人間国宝の五街道雲助師匠が人気者で実力者の真打のお弟子さんたち全員を引率されて葛飾区で土曜日の午後に一門会を開催してくださるなどということは、これはもう、この上なく特別なことだと申し上げて間違いないことで、当然、開演前の会場には、「満員御礼」の張り紙があったことを報告しておく。
そんな雲助師匠の一門会であっても、私は、いつもの通りの、ドレスコード無視の観客の一人なのであった。やはり、私の今の立場では、着慣れない服装をして、それが原因で、夜になって急に冷え込んだ時に風邪をひいてしまったらまずいのであった。その日の来場者の女性の中には、和服を着用していた観客も複数存在していたことを報告しておく。来年の年初のかつしかシンフォニーヒルズでの雲助師匠の独演会のときには、松の飾りは取れていても、まだ鏡開きのまえだから、多少はしっかりした服装をしていくべきだろうとは思っているが、それも、その日の天候と自分の体調次第の話だと申し上げておく。
チケットは、売り出し開始の日に速やかに購入したつもりだったが、17列27番という、かなり後ろのほうの座席だった。葛飾区の友の会の会員の方たちが、発売開始とともに、めいっぱい購入されていたのだろうと思われる。当日のプログラムには、新宿末廣亭の12月上席の番組表も添付されていて、12月1日本日から、12月10日まで、新宿末廣亭の夜の部では、隅田川馬石師匠がトリを務めて、雲助師匠も出演してくださるので、ぜひ、お時間のある方は、新宿末廣亭に足を運んでください。出演予定のどなたかが出演できないときは、もしかしたら、白酒師匠か龍玉師匠が代演を担当してくださるかもしれません。なお、新宿末廣亭の12月上席の昼の部は、入船亭扇辰師匠がトリを担当され、扇橋師匠初め、そのほかの扇辰師匠のお弟子さんたちも出演の予定です。
それでは、昨日の一門会の出演者たちは以下のとおりである。
桃月庵ぼんぼり、隅田川馬石、桃月庵白酒、蜃気楼龍玉、五街道雲助 お囃子担当は柳沢きょう、楽屋担当の前座は、桃月庵ぼんぼりにくわえて、隅田川わたし
前座のぼんぼり君は、「牛ほめ」を披露した。元気で、こなれた感じの出番の担当だった。かなり上手だと思ったので、この日が来る前に、ずいぶん熱心にけいこを重ねたのだろうか。
次の隅田川馬石師匠の演目は、「金明竹」だった。スローテンポで枕を演じて、演目の終わりごろで活舌を示すという演出だった。きっと、かなりフル規格に近い演じ方をされたと思うので、この演目は、そういう風に演じると、演者には体力を要求されるような気がする。
次の桃月庵白酒師匠は、「転宅」を演じられた。まくらの始まりから、全編大熱演の高座だった。この「転宅」は、以前、蝶花楼桃花師匠がまだ二つ目の春風亭ぴっかり☆だったころに聞いたことがある。桃花師匠の高座にふれた最初の演目がこの「転宅」だった。桃花師匠は、この噺を、五明楼玉の輔師匠に習ったらしいが、白酒師匠は、どの師匠からこの演目を教えていただいたのだろうか。以前は気が付かなかったが、この「転宅」は、「湯屋番」にも趣向が類似しているところがあるような気がする。かつて、雲龍亭雨花師匠は、たびたび「湯屋番」を演じていた記憶がある。白酒師匠が、桃花師匠にも、雨花師匠にも、温かい視線を注いでくださっているなら、それはとてもうれしいことである。
お仲入りのあとは、蜃気楼龍玉師匠が出演された。演目は「鹿政談」で、大変見事な名演だったと思う。この噺が鹿の話で、次の雲助師匠の出番の演目の伏線だったのだろうと思われる。
トリの五街道雲助師匠の演目は、「二番煎じ」であった。都都逸や小唄や謡の披露もしてくださって、雲助師匠の美声も、この日は鑑賞させていただいた。真冬の夜間の場面を題材にしているが、この日はもう暦の上では小雪を過ぎていて、初冬は半ばを越えているのだから、演目の選び方に不自然はないのは間違いない。牡丹鍋の話が出てきて、この日の前日が三の酉の日で、「二晩先」だと、亥の日なので、そのあたり、しゃれの含意が込められているのかと思ったりもした。そして、その本日の12月1日の亥の日は、旧暦でも11月1日の月初めの新月の日で、しかも、大安のめでたい日である。ついでに、私の老母の86歳の誕生日の日でもある。
この日に雲助師匠が演じてくださったのが「二番煎じ」で、そのことについて私などが、あまり不自然に考えすぎなどをするべきではないのだろうけれど、もし、雲助師匠とその門下の師匠たちと、そして、新宿末廣亭の北村席亭様が、私の近々の身の上をいろいろ案じてくださっていらっしゃるのだとするならば、私のいまの本音を正直に申し上げると、私は、自分の生活環境については、これからも納豆と豚肉を気兼ねをせずに食することができる場所に居住することを希望しているし、そして、もう還暦を過ぎてしまった自分としては、今となっては、「一番搾り」か「二番煎じ」かなどというようなことは、もはやほとんどまったく気にかけるようなことではなくなっているというのが偽りのない回答です。わたしがなにかとんでもない勘違いをしてしまっていて、そのために申し上げた内容と表現に非礼がございましたならば、どうぞ、この弱輩者をお許ししていただけるようお願い申し上げます。
English summary of this article:
A wonderful rakugo performance show was held at the Kameari Liriohall on 2024.11.30.
The members who took part in the event were Gokaidoh,Kumosuke;Kumosukes' three shinn'uchi-grade pupils;Kumosukes' two zenza-grade grandpupils and stage-support shamisenn player.
The shinn'uchi-grade pupils were Tougetsuann,Hakushu;Sumidagawa,Baseki and Shinkirou,Ryuugyoku.The zenza-grade grandpupils were Tougetsuann,Bombori and Sumidagawa,Watashi.The shamisenn player was Yanagisawa,Kyoh.
The last and main player of the day was,of course, glorious Gokaidoh,Kumosuke.
Kumosuke played the story named "Nibansenji(Second Boil :: In the ending scene of this story,a samurai policeman who looked after some citizens' patorol and required more cups of hot liquor in a cold winter midnight appears.Then,he used the word,'nibansenji'.)",excellntly.
そんな雲助師匠の一門会であっても、私は、いつもの通りの、ドレスコード無視の観客の一人なのであった。やはり、私の今の立場では、着慣れない服装をして、それが原因で、夜になって急に冷え込んだ時に風邪をひいてしまったらまずいのであった。その日の来場者の女性の中には、和服を着用していた観客も複数存在していたことを報告しておく。来年の年初のかつしかシンフォニーヒルズでの雲助師匠の独演会のときには、松の飾りは取れていても、まだ鏡開きのまえだから、多少はしっかりした服装をしていくべきだろうとは思っているが、それも、その日の天候と自分の体調次第の話だと申し上げておく。
チケットは、売り出し開始の日に速やかに購入したつもりだったが、17列27番という、かなり後ろのほうの座席だった。葛飾区の友の会の会員の方たちが、発売開始とともに、めいっぱい購入されていたのだろうと思われる。当日のプログラムには、新宿末廣亭の12月上席の番組表も添付されていて、12月1日本日から、12月10日まで、新宿末廣亭の夜の部では、隅田川馬石師匠がトリを務めて、雲助師匠も出演してくださるので、ぜひ、お時間のある方は、新宿末廣亭に足を運んでください。出演予定のどなたかが出演できないときは、もしかしたら、白酒師匠か龍玉師匠が代演を担当してくださるかもしれません。なお、新宿末廣亭の12月上席の昼の部は、入船亭扇辰師匠がトリを担当され、扇橋師匠初め、そのほかの扇辰師匠のお弟子さんたちも出演の予定です。
それでは、昨日の一門会の出演者たちは以下のとおりである。
桃月庵ぼんぼり、隅田川馬石、桃月庵白酒、蜃気楼龍玉、五街道雲助 お囃子担当は柳沢きょう、楽屋担当の前座は、桃月庵ぼんぼりにくわえて、隅田川わたし
前座のぼんぼり君は、「牛ほめ」を披露した。元気で、こなれた感じの出番の担当だった。かなり上手だと思ったので、この日が来る前に、ずいぶん熱心にけいこを重ねたのだろうか。
次の隅田川馬石師匠の演目は、「金明竹」だった。スローテンポで枕を演じて、演目の終わりごろで活舌を示すという演出だった。きっと、かなりフル規格に近い演じ方をされたと思うので、この演目は、そういう風に演じると、演者には体力を要求されるような気がする。
次の桃月庵白酒師匠は、「転宅」を演じられた。まくらの始まりから、全編大熱演の高座だった。この「転宅」は、以前、蝶花楼桃花師匠がまだ二つ目の春風亭ぴっかり☆だったころに聞いたことがある。桃花師匠の高座にふれた最初の演目がこの「転宅」だった。桃花師匠は、この噺を、五明楼玉の輔師匠に習ったらしいが、白酒師匠は、どの師匠からこの演目を教えていただいたのだろうか。以前は気が付かなかったが、この「転宅」は、「湯屋番」にも趣向が類似しているところがあるような気がする。かつて、雲龍亭雨花師匠は、たびたび「湯屋番」を演じていた記憶がある。白酒師匠が、桃花師匠にも、雨花師匠にも、温かい視線を注いでくださっているなら、それはとてもうれしいことである。
お仲入りのあとは、蜃気楼龍玉師匠が出演された。演目は「鹿政談」で、大変見事な名演だったと思う。この噺が鹿の話で、次の雲助師匠の出番の演目の伏線だったのだろうと思われる。
トリの五街道雲助師匠の演目は、「二番煎じ」であった。都都逸や小唄や謡の披露もしてくださって、雲助師匠の美声も、この日は鑑賞させていただいた。真冬の夜間の場面を題材にしているが、この日はもう暦の上では小雪を過ぎていて、初冬は半ばを越えているのだから、演目の選び方に不自然はないのは間違いない。牡丹鍋の話が出てきて、この日の前日が三の酉の日で、「二晩先」だと、亥の日なので、そのあたり、しゃれの含意が込められているのかと思ったりもした。そして、その本日の12月1日の亥の日は、旧暦でも11月1日の月初めの新月の日で、しかも、大安のめでたい日である。ついでに、私の老母の86歳の誕生日の日でもある。
この日に雲助師匠が演じてくださったのが「二番煎じ」で、そのことについて私などが、あまり不自然に考えすぎなどをするべきではないのだろうけれど、もし、雲助師匠とその門下の師匠たちと、そして、新宿末廣亭の北村席亭様が、私の近々の身の上をいろいろ案じてくださっていらっしゃるのだとするならば、私のいまの本音を正直に申し上げると、私は、自分の生活環境については、これからも納豆と豚肉を気兼ねをせずに食することができる場所に居住することを希望しているし、そして、もう還暦を過ぎてしまった自分としては、今となっては、「一番搾り」か「二番煎じ」かなどというようなことは、もはやほとんどまったく気にかけるようなことではなくなっているというのが偽りのない回答です。わたしがなにかとんでもない勘違いをしてしまっていて、そのために申し上げた内容と表現に非礼がございましたならば、どうぞ、この弱輩者をお許ししていただけるようお願い申し上げます。
English summary of this article:
A wonderful rakugo performance show was held at the Kameari Liriohall on 2024.11.30.
The members who took part in the event were Gokaidoh,Kumosuke;Kumosukes' three shinn'uchi-grade pupils;Kumosukes' two zenza-grade grandpupils and stage-support shamisenn player.
The shinn'uchi-grade pupils were Tougetsuann,Hakushu;Sumidagawa,Baseki and Shinkirou,Ryuugyoku.The zenza-grade grandpupils were Tougetsuann,Bombori and Sumidagawa,Watashi.The shamisenn player was Yanagisawa,Kyoh.
The last and main player of the day was,of course, glorious Gokaidoh,Kumosuke.
Kumosuke played the story named "Nibansenji(Second Boil :: In the ending scene of this story,a samurai policeman who looked after some citizens' patorol and required more cups of hot liquor in a cold winter midnight appears.Then,he used the word,'nibansenji'.)",excellntly.