりある?」

 「あー、正直淡に家庭面で負けるとか思ってなかったわ……ライダーやると女子力下がるのかしら」

 「そうか? 俺は料理できるけど……ところでこれ、ニンジンとかシイタケとかピーマンとかないのはなんでなんだ?」

 「……知ーらない。どっか行ったんじゃないのー?」

 好評だったのは、嬉しかった。
 そうやって顔を突き合わせて、皆と交流を深めていたあの時は――本当に美しい記憶だ。夢のようだった。
 部活でも、部活以外でも友人ができた。……それ以上の存在も。
 その記憶は、未だに淡の中に残っている。


79: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 23:30:23.44 ID:+rq/EJg1o

淡(あの日はもう還ってこないけど――)

淡(これから……こっちの私が、こっちのきょーたろーがこっちの皆が……作るあの日を……!)

淡(壊させない……!)

淡(護る……ッ。護る……!! 護る……!!)


 ゼロガッシャーをグリードに突き刺し、ベルトからカードを引き抜く。
 このまま至近距離から必殺技を叩き込む。
 一撃で死なないのならば、何度でも――すべてのカードを使い切ってでも、削りきる。

 あの時は護られてばかりだったけど、今は皆を護れる。
 こんなにも誇らしくて嬉しいことなんて、無い。


 ――《FULL CHARGE》!


淡「ここで、消えなさい……!」


 一撃では終わらせない。
 剣先から放たれるエネルギーを叩き込み、そのまま切り飛ばす。
 ボウガンで牽制して、変身を解除。
 そののちに、再度変身。


 ――《ALAIR FORM》!

 ――《FULL CHARGE》!

 ――《ALTAIR FORM》!

 ――《FULL CHARGE》!

 ――《ALAIR FORM》!

 ――《FULL CHARGE》!

 ――《ALTAIR FORM》!

 ――《FULL CHARGE》!

80: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 23:43:02.49 ID:+rq/EJg1o

淡「はぁ、はぁ、はぁ……」


 肩息をついて、ゼロガッシャーを支えに。
 吹き上がる煙に視界が覆われてしまう。相手を倒し切れたのかも、判らない。
 だが、倒し切れていないと判断を下した
 手ごたえがないし――まさかこの程度で打倒できるほど、容易い相手ではない筈だ。


もこ「……」


 ――見つけた。

 その姿を確認するや否や、ゼロガッシャーを片手に跳びかかる。
 大上段から切り伏せ、さらには右回転して横薙ぎ。
 突き刺すゼロガッシャーに、火花と共に弾け飛ぶ紫色のグリード。
 そのままでは済まさない。
 駆け寄って、蹴り上げる。宙を舞う対木もこの身体に、ボウガンで追撃。
 銃撃により不規則に軌道を変化させながら、落下した。

 即座にサーベルモードへと再転換。
 グリードの腹部に叩き付けて、カードを外す。
 このまま、トドメの一撃――。


淡「――ッ」


 しかし、苦し紛れに繰り出された一撃。
 腹を打とうとしていたそれを、咄嗟に肘を曲げて受け止める。
 何かが砕ける音がした。痛みにより、カードを取りこぼす。

 まだ、相手は死んではいなかったのか。
 いや――。


もこ「あは、お腹庇うんだ」

淡「……だから、どうしたの」

もこ「そこには……赤ちゃんがいるってことね? うん、素敵ね、愛の結晶」

もこ「積み上げた愛って素敵だと思うから――だから、わたしが壊してあげる」

もこ「手と足をもいで、叫べないように顎を千切って、それからそれから……お腹を割いて、対面させてあげる」

もこ「貴方の前で、感動の対面」

もこ「それからそれから――二人とも、別れさせてあげるわ! バラバラにして!」

淡「……そんなこと、絶対にさせない!」

もこ「あはっ、やっぱりこうやって踏みにじるのって――楽しいわねっ」

81: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 23:45:26.72 ID:+rq/EJg1o































 ――それからしばし後。



 淡の所持していたゼロノスカードの消滅を以て。

 須賀京太郎は――先ほどの女性の、死を知った。


82: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/01/03(金) 23:55:51.08 ID:+rq/EJg1o




 ……ごめんね。


 うん。わたしも、しんじゃった。

 だから……やくそくをまもれなくて、ごめん。

 でも、あっちのきょーたろーとわたしは、だいじょうぶだよ。

 ちゃんとね、こんどはわたしがまもったんだよ。まもられるだけじゃなくて。

 うれしかったなー。わたしが、みんなをまもることができたんだから。

 だから……うん、そういういみだと、こうかいはないよ。うん。


 ……ひさしぶり。

 またあえたね、きょーたろー!


 こんどは……ずっと、いっしょだから!

 どこまでも……ずっと、ずっと。


114: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/19(日) 22:38:29.37 ID:AIwXNpFzo

京太郎(俺は……)


 瞼を閉じたそのまま――須賀京太郎は記憶を反芻する。

 対木もこは裏切り者だった。
 奴こそが紫色のグリードであり、京太郎と対を為す存在。豹変した怪物にして、異形に染まった人間。
 会話が、成り立たない異種族とすら思える。

 それを今まで隠し通していたこと。その程度の分別や思考能力があるということ。
 だというのに、他人と対話をしない。
 思い遣りなど存在しない、思い込みだけの生命体。彼女の世界には、自分の都合しか存在しない。

 その事実こそが何よりも、恐ろしい――虚無の異常者。


京太郎「……っ、そうだ!」

京太郎「カザリ! アンク!」


115: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/19(日) 22:42:18.27 ID:Ont5431Bo
判定
1~20:白水哩&鶴田姫子
21~40:イマジンズ&神代小蒔
41~70:新子憧&江口セーラ
71~99:大星淡&デネブ
ゾロ目:染谷まこ&片岡優希

↓3

124: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/19(日) 22:56:49.91 ID:AIwXNpFzo

淡「きょーたろー!」


 飛び起きると同時に感じた身体の痛みに、全身が引き攣った。
 その直後、硬直する京太郎の身体を包み込む――というよりは締め付けて仰け反らせる影。
 恋人となった、大星淡であった。


淡「生きてるよね? 大丈夫だよねっ、きょーたろー?」

京太郎「俺は……なんとかな」


 あのとき、淡が――仮面ライダーエターナルが庇ってくれたからこそ、こうして京太郎は五体満足でここにいる。

 変身を解除した状態で、あの波動を直に受けていたら、自分は一体どうなっていたか。

 体内の紫色のコアが京太郎に死を許さないとは言っても……恐らくは、波動に飲まれて異形に変貌していただろう。

 まさに、淡は恩人なのだ。


京太郎「つーか、そういうお前の方こそ大丈夫なのかよ?」

淡「わ、私はー……あはは?」

京太郎「ほら、休めって」


 頭を掴んで、無理矢理ベッドに引き倒す。

 うぎゅ、という効果音じみた声とともに、シーツに波打つ金髪。


淡「もー、ごーいんだってば!」

京太郎「うるせー。別にいいんだよ、強引でもなんでも」

淡「なにそれ!」

京太郎「黙って、お前も休め。ほら!」

淡「うー」

125: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/19(日) 23:05:43.51 ID:IO95+Gsyo

京太郎「ありがとうな、淡」

淡「ん……」


 さらりと、その髪を撫で付ける――碌に感触なんか判らないけど。
 彼女が、淡が、猫のように目を細める――その様も歪んで擦りきれている。
 機嫌良さげに、鼻歌を漏らす――のはいいが、殆どがひび割れてしまっている。

 だけれども、こんなにも愛おしい。

 彼女がこうして生きててくれるというだけで――何事にも代えがたい暖かさが、胸に宿る。


京太郎「……なあ」

淡「なーに、きょーたろー?」

京太郎「ありがとうな、守ってくれて……そんで、無事でいてくれて」

淡「……ん」

淡「きょーたろーも、ありがとうね」

淡「私たちのことを守ろうとしてくれて……それで、生きててくれて」

京太郎「……お相子だな」

淡「……うん、そだね」


 もう少しこうして居たいけど――と、どちらからでもなく身体を離した。


京太郎「なあ、エターナルメモリはどうなった?」

淡「……不調。たぶん、使えない」

京太郎「……そう、か」


126: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/19(日) 23:18:52.76 ID:iXpLyrL9o

京太郎「……ってなると」


 戦って欲しくはないが――戦う必要はある。
 それ以上に、彼女の意思を尊重したかった。京太郎自身のそれと同じような。
 遠ざけたいという感情もあるが、守り抜く――守りあうという気持ちが、勝るのだ。


京太郎「ゼロノスの方か?」


 なるべくなら、使わせたくないのだが――――、え……。

 何故、使わせたくないのだったか。
 使わせると、淡に――いや、なんだ。
 直感的には、淡本人には強い影響はなかったはず――と、判断する。だが、何故。
 影響とは――いや。


淡「……ううん。カードが消えたから、無理」

京太郎「そうか、ならお前は――」


 休んでいていいぞ。仕方ないんだからさ。

 そう、京太郎が告げようとするよりも先に大星淡は笑った。
 無邪気で、天真爛漫で、見ているだけで暖かい心になれる――優しさを感じる、あの笑み。

 だけど……。


淡「でーもー。大丈夫だよっ、きょーたろー!」

淡「ゼロフォームって言ってね、ふつーのゼロノスよりも強くなっちゃったんだからね!」

淡「だから、だからだからっ、エターナルがなくてもきょーたろーと一緒に戦えるよっ」


 何故か、京太郎は――不安を覚えていた。彼女のその、微笑みに。


136: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 22:32:51.80 ID:KheLyb/no

京太郎「……ゼロ、フォーム」


 何かが引っ掛かった。
 確か、大事なことだった筈なのだ。大事なものだった筈なのだ。
 でも――何が大事なのかが、判らない。

 やがて、本当にそれが大事なことだったのかすらも疑わしくなってきて。

 終いには、ただの勘違いという結論に落ち着いた。


京太郎「でも……まあ、戦わないで済むならそれが一番いいよな」

淡「……」

京太郎「判ったよ。一緒に闘うって約束、したもんな」

淡「……うん」

淡「……」

淡「きょーたろー!」

京太郎「――!?」


 呼びかけと共に体を跳ね起こした淡が、飛び付いてきた。

 思わぬ衝撃に傷が引き攣り、顔が歪みそうなのを必死に堪える。
 京太郎の背中に手を回す淡は――震えていた。


京太郎「な、なんだよ……こんないきなり」

淡「……ぎゅってして」

京太郎「あ、ああ……それは構わないけど」

淡「……」


139: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 22:43:35.58 ID:+owk7EwYo

淡「……うん、ありがと」

京太郎「もう……いいのか?」

淡「だーってほら、家族に会いたいんでしょ?」


 スカートを払って立ち上がる淡に、特段変わった様子はない。
 そう、明るいのだ。無邪気な子供のように。日常における大星淡そのもののように。

 だから――尚更、引っ掛かった。


京太郎(……俺には、打ち明けられないことなのか?)

京太郎(……)

京太郎(……多分、そうなんだよな。俺に話したくないことだ)


 きっと、須賀京太郎の重荷になるとか。
 余計なものを背負わせてしまうとか。
 これ以上荷物を増やしてはならないとか――そう考えているのだろう。

 水臭いと言いたかったが、事実だった。

 彼女がそう考えてしまうほど、これまで、須賀京太郎は様々なものを背負いすぎた。
 これからも背負うかは、自分でも判らない。
 何を馬鹿な。それだと、一歩も前に進めてないではないか――と思うのも事実だが、自分にそんな面があるのも真実。

 だから、ここは彼女の考え通りに――。


京太郎(……違うだろ)

京太郎(違うだろ、それは……!)

143: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 23:04:38.04 ID:fVLloc9Do

 思いのまま、大星淡の体を抱き締めた。
 互いの身長差というのは中々のもので、それは半ば覆い被さるような形になってしまっていたが。
 軽く状態を曲げて、淡を抱いて鼻先を肩に埋めた。


淡「や、ちょ……な、なにっ!? なんなの、きょーたろー!?」

京太郎「……恥ずかしがるなよ。お前、さっき自分からやってきただろ?」

淡「うぅ……ばかぁ」


 そのまま、黙って抱いた。
 彼女に――淡に少しでも、ぬくもりを伝えたかった。

 須賀京太郎に、それは判らなくなってしまったけど――。
 自分の身体に、心には……それが残っていると、伝わるのだと信じたかった。


京太郎「なあ、淡」

淡「なに?」

京太郎「怖いんだよ、俺はさ」

淡「……」

京太郎「ずーっと、怖かった。俺は怖かったんだ」

京太郎「父さんと母さんが死んで……咲と優希がいなくなって……俺、怖かった」

京太郎「皆に置いてかれて……怖かった」

淡「……うん」


京太郎「俺は今までこうだったけど……じゃあ、お前はどうだ?」

淡「……私?」

淡「私はー、だいじょーぶだよ! 高校100年生ですしー」

京太郎「淡」

淡「……なーに?」

京太郎「俺は――さっきのお前の言葉に助けられた。皆の言葉に助けられた」

京太郎「だから、そのお返し……なんて言わねーよ。貸すとか返すとか、そんな安いもんじゃないから」

淡「……」

144: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 23:20:29.38 ID:nFbeqiqMo

京太郎「お前、俺のことどう思ってる?」

淡「へっ」

淡「な、なによいきなり……」

京太郎「いいから、答えてくれ」


 逡巡するように、頭を下げる淡。
 彼女の身体に回した腕に、波打つ金髪が擦れた。
 そのまま、待つ――。


淡「最初は、ウザい奴だと思った」

淡「弱いくせにでしゃばりで、ヘボいくせにおせっかいで、ショボいくせに口だけは一人前だった」

京太郎「い、言いますね……淡さん」

淡「だって事実ですからー」


淡「まあ、それから……馬鹿なのかなーって思ったかな」

淡「人のために真っ先に身体張ったり、あとはなんか弱いのも判んないででっかいこと言うし……」

京太郎「う……」

淡「まあでも、根性だけは本物だったんだよね。根性だけは」


淡「そっからは、やっぱこいつ馬鹿なのかなーって思って……」

京太郎「二回目ですか……」

淡「うん」

淡「で、優しかったり……料理が美味しかったり、一緒にいて楽しい奴だと思った」


淡「それからちょっとして……意外とこー、真面目でめんどくさくて、抱え込みたがりで馬鹿で馬鹿で馬鹿で」

淡「馬鹿で馬鹿で馬鹿だった」

京太郎「馬鹿多いな……」

淡「だって、馬鹿としか言いようがないんだよね。しかも背負いたがる馬鹿」

145: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 23:30:52.34 ID:nFbeqiqMo

淡「前に進むためには過去をどうにかしなきゃいけないー、なんて言っちゃって」

淡「それじゃ、過去に何かあった人は皆今を幸せに生きられないじゃん!」

京太郎「う……」

淡「で、色んなことができるよーになったらなったで、ますます色んなのを背負い込むし」

淡「戦うのが嫌だからか判んないけど、似合わない強気系のキャラ作るし」

京太郎「……似合わなかったか?」

淡「ダサいし、ぜんっぜん、イケてない」


 ばっさりですかい。


淡「って言うか、ハッキリ言って痛いよねー」

京太郎「今は俺は胸が痛いぞ」

淡「ふーん?」

淡「だって、あれって臆病の裏返しでしょ? 臆病だから、一々相手を脅さなきゃいられないーって奴」

淡「そーゆーのって、すんごくダサい」


 ……。

 ……こいつ、恋人だよな?


146: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/26(日) 23:48:11.24 ID:fp8yNBM+o

淡「普通にさ、最初のころみたいに一直線でいいじゃん」

淡「馬鹿だけど、でも色々ちゃんと考えてて、それでも直球で行けちゃう奴」

淡「会ったころのきょーたろーって、そーゆーやつだったよ?」

京太郎「……そうかぁ?」

淡「そだよー」

京太郎「……なんでそうも言い切れるんだよ」

淡「そりゃあ――」


淡「……」

京太郎「なんだ?」

淡「そりゃあ、その、あのさ……だってさ……」

京太郎「……?」

淡「その頃にはきょーたろーのことを好きになっちゃったんだから、覚えてて当然じゃん!」

淡「言わせないでよもうっ、ばかきょーたろー!」

京太郎「お、おう……」


 さっきまであのデレデレ具合なのに、なんでいきなりツンに入ったんだ?
 ああいや、そーいうのってやっぱ恥ずかしいんだろうか。知らんけど。

 当初の予定では、「かっこいい」→「じゃあ、俺をかっこよくしてくれよ云々」であったのだが、どうにも上手くはいかない。
 やはり、慣れないことをいうものではないらしい。


淡「だから……私、そのときから、きょーたろーが好きで……」

淡「好きに、なっちゃって……」

淡「きょーたろーのこと考えると、苦しくなって、暖かくなって……」

淡「笑ってるきょーたろーが好きで、きょーたろーには笑顔でいてほしくて……」

淡「だから、きょーたろーのこと、守りたくて……」

淡「きょーたろーと恋人になれて……嬉しくて、幸せで、もっときょーたろーのことが大好きになって……」

淡「それで……」

147: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 00:01:22.78 ID:xAxpS/ZMo

京太郎「……なあ、淡」

淡「なによっ、私のこと辱しめてくれちゃって!」

京太郎「お、おう……」


 いや……。
 それを言ったら、●●一歩手前の    キスとか、そういうのはどうなのだろうか。
 それこそ、よっぽど恥ずかしいと思うのだが――女心は判らない。


京太郎「俺もさ、いつからかある女の子のことが気になってたんだよ」

京太郎「なんか、生意気な奴で、強くて――だけど冷たくて、刺々しい奴で」

京太郎「でも、悲しい奴で……怒るのも無理ないなってくらいなものを背負わされてる奴で」

京太郎「そういうの抜きにしたら、明るくて無邪気で可愛い奴で……一緒にいて、楽しくなった」

淡「……」

京太郎「いつ、って言えないけど――――俺はいつの間にか、その女の子のことが好きになってた」

京太郎「無事でいてほしいと思った。守りたいと思った。笑っててくれたらいいよな、って思ったんだ」

京太郎「俺も……その娘のこと、ずっと見てた」

淡「……きょーたろー」


京太郎「だから、判るんだよ。見てたから……その娘のことが、ちゃんと」

京太郎「直球がいいって言ったから、直球で言うぞ?」

京太郎「――――記憶だろ」


149: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 00:17:16.90 ID:TeEghBUJo

淡「なん、で……」

京太郎「……やっぱりか」

淡「かま、かけたの……?」

京太郎「いや、違う。……普通に、思い出してったら不自然だったんだよ」

京太郎「確か一回俺は――あの、もう一人のアンクとの闘いで思った筈なんだよ。あのときの闘いでさ」

京太郎「お互い、変に庇い合ったりはしない……相手を信頼して一緒に闘うんだって」

淡「……」

京太郎「だから、戦いから遠ざけたり相手を守るために自分だけが戦う――っていうのはやめようってな」


 瞳を閉じる。
 あの時確かに誓った筈だった。お互いに受け入れた筈だった。
 それこそが正しい関係だって――そう思って納得した。

 筈だった。


京太郎「だけどやっぱりそっから――俺は、お前を戦わせたくないって思ってる」

京太郎「戦わせたくない……じゃなくて、変身させたくないって感じだ」

京太郎「俺はお前を――――ゼロノスには、変身させたくないと思ってたんだよ」


 何か、その理由があるのかと探ってみたが――答は出ない。一切出てこない。
 そこだけが何かの半券として抜き出され、零れ落ちる砂のように散ってしまったように。
 それは不自然だった。

 そしてそれこそが、答えだった。


京太郎「だから、俺は気付いたんだ」

京太郎「何故俺がお前をゼロノスに変身させたくなかったかは――――ゼロノスが、記憶と引き換えの変身だったからだ」

京太郎「多分、ゼロノスに変身したら……」

京太郎「その分、誰かの記憶の中から消えていっちまうんじゃ――ないのか?」


150: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 00:36:24.94 ID:XbYsBvKzo

淡「……」


 その沈黙は何よりも雄弁であった。
 半信半疑などという低確率ではないが――完全なる核心に至らなかった仮説は。
 これにて、証明されてしまった。


京太郎「やっぱりか……」

京太郎「で、俺に打ち明けなかったのは――」

淡「そしたらきょーたろー、無理して戦っちゃうから。余計なこと、考えさせたくなかったから」

淡「だから……だよ」


 消え入るような声を漏らす淡は、本当に今にも消えてしまいたがっている風に見えた。

 強く、抱き締める。
 この、薄れている感覚にさえ残るように――ただ、強く。
 どこにも行かせはしないと、淡の身体を繋ぎ止める。


京太郎「なあ、淡」

淡「……なに」

京太郎「今までの俺が俺だっただけに――あんまり強くは言えないんだけどさ。信じてくれないか?」

淡「何を……?」

京太郎「俺のことを」


京太郎「確かに――俺はこれを聞いて、気付いて、思ったな。お前をこれ以上戦わせたくないってさ」

淡「……だったら」

京太郎「だって、それじゃあお前が救われない。あんまりにも哀しすぎる」

淡「……」

京太郎「でも――――そうやって俺が気張って、自分一人で解決しようとして、グリードになっていくのが嫌なんだよな?」

淡「……よく、判ってんじゃん」


151: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 00:59:45.52 ID:IHCSccPQo

京太郎「……」

京太郎「今まで俺は、無責任なことは言いたくなかった。綺麗事なんて、言いたくなかった」


 綺麗事は確かに聞こえがいいし、それは素晴らしいことだろう。
 だけれども、綺麗事では成り立たない。世の中はそこまで単純でもなければ、優しくもない。
 綺麗事が一番いい――なんて言える人間が居たら、そいつは自分と絶対的に違う奴だと思う。思った。

 そいつはきっと、綺麗事のために、綺麗じゃない奴を切り捨てる。
 綺麗事に当てはまらない奴を、捨てられる/捨てている。
 自分が綺麗な奴だと思えているから、だから綺麗事を嘯けるのだ。

 京太郎は、戦いが嫌いだ。

 それは、怖いからだ。
 殺されるのが怖い。痛いのが怖い。守れないのが怖い。失うのが怖い。
 だから――戦いが嫌いだ。


 殴った手は、痛まない。
 いや、痛む――――痛むのだが、相手による。
 グリードのときは痛んだ。彼らがある意味、無垢だったから。

 だけれども、誰かを襲おうとしているイマジンやドーパントに対しては、痛まない。
 きっと、未確認生命体に対してもそうだろう。
 奴らの骨を砕くのは――確かに感触には生理的嫌悪感が走るが――それだけだ。

 悔やみもしなければ、哀しみもしない。引きずりもしない。
 自分は温厚な人間であると思っていたけれども――。
 悦びのために誰かを襲うような、他人を傷付けるような、人を殺すような化け物に怒りを抱きこそすれ、まさか暴力を振るいたくないとは思わない。

 そんな風に綺麗な人間ではなかった。大抵が、そうだと思うが……。

 怒りの一撃が相手の身体を跳ねたり、有効打となったとき、僅かながらに達成感を感じなくもない。
 「止められた」「報いを与えた」「ちゃんと当たった」――そこまで強くなくても、思わないと言うと嘘になる。あまり堂々と認めたくないが。
 自分は、綺麗事を言える奴じゃなかった。
 逆に本気でその綺麗事のようなことを思える奴は気持ち悪いと思う。どういう神経してんだ、とも思う。


152: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 01:12:39.83 ID:EnX8zwXdo

京太郎「けどな……」


 だけれども、違うのだ。
 そこは本質ではない。殴るのが嫌だろうが別に平気だろうが、そこはどうでもいい。
 大切なのは――綺麗事を言う気持ちだ。

 何故、それを相手に伝えようとしたのか。
 それを相手に伝えて、果たして一体どうしたいのか。
 何を思って――どんな気持ちで、相手に伝えるのか。

 綺麗事でも、なんでもいい。


京太郎「言わせて貰う」

京太郎「俺を信じろ。俺を信じてくれ」

京太郎「俺は――お前を泣かせたくない。守りたいのも、戦って欲しくないのも全部そうなんだ」

京太郎「淡には、笑顔でいてほしい」

京太郎「無事に、笑顔で――――お前が楽しくしててくれるのが、俺は一番好きだ」


 きっと、人は安心する。
 どんなに無責任でも、どんなに理想的でも、どんなに荒唐無稽でも。
 綺麗事でもなんでも、真心に安心する。

 こいつが笑ってくれるんなら――。
 こいつには笑っていて欲しいから――。
 笑っててくれるんなら、そんなに嬉しいことはないから――。

 綺麗事を言って励ますって真心が、相手を思いやる心が、一番大事なんだ。


京太郎「そんなお前を悲しませるなんて……本末転倒じゃねーか」

京太郎「俺は淡を哀しませたくない。俺は淡を哀しませない。哀しませるようなことはやらない」

京太郎「この気持ちに嘘はない……そのことを、信じてくれ」


153: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 01:40:18.97 ID:XbYsBvKzo

淡「きょーたろーのこと、信じていいの?」

淡「きょーたろーのこと、本当に信じていいの?」

京太郎「……俺の、今のこの気持ちだけは嘘じゃない。絶対に嘘じゃない」

京太郎「それは確かだ。絶対に――きっと、何よりも」


 首を傾けて、上目遣いに覗き込む淡の瞳をしっかりと見据える。

 後ろから抱き締めていたために、お互いの視線は反対向き。反対向きのまま交差する。
 大星淡は須賀京太郎の赤銅色の瞳を――須賀京太郎は大星淡の碧眼を。
 互いに反対の色の瞳を抱えて、反対向きに、反対の主張を携えながら。


 たとえ――。

 瞳の色が正反対でも。 
 視界に映る顔が逆さまでも。
 伝えようという主張が真逆でも。

 根底にあるのは――同じであるだろう。


淡「判った……信じる」

淡「きょーたろーの気持ちを信じる。きょーたろーのそんな気持ちを、私は信じる」

淡「きょーたろーのその心が……私の、大事な大事な希望だよ」

淡「何があっても……最後に――最後まで、きょーたろーのそんな気持ちは残っててくれるって……!」


 即ち――『愛』。


京太郎「……ああ、大丈夫だ。淡」

京太郎「最後の最後まで……俺は――この気持ちは、お前の希望であり続けるから」

京太郎「これが……この気持ちが――最後の希望だ」


 愛は引力であり、希望だった。


154: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/01/27(月) 01:44:56.22 ID:XbYsBvKzo

 ◇ ◆ ◇


168: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/02/16(日) 23:30:41.29 ID:Q7wc3HuUo

京太郎「……淡、肩貸してくれるか?」

淡「いーよ。ちょっと待ってて」


 よっと、淡が京太郎の右腕を抱えた。
 胸元まで――とは言わないが、だいたい淡の頭頂部が京太郎の顎先ほどまでなので、ややバランスが悪い。
 担がれるというよりは、ほとんど、ただ寄りかかるとか肩に腕をかけただけいう方が正しいだろう。

 体重、かけすぎてやいやしないかと心配してみれば……


淡「ほーらー、病人は大人しくー」

京太郎「……いや、病人じゃねーから」

淡「いいから、高校100年生の私に任せてって」


 などと、腕を更に引き込まれた。

 よたよた、よたよたと危なっかしくバランスを取りながら淡が進む。
 まあ、そう言ってもな……と僅かに鼻息を漏らしつつ、額に汗を浮かべながらも楽しそうな彼女を眺める。
 その様も愛おしい。

 この――――今にも凍えそうな感覚の中で、胸に燈し火のように灯り、暖かさをくれる。

 やはり京太郎は、一人では生きられそうにはなかった。判りきってはいたが。


京太郎(……そういえば、こんな感じ)

京太郎(前にもあったような……)

京太郎(……)

京太郎(……ああ。中学の体育祭、咲と二人三脚をしたんだったな)


 遥か遠い――――あまりにも遠い想い出。

 この手を零れ落ちてしまった時の砂粒。

 京太郎にとっての、ある意味希望だった少女。


 

169: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/02/16(日) 23:46:23.28 ID:Q7wc3HuUo

淡「……む」

京太郎「ん、なんだ? どうした?」

淡「……肩貸すの、やっぱやめよーかなー」

京太郎「へ?」

京太郎「いや、なんでだよ……」

淡「だって…………」

京太郎「だって?」

淡「…………………………………………今、別の女の子のこと考えてたよねー?」

京太郎「うっ」


 思わず息が詰まった。

 この女、どれだけ凄いんだ……と思わず身動ぎする。
 咲もそうだったが、麻雀を打つ奴は皆こうなのだろうか。やけに勘が鋭いというか。
 まあ、あれに関しては、第4号の力も強いのかも知れないが……。

 ジト~~~~~~っ、という効果音が付き添うな半眼の、上目遣いで睨まれる。


淡「へー」

淡「きょーたろーは、彼女に……こーんなかわいい女の子に肩を貸させておいて……」

淡「自分は、ぜーんぜん別の女の子のこと考えちゃうんだ……」

淡「へー」

京太郎「……あ、淡さん?」

淡「いーよ、いーよ」

淡「きょーたろーにとって私は都合のいい女でー、貢ぐだけ貢がせちゃうだけなんだー」

淡「へー」


170: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/02/17(月) 00:02:31.27 ID:PCZoBdDbo

京太郎「い、いや……」

京太郎「これは……そのだな……」

淡「なにかなー?」

京太郎「あのー……」

淡「ふんふん」

京太郎「そのー……」


 半眼であった癖に、急に妙に笑顔なのが恐ろしい。

 そのまま、楽しそうに京太郎の返答を待ちわびている。早く言えと、続きを急かされる。
 先ほどまであんなやり取りをしていたというのに……恐ろしい変わり身だ。
 ある意味、変身していると言っても過言ではない。

 ここは素直に「ごめんなさい」と認めてしまおう――――


淡「なーんてねっ」

京太郎「……は?」

淡「そんなことで怒るわけないじゃん。もー、きょーたろーのばかー」

淡「きょーたろーが色々考えちゃうの、今に始まったことじゃないしー……もー、なんていうか慣れっこ?」

淡「それに……」

京太郎「それに?」

淡「わ、私のことをちゃーんと大好きだって思ってくれてるって、しってますしー?」


 おおう。

 恥ずかしげもなく……と思ったが、よく見れば(実際、本当に注意しなければ今の京太郎には見えない)頬が赤い。
 肩に回した京太郎の腕の裾を、きゅっと握られた。
 淡なりに、気を使ってくれたらしかった。

 さっきの、今で。

 つまりはまあ、感傷的になりがちな京太郎の為の、演技だったのだろう。























憧「へー」

憧「あたしらをほっぽって、恋人といちゃついてるんだー」

憧「へー」


 ……こっちは演技じゃないだろうな、うん。

171: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/02/17(月) 00:26:29.55 ID:PCZoBdDbo

 ・
 ・
 ・


京太郎「ごめんなさい」

憧「べっつにー?」

憧「あたしは、あんたが誰と何をしょうが構わないんですけどねー」

淡「んー?」

淡「あはっ、ならきょーたろーに抱き付いてもいーよねっ!」

憧「はぁ!? ちょ、ちょちょちょっと待ちなさいよ!」

淡「おっ、ことっわりー」

憧「なにゃ、な、なにしてんのよ!」

淡「なにって……さっきの続きだけど?」

憧「に゛え゛っ」

淡「あはっ、鼠になった猫が潰れた声みたいー」

憧「さささ、さっきって!? さっきてあんたらなにしてんの!?」


 ……急に騒がしい。


憧「きょ、京太郎には何をしてても構わないっていったけど、あんたには言ってないわよ!」

淡「ふーん?」

憧「だから、離れなさいよ! いい!」

淡「んー」

淡「まー、別にいーけどー」


 この間も、そうであったが……この二人……。


淡「じゃー、きょーたろーからぎゅってして?」

憧「に゛え゛っ゛!?」

淡「あと、ちゅーとかさ!」

憧「ふきゅ」


 何だろうか。実は相性が悪いのだろうか。

 二人とも遊んでそう……というか、外見的には今時の女の子風なので、お洒落やらなんやらの趣味は合いそうなのだが……。
 不思議なものだ。タイプは全然違うし……。


憧「……まあ、そんなことはどうでもいいとして」

淡「どーでもいーなら、別にちゅーしてもいーよねー?」

憧「よくない!」

淡「んふー」

憧「何勝ち誇った顔してんのよ!」

淡「べっつにー?」


 ……こいつら二人だと、話が進まない。

190: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/09(日) 23:31:00.35 ID:HebKBxjfo


京太郎「……いいから、行くぞ」

淡「なんかそれ、おーぼーっぽい!」

京太郎「あ、わ、悪い」

淡「でもでもー、きょーたろーだから許してあげちゃったりでー」

憧「……うぐぐ」


 ……これ、最後の戦いとか決着とかの前に殺されるんじゃないだろうか。

 なんて心配も浮かんでくる。
 人を守るはずの仮面の戦士が痴情の縺れで刃傷沙汰とか洒落にならないであろう。

 外見の割りに奥手な少女に、恐らく忙しくて恋人がいないであろう少女に、当てこすりのようにこれだ。
 ブチ切れてもおかしくない。
 実際京太郎が逆の立場なら、怒りで無意識にプトティラコンボに変身しそうである。


憧「……まあ、いいわ」

淡「許可も出たし、やっちゃえそー!」

憧「そっちじゃないわよ、この馬鹿1年生!」

淡「そっちも1年生でしょ?」

淡「そーれーにー」

淡「実力から言ったら、私は高校100年生だからねっ!」

京太郎「……。なあ、話進めてもいいか?」

191: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/09(日) 23:48:14.95 ID:HebKBxjfo

憧「……どっかの馬鹿が居なければ、進んだんだけどね」

淡「え、どこどこ?」

憧「……」

京太郎「……淡。俺は大丈夫だからさ……あんま、変な態度すんなよ」

京太郎「憧にも……」

淡「……あーあ、バレちゃってたかー」

淡「えーっと、ごめんなさい」

憧「へ? え、あ、う、うん」


 つまりは、大星淡のあれは――どこからかは判らないが――演技だ。またしても演技だった。
 理由はひとつ。
 流石に京太郎にも判った。

 新子憧が、ここにたった一人でいる理由。他の誰も伴ってはいない理由。
 それは──


京太郎「──大丈夫だ。俺は、覚悟を決めた」

京太郎「だから……大丈夫だ」

憧「そう……」

淡「……」

192: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/09(日) 23:57:35.58 ID:HebKBxjfo



カザリ「……やあ、オーズ」

アンク「フン、遅いんだよ……馬鹿が」


 久しぶりに会った。
 そう、あまりに――――久しぶりであった。
 彼らと出会ってからと、出会う前の、自分の時間は最早比べるべくもないほど濃密であり――。
 同様に、彼らと別れてからと彼らと別れる前の時間にも歪みが出来ていた。

 それが――やっと、ここで。


カザリ「ところで、こいつらをどうにかしてくれないかな?」

哩「……」

セーラ「……」

小蒔「……」


 やれやれと手を広げるカザリと、不機嫌そうに腕を組むアンク。

 そして、件のライダーたちはその周りを距離を保ちながら囲んでいた。
 皆が皆、即座に変身できるように構えを取りながら。
 カザリとアンクを中心に据えて、二人を睨め付けているのである。

193: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/10(月) 00:07:29.05 ID:k+exy7NNo

カザリ「それともこれ、君の指示だったりする」

京太郎「……違う」

カザリ「じゃあ、やっぱり――――僕たちグリードは危険だって、判ったのかな?」

哩「……」

カザリ「まあ、そこの君のこととかは殺しかけたから無理はないよね?」

小蒔「……っ」


 小馬鹿にしたような態度で、辺りを見回しながらカザリは嘯く。
 そんな様子に堪りかねたのか、江口セーラが口を開いた。
 申し訳無さが伺える、そんな表情で。


セーラ「京太郎、これは……」

京太郎「判ってます、セーラさん」


 瞼で彼女を制して、カザリとアンクへと踏み出す。
 淡の手を借りるのはここまでだ。名残惜しそうに声を上げたが――今は、済まないとしか言いようがない。
 だってこれは須賀京太郎がやることだから。
 やらなきゃいけないことで、やるしかないことで、やりたいことだから――。


京太郎「別に、お前らをどうこうしようとした訳じゃねーよ」

カザリ「へえ? あれだけやったのに?」

京太郎「……」

京太郎「これは……俺の為だ。俺の所為じゃないけど、俺の為だ」

カザリ「どういう意味?」

194: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/10(月) 00:23:24.92 ID:k+exy7NNo

京太郎「多分、皆考えた。それで……思ったんだろ」

カザリ「何を?」

京太郎「お前ら――――居なくなるつもりだったんだろ?」

カザリ「……」


 彼女達が武器を備えてここに居たのは、京太郎に対する配慮。
 勿論、多少なりとも――警戒と言う意味も考えられたが――それ以上に、必要があったのだ。
 京太郎が、仲間がそれを望んでいるから、彼女たちもまたそれに乗った。

 故にこうして、自らの身を壁や盾にしてまでも、カザリとアンクをこの場に残す選択をしたのだ。


カザリ「で、それがどうかしたの?」

カザリ「特に君の為とか……関係ないよね」

カザリ「って、ああ……メダルが必要だった? 確かにあの狂った化け物を相手にするなら――」

京太郎「――違う!」

カザリ「へえ、じゃあどうして……君の為なんて?」

195: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/10(月) 00:24:37.60 ID:k+exy7NNo



 【選択肢が入ります】



197: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/10(月) 00:34:03.04 ID:k+exy7NNo
1:「言ったろ? お前らを――殴って連れ戻すって」
2:「あんなことがあったけど、それでも――、それでもこうして、お前らに会いたかったんだよ!」
3:「こうでもしなきゃ、話なんてできないだろ」


 ↓5

225: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 18:13:14.93 ID:UrOdWcTAo

京太郎「言ったろ……お前らを殴って連れ戻すって」


 あの日の約束を、違える気などない。
 それが――繋がりだった。自分と彼らとの、たった一つのか細い糸。
 いつ途切れてしまうかもしれない不確かな希望。あまりにも頼りなさすぎる運命の因縁。

 彼らが誰かを殺してしまっていたなら、取り返しが付かない現場まで追いやってしまったのならその糸は途切れる。
 神代小蒔を殺されて、江口セーラを殺されて、大星淡を殺されて、新子憧を殺されて、白水哩を殺されて、鶴田姫子を殺されて、染谷まこを殺されて、片岡優希を殺されて――。
 或いは京太郎の目の前で見過ごせないほどの過ちを犯してしまっているのなら。目の前でなくともそれが耳に入ったのなら。
 京太郎はコアメダルを砕く。
 砕かねばならないとか、そうすることが家族としての自分の責任ということもあるが――。
 それ以上に、家族がその手を汚すということが、罪を重ねるということが肯んぜられないからこそそうなる。

 だけれども、運命はここに到達した。

 アンクやカザリが手を汚さなくとも、罪を重ねなくとも――。
 或いは京太郎がそこに辿り着けないこともあり得た。
 事実、あのナスカヤミーとの戦闘。メズールとの戦闘によって、京太郎は死の淵へと追い込まれた。
 偏にそこで屈しなかったのは、絆。

 アンクとカザリとの約束。
 そして、これまで紡いできた仲間たちとの交流が――須賀京太郎を殺さなかった。

 ここでアンクとカザリに出会えたのは、偶然ではない。
 どれか一つが欠けても成り立たなかった――また、そのどれか一つのピースを嵌めるために歩んだ道程が、無駄ではなかった証。
 この物語に奇跡はない。これは奇跡なんかじゃない。
 これは――人々の手が。自分の手が。自分たちの手が。みんなの手が。繋がる手が――。

 創り上げた――必然である。


226: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 18:26:49.42 ID:uVwlUsVWo


京太郎「……下がっていてください」

京太郎「この決着は……! この約束は……!」

京太郎「俺の手でやらなきゃならない。俺が、どうしてもやりたいことなんだ」


 殴って連れ戻すそれが、果たして平常に終わるだろうか。
 そんな筈がない。
 それほどまでに自分たちは離れていた。それほどまでに遠い所に来てしまった。
 だから――穏やかに終わるなんて、そんなことがある訳ない。

 でも、だとしても――。

 いくら遠くても、手を伸ばせた。届くことができた。
 それは神代小蒔の不屈であり、江口セーラの勇気であり、大星淡の愛情であり、新子憧の気稟であり、白水哩の忍耐であり、鶴田姫子の連帯である。
 皆が助けてくれたからこそ、この手は届いた。
 あとは――自分の力で掴むのみ。

 既に全身はボロボロ。ここで戦う道理などない。
 誰が見たって京太郎は満身創痍。何をどう理屈をつけようが、戦うことは愚か、立つことさえも怪しい躰。

 それでも――。

 そうだとしても、京太郎は――。


227: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 18:40:14.44 ID:Lx3wTC5Ao


小蒔「……京太郎君」

小蒔「家族は――大事にしなきゃ、駄目ですよ?」


 全てを飲み込む風な笑顔を浮かべて、神代小蒔が語り掛けた。


セーラ「――まぁ」

セーラ「やれないとは、言わさへんで? だって、男の子やもんな」


 不安を匂わさず、江口セーラは笑い掛けた。


憧「……あんたなら、できるわよ。きっとかっこよく決めてくれる」

憧「だって――あたしが知ってる須賀京太郎は、そういう男だから」


 神妙な顔つきで、新子憧が背中を押した。


哩「……須賀」

哩「あの日言った言葉が嘘じゃなかっち――証明ばしてもらうけん」

姫子「ぶちょーは口下手やけん、こう言いたいんじゃなかとですかね?」

姫子「『戦って勝って』――『そして取り戻せ』。きょーたろ君なら、きっとそいができるって!」


 腕を組んでまっすぐ見据える白水哩と、悪戯っぽくウィンクを飛ばす鶴田姫子。


まこ「わしはあんたの事情を……完全に把握してるわけじゃないけぇ、巧いこと言えんが……」

まこ「そいでも、あんたんことを――応援しとる」


 悩みながら息を漏らした染谷まこは、メガネをずらしながらそう告げた。


優希「京太郎……咲ちゃん、駄目だったんだってな……」

優希「だから……今度は絶対、取り戻すんだじょ! 京太郎が、京太郎としてあるために!」


 悲痛な面持ちだった優希は、それでも持ち前の前向きさを京太郎に送った。

 そして――。
 そして、口を噤んだままの彼女は――。


淡「ばーか。ばかきょーたろー」

淡「やんなくていいのに……やっぱり無理しちゃって……。ばーか。ほんっとにきょーたろーって、ばーか」


 口を尖らせる淡。しかしその目線は負えない。彼女の目は、ただ床を捉えている。


228: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 18:54:35.70 ID:h+kS6MoGo


淡「……」

淡「帰ってこなかったら……駄目になっちゃたら……」

淡「絶対……絶っ対に、きょーたろーのこと許さないっ」

淡「そうなったら……どこまででもおっかけて、きょーたろーをひっぱたいてやるから、覚悟してよねっ!」


 永遠のその先まで一緒というのは――つまりは、そういうことなのだろう。
 何とも、厄介で愛が重い少女を恋人に選んでしまったものだ。
 そこも可愛いと思うし――だったら、彼女にそうさせなければいいだけだ。

 京太郎は元より、死ぬつもりなどない。やけっぱちになった訳でも、勝手に思い込んでいる訳でもない。
 誰かをないがしろにしたい訳でもなければ、自分自身を痛めつける訳でもない。
 これは――我儘かもしれないけど。
 京太郎として、是非とも通したい――通さなければならない一分。男としての維持。須賀京太郎の矜持。


京太郎「……セーラさん」

セーラ「なんや? 大星じゃなくて、俺?」

京太郎「不死身――――借ります」

セーラ「――」

セーラ「ハッ、言うやないか男の子!」

京太郎「そいつの目の前では――、……どうしても格好つけてたい奴がいるんです」


 拳を握り――胸へと叩き付ける。
 前に進むための力はこの手にある。
 あとは一つ。立てばいい。戦えばいい。勝てばいい。
 そうしてきっと最後に笑えたのなら――自分が勝者という証となるのだから。


229: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:01:45.57 ID:UpakwEsjo


京太郎「……待たせたな、カザリ。アンク」

カザリ「本当だよね」

アンク「……フン」


 確りと眼前を睨め付ける京太郎の強い瞳を受けて、それでもまだカザリとアンクは構えをとらない。
 それは果たして、既に戦闘不能に近い京太郎を侮っているのか。
 或いは別の感情があるのかも知れないが、ただ、冷ややかに落ち着いている。


カザリ「やめときなよ……君じゃ、死ぬよ?」

アンク「人間ってのは、弱いからな」


 ああ――確かに彼らの言う通りだろう。

 京太郎は弱い。弱いのは判り切っていた。
 力と心、その車輪のどちらかがレールに乗れば片方が外れる。或いは両方とも失速する。
 今まで王の欲望を見てきた彼らからしたら、それは侮蔑して余りある弱さ。
 須賀京太郎は弱い。
 人間は――弱い。

 だけれども、だからこそやらなくてはならない。


京太郎「いいぜ……だったら、見せてやるよ」

京太郎「俺の強さを……! 人間の、強さを……!」

京太郎「そして俺の……! 変身を……!」


 それでも人間は強くなれるのだと、見せつけてやらねばならない。
 あの日の裏切りは、京太郎の弱さが招いたとしたのならば。
 カザリとアンクに、付け込む隙を与えてしまったのが自分というのであれば。
 そんな弱さはなくなったのだと――。
 彼らを連れ戻せるだけ、強くなったのだと――教えなければならない。

 たとえ彼らがどうしたって。
 そこが連れ戻せる場所ならば――いや、連れ戻せない場所に遠ざかってしまっても。
 彼らが踏み越えていないのならば。彼らが踏み越えようとしないのならば。
 何度だって――そう、何度だって手を伸ばす。手を伸ばして見せるのだと。


230: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:17:58.16 ID:8yTQCbLLo


カザリ「ふーん」

カザリ「だったら、見せてもらおうかな。君の強さって奴をさ」

アンク「……」


 カザリから投げ渡されたのは、二枚のメダル。そこに一枚、メダルを取り出す。

 ああ――本当にこれは無謀かもしれない。ただの感傷かもしれない。
 だけれども、この二人を相手にするならこれしかない。このコンボが最も相応しい。

 すべてが始まったあの日のコンボ。
 グリードたちとしても因縁が深いコンボ。
 彼らにとっては王による裏切り、屈辱と決別を意味するコンボ。


京太郎「行くぜ、カザリ……! アンク……!」


 だけれども/だからこそ――――この力で戦うほかない/この力で戦うしかない。

 決別を意味する三枚のメダルを、掴み取る腕に――護る為の力のメダルに変える時が来たのだ。


京太郎「これが俺の――――変、身ッ!」


 ――タカ! ――トラ! ――バッタ!

 ――タ・ト・バ! タトバ! タ・ト・バ!!


231: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:20:28.22 ID:PnBaNWMTo


 ◇ ◆ ◇



232: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:30:09.08 ID:JEFXx6pJo


 京太郎=仮面ライダーオーズがトラクローを展開して、躍りかかる。
 以前のごとき、素人らしき動きがないそれには流石のカザリとアンクも瞠目した。
 が、二対一。
 そして京太郎のそれは、スタミナの消費を抑える――そして王が初めて変身したこと以外、取り立てた特徴もないコンボ。

 グリード体へと姿を変えたカザリの一閃が、京太郎の爪と火花を散らす。
 押し切れる。
 そう思ったが、中々に粘る。――ともすれば、逆に一撃必殺を奪われかねない。
 やはりは、オーズ。

 或いは――須賀京太郎が強くなったのか。


カザリ「……まあ、僕のメダルだからね」

アンク「ごちゃごちゃ言ってる場合か!」


 空かさずアンクから打ち出された炎球が、タトバコンボ目掛けて殺到する。
 が、トラクローの一閃。軌道を逸らされた焔は、壁を盛大に吹き飛ばした。
 立ち上がる黒煙と爆音に、その場の誰しもが身を固くしたが――京太郎は違う。
 静かに、カザリとアンクを見据えている。


アンク「……フン」

カザリ「だから言ったよね、僕のメダルだって」

アンク「黙ってろ、カザリ」


 そのまま首で指し示す。
 外。暗闇に包まれた外。炎の熱と明かりが闇を裂く静寂。
 いつぞやと同じく、壁に開けられた大穴。あの日は――もう一人のアンクが居た。
 そして京太郎と、カザリと、アンク。
 ただし、いつぞや見た景色は……京太郎が二人を庇い、逃走を助けるために躍り出たというものだったが。
 今は違う。
 京太郎は、二人を取り戻すためにその拳を握っていた。


233: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:35:03.59 ID:Dzk+nWXao





       第17話「明日と昨日と???」




                           A-Part 開始




234: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:37:46.07 ID:Dzk+nWXao


 京太郎が睨み付ける先。
 カザリの体内とアンクの体内。
 カザリは――おそらくはアンクからメダルを取り戻したのだろう。

 彼のメダルは、7枚。
 今京太郎が手にしているトラのメダル。かつて所持はしていたが、対木もこに奪われたメダルがトラとチーター。
 アンクが持っているのがライオンだから――数がおかしい。
 今、京太郎にトラを1枚手渡した。それはいい。だが、もこに奪われた分を計算すると――数が合わない。
 もこに奪われたのは2枚。京太郎に1枚を渡した。ならば、残るは6枚ではないか。

 何故――と頭を働かせるが、そこに襲い来るのは炎球。


京太郎「うおっ」


 転瞬、トラクローで両断。
 動き回るカザリの体内を視認するのは難しく、また、タカの視力を持ってしても――京太郎自身のそれが下がっているから、正確には掴めない。
 近接戦闘に持ち込まなくては、確かめられそうになかった。

 カザリが巻き起こす爆風。一目連。
 そこに加わるアンクの炎が、京太郎の身体を苛まんと疾走する。
 舌打ち一つ。瞬時に判断を下し、バッタレッグで跳躍。過ぎる熱風が地を焼き払うのを眺めて、息を漏らす。
 だが――この程度では終わらない。

 雄叫びと共に襲い掛かる鳥の王。炎を総べる大空の覇者。
 翼を持たず、神ならぬ京太郎では躱しようがない。
 炎を纏う拳の一閃。襲い掛かる空中衝突。踏ん張りが利かない空。為すすべがない天と地の間。
 だが、近寄るというのなら――。


京太郎「――ッ!」

235: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 19:53:03.64 ID:JiAzvlVQo

アンク「――チッ!」

 その瞬間を見定めて、繰り出すカウンター。
 捉えたアンクのメダルを、狙い澄ませて一突。躱された。急制動と急旋回。これが翼を持つもの全ての王の力。
 アンクは切り替えたらしい。京太郎を潰すには、炎の弾丸を叩き込むのこそが相応しいと。
 打ち出される数多の火焔球を、トラクローの障壁で受け流す。
 その度に泳ぐ躰。反動で浮き上がる肉体。止まることができない重力と無重力の境。
 そこへ、カザリが来た。特大の風。何もかもを欲深く飲み込み噛み砕かんと奔る風獣の大顎。回転する気体の掘削機。

 近くに足場がない。あるはずがない。それを見逃すカザリではない。
 彼らも本気だ。本気だった。
 本気で京太郎と戦いに来ている。本気で京太郎を倒しに来ている。本気で京太郎の手を離れようとしている。

 だけれども――。

 ああ、だけれども――。


京太郎(この、程度……ッ!)


 勢いよく、拳を振りかぶる。何もない空中を穿つだけ。
 しかしともすれば、空気すらも反動として利用できる速度。透明の気体が壁となる速度。
 ただし作用反作用。
 一旦停止してしまって重力と反重力が釣り合ってしまった空中では、無様にきりもみになるしかない。
 だけれども――ここで、一度畳んだトラクローを咄嗟に展開。唐突に作り出された重み、トラクローにより生み出される遠心力。
 京太郎の、オーズの軌道が変わった。唸る風の獣の咢から僅かに逸れる。

 でもそれだけ。
 完全に逃げるには至らない。たったのそれっぽっちでは、気休めと呼ぶも憚られる。


236: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 20:07:06.20 ID:if1aXhg8o

 ――そう。
 『これっぽっち』なら。


カザリ「破片!?」


 一旦トラクローで受け流した火球。京太郎を、逃げ場のない空へと押しやった魔の手。
 それが逸れた先に――そう、狙い澄ましていたその先が建物を穿ち、爆発と共に破片を舞い上げた。
 展開したバッタレッグ。破片を蹴りつける――エネルギーの大幅なロスが発生。だけれども、脱するには十分な加速。
 そのまま、アンクの元へ。
 撃ち出される光弾を受けても――受けようが止まらない/止まるつもりもない最大加速。
 手を伸ばす。トラクローを畳む。思い切り、顔面に一撃。とびっきり重いものを、叩き込む。


アンク「が、ァ……!」


 失速する空の覇者。
 対する京太郎は止まらない。脚力による加速に、さらに殴りつけた腕力の反動。京太郎は尚も速度を増す。
 止まれる筈がなかった。止まっていい筈がなかった。止まりたい筈がなかった。
 この手は――この手を!
 一刻も早く、一秒でも早く、一万分の一秒でも早く、百万分の一秒より早く――――何よりも、速く!
 最大限の疾走と共に、彼に――彼らに届かせなければならない。

 きっと、彼らは本気だ。彼らは真剣に、どこまでも熱烈に、全ての意気をかけて京太郎に襲い掛かっている。
 それは、京太郎が憎いからではない。京太郎が疎ましいからではない。京太郎を嫌っているからではない。
 彼らは本気で京太郎と戦って――そして真摯に、京太郎の熱意がそれを踏み越えることを望んでいる。懸命に京太郎と向き合おうとしている。

 これは禊だ。

 そして投げられたコインであり、ネット当たってに弾かれたボールの行方だ。

238: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 20:54:57.37 ID:Dzk+nWXao

 そして加速を行った京太郎の拳は――。
 迎え撃たんとするカザリの、鋭角なる暴風を手前に停止する。
 広げたトラクローによる空気抵抗の増大。僅かながらの失速。そして――会合点を、その衝突の瞬間を逸らした。
 京太郎の足元を通過する風の渦を――躱して、また敢えて殴りつける。

 千々に翻弄され、暴虐の嵐に切り付け捩じ叩かれる京太郎の腕。剥がれるトラクロー。腕だけでは済まない。そのまま、両足を叩き付ける。
 回転の反発、ジャイロ効果により弾き飛ばされた。京太郎の身体が錐揉みと化しながら、一つの穿孔すべき槍として――カザリの元を目指す。
 放たれようとする次弾。
 だけれども、今度は、わずかに重りが無くなった。爪を捨ててでも、己の身を護り武器となるものを捨ててでも――京太郎は速さを選んだ。

 だから、届いた。
 その手が――その思いが。


カザリ「あーあ……まさか、君にやられるなんて」


 真芯で捉えた京太郎の拳に、踏鞴を踏むカザリ。
 戦闘不能に追い込む威力はない。一撃で雌雄を決する力はない。互いの生死には影響しない――どころか、この一撃の為には京太郎の方が重傷。
 でも――、だからこそ――。


カザリ「痛いなぁ、これ……」

京太郎「……はは」

京太郎「言った、ろ……? ブン……殴って、連れ……戻、す……って……!」

カザリ「だったね……京太郎」


 死力の限り、全ての思いを載せた京太郎の拳は――その一本気な思いは、カザリの胸に打ち込まれた。
 蓄積された負傷と疲労に解ける変身。最後はもう、オーズの姿をしていなかった。
 ただの生身、ただの人間、ただの須賀京太郎として――――それでも約束通り、彼らを打ったのだ。

243: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:16:18.19 ID:if1aXhg8o




京太郎「……っ、と」


 変身が解けたその身体。
 全身裂傷。腕には罅が入っている可能性もある。

 ……とは言っても、痛覚自体が鈍っているため何とも言い難いが。
 だからこそ、あれほどまでの無茶ができた。常人では堪えられない無謀ができた。
 紫色のメダル。
 それもある種――積み上げられる必然を構成する石礫。
 癒着した異物なのか、はたまた運命に組み込まれた歯車なのかは知れない。


京太郎「痛たたた……本気でやったよなぁ、お前ら」

カザリ「強さを見せてくれるって言ったからね」

アンク「……それにしても、このバカが死んだらどうする!」

カザリ「その時は――、ああ、まあ……仕方がないって奴じゃないの?」

アンク「おい……!」

カザリ「連れ戻すって言ったからには、お互い半端で済むなんて思ってないよね?」


 そうだよね、京太郎――とカザリが窺うのに対しては、もう笑うしかない。
 その度に痛みで引き攣り、くぐもった呻き声が漏れた。
 思えば――あのナスカヤミーに殺されかけてからというもの、戦い続きで休まる暇がまるでない。
 ミュージアムに狙われている時よりはマシだが。それはそれはあのときは酷かったが……今も似たようなもの。

 淡と結ばれた。
 その翌日、姉帯豊音を守って紫色のユニコーンヤミーと戦い――。
 その直後、襲い来たナスカヤミーと交戦。奴の片腕と引き換えに、重症。こちらは左腕を貫かれて内臓にもダメージ。
 そんな絶対絶命のピンチを、仲間に助けられて──それから今度は蘇った、メズール・ガメル・リクガメヤミーとの戦闘と来て……。
 そして、夜に憧から呼び出しを受けて、更に再びメズールと遭遇。対木もこの罠により、憧が殺されかける。

 憧を抱えてウェザー・ドーパントの身体で奔走して、拘留された。そのまま一夜を拘置所の中で。
 夜が明けて、憧の失踪を知る。
 その後――憧を依代としたメズールとの戦闘。堪えきれず、蓄積した疲労と負傷の末、紫色のメダルに意識を飲まれた。
 それから、どうしていたのかは定かではないが――自分はグリードとして暴れまわっていたところを、仲間に助けられて。
 そして、対木もこが紫色のグリード――もう一人の虚無のメダルの持ち主と知り、彼女と戦斧を交えた。結果は、敗北以外の何者でもないが。

 そこにきて、これだ。

 もう、疲れたとしか言いようがない。
 二十四時間戦えますというキャッチコピーがあるし、その手のドラマがあることは知っているが……自分はそれ以上だ。
 曰く、くれぐれも安静。
 尤も――――京太郎にそれを告げたそいつが、最も京太郎を痛め付けてくれたのだが。

244: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:24:08.22 ID:if1aXhg8o


京太郎「なあ、カザリ」


 本来なら激痛で立っていられない筈なのに、それでも戦いが出来ているということは――須賀京太郎の身体の異変はかなり進行しているということ。
 異変が、異常によって加速するのではないか。そんな恐怖が生まれた。
 このまま――痛みも何も判らなくなって、ただ欲望を砕くだけの獣=狂戦士となるのもあり得るのだから。
 そうなれば、何もかもが消える。
 どんなときであっても、容易く拭えるものではないのだ。恐怖という奴は。


カザリ「何、京太郎」

京太郎「んー、いや……、――――って、あれ、呼び方変えたのか?」

カザリ「……なんのこと?」

京太郎「お前、前は俺のことを『京太郎』じゃなくて……オーズって呼んでたよな?」

カザリ「……気のせいでしょ」

京太郎「いや、確かに……覚えてるんだけどな」

カザリ「……思い違いじゃないの?」


 何を言ってるんだか、と肩を竦められるが……判る。
 こいつはやっぱり、猫だ。
 気紛れで強情で臆病で――素直じゃない猫。京太郎と同じで、居場所を求める寂しがり屋。
 京太郎はもう、居場所を得た。
 得たというよりそれは――自分と仲間が、作っていくものだと――いけるものであると知った。

 カザリは、グリードだから。
 きっと、自分自身がグリードであると強く認識しているから――求めながらも反発し/羨みながらも見下し/近付きたくても遠ざかる。
 勿論、こんなのはただの京太郎の想像でしかなくて――実際はまるで違うかもしれないけど。
 ただ、何となくそう思った。
 命懸けで意地を張り通した末に、そう思った。

 だから――多分、当たらずも遠からずだ。

245: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:36:23.36 ID:if1aXhg8o

京太郎「ははっ」

カザリ「何笑ってるのさ。……頭でも打った?」

京太郎「かもな……もう、打ってない場所を探す方が難しいぐらいだし」

カザリ「ふーん?」

カザリ「ま、君が殴って連れ戻すって言ったんだから……僕の責任じゃないよね」

京太郎「責任とか、そういうのは別にいいって……今更だ」


 こうして――戻って来てくれただけ、嬉しいのだから。
 やっぱり、何事にもケジメはある。
 覆水盆に返らず。砂時計を返すように、時を巻き戻すことなど不可能。帳消しにはならない。
 ただ、カザリたちも覚悟していた。
 タトバコンボでカザリたちとやりあうその時には、京太郎が追い詰められてプトティラコンボが――欲望の破壊者が顔を覗かせる可能性があるというのを。
 向こうも、砕かれるリスクを背負っていた。

 だからこれは予定調和じゃなくて、ケジメだったと――そう思いたい。


カザリ「で、何?」

京太郎「ああ……なんか、安心したらさ。眠くなってきちゃって……」

京太郎「少しだけ……眠っても、いいか?」

カザリ「……好きにすれば?」

京太郎「なあ、カザリ……」

カザリ「……なに?」

京太郎「居なく……ならないよな? 起きたら居なかったとか、そういうのは……やめてくれよ……?」

カザリ「さあね」

カザリ「まあ……どうせ君は追ってくるだろうし……今みたいのはゴメンだから」

京太郎「……はは」

246: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:49:47.63 ID:if1aXhg8o






 目を閉じると――不思議な夢を見た。

 カザリがいて、アンクがいて、淡がいて、父さんがいて、母さんがいて――。


咲「良かったね、京ちゃん」


 咲が――いる夢。
 あの日、別れたあのときの姿でいる夢。笑っている夢。
 何か、物悲しくて寂しくて――でも、幸せな夢。


咲「京ちゃんは、私みたいにならないから大丈夫だよ」

咲「……ふふ、違うか」

咲「私が差し出したものを、京ちゃんが受け取って繋いでくれたんだ」

咲「ありがとうね、京ちゃん」

咲「……うん」

咲「『どこ行くんだ』って……どこだろ? 私にも判らないよ」

咲「でも……うん。でもね、京ちゃんが行く場所はあっちだよ?」

咲「大星さんも、カザリちゃんも、アンクちゃんも待ってるあっちが……京ちゃんの場所」

咲「だから……こっちじゃないよ」


 咲の指差すその向こうには、心配そうにこちらを眺める仲間たちの姿が。

 神代小蒔は真っ直ぐな瞳で。
 江口セーラは額に汗を浮かべて。
 新子憧は顔を真っ赤にして。
 白水哩はいつになく必死な表情で。
 鶴田姫子は焦りながら。
 大星淡は――ああ、やっぱりあいつは泣き虫だ――。


咲「……うん。ばいばい、京ちゃん」

咲「……」

咲「……ひとつだけ、京ちゃんにお願いしてもいい?」

咲「……うん、そう」

咲「対木さんのことなんだけど――」

247: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:50:17.14 ID:if1aXhg8o


 ◇ ◆ ◇



249: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 22:57:23.00 ID:if1aXhg8o

>今後について――

>1:すばらさんに内臓パーンされてから戦いずくめだったし、最終決戦前にほのぼの日常シーンくれよ

>2:そんなんいいから終わらせろボケ。

>3:淡とのいちゃこらはよ。はよ

>↓5

257: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 23:17:19.55 ID:if1aXhg8o

【朝だったり】


淡「おっはよー!」

京太郎「おう、おはよう」

京太郎「……」

京太郎「……なあ、淡」

淡「なーにー?」

京太郎「……その、いくらなんでも、早すぎないかコレ?」

淡「そーお?」

京太郎「登校まで、バリッバリ一時間以上あるんだけど」

淡「ふふ、甘いねー……きょーたろーは」

京太郎「? なんの話だ?」

淡「朝御飯御馳走になりにきましたっ、ってことだよ!」

京太郎「……」

京太郎「悪いけど……俺、今味覚駄目だからな? 言っとくけどさ」

淡「ハッ」

京太郎「……パンでいいか?」

淡「きょーたろーがいるならどこでもオッケー!」


淡「ふーん、ふーん、ふーん♪」

京太郎「何か良いことあったのか?」

淡「んー?」

淡「きょーたろーが隣にいるからじゃ駄目?」

京太郎「……て、照れるな」

淡「というのはさておきー、人の家なら気にせずジャムを使えるよね!」

京太郎「人の家だから気にしろよ!」

淡「だってきょーたろー、今味覚ダメだから使わないしー? 賞味期限もったいないじゃん」

京太郎「ぐ……」

淡「……」

京太郎「……」

淡「……ね、きょーたろー?」

京太郎「なんだよ」

淡「怒っちゃった……?」

京太郎「……これくらいじゃ怒らねーから、心配すんなって」

淡「じゃー、ジャムいっぱい使ーう!」

京太郎「おい!?」


258: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/16(日) 23:34:18.39 ID:if1aXhg8o

【休み時間だったり】


淡「きょーたろー、きょーたろー」

京太郎「おう、どうした?」

淡「これなーんだ!」

京太郎「紙……メモ帳、いや、手紙……?」

京太郎「まさかお前……ラブレターとか貰ったんじゃ……」

淡「ふふーん、そしたらどうするのー?」

京太郎「……いや、別にどうも」

淡「む」

淡「へー、彼女が粉かけられてるのに放っとくってゆーんだ、きょーたろーは」

淡「いいのかなー? 私は超高校100年生級の美少女だから、みーんな放っとかなかなったり――」

京太郎「いや、だって……『永遠のその先まで一緒』なんじゃなかったのかよ」

淡「あ、あわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわわ」

京太郎「?」

淡「た、戦いのテンションでもないのに恥ずかしいこと口にしないでよっ! ばーか! ばーか!」

京太郎「そ、そうか……」

淡「そーだよー、っだ!」

京太郎「俺は、そう言ってくれて嬉しかったんだけどな……」

淡「んにゃ!?」

淡「……は、恥ずかしい台詞禁止! これで私に勝ったと思わないでよっ!」

京太郎「あ、ああ……」


憧(うー、うー)

憧(なんッで、こっちに構わずにいちゃこいてんのよ!)

憧(うううううううううううううううううううううううううううう……)

憧(……)

憧(……今なら京太郎の紫のメダルが、あたしの中に入るんじゃ)

憧(ふきゅ!? な、中に!? は、入る!? 京太郎のが!?)

270: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 22:13:40.60 ID:gISjcRuYo

【昼休み】


京太郎「……ふう」

淡「どしたの?」

京太郎「いや……久しぶりの授業だと思った以上に疲れるな、って思ってさ」

淡「そーぉ?」

淡「ずーっと出てこれなかったからねー」

京太郎「ああ……いや、本当これで進級できなかったらどうするかな」

淡「そしたら、リアル高校100年生じゃん!」

京太郎「嬉しくねーよ」

京太郎「というか、そもそもそんなに留年できないからな? 高校ってさ」

淡「そだっけ?」

京太郎「そう」

淡「私は別に勉強苦手じゃないからそーゆーの知る必要なかったしー?」

淡「別にどーでもいーかなーって」

京太郎「……勉強できなさそうな顔してるのにな」

淡「それってどーゆー顔?」

京太郎「……鏡見ろよ」


271: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 22:18:08.84 ID:gISjcRuYo


淡「んー」

淡「むむむむむむ」

淡「むむむむむむむむむむ」

京太郎「どうした?」

淡「いや、どんな顔しても私はかわいいよねーって」

京太郎「そうですね」

淡「こーんなかわいい女の子を彼女にできるなんて、きょーたろーは幸せものだねっ」

京太郎「……」

淡「ん? どしたの?」

京太郎「……幸せものだな」

淡「へへーん♪」

淡「まー、きょーたろーもなっかなかにイケメンだから美男美女でちょーどいーよねー」

京太郎「……」

淡「んゆ? どしたのー?」

京太郎「……いや」

京太郎「ところで、そんな美少女の淡さんや」

淡「なにかなっ」

京太郎「頬っぺたにお弁当ついてますよ」

淡「ほんとだ!」

京太郎「……鏡見たんだから気付けよ」

淡「ねー」

京太郎「ん、どうした?」

淡「なんでご飯つぶのこと、お弁当ってゆーんだろーね?」

京太郎「さあなぁ……」

淡「地球の本棚って人に調べてもらおっか?」

京太郎「なんという無駄遣い」

273: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 22:36:44.35 ID:gISjcRuYo


淡「でもさー、きょーたろー」

京太郎「ん?」

淡「ここは気付いたんだったら、きょーたろーがとって食べてくれる場面でしょ?」

淡「ほら、だって……」

淡「こ、こここ、ここここい、ここここいび――」

京太郎「恋人同士、だからか?」

淡「わー!?」

京太郎「……」

淡「……」

京太郎「恋び――」

淡「わー! わー!」

京太郎「……」

淡「……」

京太郎「恋――」

淡「わー!」

京太郎「……」

淡「……」


274: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 22:39:07.42 ID:gISjcRuYo


京太郎「……なあ、なんで叫んだんだ」

淡「うっ」

淡「わ、笑わないで聞いてくれる?」

京太郎「……ああ、別にいいけど」

淡「あ、あのね……?」

京太郎「ああ」

淡「その……」

京太郎「ああ」

淡「えっと……」

京太郎「……」

淡「……」

京太郎「……淡?」

淡「そ、そのー」

京太郎「なんだよ」

淡「し、幸せ過ぎてニヤけて変な顔になっちゃうの……きょ、きょーたろーに見せたくないなって」

京太郎「……」


淡「……きょーたろー?」

京太郎「……可愛すぎるだろ、畜生」

淡「わー! わー! わー!」

京太郎「それに……」

淡「それに?」

京太郎「これ以上に恥ずかしいこと、やってるから今更なんじゃないのか?」

淡「恥ずかしいこと? なにそれ?」

京太郎「そりゃあ――キスとか」

淡「わーっ!? わー! わー! わー!」

京太郎(かわいい)

京太郎「……というかさ、さっき鏡の前で色んな顔してたから今更だって」

淡「はっ」

淡「そうだった!」

京太郎(かわいい)

淡「ちゃんとゆってよ!」

京太郎「無茶言うな!」

275: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 23:06:53.49 ID:gISjcRuYo


淡「あ、そうだ!」

京太郎「ん?」

淡「これを……」

淡「こーして……っと」

淡「んー、ちょっぴり多いかなー?」

淡「んしょ、っと」

淡「むむむむむむむむむむむ」

淡「んーと」

淡「よしっ」

京太郎「……なあ」

淡「なーに?」

京太郎「聞きたいことがあるんだけどな?」

淡「彼氏のきょーたろーのためなら、なんでも答えてあげるよ! 特別に!」

京太郎「そ、そうか……」

京太郎(恋人発言はニヤけて変な顔になるんじゃ……) 


淡「ほらほら、どーぞどーぞ!」

京太郎「じゃあ、スリーサイズを」

淡「上から、81の54――って何言わせてんの!」

京太郎「わ、悪い」

淡「きょーたろーのばか! ●●●! ●●●! けだもの!」

京太郎「悪かったって」

淡「ふーんだ! むっつりー、むっつり●●●ー」

京太郎「……うぐ。なら、オープンの方がいいのか?」

淡「もっとやだ!」

京太郎「だよなぁ……」

京太郎(意外だな……Cはあるのか、こいつ)

京太郎(確かに揉み心地は……中々、そんなに悪くないというか)

京太郎(ウェストが細いからかな)

京太郎(……)

淡「どしたの?」

京太郎「いや、バトルファイトはどうすれば終わるんだろうな」

淡「なんでもって言っても、さすがにその質問は無理かなーって」

277: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 23:23:04.89 ID:gISjcRuYo


京太郎「……で、それはいいとして」

淡「うんうん、なになにー?」

京太郎「まず、ご飯を手で掴んだよな?」

淡「摘まんだって方が正しいかな?」

京太郎「あー、まぁ……置いといて」

淡「置いといてー?」

京太郎「それを頬っぺたにくっつけたよな?」

淡「うん」

京太郎「で、そっから減らした」

淡「ちょっと多かったからね」

京太郎「今度は増やした」

淡「だって取りすぎちゃったし……」

京太郎「で、鏡を見ながら色々弄くった」

淡「指先べったべたー。なんでご飯触るとこーなるんだろね?」

京太郎「デンプンのりってあるだろ? あれの材料って米なんだよ」

淡「へー」

淡「でもそれ、ご飯勿体ないねー。お百姓さんかわいそー」

京太郎「いや、それには輸入された米とか規格外品で食べるのに向いてない米を使うんだよ。業務用米、って言ってな」

淡「へー」

淡「きょーたろーって物知りだねー」

淡「地球の本棚って、きょーたろーのことだったりして!」

京太郎「ないない」

278: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 23:33:55.01 ID:gISjcRuYo


淡「まー、きょーたろーは私の――ここここいび、ここここここここいびとですし?」

京太郎「こが多いな……子沢山かよ」

淡「にゃ!?」

淡「き、気が早いよっ! ●●●なんだからっ!」

京太郎「あ、ああ……」

淡「う、うう……」

京太郎「……」

淡「……」

京太郎「……」

淡「……んへへへー」

京太郎「……」

京太郎「……で、なんだ?」

淡「ん? なーに?」

京太郎「俺が淡の……その、それだから――」

淡「それじゃなくて、恋人!」

京太郎「普通に言えてるじゃねーか!?」

淡「はっ」

京太郎「なんで、『まんまとハメられた』って顔してるんだよ!?」

淡「は、ハメるって……」

京太郎「言わせねーぞ!」

淡「い、イカせ……」

京太郎「言ってねーし、気がはえーよ! 逸りすぎだろ!」

淡「うんうん、はやり過ぎは不味いよねっ。早く彼氏作ればいいのに!」

京太郎「やめろよ! ヤミーの親を生み出すような台詞はやめろ!」


279: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 23:50:20.33 ID:gISjcRuYo


京太郎「……で、俺が淡の恋人だから――どうしたんだ?」

淡「んー?」

淡「だからWなんてのの片割れにはあーげないっ、ってこと」

淡「だって、きょーたろーは私の彼氏だもんね?」

京太郎「あ、ああ……そうだけど」

淡「だもんね?」

京太郎「繰り返さなくてもいいだろ」

淡「大事なことですし?」

京太郎「……」

淡「んゅ?」

京太郎「……だ、大事なことだよな」

淡「うんっ、大事だよ!」

京太郎(……こいつの羞恥心のポイントが、よー判らん)

淡「?」

京太郎(まあ、かわいいから許す……最初、あんなんだったのになぁ)

京太郎(で……)


280: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/17(月) 23:52:15.44 ID:gISjcRuYo


京太郎「話を戻すけどな」

淡「なんで逸れたんだろーねー」

京太郎「……」

淡「なーに?」

京太郎「鏡見ろよ」

淡「ざーんねーん! 今回の原因はきょーたろー!」

京太郎「へ? ……そ、そうだった」

淡「へへへ、私の勝ちー!」

京太郎「負けるとどうなるんだよ……?」

淡「きょーたろーは、淡ちゃんを甘やかさなきゃいけなくなっちゃったり?」

京太郎「……勝つと?」

淡「かわいいかわいい淡ちゃんが、きょーたろーに目一杯甘えてあげたり!」 ババーン

京太郎「……」

京太郎「なあ……」

淡「どしたの?」

京太郎「それって、結局同じじゃないのか?」

淡「はっ」

京太郎「……考えてなかったのかよ」

淡「残念ながら」

京太郎「じゃあ、今ので今度は俺の勝ちだな」

淡「なにそれずっこい!」



281: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/18(火) 00:02:39.17 ID:pzYq1o4mo

京太郎「……で、だけどな」

淡「うんうん」

京太郎「それ……結局なんなんだ?」

淡「それ?」

京太郎「ご飯を、付けたり外したりしてたの」

淡「あー、やっとだねー」

京太郎「……やっと?」

淡「うんっ」


淡「ほら、どーぞ!」

京太郎「えっ」

淡「ほらほら、きょーたろー?」

京太郎「へっ」

淡「ほーらー、ねーねー」

京太郎「いや、何がなんだか……」

淡「ほら、ご飯粒!」

京太郎「それ、お前がつけたんじゃ……」

淡「いいから! 早く!」

京太郎「あ、ああ……」

淡「んっ」


京太郎「……っと、これでいいか?」

淡「だめ」

京太郎「駄目って……」

淡「だめだよ。ぜーんぜん、だめ! 駄目すぎ! ダメダメきょーたろー!」

京太郎「いや、何がだよ……」

淡「ご飯粒とったら、次にすることって言ったらー?」

京太郎「することと言ったら……」

淡「いったら?」

京太郎「ティッシュにくるんでゴミ箱に……」

淡「ええっ!?」

 
284: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/18(火) 00:16:23.47 ID:pzYq1o4mo


淡「信じらんない! なに考えてるの、きょーたろーのばか!」

京太郎「え、いや……」

淡「ここは王道でしょ、王道! オーズの癖に判ってないんだから!」

京太郎「オーズと王道は関係ないだろ」

淡「関係ないけど、関係ある!」

京太郎「なんだよ、それ」

淡「いいから、王道! 王道に、『ご飯粒ついてるぞ』って取ってから口に運んでパクっと!」

京太郎「こういう打ち合わせしてる時点で、王道も何もないだろ……」

淡「それはそれ、これはこれ!」

京太郎「どれはどれだよ」


京太郎「……というか、なんでそこまで回りくどいことしたんだ? 別にご飯粒ぐらい……」

淡「ご飯粒ぐらいじゃないから」

京太郎「?」

淡「私だって女の子だから――漫画とか読んでてね? それで、『これっていーなー』とか『やりたいなー』って思うことがあるんだよね」

淡「で……きょーたろーの彼女になったよね?」

淡「だから……そーゆー、やりたかったことをきょーたろーとしたいなーって……」

京太郎「……」

淡「駄目だった? こーゆーの、子供っぽい?」

京太郎「いや……」

京太郎「付いてるぞ、ご飯粒」

京太郎「……んぐ」

淡「――――!」

淡「きょーたろー、大好きっ!」

京太郎「お、おい……飛びつくなって……!」

淡「んへへへへへへ。きょーっ! たろーっ!」

285: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/18(火) 00:19:22.89 ID:pzYq1o4mo


















憧「…………あたしに光は似合わない。あたしに光は似合わない。あたしに光は似合わない。あたしに光は似合わない」 ライダーパンチ

憧「…………闇に飲まれればいい。闇に飲まれればいい。闇に飲まれればいい。闇に飲まれればいい。闇に飲まれればいい」 ガスッガスッ

穏乃「あ、憧……?」

憧「……シズ、今、あたしのこと笑ったかしら?」

穏乃「ひっ」


294: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/20(木) 23:01:38.19 ID:NL8wZYmao


  ◇ ◆ ◇


 ……そして、放課後になった。


優希「京太郎、アレはどうだった?」

京太郎「ああ……良かったよ。おかげで助かった」


 自身の身体に装着されていた装置を取り外す。

 ラックが三つ。
 どこかしらそれはオーズドライバーを連想させる――事実メダルを嵌めるラックが存在し、その全てに橙色のコアメダルが装填されている。
 染谷まこが開発した、オーズやグリードでなくともコアメダルの力を――僅かながらでも――引き出せる装置。
 再生と恒常を司るメダルを以て、染谷まこは元新道寺麻雀部の治療の為にこの装置を開発した。
 そしてそれは、数え切れないほど――立っているのも不思議なほどの傷を追った須賀京太郎にも転用。
 触覚が――ひいては痛みという感覚が薄れてしまっている京太郎であったが、負傷をしているのは事実。

 この、染谷まこの開発した装備――アクセルドライバーにしろエンジンブレードにしろ、彼女の発明には大変助けられている。


優希「じゃあ」

京太郎「ああ……行くか」

優希「淡ちゃんは?」

京太郎「ゼロライナーで先に。二人同時に留守にすると、何かあったときどうしようもないからな」

295: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/20(木) 23:02:53.40 ID:NL8wZYmao

優希「……いいのか?」

京太郎「嫌だ、って思ってるけど――お互いさ」

京太郎「でも、これは止めなきゃ行けないんだ。誰かが、終わりにしなきゃいけない」

優希「なら……誰かがやらなきゃ駄目なら、別に京太郎がやる必要は……」


 優希の言いたいことは判るし、それが京太郎を思いやっているというのも判る。
 今、カザリとアンクは染谷まこと南浦数絵の元、グリードの持つ“満たされない欲望”を解決する手段を試行している。
 

京太郎「なあ、優希」

優希「……なんだ?」

京太郎「俺は――多分、凄い幸せものだ。きっとな」

優希「……は?」

京太郎「だって、考えてみろよ。『誰かがやらなきゃいけない』ってなは――」

京太郎「――逆に言うなら、『誰がやってもいい』んだろ?」

優希「そりゃ、そうだけど……」

京太郎「そうは言っても、なんとかできる人間は限られてるだろうけどな……でも、俺にはその力があるんだ」

京太郎「それで……やっぱり俺はあの日を悔やんでる」

京太郎「あの日の俺に力があれば――未確認による虐殺を止められた……そんな風に思うんだよな、やっぱさ」


 そうすれば、両親は死ななかった。宮永咲は一人潰えなかった。多くの人々は、故郷を焼かれなかった。
 この自分が――この手が、あの場所に届いたのならば。この足が、間に合ったのならば。この身体を盾にできたならば。

 欲望の自覚によって、自らの心の底に潜む思いを再確認した。
 『すぐ傍で守りたい』『一人になりたくない』――そんな二つの意味での『置いていかれたくない』という京太郎の願望。
 それに連なるように、やはり京太郎はこの力を望んでいた。

296: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/20(木) 23:04:37.50 ID:NL8wZYmao


 皆、臆病が故に京太郎は狂犬がごとき苛烈な態度をとると言うが――自分自身、それだけではないと思った。改めて。
 自分は、復讐がしたかったのだ。
 あの日の弱い自分に。
 あの日の恐ろしき未確認生命体に。
 だから、自分を奮い起たせたり、弱さを誤魔化したり――苛烈な態度が要求される場面という枠に収まらず、必要以上に残酷になれた。
 すべては復讐の為に。
 未確認生命体への憤怒。未確認生命体への怨嗟。未確認生命体への激情。それらを刃に乗せていた。

 そう、須賀京太郎は復讐を――


優希「京太郎……お前、そんなんじゃ」

京太郎「判ってる」

京太郎「どうにもならないことを、どうしようもない欲望を……俺が持つから――グリードに近付いたんだって」

優希「……」

京太郎「大丈夫だ、心配すんなって。俺はさ――」


 ――した“かった”のだ。


京太郎「――護りたいんだ。復讐じゃなくて」

優希「護る?」

京太郎「ああ……。俺の家族を……友人を……仲間を……俺が頑張ったなら、護れるだけの人を」

京太郎「――多分、対木もこは俺と一緒だ」

優希「一緒……?」

京太郎「紫のメダルに魅入られた……紫のメダルに見初められたって言うのはきっと、『あの日』が関わってる」


 あくまでも、勘でしかないが……。
 『あの日』――未確認生命体による大火災・大厄災が、紫のコアメダルの住み処となる虚無感を産み出した。喪失感を産み出したと、ある種確信めいたものがある。
 火焔と対照的に、冷寒が齎されたのだ。その心の内に。

297: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/20(木) 23:06:33.06 ID:NL8wZYmao


優希「まさか……自分も道が違えば、そうなってたかも知れないから――だから、対木もこと戦うって言うのか!?」

優希「いくらなんでも、バカバカし過ぎだじぇ!」

優希「確かに、それのせいでおかしくなったのかもしれない! 初めからおかしかったってのもあるけど、そんなん誰にも判らない話だろ!」

優希「それに勝手な責任感じたり、勝手に抱え込むなら――京太郎はまるっきり、紫のメダルの呪縛から解かれてないじょ!」

京太郎「――いや、違う」


 片岡優希の、京太郎の歪んだ自罰意識――サバイバーズギルト――を鋭く抉るような言葉の刃。
 痛ましい災害やおぞましい事件からの生存者には、
 得てしてこのように『生き残ってしまった自分は厚かましい』『皆が苦しんでいるのに自分だけ』と、後悔と罪悪感に苛まれてしまうという事例が存在する。
 事実京太郎は、心的外傷ストレスによってそのような思考を組み立ててしまっていたが――。

 それでもはっきり、すんなりと心から「違う」と断ぜられた。


京太郎「あの日の災害から対木もこが産み出されたなら……だとしたらそれは、未確認生命体が原因だよな」

京太郎「直接なのか間接的なのか判らないけど……未確認生命体による事件の一種なんだよ、これは」

優希「じゃあ、未確認に対する怨みを――」

京太郎「――違う」

京太郎「俺はあいつらを許せない。あいつらを恨んでるし、怒ってるし、憎んでる」

京太郎「でも、違うんだ。そういうのじゃないんだよ」


298: 1 ◆rVyvhOy5r192 2014/03/20(木) 23:08:10.73 ID:NL8wZYmao


優希「……どういうことなんだ?」

京太郎「あの事件はどうにもできない……過去を変えない限りはきっと――どうにもならない」

京太郎「でも、過去なんて変えなくても……」

京太郎「辛い傷を背負っても、悲しい想い出を刻まれても、苦しい痛みを与えられても……皆それぞれ、前に進もうとしてるだろ?」

京太郎「色んな風に折り合いつけて、皆怯えてるだけの昨日じゃなくてこれから来る明日を見てる」

京太郎「なのに対木もこがやろうとしてることは――やったことは、皆をそんな昨日に押し込めようってことだ」


 これはあの災害の続きだ――と、京太郎は考える。
 否、まだ“終わってない”のだ。
 数万人の死者を出し、それ以上の人間の嘆きを喰らってなお、あの事件は終わっていない。

 昔日、その悲しみは仮面ライダークウガが背負った。
 人々の涙を背中に、それ以上の涙を生まぬため、誰よりも涙を流して戦った。孤独に一人、戦った。
 だけどもう、クウガはいない。
 だったら――、それだったら――。

 誰かが遣らねばならぬことは、誰がやっても良いことだ。
 その誰かがなく、神もなく、仏もいない。これは人間が立ち上がらなければならない問題。
 でも、神なんてのが居なくても――奇跡なんてなかったとしても――仮面ライダーはいる。


京太郎「人々の明日を、血と涙に濡れた昨日になんてしない」

京太郎「そんな絶望なんて、俺が止めてやる」

京太郎「あの事件は俺が終わらせる。ここで決着を付けてやる」

京太郎「俺が――護る。護ってみせる」

京太郎「この、仮面ライダーオーズが――――絶対に止めてやる!」


 ――仮面ライダーは、ここにいる。


312: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 02:07:47.74 ID:gLCThvBro

 ◇ ◆ ◇


京太郎「うおっ!?」


 廊下を超えたその先――耳という感覚器官が鈍ってしまっているためであろう。
 その曲がり角からくる人影に気付かず、ぶつかりそうになってしまう――咄嗟に回避したが。
 その人影というのは……。


やえ「――っと、ごめんなさい!」


 いつぞやの再来。
 京太郎が初めて戦ったドーパントであり、初めて助けた人間――小走やえ。
 ガイアメモリの欲望に飲み込まれて、それでも人を傷つけまいと最後まで踏ん張った少女。
 彼女と出会ったのも確かこのように、曲がり角での邂逅であった。
 ただし、あの時彼女は――ガイアメモリの毒素と浸食により、記憶を失ってしまっていた。

 だけれども、


やえ「……あれ?」

京太郎「へっ?」


 この反応は、京太郎のことを知っているような……そんな反応。
 まさか、失った記憶が元通りになったという訳だろうか。
 ならば、それでも――あの記憶を持っても暮らせているのならば、折り合いが付けられているのならば、それはよい。
 過去と向き合えて、それで前に進めるならそれでいい。
 辛いなら、それでも挫けそうだというのならば――立ち上がれる一時のその間、京太郎が手を貸せばいい。


やえ「あれから、大丈夫だった?」

京太郎「あれからって――。ああ、そうか、あの日の……」

やえ「夢の人が……いきなり血まみれだったから、驚いたわ」

京太郎「夢?」

やえ「な、なんでもないっ」

京太郎「そうですか? ……なら、いいですけど」


 何とも釈然としないが、なんでもないと言うのなら、そうなのだろう。

313: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 02:30:56.90 ID:gLCThvBro


やえ「大丈夫なの、身体?」

京太郎「はい。おかげでスッカリ――仮面ライダーは、不死身ですから」

やえ「仮面ライダー……?」

京太郎「ええっと、仮面ライダーオーズです……俺の名前」

やえ「ふーん」

やえ「オーズ、仮面ライダーオーズかぁ……」


やえ「――いい名前ね、仮面ライダーオーズ」


京太郎「ありがとうございます」


 威圧や鼓舞ではなく、今なら胸を張って名乗れる。
 自分は仮面ライダーであると。
 人々の夢と希望を護る、仮面の戦士だ――と。


やえ「……その」

京太郎「なんですか?」

やえ「また、あんなのと……戦うの?」


 この質問にはどう答えたものか。
 これは京太郎のことを慮ったが故の言葉なのか。そうだとしたら、正直に答えるべきなのか。
 逡巡するその内に、小走やえが先に口を開いた。


やえ「何て言うかその、普通に慣れてるのかもしれなくて……」

やえ「だからこんなことを言うのは変かもしれないんだけどさ」

京太郎「はい?」

やえ「気を付けてね、仮面ライダー」

京太郎「――」

京太郎「はい!」


314: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 02:57:47.70 ID:gLCThvBro



灼「あ」

京太郎「あ」

灼「ども……」

優希「また知り合いか?」

京太郎「ああ……まあな」


 鷺森灼。

 イマジンとの契約者。やえのように、須賀京太郎が戦った相手ではなく――須賀京太郎が初めて守った少女。
 護り抜くことはできなかった。そこで大星淡の救援がなければ、終わっていた。
 そんな苦い思い出も含めた、出会い。


灼「あれから、大丈夫?」

京太郎「ああ、まぁ……その――何度も情けないとこを見せてすみません」


 だからとりあえず、謝ってみてしまった。
 一度目はウルフイマジンから護り切れず。二度目はナスカヤミーから護り切れなかった。
 京太郎独りだけではどうにもならなかった。他のライダーの助けがなければ。
 目の前で二度も誰かが傷付き倒れるのを目撃するというのは、京太郎が想像する以上に堪えるだろう。


灼「そんなことない!」

灼「私は――、私は――!」

京太郎「鷺森さん!?」

灼「私はあなたに勇気づけられてる! あなたみたいに戦うことは無理だけど、それでも!」

灼「それでも……それでも、頑張ろうって思えるのは……」


 普段とは打って変わった声色で、鷺森灼が京太郎に食い掛かった。
 それは、いくらなんでも――京太郎当人自身であっても、許さないというそんな言葉。
 ああ、そうか。これは――。


 淡『きょーたろー、気付いてないかもしれないけどさ……』

 淡『どんなことがあっても諦めないで、立ち向かっていくきょーたろーは……ヒーローなんだよ』

 淡『ヒーローってのは、誰かを護るだけじゃなくて……』

 淡『誰かを、強くしてあげられる。誰かの、心の支えになってあげられる』


 淡『だから、きょーたろー一人が頑張らなくていい』

 淡『そうやって、きょーたろーが顕した強さは……皆に見せた強さは……』

 淡『ちゃんと――きょーたろーの守りたい誰かには、受け継がれてるんだから』


 淡『きょーたろーが誰かを護ろうとしたから……』

 淡『痛くても強くても立ち上がったから……』

 淡『それだけできょーたろーはもう、人を護ることができてるんだって』


 淡『多分そうやって、誰かの強さは受け継がれてく』

 淡『きょーたろーの強さは、きょーたろーの勇気は……誰かがきっと、受け取ってくれるから』

 淡『無理なんてしなくても、きょーたろーは一人じゃない』


 淡が言ったように、もうきっとあの日の京太郎の戦いというのは、彼女の――鷺森灼のものなのだろう。

315: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 03:19:13.88 ID:gLCThvBro


京太郎「……そうですか」

灼「大声出して、ごめ……」

京太郎「……」

京太郎「いえ……いいんです。というか、嬉しいです。そんな風に受け取ってもらえて」

灼「そ」


 自分がやってきたことは無駄ではなかった。
 そう、改めて教えられただけ――面と向かってそれを知らされただけで、こんなにも嬉しい。
 自分の行いは、決して無駄ではなかったのだ。


灼「だから、改めて――ありがとう」

京太郎「……はい」

京太郎「俺の方こそ――ありがとうございます!」

灼「?」

灼「ど、ども……?」


 京太郎の言葉に、今度は灼が怪訝そうな顔をする番だった。
 でも、それでもいい。
 今日こうして、出会えただけでよかった。
 苦い思い出だった昨日が、違うものに変わっていくのだから。

323: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 13:43:12.26 ID:H7ywXDdWo



優希「知り合い多いんだな、京太郎」

京太郎「まあな。なんだかんだ、ライダーになってから色々となぁ」

京太郎「……と」


 視線を動かした先に――また、見知った顔。
 あれは、末原恭子と松実宥と姉帯豊音。
 その誰もやはり、須賀京太郎がライダーとして関わった少女たち。
 末原恭子はコックローチ・ドーパントの手から。松実宥はスノーマン・イマジンの手から。姉帯豊音はユニコーンヤミーの手から。


恭子「あ」

宥「ぁ……!」

豊音「あ、京太郎君だよー!」


 ぶんぶんと腕を振る姉帯豊音に、思わず苦笑で返す。
 何事かと、京太郎と豊音たちに視線が集まった。
 何とも気恥ずかしい気持ちでいっぱいになる。


京太郎「どうも、元気ですか?」

恭子「それはあんたの方やないんか」

宥「だ、大丈夫……?」

豊音「もう、痛くないのかな……?」


 まあ、当然こんな反応になるだろう。それは判っていた。
 ナスカヤミーにあれだけズタズタのボロボロまで追い込まれたのだから、仕方がない。
 左腕を貫かれて、紫のメダルが庇ってくれたとは言っても胴体に多大な衝撃を受けたせいで腹部の傷口が開き、
 メズールとの戦いでは全身を打ち据えられ、対木もこには体の骨をいくつか砕かれた。
 正直なところ、染谷まこの発明品がなければベッドの上の住人になっているだろう。それからきっと留年してる。


京太郎「まあ、俺は――不死身の仮面ライダーですから」

324: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 14:30:03.00 ID:H7ywXDdWo


 なんて、強がってみる。
 安心してくれたら、なおいいな……と。

 すると、


恭子「……阿呆」

宥「駄目だよ」

豊音「ううー」


 抱き付かれた。
 というかこれは抱き付くという話などではなく、もはや圧迫死に似ていた。
 そう言えば押し競饅頭なんてのを昔やったな――と考えるが、やけに場違いな気分だ。
 一番身長の小さい末原恭子(実に京太郎と35センチ差)は、殆ど鳩尾のあたりに鼻先が埋もれ、
 背中側から抱き付く松実宥(実に京太郎と27センチ差)のたわわな果実の感触が、腹部の丁度真逆のあたりの背筋にぶつかった。
 が、真逆に姉帯豊音(15センチ差)は違う。むしろ京太郎が彼女の肩に頭を預けるぐらいの高さ。
 男として、地味に傷付くが……。


京太郎(~~~~~~~~~~~~~~~~~ッッッ)

京太郎(押し競饅頭!? いやむしろ押し競おもち!? ここが桃源郷だったのか!? いや幻想郷!?)

京太郎(すげえなんだこれやべえ。松実さんやべえよこれやべえこれがおもちだったんだ宇宙の心だったんだ宇宙の心って柔らかいんだ)

京太郎(姉帯さんもそれなりにそれほどで身長の分やっぱり体積っておおくなるんだよなこれ当たってる当たってる当たってるというか埋められてる)

京太郎(末原さんは……うんまあ置いておくとしてもなんか胸元に入られるとちょっとぞくっとするというかやっべえこれやべえ)


 それどころではなかった。
 今まで受けたどんな攻撃よりも強力であり、直接接触した機会としては神代小蒔の胸に『直』をしたことが何よりも一番のおもちで……もとい思い出になっているが、
 三人から揉みくちゃにされるというのは本当に大変に大変な事態であった。
 これでグリードと化していることによって触角が乱れていなければ、むしろ松実宥のそれに京太郎が乱れていただろう。

325: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 14:42:10.53 ID:H7ywXDdWo

 通行人が、


山口「なんだあれ、いちゃつきやがって……ちょっと痛い目――」

内柴「馬鹿野郎。あれ、この間のだぞ!」

山口「……みたくないなぁって」


大地「あれは……あの時の……」

大地(って、取り込み中っぽいしやめとくか。森永……幸平の奴は、リハビリ施設にいってるらしいし)

大地(ありがとうな、あんときは助かったよ。……ヒーロー)


武美(今、仮面ライダーって聞こえたような……)

武美(……気のせいかな? なんか、変な人たちがいるけど)

武美(名前も聞けなかったし教えられなかったけど――わたし、頑張ってるよ!)

武美(ライダーもきっと、わたしをあそこから助けてくれたときみたいに――どこかで頑張ってるよね)


邑夫(なんだよあれ……どっきりか何かか?)

邑夫(現実なんてやっぱりクソだな。あーあ、世界が壊れりゃいいのに)

邑夫(あの怪物のおかげ虐められなくはなったけど、代わりに今度はハブられてるんだよなぁ……クソ)


俊夫(あれは――、って、やめとくか)

俊夫(一応釈放されたけど……それだけじゃすまないレベルだってのも判ってるし)

俊夫(向こうは俺の顔は見てないし、見てたら猶更どの面下げるんだって話だし)

俊夫(最近は心を入れ替えるようにしてるし、あんだけ痛い目見たらAVの中でも思い出されてなぁ……)

俊夫(――よし、今日はちゃんと痴漢ものを見よう!)


 そんな京太郎たちに生暖かい目線を送る。

326: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 15:04:51.00 ID:H7ywXDdWo


恭子「仮面ライダーなんて言っても、怖いもんは怖いんやろ? あんとき、震えとったやないか」

宥「不死身でも……痛いのは、痛いから……」

豊音「ヒーローだったらあんなことあるんでしょ? 死んじゃやだよー」


 回された腕に、力が入る。
 この人たちはみな弱い京太郎を知っている。京太郎の弱さを知っている。
 だからこそ、こうも腕に力が入る。思いやりが熱として、京太郎の身体に伝わっていく。
 確かに、どうあっても京太郎は弱い。
 進んでいても、前を向いていても、どこかにそれは残っているのだ。どうあっても。

 でも――強くあろうとはできる。弱くても歯を食いしばって、強いフリして弱さを笑い飛ばすことができる。
 それはいつだって変わらない。
 そうしようと思ったなら――思えたなら、いつだって人間は弱いまま強くなれる。
 人間の弱さというのはそういうことで、人間の強さというのもまた半面で、そんな部分を持っているのだから。

 それはそうとしても……。


京太郎(死ぬ……っ! これ、死ぬっ……!)

京太郎(おもちに抱かれて溺死する――――!?)

京太郎(悪い、淡……でも俺こんな巨 に出会えて、後悔なんてある訳ないから……!)


 割と本気でピンチだった。
 肩をタップしてみる。ようやく、外された。本気で死にそうになっていた。


恭子「その……ホンマ、ごめんな?」

宥「あわわわわわわわわわわわわわ……ああぅ」

豊音「ご、ごめんねっ」

京太郎「いや、いいんですよ……むしろありがとうございます」

宥「ありがとう……?」

豊音「ございます……?」

恭子「……ヒーロー言ってもきょーみあるんか」

京太郎「おほん、おほほぉぉぉぉん!」

京太郎「と、とにかく!」


京太郎「俺は――大丈夫です。それでも俺は、仮面ライダーなんですから」

恭子「……そか。なら、よかったわ」

宥「……大丈夫、なんだね」

豊音「……。じゃあ、がんばってね、仮面ライダー!」

京太郎「――はい!」

327: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 16:50:18.27 ID:H7ywXDdWo



優希「……はぁ」

京太郎「なんだ? どうかしたのか?」

優希「女の子に抱きしめられた」

京太郎「うっ」

京太郎「だ、だけどあれはだな……その、仕方なかったというか……」

優希「ほうほう」

優希「●●●●押し付けられてニヤけるのも仕方ないって言うのか、ほー」

優希「なるほど、勉強になったじぇ」

京太郎「……」

優希「なるほどなー。仮面ライダーは女の子の●●●●に埋もれる仕事だったのかー」

京太郎「……」

優希「淡ちゃんに言いつけちゃおっかなー」

京太郎「それだけは許してください本当にお願いします」


 恋人となってほんの数日の間に――そう、もうすでに一年近くそうしてるくらい濃密な数日の間に、色々なことがあった。
 本当ならもっと淡と会話したいし、恋人らしいことをしたい。
 きっとあちらもそう思っている――或いは、京太郎よりも乗り気で積極的な分、彼女の方がそんな思いは強いかもしれない。
 だけれども実際、不自由をかけてしまっていた。
 それは仕方のないことで、避けられないことで、やらなきゃいけないことだと――淡とて判り切っているだろうし、事実、彼女は投げ出さずに従ってくれている。
 だけれども、不満がたまっている面もあるはずだ。確実に。

 なのに……その当の彼氏が、付き合って数日の男が……。
 女に抱き付かれるわ、挙句に●●●●押し付けられてだらしない顔するわなんて言ったら、もうやばい。本当にやばい。
 色々立つ瀬がなさすぎる。


京太郎「本当に勘弁してくれよ」

優希「全く……淡ちゃんを悲しませるようなこと、しちゃ駄目だからな」

京太郎「言われなくても、そのつもりだよ」

優希「なら――うん、いいけどさ。私はいいけどさ」

京太郎「?」


 そんな会話をしているときだった。


照「ちょっといいかな?」

京太郎「はい?」

優希「この人、どこかで――うーん」

328: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:03:04.81 ID:H7ywXDdWo

京太郎「この間のヤミーのときの人だろ?」

優希「そうじゃなくて――、ああっ! この人、チャンピオンだじょ!」

京太郎「チャンピオン? 連載何書いてるんだ?」

優希「愛と勇気の青春タコスストーリー――じゃない! アホかお主は! チャンピオンって言ったら麻雀だろ!」

京太郎「……ヘビィ級とかもあるだろ」


 愛と勇気の青春タコスストーリーとはどういうものか、ちょっと気になる。
 そして――ああ、そう言えば麻雀部だったのだ。
 近頃すっかり遠ざかって、麻雀などとは無縁であるから、中々糸が繋がらなかったが……。
 今度、皆を誘って麻雀をしてみようか。淡とか、何だかアホそうだし、楽に勝てそうだ。
 まあ、白糸台麻雀部のレギュラーらしいけれど、どれほどの強さかはわからない。
 というかそもそも、点数計算も満足にできない京太郎では色々と判らないことが多い。

 いっそ、こんなことがなくて――麻雀に打ち込めてたのなら、その内麻雀の方で「最後の希望」とか嘯けていたかもしれないが。


照「私のこと、知ってるんだ」

優希「勿論だじぇ! 全高校生麻雀部員の憧れで目標だからな! 特集ページもスクラップしてある!」

照「そうなんだ。ありがとうね、応援してくれて」

京太郎「……それでいいのか?」


 そこは格好よく、ライバルとかいずれ倒すつもりとか言うべきじゃないだろうか。
 まあ、チャンピオンというからには――きっと強いんだろうけど。


京太郎「それで、どうしたんですか?」

照「うん、あの時のお礼をしようかなって思うのと……」

優希「お礼には及ばないじぇ! 当然のことをしたまでだからな!」

京太郎「お前が威張るな、お前が」

330: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:15:25.40 ID:H7ywXDdWo

照「あはは」


 笑ってくれた――ようだが。
 なんとなく彼女のそれは、仮面のような気がしてならない。
 京太郎たちが戦うときにそうするように、自身の本心を包み隠す――そのための。


照「別件で、話があるんだけど……いいかな?」

京太郎「あー」

優希「大事な話なのか?」

照「うん、そうなんだ。ちょっと、急いでるなら時間をとっちゃうのは申し訳ないけど……それでも、お願いしたいくらい」

京太郎「……」


 穏やかに見える。罅割れた視界でもそう見えるが――。
 なんとなくその言葉には、今まで彼女と交わした会話のどれよりも感情が込められている。そんな気がした。
 優希を伺う。
 ほんの少しなら、構わないと――そんな目線。


京太郎「こっちも急いでるんで、あんまりは無理ですけど――」

照「それでも……お願い」

照「私にできることなら、何でもするから」

優希「じぇっ!?」

京太郎「な、なんでも?」

照「うん。……あんまり恥ずかしいことは、やめてほしいけどね」

京太郎「うーん」


 ふむ、と考える。
 胸がいくらあれだとしても、胸がいくらあれだとしても、整っている美少女だ。
 なんでもと言われたからには、流石に恋人がいる京太郎とて、思春期の少年として些かにでも心臓が高鳴ったのは事実。
 逡巡。それから、結論を出す。

 今思い出したが、宮永照――この少女は確か。


京太郎「じゃあ、淡が――きっと、もうすぐにでもそっちの麻雀部に戻れると思うんです」

照「……淡が?」

京太郎「はい。だから、そうなったら……アイツのこと、受け入れてやってください」

京太郎「アイツ、麻雀……大好きでしたから」


 ライダーのせいでそれを諦めなきゃいけなくなったことに、淡は涙していた。
 だから、ライダーのことが終わったのなら――そんな涙なんて流さなくてもいいように、してやりたかった。
 恋人としても。恋人としてじゃなくても。


照「そう。……それは、私たちにとっても願ってもないから、任せてほしい」

京太郎「ならよかった」

京太郎「あと――こいつと、打ってあげてください。いつでもいいんで」

照「その子と?」

優希「へ?」

京太郎「さっき、憧れてるって言ってたろ? なら、実際に打ってみたらいいんじゃないかって思ってさ」

照「……私は構わない」

優希「じゃ、じゃあお願いします!」

331: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:26:28.20 ID:H7ywXDdWo


 歓び小躍りする優希を眺めて、それからやや場所を移す。
 他には聞かれたくない話。そんな顔をしていたから。
 あまり時間は取れないけど。


照「あの日、プリン譲ってくれたよね? だから、お礼と思って……プリン買ってきたんだけど」

京太郎「あー。すみませんけど、俺ちょうどお腹いっぱいなんですよ」

照「そうなんだ……」

京太郎「だからよかったら、宮な――照さんが食べてくれたらなって」

照「……本当?」

京太郎「ええ」

照「もう返さないよ?」

京太郎「はい」

照「本当にいいんだね?」

京太郎「はい」

照「……君、いい子だね。ありがとう」


 それから、急いでないのに一心不乱という様子でプリンを頬張る宮永照。
 さきほどまでのにこやかな表情はどこにもない。ただ無表情で、それにしても実際内心では踊りそうな風に口に運ぶ。
 ……こっちが素か。
 というか、話を聞くという話なんだから食べるのはやめてほしい。話すのは宮永照の方――と、もう食べ終わってる!?


照「ふう。モロゾフのプリンは、やっぱりコンビニのとは全然違う」

京太郎「そりゃよかったですけど……頬っぺたにカラメルついてますよ」

照「本当? ……とって」

京太郎「はい?」

照「とって。特別に、乙女の柔肌に触ってもいいから」

京太郎「……アッハイ」

332: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:38:34.59 ID:H7ywXDdWo


 なんだこれは。
 本当にさっきまでのあれは、猫を被っていたらしい。
 これが高校生麻雀のチャンピオンとは――なんというか、色々と衝撃だ。
 込み入った話になりそうなので優希には離れていて貰ったが、その判断は間違っていなかったらしい。
 こんな、要介護のようなチャンピオンの姿を見せるのは忍びなさすぎる。


照「じゃあ、確認したいけど……君の名前は、須賀京太郎でいいんだよね?」

京太郎「はい。……元・清澄高校麻雀部員です。初心者ですけど」

照「京ちゃん」

京太郎「――――」

照「……やっぱりか。咲から、話に聞いてたのは君だったんだ」


 ふう、と息を漏らす宮永照。
 宮永という、あまり有り触れてはいない姓の為に――もしやとは思っていた。その外見も相まって、猶更。
 彼女のその言葉から察するに、宮永照は……。


京太郎「アイツの親戚ですか?」

照「……姉。もう、離れて長いけど」

京太郎「……」

京太郎「……そう、ですか」

照「うん。……そうだった、って言った方がいいかな。君の話は、まだ一緒に暮らしてたときに聞いた」

京太郎「そうですか……」

照「……」

京太郎「……」


333: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:49:39.59 ID:H7ywXDdWo


 沈黙が訪れる。

 前に進むために引きずらない。きっと、咲が悲しむから。
 そう誓っていても――彼女の死を悼まないのとは、別問題だ。
 やはり、心に……鉄か何かの金属で作られた心に、磁石を押し当てられて引き抜かれたような――。
 そんな痛みと空虚さは、訪れる。


照「咲は……死んだんだね」

京太郎「……ッ」

照「なんとなく、判ってた。お父さんもそう言ってたし――そんな予感が、あったから」

京太郎「それで、俺に何を……?」

照「……うん」

照「もしも、君が――私が居なくなった後も――咲と過ごしていたんなら、教えてほしい」

照「咲の……あの子の話を」


 目を閉じる。

 どこまで話していいものか。どう話したらいいものか。
 宮永照が受けるショックを考慮して――という話ではなく、あまりにも宮永咲との思い出が多すぎて、大きすぎて、重すぎて。
 直には語れない。
 頭の中が整理できないのだ。そうしようにも浮かんでくるものが多すぎる。浮かび上がってくる思いが大きすぎる。

 きっと、語り合おうと思ったらこんな時間じゃ終わらない。
 目の前の彼女の中の宮永咲と、京太郎にとっての宮永咲。その記憶は、地球の記憶よりも膨大だ。
 だから――一つだけ、決めた。


京太郎「……アイツは、強かった。強かったんです」

京太郎「麻雀が、とかじゃなくて……アイツは強かった。あんな小さな体でも、アイツは強くて……優しかった」

照「……」

京太郎「きっと、意味が分からないかもしれませんけど……これだけは言わせてください」

京太郎「俺は――アイツの思いを護る。アイツが守ったものを、アイツの気持ちを、アイツの願いを護ります」

京太郎「咲はもういないけど……アイツの心は、俺の中に、あります」

照「……そう」


 それだけで言葉はいらないと。
 第三者からしたら何のことか判らないような、ただ自分の感情の押し付けでしかなかったけど。
 満足がいったと、宮永照は眦を下げた。


照「貴方がそう言うってことは……きっと、咲にとっての貴方もそうだった」

照「だから――咲にとっての希望は、きっと貴方。死んじゃっても、そう」

照「そんな、咲の最後の希望を……ちゃんと、護ってね」

京太郎「――はい!」


334: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:50:30.70 ID:H7ywXDdWo


 ◇ ◆ ◇

 

335: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 17:52:34.35 ID:H7ywXDdWo




       第17話「明日と昨日と希望の“きょう”」




                           A-Part 終了

←To be continued...

340: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:06:36.11 ID:H7ywXDdWo




       第17話「明日と昨日と希望の“きょう”」




                           B-Part 開始





341: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:07:33.87 ID:H7ywXDdWo


京太郎「よ」

カザリ「ああ、おかえり。それで外はどうだった?」

京太郎「別に――身構えてはいたけど、何にもなかったんだよな。拍子抜けするぐらい」

カザリ「ふーん。何かを、企んでいるのかもね」

京太郎「ああ……かもしれないけど、な」


 考えることは実に多いが――動きがないなら、それが一番よかった。
 あの女の拘りよう、異常な執着から、何か動きがあるとしたらという日の予想はついていた。
 それでも……。


アンク「案外、お前の予想は当たってたのかもな」

京太郎「勘でしかなかったけど――」


 もこ『わたしがあなたの半身。あなたと一緒の、あの炎から生まれた虚無』


京太郎「あの、狂ってる感じと……拘りようから考えたらな」

アンク「未確認生命体による、虐殺事件だったか?」

京太郎「ああ」

京太郎「その……月命日って奴」


 あの炎というのは、十中八九、あの未確認生命体が引き起こした火災のことだろう。
 対木もこも、京太郎と同じく――失ったのだ。あの火災によって。
 それが京太郎にとって忌まわしき記憶、疎むべき日なのと同様に、彼女にとっても特別な意味がある日なのだろう。

 炎が生み出した、虚無。

 あの災厄が奪い、歪め、削り、壊し、砕かれた人間。
 それが対木もこだった。
 何が彼女をそうしたのか。あの人間性は初めからなのか。それとも、災害によって本来とは違う形で発現したのか。
 京太郎には判らない。
 だとしても――京太郎がトラウマを背負ったように、対木もこもあの事件によって人生の転機を迎えた。それだけは確かだ。


342: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:16:38.23 ID:H7ywXDdWo


アンク「おい」

京太郎「ん?」

アンク「余計なこと、考えてたりしないだろうな?」

京太郎「……ああ」

京太郎「心配してくれるのか、アンク」

アンク「……馬鹿が」

カザリ「君のそういうところが不安なんだよね。なんだかんだ言って、馬鹿なところがさ」

京太郎「馬鹿って……」

カザリ「やれるんだよね、京太郎?」

カザリ「あれは――相当に厄介だけど。君よりも、よっぽどメダルを使いこなしてる」

京太郎「……ああ。アイツは強すぎる。メダルを、欲望を受け入れてる」

京太郎「……」

京太郎「だけどさ――」


 京太郎自身、優希にそう言ったが――。
 対木もこは、未確認生命体の災害が生み出した被害者であり、加害者となる災厄。
 ここで止めなければならない。これ以上、未確認生命体を理由に泣く人など生み出したくない。
 そうしなければ、事件は終わらない。
 宮永咲が、あんなに小さな体で受け止めて――その小さな掌から取りこぼしてしまったことがあるのなら。
 それを受け止め、掬うのは京太郎の役目だ。そう決めていた。


京太郎「大丈夫だ。俺は負けない。負けられない」

京太郎「仮面ライダーとして――須賀京太郎として」

京太郎「あの日の悪夢は、俺が止めるって決めたんだ」

京太郎「皆が……明日を目指せるように……! 昨日を振り切れるように……!」

京太郎「止めるんだよ。今、ここで」

京太郎「今日ってのは――きっと今ってのは、過去を乗り越えて明日を目指すためにあるんだ」

アンク「……フン」

カザリ「……おめでたいね、人間ってのは」

343: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:21:53.83 ID:H7ywXDdWo


京太郎「人間って言えば、お前らはどうなんだよ」

カザリ「何が?」

京太郎「何がって……お前ら、そのためにこっちに来てたんだろ?」

京太郎「どうにかなるのか、感覚のあれってのは?」

カザリ「ああ」

まこ「……その件については、わしから説明しちゃる」

京太郎「染谷先輩!」


まこ「結論から言うと、あんたの件については……やっぱり、そんメダルをどうにかせんとどーにもならん」

まこ「すまん、京太郎。わしが何とかしちゃるけえって意気込んではみたものの……」

京太郎「いいんですよ、先輩」

京太郎「それに……憧が、言ってましたから。ちゃんとした欲望を持てば、俺のこれはどうにかできるって」

京太郎「それより、俺のってことは――カザリとアンクは……!」

まこ「ああ。そっちは、どうにかなりそうじゃな」


 やり方について、と染谷まこがホワイトボードを引きずり出す。
 何だか昔の部室を――竹井久、清澄麻雀部部長がそうやって予定や目標を書き出していたことを思い出して、場違いに暖かい気持ちになる。
 あの日とは遠く離れた。皆、バラバラになってしまった。
 だけども、こちらで出会った縁も、手に入れた絆もある。
 あれは悪いことだ。その事実は変わらないけど――変わったことだって、あるのだ。


まこ「まず、数絵の奴に頼んで……錬金術方面からそっちんことを探った」

まこ「結論から言えば、こっちじゃ駄目じゃのう。一応、なくはないにしても……色々と手間が多すぎる」

まこ「地球の記憶って言っても、もう失われた技術じゃけえ……検索をかけるのが難しすぎる。絞り込めたら或いは、ってとこじゃ」

京太郎「……なるほど」

まこ「アプローチとしては――不足したから、グリードは欲望を得て、求めて動き出せるようになった」

まこ「だから……ここん技術をあげて、不足しとらんでも動き出せるようにすればいい」

まこ「そんな方向は判っとるけど……言うなりゃあ、それは昔の技術を調べてもどうにもならんって話やね」

京太郎「どうにもならないんですか?」

まこ「ああいや、しっかり言うともちいと違うんじゃが……」

まこ「昔のを調べてただそれを使っても、それは昔の焼き増しにしかならん。そうなりゃきっと、元の木阿弥になる」

京太郎「確かに……結局は、不足させなきゃ駄目って言うんじゃ変わりませんね」

まこ「だから……昔の技術を調べて、そんでそれをさらに発展させる必要がある」


 ここまではいいか、と染谷まこは言葉を区切る。
 それに頷き、京太郎は続きを促した。

344: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:32:52.97 ID:H7ywXDdWo

まこ「だったらどうアプローチを変えるか、っちゅう話じゃが……」

まこ「要するに、外的な要因で満たせばええかいのう、って思ってな」

京太郎「満たせるんですか!? そんなことが!?」

まこ「おう。まあ、こっちも結構怪しい方向になるが――ガイアメモリ、あるじゃろ」

まこ「あれを使って、一細工って……そんな方向で行くのがええんじゃないか、ってな」

京太郎「どういう理論なんですか?」

まこ「ん、まあ要するに――グリードでありながら、ドーパントっちゅう形かの」

まこ「『怒り』『悲しみ』『歓び』『楽しみ』……そんな感情とか、五感を表すガイアメモリ。もしくは『人間』のガイアメモリを入れる」

まこ「そうすれば……ちょうどパソコンに新しいソフトを入れるように、グリードにも普通の五感が生まれると見越してな」

まこ「ドーパントはドーピング。体そのものとか、成り立ちそのものを作り変える。念動力だったり超視力だったり、そういうものを与えたりもする」

まこ「元々そんな器官がなくても、新しく器官を作るのがドーパントで――そん器官を使いこなすのもドーパント」

まこ「だったら、この二人に入れてドーパントになったとして……普通にそん器官は使えるから、問題ないかいねぇ」


 そんなアプローチがあったのかと、京太郎は瞠目した。
 グリードの欲望を満たすために――ドーパントを、ガイアメモリを利用する。
 京太郎ひとりでは、考え付かなかっただろう。


京太郎「でも、そんなこと……可能なんですか?」


 造り変えると言っても、やはりグリードは元々がメダルの塊。
 それにすんなりとガイアメモリが収まるとは考えにくいものでもあるし……。
 また、ドーパントでは結局は怪物の姿になってしまう。
 いくら人間の器官を得られたと言っても、欲望の地獄に囚われない状態となったとしても、それは――。


まこ「安心しんさい」

まこ「まず――これは財団がやらかしてた実験にあったんじゃが、ガイアメモリを幽体に入れるという実験があった」

京太郎「幽体に!?」


 そもそも幽霊が居たこと、それも驚きであるが――。
 そんなことが、本当にあるのか。幽霊など居たとしても、それにどうやってメモリを入れるというのか。


まこ「まあ、幽霊というか……ガイアメモリを挿入した人の精神体が、ドーパントの姿になったっちゅーもんだから厳密には違う」

京太郎「そんなことが……」

まこ「じゃけえ、わしが思うに――ガイアメモリはその適合率というもんからして、意思や精神と惹かれあうようになってる」

まこ「で、そこのグリード二人は……体としては生きてるか死んでるかは微妙だとしても、少なくとも欲望って意思はある」

まこ「そうとすりゃあ、ガイアメモリを挿入れることは無理な話じゃのーて、出来る話になるって寸法じゃ」




345: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 19:51:39.33 ID:H7ywXDdWo


 これまで彼らを苦しめていた意識が。その欲望が、彼らを救うこととなる。
 そんな風に道を示せるものになるとは――なんとも皮肉的ではあるが。
 皮肉ではないと、京太郎は考えた。
 欲望があるから彼らはこの世に生を受けた。欲望があるから、彼らは動き出した。
 そして動き出したから京太郎と出会って――ついには、その不足を補うことができる。

 これは奇跡ではない。都合のいい偶然でもない。
 言うなれば、必然。
 今ここにガイアメモリがあって、コアメダルがあって、彼らが欲望の化身だから――だからこそ受け取れる必然。


京太郎「でも、怪物になるんじゃ……!」

まこ「んー、そっちは微妙ってとこじゃが、何とかなる」

まこ「まず、精神体のドーパントは通常体のドーパントに比べて力が弱い。これは実際に戦ってきたわしらが知っとるし……」

まこ「内木一太が、あん副会長が寄越したデータにもあった。じゃけえ、間違いはなかろうし」

まこ「弱くなりゃあ、化け物みたいな力を振るわんで済む」

京太郎「……なるほど」

まこ「外見は――これも、また変な話として」

まこ「ある特定の人間のメモリ、っちゅーもんがあったりする。こいつを使ったら、あからさまな化けモンにはならん」

京太郎「そんなことが……」

まこ「他には、メモリとの過剰適合者ってのもあるかいねぇ……気を付ければ、どうにかなるんよ」


 これは京太郎の預かり知らぬ話であるが――。
 ある世界線、つまりこの世界を「須賀京太郎がオーズとして戦う世界」だと定義した場合、それがオリジナルでないとした場合。
 そのオリジナルの世界にて、或いはガイアメモリが存在したオリジナルの世界と係わりがある世界にて――。
 「死神博士メモリ」や「ゾル大佐メモリ」というものが存在した。
 勿論、それは映画版だ――或いはお祭りだから許されるパロディだという意見もあるだろうが――。

 地球の記憶に刻まれるほどのものの場合、或いはそれが人間とさして変わらぬ姿であり、それを人間とした場合。
 ドーパントとして、それほど外見に異常な変化を齎すことはないのだ。
 他にも、『インビジブル』のガイアメモリと異常なほどの適合を見せることで、その使用者がドーパント体に変わらぬこともあった。
 つまりは、親和性。親和性が高ければ――京太郎が懸念する事態には発展しないこともあり得るのだ。


まこ「例えば大星みたいに、望んでいたら……或いは言い換えるならその人間の精神性やあり方によって、メモリとの適合率も変わる」

まこ「あらぁ、それにしてもおかしなくらい引き合っとるが……わしには、『永遠の記憶』は初めからアイツの為にしかあったとしか思えん」

京太郎「……はは、運命って奴ですか?」

まこ「あの日ああして、あんたのことを抱きしめるために……あんたの一撃を受け止めて愛を示すために、あったと思える」

まこ「まあ、そんな愛の形が……消えてく昨日の中で、明日を求める愛が――『永遠の記憶』との運命だったんかいね」

京太郎「……真面目に、愛されてるな。俺」

346: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 20:08:12.27 ID:H7ywXDdWo


 初めはああもいがみ合っていたというのに。
 そこまで誓われるとは――なんとも、空恐ろしいくらいであり、同じくらい暖かい気持ちだ。
 須賀京太郎は、大星淡を愛している。
 大星淡は、須賀京太郎を愛している。
 きっとそんな思いは変わりなく――永遠に続くのだろう。


まこ「ま、そんなあんたの話は別にいい」

まこ「こいつらも欲望を――強い欲望を持っとる。そんな精神を持っとる」

まこ「そうだとするんなら……強く引き合うメモリもあるんじゃないかの。きっと」

京太郎「強く引き合う、メモリ……」


 アンクは空を駆けるすべてのものの王。カザリは地を駆けるあらゆる獣の王。
 ならば、そんな頂点だというのなら……きっと。
 彼らとも運命で引き合うメモリが、存在するだろう。


まこ「いくつか財団からせしめたメモリで、パッチテストみたいなんも行ってみた」

まこ「結果は、グリードでも問題ない。わしの仮説は証明された」

京太郎「そりゃ……よかった。本当に、本当に良かった……!」

まこ「ま、生体コネクタの問題とかもあるけど……そこらへんは任せときんさい」

まこ「新しくメモリ作るのも、まあ……できんくはない。数絵んとこの祖父の協力も必要じゃろうけどのう」

京太郎「カザリ……! アンク……!」

京太郎「聞いたか? なあ、お前ら……お前らの欲望、もうそれに苦しまなくて済むってさ……!」

京太郎「もう、お前らが……辛い思いしなくても、いいんだって……! なあ……!」

カザリ「……いや、君より前にここにいるから判ってるんだけど」

アンク「今更だ、バカが」


 なんて口を尖らせる二人に、そのまま抱き付く。
 感極まって、涙が零れ落ちそうになっていた。


京太郎「良かった……! 本当に、本当に良かった……!」

カザリ「……暑苦しいんだけど」

アンク「……放せ、バカ」


 彼らが――満たされない地獄から抜け出せる。抜け出せる、切符を得られた。
 800年前に生み出されて、王の都合で使われて、裏切られて、止まらない欲望という名の渦に囚われていた彼らが。
 そんな彼らが、少なくとも平常に――欲望の巻き起こす地獄から抜け出せる。
 自分だけの力で、そこには至れなかったけど――。本当に、須賀京太郎というのは人の手を借りてばかりだったけど――。

 それでも、嬉しい。嬉しかった。
 彼らが苦しまなくて済むということが。


カザリ「……」

アンク「……」


347: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 20:13:34.21 ID:H7ywXDdWo

>【安価が入ります】


348: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 20:14:36.29 ID:H7ywXDdWo

1:対木もこが背負った虚無について、やはり気になる
2:誰かと会話(更に安価)


↓5

355: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 20:27:47.88 ID:H7ywXDdWo

判定
1~20:暴走
21~40:最終戦闘発生
41~70:対木もことの会話イベント
71~99:上+地球の本棚にて検索(どちらか選択可能)

77:狂化する虚無

↓5

364: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 20:47:49.96 ID:H7ywXDdWo


 ◇ ◆ ◇


もこ「うふふ、ふふふふふふ」


 この世界の終わりは――終わりは甘美なものでなくてはならない。
 すべてのものは終わりに向けて疾走する。物語は、終わりがあるからこそ完成する。
 人生には絶頂がある。その絶頂で終わってしまえば、その人生は幸福となる。


もこ「ふふふ、あははははは」


 自分は炸裂する虚無だ。最後の最後に向けて何もかもを積み上がて積み重ねて、その努力を何もかも自ら踏みにじる。
 だからこそ、積み重ねは重要だった。積み重ねは重大だった。
 破裂を心待ちにする爆弾。
 その瞬間が最高にきっと気持ちがいいだろうけど――でも、そこに至るまでのすべてが愛おしい。
 自らが手間をかけただけそれは素晴らしいものとなり、大切なものとなり、代えがたいものとなり――。
 だからこそ、破壊するのが最高の愉悦を齎す。

 どうでもいいものを壊してはダメなのだ。それじゃあこの、自殺的な痛みは得られない。
 大好きで、壊れてほしくなくて、大事にしたくて、替えが利かないと判っていて、取り返しがつかないと知っていて――。
 だからこそ、壊すのだ。壊すというそのことが、あらゆる努力の“完成”となる。
 破滅させるというその行為が至高で、破壊するその瞬間こそが最高だ。物事は最高のまま終わる。
 だから、大事に大事に育てて――自分の中の怪物に食わせる。
 何もかも一切合財を巻き込んで、それでこそ破滅に向かう意味がある。

 だから、対木もこの人生は素晴らしく尊いものとなる。
 ここまでの葛藤は無駄ではなかった。ここまでの努力は必要だった。ここまでの苦痛は悲嘆は憤怒は焦燥は憎悪は哀惜は――何もかも不可欠だった。
 そうして終わる。そうやって終わればいい。
 そうでこそ、自分の命は報われるのだ。


 母親が居なくて、父親に殴られて、それでも見捨てられなくて、弟を庇って、弟を護って、普通の幸せなんて手に入らなくて。
 それでも自分は頑張って、涙を堪えて立ち上がって、歯を食いしばって耐えて、どうにもならない日常を必死に過ごして――あの火災に奪われて。
 未確認生命体に奪われて。父親に奪われて。弟に奪われて。運命に奪われて。因縁に奪われて。因果に奪われて。必然に奪われて。

 そうやって虐げられた自分の日々は、あの葛藤は無駄ではないと証明される。

 対木もこの人生は不幸などではなく、対木もこの生涯は幸福に彩られたと胸を張れる。
 自分の嘆きは無駄じゃなかった。自分の涙は無駄じゃなかった。自分の努力は無駄じゃなかった。
 自分の一生には意味があったんだって――幸せだって、そう言える。


もこ「ああ、楽しみだなぁ……楽しみでしょうがないわ。うふふ」


 だって、そうじゃないと自分はあまりにも■■■■じゃないか。


365: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:01:06.48 ID:H7ywXDdWo

 だから、楽しみなのに。
 楽しみにしてるのに。。


もこ「なんのつもりなの、象さん?」

ガメル「おれ、メズールの敵をやっつける! メズールを助ける! メズールを護る!」

もこ「だからわたしが直してあげるって、言ってるよね?」

ガメル「でも、オーズを許せない! オーズは絶対に、許せない!」

もこ「メズールの言ったこと、守らなくてもいいの?」

ガメル「ううっ……でも、おれ、メズールの方が大事! メズールが大事!」


 ……話が通じないというのは、こうも頭が痛くなるものか。

 実に嘆かわしかった。自分にも予定がある。
 彼には一日、日常を噛み締めて貰って――そしてそれから、破滅を迎える。
 日常が大事だって判るからこそ、破滅の意味がある。
 そしてその日常の裏で取り返しがつかないことが進行させて――進行していたのを知った彼の絶望を見る。
 それでこそ、意味がある。意味があるというのに。

 記念日に、彼と自分がこの世に生を受けた記念日に――虚無が生み出された日に/虚無に目覚めた日に。
 その日をなぞった日に、虚無を迎えるからこそ意味があるというのに。

 ……ああ。まあ、いいか。


もこ「……そうだよね、待ちきれないよね」

ガメル「ドクター?」

もこ「いいわ。あなたのこと――完全体にしてあげる。それで、メズールのところに連れて行ってあげる」

ガメル「ドクター!」

もこ「だって――大事な人には、大好きな人には早く会いたいもんね」

ガメル「うん!」


 だって、大好き過ぎて大事すぎて大切過ぎて止まらないんだから――それはもう、仕方がない。
 きっとこれが――自分と彼の『運命』なのだから。
 これが、必然なんだから。

366: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:12:01.34 ID:H7ywXDdWo


 ◇ ◆ ◇



淡「きょーたろー!」

京太郎「ん、おい……馬鹿、危ないだろ」

淡「ふふーん、きょーたろーが止めてくれるって信じてるから大丈夫だよ」

京太郎「ったく。……まあ、そうだけどな」

淡「だよねー。だからきょーたろー大好きっ」

淡「充電、じゅうでーん!」


 腕の中に収まる淡。ころころと表情を変える淡。
 この戦いが終わったのなら――みんなで、どこかに遊びに行きたい。
 神代小蒔と、江口セーラと、新子憧と、白水哩と、鶴田姫子と、染谷まこと、片岡優希と、カザリと、アンクと、淡と――。
 きっと、今まで見た中で一番美しい景色になるだろう。
 それはとっても嬉しくて、幸福なことだろう。

 勿論、それとは別に……淡と二人で星を見に行きたい。
 彼女を連れて自分の故郷に帰って、満天の星を眺めたい。
 行けてなかった父母の墓参りをして、淡のことを紹介したいと――そう思った。


淡「どーしたーのー?」

京太郎「ん、星を見に行く約束……忘れてないぞってな」

淡「ほんとー?」

京太郎「当たり前だろ。お前との約束、誰が忘れるかよ」

淡「……ゼロノスの力、使っちゃっても?」

京太郎「……。きっとそれでも、交わした約束は忘れない」

淡「そーお?」

京太郎「ま、なんなら……メモしたっていいし、自分の声でテープに録音したりな」

淡「あ、それいい案かも!」

京太郎「だろ? 今日から日記つけようかな、いっそのこと」

淡「うんうん、いーねー。きょーたろーと私のラブラブ日記とかー! 交換日記しちゃったりー?」

京太郎「交換日記はいいかもなぁ……。……ラブラブ日記って名前は、流石にちょっとアレだけど」

淡「えー、なんでー? いいじゃん、ラブ! ラブ・ラブ・ラブのコンボとか、生まれちゃったりして!」

京太郎「……どんな効果だよ、そのコンボ」

367: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:22:55.45 ID:H7ywXDdWo


京太郎「なあ淡、今何時だ?」

淡「えーっと、ちょっと待ってね……うん、あった」

京太郎「その懐中時計……」

淡「きょーたろーからのプレゼントの奴。そう言えば、あのとき約束したんだよねぇ」

京太郎「……そうだな」

淡「どーお、隣にこんな可愛い女の子がいるのは?」


 今にも喉を鳴らしそうな様子で、淡が頬を擦り付けてくる。
 以前に比べてそれは薄れてしまったけど、自分の中の記憶は残っていて。
 それ以上に――愛おしい。この少女が愛おしくて、護りたいと胸が震えた。


京太郎「良かったよ、俺……お前と会えてさ」

淡「うん、私も……きょーたろーと会えて、幸せかなって」

京太郎「……」

淡「……」

京太郎「……」

淡「……ねえ」

京太郎「ん、なんだ?」

淡「ここはちゅーする場面じゃないの?」

京太郎「……いや、まあ」

淡「むー。きょーたろーの意気地なしー」

京太郎「意気地なしって言うかな、色々あんだよ。色々とさ」

淡「……むぅ。まあ、淡ちゃんは許してあげちゃうけどね」

京太郎「そうか。ありがとな、淡」

淡「へへへっ、どういたしましてー」

368: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:35:29.99 ID:H7ywXDdWo


 そろそろ――あの時間か。
 日にするなら、あとちょうど二十四時間後。それが月命日となる。
 あの日の大災厄が噴出したのは夜。
 京太郎が、両親を送り出してしまったのはそんな時間。


淡「……きょーたろー?」

京太郎「ん、どうした?」

淡「今、何か考えてたのかなーって」

京太郎「……。お前、鋭いのな」

淡「そりゃ、高校100年生ですから! エターナルメモリとも100%引き合っちゃってるしね!」


 ばばーんと、胸を張る淡。
 どうやら、彼女の前では隠し事などできなさそうだ。浮気など以ての外。元々、浮気するつもりなんてないけど。
 「ん?」と首を傾げて、上目遣いになる淡。何とも可愛らしい。

 あのつんけんした態度であったり、戦いのときの冷酷な表情であったり、とてもおバカっぽい言動であったり、擦り寄る猫みたいに甘える仕草であったり。
 大星淡は、飽きさせない。この夜空のように――実に色々な顔を持っている。
 そしてきっとこの先、須賀京太郎は、もっと様々な淡の表情を見ていくことになるのだろう。その隣で。


京太郎「……んー、いやな? ドクターに……対木もこに言われたことを、ちょっと考えてたんだけどさ」

淡「……」

京太郎「あいつは、あの日の火災が虚無を生み出したって俺に言ってた。だから俺は、片割れだって」

京太郎「ってなると一体、アイツは……対木もこは一体、どんなものを背負ってるのかなって思ってな」

淡「……」

京太郎「……」

淡「……きょーたろーはさ」

京太郎「うん?」

淡「やっぱり、優しいよ。優しすぎる」

淡「自分のことを殺そうとした相手に……そんなこと、考える?」

京太郎「いや……」

淡「だってそれ、同情でしょ? きょーたろーは、あの女に同情してるんだよね?」

京太郎「……」

369: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:37:45.00 ID:H7ywXDdWo

1:「してるのかもしれないけど……大丈夫だ。俺はもう、間違えない」
2:「いや、あそこまで言わせるだけの何かが気になっただけで……そんだけだよ」
3:「お前の方こそ、優しいな。そうやって俺のこと、俺以上に評価してくれるなんて」
4:「……かもな。俺と同じなら、立ち直れるのかもしれないって思ってるのかも」


>↓5

375: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 21:53:35.94 ID:H7ywXDdWo

京太郎「……かもな」

京太郎「俺と同じなら、立ち直れるのかもしれないって思ってるのかも」

淡「……」


 無神経な言葉だと思った。
 淡は、その変身の力を淡に齎したゼロノスを――殺されてしまっているのだから。
 思うことだってあるはずだ。
 無論、京太郎とてそうである。それは変わりない。
 仲間を傷つけられて、己自身が殺されかけて……そのことに対する怒りはある。当然ある。
 対木もこの危険性だって、理解している。

 だけれども、心のどこかには――僅かな引っ掛かりがあったのだ。


淡「きょーたろー」

京太郎「なんだ?」

淡「あれを、京太郎と同じだと思わない方がいいよ」

京太郎「……」

淡「例えばきょーたろーが飛行機事故にあったとして、その時お水を持ってたとするでしょ?」

京太郎「ああ」

淡「で、喉が渇いてた人が居たら――きょーたろーはきっとその人に分ける」

京太郎「……」

淡「全員に分けようとかは、無理って判ってる。きっとそうなったときのことを考えると、きょーたろーは色んな事を想像する」

淡「でも……」

淡「きょーたろーは、目の前で困ってる人が居たら放っておけない」

京太郎「なのか」

淡「だよ」

京太郎「……確かに、手が届く範囲の人を見捨てたいとは思わないな」

淡「うん、それがきょーたろー」


 そうなったら自分はきっと、その人に水をあげるだろう。
 でも、全部は渡さない。渡せない。
 あまり考えて答えることじゃないかもしれないけど――敢えて言うとしたのなら、自分も飲んで、その人にもあげて、それから水場を探しに行くだろうか。

376: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:05:37.33 ID:H7ywXDdWo


淡「私がそんな人に出会ったら……たぶん、ちょっとでも上げる。だって嫌でしょ? それで死なれたらさ」

京太郎「ああ……そうだな」

淡「きょーたろーが居たとしたら、きょーたろーを優先したいけど……」

淡「きょーたろーがまだ大丈夫そうだったら、その人にあげる。だってきょーたろーが気にするし、寝覚めが悪いから」

京太郎「なるほど」

淡「でも、どっちも同じだったら――私は迷わずきょーたろーを助ける。それは絶対変わらない」

淡「きょーたろーに恨まれても、私はその人を見捨てる。だって、きょーたろーに死んで欲しくないから」

京太郎「……」

淡「あの巫女さんなら……どうかな。全部あげちゃいそうな気がする」

京太郎「……確かに。なんか想像できる」

淡「江口セーラは……どうだろ? 『すぐに探してくる』って水筒全部渡して走ってくか、それともその人を背負って置いてかないで『探しに行く。危なくなったら声かけろ』って言いそう」

京太郎「判るな、それ」

淡「あのコンビは……どうするんだろ。ちょっとあの二人は判んない。でも、きっとどっちかが怪我してたらそっちを優先するよ?」

京太郎「かもな」

淡「あの脳内ピンクは……謝るか。それとも、散々なんだかんだ言っても、相手を見捨てきれないか。あとは、他所から探してくるか」

京太郎「脳内ピンク……憧か? なんでだ?」

淡「……」

京太郎「えっ?」

淡「判んないならいいよ。でも、気を付けてね?」

京太郎「あ、ああ……何だかわからないけどさ」


 結局淡は、何が言いたいのだろうか。


淡「ライダーでも、ここまで違うんだよ? 人を助けるために戦うライダーでも、ここまで違う」

淡「だから――同じ目にあったとしても、その人が同じとは限らない」

淡「そこを間違えちゃ、ダメだからね?」

京太郎「……そうだよな。言われてみたら、そうだ」

京太郎「自分が助かって……助かりそうになって、カザリとアンクのことが解決しそうで、気が抜けてたのかもしれない」

京太郎「……ああ」

京太郎「同じ目にあった俺が、アイツと同じこと、してないからな」


 ひょっとしたら自分は。
 カザリたちのことが解決につながったから――誰もを幸せにできると、勘違いしてしまったのかもしれない。
 そのまま戦っていたら、危険だっただろう。


京太郎「ありがとうな、淡」

淡「ううん? どーいたしまして、きょーたろー」

377: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:15:29.53 ID:H7ywXDdWo


 人を護るだけの力があるというのは、何とも難しい。
 ともすればそれはお節介になって、ともすればそれは押し付けがましい傲慢や、仲間を傷付ける刃となる。
 気を付けなきゃいけない。
 でも――この胸にある、やるべきことは変わらない。
 宮永咲が護った世界を護る。彼女が背負い込んだ事件に決着をつけて、その手が止め切れなかった涙を拭う。
 それは、相手が誰であっても――変わらないのだ。


京太郎「後一日か」

淡「一日なんだねぇ」

京太郎「後一日で全部が終わるって……終わらせるんだって思うと、本当に色々あったんだなって思う」

淡「ねー」

淡「あのころ、こんなにきょーたろーのことを好きになるだなんて思わなかったもん」

京太郎「俺もだな」

京太郎「思えば随分と……長く戦ってきた気がする。本当に、長く」

淡「どっか旅行にいく? 全部終わったらさ」

京太郎「ああ。そのことなんだけど……俺と一緒に、長野に行かないか?」

淡「長野? 別にいいけど……なんで?」

京太郎「お前と一緒に、二人っきりで星を見たい。あと、父さんと母さんに――お前のことを紹介したいんだよな」

淡「――」

京太郎「もう、二人ともいないけど……ちゃんと墓参りがてら、淡のことを」

淡「……駄目だよ」

京太郎「へっ」

京太郎「い、嫌だったか!? そ、そこまでするのって重い――」

淡「そういう戦った後のことを言いだすと死ぬって、菫先輩が言ってたからね! しかも高確率で!」

京太郎「……」

淡「ほらほら、映画でもそうでしょ? そういうの死亡フラグって言うんだって」

京太郎「アッハイ」

淡「だいたいそんなことをいいだした傍から、どかーんって――」


 その瞬間、爆発が起こった。
 街で上がる火の手。宵闇を裂く業火。星の明かりを掻き消して、街の光を染め上げる紅蓮。
 予想とは違ったが――これは、このタイミングは……!


京太郎「淡!」

淡「判ってる、きょーたろー!」

378: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:16:06.92 ID:H7ywXDdWo


 ◇ ◆ ◇



379: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:24:17.90 ID:H7ywXDdWo


>最終決戦が始まります

>これまでの話を読み返してお待ちください


380: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:32:16.17 ID:H7ywXDdWo


 駆けつけたその先に居たのは、暴れ回るガメル。
 そして、対木もこ。


もこ「この花火で、判ってもらえたのかな?」

もこ「御機嫌よう、ライダーの皆」

もこ「そして――ああ、いとしい“虚無(あなた)”」


 背後には燃え盛る街。そして、人。
 そんな中で対木もこは、陶酔感に満ちた情熱的な笑みを浮かべた。
 人々の悲鳴が聞こえる。叫び声が聞こえる。
 夜空を、紅く染める炎が見える。あの日の――人々の幸福を奪った炎が。


京太郎「お前……ッ!」


 自然、拳が鳴った。
 己が仮面ライダーであると――人々を護ると決めていなければ、怒りに身を任せて斬りかかるところであった。
 やはり、違う。
 自分の甘い想像などとは違う――これが完全なる悪意の集合体。虚無の唄。害意の塊。人の形をした災厄。
 あの日、未確認生命体によって生み出された業火の申し子。


もこ「どう、気に入ってくれた?」

もこ「この世のすべては焔から始まったって言うけど――あなたとわたしも、こんな炎から生まれた」

もこ「そして、終わるわ。今日でこの世界が……」

もこ「だから、一杯楽しもう? 一緒にこっちに来て、特等席で眺めましょう?」

もこ「この世界が終わるところを……二人で一緒に、皆と一緒に、楽しもうよ!」


381: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:38:12.97 ID:H7ywXDdWo


京太郎「……断る」

もこ「あれ、またそうなの? まだ目覚めてないのかな?」

京太郎「目覚めるも何も――俺は、こうでしかない。これ以外はあり得ない」

もこ「……?」

京太郎「俺は、仮面ライダーだ」

京太郎「皆の夢を護り、希望を繋ぐ……仮面ライダーだ」

京太郎「俺は――この街を護る、ライダーだ!」


 オーズドライバーを取り出す。
 運命があるというのならば、先にも話した通り必然というのはこのためにあった。
 須賀京太郎が紫のコアに魅入られたのは、この火災を止めるため。
 幼馴染の少女がやり遂げられなかったことを引き継ぎ、この暴虐に終止符を打つため。
 今ならそう言い切れた。

 須賀京太郎の変身は、この日の為に存在していたのだ――と。


京太郎「対木もこ……お前にも事情があったのかもしれない。お前も失ったのかもしれない」

京太郎「だからって、それを押し付けることなんて……皆の未来を奪って、昨日に引きずり戻そうなんてことは俺が許さない」

京太郎「俺が止める……! 止めてやる……!」



382: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 22:58:50.35 ID:H7ywXDdWo



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: : / へ.゙、 :丶ヾヽ<´{::::i` ヽ! 1!|:/| :!ノ゙、リ
: :ヽ    \ : :!丶   ̄     Vイ:ハ |\:i
.: : 丶    \゙、        `> リ  `
ヽ: : :`┬ 、  ヾ          /
  i: ;ィノ          ,....-ィ /     γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
,,:‐レリ    _       ̄ /       |   俺が……この街の希望を護る……!     |
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                                                 ___,,...-=≠=x、_
                                                /´ ̄¨          ̄¨ハ
                                                |I    希望?     I|
                . :'´⌒ \/: : :./\:\                    ゞx、_       __,,...ィⅣ
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.            /´: : : /: : :`: : : :/      ∨:ヽ __     /l /!
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.            / / : : : : l| : :Ⅵ八ト、{      /ヽ,    _|_   ! lノ |// `      /´ ̄        ¨                            ̄¨ハ
           ' /(: : : : :从 : 爪庁抃`ー‐‐/_  |/   ノ   |   /      |I     そんなのもう、この街にはないのよ?      I|
            / ⌒ヽ : \| 乂ソ  / 个=='  γ'´ ___ l    |        ゞx、_     __,,..     __,,..    __,,....        .._,,...ィⅣ
           '"      \八vwxv 〈   И    〔 ̄ ̄ Ⅴ__   |          ` =≠彳⌒¨ヾ=≠彳⌒¨=≠彳⌒¨ー=≠=≠彳⌒¨
         /           `ー{\    `ー==、,_   | ヽ   ,イ  ヽノ
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   /`ーァァ乂_.ノ '"⌒⌒ヽL∠|ん'⌒ ⌒∨、   \_γ⌒~´  `゛y′/`ヽ               |I     あはっ、あはは! 皆のあの顔!      I|
  /    /      ,′   八  |  人  ⌒ヽ、 」ノ  \     〈⌒´ /                ゞx、_     __,,..     __,,..    __,,..   __,,.._,,...ィⅣ
_<     /      /    /  \ /γ´ヽ   \     ヽ   ノ-= "                  ` =≠彳⌒¨ヾ=≠彳⌒¨=≠彳⌒==≠彳⌒¨⌒¨

                   __,...-=≠=_,...-=≠=,...-=≠=,...-=≠=,,...,...-=≠=-,...-=≠==≠x、_
                  /´ ̄        ¨                                             ̄¨ハ
                 |I     だってわたしが――ぜんぶ、ぜーんぶ壊しちゃったから!      I|
                 ゞx、_     __,,..     __,,..    __,,..    __,,..        __,,..  __,,.._,,...ィⅣ
                    ` =≠彳⌒¨ヾ=≠彳⌒¨=≠彳⌒¨=≠彳⌒¨ー=≠=≠彳⌒¨==≠彳⌒¨⌒¨

383: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:00:16.23 ID:H7ywXDdWo




/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_
 ,  <//////{/{{`∧         、              /  }}//////> 、
´//////////// l| ,∧             _    ∧  ||///////////>     γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
/////////////从 {   、         _  ィ -vノ    ' } /'/////////////      |  ははっ    |
/////////////{/∧   l\   ー=≦__ ,   ´   /' / イ∧/////////////     乂_____ノ
/////////////|//∧  :. \               / / /'////}/////////////





/     ,     /   /   / /             |   |  :.   .   :.
    /     /   /    '    |   |     |   |  i|   |    .
  イ        '   /|    /|  l   |   |     |   |  l|   |    |                 γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
// /      |   | {   ' :.     |   |     }   |  l|   |   {                  |   ここにはもう絶望しかないって言うなら……   |
 ' 〃         |   |  | |   ト,  :     /| /| /|    '  ∧|                 乂____________________ノ
/ / .'   ,:  ' Ⅵ |_'. |  | |   | l   |     ' }/ }/ :  /  .イ `\
{/ /   / /  / {  |  Ⅵ≧!、,|   | 、 |   _/ム斗七    /:. / }'
 '   ,イ / | { 从 | イ  {::しメ∧   l  Ⅵ   イ {::し刈 `ヽ'  ' }/
'  / /イ Ⅵ :.  Ⅵ    Vzり \  、 }  /  Vzり   }/  /
/        | 从   |            \ ∨/        ,  /
       _∨∧ :.             ` \           ,:_ノ> 、_  


                                           γ  ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ ̄ヽ
                                           |   ここに希望がないって言うなら――俺がその希望って奴に、なってやる!    |
                                           乂_________________________________ノ
                                                                      ヽ、_,人_,ノ、_,从,人.ィj、ノv1人.ィj、ノv1人.ィj、ノ
                                                                       )
                                                                    ‐=、´    ただ、それだけの話だッ!
                                                                      )
                                                                     , '⌒r‐v'ヽィ'⌒Yソ、ト、!yヘ!ソ、ト、!yヘ!ソ、ト、!yヘ!ソ、


384: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:12:30.40 ID:H7ywXDdWo


 京太郎がそう叫びあげたその瞬間。
 対木もこの瞳が変わった。
 今までのごとき、恋に溺れて浸った顔ではない。
 空虚な、黒い虚。仄暗いのではなく――何もかもを失った、ブラックホールがごときただの空洞。


もこ「希望、希望って……さっきから、どういうつもり?」

もこ「だってあなたはわたしと一緒なのに……虚無なのに、人々の希望になれるわけがないでしょ?」

もこ「わたしたちは、絶望を撒き散らして死ぬの。そうやって――皆に、最悪の終わりを届けるの」

もこ「だからわたしたちは最高で追われる。最悪の最高で、それ以上に駄目になることもなくて、努力が報われて終われるのに!」


 首は振らない。
 ただ、言い切った。須賀京太郎は絶望にはならない。虚無になどならない。
 何度かその道に心を振られもしたが、立ち直れた。仲間が立ち直らさせてくれた。
 約束がある。願望がある。矜持がある。意地がある。欲望がある。

 だから、京太郎は虚無にはならない。なってやる理由などはない。


もこ「その目……そう、そうなんだ」

もこ「あなたも、わたしを裏切るんだ。あなたは、違ったんだ」

もこ「わたしの頑張り、なんだったの? どうしてわたしは頑張ったのに報われないの? なんでわたしの思いは叶わないの?」

京太郎「……何を」

もこ「うるさい! もう、喋らないでよ!」

もこ「ああ――妬ましい。嫉ましい。恨めしい」

もこ「わたしと分かり合えると思ったのに! わたしと同じだと思ったのに! あなたはわたしだったはずなのに!」

もこ「許せない! 許せない! 許せない――なんで、あなたはそうやってわたしの前で裏切るの!? 最後の最後で、わたしのことを裏切るの!?」


 髪を振り乱して、対木もこが叫んだ。
 この世を呪った、悪魔の産声が上がる。彼女の肉体が変貌する。
 恐竜のグリード――京太郎と同じメダルを宿し、京太郎と同じ力を手に入れ、京太郎と同じ災厄を経験しながら、京太郎とは道を食い違った化け物。
 怒りのまま、歩道を叩き割った。


もこ「あは――ああ、わかった。そういうことだったんだ」

もこ「そっか……うん、そうだ。きっとあなたはそうやって、わたしのことを壊して、一人だけ気持ちよくなろうとしてる」

もこ「なぁんだ……そうだったんだ。最高の終末の前に最悪を与えて、わたしを笑ってるんだ」

もこ「だから――もう、壊してやる。絶対にわたしのことを笑わせない! わたしがやってきたことは、無駄なんかじゃないって証明してあげるから!」


385: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:25:58.43 ID:H7ywXDdWo


小蒔「させません、そんなこと」

小蒔「この世界の時間も、この世界も……私たちが護ります」

小蒔「仮面ライダーが、絶望なんて許しませんから」


 瞳をまっすぐ、その口を一直線に神代小蒔が凛と言い放ち――。



セーラ「あー、なんか長くて碌に聞いとらんかったんやけど……」

セーラ「とりあえず、その性根叩きのめしたるわ」

セーラ「100発200発なんかじゃ、きかへんで?」


 頭の後ろで腕を組んだ江口セーラが、快活の中に獰猛さを飼った笑みを浮かばせ――。



憧「なんでって、そりゃあんたが悪いことしてるからでしょ?」

憧「知ってる? ショーってのは、物語って言うのは――最後はそうなるって決まってるのよ」

憧「だから――こっからは、勧善懲悪のショータイムよ!」


 新子憧が、不敵に、挑むような視線を投げつけ――。



哩「なあ、姫子……」

姫子「どげんしょっとですか、ぶちょー」

哩「ここ一番、京太郎にも――この街にも恩ば売れるチャンスやね」

姫子「この街にはよか思い出なんてなかとですけど……きょーたろ君に恩ば売るってのは面白かですね」

哩「ああ、だから私たちが――」

姫子「この街を護るって、そーいう流れです!」


 白水哩と鶴田姫子は、この程度のことは困難には値しないと笑い飛ばし――。



淡「……ふん」

淡「あんたがきょーたろーをどう思ってるかは知らないけど……勝手な想像、人に押し付けないでよね」

淡「来なよ。私がそんなの、全部違うっていってやるから……!」


 ――大星淡は好戦的に頬を釣り上げて、眼前の仇敵を睨み付けた。

386: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:26:42.34 ID:H7ywXDdWo



>【ステータス】が示されます



387: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:30:01.64 ID:H7ywXDdWo
【オーズ タトバコンボ】 須賀京太郎
技能:63
HP:53/53
スタミナ:52/52
気力:82/82
ATK:40
DEF:40

(レンジ:至近距離~近距離)
・タトバコンボ:タトバコンボ時、スタミナ消費半減。
・欲望の王:戦闘ダメージゾロ目にて、グリードよりコアメダルを奪取
・メダジャリバー:レンジを近距離に変更。DEFが40以下の相手に対する与ダメージ+2
・メダガブリュー:『至近距離~近距離』にて、与える全てのダメージに秒数のどちらか大きい方を上乗せする。ゾロ目の場合は両方を加える(33なら6。00なら20)
           コンマゾロ目時、コアメダルを砕く
★カンドロイド:カンドロイドの使用が可能。複数のカンドロイドを同時に使用する事も
★オーズバッシュ:使用時の判定成功にて、レンジを『~超遠距離』に変更したうえで敵すべてに固定HPダメージ20。DEFを無視する。セルメダルを3枚消費
★王を統べる力:戦闘時【王を統べる力】を選択にて戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10。コンボ以外でのメダルを使用
           また、持つメダルによって、レンジも変更される。(至近~遠距離)
★コンボチェンジ:使用宣言時、次ターンより発動。
           メダルが揃っているとき、以下のコンボを使用可能。コンボチェンジの度にスタミナを固有値10消費
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。
                判定成功にて、『ATK+オーズのスキルによる戦闘補正+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能
★グランド・オブ・レイジ:使用宣言時、戦闘判定-10。
               宣言時の判定成功にて、『ATK+オーズのスキルによる戦闘補正+秒数の合計+コンマの合計+コンマ(大)』の固定HPダメージ
               ゾロ目の場合は両方を加える(33なら6。00なら20)が、コアメダルを砕く。DEFにて減衰可能。セルメダルを1~4枚消費
               セルメダルの消費枚数分、戦闘判定からマイナスの代わりにダメージ増加(最大+3)。全てのフォームで使用可能

《ラトラーターコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~近距離
・百獣の王:戦闘・撤退・追撃判定+20。高速を得る
・ライオディアス:コンボチェンジ成功時、固定HPダメージ20。更に秒数の合計分、追加ヒット
★スキャニングチャージ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+20+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能


《タジャドルコンボ》
 ATK:50 DEF:50
・毎ターンの消費スタミナ+5。レンジ:至近~遠距離
・大空の王:戦闘・追撃・撤退判定+15。飛行を得る
★ギガスキャン:使用時の戦闘判定-13。判定成功にて手持ちのコンボ中の最大値のATK分固定HPダメージを与える。DEFによる減衰が不可能
          その際、その戦闘判定に於いては使用されたメダルの効果を発生させる。(現在ここでプトティラを構成するメダルの使用は不可能)
★プロミネンスドロップ:使用宣言時、戦闘判定-10。
                判定成功にて、『ATK+15+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能

《プトティラコンボ》
 ATK:55 DEF:55
・レンジ:至近~遠距離
・恐竜の王:戦闘判定+15。飛行を得る
・欲望の破壊者:コンマゾロ目時、またはダメージゾロ目時に相手のコアメダルを破壊する
・メダガブリュー:与える全てのダメージに秒数のどちらか大きい方を上乗せする
★ブラスティングフリーザ:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+15+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能
★ストレインドゥーム:使用時の戦闘判定-10。判定成功にて90の固定HPダメージを相手に与える。DEFによる減衰が可能
              使用時にセルメダルを1枚使用。最大で4枚使用可。
              使用数の上昇につき、使用時の戦闘判定のマイナス値を増加(最大3)。また、増加枚数×3威力を上昇させる(最大99)

《ブラカワニコンボ》
 ATK:45 DEF:45
・レンジ:至近~中距離
・爬虫類の王:毎ターンHPが一割回復。変身時から、戦闘コンマでの毎ターンのスタミナ消費、及びコンボ使用によるスタミナ消費が起こらない。
         毒・電撃・炎などの属性のダメージの秒数合計を半減し、毒などの記述を持つテキストの効果を無効化する。
★ワーニングライド:使用宣言時、戦闘判定-10。判定成功にて、『ATK+秒数の合計+コンマの合計』の固定HPダメージ。DEFにて減衰可能
              更に、判定値差分/10の追加ダメージ

※タトバ以外からでもスタートできます
※メダジャリバーは胴体がトラ・パンダメダルの場合のみ使用可能
※メダガブリューは、カンガルーが胴体の場合、グローブにて持てない事で使用不可能

388: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:34:30.97 ID:H7ywXDdWo
【仮面ライダー電王】 神代小蒔
技能:5
HP:31/31
スタミナ:31/31
気力:85/85
ATK:20
DEF:20

(レンジ:至近)
・イマジンズ:以下のフォームにおける場合、小蒔の戦闘技能+40。HP・スタミナ+10
 《ソードフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+20・DEF+20。戦闘・追撃判定+10。初期のみ気力+30
 《ロッドフォーム》=(レンジ:~中距離)。ATK+15・DEF+20。戦闘判定+5、撤退・追撃・奇襲判定+15。相手の気力を毎ターン-10
 《アックスフォーム》=(レンジ:~近距離)。ATK+25・DEF+25。初期のみ気力+20
 《ガンフォーム》=(レンジ:~遠距離)。ATK+25・DEF+20。戦闘・奇襲判定+10。追撃・撤退判定-10。ダメージを受ける度に気力-10
 《クライマックスフォーム》=(レンジ:~遠距離)、ATK+25・DEF+25。戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+10
★フルチャージ:戦闘判定-10。『自分ATK-相手DEF』+『気力消費分/4』の固定HPダメージ。DEFによる減衰不能


【仮面ライダーアクセル】 江口セーラ
技能:45
HP:55/55
スタミナ:55/55
気力:70/70
ATK:40
DEF:40

(レンジ:至近距離)
・エンジンブレード:戦闘・撤退判定+5、相手へのダメージ+3。所持時、レンジを~中距離に変更
☆変形:追撃・撤退判定+20。【距離を詰める】【距離をあける】で一度に2つのレンジを移動し攻撃が可能。変形時、この効果を仲間に与える事も可能
☆マキシマムドライブ:使用宣言時の戦闘判定-10。使用判定勝利にて、敵にATK分の固定HPダメージ。DEFによる減衰不可能
☆フォームチェンジ
・《アクセルトライアル》
 ATK:35 DEF35
・『レンジ:至近距離』
・挑戦の記憶:戦闘・撤退・追撃・奇襲判定+25。高速を得る。エンジンブレードを使用した場合、補正を+15(ブレード込で戦闘・撤退+20)に変化させる
・挑戦の記憶:速度の上昇に対するパワーの犠牲。与ダメージ-8。ただしこれで1未満にはならない。
☆マキシマムドライブ:使用宣言時の戦闘判定+15。
              判定勝利且つ相手との【双方のライダーの能力補正を除いた判定値差分】が10以上にて発動。
              (ATK-相手DEF)×(判定値差分+コンマ合計+秒数合計)の固定HPダメージ。DEFにて減衰不能
              ただしこの際の、(ATK-相手DEF)は最低でも1とする
              判定勝利できなかった場合、または【双方のライダーの能力補正を除いた判定値差分】が10未満であった場合、相手を倒しきれなかった場合。
              (100-自身コンマ)/5の固定HPダメージを自分自身に与え、変身を解除する。
              エンジンブレード使用の場合、最終ダメージに+3する

※ライダーの能力補正を除いた判定値差分=10以上
 (セーラ技能+コンマ+気力)-(相手技能+コンマ+気力)=10以上




389: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:36:02.60 ID:H7ywXDdWo

【仮面ライダーゼロノス・ゼロフォーム】 大星淡
技能:47
HP:50/50
スタミナ:50/50
気力:60/60
ATK:55
DEF:55

(レンジ:至近距離~遠距離)
・私はかーなーり強い:毎ターン、気力+10
◇ゼロフォーム:ATK+15、DEF+15。戦闘判定+10
★フルチャージ:戦闘判定-10。通常のダメージ処理後、追加で『自分ATK-相手DEF』+20の固定HPダメージ。DEFによる減衰不可能


           &


【仮面ライダーW】 白水哩&鶴田姫子
技能:40
HP:50/50
スタミナ:50/50
気力:70/70
ATK:35
DEF:35

☆フォームチェンジ:以下のメモリの組み合わせで戦闘可能
 《ボディサイド》
 ●ジョーカー:『~至近距離』。戦闘判定+5  ●メタル:『~近距離』。DEF+10  ●トリガー:『~遠距離』。奇襲判定+10。ATK+5
 《ソウルサイド》
 ○サイクロン:戦闘・追撃・撤退判定+5  ○ヒート:ATK+10、戦闘判定+5  ○ルナ:戦闘適正を全距離に変更。戦闘判定+5。飛行によるマイナス補正を受けない
・正しい組み合わせ:サイクロンジョーカー、ヒートメタル、ルナトリガーの場合、戦闘判定+5
★マキシマムドライブ:使用宣言時の戦闘判定-10。使用判定勝利にて、敵にATK分の固定HPダメージ。DEFによる減衰不可能
◆リザベーション:精神コマンド。気力を20消費する。前の行動でのコンマ値が50以下の場合、リザベーション使用時のコンマをその値の2倍として適用する。
            このコマンドは、ほかの精神コマンドと併用ができない。

☆ファングジョーカー
 ・ATK:45 DEF:45
 ・牙の記憶:『~至近距離』。戦闘判定+15。高速との戦闘にて、戦闘判定更に+5
 ・牙の記憶:鶴田姫子が変身者となり、この状態では他のフォームにハーフチェンジする事が不可能
 ★牙の記憶(アームファング):『~近距離』。近距離まででの戦闘判定・与ダメージ+5
 ★牙の記憶(ショルダーファング):『~中距離』。中距離まででの与ダメージ+5
 ★牙の記憶(ファングストライザー):使用宣言時の戦闘判定-10。使用判定勝利にて、敵にATK分の固定HPダメージ。DEFによる減衰不可能
 ・牙の記憶:この戦闘形態時、防御方針と温存方針を取る事が不可能
        制御の際、その値が115を超える事で上記テキストは無効となる
        一度制御したのちも、変身の度にこの制御判定を行う事が可能(ただしその場合暴走はしない)

※初変身時には、暴走判定を行う
※戦闘技能+コンマ=100になれば制御完了。制御不可能な場合、暴走に至る
※制御不可能となった場合、次回以降にそのコンマ値の10分の1を判定値に上乗せする
※鶴田姫子がその場におり、仮面ライダーWが戦闘不能となった場合、こちらの変身判定に移行する
※ただし、上記の効果は初回に限る
※通常のWからのフォームチェンジでは、宣言のターンはWを生身に変え、次ターンからこのフォームを適用する
※なお、鶴田姫子が戦闘現場に居ない場合、こちらへのフォームチェンジは不可能

390: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:37:44.36 ID:H7ywXDdWo

【仮面ライダーバース・プロトタイプ】 新子憧
技能:40
HP:49/49
スタミナ:53/53
気力:90/90
ATK:40
DEF:40

(レンジ:至近距離~遠距離)
☆クレーンアーム:戦闘判定+5。己の与えるダメージの秒数合計が8以下の場合、それを8として扱う。
☆ブレストキャノン:【チャージ】が選択可能となる。【チャージ中】は攻撃が不可能。
            判定値も固定値:70で計算し、相手が戦闘判定に敗北していたとしても、判定値差を0としてダメージ処理に移行する。
            【発射】選択の戦闘判定-10。勝利後、【チャージ】を選択したターン数×20の固定HPダメージ。DEFでの減衰不可能
★セルバースト:判定勝利にて発動。通常のダメージ処理を行った後に、更に10+(セルメダル使用枚数)×3の追加ダメージ。
          戦闘判定にはセルメダル使用枚数×3のマイナス補正を受ける。
※ただしバースは例外的に、1ターンに☆二つまでの選択が可能となる
※いずれの行動にも、セルメダルを1枚消費する


391: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:38:11.56 ID:H7ywXDdWo


             VS



392: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:50:45.23 ID:H7ywXDdWo

【ガメル】
コアメダル:9枚(サイ×3、ゴリラ×3、ゾウ×3)
状態:《セルメダル十分状態》
技能:65
HP:65/65
スタミナ:65/65
気力:60/60
ATK:60
DEF:60

(レンジ:至近距離)
・グリード:コアメダルの枚数によって技能値及びHP・スタミナ・ATK・DEFが変動
      コアメダル1枚時、技能・HP・スタミナの基礎値を25、ATK・DEF基礎値を20として、以後コアメダル1枚につき+5
      これらの補正に関して、他者のコアメダルを使用した場合、+3
・グリード:セルメダルの枚数によってHP・スタミナ・ATK・DEFが変動
      戦闘中受けたダメージの分セルメダルを落とす。ダメージの5分の1、HPとスタミナの上限値を低下させる。(5ダメージ毎にカウント)
 《セルメダル不足状態》:上記の効能により、基礎HP値から10分の1以上のHP・スタミナの上限値が減衰する事で発動
                ATK・DEF-5
 《セルメダル十分状態》:HP・スタミナ・ATK・DEFを基礎値として運用する
 《セルメダル多分状態》:HP・スタミナの基礎値から5以上HP・スタミナの上限値が増加する事で発動
                ATK・DEF・戦闘判定+5。以降、基礎値の上昇1に対してATK・DEF・戦闘判定+1ずつ上昇させる
・重量の王:戦闘判定-5。戦闘中の与ダメージの秒数合計が8以下の場合、8として扱う。攻撃方針時のスタミナ消費量を変化させない
       自身の被ダメージの秒数合計が8以上の場合も、8として扱う。
・完全体:完全体となったガメルは、スキルに寄らない自身の秒数合計未満の秒数合計を持つダメージを受けず、ダメージ判定の際に秒数合計を2倍する


393: 1 ◆B6xkwd67zxGJ 2014/03/22(土) 23:53:30.12 ID:H7ywXDdWo

                  &

【対木もこ/恐竜グリード】
欲望値:100
コアメダル:5枚(プテラノドン×2、トリケラトプス×1、ティラノザウルス×2)
技能:65
HP:55/55
スタミナ:55/55
気力:90/90
ATK:60
DEF:60

(レンジ:至近距離~中距離)
・グリード:コアメダルの枚数によって技能値及びHP・スタミナ・ATK・DEFが変動
      何もない状態での技能・HP・スタミナの基礎値を25、ATK・DEF基礎値を20として、以後コアメダル1枚につき+5
・虚無の欲望:クリティカルまたは戦闘相手との判定差が20以上、ダメージが20以上、コンマゾロ目時、ダメージゾロ目の場合、
         欲望から生まれた技術や方法により変身するライダーの、変身を解除する(ガイアメモリを含む)
・虚無の欲望:このグリードは、欲望の結晶の力(通常のコアメダルの力)により撃破されない
・恐竜の王:技能+10。ATK・DEF+10。飛行を持つ相手との戦闘判定+5、飛行を持たない敵へのマイナス判定を-10に変更。
        攻撃方針時、敵から与えられるダメージを倍加しない。自分の戦闘判定勝利時に複数に攻撃を与える
・人間という器:気力の最大値+25。全ての基礎値+5
・欲望の器:自身の欲望値/5を戦闘判定に加える
・虚無の爆弾:使用宣言時の戦闘判定-10。使用判定勝利にて、敵にATK分の固定HPダメージ。DEFによる減衰不可能。このスキルには虚無の欲望の効果が適用される。
・???:???



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