2011年2月28日
婦人科はいつもながら妊婦さんが多くてほのぼのした雰囲気.
私は両親と彼氏との4人連れで,ちょっと浮いていた.
先のMRI検査で造影剤を注射されたので,アレルギー反応が出ないか,
彼と父親が仲良く待っていられるか,ひやひやしながら呼ばれるのを待つ.
診察室に入ると,いつもの先生が驚いていた.
すみません,御一行様で来てしまいました.両親と婚約者です,と紹介.
一同,苦笑い.
でも,大事な話だしね.ちゃんと聞いておかないと.
気を取り直して,術前説明開始.
まずは,前回の術前検査の結果.
健康状態に問題なく,手術OKとのこと.
で,さっきやったMRIの結果を見る.
30分も経ってないのにもう届いてる.さすが電子カルテ.
まずは見方の説明から.
MRIの写真は左右逆に写るらしく,写真右側が体の左で,左側が右.
動かないで頑張ったかいあって?はっきりした写真だった.
体を下から,おしりのほうから輪切りにした写真を見た.
輪切りの間隔は1cmで,脂肪は白っぽく,
臓器というか血があるところ?は黒っぽく写ってた.
コチコチクリックするたびに,輪切りが1cmずつ上にシフトするんだけど
4,5回ずれたところで,突如,体の真ん中左よりにグレーの丸い塊が現れて,
先生はここで画像を止めた.
そして,同じように今度は体を縦に1cmずつスライスした画像を隣に開く.
こちらも体の左側のほうから始まって,コチコチ2,3回クリックしていくと,
やっぱりグレーの,さっきより大きめの卵型の塊が現れた.
その姿は,以前,初診の時にエコーで見たアレとほとんど同じだった.
写真をもらってないので,ここに載せられないけれど,
ネットで探してみたら,ここのサイトに載っているMRIの画像が
色や形を含め,かなり私の体の中に近い状態だった.
http://www.k-sato.com/womensmed/endometriosis/endometriosis.htm
# 説明も詳しいので是非どうぞ.
サイズは,写真の下に出ているメモリで目測してだいたい5cmを越えるくらい.
てことは,前回の問診からはあんまり成長してないということ.
ちょっと安心した.
放射線科の医師による判断前なのではっきりとは言えないが,
おそらく良性の腫瘍とのこと.
つまり腹腔鏡手術でOK!
悪性だって言われると,開腹手術になっちゃうので
「おそらく」だとしてもまたまたちょっと安心.
と,ここで先生は手術同意書を取り出して,今回の手術について説明しだした.
まずは,病名.
左卵巣嚢腫(子宮内膜症性).
手術の目的.
一つは,大きくなってしまった腫瘍を摘出する治療のため.
もう一つは,この腫瘍が子宮内膜症によるものかを判断する診断確定のため.
つまり,手術して中身を取り出して病理検査しないと
私の病気は確定しない,ということ.
だから病理検査の結果が万一悪性腫瘍だったら,
とたんに卵巣ガンということになる.
ここまで説明したところで,
父親と彼がおいてけぼりになっているのを察したのか,
先生は,そもそもこの内膜症性卵巣腫瘍について説明してくれた.
話としては初診で聞いたのと同じ.
新しく増えた話は,私の卵巣の今の状態のことで,
ちょうど,ゆで卵のようになっているという.
卵の白身が卵巣(卵胞)で,黄身に相当するのが腫瘍とのこと.
だから手術は,まず卵巣の健康な部分にメスを入れて,
中の腫瘍を吸い出したあと,腫瘍を包んでいた膜を引っ張りだして,
最後に卵巣を縫っておしまいという流れになるらしい.
で,今回は腹腔鏡なので,お腹に穴を空けてそこから
カメラなど器具を入れてやることになる.
つまり,手術の方法は,
腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術.
そして,先生は腹腔鏡のメリット,デメリットを教えてくれた.
メリットは,傷が小さく,回復が早いこと.
デメリットは,開腹より危険性が高いこと.
腹腔鏡手術の場合,最初の一つ目の穴を開けるときが一番危ないらしい.
本来,腹腔鏡手術は,おなかに二酸化炭素ガスを入れて
パンパンにして空間を作ってから,
できた空間の中をカメラで写ながら作業をする方式.
でも最初の穴は,お腹にガスが入ってなくて
へっこんでる状態で開けることになる.
しかも全身麻酔してるから,筋肉が弛緩していて
普段よりもぐにゃっとしているらしい.
つまり,最初に穴開けするときに行きすぎちゃって他の臓器を傷つけたり,
最悪の場合,背骨手前にある太い血管の束を傷つけることもあるらしい.
そうなると,もう卵巣腫瘍どころか一刻も早く止血処置をしないと,
一分に何リットルも出血して命すら危うくなってしまうので,
一気に開腹してしまうという.
確かに怖いけど,ここまできたら,いったいどれくらいの頻度で発生してるか
によって,自分は当たらないはず,と信じ込むしかない.
「先生は,これまでの経験で,そういった状態を見たことはありますか?」
「ないです,ないです.うーん,聞いたことはある,くらいですね」
これはこれで判断に困る回答.
万一,そんな状況になったとしても,先生は対応経験がない.
一方,これまでの経験上見たことない,と言うんだから,
発生頻度はそんなに高くなさそうとも言える.
やっぱり,自分は当たらないと信じてお願いするしかない.
ちなみに,腹腔鏡手術を途中で開腹に切り替える人の割合は5%くらいらしい.
他にも,腸や腎臓,尿管を傷付けた場合の処置方法を説明されたけど,
結局どれも再手術になるほどのものでもなく
1週間くらい入院が伸びる程度だと言うことなので心配しないことにした.
ただ,気になるのは,これらの合併症が
他の種類の卵巣のう腫に比べて発生確率が高いということ.
子宮内膜症性の場合,周りの臓器との癒着が起こりやすく,
癒着しているところを剥がすときに,周りの臓器を傷つけやすいという.
しかも,癒着の状態はMRIだけでは分からず,
結局開けてみて,見てみて分かること.
もうそれならやっぱり今から心配してても仕方ないし
なるようになれ,と思ってしまった.
ここで母親が輸血の可能性について質問した.
血管や他臓器を傷つけてしまったらそれなりに出血するので
輸血が必要になるが,普通に予定どおり出来れば100ccも出血しないらしい.
でも,これは驚いたんだけど,卵巣は切る場所によって出血量が違うという.
しかもこれも切ってみないと分からないらしい.
本当に医学は進歩しているとはいえ,まだまだ分かってないことは多いのかも.
また,輸血は昔と違って親族や知人から集めることはなく,
私の病院では,日赤から取り寄せて成分輸血をするという.
100%ではないけれど各種感染症などの検査済みなので,
親族の血液より安全だということ.
最悪の事態になっても心配しなくて良さそうだと感じた.
なんとなく質問タイムになってきたので,
腹腔鏡手術は体内法なのか体外法でやるのか,
お腹にいくつ穴が開くのか質問した.
先生は,私は感染も怖いから体内でやるほうが好き,
穴の数も,3つから4つがやりやすい,という.
そして3つの穴の位置と大きさを説明してくれた.
まず,メインの一番大きい2cmくらいの穴がおへその下,
カメラを入れることになるのが腫瘍のある左側の卵巣あたりで
これは5mm-1cmくらい.
反対の右側には1-2cmの穴を開けて操作用の器具を入れる.
もう一つ増えるとしたら右側に5mm-1cmの穴になるらしい.
最悪4つも開いちゃうのかぁ,とも思うけど,
言っても一つ5mm-2cmなわけで贅沢な心配.
本当に,術中に開腹に切り替えなければならない事態が起きなければ良いな,
と思った.
ここまでのところで手術に関する話は終わり.
十分過ぎるほど説明してくれて良く分かったので,かなり不安がなくなった.
最後に,今度は手術後について説明を受けた.
結局,今回手術をしても子宮内膜症は治るわけではない.
根治するためには,閉経するか,子宮と卵巣を全て摘出する必要がある.
だからもし子供を望むなら,出来るだけ早く作ったほうがよい.
妊娠中は,生理が来ないので,子宮内膜症の進行は止まる.
また,子宮内膜症性の卵巣腫瘍は再発する可能性が非常に高く,
腫瘍が大きくなるたびに手術する必要があり,
毎回の手術で卵巣を残したとしても
なんと,2-3回目の手術後から生理が来なくなることもあるという.
手術のたびに,健康な卵巣にメスを入れるので,
切られた部分が死んでしまうからそんな事態になるらしい.
思わず,私と彼はお互いに顔を見合わせてしまった.
彼も想定外のことだったみたいで,まだ心の準備ができてないのか,
なぜか先生に「が,がんばります」と言っていた.
まったく両親のいる前で何をがんばるって言ってるんだかw
最後はなんだか和やかなムードになって終了.
このあと,看護婦さんから入院についてのオリエンテーリングがあるとのこと.
長くなったのでその様子はまた次に.
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2月28日 婦人科
再診,MRI検査 9410円

婦人科はいつもながら妊婦さんが多くてほのぼのした雰囲気.
私は両親と彼氏との4人連れで,ちょっと浮いていた.
先のMRI検査で造影剤を注射されたので,アレルギー反応が出ないか,
彼と父親が仲良く待っていられるか,ひやひやしながら呼ばれるのを待つ.
診察室に入ると,いつもの先生が驚いていた.
すみません,御一行様で来てしまいました.両親と婚約者です,と紹介.
一同,苦笑い.
でも,大事な話だしね.ちゃんと聞いておかないと.
気を取り直して,術前説明開始.
まずは,前回の術前検査の結果.
健康状態に問題なく,手術OKとのこと.
で,さっきやったMRIの結果を見る.
30分も経ってないのにもう届いてる.さすが電子カルテ.
まずは見方の説明から.
MRIの写真は左右逆に写るらしく,写真右側が体の左で,左側が右.
動かないで頑張ったかいあって?はっきりした写真だった.
体を下から,おしりのほうから輪切りにした写真を見た.
輪切りの間隔は1cmで,脂肪は白っぽく,
臓器というか血があるところ?は黒っぽく写ってた.
コチコチクリックするたびに,輪切りが1cmずつ上にシフトするんだけど
4,5回ずれたところで,突如,体の真ん中左よりにグレーの丸い塊が現れて,
先生はここで画像を止めた.
そして,同じように今度は体を縦に1cmずつスライスした画像を隣に開く.
こちらも体の左側のほうから始まって,コチコチ2,3回クリックしていくと,
やっぱりグレーの,さっきより大きめの卵型の塊が現れた.
その姿は,以前,初診の時にエコーで見たアレとほとんど同じだった.
写真をもらってないので,ここに載せられないけれど,
ネットで探してみたら,ここのサイトに載っているMRIの画像が
色や形を含め,かなり私の体の中に近い状態だった.
http://www.k-sato.com/womensmed/endometriosis/endometriosis.htm
# 説明も詳しいので是非どうぞ.
サイズは,写真の下に出ているメモリで目測してだいたい5cmを越えるくらい.
てことは,前回の問診からはあんまり成長してないということ.
ちょっと安心した.
放射線科の医師による判断前なのではっきりとは言えないが,
おそらく良性の腫瘍とのこと.
つまり腹腔鏡手術でOK!
悪性だって言われると,開腹手術になっちゃうので
「おそらく」だとしてもまたまたちょっと安心.
と,ここで先生は手術同意書を取り出して,今回の手術について説明しだした.
まずは,病名.
左卵巣嚢腫(子宮内膜症性).
手術の目的.
一つは,大きくなってしまった腫瘍を摘出する治療のため.
もう一つは,この腫瘍が子宮内膜症によるものかを判断する診断確定のため.
つまり,手術して中身を取り出して病理検査しないと
私の病気は確定しない,ということ.
だから病理検査の結果が万一悪性腫瘍だったら,
とたんに卵巣ガンということになる.
ここまで説明したところで,
父親と彼がおいてけぼりになっているのを察したのか,
先生は,そもそもこの内膜症性卵巣腫瘍について説明してくれた.
話としては初診で聞いたのと同じ.
新しく増えた話は,私の卵巣の今の状態のことで,
ちょうど,ゆで卵のようになっているという.
卵の白身が卵巣(卵胞)で,黄身に相当するのが腫瘍とのこと.
だから手術は,まず卵巣の健康な部分にメスを入れて,
中の腫瘍を吸い出したあと,腫瘍を包んでいた膜を引っ張りだして,
最後に卵巣を縫っておしまいという流れになるらしい.
で,今回は腹腔鏡なので,お腹に穴を空けてそこから
カメラなど器具を入れてやることになる.
つまり,手術の方法は,
腹腔鏡下卵巣嚢腫核出術.
そして,先生は腹腔鏡のメリット,デメリットを教えてくれた.
メリットは,傷が小さく,回復が早いこと.
デメリットは,開腹より危険性が高いこと.
腹腔鏡手術の場合,最初の一つ目の穴を開けるときが一番危ないらしい.
本来,腹腔鏡手術は,おなかに二酸化炭素ガスを入れて
パンパンにして空間を作ってから,
できた空間の中をカメラで写ながら作業をする方式.
でも最初の穴は,お腹にガスが入ってなくて
へっこんでる状態で開けることになる.
しかも全身麻酔してるから,筋肉が弛緩していて
普段よりもぐにゃっとしているらしい.
つまり,最初に穴開けするときに行きすぎちゃって他の臓器を傷つけたり,
最悪の場合,背骨手前にある太い血管の束を傷つけることもあるらしい.
そうなると,もう卵巣腫瘍どころか一刻も早く止血処置をしないと,
一分に何リットルも出血して命すら危うくなってしまうので,
一気に開腹してしまうという.
確かに怖いけど,ここまできたら,いったいどれくらいの頻度で発生してるか
によって,自分は当たらないはず,と信じ込むしかない.
「先生は,これまでの経験で,そういった状態を見たことはありますか?」
「ないです,ないです.うーん,聞いたことはある,くらいですね」
これはこれで判断に困る回答.
万一,そんな状況になったとしても,先生は対応経験がない.
一方,これまでの経験上見たことない,と言うんだから,
発生頻度はそんなに高くなさそうとも言える.
やっぱり,自分は当たらないと信じてお願いするしかない.
ちなみに,腹腔鏡手術を途中で開腹に切り替える人の割合は5%くらいらしい.
他にも,腸や腎臓,尿管を傷付けた場合の処置方法を説明されたけど,
結局どれも再手術になるほどのものでもなく
1週間くらい入院が伸びる程度だと言うことなので心配しないことにした.
ただ,気になるのは,これらの合併症が
他の種類の卵巣のう腫に比べて発生確率が高いということ.
子宮内膜症性の場合,周りの臓器との癒着が起こりやすく,
癒着しているところを剥がすときに,周りの臓器を傷つけやすいという.
しかも,癒着の状態はMRIだけでは分からず,
結局開けてみて,見てみて分かること.
もうそれならやっぱり今から心配してても仕方ないし
なるようになれ,と思ってしまった.
ここで母親が輸血の可能性について質問した.
血管や他臓器を傷つけてしまったらそれなりに出血するので
輸血が必要になるが,普通に予定どおり出来れば100ccも出血しないらしい.
でも,これは驚いたんだけど,卵巣は切る場所によって出血量が違うという.
しかもこれも切ってみないと分からないらしい.
本当に医学は進歩しているとはいえ,まだまだ分かってないことは多いのかも.
また,輸血は昔と違って親族や知人から集めることはなく,
私の病院では,日赤から取り寄せて成分輸血をするという.
100%ではないけれど各種感染症などの検査済みなので,
親族の血液より安全だということ.
最悪の事態になっても心配しなくて良さそうだと感じた.
なんとなく質問タイムになってきたので,
腹腔鏡手術は体内法なのか体外法でやるのか,
お腹にいくつ穴が開くのか質問した.
先生は,私は感染も怖いから体内でやるほうが好き,
穴の数も,3つから4つがやりやすい,という.
そして3つの穴の位置と大きさを説明してくれた.
まず,メインの一番大きい2cmくらいの穴がおへその下,
カメラを入れることになるのが腫瘍のある左側の卵巣あたりで
これは5mm-1cmくらい.
反対の右側には1-2cmの穴を開けて操作用の器具を入れる.
もう一つ増えるとしたら右側に5mm-1cmの穴になるらしい.
最悪4つも開いちゃうのかぁ,とも思うけど,
言っても一つ5mm-2cmなわけで贅沢な心配.
本当に,術中に開腹に切り替えなければならない事態が起きなければ良いな,
と思った.
ここまでのところで手術に関する話は終わり.
十分過ぎるほど説明してくれて良く分かったので,かなり不安がなくなった.
最後に,今度は手術後について説明を受けた.
結局,今回手術をしても子宮内膜症は治るわけではない.
根治するためには,閉経するか,子宮と卵巣を全て摘出する必要がある.
だからもし子供を望むなら,出来るだけ早く作ったほうがよい.
妊娠中は,生理が来ないので,子宮内膜症の進行は止まる.
また,子宮内膜症性の卵巣腫瘍は再発する可能性が非常に高く,
腫瘍が大きくなるたびに手術する必要があり,
毎回の手術で卵巣を残したとしても
なんと,2-3回目の手術後から生理が来なくなることもあるという.
手術のたびに,健康な卵巣にメスを入れるので,
切られた部分が死んでしまうからそんな事態になるらしい.
思わず,私と彼はお互いに顔を見合わせてしまった.
彼も想定外のことだったみたいで,まだ心の準備ができてないのか,
なぜか先生に「が,がんばります」と言っていた.
まったく両親のいる前で何をがんばるって言ってるんだかw
最後はなんだか和やかなムードになって終了.
このあと,看護婦さんから入院についてのオリエンテーリングがあるとのこと.
長くなったのでその様子はまた次に.
----
2月28日 婦人科
再診,MRI検査 9410円

