五輪書 (岩波文庫)
五輪書 (岩波文庫)
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読んでみました。
たたかうことが下手くそなぼく,もうすこし戦術というものを学んでみようと。

いかにして相手に勝つか,という具体的な考え方がひとつひとつ書かれてあり,勉強になるんですが,
なんというか,かなり姑息です(笑)。

水の巻,序盤は息の取り方とかタイミングとか,そういうコトを書いてるんですが問題は火の巻。
いかに相手を惑わすか,騙すか,油断させるか,動揺させるか,出ばなをくじくか,など
心理戦術に終始。
これがまた,笑ってしまうほど正々堂々としてないんですね。

内田樹さんの文章の中に
「達人は自分が刀を振り下ろすところに相手の首を差し出させることができる」
という内容がありましたが,
相手の平静を失わせることでより相手の行動を読みやすく操りやすくする,という部分なのかな。

姑息だなとおもったけど文字通りの真剣勝負だったら当然のことかもしれませんね。
正々堂々やっても一瞬不意をつかれるだけで腕や足を切り取られますし,
そうなったらもうやられるだけですから。
死なないことが勝ちだったら,いかにそれを避けるか。
そのために考えられることを全て(自らの体術の習得だけでなく,相手の動きをも読み,操るところを含めて)考え,高度な鍛錬を実行できた武蔵が生き残れたのは当然かも。
自分が傷つかず相手にダメージを与えることに関して,かなり論理的な教科書です。

そんで各項目のさいごに,よくよく吟味すべし,とか鍛錬すべし,ということが書いてあるんですが,
これはきっと文言として理解するだけでなく自らの身体運用として身につけること,
そこに潜むのはどういう原理なのかを考えろということなのかな。


さてこの教科書をどう自分に活かすのか。
人間として,研究者として,生き残るためには何が必要か。
論理的に考えて鍛錬を積まなくては,ということですかね。

しかし,バガボンドの武蔵は終盤で気づいたみたいだけど,
そのことを純粋に好きである,というところは常に忘れずにいたいなあ。