2008年04月12日

■騒ぐだけ宣伝に

 中国人映画監督リ・イン氏の作ったドキュメンタリー映画「靖国」がおかしな話題になっている。
 事の発端は文化庁の外郭団体である(独)日本文化芸術振興会が公費750万円を助成した基準が妥当かどうかを質した事にあるが私も当初から関わってきたので真相を話したい。
 一部マスコミが「反日映画に国費?」という記事が出た前後から識者の皆さんから助成選考基準が不明瞭という批判が党や各議員にあったため稲田先生が窓口になって文科省に確認した。ちなみに稲田先生は弁護士出身の女性議員で党内でも有数の論客。何かの勉強会の講師で国会へ来ていただいた時に安倍先生と私が話を聞いて一目惚れし、「来年の参院選挙に出馬してもらおう」と勝手に決めた。突然の解散で前回の衆議院選挙に福井一区から堂々の当選をされたが、その出馬要請をしたのが平成17年8月15日、戦後60年の終戦記念日に靖国神社から党本部へ戻る車の中で安倍幹事長代理と私は「大阪と福井どっちにしよう?」「出身が福井なら福井の方がいいですよ」と今から思えば他人様の人生をよくも短時間で決めたと反省するほどバタバタの中でお願いした。靖国参拝
 文化庁の部長の説明は「中立公平に選定したはずだが、作品に問題があった」ただ「反日がテーマではないので一度観てほしい」と持ちかけられた。
 ここで話は複雑にこじれる。仲間内の議論では「映画の中身が良いか悪いかは問題ではない。日本映画振興の為に作った基金で中国の映画に助成するのがおかしい」「観ないのに助成対象としてふさわしくないと断定するのが如何か?」「観れば表現内容に政治がクレームをつけたとなる」等今日の騒ぎを予想できるやりとりがあった。しかし「文化庁が観てくれというなら観れる人は観ればいい」となり、3月12日に場所も時間も文化庁がセットした試写会を議員に案内した。ところが数日経って制作会社が特定の議員だけに観せるのは事前検閲になるのでフィルムを貸さないとなり試写会は中止になる。「観せてくれとも頼んでない試写会を政治介入で中止と言われるのは心外。どうなっているのか」文化庁に質したところ改めて超党派での試写会となった。ちなみに私は日程が合わず試写会には参加していないので作品の中身には意見を申し上げるつもりもないが、今日問題にしているのは以下の点である。

 第1にこの作品は助成目的の「我国の優れた映画製作活動を奨励し映画芸術の振興を図るため日本映画製作活動を支援する」とは合致しないと思われる点だ。たとえば申請会社は渋谷区のアパートの一室に登記してあるがプロデューサー、監督は共に中国人、協同製作者は香港のテレビ局、上海の有限公司、これで日本映画と呼べるのだろうか?
 第2に実績要件で「国内に一般的に広く公開されたドキュメンタリー日本映画の実績」がなくてはならないが実績覧には中国で公開されたものやテレビ番組が並び「一般に広く公開された日本映画」に該当するものが不明確。
 第3に2006年7月の申請時に2007年9月公開とあるだけで「映画館又はホールにて1週間以上公開されるもの」に該当していなかった事(2008年4月公開)
 もともと16mmで制作を予定していて「助成がもらえなければ35mmに変換したい」とあり助成がなければ劇場公開用フィルムにならなかった事も想像できる。
 第4に申請シナリオと完成品が大幅に変更されている事。
 第5に「宗教的又は政治的宣伝意図を有しない」という作品条件に申請時から「戦争と平和、生と死、植民主義と愛国主義、名誉と恥辱、宗教と政治、右翼と左翼の衝突をめぐって靖国の精神構造を見極めようと試みた」と記されており明らかに政治テーマになる確信犯である。

 ちなみにこの年は他の14作品が審査で落選したがいずれも純粋な日本映画でありメジャーデビューを目指す日本の監督やプロデューサーが作ったものばかりだ。助成対象に条件を揃えながらどうしてもこの作品に金を出したかった審査員がいたのではないかと思われても仕方ない。少なくとも基金の設立の趣旨に照らしても、もともと対象となる作品とは思えない。
 どうやらマスコミは「政治圧力による表現の自由を奪う暴挙」に話をすり替えたいらしい。
 私費で作った映画ならどんなストーリーでもどんな表現でも自由だが、公費が入れば話は別だ。


hagiuda1 at 17:30│