晴れた日には畑を耕し、雨の日には読書に励む。定年後はそんな「晴耕雨読」の生活に憧れるサラリーマンが多いようだ。
かく言う僕もそのひとり。自然豊かな環境の中で、思う存分読書しながら生活できたらどんなにいいかと思う。
しかし現実は甘くない。一介の都会人が田舎暮らしをしようとするならば、相当の代償を払わなければならないことは容易に想像できる。
都会の利便性に優れた生活を手放さなければならない。農村の閉ざされた人間関係にも溶け込んでいかなければならない。そして何よりも多額の資金が必要になることだろう。
そうすると、僕のような意志の弱い人間は理想に背を向けてしまうのだ。そして小金で手に入る快楽へと走ってしまう。
その結果、身体的にも経済的にも破滅への道を歩んでいくことになる。
現在の僕の生活は、「晴耕雨読」どころか「性交有毒」である。