コストとプライス物欲肥ゆる冬

2009年01月07日

締め切り効果

あるいは学生症候群とも言えます。

例えば夏休みの宿題は最終日になるまでやらないとか、プロジェクトには十分な期間を用意したにも関わらず本気になったのが納期直前で結局納期オーバーなどというのは、割とよくある話です。実は社会的なことについても同様なのではないかと感じています。

年末、結構な数の会社が越年を断念して倒産・廃業をしたようです。近所でも今までトラックが何台も行き来していた会社さんがもぬけの殻になってたりします。今年に入ってからこのブログに書く内容も少し趣が変化していますが、それは明らかな変化を実感しているからで、去年と今年は全然違うと感じるのです。

去年までは「このままではやばい、危険だ」などと言われ続けてきても、それでもどこかで破滅はまだ先のことのようにぼんやりと思っているというのが世情だったように感じます。それは私が1989年の大学3回生だったときに「これはおかしい」と感じて中退して社会人になったときに似ています。その後景気が一気に悪化して後に89年当時はバブルと呼ばれることになるのですが、そのただ中にいたときには「これは続かないんじゃないの?」などと危機感を持っている人はいても、切迫感は小さかった時期です。私が「今のうちに社会に出た方が安全な気がする」などと言っても、友人には理解してもらえませんでした。まぁ論理的な説明が出来ない感覚的なモノでしたから、理解されなくても当然ではあります。

さて、ところが年末を越えて新年を迎えた今、明らかにモードが変わっています。目の前に締め切りが来たような逼迫感を持つ人が一気に増えたように思えるのです。もちろんバブル崩壊とされてから数年ほどは「自分はまだ大丈夫」と感じていた人も多くいましたから、今回も「そうはいっても春先までには回復するだろう」という人もまだ多いとは思います。比較的ゆとりのある人はまだ自分の生活が一変するとは思ってなくても当然かもしれません。

これは単に8月31日という締め切りに対して、今日は「もう」29日だと感じる人と「まだ」29日だと感じる人の差、という程度に過ぎないように思えてきています。いずれにしても残り僅かではある、カウントダウンに入った、という「気配」を根拠はなくても感じている人が一気に増えたように思えるのです。

この空気感は間違いなく世の中の頭上に重しとなってのしかかってきます。そしてそれは、今まで先送りにしてきたこと、あるいは見て見ぬ振りをしてきたことに対してケリをつけなければならないという雰囲気を醸成していくほうにつながっていくのではないかと思ったりします。

ここが実は世紀の節目なのかもしれません。00年代は20世紀の尻尾でありその終わりは今年から始まり(既に数年前から始まってたのかも)数年かけて21世紀に切り替わっていくのかもしれません。主力産業の急激な凋落ぶり、あるいはメッキのはげ落ち方は妙に象徴的に感じるのです。先日、買わない時代ということを書きました。21世紀になるというのは、そういうことなのかもしれません。単に生活防衛のために一時的に買うのを控えるのではなく、歴史上かつて無いほどにモノが溢れかえってしまった今という時代においては、買わされる事への嫌悪感が表出するのかもしれません。あるいは買わないことがステータスにすらなっていくのかもしれません。買えないのではなく買わない。「いらない」と表明することの潔さが心地良いとされていくのかもしれません。

個人的には2011年になってようやく底を打ち、2012年くらいから見通しの明るさを実感出来るようになるのではないかと感じています。数字にはねてくるのは2013年以降ではないかと感じています。それまでは一時的に良くなるような感じがしても、膿が出きってない状態であって、すぐに反動が来て再び落ちるように思えます。そうはなって欲しくないですし何の根拠もなく89年当時同様に皮膚感覚だけで思っているので何ら主張するものではないのですが、それくらいの覚悟を持って事に当たる必要があるのだろうと、会社経営をする身としては慄然としています。

締め切りが来たら否が応でも根本的に改めなければならない事態になります。そのときに慌てずに済むように今から徹底的に諸事に取り組むことを改めて決意する次第です。

habuakihiro at 08:04│TrackBack(1) 仕事 | 人生このエントリーを含むはてなブックマーク

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