民主党の小沢一郎幹事長が東京地検特捜部の事情聴取に応じた23日、政府・民主党内には動揺が広がった。「被疑者」としての聴取だったことが明らかになったが、小沢氏は聴取後の記者会見で幹事長職を続ける意向を表明。続投への異論はなお顕在化せず、政府・民主党は小沢氏と「一蓮托生(いちれんたくしょう)」で今後も捜査や民意と向かい合わなければならない。聴取は区切りとなるどころか、政権運営の不安要素はさらに増している。

 小沢氏は23日夜、聴取を受けた東京都内のホテルで記者会見に臨み、「与えられた職責を全うしていきたい」と明言。「捜査については今までも、今後も協力してまいりたい」と述べ、捜査乗り切りへの自信をのぞかせた。

 民主党は小沢氏と足並みをそろえる形で検察批判を強め、世論の反発を招いてきた。それだけに今回の聴取に対し、表向きは「一歩前進」(菅直人副総理兼財務相)と安堵(あんど)の声が相次いだ。平野博文官房長官は同日夜、都内で「(政権運営への影響は)全くない」と記者団に強調した。

 しかし、民主党所属議員が日々感じるのは逆風の強まりだ。今夏、改選を迎える西日本選出の参院議員は同日、地元支持者から「小沢さんが辞めないと、応援できない」と通告された。「説明責任を果たした」と沈静化を図る執行部と、民意の離反に危機感を強める議員や参院選候補者との「乖離(かいり)」が広がりつつある。

 輿石東参院議員会長は23日、長野県諏訪市で「幹事長が法的に罪を受けることになるとすれば、その時点で対応を考えていけばいい」と語った。小沢氏が逮捕か起訴される事態になれば、幹事長辞任は避けられない。そうした「小沢リスク」に対し党幹部は思考停止状態にあり、政権運営は今後の捜査に左右される危うさが募る。閣僚の一人は「捜査次第で民意がどうなるか」ともらした。

 通常国会で予算審議が続くなか、自民党は攻勢を強める。谷垣禎一総裁は23日夜、都内で記者団に「証人喚問(要求)などの手立てを講じて真相を明らかにしていく」と述べた。

 鳩山由紀夫首相は同日、栃木県益子町などを視察。宇都宮市内で記者団から事情聴取の感想を求められると、厳しい表情で「潔白と申しておられたから、信じたい。見守ることしかない」と述べるにとどめた。【中村篤志】

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