アニメの世界に行く方法(AKIBA賞応募)【完結】

突如アニメの世界からやってきた美少女リリィ・クリスタルを元の世界に戻すために、アキバで暮らす鳴神伊月が奮闘する。だが欲望の魔都と化した秋葉原にはオタク趣味を極めた48人の神がいて、さらに巷では奇妙な事件が頻発するようになって……果たして鳴神伊月は異世界の扉を開くことができるのか。

【主人公】
 「鳴神伊月(なるかみいつき)」
アキバに住む大学生。でも休学中でバイトもクビに。現在精神不安定で現実逃避気味。
アニメの世界に逃亡したいと思っていたらそこにリリィが登場。
リリィに感化され、二次元世界に行くために様々に試行錯誤を繰り返す。

【ヒロイン】
 「リリィ・クリスタル」
アニメの世界からやって来た。元の世界に戻るために伊月の元に居候。

【アキバ48神】
「アキバ探偵神・久隆光之助(くりゅうこうのすけ)」
 アキバの謎は全て解決。だが興味ある事件にしか動かない。
「アキバアイドル神・にゃルにゃル@ラブ」
 アキバのトップアイドル。彼女が歌えば見る者全てがオタ芸せずにいられない。
「萌えアニメ神・フトシ」
 全ての萌えアニメを視聴、BD.DVDを所持するキモオタ。
「アキバヒーロー」
 アキバの平和はこの男が守る! 戦いの中に生きる、素顔を仮面に隠した孤独な戦士。
「無線神・ジャック」
 その気になれば大統領のホットラインすら盗聴できる、無線の達人。
「アキバアイドルオタク神・ジョニー」
 アキバのアイドルを知り尽くし、その全てのライブに赴くキモオタ。にゃルにゃルの大ファン。

小説サイトもよろしくお願いします。
http://ooyakenovel.web.fc2.com/


アニメの世界に行く方法 調査結果報告書   ――鳴神伊月


 1.モニターに何度も飛び込み続けていつかはアニメ世界にワープ
 A.痛いだけでした。

 2.寝ている時に精神を肉体から分離させ、いわゆる幽体離脱となってアニメ世界に
 A.気づいたら朝でした。

 3.宇宙に行ってブラックホールの中にダイブ。抜けるとそこはアニメ世界
 A.そもそも僕を宇宙に連れてって。

 4.夜中2時ちょうどに合わせ鏡で222番目の自分がアニメ世界の自分
 A.へ~……そうなんだ。130番目位まで数えたところで、だからどうしたって気付いた。

 5.紙に「飽きた」と書いて枕元に置いて寝る。起きるとアニメ世界
 A.一見すると普通のいつものような何も変わらない世界。けど、気づいてないだけで僕はもうアニメ世界にいるのかっ!? 3日間位はそんなこと考えてた。

 6.エレベーターに乗って、上がったり下ったり
 A.一緒に乗ってきたおばちゃんに不審者を見るような目で見られた。実験の結果いくつかの建物には当分近づけなくなった。

 7.アニメ世界から来た少女が持っていた不思議な石を使ってアニメ世界の扉を開く
 A.惜しいところまでいきました。あと一歩というところで別の世界の扉を開いちゃいました。アニメ世界から来た悪い奴がその世界に行きました。

 8.秋葉原にあると密かに囁かれている「異世界に通じるトンネル」をくぐる
 A.秋葉原中を探索しているが、現在のところそれらしいものは見当たらない。今後、より深く秋葉原を調査する。

 9.アキバ48神の一人に二次元の世界に行く方法を知っている者がいるらしい?
 A.新しく入ってきた情報のため、今後慎重に調べていくつもりである。

 10.うちの家に居候している「アニメの世界から来た少女」から何か引き出す
 A.もしかすると不思議な石みたいなものが他にもあるかもしれない。そのため、この少女はまだまだこれからも役立つ可能性があるため決して手放さないようにする。



総評。
現時点ではアニメ世界に行くなんて当分無理そうだという結論に至った。
で……でも僕は決して諦めないからな!

秋葉原萌え萌え通信大特集【アキバ48神一覧!!】


・メイド神
秋葉原に無数にあるメイド喫茶に毎日全部行っている神。メイドが大好き過ぎて自分もメイド姿。メイド喫茶が忙しい時は自分も手伝う。その姿はご奉仕の究極系な神々しきメイドオブメイド。

・絵師神
イラストを書いたり投稿したり。今一番注目されている絵師。その絵を見たものは感動で涙が止まらなくなる。

・万世橋神
万世橋を愛するオタク。万世橋のことなら全てを知り尽くしている。

・ガチャポン神
世のありとあらゆるガチャポンを回してきた男。ガチャポンを回す速さは高速過ぎて視認できない。

・ヲタ芸神
すごくキレのいいヲタ芸を繰り出す神。アイドル好きというよりパフォーマー。アキバアイドル神とはライバル。

・アキバアイドル神@
アキバのトップアイドル。彼女が歌えば見る者全てがオタ芸せずにいられない。

・鉄道神テッちゃん
鉄道が大好きな神。がたんごとんがたんごとん。列車に揺られてぼくは今日もゆく。

・サバゲー神
サバイバルゲームをこよなく愛する男。迷彩服が彼の普段着。

・アキバ探偵神
アキバの謎は全て俺が解決さ。だが自分が興味ある事件にしか動かない困ったさん。不思議であればあるほど周りが見えなくなる。

・銃火器神
銃が大好き。エアガンとかモデルガンとか全部持ってるらしい。改造もしてたりするけど違法になるから内緒だよ。

・剣の神
古今東西の剣や剣技に精通している。銃火器神とは相容れない。

・拳法の達神
拳法の達人。空手やテコンドー、少林拳からコマンドサンボまで知り尽くしている。が、あくまで知ってるだけで自分は運動音痴である。

・パーツショップ神
アキバにたくさんあるパーツショップを毎日全部回っている神。店ごとにあらゆる商品の値段の変動を把握している。

・アキバアイドルオタク神
アキバのアイドルを知り尽くし、その全てのライブに赴くキモオタ。にゃルにゃルの大ファンという噂。

・ゲームヲタク神
ゲームが大好きな神。格闘もパズルもレースも誰にも負けない。だがプロゲーマーには敢えてならない。

・ゲーム音楽神
音楽はゲームミュージックしか聞かない。ゲームよりむしろ音楽を聞くためにゲームする。ゲームのサウンドトラックを買い漁るのが趣味。プレミアが付いていてもお構いなしさ。

・アキバイベント神
アキバで開催される全てのイベントに出ている。毎日走り回って大変。

・コスプレ神
数多くのコスプレ衣装を作っていた女。アニメが始まった次の日にはそのコスプレが完成している。

・コスプレイヤー神
世にある、ありとあらゆるコスプレ衣装を持っている。コスプレイベントがあれば必ず登場。普段着からしてコスプレ衣装。コスプレ神には日頃お世話になっている。おねえさま……って呼び合う仲。

・マンガ神
漫画家はみんな彼を尊敬しているという伝説のマンガ書き。プロにはならないのが神としてのプライド。

・同人神
同人誌に同人音楽に同人ゲーム。いろいろ手を広げているがどれも大成功。毎回シャッター列に配置され昼前には完売する。長蛇の列は決して途切れない。

・ヘッドホン神
ヘッドホンを愛する神。何十年間もヘッドホンを耳につけっぱなしにしている。むしろヘッドホンは体の一部。

・イヤホン神
イヤホンを愛する神。何十年間もイヤホンを耳につけっぱなしにしている。むしろイヤホンは体の一部。もちろんヘッドホン神とはライバル。

・無線神ジャック
その気になれば大統領のホットラインすら盗聴できる、無線の達人。自分のことを隊長と呼ばせたがる。

・風雲神
毎日いろいろな事件が巻き起こっている秋葉原だが、その中のいくつかはこの神が引き起こしている。アキバを騒がせるのが何よりの生きがい。

・つぶやき神
彼のつぶやき一つにフォロワーが蟻の大群の如く押し寄せてくる。いいね!

・萌えアニメ神
全ての萌えアニメを視聴、あらゆるBD、DVDを所持。

・本格推理神
本格物の推理小説が大好き。常に謎を欲している。推理物ならテレビドラマでも映画でもなんでも見る。しかし自分の周りで事件が起こらないので歯がゆい。アキバ探偵神が羨ましい。

・軍神
軍ヲタ。日本も海外もなんでも知ってる。歴史の近代あたりは完璧。周りからは提督と呼ばれてる。

・ライトノベル神
ライトノベルを全部読んできた強者。アニメ化される前に彼の中では既にブームは過ぎ去っている。

・青春神
アニメやマンガやラノベのような青春を送ることに対して羨んでいる男。必ず自分もいつかあんな生活が送れると信じて生きているビリーバー。学生という年齢はとっくの昔に通過してしまったが……。

・制服神
日本中の制服を持っている神。どれもが使用済みというのが彼のポリシー。たまに自分がそれを着て町に出たりする。するとみんなに気持ち悪がられる。

・おっぱい神
おっぱいが大好きな神。触っただけでカップ数が当てられるという。だから一度くらい生身のおっぱいを触りたいと常日頃思っている。

・コミケ神
第1回からコミケには毎回参加。盆も年末も実家に帰らないから親戚の人たちからは存在を忘れ去られている。

・アキバヒーロー
アキバの平和はこの男が守る! 戦いの中に生きる、素顔を仮面に隠した孤独な戦士。

・ちょっとエッチな神
ちょっとだけエッチな神。秋葉原のえっちなコーナーの入口付近で入ろうかやめようかいつもウロウロしている人がいればそれが彼だ。

・電波神
電波さん。いつも見えない妖精と会話している。なんの前触れもなく奇怪な行動をするから近くにいる人は注意が必要だ。

・ガンプラ神
ガンプラを買いまくって作りまくっている。そしてアキバのショーケースに飾っている。みんなが欲しがるその出来は、オークションで何百万もするとか。

・戦車神
戦車がすごく好き。乗りたい。乗ってアキバを走り回りたい。

・ハッカー神
天才プログラマーはやがて天才ハッカーへと変わった。たまに社会を騒がせているウイルスは彼が作ってたりとかいないとか。

・声優神
アニメの声を聞いただけで誰が声を当ててるか分かる。そんなの当たり前。彼女は一度聞いた声を完璧に声帯模写できる。ドラマCDを一人で作ってるが100役くらいこなしてる。その声でみな魅了される。現代のセイレーン。

・えっちコーナー神
秋葉原のあらゆる店のえっちなコーナーにいつもいる。ちょっとえっちな神から羨ましがられている。でもお金がないから買い物はしない。

・エロゲ神
全部のエロゲを全ルートやり尽くした男。エロのないエロゲは決して認めない。Hシーンの前にセーブするのを忘れるな。

・ボーカロイド神
ボーカロイドで数々の名曲を手がけてきた神。ミリオンヒットを連発で現在の音楽業界は彼が支えていると言って過言ではない。

・神神
西洋から東洋、さらには八百万の神々まで、神という名のつくものならそれはなんでも彼の調査対象。とうとう自分も念願の神になることができた。嬉しい。やったね。

・動画投稿神
動画投稿サイトに投稿するたびに話題になる。再生数がハンパなさすぎて、カンストしてしまう。

・JR秋葉原駅神
JR秋葉原駅がめっちゃ好き。JR秋葉原駅の事ならそこで働く駅員より詳しい。いつもJR秋葉原駅にいるから半分守り神的な存在になってる。そんな神。

・歩行者天国神
秋葉原が歩行者天国になると出現する神。堂々と真ん中を歩いて行ったり来たりしてる。初めて見た人は彼を妖精か妖怪かそんな類の何かだと思ってしまう。



――補足。
噂では新たな神候補がいると秋葉原で囁かれているらしいのだ。
その名も、アニメ神。
彼女はアニメの世界からきた少女だというのだが……その正体を我々は今度調査していくつもりである。
もし噂が真実なら……アキバ48神の勢力図は大きく変わることになるだろう。
アニメの世界とか何言っちゃってんの~とか思われるかもしれないが、可能性に限界はない。この町では何でもアリ。想像できることは全て起こり得ることなのだ。
混沌の町、秋葉原は日々変化していく。そこは退屈とは無縁で、これからも常に刺激に満ちたワンダーランドたりうる町であり続けるだろう。
 
Forever Akihabara

 その後どうなったか――といっても、語るべきことなんて何もない。
 僕は相変わらずほとんどニートみたいな崖っぷちの存在だったし、家賃も滞納していて生活はギリギリ。未来は暗闇の雲に覆われたまま変わらない。
 だけど。今の僕は前に比べてそれほど絶望感に浸っているわけではなかった。
「伊月~っ! 今日、有名ブランドのギャルゲーが出るらしいんですよ。一緒にアキバまで買いに行きましょ~よ~」
 玄関先に、アニメのような現実離れした可愛い少女が僕を呼んでいた。
「やれやれ……すっかり君もこの町に染まってきちゃってるね」
「なに達観したような事言ってるんですか。置いてきますよっ」
「分かった分かったよ」
 僕は玄関のドアを開けて、愛と欲望が渦巻く秋葉原の町へ出た。
「でもなリリィ、忘れるなよ。僕はまだ諦めたわけじゃないからな」
「私を恋人にすることですか?」
「違えよっ! アニメ世界に行くことを諦めてないって言ってるんだ! つかお前もまだ諦めてないだろ!? なあっ!?」
 そうだと言ってくれよ!
「……え? まだそんなこと言ってるんですか? アニメの世界に行くなんて無理に決まってるじゃないですか……頭だいじょうぶですか伊月」
 まるで危ない人を見るような目で僕を見るリリィ。
「ひでぇ!」
 元アニメ世界の住人とは思えない手の平返しっぷり。
「あはは。冗談ですよ。なに傷ついてるんですか。私も伊月もまだ諦めてないから、こうして一緒にいるんでしょ」
「そ、そうだな……アニメ世界に行く手がかりとして僕はリリィが必要だし……」
「私もアニメ世界に本気で行こうと頑張る伊月の力が必要です。つまりこれって共犯関係です。まるでラノベみたいでカッコイイです」
「ふーん」
「だけど――息抜きは必要ですよ。せっかく私達アキバにいるんだから、今は思いっきりこの世界を楽しまないと」
「結局それが本音じゃないか。ほんと……やれやれだ」
 まったく、リリィもこんな世界のどこがいいんだか。
 でも。うんざりするほどどうしようもない世界だけど。
 リリィがいるなら、もしかしたら。
 ……もうしばらくは楽しんでみるか。
 僕はため息を吐いて顔をあげた。
 空は雲一つない、快晴だった。

                                                   ――おしまい。 

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