巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」 中編

433: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/13(月) 19:58:43.54 ID:/Z60ZPA40
ドガラガラガシャアアアアアアアアアアアアンッ


入間「ぎゃあああああああああああ!? こ、これ落ちっ……落ちてっ、落ちてるだろおおおおお!?」

獄原「入間さん! みんな! ゴン太に捕まって!」

星「……なんだこれは! 裁判場の地下にこんな巨大な空間があったら……!」

東条「建築学の何もかもが成立しないはずよね」

茶柱「いや冷静に分析してる場合じゃっ……これどこまで落ちるんですかーーー!?」

王馬「死ぬーーーっ! ヒャッホーーーウ!」

春川「……!」

百田「ハルマキ! ハルマキ! 『今ならどさくさに紛れて殺せる』とか思ってねぇよな!?」

春川「……ちっ」

百田「思ってたんだな!?」ガビーンッ

真宮寺「これは……いくらなんでも穴が深すぎないかい?」

夢野「……」シーン

天海(気絶してる!)ガビーンッ

セミラミス「ぐー」スヤァ

赤松「んむぐぐがおおおおおおーーーッ!(特別意訳:この人まだ寝てるよーーーッ!)」

白銀「まさか底がない……?」

巌窟王「アンジー!」

アンジー「……!」

最原(気の遠くなるような時間だったけど、実際はそこまで経っていないはずだ。タイムリミットがあるんだから)

最原(でもそうやって落ちて落ちて落ちて落ちて、落ちた先で、気が付くと……)

モノクマ「はい到着です!」

最原「……ここは……」

最原(壊されたはずの校舎がすべて元通りになった、才囚学園……?)

最原「……違う。これは……この景色は才囚学園じゃありえない……」ガタガタ

最原(だって、そう。今、僕たちの周りには……!)





白銀「果ての壁が……ない……」

引用元: ・巌窟王「これは、嘘で世界を変える物語だ」 アンジー「あなたの名前は――」 



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434: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/14(火) 21:04:40.71 ID:DcW6gtfh0
モノクマ「正確には、壁はあることにはあるんだよ。ずっと遠くに。霧状の壁的なものが」

百田「……おいおいおい。なんだよこれ。いくらなんでも広すぎんだろ……」

最原(時刻は深夜だけど、空にはあつらえたような満月があるのでちっとも暗くない)

最原(果ての壁があったその場所から、ずっと向こうまで草原が広がっていた。ところどころに花畑がある以外は本当に何もない)

モノクマ「現実ではありえない光景でしょ? その内に、オマエラのものになるかもしれない世界だよ」

巌窟王「なんだと?」

モノクマ「あの樹の仕組みは相変わらずよくわかんないんだけどさー、用意が十全なら世界を変えてしまえるんだって」

モノクマ「今見えている光景は幻。あるはずのない幻像。でもあの根さえ下りてしまえば話は完全に別になる」

白銀「教えてモノクマ。あなたは一体、何をするつもりなの?」

モノクマ「知りたい? 知りたい? なら教えてあげましょう! 一から一万まで!」

春川「一から十まででいいよ……」

モノクマ「人類史ダンガンロンパ化計画! それがボクが! 誰の意思でもなくボク自身が実行している計画の名前だよ!」ギンッ

最原「人類史……ダンガンロンパ化計画……?」

モノクマ「あの根を下ろして人類史を改変してフィクションに過ぎないダンガンロンパの世界で人類史を上書きしたいと思いますハイお終い!」

天海「説明が早すぎる!」ガビーンッ

巌窟王「バカな。この学園の嘘の記録を、外の世界の正史にするだと……? そんなことできるはずが……」

モノクマ「できないと思うんならそれでもいいよ。でも、あの根があれば本当にできそうだっていうのがボクの見解」

モノクマ「……ま、必要なものは色々あったんだけどね。サーヴァントをこの場に呼び寄せたりとか?」

ナーサリー「私とイシュタルとジャガーマンは自分の意思でこの学園に来たのよ? 呼び寄せられた気はないわ」

モノクマ「ロムルスさんは?」

ナーサリー「……あっ」

夢野「……そうじゃな? よく考えたら、なんでロムルスがこの場にいるんじゃ? ジャガーマンからもこやつの話は聞いたことがないぞ?」

ロムルス「ローマ故に」

夢野「全然わからん」

435: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/15(水) 18:58:07.16 ID:ya88okeu0
最原「いや。ローマが関係あるかどうかはわからないけど、方法自体はわかるよ」

最原「これに見覚えはない?」バサッ



ビクウッ


春川(ん。なんだろう。誰か今、ビクついたような……?)

百田「んん……? なんだそれ」

最原「研究論文。ざっくり言うと『学園からの脱出の可能性』について書かれてる」

最原「かなり個人的な研究だったみたいでさ。こっそり秘密裏に行われて、こっそり秘密裏に葬られたみたいだ」

夢野「葬られた……ってことは、要は失敗したってことじゃろ? 成功してたらとっくに全員で脱出していたか」

東条「さもなくば一人で脱出してそのまま帰ってこないか、ですものね。でも今の私たちは誰一人として欠けていない」

最原「でも部分的に成功したことはあった。だよね?」

??「……」ビクビク

最原「……とぼけなくていいよ。入間さん」

入間「おぎゃぱあっ!?」ガビーンッ

真宮寺「また入間さんか……相変わらず余計なことをしてくれるよネ」

入間「赤松よりはマシだろうがボケッ!」

真宮寺「まあそうだけどさ」

赤松「むが!?」ガビビーンッ

茶柱「みなさーん。流れ弾で赤松さんを殺さないでくださいねー」

437: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/16(木) 21:53:25.91 ID:QViNFvHZ0
最原(ていうか落ちた後もまだ拘束されてるのか……)

最原「部分的には成功した、と言ったのはさ。要は穴を開けることには成功したんだ。向こう側に通れなかっただけで」

最原「で。その穴の向こうの世界って、どこだったと思う?」

百田「は……? いや、どこも何も、穴の向こうは穴の向こうだろ。俺たちが視聴者って呼んでる連中が住んでる……」

最原「半分正解。ナーサリーさんやBBさんとかも間違いなく視聴者には違いなかったしね」

ナーサリー「……まさか、とは思うのだけれども……」

ナーサリー「ねえ。まさか。まさかよ? その穴の向こうの世界って……!」

最原「巌窟王さんのホーム。巌窟王さんがカルデアと呼んでいる場所だよ」

巌窟王「!?」バッ

入間「ひ、ひい!? こっち見んな!」

最原「内容はこうだ。最初に巌窟王さんを召喚した魔法陣の応用。これを使って巌窟王さんが元いた場所に逃げられないかと入間さんは考えた」

最原「でもこの計画は様々な理由で頓挫した。まず穴を開けたはいいものの、入間さんはその向こうに行けなかった」

最原「穴の大きさの問題じゃない。なんらかの強制力が働いて、こちら側の人間は向こう側に行けないんだよ」

最原「ある程度のところまでは進めるらしいんだけどね」

巌窟王「それは……第一の学級裁判のときの!」




天海『さて。入間さんのアリバイは?』

入間『え、えーと俺様は……地下にいたぜ……?』

百田『あ? 何言ってんだ。作戦会議に来なかっただろ、テメェ』

入間『そっちじゃねぇ! 別の地下だ!』

最原『まさか……裏庭のマンホールの中のこと言ってるの? デスロードに通じてる』

入間『そう! それだ! 巌窟王が外からやってきた魔法陣はそっくりそのまま残ってたからよ!』

入間『それを開けて、俺様たちが向こう側に行けないかどうかの実験をしてたんだ!』




天海「……半分成功してたんすね!? ていうか今の今まで忘れてたっすよ!」ガビーンッ

438: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/17(金) 19:58:25.96 ID:TwI+MWRZ0
天海「じゃあ、つまりロムルスさんもその穴を通って……!?」

東条「待って。話がおかしいわよ。それって入間さんが秘密裏に行っていた研究を、モノクマか白銀さんが奪わないと成立しない話よね?」

王馬「学園全体を監視してたんだから奪うことくらい余裕っぽいけどなぁ」

最原「実際そうだったんだろうね。この論文にははっきりと『白銀さんに目撃された。妙な質問もいくつかされた』ってハッキリ書かれてる」

最原「そして……この論文を奪った白銀さんは、あるものをカルデアから持ち去った」

真宮寺「それは……?」

最原「セミラミスさん。正確に言うと、セミラミスさんが入っていたゲームだよ」

巌窟王「そうか……コイツの侵入経路もずっと謎だったが、入間の作った穴から入ってきていたのか」

ナーサリー「あくまで魔術の素人考えだけれども、その穴は『サーヴァントを呼ぶ道』と『巌窟王の転送経路』が混線した結果産まれたものね」

ナーサリー「いわば偶発的に誕生したちょっとしたポータル。でもあくまでサーヴァントを呼ぶための道である以上は……」

ロムルス「一方通行、ないしサーヴァントしか通れない特殊な道となっているはずである」

白銀「あのゲームを持ち去ったのは、ちょっとした偶然だよ」

白銀「……面白そうだなって思ったから、ちょっと貸してもらったんだ。全部終わったら巌窟王さんに返すつもりだったし」

白銀「ていうか勝手に持ち去るだろうし」

巌窟王「……」

アンジー「『いやあ流石にあれはちょっと……』って思ってる顔だよー」

セミラミス「今、ナルシスはカタルシスに……むにゃむにゃ」スヤァ

赤松(なんか変な夢見てる)

白銀「面白半分に新世界プログラムに組み込んでみたら、中には謎のアルターエゴはいるし、聖杯もあるし、手に負えないってわかったんだけどね」

巌窟王「何故デリートしなかった?」

白銀「居座られたから……しかもちょっと怖い勢いで権限を無理やり奪い取られたし……あのナチュラル横暴ムーブには従わざるを得ないって……」

巌窟王「……」

アンジー「『流石にちょっと同情する』って顔だねー」

440: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/19(日) 10:09:17.80 ID:WH0vq5Gl0
百田「どうだロムルス。テメェは一体どうやってここに来たんだ?」

ロムルス「テルマエ用の入浴剤を探していた折、ふと目の前が真っ暗になった。おそらく背後から麻袋かなにかを被せられたのであろう」

ロムルス「襲撃犯が自分より遥かに小さい体躯であることだけはわかったので、暴れるのも気が引けた」

ロムルス「故に、流れに身を任せ、気が付くと……」

巌窟王「あのロケットの中に鮨詰め状態になっていたということか……」

最原「でもなんでロムルスさんを……?」

モノクマ「あの樹の説明書に書いてあったんだよね。根を下ろした後は、あの樹を育てる王のようなものが必要だって」

モノクマ「強力な権能を持っていればひとまず王として成立するらしいから、それっぽいのをあっち側の世界で物色することにした」

モノクマ「それで! たまたま見つけたのが、入浴剤を探していて隙だらけだったロムルスさんだったってわけ!」

ナーサリー「……まあ、どんな空間であれそれを支配する王さまはいた方がいいわよね」

モノクマ「今となっては、別にセミラミスさんでも構わないよ。権能自体は持ってるし、権力に関してもボクから奪い取った」

モノクマ「むしろ動機がある分、彼女を説得した方がいいかなとも思うよ。まさかここまで生き残るなんて思わなかったから予定外だけど」

巌窟王「貴様の考えるダンガンロンパ化した異界の王にか?」

モノクマ「あの樹の力を使えば、延命くらいは充分可能だよ。いや? なんならサーヴァントとして復活することもできるかもね?」

赤松(……確かにそれを聞いたら、セミラミスさんにも動機がありそう)

モノクマ「で。ロムルスさんはどう?」

ロムルス「今日から才囚学園の理事長となったローマである」キラキラキラキラキラ

夢野「もうやる気になっておる! タスキかけておる!」ガビーンッ

東条(『今日から理事長』……?)

ロムルス「というのは当然冗談である」ポイッ

最原「あ。捨てた」

ロムルス「……ただし。この場にいる生徒たちを守れるというのであれば、選択肢の一つとして考えてもいいだろう」

茶柱「さ、流石にこんなトンチキ計画を成立させるわけにはいきませんよ! 気遣いはありがたいですけど!」

441: バ滅の刃の人  ◆SxyAboWqdc 2019/05/20(月) 19:19:12.10 ID:rKGz9wvR0
モノクマ「ボクの言う通りにすれば、キーボくんを簡単に止められるけど?」

キーボ「!」

最原「……なんだって?」

モノクマ「だってさー。今は確かに『視聴者の意思』でロムルスさんやナーサリーさんのサーヴァントの力を大部分没収してるけど」

モノクマ「あの樹を使えば少なくとも、ロムルスさんかセミラミスさんがサーヴァントとして復活するんだよ?」

モノクマ「これでサーヴァント級の力を持ったキーボくんを制圧できる駒が巌窟王さんと合わせて二人」

モノクマ「見る限り、キーボくんの戦力は『サーヴァント一騎程度なら余裕を持って倒せる程度』だから……」

白銀「もう一体のサーヴァントがいれば、制圧力が逆転……!」

獄原「楽にキーボくんを助けられるってこと!?」

巌窟王&最原「!?!?」ガビーンッ

モノクマ「以上が、ボクがオマエラに捧げるプレゼント」

モノクマ「『最原終一の進路』と『巌窟王の進路』に並ぶ第三の選択肢! 『モノクマの進路』だよーーーんっ!」ギンッ

百田「ざけんなっ! 一体これまでどれだけテメェに苦しめられてきたと思ってる!」

百田「今更テメェの用意した進路なんざ選ぶわけねーだろ!」

モノクマ「感情論でボクの進路をけっぽるのは自由だけどさー……現実問題、あと二つの進路って博打じゃん?」

モノクマ「どっちにしろキーボくんを最終的に制圧することが前提になってるけど、それをしくじれば……」

星「……俺たちは一巻の終わり。死んで終了。ジエンドだ」

星「なるほど。確かに聞いた限りではモノクマの進路にもメリットはあるか……?」

百田「星。本気で言ってるわけじゃねーよな?」

星「……フン。俺は思い知っただけさ。この学園の中で戦うことの虚しさをな」

星「何もかもが嘘でフィクション。俺も、お前さんらも、モノクマも」

星「……同じなんだ。俺たちも、モノクマも。この学園にいる時点でな。白銀を庇っているお前さんならわかると思うが?」

百田「……」ギリッ

真宮寺「……嘘を本当にできる、か。それが本当なら僕もこの進路を推したいところだネ」

春川「真宮寺……!」

モノクマ「うぷぷ。そうだよねー。真宮寺くんの場合、嘘になったら困るものがたっくさんあるもんねー」

モノクマ「いいんじゃない? ならボクはキミの意思を尊重して――」






真宮寺「だが断る」

モノクマ「なっ!?」ガーンッ

442: 新番組:アマデウス滅の刃  ◆SxyAboWqdc 2019/05/21(火) 21:27:05.25 ID:ZmEJUkGe0
真宮寺「ククク……美味しい話には裏がある。そんな言葉に僕が引っかかるとでも?」

モノクマ「……」

春川「……どうしたの真宮寺。『本当なら僕もこの進路を』ってくだりに関しては完全に本気っぽく聞こえたけど」

真宮寺「そこに関しては間違いなく本気だヨ。でもさ、よく考えて」

真宮寺「最原くんも巌窟王さんも、自分の進路のデメリットを懇切丁寧に説明してくれたよネ?」

真宮寺「じゃあモノクマは?」

百田「……んん。言ってない……か?」

百田「いや。絶対に言ってねぇぞ!」

モノクマ「……うぷぷ」

獄原「そっか! 真宮寺くんはそのデメリットに気付いたんだね! だからあっさりその進路を突っ撥ねたんだ!」

獄原「それで! そのデメリットって?」ワクワク

真宮寺「いやさっぱりわからないんだけど」

獄原「さっぱり!?」ガビーンッ

真宮寺「でもネ。すべての設問が終わってタイムリミットが迫るこのタイミングで、二つの進路よりも優れているように聞こえる進路が出るってさ」

真宮寺「どう考えてもおかしいヨ……何かあるって考えるのは至極当然でしョ?」

最原「人間には急なタイミングで都合のいい選択肢をチラつかされると『その選択肢を選ぶデメリット』の方を優先的に排除しにかかる心理がある」

王馬「詐欺の常套手段だよね。幸運のツボを売りましょうって言って相手が買うかどうか迷ったタイミングであえて引くと……」

王馬「『買うことのデメリット』の方を優先的に排除して、かなりの人数が引っかかるんだよ。『やっぱり買う。買わせてくれ』ってね!」

王馬「いや俺はそんな詐欺やったことないけど!」ケタケタ

夢野「あえて言わんでいい。余計に疑わしくなる」

東条「私たちが焦って冷静な判断能力を失うタイミングでの有利な条件」

東条「……なるほど。この疑念こそがある意味で『モノクマの進路のデメリット』ね」

ナーサリー「物語を歴史に改変するような危険物よ? 下手を打つと、私たちカルデアが後であなたたちを排除しにかかる未来もあるかもしれないわ」

最原「時間的に、もう『モノクマの進路のデメリット』は『謎』のままにしておくしかない」

最原「……僕の進路の方も出た後の可能性に賭けるって点ではモノクマと似たり寄ったりだけど、モノクマの進路は度を越してるよ」

443: サリエリ「私は限りなく天才に程遠い音楽家だ」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/22(水) 19:54:45.86 ID:sH1fosxm0
モノクマ「……あれ?」

モノクマ「あれ? あれ? あれれれれれ? 本当にボクの進路を蹴っちゃうのー?」

天海「くどいっすよモノクマ! 選択肢としてぶっちぎりでアンフェアなんだから、モノクマの進路だけは圧倒的に論外っす!」

モノクマ「んー。じゃあこんなメリットを更に提示しようか。この進路だと巌窟王さんとお別れしないで済むよ?」

巌窟王「何?」

アンジー「……」

最原「……えっ」

モノクマ「あの樹が成長した暁には王に選んだサーヴァントだけでなく、一人程度のサーヴァントを完全治癒させるには充分なリソースが得られる」

モノクマ「更に、この空間だとサーヴァントが王なんだよ? なら今の才囚学園と同様に、新しい世界もサーヴァントがいて当たり前の空間になる」

モノクマ「ねえ? このメリットなら揺らがないかな?」

最原「……」

最原(正直ちょっと揺らがないでもないけど……)

最原「ありえない! だって巌窟王さんには帰るべき場所がある!」

最原「僕たちに帰る場所が無くっても、彼にだけはそれが存在する! だから論外だよ!」

アンジー「ないけど?」

最原「ん? アンジーさん、今なんか言った?」

アンジー「彼、もうどこにも行けないけど?」

巌窟王「……!? アンジー! よせ!」

最原「……?」






アンジー「彼はもう終わり。この学園生活が終わったら、どこにも行けない」

最原「……は?」

444: マーリン「久しぶりの運動は堪えるねぇ。背中が痛い」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/23(木) 20:37:29.79 ID:VJDdNc0F0
巌窟王「……」

巌窟王「……」カチカチ

天海「ゲームやり始めた!」ガーンッ

白銀「ていうかそれもやっぱり私のゲーム機だよねぇ!? 勝手に触らないで!?」

最原「なんでサーヴァントのみんなは誤魔化すのがとにかく下手なんだろう……いや今はそんなことは後回しでよくって」

最原「アンジーさん! どういうこと!?」

アンジー「BBから聞いた。彼はもう、帰る場所がないんだって」

最原「なんで!?」

ナーサリー「……ああ。なるほど。そういうこと……伯爵、あなた『変容』しちゃったのね」

巌窟王「……」

ナーサリー「もう既にあなたは巌窟王ではない別の何かに変わりつつある。だから無理なのね」

アンジー「……」




BB『巌窟王さん。あなたはもう今の私と同じなんです』

BB『カルデアのアヴェンジャーと才囚学園のアヴェンジャーは明確な別個体になりつつある』

BB『カルデアには霊基が登録されているから再召喚は容易ですが……』

BB『ここにいるあなたはもうどこへも行けない可能性があるんですよ』

巌窟王『……』

アンジー『……え』




最原「よくわからない……よくわからないけども!」

最原「巌窟王さん! どうして!? それを僕たちに、もっと早い時点で相談してくれれば別の可能性だってあったはずなのに!」

巌窟王「キーボの復旧方法を見つけたようにか?」

巌窟王「ないぞ。今回ばかりはどうしようもない。これはまず間違いなく貴様の専門外だからな」

最原「……!」

最原(考えろ! 考えろ! なにか……なにか裏技は……!)

入間「……お、俺様の論文を使うのはどうだ!?」

最原「!」

夢野「おお! そうじゃ! それがあったのう! 消える前にカルデアに戻ればよい! 後はどうとでもなるじゃろう!」

巌窟王「無理だな」

夢野「んあ? なんて?」

巌窟王「……才囚学園のものは、強制力が働いて向こう側に行けないのだろう?」

入間「え? あ、ああ……それは間違いないけどよ……」

巌窟王「問題の根が同じなのだ。俺は才囚学園のアヴェンジャーとなってしまった。だからその方法でも俺は帰れない」

夢野「……い、入間……? 別の理論は……ないのか?」

入間「……」

445: ジーク「猫関連のツイートばかりしていたらbotと認識された」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/24(金) 21:08:10.27 ID:QGQlKApD0
入間「ヒャーーーッハッハッハ! ねぇよ! そんな都合のいいもん、都合よく持ってるわけねーだろうが!」

夢野「んあ!?」

入間「で、でもよ……これまでなんとかしてくれただろ?」

入間「こ、今回もなんとかしてくれるよな!? ダサイ原!」

最原「……」

入間「……最原ぁ……!」

巌窟王「もうやめろ入間。なんて声を出している」

入間「……」

巌窟王「……人知れず葬った、か。なるほど。『俺をカルデアに帰したくないがため』に論文を隠滅したのだな?」

巌窟王「そうでなければ、俺が帰れないという話になった途端にすぐ論文を使う発想に至れない」

巌窟王「……それをよく、この場で! クハハ! 随分と成長したものだな!」

真宮寺「……巌窟王さん……」

巌窟王「真宮寺! 貴様もだ! モノクマの進路をよく真っ先に突っ撥ねた! 強い誘惑であっただろうに!」

真宮寺「……!」

最原「……」

最原(ああ。そうか……この二人に共通することがある。アンジーさんを殺そうとしたことだ)

最原(この局面で、それを忘れたかのような発言……強い激励の言葉……)

夢野「よせ巌窟王……そんなっ……しょんなこと……!」ズビッ

入間「は、はは……なに言ってんだ。おい、ブスロリ。なんで泣いてんだよ……天才の俺様にとってはなんてことねぇ言葉だろ」

入間「『遺言』受け取ったみてぇな反応してんじゃねぇよッ! やめろ、泣くな! お、俺様も……我慢できなく……ぶうっ」ボロッ

真宮寺「……ありがとう。巌窟王さん。今の言葉だけで僕は前に進める覚悟ができた気がするヨ」

巌窟王「そうか! そんなつもりはなかったがな!」ギンッ

446: 三蔵「蹴鞠? この玉を思い切り蹴ればいいの? えいっ」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/25(土) 20:26:35.43 ID:4WOHXbzG0
百田「……死ぬってことか? この学園がぶっ壊れたら、巌窟王は」

巌窟王「概ねその理解で問題ないな」

百田「ざ……ざけんなっ! それならモノクマの進路だって、その一点だけで充分検討可能だろうが!」

巌窟王「絶対にNOだ! 何をバカなことを言っている!」ギンッ

百田「ッ!」

巌窟王「アイツの言う通りになることだけは俺が許さない……! どう考えてもあの樹は異質だ!」

巌窟王「万が一カルデアを敵に回せば貴様らはどっち道お終いだぞ! 俺のホームを甘く見るな!」

ロムルス「……無論、それでもいい。足掻けるだけ足掻きたいというのであればローマが力を貸すが」

巌窟王「囀るな、神祖。この進路だけは取らせるべきではない」

ロムルス「確かにカルデアには実績がある。もしもこの空間がカルデアに睨まれれば、速やかに切除にかかってくるだろう」

ロムルス「だが――忘れたか? 人類最後のマスターは、彼らと同じ程度には『柔い』」

巌窟王「……!」

ロムルス「条件は同じなのだ。ぶつかればどちらが勝つかは、やってみなければわからない」

茶柱「……やってみなければわからない、ですか。いいですね。それ。転子好みの言葉です」

巌窟王「茶柱!」

茶柱「……でも」

茶柱「転子は最原さんの選んだ道に従います」

最原「!」

茶柱「どれも同じくらい正しく聞こえます。いえ、きっと全部正しいんです」

茶柱「この世に本当の正しさが存在するとすれば、それはきっと自分の心の中だけ」

茶柱「……嘘じゃない、本当の真実があるとするなら、自分の感情だけです。それなら……転子は……!」

茶柱「最後の最後まで、信じたい人を信じたい!」

最原「……」

最原(ああ、そうか……真実から目を逸らさないことを選んだ僕は……)

最原(もう絶対に立ち止まれないんだな)

447: レジライ「ハッハァ! 判断が遅ェ!」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/26(日) 19:57:43.02 ID:lv1jNBst0
巌窟王「さて。最原。俺を失望させるなよ……と言っても、こういうときは必ず決めるからこその貴様だったな」

巌窟王「俺を救う方法はあるか?」

巌窟王「モノクマの進路以外の方法で、俺が生き延びる術はあるか?」

最原(……そんなものは……)

最原「ないよ」

最原「……そんな都合のいいもの……あるわけないだろ……!」

百田「終一……!」

夢野「最原! お主、これまで頑張ってきたじゃろ!? キーボを救う方法だって見つけた! 白銀だって庇ってみせた!」

夢野「お願いじゃ! お願いじゃから、そんなことを言わんでくれ!」

夢野「……助けられるじゃろ……お主に無理なら、もう……誰にも……」グスグス

赤松「……」

入間「……上っ等じゃねぇか……もうテメェみてぇな役立たずに頼んのはやめだ」

夢野「入間……?」

入間「俺様はモノクマの進路を選ぶぜェ! 誰が何と言おうがもう知るかボケェ!」

王馬「……ふーん。それが入間ちゃんの答え? 対して巌窟王ちゃんはなんて言う?」

巌窟王「絶対にやめろ。やめた方がいい。死にたいのか?」

入間「死ぬような目には何回も遭ってきただろうが……今更すぎんぞクソが!」

星「この進路の場合、そこのロムルスが手伝ってくれるんだろう? それならいくらでもやりようがある」

赤松(……セミラミスさんは……どう反応するだろうな。多分、味方にはなってくれるだろうけど)

赤松「……」

モノクマ「さて! それじゃあ! 残り時間が少なくなってきたところで、最後の投票のルールを説明しましょう!」

最原「投票……?」

春川「最後……って?」

448: 赤兎馬「ディルムッド殿が蹴鞠に首吹っ飛ばされて死にました!」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/27(月) 20:26:29.50 ID:De0yy7Gg0
モノクマ「ルールは今までの投票と同じ! ただし、今回はクロではなく今まで出てきた三つの進路の中から一つを選んでもらいます!」

モノクマ「そして、今回の投票の特別ルール! これが一番大事だから絶対に聞いてね!」

最原「特別ルール……?」

モノクマ「白銀さん含め、巌窟王さんを除いた生徒十六人全員の選んだ進路が同じ場合にのみ投票が有効!」

モノクマ「それ以外の場合、強制的にモノクマの進路に従ってもらいまーす!」ギンッ

獄原「んなぁっ……!?」ガーンッ

春川「……最悪。そんなのアンタだけが圧倒的に有利じゃん」

モノクマ「ああ、安心して。タイムリミットになるまで投票は何回でも受け付けるから」

モノクマ「それ以外の場合っていうのは平たく言って『タイムリミットまでに進路が決まらなかった場合』のことだよ」

巌窟王「バカめ! 貴様のルールなぞ今更知ったことか! 勝手にアレをぶっ壊してしまえばいい!」

巌窟王「ぶっ壊して……?」キョロキョロ

巌窟王「……??????」

アンジー「あー。そういえばさっきから、あの白い根が見えないねー」

百田「あ? んなバカな! あんな目立つもんがそうそう簡単に消えるわけが……」キョロキョロ

百田「……本当にねーぞ!? どうなってんだ!」ガビーンッ

モノクマ「最原終一の進路か、巌窟王の進路を選んだ場合にのみ出してあげる。今はボクが隠してるから見えないだけだよ」

白銀「……最後の最後まで忌々しいマスコットだったよ。あなたは」

モノクマ「うぷぷ」

最原「……」

最原「もうこれ以上は時間の無駄だね」

巌窟王「そうだな。俺も同感だ」

最原「……十六人全員の意思を統一することが勝利の条件なら」

巌窟王「復讐を遂げるための前提なら!」






最原&巌窟王「そのルールのまま突っ切るまでだッ!」ギンッ

449: 酒呑童子「なんかめっちゃ烏が喋りかけてくるんやけど」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/28(火) 19:30:56.54 ID:gukK1isB0
最原「みんな! 一回目の投票だ!」

東条「……もうやるの? 意思統一も何もできていないと思うのだけど」

最原「それでいい! みんなの主張が、今どこにあるのかを調べるためだけの投票だから!」

巌窟王「その後で、別の主張を持つ連中を押し込めて押し込めて押し切ってやる! 『スクラムのように』な!」

百田「おっしゃーーー! 気合入れていくぜ! まず最初の投票だ! モノクマ!」

モノクマ「了解しましたー! それではみなさん、お手元のスイッチで投票してください!」

モノクマ「……あ。赤松さんにはこの特別性モノパッドを渡すから、そこで投票してね。スイッチに手が届かないし」

赤松「むぐ……」ジャラッ

モノクマ「投票の結果、選ばれる進路はどれなのか!」

モノクマ「さあ! 張り切って行ってみよー!」バァーーーンッ



ガシャコンッ



最原(あ。モノクマの後ろから巨大液晶が出てきた……)

最原(時間が惜しい! 投票はできるだけバラけないでくれ!)


最原終一の進路
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海

巌窟王の進路
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬


モノクマの進路
・入間
・星
・夢野
・獄原

無効票(投票放棄)
・キーボ


最原「……!」

最原(もっ……物凄いバラけてる! これを統一しなきゃなのか!?)ガビーンッ

巌窟王「投票の内訳が出るのか。薄々勘付いていたことだが、こうなると普段の投票とは別物だな。何が『今までの投票と同じ』だ」

450: ダヴィンチちゃん「嗅ぐとめっちゃクラクラするお香作ったよ!」  ◆SxyAboWqdc 2019/05/29(水) 22:09:18.85 ID:I1hdYtNZ0
百田「この意見をどれか一つに統一しなけりゃ、モノクマの進路直行か」

百田「……ん? 投票放棄……? キーボ?」

キーボ「……」

王馬「おおっと。これはかなーり厄介かな……キー坊が投票を放棄したってことは、視聴者が投票を放棄したってことと考えていいんだよね?」

最原「構わないよ。最後の最後にキーボくんを僕たち全員で相手すればいい」

巌窟王「Wave1でモノクマの進路を始末。Wave2で最原の進路を始末。Wave3でキーボを始末……余裕だな」

天海「い、いやいや……この中で視聴者にとって一番マシなのは最原くんの進路っすよ?」

天海「反対に、巌窟王さんの進路を選んだら外の世界は滅茶苦茶になる。それが一番マズイことじゃないんすか?」

巌窟王「そうでもないのだろう。最原の進路の場合、脱出した生徒の中には魔術的武装を解除されていないキーボも含まれている」

巌窟王「それで才囚学園の生徒全員が外の連中に交渉を仕掛けようというのだ。魔術師にとっては死んだ方がマシなくらいの屈辱だろう」

東条「それは魔術師の都合でしょう? 他の多くの視聴者はすべて魔術とは無関係の一般人のはず。それがどうして……」

巌窟王「今のキーボを動かしているのは外の世界の総意」

巌窟王「そして、総意とは良くも悪くも力の強い物が動かしやすい」

王馬「要は力任せのインチキってことか……魔術関係なしのノーマルの意見も無視してはいないだろうけど」

王馬「でも魔術師の総意に勝つほどじゃないってこと、だよね?」

ナーサリー「随分と強引な手ね。そんなことをしたら『魔術を知らない勢力を操作する別の力が存在する』ってことを大々的に知らせることになる」

ナーサリー「つまり『魔術師が実在する』ってことを自分から話すも同然なのに」

ロムルス「それだけ外の世界が追い詰められているという証左であろう」

ロムルス「……この戦果は誇れるものだぞ?」ニコニコ

最原「……ただ僕たちは議論を重ねてきただけなのに、外の世界は魔術の秘匿もあったものじゃないくらいグズグズか……」

最原「そう思うと、ちょっと面白いね。面白いけど!」








モノクマ「キミたちの未来を愛してるぅー!」待った!

巌窟王「ああ、そうだ! もっと面白くしてやろう!」

最原「時間が無い……? だからって何も変わらない! 僕たちが!」

巌窟王「俺たちが!」




――絶対に勝つ!

451: 意見□立! 議論サバイバル!  ◆SxyAboWqdc 2019/05/30(木) 19:58:06.34 ID:WhD6gJDo0
モノクマ「それでは! 最後の最後でバージョンアップした変形裁判場の出番となりまーす!」

モノクマ「上手く使って、意見を統一してね!」

百田「どうする。終一!」

最原「決まってる! 一番容認できないモノクマの進路から分解する!」

最原「最初の標的は『彼女』だ!」

春川「私が最原と一緒に行くよ。他は手分けして別の連中説得してて」

百田「……全員で行った方が早くねぇか?」

茶柱「アホですね! 転子たちは追い詰めたいわけじゃないんです! 全員で行ったら威圧的極まりない!」

天海「ま、そういうことっすね。白銀さんは俺と一緒で」

白銀「……本気?」

天海「本気」ニコニコ

白銀「……勝手にすればいいんじゃない?」プイ

赤松「……むぐ……」

赤松(この鎖さえ解ければ……!)

セミラミス「……ふう。あー、よく寝た」ジャラリ

赤松「えっ……? あ! 鎖が解けた!」

セミラミス「最低限は回復した。後は好きにしろ」

赤松「……!」

セミラミス「どのような結果になろうと、我はそれを必ず見るぞ。無様は晒すな」

赤松「うん。うんっ! 当然だよ! 行ってくるね!」




意見対立

意見"対"立

意見"■"立





452: 意見乱立! 議論サバイバル!  ◆SxyAboWqdc 2019/05/31(金) 20:52:39.48 ID:ecZuec5i0
意見乱立

議論サバイバル



どの進路に向かうべきか?

Wave1/3


最原終一の進路!
・最原
・春川



モノクマの進路!
・夢野






サバイバル開始!

453: VS夢野秘密子  ◆SxyAboWqdc 2019/05/31(金) 21:05:30.66 ID:ecZuec5i0
夢野「『犠牲』の上に成り立つ大勝利なんぞウチは御免じゃぞ……!」

最原(僕が!)

最原「巌窟王さんは自分のことを『犠牲』だなんて思ってない! 僕も絶対そうだとは思わない!」

夢野「勝ったときは『巌窟王』も一緒じゃ! じゃなきゃ何のために戦ってきたのかわからんぞ!」

最原「春川さん!」

春川「モノクマの進路を取ったとき、『巌窟王』がどんな顔してるのか想像できない?」

夢野「イヤじゃ! ウチは魔法使いなんじゃ! 誰も彼もが『笑顔』になって欲しい! 誰も欠けてほしくないッ!」

最原(それでも……僕は!)

最原「その進路じゃ誰も『笑顔』にならない! ならないんだよ、夢野さん!」







最原&春川「それは違うぞ(よ)ッ!」

全論破!

夢野「うぎゃああああああああああああああっ……!」




ガシャガシャガシャンッ パリィィィィンッ


COMPLETE!

454: 魔法使い夢野秘密子  ◆SxyAboWqdc 2019/06/01(土) 20:08:25.32 ID:A5Rm3Q9B0
夢野「……」

夢野「ああ、わかっておる。わかっておるんじゃ、そんなこと! こんなことをしても巌窟王は喜ばないってことくらい!」

夢野「でもお……!」

最原「……夢野さんは最初から今までずっと『みんな』の味方だったよね」

最原「凄いよ。僕だって白銀さんの私怨を優先させてた期間があったのにさ。夢野さんはずっと、みんなのことが大好きだった」

春川「それでもずっと一緒ってわけにはいかないでしょ」

春川「……誰だって最後は一人だよ。自分が死ぬか、自分以外が全員死ぬかの違いでしかない」

春川「最後の最後にはみんな死ぬ。みんな別れる。だから今を精一杯生きるんでしょ」

春川「……アイツの場合、別れの時期がすぐそこってわかってるだけ幸運だよ。だからさ!」

最原「せめて引き留めることはしないであげよう。巌窟王さんがいなくなっても僕たちは真っ直ぐ立っていられる」

最原「そう証明してあげるのが、僕たちが巌窟王さんにできるすべてなんじゃないかな」

夢野「……証明……証明、か。くくく……!」

夢野「そうじゃなあ。ウチもアイツに唯一、むかっ腹が立ってたことがあったのを思い出したわい」

夢野「ウチは魔法使いじゃ。誰が何と言おうが絶対にそうなんじゃ。守られっぱなしの立場ももう飽いた!」

夢野「別れが避けられないというのなら……せめて!」

夢野「巌窟王に勝ってみたい! ウチらのことを舐め腐ったあの『クハハ笑い』を曇らせてやりたい!」

最原「夢野さん……!」

夢野「待たせたのう最原よ……! ウチの恩讐の炎はまだ朽ちとらんぞ!」ズギャアアアアアアン!

456: 二巡目の投票  ◆SxyAboWqdc 2019/06/03(月) 20:36:31.49 ID:FpsrgvaN0
モノクマ「そこまで! 一回議論をストップして! 二回目の投票に行きますよー!」

モノクマ「さあ! 今度こそ票は統一できたかなー!?」

百田「終一! 夢野の説得はできたか!?」

最原「大丈夫! キチンと仲間になってくれたよ! そっちは?」

百田「……ダメだな。割とかたくなだ。寝返ったヤツは出なかったが、引き抜けたヤツもいないぜ」

最原(ということは……次の投票の結果は……!)





最原終一の進路
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海
・夢野

巌窟王の進路
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬
・獄原
・入間
・星


モノクマの進路
・なし


無効票(投票放棄)
・キーボ



百田「んなあっ……!?」

最原(二巡目の投票でモノクマの進路完全崩壊……!?)

茶柱「……巌窟王さんの方の手がこっちより早いですよ! どうなって……!」

巌窟王「クハハハハハハハハ!」ビュンビュン

アンジー「にゃはははははははははははー!」ビュンビュン

茶柱「アンジーさんの席に巌窟王さんが同席してるーーーッ!」ガビーンッ

最原「狭そう……っていうか実際狭いだろうな、あれ」

458: 思わぬ協力者  ◆SxyAboWqdc 2019/06/04(火) 20:25:59.49 ID:ZIN9ihpu0
天海「説得する口が一つ増えれば、議論においての手数が増える……っていうのは単純な構図すぎっすけど」

白銀「巌窟王さんの進路の責任を巌窟王さん自身が取るって安心感が説得の大きな力になったみたい」

夢野「ウチらの進路でも巌窟王の命に関してはどうしようもないのは同様じゃが……確かにそこだけは最原の進路にはない強みじゃな」

白銀「あとあれ。あまり関係ないけど赤松さんの方にも同席者がいてさ」

春川「まさかあのウザ女帝が来てたりしてないよね……!?」

ネコアルク「にゃー!」

ネコアルク2「にゃー!」

ネコアルク3「にゃー!」

ネコカオス「にゃー!」

赤松「もぐがごげごごごげがっ……!」モミクチャモミクチャ

最原「ネコアルクにもみくちゃにされてるーーーッ!」ガビーンッ

天海「セミラミスさんに『ないよりはマシだろう。連れていけ』って言われたらしいっすよ。これまた善意百%の笑顔で」

春川「ない方がマシでしょ。何考えてんのあのアホ女帝」

白銀「ね? 関係ないでしょ?」

茶柱「どうでもいいの間違いですね!」

夢野「相変わらず赤松発言力全損状態に変わりないのー」

最原「……ともあれ、これで次の敵は決まったかな」

百田「ああ。次の敵は巌窟王の進路を推進する側だ。総力戦ってことでいいんだよな?」

最原「……」

巌窟王「……」






最原&巌窟王(引導を渡してやる――!)

459: 議論サバイバル再突入!  ◆SxyAboWqdc 2019/06/05(水) 20:55:12.03 ID:ZMrweXlf0
議論サバイバル



どの進路に向かうべきか?

Wave2/3


最原終一の進路!
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海
・夢野


巌窟王の進路!
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬
・獄原
・入間
・星





サバイバル開始!

460: VS巌窟王の進路  ◆SxyAboWqdc 2019/06/06(木) 19:54:15.68 ID:P7ZUVSVh0
星「これは『清算』だ。やられたことに対価を払うのは当然の発想だろう?」

最原「百田くん!」

百田「何が『清算』だ! 命の帳尻が合ってねぇって話はさっきしたろ!」

入間「俺様たちは先に進むんだよ! 誰にだって『邪魔』させねぇ!」

最原「白銀さん!」

白銀「絶対に許さないよ。何度だって『邪魔』してあげるから」

王馬「俺はどっちでもいいんだよねー。『楽しい』方に投票してるだけでさ」

最原「天海くん!」

天海「こっち側も結実さえすれば『楽しい』ことがいっぱいあるかもっすよ」

真宮寺「とても正気だとは思えないネ。外の世界のどこに『期待』できるの?」

最原「夢野さん!」

夢野「外の世界にしておるのではない。ウチらの未来に『期待』しておるのじゃ!」

東条「私は巌窟王さんの『意思』を尊重してあげたい。彼の依頼なら、どんな理不尽でも!」

最原「茶柱さん!」

茶柱「自分の『意思』に耳を傾けてください! 最後の最後なんですから!」

獄原「怖いよ……『自分』の意見で自分の未来を変えるのが、凄く怖いんだ……!」

最原「春川さん!」

春川「甘えないで。どんな局面でも最後に頼れるのは『自分』だけなんだから」

赤松「……ぶっ……もが『希望』むぐ……」ニャーニャーニャーニャー!

最原(僕が?)

最原「ご、ごめん。『希望』って部分しかまったく聞き取れなかったよ……」

アンジー「楓はねー。これが学園のみんなの『希望』が通る進路だって言ったみたいだねー」

最原(……僕が!)

最原「多くの誰かを犠牲にしてでも勝ち取る『希望』なんてないよ!」








最原終一の進路チーム「これが僕(俺)(ウチ)(転子)(私)たちの答えだ(っす)(です)(じゃ)!」

巌窟王「違う、違う違う!!」反論!



バリッ バリバリバリガシャアアアアアアアアアアアンッ

461: ロムルス「ム? ナーサリーライムは何処か?」  ◆SxyAboWqdc 2019/06/06(木) 20:21:04.02 ID:P7ZUVSVh0
巌窟王「クハハハハハハ! やはりな! 理屈の上で貴様に勝つことは不可能か!」

巌窟王「いや、そんなことはこの学園生活でイヤになるほどよぉぉぉぉぉぉくわかっているとも!」ギンッ

最原「やっぱり出てきたね。巌窟王さん」

巌窟王「当然だ。そして時間もないので宣言させてもらおう」

最原「……?」

巌窟王「『俺たちは投票先をもう絶対に変えない』とな」

最原「!!!!!!!」

巌窟王「理屈! 弁舌! 論破! この土俵で戦うから俺たちは負ける!」

巌窟王「ならもうやめだ! 俺たちは対話を放棄する!」

百田「んなっ……ことしたらモノクマの進路確定に……!」

巌窟王「ならないのだよ……! 何故なら、巌窟王の進路が相手にしているのは『最原終一の進路』なのだからなァ!」ギンッ

百田「あ……?」

春川「……そうか。最原の性格上、巌窟王の進路の票がもう動かないと確定したら」

最原「まあ、諦めるしかない、かな。モノクマの進路に向かうのだけは僕にとっても最悪の結末だ」

最原「だから多分、折を見てみんなに『巌窟王さんの進路に投票しよう』って提案するだろうね」

百田「!」

白銀「それは……私たちの足元を崩すようなマネだね。ここまで連れてきた最原くんが、今度は巌窟王さんの進路のためにみんなを説得するんだもん」

天海「多分俺たちは簡単に説得されるっすよね……もうそれしかないと最原くんが言ったのなら。時間もないっすし」

夢野「最原……!」

最原「……」








最原「何の切り札もないと思った?」ニヤァ

巌窟王「……何ッ!?」

463: セミラミスは無言で何かを組み立てている……  ◆SxyAboWqdc 2019/06/08(土) 19:24:05.29 ID:iItk3JVm0
巌窟王「……!」

巌窟王(いや。慌てるな! そもそも話さなければいい話……これ以降は口を開かないのが得策!)

最原「アンジーさんには巌窟王さん。赤松さんにはネコアルク。生徒についた同席者……」

最原「僕たちの陣営にいないとでも思ったの?」

巌窟王「……!?」

百田「……いるのか!? 俺たちの方にも協力者が!」

ネコアルク「どこにゃ?」キョロキョロ

ネコカオス「どこだ?」キョロキョロ

百田「どこにいるんだーーー!?」キョロキョロ




バッサァ!



ナーサリー「ここにいたのよーーーッ!」バァーーーンッ

百田「ア゛ーーーーーーーーッ!(汚い低音)」ガビビーンッ

天海「百田くんのジャケットの下から出てきたーーーッ!?」ガビーンッ

春川「!?!?」

ナーサリー「うふふふ……裁判が変形する直前に百田の服の中に本形態になって潜り込んでいたのだわ」ニコニコ

百田「全然気付かなかった……とてもビックリしたぜ……」ドキドキ

巌窟王(バカな! ナーサリーライムだと!? この局面でヤツに何ができるというのだ!?)

ナーサリー「この局面で私に何ができるのかしら?」キョトン

巌窟王(本人もわかっていないようだが!?)ガビーンッ

最原「僕の『記憶力』を貸すよ。だから一冊の本に化けてくれないかな」

ナーサリー「?」

最原「……それで証明してみせる!」

464: セミラミス「くくく……いい出来だ……」  ◆SxyAboWqdc 2019/06/09(日) 22:03:28.10 ID:ZJbkrt5J0
赤松(本……? そんな衝撃的な効果のある本なんてあったっけ?)

ナーサリー「ん……? ああ! この本ね! 装丁は違うけどカルデアにもあったわ!」

最原「お願い!」

ナーサリー「了解よ!」




ポンッ




赤松「……むぐうっ!?」

赤松(あれは!)




最原『実はさ。巌窟王さんと会ってから、なんとなく気分が明るいんだ』

最原『なんとかなるんじゃないかって思えてきたんだよ』

赤松『え?』

最原『……実は図書室から、モンテ・クリスト伯を借りて来たんだ』

最原『結構面白くってさ。現実に起こったことなんだ、と思うとちょっと残酷なんだけど』

最原『この人と同一人物なんだ、って思うと、なんとなく心強く思えてきちゃって』

赤松『……』





赤松(そうか……思い出した! そうだ! そうだよ! 最原くん、あの本を読んでた!)

ナーサリーライム「ナーサリーライム・モンテ・クリスト伯エディションよー!」テッテレー!

巌窟王「!?」

最原「みんな。少し耳を貸してほしい。とある復讐鬼の話をしよう」

最原「僕たちを助けてくれた優しい復讐鬼の結末を!」

465: ロムルス「何を組み上げている?」  ◆SxyAboWqdc 2019/06/10(月) 17:19:44.85 ID:rIw4ynFr0
――時は十九世紀半ば。とある船乗りの青年に過ぎなかった彼は無実の罪を着せられた。

彼はすべてを失った。将来を誓い合った婚約者。平穏な日々。ヒトの善性すらも。

やがて同じく無実の罪を着せられたファリア神父と出会い、導かれ、脱獄を果たした彼はモンテ・クリスト島の財宝を手に入れた。

以降、男はモンテ・クリスト伯として自らを貶めた者たちへの復讐を開始する。





入間「……いや、古典作品はそんなに知ってるわけじゃねーけどよ……それ本人が散々言ってたことじゃねーか」

入間「今更聞いて『まあビックリ』ってなる要素なんかどこにも……」

最原「ないよね。そうだよ。ここまでは本人が嬉々として語る部分」

最原「でも彼は僕たちに言って聞かせてない部分がある。調べればわかることだからっていうのもあるけど……」

最原「この局面では少し不都合だからね」

星「不都合?」

真宮寺「……あっ」

巌窟王「……」ダラダラダラダラ

最原「裁判で重視されるのは議論だけじゃない。『判例』だってそうだ。判例っていうか僕が示そうとしてるのは前例だけど」




――血塗られた復讐劇の果てに、男は、自らを構成していた悪を脱ぎ捨てた。



生徒全員「!!」



――彼は再び得たのだ。失われてしまったはずの尊きものを。


――想いを。愛を――ヒトの善性を。




最原「そう。巌窟王だからって復讐劇を最後まで成し遂げる必要なんかない」




男の名は……モンテ・クリストであることを捨てた、彼の名は。



最原「……そうだろう! 僕たちを導いた凄絶の復讐鬼――!」

最原「"エドモン・ダンテス"!」

467: セミラミス「ニンテンドーラボだ!(満面の笑み)」  ◆SxyAboWqdc 2019/06/11(火) 20:27:53.73 ID:LpoqyOnw0
巌窟王「……!」

最原「反論を放棄したのは失敗だったって、後悔しても遅いよ?」

最原「ここで言いたいのは巌窟王さんの前歴。『復讐劇を途中でやめた』という過去だよ」

巌窟王(コイツ……コイツ、コイツ、コイツコイツ!)ギリイッ

最原「言いたいことはわかるよ。伊達に一緒にいたわけじゃない。確かに巌窟王さんは召喚した直後の尋問で、僕にこう言っていた」





最原『本名、エドモン・ダンテス。復讐の最後の最後において愛と人間性を取り戻した男……』

最原『ここまでで何か間違っていることは?』

巌窟王『俺はエドモンではない!』

最原『え。モンテ・クリスト伯爵なのに?』

巌窟王『モンテ・クリストだからこそだ! 最後の最後に愛を得た男ではなく、この身は永遠の復讐者』

巌窟王『なればこそ、俺は間違ってもエドモン・ダンテスなどではない!』





最原「つまり復讐者として召喚された以上、エドモン・ダンテスとして救われたという結末が今のあなたには、ない」

ナーサリー「サーヴァントですもの。全盛期で召喚されるという法則上、充分ありえる話ね」

最原「あなたが巌窟王として存在している限りは、あなたはエドモン・ダンテスではありえない……」

最原「……でも、さっきこう言ってたよね。巌窟王は『別の何かに変わりつつある』って。『だから帰れない』ってさ」

巌窟王「!!」ビクウッ

最原「……具体的にどんなふうに変性してきてるのか詳しく教えて欲しいな?」

巌窟王「……」ダラダラダラダラ

最原「……予想はつくけど。巌窟王さんは自分のことをエドモン・ダンテスではないと言った」

最原「逆に言えば『エドモン・ダンテスに変わること』は『巌窟王ではなくなること』だし」

最原「更に言えば『巌窟王はエドモン・ダンテスに戻ったという前例』がある以上……」

最原「『巌窟王が何か別の物に変わる』という事実はそっくりそのまま『前例通りになっている可能性』を示すはずだ」

最原「……さて。巌窟王さんがだんまりだから、巌窟王さんの進路を取ったみんなに質問したいな」

赤松「……」

最原「そこにいる彼はかつて復讐をやめることができたんだよ」

最原「だから『復讐鬼の彼のための行動』がそっくりそのまま『復讐劇の続行』だとは限らないんだ」

最原「それを念頭に置いて、再度自分の進路を見直してほしい!」






最原「本当にその進路でいいの!? 巌窟王さんですら復讐をやめたのに!」

巌窟王「黙れ黙れ黙れ黙れ……黙れェ!」ギンッ

470: ロムルス(保存用と……書いてある、な……)  ◆SxyAboWqdc 2019/06/12(水) 20:23:16.43 ID:W6XT/FgZ0
巌窟王「貴様……そこまでして勝ちたいか!?」

巌窟王「今ここにいる俺の存在を! 否定してでも勝ちにきたいか!?」

巌窟王「外の世界はそこまで価値のあるものか!?」

最原「逆だよ。今ここにいる巌窟王さんを正当に評価するための推理なんだ。それとも、何か間違ってた?」

巌窟王「……」

最原「限りなくそれっぽい理論を並べ立てたんだけども……」

ナーサリー「彼自身、否定する材料がないはずよ。今の自分が誰かなんて絶対にわかりっこないわ」

ナーサリー「だってマスターから一度も『名前』を呼ばれてないサーヴァントですもの!」

巌窟王「……アンジー……!」

アンジー「……はー……」

アンジー「喋っちゃったね?」

巌窟王「ぬ?」

アンジー「……対話したら負けるから口を閉ざすんじゃなかったっけー?」

巌窟王「!!」

アンジー「……」

巌窟王「……クハハ! アンジー、俺は」

アンジー「もういいや」ドカッ

巌窟王「バカなァァァァァァァ……」ヒュウウウウウウ

百田「ええーーーッ!?」ガビーンッ

最原(突き飛ばして落としたーーー!?)ガビビーンッ






セミラミス「さて! それでは思う存分遊んでくれよう! ニンテンドーラボ、如何程のものか――」

巌窟王「あああああああああああ!」グシャアッ

セミラミス「我のToy-Conがーーーッ!」ガビーンッ

ロムルス「お前のではない」

471: セミラミス「どけっ!(蹴)」 巌窟王「がはあ!?」 ロムルス(躊躇がない)  ◆SxyAboWqdc 2019/06/13(木) 20:29:59.25 ID:SAuv7Moy0
アンジー「……あーあ……台無しだなー、もー」

入間「おいおいおい! 巌窟王を落としちまってどうすんだよ!」

星「一応無事みたいだが」

赤松(セミラミスさんに蹴り転がされてる……)

白銀(気のせいかな。あの段ボールの残骸、見覚えがあるような……)

アンジー「負けでいい」

東条「……え?」

アンジー「アンジーが言うよ。絶対に彼は言わないだろうからさー」

アンジー「彼はもう負け。この進路はここでお終い。少なくともアンジーの票は終一の進路に入れるよ」

入間「!!」

東条「……いいの? それで、本当に」

アンジー「もうこれ以上は無理だよ。彼が口を開いちゃった時点で負け確定に近いしさー」

アンジー「……みんなも終一の票に鞍替えしてくれると嬉しいんだけどなー」

真宮寺「ここまで引っ張ってきた巌窟王さんの負けをマスターの夜長さんが認めた」

真宮寺「……それなら僕も、意地を張る必要はないかもネ」

入間「……ダサイ原。一つ聞かせてくれよ」

最原「なに?」

入間「なんであっさり巌窟王を助ける方法はないって言ったんだ?」

入間「……人間は消極的事実の証明はできない。『ないこと』を完全には証明できない」

入間「キーボの修繕方法や、赤松と真宮寺が破壊したパソコンの中身を探してたときはもっと必死だったよなァ……?」

獄原「……そっか。それなのになんで巌窟王さんの救出方法に関してはあっさり諦めたんだろう」

最原「理由は簡単かな。『どっちにしろ同じ』だから」

最原「……巌窟王さんが助かろうが助かるまいが、僕たちの目の前から消えるって結果は一緒でしょ。帰れるか帰れないかの違いだけだ」

獄原「は? い、いや! 確かにそれは一緒かもだけども……!」

最原「あともう一つ。これが一番大きな理由だ。彼は『助けてほしい』って思ってない。言えないとかじゃなくて本気で思ってない」

最原「……気がする」

赤松(気が!?)ガビーンッ

472: 巌窟王「……(ティッシュを鼻にIN)」 ロムルス「鼻血か」 巌窟王「蹴られたのでな」  ◆SxyAboWqdc 2019/06/14(金) 21:49:38.01 ID:zsTgBbuW0
最原「経験則と現状を鑑みて、だけどさ。本気で助かりたいと思ってたのならもっと前の段階で気付いてたよ」

最原「だってこのままじゃどこにも行けないって事実を隠す理由はどこにもないよね?」

夢野「それは……そうじゃの。アンジーにでも助けを求めて助かる方法を大々的に探しておったはずじゃな」

夢野「それをしていないということは最初から助かる気がまったくないとしか考えられぬか」

茶柱「……どこにも行けないって辛そうな響きに聞こえますけど。それなのに彼は何故、その点に関してはノーコメントなんでしょう」

アンジー「悪くないって思ってるみたい」

茶柱「?」

アンジー「……今のイシュタルや、消滅したBBと状況は同じなんだって」

アンジー「今ここにいる『彼』がいなくなるだけで、彼のホームで再度『アンジーたちを知らない彼』を呼ぶ手筈は整ってる」

アンジー「消えるのは『今ここでアンジーたちと一緒の時間を過ごした彼』だけなんだってさー」

百田「つまり……数字の上で見れば差し引きはゼロ。損も益もない状態に戻るだけってことか?」

百田「でもよ! だからって消えてもいいって考える理由には弱いだろ!」

春川「サーヴァントといつまでも一緒にいるわけにはいかないでしょ」

春川「少なくとも私たちと一緒にずっと……ってのはナシ」

百田「ハルマキ!」

春川「心情で考えるのはよして! ダメでしょ、どう考えても! 今は利害が一致してるから一緒にいるだけ! それが大前提!」

春川「現状ですら魔術師関連で散々ヒイヒイ●いでるんだよ! 核弾頭級の負債を無暗に抱えるわけにはいかない!」

王馬「あーらら。春川ちゃんってば本当に現実主義だね。ここまで来ると悲観主義だけど」

春川「……」

夢野「……すまぬ。お主にばっかり辛い指摘させて……」

春川「やめて。殺されたいの?」

ナーサリー「カルデアに帰すのも、何度も言うけど本当に無理よ」

ナーサリー「仮にあの状態の巌窟王をカルデアに引き込める可能性があったのだとしても」

ナーサリー「私たちの傍にいるのはカルデアの復讐者であるべきだわ。そうでなければ戦えない。マスターと一緒に歩めない」

最原「……もし、万が一巌窟王さんを延命できたとして、この有様じゃ彼の居場所はどこにもない」

真宮寺「どん詰まり……ってことだネ」

アンジー「だから、悪くないって思ってるんだってば。そんな悪いことばかり考えてないんだってさー」

真宮寺「?」

473: 巌窟王&セミラミス「何をする貴様ァ!」 ロムルス(ハーモニーである)  ◆SxyAboWqdc 2019/06/15(土) 20:56:59.83 ID:51lRNPIm0
アンジー「終一と一部分だけは考え方が一緒だよ。この学園で起こった出来事のすべてが悪いことだったなんて思ってない」

アンジー「自分自身の存在が歪むような出会いと経験なら、それはきっと悪いだけのものであるはずがない」

アンジー「この学園での思い出を他ならぬ自分だけで独占できるのなら、それはきっといいことだ」

アンジー「……悪いことなんかであってたまるかって思ってるんだと思うよー」

最原「……」

赤松「……むぐぐっ……」ベリベリ

ネコアルク「にゃー……」ヒューッ

ネコカオス「あー……」ヒューッ

赤松「ぶはっ! やっと話せるようになった!」

百田「お。赤松。議論ならもう終盤だぜ」

赤松「わかってるよ。もう私たちの負け。最原終一の進路の勝ちでいい」

赤松「でも最後に最原くんに推理してほしいことがあってさ」

最原「え? なに?」

赤松「セミラミスさんはさっきなんて言いかけたのかなって。ほら」




セミラミス『別に命は重くもなんともないぞ? 質量に直して考えてみよ。どう計算してもゼログラムだ』

セミラミス『人が命を惜しむのは、命そのものが惜しいからではない。本当に恐れているのは……』




星「そんなことも言ってたな……途中で言うのをやめたんだったか」

最原「……流石にセミラミスさん本人に聞かないとわからないけどさ。多分こう続ける気だったんじゃないかな」

最原「本当に恐れているのは『命の上に乗っているものが無くなることだ』って」

春川「……」

最原「思い出とか、絆とか、快楽とか。そういう命あってのものが無くなるのが怖いんだ」

最原「だからそれが命が無くなっても消えないことが証明できたのなら……例え全部じゃなくって、一部だけだったとしても」

最原「もうそこまで恐れることは特にないって言いたかったんじゃないかな」

赤松「……言いそうだなぁ。後で確認してみる」

赤松「あの下の方で巌窟王さんと大人気なく言い争ってる、ちょっと怖い女帝サマに、さ」






巌窟王&セミラミス「こっちの台詞だァ!」

ロムルス(またハーモニーである)

475: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/17(月) 22:02:32.05 ID:+O8DlL780
巌窟王「ふん! まあいい。こんな言い争いにかまけている余裕はないからな!」

セミラミス「多少は大人になったか。謝罪は?」

巌窟王「すまなかった!」バァーーーンッ

セミラミス「誠意が足りんがまあよかろう!」ドォーーーンッ!

巌窟王「……まさかアンジーが俺を突き落とすとはな……腹立たしい。おそらくこれで俺の進路は完全敗北だろう」

巌窟王「見上げてみれば……遠いな。だが小さいという気はなんとなくしない」

ロムルス「……」ニコニコ

巌窟王「その微笑ましいものを見るような笑顔をこちらに向けるな」

セミラミス「くくく……感慨深いか? 癪に障るが、気持ちはわかるぞ」

巌窟王「……俺はアイツらを導けたのだろうか」

セミラミス「さてな。だがあれもこれもと介入し続けるのはサーヴァントとしてもマナー違反だ。このくらいでちょうどいいと思うぞ」

セミラミス「……さて。あの聖女のことは我もそこそこ好きではないが、一つだけ意見が合うことがあったな。ふと思い出しただけだが」

巌窟王「?」

セミラミス「死者(サーヴァント)が生者を導くなどおこがましい」

巌窟王「!」

セミラミス「……いや? 流石に貴様のことを全否定する気はない。あくまでふと思い出しただけだ。この言葉も我の本意ではない」

セミラミス「ただ『それは言い過ぎだが、スタンスとしては我に近しい』と思っただけなのだ」

セミラミス「我らはサーヴァント。今を生きている者、どこかに向かおうとしている者の背中を押すだけでちょうどよい」

セミラミス「その結果、連中が心底絶望して落涙するのを見るのもよいし……」

セミラミス「勢い余って世界を救ったりしたら傑作だろう?」クスクスクス

セミラミス「我は背中を押すだけ。押した結果、あやつらがどうなるかを我は楽しむ。期待する」

セミラミス「……こういう楽しみは貴様にはできぬか? 言ってはなんだが大分一般的な趣味嗜好であろう?」

巌窟王「……戯言を。世界を救うだと……? そんな大したこと、アイツらは微塵も考えていないだろう」

巌窟王「そら。最後の戦いだ。俺はあれを見届ける。今はそれでいい」

476: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/18(火) 21:21:57.73 ID:VT1t03HO0
最原終一の進路
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海
・夢野
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬
・獄原
・入間
・星

巌窟王の進路
・なし

モノクマの進路
・なし


無効票(投票放棄)
・キーボ




最原「仕上げをしよう」

最原「……外の世界の総意を、こちら側に傾ける!」

キーボ「……」

最原「考えようによってはこれはチャンスだよ」

最原「直接、視聴者に僕たちの声を届ける最後にして最大のチャンス」

百田「ああ。絶対にモノにしてやろうぜ」

茶柱「最大級の援護をします! だから」

最原「うん。僕たちの手で、僕たちの未来を切り拓く!」ズギャアアアアアンッ

477: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/19(水) 19:47:21.64 ID:LFTW/sOY0
ナーサリー「ただいまー」ヒラヒラ

セミラミス「戻ったか。大儀であった」

ナーサリー「え。別にあなたのために頑張ったわけじゃないのだけれども。なんで当然のように自分が指示した風に労っているの? 恥を知らないの?」

セミラミス「何故急に毒を吐いた!?」ガビーンッ

ロムルス「専売特許を奪われたか」

セミラミス「我は確かに毒を使うが毒舌ではない!」

ロムルス「それよりナーサリーライムよ。もう援護はしなくて大丈夫なのか?」

ナーサリー「その辺りは、そこの伯爵に聞いてみればわかるわ。どう思う?」

巌窟王「……いや。必要はないな」

セミラミス「ほう。その心は?」

巌窟王「ヤツらは必死に戦ってきた。ヤツらだけがこの地獄の学園における真の当事者だった」

巌窟王「ただの傍観者たる外の人間がいくら束になったところで――」






キーボ「……!」

最原「これでッ……!」

全員「終わりだーーーッ!」



ガシャアアアアアアアアアアアンッ



COMPLETE!




巌窟王「最原たちに……アンジーたちに勝てるはずがないだろう」

478: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/20(木) 23:42:48.21 ID:wDTxaBfz0
百田「あっ……か……勝った?」

王馬「おおー。やったやった。派手に吹っ飛んでったねーキー坊」

最原「……時間! 残り時間!」

赤松「もう確認する手間も惜しいでしょ! 早く投票しよう!」

茶柱「泣いても笑ってもこれが正真正銘、最後の投票です!」

アンジー「押し間違いがないよう注意しよー! それじゃあ行っくよー!」

百田「いっせーのーせでいくぞ!」

真宮寺「え? 今更合わせる必要……ああ、もういいヨそれで」




「いっ!」


「せーっ!」


「のーっ!」


「せっ!」ガチンッ




モノクマ「……」

夢野「あわばばばばば……頼むぞー。今度こそ全会一致であってくれー」ガタガタ

最原(どうだ! どうなった!? 何故こんなに間を取る!? 僕たちは間に合わなかったか!?)

最原(ああ、違う。長いと感じるのは錯覚かもしれない。時間が短いのかも判別できないけど。心臓の音だけが強く聞こえる)

モノクマ「……結果発表ーーーッ!」ガシャコンッ

最原「あ……!」

479: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/21(金) 19:50:14.80 ID:8GukGS+D0
最原終一の進路
・最原
・春川
・百田
・茶柱
・白銀
・天海
・夢野
・赤松
・アンジー
・東条
・真宮寺
・王馬
・獄原
・入間
・星
・キーボ

巌窟王の進路
・なし

モノクマの進路
・なし





百田「……やっ――!」

最原「やっ……たーーーっ!」

天海「全会一致……最後の最後で……!」

白銀「……みんな! 空見て! 樹! 樹!」



ズッ ズズズッ……


ズゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ



星「ああ。間違いないな。あの樹だ」

真宮寺「あとはアレを裁断して、キーボくんを復旧し、壁に穴を開ければすべてが終わりだネ」

獄原(……あれ? 目の錯覚かな。あの樹、宇宙から生えてきてるような気がするんだけど……?)

春川「……で。モノクマ。結局タイムリミットはどうなったの? かなり余裕がないことだけはわかってたけどさ」

モノクマ「んとねー。十秒くらい」

百田「ああ。マジで危ないところだったな! んじゃああと十秒で俺たちは避難して、あとは巌窟王たちのサポートを……」

モノクマ「十一、十二、十三、十四、十五……」

赤松「……あれ?」

獄原「変だな。なんでカウントダウンじゃなくてカウントアップしてるんだろ」

最原「……もう手遅れだからかもしれない……! この分なら投票そのものは有効だけど!」

アンジー「……ッ!」

最原「あと十秒くらいって意味じゃない! タイムアップしてから十秒くらいって意味だ!」




ズガァァァァァァァンッ!

480: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/22(土) 23:22:09.37 ID:yKvq+kYL0
「……けよ……!」

最原「……」

「……目を……開け……」

最原「……ぶっ……がっ……ごほっ!?」

最原(何が……起こった? 耳が痛い。真っ直ぐ立っていられない……)

最原(……いや。どうやらもう立っていないみたいだ……平衡感覚が狂いまくって、目の前の光景すら真っ白にしか見えない)

最原(自分の呼吸がまともなリズムで行われていないことに気付いたのはちょっと時間が経ってからだった)

最原(苦しい。苦しすぎて涙が止まらない……!)

ドンッ

最原「がはあっ! はあっ……はあ!?」ゴホッゴホッ

最原(肺を誰かに思い切り叩かれた。その勢いでやっとまともな呼吸を取り戻す)

最原(目の前がやっと開けてきた……!)

ロムルス「お前たちに再度告げよう!」

ロムルス「目を開けよ! まだ終わってはおらぬ!」

最原「……地、面……僕たち、席から落ちたのか!?」

最原(ん? なんだろう。自分で言ってて凄く違和感がある。あの激音が響いた瞬間、何か見えたような……)




アンジー『……!』

巌窟王『クハ……ハハハハハ……!』




最原「……もしかして巌窟王さんに」

春川「そうだね。アイツに攻撃される寸前に全員地面に引き落とされたみたい。凄いスピードだったから全員まだ酔ってるよ」

最原「道理で気分が最悪なわけだよ! あ、僕の肺を叩いたのって春川さん?」

春川「茶柱」

茶柱「……よ、よかった……どうにか無事みたいですね……」ホッ

最原「ありがとう。助かったよ」

最原「……本当に物凄く強くなっちゃったなぁ。キーボくん」





キーボ「……」ドドドドドドドドドド

481: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/22(土) 23:47:56.63 ID:yKvq+kYL0
最原「……巌窟王さんは……あそこか」

最原(少し離れた場所で、月を背にホバリングしているキーボくんを眺めていた。傍らにはセミラミスさんもいる)

巌窟王「セミラミス。仕込みはどうなっている?」

セミラミス「厳しいな。まずはあの樹を裁断しないことには始まらぬ。我が仕込んだのは書き換えられて新品になった才囚学園ではないのだからな」

セミラミス「あの樹さえ裁断すれば才囚学園は元のボロ状態に戻るはずだ。すべての話はそこからだな」

巌窟王「そうか。それはよかった。安心しろ、すぐに戻る」

セミラミス「……貴様が裁断するのだろう?」

巌窟王「いや。キーボにとってもあの樹は邪魔なはずだ。そうでなければ投票しない。故にアイツは俺たちよりも真っ先に」






ザァァァァァァァンッ




キーボ「……切除、完了」ジャキンッ

巌窟王「あの樹を叩き折る」

セミラミス「ふむ。壮観だな」

最原「巌窟王さん!」

巌窟王「……」

最原「後は任せて……いいんだよね?」

巌窟王「愚問だ。俺にしかできないだろう。アレは」

アンジー「『たち』だよー?」

巌窟王「……!」

巌窟王「……クハハハハ! 愚かなのは俺も同じか!」ケラケラケラ

巌窟王「ロムルス! アンジーは連れて行くが、それ以外の生徒はすべて守れ!」

巌窟王「お誂え向きの結界宝具があるだろう!」

ロムルス「……私(ローマ)を誰だと思っている。私(ローマ)である! すべて! すべてを守ってみせよう! 我が愛し子たちを!」

ロムルス「すべては我が愛に通ずる(モレス・ネチェサーリエ)!」キンッ


ズゴゴゴゴゴゴゴゴッ


天海「これは……まさか! ローマ建国神話の……弟レムスを誅したときの国境騒動! その再現宝具っすか!?」

ロムルス「うおおおおおおおおおお!」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

ボコッ

最原「あ。柵が出てきた」

ロムルス「ふうっ。終了である」フー

天海「えっ」

ショボい柵「」チマーンッ

天海「……」

天海「えっ?」ヌボーンッ

482: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/22(土) 23:59:27.61 ID:yKvq+kYL0
夢野「ん、んあーーー! これはやばい! 物凄くやばいぞ!」アタフタ

天海「ろ、ロムルスさぁーーーんっ!? あのっ、これっ、なんかの悪ふざけじゃ」

ロムルス「普段はもう少し派手な見た目である。が、今は大した魔力がないのでこれが限界だ。許せ」

白銀「……」

白銀「あ。私たち、死んだねこれ」

天海「諦めが早すぎるーーーッ!」ガーンッ

キーボ「ターゲット、ロック。エネルギーチャージ」シュインシュインシュイン

天海「あばばーーーっ!? なんか明らかにこっちに向けて大技放つ感じーーー!」ガビーンッ

天海「に、逃げ……!」クルッ

天海「……」ピタッ

最原「……まだみんな立って歩くのも間々ならないよ。酔ってるからさ」

天海「あ、死んだ」

キーボ「シュート!」ズガアアアアアアアアアアアアアアンッ

天海「うわあああああああああああああああああっ!?!?」

ロムルス「……なにを恐れることがある」



ドォォォォォォォンッ



天海「……?」

ロムルス「グレードが下がっているのは『見た目』だけである」

ナーサリー「結界としての防御性能は疑う余地もないのよ!」ニコニコ

天海「……今……見えない壁に阻まれて……あんな強力な攻撃が!」

ロムルス「ローマ!」ビシイッ

天海「ロ、ローマァーーーッ!」ビシイッ

483: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/23(日) 00:08:52.17 ID:kHtaFi3U0
夢野「いやウチは最初から結界の防御性能の話なんぞしておらん! そこに不安はない! そこじゃなくて!」アタフタ

最原「……?」

春川「ロムルス! 今すぐ結界を解除して! 物凄くマズイことになってる!」

真宮寺「……どうしたの?」

王馬「さっき鎖のジャラジャラ音がしたの気付かなかった?」

最原「鎖……鎖?」

最原「……!」キョロキョロ

百田「……あ、ぐ、あーーーッ! やっと復活だ! 本調子には程遠いけどよ!」ガバリッ

百田「あー、くそ耳が痛ェ! どんなスピードで移動したらこんなことに」ピタッ

百田「……あれ? 赤松どこ行った?」





全員「……」

全員「……!!!!!!!!!!!!」





赤松「入れてーーー! 中に入れてーーー! 死んじゃう! このままだと私死んじゃうからーーー!」ドンッドンッ

全員「ハブられてるーーーッ!」ガビビーーーンッ

最原「鎖のジャラジャラ音……ってことは、犯人は考えるまでもなく!」

セミラミス「……」ニヤニヤ

春川「……アイツやっぱり殺した方がよかったね」

王馬「今からでも遅くないんじゃない? 目だけで人を殺したりできるでしょ、春川ちゃんなら」

484: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/24(月) 20:39:17.92 ID:Rkkks7Tb0
最原「でもよかった。下手したらさっきのキーボくんの砲撃で火傷しててもおかしくなかったし」

赤松「火傷はギリギリしてないけど物っ凄く熱かったよ! 見てこれ! 毛先がクルンってなってる! ストーブに近づきすぎた猫のヒゲみたい!」クルン

茶柱「思ったより遥かに危ないですね! 運が悪ければ焼死してましたよ!」

春川「何してるのロムルス! 早く!」

ロムルス「……」

獄原「……え。悲しそうな顔して黙っちゃったよ?」

ナーサリー「えっとね? 一度解除して、赤松を中に引き込んでから再度宝具を発動というプランはかなり難しいわ」

ナーサリー「だって二回目の宝具を発動するだけの魔力が残ってないのだもの」

獄原「じゃ、じゃあ危険度が高いことは間違いないけど、巌窟王さんに守ってもらおうよ!」

東条「……残念なのだけれども……それも難しそうだわ」



ガキンッ ドカッ バキイイイインッ ドシュウウウウウッ



巌窟王「クハハ……クハハハハハハハハ!」ボオオオオッ

キーボ「……!」ドドドドドドドド

獄原「……攻撃で精一杯。最低限の防御の機会は全部アンジーさんのために使ってるね……」

東条「赤松さんにまで回す余裕がないわ。あの様子だと」

セミラミス「くっ……考えれば考えるほどに愚かしい! 何故カエデは結界の外に出たのだ!? いや本当に愚かしい!」プンスカ

春川「ッ!」ブチイイイイッ



ブンッ  ガンッ



セミラミス「……ククク。結界さえ無ければ今の投石で我は死んでいたかもしれぬな! 結界さえ無ければ! くっははは!」ケラケラ

春川「……!」ビキビキビキッ

百田「ハルマキ! 落ち着け! すんごい表情になってきてんぞ!」

485: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/25(火) 18:49:10.43 ID:zbFUW5IL0
ナーサリー「……最近は気に入った人間には一途って面しか見ていなかったから忘れていたのだわ。この人、そういえば本質は毒婦だったわね」

ロムルス「気が済んだら仕事に戻るであろう」

白銀「……ん!?」

最原(傷一つなかった才囚学園の校舎が……元のボロボロの状態に戻っていく! 巨大ネコアルクオブジェも!)

アンジー「セミラミスー! 『彼』が仕込みのスイッチを入れるのはまだかって急かしてるよー」

セミラミス「少し待つように伝えろ! 一番大事なことをまだやっておらんからな!」ワクワク

赤松「一番大事なところ……? 何でワクワクしてるの? とても怖いんだけど!」

セミラミス「時間がない。すぐ済ませよう。貴様が死ぬ前にな」パチンッ

赤松「縁起の悪いことを言わないでっ……て、なにそれ?」

ロムルス&ナーサリー「……なあっ!?」ガビーンッ

聖杯「」キラキラキラキラキラ

セミラミス「見ての通りの聖杯だが?」

赤松「いや黄金のなんかコップっぽいものってことくらいしか私にはわからな……聖杯ィ!?」ガビーンッ

生徒一同「はああああああああああああっ!?!?」ガビビーンッ

ナーサリー「待って! セミラミス、あなたそんなものをどこから! まさかカルデアから盗んで……!」

セミラミス「バカな! 流石に我にも礼儀くらいはある! これは『さっき作ったもの』だ!」プンスカ

ナーサリー「礼儀は弁えてても常識をドブに捨てたような発言だわーーーっ!?」

赤松「作っ……は!? え!? なにそれ! 聖杯って材料なしで作れるほど気安いものだっけ!?」

セミラミス「いや。材料ならついさっきキーボが粉々にしたアレだぞ」

ロムルス「……そういうことか」

百田「どういうことだ!? 説明しろロムルス!」

ロムルス「世界を改変するようなオブジェクトの中心核には当然、凄まじい魔力があるだろう。それ単体で聖杯として成立しかねないほどの」

ロムルス「基本的に魔力を受け入れる器と、膨大な魔力があれば聖杯は作成可能だ」

セミラミス「魔力の方はあの白い樹から徴収した。さて、器の方は……あったであろう? 都合よくサーヴァントすら閉じ込めることのできる器が」

赤松「え?」

赤松「……あっ! マザーモノクマ!」

セミラミス「正解だ。巌窟王ではなくキーボが樹を破壊すると聞いたときは魔力を直前で掠め取れるかどうか肝を冷やしたものだが……!」

セミラミス「……我は女帝、セミラミス! 魔術も当然使える! クリアしてみせたぞ、この難行!」

487: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/27(木) 23:47:23.11 ID:UDvHHJ620
獄原「そっか! セミラミスさんはあの聖杯で巌窟王さんを助けるつもりなんだね!」

セミラミス「貴様論外」

獄原「論外!?」ガビーンッ

ロムルス「であろうな。セミラミスの仕込みとやらが発動した場合、聖杯も消えるはずである」

ナーサリー「魔術由来の物品であることには変わりないもの。最後にサーヴァントが壁に穴を開けるという都合上サーヴァントは後回しだけど……」

ナーサリー「聖杯は後回しの対象外のはずよ。仕込みが発動したらすぐに消えるか、仮に消えなくとも大した願いは叶えられなくなると思うわ」

セミラミス「長生きしたいなー程度の願いならば消えかけた状態でも余裕だな。長生きする価値のある世界が前提の願いだが」

春川「……待って。つまり聖杯をフルスペックで使えるのはまさに今だけってこと?」

春川「しかもそれを巌窟王を助けるために使わないつもりって」

セミラミス「つもりだ」ウン

春川「……最原」

最原「凄くマズイことになってるのはわかるけど、僕たちにはどうしようもないよ」

百田「ん? ん? ん?」

セミラミス「さてカエデ。ここから先、言動には細心の注意を払えよ」

赤松「へ?」

セミラミス「外の人間に復讐したいと強く願ってみろと言っている」ニィィィィ

赤松「!?」

茶柱「なっ……!?」

入間「何だとォォォォォォォォォ!?」ガビーンッ

星「……やられたな。これは。俺たちはロムルスの結界の内側で、あいつらは外側だ。手出しができない」

東条「セミラミスさんはこの好機を狙っていたというの? 偶然ではなく?」

真宮寺「忘れてた……! 僕たちの前ではアホな言動丸出しの緊張感ゼロで空気読めないダメ女だったから完全に油断してたヨ!」

真宮寺「彼女は人類史初の毒殺成功者! つまり、その当時最高峰の頭脳の持ち主だ! 頭が悪いはずがない! 機を窺う精神力も段違いだ!」

セミラミス「誰がダメ女か!」プンスカ

赤松(アホな言動丸出しの緊張感ゼロで空気読めないってくだりに関してはガンスルーしてる!)ガビーンッ

488: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/28(金) 22:41:16.90 ID:G7vEb4nP0
セミラミス「……論外で圏外な残骸どものことはもう放っておくことにしよう。大事なのはここからなのだからな」

王馬「うわー。ボロクソ言われてるね俺たち」

春川「……」スッ

百田「うおーーーい! ロムルス、もう絶対に結界を解除すんなよ! ハルマキがクラウチングスタートの姿勢になってっから!」

最原「結界が解除された途端に全力疾走して一瞬で殺す気だ!」ガビーンッ

セミラミス「カエデ。汝はまだ子供であろう?」

赤松「……だったら何?」

スッ

赤松「!?」ビクッ

セミラミス「……たまには大人に甘えてみろ。その年頃ならまだ自然だろうさ」ギュッ

赤松(……あまりにも自然な動作で、避ける暇が無かった。私は今、ふわりとした力加減で抱き寄せられている)

アンジー「……」

アンジー(まずいなー、これ。セミラミス、明確に本気になってる。アンジーたちの前に現れてから初めてかも)

最原「容赦無しで落としにかかってる……!」

茶柱「こ、これ。万が一赤松さんがセミラミスさんの提案に『YES』って言ったらどうなるんですか?」

王馬「さっきの議論での勝敗が逆転するだろうね。赤松ちゃんの希望が、これまで積み上げてきたすべてを台無しにしてでも優先される」

王馬「ただしあくまで聖杯が聞き届けるのは赤松ちゃんの願望みたいだから、俺たちに直で不利益になるような展開はないはずだよ」

入間「オイオイオイオイ……オイオイオイオイオイオイオイ……! 多数決じゃなく赤松たった一人の意見でか!?」

最原「騒ぐのはもうちょっと後でいいよ」

百田「……そうだな。終一と俺も同意見だ」

天海「どうしてっすか?」

百田「まだ赤松の答えを聞いてねぇ」

最原「確かに僕たちは結界の内側にいるから、もうセミラミスさんに手出しは不可能だけどさ」

最原「……いや、仮に外に出れたとしてセミラミスさんを無傷でどうにかできる保証が無いから手出しできないし、させるわけにもいかない」

最原(同じ理由でアンジーさんにも無茶はさせられない。彼女がいないと巌窟王さんが凄く困るし)

最原「この場で彼女をどうにかできる人間がいたとしたら、たった一人……」

天海「……赤松さん、だけ……!」

489: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/29(土) 20:00:21.59 ID:rPeFjwYs0
赤松「私が願えば……叶う。外の世界の人間に復讐できる……?」

セミラミス「そうだ」

赤松「……さっきまでの議論で出した結論は……」

セミラミス「無意味、とは言うまいよ。ただ最後に物を言うのは力を持った誰かの意見だ」

セミラミス「今の貴様にはそれがある……不服な結果を塗り替えて何が悪い?」

赤松「……」

赤松(不服?)ピクッ

セミラミス「さあ。願え。そして貴様の望む未来を創ってみせよ。我の用意した機会だ、まさか断りはすまい?」

赤松「断るよ」

セミラミス「クハハ! そうだろう! 断るだろう――って」

セミラミス「は!?」ガビーンッ

アンジー「!」

セミラミス「……聞き間違いか? いや、言い間違いか? 今、断ると言ったように聞こえたが……」パチクリ

バッ

赤松(私を抱きしめていたセミラミスさんから少しだけ距離を取る。それでも至近距離のままだけど)

赤松(でもこれでいい! 心底困惑しているセミラミスさんの表情がよく見える、この位置が凄くいい!)

赤松「ここで私がそんなズルをしたとして! そこから先どうするの?」

赤松「セミラミスさんはずっと私を甘やかしてくれるの!? そんなわけないよね!」

赤松「その場一回限りの勝利を掴んだところで、その先の私にはロクでもない結末しか待ってないよ!」

セミラミス「なっ……にい……!?」

赤松「ごめん。正直、凄く嬉しい。動機はどうあれ、私のためにこんな凄いものを用意してくれたって事実が、とにかく嬉しい!」

赤松「多分セミラミスさんの想像よりずっと私は感謝してる! でもさ! そんな甘いだけの言葉に飛びつけるほど、私は子供じゃない!」

セミラミス「……!」

赤松「……その聖杯は受け取れない。だから、終わりにしよう」

赤松「悪だくみなんてやめてさ、予定通り……みんなで一緒に決めた通りに」

赤松「この学園を終わりにしようよ……!」

セミラミス「……」

490: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/06/30(日) 19:52:52.64 ID:pVYswqYA0
ロムルス「……決まりである。セミラミスは人の輝きを(かなり屈折した視点で)見守る者だ」

ロムルス「故に転落するにしろ上へのし上るにしろ、本人の自業自得でなければ面白くない」

最原「赤松さんが自分の意思で『断る』って言ったら、もうセミラミスさんには特に動機がないよね」

東条「……みんなで決めたことを守ってくれるのね、彼女は。赤松さん、そういうところはずっと変わらなかったわね」

セミラミス「……チッ。つまらん」ポイッ

ガツーンッ

赤松「ぶへっ」ドサァッ

最原(セミラミスさんがポイ捨てした聖杯が赤松さんの眉間にクリーンヒットした!)ガーンッ

セミラミス「人の厚意をドブに捨ておって……この  パン娘が!」

赤松「ご、ごめんセミラミスさ……  パンじゃないよ!?」ガビーンッ

セミラミス「まあよい。こんなものは所詮戯れよ。我の心は夜の湖のように凪いでおる」

セミラミス「……全然! まったく! 気にしてないからな! 余裕のあまりネイルケアもできる!」ガタガタガタガタ

赤松「震えすぎ震えすぎ! 爪割れるから!」

百田「気にしてんじゃねーか。言葉と裏腹に」

セミラミス「……はあーーー……いや、本当に気にはしていないのだ。ただ本心から残念に思っているだけよ」

セミラミス「聖杯で一回願いを叶えさせた後はカエデのことを体のいい傀儡にして外の世界に我君臨! という計画がパァだ……」

赤松「ろ、ロクでもない……! 本当にロクでもないよ……!」

セミラミス「……予定通りが注文だったな。よかろう。やってやる」

セミラミス「玉座を!」パチンッ

ネコアルク「はいですにゃー」トタトタ

ネコアルク2「猫の宅配便ですにゃー」トタトタ

百田「お……モノクマがついさっきまで座ってた椅子じゃねーか。あれ玉座にすんのかよ……?」

百田「あれ? モノクマはどこに消えてんだ?」

白銀「結界の内側。あっちで遊戯王してるよ」

モノクマ「シャアアアアアアイニングドロオオオオオオッ!」ピカアアアアアアッ

ネコアルク「どういう……ことにゃ……!?」カン☆コーン!

天海「いつの間に!?」ガビーンッ






セミラミス「……結局ピアノは聴けなかったな」

赤松「……え?」

セミラミス「始めるぞ……! ここから先は、我の独壇場だ!」

セミラミス「人の女帝は人の国を統べようとする。ならばゲームの女帝は何を統べるべきだ!?」


ズズウウウウンッ……


赤松「……!?」

セミラミス「然り! 然り! 然り!」

セミラミス「『ゲームの国』しかありえぬではないか!」

491: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/01(月) 21:15:47.05 ID:klYtNCo80
ズガアアアアアアンッ

巌窟王「……」ブラーンッ

巌窟王(まずいな。時間稼ぎも限界か? 吹っ飛んだ衝撃で、才囚学園の鉄筋に足がひっかかってしまった。吊られた男か俺は)ブラブラ

巌窟王(このままだと本当に死ぬぞ)

キーボ「どうやら間に合わなかったようですね」

巌窟王「……?」

フワッ

巌窟王「……それはどうかな?」ニヤリ

キーボ「?」


ズズズズ……!


キーボ「……なんですか。この鳴動は……!」

巌窟王「やっと重い腰を上げたか、あの性悪女め」

キーボ「……セミラミス! 彼女か!」バッ





アンジー「気付かれたみたいだよー」

セミラミス「構わん! もうどんなロングレンジの攻撃方法があろうが!」

セミラミス「どんなスピードで接近してこようが!」

セミラミス「仕込みは発動した! もう(我にも)止められん!」

赤松「待って! 今こっそり小声でなんか言った!? 『我にも』とか言わなかった!?」

セミラミス「お気の毒ですが冒険の書は消えてしまいました!」バァーーーンッ

赤松「露骨な忘れたアピで誤魔化せると思わないで!」

セミラミス「さあ! お楽しみはここからだぞ!」ギュインッ

赤松(……セミラミスさんの周りに無数の魔法陣が……!)

セミラミス「神秘よ! 我が糧となれ! これ以上ないほど有効活用してやろう!」

フワッ フワフワッ……

赤松「……これは……!」

アンジー「おおーーー! 綺麗だねー! たくさんの蛍が飛んでるみたいだよー!」キャッキャッ

セミラミス「ネコアルクに再配置させた神性、神核のなれの果てだ。まあつまりざっくり言うと死骸だ」

アンジー「きったね」ウエッ

赤松「ざっくり言い過ぎじゃない!? せっかく感動してたのに!」

492: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/02(火) 21:36:11.77 ID:HLS2IoI+0
キーボ「させません。もう巌窟王さんの妨害もない。ここからでも充分にキャノンは届く!」

巌窟王「絶対に無理だ。諦めろ」

キーボ「エネルギーチャージ……シュート!」バチイッ

キーボ「……!?」






赤松「まずい! キーボくん、あの距離からこっちを狙って……撃っ――!」

セミラミス「……ったところで無理だな?」ニヤニヤ

ビュンッ

赤松「……え? ハズレ? っていうか……」

アンジー「見当違いの方向にビームが吹っ飛んでったねー」

セミラミス「当たり前だ。キーボは絶対に我を撃てない。少なくともすべての工程が終了するまでは絶対に。何故なら!」






巌窟王「貴様が外の世界の意思を代表して『最原終一の進路』に投票したのだ」

巌窟王「少なくとも学園全体の無毒化の処理が済むまでは、貴様を支配する意思がセミラミスを攻撃することを絶対に許しはしない」

キーボ「……! ……!」グググッ

巌窟王「アイツの仕込みが終われば、貴様の魔術的強化もすべて打ち消される」

巌窟王「弱体化した後のキーボなど俺の相手として不足にも程がある。すぐに復旧してやるぞ……!」ボオウッ

キーボ「……ゼロ距離なら……!」ドシュウッ

巌窟王(……ム。予想外だな。妙にセミラミスのことを警戒している)

巌窟王(魔術の無効化に関してはクリアできるが、これではそれが終わった直後に……)

巌窟王「ちっ。しばらく休むつもりだったのだが……! こうなったら足に引っかかった鉄筋を切断……いやそれでは真っ逆さまだな」ボキッ

巌窟王「ボキ?」



バキィィィンッ



巌窟王「何だとォォォォォォォ……」ヒューーーーッ

493: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/03(水) 22:14:36.29 ID:AIOZvaJq0
セミラミス「ふはははははは! 見よ! 巌窟王のヤツ地面に向かって真っ逆さまだ!」ゲラゲラゲラ


ビュンッ


キーボ「この距離なら」キイイイイインッ

赤松「――ッ!?」

赤松(早……! セミラミスさんの目の前に! 一瞬で! この距離はまずい!)

ジャララッ

セミラミス「邪魔だ」クンッ

キーボ「!?」ブンッ

キーボ(鎖を使っての投げ飛ばし……ワンパターンですね。これはもう一度食らいました! この状態からでも、この距離なら外さない!)ガチンッ

赤松「ダメ……! やっぱり無理だよ! 攻撃される!」

セミラミス「見よ! 巌窟王のヤツ、上から降ってきた更なる瓦礫に生き埋めにされたぞ! 犬神家のようだ!」ゲラゲラゲラ

赤松「!?」ガビーンッ

アンジー「うわー。この期に及んでまだ笑ってるよー。キーボの方は見もしてないねー」

セミラミス「当然だ。距離の問題ではないのだから」

キーボ「シュー……!?」グアンッ

キーボ(銃口が移動させられた……! 鎖? 違う、勝手にボクの手が動いたんだ! この角度はマズ……!)


ドシュウウウウッ

ドカァァァァァンッ


赤松「……!? 空が割れ……違う! 空を映していた天井が壊れた!?」

セミラミス「いや? まだ威力が足りんな。ちょっと亀裂が入った程度だ」

セミラミス「待っていろ。首級が欲しくばな。もうすぐ終わる……!」


ズドドドドドドドドド


赤松「……ずっと聞いていなかった。セミラミスさんは具体的に何をするつもりなの?」

赤松「仕込みって一体何?」

セミラミス「とてつもなくくだらなくて、物凄く馴染むことだ。端的に表すなら……」






セミラミス「学園よ! 浮上せよ!」

496: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/05(金) 23:35:19.98 ID:mjnaZFwn0
ズズガガガガガガガガガンッ

最原「……鳴動……じゃない! いや、この空間全体が震えてること自体は間違いないけど!」

最原「密室だから全然気付かなかった! 窓でもあれば一発でわかることでも、ここじゃわからない!」

百田「憧れの感覚だ! 『浮上』の感覚! 宇宙に向かってるような高揚感!」ワクワク

王馬「……え? 嘘でしょ。マジで?」

茶柱「学園が……いえ! この私たちを閉じ込めている密室そのものが! 浮上しているんですか!?」

セミラミス「少しだ。少し浮けばいい。五センチでも構わない! それでこの空間は我の宝具として成立する!」

キーボ「仮にそうなったとして、一体何をする気ですか。死にぞこないのあなたが、いくら強力な宝具を振りかざしたところでボクには!」

セミラミス「敵わないだろう! 別にいい! 美味しいところをすべて持っていくのは巌窟王で構わない!」

セミラミス「我は楽しければそれでよいのだ!」

アンジー「……なにかが萎んでいく感覚がある……学園にあったはずの大事な要素が消えていくような……」

ナーサリー「これは……そう。そういうことね! どんなエネルギーでも使えば消える! あるいは散る! 質が落ちる!」

ナーサリー「つまり熱力学の第二法則に則った超原始的な宝具!」

ロムルス「通常であれば宝具を使うには魔力が必要。これはその発想を逆転させた『魔力を使うためだけの宝具』」

ロムルス「いや。それだけではない。扱いを間違えれば死人が出る、呪力のような危険なエネルギーすら一緒くたにして消費している」

入間「ちょっと待て! それ魔術をちょっと齧っただけの俺様でもおかしいことだってわかるぞ!」

入間「軽油とレギュラーガソリンとハイオクガソリン、ロケットエンジン用の燃料ちゃんぽんにしてモンスターマシンを動かすみたいな話だろ!?」

入間「んなことしたら俺様たちは問答無用で吹っ飛ぶぞ! こんな●●●●●並みの薄々バリアなんざ木っ端微塵だ!」

ロムルス「そのためにヤツは神性を求めていたのだろう。どんな燃料を使っても絶対に壊れないエンジンと骨格を作るために」

セミラミス「……嗚呼! 嗚呼! 最高だ! たまらない! この仕組みを作るために我がどれだけ……どれだけの手間を……!」

セミラミス「マザーモノクマの中で時間を加速させ、三日三晩かかる呪文詠唱を先んじて終わらせたのも、すべてこのため!」

セミラミス「驚嘆せよ! 祝福せよ! 刮目せよ! 瞬き一つももう許さん! これが、ここにいる我だけの宝具!」

セミラミス「対魔力宝具、『遊興の空中庭園(ゲーミングガーデンズオブバビロン)』である!」

497: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/06(土) 22:36:58.91 ID:0OQEbHat0
巌窟王「……!」

巌窟王(段々と瓦礫が振動で移動して……あと少しで出られそうだが……!)ジタバタジタバタ

巌窟王「ダメだな。出られん。念話しかないか」

巌窟王『アンジー!』

アンジー『学園に満ちてる魔力なら、あと少しで除去できそうだよー』

巌窟王『そうか! それは朗報だ! だが今すぐセミラミスから離れろ! いや、ヤツのことだから安全策くらいは取っているだろうが……』

アンジー『……何を焦ってるの?』

巌窟王『今、キーボはセミラミスを攻撃できない! だが全部終わったら話は別だ!』

アンジー『……セミラミスはキーボに勝てるかなー』

巌窟王『貴様はどう思う? 率直な意見を言え。それが答えだ』

アンジー『百パー無理』

巌窟王『続いて俺が質問するが、すべての工程が終わればセミラミスはどうなると思う?』

アンジー『……』







アンジー「……楓ー。ちょっと離れよっかー」ニコニコ

赤松「イヤだ」

アンジー「!」

赤松「……大したことじゃないけどさ。私、最後まで全部見たいんだ」

赤松「どんな結末を迎えたとしても。アンジーさんなら、わかってくれるよね」

アンジー「……」

498: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/07(日) 23:53:54.23 ID:OJ5hssOQ0
セミラミス「あと少し……だ! あと少しで……完成する!」

セミラミス「くっくくくはははははは! 財産というものはすぐに無くなるものだが、無くそうと思って使うと気が遠くなるものよ!」

セミラミス「ネコアルク! 進捗は!?」

ネコアルク「あと十数秒で完了ですにゃー」

ネコカオス「やれやれ。まさか我々も、ここまで付き合うことになるとはな」

ネコリンボ「ンンンンンンンン拙僧は! 拙僧は昂ってまいりましたぞ!」

セミラミス「そう言うな。段々と我も貴様らのことが気に入って……ム? 知らんヤツがいるな? こんなヤツまで作ったか? はて?」

セミラミス「まあよい。後のことは任せたぞ、ネコアルク」

ネコアルク「……あなたは最高の雇い主だったにゃ」



ズズンッ



セミラミス「終了だ。もうよいぞ」



ズガアアアアアアアアアアアアアアンッ



最原「……な……え……?」

最原(それはとあるサーヴァントの最期だった)

最原(……あまりにも唐突に、それは訪れた。彼女の胸を、上空からキーボくんの砲撃が貫いて。でも!)

キーボ「……せ、みら、ミスぅぅぅぅぅぅぅ!」ジャラララッ

セミラミス「……ごぼっ……は、ははははは……!」

セミラミス「くははははははははははははははっ! あーあー! 馬鹿め! ここまで計算通りに行って、いいものか! はははははは!」ゲラゲラ

セミラミス「ごぼっ……う、げほっげほっ……!」ビシャッ

天海「攻撃された瞬間を狙って……!」

百田「野郎、カウンターで鎖をキーボの胴体に叩き込みやがった!」

セミラミス「我は毒殺の女帝、セミラミス! 故に! ああ、そしてゲームの女帝でもあるからこそ!」

セミラミス「本物ですら難しいことも我ならできる! たっぷり味わえ、電子ウイルスをなァ! あっははははははははは!」

キーボ「うおおおおおおおおおおおおおおああああああああああああっ!」ガシャンッ

赤松「セミラミスさんっ!」

セミラミス「……カエデ。多くはもう語らん」

セミラミス「凄く。とても。ありえないくらい……」





セミラミス「楽しかったぞ!」ニコリ

赤松「……!」




ズガアアアアアアアアアアアアアアアアアンッ

499: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/08(月) 23:36:47.47 ID:eF0dfIH20
ロムルス「……見事!」

最原「……セミラミスさん……!」

春川「地面に大穴が空いてる……砲撃の勢いで地下に玉座ごと押し込まれたみたいだね」

王馬「この分じゃあ、春川ちゃんが殺すまでもなくプレッシャーで身体はズタズタだろうね」

王馬「というか、崩落してるってことは地下まで落下してるのかな……」

春川「……殺したかっただけで死んでほしかったわけじゃない……こんな結果って……!」

東条「最初からセミラミスさんはこのつもりで……!?」

ナーサリー「でしょうね。全部が終わったらキーボに射殺されることくらいはわかっていたはずよ」

最原「ならロムルスさんの結界の中で全部の工程をやれば、自分の身の安全だけは確保できたはずじゃ……!」

最原「……いや、そうか。動機があったから、か」チラッ

赤松「……私のことを本気で篭絡するつもりだった。だからロムルスさんの結界の中に入るわけにはいかなかった……」

アンジー「本人の望んだ通りだねー。『自業自得』で堕ちる必要のない場所まで堕ちた」

赤松「BBさんに続いて、これで二人目」

赤松「……ネコアルク!」

ネコアルク「コーヒーガム食べます?」サッ

赤松「び、微妙なフレーバーのガムだね。それは後! ねえ、私の言うこと、聞いてくれるんだよね!」

ネコアルク「そりゃもちろん」

赤松「私と一緒に地獄の底まで付いてきて!」

真宮寺「赤松さん? 何を……!?」

赤松「私はッ!」

赤松「……私はせめて……この学園での犠牲者を出すことを止められないのなら!」

赤松「それが人間であろうとなかろうと! せめてノーカン扱いにはしたくない! 約束も果たしてない!」キィィィンッ

入間「赤松。まさか、その聖杯を使う気か!?」

赤松「『長生きさせる程度なら余裕』なんでしょ。まだ死なせない……!」

赤松「ごめん! 時間かかるようなら、先に脱出しておいていいよ! これは私の『エゴ』だから!」バッ

ネコアルク「赤松嬢に続くにゃーーー!」バッ

ネコカオス「男は赤に染まれ」バッ

ネコリンボ「異星の神の加護あれかしィィィィィ!」バッ

星「……本当に行っちまった。穴の中に」

天海「なんかネコアルクの中に一体変なの混じってなかったっすか?」

白銀「全部変だと思うけど」

500: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/09(火) 19:47:48.79 ID:FeVmFuah0
百田「セミラミスの方は赤松に任せるとして、キーボの方はどうなった!? ドテッ腹に鎖ぶち込まれてたぞ!」

真宮寺「一瞬のことだったから自信はないけど、あまり深々とは刺さってなかったヨ。もっとも電子ウイルスを仕込んだらしいから深刻度はわからない」

キーボ「……!」ググッ

アンジー「……ずっと飛んでたのに、着地して苦しんでるみたい」

獄原「でもよかった。死ぬほどの傷じゃなさそうだよ」

キーボ「……まさか、こんな……こんなくだらないマネを……!」ピコピコピコピコ

最原「ん?」

入間「……」

入間「は?」

星「どうした入間」

入間「あ、い、いや……気のせいか? 今サウンドエフェクトがおかしかったような……?」

白銀「は? 何言ってるの?」

キーボ「すぐにウイルスの除去を……ぐっ」ポッ


テテッテテテッテテ


夢野「んあ!? 本当じゃ! なんかキーボがコケたときに聞き覚えのあるサウンドエフェクトが……!」

白銀「●リオだ! スーパーマリ●ブラザーズの被弾の効果音だ! 8bit音の!」

キーボ「まさか……まさかこんな!」キュワンキュワンキュワン(キノコで巨大化のサウンド)







キーボ「ボクの行動のすべてが懐ゲー風のサウンドエフェクトに変わってしまう電子ウイルスだなんてーーーッ!」テッテッテーテレレテーレレーレー

全員「本当にくだらねぇーーーッ!?」ガビーーーンッ

白銀(そして今のはマリ●のゲームオーバーのBGMだーーーッ!)

501: 爆死の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/10(水) 21:05:46.29 ID:7tTQWhnU0
キーボ「除去……すぐにクリーニングを」ピッピッ ブブーッ

デケデケデケデケデケデンッデデンッ

白銀「あ。冒険の書が全部消えた」

キーボ「うおおおおおおおおおおおあああああああああああ!」ズピョーンッ

百田「……嘘だろ。除去できねーのか? アイツ一応最新技術の塊だったよな?」

ロムルス「もはやあれは毒というより呪いなのだ。だから生半な方法では除去できない」

ナーサリー「その凄まじい技術力で作った電子ウイルスの内容が物凄くくだらないのは……ご愛敬といったところね」

茶柱「愛嬌で済まされますかッ! これが!」

白銀「普通、こういう命と引き換えの置き土産ってもうちょっと有用じゃない……? いくらなんでもこれはちょっと」

キーボ「……ぐう! 仕方……ありません! 行動そのものに支障はないので作業を続行します!」ガチョーンッ

アンジー「わあ。機械の駆動音も物凄くチープだねー」

最原「言ってる場合じゃない! アンジーさん!」

アンジー「ん?」

夢野「アンジー! 周りをよく見るんじゃ! 赤松とセミラミスが消えて、ネコアルクもそれに追随したということは……!」

アンジー「あっ」

キーボ「あとのターゲット候補はあなただけです」ピュインピュインピュインピュイン

キーボ「あなたさえ消えれば巌窟王さんは消える!」

アンジー「……」

アンジー「ううん、それは順序が……逆だよ!」

キーボ「!」





「クハハハハハハハハハハハハ!」

502: 「裁判場が特異点化しましたにゃー」「なんで!?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/11(木) 21:01:40.72 ID:OBZgQ+jF0
ザッ

「ああ、そうだとも! この俺の目が黒い内は! マスターに指一本触れること能わぬと思え!」

「俺が! そう、この俺が……!」

最原「巌窟王さ……ん!?」ガーンッ

ザッ

ボロボロ王「夜長アンジーのサーヴァントだ!」プルプルプルプル

最原「既に重傷だーーーッ!?」ガビーーーンッ

ナーサリー「……ちょっと時間稼ぎさせすぎたわね、セミラミスが。ダメージが八割足に来てるわ」

天海「勝てるんすか!? あれで! 勝てるんすかね!? 流石の巌窟王さんでも!」

ボロボロ王「安心しろ。あと一撃を食らえば確かに気を失いそうだが、逆に言えばあと一発も貰わずに攻略すれば済む話」


クルッポー!


ガンッ バタリッ


かつて巌窟王だったもの「」チーンッ

最原「倒れたーーーッ!」ガビーンッ

獄原「なに!? 何が起きたの!? 何が激突してきたの!?」オロオロ

夢野「あ……あ、あ、あやつは……!」

ハトムギ「くるっぽー」

夢野「ハトムギじゃーーーッ! 研究教室のケージが壊れて脱走してきたんじゃーーー!」

最原「第三の学級裁判のときの鳩ォ!? なんで今!?」

ハトムギ「くるっぽー!」

夢野「うんうん……おお。セミラミスに献花しにきたのか。偉いぞ」

真宮寺「偉いけど今はやめてほしかったヨ」

巌窟王「くっ……あ、危なかった……」ムクリ

ナーサリー「あ。ギリギリのところで大丈夫だったみたい。幸運ね」

最原「心臓が止まるかと思った……!」

503: 「カルデアのマスターと接触しましたにゃー」「この人が噂の!?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/11(木) 21:07:31.47 ID:OBZgQ+jF0
巌窟王「さてと……余興も終わったところで、終幕にするか。すべて」ボオオウッ

キーボ「同じことの繰り返しです。すべて無駄ですよ」

巌窟王「いや。もうさっきまでとは状況が違う。背景も、何もかもな」

キーボ「……!?」

巌窟王「勝算があるのはどちらか……答えは! 貴様の身を持って知るがいい!」ギュンッ



ボンッ



最原「……また二人とも、空に飛んだ!」

百田「くそ! 早すぎて目で終えねぇぞ! また!」

茶柱「……ん?」

東条「あら……これは……どうして」

夢野「どうしたんじゃ。転子。東条」

茶柱「いえ、気のせいか……ああ、すみません。気のせいじゃありませんでした」

夢野「?」








茶柱「キーボさんが遅くなって、巌窟王さんが速くなってます」

504: 「期間限定加入ですにゃー」「え? 私ネコアルクとセット扱い!?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/12(金) 20:39:57.82 ID:gf2jmi1D0
キーボ(……身体が……重い、のとはちょっと違う! 頭でわかっている挙動と実際の動きに……ラグがある!)

巌窟王「貴様の身体の中に植え付けられたのは拡張機能ではなく電子ウイルスだ」

キーボ「!」

巌窟王「つまり『現状ある機能を割いて無理やり懐ゲーサウンドエフェクトを出させている』のだから、挙動が重くなって当たり前だろう?」

キーボ「……」

キーボ(ボクの動きが遅いことはそれで説明が済むとして、彼の動きが先ほどよりも鋭敏になっているのは何故だ)

キーボ(さっきと今とで何が違う!? 何が……!)

巌窟王「クハハ! それでもまだ疑問が残る、という顔だな!」

巌窟王「なに、簡単なことだ。今までの俺は『校則の影響下』にいたからこそ生徒によって何度も殺された」

巌窟王「だが、当然だが校則というのは所詮ローカルルール。場が学園でなければ効力を発揮しない」

キーボ「学園で無ければ……?」

キーボ「あっ」ピコーンッ








最原「……モノクマーズパッドがバグってる」

百田「んだ、こりゃ。校則のページが文字化けしまくってんぞ。ピクトグラムもバラバラだ」

ナーサリー「今この空間は才囚学園ではなくガーデンズオブバビロン。少なくとも浮遊している限りはね」

ナーサリー「着地するまでの僅かな間、この場は学園じゃない。だから校則の影響もない!」

ロムルス「枷のすべてを外した巌窟王は無敵である。最原終一の進路を選んだ時点で、キーボの勝ちの目は無くなっていた」

最原「……勝てる。どんなにキーボくんが武装していようと、これならもう絶対に! 巌窟王さんは負けない!」

505: 「イベントショップ店員ですにゃー」「アーネン……えと、何? この店名」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/13(土) 18:59:31.34 ID:8NEEMbqU0
キーボ「まだです! 『最原終一の進路』では、魔術的武装を部分的に残したボクを鹵獲する算段になっていた!」

キーボ「つまり、いかに校則の縛りから解き放たれようが、魔術武装を手にしたボクが巌窟王さんを下す可能性はまだゼロじゃない!」ボーンッ

巌窟王「……まさか、冗談だと思ってはいないだろうな?」

キーボ「え」



ヒュンッ



キーボ「……あ?」

キーボ(懐に入って――この位置は……!)



ドシュウウウウウウウッ



キーボ(回避ッ! 回避ッ! 間に合った! まだ追いつける……! まだ食らい付け――!?)

ビュンッ

巌窟王「もう一度言おうか」ガシイッ

キーボ「背後……に……!?」ギギッ

巌窟王「一発も貰わずに攻略すれば済む話だ」ボオオッ




バガァァァァァァァンッ!



キーボ「ぐああああああああああああああああっ!?」

506: 「お買い上げありがとうございまーす! よっ御大尽!」「疑問なんだけど貰ったアイテムってどこ行くの?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/14(日) 23:21:14.95 ID:dMcwPhaK0
ヒューーーーーッ ポカッ

キーボ「があっ!」ポテッ ポテッ

キーボ(こ、この電子ウイルス……うざったい。かなりの衝撃で地面に叩きつけられたのに、その効果音すらポップにされた!)

キーボ(必要な機能を必要なだけ追加拡張できる超高校級のロボットの才能を完全に逆手に取られている!)

キーボ(アンジーさんは巌窟王さんが守っている。その他の生徒は全員ロムルスさんが結界で囲っている)

キーボ(赤松さんを追ったところでネコアルクに邪魔されるだろう。巌窟王さん本体は……何か勝算がないと、このままでは……!)

巌窟王「貴様は運がいい。実に運がいい」

キーボ「ッ!」


ボカーーーンッ


キーボ「……キャノンの砲身が……蹴りで潰された。蹴りで!?」

巌窟王「この学園で犠牲になったのは二人。BBとセミラミスだけだ。結局のところ才囚学園の生徒は一人たりとも死んでいない。それがとてもいい」

巌窟王「もしもあと一人死んでいたら……しかもそれが才囚学園の生徒だったりしたら、俺は貴様を殺すしかなくなっていたかもしれないな」

キーボ「……?」

巌窟王「わからないか? 貴様は危険な綱渡りを渡り切った先にいる。今!」

巌窟王「数多くの偶然が貴様を生かしている。才囚学園の生徒が全員死ななかった偶然。カルデアのサーヴァントがこの場にやってきた偶然」

巌窟王「結果何が起こったか! 語るまでもない。俺は貴様に手心を加える余裕がある!」

巌窟王「殺さずに貴様を止める方法も!」

巌窟王「そして止めた後、貴様が帰るべき場所も! すべてが誂えたかのように!」

キーボ「!!!!!!!!」

巌窟王「帰るがいい、キーボ! 最原たちが貴様の帰りを待っているぞ!」

キーボ「……」

507: 「霊基再臨だにゃー!」「着替え……? 持ってきてないけど」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/15(月) 20:27:21.21 ID:pAtPmj2Q0
キーボ「声が止まない……まだ止まるわけには行かない……!」

巌窟王「貴様にも事情はあるか。ならば虎の子だ。指令紋章を使わせてもらおう!」ボオオオッ

キーボ「その紋章が当てにしたような効果かどうかはまだ――!」

巌窟王「わかるのだよ! 良くも悪くも、この空間は視聴者がすべてだ!」

巌窟王「さっきのことを思い出してみろ。この紋章は間違いなく人格の復元プログラムだと『視聴者が』認めたはずだぞ」

キーボ「……がっ!?」

巌窟王「迂闊すぎたな。境界を跨いだ貴様の! 負けだ!」

キーボ「……!」カチッ

巌窟王「!?」

巌窟王(……今、なんのスイッチを押した? いや、気を取られるな! 早くキーボにこの紋章を叩き込……!)ポンッ





ヤシの実「」アロハー





巌窟王「」

キーボ「」

巌窟王「……」

キーボ「ヤシの実ですね」

巌窟王「いや?」ブンッ



バガァァァァァァンッ!



キーボ「がああああああああああああっ!?」

巌窟王「知っての通りヤシの実は固い。振り回せば鈍器くらいにはなる。そして――」

キーボ「」ブツンッ

巌窟王「……皮肉だな。あそこで俺に指令紋章を使わせていれば」

巌窟王「……いや。今となってはわからないが、見た目だけは間違いなくくだらない切り札だったぞ」

508: 「ネコリンボが裏切ったにゃー!」「うわぁ! 聖杯奪って超活き活きしてるぅ!」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/16(火) 21:24:46.41 ID:UuYV2q7Z0
キーボ「が……が、が、が……」ピーガガガーッ


バチバチバチバチッ


キーボ「ぐああああああああああああああああっ!」

巌窟王「……反応は劇的だが……これは本当に復旧できているのだろうな……?」

キーボ「あ……あ、あ、あああああああうううううう……!」

キーボ「巌窟王、さ……ん……!」グッ




ボキイッ




巌窟王「!?」

巌窟王(頭のアンテナを引きちぎった!?)

キーボ「ボクは! 正気に! 戻った!」シャキーンッ

巌窟王「おかえりと言っておこう」

キーボ「ただいまです」

キーボ「……涙を流せたら泣いていましたよ。ああ、長い時間会えてなかったような気がします」

巌窟王「今までのことは覚えているのか?」

キーボ「セミラミスさんに致命傷を与えたことを含め、暴走していたときの記憶もキチンとボクの中に残ってます」

キーボ「……巌窟王さん。最後にあなたに伝えなければならないことがあります。時間がありませんので手短に」

巌窟王「……」

509: 「レイドイベントにゃー! かかれ全国のカルデアマスター!」「秒間619体のペースで殺されてるー!?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/17(水) 21:50:21.10 ID:OUMZ30si0
最原「……静かになったね」

百田「やったか!?」

白銀「百田くん、それフラグになっちゃうから黙って」

アンジー「……あっ! 念話が入ったよー!」

最原「アンジーさん! どうなったって!?」

アンジー「キーボの復旧に成功したって!」

全員「……ッ!」

百田「シャアアアアアアアアアアアアアアッ! やりやがったな、あの野郎ォ! 後でシャンパンタワーだ!」グッ

春川「シャンパンシャワーでしょ。タワーじゃホストクラブのヤツだから」

巌窟王『……だが一つ問題が残っている』

アンジー「え?」

巌窟王『キーボを連れてそちらに帰る。話は直接、顔を突き合せて行おう。幸いにして猶予はまだあるようだ』

アンジー「……」








巌窟王「では移動するぞキーボ」ズリズリズリ

キーボ「引きずらないで貰えます!? 土が隙間に入り込みます! 土が!」ガーンッ

巌窟王「自力で移動できるのならそうしよう」ズリズリズリズリ

キーボ「うおおおおおおおおお超不満ですーーーッ! 最後なのに! 最後なのに!」

510: 「イベントもクライマックスですにゃー」「ぺんぺん草も残ってない……」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/18(木) 23:59:35.47 ID:Hk4YVM3U0
巌窟王「戻ったぞ」ズリズリズリズリ

最原(引きずってる!)ガビーンッ

百田「キーボ! 俺のこと思い出せるか!」

キーボ「当然じゃないですか。忘れられないですよ、泣く子も憧れる超高校級の宇宙飛行士さん」

茶柱「……はあ……緊張の糸が切れちゃいましたよ。これでやっと……やっと……!」ヘタッ

最原「……」

キーボ「……あれ? 引きずられてること気にしてるの、もしかしてボクだけですか!?」ガビビーンッ

最原「大丈夫だよ! 僕も気にしてたから! なんで引きずってるの!?」

巌窟王「体力の温存のためだ。許せ」

キーボ「わかりました!」カッ

真宮寺「わあ寛大」

最原「いや巌窟王さん側の都合もそうだけど、なんでそこまでキーボくんが消耗してるのかを訊いたんだよ」

巌窟王「それについての回答は少し時間を割かねばならないな。ロムルス。結界の解除はまだだぞ」

ロムルス「……?(怪訝そうな顔で結界の一画を指さす)」

王馬&天海&百田「……」ビターーーーーッ

巌窟王「まだ待たせておけ」

白銀「結界に張り付きすぎだよ! いや待ち遠しいのはわかるけどさ!」

最原「……時間を割く?」

茶柱「?」

最原「待ってよ。それ、時間が無い人の言葉じゃないか。これから、これ以上何も起こるはずが……」

巌窟王「そうは行かなかった。それだけの話だ」ヒョイ

最原「……なにその……デジタル時計?」

白銀「!!!!!!!!!!!!!」ガーンッ







巌窟王「キーボに搭載されていた自爆機構だ」

最原「……」

全員「は?」

511: 「目標! 見つけたにゃーーー!」「必ず連れ帰る! まだ終わってない!」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/19(金) 19:41:09.74 ID:UY9mhClE0
ナーサリー「……なんで持って帰ってきてるの? そんなものどこへなりとも捨ててくればよかったでしょう? 選択肢はトラッシュオンリーよ」

巌窟王「厄介なことだが……学園のどこへ捨てても無駄だ。キーボの言うことにはな」

キーボ「この学園を丸ごと吹っ飛ばす程度の威力があります。なにせ学園のドームの内側だと衝撃の逃げ場がありません」

キーボ「これを起爆させたが最後、なんの防衛機構も持っていない人間は粉々でしょう。DNAの一片も残るか怪しい」

獄原「安心してキーボくん! ロムルスさんの結界は頑丈だから!」

王馬「相変わらずバカだなーゴン太は。全員中にいるわけじゃないでしょ?」

獄原「……あっ!」ガビーンッ

巌窟王「アンジーと赤松、それと他でもないキーボ自身はそうは行かない」

巌窟王「このままだと、この三人は確実に死ぬ」

最原「……入間さん! あれ解体できる!?」

入間「時間次第だ! 巌窟王! ちょっとそれよく見せろ! タイマー部分を重点的にだ!」




アト 4 フン 50 秒




星「……どうだ。入間」

入間「……回路の複雑さに対して短すぎる……!」

キーボ「これでも初期設定のままだから最長ですよ。これを起動させたときのボクは慌てていたので、時間設定ができなかったんです」

巌窟王「一度起動したが最後時間設定はいじくれない。だがキーボから取り外すことは辛うじてできた」

巌窟王「その後遺症でキーボは歩くこともできないがな。入間。後があるのなら直してやれ」

アンジー「!」

最原「……考えがあるの?」

巌窟王「当然だ」

512: 「ネコリンボが逃げたにゃー!」「誰かアレを止めて!」「任せてください!」「……包帯だらけのBBさん?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/20(土) 13:02:19.21 ID:MyFgEubZ0
巌窟王「二つほど考えがある。まず一つ目は、業腹だがセミラミスに再度頼る案だ」

巌窟王「セミラミスが聖杯を赤松に渡したのは見えていた。あれを使えば瞬間移動くらい容易いだろう。ロムルスの結界の内側にも入り込めるはずだ」

巌窟王「魔術的要素が薄くなった今のこの空間内でも三人程度なら問題無い」

アンジー「楓ならさっきセミラミスを追ってそこの穴に入っちゃったんだよねー」

巌窟王「そうか。ならばすぐに連れ戻して――」





キングプロテアの頭「」ミヂッ……




全員「」

ロムルス「……穴が塞がれてるな」

最原「ていうかアレ何ーーー!?」ガビーーーンッ

ナーサリー「キングプロテアの頭……かしら。巨大化して穴をみっちり塞いでるのだわ」

獄原「え? キングプロテア? え? 花? あんな大きくなかったよね?」

巌窟王「……」ゲシゲシ

キングプロテア「……!」イタタタタタ

巌窟王「……」

巌窟王「プランBだ!」ズバァァァァンッ!

春川「あ。諦めた」

白銀「ていうか下で何してんの赤松さん!」

入間「バカ松はよおおおおおおおお! 本当によおおおおおおお! 状況を悪化させてばかりでよおおおおおお!」orz

星「喚くな入間。あのとき赤松を止めなかった俺たちの連帯責任だと思え」

513: 「ネコリンボを捕まえたにゃー!」「ありがとうキング……えっと、なんちゃらさん!」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/21(日) 22:15:38.98 ID:erFFGBd50
キングプロテア「……プロテア……プロテアですから……」ミヂミヂッ

巌窟王(一体どんなシチュエーションならこんな台詞が出る……? 頭皮より下は全部地下だからよく聞こえん)

アンジー「もう一つの案ってー?」

巌窟王「俺の宝具を使って学園に穴を開ける。そして爆弾を外に投棄。そうすればすべて解決だ」

ナーサリー「なるほど。単純ね。でも完璧だわ」

巌窟王「聖杯が使えない以上、仕方あるまい! ああ、安心しろ。外に誰がいたとしても生徒が選んだのは『最原終一の進路』だ」

巌窟王「投棄した爆弾で攻撃するような意地汚いマネはしないさ」

最原「……それって」

アンジー「お前はどうなるの?」

巌窟王「消えるに決まっているだろう。最初からそう言っていたはずだ」

アンジー「……」

巌窟王「……ム? アンジー、貴様。まさかとは思うが、今更後悔などしていないだろうな?」

巌窟王「貴様は最初からモノクマの進路に投票などしていなかった。俺との別れは覚悟の上だろう?」

アンジー「後悔はしてないよ」

巌窟王「クハハ! だろうさ! この俺のマスターなのだから――」



ガシイッ



巌窟王「!?」

アンジー「……別れを惜しんでるんだよ! そのくらい言わなくてもわかってよぉ!」

巌窟王「待て。マントをそんな乱暴に掴むな。皺になる……」アタフタ

最原(動揺のあまりしょうもないことを言っている……!)

514: 「んじゃあ後はカルデアに任せるにゃー」「あ……イベント終了?」  ◆SxyAboWqdc 2019/07/22(月) 21:56:26.35 ID:FJhmeAfn0
巌窟王「……」

巌窟王「アンジー。俺は貴様への第一印象が最悪だった」

アンジー「……」

巌窟王「嫌いな知り合いに似ていてな……いや、あのころの貴様はそれより酷かった。何もかもが『神様の言う通り』なのだからな」

巌窟王「自分の意思がどこにもない」

アンジー「今は?」

巌窟王「もう何回も言ったはずだぞ。今の貴様は俺のマスターとして相応しい」

巌窟王「お前はお前の意思で怒れる。泣ける。憎悪できる。直近だと主にその対象は最原だったが」

最原「……お腹痛い」ズーン

茶柱「黙ってください」シーッ

巌窟王「アンジー。どこまで行ってもサーヴァントは『使い魔』だ。マスターに意思が無ければ始まらない」

巌窟王「ましてや、本来なら聖杯戦争を戦い抜くのが主な仕事だぞ。『願い』も持たない人形には務まらない」

巌窟王「……ああ、違う。そうじゃない。今の言い方は遠回しすぎた」

アンジー「……?」

巌窟王「意思を持て。願いを持て。貴様には才能があるのだから、それだけで世界は美しく色付く」

巌窟王「俺が俺の進路で復讐を推したのは……貴様が心の底ではそれを望んでいると思ったからだ」

アンジー「……ちが……うよ……!」

巌窟王「なに?」

アンジー「アンジーは……アンジーはね……お前の意思を汲みたかった……!」

巌窟王「……」

アンジー「お前が何者だとかはもう本当にどうでもよくって! アンジーは! アンジーの意思で! お前と一緒に!」

アンジー「別れがすぐそこだったから、同じ道を歩んでいたかったんだよ!」

アンジー「だって今まで楽しかったんだもん! だから、これからだって楽しくしたいんだよ!」

アンジー「一緒が……楽しいってアンジーが……」ズビッ

アンジー「それがアンジーの『願い』だったから!」

巌窟王「……」

巌窟王(俺が見たかったもの。俺が作りたかったもの。今、それが目の前にある)

巌窟王(俺は夜長アンジーが心底何かを願う姿を見たかった)

巌窟王「……そろそろだな。充分だろう」ゴオッ

アンジー「ッ!」









巌窟王「お別れだ。アンジー」

515: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/24(水) 21:06:38.43 ID:z6UEY0gQ0
百田「待てよ! 俺たちもテメェに言いたいことがあんだよ!」

巌窟王「……」ゴオオオオオオオッ

百田「待てって! 火力上げてんじゃねぇ! 発進準備にはまだ早ぇってーの!」

夢野「……いや。もうよい。これ以上は無理じゃろ。それに無意味じゃし」

百田「んだとォ……!?」

夢野「あやつは知っておるわ。ウチらがどれだけ巌窟王との別れを惜しんでいるか」

夢野「……よーく知っておるじゃろ。お主は忘れてても、巌窟王は忘れない。ここで過ごした日々のお陰でな」

王馬「だろうねー。特にこの十六人の生徒の中で最もわかりやすいのは百田ちゃんだろうしさ」

百田「テメェが言うと褒められてる気がしねぇな。絶無だな」

茶柱「最原さん。あなたはどうです?」

最原「僕?」

最原「……」

最原(言いたいことは沢山あるに決まってる。沢山ありすぎて短く絞り込むことが不可能だ。だから何も言えない)

最原「……僕は……」

巌窟王「最原。最後に貴様に言いたいことがある」

最原「!」

巌窟王「最後の最後。ささやかな復讐だ。貴様、結局最後まで嘘だと明かさなかったな」

最原「……何のこと?」

巌窟王「『白銀のやったことを絶対に許せない』、という下り。あれは嘘だろう」

白銀「え」

巌窟王「……どれだけ怒ったフリをしたところで無駄だ。貴様はいつか白銀を許してしまう」

巌窟王「おそらく貴様が思っているよりも遥かにくだらない理由ときっかけで」

最原「……だったら何?」

巌窟王「何でもないさ! ただ貴様の嘘を暴いてやりたかった! それだけのことだ!」クハハハハハハ

最原「ええっ!?」

真宮寺「本当にささやかだネ……最原くんに言論で叩きのめされまくったことを余程根に持ってたんだ……」

巌窟王「黙れ!」

517: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/26(金) 20:56:14.94 ID:U7b4Z57Q0
最原「……はあーーーっ……巌窟王さん」

巌窟王「なんだ!」

最原「憧れてる。巌窟王さんのことをかなり前から格好いいと思ってるんだ」

巌窟王「……は?」

アンジー(あ。言った)

最原「別に僕は巌窟王さんのこと嫌ってないよ。一度としてそんなこと言った? 言ってないよね。言動にはそれなりに気を付けてたんだからさ」

巌窟王「……やたらと俺に噛みついてきたのは?」

最原「憧れてる人に勝てたら最高に気持ちいいでしょ。そういうこと」

王馬「うわあお。最高に負けず嫌いなヤツの理屈だね、それ」

巌窟王「……そうだな。憧れているヤツに勝てれば、それは喜悦の極みだろう」

巌窟王「俺は一度として貴様に負けたことはないがな!」ズギャアアアアアアンッ

ナーサリー「嘘は良くないわ」

ロムルス「往生際の悪さ選手権重量級の世界チャンピオンである」

巌窟王「フン! もう喋ることはない!」ゴオオオッ

ビュンッ

ナーサリー「あ! 逃げたのだわ!」

最原「……嘘じゃないなあ。残念だけど、さっきの彼の言葉は。一度だって僕は巌窟王さんに勝ててない」

ロムルス「?」

最原「相手の得意分野で上回らなきゃ、そんなの勝利じゃないよ」

最原「僕が欲しかった強さはああいうのだ。縦横無尽に飛び回って、僕たちの手の届かない場所にある希望を掴む」

最原「ああいう、理不尽な強さだよ」

アンジー「……彼も……」

アンジー(彼も終一に憧れてたんだよ。終一にしか持てない強さにさ)

アンジー(……なんて、分かり切ったことだからもう言わないけどねー)

518: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/27(土) 23:17:35.93 ID:c5riuyDC0
巌窟王「……」

巌窟王(思えば……随分と長居したものだ)

巌窟王(狙う場所は頭上。先ほどキーボが誤射したドームのヒビ部分!)

巌窟王(道を示す。道を作る。障害は軒並み排除する!)

巌窟王(これが最後の宝具となる!)

巌窟王「叩き壊してやる……まとめてさよなら絶望学園だ!」ゴオオオオッ

巌窟王「虎よ、煌々と燃え盛れ!」






真宮寺「始まった……分身し始めたヨ!」

ギュンッ ギュギュギュギュギュンッ

入間「……多くね!? 今まででぶっちぎりの多さだぞ!」

星「最後だからな。張り切っているってのが一つ。もう一つにして最大の要因は……」

キーボ「もう邪魔は無いとは言え、今まで僕たちを閉じ込めていた堅牢にして鉄壁の壁」

キーボ「時間があるのならともかくとして、短時間でブチ破るのならあれでも足りるかどうか……!」

アンジー「……」

アンジー(思えば……随分と一緒に過ごしたよね)

519: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/28(日) 20:23:27.40 ID:ldYnDayo0
アンジー(行かないで。一緒にいて。まだアンジーと遊んで欲しい)

アンジー(包み隠さないアンジーの本音は、そう叫んでいる)

アンジー(……でもその本音の中に、アンジーの本当の本当の本当の本音がある。弱さからくる叫びじゃない)

アンジー(彼の背中をずっと見てきたから得た、強さがそこにある)

アンジー(アンジーの強さは……アンジーの望みは……!)

アンジー「……すうううううううっ……!」






巌窟王「……!」

巌窟王(足りない! まだ、これでも間に合わない! このままでは……!)

「負けないでッ!」

巌窟王「!」






アンジー「お前はアンジーのサーヴァントなんでしょ! ならアンジーの望みを叶えてよ!」

アンジー「勝って! ぶち壊して! 隔てるものが何もない綺麗な青空をアンジーに見せて!」

アンジー「恩讐の果てに何があるのか、このアンジーに見せてよ!」

アンジー「エドモン・ダンテス――!」

巌窟王「……!」




――ガチリ。

頭の中で、小気味良くそんな音が聞こえた。
すべてのピースが揃ったパズルか、百年越しに動いた古時計の歯車のような。




????「身体が軽い……」

????(初めて名前で呼ばれた)

????「……」



そう。彼女こそは超高校級の美術部にして、とある復讐のサーヴァントのマスター。夜長アンジー。
彼女が自らのサーヴァントの名前を間違えるなどありえない。ならば、そこにいるのはきっと復讐の完遂を目論む鬼ではなく。



エドモン「……クハハ」



幸せな結末へ直走る、復讐劇の果てに『人』へ戻った男。エドモン・ダンテスでしかありえない。



エドモン「クハハハハハハハハハハハハハハハハ!」

520: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/29(月) 21:37:51.38 ID:gLeP+baZ0
バガァァァァァァンッ!

最原「……!」

最原(もう目を開けているのが辛い。太陽を直視しているような本能的な拒否反応がある!)

最原(……というかもう、あれは『モロ』だ……!)

百田「黒い……太陽……!」

王馬「へえ。やるねぇ。虚構の空を、真っ黒な嘘の太陽でぶち抜こうって気なんだ」

白銀「……眩しい」

東条「でも見て。アンジーさんもキーボくんも涼しい顔よ。私たちに害はないみたいね」

獄原「見た目ドス黒くて、実はゴン太たちを思いやってる太陽。うん! まるっきり巌窟王さんみたいだね!」


ズズズンッ……!


獄原「……頑張れ! 巌窟王さん! 頑張って!」

夢野「見せてみるんじゃ巌窟王! お主の最後の根性! 最後の魔法を! 二度と忘れないよう鮮烈に!」

春川「思い出せないなら思い出せないなりに……アンタのことを信じてる。だから!」

春川「ん……? 思い出せない? 待って。前にもこんな台詞を吐いたような……古傷が疼くような……」

夢野「良い思い出じゃないから忘れておいた方が、よいぞ?」

天海「最後まで信じて! 俺たちが巌窟王さんのことを信じてるってことを!」

星「行け……行け! お前さんの大事な物を守るために!」

茶柱「みんな応援してます! これでダメだったら承知しませんからね!」

入間「ぶち抜いて●●ーーーーーーッ!」

キーボ(今酷い誤植があったような!)ガーンッ

百田「終一。お前もなんか言ってやれ! 最後だぞ!」

最原「巌窟王さん……」

最原「……みんな終わらせてくれ! すべてを!」






全員「頑張れええええええええええええっ!」ズギャアアアアアアアアンッ

521: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/07/30(火) 22:37:31.17 ID:AOlOxVlb0
エドモン(まだだ。体に力が漲ってくる! 一体どうしたことか、俺の身体は!)

エドモン(BBに曰く、俺のことを正しく認識すれば本来の力を取り戻せるらしい)

エドモン(だがそれだけではない! 俺の背中を押すこの力は! 胸に広がるこの熱は!)

ビキビキビキッ

エドモン「姿を晒せ! 俺たちの前に! 今日! この場で!」

バキンッ ビシビシビシッ

エドモン「安全圏からアイツらを嬲る時間はもう終わりだ! 貴様らには同じ土俵に立ってもらう!」

エドモン「出会い頭に命は取らない……だが! 一切の隔たりの無い空だけは一方的に奪ってやる!」

エドモン「我が名はエドモン・ダンテス! 希望と共にある彼らを導く者!」

エドモン「そして――!」ゴオオオオオオオオッ



ガシャガシャガシャッ!




エドモン「才囚学園のアヴェンジャーであるッ!」




バリイイイイイイイイインッ

523: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/02(金) 18:04:41.60 ID:nCJiEzqW0
エドモン(壁が壊れた! もう時間はない! 後はこれを思い切り外に放り投げておしまいだ!)

エドモン「間に合え!」ブンッ

エドモン(タイマーを見る余裕もなかったが……! 終わりだ! これで全員無事に!)

エドモン「……」

エドモン「まだやりたいことがあったな」



カッ



ロムルス「これは……マズイな」パチンッ

最原(ロムルスさんが手を鳴らしたと思ったら、結界が急に真っ黒になった)

天海「ロムルスさん?」

ロムルス「音と光に警戒したのだ。流石は爆弾。モロに食らうとしばらくスタンする威力である」

春川「そんなことまでわかるの?」

ロムルス「皇帝特権は直感も拝借できる」

最原「アンジーさんは……」

ナーサリー「伯爵のこと、きっと念話で注意を促してるはずね。耳と目を塞いでいれば大丈夫よ」

入間「一歩も動けねぇキーボは今頃悲惨なことになってるだろうけどな」ハンッ

最原「……」

最原(……最期を、僕たちは見ることができなかった)

最原(僕たちの目の届かないところで、彼は……)

524: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/04(日) 00:45:34.05 ID:cF6G9GHc0
ロムルス「……」

ナーサリー「……」

ロムルス(このときばかりは、二人きりにさせるべきであろう)

ナーサリー(マスターとサーヴァントの絆はワンオフだもの。邪魔は……しない方がいいわ)

最原「……?」








結界の外


「……アンジー。起きろ。アンジー」

アンジー「ん……?」

アンジー(あれ。アンジーは……なんで倒れてるんだっけ)

アンジー(……そうだ。確か、爆弾の音と光が目と耳を塞いでても予想外に大きすぎて……ていうか身体が吹っ飛んで真後ろの結界に叩きつけられて)

アンジー(身体が痛い。でも起きれないほどじゃない)

ムクリ

アンジー「……わぁ」

アンジー(周囲は一変していた。アンジーたちを閉じ込めていた檻は完全に叩き壊されて……)

エドモン「見覚えのある星空だ。やっと知っている星座を拝めたな」

アンジー「……」

アンジー(こちらに背を向けるエドモンの姿は透けていた。変な光った粒子も見える)

アンジー「……どうしてこっちを見ないの?」

エドモン「なに。大した理由などないさ。爆発の影響で顔が傷だらけになったとでも思っておけ」

アンジー「さっきお別れだとか言ってたのに」

エドモン「俺は前からこうしていたぞ。分身に余力のあるときは、アンジー。少しだけでもお前にリソースを割く」

エドモン「今もそうしているだけだ。それに……」

アンジー「それに……なに?」

エドモン「ありがとう」

エドモン「……と、まあ。礼を言い忘れていたと思ってな。それだけだ」

アンジー「……本当に……お前はさー……」

525: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/04(日) 22:30:05.11 ID:cF6G9GHc0
アンジー「……アンジーは、お別れは言わないよー」

アンジー「たった今決めた。胸に銘じた。アンジーは生涯をかけてやりたいことができた」

エドモン「言ってみろ」

アンジー「もう一回エドモンの顔を見る!」

エドモン「なに?」

アンジー「どこにも行けないのが本当なら、それはきっと消滅って意味じゃない。どっかに何かは必ず残る!」

アンジー「アンジーは生涯をかけて絶対にそれを掴む! その途中の旅路でいっぱい楽しいもの、美しいもの、心に残るものをありったけ見て!」

アンジー「辿り着いたら、それをエドモン! あなたにもちゃんと、わかるように見せてあげる!」

アンジー「アンジーだからできること! アンジーにしかできないことを! 誰に何と言われようと絶対に成し遂げてやるッ!」

エドモン「道半ばで倒れたらどうする?」

アンジー「それでもきっと後悔は残らない。やらないよりはずっとマシ!」

アンジー「……だと思うんだよねー」

エドモン「……やれやれ。随分と厄介な女をマスターにしてしまったものだ。この俺を恐れさせるとは、まったく大した女傑だな。アンジー」

エドモン「だが……それがお前の進路だと言うのなら、俺がどうこう言うのは筋違い、か」

エドモン「もう学園もないのだから」スタスタ

アンジー「……エドモン……振り返らないのはさ……」


ボロッ


ポタポタッ



アンジー「アンジーの泣き顔を見ないため……?」グスグス

エドモン「……さてな。何か言ったか。アンジー」

エドモン「俺のマスターが、俺の門出を涙で汚すわけがない。そうだろう」

エドモン「当然、俺は笑っている。俺が笑っているのだから、お前も笑っているはずだ」

エドモン「胸を張れ。お前が掴んだのはこれ以上のないハッピーエンドだ。そうでなければ、これまでの苦しみが報われないだろう!」

アンジー「……うん。視界がぼやけるから涙はもう二度と流さない」グシグシ

アンジー「ありがとう。もうアンジーは真っ直ぐ前を向ける。あなたの名前だってもう二度と忘れない」

アンジー「あなたの名前は――!」

526: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/06(火) 20:51:28.19 ID:wLlhRlmt0
キーボ「……はっ! 起きた! 凄い音と光で一瞬フリーズしてた!」ピョイーンッ

キーボ「あれ!? セミラミスさんの8bit化ウイルスがまだ消えてない!? マリ●のジャンプ音が!」ガガーーーンッ

キーボ「しかも爆風のせいでちょっと転がったみたいだし!」

エドモン「……」スタスタスタ

キーボ「あ。巌窟王さん! ボクの身体のウイルスって除去できるんですか……って」

キーボ「……」

キーボ「泣いて……る?」

エドモン「幻覚作用だろう。セミラミスのウイルスが進行してきたようだな」

キーボ「え゛」

エドモン「速やかに入間に除去してもらえ。このままだとどの道死ぬからな」

キーボ「い、いやだーーーっ! ここまで来てボクだけ死ぬのはヤだーーー!」ジタバタ

エドモン「……」スタスタ

キーボ「うわぁぁぁぁぁ……って、どこへ?」

エドモン「どこでもいい。俺はエドモン・ダンテスだぞ。この場限りの存在であるならば――」

エドモン「巌窟王とは違う。どこへ向かうのも悪くはないさ」

キーボ「……オルボワール。エドモン・ダンテス。あなたの進路にも幸多からんことを」

エドモン「俺は――」

キーボ「終わりませんよ。ここで消滅したとしても」

キーボ「ボクたちの進路に影響を与えた時点で、何一つとして終わりません」

キーボ「ボクたちの進路にはいつもあなたがいます。何と言おうが勝手にボクらが連れて行きますからね」

エドモン「……」

キーボ「あ、それと……泣いてたことは一生黙ってますから! ご安心を!」

エドモン「先に地獄で待ってるぞ」スタスタ

キーボ「ボクはそんなとこに行く予定ありませんけど!?」ガビーンッ

キーボ「まったく! 巌窟王さんはまったくもう!」プンスカ

キーボ「……あれ。巌窟王さん? 巌窟王さーん?」

キーボ「……」







キーボ「いつも通りだったなあ。消えるそのときまで」

キーボ「……うん。泣きもしてなかったかも……な……いつも通りだったから」

528: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/08(木) 23:56:38.02 ID:MPv1zc2j0
巌窟王「……ハ。俺はこの期に及んで……何故こんな場所に」

巌窟王(マンホールの中。出口と書かれた罠の在処。俺はそこを死に場所と決めたらしい)

巌窟王(我ながら随分と女々しい)

巌窟王(だが……)

巌窟王「……すべてを昨日のことのように思い出せる。ここでアイツらと出会ってすべてが始まり……」

巌窟王「そして終わる」

巌窟王「……卒業アルバムの完成くらいは目にしておきたかった。今となってはそれが唯一の心残りだな」

巌窟王「それだけしか心残りがないくらい、好き勝手したということだが」

巌窟王「……」





アンジー『……』

アンジー『神様、ですか?』





巌窟王「違うな。俺は――」

巌窟王「ただの、人だ。星空に心を打たれ、別れに涙するような」

巌窟王「そういうただの人間になってしまった、この場限りの影法師だ」ウトウト

巌窟王「……アンジー……俺も……楽しかっ……」コックリ コックリ

巌窟王「…………」


パキンッ サラサラサラサラサラ……




静寂の中で男は目を閉じた。
すべては闇の中に消え、痕跡は跡形もなく。

だが、それが彼にとっての救いだった。
何も残らないからこそ、彼は呵責無く学園の法則すら捻じ曲げてみせたのだから。

復讐鬼からヒトへ戻った男は、結果的に物語と同じ末路を辿る。

どこへなりとも消え去った。

伴がいないことだけが、物語と今との相違点だった。

 
530: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/10(土) 23:16:02.62 ID:156BgLom0
最原「……アンジーさん」

最原(ロムルスさんが結界を解除したのは、光と音を遮断してそう時間が経たない内だった)

最原(でも爆発という瞬間的なものを警戒したにしては、少し長すぎる時間だった)

最原(別のものを隠したかったんだ。そう確信するには充分なくらい)

最原(僕たちの前には、ただ前を真っ直ぐ見るアンジーさんがいる)

最原(そして偽りの空を映し出していたドームに開いた穴からは、胸が痛くなるくらいの綺麗な星空が見えて……)

最原「巌窟王さんは行ったの?」

アンジー「うん」

最原「……そう。そ……っか」

アンジー「でもアンジーはもう泣かない」

アンジー「信じられる物から目を逸らさないって決めたから」

アンジー「……一周回って元に戻っただけだねー。にゃははー!」

ビュオウッ

百田「お……風だ」

夢野「気持ちいい風じゃのー」

春川「……炎の熱気はもうないね。さっきまでの業炎が嘘みたい」

最原(その風は僕たちに告げていた。すべては終わったのだと)

最原(……苦しいことだけじゃない。その中にあった楽しいことや、綺麗な思い出も全部過去のものへと変わって――)






ナーサリー「……退去が始まったようね」キラキラキラキラ

ロムルス「ローマは彼らに残す言葉はない。あったとして、それはすべて巌窟王の残したものに埋もれてしまうだろう」キラキラキラキラ

ロムルス「無言の内に消えるとしよう。それでいい。それがいい」

ナーサリー「……?」

ロムルス「どうかしたか?」

ナーサリー「キングプロテアの退去が始まってない……?」

ナーサリー「地下と地上とでセミラミスの宝具の効果が違うのかしら」

ナーサリー「……大した問題じゃないわね。どちらにせよ、彼女も戻るでしょう」

ナーサリー「すべてはハッピー。世はこともなく、すべては流れに流れいく。なるようになってお終いよ」

ロムルス「……さらばだ。才囚学園よ」


シュイーン


キングプロテア「……」モゾモゾ

531: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/10(土) 23:33:51.33 ID:156BgLom0
第六章

超高校級の生徒たちが超高校級の召喚を目撃し超高校級の協力で超高校級の絶望に立ち向かい超高校級の結末を掴むお話


END……?



ブロロロロロロロロ



百田「ん? なんだこの音――?」

イシュタル「あああああああ私を置いてくんじゃないわよーーーッ!」ブロロロロロロ


ドカァァァァァァンッ


春川「あべしっ」

百田「ハルマキが超速度で宙を走るスクーターに轢かれて吹っ飛んだーーーッ!?」ガビーンッ

百田「……ってなんかこんな光景前にも見た気がするぞオイ!」

春川「ごはっ」ベシャッ

百田「ハルマキ! しっかりしろ! ハルマキー! ってこんな台詞もなんか一字一句そのまま吐いた気がする! 覚えてねぇけど!」

茶柱「いい雰囲気が台無しなんですけど!」ガーンッ




END

マアンナのミラーを手に入れました!

532: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/12(月) 18:31:16.73 ID:bMftJBDD0
???????


エドモン「……ここは……どこだ」

エドモン「何故俺はこんな場所にいる?」

エドモン「……まあいい。どこへ行くのも悪くないと言ったのは俺自身だ」

エドモン「見渡す限り本当に何もないが……歩くことくらいはできそうだ」

エドモン「……」スタスタ

エドモン(俺は何も忘れない。気の遠くなるような時間歩いていても、何も忘れないし摩耗しないだろう)

エドモン(多分これ以上、何も起こらない。俺は怒らない)

エドモン(すべて終わったのだから、それでいいのだ)









黒い竜(ジャンヌが来るのはいつ頃くらいだろうか……)ボーッ

エドモン「!?」ガビーンッ



歩いていると巨大な黒い竜の後ろ姿を見つけたが、特に用はないのでエドモンはスルーして歩き続けた








エピローグ

僕らの為の物語

533: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/12(月) 18:51:13.36 ID:bMftJBDD0
超高校級の発明家の研究教室

入間「……」

キーボ「……」

入間「んん……んんんんんんんんんんんんんんんんんん」グギギギギギギギギ

入間「無理ィーーーッ」ポーイッ

キーボ「匙を投げないでください! あなたに見捨てられたら……見捨てられてしまったら!」ヒョコヒョコ

入間「やめろこっちに来るんじゃねぇ。間抜けな音に思わず吹いちまいそうだブっフォフォウ」

キーボ「もう既に思い切り吹いてますねぇ!? お願いです! 除去してください! ボクの身体の中のセミラミスウイルスをおおおおおお!」ピコピコ

入間「だから無理だって。俺様何度も言うけどソフト関係に関してはその筋の才能持ってるヤツよか劣るんだっつの」

入間「セミラミス自身には解毒できるかもしれねーが、アイツ死んじまったしなぁ」

キーボ「死んだところをボクら見てませんよね!?」

入間「撃った本人が言っていい台詞じゃねぇ。それに……」

入間「まともに寝てねぇんだ。全部終わったのも昨晩のことだぞ……ふあーあ……」

入間「他に可能性があるとすれば、最原がまた抜け道を見つけることだけどよ……」







キーボ「……真っ先にぶっ倒れて眠ってしまいましたからね……」

キーボ(時間はまだ朝……起きていない人の方が多かった)

キーボ(ボクらは脱出をまだ保留している)

534: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/13(火) 20:49:22.17 ID:R7u814Dc0
入間「いいじゃねーか。結局巌窟王の『除去しなきゃ死ぬ』って言葉が嘘だってわかったし、修理のお陰でほぼ後遺症も残らなかっただろ?」

キーボ「唯一残った後遺症が一番イヤなんですよボクは!」ピニョーーーンッ

入間(なんかナムコのシューティングゲーみたいな効果音になってきやがったな……)

入間「後回しだ後回し。この場にある機材と人材じゃどうしようもねぇ」

入間「それに、俺様は他にやることもあるしな。これ」ポンポンッ

キーボ「……スクーター? どこかで見たデザインですけど」

入間「ド貧 川をふっ飛ばしたあのスクーターのコピー品だ」

キーボ「ああ! 本当だ! デザインが一緒!」ピコーンッ

キーボ「……と、いうことは」

入間「飛べるぜ。これで。あの大穴から誰か一人が先に脱出して、その後で一連の全員脱出の段取りを付けるって寸法だ」

キーボ「ボク以外の魔術の痕跡は全部消えたはずなのに、よく作れましたね?」

入間「それがよくわかんねーんだよなー。ネコアルクに捕食されたはずのイシュタルが普通に復活してたのも意味不明だったしよー」

入間「ひとまず人身事故の衝撃で外れたミラーを基にして、どうにか人一人分くらいは余裕で乗せられる程度のクソ劣化品は作れたけどな」

キーボ「まさかセミラミスさんの仕込みが上手く行ってなかったんじゃ……」

入間「そりゃねーな。実際に、ナーサリーライムもロムルスも消えてんだろ?」

キーボ「……巌窟王さんも、ですよね……」

入間「……ハッ。散々振り回されたんだ。せいせいすらァ」

キーボ「いや入間さんが勝手に自分からぶんぶん振り回されに行ってたように見えましたが」

入間「るせーーー! この万年レトロゲーロボがッ! 64以上のスペックになってから出直せコラ!」

キーボ「罵倒文句のチョイスがロボに対するものとして酷すぎる!」ガビーンッ

535: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/14(水) 22:24:33.44 ID:x3uLQYOV0
病院:病室

春川「……ハッ! 痛ッ!」ズキッ

春川「ここは……病院? 良かった。今度はちゃんと記憶がある」

百田「ぐー」スヤァー

春川(椅子に座った百田が、頭を私の寝ていたベッドに預けて寝ている)

春川「……もう朝か……百田、こんな体勢で寝てたら身体痛めるって」ユサユサ

百田「ぐー」スヤァー

春川「全然起きない」

春川「……まあ二度目だし、撥ねられるの。また記憶を失ったらと思ったら私の立場でも心配する……?」

春川「あれ。撥ねられて記憶を失うなんてこと、前にもあったっけ?」

春川「……あった。そういえば巌窟王に思い切り轢かれて……」

春川「あっ!」

春川(思いだしちゃったよ……今更……! 叩かれて思い出すなんて、我ながらなんて単純な脳味噌……)ズモモモモモモモモ

春川「……」

春川「でもまあ、いいか」

春川(特に何も変わりない。記憶を取り戻そうが、取り戻すまいが、私は私)

春川(……似たようなこと、コイツなら言いそうかな)ナデナデ

百田「ハルマキ……」

春川「!?」ビクウッ

百田「……アルカリ性の風呂で王馬をドロドロに溶かすのはやめてくれ……」グギギギギギ

春川「どんな夢見てるの……」

536: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/15(木) 22:18:55.72 ID:+3dRTaID0
中庭

真宮寺「……」

王馬「あ。真宮寺ちゃんじゃん。おはよー!」

獄原「真宮寺くん。こんなところで何してるの?」

真宮寺「アレまだあるんだなーって思ってネ」

獄原「アレ?」

キングプロテア「……」ミヂッ

王馬「まだあったんだ!?」ガーンッ

獄原「……人間の頭皮と毛髪だね、これ。サイズはおかしいけど」ペンペン

キングプロテア(くすぐったい)モゾモゾ

王馬「考えるまでも無く百パーサーヴァントじゃん。なんでまだいるの」

真宮寺「あくまで可能性だけど、地下と地上とじゃ流れている法則が違うのかもネ」

真宮寺「話を聞ければ手っ取り早いけど、現状地上で見えているのが頭のてっぺん程度だから男女の区別すら付かないヨ」

王馬「ま、この辺は下にいる赤松ちゃんがなんとかしてくれるでしょ。状況を悪化させる天才だけど、だからって無能じゃないよ。彼女は」

獄原「うん。そうだね! 赤松さんはいつだって明るいから!」

真宮寺「……」

真宮寺(……何の根拠もないけど、確かになんとかなる気しかしないんだよネ)

獄原「ところでこの髪の色、どこかで見た気がするんだけど……気のせいかな……」

537: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/16(金) 21:32:37.73 ID:gTdTTrvX0
真宮寺「で。質問をそっくりそのまま返すけど、こんな早朝にそっちこそ何を?」

王馬「早朝だからかなぁ。アレを見たくって」

真宮寺「……ああ。空に開いた大穴ね」

王馬「正確には天井に開いた大穴だけど、実際俺たちにとって最近まであれが空だったからねぇ。気持ちはわかるよ」

獄原「うん! ちゃんとした日差しと、ちゃんとした青空だよ。綺麗だね」

王馬「ゴン太と会ったのは偶然だよ。たまたま行先が一緒だったからさぁ」

獄原「……で。あそこからどうやって脱出すればいいんだろう」

王馬「穴さえ開けば後はどうとでもなるよ。入間ちゃんなりキー坊なりが頑張れば」

王馬「問題はあれが穴ってところだね」

真宮寺「どういうこと?」

王馬「……調子を取り戻した入間ちゃんが穴に関する下ネタを言う確率、八十五パーセント」ズーン

真宮寺「百パーでしョ……」

獄原「い、いやなんだね……元の調子に戻られるの」

王馬「できれば彼女に頼らず脱出したいよ……下ネタが耐えがたいんだよね」

王馬「時間停止モノを謳ったA 以上に存在自体が耐えがたいんだよね」

真宮寺「それ自体が既に下ネタだヨ」

王馬「●●描写がワンパな上に●役の口調が必要以上に悪い●●小説以上に耐えがたいんだよね」

真宮寺「わざとだネ。わざとだよネ?」

獄原「????????」

538: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/17(土) 19:44:21.86 ID:EAixPJeA0
超高校級のマジシャンの研究教室

夢野「……いない! ハトムギがどこにもおらんぞ!」キョロキョロ

夢野「まさか単独でセミラミスのところに……!? ●●りか!? ●●られたのか!?」ガタガタ

東条「よくわからない単語を連呼するのはよくないことよ」

夢野「んああっ!? と、東条!? 驚かすな!」

東条「朝ご飯の時間よ。冷める前に食べることをお勧めするわ」

夢野「……」

夢野「傷」

東条「今度こそ、もう大丈夫よ。痛むのは事実だけれども……そろそろ、塞がってきたから」

夢野「……思ったよりみんなボロボロになったのう。最原とかを始めとして」

東条「私は自業自得だけれどもね」フッ

夢野「……」

夢野「さて。今日のご飯は何かのう」

夢野「下手したらここで食べる最後の朝ご飯じゃ! モリモリ食うぞ!」

東条「ふふっ。今日のご飯は腕によりをかけたの。楽しみにしておいて」

夢野「腹がはちきれるまで食べるんじゃー!」






食堂


天海「」チーン

白銀「天海くーーーん! だから言ったじゃん、食べ過ぎだってさぁーーー!」ウワァァァァ

夢野「本当にそこまで食うヤツがあるか!?」ガビーンッ

540: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/19(月) 19:04:50.16 ID:sNe8N8+i0
白銀「……『東条さんのご飯を食べられる機会なんてもうないかもしれないっすから』。それが彼の最期の言葉だったよ」ホロホロ

夢野「死んでおる!?」ガビーンッ

東条「いいえ。死にかけてるだけね。生きてるわ」

夢野「それでも重症なんじゃな!?」

天海「う、うう……仮面が……アマデウスの仮面が……ない」ガクッ

夢野「え? 失くしたのか?」

白銀「帰ったっていうのが正確かもね。ほら、イシュタルさんたちみたいにさ」

夢野「……全部、形跡すら残らないんじゃな。この学園に、巌窟王のものは。なにも」

夢野「終わってみれば夢みたいな話じゃったなぁ。魔術だの英霊召喚だのサーヴァントだのと」

東条「……それじゃあ、ご飯にしましょうか。しんみりするのは後でいいわ」カタッ

夢野「いよっしゃあーーー! お待ちかねの東条の」

麻婆豆腐「」ユエツ!

夢野「麻婆豆腐!? 朝から!? しかも色が真っ赤で臭いが目に痛い!」ガビビーンッ

東条「あら。ごめんなさい。うっかりしていたわ。これはみんなに出すつもりが無かったのだけれども」

東条「……」

天海「それ。東条さんが怪我する前に、巌窟王さんがよく食べてたヤツっすよね」

白銀「!」

東条「……弱い女と笑ってちょうだい。誰に出すわけでもないのに、作ってしまったのよ」

東条「王馬くんの悪ふざけのせいだけれども……彼に食べてもらったほぼ唯一の料理だったから」

夢野「……」

夢野「はくっ」モシャァ

東条「あっ。それ辛さは見た目以上なのに」

夢野「ぎゃああああああああああ辛ッ! かっっっらァ! なんじゃこれは! 地獄原産のホアジャオでも使っておるのか!?」ガタガタ

夢野「でも美味いのう」ハクハク

東条「……」

夢野「ぐっ……う、うううん。美味い美味い。多分、巌窟王も同じことを思ったじゃろうなぁ」

夢野「……幸せだったじゃろうなぁ。あやつ」

東条「夢野さん……」

夢野「……ほら。ウチも巌窟王のことを思い出すぞ。別に弱くもなんともないわい、この程度」

541: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/20(火) 22:09:52.25 ID:aBCfmz550
夢野「ウチはまだやりたいことがいっぱいあるんじゃ……!」

夢野「実現のためにこの学園での思い出は絶対に切り捨てることができない! できるわけないじゃろう!」

夢野「思い出は! 強さじゃ!」

天海「……ははっ! 夢野さん……強くなったっすね。なんか」

夢野「それはそれとして、この麻婆豆腐辛いんじゃあーーー! 涙と汗が止まらないんじゃがー!?」ダバダバダバダバ

天海「唇が腫れてなかったら本当格好良かったんすけどね……」

白銀「……えっと、夢野さん。一緒に食べようか。二人なら早く終わるでしょ」

夢野「頼むぞ!」

白銀(即答……いいのかなぁ。こんなの。天海くんだけでも充分なのに、私のことを仲間だと思ってくれる人がまだいるなんて)

白銀「……ちょっと幸せすぎるかも」

夢野「辛党か」

白銀「全然違う」

東条「そう。よかったわ。実はフライパン一枚分ほど作ったからまだまだ余ってたのよ」ドンッ

白銀&夢野「」

東条「食べると言ったからには食べてもらうわよ。全部。量そのものは二人がかりなら余裕だから安心して?」

白銀&夢野「」

天海「……俺も食べるっすよ」ハハハ





この日、天海、白銀、夢野の三人の間で『麻婆豆腐』が禁句になった

542: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/21(水) 22:30:11.89 ID:T1CU8+9E0
モノクマ「……負けちゃったなー。完璧に。外の世界はどうなっちゃうんだろうなー。キーボくん取られちゃったし」

ネコアルク「気にすんなって。明日は明日の風が吹くさ」キランッ

モノクマ「それもそうだね! あっはっはっはっは」

ネコアルク「にゃっはっはっはっはっはっは!」





「「あーーーっはっはっはっはっはっはっは!」」





茶柱「うるっっっさいんですけど二匹揃ってェ! なんで転子の部屋にいるんですか! そして仲良くなってるんですか!」ウガァ!

モノクマ「マザーモノクマのいるあの部屋、セミラミスさんの改築工事が途中で終わったせいでズタボロなんだよね……」

ネコアルク「ロムルスさんの結界の内側にいたせいで赤松嬢に置いてかれてしまったので行き場もなくー人肌も恋しくー」

モノクマ「ついでに寄宿舎の中でかなりダメージが少ない部屋が今となっては茶柱さんの部屋オンリーと言っていい状況だし」

ネコアルク「病院のベッドの方も埃や砂塵に塗れてないヤツは春川さんが使ってるからにゃー。あの子に関わると命がいくつあっても足りなさそう」

茶柱「……仲良くなっている理由は?」

モノクマ&ネコアルク「仲良しごっこと馴れ合いは十八番!」ビシイッ

茶柱「それを素面で言い合えるのならもう友達と言っていいのでは!?」

モノクマ「……」

モノクマ「で。なんで最原くんを自分の部屋に連れ込んでるの?」キョトン

最原「……」スヤァ

茶柱「……巌窟王さんとキーボさんとの戦いのせいで病院のベッドすらすぐに使えそうなのはないんですよ。さっき言ってたでしょう」

モノクマ「ふっうーん?」

ネコアルク「ほっへぇー?」

茶柱「もう校則も何もないので力尽くで排除してもよいのですが?」ゴキンッ

モノクマ&ネコアルク「……」ガタガタ

543: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/23(金) 21:15:24.85 ID:fnuzjqNf0
茶柱「……最原さんが」

ネコアルク「?」

茶柱「最原さんが起きたときに転子がいないと、危なっかしいでしょう」

茶柱「脊髄反射で無茶をしますし」

モノクマ「巌窟王さんの影響で自分から飛び込んで行ってたよね。火に」

ネコアルク「人間がサーヴァント相手に張り合うとかエアーズロック相手にメンチ切る以上の無意味なんだけどにゃー」

茶柱「確かにこの学園で一番の無意味バカでしたが……転子以外の人間に彼の悪口言われると物凄くムカつきますね」

モノクマ「茶柱さんの沸点はヘリウム並みなの?」


ガチャリンコ


星「茶柱。最原は起きたか?」

茶柱「まだですね。夕方までぐっすり寝てても不思議じゃない眠りっぷりです」

星「そうか。コイツは少し頑張り過ぎていたからな。休めるのなら休んでいた方がいいだろう」

星「これは東条の作った朝飯と、スポドリと包帯だ」

茶柱「あ。ありがとうございます」

茶柱「……えーっと、最原さんの包帯の取り換えは星さんがやってくださいね。転子そのために星さんに声をかけたんですから。身を切る思いで」

星「やれやれ。じゃあ先に手を洗わせてもらうぞ。そういうことをするのならな」

モノクマ「……」

モノクマ「あれ? 水道、まだ生きてるの?」

茶柱「え」

星「……ム……? 確かに妙だ。何故施設としての能力がまだ生きているんだ? 全部終わったはずだろう」

ネコアルク「……あー……施設の長がまだ生きてるからじゃないですかにゃー……」

茶柱「……仮にそうだったとしても転子たちには関係ありませんね。あの傷じゃあ長く生きられないはずですし」

星「赤松に全部任せるべきだろうな。むしろアイツを手伝おうとするのは野暮だぜ」

茶柱「……」

544: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/24(土) 12:21:20.61 ID:w7izNxCi0
茶柱「……出会いの象徴みたいな人たちでしたね。巌窟王さんたち、サーヴァントって」

茶柱「悪影響を与えたり、最原さんや赤松さんを魅了したり」

星「あそこまで理不尽なヤツらは外の世界でもそうそういないと思うがな」

茶柱「でも、呪いを撒き散らすことを選ばなかった転子たちにはきっと彼ら以上の出会いがあるかもですよね」

星「……否定はできねーな」

星「ふっ。俺も絆されたか。少し前は生きる希望なんて何もないと思っていたが……」

星「今はちょっとだけ……一番星みたいな小さな明かりが見える気がするぜ」

モノクマ「うんうん。成長してくれて先生嬉しい! 感動のせいで涙が止まらない!」ネチョオオオオオオ

茶柱「汚ッ! 粘度が高くて気持ち悪ッ!」ガビーンッ

ネコアルク「あちしもサーヴァント由来のアレにゃんですけどにゃー。どう? 出会ってよかった? よかった?」チラッチラッ

茶柱「ノーコメントでお願いします」

星「口を開けば悪口しか出ない、という意味ではなく本当にコメントが不可能だからな」

ネコアルク「そんにゃー」

茶柱「……ところで、ネコアルク同士って通信できたりしないんですか? 赤松さんの安否がわかったりしません?」

ネコアルク「できなくはにゃいんですけど、地下と地上とでノイズが入りまくりで、あまり鮮明な情報は入ってきませんにゃー」

茶柱「それで構わないですから。無事ですか?」

ネコアルク「……あー……」

ネコアルク「宝具レベル上げしているところだからもうちょっと待ってって言ってますにゃ」

茶柱「え? 何ですそれ。意味がわからないから別件じゃないですか?」

ネコアルク「だからノイズが入ってるって言ったのに」

星「もうちょっと待って、の部分だけ抜き出していいのなら、俺たちは赤松が帰ってくるまで学園で待つべきだろうな」

茶柱「幸いライフラインも生きてますしね。好きにさせてあげましょうか」

545: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/26(月) 23:58:24.38 ID:yanit82o0
裏庭 地下

アンジー「……」ガリガリガリ

アンジー「よーしかんせーい!」キラーンッ




『エドモン・ダンテス

生徒を導いた偉大な復讐鬼、ここに眠ってない』




アンジー「完璧なレリーフだよー! これでこの学園に思い残すことはないねー」

アンジー「……」

アンジー「やっぱりどっかで学園のスケッチでも描こうかなー」

アンジー「アンジーにとって満足度百二十パーセントの道行じゃないと、会ったときに彼も残念がるだろうしねー」

アンジー(……考えたこともなかった。アンジーが嬉しいのなら、エドモンも喜んでくれる)

アンジー(エドモンが嬉しいのならアンジーも嬉しい)

アンジー(……似たようなことが他の誰かにも言える。終一、楓、解斗、魔姫、美兎、ゴン太、他の生徒も全員)

アンジー(誰かと感情を交換できるようになるのが絆)

アンジー(そういうささやかな思い出を忘れないように必死に生きていく)

アンジー(仮にまた思い出しライトで忘れられても、それまで必死に生きてきた記録は絶対になくなりはしない)

アンジー(……特に)






アンジー「美術品みたいな形に残るものは、いいよねー」

547: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/28(水) 20:44:30.62 ID:f1d7GApm0
アンジー「後の懸念材料は終一だけだけど……」

アンジー「……大丈夫だよね。ちゃんと起きられるよね。終一」

アンジー「一応ネコアルクに確認しておこうかな。モノクマとデュエルしてた個体が一体だけ残ってたと思うんだよねー」

アンジー「……今どこにいるんだろー? 食堂かなー?」スタスタ






食堂

デデドドドンッドドンッドドンッ エェェェェェェェェェェェェ(死体発見時BGM)

夢野「」チーン

天海「」チーン

白銀「」チーン

アンジー「!?」ガビーンッ

東条「……」

東条「私が来たときには既にこうなっていたわ」シレッ




面倒ごとがイヤだったので東条は嘘を吐いた

548: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/29(木) 20:42:57.61 ID:EitKLrOG0
某所

最原「……」

物凄く大きい黒い竜「……」

最原(なんだこの竜)

物凄く大きい黒い竜(誰だこの人)

最原「……いやいや。僕は確か巌窟王さんが開けた天井の大穴を見て……見た後、物凄く眠くなって……寝たのかな。じゃあ夢かな」

物凄く大きい黒い竜「俺にとっては現実だが」

最原「うわあ!? 喋った! 発声器官どうなってるのドラゴンって!」

物凄く大きい黒い竜「え。あれ。そういえばどうなってるんだろう。考えたこともなかったな……まあいいか」

物凄く大きい黒い竜「何かの縁を辿って夢で繋がったのか……要は魂の迷子だな。良ければ俺の力で元の場所に送り返すが」

最原「……」

最原「帰ったところで、僕にやれることなんてあるのかな」

物凄く大きい黒い竜「無いことは無いのではないか。俺もやることもなくずっとこうしているだけだが……」

物凄く大きい黒い竜「だから待つことはできる」

最原「待つ?」

物凄く大きい黒い竜「ルーラーを……大事な人を待っているんだ」

物凄く大きい黒い竜「世界は絶えず動いている。その場から動くことがないのなら、それはそれで何かに引っかかることもあるだろう」

物凄く大きい黒い竜「川の底の石のようにな」

最原「……僕は……ヒーローになりたかったんだ」

最原「結構ガムシャラに頑張ったつもりだったんだけど、無理だった。目標の人の背中にまったく手が届かなくってさ」

最原「多分一生、手が届かない」

物凄く大きい黒い竜「ヒーローになれなければキミの存在に意味はないのか?」

最原「……」

最原「いや。そんなことはなかった、かな。こんな僕のことを好きだって言ってくれる人もいた」

物凄く大きい黒い竜「ならばやっぱり、やれることはあるのだろう。人間とはそういうものだ」

最原「竜なのに随分と人間臭いことを言うなぁ……」

最原(……あれ?)





最原「何かの縁……? こんな非現実的な場所に僕を呼び寄せるような? まさか……!」

549: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/30(金) 21:51:45.73 ID:Y9rPt+rY0
バサッ

最原「!」

最原(……もう二度と会えないと思っていた。死んだ人間と過ごした日々の方がおかしかったんだから当然だ)

最原(でも僕は……! もう一度会えるのなら、それは奇跡で……!)

最原(あのマントは……見間違えようもない! 二度と手が届かないと思っていた彼の!)

最原「……巌窟王さ――!」ダッ







巌窟王コスのBB「BBちゃんでしたーーーッ!」キャピーーーンッ

最原「んんがおおおおおおおおおおおおおおおおおっっっ!?」ズザザザザリザリザーーーッ

物凄く大きい黒い竜「十メートルくらいズッこけたな」

最原「……び、BBさん……どうしてここに……」ピクピク

BB「甘いですね! 私は死んでも死なないこと、二周目と三週目の狭間に出てくることに関しては定評があるんですよ!」

BB「壊れても世界の裏側に向かう程度は造作もないことです! ていうか裏側って言葉自体に親和性があるので!」キラーーーンッ

最原「じゃあ僕をここに呼んだ縁って!?」

BB「巌窟王さんだと思いましたか? 残念、BBちゃんでしたー!」キャルーンッ

最原「男としては最低最悪だけどもッ! 今すんごくBBさんを殴りたいッ! 何の用!?」ダンッ

BB「脱出おめでとうメールをあげたくて……」スッ

最原「ああ、ありがとう……」カサッ

BB「ジメチルスルホキシドって知ってます?」

最原「確か皮膚に触れると中に混ぜた毒物ごと体内に浸透させる薬品……」ヌショッ

最原「うわあああああああああああ油断したーーーッ!」ポイッ

BB「まあそれただの食塩水ですけどね」プスススーッ

最原「」

物凄く大きい黒い竜(仲がいいのはいいことだ)

550: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/08/31(土) 15:55:42.34 ID:zrrW8+vf0
BB「安心してその手紙を読んでください。お願いっ」マイメロォォォォ

最原「……うん。僕たちを祝ってくれているのなら……」ペラッ



『TYPE-MOON studio BB設立おめでとうございます!
あと才囚学園生徒一同脱出おめおめー

by BB』



最原「何のことだかわからないけど別件が混じってる! むしろ僕たちの脱出の祝福のがオマケじゃない!?」ガビーンッ

BB「……ユーモアはこのあたりにしておいて、本題は手短に済ませましょうか」

BB「まずは脱出おめでとうございます。お陰で私もこっちに来ることができました」

最原「……え?」

BB「ああ、勘違いさせたのなら申し訳ありませんが、私がこちらに来れたのは巌窟王さんが学園の壁を破壊した直後ですよ」

BB「それまでは本当、バラバラの状態のまま完璧に壊れてどうしようもありませんでした」

BB「理屈上は巌窟王さんと一緒にこっちに来たって感じですね」

最原「いるの!? やっぱり、巌窟王さんも!」

BB「もうはぐれちゃいましたけどね。ここ本当に広いので探しても見つからないと思いますよ。ありえない時間を彷徨わない限り」

最原「……紋章を刻印したときに何かしたの?」

BB「このタイミングで理解した!? とんでもない頭の速さですね! 人間にしてはですけど」

BB「有体に言っちゃうとあの紋章こそが私だったんですよね。圧縮した私のデータ」

BB「アルターエゴと記憶復元のプログラムの記録ではなく、それを完全に覚えている誰かが適確な対応をその場で作り上げれば無敵でしょう?」

BB「全部が終わった後、巌窟王さんが学園から去るときに行き場所を世界の裏側に誘導すれば……」

BB「少なくとも『行方不明』ってほどじゃなくなるので」

最原「……物凄く広いんじゃなかったの?」

BB「他にも『終わったヤツが行く場所』の候補は色々あるんですよ。そのどれもが『ありえないくらい広い』んです」

BB「多少なりとも場所を限定してあげたんだから額を地面にこすりつけて感謝してください」

最原「……」エー

BB「……凄くイヤそうですね」

551: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/02(月) 19:28:10.55 ID:Jta5mEbj0
最原「……すぐに会えるっていうのなら考えたけど、労力がかかるっていうのなら僕はいいよ。アンジーさんやみんなには伝えておくけどさ」

最原「ありがとう。BBさん」

BB「いえいえー。このくらい当然ですよー。えへへ」テレテレ

BB「……ところで」

最原「なに?」

BB「ぶぶづけいかがですか?」サッ

最原「呼んでおいてその対応はないでしょ!?」ガビーンッ

物凄く大きい黒い竜「美味しそうだが、食べていかないのか?」

BB「彼は皮肉をまったく理解できていませんが、あなたは理解できていますよね?」

最原「……帰り道はどこ?」

物凄く大きい黒い竜「なんだ。もう帰るのか。それならば道を用意しよう」ズズッ

最原「あ。地面に穴ができた……」

BB「持病ーーーッ!」ドンッ

最原「えっ? あっ、あああああああああああ……」ヒューッ

物凄く大きい黒い竜「……何故突き飛ばした?」

BB「癖です」

552: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/03(火) 21:27:05.04 ID:vUunmabX0
最原「待って! まだ僕は……!」ヒュウウウウッ

最原(うおおおおおっ! 加速が付いてきた……確か人間の体格だと落ちている途中でスピンがかかって遠心力で意識を保てなくなるはずだ!)

最原(相当長い時間落ちないとそうはならないけど、この穴の場合は深すぎる!)

最原「BBさん! 僕は……僕はまだッ……!」

最原「キミにも感謝したかったのに――!」

最原(どうしてサーヴァントは全員、自分の都合しか考えないんだ……!)

最原「……!」

最原(意識が……!)








物凄く大きい黒い竜「あなたも行くのか」

BB「もう用時が完全になくなっちゃったので。次はどこに行きますかねー。自我が崩壊するまで歩いてみましょうか」




「……ありがとう……!」




BB「!」

物凄く大きい黒い竜「……穴から声が聞こえたか?」

BB「気のせいじゃないですか? 私はそうは思いませんけどね」

BB「……」

BB「今更ですがあなた誰です?」

物凄く大きい黒い竜「それを俺も聞きたかったところだ」

553: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/04(水) 20:39:20.06 ID:+WWtz8230
最原「……はあっ!?」ガバアッ

最原「はあっ……はあっ……ゆ、夢……?」ガサッ

最原「じゃないな……手紙が残ってる……」

茶柱「最原さん?」

最原「え?」

最原「……茶柱さん? なんでここに……いやその前に、ここは……?」キョロキョロ

茶柱「あ、後で説明してあげますから、それは。とりあえず……おはようございます」

茶柱「夜はもうとっくに明けてますよ。もう昼です」

最原「……」

最原(忘却補正が……消えたのか……)

最原「あれだけは残せるんじゃないかって根拠なしに期待してたんだけどな……」

茶柱「……ところで、その紙は一体なんですか?」

最原「貰いものなんだ。みんなのことを祝うメッセージが書かれて……」ペラッ

最原(……紙から柑橘類の臭いがする。これまたベタな……!)

最原「寝起き一番でこんな質問をするのは変かもだけど」




星「」チーン




最原「なんで星くんが死んでるの?」

茶柱「激辛麻婆に殺されて」

最原「なんだって?」

554: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/05(木) 20:19:13.61 ID:9hSmhRh/0
茶柱「……昼ご飯、何にします? パン類とご飯類の両方ありますよ。危険物は星さんがその身をかけて処理してくれましたので安心です!」

最原「危険物があったの!?」ガビーンッ

最原「……ま、まあいいや。パン類がいいな。それで、ご飯の後はみんなと集まって話したいんだけど……」

茶柱「転子もそれを考えてました。多分他の生徒も全員。おそらく百田さんあたりが起きたら走り回って、みんなを集めるでしょうから……」



ドタドタドタッ


ガチャリンコッ



百田「茶柱! 終一! 星! 後で食堂に集合な!」


バタンッ ドタドタドタッ……



茶柱「それまではゆっくりしていようって、なんとなく思っていたのですが……」ハァ

最原(まるで僕が起きたのを見計らったみたいなタイミング……)

最原(ゴン太くん並みの野性の勘だなぁ)

最原「時間について話してなかった。すぐに来いって意味だよね」

茶柱「あ、お昼ご飯……」

最原「行きながら食べるよ」

茶柱「ひぃーーーっ! 行儀悪ッ!」

555: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/07(土) 18:54:37.39 ID:76gGQ/xu0
十分後 食堂

百田「……おーっし! 全員集まったな!」

春川「王馬と赤松以外はね」

百田「何事もなく一夜明けたみてぇだな! 全員不安事も解消されたみたいですっきりした顔してるぜ!」

春川「王馬と赤松はいないけどね」

春川「……それに」

天海「」ボヘー

夢野「」ボヘー

白銀「」ボヘー

星「」ボヘー

春川「……何人か魂が抜けてない? 何かあったの?」

最原「これでも話しかければ喋る程度には回復してるらしいから、追及は後にしよう」

最原「それで百田くん。みんなを集めた趣旨は?」

百田「……あ? 必要か、それ?」

最原「必要だよッ! せっかく集まったんだからさ!」

真宮寺「ならこの集まりの冒頭は、僕が仕切らせてもらおうかな。いくつか処理したいことがあるからネ」

アンジー「処理したいことー?」

真宮寺「まだ学園にはいくつか謎が残っている……その種明かしなしには夜もまともに眠れなさそうなんだヨ。気になってさ」

入間「パッと思いつく謎だと……やっぱアレだよな。急に復活したイシュタル」

入間「アイツの復活のお陰で脱出の算段は想定したよりも早くついたけどよ……真っ先に目につくのはアイツの不自然さだ」

獄原「ゴン太たちの目の前でネコアルクに貪られてたはずだからね……」

556: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/08(日) 20:27:25.11 ID:Ur6aooe/0
最原「……食べられたはずのものが出てきたのなら、シンプルに考えて吐き戻したとしか考えられないよね」

入間「クソとして出た! とも考えられるぜ!」

茶柱「……久しぶりな気がしますね。入間さんの下ネタ」

最原「前にアンジーさんの令呪の力で、骨から巌窟王さんが復活してきたこともあったし……」

最原「はっきり言って魔術世界はなんでもありだ。真相を知りたいのなら彼女に訊くしかない」

ネコアルク「……まごまごまご……」ムシャムシャ

アンジー「そこでサバ缶食ってるナマモノのことだよねー」

東条「……今となっては貴重な食糧だから、食べる必要がない者には食べてほしくないのだけれども」

ネコアルク「酷くね? マジ酷くね?」

ネコアルク「……で、えーと。イシュタルを吐いたかどうかが争点なんですにゃ? ええ、吐きましたよ。ゲロッと」

真宮寺「何故?」

ネコアルク「漠然とした質問ですにゃー。『何故吐いたのか』という答えに関しては『用済みだったから』で」

ネコアルク「何故吐いたイシュタルが生きていたのかに関しては『計算外』と言う他ありませんにゃー」

最原「……計算外?」

百田「そっちは後回しだ。先の証言から片付けようぜ。魔術的痕跡は全部消すとか言ってなかったか?」

ネコアルク「神性は骨組み。燃料じゃないから全部終わったら解体して処分するシークエンスでしたにゃー」

ネコアルク「退去するサーヴァントたちに混じって元の世界に帰れるはずなので」

春川「……実際に帰ったんだろうね。姿形が見えないし」

557: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/09(月) 22:50:37.96 ID:hqcrY6ZX0
最原「計算外っていうのは?」

ネコアルク「まさかゲロったイシュタルがあんな見事に再生するとは思わなかったんですにゃー」

ネコアルク「あの人がチート級のポテンシャルの持ち主だってこと物の見事に忘れてたっていうか」

最原「……他に『吐いてみたらそのまま出てきた』って人、いないよね? いたら少しビックリするんだけど」

ネコアルク「ハハハ! 流石に……いやゲロったときちょっと苦しすぎて涙目だったから周囲の確認はまともにやってないけど」

ネコアルク「流石ににゃいにゃい!」

ガタガタンッ

春川「……ん……窓から何か物音が……?」チラッ

ジャガーマン「あっ!」

ジャガーマン「やべっ」サッ

春川「」

百田「ん? どうかしたかハルマキ。そんなサバンナで猛獣にでも遭遇したような顔してよ」

春川「今窓に……」

春川「……」

春川「気のせいだよ。うん」

百田「?」

最原「魔術的痕跡はキーボくんの中にあるものを除いて、ほぼこの学園から消え去る」

最原「……ちょっとだけ不具合があったんだね。イシュタルさんが出てくるなんてさ」

東条「でも今はいなくなっている。それがすべてよ」

入間「どっこい、そうでもねえんだな。これが。魔術的痕跡がすべて消え去るのが本当なら、あのスクーターのミラーすら消えてるはずだ」

キーボ「……あ! そうか! 不具合が無ければ、あのスクーターはまず作れませんね!」

百田「ないならないでキーボに空まで吹っ飛んでもらって、そこから段取りをする予定ではあったけどな。俺の中では!」

最原(意外とよく考えてたんだな……)

百田「意外って思ってんな終一……」

558: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/10(火) 20:53:01.40 ID:NG74Ahwv0
真宮寺「今となってはイシュタルさんも消えていることだし……この問題は解決したと考えてよさそうだネ」

真宮寺「じゃあ次。王馬くんは除外して、この場にいない人について話そう。誰か連絡が付いた人はいる?」

獄原「赤松さんのことだよね。ちゃんと帰ってこれるかな……ゴン太、迎えに行ってこようか?」

キーボ「赤松さんが侵入したという地下への穴は謎の巨人の頭皮によって塞がれてしまっています」

キーボ「学園崩壊の影響がエレベーターに出ている可能性もある以上、アレも使えたものではありませんし……」

茶柱「大丈夫だと思います。ネコアルク経由で赤松さんらしき人と連絡は取れました」

茶柱「……もうちょっと待って、だそうです」

キーボ「……帰っているようですね。よかった、安心しました。どうにか彼女のピアノをまた聞きたいと思っていたところだったんです」

百田「それは同感だけどよ……学園がここまで崩壊しててピアノが無事ってことは……」

キーボ「それなんですが……不自然なことに、巌窟王さんはアンジーさんの次にピアノのことも庇って戦闘していたんですよ」

最原「え? ピアノを?」

キーボ「間違いありません。まあ、あれだけの衝撃だったので直で破壊されずとも調律は乱れまくってるでしょうけど」

最原「……」

最原「……モノクマでもネコアルクでもいいんだけどさ」

ネコアルク「はいは――」

モノクマ「はいはいなんでございましょ!」バァーーーンッ

ネコアルク「むぎゃあっ!?」

モノクマ「バカめ! 残酷マスコット路線で出番を貰えないのであれば、貴様のウザかわ系味方マスコット路線を奪い取るまでよ!」ギンッ

モノクマ「で? なんか用ですか最原サマ? 靴でも舐めましょうかゲヘゲヘゲヘヘ」

最原「路線変更に口出しはしないからせめてキャラは守ってよ……」

モノクマ「自分のキャラには秒で飽きちゃうんだよね。なんなら容姿も変えようかな」ゴソゴソ

ジバックマ「ジバックマだクマー!」

アンジー「ウザいよー」ブチブチブチ

モノクマ「ぎゃああああああああああ毛皮があああああああああああ!」

春川「夜長! 素手で毟ったりしたら変な菌付くよ! やめて!」

東条「後で念入りに手は洗わせるわね」

最原(う、うわぁーーー……そういう問題じゃないと思うんだけどツッコミが追い付かないなぁー……)

最原「……ピアノの調律、やっておいてくれる?」

モノクマ「も、もちろん……暇だからね……その程度やっておくよ……」ピクピク

百田「地肌見えてんぞ……毟り過ぎだアンジー」

アンジー「てへ?」

559: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/12(木) 20:07:47.63 ID:a6CPxeEb0
真宮寺「僕からはこんなところ、かな」

最原「じゃあ次は僕から、でいいかな?」

春川「……なにか気になることでもあった?」

最原「BBさんに会って手紙を渡されたんだけど……」カサッ

東条「……それ、いつの話かしら?」

最原「信じられないかもしれないけど、ついさっきだよ」

獄原「え?」

最原「かなり前に天海くんに頭をぶん殴られて、巌窟王さんの精神と夢で繋がったことがあったんだけど、それと同じ原理だと思う」

最原「死んでも縁や絆は簡単に切れないみたいだね。流石にこんなことが二度三度続くとは思えないけど」

百田「……その手紙、中身はなんて書いてあんだ?」

最原「これ」ペラッ

真宮寺「……簡潔だし明らかに別件も混じってるネ……」

最原「今から考えるとこれが不自然なんだ。紙の大きさに対して内容が少なすぎる」

最原「加えて、紙から微かに臭う柑橘類の臭い……BBさんは食塩水って言ってたけど、多分実際に食塩水なのは淵に付着してた部分だけだ」

東条「……炙り出し?」

アンジー「うわー。すごくしゃらくさいよー」

最原「誰かライターかアルコールランプとか持ってない? すぐに確認したいから焙ってる間固定できるものがいいんだけど」


シュボッ


夢野「あ……あ……」ガタガタ

キーボ「夢野さんがジッポライター所持していたようですね。マジック……いや魔法用でしょうか」

春川「まともな受け答えすら覚束ないじゃん、アレ」

最原「え、えっと。借りるよ?」

560: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/13(金) 19:37:01.87 ID:hifsYsiF0
ジジジ……

最原「……やっぱり! 文字が浮かんできた! えーと……」




『三日程度待っていてください。すぐに用意しますので』




最原「……??????」

入間「あんだこりゃ? 三日程度待て……? 何をだ?」

春川「炙り出しは果汁を使って文字を書くのが主流だからどうしても字が滲んで大きく書かないとダメなんだよね」

春川「……紙の大きさが足りなかったのかな。最原。なにかわかる?」

最原「脱出おめでとうって書かれている手紙に『三日待て』って書かれてるんだから、穴が開いた学園から脱出するのはしばらく待てって意味……」

最原「……だと思うんだけど、あまり賛成できないな」

百田「ん? どうしてだ?」

最原「かなりぐっすり眠っちゃった僕が言うのは凄く間抜けなんだけど、外の世界の人間が僕たちに何もしてこない可能性を信じられないんだ」

最原「今ごろ、どんな算段を付けているか……」

百田「忘れたのかよ終一! そのためにキーボの魔術的処理を残したんだろうが! 全部テメェの発案だぜ!」

キーボ「生半可な報復行動ならボクがどうにかしますけど……生半可以上となると少し不安です」

白銀「……ご、ごほっごほっ! げはっ! あ、あの、一ついい?」

アンジー「あ。復活した」

白銀「多分、外の世界からの攻撃は無視して考えていいと思うよ」

白銀「考えても見てよ。私たちの抹殺に失敗した魔術師が、次に誰を標的にすると思う?」

百田「?」

最原「……あ。もしかして!」

白銀「この学園を作って運営して放映していたチームダンガンロンパが次のターゲットになってると思う」

白銀「余計なことを知っているかもしれないしね。もちろん、チームダンガンロンパの方も生半な組織じゃないけどさ」

白銀「だからこそ事態は膠着して泥沼化してると思うよ」

白銀「……何事もなくニューダンガンロンパV3をフィクションとして放映し終えてから纏めて抹殺したかったんだろうけど」

561: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/15(日) 00:02:35.11 ID:nzeFBvbC0
入間「あ! じゃあよ! ずっとこの学園で生きていくってのはどうだ! まさに発想の逆転、天才の俺様大勝利だな!」ヒャッハー!

東条「そんなわけにはいかないでしょう。無視ができると言っても長くて数ヶ月程度の話でしかないわ」

真宮寺「早くて数週間……小競り合いが終わったときどちらの勢力が生きているかは問題じゃない」

真宮寺「どちらにしても僕たちに相当の恨みがあるだろうからネ」

百田「それに仮に残ったらだ。これまで何のために命懸けで戦ったのかわからなくなっちまうだろ」

入間「う……」

最原「……三日程度なら待っても問題はない、かな。うん、少しは勝算のあるギャンブルかもしれない」

アンジー「にゃははー! こりゃ残留で決まりだねー! それじゃあ、病院のベッドを今の内にもっと使えるように修繕しておかないと――」

最原「アンジーさん」

アンジー「……?」

最原「次に心配なのはキミに関してだよ」

アンジー「へ?」

最原「……みんなあまり深くは突っ込んでなかったけどさ、巌窟王さんがいなくなったんだよ?」

最原「その……大丈夫かなってさ……」

アンジー「……」








アンジー「……う……!」ジワッ

最原「!?」ガビーンッ

茶柱「おバカっ! もうちょっと段階とか聞き方ってものがあるでしょう!」バシーンッ

最原「ごめぶっ!?」イタイ!

アンジー「だ、大丈夫……泣かない、泣かないよー」ゴシゴシ

アンジー「悲しいよ! 寂しいよ! でも……だからってアンジーに何ができるの?」

アンジー「前に進むしかないよね……泣いたって、慰められたって、現実は何も変わらないんだよー?」

アンジー「何も……!」

563: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/16(月) 21:13:01.29 ID:h6urHTFb0
「……にしッ」

最原「ん?」

「にししししし……にししし……」

「あーーーっはっはっはっはっは! 違うなぁ! 全然違うよアンジーちゃん!」

「俺たちはさんざっぱら目にしてきたはずだ……現実は変わる」

「嘘で! 『現実』は! 変えられるんだよ!」

百田「この声……まさか!」

百田「……って形式上言ってみるが一人しか該当者いねーよな」

王馬「ええっ!? 心当たりがあるの百田ちゃん! 一体誰!?」

百田「あばっふあ!?」ガビーンッ

最原(いつの間にか食堂の中に侵入してる!)ガビーンッ

アンジー「小吉?」

王馬「外に出てみようよアンジーちゃん。面白いものがあるかもよ?」ニヤァ

アンジー「……?」

王馬「まあまあいいからいいから!」グイグイ

アンジー「あ? あー……」ペタペタペタ

最原(……王馬くんに引っ張られて外に連れ出されてしまった)

春川「……アイツ、何する気?」

最原「彼なりにアンジーさんを励まそうとしてるのかな」

入間「……なんかイヤーな予感がしねぇか……?」ダラダラダラ

真宮寺「様子、見てみないわけにはいかないよネ」

564: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/18(水) 18:06:47.41 ID:ce31ictl0


王馬「葬式っていうのは徹頭徹尾生きている人間のための儀式だ」

王馬「悲しんだフリ。立ち直ったフリ。誰かを思いやってるフリ。その場に則しているのならどんな嘘でも吐き放題」

王馬「俺が埋もれちゃうから冠婚葬祭どの行事も基本嫌いだけど、今日だけはアンジーちゃん他余り物くんたちのために一肌脱いであげたよ!」

百田「誰が余りモンだ」

春川「……なんだ。外に出てみたはいいけど、何もないじゃん。安心した」

王馬「……」ポチッ



ヒューーーーッ ボンッッ



最原「!」

夢野「……あ、あ、あれはっ……!?」

王馬「ま、略式だけどさ。行事に花火は付き物でしょ」

最原(あれは……!)

入間「お、おい。あの色はまさか……!」

王馬「入間ちゃーん、いつの間にこんなもの作ってたのさー。巌窟王ちゃんと同じ色の炎を出す燃焼促進剤なんて」

最原(空に打ちあがっていたのは、黒い花火だった。いつか入間さんが作った燃焼促進剤の作る)

最原(彼と同じ色の偽りの炎)

アンジー「……」

最原(……でも。偽物だったとしても)

最原(あの炎の色が僕たちの心を痛めるくらい懐かしい)

王馬「あと少しボンボン弾けさせるよー!」ポチリッ

入間「俺様の発明品ーーーッ!」ガビーンッ

565: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/20(金) 16:27:20.96 ID:fC/xwglJ0
ヒューーーーッ……ボボボボンッ

百田「おおーーー……やべぇな! なんかテンション上がってくんな、アレ!」ワクワク

入間「勝手に上げんな! 弾けさせすぎだクソドチビ! 一体どのくらいアレに突っ込んだ!?」

王馬「全部っ部」サラリ

入間「全部っ部!?」ガビビーンッ

真宮寺「また後で作ればいいと思うヨ」ポンッ

入間「い、いや……いやいやいや! あの炎は仕上げに巌窟王が出していた炎を穴が開くほど見つめながら色を細かく微調整しなきゃ作れない……」

入間「つまるところモデルがいない今! もう二度と完全に同じ色にはならなくって!」



ヒューーーッ ボボボーボッ ボーボボンッ



入間「話を聞けぇーーーッ! せめて一滴残してサンプリングさせてくれーーー!」ガビーンッ

王馬「人生って花火みたいなものだと思わない? 儚さとか」

春川「聞く耳持ってないねコイツ。最悪」

入間「……」

入間「はなびきれー」ボアーッ

夢野「あ、諦めおった……!」

天海「……ご愁傷様っす」

星「後で肩でも揉んでやろうか?」

最原(さっきからちょくちょく復活してきてるな……)

566: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/21(土) 20:27:49.47 ID:0jR4Tcmx0
キーボ「……待ってください。つまり王馬クンは入間さんの研究教室に忍び込んだわけですね?」

王馬「……ん。耳にノイズが入っちゃったな」

キーボ「ボクの声をノイズ扱いしないでください! 入間さん! 沈んでないで周囲を見てください! この程度で終わるはずがありません! だって」




ギュンッ




全員「!!!!!!!!!!!」

最原「がっ……!」

アンジー「……え」

最原(正直な話、それが見えたのは一瞬のことだったと思う)

最原(でも、僕たちはそれをそうだと認識した。例え一瞬だったのだとしても、その衝撃は忘れないだろう)

アンジー「エドモン……!」

最原(その影は僕たちには一切振り向くことなく、天井に開いた穴に真っ直ぐ向かって飛んでいき)

最原(……そのまま見えなくなった)

春川「……嘘……だって、アイツは……!」

最原(その背中を、僕たちは呆然と見つめていた)

キーボ「……ああ、もう……こんなことのために……」

入間「……こんなこと……?」

入間「あっ」

最原「え?」

入間「あ、あ、あああああああああ……!」

入間「やりやがったなこのドチビィィィィィィィ!」

567: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/23(月) 12:06:13.27 ID:mNqW0ssy0
最原「どういうこと?」

獄原「……巌窟王さんじゃなかった」

最原「え」

獄原「ごめん。ゴン太、目だけはいいんだ。凝視すれば流石にわかるよ」

獄原「マントの下に隠れていたのは、木の骨格を付けたスクーターだった……気がする」

アンジー「……木の骨格……?」

王馬「なーんだ、一番騙されやすそうなゴン太が引っかからないのなら、この嘘は出来損ないだなぁ。食えたモンじゃないや」

百田「お、お前……!」

入間「そうだよ! あの空飛ぶ巌窟王の正体は……!」

入間「俺様たちが脱出の段取りに使うはずだった飛行スクーターだ! 一台しか作れなかった超~~~~~貴重品の!」

白銀「な」

天海「な」

夢野「なんじゃとォ~~~ッ!?」ガビーンッ

王馬「時間になったらアクセルを踏んで無人で飛ぶようにセットしておいたんだよね」

王馬「まあ大丈夫でしょ。キー坊を飛ばせば段取りそのものは問題ないし」

入間「いやっ、おまっ……ふざけんなよ? ふざけんなよ!? 俺様が魔術に触れられる最後の機会をテメェはよォ~~~!」

春川「……ねえ。今はそれどころじゃなくない?」

入間「あァ? 何がだ!?」ゼェゼェ

春川「あれだよあれ」

入間「あれ……?」







アンジー「……」ゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴゴ

入間「あふ」ガクーンッ

天海「腰抜かした!」ガビーンッ

星「……地雷だったか……?」

568: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/25(水) 21:38:44.77 ID:wkIbyNwb0
「……ぷっ……」




アンジー「あっはっはっはっは! 一瞬……ほんの一瞬だったけど騙されちゃったよー!」ケラケラ

最原(よ、よかった。存外機嫌良さそうだぞ!)

アンジー「お礼に死をプレゼントしてあげる」ギンッ

王馬「」

最原(激怒してたーーー!)ガビーンッ

アンジー「……」

アンジー「この嘘でチャラにしてあげるよー」

王馬「え」

アンジー「……やり方はどうあれ、さ。アンジーを励まそうとしてくれたんだよね?」

アンジー「この場に彼がいればまず間違いなく哄笑しながら小吉を八つ裂きにしてただろうけど」

春川「目に浮かぶね」

アンジー「……現実にはそうじゃないからさ」

王馬「そうでもないよ。嘘で変えられる現実は間違いなくある」

王馬「……未来っていう現実がさ」

アンジー「……」

王馬「ま、今回は半ば失敗したけど、本当はアンジーちゃんはもっと元気になるはずだったんだ」

王馬「それに、一瞬完全に騙されたとき、どんな気分だった?」

アンジー「ちょっと嬉しかったよー。ぬか喜びだったわけだけどさー」

王馬「そっか。それならまあ、俺は別にそれでいいんだ。何よりの報酬はキミの笑顔だから……!」キランッ

百田「しゃあしゃあとコイツは……」

569: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/27(金) 21:06:00.61 ID:b4uKjyF60
王馬「さて、それじゃあ本題! 俺たちはいつ脱出すればいい?」

最原「……」

百田「三日後の朝だ。赤松も帰ってきてねぇしな……」

最原(結局百田くんが半ば適当に言った決定がそのまま生徒全員の決定となった)

最原(スクーターは王馬くんのイタズラで消失。キーボくんがいなければ外への脱出の段取りはできない)

最原(脱出がたった一人の能力頼みになっている時点で否応なしに僕たちは共同体になってしまう)

最原(今更それに異議を唱える人はいないけど)

最原「……」

最原「三日後、いや……あの言い方だと違うだろうな」

最原「三日以内に何が起こる?」

最原(その後、しばらくはおだやかな時間が続いた)

最原(……赤松さん抜きで)







待機二日目 夜

キングプロテア「……」モゾモゾ

ズポッ

570: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/28(土) 21:49:09.70 ID:ujxGk7yL0
赤松「……かっ……!」

赤松「帰って……これた……!」ズタボロッ

ネコアルク「お疲れ様でしたにゃー。いやマジでお疲れ様でした」

赤松「……あ、ありがとうキングプロテアさん。BBさんによろしく伝えておいて」

キングプロテア「ばいばいです」ヒラヒラ

赤松「本当に凄い冒険をした……ローマ皇帝の歌声聞かされたりドラゴンの女の子の歌声聞かされたりネコリンボが裏切ったり……!」

ネコアルク「イベントショップの店員したりなんだりと大忙しでしたにゃー。いやー。みんなが見てないのが惜しかった」

赤松「……でもまあ、その甲斐はあったけど」

赤松「急ごう! ネコアルク!」

ネコアルク「らじゃー!」

セミラミス「……」ボソッ

赤松「え? なんか言ったセミラミスさん! 酔うから走るのやめろって提案はなしだよ! 勝手におんぶしてる私が言うのもなんだけど!」

セミラミス「死ぬまでに一度でいいからスマブラに出演したかった」ボソッ

赤松「どうしてロクでもない願いがそうポンポンと出てくるの!?」ガビーンッ

ネコアルク「しかも願いの規模が無謀そのものですにゃ」

赤松「しばらく黙ってて! もういいから! 私は私の約束のために、最後まで全力出すだけだから!」

セミラミス「……」







病院

最原「……明日になったら脱出開始か……赤松さん、まだ帰ってこなかったな」

最原「間に合うといいんだけど……」


……ポーンッ


最原「?」


ポーンッ ポンポンポーンッ……


最原(ピアノの音? こんな夜中に……)

最原「……まさか」

571: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/09/30(月) 21:59:41.99 ID:BpqVKkO20
超高校級のピアニストの研究教室 外 廊下

最原「……ドビュッシーの……月の光だっけ」

最原(一度だけ赤松さんの研究教室からCDを借りて聞いたことがある。あのときと違うのは、彼女が直接的に弾いているところだろう)

最原(部屋の外には、アンジーさんが中をこっそり覗き込むように立っていた。僕に気付くと小さく手招きする)

アンジー「……帰ってきたみたいだねー。望み通りに、さ」

最原(中にはネコアルク。椅子に座ったセミラミスさん。ピアノを弾いている赤松さん)

最原(……セミラミスさんは、今にも消えてしまいそうに身体を明滅させている)

最原(でもこの部屋に満ちている空気は穏やかなものだ)

最原「……本当に怖いな、彼女。赤松さんのことだけは絶対に怒らせられないよ」

アンジー「迂闊に約束なんてできないよねー。地獄で血の池風呂浴びてても無理やり引っ張り出されそうだもん」

アンジー「でもアンジーは楓が楽しそうにしているの、見てるの好き」

アンジー「楓の若干空元気入った明るい声も嫌いじゃない」

アンジー「多分みんなそうだと思うなー」ニコニコ

最原「……うん。僕も好きだよ」

アンジー「転子にチクってやろー」ニヤァ

最原(ハメられた!)ガビーンッ

セミラミス「……」ボソッ

最原「あ」

最原(……ほぼ一瞬のことだった。セミラミスさんが演奏途中の赤松さんに何か声をかけて……)

赤松「!」

最原(ハッとなった赤松さんが顔を上げて、彼女のことを見て)

バキンッ

最原(……セミラミスさんは、跡形もなく消えてなくなった)

赤松「……」

赤松「……」グシッ

最原(……この部屋の電力はモノクマの修理の甲斐もなく、まだ復旧しきっていない。だから暗闇の中、赤松さんの影が辛うじて見える程度だ)

最原(だから顔を何度もこすっている、ということしかわからなかった)

572: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/02(水) 20:44:01.64 ID:3QKG9Lya0
赤松「……はー……」

赤松(やりたいことは全部やった。かなり周りに迷惑かけまくっちゃったけど)

赤松(みんなはもう脱出してるのかな。多分してないだろうな。ネコアルク経由で伝言はしたし)

赤松(……ちゃんと話さないと。全部)

赤松「ネコアルク。眠れる場所探して」

ネコアルク「合点承知の助ー!」

ネコカオス「数多くの気配が病院の中に集まっていた。おそらくほとんどの生徒はあそこで寝泊まりをしているはずだ」

ジャガーマン「……よく頑張ったね。えらいえらい」ナデナデ

赤松「や、やめてよネコアルク……」

ネコアルク「え? 何を?」

赤松「へ? 今私の頭を撫でたでしょ?」

ネコアルク「ん?」

赤松「え?」

ネコカオス「お取込み中のところ申し訳ないが」ガチャリンコ







最原「あ」

アンジー「あちゃー」

ネコカオス「ドアの裏に隠れていた彼らは、キミの友達ではないかね?」

赤松「!」

573: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/04(金) 20:51:23.26 ID:cfhLn+zK0
赤松「ええっと……見てた?」

アンジー「聞いてもいたよー! 流石にセミラミスの最期の言葉は聞こえなかったけどねー」

アンジー「……なんて言ってたの?」

最原(好奇心のままに口に出すな、この人は……僕も興味あるけどさ)

赤松「秘密。一生言わない。詮索もされたくない」

アンジー「だよねー」

赤松「ふふふ」

最原(……わからない空気だ。サーヴァントと順当に絆を深めた二人にしかわからないものがあるのだろう)

赤松「で。最原くん、実は伝えなきゃいけないことがあるんだけど……」

赤松「……」

赤松「明日でいいや。今日は眠い……今何時?」

最原「ええっと……待って。モノクマーズパットを見れば正確な時間が――!」

最原「……」

最原(ああ)

アンジー「……モノクマーズパット、壊れちゃったのー? 画面が……」

最原(そうか。この学園の新しい主が消えたから……)

赤松「……う……ぐ……っ!」ジワッ

最原(……少しずつ壊れていく)

最原(少しずつ終わっていく)

最原(僕たちの学園生活が)

574: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/06(日) 20:03:34.00 ID:mxnOdMuX0


百田「あァァァかァァァまァァァつゥゥゥ!」ピョイーーーンッ

赤松「凄い跳んだーーーッ!?」ガビーンッ

ダダダダダダダッ ダンッ

春川「……」ビュンッ

百田「え?」








グインパクト




バガァァァァンッ


百田「ぎゃあああああああああああああ!?」

赤松「と思ったら春川さんも跳んでライダーキックおみまいしたーーー!?」ガーーーンッ

白銀「ライダーキックはキン肉バスターと同じで、リアルでも一応再現可能なんだよね。プロレスラーが証明してる」

天海「普通のキックよりは危険らしいっすけどね」

最原「はしゃぎすぎだよ! みんなして!」

春川「私は止める側だよ。勘違いしないで」

王馬「ノリノリで最新式ライダーキックをかます女の子の台詞じゃないよ……」

575: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/07(月) 20:36:25.60 ID:IKMyStBG0
春川「……おかえり。赤松」

百田「あ! ズリィ! 俺が最初に言おうとしてたのによ!」ガバリッ

星「お前はいい加減落ち着きを持った方がいい」

赤松「うん……みんな! ただいま!」

ブヂイッ

赤松「いいっだぁぁぁ!?」

入間「……毛根付き毛髪ゲット。後でDNA鑑定かけてみねーとな。偽物かもしんねー」

赤松「本物だけど!?」ガビーンッ

キーボ「すみません赤松さん。彼女は王馬クンに酷い狼藉を働かれ、今ちょっと人間不信気味なんです」

赤松「私がいない間に何があったの!?」

東条「赤松さん。帰還おめでとう。腕によりをかけてケーキを作ったわ」バチバチバチシュボオオオオオオッ

赤松「何それ!? あ、ケーキ!? ケーキ部分より花火部分が多くて一瞬『何それ!?』って思っちゃったよ!」ガビーンッ

最原「……みんな嬉しいんだよ。赤松さんが帰ってきてさ。これで一緒に外の世界に出れる」

茶柱「ええ! これにて一件落着ですね! 今度こそ……!」

赤松「……」

赤松「あのさ。みんな」

真宮寺「何? 僕の祝福の証、モーショボー人形を作りながらで良ければ聞くけど」グッグッ

赤松「モーショボー人形!? それもプレゼントなの!?」ガーンッ

アンジー「アンジーも色々作ったんだよー! 楓の似顔絵とかさー! ほら、あそこで布被ってる塊」

最原「その布、絶対に取らないでね! せめて外に出るまでは!」

赤松「い、いや……その……」シドロモドロ

最原「……どうかしたの? 赤松さん」








赤松「私、外の世界には出たくない……んだけど」ダラダラダラ

全員「……」

全員「はああああああああああああああああっ!?!?」ガビビーンッ

577: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/09(水) 21:38:41.79 ID:v6/m5UQT0
最原「なっ、なななっ……ななななな、なんで!? どうして!? 悪い夢でも見たの!?」

ガシャーーーンッ

獄原「……ハッ! しまった! ショックのあまり標本を落としちゃった!」

白銀「モノクマ! モノクマーーー! カウンセリングの用意!」

モノクマ「モノクマーズが全滅しちゃったからもう無理でーーーす!」

夢野「ど、どうしたんじゃ赤松!   パンだったころのお主はもっと輝いておったぞ!?」

赤松「だからアレはセミラミスさんが勝手に言ってただけで私  パンじゃないってば!」

王馬「思い出せ! 黄金の  パン時代を!   パン!   パン!   パン!   パン!」

入間&夢野「  パン!   パン!   パン!   パン!」

赤松「イジメだよねイジメなんだよねコレ!」ガビーンッ

赤松「違うって! コレ見てよコレ! 別に逃げるわけじゃないってば!」ペラッ

最原「紙?」

赤松「契約書。なんか炎ボーボー出す自称ジャンヌ・ダルクさんに書けって言われたんだけど……」

茶柱「はあ……?」

アンジー「……これ……は……!」

最原「ばっ……バカな! そんな!?」







赤松「私、実は巌窟王さんのホーム……カルデアに呼ばれてる、みたいな……?」

ネコアルク「既に内定してて、この学園から去った後にすぐ行くことになっておりますにゃー」

580: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/11(金) 21:30:06.06 ID:eBWaw8TC0
赤松「ネコアルクとコンビで期間限定サーヴァント? みたいなのやってたらさ。なんかいつの間にか正式加入することになって……」

最原「え。え。え」

赤松「あの……ごめん。今の今まで姿消してたからアレなんだけど」ダラダラダラ

ネコアルク「就職先! 決まりましたにゃー!」

ネコアルクs「祝えー! イエエエエエエエエエエエエエイ!」ドンドンパフパフ!

入間「……ぬ……ぬ、ぬ、ぬ、ぬ……!」ガタガタガタ

王馬「抜け駆けだぁぁぁぁぁ!?」ガビビーン!

春川「赤松……ホントアンタさぁ……ホントにさぁ……そういうところが最悪にさぁ……」ハァーーーーー

獄原「おめでとう赤松さん! あれ? 祝うんだよね? おめでたいことなんだよね?」

入間「おおおおおおおおうおうおうおうおう……なんで赤松が! なんで赤松なんかが!」ダバダバダバ

最原(滂沱の涙を流してる……)

アンジー「……」

アンジー「本当に行っちゃうの?」

赤松「うん。運で結ばれた縁でしかないけど……」

赤松「私! 例え別人だったのだとしても、巌窟王さんやBBさんに会いたい!」

赤松「……セミラミスさんとも!」

アンジー「そっか。頑張ってね」サラリ

茶柱「不気味なほどあっさりですね。思うところはないんですか?」

アンジー「あるよー。あるけどさー……」

アンジー「アンジーはアンジーの道で、エドモンと再会したいから」

茶柱「……なんか背、伸びました?」

アンジー「にゃははー! ちょっとはそうかもねー! まだまだ成長したりないよー!」キラキラキラ

赤松「というわけだからさ。私は地下で待ってるカルデアの人と一緒に、魔法陣を潜って向こうに行っちゃうから」

赤松「……みんなを見送らせて欲しいな」ニコ

581: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/13(日) 17:48:05.35 ID:OcdSLI5M0
入間「……いいなぁ。いいなぁ。赤松ばっかズリィなぁぁぁぁぁ……」

獄原「みんな。入間さんがいじけちゃってるけど」

百田「ほっとけ、と言いたいところだが、最後だしな。励ましてやるか」

王馬「よっ! 天才発明家!」

百田「脳殺巨 !」

王馬「そこそこの美女!」

百田「天下一の脳細胞!」

王馬「ゲロ豚シャブ●●●! ●●●!」

入間「大分早い段階から悪口になってんだろうが! やめろバーカバーカ!」

入間「もういいぜ! こうなったら俺様もやることは一つだ!」

百田「おっ! 立ち直ったな! よかったよかった!」

入間「スイッチオン」ポチッ

百田「ん?」



ガシャガシャガシャガシャコンッ




エグイサルs「」フシューーーーッ……

全員「」

入間「……」

入間「俺様がラスボスだーーーッ!」ヒャッハー!

最原(変な立ち直り方してるーーーッ!)ガビーンッ

赤松(エグイサル修理してるーーーッ!)ガビビーンッ

582: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/15(火) 21:17:46.36 ID:QFB1HuNv0
夢野「落ち着けェーーー! 落ち着くんじゃ入間ァ! こんなことをしても現実はなにも変わらん!」

入間「夢野ォ……手を組もうぜェ……!」フシュルルルルル

夢野「は?」

入間「アレを見ろォ!」

夢野「アレ?」チラッ

ハトムギ「くるっぽー」

赤松「……ん? あ、ハトムギ。なんで私の頭の上に乗ってるの?」

夢野「…………………………」

夢野「は????????????」

最原「……赤松さん。彼女に懐かれるようなマネした?」

赤松「いや、特に……むしろ私、セミラミスさんを地下世界から連れ戻すのに彼女に随分と助けられてさ……よしよし」ナデナデ

ハトムギ「くるっぽー」

夢野「えっ。セミラミス? えっ? えっ?」

入間「●●りだ●●り」

赤松「ねとり?」キョトン

ハトムギ「くるっぽー」

夢野「……ふっ……」







夢野「うおおおおおおおおおおおおおおお! 許さんぞおおおおおお!」ゴオオオオオオッ

赤松「!?」ガビーンッ

夢野「よくも……よくもウチの商売仲間を●●ってくれたなぁぁぁぁぁぁ……」フシュルルルルル

赤松「えええええええっ!? いや、これは違っ……ていうか仮に彼女を誘惑した人がいたとしてもそれセミラミスさんで! 私関係無い……」

夢野「殺すッ!」ジャキイイイインッ

赤松「殺す!?」ガビーンッ

最原(どこからともなく丸ノコが出てきたーーーッ!)

入間「ヒャーーーハハハハ! いいぞ! やっちまおうぜ! 俺様たち二人で!」

ギュイイイイイイイイイインッ ドグシャアアアアアッ

583: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/15(火) 21:27:19.05 ID:QFB1HuNv0
入間「……ゑ?」

最原(今の一瞬、何が起こったのか僕たちは全員理解できなかっただろう)

最原(だって、今夢野さんが粉々にしたのは……入間さんが持っていたエグイサルのコントローラーだったから)

夢野「……」ギュインギュインギュインギュイイイイイイイイインッ








夢野「貴様ら全員を! 殺すッ!」ジャキジャキジャキジャキイイイイイインッ

百田「丸ノコ増えたーーーッ!」ガビーンッ

天海「ていうかドリルも追加されてるーーーッ!?」ガビビーンッ

入間「え? なに? え? 俺様、ラスボスになるはずじゃ……え? え?」オタオタ

東条「入間さん! 今すぐそこから離れて! そのままじゃ一番最初にミンチになるのはあなたよ!」

夢野「ウチの魔法の供物になれェェェェェェ!」ギュイイイイイイイインッ

入間「ぴゃーーーーーーーッ!?」ダッシュッ!

赤松「入間さん! こっち! こっちーーー!」

茶柱「いやダメです呼ばないで! じゃないと暴走した夢野さんまで」

夢野「サバトじゃああああああああああああ!」ギュイイイイイイイイインッ

茶柱「こっちに来ちゃいますからヴェエエアアアアアアアアアアア!?」



ドカァァァァァン! ドリドリドリドリ バツーーーンッ ギャーーー!



白銀「……夢野さんが……裏ボスになった……」ガーンッ

最原「……だ……誰か」

最原「誰か……助けて……」

最原「誰か僕たちを助けてくれーーーッ!」






カルデア

??「はい。それでは、最後の支援です!」ポチッ

584: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/17(木) 21:51:45.71 ID:Jkli8XaZ0
??「……これで正真正銘、完全にお終いです。私たちの我儘に乗ってくれてありがとうございました」

???「別に構いはしないさ。貴様には随分と世話になったらしいからな。俺はまったく覚えがないが」

??「……あの。人生を台無しにするレベルで人が好すぎません? ちょっと心配になってくるんですけど」







巌窟王「クハハハ! なにを言う! まったく見覚えのない人間に嘘を吐いたのだからな!」

巌窟王「その俺がお人好しなどと、まったく笑えるジョークだ」

BB「別に構いやしないんですよ、嘘で」

BB「真実と嘘に違いなんてありはしません。特に人間にはね」

BB「その違いを認識できるとしたら人間より上の知生体だけ」

BB「だから全然構わないんです。見抜かれてない嘘は真実そのものなのですから」

巌窟王「……気に入らない論理だ」クルッ

BB「おや。どちらへ?」

巌窟王「マスターに呼ばれている。またくだらないクエストだろう。だが行かないわけにはいくまい?」

巌窟王「俺は徹頭徹尾、あの男のサーヴァントだからな!」ギンッ

BB(……さてと。これでこの世界への興味を、私は完全に失いました)

BB(さようならです。才囚学園のみなさん)

585: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/20(日) 08:25:31.88 ID:FzR96pf+0
才囚学園

血塗れの入間「」チーンッ

赤松「入間さんが死んだ!」ガビーンッ

白銀「このひとでなし!」

茶柱(いやー。実際はケチャップを頭から被って死んだフリしているだけですけど。バレないものですねー)

ケチャップ入間「……」

赤松「春川さん! 助けて! 犠牲者出てる! 犠牲者出ちゃってるから!」

春川「めんどい」ンアー

赤松「なんで超初期の夢野さんみたいなこと言ってるの!?」

春川「夢野の怒りと体力が尽きるまで頑張って。そう時間はかからないから」

春川「二十四分くらい……?」

赤松「疑問調だし結構長いし!」

百田「頑張れ赤松頑張れ! お前は今まで良く頑張ってきた! これからも頑張れる!」

赤松「いやそろそろ助けがないと心が折れ――」

夢野「止めじゃアアアアア!」ギュイイイイイインッ

赤松「なああああああああ!?」ガビーンッ



キラーンッ



キーボ「あれ。なんか空から降ってきませんか?」

獄原「え? なんか……ってなに?」チラッ

姫路城「書籍超特急ドーーーーンッ!」グシャアアアアアアッ

夢野「んあああああああああああああっ!?」

最原「空から姫路城降ってきたーーー!? なんで!?」ガビーンッ

赤松「こ……これは……刑部姫さんの姫路城! の人間大ミニチュア!」

茶柱「見覚えあるんですか!?」

586: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/22(火) 22:06:41.53 ID:HjsaBEgi0
最原(なんか知らない女の人の声が聞こえたような気がしたけど……)

百田(うっ。何故か頭の中に太陽神殿の映像が……何故だ……?)ガタガタ

最原(トラウマを刺激されている……)

最原「いやそんなことより夢野さんの身体が丸っと姫路城に押しつぶされてるよね、アレ!」

獄原「た、大変だ! 早くどかさないと!」

夢野「……」ズルッ

白銀「あれ。自力で抜け出してきたよ」

東条「……無傷のようね。どうやら」

夢野「……うっ……」ポロポロ

獄原「う、うわぁ! 泣いてるの、夢野さん! 痛かった!? どこか見えない場所にたんこぶとか……」

夢野「ううううううううううう……!」

白銀「……ん。夢野さん? あのさ」











白銀「その片手に持ってる厚手の本、なに?」

587: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/25(金) 20:06:51.18 ID:e677obpl0
夢野「……卒業アルバム……」グスグス

全員「!?!?」

夢野「全員分……! あ、あ、あの姫路城、ペーパークラフトで……底の部分が……!」

最原「百田くん! 確認しよう!」

百田「お? おう。おうッ!」バッ


ガサゴソ


東条「……どう?」

最原「底の部分から分解できる。これ箱だ! 意図はまったくわからないけど姫路城型のプレゼントボックスだ!」

赤松「刑部姫さん、折り紙とかペーパークラフトの類は大得意だったなぁ……じゃなくて! まさか、それの中身って!」


ドサドサドサッ


全員「!!!!!!!!!」

卒業アルバム群「」ズラーッ

白銀「……」

アンジー「彼の遺品……彼の未練。卒業アルバム……間違いない、ね……」

獄原「中身! 中身を確認しないと! ねえ!」ワクワク

キーボ「……全員分、名前を振ってあるみたいですね。本当、巌窟王さんって人は……」

588: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/10/28(月) 21:50:31.10 ID:DZoGeXDu0
赤松「でもなんで。巌窟王さんはもういなくなってるのに、誰がこんなものを作ったの?」

最原「……」

最原(待てよ。それだ。僕はそれに心当たりがある気がする……)

百田「終一。何か閃きそうなんだな?」

最原「もうちょっとで……何か思いつきそうなんだ」

春川「いくら何でもそれは無理があるよ。だって卒業アルバムがいきなり降ってくるなんて誰が予想できるの?」

春川「誰かが『予告』してたのならともかくさ」

最原「!」




最原『……こんな……こんなことって! 待ってよ! 才囚学園の生徒全員はみんな死んでないんだ!』

最原『最後の最後まで誰も欠けずに行けると思ったのに! こんなの!』

BB『『BBという存在』が消えたりはしませんよ。かと言って、おそらくもう二度と会えないでしょうが』

BB『私を作った代償に、オリジナルのBBは三日間一切の行動が取れないので』




最原「あっ……」




『三日程度待っていてください。すぐに用意しますので』



最原「……あ、ああああああああああっ!」

最原(そうか……そのための三日間!)

最原(そのためのモラトリアムだったんだ!)

589: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/01(金) 16:56:13.95 ID:sPd2AzC/0
最原「BBさんだよ! 彼女が卒業アルバムの作成を引き継いだんだ!」

入間「んなっ……BBだと!?」

東条「ありえるわね。私たちの前で砕け散ったBBさんは分身。本体はまだピンピンしているはずだもの」

獄原「でも引き継いだって……巌窟王さんの卒業アルバムのデータを一体どうやって引き継いだの?」

アンジー「元からBBと彼は組んでたからねー。卒業アルバムのデータくらいどうとでもなるよー」

白銀「そういえば……あのパソコン、中身を定期的にどこかへ送ってる形跡あったね」

白銀「そっか。BBさんに送ってたんだね」

春川「……アイツの不器用さが、完成に一役勝ったってことか」

百田「ん? なんだよハルマキ。懐かしそうな顔してんぞ?」

春川「!!!!!!!!」ハッ

春川「え、そ、そう……かな……? 気のせいだよ。こっち見ないで殺されたいの?」ガタガタ

百田「なんで動揺してんだよ」

王馬「どうしたの春川ちゃん! 具合でも悪いの!? 頭!? 頭でも痛いの!?」ニヤニヤ

王馬「俺のこと覚えてる? なにか忘れたことない? 試しに思い出せることを片っ端から言ってみてほしいなぁ」ニヤニヤニヤ

春川「……」ガシイッ

王馬「おげぁっ」

茶柱「ね、ネックハンギングツリー……」

真宮寺「……」ペラペラ

真宮寺「……はあ。仕方ないネ」

最原「え? 仕方ない?」

真宮寺「しばらく姉さんの友達作りは中止かなって話」

最原「!」

百田「……どういうこったよ、そりゃあ」

真宮寺「この卒業アルバムを見ればイヤでもわかるヨ。巌窟王さんたちがどれだけ僕たちのことを信じていたか」

真宮寺「希望……いや、期待、と言い換えた方がいいかな……」

591: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/04(月) 21:20:00.55 ID:HlDb7I860
真宮寺「僕は間違ったことをしていたとは思わない。思わないけど、これ見て考えをちょっと変えたんだ」

真宮寺「……まだ僕には足りないことがある。それを見つけるまでは、友達作りをしても虚しいヨ」

王馬「……!」ペラペラ

王馬「ふーん……そっか。だから名前をそれぞれに振ってたんだ」

最原「!」

春川「まさか、遺言でも書いてあったっての?」

アンジー「そういうのとは無縁な人だよー」

王馬「ささやかなものだよ。本当にちょっとしたものだ」

王馬「……見てみれば? 中。白銀ちゃんの分含めて全員分あるんだしさ」

最原「……」

最原(ちょっと怖い、と思うのは何故だろう)

最原(……巌窟王さんといよいよ本当に別れてしまう気がしているのか?)

最原(だとしたら僕は、やっぱり僕は弱いままなのかもな)

最原(でも)

最原「……」ペラペラ

最原(それ以上に中身が気になる)

最原(……割と普通の卒業アルバム、だな。巌窟王さんが撮った写真がいっぱいだ)

最原(巌窟王さん自身が入っている写真もあるけど、これは……キーボくんの視点っぽいな)

最原(一体どうやってこんな操作したのか……)

最原(……懐かしい。なにもかも遠いむかしのことのようだ)

最原(……あとは)

最原「!」

最原(あ……!)

592: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/08(金) 19:44:17.91 ID:utJs4QEu0
『卒業証書
最原終一
上はエドモン・ダンテス所定の全過程を終了したことを証する。

才囚学園 エドモン・ダンテス』



最原「……は、ははははははっ……!」

百田「そ、卒業証書……くくっ! アイツ、マジかよ。本当にささやかだな」

百田「どこの世界に空から卒業証書落とすヤツがあんだよ……!」

アンジー「……エドモンの字だ。これ、エドモンの字だよー」

春川「嘘……でもどうやってこれを書いたの? どの時点で?」

赤松「……」

赤松(カルデアには『巌窟王さん』がいる。こっちの世界のエドモン・ダンテスが消えたことで、完全にカルデアの巌窟王が復活したはず)

赤松(彼に書かせれば、それは間違いなくこっちのエドモン・ダンテスと同じ筆跡になる……か)

赤松(……トリックは想像付くけど、わざわざ言うこともないよね)

アンジー「……ッ!」

赤松(……嘘は暴かれない限り真実だから)

王馬「……にししっ」ニヤニヤ

赤松(なんでか知らないけど王馬くんは見当付いてるみたいだけど、黙っててよね本当)ハラハラ

593: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/13(水) 17:11:32.27 ID:q8j2Smps0
アンジー「……」

アンジー「楓も進路決めたみたいだし、アンジーもここで言っておこうかなー」

アンジー「アンジーもアンジーで、エドモンを探してみる」

百田「あ? おい、アイツはもう……」

アンジー「そもそもの話さ、英霊召喚のシステムってかなり広い意味での死者蘇生だよねー」

アンジー「……不可能ではないと思うな」

百田「……」

百田「どんな不可能もやり遂げちまえば可能に変わる!」

アンジー「!」

王馬「えー? いいの? 止めなくて」

百田「いい! 自由にしろ! アンジーの人生はアンジーのモンだ!」

百田「当然だが、つまりいつ止めてもいいってこった! 後悔さえ残らなきゃなにしたっていいんだよ!」

アンジー「その結果、アンジーが誰かを生贄にするような道を取っても?」

百田「やりたいと思うのは自由だぜ? まあそんときは俺か、終一か、ハルマキが止めるけどな! 自由なんだからよ!」

最原「え!? 僕も!?」

百田「止めねーのか?」

最原「いやまあ視界に入ったら多分止めるけどさ……」

最原「……」

最原「あれ? 春川さんは抗議しないの?」

春川「いいよ。私だって止めてあげるよ」

春川「……文句はそのとき百田と夜長に言えばいいし」

百田「おし! じゃあ俺も進路言うぞー! 宇宙行く! 以上!」

最原「早い! しかも変わってない!」ガーンッ

594: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/19(火) 22:34:02.07 ID:UouBwDkN0
入間「俺様は! 俺様は諦めねぇぞ! 魔術と科学の両面の道を完全に極めてやる!」

入間「こっから出たらアトラス院に就職してやるぜ! あったらだけどな!」

最原「アトラス……え? なに?」

獄原「ゴン太は外に出てから考えるよ! 虫さんたちといっぱい相談してみる! 山とかで!」

星「さて。俺はせっかくのシャバだ。当てはないがひとまず外の空気を楽しむさ」

星「……ふん。俺が楽しむ、か……やれやれ」

真宮寺「僕は旅にでも出ることにするヨ。もちろん魔術師とかに暗殺されないように気を付けながらネ」

真宮寺「……というか永続的にみんなを魔術師から守る方法をどうにか探さないとネ」

茶柱「どの人ももうそうそう暗殺されそうにない猛者ばかりですけどね」

茶柱「転子は……うーん、ゴン太さんのマネじゃあありませんが、山籠もりでもしましょうか」

最原「え?」

茶柱「修行です修行! 一から身も心も叩き直すんです!」

茶柱「……どこの山かは非公開で!」

最原「非公開なの!?」ガビーンッ

茶柱「誰かが迎えに来るまでは十年でも二十年でも引き籠る予定ですので! そのつもりで!」

最原「僕への責任が重すぎる!」

百田(もう素直に茶柱のことを自分の責任として処理してんなー)

春川(あっつい。顔があっつい)

赤松「ふふっ……」

最原(そこかしこから生暖かい視線を感じる……!)

597: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/11/25(月) 19:22:35.89 ID:ePqpcCVp0
夢野「……ぐすっ……ウチは……ウチの進路は……っ!」

夢野「ん?」

最原「どうかした?」

夢野「……王馬はどこじゃ?」

最原「どこもなにも、ここに……?」




全員(……あれ?)




百田「アイツいなくねぇ?」

春川「これからキーボ飛ばして外に出る段取り付けようって段だよ? 今更どこに行かれても……」

獄原「あれ。そこの岩になんか書かれてるよ?」

春川「……なんか?」




『このせかいはおうまこきちのもの』




最原「……」

最原(まったくもって荒唐無稽な書置きだったが、なんとなく意図するところは見えた気がした)

百田「なんか……この学園出るまでもうアイツと再会することはない気がすんな……」

最原「不思議だけど僕もそんな気がする……」

春川「アイツなら別口で脱出ルートを見出しててもおかしくなさそうだね」

獄原「最後の最後まで王馬くんは王馬くんだったね!」ニコニコ

598: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/12/02(月) 21:50:46.96 ID:00wmXuo00
夢野「ウチの進路は……そうじゃのう。ひとまず表の世界で有名になることかのう」

夢野「魔法使いとして!」

東条「……大丈夫? かなり危険だと思うのだけれども」

夢野「それでも誰かがやらないといけないじゃろう。いざ生徒たちが集まりたいとなったときに目印が何もないとなったら困るじゃろ?」

夢野「その役目はウチがやる。ウチが一番の適任じゃ!」

夢野「……腕が鳴るわい!」ギュイイイイイイイイ

最原「さっきから聞きたかったんだけど、その丸鋸とドリル何!?」

夢野「人体切断マジカルショーのアレと、箱を使った瞬間移動のときに箱へブッ刺すアレじゃな!」

茶柱「あ! やっぱり一応意味はあったんですね!?」ガーンッ

キーボ「ボクは……今決まりましたね。夢野さんの護衛をやりながら、このふざけた機能を解除する方法を探します!」ガチューンッ

赤松「気のせいじゃなかった。やっぱりキーボくんの周りの音、おかしいよね……? なんで?」

キーボ「セミラミスさんのせいですけど!?」ウガァッ

赤松「私に向かって噛み付かないでよ! 知らないよ!」ガビーンッ



ギャー ギャー


白銀「……みんな凄いなぁ。もう外に出た後のこと考えてるよ」

白銀「私なんて、これから生きてていいのかすら曖昧なのにさ」

天海「いや生きるべきっすよ。ていうか俺と一緒に来てもらうっすよ」

白銀「は?」

天海「ほら、俺が命懸けで前回の学級裁判から解放した二人……動機ビデオに映ってたあの二人に会いに行かないと。ね?」

白銀「いや、私はどの面下げてって感じだし」

ザッ

東条「やはりそうなるわね。いつ出発するの? 私も同行するわ」

白銀「花京院」

東条「東条よ」

白銀「……」

白銀「……え!? なんで!?」ガビーンッ

599: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/12/09(月) 22:02:48.85 ID:VhI1ZdEw0
東条「私がこの学園に来てから一番うれしかったことはなんだか、わかる?」

東条「巌窟王さんに赦されたときよ」

白銀「!」

東条「……最初はあなたのことを許せないと思ったわ。だけど、ね。事情を聞いて、その後許すか許さないかを決めるのなら、そこからは感情論よ」

東条「私は白銀さんを許したいと思う。巌窟王さんにやられて嬉しかったことを、誰かにやるの」

東条「……彼がいたことの最高の証明になると思わない?」

白銀「東条さん、巌窟王さんのこと大好きだよね。惚れてたの?」

東条「今の茶々は許さないわ」ガシイッ

白銀「アイアンクローはやめて。ごめんなさいごめんなさいマジでごめんなさあああああああ!」ギリギリギリ

東条「……」メシメシミミシミシミシ ピシリッ

東条「ここまでにしておきましょう」フッ

天海(今ピシリッて言った……! ヒビが入るような音した……!)ガタガタ

白銀「私だけ死ぬかと思った……」ゼェゼェ

東条「あとそうね、これも大事なのだけど」

白銀「まだ理由あるの?」

東条「……この学園の中で、あなただけがまだ救われてない」

東条「それってとても気持ちの悪いことよ。シンクについた水垢みたい」

東条「……私の前で、心の底から笑ってほしいのよ」

白銀「……」

白銀「まあ、いつかは」

東条「ええ。いつか、ね」フフッ

天海「決まりっすね! 俺たちは三人一緒に旅に出るっすよ! 燃えてきた!」メラメラメラ

600: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/12/16(月) 20:30:40.33 ID:svYqk3pB0
最原「よし! それじゃあ、やろう! キーボくん!」

キーボ「了解です!」チュドドドドドドド

入間「……本当にしまらねぇエンジン音だな」

百田「飛行にも支障出そうだが、なんで飛べてるのかわかんねぇ」

キーボ「音だけ! かっこ悪くなってるの音だけですからーーーっ……!」ズボボボボボボーッ

最原「……」

最原(穴から見える空は明るい。でも、それだけだ。なにも見えない。空だけが広がっている)

最原(この先に進んだ僕たちには一体なにが待っているのだろう)

最原(……サーヴァントのみんなと別れた後の僕たちに、なにができるんだろう)

最原(いや。不安に思うのは後でいい! 壁にぶつかったときでいいんだ!)

最原(この学園で巌窟王さんに貰ったものを、僕は生きている限り忘れない)

最原(それでほんのちょっと強くなれる……そんな気がするから!)






学園某所

ジャガーマン「よーっし! ぐるぐるパンチよーーーいっ!」グルグルグルグル

王馬「……で。キミは外に出たらどうすんの?」

ジャガーマン「絶対魔獣戦線バビロニア、アニメ絶賛放送中! 次は! 次クールのオープニングこそは出てやるぜ!」ビシイッ

王馬「うーん、ダメだ! 俺をもってしても何を言ってるのやらさっぱりわからない!」ヘラヘラ

ジャガーマン「で? キミはどうするの?」

王馬「この学園にしばらく残るよ」

王馬「ま……痕跡の後始末的な? そう何か月もいる気ないけどね!」ヘラヘラ

ジャガーマン「いいんでない? 学園っていうのは何かを貰って先に進む場でもあると同時に」

ジャガーマン「あなたたちが、なにかを『残す場』でもあるんだから。それを消すかどうかも生徒次第ってことで!」

王馬「……なんか消したくなくなってきたなー」

ジャガーマン「バーニングジャガーーーーーッ……」ゴゴゴゴゴゴ

ジャガーマン「ナッコォーーーッ!」シュンッ



ドカァァァァァンッ

601: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/12/23(月) 22:28:05.06 ID:sv0J2rwb0
物語はやがて終わる。

それを見た者の心になにかを残したのだとしても、やがてすべては記憶の影に薄れていく。





赤松「……みんな行っちゃったな。よしと。それじゃあ、いよいよカルデアに出発かな」

ブワッ

赤松「うわっ……凄い風。外と繋がる穴ができたって実感できるなー」

赤松「……」

ネコアルク「赤松嬢ー! 才囚学園の強制力が無くなってるから行き来は自由とは言え、いつ消えてもおかしくない出入口だからお早目ににゃー!」

赤松「わかってるってば!」

赤松「……行ってきます! 巌窟王さん! BBさん! セミラミスさん!」





――それでも僕たちが生きて歩いた道筋は、必ずどこかに残るし、今の自分たちに続いてくる。

他の誰が知らない道行でも、自分自身が忘れても、それでも絶対自分のルーツに繋がる物語。

僕たちの生きた証拠。僕たちの背中を押した、彼らが存在したという証拠が残る。

602: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2019/12/30(月) 23:03:07.67 ID:7FYy70kQ0
最原「……」



ザザーンッ ザザーンッ……



最原「……?」キョロキョロ

ミャア……ミャア……

最原「……」

最原「いつの間にか見覚えのない島にいるーーーッ! ウミネコがみゃーみゃー鳴いてるーーーッ!」ガビーンッ

最原「あれ!? どういうこと!? ここどこ!? ていうかみんなどこ!? あれ!? 学園のドームすら見当たらないぞ!?」アタフタ

魔猪「ぶもももももももーーーッ!」ドドドドドド

最原「うわあああああああああああデカいイノシシがこっちにーーー!?」

最原(避 否 死――)

武蔵「しゃああああああ今日の晩飯ゲットーーーッ!」ザァァァンッ

魔猪「ぶもげばっ!?」ブシャアアアアアッ

最原「ええーーーッ!?」ガビーーーンッ

武蔵「はー、大量大量。さてと、それじゃあさっさと血抜きとかして……」

最原「……」

武蔵「……あなた誰?」

最原「ここはどこですか?」



僕たちの冒険は終わらない。
僕たちだけの物語は……


武蔵「……あっ。また飛ばされる感じだコレ。ちぇ」キラキラキラキラ

最原「え? あれ!? 僕も!?」キラキラキラキラ

武蔵「おー、計らずも旅の道ずれゲット! しかもちょっと可愛い! LINEやってる?」キラキラキラ

最原「それどころじゃな――」キラキラキラキラ



シュイイイイインッ


これからも続く。

603: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2020/01/05(日) 00:05:58.70 ID:LtiM+y/l0
茶柱「!? !? !?!?」ガタガタ

百田「おーっし! それじゃあ、外に出れたことだし、それぞれの進路に向かって……一旦、サヨナラだな!」

春川「また会える……ううん。絶対に会うよね」

天海「最後の最後まで力になれたかは怪しいっすけど、それでもみんなとあの学園で同じ時間を過ごせたのは俺にとって――」

茶柱「待って! ちょっと待ってェーーー! 最原さんが! 最原さんがなんかキラキラキラキラシュイーーーンッて消えたんですけど!」

白銀「え? な、なに? なんのこと?」

茶柱「だから光の粒子に包まれたと思ったら身体が透けて消え失せたんですってば!」

百田「終一のヤツ、みんなと別れるの辛そうだと思ってたが……内心、舐めてたんだろうな。まさか真っ先に自分の道を見つけるとはよ」

茶柱「そういう感じじゃないと思うんですけど! むしろ消える瞬間『えっ?』みたいな顔してたんですけど!」

東条「今まで英霊召喚だのサーヴァントだのを散々見てきたのだから、人が消えるくらい今更と思わないでもないわね」

夢野「最原までウチのライバルになったのか? やれやれ、めんどいなんてますます言ってられなくなったのう」フウ

茶柱「そ、そういう感じ!? え!? みんな心配しないんですか!?」

獄原「最原くんなら多分大丈夫じゃないかな……」

星「まあ、なんだかんだ巌窟王に最後まで付いていったのは夜長を除けばアイツくらいだ」

真宮寺「その内、ひょっこり自力で戻ってくるヨ。第一僕たちに何ができるの?」

茶柱「それはっ、まあ……なにかしら……」アタフタ

アンジー「その通りだけどねー! まあ、今は各々やれることをやるしかないんだよー!」

キーボ「急がば回れ、ですよ! 証拠もないことですし!」

茶柱「え、ええーーーっ……!?」

入間「どうしても会えないなーってなったらそんとき考えろよ。ま、俺様に相談すりゃ手を貸してやらなくもなくもなくもないような気がするぜ!」

茶柱「どっち!?」ガビーンッ

茶柱「……ああー……!」





茶柱「もう! 思ったよりも大変そうですねぇ。約束果たすの……」

604: 逆転の人  ◆SxyAboWqdc 2020/01/16(木) 17:10:19.96 ID:LRHajYlv0
百田「んじゃあな! 縁がありゃまた会おうぜ。それまで風邪とか引くなよ!」

アンジー「にゃははー! こっちの台詞だよー! もう吐血とかしないでねー!」

百田「!?」ビクウッ

百田(……いつ気付かれてた!?)

春川(吐血?)

百田「……」

百田(ハルマキの空気が変わった気がする! 逃げる一択だな!)ダダッ

春川「待って」シュバッ

百田「クソッ! ハルマキはえぇーーーッ!」シュバババババッ

春川「待って」ヒュンッ

百田「瞬間移動まで使って来やがった! ま、待てハルマ――あ゛あ゛ああああああああっ!」ガビーンッ

春川「待たない」






天海「……こ、怖……もう見えなくなっちゃったっすけど、怖かったっす……」アワワワワワ

天海「まあ、ここから先は二人の問題なんでもう手出しはできないっすけど。白銀さん! 俺たちも出発っすよ!」

白銀「ん? うん。いいけど。少し遅かったね」

天海「え? なにが?」

白銀「もうみんないなくなっちゃった」



ガラーンッ



天海「……去るの早ッ!」ガビーンッ

白銀「結局みんなワンマンプレイ大好きなんだよね……」

天海「み、みんなーーーッ! 俺っ……俺これから白銀さんと頑張るっ……頑張るって……」

天海「それっぽいこと言って別れたかったのにィーーーッ!」ガクーンッ

白銀「……」

白銀「私が聞いてれば充分でしょ」ボソッ

天海「え? なんか言ったっすか?」

白銀「早く行こう。目的地は……ひとまず前で」

天海「了解っす!」

605: 100日後に死ぬ天海:一日目  ◆SxyAboWqdc 2020/01/23(木) 20:42:53.95 ID:lI/2phEK0
東条「当然私も行くわ」

天海「あ! 東条さん!」

東条「白銀さんの眼も治さないといけないから」

白銀「覚えてたんだ」

東条「ちなみに解決策はもう見つかったわ」

天海「はっっっや!」ガビーンッ

東条「実はこの辺りフリーWi-Fiが飛んでいるらしいの。学園から持ってきたノーパソで繋げることができたわ」

東条「アマゾネス・ドットコムという通販サイトに『とてもよく効く目薬』があったから早速注文したの。後は指定場所まで行って待つだけよ」

天海「ん!? ちょっと待って! それ代金は!?」

東条「ないわよ。着払い設定にしたけど」

天海「え!? じゃあどうやって荷物受け取るんすか!?」

東条「強奪」

天海「」

白銀「……アウトローまっしぐらだね」

東条「世界に楯突くのはもう慣れっこでしょ」

天海(猛烈にイヤな予感がするなー……まあ、いつものことか)

天海(……巌窟王さん。あなたがいなくなっても、俺たちはなんとか生きていけそうっすよ)

天海(どっかで見守ってくれると嬉しいんすけど)

天海(……ま、伝えたいことはアンジーさん伝でいいか!)

天海(彼女ならきっと――!)

609: アンジーとあなたのための物語  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 09:42:13.39 ID:c/mEDpnF0




地面がある。空がある。星のような光がある。でもそれ以外は特になにもないような場所だった。

道はないし、方角もいつの間にか狂うし、目印を付けたとしてもそこまで戻ることができない。

一体、どのくらい歩いたのか。さっぱり思い出せない。ていうかそろそろ心が砕けそうだ。疲れた。

なんとか足を動かせるのは、胸の中にあるキラキラした思い出たちのお陰だろう。

無限に歩き続けていれば、理論上は確実に会えるはずとか言える場所じゃない。

無限に広い場所かもしれないんだから、無限に歩いても永遠に見つからないかも。




「……?」




なんか、凄く大きな黒い竜を見つけた。スケッチとか、これをモデルに彫刻とかしてみようかなーと一瞬思ったが、やめた。

ここを歩いていればたまにある奇妙なオブジェクトの一つだ。生きてはいるんだろうけど、どうでもいい。



「会いたいなー」



この言葉も何百回言ったか。何千回かな。何万回か。

610: アンジーとあなたのための物語  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 09:50:53.19 ID:c/mEDpnF0



どれくらい歩いたのか、やっぱりもうわからない。

心はもうボロボロで砂のように粉々だ。

やっぱりただの人間にはキツすぎるみたい。倒れたり膝を付いたりしたらそこで終わりだ。億劫すぎて二度と立ち上がれないだろう。



「……ていうかー」



本当にここにいるのかな。実は全然見当違いの方向を探してたりしてなかったかな。

後悔の二文字が頭に浮かぶ。まあどっちにしろ、ここに来る前に全力で身体をいじくったから、二度とまともな世界に戻れないんだけど。



「……」



涙はもう枯れた。だからもう泣かないという決意も必要ない。自分がどんどんコンパクトなものに変わっていく感覚がある。

彼に会ったとき、言いたいことの半分も言えるかどうか――

611: アンジーとあなたのための物語  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:01:28.74 ID:c/mEDpnF0


「……う」


ヤバい。


「……ううううううう……」


ヤバいヤバいヤバいヤバいヤバい。


「もう無理ー」


いよいよ限界が近い。

いや、多分この『もう無理-』という台詞も何億回言ったのか覚えてないけど、今回ばかりは本当に無理だよ。

だってもうなにも覚えてないもん。

記憶や精神がここまで簡単に風化するなんて思わなかった。

ダメで元々だと思ってここに来たけど、まさか本当にダメだとは微塵も考えてなかった。

多分、そう、とても大事な人に会いにここまで来たということはわかるけど。その人とどんな関係だったのか覚えてない。

家族? 恋人? 先生? 弟子? 信仰を向けられる誰かしら?



「……」



わからない。わからないけど――


『何故自分から迎えに行かなければならない? 来るならむしろ向こうからでは?』


思考がちょっとありえない方向に、奇跡的に吹っ飛んだ。

612: アンジーとあなたのための物語  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:09:35.49 ID:c/mEDpnF0
「……もう!」


なにもかも失って、それでも最後に残ったものが一つだけあった。

それは怒り。そうだ。これは元々、自分の中に無かったものだ。

誰かに教えられて獲得したもの……違う。

誰かに『お前の中に確かにあるのだ』と教えられて気付いたものだ。




凄く腹が立ってきたぞ。もうどうでもいい。疲れた。辛い。イヤになった。

もう二度と会えなくなっても知らない。

ここまでやってあげた自分と会える権利を、みすみす手放した彼が悪いのだ。

もう倒れよう。そして呪おう。超眠いし。



お前は永遠に独りぼっちだ、ばーかーめー! にゃははははははは!



そうしてやっと、自分の両足から力を抜いて――



「……?」



誰かに受け止められた。


「……!」


アンジーを受け止めた、誰かがいる。





巌窟王「……まったく。とんでもないナリだな、アンジー」

アンジー「あ……」

613: 俺とアンジーのための物語  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:23:45.85 ID:c/mEDpnF0
巌窟王「……まあいい。後のことは俺に任せろ。前からずっと、そういう役割だったろう? 俺は」ニヤァ

アンジー「……」

巌窟王「なにか言っておきたいことはあるか?」

アンジー「……」

アンジー(とても眠い。でも、とにかく彼に伝えたかったことがある)

アンジー(これだけは……最低限だ)

アンジー「あ……」

アンジー「アンジーを一緒に連れてって。エドモン」

アンジー「どこにだってついていくから」

巌窟王「……!」




エドモン「そうだったな。俺はエドモン・ダンテス」

エドモン「お前と共にある者だ」

アンジー「……」

アンジー(願いは叶った。ああ、でも凄く眠いなー)

アンジー(積もる話はあるんだけど、今はちょっと思い出せないし……)

アンジー(……寝よ)

アンジー「……」

エドモン「行くぞアンジー! 俺とお前の旅路は、まだ始まったばかりだ!」

エドモン「クハハハハハハハハハハハ!」

アンジー(うん。ずっと一緒)






アンジー(大好き。エドモン)

614: 押忍! BB道場  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:27:53.27 ID:c/mEDpnF0






BB「……さてと」

BB「安心しました? 元同級生が願いを叶えて」

??「……」

BB「ねーえー! せっかくまた再会できたんだからなんかしら言ってくださいよー! ねー! ねー!」

615: 押忍! BB道場  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:35:55.35 ID:c/mEDpnF0
最原「ちょっと黙っててよ! そういう雰囲気じゃないから今! ていうか、ここどこ!?」キョロキョロ

BB「BB道場ですけど」

最原「BB道場!?」ガビーンッ

BB「いや、建設途中なんですけど。バッドエンドを迎えたなにかをここに無理やり引っ張ってアドバイスして、ちょっと時間を巻き戻してリトライさせる」

BB「そんな素敵な憩いの場になる予定です」ドヤァ

最原「多分拷問に近い何かになる気がする……!」

最原「というかBBさん! それなら僕にアドバイスしてほしいんだけど!」

BB「なんです?」






最原「なんか、かれこれ何年かずっと漂流(ドリフト)が止まらないんだよ! 気が付いたら別の場所に転移してるってことずーっと!」

BB「……」

BB「えっ。最原さんも自力でここまで辿り着いたクチじゃなかったんですか!?」ガーンッ

最原「全然違うよ! たまに過去や未来に飛ばされてたりして、目的の場所に全然行けないんだよ!」

BB「ええ……? ちょっと待ってくださいよ。一体なにをどうすればそんな素敵体質に……なんか変なものと契約したりしませんでした?」

最原「契約? そんなものするわけが」

最原「あ、いや。したかも……最初の内は時間軸まではズレてなかったんだよな……確か過去や未来に跳ぶようになったのは……えーと」

616: 押忍! BB道場  ◆SxyAboWqdc 2020/02/01(土) 10:43:46.06 ID:c/mEDpnF0
回想 ~武蔵との漂流中~


真っ黒な穴『』ズズズズズズズ

最原『え。契約すれば目的地に行ける確率が上がるんですか……?』

武蔵『まー、このままずっと漂流し続けるよりは、腰を落ち着けて契約するのも一つの手なんじゃないかなー。せっかく目の前にいるんだしさー』

最原『ていうか、この真っ黒な大穴はなんですか? ブラックホールみたいな』

武蔵『な、なんか……よくしりょく? とか言ってたっけな。よく覚えてないけど』

真っ黒な穴『』ズズズズズズズズズ

武蔵『あ! なんか消えちゃいそう! 穴がどんどん小さくなってってる!』

最原『えっ!? ちょっと待って、まだ考える時間が欲し……あーーー!』

最原『契約! 契約しますから! それでみんなに会えるんなら文句ないですからちょっと待ってあああああああああ!』



回想終了




最原「ってことがあったんだよね」

BB「」

最原「そのまま穴は消えちゃったから契約はできてないと思うんだけど」

BB(『正義の味方』にされてるーーーッ!)ガビーンッ

BB「ああ、えーっと……職場紹介しましょうか? カルデアってところなんですけど」

最原「それ赤松さんが行ったところじゃ……」

BB「いいから!」ウガァ!

620: 押忍! BB道場  ◆SxyAboWqdc 2020/02/10(月) 20:36:31.53 ID:8DvDci3t0
数時間後

BB「ってことで、これで晴れてサーヴァントとしてカルデアに召喚される準備が整ったということで!」

BB「霊基は星5相当ですよー! クラスはひとまずアヴェンジャー!」

最原「……なんか釈然としないけど、これで今度こそみんなと会える確率は上がるんだよね」

BB「多少は」

BB(しかし漂流体質かぁ……元の世界でとびっきり変な偶然に巻き込まれない限りこんなことになるヤツは稀も稀のはずだけど)

BB(……巻き込まれまくってたか。考えるまでもありませんでしたね)

BB「さあ! それでは、このままカルデアに行ってらっしゃーい!」

最原「と言われても、どうすればいいやら……ん!」キラキラキラ

BB「お。早速呼ばれちゃってるみたいですね! ヒューヒュー! こーの人気者ー! 羨ましいぞー!」

最原「確かに今までとは違う感覚……! うん、ありがとう! また会えてよかったよ、BBさん!」キラキラキラキラ

最原「向こうのBBさんと会えたら、また仲良くするからねー……!」シュイイイイインッ







BB「……あっ」

BB「待てよ。『同じカルデア』に行けるかどうかは五分以下じゃないですか?」

BB「……やっちゃったZE☆」

621: 特異点F:炎上汚染都市冬木  ◆SxyAboWqdc 2020/02/10(月) 20:47:05.29 ID:8DvDci3t0
??「ええっと……ここにこの石を投げ込めばいいんだよね。わかってるわかってる。もう『二度目』だし」

???「どんな人が来るのか、楽しみですね! 先輩! ライダーがまだ二基しかいないので、そこを補える誰かだといいのですが……」



バシュウウウウウウッ



最原「……着いた! はあ、やっと腰の落ち着けるところに来れたって感じだ」

「!?!?!?」

??「……えっと、どこの英霊かな。今度は……」

???「さあ。見た目からは先輩とそう変わらない年齢の男性にしか見えませんが……」

最原「あ。えーと、カルデアのマスターさん、だよね。前に夢で一度だけ会ったけど覚えて……?????」

最原(……? あれ。カルデアのマスター……って女性だったっけ。前に会ったときは確か男性だった気がするんだけど……)

立香「?」

マシュ「?」

最原「……巌窟王って名前に聞き覚えはある?」

立香「ないけど」

最原「……は、ははは……ははははははははは……!」






最原「間違えてるよッ!」ガビーンッ

立香「何をッ!?」ガビビーンッ

622: ロストルーム  ◆SxyAboWqdc 2020/02/10(月) 20:52:55.53 ID:8DvDci3t0
とある寂れた倉庫内

モノクマ「……うぷ……うぷぷぷぷぷ……」

モノクマ「そう、まだ終わってないんだよ……最原くんの旅も、ボクの大活躍も……」

モノクマ「ボクはモノクマ。才囚学園、および希望ヵ峰学園の学園長。そして……」







モノクマ「このカルデアの新たなる、支配者なのだッ!」ギャリィィィィンッ







ガシャガシャガシャガシャッ パリィィィィンッ




THE END