3: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 07:56:38.15 ID:sWpsTmCIO


QB「彼女一人では荷が重過ぎたんだ……」

まどか「……こんなわたしでも、この結末を変えられるの?」

QB「もちろんさ、だから」

  「僕と契約して魔法少女になってよ」


ほむら「そいつの言葉に耳を貸しちゃダメ!━━━━」

引用元: ほむら「……地球を舐めんなよ、孵卵器共」 



4: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:01:05.10 ID:sWpsTmCIO

何度目のループだろうか。
何度繰り返しても、ワルプルギスの夜までには私一人になるもしくはまどかが契約してしまう。

そして私ではワルプルギスの夜には勝てない。


ほむら「……私が弱過ぎるのよ。何が守れる私よ」

???「そりゃあね、お前が弱いのもあるけど、弱いのは必然と云うかね……」

ほむら「!?」

突如聞こえた声に驚く。
テレパシーの類では無い。
病室の冷蔵庫の中から聞こえたのだ。

5: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:05:01.41 ID:sWpsTmCIO
ほむら「なんでこんなところから声が……」

ベッドを出て、三つ編みを解く。
急ぎのことなのでメガネをかけ、冷蔵庫に駆け寄る。

そして恐る恐る扉を開く。

ほむら「……」


???「すまないけど、ナースステーションで氷枕でももらってきてくれないか?そうしないと外に出れそうもないんだ」


冷蔵庫の中にウサギが居た。

6: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:10:39.30 ID:sWpsTmCIO
ほむら「━━━━!?」

ウサギ「慌てんなって、あんな化け物にはビビらないのにアタシは怖いのか?」

ほむら「う、うさぎが喋っ……」

ウサギ「もっと胡散臭い動物が脳に直接話し掛けて来てただろうが!」


……

動揺を隠せないまま、ナースステーションに氷枕を借りに行く。

看護師「熱でもあるの?」

ほむら「いえ……お下げ髪を辞めるんで、うなじを冷やそうと思って」

看護師「暁美さんそんなに面白いこと言う子だっけ?今用意するからね」

7: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:19:18.80 ID:sWpsTmCIO

ウサギ「うん、ご苦労」

ほむら「……貴方は何者?」

真っ先に出てきた疑問をぶつけると、ウサギは淡々と答える。

ウサギ「侵略者(インベーダー)」

ほむら「えっ?孵卵器(インキュベーター)?」

私がそう訊き返すと、ウサギは露骨に嫌そうな顔をした。
無表情なウサギが表情に出すなど余程不愉快なのだろう。

ウサギ「……そりゃ、契約を取るのは変わらないけどあんまりにも心外だわ」

   「あのね、アタシらは地球の……精霊」

   「この星の自然が段々文明に飲まれてるから、外の星を侵略してテラフォーミングして第二の地球にしようとしてるから侵略者(インベーダー)」

8: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:25:18.39 ID:sWpsTmCIO
ほむら「で……その精霊さんが何の用?」

ウサギ「何の用じゃないよ、目の前で地球滅んで……アタシは死に物狂いでお前の盾に入り込んで……」

どうやらこのウサギ、私の時間遡行について来たようだ。

ウサギ「あーそうそう、最初の話の続き!」

ほむら「最初の話……?」


弱いのが必然……とか確かそういう話だったか。

9: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:34:31.84 ID:sWpsTmCIO
ウサギ「アンタら魔法少女は元々ただの燃料扱いで、魔女と戦うのは提灯みたいなもんだからさ」

   「戦闘力なんて大したことないのよ。漫画とか見て思わなかった?こいつらになんか勝てねーって」


言われてみれば……時間停止無しでは私はヤムチャにすら勝てないだろう。


ウサギ「そ、こ、で!」

   「アタシらの出番!宇宙侵略を狙うアタシらの力を使えば……」

   「もしかしたらあのデカい化け物を倒せるかもしれない!」


眉唾物だ。今まで現れなかった第三者が私に力を貸すなどと言っている。

ほむら「……でも何か裏か交換条件があるんでしょう?」

10: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:41:10.77 ID:sWpsTmCIO
ウサギ「裏?ああ、魔法少女システムみたいになんかあるのかって思ってるの?」

   「アタシらは●獣と違って、契約と名を打ってる限り、事前に全部話すし、契約満了とか契約解除そういうのもあるから」


不機嫌なトーンで言う。
余程あいつらのことが嫌いなのだろう。


ウサギ「交換条件はあるけどね。宇宙侵略に力を貸して欲しいのと、あの最後のデカブツの誕生阻止。単純明快でしょ?」

ほむら「……わかった」

11: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 08:53:27.52 ID:sWpsTmCIO

ウサギ「アタシと契約すれば、魂は再び結晶ではなくなり、アタシと同化して精霊になる」

   「デメリットとしては……熱ってか火に弱くなること?アタシ雪兎だし……」

   「紅茶くらいなら普通に飲めるから安心して」


ほむら「わかった。契約する」


ウサギ「……さぁ、お前も八百万の神の仲間入りだ」

12: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 09:20:22.98 ID:sWpsTmCIO
暁美ほむら

雪女(日本)
ノウサギ(日本)

その氷は万物を、時をも凍てつかせる。
また、異世界へと逃げ続けたその脚に追いつけるのは豹の類だけだろう。

22: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 16:49:43.53 ID:eUY9w8eIO

部屋が青白い光に包まれる。


ほむら「……ソウルジェムが無いわね」

ウサギ「あいつらのやり口をベースにしてるから元の衣装になれるからまずやってみろ」

氷枕から私の膝の上に乗り移る。
雪女となった私の上なら居心地が良いのだろうか。

……

ほむら「なるほど、いつもの格好ね。丁寧にソウルジェムのところに氷がついているわ」

ウサギ「そりゃお前がそこに石がついてるもんだと思うからさ」

ほむら「なるほど」

23: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 17:06:56.04 ID:eUY9w8eIO
ウサギ「次は精霊……いや、大地の巫女に変身してみな」

ほむら「なにその名前……」

ウサギ「いいからいいから!」

言われるがままに念じる。

雪の結晶のエフェクトを撒き散らし、自分の衣装が変わる。


ウサギ「んー、大和撫子~」

水色の着物。
なるほど雪女だ。

ほむら「というかこのファーってアンゴラウサ……」

ウサギ「それ以上いけない」

24: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 18:25:35.59 ID:eUY9w8eIO

ウサギ「お前に与えた力は、雪女とアタシ、つまり雪兎の力を戦闘用に強化した物だ」

ほむら「八百万、怒りの神ってところ?」

ウサギ「そうだな。その気になれば熱湯も銀行口座も概念さえも凍てつかせる」

   「時でさえな」

銀行口座は冗談で言っているのかもしれないと思ったが、時すら凍りつかせるという辺り、嘘では無いのだろう。

ほむら「……力を使いすぎるとどうなるのかしら?」


ウサギ「……腹が減る。それと段々力が弱まる」

25: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 18:30:41.81 ID:eUY9w8eIO
ほむら「……それはお腹いっぱいになれば回復するととっていいのかしら?」

ウサギ「ま、まぁな」

ほむら「……」

ウサギ「あんま悪用すると他の精霊から殺されるぞ」

ほむら「しないわよ。私はね」

ウサギ「……精々頑張れ。アタシはあんたの中で眠ってるよ」

そう言ってウサギは私の中に入り込んで行った。

26: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 18:43:37.16 ID:eUY9w8eIO

……

ほむら「えいっ」

病院食のヨーグルトをフローズンヨーグルトに変えてみる。

ほむら「……いける」

差し込んだスプーンがシャクシャク音を立てる。
舌の上に乗った途端にヨーグルトの味がすると共に溶け出す。

……

……

試しに時を止めてみる。

盾の時間停止は自分の時間を挟み込む形だったために、燃費はそこまで悪くもなかったが、こちらは時を凍らせる……

……

ほむら「慣れって肝心ね」

電波時計を用いて、遠くまで止まっているかの確認までしたが、問題はなかった。

27: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 18:51:44.49 ID:eUY9w8eIO

それから転校の日まで、私はこの力を使いまどかの契約を阻止し続けた。

その過程で私は雪女や雪兎の力の使い方を覚えて行った。

袖の中にいつも通りの盾のように、銃やバズーカなどを隠せるようで、盾より容易に取り出すことができた。

また氷の剣や槍を作ることも可能なようだ。
袖から大量に出す様は少しかっこいいと思ってしまった。

28: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:10:20.20 ID:eUY9w8eIO

ほむら「ウサギの穴……?」

ウサギ「……そうだ、雪兎的にお前の時間遡行魔法は『別の世界の転校前に繋がる穴を掘って逃げる』って解釈なんだ」

ほむら「逃げるって……!」

ウサギ「カッカすんな……ウサギ的に考えたらそうなるんだから仕方ないだろ」


まだ私は砂が満タンになった時からループ起点時間への遡行しかしたことがない。
というより、できなかった。

ウサギ「脱兎の穴はどこでもあくからな。氷ほど万能じゃないけど」

29: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:19:36.85 ID:eUY9w8eIO


ほむら「退院は明日ね……」

いつも以上に、活動が捗る為か気分が良い。

ウサギ「あのデカブツはどれくらいで倒せる計算なんだ?あの時は負け戦として戦ってたんだろうけど」

ほむら「……もう一人二人居れば刺し違えるくらいなら行けると思うわ」

ウサギ「へぇ……」

ほむら「ところで貴方、また契約取りに行かなくて良いの?」

ウサギ「はっ?」

何かおかしいことを言っただろうか。
怒りを孕んだトーンで返答される。

30: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:23:49.55 ID:eUY9w8eIO
ウサギ「お前どこまでアタシらをあの●獣と一緒にすりゃ気が済むんだよ……」

なるほどそれは怒るでしょうね。

ウサギ「それに、お前とアタシは同化しあんだよ?雪兎から雪だるまにでもなるつもり?」

ほむら「ご、ごめんなさい……」

ウサギ「全く……意識低いよね……精霊だよ?これだから箱入りは━━━━」


実年齢が何歳かもわからないウサギがクドクド話していると、看護師から通信が入る。

『暁美さん、お母様から電話ですよ?』


……こんなパターンなかった。

31: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:31:13.30 ID:eUY9w8eIO

私の両親は私の治療費を稼ぐ、もとい私の治療費のために背負った借金を返す為に寝る間も惜しんで働いている。

仕事の内容は聞いてはいないが、子供に顔向けできない仕事はしておらず、複数を掛け持ちしているという。

ウサギ「……」

お母さんの名前が出た途端に、ウサギは黙り込む。
何故だろうか?


32: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:53:29.20 ID:eUY9w8eIO

『ほむちゃん?明日退院だよね。おめでと』

ほむら「ありがと……」


仕事の疲労が無ければ、私のお母さん暁美 ユキは柳のようにのらりくらりとした人だ。
まどかの母親とは逆の意味で理想の親だと思う。
普段一緒にいられないのが本当に悔やまれるとループ前は思っていた。

『明後日から学校だよね?今度はお友達出来ると……いいね』

ほむら「……大丈夫」

少なくとも上辺だけなら……大丈夫……大丈夫。

『そう、なら良いんだけどね……』

『実は電話したのはニュースがあるからでね……』

33: ◆USZbC4nXcg 2012/11/08(木) 19:55:22.39 ID:eUY9w8eIO



『借金全額返済できたの』



『それと、ほむちゃんにお兄ちゃんができるの!』




44: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 08:50:20.24 ID:msXKwtgIO

ほむら「え……えぇっ!?」


私の病気はわざわざ先進都市の見滝原に来なければならない程の重病、それを治すのに莫大なお金が必要なのは言うまでもない。

それをこんな早期に……しかも兄が出来るとはどういうことだろうか?


『一個上のアメリカ人の人なんだけどね。日本人になりないから養子にして欲しいって』

ほむら「それって……」

『それでね!彼のお金の稼いだ方法が面白いんだけど……それは直接聞いた方が良いか』

『見滝原の家に皆行くからね!お兄ちゃんが先かな』

ほむら「ちょっと!?」


切れてしまった。

45: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 08:55:40.61 ID:msXKwtgIO

ほむら「イレギュラーもいいところよ……こんなこと一度も……」

ウサギ「それより年頃の男女が暫く二人で暮らす方が問題だと思うけど」

ほむら「こんな色気のカケラも無い女に催すアメリカ人はいない……はずよ」

ウサギ「へぇ……ちなみに、この件アタシは心当たりあるけど、自分の目で確かめた方が良いか」

ほむら「気になる言い方しないでよ……」


言い草からして精霊関係なのだろう。
だからこんなに立て続けにイレギュラーが起きたのか。
しかしこれのきっかけはなんだろうか。

46: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:00:17.50 ID:msXKwtgIO


ゆま「……」


運悪く家屋に直接結界を張られ、直接食われた大人の男女の死体と、怯え蹲るそれらの子供。

杏子「ったく、弱いから使い魔かと思ったわ……この二人が食われてなかったらグリーフシードも殆ど使えないシロモンだっただろうな」

そして、屠られた魔女と屠った赤の魔法少女。

ゆま「……」

杏子「んな顔しても誰も助けちゃくれねえし、親も戻ってこねえよ」

……

杏子「……ったく」

47: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:07:56.96 ID:msXKwtgIO


そして、待ちに待った退院日だ。
待ちに待ったというのは、毎回この数日間を作業的に消化しなければならないから。


ほむら「家に帰ったら……始めて会う兄が居るんだよね……」

戸惑いのあまり、口調が元に戻る。
別に元に戻ったところでウサギ以外は聞いていないが。

ウサギ「……」

……

家に着いた。
扉を開けるとやはり大きな靴がある。

……

呼吸を整え、畳の間の襖を開け入る。

48: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:12:37.72 ID:msXKwtgIO


「Hi、ほむら。始めまして」


流暢な日本語で話しかけて来たのは、中学三年とは思えない体格の、洋画ヒーローの様な白人男性だった。


ほむら「は、始めまして」

49: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:25:40.24 ID:msXKwtgIO


「俺はフレイ、んで養子に入る前はブライトって苗字だったんだ」


……

……


聞くところによると、彼は日本贔屓の格闘家で、日本国籍が欲しいが為に地下闘技場で勝ち抜いて金を手に入れ、その金と交換でうちに養子に入ったらしい。


ほむら「でもそれって捕まらないの……?」

フレイ「俺は元々病気の子供への支援活動をしてたって言ったらまかり通ったよ」


成る程。

50: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:29:44.58 ID:msXKwtgIO

ほむら「でも……なんで私の……」

フレイ「実はマムには前に秋葉原でお世話になってよ」

   「その時の名刺からな」

……


ウサギ「ほむら、おかしいと思った?」

ほむら「え、えぇまぁ」

ウサギ「じゃあ、ウサギの目で彼を見てご覧なさい」

51: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:31:39.03 ID:msXKwtgIO

ほむらの右目が紅く染まる。

フレイ「What's?」



ほむら「!?」

ウサギ「そう、似たタイプの精霊は引かれ合うのよ」


フレイ「ほむら、どうかしたか?」

52: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:39:52.29 ID:msXKwtgIO
暁美 フレイ

ビッグフット(北米)
マンモス(北米)

全てを薙ぎ倒し、砕く。
気温が低ければ低い程強くなる。


タイの地下闘技場 無差別級 チャンピオン

熱帯地域ですらクマをも屠る力を持つ。

53: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:49:52.83 ID:msXKwtgIO


ほむら「貴方……侵略者(インベーダー)なの?」

フレイ「インベーダー……あぁ、そうだった。博物館でマンモスの精霊に取り憑かれて……」

   「雪男になったんだ」

ほむら「……成る程ね」

フレイ「おかげで大人や熊にも勝てるようになってよ」

   「精霊は宇宙人と戦う為の訓練なら仕方ないって言ってくれてるよ」


……武器無しでも、ワルプルギス戦の戦力になれるかしら?

54: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:52:48.73 ID:msXKwtgIO


小さな破裂音がなり、グリーフシードが弾ける。

杏子「偽物!?」

外側だけが崩れた結界は真の姿を表す。

趣の魔女はイタズラが成功したことを喜び笑い声を上げる。

杏子「アジなマネしやがって……」

槍を再び構え直し、魔女に向かう。

55: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 09:56:50.51 ID:msXKwtgIO
杏子「イタズラばっかで受けるのは上手じゃねえみたいだなァ!!」

連続で斬撃を加える。
血が大量に飛び散る。

杏子「おらよっ!!」



ゆま「……」


「ありゃ、マズイな。おチビさん、力を貸してやるからあの姉ちゃんに血が触れない様にしてきな」

ゆま「えっ……」

56: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 10:00:45.04 ID:msXKwtgIO
杏子「べちゃべちゃ撒き散らしてうぜえ……うぜぇ!!」


槍で血を払う。


しかし、槍で防ぎきるには限度があり、血が杏子の肌に触れんとしていた。

当の杏子は触れたら仕方ない程度に考えて居たが、ゆまに話しかけた声は危険だと言っている。


杏子「のわっ!?」

突如大きな力がかかったことに、驚く杏子。

57: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 10:07:34.45 ID:msXKwtgIO

杏子「ゆま、なにしてんだ!」

ゆまが杏子を掴んで結界の端へ移動したのだ。

ゆま「あの血は危ない気がしたの……」

血がついた槍が弾け飛ぶ。
アレが身体についていればどうなっていたことやら。

杏子「ってかお前……その格好……」


ゆま「……魔法少女じゃないよ」

猫耳にドロワーズ、尻尾付きのハンマー……ではなく、二本の真っ直ぐな触角と、長くなった脚に黒いハイソックス。

58: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 10:12:25.52 ID:izDPHfVIO
千歳ゆま

蝗(エジプト)
サバクトビバッタ(エジプト)

その脚力は人間サイズに直せば、九階建てのビルを飛び越える程。
黒く染まった彼女が通り過ぎた後に残される物は、全て枯れ果てているだろう。

59: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 10:16:39.41 ID:izDPHfVIO

杏子「……ありがとよ、カタつけてくるよ」


手の内を明かしきってしまった魔女は後は屠られるのみであった。


杏子「グリーフシードゲット……と」

ゆまの方を向き直ると、ゆまの肩に巨大なバッタが止まっている。

使い魔にしてはリアルすぎる。
それに魔翌力がヤケに澄んでいる。


ゆま「このバッタさんが力を貸してくれたの!」


69: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 16:30:29.08 ID:AcuvCO4IO

フレイがパソコンをずっと触っている。
淡々とした表情だが、何を見ているかはプライバシーだから放っておくことにしよう。

フレイ「見てくれよ、この猫。まん丸で本当にぬいぐるみみたいだな」

……思ったより可愛らしい趣味をしている。

フレイ「……晩ご飯はおでんでも食べようか。もう、買ってきてある」

ほむら「温かい物は大丈夫なの?」

フレイ「別にメシの時は戦わないだろう?」

ほむら「そう……とりあえず製氷器に水を入れておくわ」

70: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 16:36:43.85 ID:AcuvCO4IO

フレイ「ごぼう巻きのこのぶりんぶりんした感じがたまんねえな」

ほむら「あつっ……ふぅー……」

冷気の放出自体は時間凍結や袖から刃の様に慣れているわけでは無いが、日常レベルなら使いこなせるようになった。

フレイ「大根がシャキシャキになってるじゃねえか……」

ほむら「常温にまでなら戻せるわ」

フレイ「熱いのが良いんだろうが……」


やはり中3とは思えない。

71: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 16:45:29.17 ID:AcuvCO4IO

フレイ「なぁ、ほむらは……どうして精霊と契約したんだ?」

   「俺はわからないまま契約したけど、ほむらはそうでもないんだろ?」

ほむら「……私は元は人間ではなくなっていたから」

フレイ「……どういうことだ?」

ほむら「……突然知り合いの女の子が行方不明になったり、いきなり死体で見つかったことはない?」

フレイ「いや……うーん……」

72: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 17:31:27.27 ID:AcuvCO4IO

曲りなりにも家族となる者、ましてや同居する以上隠すこともできないし、意味も無い。

私は魔法少女システムについて、そして精霊との契約により魔法少女の契約を解除できること、そしてワルプルギスの夜のことを話す。


フレイ「……つまり、行方不明の女の子の成れの果ての化け物をボッコボコにすりゃいいんだな?」

ほむら「その様子じゃ心配無いだろうけど、魔女の元の姿なんて想像しない方が良い。二度と元に戻ることなんてできないからね」

フレイ「死体の一片も残らないくらいにオーバーキルしてやるのがむしろ弔いだな」

ほむら「……それ、使えるわね」

フレイ「そうか?」

73: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 17:39:31.29 ID:AcuvCO4IO

フレイ「んでもって、三週間くらい後にスーパーセルを起こす化け物が現れる……」

ほむら「そいつを倒すことが私の目的の一つ」

フレイ「マムやダッドは知ってるのか?」

ほむら「……来た時に話すわ」

少し呆れた様な表情をした後、一呼吸おいて続ける。

フレイ「それはそうと、明日から俺も学校に行くからな」

ほむら「えっ」

60: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 10:23:13.80 ID:izDPHfVIO


まどか「……変な夢」 


荒廃した見滝原の街の上空で、巨大な逆さ吊りの人形と戦う黒髪の女の子。 

その女の子は見たこともない子だけど、この壊れた街が嘘のこととはなかなか思えなくて…… 

…… 

まどか「……さ、準備しよっか」

75: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 17:59:12.54 ID:AcuvCO4IO


ユキ「あなた、早く準備してね」

  「一本乗り逃すと夕方から夜になっちゃうから」


呼びかけられた長身に赤縁メガネの男性は、バツが悪そうな表情をして、自分のカバンの上に乗った赤いキツネを指差す。

赤キツネ「ほれ!早くせんか、ヒカル!」

ヒカル「お前が邪魔なんだけどな……」

もう一匹白いキツネがやってきて、赤いキツネの顔を尻尾ではたく。

白キツネ「どいてやりなさい。私も早くほむちゃんに会いたいのよ」

赤キツネ「鳴呼……あと二分寝れればさっきの夢の続きが見れたのに……」

ヒカル「知ったこっちゃないよ……こちとらお前の夢より娘の顔が見たいんだよ」

76: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 18:14:38.42 ID:AcuvCO4IO

暁美 ユキ

雪女(日本)
ホッキョクギツネ(ロシア)

冷気を操ることで、右に出る者はいないだろう。
足元を凍らせ、ドーヴァー海峡を歩いて渡ることも出来る。


暁美 ヒカル

狐火(日本)
ホンドギツネ(日本)

彼こそが焔。
彼が居れば燃え、燃えていることこそが彼である。

ちなみに彼が契約したのは娘と同時期。

77: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 18:20:28.27 ID:AcuvCO4IO

ヒカル「……終わったよ」

ユキ「行こっか」

荷物を軽く叩き、合図する。



狐火「もう一分だけ寝かしとくれ!」

雪狐「凍らすわよ?」

狐火「熔かすぞ」

ヒカル「行くぞー……寝るなら移動中にしろ」


赤キツネはヒカルにつままれ、カバンの中に放り込まれる。

狐火「動物虐待!祟るぞ!」

ヒカル「お前にも帰ってくるからな」

78: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 18:26:37.62 ID:AcuvCO4IO


フレイは巴さんのいない方のクラス、即ち呉キリカのいる方のクラスらしい。

何かがまかり間違っても、フレイに惚れるなんてことは……無い保証は無い。


教室の中から目玉焼きの話が聞こえる。

美樹さんは確か目玉焼きより玉子焼き派、志筑さんは卵かけご飯にソースをかける派、まどから目玉焼きにケチャップ派だった。

そして中沢君は実は卵アレルギーだったと思う。

かく言う私はハードボイルドエッグが好きだ。
昨晩のおでんで、フレイも合意してくれた。

79: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 18:36:16.13 ID:AcuvCO4IO

早乙女「さ、入ってー」

さやか「ずこー……」


早乙女先生の指示で教室に入る。


さやか「うわ……美人……」

まどか「あれ……あの子……」



ほむら「暁美、ほむらです」

早乙女「暁美さんはー、心臓の病気で入院していました。仲良くしてあげてねー」


早乙女先生の朝礼終了ムード漂う言葉で、クラスメイト達は席を立ち、ほむらの席に群がる。

80: ◆USZbC4nXcg 2012/11/09(金) 18:48:16.26 ID:AcuvCO4IO

毎度のクラスメイトの質問攻めだ。


ミッション系の学校に在籍していたのは事実だが、ロクに出席していないわ、『お姉様』は男子校の春の文化祭で問題起こして退学、実質学歴は空。


ほむら「保険委員の方、保健室に案内してくれないかしら?」

100: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 07:07:31.84 ID:wfp/2S8IO
ほむら「鹿目まどか」


まどかが間を持たせる為に適当に話したことをピシャリと止める。


ほむら「貴方は自分の人生が尊いと思っている?」

   「家族や友人のことを大事に思っている?」


……


……


ウサギ「お前電波?」

ほむら「遠回しに忠告したまでよ」

ウサギ「あんなアホそうなツラした奴がわかるわけねえだろ!」

   「お前の隣の席の気弱なチャラ男の方がまだ頭良さそうだよ……」

101: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 07:14:39.47 ID:wfp/2S8IO

ウサギ「高跳びなら大得意だ。スーパーマリオだって真っ青だぜ?」

ほむら「跳んだ本人も青くなるから程々にして頂戴」

……

ほむら「内接する正13角形の周の長さより長いことを利用します」

ウサギ『うぉぉ……12はギリギリアウトか』

……

ほむら「ケンは言った『ジェニー、君は本物のブロンドなのかい?どうせ染めてるんだろう?』」

ウサギ『これ    脱がす奴だよな?こんなもん教科書に載せる?普通……』

102: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 07:19:44.75 ID:wfp/2S8IO

ある程度の優等生アピールをして、昼休み。

フレイからメールが来ている。
逐一学校生活で感動したことを書き溜めたのを送って来たようだ。

廊下から聞こえる噂がいつもは私の噂であるところが、フレイの噂が聞こえてくる。

そりゃあそうか、アレは中学生には見えない。

103: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 07:51:50.63 ID:wfp/2S8IO

放課後、まどか達とキュゥべえの接触を阻止すべくショッピングモールの改装中フロアでキュゥべえを攻撃する。

面倒なのは殺してしまえば、別の個体が出てくること。

だから適度に傷めつけなければならない。
未だに時間と水以外は実戦レベルで凍らせることができないので、魔法少女の時と同じ要領で行う。


ウサギ『なんでお前いつまでもその格好なの?アタシの着物嫌い?』

ほむら『……あいつらに第三勢力の存在を悟られるのは困るから』


手の甲につけた紫色の氷を指差す。

ほむら『ブドウジュースに力をかけたの』

ウサギ『●獣にバレないか?』

104: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 07:59:23.73 ID:wfp/2S8IO

……


ウサギ「手の内は明かさないで済んだな」

ほむら「消火器凍らせようとしたでしょう、貴方」

   「もう最悪よ……巴さんと接触するなんて……」

ウサギ「まぁ、魔法少女に憧れちまうもんな……あの戦い方は」

目線の先には大量のマスケット銃を一斉射撃するマミの姿。

ほむら「……」

105: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:08:56.01 ID:wfp/2S8IO

マミ「貴方、魔女なら逃げたわ。追うなら今のうちよ」

ほむら「……私が用があるのは」

まどか達と貴方達の接触を防ぐ為に動いているのに、魔女なんて追ってどうするというのだ。

マミ「飲み込みが悪いのね、見逃してあげるって言ってるの」

こちらを睨みながら言う。
これ以上食い下がるのは建設的ではない。

ウサギ『ケッ……ヤな女。な~~にが見逃してあげるだ』

ほむら「全部阻止できなかった私の落ち度よ」

ウサギ『……そこまで気負うなよ。学校で警告すれば良いだろ』

106: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:20:42.20 ID:wfp/2S8IO

ほむら「今頃魔法少女のポジティブキャンペーン中よ」

ウサギ「でもさ、魔法少女の契約しても精霊と契約すれば解除できるし、ただで願い事叶えてWINじゃん、なんで契約しちゃダメなんだ?」

……

ほむら「……まどかの素質は膨大過ぎて、契約した瞬間暴走して魔女化、地球終了というパターンがあったの」

あの時は杏子が……

ウサギ「うげー……」

107: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:36:02.03 ID:9laxUaNIO


杏子「キュゥべえが宇宙人?」

イナゴ「ああ、で、俺らは宇宙人をぶっ殺したいんだ。まずは地球からな」

杏子「じゃあ魔女も……宇宙人なのか?」

イナゴ「いやいや、あれは元人間だろ?」

杏子「は?」

イナゴ「俺も他の奴から聞いただけなんだけどよ」

   「魔女ってのは魔法少女から産まれるものらしいじゃんよ」

ゆま「……あ」


衝撃的な言葉に驚きを隠せないが、さらに気になるのはゆまの何かに気づいたような言葉。


ゆま「……少女が大人になったら」

杏子「そういう風に出来てんのかよ……」

108: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:46:44.47 ID:9laxUaNIO

杏子「それはそうと……こいつのことだ」

  「こいつと契約したって言ったよなぁ?」

バッタ「あぁ。したとも」

不気味な顔に、顔を近づけ睨む。

杏子「てめーの契約も悪質なもんじゃねえだろうな?」

バッタ「まさか。ちょっと宇宙人ぶっ殺してくれればいいわけだし」

   「デメリットなんてちょっと小麦粉が鼻から吸いたくなるだけだし」

杏子「……なんだそりゃ」

ゆまの心配はなさそうだ。
ならば今度は自分の……

109: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:51:31.84 ID:9laxUaNIO
杏子「魔法少女は契約できるのか?」

バッタ「魔法少女も精霊との契約はできるけど、俺はもう契約できない。俺はゆまと一つになってるからな」

   「魔法少女辞めたいだろうし、今晩中待ってくれ。お前にピッタリのを探して来てやる」


杏子「……頼む。あたしも魔女になるのはゴメンだからな」

110: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 08:59:07.37 ID:9laxUaNIO


ユキ「……」

ヒカル「……」

雪狐「……」

狐火「zzz……」


ユキ「人身事故……」

ヒカル「自殺……」

雪狐「全身を強く強打って要するにバラバラよね」

111: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 09:04:26.80 ID:9laxUaNIO
ヒカル「強く強打ってなんだよ、馬から落馬?」

雪狐「辞めて恥ずかしい頭痛が痛くなるわ」

ユキ「……折角電車の時間も調べたのに」

狐を抱き締め悔しそうにする彼女の様はとても四十近くには見えない。

ヒカル「ホテル泊まるか……」

雪狐「こいつが起きてなくて良かった……」

112: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 09:33:37.92 ID:9laxUaNIO
午前中はここまで。

あすみはいつにしようかなぁ

115: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 12:57:46.12 ID:a8103T/IO


フレイ「皆優しいんだな、受験も控えてるのに今日俺を遊びに連れてってくれるんだってよ」

ほむら「そう……」

私は完全に警戒されたけど……


フレイ「化け物を見つけたらどうすればいい?」

ほむら「……精霊のことがバレなきゃなんでもいいわ」

フレイ「その落とすグリーフシードとやらは……」

ほむら「交渉の材料になるからとっておいて。でもそれを寄越せという女が居たらすぐに渡して頂戴」

116: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 13:12:53.57 ID:a8103T/IO
フレイ「すぐに……?なんかマズイことでもあるのか?」

ほむら「最悪攻撃されるわ」

フレイ「そう……か。まぁどんな規格外が来ても負ける気はしないんだが……」

ほむら「彼女達のプライドを踏みにじることになるわ」

フレイ「メンタルで左右されるんだったか?……ご苦労なこった」

ほむら「……私も解放されて清々してるわ」

117: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 13:34:24.28 ID:a8103T/IO


その日の夕方、薔薇園の魔女の結界で巴さんがまどか達を連れて魔法少女体験ツアーなるものをやっていた。

美樹さんの握るバットの装飾過多っぷりがなんとも巴さんらしい。


ほむら「……魔女と巴さん以外の魔翌力は無し」


監視の為についていこう。
いざとなれば私が片付けてしまおう。
時間停止をかければバレない。

118: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 13:51:46.73 ID:a8103T/IO

マミ「未来の後輩にかっこ悪いところ見せられないものね!」


壁に叩きつけられたのはわざとのようだ。
彼女はお決まりの大砲で魔女を粉砕した。


そして、グリーフシードを私に投げる。

マミ「あと一回は使えるわ。それとも人から貰うのは不服かしら?」

ほむら「……」

わざと手の甲のぶどうアイスを見せてグリーフシードを使う様を見せる。

ほむら「使い終わったから返すわ。これは貴方の物だし」

ぶどうアイスは100%のものでは無いので透き通っている。

マミ「……」

殆ど変わってないグリーフシードを見た後私を睨む。

マミ「それが貴方の答えね」

ほむら「……使い魔まで狩ったり、派手な魔法を使うなら貴方は多めに持っておくべきよ」

119: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 13:55:54.81 ID:a8103T/IO

ウサギ「ん~~ッ!!ヤな女!!」

ほむら「多分美樹さんも私に対して同じことを言ってるわね」

ウサギ「アンタもぶどうアイスあの場で食うくらいすれば良かったのに」

ほむら「それじゃキュゥべえにバレるわよ」

ウサギ「そ、そう……」

   「そういえばフレイは来なかったね」

ほむら「まだ遊んでるんじゃないかしら?」

120: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 14:12:36.98 ID:a8103T/IO


フレイ「嬢ちゃん、なかなか良い腕してんじゃねえか」

杏子「歴は長いからね……!」


かたや筋肉質の長身の男、かたや締まった細身の少女。
組み合った二人はほぼ互角に思える。

ゆま「なんでケンカするの!?」

バッタ「いや……あれはただの力比べだ」


フレイ「これは俺の土俵だ。本気出したらお前が負けるに決まってる」

杏子「……そう…かよ!」

121: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 14:35:30.22 ID:a8103T/IO
組んだ手を払い、後ろに下がる。

杏子「……やっぱ辞めておくよ」

フレイ「お前元々パワー型じゃないだろ」

杏子「……ああ。あたしは自分で言うのもアレだけどトリッキーがウリでね」

  「でも、こいつはあんたのと同じ様な感じでさ。力比べがしたいらしくて」

軍馬「……」


バッタ「杏子に一撃の重さが加わったら」

ゆま「なるほど……」

122: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 14:46:27.57 ID:a8103T/IO
佐倉杏子

ユニコーン(ギリシャ)
コーカサスオオカブト(コーカサス地方)


不浄は押し退け突き殺し踏み潰す。
彼女の前に道は無い。
彼女の後に道がある。

126: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:15:55.12 ID:a8103T/IO


通常力持ちの虫と言われたら、カブトムシとクワガタを思い浮かべるだろう。


しかし、実際は条件さえ揃えばゴキブリも同等の力を持つ。


さらに、その三つを上回る力を持つ虫、アリが居る。

127: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:22:29.02 ID:a8103T/IO


杏子「なんでアリじゃなくて、カブトムシかって?」

フレイ「まぁユニコーンが本命なんだろうけどよ」

杏子「そりゃさ……」


精霊との契約は、生物の細胞を埋め込む訳では無い。
よって生物学的、物理的なことの他に……


ゆま「だって何も知らなかったらカブトムシの方が強いと思うよ?」


世間一般のイメージのことが考慮される。

128: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:31:29.25 ID:a8103T/IO

杏子「それに、あたしはアリみたいな働き者でもないしな」

軍馬「……それとカブトムシと合わさってるからペガサスみたいに飛べるぞ」

カブトムシを模った甲冑を纏う白馬は老爺の声で言う。

フレイ「カブトムシは夜に飛ぶらしいな」

杏子「ハン、蝶よりあたしっぽいな」

ゆま「……夜に飛ぶ蝶ってゆまのお母さんのこと?」

杏子「あいつはもう消した」

129: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:39:12.05 ID:lJTnTNfIO
杏子「それで、あんた使い魔なんてボコボコにして何してたの?」

フレイ「ん?どんなもんかと思ってね。妹の言ってた化け物は」

杏子「あんな雑魚参考にならねえよ……あれはハンバーガーに喩えるならバンズのゴマ」

フレイ「通りで大したことないと思ったな」


杏子はため息をつき、ニヤリと笑う。


杏子「本物の魔女狩りを見せてやるよ」

130: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:44:59.68 ID:lJTnTNfIO
洋館の様な結界。
大小様々の絵画が大量にかけられていて、描かれた物は蠢いている。


杏子「長年の勘は鈍らないね。魔法少女辞めた今でも魔翌力探知は出来る。寧ろ自分の魔翌力が混ざらないからわかりやすいくらいだ」

ゆま「霊力って言わないと怒られるよ……」

杏子「妖力?」

フレイ「巫力?」

ゆま「もう!」

131: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:47:51.91 ID:lJTnTNfIO
杏子「ここの魔女は使い魔と強弱逆転してるというか、魔女が弱い代わりに使い魔が強いみたいだな」

フレイ「ほう……そりゃどうやってわかるんだ?」

ゆま「……ゆまはいることしかわかんないや」

杏子は目を閉じ、言葉を考える。

杏子「んー……密度、そう、密度だ」

フレイ「なるほどねぇ……」

132: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:52:11.01 ID:lJTnTNfIO
ゆま「……魔女に気づかれたよ!」

虫の知らせというのだろうか、純粋なバッタの精霊の為にその辺の力は強いようだ。

杏子「絵画から出てくるぞ。操ってるのは魔女だけど、今回は戦いが目的だ。来るのを只管ぶっ飛ばすぞ」

フレイ「こいつらは強いのか?」

杏子「微妙!」

フレイ「……今日はこいつらで我慢しよう」

ゆま「ゆまもしかして何気に初陣……?」

133: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 17:59:50.99 ID:lJTnTNfIO
杏子が変身したのはお馴染みの赤い魔法少女の衣装、それにお馴染みのパルチザン。


杏子「斬るのはこっちが良いんだよな……」

フレイ「白い奴は居ないよな……?出し惜しみせず戦って良いんだよな?」

ゆま「……居ないよ」

フレイは橙と白の毛皮のコートを、ゆまは昆虫の様な緑色の外骨格を纏う。


杏子「行くぞ、屏風の虎さんよぉ!!」

134: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:09:16.04 ID:lJTnTNfIO

絵画から飛び出す異形を杏子とゆまはジャンプで避ける。

杏子「鈍い!」

そして上方より斬撃、否、切断。


ゆま「それ!」

飛び上がった後、そのまま天井を蹴り第二波を避ける。

二回避けられた使い魔は怒り心頭、三度目の正直と言わんばかりにみたび突っ込んでくる。

ゆま「……シュッ!」

正面から蹴りを浴びせると使い魔は結界の壁を何枚もぶち抜きながら、さらには空気との摩擦で煙をあげながら飛んで行く。


フレイ「脚だけならあの子には勝てねえかもしれねえな……」

135: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:20:53.43 ID:lJTnTNfIO
フレイ「これくらいなら千切っては投げできるか?」

仲間の死を見て、攻撃の勢いを増す使い魔を正面から掴み握り潰す。

更に突っ込んでくる使い魔をそのまま地面に叩きつける

次はパンチを食らわせる。
使い魔は四散する。

フレイ「……こいつらすぐ死ぬな」

杏子「飽きたか?だったらあたしは試したいことあるし、あんたらは休んでてもいいからな」

フレイ「……わかった」

ゆまとフレイは後ろに下がる。



杏子「じゃ、いっちょ新しいのやりますか」

136: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:31:27.82 ID:lJTnTNfIO
カブトムシの外骨格を思わせる細身の鎧を魔法少女服の上から纏い、槍はユニコーンの長い角、そして缶切りのような刃が二本横に。

杏子「テコでぶっ壊すも良し!ぶっ刺すも良し!」

左手で太腿を軽く叩く。

杏子「んでもって……」


後ろから突っ込んでくる使い魔を蹴り上げる。

杏子「蹴っぱぐるも良し!」

137: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:38:06.41 ID:lJTnTNfIO


フレイ「本当に魔女はあっけないな」


魔女本体は油絵のパレット。
ゆまがワンパンで沈めてしまった。


ゆま「キックはゆまが一番だよね!?」

杏子「前はな。後ろはあたしの方が得意みたいだな、へへっ」

フレイ「ゆまも何か武器があった方がいいと思うんだけどな……」

杏子は渋い顔をする。

杏子「……まぁ出せるに越したことはねえな」

138: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:44:08.00 ID:lJTnTNfIO


雪狐「ホテルのテレビの追加カード、買ったのね」

  「一枚千円もするのに……」

ヒカル「女房居るのに  ビデオ見るほど暇じゃないよ……女の裸より娘の顔がみたいっての」

雪狐とヒカルは、丸まっている狐火を睨む。

狐火「はい?違うからな!?本当本当!そんなこんなところで……そんな恥知らずじゃ……」

雪狐「貴方以外誰が居るのよ……」

ヒカル「嘘付きは子供にうつるまえに治さないとなぁ……?」

狐火「ちがう!濡れ衣だ!」



ユキ「観て!伝説の駄作実写版スーパーマリオが洋画チャンネルでやってる!」

雪狐「あ、はい」

狐火「……信用ないの」

139: ◆USZbC4nXcg 2012/11/12(月) 18:52:21.82 ID:lJTnTNfIO

ほむら「随分満足気ね、フレイ」

パーカーの前を開け、若干汗の染みた灰色のタントップを覗かせながら帰宅してきたフレイに声をかける。

フレイ「居合わせた二人組と魔女をボコボコにしてきたんだ」

   「赤髪のじゃじゃ馬さんと、緑髪のおチビのバッタだった」

ほむら「バッタ……?」

じゃじゃ馬は恐らく杏子、緑髪の……千歳ゆまだとしても猫ではなくバッタ……?

フレイ「二人とも精霊と契約してたよ。馬の方は元魔法少女だとよ」

ほむら「じゃあ……グリーフシードは?」

それを聞くとフレイは目を閉じ、肩を竦め……なんともアメリカンな反応だ。

フレイ「魔法少女からメシをせびるのに使うらしい。なんでもメシのアテがあるらしくてな」

……巴さんではないと良いが。

150: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 11:12:08.19 ID:VCrCXB1IO

杏子「おーい!!」

ドアを強く叩く。

杏子「グリーフシードやるからメシくれー!!」

ゆま「メシー!!」

けたたましいノック音に耐えかねて出てきたのは、これまた細身だが杏子よりスタイルの良いブロンドの少女。


ユウリ「……」

杏子「二人分だからグリーフシード二つでどうだ?」

ユウリ「こつこつ育てた使い魔が孕んだやつじゃないだろうね?」

ゆま「違うよ!」

ユウリ「……上がって」

151: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 11:19:56.32 ID:VCrCXB1IO

マミと別れてからあたしは風見野を縄張りとしていた。


風見野は魔法少女が少なく、他の街からわざわざやってくる魔法少女も多かった。


そしてユウリ……とミチルも例外では無かった。

152: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 11:25:35.76 ID:VCrCXB1IO

杏子「やっぱあんたの調理は最高だよ」

ユウリ「料理じゃなくて調理なのね」

杏子「材料はレストランに勝てない」

ユウリ「ファミレスよりは良い物使ってるからね?」

杏子「あたしだってホテルのレストランとか行ったことあるからな!?」

マミが連れて行ってくれたんだけど、今思えばマセガキも良いところだ。

ユウリ「へぇー……言うまでもない程に意外」

153: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 11:31:37.16 ID:VCrCXB1IO

出会いはこうだ。

風見野を縄張りとしていたあたしが、風見野で使い魔狩りをしていたユウリを止めた。

そこで衝突したあたしらをミチルが仲裁した。

そこから暫く三人で軽い共同戦線を結んだんだ。たまに一緒にメシを食う以外はドライな関係だった。

三人のスローガンは「助かりたい意思のある奴こそ助けろ」
言うまでもなくそのラインの見誤りが解散に繋がった。

154: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 11:35:10.22 ID:VCrCXB1IO

ユウリ「それで、なんで子供なんか連れ回してるの?もしかして子連れ狼気取り?」

杏子「いや、こいつは今の……」

ゆま「じぃー……」

杏子「相棒だ」

ユウリは目をまん丸にして、その後あたしを睨みつけた。

ユウリ「こんな小さな子が魔法少女に……?」

   「どうして止めなかった!?」

ゆま「……ゆまは魔法少女じゃないよ」

155: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 17:53:50.00 ID:JcGEabqIO
ユウリ「へっ?」

再び驚くユウリ。
漫画なら最初の方の寝返る敵みたいな驚き率だ。

ユウリ「どういうことだ?」

杏子「あたしはもう魔法少女ではないんだな」

  「……おっと、こっから先は情報料取るからな?」

ユウリ「魔法少女じゃないのにグリーフシードを手に入れた……本当どういうこと……」

机に肘をついて考え始めるユウリ。
あたしはそれをニヤニヤしながら見る。

158: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 18:35:45.55 ID:JcGEabqIO
ゆま「キョーコなんで意地悪するの?」

杏子「バーロー……タダで教えたら上下関係が出来ちまうだろ」

ゆま「そっか、キョーコ頭良い、ゆまもそういうとこ見習わないと」


プライドに関しての配慮は抜かりない。


ユウリ「……条件は」

杏子「んー……それじゃ、あたしらにずっと美味いメシ作ってくれよ」

ユウリ「ちょっ……!アタシにはあいりが……」

ゆま「……突っ込むところ違わない?」

杏子「……そこまで行かなくとも、代金はメシだ。ただでさえメシが無いのに、力を使えば使う程腹が減るんだ」

  「魔法少女のグリーフシードとあたしらのメシはイコールだ」

159: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 18:42:21.88 ID:JcGEabqIO

ユウリ「……具体的には」

杏子「魔法少女システムの真実で一食、あたしらの力の正体で一食でどうだ?」

ゆま「安くない?」

ユウリ「……泊まっていきな。朝昼もご馳走したげる」


交渉成立だ。

160: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:04:48.64 ID:JcGEabqIO


深夜の公園にて、使い魔を倒し結界から出てくる巴さんを待ち受ける。



ほむら「……」

マミ「また貴方?」

ほむら「彼女達を魔法少女に誘導するのは辞めなさい」

   「特に鹿目まどか……彼女を魔法少女にする訳には行かない」

マミ「あら……貴方も気付いていたのね」

  「彼女の膨大な素質に」


彼女が気付いたのか、それともキュゥべえが気付いたのか。
どちらにせよ面倒だ。

161: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:11:28.20 ID:JcGEabqIO
マミ「契約するしないは彼女達の自由のはずよ」

  「自分より強い相手は邪魔ってわけ?」

  「いじめられっこの発想ね」



見当違いなことを言うが、当然私はこんな挑発には乗らない。

私は。


ウサギ『あァーッ!!ったま来た!もうこのクソガキぶちのめさねえと気が済まねえ!!!』


こっちは耐えかねているようだ。

162: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:18:51.52 ID:JcGEabqIO
そこから先の記憶は当然ながら客観的な物だった。
ウサギに身体を乗っ取られたからだ。


ほむら「完全にブチ切れる前に三つ言わせて貰う」

魔法少女の姿から更に、雪女の姿に変身する。

ほむら「一つ、アタシらは魔法少女じゃねえ」

   「一つ、一人で戦ってるからと後輩を引きずり込むのは、ぼっちの発想だ」

   「一つ、今ブチ切れてんのは暁美ほむらじゃねえ。お前が怒らせたのは」



私の紫色の瞳が紅に染まる。



ほむら「神(チキュウ)だ」

163: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:27:17.09 ID:JcGEabqIO
ほむら「観念しろよガキがァァッ!!!」

アンゴラウサギやロップイヤーなど統一感の無いウサギのディテールを揺らしながら、巴さんの顔面めがけてドロップキックを仕掛ける。

マミ「ッ!!??」



が、何者かが私を掴み、そのまま公園から去った。
私も巴さんも呆然としたまま、その衝突は終わった。

164: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:32:21.99 ID:JcGEabqIO

フレイ「オイ、ほむら何してんだ」

ほむら「……私じゃないわ」

ウサギ「……」


完全に反省会ムードだ。

ウサギ「仏の顔も三度までって言うでしょ?」

フレイ「仏は安い挑発はカウントしない」

ウサギ「ぐっ……」

ほむら「私が抑えてるのに合わせて欲しかったわ」

165: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:40:00.60 ID:JcGEabqIO

次の日、やはり病院に魔女が孵化した。

お菓子の魔女、巴さんとの相性最悪。
何としても……



マミ「信用すると思って?」


鳴呼……やはり聞く耳を持たない。

ウサギ『もう対話なんて諦めて時間凍らせて進めば良かったのにチクショー……』

166: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:47:24.11 ID:JcGEabqIO

マミ「ティロ・フィナーレ!!」


響き渡る掛け声と大砲の音。

魔女を貫きそこから握り潰さんとリボンが湧き出る。


さやか「やったぁ!!」

マミ「ふふっ」

得意気な顔で、生成した紅茶を飲む。


しかし腹を握り潰された魔女は押し出される形で、巨大な姿を表す。


まどか「ァッ……!!」


マミ「ぁ……」

魔女が今にもマミの頸を食い千切らんと迫る。

167: ◆USZbC4nXcg 2012/11/13(火) 19:51:29.58 ID:JcGEabqIO

誰もがマミの死を確信したその時



横から熱線が差し、魔女の顔面を焼き尽くす。


吹っ飛ばされた魔女は焼け焦げた身体から脱皮し、熱線の差した方向に向き直る。


そこには狐のお面を被り、暖色の着物を着て、九本のふさふさの尻尾を生やした者が居た。


ヒカル「……」

176: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 08:37:48.33 ID:UooElZKIO
狐面が最優先で排除すべき敵だと気付いた魔女は熱線を牽制しているのか蛇行しながら突っ込む。


ヒカル「……」


狐面は微動だにせず、あっと言う間に魔女に距離を詰められ


魔女に食われた。

177: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 08:52:01.86 ID:UooElZKIO
マミ「ぁ……ぁあ!!」


怯えながらも、銃を構え次なる襲撃に備える。

しかしそれは杞憂だった。

魔女が突如白目を剥き、口から煙を上げる。


ヒカル「食ったら終わりと思ったか?」


歯が融かされ鼻を貫き、中から再び狐面が現れる。

尻尾をぴょこぴょこ動かし魔女の身体を焼き尽くしていく。


まどか「あの尻尾……炎……?」

178: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 09:01:24.11 ID:UooElZKIO
火だるまになった魔女は脱皮して、その場から逃げ出そうとするも、次なる尻尾の炎に焼かれ、封じ込められる。


性質が『執着』のこの魔女も流石に生きることを諦めたのか、火だるまとなった魔女は動かなくなり、やがて結界が崩れ始めた。


ヒカル「……」


落とされたグリーフシードには目もくれず、マミに詰め寄る。


ヒカル「お前、自分が何やったかわかってるよな?」

179: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 09:16:10.18 ID:UooElZKIO
ヒカル「そこの二人の命を預かっているのに調子こいて死にそうになるとかさ」

マミは何も言い返せず、うつむいていた。

狐面を外し、露わになった顔はほむらの面影があり、それは結界入口付近に縛り付けたほむらを思い出させる。

ヒカル「それとさ、何を思ってだか知らないけど、俺の娘縛り付けたの、お前だよね?」

怒りに満ちた紫水晶の瞳がマミの動きを封じる。
マミは先程のこともあり、言葉を失っている。

ヒカル「……とりあえずさ、甘いんじゃないのかな?」

マミに背を向け、まどかとさやかの元に向かう。

180: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 09:29:22.15 ID:UooElZKIO

お面と同じような笑顔でまどか達に問いかける。


ヒカル「お前達も戦えないのになんでここに居るのかな?」

   「それと、なんであの子はうちの娘を縛ったのかな?」

まどかが恐る恐る口を開く。

まどか「ほむらちゃんがこの魔女はマミさんじゃ敵わない、この魔女は任せて欲しいって言ったら……」

ヒカル「へぇ……ほむも変わったな」

さやかが何か決心したような表情をし、口を開く。

さやか「……転校生のお父さん?」

ヒカル「ん?そうだけど」

さやか「……助けてくれて、ありがとうございます!」

181: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 09:41:40.34 ID:UooElZKIO

家に何故か美樹さんが来ている。
お父さんとお母さんは荷物を置いて、買い出しに出かけてしまった。

さやか「ごめん、あんたのこと勘違いしてた」

ほむら「……慣れっこだから」

さやかは私を信用するようになった。
正確に云うと私のお父さんを信用している。
そして同時に、巴さんに失望した。

さやか「さっき気づいちゃったんだよね。マミさんは寂しいから仲間が欲しかっただけだったってね」

   「浮かれてたのはまどかが契約するとか言ったからだろうし……」

   「でもお父さんはなんて言うか……本当にヒーローチックってか……」

182: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 09:51:29.51 ID:UooElZKIO
ほむら「……あまり巴マミを責めないであげて。それとあまり盲目的に信じないで……」

さやか「うん……それで、あんたは魔法少女が増えて欲しくないんだっけ?」

ほむら「……ええ、魔法少女の契約なんてする物ではないわ」

さやか「それはなんで……?」


……

ソウルジェムが魔法少女の本体であることを、破壊したり遠ざかれば身体は動かなくなることを話す。

魔女化のことは巴さんのこともあるので、まだ黙っておく。

183: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:02:11.57 ID:UooElZKIO
さやか「じゃあマミさんやあんたはゾン……あ、ごめん」

ほむら「いえ、ここだけの話、私はもう魔法少女では無いの」

菱形のぶどうアイスを噛み砕く。

さやか「ちょっ!!あんたそんなことしたら死ぬんじゃ……」

ほむら「これはただのブドウアイス」

   「訳あってまだ魔法少女のフリをしていたの」

さやか「……とりあえず、お父さんによろしく」

184: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:10:41.97 ID:UooElZKIO


ヒカル「俺、大人気なかったかな?」

ほむら「……いいんじゃない?」

ヒカル「まぁ命かかってたし、良いか……」

久々の家族団欒。

ほむら「でもお母さんとお父さんまでだなんて思わなかったわ……」

ユキ「までももなにも、そのウサギは元々東京に居た子だよ?」

  「この間いきなり消えてビックリしてたなー」

185: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:15:10.49 ID:UooElZKIO

フレイとも対面。
華奢なお父さんは少し気圧されていた。


ほむら「……巴さんのケアをしないと」

杏子に関しては心配なさそうだ。
そして……美樹さんは……。

186: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:18:58.44 ID:UooElZKIO


QB「君の願いはエントロピーを凌駕し……」

  「なんだい……そのソウルジェムは」


銀髪の少女は不透明のソウルジェムを見て、少女の物とは思えない笑みを浮かべる。


あすみ「……先発だーれだ」

187: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:25:05.42 ID:UooElZKIO


織莉子「……あれを解き放たない為には」

キリカ「また占いかい?」


パウンドケーキをかじりながら、問いかける。


織莉子「……魔法少女狩りはキャンセルです」

キリカ「わかった。臭そうだから気も進まなかったしね」

織莉子「その代わり……」



アレの元の少女に魔法少女の真実を目の当たりにさせなければならない。

188: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:29:21.52 ID:UooElZKIO

ユウリ「成る程ね……」


杏子「気に入ったか?」

ゆま「かっこいいよ!」


ユウリ「ちょっと派手だけど……」


   「お世話になります!」


拳から突き出した針が煌めく。

189: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 10:29:52.34 ID:UooElZKIO
午前中はここまで。

193: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 17:55:44.17 ID:UooElZKIO
雪兎ほむらは描いてみたけど、着物の柄とか怠いわ。
杏子と前作のさかなは鎧が怠い。
正面からの立ち絵しか描けない勢。
大人しく乞食る

再開します。

194: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:06:53.39 ID:UooElZKIO
数時間前


お菓子の魔女の結界内で縛られていた私は巴さんの命を諦めていた。

しかし、結界の入口から靴音が二つ聞こえる。

その方向に目をやると、狐のお面をかぶり、暖色系の着物を着て、九本の尻尾を生やした長身が現れた。

ヒカル「ひぇー……喋る狐でも驚いてたのに、こんな不思議空間……」


微かに覚えがある。
この声はお父さんだ。

ユキ「あら……ほむちゃんじゃないかな?あそこの」

私の物より白い着物を着たお母さん。
二人ともどうやら精霊と契約をしているようだ。

195: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:17:54.25 ID:UooElZKIO
ヒカル「おぉ!会いたかった!」

私に駆け寄ってくる狐面。
わかっていても少し怖い。

ヒカル「……で、なんで縛られてるの?」

ほむら「……詳しいことは後で話すからとりあえず開放してくれない……?」

ヒカル「お、おう」


お父さんは一瞬でリボンを焼き払った。


ほむら「じゃあ、私はこの奥に用があるから後で……」

ユキ「奥に何かあるの?」

ほむら「……化け物が居るの」


それを聞くと両親は顔を見合わせた。


ユキ「……貴方、戦える?」

ヒカル「……ほむの為なら」


お母さんは私を抱き締め引き止め、お父さんは結界の奥へ歩いていく。

196: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:22:39.63 ID:UooElZKIO

ユキ「……ほむちゃん、変わった?」

  「メガネと髪の毛だけじゃなくて何か根本的なところとか」

ほむら「……うん」

ユキ「だよね、それに精霊絡みだったら戦う場所はこんな不思議空間じゃないだろうし……」

  「これは何……?」


ほむら「……お父さんにも私から話すね」

197: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:34:04.70 ID:UooElZKIO

私はお母さんに、魔法少女システムのことを話した。
当然ループのことを隠して、願い事の件に触れることは出来ないので、何もかも包み隠さず。


ユキ「……ループの目的のことはお父さんには話さない方が良いかもね」

お母さんは私を強く抱き締める。
涙らしい物が触れるが、とても冷たい。


ユキ「……今回は私達も居るからね」

その涙は私への同情なのか、それとも今まで何も出来なかった自分への怒りなのか。
しかし、私としてはそんなこと気にしないでくれた方が楽なのだが。

198: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:41:38.41 ID:UooElZKIO


お母さんから二人の精霊の力のことを聞いて安心したので、先に二人で家に帰った。

そして少しゆっくりしていると、何故か美樹さんがやってきた。

ユキ「あ、お父さんと少し買い出し行ってくるね」

美樹さんと二人で話せと言うのか……

199: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:46:39.29 ID:UooElZKIO



織莉子「しかし……誰が……」


キリカ「Yammm!!!織莉子の作ったジャムは美味しいね!」

   「あ、勿論紅茶も美味しいよ!」


……この子を魔女にするのは……。


この街の守護神たる巴マミは……

確かにメンタルはあまり強くなさそうだし、魔女化させるのは容易そう……

しかし、戦力として余りにも……

逆さ吊りの歯車の魔女を倒せないと結局この街は……

200: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:51:48.98 ID:UooElZKIO
キリカ「何を悩んでるんだい?」

あっけらかんとした表情で、キリカは私に問いかける。
キリカに難しい話をするのは辞めておきましょう……

織莉子「……たとえば私は貧困地域の理科教師です」

   「そしてここにニワトリが居ます」

   「解剖する?それとも食べる?」

キリカ「よくわからない話だな……」

   「まぁ両立しないなら……食べるだろうね」

201: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 18:58:12.44 ID:UooElZKIO
織莉子「ニワトリなら食べてしまいますよね。でも解剖の授業もしなければなりません」

キリカ「わかんないよ!解剖したいならフナでもカエルでも連れてくればいいじゃないか!」

   「難しい話はダメだー……糖分糖分」

ジャムをゼリーのように食べ始める。
これで太らないのはおかしいと思う。


しかし、フナやカエル……
魔法少女狩りで[ピーーー]はずだった弱小魔法少女がいるじゃないか。


織莉子「フナもカエルも居るじゃない……うふふ」

キリカ「うん?」

202: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:06:06.82 ID:UooElZKIO


翌日、美樹さんが私の家に駆け込んで来た。


さやか「……恭介…あたしの幼馴染の腕が治らないって」

   「現代の医学じゃ治らないって……」

ほむら「……治せるのは契約だけと言うことね」

さやか「でも……ゾンビは……」

   「っていうか流石に釣り合わない気も……」

ほむら「それで、何を相談しに来たの?」

さやか「うぅ……」

203: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:12:47.54 ID:UooElZKIO

背中を押して欲しい、もしくは止めて欲しいということだろうか。

ほむら「まず、巴マミにも相談したことがあるんでしょう?彼女はなんと言って居たの?」

さやか「……恩人になりたいのか、純粋に願ったのかハッキリしろって」

ほむら「それで、どうなの?」

聞かなくてもわかっている。
でも決めつければ彼女は怒るのでわざと聞く。

さやか「さっきも言ったけどやっぱりなんらかの……」

ほむら「だったらなるべきではないわ」

さやか「でもあいつもほっとけなくて……」

204: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:21:33.96 ID:UooElZKIO

優柔不断だ。

さやか「あたしの命とは釣り合わないけど……あのままじゃほっとけなくて……」


彼女はジョーカーを求めているようだ。


彼の腕を契約以外で治したことはこれまでのループで、一パターンだけあった。
千歳ゆまの魔法だ。

しかし、今回は精霊と契約をしている。
フレイ曰く契約したのはバッタの精霊と。
バッタにはどう解釈しても治癒能力はない。

精霊……?

205: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:24:57.00 ID:UooElZKIO

ウサギ「居るよ」

さやか「うわっ!ウサギが喋った!?」

ウサギ「あの●獣も喋るのに今更だなお前も」

   「健康な腕があれば良いんだろう?」

さやか「う、うん」

ウサギ「任せろ」

   「でも条件があるからな」

206: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:27:43.25 ID:UooElZKIO

ウサギ「一つ、その坊主をアタシら精霊と契約させな」

   「あの●獣と違ってアタシらは全部話す」

さやか「あんたらも契約……?」

ウサギ「一つ、お前も契約しろ。仲介料だ」

さやか「魔法少女みたいなのじゃないよね……?」

ほむら「……戦うことには変わりないわ」

207: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:29:59.71 ID:UooElZKIO

ウサギ「そして最後、過程にはガタガタ口を挟むな。文句言うなら中止だからな」


さやか「う、うん……」

ウサギ「じゃあ、今晩病院前集合な」


……


ほむら「痛みすら感じない腕を治す精霊なんて居るの?」

ウサギ「ん?治すんじゃない。新しい腕を生やすんだよ」

209: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:32:37.49 ID:UooElZKIO


あすみ「ちぇっ……あの青いの契約しないのか」

   「……復讐を先に済ませるか」





QB「……驚いたな、彼女の魔法は……」

  「利用できれば大量のエネルギーが見込めるね」

210: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:39:25.20 ID:UooElZKIO


病院に着くと美樹さんが先に立って居た。
何故か青っぽい灰色のウエットスーツを着ている。


さやか「先にあたしは契約しちゃった!」

   「イルカの精霊なんてちょっとロマンチック?」

ほむら「それでウエットスーツ……」

211: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:42:21.99 ID:UooElZKIO


美樹 さやか

人魚姫(デンマーク)
バンドウイルカ(日本)

イルカに鱗は無いが、人魚とは元々海棲哺乳類の見間違いである。
実はサメに体当たりするだけでサメは死ぬ。

212: ◆USZbC4nXcg 2012/11/14(水) 19:45:44.29 ID:UooElZKIO


さやか「それで、その精霊って……」

ほむら「連れて来たわ」

取り出したのは楽譜。
表紙には夢の国のネズミが描かれている。

さやか「リトルマーメイド……?」


ほむら「残念ながら彼は王子様じゃなくて……」

ウサギ「セバスチャンになってもらう」

223: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:20:45.79 ID:eAyEBqiIO

上條恭介の病室の監視カメラ等を『凍結』する。


恭介「……さやかと……誰?」

ほむら「転校生の…暁美ほむらよ」

恭介「……こんな時間に何の用かな?面会時間なんてとっくに終わっているはずだけど」

ふてぶてしい態度だが、まだ話は聞いてくれそうだ。

さやか「……恭介の本気が知りたくてさ」

   「腕、治る方法見つけてくれたんだ、こいつが」

私の肩に手を置く。
今から自切させますだとか言いにくいから、美樹さんには黙っておこう。

224: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:28:19.53 ID:eAyEBqiIO
恭介「現代の医学でもお手上げなんだ。研究中の機関だっていつ実用段階になるかわからない」

  「それを方法を見つけてきた?からかうのは辞めてくれよ!」

怒鳴り散らす。
完全にキている。
こういう時は相手のペースに飲まれてはいけない。

ほむら「……今一度聞くけど、音楽、好きなのよね?」

恭介「……」


私は彼のベッドにリトルマーメイドの楽譜を置き、心配そうな顔をする美樹さんを連れ部屋を後にする。

もちろん『凍結』の解除は忘れない。

225: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:35:32.24 ID:eAyEBqiIO
さやか「あ、あれだけ!?」

ほむら「後はセバスチャンと彼の問題よ」

   「それに……私は見たくないから」


腕がぼとりと落ちて、新しい腕が生えるところなど。


さやか「上手く行くと良いけど……」


その日は解散、彼が精霊を受け入れることを祈る。

226: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:41:48.92 ID:eAyEBqiIO

……


恭介「……でも少しくらい縋ったって」

動く方の手で楽譜を開く。

恭介「これ、ただのスコアじゃ……」

しかし、次のページを開いたとき、泡のエフェクトを撒き散らしながらロブスターにも見えるカニが現れる。


カニ「……君か、新しい腕が欲しい少年は」

227: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:47:34.76 ID:eAyEBqiIO

恭介は全てを受け入れた。

彼にとってはバイオリンが弾けない自分など、ただのモヤシ男、いやそれ以下でしかない。


カニの脚は脱皮の際に、新しい物が生える。
最終脱皮以降は再生は出来ないが、彼はまだ中学生、今後少なくとも六年程は四肢をもがれても再生することが出来る。


恭介「……これはどうしようか」

自切した左手を、自由な新しい左手で持つ。

228: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:53:39.96 ID:eAyEBqiIO

上條 恭介

付喪神・楽譜(アメリカ)
カニ(詳細不明)(トリニダード・トバゴ)

海底都市アトランティカお抱えの宮廷楽団のヘッド。
カスタネットの様な音を鳴らすハサミは、モンハナシャコのパンチより速く、オオエンマハンミョウのアゴより強い。

229: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 07:56:37.83 ID:eAyEBqiIO

恭介「君にもだけど、さやかと暁美さんにも感謝しないとね」

  「こんな奇跡絶対に起きるもんじゃないよ普通」


リハビリが面倒になったのか、脚も新しい物に替えてしまった。

恭介「……どうしよう本当に。カニの手脚になってるし茹でれば食べられるかな」

  「いや……無理かなぁ、うん」

230: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:07:30.11 ID:eAyEBqiIO


あすみ「なぁにこれ、面白」

   「魔女が魔法少女だったなんて笑っちゃうじゃん…ハハハッ」


倒れ伏す少女の表情は死して尚、恐怖と苦痛に歪んでいた。

QB「そう、魔法少女を魔女にする。それこそが僕らの目的」

あすみ「へぇ、きったない契約してるのね。あすみが普通のソウルジェムだったらお前のこと爆散させてるところだよ」

   「まぁ、そうじゃないから言うんだけど」

QB「君のソウルジェムについては理解が及ばないよ」

あすみ「あすみのこと知りたいの……?キュゥべえってあすみより長生きなんでしょ?もしかしてロリコン?」

QB「よくわからない話だね」

231: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:14:12.69 ID:eAyEBqiIO
QB「僕達が君達に 的興味を覚えることはないよ」

あすみ「ふぅーん……でも女の子を悲痛に歪ませるのか仕事の存在ってどんな建前つけても危ない奴だと思うけど」

QB「効率の問題だよ」

あすみ「……取引しない?」

QB「僕もそう思っていたところだよ」

232: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:19:35.91 ID:eAyEBqiIO


あすみ「あすみのクラスメイトの女全員と契約して」

QB「……?見当違いだね。第一君はまだ小学生だろう?本来の契約対象はもっと上なんだけどね」

あすみ「何それ、あすみが早熟だって言いたいの?そんなローアングルからジロジロ見て……」

   「やっぱりお前は●獣だね」

QB「……まぁ、損にはならない」

  「わかった。それで僕の要求は言うまでも無いけど、それで君に得はあるのかい?」

あすみ「……もっと魔法少女とかお前らについて教えてよ」

233: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:24:22.15 ID:eAyEBqiIO

QB「僕と契約して魔法少女になってよ!」


「わたしは……カレシ?」


「わたしはね、早く大人になりたい!」


あすみのクラスメイトの女子は全員魔法少女となった。
各々その場の大したことない願いを叶え、適当な使い魔を狩っていた。

235: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:27:42.17 ID:eAyEBqiIO


さやか「治ったんだ……良かった」

ほむら「受け入れたのね」

恭介「さやか、暁美さん……本当にありがとう……」

  「感謝してもしきれないよ」

  「その……僕の力が必要だったらいつでも呼びかけてくれよ」

ほむら「そうね、役には立ってもらうわ」

さやか「おーこわ」

236: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:36:02.38 ID:eAyEBqiIO
恭介「ほんのささやかなお礼なんだけど……」


バイオリンを取り出し、弾き始めたのは『part of your world』あの楽譜の一曲目だ。


さやか「……やっぱり恭介のバイオリンは最高だよ」

ほむら「……流石人魚姫お抱えの音楽家ね」

   「王子様では無いけど」

さやか「な、なにいってるの!?」

237: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:41:21.89 ID:eAyEBqiIO

ヒカル「ほむ、俺とお揃いのメガネ辞めちゃったの?」

ほむら「……目は治っちゃったから」

ヒカル「ウサギはそんなことできるのか……」

ほむら「……」

238: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:43:45.55 ID:eAyEBqiIO

ハコの魔女のことを失念していたが、昨晩巴さんが画面を見る前に吹っ飛ばしたそうだ。

フレイが残念そうに言っていた。
フレイも魔女を狩りたかったようだ。

そろそろ巴さんのことも考えなければならないのだが……

239: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 08:52:28.85 ID:eAyEBqiIO


こまち「ここがその見滝原?」

ひより「ここに……いるの?」

クレア「……」

エリーゼ「一刻も早く……あの子が倒されてしまう前に……あの子のグリーフシードが処理される前に……」

244: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 16:42:05.64 ID:eAyEBqiIO

風見野のとある小学校

五年二組 総生徒数29人、内女子生徒12人


心なしか最近女子生徒がみんなきゃぴきゃぴしている。

一方の男子生徒は面白くなさげだ。
女子生徒がきゃぴきゃぴしてるのも原因の一つだが、自分達のおもちゃが学校に来ないのが一番の原因だ。

245: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:25:48.58 ID:eAyEBqiIO

神名あすみ


母親に先立たれ、父親に捨てられ、養父は親としての役割は果たさないという彼女は、どんなにいたぶってもしっぺがえしがこないいいおもちゃだった。


おもちゃ


だった。



あすみ「おはよ、みんな」

246: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:34:42.41 ID:eAyEBqiIO

「おはよう……じゃねぇだろォォッ!!」


男子生徒のリーダー格があすみにラリアットを仕掛ける。


女子生徒は『いつものこと』と言わんばかりにスルー、男子生徒はまるでプロレスを見るかのように持て囃す。

事実このクラスでは日常茶飯事。
いつもよりイラついている為に少し強めだが、あすみが入ってくるなりラリアットから始まる暴行ラッシュはお決まりとなっている。

247: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:41:24.95 ID:eAyEBqiIO

しかし、今日は違った。


魔法少女のフィジカルは、弱めとされるほむらでさえ県内記録を叩き出せる程。

ましてやモーニングスターや鉄球を扱うあすみの力は、少なくとも美国織莉子と互角以上。


「!?」

あすみが男子生徒の髪を掴んで床に頭を叩きつけた。
血だまりが広がる。よく見れば他の色の液体も混ざっている。


あすみ「おはよ」

歪んだ笑みで再び挨拶。
その顔は契約前には絶対見せなかった物だ。

248: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:47:00.94 ID:eAyEBqiIO

仇を討つためなのか、それとも反抗したことに対する怒りなのか男子生徒数人が一斉に襲いかかってくる。

あすみ「あすみサッカーより……野球が好きかな?」

蹴りで一人を吹き飛ばし、後ろに肘鉄を入れ別の一人の鼻の骨を折る。

「!?」

男子生徒が怯んでいる間に、銀色の宝石を取り出し、褐色の花弁と水銀のエフェクトを撒き散らしゴシックロリータの衣装に変身する。

249: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:52:08.20 ID:eAyEBqiIO
「魔法少女!?」

「あいつもなの?」

「ってかあんたも?」


あすみ「ガッタガタうるさい……」

モーニングスターを取り出し、周りの机を叩き潰し、帽子の花弁から魔法のガスを噴出する。

女子生徒の数人がそのガスを吸い込んだ後暫く、『やめて』『お願い』などと叫びながらソウルジェムを濁らせていった。

「神名てめぇ……」


あすみ「男の子も野球できる人数まで減らそうかぁ」

250: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 17:57:06.13 ID:eAyEBqiIO
倒れ伏す男子生徒の頭をモーニングスターでかち割る。

女子生徒は恐怖で動けず、誰一人変身しようとはしなかった。
早熟気味であったあすみを除いて、このクラスの女子の素質は大したことがない。

普通の魔法少女が魔女を倒す感覚で、使い魔に挑んでいたのだ。対人最強クラスの固有魔法と、通常の魔法少女並のフィジカルを持つあすみになど敵うわけがない。

251: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:04:45.73 ID:eAyEBqiIO
男子生徒が一人、また一人肉塊になって行く。

ある物は鎖で頸を折られ、ある物はモーニングスターで吹き飛ばされ、またある物は吹っ飛ばされた二次災害で砕けた。


あすみ「これで野球できるかな?」

   「ボールはサッカーボールの大きさだし、女の子はサッカーチームの人数だけどね!」

乱暴に生首を掴むと、たちまちそれが褐色の金属にコーティングされ、あすみはそれをパントキックで女子生徒に蹴り飛ばす。

252: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:11:25.98 ID:eAyEBqiIO
あすみ「これで本当に野球できるかな」

   「でも、ハットトリック」


帽子の花弁から出るガスが強まる。
このガスはあすみの固有魔法の具現化した物……の数ある形態の内一番弱い物。

しかし、大した素質の無い者を魔女にすることは容易い。
たとえトラウマが無いとしても、恐ろしい物を見せつけられる。


教室が魔女で満ちて行く。


「な、なんであたしらが魔女に……?」

「こんなの……」

「なんだよこれ!」


あすみ「あっはははは!!!じゃあ9vs9楽しんでね!あすみはもう帰るね」

253: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:17:16.97 ID:eAyEBqiIO


教室の出口に固体と液体の魔法を仕掛ける。

固体は外部からの侵入を防ぐ為、液体は内部から出ようとする魔女を自滅させる為。


あすみ「退場ばっかでサッカーみたいじゃん……」

QB「そんなに野球が好きなのに、武器はバットじゃないんだね」

あすみ「ゴスロリにバットって一周回ってベタじゃない?」

QB「前例は無いね」

  「それと、ご苦労様」

あすみ「ふふん」

254: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:29:57.75 ID:eAyEBqiIO


人魚の巫女とカニ條恭介を味方につけることが出来た。

ほむら「まどかに関しては、恐怖で今のところ契約の意思は無いようね」

ウサギ「もっと恐れろ、そして更にあたしらを畏れろ」

ヒカル「悪役のセリフじゃないか」

ウサギ「最近の若い奴は恐れも畏れも知らないから困るんだよね」

ヒカル「まぁ……な、この間の子とか」

   「他所の子でもちゃんと叱ってやらなきゃな。この間は少し感情的過ぎたかな」


家族の温もりなんていつぶりだろうか。
ループを抜きにしても随分長く会っていなかった。

256: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:33:50.55 ID:eAyEBqiIO

ヒカル「今日は……ホワイトソースのスパゲティか?」

ユキ「あたりー」

食欲を誘う香りをよそに、真っ先に私は持ち帰って来たカニの脚が入っていないか確認した。

ほむら「そう言えば……カニの脚は……?」

ユキ「フレイ君が持って出かけて行ったよ?」

ヒカル「あれ元は人の手脚だろ?どうするんだろうな……」


……杏子に食わせるつもりか。

257: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:41:04.00 ID:eAyEBqiIO

その夜、美樹さん……ではなく、さやかからメールが来た。

まどかに本当のことをあっさり言うのは危険なので、契約するなら絶対にさやかと私、そして私のお父さんに相談しろと言ったそうだ。

さやかの私のお父さんへの信頼が怖い。
確かに裏表は無いが、ただ単に私を溺愛しているというか……

ヒカル「家族三人川の字で寝ようか!」

精霊達が居る為に州の字になると思うが……

ユキ「おやすみ」

ほむら「おやすみ」


……

258: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 18:47:26.60 ID:eAyEBqiIO



QB「おや、君が来るとは以外だね」

  「しかも君が人間だったとはね……」


夜中の公園に、一人と一匹。

「……契約して」

QB「意外中の意外だね、まぁいい、願いを言うといい」

「わかった。私の願いは……身体がもう一つ欲しい」

QB「君の願いはエントロピーを凌駕した、さぁ受け取るがいい、君のソウルジェムを」


夜の公園を寒色の光が包み、少女はその色のソウルジェムを手にする。

259: ◆USZbC4nXcg 2012/11/15(木) 19:01:48.32 ID:eAyEBqiIO
QB「しかしこの街にはマミが居る、獲物に困るんじゃないかい?」

  「風見野は今はガラあきなんだ、そっちに行ったら……ぎゅぷっ!?」


突如、キュゥべえが空彼方へ飛んで行く。



「キシシシシ、本来はご法度だぜ?」

「わかってる、さぁ契約だよ」




ほむら「そこに居るのは私だよ」

267: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 08:32:51.09 ID:t9PVAV8IO

風見野の小学校
五年二組

生存者0名
生存魔女8体

共食いやあすみの魔法で少し減って居るが、依然と狭い教室の中を大量の魔女が蠢いている。


ゆま「ってやぁぁ!!」

ゆまが扉を蹴破って突入する。

ユウリ「うわ惨い」

杏子「メシの種が沢山あるぞ!こいつらのグリーフシードからミチルから何食たかれる?」


268: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 08:37:20.36 ID:t9PVAV8IO

魔女の気配が強いので、ユウリの力試しがてらここにやってきた。

この小学校の三年一組にゆまも一応在籍している。
虐待のせいで元々大して行って居なかったが。


ユウリ「この液体……魔法少女の魔法だな」

大きな注射器を取り出し、その液体を吸い込む。

杏子「そうなのか?呪いのエネルギーを感じるから魔女のかと思ったわ」

ゆま「魔女の物にしては確かに混じり気がなさすぎるかも……」

杏子「ゆまもわかるようになったか……」

269: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 08:43:20.80 ID:t9PVAV8IO


飛鳥 ユウリ

付喪神・注射器(本人の魔法武器)
オオスズメバチ(日本)

願いから直接齎された単一の武器を大事に使い続けた為に、付喪神が宿った。
額の三つの単眼は飾りではない。

270: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 08:48:35.46 ID:t9PVAV8IO
ゆま「……このクラスの女の子はみんな魔法少女だったみたいだね」

杏子「なんでこんなザコばっか契約して……」

ユウリ「魔女になるって本当なんだね……それを知って連鎖的に魔女化したって感じかな?」


注射器の中のあすみの魔法液を魔女の群れに噴きかける。

魔女は呻き声を上げ、のたうちまわる。


ユウリ「いや、この魔法の持ち主がやったな」

杏子「この大量の契約もそいつが手引きしたと見て間違い無いな」

ゆま「……来るよ!」

271: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 08:58:21.68 ID:t9PVAV8IO
一回り大きい魔女が突進攻撃をしかけてくる。

生前はリーダー格だったのだろうか。
それともあすみにラリアットをしかけたリーダー格男子の彼女だったりしたのだろうか。

ユウリ「……悪いね、元が女の子だろうが魔女には手加減は……しない!」

注射器を模ったガントレットから伸びる針を魔女に突き立てる様にストレートを一本。

あっという間に崩れる。

ユウリ「あれ?まだ毒使ってないのに……」

272: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:06:10.14 ID:t9PVAV8IO
ゆま「ごめん……ねっ!」


元々の細い脚にバッタの脚の様な外付けの物がつき、ゆまの脚力は更に人間離れする。

杏子「蹴りが強過ぎて自分がひっくりかえりそうになってるぞ!!」


魔女をサマーソルトキックで粉々にするも、綺麗に着地できず立て膝をついてしまう。

杏子「これが終わったらゆっくり考えないとな……」

パルチザンを振り回し、滑る様に魔女を解体して行く。

杏子「これ、あたしらが強くなったのもあるけど、こいつらが使い魔並に弱いのも……」

ユウリ「拳か毒のどっちかしか試せない……」

273: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:27:08.99 ID:t9PVAV8IO

オオスズメバチの毒は高等生物になればなるほど様々な種類が効く様になる。

それを精霊や魔法少女システム的に考えれば、魂が高等であればある程効きやすい。


ユウリ「……落ちてた毒の方が効くね」

精霊の力は元来魂の燃えカスの魔女と戦う物ではない。
ましてや元より精神がまだしっかりできておらず、単純な思考回路で動いて居たのだ。
ランクの低い毒しか効かないのも頷ける。


杏子「でも弱いからそれでも死ぬのな」

ゆま「ゆまもキック以外の技欲しいな」

274: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:32:28.92 ID:t9PVAV8IO
杏子の『馬の後ろに立つとやられるアレ』が最後の魔女を仕留める。


ゆま「グリーフシードいっぱいだね」

ユウリ「容量には期待してなかったけど、クラスメイトを食べて普通の弱めの魔女くらいにはなったかな」

杏子「とっととズラかるぞ。ゆまの担任に見つかってもマズイ」

ゆま「ミチルのところ行くの?」

ユウリ「会ってくれると良いけどね……」

275: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:43:26.99 ID:t9PVAV8IO


ほむら「おはよう……」


フレイがカニ條の脚を持って机に突っ伏して寝ている。
どうやら杏子達とは会えなかったようだ。
お母さんもお父さんも未だ寝ている。


ほむら「……寝かせておこうかな」

一人で朝ごはんを食べ、学校へ向かう。
昼休みに巴さんと話そう。

ほむら「いってきます……」

寝ているとは言え、いってきますを言える相手が居るのは嬉しい。
いつぞやの時間軸で杏子を住まわせて居た時以来、複数居るのは二周目でまどかの家に泊まった時以来だ。

……


「キシシシ、いってらっしゃい」

ほむら「その小物っぽい笑い方どうにかならない?」

   「いってらっしゃい……『私』」

276: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:53:40.69 ID:t9PVAV8IO


織莉子「ねえ、キリカ」

キリカ「なんだい?織莉子」

フレンチトーストを糖衣で包んだ物を頬張りながら、キリカは私に目線を移す。

織莉子「神名あすみと言う魔法少女、銀髪に赤いランドセルもしくはゴスロリ衣装の小学生が居ます」

キリカ「小学生が魔法少女……?エグいね」

織莉子「彼女と協力関係を結んで来てもらえませんか?」

それを聞くとキリカは少し不機嫌な顔をする。

キリカ「……そいつじゃなきゃできないことでもあるのかな?」

戦闘特化のキリカでは殺害はできても、魔女化させることはできない。
彼女の魔法なら恐らくそれが出来る。

織莉子「……そうなるわね」

キリカ「……わかったよ」

277: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 09:59:01.27 ID:4teQITCIO

キリカ「もし、突っぱねられたりしたら?」

織莉子「……戦闘は回避して。彼女の『戦闘力』は私程度だけど、私以上に厄介な魔法を持っている」

キリカ「私じゃ力不足だってことかい?」

織莉子「いえ……貴方が戦ったら殺してしまう」

キリカ「……わかったよ。あと……向こうに出す条件とかは私が適当に考えておく」

織莉子「……ごめんなさい」

278: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 10:03:01.41 ID:4teQITCIO

キリカ「謝ることなんてないよ。私は織莉子の為に居るんだから」

紅茶を飲み干し、口の周りを拭き取り私の元へやってくる。

キリカ「だから織莉子も私の為に……」

織莉子「朝日が差してますよ……?」

キリカが私の首筋に口付ける。

キリカ「そんなヤワじゃないさ」

織莉子「お願いね……私の吸血鬼さん」

279: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 10:07:45.13 ID:4teQITCIO

ほむら「おはよう」

中沢「おう、おはよう」

机に荷物を置き、さやかの机に向かう。


さやか「おはよ。恭介も来てるよ」

恭介「おはよう暁美さん、カニの脚の処理任せちゃって悪いね……」

さやか「……アレ食べたの?」

ほむら「まさか」

恭介「だよね……本当ごめん」

280: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 10:13:56.46 ID:4teQITCIO

脚も完治したので退院が早まり、更に精霊絡みの連帯感でさやかにも連絡が行き届き、更に朝から一緒に居る。

ここまで上手く行くことがあるだろうか。
ある意味恋人になるより良い展開、たとえ志筑さんが余計なことをしても、それ以上の信頼があるからだ。


まどか「ほむらちゃん……おはよ?」

ほむら「……おはよう」

まどか「その……さやかちゃん…契約したのかな?」

ほむら「……していないわ。嘘だと思うなら彼女の爪を見てみなさい。魔法少女ならマークが浮き出ているから」

281: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 10:39:45.69 ID:4teQITCIO


……まどかに精霊の存在がバレかねない。
精霊に危険性は無いとは言え、私はまどかを戦わせたくない。

出来れば無関係でいて欲しい。


まどか「じゃあ上條君の腕は……」

ほむら「さぁ……上條君が知ってるんじゃないかしら?」

   「必ずしも奇跡はキュゥべえによって起きるわけでも無いわけだし」

まどか「そっ…かぁ……」

   「そういえば……ほむらちゃんのお父さん……」


しまった。

288: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 16:32:07.52 ID:4teQITCIO


マズイ。


仮面を被るなら最後まで正体を隠して欲しかった。

まどか「ほむらちゃんのお父さんは……どうして戦えたの?」

ほむら「……さぁ」

とぼけよう。

ほむら「もしかして、貴方戦闘狂か何かなのかしら?」

そして話題を逸らそう。

289: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 16:45:18.37 ID:4teQITCIO

まどか「ちがうよ!……ただ、魔女とかのせいで傷つく人が居るなら放っておけないなって……」

ほむら「……巴マミや私じゃあそんなに頼りないかしら?」

まどか「そんなこと……でも……」

ほむら「それに、この間の巴マミ……私のお父さんが助けていなかったら死んで居たわよね?」

   「もし貴方が死んだら何も知らない貴方の親はどうすればいいの?」

まどか「う……」

ほむら「貴方には十分に考える時間がある。何もかもよく考えるのことね」

   「それが……世間一般に云う契約よ」

290: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 16:50:57.31 ID:4teQITCIO

勢いだけで押し切った詭弁だ。
しかし、投げたブーメランは当たれば戻って来ない。


さやか「あれ?まどか、どうしたの?」

まどか「ううん…なんでもない!」


ちゃんと聞いてくれるとありがたいのだけど……
いつも私に対しては話半分で聞いてる節がある。
どんなに忠告しても……


中沢「暁美さん、なんか……先輩が来てる」


向こうから来るとは。

291: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 17:08:56.32 ID:4teQITCIO



マミ「この間はごめんなさい……貴方の忠告を聞いていれば貴方のお父さんの手を煩わせることも……」

ほむら「……そうね。私のお父さんがまさか戦えるなんて知らなかったし、貴方が今生きているのが不思議なくらいね」

巴さんは更に縮こまる。
しかしここで優しくしては爆弾を抱えかねない。

マミ「確かになに一つ不自由していない人が魔法少女になるのは……」

ほむら「ええ、あの時私が言ったのはそういうこと」

   「この後鹿目まどかは何かある度に契約の願いを使うという選択肢が頭をよぎるかもしれない」

マミ「……教えた私の責任になるのね」

ほむら「そうなるわね」

ごめんなさい、必要以上に冷たくして。
でもこれくらいしておかないと……

292: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 17:19:48.63 ID:4teQITCIO

マミ「ところで……暁美さん……お父さんは何者なのかしら?」


貴方も聞くのね……

周りにキュゥべえが居ないか確認し、時間凍結をかける。


マミ「あら?……周りが……」

ほむら「これが私の力よ」

   「今世界中で動いているのは私と貴方と、このウサギだけ」

眠りこけるウサギを体内から抱き上げる。

ほむら「私はこのウサギと契約し、同化し雪女になったの」

293: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 17:34:45.88 ID:4teQITCIO
マミ「じゃあ貴方は元々魔法少女では……」

ほむら「……魔法少女のことは全て知っているわ」

元は魔法少女だが、今、契約解除ができることをキュゥべえに知られるのは都合が悪い。

マミ「それで……」

ほむら「そして私の家族全員が他の力を持っているわ」

   「この力は秘密裏にされているもの。決して口外してはならないわ」

マミ「そんな秘密の力を私を助けるために……貴方のお父さんには謝っても謝りきれないわ……」

ほむら「……」


キュゥべえにもお父さんの力を見られて居たんだった……

294: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 17:43:00.67 ID:4teQITCIO


放課後は真っ先に家に帰ってきた。

ほむら「ただいま」


ジーンズにクロスステッチで絵柄をつけているお母さんは私に顔を向ける。
何やらキョトンとしている。


ユキ「……?」

  「あれ?制服着てたっけ?」

  「それにお父さんは?」


ほむら「えっ」

295: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 18:01:33.80 ID:4teQITCIO


キリカ「条件は……」

あすみ「女の子一人に魔女化を見せ付ける?そんなのお安い御用だよ。winwinだしね」

キリカ「でもタダというわけには……」

あすみ「だよね吸血鬼さん。タダだと上下関係ができちゃうからね」

それを聞いてキリカは咳払いする。

キリカ「……どこで知ったのか知らないけど、私を吸血鬼と呼んで良いのは織莉子一人だ」

あすみ「あれ?八重歯で黒い格好だからそう呼んだだけなんだけどなぁ」

あすみはいやらしい笑みを浮かべる。
本当は『面白いネタを見つけた』という意味の笑みだが、キリカには『カマかけてやったら引っかかりやがった』という風に映った。

296: ◆USZbC4nXcg 2012/11/16(金) 18:10:07.34 ID:4teQITCIO

キリカは軽く歯ぎしりする。
あすみはそれを軽く鼻で笑う。

あすみ「条件ねぇ……」

   「何か面白い話、持ってきてよ」

キリカ「面白い話……?」

あすみ「あすみの義妹の双子がごちゃ混ぜのフランケンシュタインになったとか」

   「汚職を傘下の議員になすりつけた議員がその議員と同じ死に方するとか」

   「●じゅ……キュゥべえがブチ切れて泣き出して恐怖に震えるとか」

キリカ「……善処するよ」


キリカはシナモンの木片を咥え去って行く。

あすみ「最後のは見てみたいかも」

310: ◆USZbC4nXcg 2012/11/17(土) 17:05:17.96 ID:/7sVrqEIO


ほむら「お父さん……?迎えに来るとか言ってた?」

ユキ「え?一緒に出かけなかったっけ……」

お母さんはこめかみに人差し指を当て考えている。

ほむら「今日はお母さん達が寝てる間に朝ごはんを食べて学校に行ったよ……?」

ユキ「えぇ…?……ほむちゃん起きたのって最後じゃなかったっけ?」

  「というか学校は休んだんじゃ……」


……

どういうことだ。

311: ◆USZbC4nXcg 2012/11/17(土) 17:32:55.64 ID:X+yJ/7kIO

お母さんの話では、私は熱を出していて昼間まで寝込んだ後、ご飯を食べて、お父さんと病院に行ったそうだ。


ほむら「……」

ユキ「あと三つ編みと眼鏡、また辞めちゃったの?」

  「あの眼鏡似合ってるのに……」

どうやらお父さんと一緒に三つ編みに眼鏡の私が居るらしい。


ユキ「 そういえば……」

  「ウサギに戻したのね」

ほむら「!?」

316: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 07:19:16.12 ID:El4N4cTIO
お母さん曰く、眼鏡の私は聖霊を隠して居たが、時折趣味の悪い笑い声を上げていたという。

ユキ「変ね……」

お母さんは思ったより楽観的だ。
しかし、二人を目の前にしてしまえば慌てるのは間違いない。

ほむら「……少し出かけてくる」

ユキ「あ、お父さんにグレープフルーツジュース頼み忘れちゃったから買って来てくれない?」

ほむら「わかった……」

317: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 07:25:46.06 ID:El4N4cTIO

もう一人の私の正体はなんなのだろうか?

ウサギ「ループし始める前のお前の格好してんだよな」

ほむら「正確には『約束』の前の私ね」

現在わかっていることは、姿と、熱が出ていること、そして精霊が趣味の悪い笑い声をあげることだけ。

ウサギ「考えられるのは三つ。ウサギの穴から飛んで来た別の世界のお前、精霊の力を使ってお前に化けてる何か、それ以外だ」

ほむら「それ三つって言えるの?」

318: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 07:51:12.24 ID:El4N4cTIO


ほむら「お父さんはお酒もタバコもやらないけど、一つだけ……」

   「コーヒーにこだわって居る」

ウサギ「コーヒーショップで離れる隙に、接触するのか」

ほむら「何者なのか、何が目的なのかを確かめなければならないわね」


商店街の隣の通りのコーヒーショップに向かう。
行く機会があまり無かった為に上手く辿り着けるかはわからないが。

319: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:00:22.72 ID:El4N4cTIO

コーヒーショップのある通りに出る。
様々な食べ物の匂いが混ざって、少しお腹が痛くなりそうだ。

ウサギ「あー、居るな」

大きめのセーター、明らかにお父さんの物、紺のそこそこ長めのスカート。
服のセンスも私だ。

こちらに気付いたのか、申し訳なさと怨みの混じった目で少し見ながら目を逸らされる。

軽く咳払いし、彼女の元へ早足で歩み寄る。

320: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:08:43.94 ID:El4N4cTIO

ほむら「……こんにちは」

怯えた目、その中にも少し怨みが垣間見ることができる。

眼鏡ほむら「……、こんにちは」

少し目を閉じた後強い声で返してくる。
これなら早め早めに話しても良さそうだろうか?


ほむら「いきなり核心つくけれど……」

   「貴方何者?」

それを聞くとかなり嫌そうな顔をして答える。

眼鏡ほむら「……本来居るべき暁美ほむら」

     「貴方が来なければ居た暁美ほむら……!」

321: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:16:59.73 ID:El4N4cTIO
その目は怒りも含み始めていた。

???「キシシシシ!親父がそろそろ帰って来るぜ?」

眼鏡ほむら「……振り子の方の部屋に学校の荷物は置いておくから、そっちに取りに行って」

ほむら「ちょっと!待ちなさ……」


会計に立つお父さんの元へそそくさと行ってしまった。


ウサギ「まるでお前が偽者みたいな話し方だったな」

ほむら「……」

322: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:26:44.47 ID:El4N4cTIO
ほむら「……グレープフルーツジュースだけ買って、あの子が振り子の部屋にくる前に家に帰るわよ」

ウサギ「あいあい」

人通りが少ないので、霊力を使いスケートの様に滑りながら酒屋に駆け込み、グレープフルーツジュースを買い、再び滑りだす。

ウサギ「全然関係ないけどさ」

ほむら「……何かしら?」

ウサギ「千切りキャベツを山の様に食べたくならないか…?」

ほむら「……」

323: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:36:41.01 ID:El4N4cTIO


ユウリ「辞めなって!」

ゆま「この衝動は抑えられない」

鼻にストローを差し込み、薄力粉を吸い込む。
バッタは肉食だが、蝗害は作物を食い荒らすことが代表的被害。

杏子「そういうお前もさっきから冷凍のエビばっか食ってんじゃねえか、せめて調理しろよ」

ユウリ「これが一番近いんだよね、何にとは言わないけど」

ゆま「キョーコも哺乳瓶でシロップ吸うの辞めなよ」

杏子「この衝動は抑えらんねぇ」

ゆま「だってさ」

ユウリ「あたしの胸見て言わないで?」

324: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:43:42.62 ID:El4N4cTIO

さやか「恭介、ふえるワカメ食べても髪は黒くならないよ?」

恭介「そういうさやかこそ、そんな魚食べても頭は良くならないよ?」

さやか「余計なお世話だよ!?」

恭介「第一、食べ方が頭悪そうだよね」

  「いくらイワシとは言え丸呑みはどうかと思うよ」

さやか「恭介もピンセットで一つずつつまんで水で戻しながら食べるの辞めなよ」


恭介「僕じゃなかったら絶交ものだよ」
さやか「あたしじゃなかったら絶交ものだよ」

……

上條家の和風ダイニングにアメリカンな笑い声が二つ立ち込める。

325: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 08:54:54.66 ID:El4N4cTIO


ほむら「……来たわね」

齧っていた人参を凍らせ砕いて口に流し込む。

眼鏡ほむら「……やっぱり居ましたか」

ほむら「いろいろ聞かせて貰うわ」

眼鏡ほむら「……」

335: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 17:34:29.53 ID:El4N4cTIO

眼鏡ほむら「私は本来居るべきだった暁美ほむらそれ以上でもそれ以下でもない」

言っていることはわかるが、それにしては随分強気な気がする。

ほむら「身体がもう一つあるのは、貴方は一旦キュゥべえと契約したのね?」

眼鏡ほむら「……そうだよ、それでその後すぐこの子と契約して……」

     「あ、大丈夫。キュゥべえには見られてないから」

……どこかで覚えのある態度だ。
それにしても……

ほむら「……貴方どこまで知っているの?」

336: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 17:42:03.43 ID:El4N4cTIO

それを聞くともう一人の私は、少し悲しい目をした後、口を開いた。

眼鏡ほむら「……全部知ってる」

     「貴方が繰り返してたことも、繰り返すきっかけも、繰り返した中で起きたことも」

ほむら「そう……」

眼鏡ほむら「だから私は貴方のことを邪魔したりはしないよ」

     「学校には貴方が行けばいい。友達が居ればそれは貴方がつくりあげた関係だから。でもね……」

337: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 17:45:22.07 ID:El4N4cTIO


眼鏡ほむら「家族だけは譲ってよ」




338: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 17:56:38.82 ID:El4N4cTIO


眼鏡ほむら「今まで独りでループしてて寂しいのはわかるよ」

     「でもそれは私だって同じ。貴方がループしなければずっと世界から爪弾きにされて……」

     「ループしたらしたで、世界が滅びてるもしくは近いうちに滅びるかもしれない」

     「だからお願い……どうか家族だけは……譲ってよ……私だって……べっこで生きてるんだよ?」

ほむら「……」


泣き崩れる彼女に私はこれ以上、何かをいうつもりにはなれなかった。

339: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:02:30.76 ID:El4N4cTIO

???「んだよぉ、昂ぶって泣いちまったのかぁ?だったらこっからは俺様が話してやるよ」


姿を隠した精霊が喋り始める。
小物臭が凄いが、魔法少女が残酷なシステムでできている世界、恐らく小物ではないだろう。

???「お前も納得いってないんだろ?キシシシシ!」

ほむら「……」

???「わかるよわかる、家族なんてそんな簡単に手放せるもんじゃねぇ。俺様もアネキが消された時はブチ切れて危うく射殺されるところだった」

   「だ、か、ら……」

340: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:09:56.00 ID:El4N4cTIO



???「決闘しろよ」



ウサギ「ッ!!!」

   「お前!!」

ウサギが激昂する。相変わらず沸点が低い。自分の頭を冷やすことは出来ないのか。

???「お前がもし譲らないってなら、明日の夕方河川敷で待ってるから来いよ」

   「言っておくが俺様達は強いし、お前らの手の内も知っているからな」

それだけ言うともう一人の私を無理矢理動かし、部屋を出ようとする。

ほむら「待って!」

眼鏡ほむら「……何」

ほむら「これ、お母さんから頼まれたグレープフルーツジュース……」

341: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:19:15.96 ID:El4N4cTIO


ウサギ「ほむら、どうすんだ」

ほむら「……あんなの見て断れるわけないじゃない。それに平気よ。私は今まで独りで暮らして居たんだし……」

   「それにさやか達だって……」

ウサギ「……そうか」

……

ウサギ「なぁ」

ほむら「……人参ならもう無いわよ」

ウサギ「いや、あいつの精霊ってなんなのかなって」

ほむら「さぁ……ヒントが射殺だけじゃあね」

ウサギ「シカか何かかね?」

342: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:25:24.83 ID:El4N4cTIO


眼鏡ほむら「……グレープフルーツジュースとグレープフルーツサワーじゃ全然違うよ。買い直しか……」

???「お前熱あったことになってなかったっけ?」

眼鏡ほむら「……そういえばそうだったっけ」

トボトボと酒屋へ歩いて行く。
先程のやり取りを引きずっているのもあって歩幅は狭く歩調も遅い。

???「……オイ、魔女の結界だ。ひと暴れさせろ」

眼鏡ほむら「……わかった」

343: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:37:02.29 ID:El4N4cTIO

目が眩むほど真っ赤な結界。
緑色の軍人のオモチャのような使い魔がわらわらと動いている。
大きさは三十センチ程。

眼鏡ほむら「趣味悪いって言うか、人間赤い部屋に閉じ込められたら気が狂うって本で読んだよ」

???「こんな雑魚シカトしてけ。本体ぶっ叩きゃ消える」

目を閉じながら結界の奥へ進む。
使い魔にぶつかろうがすり抜ける。
まるで何も無いかの如く。

344: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:42:18.45 ID:El4N4cTIO

???「大したことないと思ってたけどこの魔女随分長生きだな。キシシシシ!使い魔が成長して結界の中に同じのが二体もいやがる」

眼鏡ほむら「いいよ、勝てないことはあっても負けることはないから」

???「腹は減ってないか?」

眼鏡ほむら「アレだけは絶対食べないからね!」

???「えぇー、うめえのに」

眼鏡ほむら「絶っっっっ対無理」

345: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 18:47:38.91 ID:El4N4cTIO

鎧を着た操り人形が剣を持ってこっちを見ている。

???「奴さんだな。俺様がやる?お前がやる?」

眼鏡ほむら「私がやるよ」


髪の一部が硬質化する。

戦闘体制に入ったのを察して、魔女も襲いかかってくる。

???「操り人形のクセに本体は人形だな。ってか操られてるわけでもないな」

346: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 19:19:08.62 ID:El4N4cTIO
眼鏡ほむら「先手は譲ってあげます」

???「手の内見たいだけだろ」



目の前から突如魔女が消える。
斬撃の音を少しだけ立てた以外に音は無い。

眼鏡ほむら「速い……!」

???「後ろだ!背中合わせに……」


眼鏡ほむら「え」

347: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 19:20:43.01 ID:El4N4cTIO



次の瞬間見たのは、自分の身体の断面。


刀を納める音が聞こえる。



眼鏡ほむら「……なんてね」

348: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 19:24:20.91 ID:El4N4cTIO
水槽に垂らした牛乳の様に、もわもわと散って魔女の横に元の姿で現れる。


眼鏡ほむら「他の人だった死んでたかもね」

???「手の内なんて探るよりやっちまえば良かったのによ」

魔女に手刀を叩き込むとそこから煙をあげて崩れる。

???「もう一匹行くか」

349: ◆USZbC4nXcg 2012/11/19(月) 19:30:15.20 ID:El4N4cTIO
???「あっちが本体っつーか、オリジナルか」

眼鏡ほむら「さっきのより強いんだろうけど、手の内わかってるからな……」

結界内を移動する。片方が死んだことにより地形が変わっている。


眼鏡ほむら「この辺りかな?」

一際大きな扉を開けようと手を掛ける。
その時、首筋に冷たい感触を覚える。



こまち「ちょっと待った、ここの魔女に手は出させないよ」

358: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 10:50:29.73 ID:Vw2XObNIO

眼鏡ほむら「出させないもなにも二体の内弱い方はもう殺しちゃいましたよ?」

こまち「……だったら尚更もう一体には手を出させるわけにはいかない」

段々目に怒りがこもってくるが、それは筋違いだ。

???『ほむら、挑発しろ』

……

眼鏡ほむら「詳しい事情は聞きません」

     「もし断ったら?」

こまち「……ぶっ倒してでも止める」

359: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 10:56:18.05 ID:Vw2XObNIO
???「面白ェ……!」

眼鏡ほむら「……」

???『魔女はこいつに譲ろう。でも次はこいつとやり合うぞ』

眼鏡ほむら『えぇ!?』

???『あっちのほむらとやり合うかもしれないから練習だと思え』

……

こまち「やろうっての?」

眼鏡ほむら「……」

髪を硬質化させ、足元から湯気を立てる。

360: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:03:44.79 ID:Vw2XObNIO
こまち「武器も出さないなんて、わたしに近寄ることもできないよ!」

薙刀を振りかざし、私の足元を薙ぎ払う。

眼鏡ほむら「……」

わざと避けず、身体を流体化させ受け流す。

こまち「ロギア……?」

眼鏡ほむら「……ごめんなさい」

薙刀を振り下ろし前屈みになったこまちの身体を後ろから押す。


こまち「のわぁぁっ!」

倒れ込むところをそのまま一回転して着地。

眼鏡ほむら「避けるなら完璧なんだけどな……」

こまち「……だったら覇気でも出せれば」

???「なにいってんのこいつ」

361: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:12:44.76 ID:Vw2XObNIO
薙刀とは剣道と同じく武道の一つ。

剣道に比べると声を出す回数が減ったり、スネも有効になっていたりと僅かな差こそあるが、武道の精神があることには変わりない。

その『覇気』と呼ばれる物を使えたとして、それは驚くに値しない。


???「だとしても当たらなければなんてことはないな」

眼鏡ほむら「微妙に角度つけないと壁に追い詰められるからね」

こまち「ちっくしょぉ!!薙刀でも煩悩鳳が使えれば!!」

こまちが追いたてながら薙刀を振り続けるも、ほむらはいつも薙刀の最大射程がギリギリ届かないところに居る。

362: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:17:44.79 ID:Vw2XObNIO
眼鏡ほむら「ごめんなさい、もう疲れました……」

こまちの後ろに回りこみ、硬質化した髪を突き刺す。

こまち「ぐっ!!?」

???「バッ……ほむらお前!!」

こまちは半分白目を剥いて倒れる。

眼鏡ほむら「……結界の外に運ばないと」

???「運ばないとじゃねえよォォ!!何致死性の毒を精霊も持ってない奴に打ち込んでんのさ!?」

眼鏡ほむら「えっ……致死性?」

363: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:23:43.88 ID:Vw2XObNIO
眼鏡ほむら「じゃ、じゃあ……この人死んじゃうの!?」

???「残念ながらな」

眼鏡ほむら「どどどどうしよう……」

???「……ズラかるぞ!」

眼鏡ほむら「えええええ!?」

半ば強制的に走り出し結界から去る。



こまち「……固有魔法のおかげで助かったのかぁ」

   「凄い毒だった……わたしじゃなかったらお陀仏だね」

   「……エリーゼにこの魔女のこと報告しないと」

364: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:32:58.81 ID:Vw2XObNIO

次の日、私は普通に学校に行き、普通の学校生活を送った。
それはその普通をあの『私』から奪っていると改めて実感させるものであった。

さやか「どうしたの?顔色悪いよ」

ほむら「……なんでもないわ」

さやか「そ、そう?」

普通に放課後を迎え、普通に下校。
帰る家は……

ウサギ「ちょっと居るかだけ見に行こうぜ」

ほむら「……別にいいわよ」

365: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:40:31.82 ID:Vw2XObNIO
河川敷にやってきた。

河川敷ゴルフのおじさんを怖がっている彼女の姿が確認できる。
危ないから怖がっているのか、漠然と怖いのか、それとも反撃するとしたら加減ができないから怖がっているのか。

ウサギ「で、本当に行かなくていいのか?」

ほむら「……えぇ、やっぱり私はあそ」



キリカ「鳴呼…!愛が死んでしまうよ!」

私と『私』の間辺りから聞き覚えのある声がする。

366: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:46:55.36 ID:Vw2XObNIO
草むらから顔を出したのは、茶がかった黒髪に八重歯で、私と同じくらいの身長の一つ上の学年の生徒。

いつかの時間軸でまどかを殺した二人組の片割れ、呉キリカだ。

キリカ「アレはどこだぁー!、愛が死んでしまうよう……」

クラスに一人は居るとされるオーバーリアクションタイプ。
うちのクラスならさやかだ。
というかさやかに似ている気もする。

ウサギ「探し物か?小動物の得意分野だな」

ほむら「ちょっと待ち……鳴呼」

367: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 11:58:31.03 ID:Vw2XObNIO
ウサギが駆け出し、河川敷をうろつく。

ウサギ「この編みぐるみであってるのか?」

ほむら「知らないわよ……」

   「渡してくるわ」

ウサギが見つけた物を拾い、呉キリカに渡しに行く。

ほむら「ストラップ部分が切れてるじゃない……」

駅前で配っていた予備校のストラップを使い修理しておこう。

ほむら「すいません……」

368: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:07:42.01 ID:Vw2XObNIO
キリカ「なん……鳴呼!それは!」

私の手から編みぐるみを奪い取り頬擦りする。

キリカ「良かった……君のおかげで愛は死なずに済んだよ……」

私に向き直り、物凄いキラキラした目で見てくる。

ほむら「ストラップ部分が切れてたので、手持ちのパーツで直したけど余計なお世話でしたか?」

キリカ「そそそ……そこまでしてくれるなんて……私はこの感謝をどう表したらいいやら…鳴呼!」

突如呉キリカが私に抱きついてきた。
あまりにも唐突なので驚いてしまい、バランスを崩す。

ほむら「きゃっ!?」

キリカ「おぁ!?」

もつれ合い『私』の居る方向に転がり落ちて行く。

369: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:18:02.19 ID:Vw2XObNIO
キリカ「……恩人、怪我は無いかい!?」

   「いや、私の怪我が酷いみたいだ……恩人が二人に見える」


『私』が私を悲しい目で見ていた。

眼鏡ほむら「……来たんですか」

???「こいつには毒針刺しても死なないから全力で行けよ」

ウサギ「……ここに来ちまった以上不可避だな」

ある程度奮闘して、負ければいい。


ほむら「……始めましょうか、決闘を」

370: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:26:31.03 ID:Vw2XObNIO
キリカ「決闘……?」


ウサギ「言っとくけど、手加減なんてしたら一瞬でバレるからな」

ほむら「……」

ウサギ「わざと負けるとかするくらいなら、勝って譲れ」


時間凍結を展開し、袖から氷柱を十数個生成し、『私』に投げつける。

ほむら「一撃必殺だから手加減しなくていいならやりやすいわ」


……

『私』の口角が僅かに上がり、止まった時間の中、身体から湯気をあげる。

371: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:33:15.82 ID:Vw2XObNIO
次の瞬間、『私』は私の隣に居た。
気泡のエフェクトを撒き散らしながら、止まった時間の中で平然と動く。


眼鏡ほむら「時間停止のままなら触れられ無い限りこういうことにはならないですけど、凍らせてるなら話は別だよ」

硬質化した三つ編みが叩きつけられる。

ほむら「かっ……!!」

ウサギ「……熱系か」

眼鏡ほむら「……」

???「……なんで刺さねえんだよ、決まっただろ今のでよォ」

372: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:36:03.67 ID:Vw2XObNIO
眼鏡ほむら「……決闘というからにはやっぱり公平性を持たせましょうか」

???「手の内明かすのか?まぁ決闘だし……いいか、キシシシシ!」

時間凍結の解除をする。
無駄に腹が減るのは困る。


眼鏡ほむら「じゃあ、出て来て」

???「……あいよ」

373: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:48:28.62 ID:Vw2XObNIO
暁美 ほむら

逃げ水(中東)
オブトサソリ(中東)

通称・デスストーカー
一般的なサソリは毒が弱いが、中東などに住む鋏の小さいサソリは毒が強く、最悪死に至る。人間大の大きさにすれば量的に最悪の場合が起きる確率は跳ね上がる。

逃げ水とは蜃気楼の一種で、温度の差などで光の屈折が起き、逃げて行くオアシスが見えたりする現象であり、転じてこの精霊は熱と光、そして水を司る。

374: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 12:53:21.25 ID:Vw2XObNIO
サソリ「つまり、お前と俺様は天敵同士って訳よ、キシシシシ!!」

眼鏡ほむら「お互い、手加減は無用だからね」

沸騰したお湯のようなエフェクトを撒き散らし、砂漠地域に済む民族の様な格好の『私』は再び最初の位置に戻る。


ウサギ「オイ、ほむら。時間凍結以外を思いつかないとお前、殺されるかもしれねえぞ」

   「あっちのお前が望まなくても、あのサソリがヤバいからな」

379: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 16:34:29.41 ID:Vw2XObNIO


キリカ「恩人が増えて、戦ってる……?」

   「決闘と言って居たけど……一体なんのための決闘なんだ……?」


兎ほむ「どうやら触れていないと熱は操れないようね……!」

蠍ほむ「触った瞬間蒸発するけど……ね!」

放たれた氷柱を溶かす。
溶けた氷が服に触れ、アイボリーの麻布が透けて黄緑と褐色のツートンの外骨格が見える。

380: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 16:45:41.40 ID:Vw2XObNIO

手の内は大体わかった。

自分の身体を流体にして受け流すか、光を捻じ曲げ場所を誤魔化し避ける。

攻撃は髪の毒針、高熱で焼き切る手刀の二つ。

凍らせれば受け流されることは無い。
灼熱の手刀も凍らせれば単なる手刀だ。
毒針も刺された時に毒を凍らせ取り出せば単なる刺突。

しかし、向こうの攻撃を和らげられても、自分の攻撃は氷柱を封じられてる以上、蹴りと銃や爆弾しかない。

381: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 16:55:26.79 ID:Vw2XObNIO

手刀を同じく手刀で防ぐ。
漏れ出た相反する霊力で軽い爆発が起き、離れ離れになる。

兎ほむ「……互いに防がれない攻撃をしないとね」

私は耳が良いので、光を捻じ曲げ場所を誤魔化してもすぐにわかる。

兎ほむ「試行その1」

光を凍らせる。

これならば蹴りは通るはずだ

382: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:10:42.55 ID:Vw2XObNIO
蠍ほむ「……ところどころ不自然に暗く……ッ!!?」


鳩尾にクリーンヒット。

兎ほむ「……」

正直この戦いに意味を見出せないが、とりあえずやらなければやられる。


蠍ほむ「……同じ手にはかかりません」

383: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:14:25.29 ID:Vw2XObNIO
特殊能力は相性があってもそれがジャンケンとは限らない。

岩をも断ち切る鋏もあれば、紙を岩が突き抜けることもある。

勢いよく蹴りを食らわせようと動けばその間は耳に集中できなくなり、結局よけられてしまった。


蠍ほむ「これで振り出し……」

384: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:26:07.11 ID:Vw2XObNIO
兎ほむ「試行その2」

時を部分的に凍らせる。


気付かれなければ、そこに居る呉キリカの様にトリック空間を作り出すことができる。

混乱したところにキツイ一撃を入れれば……

385: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:36:11.36 ID:Vw2XObNIO

結果としては成功だった。

カクッカクッと動いたり止まったりを繰り返し完全に混乱したところに思い切り蹴りを……


ウサギ「ほむら……お前泣いてるのか?」

兎ほむ「なんでこんなことしなくちゃならないの……私は……」


先方も半泣きになりながら起き上がる。

蠍ほむ「見破り……ました……!」

嫌らしい笑い方をするサソリは黙り切りだ。

386: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:39:57.63 ID:Vw2XObNIO
蠍ほむ「お腹の音が聞こえて…ますよ!貴方も限界が…近いんじゃ…ないですか?」

兎ほむ「……」

だったらこのガス欠という現象を……




キリカ「あのー……大変恐れ多いんだけどさ」

   「君達はなんで決闘なんてしているんだ?」

387: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 17:50:27.41 ID:Vw2XObNIO
兎ほむ「……」
蠍ほむ「……」

キリカ「部外者に語るのは嫌かい?だけど決闘というなら立会人として……と思ってね」

兎ほむ「……貴方は」

蠍ほむ「立会人……なら」


私達は呉キリカに大体の事情を話した。
もちろんループのことは隠して。

388: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:04:22.45 ID:Vw2XObNIO


キリカ「君達はさ、ホンッッッットにバカだね!」


兎ほむ「えっ」
蠍ほむ「えっ」


キリカ「……出てきな、神名あすみ」

あすみ「バレてた?」

銀髪でランドセルを背負った少女が出てくる。
見たことも無い少女だ。
髪色的に美国織莉子の親戚だろうか。

キリカ「君ならどう考える?」

あすみ「ん?娘が増えて全員を愛せない親なんて居たら殺しても良いと思うよ」

蠍ほむ「……」

声のトーンが冗談めかしてる様に聞こえるが、顔は笑っていない。
恐らくは自分の親のことを言っている。

389: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:08:09.78 ID:Vw2XObNIO
キリカ「そんなことで争うくらいなら、親に相談したらどうなのかな?」

   「そんなにしてまで取り合う程の親なら期待する返事が返ってくるんじゃないかな」

呉キリカはその小学生にヘッドロックを決めながら言う。
こいつはこんな人格者だっただろうか。


……

私達はその場を後にし、二人で親に事情を話した。

390: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:17:10.91 ID:Vw2XObNIO
ヒカル「お前らな……一人しか愛せないんだったらとっくに母さんと別れて父子家庭になってたっての……」

ユキ「あら、引き取るのは私じゃない?」

私達を抱き締めるお父さんに、横槍を入れたお母さんはフレイの腕に刺青を入れている。

フレイ「背中には家族写真と観音様どっち彫ってもらおうかねぇ」

ユキ「隠せないところには彫らないよ?プールとか行けなくなるからね」


マイペースは感染する。

391: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:28:07.96 ID:Vw2XObNIO

刺青の彫師をやっているお母さんのコネやらで、産まれた時に連れ去られて出生届が出ていなかったことになり、晴れて彼女は私の妹ということになった。

ヒカル「元の雰囲気のほむはほむのまま、いやそれを本名にして、こっちのほむはこれからほむらだな」

ユキ「ちょっとこんがらがるわね……ほむちゃんとほむらちゃん?」



ほむら「……ごめんなさい、これからよろしく」

ほむ「……よろしく、お姉ちゃ……いや、お姉様」

前の学校の影響が強い。
私も一周目、まどかが居なければ巴さんをお姉様と呼んでいたかもしれない。
呼ばされていたかもしれない。

392: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:36:19.64 ID:Vw2XObNIO


「あすみみーつけた」


くすんだ銀髪に褐色の肌、エメラルドグリーンのスウェットパンツに、純白のジャージ、漆黒の腕章。

ジャージには『KAMINA』、腕章には『白女部長連合総長』

神名家で父親に愛されなかったもう一人の愛されなかった子供。


「あすみはなにしてるのかなー、きになるなー」

393: ◆USZbC4nXcg 2012/11/20(火) 18:42:34.91 ID:Vw2XObNIO
神名 入夜(カミナ イリヤ)

付喪神・指輪(インド)
???(???)

かつて美国織莉子が生徒会長だった頃、彼女とツートップをなしていた人物。
美国久臣の自殺以来学校に来なくなっていた。

この間露店で買った大きな石の指輪に話しかけているところを見滝原中学の生徒に発見されている。