今後、大幅な増加が見込まれる裁判員法廷に、検察と弁護士会が対照的な作戦で臨もうとしている。

 最高検は中堅・若手の検事全員に裁判員裁判を経験させるよう、全国50地検に通知。特捜部所属の検事も対象で、経験者の層を厚くする狙いがある。これに対し、弁護士会側では、裁判員裁判の弁護に意欲的な弁護士に集中的に担当させることで、検察側に対抗する構えだ。

 都市部の地検ではこれまで、一部の検事がほぼ専従して裁判員裁判を担当してきた。最高検によると、今後はこれを転換し、来年3月までに、都市部の地検の副部長以上や地方の検事正、次席検事を除く全員(約1000人)に、裁判員裁判対象事件の捜査から公判前整理手続き、公判までをできるだけ担当させる。

 大型経済事件や汚職の摘発を担う東京、大阪、名古屋各地検の特捜部や、公安、交通両部に所属する検事も対象で、最高検では、「これから幹部になる検事が裁判員裁判を全く経験していないのでは困る。件数の増加に対応するためにも、全検事が経験する必要があると判断した」としている。

 一方、最高裁による裁判員経験者らへのアンケートなどで、裁判員へのアピール度で検察側に後れを取る結果が出ている弁護士サイド。高い技術を持つ弁護士を裁判員裁判の国選弁護人につけ、対抗しようという動きが広がっている。

 東京地裁本庁管内では、被疑者国選弁護制度の対象になる容疑者が逮捕されると、日本司法支援センター(法テラス)が、同制度用の弁護士名簿を元に弁護人を割り振っている。裁判員裁判でも、この弁護士が引き続き弁護を担当することになるが、裁判員裁判の研修を受けていない弁護士も含めて順番に回ってくる形のため、研究熱心な弁護士に事件が回りにくいという。

 そこで、第二東京弁護士会(会員約4000人)は裁判員裁判の研修や模擬裁判を経験した約80人を元に「選抜者リスト」を作成、来月から、殺人などの被害者が死亡した裁判員裁判事件では、このリストから法テラスに弁護士を推薦することを決めた。東京、第一東京両弁護士会でも導入を検討している。

 同様の取り組みは大阪や千葉、埼玉など東京以外の多くの弁護士会では既に行われており、日本弁護士連合会裁判員本部の小野正典本部長代行は「弁護士の力量不足で量刑が不当に重くなる事態を減らしたい」としている。

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