1 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:35:38 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼を見つめていたことに



私は知らなかった


無意識に見つめてたことに



私は知らなかった


無意識とは本当に怖い


2 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:36:28 VgeQdA/U



私は知らなかった


気付くのが遅かったことに



私は知らなかった


この気持ちが何なのか



私は知らなかった


他人であることに不満を感じていたことに


3 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:36:58 VgeQdA/U



私は知らなかった


顔しか



私は知らなかった


思い返せば、たまに一緒に訓練してくれてたことに



私は知らなかった


たまに笑顔を見せてくれる彼を


4 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:37:35 VgeQdA/U



私は知らなかった


名前さえ



私は知らなかった


名も知らぬ人に心惹かれていたことに



私は知らなかった


彼には恋人がいることに


5 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:38:11 VgeQdA/U



私は知らなかった


この胸の痛みの正体を



私は知らなかった


嫉妬という感情を



私は知らなかった


私は行動に出やすいタイプだと


6 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:38:57 VgeQdA/U



私は知らなかった


フォークの本当の使い方を



私は知らなかった


無意識とは本当に怖いと



私は知らなかった


彼に恋人がいたことが違う事実だなんて


7 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:40:48 VgeQdA/U



私は知らなかった


勘違いしやすい人間だったとは



私は知らなかった


彼は馬術が苦手だなんて



私は知らなかった


私が彼を教えることになろうとは


8 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:42:00 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼の手がこんなに大きいだなんて



私は知らなかった


彼をこんなに好きであったことに



私は知らなかった


彼がなぜ落ち込んでいるのか


9 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:42:56 VgeQdA/U



私は知らなかった


「家族を失った」というものらしい



私は知らなかった


何もかも・・・



私は知らなかった


彼に『家族』がいたことも



11 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:44:43 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼の呼ぶ『家族』という存在の相手を



私は知らなかった


『家族』を失う気持ちを



私は知らなかった


優しい言葉をかけたら、彼がここまで私に近付いてくれるなんて


12 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:45:52 VgeQdA/U



私は知らなかった


優しい言葉1つで彼の心を手に入れれるなんて



私は知らなかった


彼には親友がいたなんて



私は知らなかった


彼には私より大事な存在がいたなんて


13 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:49:25 VgeQdA/U



私は知らなかった


私以外を見ていた彼を



私は知らなかった


彼の眼球を呪うっても何も解決しないことを



私は知らなかった


彼が『親友』に触れた、その右手を呪ったって何も解決しないことに



15 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:49:59 VgeQdA/U



私は知らなかった


呪いなんて意味はないことに



私は知らなかった


フォークの本当の使い方を



私は知らなかった


無意識とは本当に怖いと


16 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:50:29 VgeQdA/U



私は知らなかった


なぜか心が安らいでいたことを



私は知らなかった


ナイフの本当の使い方を



私は知らなかった


肉は意外と切りにくいことを


17 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:51:06 VgeQdA/U



私は知らなかった


兵舎裏の井戸から、とてつもない異臭がすることを



私は知らなかった


肉がここまで臭いものになるとは



私は知らなかった


彼は私から離れていったことに


18 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:52:22 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼はどうやら何かを失って悲しんでいるようだ



私は知らなかった


彼はいつから私から離れていったのか



私は知らなかった


この胸の痛みの正体を


19 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:52:57 VgeQdA/U



私は知らなかった


ナイフのもう一つの使い方を



私は知らなかった


腕から紅い液体が流れるのを眺めていると、とても落ち着くことに



私は知らなかった


私は生きているということに


20 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:53:30 VgeQdA/U



私は知らなかった


紅い液体が私の存在を見せてくれていることを



私は知らなかった


いつの間にか、自分の生きている存在意義を疑っていたことを



私は知らなかった


彼が泣いていたことに


21 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:54:02 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼が悲しんでいたことに



私は知らなかった


彼の周りには人がいなくなってたことに



私は知らなかった


優しい言葉をかけたら、彼がここまで私に近付いてくれるなんて


22 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:55:25 VgeQdA/U



私は知らなかった


優しい言葉1つで彼を手に入れれるなんて



私は知らなかった


こんなに簡単に、また彼が私の元に戻ってくるなんて



私は知らなかった


幸せのつかみ方を


23 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:55:58 VgeQdA/U



私は知らなかった


彼が私の腕を凝視していたことを



彼は知らなかった


私の腕のこの生きてる証を



彼は知らなかった


この生きてる証を知る快感を


24 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:56:36 VgeQdA/U



彼は知らなかった


ナイフのもう一つの使い方を



彼は知らなかった


私の彼への優しさを



彼は知らなかった


私の彼への愛を


25 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 20:57:09 VgeQdA/U



彼は知らなかった


私の彼への愛を



彼は知らなかった


この快感を



私は知らなかった


なぜ彼は私から逃げるのか


26 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 21:00:57 VgeQdA/U



彼は知らなかった


私が悲しんでいることに



彼は知らなかった


私の愛の大きさを



彼は知らなかった


・・・・・。




28 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 21:02:01 VgeQdA/U



私は知っていた


簡単な幸せのつかみ方を



彼は知らなかった


フォークとナイフの使い方を




知らないなら教えてあげてもいいよ




『生きている』を知ることで・・・


29 : 以下、名無しが深夜にお送りします :2013/12/17(火) 21:02:36 VgeQdA/U
おわり