2005年08月18日

人を楽しませるとは

自分の好きなことばかりやっていれば幸せという人も少なくないみたいみたいですが、人を楽しませる面白さを知らないのはもったいない気がします。
この意味を勘違いしている人はけっこう多いと思うのですが、人を楽しませるとは人が望むものをただ提供すれば良いというわけではありません。
ないものを提供をしてもマイナスからゼロにしかなりません。
人をエンターテイメントするというのは、ゼロからプラスを与えることです。
既存の需要を満たすのはただの産業であり、新たな需要を生み出すことがエンターテイメントなのだと思います。

エンターテイメントされることしか頭にない人は、幼稚な人間が多いと感じます。
自分の行動に明確な理由がなく、みんながそうしているからそうする、積極性がない、責任感がない、自分の立場を理解できない、他人の気持ちが分からない、人のいいなりになって他人の顔色を伺っている、人に親切にしない、人の親切が分からない、他人を敬わない、口喧嘩をすぐに始めるわりには弱い、忍耐力がない。
こんな性格では自分も楽しくなければ他人も楽しくありません。

大体守られながら生きてきた人は、人をエンターテイメントすることを知りません。
守られながら生きていると楽なように思えますが、それは自分の人生を自分で設計する能力がないことを意味するので、ろくなことにはなりません。
自分に不満なことが起こっても、他人に文句を言ってうざがられるだけなのです。

エンターテイメントするとは、人の気持ちを操ることです。
人の気持ちをマイナスからゼロに操作するのは簡単です。
つまり既存の需要を満たせば良いわけです。
ゼロからプラスに操作することが楽しさを与えるということです。
例えば、人に何かを伝えるときに自分が発した言葉がそのまま人に伝わることはありません。
自分の頭の中の抽象的概念を言葉に具現化し、その言葉を他人が抽象的概念に変換する過程で必ず誤差が生じています。
だからその誤差を計算して自分の言葉を修正するのです。
実際、自分の主張を訴えたいときには、強調した言い方をしないと伝わりません。
ソフトな言い方では、人はもっと弱い意味でしか受け取ってくれないのです。
相手に思考させたいときなどは、わざと完璧ではない理論を提示してみると、それに違和感を感じ、どこが間違っているのかを考えます。
それを利用すれば、人に何らかの価値観を持って欲しいときに、わざと少し的をはずした考えを提示することで、後はその人が自動的に目的の考えに到達してくれます。
実際こう考えろと人に指図するだけでは聞いてくれないのです。
自分が書いたブログは極論主義的な言い方をしていることが多いですが、わざとやっているわけです。

一つのゲームを作るというのは、人の感情を操作する複雑な計算と言えます。
ゲームの面白さの要素の一つに、ゲームをしている人が、その最中にどれだけ多くの情報が脳内に入ってきているか、というのがあると思います。
単に情報を多く発信するのではなく、脳内に入り、消え失せない情報がどれだけあるかというのを計算して、作っていくのです。
ネットを使用したオンラインのゲームが登場してきたのは、そこには実際の人間が参加していて、決まったパターンの展開がない、という世界観の広がりをゲームの中に感じているためだと思います。
「世界観の主観的広さ」というのも、もちろん一つの情報であります。
これをいかにうまく提示するかが、RPGを作るための課題なのです。

楽しさを生み出すのは、複雑な計算をするということなのです。
エンターテイメントするとは理論で人の感情を操作することなのです。

周りの人を楽しませることは、人と良い関係を築くための必須な能力であると思います。
これは単に一発ギャグを飛ばして笑わせるということではありません。
タレントを芸能界で目立たせるための技術を自分に使うという感じだと思います。
つまりキャラクターをクリエイトするわけです。
といっても、さとう珠緒をやれば良いというわけではありません。
うそのキャラクターでは相手が楽しくても自分が楽しくありません。
完璧で欠点のないキャラを提示すれば良いというわけではありません。
これが分からない人は、欠点を隠そうとして消極的になります。
その結果、進歩のないダメ人間になり、自分自身もつまらないままなのです。
自分がこうありたいということや、虚栄心ではない自信とか、自分に足りないものをクールに言えれば良いわけです。
キャラの目立ち度では属性の多さとか種類も重要であります。
属性というのは「この人はこんな人」の「こんな」のところに入るもののことです。
「この人はオタクの人」であれば、属性はオタクです。
この属性の多さと強さは、他人の脳内情報が多くなるため、人間的な魅力に繋がるのです。
でもこれらも、自分のキャラが正確に伝わるように誤差修正をする必要があります。
謙虚に自分を出さないというのはマイナスだと思います。
時間のないこの時代に、自分をゆっくりと観察する人なんていません。
時間はないのに、人と情報は溢れているのです。
どんどん自分を出してしまったほうが得なんです。
遠慮なんてしなくて良いのです。
出しちゃえばいいの、出しちゃえば。
あとは、どうすれば相手を楽しませることができるかを常に真剣に考えるということも重要だと思います。
相手がこうしてくれと言うことを満たすだけでは、マイナスをゼロにするだけです。
重要なことは新たな需要を発見し、それを満たすことであります。
これも他人の脳内情報の多さと新鮮さが重要なのです。
脳内で何が起きるのかを想像しながら行動すれば、他人の空気さえ読めれば、エンターテイメントできると思うのです。

これをゲーム感覚でできれば良いのです。
エンターテイメントすること自体が一つのエンターテイメントなのです。

h_kanata at 05:50│Comments(3)TrackBack(1)

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この記事へのコメント

1. Posted by countney-poke   2005年09月28日 18:24
はじめまして、エンターテイメント空間演出家をしておりますポケと申します。

こちらの記事、とても勉強になりました。
>エンターテイメントするとは、人の気持ちを操ることです。
中でも特に、良い刺激を受けました。

もしよろしければ、微力ではありますが、
私のブログでご紹介させていただいてもよろしいでしょうか。

トラックバックを張らせていただいたこと、ご挨拶申し上げます。

また、おじゃまします。
2. Posted by syun   2010年12月14日 17:40
5 ありがとうございます。すごくためになりました。自分がやるべきことがわかりました。自分なりのエンターテイメントをやってみます。
3. Posted by たこのり   2011年06月13日 13:33
素晴らしいです。

楽しませるとは、新たな需要を発見しそれを満たすこと。

この言葉をこれからの座右の銘にしたいと思います。

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