屁々の泡 Tiny Bubbles

ただ個人的な事をしょぼしょぼと記録。 コメントへのレスポンスは遅いです。ごめんなさい。

1980年

◆ユメ
1980年に戻って、故郷の街に居る。黒い服を着た13歳の少女の私がいる。今回は家に帰らないで、繁華街でホステスとして働いて暮らそうと思い立つ。地理も記憶とずいぶん違っている。昔のにぎわいを見せる繁華街には通りに多くのにこやかな女性が勧誘している。お店で働きたいとお願いして、私は中学生だけどいつも大人と見間違われるから大丈夫です。と言いはって、それが以外と好意的に受け止められてパイパー・ローリーが演じているおばさんの家に居候させてもらえることになる。衣装をそろえねば、1980年当時のいろんな常識を思い出さねば、とか色々思い悩んでいるうちに寝坊した。

カラ松

◆ユメ
ギャングの男(カラ松)が主役で、与えられた仕事を何回もはんすうするように繰り返される場面。学校の校長室の隣の応接室に潜入して、ターゲットの男女を学校関係者と思わせて誘い出し、消音器付きの拳銃で射殺して死体をクローゼットに隠す。その後学校関係者を騙して子供を2人連れ出す。その場面が細部のパターンをちょっとずつ変えて何回も予行演習のように繰り返される。ぶじに計画が遂行され、子供2人とギャングの男は旅客機に乗り込んでどこかへ逃げる。でもロシア上空で機体トラブルがあって不時着して、そのまま潜伏生活を送る。極寒の地で、地元の商店主を騙して怪しげな商売をはじめる3人。

◆気持ちが冴えない原因を洗い出すと、相変わらず、いつも通りであることはさいわいだ。

暴力と血と排泄物と猫

◆昨日から今日にかけてみたユメのまとめ

テレビでオリンピックの開催についての会議が行われている様子が映し出されるが、怒りに駆られたトーガを着たギリシャ風の筋肉質の男がいきなり会議の参加者に暴力をふるいはじめる。テレビのナレーターが「大暴れをはじめています。ヘラクレスのようです。」と語るので私の感性と似ているなあと思っているがだんだん凄惨を極めるようになる。血が流れ、皿が顔に突き刺さり、眼球がえぐられている。私はその様子を見て蒼白になり、もうこの国を離れなければと思いはじめる。空港に、夫と四人の子供と帰国のために訪れる。トイレの前で頭の膨れた排泄物まみれの異形の子供が泣いている。そのトイレの中に私の子が全員いるのだと気づいて、彼らの無事をたしかめるために走る。子供らは懸命に汚れたトイレでなんとか身なりを整えようとしている。

場面変わる。どこかの地下の店で、だいぶ飲んで酔っぱらっている。北野武に似たヤクザの幹部に対面で詰め寄られて何かの理由でもうじき命を奪われそうになっているのだが、最後に助けを呼ぶのにどこにでも電話してよいと言われて、電話した先が「おそ松さん」の松野家のあの玄関の黒電話で、やはり誰一人真面目に聞いてくれない。北野武に殺されそうになってるの!って言ってみて、自分でも冗談のようだと思うので、六つ子たちが信じてくれるわけがない。

その後に見たユメ。地下をおりて行く螺旋階段の先がどんどん狭まって体が挟まってしまう。巻貝の先っちょを内側から見たような感じだ。だまりこくった母親といっしょにそこに挟まっている。あたりじゅう緑色だ。

家の猫が座って両手で拍手をしている。あらー、こんな事ができるようになったのねえといいながら、私も手をならすとその数にあわせて拍手をする。でもよく見ると一才半くらいのちいさな人間の女の子なのだ。その子を猫の名前で呼んでいる。

いつのまにか家にあがりこんだキジトラの大きなオス猫がうちの猫といっしょに遊んだりごはんを食べたりしている。どうしよう、このまま飼ってもいいのかなと思案しながら写真を撮ってたら、急に猫耳をつけ毛皮を着た夫に変身して、なんだお前だったのかよと。

ユメ2題

◆両親のもとに居るのだが、ガラスの花瓶を割ってしまい母になじられる。あたらしいのを買うから。と言うが、母は私をなじり続ける。眠っていた夫が急に起きだして「もう家に帰ろう。」という。私はせめてすき焼きをが煮えてから!みんな楽しみにしていたのだから、すき焼きを食べて帰ろう!という。目の前にはすき焼きなべが煮えている。夫はすき焼き鍋にわざと唾を垂らして「これで誰も食べられなくなったから、帰ろう」と言う。私は震えるほど怒って夫をどなりつける。高い和牛だったんだよ!

◆まだ絵の学校を卒業できていない。大きな荷物をかかえて学校の階段をおりている。いったいもう何年留年しているのだ。単位をわざと落として留年を続けているのだろう。じつは、絵を描き続けている事によって自分はまだ学生のように成長している、あらたな学習をしている、発展の余地がある、だからまだ社会に出なくてよいのだと自分で信じようとしているだけなんじゃないのか。と自分で気がつくユメをみた。ユメでよかった。

6つ子人形制作まとめ

39

◆アニメ「おそ松さん」に登場する6つ子兄弟のお人形が全部完成しました。これらはファンアートとして、仕事ではなくて完全に自分のためだけに作ったものです。

一松編 http://blog.livedoor.jp/h_reina/archives/52159024.html

十四松編 http://blog.livedoor.jp/h_reina/archives/52161208.html

◆その後、チョロ松→カラ松→トド松→おそ松の順番で作っていきました。
同じ手順を踏んでも、顔の大きさや髪のバランスがそれぞれ違ってしまって、とくにチョロ松の顔が左右に広がってしまったのが後悔しています。顔のモデリングと、髪の毛つけるところがとにかく力が要るし難しいのです。
27-1


◆白シャツも作りました。
この写真は十四松ですが、チョロ松がパーカーの下にいつも襟付きのシャツを着ているので、
作ってみました。
43

作り方は、昔、市販のパターンでオットに着せる用で人間用のメンズシャツを作ったことがあったので、その時のお手本を参考にしてまたキッチンペーパーを着せながら型紙を作りました。生地がわりとしゃっきりしているので、芯地は省略してあります。ボタンホールもさすがに小さすぎて作れないのでスナップ止めです。
追々、全員にあの一張羅のジャケットとパンツを作って上げたいなあという野望があるんですが、テーラードジャケットはまだ作ったことがないので構造研究のためにまた人間用を作ってからにするかもしれません。

◆靴は、フェルトに芯を貼って形が崩れないようにしています。わりとタイトに作らないとすぐ脱げちゃうので。
kutu


◆なにはともあれ、ちょっと不格好で不満も多いけど、できてみたらとても愛着がわいたので、難しい事に挑戦して頑張った甲斐はあったかなあと思いました。

◆「おそ松さん」放送終わっちゃったけど、半年間とっても楽しかった。登場人物も世界観もみんな好き。ああ楽しかったって思った気持ちがこめられてる。続編もできたらいいなあという期待もこめてこれからも応援していきたいわ。

11


アニメ「おそ松さん」公式



十四松がうまれるまで

◆前回の記事「一松がうまれるまで」のあとに、松野家五男十四松も作りました。

59


◆Twitterを通じて、たくさんの反響をいただきありがとうございました。自分でも作りたいとおっしゃる方が何人かいらしたので、前回書かなかったこともちょっと詳しく書きます。

◆まずやってみたのがこれ
IMG_8989

十四松がいつも口が開きっぱなしなので、オープンマウスにすることにこだわっていたのだけど、顔を形成して行く過程で、実際に開いた口を作ることは(私の技術では)不可能。「じゃあ、描いちゃえば?」という結論に達したわけです。むしろ彼の表情は「顔にくっついている」ようになっているのが正解じゃあないかという気にもなってきました。顔に使う布の余分に、手持ちの絵の具の何種類かで実際に十四松の口を描いてみました。案の定、別の用途で買った「ぺんてる布描き絵の具」が、発色も定着もいちばん優れていました。



◆前回も紹介した、米山マリ先生の本の「すみれちゃん」がベースになっているのですが、基本と変えたところは髪の毛糸を縛るのに、糸では力不足だったので、毛糸の色に染めた造花用ワイヤー#28を用意したこと。
07


それと、ヘアスタイルを安定させるために、整髪料として「ラノリン」を使ってみました。
49

ハンドクリーム代わりに使ってたんだけど、低温になるとバターくらい固くなるのと、羊毛から作った油脂だから、毛糸とも相性がいいかもしれないなと勝手に思ったわけで。くしにちょっとつけて整えてみたらかなりしっとりしていい感じに固まるんだけど、若干ホコリはつきやすくなるみたい。ヘアスプレーを使うっていうのもいいかもしれないけど、顔にかかったら仕上げで顔に塗ったり描いたりする都合上あとあと厄介かもと思ったので二の足をふんだのね。

◆それと、芯にするのに型くずれしにくい布がいいかなと思ってたんだけど、前回選んだ目のつんだレーヨンは針が通りにくくて泣きそうになって、綿シーチングに変えました。

◆あくまで本に忠実にすすめてたんだけど、顔は赤塚キャラっぽさを出すために下膨れぎみに調節しました。髪で隠れる部分が「すみれちゃん」より少ないので、顔布は本より一回り大きくして、頭には顔布を張ってから髪のボリュームを出すために綿を追加しました。(様子見ながらのっけて糸を数回渡す。)
03

↑髪をどこまで広げるかは顔布に直接描いてます。

あと、詰め物は必ずセオリー通りの材料を使ったほうがいいです。カッチリ成形しないと顔の形ができないです。脱脂綿と木のパッキング。手芸店にはないけど、それぞれドラッグストアとセリアで売ってます。

◆六つ子の髪型は、ほかにもうまい方法はあるのだろうけど私はこんな構造にしてみました。
16

後ろ髪を貼ってから、前髪を貼りました。両方とも中細の毛糸が600本の束です。耳の上のサイドの毛の下に、さらに綿をちょっと詰めてふくらみを出すといいと思います。
毛束は本などの丈夫なものに300回数えて巻き付けて、ワイヤーですぼめて作ります、
55


◆髪をはりつけてる途中はこんな感じです。
45

顔は何回も消えるチャコペンで描いては消しします。髪はこの段階では女の子みたいだけど耳をつけてサイドの毛をカットすると六つ子の頭になります。頭のてっぺんでとめた前髪をまとめるワイヤーの端を切らないでおけば、「アホ毛」の芯になります。(あとでくっつけても大丈夫です。)

◆靴下は100均のスポーツ靴下の上のほうを小さい靴下の形に切り抜いて、ニット用の糸で縫い合わせて作ってみました。
45

55

残った部分でブリーフを作りました。…なんかゴワゴワして、なんというかモッコリになってしまったので次作る時は普通のニット地にしようと思います。っていうか公式が白ブリーフなのほんと困る。身近にブリーフ派が居ないのでおばちゃん男性下着売り場でじっくり構造研究するしかなかったよ。

眉毛は口と同じく絵の具で描いてます。服は一松と同じ型紙で、袖だけ延ばしてます。
52


◆六つ子の残りの兄弟は…「おそ松さん」の放送も終わっちゃうことだし、いつかみんな作れたらいいなあと思っています。

私自身お人形作りは見よう見まねのトーシローなのですが、もしここをもうちょっと詳しく聞きたい、みたいなことがあったらお気軽に質問をください。ほかにおそ松さん人形を作っていらっしゃる方からのご感想もよかったらぜひ聞いてみたいです。







一松がうまれるまで

一松(アニメ「おそ松さん」のキャラクター)のお人形を作ってみたので工程をご紹介します。
08-1


◆どうして一松を選んだのか。
六つ子の中で一番お人形っぽいのは十四松だと思ったけど、オープンマウスっていうのはとにかく荷が重い。今までぬいぐるみを作ってきたけど、口があいてるというだけで工程がもーのすごく増える。あとあのピチっとした丸みのある髪型。あれをどう再現しようと。布で立体化しようかほんとうに毛にしようかと悩んだ末、毛糸を選んだんだけど、ボサボサしたかんじの一松だったらなんとかなるんじゃないかと思ったわけです。でも一番の理由は、一松がどうしても好きだという事かもしれない。ほんとは十四松みたいな馬鹿で元気なモンスターが好きなんだけど、活気がなくて自己評価が低くて人見知りっていう。なんか、自分の人生を振り返ってみると折々で一松みたいな人がくりかえしあらわれるので、どうしても縁を感じる。次点がカラ松、理由は可哀相だから。


◆洋服をちゃんと着脱できる、髪があって肌があるお人形にしてみたいと思って、これは、たいていどこの家にもひとつある、親戚のおばさんが作って送ってくるはっきり言って迷惑な(かわいいけど正直なんだかもっさいしかさばるし壊れやすいし洗えないし捨てたら呪われそうだし)「メルヘン人形」の出番ではないかと。でもこれ、昔うちのおかんが挑戦してあまりの難しさにキーっとなったやつだ…ぬいぐるみはいっぱい作ってきたけど、この手のははじめて。不安だな。
20-1




◆で、用意したもの
54-2

トレペ、工作用紙、不織布、

01-1

ニット布、芯材用の化繊の布、ちりめん、糸、リボン…
今回はじめて、日暮里繊維街にも行ってみました。布はだいたいクリアできました。

16-1

木綿、これはテディベア作ってた時にストックしてあった。


01-1

脱脂綿。うむ、いろいろ想像力をかき立てられるパッケージ。それと写真はないけど、髪の毛用に純毛毛糸の中細を6かせくらい。色はこげ茶にした。

18-1



◆本を読んでたらこれ、なめプしたらあかんやつや、本来はカルチャーとかで習わないとできないやつだ。と気がついて震えて、セオリー通りに進めることにした。写真や説明がかんたん過ぎてさっぱりわからない。とりあえず、型紙を本からトレスして、工作用紙に貼って、切り抜く。
14-1


でも、なんだか顔さえできたらあとはなんとかなりそうな気もする
頭の芯に脱脂綿でモデリングしていく。
08-1


20-1

顔のニットを延ばしていく。テントを張っていくかんじ。「未来世紀ブラジル」で見たやつだ。

28-1

毛糸を接着、前髪と後ろ髪を別々に作った。ここからは本に載ってない。本はふわふわした服の髪の長い女の子をゴールにしているので、よくよく気をつけて進めないと、無気力ニートにたどりつけない。

シルエットが気に入らないので、ここまで全部やり直すことになった。

◆二日め、
51-1

モデリングやり直し。クレヨンしんちゃんか。

15-1

髪の毛増やした。後ろ600本、前600本。耳を作った。美容整形みたいに、耳の後ろに顔のしわを寄せ集めて止め直した。しかし、どうしてもしわが消えない。髪の毛を作る毛糸自体のボリュームで頭の形ができていく。ブワブワしてて怖い。

25-1

目。型紙を作って、不織布を切り抜いて、縮緬を接着。ちょっとツヤがあってきれい。黒目はフェルト。この上にまぶたを貼るので、微妙な立体感がほしかった。

44-1

体を作る。手足はジョイントにしようかとも思ったけど、足を前に投げ出して座るようにするには、ブラブラに作ったほうがいい。自立なんかしなくていいんだ。

39-1

裸、なんだかひじょうに心が乱れる。落ち着かない。

手足の先は、テディベア作った要領で刺繍糸を渡して指ってことにした。あまり精巧にするとそれだけ別の部分のアラが目立つと思う。全体のリアリティの平均値が崩れないようにしないといけない。
ほっぺと手足の先にパステルを粉にしたものを筆でぼかしながらつける。ベージュとオレンジの2色使い。今回は肌のベースの色はあまり血色のよくないベージュ色なので、部分で血色を足してみたら、かなり人間っぽい感じがでてきた。

「メルヘン人形」にはじめて触れて、結構すごいなあと思った。モデリングしていく感覚が、普通に三次元のぬいぐるみを作っていく感じと全然違う。芯があって、表層に足して行くタイプの彫刻的な「お人形作り」とも違う。素材を統合してく過程で束ねて量感を作って行くっていうか。「造花」に近い感覚なのかも。侮りがたし!

40-1

パンツを大急ぎで作って穿かせる。もう脱がない。

06-1

トレパンもちゃちゃっと作る。こういうのは慣れてるからひじょうにらくちん。横にはサテンのリボンをぬいつけた。アホ毛は造花ワイヤーに毛糸を巻いて、接着剤をつけて頭に刺してある。目がなんか非常に不満があったので、白目と黒目の間を青の色鉛筆でぼかしながら線を入れてみた。表情が生きてきた。

◆翌日、注文してあったパーカー用の布がまだ届かないので、おおきなカニを見に行った。
33-1

(サンシャイン水族館)

◆翌日、パーカーにするための布が届いた。
03-1

家にあるパーカーの構造を調べて、キッチンペーパーを切りながら人形に着せていって、型紙を作る。紫のニット、失敗した時用の余分を計算してなかった。失敗できない…。

06-1

着脱できるようにしたかったので、後ろでスナップ止め。フードも片側はスナップで襟の内側にとまるようになっている。縫い代はピンキングハサミで切りっぱなし。見えないところは、適当で大丈夫。

◆できた。
12

…かわいい。でも大人には見えないね。

29-1

マスクも作った。

39-1

ちゃんとフードをかぶれるようにしたかったので、

22-1

頭がでかいのでフードがこんなに長い。折り曲げておけば無問題。

30-1

猫は寄ってくる。猫も作ろうかなと思ったけどまあいいかと思う。

07

猫にモテモテでうれしそうだけど。本当は頭の天然ウールの毛糸を狙っているので安心できない。

おわり。実労日数3日間。誰にもあげない。うちの子だ。そのうち着替えも作ろうかと思う。スーツとか、ツナギとかかな。

…きょうだいを作る可能性は、今のところない。忙しいし。型紙は保存してるし、もしも4月以降も放送が続くようだったら作るかもね。






風邪をひいている

◆風邪をひいて6日めで、まだ熱が下がらない、といっても37.1℃から37.6℃の間をいったり来たりしているだけで、インフルエンザほどはかばかしく上がったりもしない。喉と鼻がずっと調子悪くて、軽い頭痛が延々と続いている。グーグルで風邪が長引く場合、と調べようにも、「風邪が一ヶ月も治らなかったら別の病気を疑うべきです」とかいう結果ばかりで、1週間足らずならまだ長引く風邪のうちには入らないようなのだ。今朝はふるさとの家にいた。親兄弟やその子どもたちが集まっているが、私は風邪で寝ている。母は、最近は頭の白いカラスばかりが集まってくるという。窓べには色とりどりの、蛾とか、蛾なのか小鳥なのかわからない鮮やかな色の毛に覆われた可愛いちいさな生き物が飛び回っている。ふと見ると窓の外には巨大なフクロウのぬいぐるみのような鳥が木にとまってこちらを見ている。頭は白く、片目はオレンジ色で、片目は黄色。ぬいぐるみなのか生き物なのかもよくわからないが羽根はたしかにカラスだ。

この話には前段があって、私は17歳だった。17歳にまた戻れたという喜びがあるが、果たして今、17歳を謳歌する力と知識が私にあるのだろうかと不安な気持ちにもなる。ふるさとの街の中を歩いている。地下鉄駅を一つぶんくらいを歩いてみようと思ったがすっかり道に迷った。ビルの壁の一部が虫の巣のような構造になっている。これは誰が作ったのだろうと思う。道に重い学校かばんを放り出す。持ち物がなくなって手ぶらになった。定期券も放り出してしまったのでもう地下鉄にも乗れない。というか地下鉄駅の出入り口はゴミ運搬車の投入口のように真っ黒で人をすりつぶす歯車が回っている。多くの人がそこから平気な顔で出たり入ったりしている。恐ろしい。

そして、気がつくとふるさとの家の中でソファに風邪をひいて寝ていたわけなのだけど、妹と、弟が交互に出てきて、私に仕事の話をもちかけてきた。図面を広げて、何か解説をしようとしているのだが、二人とも言う事がとりとめがなくて、要領を得ない。図面に描いてある絵や文字も、判然としない。こういうことか、と推測しようとするとそのとたん混沌としたものに変わってしまう。私はぴんときた。おまえたち、しっかり要点を話しなさい。さては、またしても、ユメだね。そうすると妹と弟は顔を見合わせてニヤニヤする。妹は、床に寝転んでゴロゴロと転がると、私の娘に姿を変えた。母のほうを見る。お母さん、あなたもユメだね。というか、皆、ぶっちゃけ、「私」なんだよね。と言うと部屋は一転真っ暗になり、母は頭をはげしく振るわせる恐ろしいダンスを踊りはじめる。やめようよそういうの、と言う。中味がまったく無いことじゃないか。ちょっと悲しい気持ちになる。どうしてちゃんと話ができないのだろう。どうして皆、真実をごまかそうとするのだろう。また、リビングの窓に目をやると、鮮やかな緑のツタがからまり、さきほど見た色とりどりの小さな鳥のような蛾のようなものたちは昆虫標本のように壁にピン留めされている。実際の今は無い実家に空想ででっちあげた空間が延長されている。夏も冬も夜も昼も同じ時間にある。いい家だよね。私はこの「ふるさとの家」を忘れないよ。また来るよ。と言い、3階への階段をのぼる。ちょっとバルコニーから飛び降り自殺してきます。と言いバルコニーに通じるドアをあけると一面に雪がつもっているのに庭にはアカシアの花が咲き乱れている。空は真っ青だ。目を覚まそうと思ってバルコニーから飛び降りてみたらバラを冬がこいしていた竹竿が一斉に体に突き刺さった。しまった飛び降り自殺じゃなくて、飛び上がって宙を飛んでくる、と宣言すればよかったのだ。

世の中のどこにどういう格好をして

◆久しぶりに年賀状におそろしく手間ひまをかけた。3日くらい4時間睡眠が続き、おかげで今年はクリスマスケーキは作れなかった。慣れない技術に挑戦したので、まったく満足のいく出来上がりではなかったけど、努力はしたし、努力のあとだけはうかがえるできになったと思う。はがき一枚一枚に添え書きをして、宛名ラベルを貼っているうちに、これら知っている人たち一人一人に、「こんな私でごめんなさい。ごめんなさい、ゆるしてください。」と繰り返し詫びるような気持ちをおさえることができなくなってきた。いったいかなり長く生きているような気がしているが、どうして今もって、こんなにも、世の中のどこにどういう格好をして立っていていいのかわからない気分ばかりが続くのだろうと思う。身近な人にも、遠くの世間に対しても、「すまねえ、すまねえ、生きていて申し訳ない…」という言葉ばかりが出てくる。
 そりゃあ、初対面の人に、私はどこに住んでいて、何をしている人だという自己紹介はまずまず出来る。しかし、次の瞬間にはそれもいちいち、「ただし偽物の」あるいは「不完全な」というつけ足しを汗をかきながらしていなくてはいけない気持ちになる。他人のことを見下すという事はできない。生き延びて大人になっている人を見ると、だれしも私よりはずっとずっとまともに、しっかりと生きているようにしか見えない。年賀状を汗をかき莫大なお金と時間をかけてこさえてみたところで、それがどんな意味があるんだろう。届いた人はただほんのちょっとの間、私の名前や存在を思い出すんだろう。でもそれを考えるたびに同時にワーっと叫んで世の中から全力疾走して消えて行ってしまいたくなる。
 人の手助けや、勇気づけがあってここまで生きてこられた。みんなありがとう。でも、みんなの期待通りの人には、ついにはなれなかった。りっぱな教育をうけて、いいものを食べてきた。でも立派な人間になれなかった。私はとても恥ずかしい。何をどう間違ったのだろう。間違っている気がするのに何が間違っているのかどうして自分でもわからないのだろう。あるいは気がつかないふりをしているだけなのだろうか。なぜ、何もかもが、足りなくて不完全で偽物な感じがするのだろう。このまま死ぬまでこんななんだろうか。
 そして、知り合いの皆様は実は私のことなんかさして気にもとめていないのだという現実にも、いつのまにかすっかり納得している。

水槽

◆ユメ(ダフト・パンクの『Randam Access Memories』を聞いていた。)
壁に等間隔で気持ち悪い虫がとまっている。こんな季節に大発生か。なんとかしなければいけない。暗い玄関ホールの、長年ほうったらかしの水槽の中にはディスカスと、グリーンネオンと、キッシンググラミィの顔をした改造種のエンゼルと、何か大きなピンク色の古代魚が窮屈そうにただよっている。美しい。その隙間を小さなツメガエルたちが泳いでいる。変種のツメガエルたちで、個々に個性的な模様を持っている。水玉模様、水着の模様、赤と青、トマト色。時々水槽の中から逃げ出してきてそのあたりを這い回るので、指でつまんでは水中にもどしてやらなきゃいけない。私の口の中にもカエルが一匹入っていた。水に戻すとしばらくはじっと浮かんでいるだけだったが、なんとかまた泳ぎだした。私も、水槽のまわりをぐるぐるまわって、空中をただよっている。


reina_hをフォローしましょう
記事検索
Recent Comments
Recent TrackBacks
Archives
Profile
お仕事