1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/28(月) 23:38:34.71 ID:yei8MQlj0
奴隷商人「私の命と商品を助けていただいた御礼です、片方だけ差し上げましょう」

引用元: 奴隷商人「…エルフかダークエルフをお選びください」 男「マジで」 



21: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:15:31.42 ID:xddb4W0H0
男「しかし……」

エルフ「……」ドキドキ

ダークエルフ「……」ワクワク

男「いや……」

エルフ「……」ドキドキ

ダークエルフ「……」

男「やっぱりエルフ……」

エルフ「!!」ピクッ

ダークエルフ「……ぇ」シュン

男「いややっぱりダーク」

エルフ「……はぁ」シュン

ダークエルフ「……」ピクピクッ

男「だがしかし……」

奴隷商人「存分にお悩み下さいとは言いましたけども」

26: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:22:39.08 ID:xddb4W0H0
男「両方とかって駄目?」

エルフ「……ッ!」 ぴくぴくっ

ダークエルフ「……」 ぴこぴこぴこっ ←耳が動いてる

奴隷商人「……いや、ただでさえ赤字なんですから」

エルフ「……ぅ」シュン

ダークエルフ「……」 シュン……

男「気持ちはわかるだろ?」

奴隷商人「……ええまあ」

エルフ「……!!!」 ぴぴくっ!

ダークエルフ「……」 ぴくっぴこぴこっ!

男「……(これ眺めてるだけで幸せな気分になるな)」

奴隷商人「(和む)」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:31:21.67 ID:xddb4W0H0
男「……片方買うとしたら、いくら?」

エルフ「……!!」キラキラッ ←目が輝いてる

ダークエルフ「……」 くわっ

奴隷商人「(目ぇ怖ッ!!) ……銀貨なら200、金貨なら40ほどでお売りしてますね」

男「でも今なら?」

エルフ「……っ」 チラッ チラッ

ダークエルフ「……」 くわっ

奴隷商人「新規ご契約の方に同時加入でお得なサービス……なんてないですよ」

男「ちっ乗らないか……」

エルフ「……」シュン

ダークエルフ「……」ズーン

男「(ダークの落ち込みようやべえ……)」

44: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:40:47.01 ID:xddb4W0H0
男「どちらがオススメですか」

奴隷商人「オススメ、ですか……」

エルフ「……」バッ

ダークエルフ「……」チラ

男「はい」

奴隷商人「そうですね……」

エルフ「……」キラキラキラ

ダークエルフ「……」チラッ  チラッ

奴隷商人「まずこちらのエルフですが」

エルフ「……!」ビシッ! ←何故か姿勢を正す

奴隷商人「容姿に関しては、まあ私が言うまでもなく申し分なく、その上穏やかで丁寧。
炊事にはじまる家事全般、読み書きもでき、眠いときは子守唄まで歌ってくれますね」

男「ほう」

エルフ「……!……!」フンス チラッチラッ ←激しいアイコンタクト

ダークエルフ「……」シュン

奴隷商人「(楽しくなってきた)」

46: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:43:56.50 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「そしてなにより……●●です!!」

エルフ「……///」

ダークエルフ「……」 ピピクッ

男「(あ、ものすごい反応した)」

奴隷商人「いかがですか。奴隷としては申し分ないかと」

男「ですね、ならこっちの――」

ダークエルフ「えっ」

奴隷商人「え」

男「え」

エルフ「……」ニコニコ

ダークエルフ「……///」

奴隷商人「ダークエルフの紹介に移りますね」

男「はい」

ダークエルフ「……」 チラッ  チラッチラッチラッ

男「(すごい気にしてる……)」

71: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:55:34.23 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「こちらのダークエルフ」

男「はい」

ダークエルフ「……」 ピシッ ←ちょっと姿勢正す

奴隷商人「なんと魔法が使えます!」

男「マジで!?」

ダークエルフ「……」ドヤッ

男「(あ、ドヤ顔した)」

奴隷商人「優秀な家の出だったとかで。今ではその一族はほぼ残っていませんが……」

男「……oh」

ダークエルフ「……」シューン……」

エルフ「……」チラ

ナデナデ

ダークエルフ「!?」バッ

エルフ「……!」パッ

ダークエルフ「……ぁ」

73: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 00:58:52.72 ID:xddb4W0H0
エルフ「……」

ダークエルフ「……」

エルフ「……」

ナデナデ

ダークエルフ「!」

エルフ「……」

ナデナデ

ダークエルフ「……」ニコ

男「(かわええ)」

奴隷商人「(かわ……はっ) つ、続けますね」

男「……はっ、どうぞ」

奴隷商人「愛想は良くないですが、見た目はご覧のとおり、申し分ありません。
さらに魔力を抑制する首輪もお付けします。貴方の命令通りに首輪が反応し、魔法が使えるようになります」

男「おお」

ダークエルフ「……」ニコニコ

エルフ「……」ニコニコ

80: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:03:28.78 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「そしてなにより……●●です!!」

エルフ「……///」

ダークエルフ「……///」

男「(真っ赤だ)」

奴隷商人「(真っ赤だ)」

エルフ「……」ニコ

ダークエルフ「……」プイッ

男「(あ、恥ずかしくて目そらした)」

奴隷商人「(こんなに可愛いって知らんかった) いかかです、奴隷どころか、護衛としても扱えますが」

男「なるほど、ではこちらの」

エルフ「えっ」

奴隷商人「え」

男「え」

エルフ「……///」

ダークエルフ「……」ニヤニヤ

97: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:17:39.29 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「で、どちらになさいます?」

男「……うーん」

エルフ「……」 じーっ

ダークエルフ「……」 チラッ  チラチラッ

男「(超気にしてるな……)」

奴隷商人「日没までに決めていただかないと」

男「うーむ……」

エルフ「……」 アセアセ

ダークエルフ「……」オロオロ

奴隷商人「(焦ってる……)」

男「(可愛い……)」

奴隷商人「かわ……いや。なにかご希望の条件などは?それに沿うほうがよろしいかと」

男「確かに」

奴隷商人「それに、条件さえ言っていただけたら、他のエル」

エルフ「……!?!?」 バッ

108: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:34:34.09 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「……フを連れてくるのではなく、このどちらが貴方様にふさわしいか私が判断いたします」

男「なるほど」

エルフ「……ほっ」

ダークエルフ「……」ホッ

奴隷商人「では、条件を」

男「うーむ……」

エルフ「……」ドキドキ

ダークエルフ「……」ワクワク

男「まず」

エルフ「……!」ぴく!

ダークエルフ「……」 ぴこっ!

男「可愛い」

奴隷商人「それではどちらにも当てはまります」

エルフ「……」ニコ

ダークエルフ「……」フイ

120: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:42:59.51 ID:xddb4W0H0
男「(あ、目そらした)」

奴隷商人「(可愛い)」

エルフ「……」ドキドキ

ダークエルフ「……」ワクワク

男「……うむ、続いての条件は」

エルフ「……っ!」 ピクッ

ダークエルフ「……」フン  ぴこぴこぴこぴこ

男「……ないな」

奴隷商人「え!?ないの!?」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「口調変わってません?」

奴隷商人「これは大変失礼いたしました。しかし、無いとはどういうことですかな?」

エルフ「……」コクコク

ダークエルフ「……」ジッ

127: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:49:08.61 ID:xddb4W0H0
男「いやなんというか……」

奴隷商人「……」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

男「可愛かったらいいじゃん」

奴隷商人「えっ」

エルフ「えっ」

ダークエルフ「……え」

男「たとえコミュ症でも、いらない子でも、能力や特技が微塵もなくとも」

奴隷商人「……」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

男「可愛かったら、いいじゃん……」


男「マジで……」

奴隷商人「……」

135: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:55:06.17 ID:xddb4W0H0
パチ、パチパチパチ……

奴隷商人「……ブラボー」

男「……え」

エルフ「……」パチパチ

ダークエルフ「……」パチパチ

奴隷商人「貴方は素晴らしい」

男「……そんなこと」

奴隷商人「いえ。ご謙遜なさらずに」

男「……」

エルフ「……」コクコク

ダークエルフ「……」コクリ

奴隷商人「女は愛嬌だの性格だの、中身だのという輩は、今の世に至ってもごまんといます」

男「はい」

奴隷商人「ですがやはり」

男「はい」

138: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 01:59:08.87 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「やはり大切なのは、『可愛いさ』です」

男「……」コク

奴隷商人「ある昔の偉い人は、こういいました」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

奴隷商人「『可愛いは、正義』 だと……」

男「里見社長……」

エルフ「……だれ?」ボソッ

ダークエルフ「……しらない」ボソッ

奴隷商人「……貴方こそ、この二人の奴隷の主人にふさわしい」

男「……商人さん」

エルフ「……!!!」ぴぴぴぴくっ!

ダークエルフ「……」 ぴこぴこぴぴぴぴこぴこぴこ!

146: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 02:07:21.81 ID:xddb4W0H0
奴隷商人「……さぁ、お行き」

スッ……

そういうと、商人はすっと二人の肩を押し、私のほうへ歩かせた。
エルフたちは、期待と不安、そしてもうひとつの何かが渦巻く不思議な表情をして私のところへ来た。

「おねがい、します……」

白い方のエルフがおずおずと私に話しかける。びくびくしているが、私の事を怖がってはいないようだ。

「……一応、よろしく。人間」

黒い方の、いや、浅黒く焼けた肌を持つエルフは、ぶっきらぼうにそう話しかけてきた。
しかし不思議と、嫌な心地はせず。まるで、耳元でハープでも奏でられたかのようなくすぐったさだった。

「……さぁ、行こうか。二人とも」

私がそういうと、その言葉を待っていたかのように頷く。こうしてみると対極的どころか、姉妹のようにさえ見えてしまう。
それだけ長い時間を共に過ごしたということなのだろう。

歩き出す私と、私の生涯の伴侶となる二人に向け、商人が一言、言葉をかけた。



「お題、銀貨200枚になります」


ですよねー。
                                                HAPPY END

161: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 02:25:23.69 ID:xddb4W0H0
ガチャ

男「……ただいま」

シン……

男「……忘れてた。俺は独り身……」

男「父さんも、母さんも……」


タッタッタッタッタ

ガチャン!

ギュッ

男「!?」

エルフ「おかえりなさいませ!ご主人様!」

ダークエルフ「……お、おかえり」ボソッ

男「……(そうか)」

男「(……俺には、こいつらが)」

エルフ「?」

男「……ただいま」

221: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 08:25:07.34 ID:xddb4W0H0
朝まで残ってるなんて誰が予想しただろう

226: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 08:37:28.45 ID:xddb4W0H0
――――時は戻り、購入直後。

テクテク

男「(結局片方買ってしまった)」

テクテク

エルフ「……」 じーっ……

テクテク

ダークエルフ「……」 チラ チラッ

テクテク

男「(なんだろう視線が刺さる)」

テクテク

エルフ「……あ、あの」

男「喋った!!」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「あ、いやごめん……続けて」

232: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 09:04:25.90 ID:xddb4W0H0
エルフ「え、あの……いや、その……
ふ、ふつつかものですが、よろしくお願いします!」

男「(ばかわいい) あ、うんよろしく」

エルフ「……」チラ

ダークエルフ「……」ハァ

男「……」

ダークエルフ「……言っておくけど、私は人間となれ合う気なんてないから」

男「喋った!!」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「あ、ごめんごめん」

エルフ「……気持ちはわかりますけど」

男「だろ?」

ダークエルフ「……」チラッチラッ

男「……(すっごく喋りたいっぽい)」

エルフ「……(すっごく喋りたいっぽい)」

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 09:19:04.13 ID:xddb4W0H0
男「……そうだな」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

男「特技とか……」

エルフ「……!」

ダークエルフ「……」ピクッ

男「お、何かあるのか」

エルフ「……一応、お料理は得意です」チラッ

男「なるほど、それはありがたいな。一人暮らしでロクに食べてなかったんだよ」チラッ

ダークエルフ「……」 フイッ

男「(あ、目そらした)」

エルフ「(あ、目そらした)」

男「……」

ダークエルフ「……温度」

男「温度?」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 09:22:55.73 ID:xddb4W0H0
ダークエルフ「温度、変化の……魔法」

男「……おお、すげぇ」

エルフ「……細かな温度変化は難しいと聞いたんですが、すごいですね」

ダークエルフ「べ、べつに……これくらい、なんとも、にゃい……」

男「(あ、噛んだ)」

エルフ「(あ、噛んだ)」

ダークエルフ「……」ハッ

男「……」

エルフ「……」

ダークエルフ「噛んでにゃい……」

男「!?」

エルフ「!?」

ダークエルフ「……////」

男「(真っ赤だ)」

エルフ「(真っ赤だ)」

247: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 09:32:35.59 ID:xddb4W0H0
男「ま、まぁとにかく二人とも申し分ない特技だな!」チラ

エルフ「お、お褒めいただいて光栄です!」チラ

ダークエルフ「……」 ぴこぴこぴこぴこ

男「(すっげぇ嬉しそう)」

エルフ「(すっごく嬉しそう)」

男「……あのさ」ボソ

エルフ「……はい?」ボソ

男「あの子もしかして、猫語とか使うの?」ボソ

エルフ「いえ、そんなことはないと思います」ボソ

ダークエルフ「……」チラッ チラッチラッ

男「(すごい気にしてる……)」

エルフ「(すごく気にしてる……)」

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 09:37:14.53 ID:xddb4W0H0
男「……お、町についた」

エルフ「……ふわー、綺麗ですね!」

ダークエルフ「……」キラキラ!キラキララ! ←超目が輝いてる

男「(可愛い) あれ?お前らって町に来たことなかったっけ?」

エルフ「私たちは村の出ですし、あまり日の当たるところに出してもらえませんでしたし」

ダークエルフ「……たいていは、牢獄の中」

男「……大変だったんだな。今日は好きなもの買ってやるから」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「(おお、テンプレの驚き)」

エルフ「そ、そそんな滅相もない!私たちに物など!」アタフタ

ダークエルフ「……えっと、えっと」オロオロ

男「(ああ!言葉が出ないんだ!)」

エルフ「(可愛い!!)」

ダークエルフ「……え、えっと」

269: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 10:16:58.96 ID:ZVfRigU10
ダークエルフ「……その」

エルフ「……」ドキドキ

男「……」ワクワク

ダークエルフ「……」

エルフ「……」

男「……」

ダークエルフ「……こっち、見るな」

男「(おひょおおおおおおおおおおおおおお!!)」ハスハスハスハス

エルフ「(ご主人様の気持ちが伝わってきます!)」キュンキュン

ダークエルフ「う、うう……」

270: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 10:22:51.50 ID:ya8KqCtw0
男「まずは服だな」

ダークエルフ「……うぅ」

エルフ「……よしよし」

ナデナデ

ダークエルフ「……」ニヘラ

エルフ「……」キュン

男「……」キュン

服屋「……!」キュン

男「……は」

服屋「……は!いらっしゃいませ。本日はどのようなご用件で?」

男「あ、あぁ。あ、あの子たちの服を」

273: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 10:31:46.40 ID:VE5UQ2Ly0
服屋「……左様でございますか」

男「あー、湧き上がる疑問はあると思うけど、気にしないでください」

服屋「かしこまりました」

男「で、服だけど……何かほしいのある?」

エルフ「え、えと……」

ダークエルフ「……」オロオロ

男「ああ、お金とかは気にしなくていいから。俺こう見えて金持ちだから」

エルフ「……はぁ」

274: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 10:33:56.48 ID:VE5UQ2Ly0
ダークエルフ「……」オロオロ

男「……これは俺が適当に見繕ったほうが早いのか」

エルフ「あのあの、えっと」

服屋「……私がお見立ていたしましょうか?」

男「あ、じゃあお願いします」

服屋「では少々お待ちください。できましたら店の外で待っていただけるとありがたいです。
もしかしたら、すごいことになるかもしれませんゆえ」

275: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 10:36:19.32 ID:VE5UQ2Ly0
男「すごいこと……だと……それは気になる。
わかりました、店の外で待っています。どれくらいですか?」

服屋「半刻ほどいただければ」

男「把握しました」

スッ スタスタスタ……

エルフ「あっ」

ダークエルフ「……ぁ」

服屋「久々に……腕が鳴るぜ!!」ゴキッ

315: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 12:49:50.92 ID:QffUIx6m0
服屋「お待たせいたしました」

男「あぁ、すみま‥‥‥」

エルフ「‥‥‥」モジモジ

ダークエルフ「‥‥‥」モジモジ

男「か‥‥‥」

男「かわいいいいいいいいいいいいいいいいいい!!」

服屋「‥‥‥」ニコニコ

エルフ「‥‥‥///」

ダークエルフ「‥‥‥///」

376: ◆bmEXX9zQ6r.v 2012/05/29(火) 17:46:49.74 ID:+Dm5pNmE0
服屋「どうですか?エルフのお嬢様には大胆なドレスをアレンジして、大いなる新緑をイメージした緑の魔法装備です。長時間使用により帯びる魔力を一時的に自らの糧にできます」

男「一時的ではあるが使用可能にできる防具とは‥‥‥なによりも見た目がすばらしい!!」

服屋「そうでしょうそうでしょう」

エルフ「‥‥‥///」

ダークエルフ「‥‥‥」ドキドキ

382: 鳥ミス 保守さんくすw 2012/05/29(火) 17:53:20.18 ID:+Dm5pNmE0
服屋「こちらのダークエルフのお嬢様には、優雅なドレスに大胆なアレンジを加え、神聖な王宮をイメージさせていただきました!
こちらは先ほどの服と違い、本人の魔法を強化、洗練してくれる効果を持ちます!」

男「なんてことだ、もはやこれを上回る装備が見つからない。なにより可愛らしい!!」

服屋「でしょう!?超でしょう!?」

ダークエルフ「‥‥‥///」

384: 鳥ミス 保守さんくすw 2012/05/29(火) 17:57:03.85 ID:+Dm5pNmE0
服屋「苦労しました。私の服屋生命を書けた見立てといっても構いません」

男「誠にありがとうございます。言葉も見つかりません」

服屋「いえ。これだけ素晴らしく最上級のお洋服を着こなしてくれるお客様と出会えました。服屋冥利につきます」

エルフ「‥‥‥///」

ダークエルフ「‥‥‥///」

388: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 18:01:21.34 ID:+Dm5pNmE0
男「ありがとうございました。では‥‥‥」

服屋「はい。お代が、銅貨304枚分になります。
銀貨なら30枚です」

男「ですよね」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

392: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/29(火) 18:05:13.12 ID:+Dm5pNmE0
服屋「ですが」

男「‥‥‥お?」

服屋「お客様、失礼ですが、お嬢様の服を他にお持ちでありませんね?」

男「ええまぁ」

服屋「でしたら、もし他の服を買っていただいた際、この布袋に商品をおつめします。これを今日一日持ち歩いていただければ、今回の商品半額にいたします」

男「ええ!?」

407: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:23:54.10 ID:+Dm5pNmE0
エルフ「えっと、えっと」アタフタ

ダークエルフ「……ぁぅぁぅ」アタフタオロオロ

男「うーむ……」

服屋「(……ん?)」ピクッ

男「いや、それは……」

服屋「これはこれは!失礼しました!」

男「はい?」

服屋「本日どうやら見たところお疲れのようですね!
本日はゆっくりお休みください。そして、明日この袋を持ち歩き、お買いもの袋としてご利用ください!」

スッ

男「(まさか……この子らがお風呂に入ってないことに気付……くよなそれは。
気を使ってくれたか)」

服屋「提携宿屋のチケットもお付けします」

男「ようし!買った!!」

エルフ「ぇえっ!?」

ダークエルフ「!?」オロオロアタフタワタワタピコピコ

416: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:34:10.51 ID:+Dm5pNmE0
服屋「毎度ありがとうございます!!またのご来店をお待ちしております!!!」


男「いやぁ……思いのほか安くついたな」

エルフ「……あ、あのあの!」オロオロ

男「どうした」

ダークエルフ「……!……!」オロオロ

エルフ「ど、どうしたっていうか……こ、こんな高いもの買っていただいて本当に良かったんですか!?」

男「いやだって、お前らは俺の所有物だろ?」

エルフ「そ、それはそうですけど……」

ダークエルフ「……」コクリ

男「だったら何着せようが俺の勝手だろ。はい論破」

エルフ「えぇえ~……?」

ダークエルフ「……」ムム

432: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:44:20.46 ID:+Dm5pNmE0
宿屋「いらっしゃ……おおう!?こんな辺鄙な地に珍しいお客さんで」

男「ふふふ、可愛いだろう!可愛いだろう!!」

エルフ「……///」

ダークエルフ「……///」

宿屋「いやいや、旦那さんもこれまた逞しい。身なりは綺麗なのに戦もできるタイプですかい」

男「いやそれほどでも」

エルフ「……」ニコニコ!

ダークエルフ「……」ウキウキ!!

宿屋「(あれ?何か自分たちが褒められてるときの倍くらい嬉しそう)」

男「高くても構わないから、オススメの部屋とかないですか」

宿屋「いやぁお客さんラッキーだね」

男「ラッキー?」

宿屋「いや、いい部屋って訳じゃあねぇんだけどさ、今日は客がいないから、お客さんたちの貸しきりのようなもんさ」

男「おお、それはありがたい」

433: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:46:11.94 ID:+Dm5pNmE0
宿屋「さらに朗報でしてな」

男「はい」

宿屋「うち、温泉が湧いてるんですよ」

男「お!本当ですか」

エルフ「……?」 ←知らない

ダークエルフ「……!?」←知ってるけど入ったことすらない

男「ああ知らないんだっけ」

ダークエルフ「……ぃぇ」

男「知ってはいるのか。まぁ百聞は一見にしかずだな。来てみろ」

エルフ「……?」

ダークエルフ「……」ワクワク

440: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:50:36.71 ID:+Dm5pNmE0
ガララ

男「(引き戸……珍しいな。異国の文化か?)」


男「これが温泉だ」

カポーン……

エルフ「……」アングリ

ダークエルフ「……」キラキラキラキラキラキラキラ

男「ま、まずは荷物おいてからだな」

エルフ「……」アングリ

男「……おい?」

エルフ「は、はひ!!すぐ!すぐに!!」

ダークエルフ「……ふん。こんなもの」ブンブンブンブンブン

男「動作と言動が一致してないぞ」

447: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 18:59:40.08 ID:+Dm5pNmE0
男「ここが俺たちの部屋だ」

エルフ「……あの」

男「なんだ?」

エルフ「……やはりとは思ったのですが、わたくしたちも、ご主人様と同じ部屋ですか?」

ダークエルフ「……」コクリ

男「ああごめん、嫌だったか。じゃあ今から」

エルフ「ちちちちちがいます!」

ダークエルフ「……」ブンブン!

男「え?どっち」

エルフ「嬉しいです!この上なく嬉しいですけど!」

男「そんな無理して言わなくても」

エルフ「無理じゃないです本心です!!!」クワッ

男「こわっ」

エルフ「あ、すみません……」

ダークエルフ「……」プルプル

452: なるべく早く終わらせるさ 2012/05/29(火) 19:05:19.30 ID:+Dm5pNmE0
ヨシヨシ

グスッ

男「……まぁ本心ということは認めるとして、アレか?身分云々か?」

エルフ「そうです」 

ナデナデ

ダークエルフ「……」ニヘラ

男「(かわいい)」

エルフ「(可愛い)」

男「そんなことはどうでもいいんだ。だってお前らは俺の所有物だろう!」

エルフ「ま、まぁそうですけど……」

ダークエルフ「……」ニヘラ

男「(可愛い)」

エルフ「(可愛い)」

457: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:10:12.67 ID:+Dm5pNmE0
男「……さて、こんなもんか。じゃ、風呂行ってこい」

エルフ「はい!」

ダークエルフ「……」ぴこぴこ

男「……」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

男「……いや」

エルフ「……?」

ダークエルフ「……?」

男「行けって言ったんだけど」

エルフ「えっ」

ダークエルフ「……ぇ」

男「……もしや、俺まち?」

エルフ「はい」

男「いや、行かねぇよ?」

459: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:12:46.79 ID:+Dm5pNmE0
エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「いや、あとで行く……」

エルフ「……そうですよね」

男「だから」

エルフ「こんな汚い奴隷となんて嫌ですよね」

ダークエルフ「……」コク

男「いやそういうことじゃ」

エルフ「……申し訳ありませんでした」

ダークエルフ「……」ペコリ

男「ああもうわかったよ行くよ行けばいいんだろ!」

エルフ「!」パァァァ

ダークエルフ「……」パァアァァアァア

男「(なんという輝き)」

463: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:16:18.23 ID:+Dm5pNmE0
男「(ご丁寧に脱衣所まで)」

シュルル  パサッ

男「(衣擦れの音が●●●)」

男「おーい!脱いだか!」

エルフ「当たり前じゃないですか。パパって脱ぎましたよ。ご主人様も早くしてください」

男「(くそっ!なんということだ……こいつら本当に●●か!?」

ズルッ

ボロン

エルフ「わ」

ダークエルフ「ひゃ」

男「……いくぞ」

エルフ「……ぁ、はい」マジマジ

ダークエルフ「……」マジマジ

男「マジマジ見るな!!」

エルフ「す、すみません」ジュル

469: もうすぐ用事っていうね 2012/05/29(火) 19:25:08.52 ID:+Dm5pNmE0
カポーン……

男「(……駄目だ)」

男「(●●の俺には……直視できん!!)」

エルフ「ご主人さま」

男「なななだん!」

エルフ「(なだん?)いえその、お背中おながししようかと……」

男「え?いやそれよりもお前らの方が汚れてるだろ、そっちを先に……はっ」

エルフ「……も、もしかして、洗ってくださる」

ダ-クエルフ「……!」ぴこっ

男「いやいやいや!!それはない!」

エルフ「……ですよね。奴隷風情が調子にのって本当に」

男「わかった!洗う!洗うから!!」

472: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:28:49.10 ID:+Dm5pNmE0
パシャッ……

男「……洗うぞ」

エルフ「は、はい……」

ダークエルフ「……」ドキドキ

男「お前後な」

ダークエルフ「!!」ガーン

男「お前大トリな」

ダークエルフ「……」ぴこぴこっ!

エルフ「(かわいい)」

男「(かわいい)」

男「……よし」

エルフ「……」ゴクリ

むにっ

エルフ「……っひゃぁんっ」

男「!!!?」

478: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:33:55.34 ID:+Dm5pNmE0
男「(だ、駄目だ!目をつぶっててはどこがどこだか判断つかん!)」

エルフ「ご主人様の●●●」 ウキウキ

ダークエルフ「……!」ドキドキ!ドキドキ!

男「ち、違う!俺は確かに変 だが誤解だ!」

エルフ「いいんですよ、ご主人様だったらどこさわっても」

男「ドアホウが!お前は奴隷である前に一人のエルフだ!
俺はその人権を尊重する必要が……」

エルフ「ばか」

ダークエルフ「!」

男「えっ」

481: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2012/05/29(火) 19:38:12.77 ID:+Dm5pNmE0
エルフ「奴隷だとか、エルフだとか、人権だとか」

エルフ「そんな事関係ないんです」

男「いや……」

ダークエルフ「……」ドキドキ

エルフ「私が……私たちが、ご主人様の事が大好きだから」

ダークエルフ「ぁぅ」ギクッ

エルフ「……だから、ご主人様に触ってほしいんです」

男「……」

エルフ「その大きな手で、包み込むように洗ってほしい、その大きな体で、認めるように抱きしめてほしい。
その優しい声で、私たちを癒してほしい」

男「……」

エルフ「……本当は奴隷がこんな贅沢言っちゃダメなんです。でも、貴方は……ご主人様は、
きっと私たちに優しくしてくれます。こんな、いらない子の私たちでも」

男「誰がいらない子だ!!しょっぴくぞ!!」

ダークエルフ「……」ぴこっ

エルフ「……そう言ってくれるって、信じてました」

482: ※ちなみにこのシーン、全員全裸です 2012/05/29(火) 19:40:06.87 ID:+Dm5pNmE0
男「……●●たな」

エルフ「●●るのはご主人様ですよ」

男「お前いつから下ネタキャラになった」

ダークエルフ「……人間」

男「喋った!!」

エルフ「喋らせてあげましょうよ!!」

男「あ、ごめん……」

ダークエルフ「……」グス

エルフ「……いや」

男「?」

エルフ「ご主人様」

男「え、俺?」

エルフ「撫でてあげてください」

男「え?マジ?」

エルフ「はい」

483: ※ちなみにこのシーン、全員全裸です 2012/05/29(火) 19:42:11.56 ID:+Dm5pNmE0
ナデナデ

ダークエルフ「……」ニヘラ

男「(可愛い)」

ダークエルフ「……もっと」

男「よしよし」

ダークエルフ「……はっ!違う!!」

バッ

男「おおう」

ダークエルフ「(お、おっきい……)にんげにょ、私はまだお前を認めたわけではにゃい!」

男「(噛んだ)」

エルフ「(それも二回も)」

ダークエルフ「……か、噛んでなどいにゃい!」

男「え?これが地?」

エルフ「いいえ。普通に噛んでます」

ダークエルフ「~~!!」

487: ※ちなみにこのシーン、全員全裸です 2012/05/29(火) 19:46:39.93 ID:+Dm5pNmE0
ダークエルフ「まだお前を……お前たち人間を、許したわけでも、認めたわけでもない」

男「(……生えてないんだな)」

エルフ「(ご主人様真剣な顔つき……)」

ダークエルフ「……だが」

男「……(胸はふくらみかけか、ちょうどいいな)」

ダークエルフ「……誇り高きダークエルフの一族として、礼をしたい」

男「……ああ(やっべ、聞いてなかった)」

ダークエルフ「私を救い出してくれたこと、私を許してくれたこと。
そして……私の大切な友人を、助けてくれたことだ」

エルフ「……」

男「……いや、それは」

ダークエルフ「確かに偶然かもしれない。だがお前がいなければ、きっとひどいめに遭っていた。
まぁ、これから遭わないとは限らないが……」

男「……(ほんと肌すべすべだな)」

ダークエルフ「何故だか、私にはお前が、良い人間に見えてしょうがない。
……こんな風なものの見方はいけないと、母様に教わっているのだがな」

男「(くっ……耐えろ!俺のxx!)」

488: ※ちなみにこのシーン、全員全裸です 2012/05/29(火) 19:50:06.02 ID:+Dm5pNmE0
ダークエルフ「……ありがとう。人間」

チュッ

男「!?」

エルフ「あ、ずるい」

チュッ

男「ちょっ!?ええっ!?」

ダークエルフ「信愛と、忠誠を誓う。その印……」

ダークエルフ「……」

ダークエルフ「……!!」ボンッ

男「あ、今どれだけ恥ずかしいことしてるか気づいた」

エルフ「今さらですねー♪」

489: ※ちなみにこのシーン、全員全裸です 2012/05/29(火) 19:53:12.25 ID:+Dm5pNmE0
エルフ「……ま、そんなわけで、これからもよろしくお願いします♪」

男「……あぁ(くっ、こいつはなんてワガママボディなんだ……)」

ダークエルフ「……」プスプス

エルフ「じゃ、一緒にお湯につかりましょう!」

男「おい待て!まだ体洗ってないだろうが!」

ダークエルフ「死なば……」

ガシッ

男「ん?」

エルフ「え?」

ダークエルフ「もろともぉ!!」

ザッポーン


溺れて意識を失う直前、綺麗な声を聴いた気がした。

『大好きですよ。ご主人様』

どちらの声か、はたまた二人ともだったのか

それはいまだにわからない。                   風呂場END

655: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 00:51:12.14 ID:N/NycHww0
チュン……チュン……

ガタ ガタガタ

ガタガタ

……ま

……さ……よ!……ま!


男「……さよま?」


 ガタン!

男「のうぅぉわっ!!」

ベチン

エルフ「朝ですよ!ご主人様!さっさと起きてください!」

男「ええい!それが主人に対する態度か!」

エルフ「俺がどんな言い訳をしようがたたき起こしてくれって言ったのご主人様じゃないですか!」

男「……そんなこと言ったっけ」

エルフ「言いました!」

656: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 00:54:58.89 ID:N/NycHww0
男「……眠い」

エルフ「……昨日はかなり早く寝たはずですけど?」

男「えーと昨日は、確か」

――――夜。

男「床で寝させてくれ」

エルフ「ダメです」

ダークエルフ「……」コクコク

男「何故だ!」

エルフ「普通は奴隷が床で寝るんです!」

男「お前らは俺の所有物だろう!言うことを聞け!」

エルフ「こればっかりはムリです!」

ダークエルフ「……」オロオロ

ダークエルフ「……!」ぴこーん

男「……どした」

エルフ「何か妙案?」

659: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 00:57:48.26 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……さんすくみ」

エルフ「ああ!」

男「……さんすくみ?」

エルフ「知りません?手で三つの形を作って、剣の形は植物の形に強くて……」

男「それじゃんけんじゃねーか」

エルフ「……じゃんけん?」

ダークエルフ「……じゃんけん?」

男「……いや、いいや。じゃあそのさんすくみとやらで決着をつけようじゃないか」

エルフ「……望むところです」

ダークエルフ「……」ス

男「え、お前も参加すんの」

ダークエルフ「……」コクコク

男「それ俺不利じゃ……」

エルフ「さーいしょーは石ー!」

男「始まってる!?」

662: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:00:42.88 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……人間風情には負けない」

男「……この俺が」

エルフ「おお~……」

ダークエルフ「……人間はベッド」

男「えっ」

エルフ「負けた人は言うことを聞かなくてはいけないんですよ」

男「ぬぬ……」

ダークエルフ「……絶対」

男「じゃ、じゃあ!」

エルフ「何ですか」

男「一緒に寝るぞ!」

エルフ「えっ」

ダークエルフ「えっ」

男「いや、ベッド広いし……いやお前ら顔を赤くすんな」

エルフ「えー、ですが……」ニヘラー

665: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:07:28.85 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……」ニヘラー

男「(嬉しそうだなぁ……)」

エルフ「……ほんとに、いいんですか?」

男「普通なら俺のセリフなんだけどな」

ダークエルフ「……奴隷と同衾なんて」

男「うるさい俺の命令に従え」

エルフ「……仕方ないですね♪」

ダークエルフ「ふん……」ウキウキ♪

男「お前らヤケに嬉しそうなのな」

エルフ「だってまず、温かいベッドで寝るのが何年振りかってレベルですもん」

ダークエルフ「……」コクコク

男「……あー」

エルフ「いやそれよりも」

男「ん?」

エルフ「やっぱり人肌って、恋しくなるんです」

667: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:11:09.45 ID:N/NycHww0
男「……まぁ確かに、そんなこともあるな」

エルフ「ご主人様だって、一人旅だったんですよね?」

男「おう。俺の旅は危険がいっぱいだからな。敢えて遠慮してもらった」

ダークエルフ「……?」

男「どした」

ダークエルフ「……ぇ、いや……その、危険ならばむしろ、人を呼ぶべきでは」

男「……こんなことを言うと酷いかもしれんが」

エルフ「……」

男「生半可な実力だと足手まといなんだ。あまり優秀な奴はすでにフリーじゃない」

ダークエルフ「……なるほど」

エルフ「……じゃ、じゃあ、次旅に出るとしても」

男「お前らはおうちで留守番しておいてもらうことになるな」

ダークエルフ「……!」キッ!

男「!?」

エルフ「!?」

668: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:15:41.08 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……人間、いや、ご主人様」

男「どうした急に改まって」

エルフ「……」

ダークエルフ「……無理を承知で頼む。……この首輪を、外して、ください」

エルフ「……ええ!?」

男「……」

ダークエルフ「……足手まといになるかどうか、試してみればいい!」

エルフ「いや、そんな理由で首輪を外してくださるわけが」

男「いいぞ」

ダークエルフ「えっ」

エルフ「えっ」

男「えっ」

ダークエルフ「……い、いいの?」

エルフ「ご主人様!?これを外すと、この子は最大限まで魔力を解放できるんですよ!?
逃げるなんてあっという間です!それをわかってるんですか!?」

男「当たり前だ。逃げられる程度の奴隷なら、最初から連れん。主人として恥ずかしい」

671: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:19:22.89 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……あなたが私の主人で、本当によかった」

男「そのセリフを言うのは早いぞ」

エルフ「……ご主人様?」

男「何だ」

エルフ「今からドンパチ始める気ですか……?」

男「あっ」

ダークエルフ「あっ」

男「……明日の明朝」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」コク

男「そこで手合せする。お前の実力、とくと見せてもらう」

エルフ「……じゃあ今日はもう、早めに寝ますか」

ダークエルフ「……」コク

男「……あ」

エルフ「どうか?」

672: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:22:01.56 ID:N/NycHww0
男「い、いや……(そういえば今日、ノリで二人と添い寝することになったんだよな」

エルフ「ご主人様!早く早く!」

ダークエルフ「……」ワクワク

男「えっ俺真ん中」

エルフ「当然じゃないですか」

男「(壁際に張り付くという作戦はついえた」

エルフ「……んふふ~♪久々の、久々のー♪」

ダークエルフ「……ふん」ウキウキワクワクピコピコ

男「……なぁ」

エルフ「はい?」

男「俺明日朝、凄い寝不足だと思う」

エルフ「……何故ですか」

男「いやそれは置いておいて、多分すごい言い訳すると思うんだ。起きたくないとか」

エルフ「……子供ですか」

男「否定はしない、そこでだ」

675: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:29:39.50 ID:N/NycHww0
エルフ「はい」

男「俺が明日朝、何と言おうと、日が昇ったらたたき起こしてほしい」

エルフ「わかりました」

ダークエルフ「……明日は負けない」ぴこぴこ!ぴこぴこ!

エルフ「(シリアスが台無しの可愛さ)」

男「(別の意味で負けそうだ)」

エルフ「さ、寝ましょう」

ギュ

ダークエルフ「……」

ギュ

男「おいお前ら」

エルフ「はい?」

ダークエルフ「……?」

男「何故ひっつく」

エルフ「いいじゃないですか」

676: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:31:04.03 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……」 ギュー

男「……はぁ。仕方ないな」


――――数刻後。

エルフ「……」スゥ スゥ

ダークエルフ「……」スヤスヤ

男「……やわらかくて、いい匂いがして、眠れん」

エルフ「……♪」スゥ スゥ

ダークエルフ「……♪」スヤスヤ

680: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:43:08.56 ID:N/NycHww0
―――――で。

男「……そうだった」

エルフ「忘れてたんですか!?」

男「いや、忘れてたというわけではないけど……」チラッ

エルフ「……あ、あの子ですか」

男「おう」

エルフ「外でストレッチしてますよ」

男「……あー、実際にバトるなら、場所考えないとな」

エルフ「……そこまでの規模でやる気ですか」

男「……あの自信で、魔法使えるんだぞ」

エルフ「……確かに」

男「あの子が噛ませみたいなキャラに見えるか?」

エルフ「……全然」

男「だろ」

682: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:48:01.78 ID:N/NycHww0
――――

男「……悪いな。待たせた」

ダークエルフ「……構わない。私も今来たところ」

エルフ「デートみたいになってる」

ダークエルフ「……///」

男「照れるなら言うな」

エルフ「ご主人様」

男「ん」

エルフ「本当に、やるんですか?」

男「当たり前だろ」

ダークエルフ「……」

男「ほれ」

ペキン

ダークエルフ「……ぁ」

エルフ「あっ……」

683: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 01:50:14.37 ID:N/NycHww0
男「これで魔力は自由に扱えるな。練習しなくて大丈夫か?」

ダークエルフ「……平気」

エルフ「……本当に、外しちゃうんですね」

男「当たり前だろ」

エルフ「……ほぅ」

男「何だ、呆れてんのか」

エルフ「いーえ!」

男「なんだよ全く」

エルフ「(かっこよすぎてドキドキしてるんです!)」

ダークエルフ「……」

コォォォォ……

男「……流石、ダークエルフだな」

エルフ「……わ、本当、すごいですね」

ダークエルフ「……舐めてもらっては、困る」

フォン……

691: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:07:45.28 ID:N/NycHww0
男「ちょっと広い所行くか」

ダークエルフ「……」コクリ

エルフ「……(本当話したがらないなぁ)」

ダークエルフ「(実は、単に人と話すのが、苦手だなんて、絶対、言えない……)」


スタスタ、スタ……

698: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:13:42.44 ID:N/NycHww0
男「この辺りでいいか」

エルフ「見事に人がいませんね」

 サァァ……

男「……」

ダークエルフ「……」

エルフ「(ぴ、ピリピリした雰囲気が伝わってくる!)」

男「(おなかすいた……)」

ダークエルフ「(朝ごはん食べてない……)」

701: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:16:47.31 ID:N/NycHww0
男「とりあえず、ルールだけでも決めておくか」

エルフ「はい」

男「先に、ギブアップさせるか、相手を先頭不能にする、もしくは『相手を確実に殺せる』状態になれば勝ち。オッケーか?」

ダークエルフ「……」b グッ

男「(何故にサムズアップ……)」

エルフ「(何でサムズアップ……?)」

男「オッケー。じゃあ始めるか。おい、合図頼むわ」

エルフ「あ、はい!えーと」

男「そうだな……『はじめ!』とかで頼む」

エルフ「始め!」

男「はやっ!」

ダークエルフ「……~」ボソボソ

男「!(いきなり来るな……そうはさせるか!)」

バッ

エルフ「(ご主人様の方が早い!)」

702: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:20:23.60 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……」ニヘラ

男「……?」ピクッ

ダークエルフ「魔法は、万能」

男「な……っ」

ダークエルフ「『エアロガーデン!!』」

   ブ ォ ッ  ! !

男「ッ!!」 バッ

エルフ「(鋭い風のカーテン……!?あれじゃあご主人様は近寄ることすら)」

ダークエルフ「絶対に……連れて行って、もらう」

男「それはどうかな」

ダークエルフ「『フレアブラスト!』」

キュイッ

ボボボボッ
           ズガッ!
   ガン!
                 ドゴッ!
         ボン!
男「……!」

707: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:25:05.42 ID:N/NycHww0
エルフ「(今度は激しい火球の雨!?どれだけ使えるのあの子!?)」

男「お前……何で奴隷してたんだよ」

ダークエルフ「企業秘密……」 キュイッ

エルフ「……(三つ目が来る!このままじゃ、ご主人様は!)」

ダークエルフ「『ウォーターグラップ!』」

  バ シ ャ ア ァ ッ !

男「……とまぁ、ここまでにしておくか」

エルフ「え?」

ダークエルフ「え?」

男「むん!」

   ズバァッ

エルフ「……え!?」

ダークエルフ「……液体を、物理的に切り落とした?」ポカーン

男「……残念だったな。俺の剣はちょっと特殊でな」

エルフ「え、それただの鉄の剣ですよね」

708: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:28:17.83 ID:N/NycHww0
男「え、なんでバレたん」

エルフ「え、いやその」

ダークエルフ「……『フレイムウォール!』 『アーススタンプ!』」

ゴゴゴゥッ!

                ズゴゴォン!!

男「……だから、無駄だって言ってるだろ」

バッ!!

ダークエルフ「……!!」

男「うらぁああっ!!」  ビュォッ……

エルフ「が、ガチで切りかかるんですかー!?」

スポッ

男「あ」

ダークエルフ「え」

エルフ「……す」

エルフ「すっぽぬけたあああああああああああ!!」

709: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:32:40.98 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……!『ウォータグラップ!!』」

ザパァン!!

男「ゴボガフッ!?」

エルフ「や、やった……!?」


『ガ、ガァァア……」


エルフ「……へ?」


ジャイアントオーク「グォォ……」

ズズゥン……

エルフ「あ、あれはオーク上位種の……ジャイアントオーク!?」

ピシッ

ザパァッ

男「そうだ。レア素材が出れば儲けもんだがな」

エルフ「ご、ご主人様……まさか!?」

男「まぁご察しの通りだ」

712: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:40:06.60 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……完敗」シュン

男「そう気を落とすな。俺のスキルというか特技は『アンチエーテル』。
今回は能力バトルじゃないから出番ないけど、魔力で構成されてるものを構成ごと破壊できるっていう優れものだ」

エルフ「……地味に凶悪ですね」

男「しっかしまぁ、魔力の全くない騎士団とかには意味がないから、きっつい戦いになるぜぇ」

エルフ「それでもなんとなく勝てそうだから困ります」

男「まぁな。こっちは『魔法が使える』わけだし」

ダークエルフ「!?」

エルフ「!?」

男「おう言ってなかったな。俺のジョブ『魔法剣士』な」

ダークエルフ「……」

エルフ「……じゃあ最初っから、この子に勝ち目は」

男「万に一つもなかったろうな」

ダークエルフ「……いらない」

男「ん?」

ダークエルフ「……わたし、いらない、子?」グス

715: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:47:19.63 ID:N/NycHww0
男「……」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」グス

男「そ……」

ダークエルフ「……そ?」

男「そんなわけないだろうがあぁあああああああああああぁぁぁぁ!!!!」

エルフ「……!」コクコクコクコク!!

ダークエルフ「……ぅ」ビク

男「魔法が使える!しかも事前詠唱だけで他の本詠唱副詠唱もなしで使える!さらに可愛い!!」

ダークエルフ「……」

男「無口だけど表情豊か!いちいち反応が可愛い!しかも可愛い!!」

エルフ「(可愛いしか言ってない)」

男「すべすべもちもち!いい匂い!発展途上の美しい肉体!さらに可愛い!!」

ダークエルフ「……///」

716: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:49:43.95 ID:N/NycHww0
男「こんなに可愛いお前が、何故いらない!!」

ダークエルフ「……でも」

男「でもじゃない!俺にはお前が必要だ!そばにいてくれ!」

ダークエルフ「……ぇ」キュン

エルフ「……(ずるい)」

男「……わかったら、二度と自分の事をいらない子なんて言うなよ?」

ダークエルフ「……」コクリ

男「よし」

エルフ「……ご主人様」

男「ん?」

エルフ「私も」

男「ああ、お前もかわい……」

エルフ「いえ、バトルを」

男「は!?」

718: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:52:42.96 ID:N/NycHww0
男「いやでも、お前俺の実力……」

エルフ「見たうえで、感じたうえで言ってます」

男「……マジ?」

エルフ「大マジです」

ダークエルフ「……」ドキドキ

男「……あ、『はじめ』いいたいの?」

ダークエルフ「……」コクリ

エルフ「……(ちょっと素直になってる)」

男「じゃあ頼むわ……はぁ」

ダークエルフ「……はじめぃ!」

男「(可愛い)」

エルフ「(可愛い)」

男「……悪いが、時間をかけてるヒマはっ」

バッ

ぴるるるるる~……

719: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 02:56:35.71 ID:N/NycHww0
男「……は?」

エルフ「ぴるるるるるる~……」

ダークエルフ「……」ピク

男「いやお前、なにやっ」

ズルッビターン!!!

男「ぼう!?」

エルフ「……」ニヤリ

男「なんだ!?木のツタが足に絡まった!?え、!?こんなに長……あ!」

エルフ「ぴりりりり~~……」

オークLv23「グオオオオオオ!!」

ゴブリンLv34「シャゲアアアアアアアア!」

ゴーレムLv40「ゴゴコゴ……」

男「ええええええええええええええ!?」

ダークエルフ「……うまい」

男「もしや、幻覚系まほ 『ゴッシャァァン』  違いましたごめんなさい」

722: さるる 2012/05/30(水) 03:04:20.87 ID:N/NycHww0
男「あーもう面倒くさい!『ブレイク』『ラピッド』『タイムカッター』!」  キュイィ

エルフ「……はっ?」


   キ      キ
                コッ

ゴーレム「グオオオオオオオオ!」

ズズゥン

エルフ「うそっ!?」

ゴブリン「……」死ーん

オーク「……」死ーん

エルフ「……え?え?」

男「……」チャキ

エルフ「ぎ、ぎぶあっぷ……」

ダークエルフ「……ぉぉ」ぱちぱちぱちぱちぱち

男「……なぁ。質問があるんだが」

エルフ「奇遇ですね、私もです」

728: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:07:48.06 ID:N/NycHww0
男「お前なんで奴隷だったの!?」

エルフ「何ですか今の意味わかんない技!」

男「……お前から答えてくれ」

エルフ「……あれは、一人に一つだけ持てる、『虹音の笛』です。
奴隷の時はとられて……売られたとばかり思ってたんですが、ご主人様に買っていただいたときに返していただきました」

男「お前はそれで逃げることもできたと」

エルフ「まぁ身のこなし見て使いませんでしたが」

男「……何気に観察力も凄いな」

ダークエルフ「……」ワクワク

男「ああお前ももちろんすごいよ」

ダークエルフ「……」ニヘ

男「可愛い」

エルフ「可愛い」

ダークエルフ「……///」

729: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:09:25.28 ID:N/NycHww0
男「あ、俺の技は……まぁどうせ今後使うつもりもないが、タネは『タイムカッター』だな。
自分の時間を数秒カットできる。相手からすれば驚愕だな」

エルフ「相手でなくても驚愕ですよ」

男「……体動かし過ぎて腹減った。宿屋に戻るぞ」

エルフ「はーい」

ダークエルフ「はーい」


てくてく。てくてく……

731: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:14:51.03 ID:N/NycHww0
エルフ「ごはん♪ ごはん♪」ウキウキ

男「毎回思うけど、本当嬉しそうだよな」

ダークエルフ「……フン」ウキウキ♪ ぴこぴこ♪

エルフ「当たり前じゃないですか!夢のようなごはんですよ!?」

男「ああ、食材も前に比べたら豪華……」

エルフ「……それもありますが、ちょっと違いますね」

男「人と食べるのが久しぶりってことか?」

ダークエルフ「……惜しい」

男「……惜しい?」

エルフ「(好きな人と食べるご飯は格別です)」

ダークエルフ「……(幸せ)」

男「(飯ひとつでこれだけ幸せになれるって、いいな)」

737: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:24:56.86 ID:N/NycHww0
―――数刻後

男「さて、買い物も済ませたし」

エルフ「はい、次の町ですか?」

男「うむ。家に帰ろうと思う」

エルフ「!?」

ダークエルフ「!?」

男「……何驚いてんの」

エルフ「え。ええ!?でもご主人様旅人じゃあ」

男「金稼いでただけだけどな」

ダークエルフ「……なぜ、あの町?」

男「あそこの万屋は本当に良心的だ。というか商売をするならあそこだろうな」

エルフ「……家に帰って、どうするんですか?」

男「次の旅の準備さ」

エルフ「……あ、そうですよね」

男「まぁ、ひと月くらいは」

739: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:28:12.85 ID:N/NycHww0
エルフ「ひと月も!?」

男「……そんなに長いか?」

ダークエルフ「逆に言えば」

男「ん」

ダークエルフ「……それだけの、余裕が?」

男「いや、実際貯蓄自体はもっとあるぞ」

エルフ「……まぁ、奴隷をぽんとキャッシュで買っちゃう時点で凄いとは思ってましたけど」

男「一応、凄腕のハンターって呼ばれてるんだぜ」

エルフ「……」

ダークエルフ「……」

男「大丈夫だって、お前らも連れてく」

エルフ「!」

ダークエルフ「!」

男「あれだけの実力見せられたら流石にな。これからもよろしく頼むぜ?」

エルフ「……はいっ!!」

740: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:30:36.77 ID:N/NycHww0
ダークエルフ「……」コクリ

男「さ、うちへ帰ろう。……俺たちの、うちに」

エルフ「……!」


てく、てく、てく……

741: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:33:19.69 ID:N/NycHww0
―――男の住む町

ガヤガヤ……         ガヤガヤ

エルフ「す、すっごいですね……!?なんですかこの人だかり!?」

男「ああ、もうすぐ収穫祭だからな。商人が多いこの町はにぎわうんだ」

ダークエルフ「……」ウキウキ

男「祭りは初めてか?」

ダークエルフ「……人間の方は」

男「そか、楽しんでけ」

ナデナデ

ダークエルフ「……ほぅ」

エルフ「あ、ずるい!ご主人さま!私も!」

男「はいはい」

ナデナデ

744: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:40:05.77 ID:N/NycHww0
男「相変わらず賑やかだなぁ。これじゃ、何か起きてもわかんねぇな」

エルフ「ですねぇ~」


キャーッ!


ダークエルフ「……っ!?」

男「……何だ?」

エルフ「……悲鳴です!女の人の!」

男「何!?」

エルフ「急ぎましょう!」

男「わかった!」

ダッ

745: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:44:28.06 ID:N/NycHww0
盗賊「ふはははは!!!丁度いい機会だぜ!お前ら!金品から女まで、使えるものは全部奪い取れ!」

男「まったテンプレートな盗賊どもが……

盗賊「あぁ?何だお前?」

男「俺か……?俺はな」

エルフ「私の……いえ」

ダークエルフ「私たちの」

エルフ・ダークエルフ「「ご主人様です!」」

盗賊「……ほう?可愛らしいメイドさん侍らしてんじゃねぇか」

男「……お褒めにいただき光栄だよ」

盗賊「……ククク、俺の前でそんなものブラつかせたのが運の尽きだな」

下っ端A「へへぇ……」

下っ端B「フヒィ……」

盗賊「女には傷つけんじゃねーぞ」

下っ端ども「あいあいさー!」

男「……数は多いな」

746: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:47:35.13 ID:N/NycHww0
エルフ「数だけで何ができるんでしょうね」

ダークエルフ「……」ブツブツ

男「(もう詠唱はいっとる)」

エルフ「……」ぴくっ

男「行くぞ!」

エルフ・ダークエルフ「「  はいっ!  」」


―――――そして時は経ち、ひと月後。


男「……これで全部だ」

万屋「……いい品物ばっかりだね。どこで手に入れたんだい?」

男「ああ、前の装備だ。もう使わんからな」

万屋「……しかしこれ、女物だよ?」

男「……気にするな」

万屋「まぁ、気にするなって言うなら気にしないがね」

男「いくらになる」

749: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:51:38.60 ID:N/NycHww0
万屋「何か買ってくかい?」

男「あ、ああそうだな」

万屋「じゃあウチで使えるサービスチケットで換金するなら、大幅にサービスするよ」

男「全く。あくどい商売だな」

万屋「いやいや」

男「じゃあこれと、これももらおうか」

万屋「……ずいぶん買うね。またどこかへ出かけるのかい?」

男「ああ、今回はちょっと、長くなりそうだ」

万屋「毎回毎回そう言っては、ちゃんと戻ってくるじゃないか」

男「金がないからな」

万屋「もっともだね……はい。毎度あり」

男「おう」

ガチャ……

752: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 03:57:16.73 ID:N/NycHww0
男「……思えばあれから、長かったな」


いつものように盗賊に立ち向かう。

それまではいつもと同じだった。

ただ俺の横には二人がいて、

まさかあの二人が……


男「……いや、考えても、何かが変わるわけでもないか」


ポツ……


     ポツ、ポツ……

雨が降り出してきた。あんなに晴れていたのに。

どうしてか、雨が降ると気分も暗くなる。


男「思えば、あの時もこうだったような」

755: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 04:00:26.62 ID:N/NycHww0
いつだったか。俺がただの子供だったとき。

魔法のまの字も、剣術のけの字も知らない。本当の子供だったとき。




『魔物が出たぞー!』





おだやかな俺たちの村に、新しく表れた強力な魔物に立ち向かえる大人はいなかった。

両親は、自信の命と引き換えに、俺を逃がしてくれた。


そして、王宮の剣士に見込まれた俺は、その日から剣術の特訓を始めた。

毎日毎日、手や足、体のいたるところから血が出るまで、剣を振り続けた。

758: さるったんだって 2012/05/30(水) 04:18:19.78 ID:N/NycHww0
いつのまにか魔力を帯びていた剣を振り続けていると、いつしか、魔法剣士、と呼ばれるようになった。

そのまま特訓を続け、俺はハンターとして、一人で旅に出ることを決意した。


男「……本当に、本当に良く似てる」

男「あの頃と。あの頃の俺と」


ゆっくりと我が家に歩を進める。少し前まではあれだけ騒がしかった我が家も、静まりかえると少しさびしい。

またあいつらと、無駄な会話をしたい、無意味にいちゃいちゃしたい。そんな想いは募るばかりだった。


ガチャ


男「……ただいま」



……忘れていた。俺は独り身。

父さんも、母さんも、この世にはもう。



タッタッタッタッタ

761: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 04:20:39.53 ID:N/NycHww0
ガチャン!

ギュッ

男「!?」

エルフ「おかえりなさいませ!ご主人様!」

ダークエルフ「……お、おかえり」ボソッ

男「……(そうか)」

男「(……俺には、こいつらが)」

エルフ「?」

男「……ただいま」


男「……って!お前ら!王宮指南は!?」

エルフ「さっき終わりました!」

ダークエルフ「急いで……帰ってきた」

男「おおう……結局、近衛兵にはならなかった、と」

エルフ「当たり前ですよ。何で私たちがそんなものに」

ダークエルフ「……ねー」

763: ◆ZWAJnJ4q9E 2012/05/30(水) 04:25:55.54 ID:N/NycHww0
―――あの日。

収穫祭にやって来た盗賊たちをコテンパンどころかフルボッコにした美少女がいると近くの城の王が聞きつけ、

是非近衛兵にならないかと提案されたのだ。

もちろんエルフたちは断ったのだが、俺が昔そこで剣術指南を受けていたことを話すと『じゃあ行きます!』と何故か飛び出していった。

まさかあの二人が町の英雄として語り継がれるとは……まったくもって予想だにしていなかった。

彼女らの活躍は様々な方面で話題を呼び、奴隷解放にも一躍買っているらしい。一体どこからどう情報が流れたんだ?

……まぁ、とにかく、二人が戻ってきたのだから、これ以上いいことはない。

もちろん、次の旅に備え、前までの古い装備を売り、新しい装備を購入しておいた。



エルフ「ご主人様?」

男「……ふー」

エルフ「はにゃっ!?」

ダークエルフ「んっ……」ピクン

エルフ「な、なにするんですか!?」

男「いいや?お前たちってやっぱり、可愛いなって思ってさ」
                                            HAPPY END