前回 男「宝くじ当たったからエルフの奴隷買いにきたったwwww」

1: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:49:14.69 ID:3YCE8oLm0
男「エルフ姉、野良奴隷を逃がした罰を与える」

エルフ姉「申し訳ありませんでした……男様。いかな罰もお受けします」フルフル

エルフ妹「やめてよ! お姉ちゃんにひどいことしないで!」

男「黙っていろ!」バチンッ!

エルフ妹「きゃぁっ!」

エルフ姉「妹ちゃん!」




3: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:50:08.68 ID:3YCE8oLm0
男「今までは大目に見てきていたがそれも今日までだ」

 「次に俺の許可なく発言をすれば姉がどんな目にあうかわからんぞ」

エルフ妹「っ!!」

エルフ姉「ごめんね、妹ちゃん……。私のわがままにつき合わせてしまったばっかりに……」

エルフ妹「…!」ブンブン

エルフ妹(お姉ちゃんは何も悪くない……、悪いのは……)キッ!

男「なんだその反抗的な目は?」

エルフ妹(人間だ…!)

5: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:50:42.94 ID:3YCE8oLm0
男「まぁいい。それよりも今は、エルフ姉に罰を与えるのが先だ」

エルフ姉「はい……お願いします、男様」

男「これが何か分かるか…?」ドサッ

エルフ姉「これは、お庭の菜園で取れたお野菜さんたち……」

男  を脱いで    を   上げろ」

エルフ姉「わかりました……」スルッ、パサッ

エルフ妹(お姉ちゃん…!)

7: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:51:13.43 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「これでよろしいでしょうか……」

男「まずはこれぐらいでいいか」スッ

エルフ妹(胡瓜? あれをどうするつもりなの…?)

男「 を け」

エルフ妹「!?」

エルフ姉「っ!! はい……」 

男「さぁ、何本ぐらい入るだろうなぁ」ククク…

9: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:51:47.45 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「くっ……ああぁっ!」ガクガク

エルフ妹(もう見てられないよ……)

男「どうした、もう限界か? まだ三本目だぞ?」

エルフ姉「……もう、むりですぅっっ」 

ぼとっ、ごとごと・・・

男「……落としたな。よりきつい罰を与えないといけないな」

エルフ姉「は、はいぃ……」ビクビク

エルフ妹「!!」

11: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:52:59.69 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「もうやめ、」ダッ!

 「……っ!?」ドサッ

エルフ姉「妹ちゃん!?」

男「首輪の呪いだ。身体が動かないだろう?」

エルフ妹「ぐっ……この!」

男「そこで指をくわえて姉が苦しむ様を眺めているんだな。それがお前への罰だ」

エルフ妹「悪魔ぁ……人間なんてみんな悪魔だぁ!」

男「違うな。これが奴隷と主人と正しい関係だ」

14: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:54:10.56 ID:3YCE8oLm0
男「さぁ、続けようか。エルフ姉」

エルフ姉「はい……」

男「さっきお前が落としたこの胡瓜は、 に  てやろう」グイッ

エルフ姉「あぁあっ! 痛いです男様!」

男「罰なんだから当たり前だろう。そして前にはこのカブを……」

エルフ姉「ひっ……」

男「と思ったが、これはやめだ」

エルフ姉「ほっ」

17: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:55:28.98 ID:3YCE8oLm0
男「さっきエルフ妹が俺の言いつけを破って口を開いたからな。この特に太い大根を     やる」

エルフ妹「!!」

エルフ姉「そ、そんな大きなもの   せんっ!」フルフル

男「 る らないんじゃないんだよ。  るんだ」グッ

エルフ姉「あああぁぁあぁっ!! 痛い、痛いです男様あぁあ!」ブチブチ

男「うるさい! 黙れ!」グイィィッ!!

エルフ姉「かはっ…!」ボコォッ!!

エルフ妹「お姉ちゃーん!」ポロポロ

20: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 01:58:44.59 ID:3YCE8oLm0
男『ふん、やはり入るじゃないか』

エルフ姉『ぁ……あぅぅ……』グッタリ

エルフ妹『お姉ちゃん、ごめんね……私のせいで……』


エルフ姉「すぅすぅ……」zzz

エルフ妹「うぅぅ……」zzz

男「なんだこの状況は……」

エルフ妹「いくらなんでも西瓜なんか入れたらおねえちゃんが壊れちゃう……」ムニャムニャ

男「そしてこいつは何の夢を見ているんだ……」

27: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:03:04.22 ID:3YCE8oLm0
兵士「あの~、報告のあったエルフの野良奴隷というのはどちらですか?」

男「あぁ、この二匹はうちの奴隷だ。状況から察するに二人を秘術で眠らせ逃亡したらしい」

兵士「二匹の首輪が外れているようですが……」

男「野良奴隷が同族を助けようとしたんでしょう。……馬鹿な奴だ」

 「こいつらは首輪なんかなくてももう逃げられやしない。俺がそういう風に 教したんだからな」

兵士「ほう……」ゴクリ

男「それにしても、あの野良奴隷が秘術を使えたとは誤算だった……」

 「ここまでご足労頂いたのに申し訳ない兵士殿」

兵士「あぁ、いえ、私どもも仕事ですので」

28: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:05:35.09 ID:3YCE8oLm0
男「こいつらを叩き起こした所でどっちへ逃げたかも分からないでしょう」

 「今日のところはお引取り頂いてよろしいですか?」

兵士「そうします。何か足取りが分かりましたら連絡お願いします」

男「わかっています」

兵士「では、私はこれで」ケイレイ

男「はい」

キィ・・・バタン。

男「……はぁ」

29: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:10:21.25 ID:3YCE8oLm0
「……ちゃん、妹ちゃん!」

エルフ妹「……ふぇ?」

エルフ姉「あ、やっと起きた」

エルフ妹「んー……お姉ちゃんおはよう」ノビー

エルフ姉「おはようじゃないわ、もう夜よ。ほら窓の外」

エルフ妹「うわっ、ほんとだ! 洗濯物取り込まないと!」

エルフ姉「そうじゃなくて!」

エルフ妹「え?」

32: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:15:31.89 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「ここ寝室よ?」

エルフ妹「あれ? なんで?」

 「おねえさんの秘術で眠らされたのって居間だったよね? お姉ちゃんが運んでくれたの?」

エルフ姉「ううん、私も今起きたところ」

エルフ妹「じゃあ男が運んだの?」

エルフ姉「たぶん……」

エルフ妹「ふーん、寝てる間に変なところ触られてないといいんだけど……」

ガチャッ。

エルフ姉「!!」

34: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:21:00.43 ID:3YCE8oLm0
男「二人とも目が覚めたか」

エルフ姉「あっ、男様!」

男「夕飯の用意ができたから呼びにきた」

エルフ姉「えぇっ? すみません、私の仕事なのに……」

男「気にするな。それと、洗濯物も取り込んでおいたぞ」

エルフ妹「あ、ごめん」

男「早く居間にこいよ」

バタン。

エルフ姉「……」

エルフ妹「……」

35: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:25:15.55 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「……なんか優しくなかった? 気持ち悪いぐらいに」

エルフ姉「う、うん……。それに、女エルフさんを逃がしたこと何も言わなかったわ」

エルフ妹「それは男がそういう風に仕向けたんだし、何も言うことないんじゃないの?」

エルフ姉「それはそうかもしれないけど……」

エルフ妹「何か気になるの?」

エルフ姉「男様の雰囲気が……」

エルフ妹「雰囲気?」

エルフ姉「ううん、なんでもないわ。早く居間に行きましょう」

エルフ妹「? うん」

38: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:30:48.26 ID:3YCE8oLm0
かちゃかちゃっ、ぱく、もぐ・・・

男「……」モグモグ

エルフ姉「……」パクパク

エルフ妹「……」パクゴク

エルフ妹(さっきお姉ちゃんが言おうとしたことがやっとわかった……)

 (男の雰囲気がいつもと全然違う……怒ってるのかなぁ)

エルフ妹「あのさ……男はおねえさんを逃がしたこと、怒ってる…?」

男「……お前はどう思う?」

エルフ妹「えっ、私!?」

39: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:36:19.05 ID:3YCE8oLm0
男「落し物を拾った。それを持ち主に届けようとした途中でなくしてしまった」

エルフ妹「えっと、持ち主に悪いことしたなー、とか?」

男「元はといえば落とした持ち主が悪いんだ。俺が盗んだわけじゃないんだから何も気にする必要などあるまい」

エルフ妹「そっか。じゃあ怒ってないんだ」

男「そのことについてはな」

エルフ妹「そのことについては? それ以外は何か怒ってるってこと!?」

男「さぁな。……ごちそうさま。俺は書斎で本でも読んでる、今日は二人で風呂に入れ」

エルフ妹「えぇっ!?」

男「風呂からあがったら呼びにこい」スタスタ

エルフ妹「ちょ、ちょっと!」

エルフ姉「……」

40: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:41:49.40 ID:3YCE8oLm0
かぽーん。

エルフ妹「絶対おかしいって! 毎日私たちと一緒にお風呂に入ってたのに今日に限って二人で入れなんて」

エルフ姉「うん……」

エルフ妹「やっぱり怒ってるよね、あれ」

エルフ姉「うん……」

エルフ妹「洗濯物取り込むの忘れてたからか何か知らないけど、秘術で眠らされてたんだから仕方ないじゃん」

 「お姉ちゃんもそう思うよね?」

エルフ姉「うん……」

エルフ妹「……お姉ちゃん、私の話聞いてる?」

エルフ姉「うん……えっ? 何か言った?」

41: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:45:39.43 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「やっぱり聞いてなかったんだ」チャプン

エルフ姉「……ごめん。何の話だったの?」

エルフ妹「何に対してかわからないけど、男が怒ってるって話」

エルフ姉「あれは怒ってるのかしら……」

エルフ妹「そうとしか思えないよ。イライラとかピリピリとかそんな感じの」

エルフ姉「思えば男様が怒ってるところって見たことないわね」

エルフ妹「え? 男っていつも怒ってない?」

エルフ姉「それって、大体妹ちゃんが男様に逆らって叱られてる時の事でしょ?」

エルフ妹「うぐっ……、そういえばそうかな……」

54: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 02:51:38.75 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「そういう感じじゃなくてもっと感情が抑えられないみたいな……うーん、なんて言えばいいのかな」

エルフ妹「あっ、お姉ちゃんの言いたいことなんとなくわかったかも」

エルフ姉「そう?」

エルフ妹「心の中でぐわーってしたのが渦巻いてて頭の中ぐちゃぐちゃで自分じゃどうしようもない感じのでしょ?」

エルフ姉「うん? そう……かな?」

エルフ妹「確かにああいう男は見たことなかったかも」

エルフ姉「男様……」

エルフ妹「うー、なんかこっちまで頭の中ぐちゃぐちゃになってきた」グテー

エルフ姉「ふふっ、のぼせてきちゃった? そろそろあがりましょうか」

エルフ妹「うん、そうする」

224: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:29:17.28 ID:3YCE8oLm0
 

男「……」ペラッ

コンコン。

男「ん?」

エルフ姉『男様、お風呂お先に頂きました』

男「そうか。今日はもう休め」

エルフ姉『はい。失礼します』

男「…………」

 「はぁ……」

225: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:32:34.01 ID:3YCE8oLm0
ざばー。

男「……」ゴシゴシ

男(俺は馬鹿か、こんなことで感情を昂ぶらせて……)

 (俺はどこで間違えた? あの時か、それともあの時か……)

 (いや、そんなこと考えるまでもない。あのエルフを殺した時からに決まってるだろう)

かたん。

男「エルフ姉か? 何か忘れ物でも……」

エルフ姉「お背中を流しに参りました」カチャ

227: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:35:32.34 ID:3YCE8oLm0
男「お前……さっき入ったんじゃなかったのか」

エルフ姉「……」

男「まぁいい。流してくれるというのなら頼む」

エルフ姉「はい」

ごしごし。

男「……」

エルフ姉「……」ゴシゴシ

男「……エルフは馬鹿な種族だな」

エルフ姉「え?」ゴシ

228: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:39:04.11 ID:3YCE8oLm0
男「逃げればよかったものを」

エルフ姉「きゃっ!」

背中を擦っていたエルフ姉の手を掴むと、ぐいと引っ張ってやる。
するとエルフ姉はバランスを崩し、小さな悲鳴をあげてその場に仰向けの体勢で倒れこんでしまう。
その隙に覆いかぶさるようにして両腕を押さえ込んでやる。
エルフ姉の透き通るような白い肌を隠すものは何もない。

男「……こうしてお前の裸をじっくりと見るのは初めてだな」

エルフ姉「お、男様…?」

突然のことに理解が追いついていないのか、エルフ姉は目を白黒させるばかりだ。

男「例え生娘でもこれから何をされるかぐらいわかるだろう」

229: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:43:24.79 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「っ!」

今の一言でようやく状況を飲み込めたのか、エルフ姉は顔を仄かに上気させ両手の拘束を振りほどこうと力を込める。
しかし、エルフ姉の華奢な力では抵抗と呼べる抵抗にもならず身動き一つできずにいる。

男「ククッ、なんだ嫌なのか? てっきり誘ってるものかと思ったぞ」

下卑た笑みを浮かべたまま少しずつ顔を近づけていく。

エルフ姉「決してそんなつもりでは…!」

男「なら男の性というもの知らなかった自分を呪え」

さらに顔を近付けてやると、エルフ姉は咄嗟に顔を横に背けてしまう。
ならばとその首筋に強く唇を押し当てたあと、耳に向かって舌を滑らせていく。

エルフ姉「ひゃん、あぁっ……」

小さく身を震わせるエルフ姉の姿は、その白い肌もあいまって怯えた野兎を連想させる。

230: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:47:31.10 ID:3YCE8oLm0
男「くすぐったいのか? それとも感じているのか?」

エルフ姉「男様……、私は……」フルフル

男「なんだ?」

エルフ姉「何か大変なことをしでかしてしまったのでしょうか……」

男「……何の話だ?」

エルフ姉「私には、男様がどうしてそんなに辛そうにされているのか見当がつきません」

男「俺が、辛そう……だと?」

エルフ姉「……違うのですか?」

男「……」

231: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:50:31.11 ID:3YCE8oLm0
ザパー。

エルフ姉「きゃぁっ」

男「俺は何をやっているんだ」ハァ

エルフ姉「男様…?」

男「エルフ姉、立てるか?」

エルフ姉「あ、はい……」スク

男「体冷えただろ。湯船で温まっていけ」

エルフ姉(いつもの男様だ……)

エルフ姉「はい」

233: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:53:17.24 ID:3YCE8oLm0
男「ほんとに俺も一緒に入って良いのか?」

エルフ姉「はい、いつものように抱きしめて下さって結構ですよ」

男「なら、遠慮なく」ギュッ

エルフ姉「ふふっ」

男「何がおかしいんだ?」

エルフ姉「こうしてると先ほどの男様が嘘のようだと」

男「うぐっ……その、謝って済むものでもないかもしれないがさっきは悪かった」

エルフ姉「私は奴隷なのですから、謝らないで下さい」

男「しかしだな……」

234: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 06:56:40.61 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「それに私、男様が初めてのお相手でしたら、拒んだりしませんよ?」

男「なっ…!」

エルフ姉「なんて、さすがに今のは冗談ですけど」

男「はぁ……勘弁してくれ」

エルフ姉「先ほどの男様、ちょっとだけ怖かったですからお返しです」

男「……そういえば、エルフ妹はどうしてるんだ?」

エルフ姉「妹ちゃんですか? 妹ちゃんならもう寝てしまいました」

男「昼間あれだけ寝ておいて、まだ寝るのか……」

エルフ姉「寝る子は育つといいますし」クスクス

237: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:03:07.05 ID:3YCE8oLm0
男「あいつは素直なぶん分かりやすいんだがなぁ……」

エルフ姉「はい?」

男「……どうして逃げなかったんだ?」

エルフ姉「……」

男「お前に何か理由があったんだろう? エルフ妹はお前と離れたくなくて残っただけで」

エルフ姉「その問いにお答えする前に、先に教えていただきたいことがあるのですがよろしいでしょうか?」

男「なんだ?」

エルフ姉「男様が辛そうに……今もとても苦しそうにされている理由です」

男「うっ……」

238: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:08:14.08 ID:3YCE8oLm0
男「それは、どうしても答えないといけないか…?」

エルフ姉「どうしてもというわけではありませんが……」

 「ただ、私は男様のお役に立ちたいと思っています」

男「……はぁ。わかったよ、話そう」

エルフ姉「ありがとうございます、男様」

男「俺は……、もしかしたらお前たちエルフが怖いのかもしれない」

エルフ姉「私たちが、怖い?」

240: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:12:23.61 ID:3YCE8oLm0
男「正直、俺はお前たちがこの家に残っているなんて微塵も考えてなかった」

エルフ姉「それは……」

男「その答えは後で聞くが、どんな理由があれば奴隷としてこの家に残るという結論が出るのか俺には想像できなかったんだ」

 「そして理解できないものには恐怖や嫌悪を示すのが人間だ」

 「お前たちが眠っている間、ずっと考えて考えてお前たちが目を覚ます頃になっても自分を納得させられる答えが出なかった」

 「これも勝手な思い込みだが、まるでお前たちに弄ばれてる気分だったよ」

 「エルフはやはり人間には理解できない種族なんだって」

エルフ姉「『やはり』ですか?」

男「あぁ」

241: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:18:22.77 ID:3YCE8oLm0
男「俺は戦争中、エルフに命を助けられたことがある」

エルフ姉「戦争中に?」

男「俺も傭兵として戦争に参加していたんだ」

 「……あの日、鬱蒼と生い茂る山林で、俺は一人のエルフの女騎士と鉢合わせた」

 「その時はこちらも俺一人だったが、エルフは人間を殺さない、そのことはすでに周知の事実となっていた」

 「だから俺は一人でその女騎士に戦いを挑もうとして、……気付けば崖から足を滑らせて転落していた」ポリポリ

エルフ姉「え?」キョトン

男「そう不思議そうな顔をするな……ただ、俺がどん臭かっただけだ……」

243: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:22:51.02 ID:3YCE8oLm0
男「そして気を失い、次に目を覚ました時、どういうわけか俺はエルフの女騎士に介抱されていた」


男『つっ…! 一体何がどうなった……』

女騎士『お前は崖を転げ落ちたんだ。勝手に足を滑らせてな』

男『お前はさっきの! ……ぐぁっ!』バッ

女騎士『動くな。お前は頭を強く打って出血していた。秘術でなんとか止血できたが、危ないところだったぞ』

男『はっ……敵国の兵士を助けるのか? どこまでも甘い種族だな、エルフは』

女騎士『怪我人を助けるのに敵も味方もない。それに私はお前に襲われたわけではないからな』

男『なんだと? 俺はお前に斬りかかろうと剣を抜いただろう』

女騎士『そうだったのか? 目の前でいきなり崖を滑り落ちていったから気付かなかったな』

男『ぐぬぬっ…!』

245: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:29:19.76 ID:3YCE8oLm0
女騎士『まぁ、剣を交えていたとしても私はお前を助けていただろうがな』

男『……一つ聞いてもいいか』

女騎士『なんだ? 藪から棒に』

男『お前たちはなぜ俺たち人間を殺さない。エルフの崇める神の教えか何かか?』

女騎士『神? はっはっはっ、そんなものを信じているエルフなど、一人もいないぞ』

男『ならばなぜだ、すでにエルフは何十人も殺されているだろう。悲しくはないのか、憎くはないのか』

女騎士『馬鹿なことを。同胞が土に帰れば悲しいし、それが人の手によるものだと分かれば憎くもある』

男『もう一度問う、ならばなぜ人間に報復しない』

女騎士『そのようなこと……同じ想いをして欲しくないからに決まっている』

男『どういう意味だ?』

246: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:32:00.52 ID:3YCE8oLm0
女騎士『親しいものが死ぬというのは想像以上に悲しいことだ。お前たちにそんな想いをして欲しくない』

男『な、何を言っている…? 戦争だぞこれは!』

女騎士『だが人間たちに死者は出ていないはずだ。ならばまだこの戦争は止めることができる、我々はそう考えている』

男『エルフは何十人も殺されているんだぞ!?』

女騎士『だから人間を殺すのか? そんなことをしても我々の心は晴れはしない。何をしても死者が蘇ることなどありはしないんだ』

男『まるで理解できない…! 狂ってるとしか……』ブツブツ

249: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:35:41.73 ID:3YCE8oLm0
女騎士『お前の質問には答えてやった。次はこちらの頼みを聞いてもらえるか』

男『……なんだ?』

女騎士『このペンダントを娘に渡して欲しい』

男『なぜ俺にそんなことを頼む? 何か渡せない理由でも……っ! その血は!』ハッ

女騎士『大した傷じゃない……くっ』

男『そういえばなぜお前まで崖下にいる!? まさかお前、俺を追って……』

女騎士『そんなこと今はどうでもいい』

男『っ! そうだ……、今は止血しないと……ぐぅっ!』ガクッ

女騎士『怪我をしているのはお前も同じだ、じっとしていろ』

250: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:39:27.94 ID:3YCE8oLm0
男『お前……秘術で止血できるんだろう。自分には使えないのか…?』

女騎士『止血するには傷が大きすぎる。それに秘術は体力を使う、もう私に治癒術を使うほどの体力は残っていない……』

男『俺の傷を治療したからか…?』

女騎士『それは関係ない。言っただろう、止血するには傷が大きすぎると』

男『嘘だッ…! お前たちエルフは優しすぎる! 自己犠牲がそんなに楽しいか!!』

女騎士『何を、言っている…?』

男『お前たちエルフの考えは人間には理解できない!! お前を待っている娘がいるんだろう!?』

 『なのに自分の身を挺してまで敵国の兵士を助けて何の意味がある!?』

女騎士『人が人を救うことに理由などない。それが我々エルフの誇りだ……』

男『馬鹿だ…! お前たちエルフは大馬鹿だ…!』

252: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:44:48.01 ID:3YCE8oLm0
女騎士『もう……いいか? 私に残された時間は、あまり長くない……』

男『……っ! そのペンダントを、お前の娘に渡せばいいんだな……』

女騎士『あぁ、これは夫が作ってくれたものでな。娘もそれと同じものを、持っている……』

男『わかった。必ず……、必ず手渡すと誓おう!』

女騎士『すまない……娘達に、愛していたと……伝えて、』カクン

男『……っ!』


男「その時に渡されたペンダントが、この間エルフ妹が勝手に持ち出したものだ」

エルフ姉「……」

男「死の間際とは言え、敵に頼みごとなど……今でもあの女騎士の行動は理解できない」

253: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 07:47:50.47 ID:3YCE8oLm0
男「兵士を連れて、無人のはずの家の扉を開けたら、お前たちが仲良く寝ているじゃないか」

 「その瞬間、彼女のことを思い出して俺は思わず叫びだしそうだったよ」

エルフ姉「すみません……」

男「謝るな。思い通りに行かず俺が勝手に癇癪を起こしただけだ」

 「その挙句にさっきはお前に八つ当たりしてしまった」

 「ああしていればお前たちも女エルフと共に逃げていたんじゃないかと、そう考えたら手が出ていた。……すまない」

エルフ姉「私は気にしていませんので、男様も気になさらないで下さい」

男「そうか。そう言ってくれると、少しは気が楽になる」

256: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:01:27.19 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「男様が私たちに優しく接して下さるのは、私たちがエルフだからですか?」

男「俺がエルフの女騎士のことでエルフに対して負い目を感じていると、そう言いたいのか?」

エルフ姉「はい」

男「そうだな……あの出来事がなければ女エルフをわざと逃がすようなことはしていなかっただろうな」

 「思えば、あの女騎士には助けられたことに対する礼すら言えていなかったんだ。いろいろと思うところはあるよ」

エルフ姉「そうですか……」

男「と、俺の話はこれぐらいでいいか? かなり浸かっていたから少しのぼせてきた」

エルフ姉「そうですね。私も二回目のお風呂ですしちょっと」

男「ははっ、そういえばそうだったな。お前の話は風呂から出た後に、……ぁ?」ガクン

バシャン!

257: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:05:57.91 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「お、男様!? 大丈夫ですか?」

男「……」ブクブクブク…

エルフ姉「男様っ!!?」ガシッ…

男「……すぅ、すぅ」

エルフ姉「……眠ってらっしゃるんですか?」

 「男様、起きて下さい。男様」ユサユサ

男「……すぅ、すぅ」

エルフ姉「このままじゃ風邪を引いてしまわれます」ユサユサ

男「……すぅ」スヤー

258: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:09:35.98 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「こんなにしても起きないなんて」

 「支えてないと溺れてしまうし、まずお風呂の栓を抜いて……」キュポン

 「一人じゃ男様を移動させるのは無理だし、妹ちゃんも起こしてこないと」タタッ

――――
――

男「ん……」ピク

エルフ姉「男様?」

男「ここは、寝室か…?」

エルフ妹「そうよ。お風呂で寝ちゃったあんたを私たちがここまで運んであげたの」

男「そういえば風呂に入っていたんだったな、俺は」

259: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:13:23.51 ID:3YCE8oLm0
男「二人ともありがとう」

エルフ妹「まったくよ、せっかく人が気持ちよく寝てたのに」

男「寝巻きも着せてくれたんだな。何から何まですまない」

エルフ姉「お体のほうは大丈夫ですか? お医者様をお呼びした方がよろしいでしょうか?」

男「いや、問題ない。今日は街まで行って疲れていたからか、急に睡魔がやってきただけだ」

エルフ姉「それは、本当ですか…?」

エルフ妹「お姉ちゃん?」

男「どうした、エルフ姉?」

エルフ姉「……」

260: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:19:40.62 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「男様は私がこの家に残った理由、お尋ねになりましたよね」

エルフ妹「お風呂でそんなこと話してたの?」

男「あ、あぁ。それがどうかしたか?」

エルフ姉「……そのことについて、男様にまず謝らなければならないことがあります」

男「どういうことだ?」

エルフ姉「昨日、書斎の掃除をしていましたところ、机に一冊の本が置かれておりました」

男「本? 棚から取り出した本はいつも戻していたと思ったが……」

エルフ姉「男様がどのような本をお読みになっているのか興味があり、本を開いたのですが……」

男「おい、まさかその本は!」

261: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:23:13.22 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「……はい、そのまさかです」

エルフ妹「何? どんな変 な本を読んでたのよ、あんた」

男「……っ」

エルフ姉「申し訳ありませんでした、男様。主の日記を勝手に盗み見るような真似をしてしまい」ペコリ

エルフ妹「男の日記…?」

男「……どこまで読んだ」

エルフ姉「初めに開いたページが丁度、男さまが床に倒れられていた日でそこから数日……」

男「そうか……。なら知ってるんだな、俺の病のこと」

エルフ姉「はい」

エルフ妹「え…?」

263: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:28:37.07 ID:3YCE8oLm0
男「……いずれ話すつもりではいたんだ」

エルフ妹「ちょっと待ってよ、男が病気って何の話? ちゃんと説明してよ!」

エルフ姉「男様は脳に腫瘍ができていてもう長くないと……」

エルフ妹「頭に腫瘍? もしかして……あんた、死ぬの…?」

男「発作といっていいのかわからんが、時々、突然意識が遠くなって気を失うように眠ってしまうんだ」

 「その発作の間隔がだんだん短くなってきて、眠っている時間が長くなっていく」

 「そして最終的には……」

エルフ妹「……」

265: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:35:48.75 ID:3YCE8oLm0
男「医者の見立てでは、俺はあと1年も生きられないらしい」

エルフ姉「……」

エルフ妹「へ、へー……そっか、あんた死ぬんだ……ふふっ、ざまあみろってやつね!」

エルフ姉「妹ちゃん……」

エルフ妹「エルフを奴隷にしてるからバチが当たったのよ! 死んで地獄に落ちればいいのよ!」

エルフ姉「妹ちゃんっ!」

エルフ妹「ッ!」パチン!

266: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:40:04.10 ID:3YCE8oLm0
男「おい!」

エルフ妹「……」ヒリヒリ

エルフ姉「妹ちゃん、男様に井戸で水を汲んできてあげて」

エルフ妹「……わかった」スタスタ

カチャ、パタン。

エルフ姉「すみません、男様。妹ちゃんが失礼なことを」

男「構わない。人間はエルフから恨まれて当然のことをしたんだ、あいつがあぁ思うのも仕方のないことだ」

エルフ姉「妹ちゃんは本気であんなこと思っていませんよ」

 「さっきのは少し気持ちの整理が追いつかなかっただけなんです」

267: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 08:44:00.40 ID:3YCE8oLm0
男「なぜそんなことがわかる?」

エルフ姉「わかりますよ。だって、私はあの子のお姉ちゃんですから」


エルフ妹「……っ!」チャプン

 「男が死ぬ……憎かった人間が死ぬんだ……」

 「ふ、ふふっ……私たちを買うような奴、死んで当然じゃんか……」

 「喜ぶべきじゃん……なのに、なのにどうして……」ポタッ

 「涙が出てくるのよっ…!」ポロポロ

 「ばかっ! 泣くな私! 人間なんかのために、泣いてやる……もん、」グシグシ

 「うっ、うぅぅ……うわああああああぁぁぁん」

271: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:00:03.81 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「エルフは里を荒らされ、家族を失い、捕えられて奴隷にされました」

男「全て人間がやったことだ」

エルフ姉「はい。ですから、私たちエルフは人間に畏怖や恨みの念を抱いています」

男「それが普通だろう」

エルフ姉「ですが、男様を恨んでいるわけではありません」

男「俺は人間だぞ?」

エルフ姉「男様に買われてから過ごした日々に比べれば些細なことです」

男「は……本気で言っているのか?」

エルフ姉「はい」

273: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:04:45.10 ID:3YCE8oLm0
男「理解、」
エルフ姉「理解できませんか?」

男「……できるわけないだろう。俺がお前の立場なら常に寝首を掻くことだけ考えている」

エルフ姉「寝首を掻かれるかもしれない相手と同衾される方が言う言葉とは思えません」

男「それはお前たちエルフが人間を殺せないと知っているからで」

エルフ姉「男様は言ってることと考え方が矛盾しすぎています」

男「……そう言われると返す言葉がないが」

エルフ姉「そんな男様だから、逃げずに家に残り真実を確かめようと思えたんですけど」

男「真実? ……そういえば、お前がこの家に残った理由をまだ聞いていなかったな」

274: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:09:35.28 ID:3YCE8oLm0
男「俺の病を知って同情したか?」

 「どうせお前たちのことは理解できないんだ、今更どんな理由があっても驚かない自信がある」

エルフ姉「本当ですか?」

男「あぁ、本当だ」

エルフ姉「本当の本当に、ですか?」

男「本当の本当に、だ。随分ともったいぶるな……」

エルフ姉「男様がどんな風に驚くのか少し楽しみで、うふふっ」

男「聞くのが怖くなるから止めてくれ。というか驚く前提なのか」

エルフ姉「はい」

275: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:15:12.31 ID:3YCE8oLm0
男「そろそろ本気で教えてくれ」

エルフ姉「わかりました。私がこの家に残った理由は……これです」チャリ

男「ん? あのペンダントじゃないか。これが欲しくて残ったって言うのか?」

エルフ姉「……」

男「風呂場でも話したがこれは大事な預かりものだ」

 「もし俺が死ぬまでに見つけられなければ、お前たちに託すつもりでいるが……」

エルフ姉「男様」

男「なんだ」

エルフ姉「母との約束を守って下さって、ありがとうございます」ペコリ

男「っ!!」

277: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:20:06.22 ID:3YCE8oLm0
男「それはお前が持っていたものなのか…?」

エルフ姉「はい、母からお守りとして貰ったものです」

男「そうか……。そこの引き出しに小箱が入っている、出してくれるか」

エルフ姉「……これですか?」スッ

男「それだ。開けてくれ」

エルフ姉「はい」パカッ、チャリ

男「…! 確かに同じものだ……、じゃあ本当にお前たちは……」

エルフ姉「間違いないと思います」

男「は、はは……偶然にしてもできすぎだ」

エルフ姉「ですね。私も驚きました」

278: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:26:35.08 ID:3YCE8oLm0
男「だが、なぜ今まで黙っていたんだ。前にこのペンダントを見せた時は知らないと言っていたじゃないか」

エルフ姉「あの時は、私が同じペンダントを持っていることを話してしまったら、今の生活が終わってしまいそうで怖かったんです」

男「今の生活が終わる、か……」

エルフ姉「男様にとってペンダントの持ち主は大事な人なのか、それとも憎むべき相手なのか、わかりませんでしたから」

男「話そうと思ったきっかけは俺の日記か」

エルフ姉「はい。妹ちゃんがペンダントを持ち出した日の日記に、母のことと思われることが書かれていたので確かめなければと思ったんです」

男「真実を知ってどうだ。俺を……殺すか?」

エルフ姉「えぇっ? どうしてそうなるんですか?」

279: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:30:43.41 ID:3YCE8oLm0
男「直接手をかけていないとは言え、お前たちから母親を奪ったのは間違いなく俺だ」

 「言うなれば親の仇だろう」

エルフ姉「私は男様が母の仇だなんて思っていません。母が救った命、大事にして下さい」

男「お前はそれでいいのか?」

エルフ姉「良いも悪いもありませんよ。私は男様が亡くなられたら悲しいんです」

 「妹ちゃんもきっとそう言うと思います」

コンコン。

男「!」

280: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:34:12.30 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「お姉ちゃん、手が塞がってるからドア開けて」

エルフ姉「はいはい、ちょっと待ってね」ガチャッ

エルフ妹「ありがとう。……はい、水」

男「風呂で気を失って喉もカラカラだったからな。助かる」

エルフ妹「……」

男「ごく、ごく……ぷはっ」

エルフ妹「おかわりいる?」

男「いや、いい。ありがとう、エルフ妹」

エルフ妹「別に。お姉ちゃんに言われたから汲んできただけだし」

281: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:41:07.87 ID:3YCE8oLm0
男(……目が赤いな。泣いていたのか、こんな俺のために……)

男「エルフ妹、お前に話さなければならないことがある」

エルフ妹「何? まだ隠してることがあるの?」

男「あぁ。お前の母親のことだ」

エルフ妹「えっ?」

――――
――

286: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:46:44.86 ID:3YCE8oLm0
男「――以上だ」

エルフ妹「それ……ほんとなの?」

男「あぁ、本当だ」

エルフ妹「……お姉ちゃん、私どうしたらいい?」

エルフ姉「妹ちゃんはどうしたいの?」

エルフ妹「わからない……そんなのわからないよ」

 「こんなのただの事故じゃん。ただ運が悪かっただけ」

男「俺さえいなければお前の母は生きていたとは思わないのか?」

294: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:53:35.76 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「それは思うけどあんたを恨んでも仕方ないもん……」

 「お母さんがしたことを間違ってたなんて思いたくない」

男「そうか……ありがとう」

エルフ妹「なんでお礼?」

男「ん? なんでだろうな。俺にもわからん」

エルフ妹「何それ?」

エルフ姉「ふふふ、もう夜も遅いです。そろそろ横になりませんか」

男「あぁ、そうだな。そうしよう」

エルフ妹「……うん」

298: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 09:57:09.90 ID:3YCE8oLm0
翌日の昼下がり――。

男「それで、お前たちはいつこの家を出て行くんだ?」

エルフ妹「え?」

エルフ姉「どういうことですか?」

男「ん? いや、知りたかったことも知れただろう」

 「俺とこの家で暮らすよりエルフの隠れ里とやらに行ったほうがいいんじゃないのか」

エルフ姉「どこにあるかわからないですし」

男「女エルフから聞いていなかったのか?」

エルフ姉「はい。識者の案内なしには辿り着くのは難しいらしく……」

300: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:00:36.81 ID:3YCE8oLm0
男「それなのに残ったというのか、お前たちは……」

エルフ姉「里に戻って会いたい人もいませんし、後悔はしていませんよ」

男「結構、さっぱりした性格してるな、お前……」

エルフ姉「そうですか?」

男「そうだよ。エルフ妹もよかったのか、お前は人間が嫌いだろう?」

エルフ妹「私はお姉ちゃんさえいればそれでいいの」スリスリ

エルフ姉「もう、妹ちゃんったら」ナデナデ

301: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:04:15.82 ID:3YCE8oLm0
男「姉と結婚でもするつもりか、お前は」

エルフ妹「私、お姉ちゃんが相手なら別にいいよ」

エルフ姉「……」ナデナデ

エルフ妹「な、なんで何も言わないの…? そこは私もよ、って言うところじゃないの?」

エルフ姉「さすがにそれはちょっと……」

エルフ妹「がーん!」

男「はははは!」

エルフ妹「笑うなぁっ」

306: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:10:05.93 ID:3YCE8oLm0
男「それなら……俺と結婚するか?」

エルフ姉「えぇっ、男様もですか?」

エルフ妹「だめっ! お姉ちゃんは絶対に渡さないんだから!」

男「別に妹でも構わないぞ」

エルフ妹「別にって何なのよ、男のくせにむかつく!」

男「まぁ、形式上だけの話になるし」

エルフ姉「? あの、もしかして本気で仰ってるんですか?」

男「もちろん本気だぞ?」

エルフ妹「はぁ!?」

310: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:15:08.38 ID:3YCE8oLm0
男「昨日話したが俺はもう長くない」

エルフ姉「はい……」

男「俺が死んだらお前たちはどうなるかわかるか?」

エルフ妹「えっと、確か野良奴隷になるんだっけ」

男「そうだ。俺がお前たちを奴隷から解放すると宣言したところで、この国でのお前たちの扱いは奴隷のままだ」

 「だが、奴隷から解放される方法がないわけでもない」

エルフ姉「あ、もしかしてそれで……」

男「エルフ姉は察しが良いな。つまりはそういうことだ」

エルフ妹「え? え? どういうこと? 教えてよ」

311: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:19:50.70 ID:3YCE8oLm0
男「この国には人間と婚姻関係を結んだエルフは人間として扱うという法律があるんだ」

エルフ妹「えっと、つまり……」

男「俺と結婚すれば、お前たちのどちらか一人は奴隷から解放してやれる」

エルフ妹「!! 前に言ってたのって、このこと…!」

男「あの女騎士の娘を見つけてこの法律で助けること。それが俺が死ぬまでにやるべきことの一つだった」

 「もし俺の命が尽きるまでに見つからなければ、適当に買ってきた奴隷に代理を頼むつもりだったが」

エルフ姉「その適当に買ってきた奴隷が、探していたエルフだった」

男「偶然とは恐ろしいものだ」

318: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 10:24:46.79 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「偶然なんかじゃありませんよ」

男「ん?」

エルフ姉「きっと、母が廻り遭せてくれたんです。そんな気がします」

男「そうかもしれないな」

533: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 11:50:14.03 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「で?」

男「で?とは?」

エルフ妹「どっちと結婚するつもりなのよ……」ジー

男「俺はどちらでも構わないが、後々のことを考えるとエルフ姉の方が問題は少ないだろうな」

エルフ姉「私が男様の奥様に…!」ポッ

エルフ妹「だめ!」

男「ならお前がするか?」

エルフ妹「それもいや!」

男「ならどうしろと……」

534: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 11:52:40.22 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「別にいいじゃん……このままでも」

男「言っただろう、俺の命はもう長くないんだ」

 「一年も生きれたら良い方で、もしかしたら明日にも俺の寿命は尽きるかも、」

エルフ妹「それもだめ!」

男「それもだめってお前……」

エルフ姉「妹ちゃん……」

男「エルフ妹……すまない」

エルフ妹「なんで謝るのよ…!」

536: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 11:55:01.91 ID:3YCE8oLm0
男「エルフ妹、俺は死ぬ」

エルフ妹「っ!」

エルフ姉「……」

男「できるだけ長く生きたいとは思うが、きっとそうはいかないだろう」

エルフ妹「……私、秘術の練習する。治癒術を覚えて治すから……」

男「無理だ」

エルフ妹「やってみなきゃわからない!」

539: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 11:59:13.39 ID:3YCE8oLm0
男「そうじゃない。まだ外したままだが奴隷は必ずあの首輪をつけなければならない」

 「そうしたら秘術は使えなくなるだろう」

エルフ妹「なら私と結婚して! 結婚したら奴隷じゃなくなるから首輪は外せるんでしょ?」

男「それは、そうだが……」

エルフ妹「男は死にたいの?」

男「……首飾りを返せた今となっては、別に死んでも良いとは思っている」

エルフ妹「お母さんの命を貰ったのに死ぬなんて許さない!」

男「……すまん」

エルフ姉「……」

542: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:02:32.96 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「男様……妹ちゃんの好きにさせてあげてくれませんか?」

エルフ妹「お姉ちゃん」

男「エルフ姉……いいのか?」

エルフ姉「はい。私は構いません」

男「……わかった。別に俺はお前たちを奴隷から解放できればそれでいいんだ。結婚するぞ、エルフ妹」

エルフ妹「絶対助けるから……絶対に」

男「期待せずに待ってるよ」

543: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:09:48.90 ID:3YCE8oLm0
そしてその年の冬――。

男「――」

医者「ご臨終です」

エルフ姉「……男様」

エルフ妹「うっ、うぅ……、間に合わなかった……」ガクッ

男は死んだ。

546: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:12:13.88 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「……」

エルフ姉「妹ちゃん……、夕飯ができたわ」

エルフ妹「食べたくない……」

エルフ姉「だめよ。もう丸二日、何も食べてないじゃない」

エルフ妹「……」

エルフ姉「男様も亡くなる前に食事は好き嫌いなくちゃんと摂るようにって、」

エルフ妹「あいつの話はしないで!」

エルフ姉「妹ちゃん……」

549: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:14:44.88 ID:3YCE8oLm0
エルフ姉「男様に買われてこの家にきたばかりのこと、覚えてる…?」

エルフ妹「……」

エルフ姉「男様のことをよく知らない私たちにはすごく怖い人に見えたわよね」

 「男様は私たちに良くしてくれたけれど、逆に不安に思ったりもした」

エルフ妹「覚えてないよ、そんな昔のこと」

エルフ姉「妹ちゃんが家出したこともあった。男様の持ち物からお母さんの形見が出てきてどうしようか悩んだこともあった」

 「一緒に作った家庭菜園はどれも美味しく出来たわよね」

エルフ妹「……西瓜、美味しかった」

エルフ姉「そうね。焼き芋も美味しかったわ」

550: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:17:17.29 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹「もうその頃には男は一日に一度は気を失うようになってた……」

エルフ姉「そういえば、おトイレで気を失ったこともあったわね。うふふ、あの時は大変だったわ」

エルフ妹「……」

エルフ姉「いろいろなことがあったわよね」

エルフ妹「うん……」

エルフ姉「……妹ちゃんは良く頑張ったと思うわ」

エルフ妹「うん……」ジワッ

エルフ姉「男様、最後に言ってたわよね。幸せだったって」

エルフ妹「うんっ…!」ポロポロ

551: 以下、名無しにかわりましてVIPがお送りします 2013/07/08(月) 12:18:58.32 ID:3YCE8oLm0
エルフ妹(今でも人間は嫌い)

 (でも、男のことだけは嫌いじゃなかったよ)





 (さよなら、男)


おわり。

引用元: 男「宝くじ当たったからエルフの奴隷と幸せに暮らしたったwwww」