2008年12月06日
■ロンドンを訪問
2012年のオリンピック開催地であるロンドンを訪問した。
IOCによる今夏の北京五輪の検証会議が行われる為、各国の代表が集まる機を捉え東京招致委員会の河野事務総長一行とも合流し、我国への協力要請も兼ね様々な会談を重ねた。
韓国の李委員長と共に建設中の会場視察を行ったが、最も感心したのは大会終了後のレガシー計画で、例えば9万人のメインスタジアムは終了後2.5万人規模の陸上競技場に客席を減らす設計になっており、施設の維持費を下げ利用率を上げる工夫がなされている。「せっかく作ったのに・・・」と思うがサッカーやラグビーが盛んなロンドンでは既に市内に同規模のサッカースタジアムを有しており、陸上に特化する事で市民の支持を得やすくした。又、バスケット大会の行われる体育館等は、組立式で終了後は郊外都市へ移設される。開催エリアだけでなく、オールロンドンを意識した取り組みは市民のモチベーションを上げる気遣いが窺える。五輪を一過性のものにせず市民皆スポーツの気運にする試みも随所に見られ、文化・メディア・スポーツ省の外郭として「スポーツイングランド」「UKスポーツ」「ユース・スポーツ・トラスト」といった団体が学校スポーツ、地域スポーツ、職場でのスポーツ振興の為、環境整備や指導者養成等のトータルコーディネイトをしている点は実に見事だ。ただ参考にならないのは年間経費を宝くじの売上げから着実に得ている点で、我国のtotoとは比較にならない羨ましい財政基盤を有している。
パリに絶対勝てないといわれた事前の予想を覆したロンドンの緻密なプロポーザルと、当時のブレア首相の行動力、王室の品の良いサポート等、学ぶ事の多い会議が続いた。
もう一つのミッションは2012年の日本選手団の事前キャンプ地として郊外にあるラフバラ大学を借りる交渉だ。国内の体育指導者養成や、五輪選手も数多く輩出している同大学は、広大なキャンパスの中に本格的な競技場、200室を超えるホテル、スポーツサイエンスやテクノロジーの研究室も設けた、ナショナルトレーニングセンターさながらの学校で驚くばかり。研究室では選手の靴の開発やウェアの素材、ボールの新製品等の研究がアディダスやナイキ、リーボック等世界のスポーツブランドと共同で行われている。ちょっと誇らしかったのは、そこで活躍する機械類は全て日本製で、我国の技術力の高さを改めて認識する事ができた。
既にカナダ、韓国等5ヶ国からオファーが来ているが、理事長も学長も「是非日本を第一に受け入れたい。オリンピック期間だけでなく長いスパンで学術や技術で協力したいし、学生の交流も期待したい」とラブコールを受けた。政府代表とは言え予算を預からずに交渉するのだから、他の省庁の外交交渉とはかなり段取りが異なるが、タイムリミットが来月なのでまずはお借りする方向で再会を約束した。ちなみに2016年東京になった場合、イギリス選手団に同様のサポートができないか要請があったので、「私の地元は22の大学のある学園都市で宿泊施設も豊富、全ての競技に対応はできないが、是非八王子でキャンプを」と薦めると大喜びで無事会議は終わった。
本市に限らず80を超える三多摩の大学群と、各自治体施設の組み合わせによって三多摩らしいバックアップで五輪を盛り上げられたらオール東京になるのではないかと確信した。
駆け足の出張で時差ボケのまま帰国の途についたが、改めて各国の反応は上々で、異口同音に言われた事は「日本、そして東京できちんとしたオリンピックが開催できる事は誰も疑う余地はない。問題は2016年以降、日本がアジアや世界にスポーツを通じて何をしたいのか? してくれるのか? に期待が集まっている。豊富なメダリスト達がその後のキャリアを海外の指導等で活躍したり、後進国の体育指導に力を貸してくれたりを世界は注目している」「それが北京との違いでは?」等々発言に目を覚まされる思いだった。
来年2月の立候補ファイルの提出を控え、競技施設や宿泊施設、交通インフラ、治安や環境ばかりに気と取られていたが、世界の健康や体力向上、福祉に対して何をすべきか? 来週から改めて協議を重ねたい。