MOVIE REVEIWLe Scaphandre et le papillon
29[劇場観賞/シネカノン有楽町2丁目]
公式サイト

潜水服は蝶の夢を見る2007年フランス、アメリカ
八ちゃんの降水確率:15%
八ちゃんの満足度:★★★★
八ちゃんの評価:★★★★

ぼくは生きている。話せず、身体は動かせないが、確実に生きている。

観終わった後、カフェでコーヒーを飲んでいると、隣に座ったカップルがこの映画の感想を語り合っていたんだけど、男の方は、なんか面白くなかったのか肌に合わなかったのか、ちんぷんかんぷんな話をします。一生懸命話を合わせている彼女の方は、(おそらく単館系に慣れてるんだろうね)悲しい顔していました…。

いろいろな意味で衝撃的な作品です。
八ちゃんのレビュー
生きている証を持ちたい!衝撃の感動作!

地位も名声も得ている、いわばセレブの身でありながら、突如襲った脳梗塞。雑誌ELLEの編集長であるジャン・ドミニクは、意識が戻っても全身麻痺のロックト・インシンドロームになってしまいます。唯一動くのが左目。リハビリも思うように進まない中、コミュニケーション手段は、相手がアルファベットを読み上げ、瞬きを使って答えていくという、とてつもない方法が唯一の手段だったのです。瞬き1回が「イエス」2回が「ノー」。1文字、2文字…それを繰り返し、相手はかな漢の予測変換のごとく、わかった時点で単語を言い、当るとそれを瞬きで伝えます。
それだけでも凄いというか、根気の要る作業なのに、この「唯一の手段」を使って自伝を書き上げ出版したというのですから、さらに驚きです。嘘の様な本当の話という言葉がありますが、まさにこれこそが現代の嘘のような本当の話に他なりません。出版された「潜水服は蝶の夢を見る」は、フランスで14週にもわたり売り上げ1位を記録する大ベストセラーになり、鬼才ジュリアン・シュナーベルの手によって映画化されました。元の話がすばらしいこともありますが、世界各国で賞賛の嵐。ついには米アカデミー賞にもノミネートされます。

この映画は、もちろんジャン・ドミニク目線で撮られています。意識が戻るところからスタートします。焦点が合わなかったり光がにじんだりと、まさに観客は彼の目線で周囲を見渡します。そして、語りというか、彼の言葉を聴くことができますが、もちろん口を動かすことすらできない彼の言葉は周囲には届きません。最初は受け答えのつもりだったのに、届かないことを悟ると、心情をそのままの言葉に代わっていきます。
医者などの「語り」は彼のためのものであるにもかかわらず、彼から見ればかなり一方的なことなんですよね。望んでいることでもなかったりして、相当な苛立ちを覚えたはずです。
左目だけではなく、別に自由に使えるもの、それは「頭(脳)」。想像力と記憶は正常なのです。自分を哀れ見るのをやめ、「自伝」を書こうと決意します。周囲の努力も並大抵なものではなかったでしょうが、悲壮感を与えることなく、時にはユーモアに、時には涙を誘う、素敵な映画に仕上がっています。

主演のジャン・ドミニクを演じたのは、ミュンヘンに続いてのワールドワイドな配給作品に出演となったマチュー・アマルリック、彼の父親にマイノリティー・リポートで黒幕の悪人だったマックス・フォン・シドー、妻のセリーヌにエディット・ピアフに続いての出演となる、ロマン・ボランスキーの妻エマニュエル・セニエ、言語リハビリ担当の医師アンリエットに、ミュンヘンマリ=ジョゼ・クローズ、彼の言葉を書きとどめていくことになるクロードに、愛されるために、ここにいる 灯台守の恋アンヌ・コンシニが演じます。


八ちゃんの感想
いいっ!

早くも今月ナンバーワン確定かな!
日韓の映画と違って、病気もののクセして「泣いてください、それで感動してください」っていうのとはまるっきり違うんですよね。それがすごくいい。脚色はしているんだろうけど、ありのままの生き様を見せてくれているようで。
別に「お涙頂戴映画」が悪いというわけではないんですよ。これ国民性の違いだろうから。メロドラマ大好きなんだろうからね、日本人は。だからそういう映画が作られるのは当たり前なんですよ。決して悪いことじゃない。だけれど、もうお腹いっぱいって言う感じもするわけで。
だからか、こういう映画もかえって印象に強く残るんですよね。きっと。
(そういうことを抜きにしてもいい映画です!)


データファイル
監督:ジュリアン・シュナーベル
製作:キャスリーン・ケネディ、ジョン・キリク
製作総指揮:ジム・レムリー、ピエール・グルンステイン
脚本:ロナルド・ハーウッド
音楽:ポール・カンテロン
出演:マチュー・アマルリック、エマニュエル・セニエ、マリ=ジョゼ・クローズ、アンヌ・コンシニ、パトリック・シェネ、ニエル・アレストリュプ、オラツ・ロペス・ヘルメンディア、ジャン=ピエール・カッセル、イザック・ド・バンコレ、エマ・ドゥ・コーヌ、マリナ・ハンズ、マックス・フォン・シドー
配給:アスミック・エース
MovieWalker - 潜水服は蝶の夢を見る
順風満帆な人生から一転、身体の自由を失った男が、唯一動く左目の瞬きだけで自伝を書き上げた奇跡の実話を映画化。「ミュンヘン」のM・アマルリックが難役の主人公を熱演。
雑誌編集者のジャン=ドーは、脳梗塞に倒れ、全身が麻痺して動かなくなる、閉じ込め症候群に陥ってしまう。絶望状態の中でも、周りの人々に支えられた彼は、唯一動く左目を使って、自分の半生をつづり始めていく。

観賞記INDEX
2008年スクリーンで観た映画一覧