Bloga enneagramica (ブロガ・エニアグラミカ)

IT革命の先にある社会の創造に貢献することを目的として、拙いながらも文章を紡いでおります。 (管理人:enneagram)

努力して、わたしたちみんなが欲するような知識社会を未来に生み出したいものです。

国土交通省

無記名のSuicaとPASMOの廃止

交通系電子マネーのSuicaとPASMOが、今後すべて記名式になるという。新規発行のSuicaとPASMOには、今後無記名の電子マネーはなくなるそうである。


発行者側のしめす「口実」は、世界的な半導体不足により、そういう電子マネーの新規発行の継続が困難になったということのようである。


しかし、実際には、交通機関と国土交通省と総務省としては、より的確な個人情報を、交通系電子マネー由来で大量に獲得したいのであろう。おそらく、新しい電子マネーの購入の際に、自分の名前と生年月日と電話番号を偽って記入する利用者は、例外的少数だろうと思われる。


交通系電子マネーの利用により獲得できる、膨大な量の個人情報は、交通機関にとっても、国土交通省にとっても、総務省にとっても、財務省にとっても、おそらく、極めて貴重な資源だろうと思われる。交通系電子マネー経由で得られる多くの消費者の多様な消費情報と行動情報は、これからの時代の事業運営や、国家戦略にとって、国勢調査などより重要で重大な情報を日々獲得する手段になっているのではないかと思われる。


国家は、今後、さらに手厚いサービスを国民に提供できるようになることは間違いないはずである。一方、国民は、何か不正をすれば、公権力にすべて丸見えになるということである。だれもが、あまりに悪いことはできない社会がこれからやってくるということなのであろう。

法務大臣の職務と職権と職責

葉梨康弘法務大臣の問題発言が取り上げられている。それほど関心もない。葉梨大臣が、法務大臣に適任なのか不適任なのかもわからない。たぶん、あまり法務大臣向きの人ではないのだろうとは思う。


法務大臣の職は、私は、極めて重要な職であると考える者である。


憲法も民法も刑法も各種訴訟法も全部、法務省の管轄である。全国の刑務所も全国の法務局も全部、法務省の管轄である。このことを考えても法務大臣は、重要な役職である。法務省の外局は、検察庁と公安調査庁である。下手をすれば、政治家の息の根を止める役割を担っているのが検察庁と公安調査庁である。


私は、かつて、マンション所有とマンション管理の問題をずいぶん勉強したことがあったが、マンションやショッピングモールなどの建物の区分所有法を管轄しているのは、法務省である。マンションの管理組合の運営などを担当しているのは、国土交通省である。この問題では、法務省は、国土交通省と緊密な連携をしないといけない難しい立場の役所である。


私は、マンション管理の問題を学習していて、この問題にかかわっている法律家たちや、法学者たちや、管理実務資格者たちに、極めて優秀な人たちがとても多いのを知っている。しかも、現在の建物の区分所有法は、既存の判例にしても、内在する法理にしても、いろいろ問題を抱えていることも知っている。


できれば、わたしは、マンションやショッピングモールの土地所有や生活環境保全や事業運営について、法務大臣に、その分野の専門家たちを集めて懇談会を開催していただきたいと思っている。法務大臣にとっても得られること、認識を新たにすることは多いと思う。


ついでに、法務大臣が、民法や刑法の様々な分野の法学者たちと懇談会を開催する機会もお持ちになっていただきたいと思っている。性的マイノリティに関する法的な諸問題だけでも、現代の法律家たちや法学者たちが、どれほど多くの解決困難な問題に直面しているかがわかると思う。家族法の法理など、いまや、もしかしたら危機的状況といってもいいかもしれない。


法務大臣が大した役職ではないという考えは、これまでの産業社会、これまでのような資本主義社会に発想を縛られた偏見である。有能な法務大臣の登場は、社会の旧弊を一掃し、多くの人が気分良く暮らせる社会の成立を導く、重要な知的社会インフラを構築できる機会をもたらす。


葉梨法務大臣が解任されずに済むのなら、法務省の仕事の内容をよく理解して、法律家たちや法学者たちともよく話し合って、今後仕事を熱心にこなしていくようにされていっていただきたいと思っている。

[書評] マンションは日本人を幸せにするか (榊淳司 著;集英社新書)

同じ著者の「マンション格差」と「限界のタワーマンション」と内容に重複がある書物。しかし、この書物も、有益な示唆はしてくれている。


不動産市場は、民主党政権の政治的無能が原因でひどく冷え込んでいたらしい。それが、黒田日銀総裁の金融政策で、マンションバブルが発生したという。


自分なんかは、政治や金融と不動産市場の関係なんかは見えていなかった者なので、そういう、金融政策と不動産の関係などは、初めて教えられたことだった。世間に疎いということであろう。


この本で主張されている大切なことは、住宅流通機構のレインズのデータベースが、不動産業者にだけ開放されていて、一般消費者は調査できないことの指摘だと思う。経済の公正な運営のために、レインズのデータベースは、ぜひ、一般消費者たちにも開放してほしいと思う。


マンションは、エアコンが必要で、それゆえ、必然的に、電気が必要な建物である。それゆえ、電力政策、電力供給の無策があると、多くのマンションが住環境として機能しなくなってしまう。


インフラ上の問題と、管理組合の適切な運営と、それを担当する行政の問題が、マンション問題にはとても重要である。コンサルタントの養成も、民間の自助努力だけではとても追いつかない事態になっている。


国土交通省は、マンション問題という、大変な課題を21世紀に引き受けることになってしまった。しかし、考えようによっては、政治や行政にとって、ひどく、やりがいのある仕事も、いくつも提供されているといえなくもないのではないかと思われる。

[書評] 暮らしの法律問題シリーズ 弁護士に聞きたい! 分譲マンションの紛争Q&A (馬場・澤田法律事務所 編;中央経済社)

弁護士たちが著作したマンション問題の書物をまた一冊読んでみた。


すでに承知しているような話が多かったのだけれど、この本を読んで改めて気が付いたような話をしたいと思う。


2016年改正標準管理規約で、初めて、第三者管理の場合を取り上げたようである。多くのマンションで住民が高齢化していて、機能する理事会を構成できなくなっている。その対策を国土交通省が真剣に考慮するようになったのが、いまから5年位前ということである。今後は、この問題は、どんどん深刻になって、制度も適切に整備されるようになるかもしれない。


マンションの大規模修繕というのは、現在は法制化されていないし、このことばには法的な定義もない。しかし、そろそろ、この件も、法的な取り決めも必要になっているような気がする。長期修繕計画の見直しも、法令で何かしら言及しておくべきことかもしれない。


民事保全法や民事執行法の適用というのは容易ではない。仮差押えや仮処分、強制執行などのことは、弁護士に依頼するほかないが、依頼するマンションの管理組合の理事たちも、ある程度の知識は入手しておくべきかと思われる。


強制執行しても、債権の全面回収ができないときには、裁判所に、財産開示手続きの申し立てもできるようである。これも、知っておいたほうが良い知識であろう。


なんにせよ、裁判所を活用しようとすると、印紙代と切手代がものすごく必要になる。加えて弁護士費用もである。裁判所にはできる限り頼らず、管理組合と管理会社が努力し、関係行政機関を訪問して助言をもらってトラブルに対処すべきである。何度も繰り返すが、弁護士に依頼するのは、最後の最後である。


とりあえず、以上の点を列挙して、今回の記事更新としたいと思う。

[書評] 最新区分所有法の解説 6訂補遺版 (渡辺晋 著;住宅新報出版)

この分野の著作を手掛けると優れた著作を世の中に提供してくださる弁護士の渡辺晋先生の、これもまた優れた著作である。


もちろん、自分などには、全体を通して、区分所有法の真髄を示す能力などないので、この書物から自分が得られた、特に注目した知識についてだけ指摘させていただく。


まず、いわゆる区分所有法という法律は、マンションだけでなく、区分所有建物すべてが対象の法律である。店舗だろうが、倉庫だろうが、工場だろうが、区分所有建物は、すべて、この法律の対象なのである。この点を誤解している人も多いだろうから、このことは強調しないといけないと思う。考えようによっては、マンション管理士は、住居用の区分所有建物だけの専門家ということではないようにすべきかもしれない。


当然のことだけれど、民法の例外規定、特別規定が区分所有法である。だから、管轄が法務省なわけである。そんなわけで、区分所有法に規定のない話は、原則として、民法の規定に従うことになる。これも、知っておいたほうが良いことである。やはり、民法の、物権、債権、契約の知識は重要で大切なのである。


区分所有法の59条競売についてだが、これは、民事執行法63条の規定外であることが判例として確立しているようである。すなわち、債権回収が不可能であることが判明しても、競売は実施され、民事執行法の無剰余取消しの規定の適用外になる。もちろん、競売がなされたからと言って、落札があるかどうかはわからない。競売は、中止されずに実施されるというだけの話である。


この区分所有法には、関連判例も多く、法律の解釈は、判明になっていることが多いそうである。法律家や法学者が関心を持つような特殊な事例を除いては、一般の人も、法律の解釈で迷うような話は少ないという。管理会社のフロントマンも、勉強家であれば、この法律には十分な対処能力を持てるはずのようである。


区分所有者だけでなく、賃借人の占有者についての規定も当然ある。これも、民法とは多少異質のようである。たとえば、賃借人側の売渡請求権が存在し、貸し手側の買取請求権の規定がないような一方的な法的規定が存在するなどである。


建替え事業は、全員参加になっている。それゆえの、反対者の物件の売渡請求権の規定があるわけである。


区分所有法には、民事保全法との間には、困難な問題が残っているようである。この点については、今後の判例の蓄積をまって、解決を模索していかないといけないようである。しかし、この点は、法律の専門家が注目している議論であって、素人が特に知らないといけないような話でもない。


こんなところが、この本を読んで私が得た知識である。渡辺先生は、有益な書物を世の中に提供してくださる優れた著者である。弁護士として、法律実務をこなしている合間に、これだけ優れた著書をいくつも著作されているわけで、その精力には、私などは驚嘆しっぱなしである。
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