最近読んだ本の続き。




 これも面白かった!たまたま続けて読んだのだけど、「感覚」を信頼した論旨はこないだ紹介した現実脱出論と共通。人間の「感覚」ってすげえんだぜ、ってところがすごーく納得できるところ。ただこっちは動作に伴う感覚を特に扱ってるのが違いかな。
 生身の人間がもつ能力のすごさ。生きることそのものが武術の訓練になるような考え方。二度と戻ってこない「いま、ここ」を、何があっても生ききるための時間や頭の使い方のはなし。内田樹さんや養老孟司さんにも共通するような、生きるということ全体につながるようなおはなしがやっぱり好き。細かく分けて分けて理解してっても生き物全体は分からないよ、って言う福岡伸一さんの考え方とも通じる。
 
 この辺りって、分解して記載してゆく(今の)科学の限界とも通じるような気がする。再現性があるからこそ積み重ねが可能だし、そうやって文明が発達してきたし、その方法に則って僕も研究してきたから、ものごとを伝えるのに科学以上の方法はないってことは骨身にしみて分かってる。でも、その出発点である「記載」にも限界がある。露頭をノートに書き写した瞬間に、切り落とされてしまった情報の方が多いことも、外に出て自然を観察すればすぐ分かる。

 感覚も、言葉にした瞬間に劣化する。例えばすんごい景色に出会ったとして、それをどれだけ緻密に言葉におとしたところで、その景色に触れたときに自分が味わった五感の快感を、読者や聴衆の体内に瞬間的に再現することは原理的にできない。って考えると、言葉を用いて論理的に伝えるっていうのは、感覚を伝える最高の手段ではなさそうだ。じゃあ何がそれをできるのか?ってわからんけどさ。芸術?

 ことばってのは、知識や感覚を伝えるための最善の方法だと思う。でも生身の自分はやっぱりそれだけでは扱いきれない部分を持ってて、ことばと生身の身体との間には隙間があるんだよってのを、この本を読みながら再認識。で、本の中で紹介されてる古武術家の甲野善紀先生は「考えたらダメ」とか言いながらいわゆる科学では説明できない動きを体得されてて、その隙間を埋めてる感じがすごい。youtubeで動画さがしながら悶絶コーフン。

 自分にとって進むべき方向性は、どうやらこっちの方にありそう。ひとまずアレを再開することに決めた。





閉鎖病棟 (新潮文庫)
帚木 蓬生
新潮社
1997-04-25


優しかった。すごく良かった。
僕はこんな風にひとに暖かく接することが全然ないなー、とも。
これは人生の大半を独り身で過ごしている僕の人格的欠陥でもある(笑)。無償の愛を提供したい気持ちもありながら、助けることが相手にとってプラスにならないような気もする。自分ができる限り独りで立とうと努力してるからでもたぶんある。このへんの距離感が、未だにわからん。だから、そんなことを考えなくていい相手、特に犬猫こどもを僕は好きなんだろうなー。








それから、読んだのはけっこう前になるんだけど、これ。すごかった。
多くは言いません、今からの季節にオススメかも。





有川浩すげえ!と思って読みあさってみたけど、ストーリーセラーがいちばんだった。

空の中 (角川文庫)
有川 浩
角川グループパブリッシング
2008-06-25




海の底 (角川文庫)
有川 浩
角川グループパブリッシング
2009-04-25



塩の街 (角川文庫)
有川 浩
角川書店(角川グループパブリッシング)
2010-01-23




つづく〜。