2009年11月08日




「…大丈夫?」
それは、小学生ぐらいと思われる小さな男の子。
短髪で、半袖に半ズボンという身なり…。
いかにもわんぱくそうな子供…といった雰囲気を感じます。

「はい、だいじょ…あっ!? ジウ!」
「ふぇっ…?」
由奈と口論していたジウさんだったが、
男の子に名前を呼ばれて、そっちを振り向く。

「あっ…ケヴィンじゃない。 おはよ~。」
「ジウ、大変なんだ!」
サンマ焼きを頬張りながらほのぼのしてるジウさんと対照的に、
男の子はなんだか焦ったような形相をしている。
「うちの庭で、人がたおれてるんだよ! 話しかけても
ぜんぜん返事しなくて…! 血がいっぱい出てて…!」

……

「わ…わかった! すぐに行くよ!」
何やら、只ならぬ事態が発生しているらしい。

「……。」
駆け出した男の子とジウさんの後を追うため、
僕もすぐに走り出すことにした。




走り始めてから、およそ10分。
榛名たちは、目的の現場へと到着した。

そこにあった光景は…。
小さな庭の草むらの中で横たわって倒れている、一人の男の姿。
男の上半身には、血が滲んだ包帯がいくつも巻かれている。

「大丈夫ですか?」
榛名は男のそばまで行ってひざまずくと、
その容体を注意深く観察する。

……

負傷してる箇所は多いが…それほど深い傷跡はない。
出血の量も、命に別状があるほどのものとは思えない。
しかしながら、男の体は衰弱しきっており…
全身から疲労の色が滲み出ている。
榛名は、そんなふうに感じているようだ。

「ハル兄~!」
「本当だ! 人が倒れてるぞ!!」
「ま…まさか、死んでんのか?」

男の元にジウや由奈をはじめ、市場でケヴィンの話を聞いていた
数人の町人たちが集まってくる。

「とりあえず、命に別状はなさそうです。
そんなに酷い怪我をしているわけでもなさそうですし…。」
「で、でも…すごいグッタリしてるよ? その人。」
ジウは息を切らしながら、榛名に言葉を返す。
「はい。 何にせよ、早く病院へ運んでいったほうが…。」

……

「…?」

「ちょっ…。 こ、これって…!?」
「な…なんだ?」
「うわっ…! じ…地震!?」

突然、地面が小刻みに震え出した。
その場にいた人間たちは、一様に動揺の色を見せる。

……


…妙だな。
『彼』が復活する前兆にしては…
まだ、時期が早過ぎる気がしてならない。

……

やはり、わたしの予言通りというわけにはいかないか…。
……
これから果たして、『彼』が何を起こしてくるか…。
油断をせず、見守らなければなりませんね。





「ありがとうございます。 …ご迷惑をおかけしました。」
「いえ…。 困った時は、お互い様ですよ。」
「とりあえず無事みたいで、ホッとしました~!」

ここは、病院の一室。
運び込まれた男性は、しばらくすると意識を取り戻してくれた。
まだ身元が判明していないので…ジウさんと僕ら兄妹で、
こうして彼の付き添いをしているわけです。

「あっしは、ウルゲイといいます。
エボラという村に住んでるのですが…ちょっと用事がありまして、
リシャーナのほうまで行く予定だったのですが…。」

ウルゲイと名乗ったその男性。
年齢は、50歳ぐらいだろうか…。
背はそれほど高くないが…なかなかがっしりした体型を
しているように見えます。

「スサンボ山を越える途中に、山賊に襲われまして…。
食べ物もろくに食ってなかったもんですし、
もう頭がフラフラしまして…。」
「で…あんな所に倒れてたわけですね?」
ジウさんが確認するように尋ねると
ウルゲイさんは「はい」と答え、小さく頷いた。

「最近になって、山賊の被害が増えていることは
聞いていたのですが…。」
「…ふぇっ?」

「だったらなんで、山を越えようなんて思ったんですか?」
「いえ…。 どうしても…できるだけ早くに、
用事を済ませたかったものですから。」

「……。」
ふむ…。
よくわからないが、ウルゲイさんのその用事というのは
なかなかに重大なものらしい。
少なくとも、本人にとっては…だけど。

「その用事っていうのは?」
「いえ、まぁ…。 ちょっとした、届け物ですよ。」

 

 

 









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hajimarinouta at 02:17コメント(3)トラックバック(0) 
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