INUGAMIKE NO ICHIZOKU
1[劇場観賞/MOVIX亀有]
公式サイト
2006年日本
八ちゃんの降水確率:5%
八ちゃんの満足度:★★★★
八ちゃんの評価:★★★★
金田一さん、事件ですよ―
蓮佛美沙子はどこだ〜。どこに出ているぅ〜〜。
おお、犬神家の女中かぁ〜。もっと大きく写せよ〜。
と言う事で、新年1発目は、昨年随分お世話になったMOVIX亀有で犬神家の一族を。正月そうそう、やっぱ観に来る人いっぱいいるんですなぁ〜。ガラガラには違いないけど…。
リメイクというより…
MOVIXはご存知松竹系なんだけど、この日流れた予告編はすべて東宝映画(笑)。そう言えば前にもそんなことがありましたっけ。今年もMOVIXにはお世話になるかなぁ〜、とか思ったけど、TOHOシネマズのフリーパス目当てに、少し観賞回数は減るかな…
新作気分で楽しもうと思ったのですが、リメイクというよりリバイバルを観ているような不思議な感覚でした。
新解釈とか斬新に作り直してもいいと思うのですが、あまりに忠実すぎます。そう、原作の持つイメージだけでなく、オリジナルの雰囲気そのものです。
あの間、あの色彩、あの哀愁…
映画を観ていて忘れていた事が次々と思い出されます。ああ、スケキヨはあの子供だった、3姉妹に暴行されていた…
スケキヨが入れ替わっていた事や、ラスト、長女の服毒自殺だけはしっかり覚えていたのですが、入れ替わったニセスケキヨって誰だっけ?どんな風に絡んでくるかまでは覚えてなかったんだよねぇ。
次の場面・展開が順々に思い出して、わかってくると言うのは、ある種不思議な体験です。その次までは思い出せないんですよ。ああ、あの犬神佐兵衛が女工に生ませた子供だったんだ、で、女工(青沼菊乃)が暴行を受け、その復讐に絡んでくるのです。
日本のミステリー作家の第1人者である横溝正史の傑作のひとつであり、いろいろな作品に登場する私立探偵金田一耕助をキャラクターとしては、日本でもっとも有名にしたのがこの作品でもあります。
これまでの制作=配給会社一辺倒だった日本の大手映画製作において新たに「制作会社」が大きな力を持ち、話題性の提供と関連商品の販促が調和した新しいスタイルを作ったのが角川映画でした。出版社でありながら、その新展開した事業は映画単独での成功だかではなく、書籍の大幅な売り上げ増を達成しました。必ず○○フェアと題して作家をフィーチャーしたキャンペーンが行われ、結果他の作品も売り上げを増します。
角川映画はその後の成功をも手にします。「蘇える金狼」・「戦国自衛隊」・「復活の日」などの大作を次々に発表。権利とマネージメントを管理する角川春樹事務所は、薬師丸ひろこや原田知世などのタレントを輩出。「セーラー服と機関銃」・「狙われた学園」・「時をかける少女」など若者向けの作品でも成功を収めます。
角川春樹の麻薬所持における逮捕劇で一時は事業を縮小する事になるのですが、日本ヘラルドと合併した角川映画は復活。角川映画の30周年を記念して作られたのが、このリメイク版犬神家の一族なのです。
練りに練った原作の展開は「手に汗を握る」というより、実に巧みでまるで織物の糸をほぐすような感じです。
製薬会社で一財産を得た犬神家の主佐兵衛の死去により、莫大な遺産の相続をめぐっての一族の争いと惨事を描いて、その真相を突き止めるために探偵金田一が活躍する、そんな話のように見えます。
ところが、運命の糸はあまりにも複雑に絡み合っていたのでした。相続者は、3姉妹の子供のいずれかの結婚を条件に恩人の孫娘野々宮珠世にすべて譲ると記されていたのです。それが不可能な場合は3人の孫に1/5ずつ均等に、残りの2/5は青沼菊乃に譲ると言うのです。もちろん三姉妹は不服です。
当然、血肉の争いが展開し、悲劇は起こります。
しかしながら、予想とは裏腹に話が進んでいきます。戦地から帰ってきた長女松子の息子スケキヨは偽者だったと言うこと。実は佐兵衛が女工に生ませた子供だったのです。うらみを晴らすために入れ替わり、彼が本当の犯人と思いきや…
金田一耕助はさほど活躍しません。むしろ渦中にまんまと巻き込まれていきます。あたかも傍観者のように。そしてその糸をほぐし、事件を最後の最後に解明するのです。
やっぱり面白い!
いやぁ、面白かったですよ。すでに書いたようにリメイクを観ていると言うより、まるでリバイバル観賞です。それがいいか悪いかは人それぞれで賛否両論でしょうけど、こういったミステリー映画を楽しむエッセンスはそのままですし、見事に含まれています。
まさしく邦画そのもの、といった感じで、一世を風靡した「角川映画」そのものです。
好き嫌いが分かれるでしょうが、ゆったりとした展開、観るものを離さず、予想を裏切る展開は、観るものも一緒に推理すると言うようなスタイルではなく、黙って観てて、といった感じで、主人公の金田一耕助の活躍を楽しんでしまうという傍観のスタイルです。
大物の女優が肩を並べる中、富司純子の存在感、さすがです。
蓮佛美沙子って誰だよ〜、とかお思いでしょうが…
今年期待の新人バッテリー・転校生のヒロインします。
〔追記〕
次の日、市川崑物語を観ました。これによって、なぜ、あんなにもこの犬神家の一族がオリジナルに忠実にリメイクされているのかを理解出来たような気がします。
紛れもなく、これはこれまで作り続けてきた一貫した市川ワールドの集大成でもあるのです。
犬神家の一族
監督:市川崑
製作:黒井和男
製作統括:信国一朗、榎本和友、井上雅博
プロデューサー:一瀬隆重
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生
音楽:谷川賢作、大野雄二
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、螢雪次朗、永澤俊矢、石倉三郎、尾藤イサオ、嶋田豪、三條美紀、松本美奈子、林家木久蔵、三谷幸喜 、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢
制作:「犬神家の一族」製作委員会
配給:東宝
1[劇場観賞/MOVIX亀有]
公式サイト
2006年日本
八ちゃんの降水確率:5%
八ちゃんの満足度:★★★★
八ちゃんの評価:★★★★
金田一さん、事件ですよ―
蓮佛美沙子はどこだ〜。どこに出ているぅ〜〜。
おお、犬神家の女中かぁ〜。もっと大きく写せよ〜。
と言う事で、新年1発目は、昨年随分お世話になったMOVIX亀有で犬神家の一族を。正月そうそう、やっぱ観に来る人いっぱいいるんですなぁ〜。ガラガラには違いないけど…。
リメイクというより…
MOVIXはご存知松竹系なんだけど、この日流れた予告編はすべて東宝映画(笑)。そう言えば前にもそんなことがありましたっけ。今年もMOVIXにはお世話になるかなぁ〜、とか思ったけど、TOHOシネマズのフリーパス目当てに、少し観賞回数は減るかな…
新作気分で楽しもうと思ったのですが、リメイクというよりリバイバルを観ているような不思議な感覚でした。
新解釈とか斬新に作り直してもいいと思うのですが、あまりに忠実すぎます。そう、原作の持つイメージだけでなく、オリジナルの雰囲気そのものです。
あの間、あの色彩、あの哀愁…
映画を観ていて忘れていた事が次々と思い出されます。ああ、スケキヨはあの子供だった、3姉妹に暴行されていた…
スケキヨが入れ替わっていた事や、ラスト、長女の服毒自殺だけはしっかり覚えていたのですが、入れ替わったニセスケキヨって誰だっけ?どんな風に絡んでくるかまでは覚えてなかったんだよねぇ。
次の場面・展開が順々に思い出して、わかってくると言うのは、ある種不思議な体験です。その次までは思い出せないんですよ。ああ、あの犬神佐兵衛が女工に生ませた子供だったんだ、で、女工(青沼菊乃)が暴行を受け、その復讐に絡んでくるのです。
日本のミステリー作家の第1人者である横溝正史の傑作のひとつであり、いろいろな作品に登場する私立探偵金田一耕助をキャラクターとしては、日本でもっとも有名にしたのがこの作品でもあります。
これまでの制作=配給会社一辺倒だった日本の大手映画製作において新たに「制作会社」が大きな力を持ち、話題性の提供と関連商品の販促が調和した新しいスタイルを作ったのが角川映画でした。出版社でありながら、その新展開した事業は映画単独での成功だかではなく、書籍の大幅な売り上げ増を達成しました。必ず○○フェアと題して作家をフィーチャーしたキャンペーンが行われ、結果他の作品も売り上げを増します。
角川映画はその後の成功をも手にします。「蘇える金狼」・「戦国自衛隊」・「復活の日」などの大作を次々に発表。権利とマネージメントを管理する角川春樹事務所は、薬師丸ひろこや原田知世などのタレントを輩出。「セーラー服と機関銃」・「狙われた学園」・「時をかける少女」など若者向けの作品でも成功を収めます。
角川春樹の麻薬所持における逮捕劇で一時は事業を縮小する事になるのですが、日本ヘラルドと合併した角川映画は復活。角川映画の30周年を記念して作られたのが、このリメイク版犬神家の一族なのです。
練りに練った原作の展開は「手に汗を握る」というより、実に巧みでまるで織物の糸をほぐすような感じです。
製薬会社で一財産を得た犬神家の主佐兵衛の死去により、莫大な遺産の相続をめぐっての一族の争いと惨事を描いて、その真相を突き止めるために探偵金田一が活躍する、そんな話のように見えます。
ところが、運命の糸はあまりにも複雑に絡み合っていたのでした。相続者は、3姉妹の子供のいずれかの結婚を条件に恩人の孫娘野々宮珠世にすべて譲ると記されていたのです。それが不可能な場合は3人の孫に1/5ずつ均等に、残りの2/5は青沼菊乃に譲ると言うのです。もちろん三姉妹は不服です。
当然、血肉の争いが展開し、悲劇は起こります。
しかしながら、予想とは裏腹に話が進んでいきます。戦地から帰ってきた長女松子の息子スケキヨは偽者だったと言うこと。実は佐兵衛が女工に生ませた子供だったのです。うらみを晴らすために入れ替わり、彼が本当の犯人と思いきや…
金田一耕助はさほど活躍しません。むしろ渦中にまんまと巻き込まれていきます。あたかも傍観者のように。そしてその糸をほぐし、事件を最後の最後に解明するのです。
やっぱり面白い!
いやぁ、面白かったですよ。すでに書いたようにリメイクを観ていると言うより、まるでリバイバル観賞です。それがいいか悪いかは人それぞれで賛否両論でしょうけど、こういったミステリー映画を楽しむエッセンスはそのままですし、見事に含まれています。
まさしく邦画そのもの、といった感じで、一世を風靡した「角川映画」そのものです。
好き嫌いが分かれるでしょうが、ゆったりとした展開、観るものを離さず、予想を裏切る展開は、観るものも一緒に推理すると言うようなスタイルではなく、黙って観てて、といった感じで、主人公の金田一耕助の活躍を楽しんでしまうという傍観のスタイルです。
大物の女優が肩を並べる中、富司純子の存在感、さすがです。
蓮佛美沙子って誰だよ〜、とかお思いでしょうが…
今年期待の新人バッテリー・転校生のヒロインします。
〔追記〕
次の日、市川崑物語を観ました。これによって、なぜ、あんなにもこの犬神家の一族がオリジナルに忠実にリメイクされているのかを理解出来たような気がします。
紛れもなく、これはこれまで作り続けてきた一貫した市川ワールドの集大成でもあるのです。
犬神家の一族
監督:市川崑
製作:黒井和男
製作統括:信国一朗、榎本和友、井上雅博
プロデューサー:一瀬隆重
脚本:市川崑、日高真也、長田紀生
音楽:谷川賢作、大野雄二
出演:石坂浩二、松嶋菜々子、尾上菊之助、富司純子、松坂慶子、萬田久子、葛山信吾、池内万作、螢雪次朗、永澤俊矢、石倉三郎、尾藤イサオ、嶋田豪、三條美紀、松本美奈子、林家木久蔵、三谷幸喜 、深田恭子、奥菜恵、岸部一徳、大滝秀治、草笛光子、中村玉緒、加藤武、中村敦夫、仲代達矢
制作:「犬神家の一族」製作委員会
配給:東宝
リメイクというよりはリバイバル・・・本当にそんな感じでしたよね。
昔見たときよりも怖くなくなっていたのはこちらの気の持ちようでしょうか?
今年もよろしくお願いいたします。