10月10日をもって1人の配信者が姿を消した。最も影響力を持つ配信者の1人渋谷のキングだ。イエローバスターズ設立者、スカBAN発見者、外部配信人気の導火線。ニコ生リスナーなら彼の名前を一度は耳にしたことがあるだろう。多大な功績と持ち前のトークスキルと根っからのエンターテイメント性を武器に配信界を大いに盛り上げた。彼の影響を受けて配信を始めた者も多くいるだろう。
 今回、渋谷のキングの引退の餞として当ブログでも記事を書かせていただきたい。渋谷のキングと言えば、まず最初に挙るのが声であろう。「汚い系のイケボ」のジャンルを定着させたのも思えばこの男ではないだろうか。だみ声で歌うラップにはどこか、独特の中毒性はないだろうか。けして、綺麗な声ではないのに聞き惚れてしまう自分がいる。といったところだろうか。あの声は定着さえさせてしまえば、懐かしさすら感じるのではないだろうか。人気の秘密の1つには人を寄せ付けてさらに離さないあの声にあると私は考える。
 当然、声だけで人は集まらない。なぜ見るか。面白いからである。かつて、石川典行氏の配信中、配信者を努力型と天才型に分けた回があった。自分や横山緑氏、コレコレ氏は紛れもない努力型で、唯一の天才型は渋谷のキングである。と発言したのを記憶している。どんな状況でも笑いに変えてしまうセンスを持ち合わせていると高く評価していた。その件を受けて私もキングの配信に足を運ぶことが多くなった。そして、確信したのだ。確かに天才だ。はずれ枠という言葉は彼の前では全く意味をなさないのだ。言い換えれば彼の配信はすべて「当たり枠」なのだ。こう断言してしまうと大げさに聞こえるかもしれないが、キング配信に常駐していたリスナーに聞けば口を揃えて答えるだろう。「キングは神回しか出さない」と。外部であそこまで安定してリスナーが減らなかったのもここに原因があるのかもしれない。キング配信は見逃せないのだ。面白さの波がいつ来るか分からないのだ。予測不可能の面白さ。
 ニコ生を愛し、リスナーを心から愛していた男というと疑問視する意見が多数押し寄せそうだが、私はあえてそう公言したい。渋谷のキングは配信を活気づけることに全身全霊を注いだのだ。ニコ生を追い出されも尚、配信に拘り続けた理由は紛れもなく、次の時代の形成なのだ。天才配信者渋谷のキングは、自身の役目を終えて巣立っていったのだ。紛れもなく私は芸術家だ。これほどの配信者は今後でるのだろうか。そして渋谷のキングはいつか戻ってくるのだろうか。
 若者のエネルギッシュな街の代名詞「渋谷」を自らの名前に取り入れたのは、時代を担う我々へのメッセージなのかもしれない。そう。「強く生きろ」と。
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(参考URL:http://www.nicovideo.jp/watch/sm19091537 )