炭素の水素化物は基本的に有機化学の対象である。炭素が還元されていて、生命物質の資格があるのである。

一酸化炭素と二酸化炭素は炭素が酸化されている。生命物質ではないから、これは本来、無機化学の対象である。そういう扱いになっていると思う。

実際に生物が有効利用するのは、エチレン、エタノール、アセトアルデヒド、酢酸だが、そういうC2物質でなく、C1物質は、有機化学のモデルとして有効である。

まあ、そんなわけで、炭素は、酸化されれば無機化学の対象、還元されれば有機化学の対象になる、有機化学と無機化学の架け橋である。

珪素の場合は、シランは珪素の水素化物だが、有機化学の対象ではない。

しかし、シリコンで半導体つくり、情報処理を手がけているのだから、人工の「珪素神経」は、人工半生物といえるのかもしれない。

そうなると、珪素とガリウムと砒素の化学の世界に、「準有機化学」とでも言うべき領域を形成できるのかもしれない。

珪素の化学とゲルマニウムの化学は、無機化学の中でも特殊な領域を形成できる可能性があると思う。炭素中心の有機化学と、それ以外の無機化学以外に、炭素の無機化学領域と、珪素とゲルマニウムの準有機化学の領域の可能性も小さなものではないと思う。

有機化学と無機化学の範疇分離があまり有意義でなくなっている一方で、化学の領域に細分化がおきているということもあるかも思っている。