1 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 22:54:04.85 ID:376pr7PG0
ギル「ゆる……ゆる……」
時臣「どうか慈悲を……寛大な……お心で……どうか」
ギル「ゆる……ゆる……」
ドゥルルルルルルルルルル
時臣「ど、どこからともなくドラムロールが……」
ギル「ゆる……ゆる……」
時臣(神よ……っ)
ジャン!
ギル「許ーーーーーす!!!!!」テッテレー
時臣「ぃやったぁああああああ」ヒョーイ
劇場版「Fate/stay night [Heaven's Feel]」Ⅱ.lost butterfly
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6 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 22:59:23.74 ID:376pr7PG0
ギル「貴様!!たかが雑種の分際で我が眼前を横切るとは何たる不埒!!」
龍之介「え、ええ!?」
時臣「王よ!デパートではこのようなことは多々起こりえます!彼に罪はない!どうか慈悲を!」
ギル「我に意見するか時臣!貴様はいつから我に意見できるほど偉くなった!?」
時臣「くっ……」
ギル「ゆる……ゆる……」
龍之介「え……え……?」
ドゥルルルルルルルルル
龍之介「ど、ドラムロールが……」
ギル「ゆる……ゆる……」
時臣(英雄王……っ)
ジャン!!
ギル「許ーーーーーーーす!!!!」テッテレー
時臣「ぃやったぁああああああ」ヒョーイ
龍之介「え?え?」
9 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:05:16.55 ID:376pr7PG0
ギル「貴様!そのでかい図体で我の視界をよくも遮ってくれたな!」
ライダー「おお、英雄王か。すまんすまん、ちっさくて見えなかったわ!」HAHAHA!
時臣(これは許されないぞ。許されないぞ)
ギル「ゆる……ゆる……」
ライダー「いやしかし遊園地というのはすごいところだな。あのように立派な城まである」
ギル「ゆる……ゆる……」
ライダー「ここであったのも何かの縁、どうだ?一緒に写真でも撮らんか?おーい坊主、シャッターを押してくれ」
ウェイバー「何だよさっきから。はしゃぎすぎなんだよお前は……ってアーチャー!?」
ドゥルルルルルルルルル
ウェイバー「ドラムロール!?」
時臣(英雄王……慈悲をっ……)
ジャン!
ギル「許ーーーーーーーーす!!!!!」テッテレー
ウェイバー「1+1はー?」
ギル時臣ライダー「にー」パシャ
15 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:10:14.30 ID:376pr7PG0
ギル「貴様!!許可なく我に触れようなぞ万死に値するぞ!!」
時臣「お待ちください英雄王!彼は肩に付いた糸くずを取っただけです!」
バーサーカー「」コクコク
雁夜「時臣ぃ……ゆるさんぞぉ」
時臣(な、私が許されてない……っ?)
ギル「ゆる……ゆる……」
雁夜「許さん……時臣ぃ……お前を殺してこのライオンの餌にしてやる……」
バーサーカー「」オロオロ
時臣(何のことだかわからんが、とにかく慈悲をっ……英雄王……)
ドゥルルルルルルルルルルル ジャン!
ギル「許ーーーーーーーす!!」テッテレー
時臣「ぃやったぁあああああああああああ!」ヒョーイ
雁夜「許さんぞ時臣!行け!バーサーカー!!」
バーサーカー「ゴォァアアアアアアアアア」
時臣「ひっ」
19 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:16:29.86 ID:376pr7PG0
キャスター「おお!聖処女よ!我がジャンヌよ!」
セイバー「やめてください!人違いです!」
ギル「貴様!!我が未来の伴侶に無断で近づくとは愚劣の極み!!」
時臣(これは絶対確実に許されない絶対)
ギル「ゆる……ゆる……」
キャスター「聖処女よ!ビーチに咲く一輪の花よ!どうかオイルを塗る役目は私めに」
セイバー「やめてください!人を呼びますよ!」
ギル「ゆる……ゆる……」
時臣(祈るだけ無駄なのか……っ?慈悲を……)
ドゥルルルルルルルルルル ジャン!
ギル「許ーーーーーーーーーーーーす!!!!」テッテレー
時臣「逆転勝利!!!!」ヒョーイ
キャスター「ジャァアアアンヌゥウウ!!!」
セイバー「エッカリ!!!!」ドゴォオオオ
キャスター「光がっ!」ドカーン
24 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:24:31.92 ID:376pr7PG0
アイリ「どうしたのよセイバー。こんなところでエクスカるなんて」
セイバー「すいませんアイリスフィール」
アイリ「魔力消費がハンパなくて切嗣びっくりしてたわよ」
セイバー「申し訳ない」
時臣(許される問題が起きない……!どうする、英雄王……?)
アイリ「戻りましょセイバー。切嗣が海の家で焼きそばを買ってきてくれているわ」
セイバー「ほ、ほんとですかアイリスフィール!」
アイリ「ふふっ!こういうところで食べる焼きそばは別格だって切嗣は言ってたわ。早く行きましょ」
ギル「……ま、まて」
時臣(声が小さい……っ!)
セイバー「」タタタッ
ギル「……くっ」
時臣(案の定行ってしまった……)
ギル「……許していた。許していたんだからな……!」
時臣(英雄王……)
27 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:33:02.75 ID:376pr7PG0
言峰「どうした英雄王?元気がないな。いつもの尊大な態度も見る影がない。何があった?」
ギル「綺礼か。無駄な詮索をするとは、お前らしくもない」
ドゥルルルルルルルルルル
言峰「やめろ、まだ出番じゃない」
アサシン「すいませんマスター」シュン
言峰「あれほどタイミングには気をつけろと言ったはずだ」
ギル「よい、許す」
アサシン「あ」
言峰「タイミングには気をつけろと言ったはずだ!!」
アサシン「す、すいませんマスター!!」
言峰「今!!」
アサシン「は、はい!」
ドゥルルルルルルルルルル ジャン!
ギル「そう怒ってやるな綺麗。許す」テッテレー
アサシン「ぃやったああああああ!!」ヒョーイ
言峰「やったなお前ら!」
31 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:41:15.47 ID:376pr7PG0
ギル「……ふう」
言峰「まだ元気がないのか」
ギル「……」
言峰「セイバーのサーヴァントのことだろう?」
ギル「……」
言峰「ふっ。こうして水族館のクラゲコーナーにいても解決せんぞ?」
ギル「……」
言峰「ここに映画『宇宙兄弟』のチケットが二枚ある」
ギル「……」
言峰「どうすればいいかわかるな?」
ドゥルルルルルルルルル
ギル「……ふん。我を誰だと思っている」
ジャン!
ギル「我は英雄王。このチケットでセイバーを逢い引きに誘うことくらい容易いことよ!」テッテレー
言峰「いつもの顔に戻ったな」フフフ
34 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:47:49.30 ID:376pr7PG0
セイバー「なんですか。こんなところに呼び立てて」
ギル「……あ、のだな」
セイバー「早く用件を言ってくれるとありがたいのですが」
ギル「……」
セイバー「……」
ギル「え、映画の」
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト「まったく!何で私が映画なんて見に行かなきゃならんのだ!」
ランサー「しかし我が主よ。ソラウ様よりいただいたこのチケット、無駄にはできません」
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト「ではなぜそのソラウが来ていない!」
ランサー「そ、それは……(言えない、我が主に喜んでもらいたくてこのチケットを自分が買っていたことは……)」
ケイネス・エルメロイ・アーチボルト「役立たずめ!!」
ギル「……」
アイリ「セイバー!もう時間よー、『宇宙兄弟』始まっちゃうわー」
セイバー「はーい、今行きますー。それでは英雄王、失礼します」タタタッ
ギル「ゆるさんぞぉ……」プルプル
39 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/01(金) 23:57:23.57 ID:376pr7PG0
時臣「英雄王……」
ギル「見ていたのか、時臣。我の無様な姿を」
時臣「お許しください。私は英雄王の身を思って……」
ギル「ゆるさんぞぉ……ゆるさんぞぉ……」
ギル「……いや……許せないのは……好きな女に勇気も出せない我の弱い心だ……」
時臣「英雄王……今からでも遅くありません。映画を見に行ってください」
ギル「我に意見するか……」
時臣「どのような処罰も覚悟の上、言わせていただきます」
セイバーのサーヴァントが見ている映画は、英雄王の見る映画と同じ。
なれば、上映終了後、彼女をカフェに誘い、感想などを議論し合うのがよろしいかと」
ギル「……」
時臣「英雄王……どうか英断を」
ドゥルルルルルルルルル ジャン!
ギル「忠臣の願いだ。聞き入れんわけにはいかんさ。では、行くぞ」テッテレー
時臣「……はっ!行ってらっしゃいませ、英雄王!」
ギル「何を言っている。お前も行くのだ。チケットは二枚ある」
時臣「は、はっ!すぐに!」タタタッ
41 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:05:23.98 ID:nIw+1UnN0
セイバー「おもしろかったですね、アイリスフィール」
ギル「せ、セイバー!」
セイバー「ああ、英雄王ですか。あなたもこの映画を?」
ギル「あ、ああ!そ、それでだな……!」
時臣(英雄王……!)
アイリ「ちょうど良かった。ならみんなでランチに行かない?映画の感想を言い合いながら」
ギル時臣「!」
セイバー「いいですね。どうですか英雄王。この後予定は?」
ギル「あ、あ」
時臣(英雄王……どうか、勇気を……!)
セイバー「英雄王?」
ドゥルルルルルルルルル ジャン!
ギル「い、いいだろう!さっそくランチとやらに行こうではないか!」テッテレー
時臣「ぃやったぁああああああ!!!!」ヒョーイ
アイリ「何!?」ビクッ
48 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:14:24.95 ID:nIw+1UnN0
言峰「映画には誘えなかった、が、カフェに行った、と」
ギル「どうだ綺礼。我にかかればこの程度」フフン
言峰「しかし二人きりではなく四人とは……これではデートとは言えんな」ククク
ギル「……貴様、許さ……いや、その通りだ」ショボン
言峰「だが前進。これは大きな一歩だ、英雄王」
ギル「そ、そうだろう!?そうだよな!」
言峰「慢心するな、英雄王。お前の悪い癖だ」
ギル「ぐ……」
言峰「次に事を運ぶのだ。英雄王。次こそ二人きりのデートだ」
ギル「ふ、二人か……大丈夫なのか?いつ行くのだ?どこへ?」
言峰「落ち着け英雄王。今までお前はいくつものデートスポットを回ったはずだ」
ギル「ああ、デパートに遊園地、動物園に水族館。綺礼、お前が行けと言ったのだろうが」
言峰「全てはここまでの伏線。二人きりのデートのための布石」
英雄王……お前は色んなところへ赴き、色んなことを感じたはずだ。
何が楽しかったか。何が嫌だったか。よく考えろ。
英雄王……お前は彼女をどこへ誘いたい……?」
ギル「……我は……」
49 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:21:13.36 ID:nIw+1UnN0
セイバー「なるほど。水族館には初めて来ましたが素晴らしい場所ですね、英雄王」フンフン
ギル「ああ、そうだろう、そうだろう」
セイバー「あっ!あっちはクラゲコーナーですよ!英雄王!」フンフン
ギル「ああ、その場所は我が一等気に入っている場所だ」
セイバー「そうですか、綺麗ですね」ポケー
ギル「……ああ、綺麗だ、セイバー」
セイバー「ええ、クラゲとは美しいものです。これも初めて知りました」
ギル「……セイバー、クラゲを見たままで良い、聞いてくれ」
セイバー「?」
ギル「我は、以前この場所に来たとき、貴様のことを考えていた」
セイバー「クラゲのことじゃなく?ここ、クラゲコーナーですよ、英雄王」
ギル「我と貴様は敵同士、本来相容れぬ関係にある、しかし我は英雄王ギルガメッシュ。
この世に持ち得ぬものはなく、叶えられぬこともない」
セイバー「?」
ギル「つ、つまりだ。聖杯戦争なんて関係ない。我が何とかしてやる。だから……」
セイバー「?」
56 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:29:45.14 ID:nIw+1UnN0
セイバー「あの、英雄王?一体何を」
ギル「黙って聞け!セイバー!我は……我は……!!」
ドゥルルルルルルルル
ギル「アサシン。いや、ハサンよ。今は、今だけはやめてくれないだろうか……?」
アサシン(……あの英雄王が、頼み事、だと……?)
セイバー「?」キョトン
ギル「今から我は、我の力だけで好いた女を口説くのだ……!」
セイバー「好いた……女……!?」ボンッ
ギル「セイバー、聞いてくれ」
セイバー「えっ?えっ?」アタフタ
ギル「……セイバー、キミが好きだ。キミを守りたい。
この世の全ての悪意から、キミを救い出したい。
この我の全ての財宝を投げ出してでも、キミの笑顔がほしい。
キミの涙の一滴を止めるために、我はこの身を削ったってかまわない。
我が聖杯に望むのは、キミへの愛だけだ。
キミが聖杯に望むことは知っているつもりだ。
だが、我はその願い以上の愛を持って、キミを幸せにして見せる!」
セイバー「あわ、あわわ///」プシュー
68 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:39:42.02 ID:nIw+1UnN0
ギル「……答えを、聞かせてくれ」
セイバー「……」カオマッカ
時臣(よくぞ勇気を……!さすが我が英雄王!!)
言峰(ふっ。やるじゃないか、英雄王)
アサシン(神よ、どうか英雄王に慈悲を……っ!)
セイバー「あの……まだ、よくわかりませんが、その」
言峰「アサシーーーーーン!!」
アサシン「はいっ!」
ドゥルルルルルルルルル
セイバー「あの、えーと」
ドゥルルルルルルルルル
ギル「……」
ジャン!
セイバー「お友達からで……」テッテレー
ギル「ぃやったぁあああああああ!!……のか!?」
74 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 00:49:23.48 ID:nIw+1UnN0
セイバー「では、……友情の印に握手を、英雄王……」カオマッカ
ギル「我のことはギルガメッシュと呼べ、いや、呼んでほしい」
セイバー「は、はい……ギルガメッシュ。では、私のことはアルトリアと……」
ギル「ああ、アルトリア!」ギュッ
セイバー「……エヘヘ」カオマッカ
時臣「やりましたね!英雄王!」タタタッ
アサシン「立派でした!感動しました!」タタタッ
言峰「ふん。お前にしては上出来だ」テクテク
ギル「貴様たち……!」
セイバー「あの……ギルガメッシュ?」
ギル「ああ、紹介しようアルトリア。多少知っているかもしれんが、こいつらは、その……我の、『仲間』だ」
時臣「ヘヘッ」
言峰「フフ」
アサシン「ニヒヒ」
セイバー「そうですか。英雄王はいい友人をお持ちだ」
83 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 01:00:37.32 ID:nIw+1UnN0
ギル「しかしてアルトリアよ。そのお友達というのは、こ、恋に発展をしたり、とか……」
セイバー「そ、それは、その……」プシュー
言峰「慢心するな!英雄王!全てはこれから始まるのだ!」
ギル「これから……?」
言峰「そう!これからお前は自らの力を持ってして、かのアーサー王の愛をつかみ取るのだ!アサシーーーン!!」
アサシン「はいっ!!」
ドゥルルルルルルル
言峰「いいか英雄王。これよりお前の進む道は茨渦巻く魔境の道そのもの!
引き返すことはもとより、止まることさえ許されぬ地獄の行軍!
しかし、それを乗り越えることすなわち彼女の愛を手に入れることは、まさしく天上の愉悦すら凌駕しうる代物!最高の宝!!」
ドゥルルルルルルルル
言峰「これから先は二人の物語になる!英雄王ギルガメッシュと騎士王アルトリアとの恋物語にするんだ!
わかるかギルガメッシュ、もう私から言うことはただ一つの言葉だけだ!それはっ!!」
ジャン!!!
言峰「頑張れ、ギルガメッシュ」
ギル「綺礼……」
92 :以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします:2012/06/02(土) 01:11:21.78 ID:nIw+1UnN0
時臣「さあ!英雄王の凱旋だ!!我々は盛大に見送ろうじゃないか!」
アサシン「ええ、この先に立ち入ることがいかに無粋か、赤子や暗殺者でもわかることですからね」
言峰「さあ行け!!英雄王よ!愛をつかむのだ!!」
ドゥルルルルルルルルル
セイバー「行きましょうギルガメッシュ!私、あっちの深海魚コーナーも見たいです」フンフン
ギル「ああ!行こう!アルトリア!」
ドゥルルルルルルルルル
時臣「英雄王!どうか最後に慈悲ある一言をっ!!」
ドゥルルルルルルルルル
ジャン!!!!!!!!
ギル「さらばだ、みんな!そしてセイバー!!好きだっ!!!」テッテレー
セイバー「さっき聞きましたよっ!ギルガメッシュ!」カオマッカ
オワリ
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