MOVIE REVEIWRainbow Song
[劇場観賞/MOVIX亀有]
公式サイト

虹の女神2006年日本
八ちゃんの降水確率:80%
八ちゃんの満足度:★★★★★+
八ちゃんの評価:★★★★★

近くにいたのに。

幸福のスイッチも早く観たいのですが、こちらが先になってしまいました。毎度のレイトショーだが、何と自分を含めて4人!MOVIX観賞史上最小ぢゃ!
というか、期待値を低めに設定していたのだが、結果は個人的に大満足!ちょっとマニアックなファンに受けそうな気がするが、声を大にして言う(文字の大きさはそのままだが…)
こういう映画が大好きだ!
八ちゃんの感想
本年度、邦画ナンバーワン!
ケータイの画面を泣きながら見つめる、電源が落ちてそのままエンディングだなんて…切なすぎるなぁ〜


あの鬼才と呼ばれ人気を誇るリリイ・シュシュのすべて岩井俊二がプロデュース、ニライカナイからの手紙の熊沢尚人が監督した青春映画。二人の感性が見事に調和し、今秋の一連の青春映画の中では群を抜いての出来栄えになっています。もちろん沢尻エリカや宮崎あおいのネームバリューにはかないません。直接動員数に結びついてしまいますが、もしブレイクした「のだめ」の後に公開していたらもう少し動員が伸びたかも知れません。
すでに岩井俊二から賞賛されている市原隼人も「大人になって磨きがかかった」と太鼓判。しかも相手役が役者として成長してきている上野樹里、その他の脇役も人気・アイドル度にとらわれないメンバーばかりで、作品の雰囲気を大切にしている事が感じられます。

主人公岸田はあおいの紹介で制作会社に勤めるようになりますが、下っ端で体育会系のノリについていけず、辞めようと思ったこともあるくらいですが、アメリカでがんばるというあおいとの誓いじみた事だけで続けていました。そこへ突然飛行機事故でのあおいの訃報が届きます。あおいの両親を空港に送り届けた帰り、岸田はこれまでの事を思い出していくのでした。
時空列を振り返る形で、最初に現在、続いて出会いから別れまでを描き、現在に戻り、ラストを迎えます。
最初に「死」を扱うため、悲しみを途中から引っ張っていくような「どうぞ泣いてください映画」になっていません。それがいいところでもあり、青春映画という感じを大切にしているように思えます。この映画は死の悲しみを謳ったものではなく、青春時代のほろ苦い思い出、切なさを描いているのです。

上野樹里はコメディエンヌとしての評価はすでに得ています。シリアスな作品はどうか…今度の課題かも知れませんが(少なくてもそう思った)、決してコメディでなくとも彼女のキャラクターが自然に生かされていて生き生きしています。この映画のバランスを損なうようなコメディな演出はなし、とてもリアルなのです。本当にいい役者になってきたと感じます。
好きな人がいるのに自分からは言い出せない、積極的な女の子とは正反対の、だけれどもよくあるような普通の若い女性を見事に表現しています。まぁ、こういう役だから似合うのだろうけど、観ていて後押ししたくなるような、歯がゆさと切なさを見る側にどんどん伝えてくるのです。
観ていてわかるように、彼女の大学時代の生き生きした描画とは違い、就職後はさほど元気を感じさせません。その対比、演じ分けも見事です。彼女(あおい)がはっきり主人公智也を好きになっている事を悟り、それを言えず、気づいてももらえない、というもんもんとした月日を送っているからです。あおいが社会人にかってから、おちゃらけてプロポーズしたシーンで「なんなんだよ〜」と思いっきり怒るシーン、屋上でアメリカへ渡る事を告げて、「近くじゃないんだ…」って泣きそうになるのをこらえるシーン。ほんと、樹里ちゃんの演技に胸が詰まる思いでした。

智也の市原隼人も凄く見直しました。正直天使の卵の彼は個人的には受け付けなかったが、これはとても自然。鈍感で不器用、普通の男の子を自然に演じています。智也は鈍感なのか?
今まで頭のテッペンから爪先までピーンとこなければ「好き」に発展しなかった、全く別のパターンを想像もしていなかったんでしょう。いつもそばにいる存在。それでも、今まで通り茶化してしまいます。「相性はいいと思うんだけどなぁ。女を感じない。」
ブレイク中の蒼井優にいたっては、出番こそ少ないが、存在感は格別。この役のために自分自身で盲目の少女をリサーチしたというから驚きです。
相田翔子のエピソードはいらない、という人もいるみたいだけど、あれはあれで、智也の流されやすい性格と、優しさを表しています。優しいくせして優柔不断でまわりの空気が読めず、もったいない人生を送りそう。でも「出てってくれ」って言ったところは、ちとかっこ良い。あれがきっかけでアメリカに旅だったあおいを思い出し、電話してみようと考えたわけですから。

劇中で自主制作映画が出てきますが、そのリアルさとこだわりも凄い。秋の青春映画では1番かも知れません。エンディングもいいよ、バラードとか泣かせるように仕立ててなく、さわやかなポップス調で。写真が過去を振り返るような感じをさせて、いい余韻を残してくれます。

11月11日に池袋テアトルダイアで公開記念オールナイト、それぞれの軌跡が行われます。それに先立ってレイトショー上映を観る事に。続けて観る人も多いようだ。

バカだなぁ、お姉ちゃんも岸田さんも…


データファイル
虹の女神 Rainbow Song
監督:熊沢尚人
製作:岩井俊二、橘田寿宏
脚本:桜井亜美、齊藤美如、網野酸
出演:市原隼人、上野樹里、蒼井優、酒井若菜、鈴木亜美、相田翔子、小日向文世、佐々木蔵之介、尾上寛之、田中圭、田島令子、田山涼成、鷲尾真知子、ピエール瀧、マギー、半海一晃、山中聡、眞島秀和、三浦アキフミ、青木崇高、川口覚、郭智博、武発史郎、佐藤佐吉、坂田聡、坂上みき、東洋、内藤聡子、大橋未歩
配給:東宝