HTスケートボードスクール 多田 ハジメ ブログ

HTスケートボードスクール理念「人々とスケートボーディングを繋ぐ架け橋である」 多田 肇(ただ はじめ)1973年11月神戸生まれのプロスケートボーダー。スケート歴26年。1987年14歳で始め入門3年目でプロ転向。10年目の1997年AJSA全日本スケートボード東京大会プロストリート部門で準優勝。日本で2位となる。現在HTスケートボード・スクール運営中。日本で常時きちんと開催されるスケボースクールを最初に開校させた第一人者の多田が、スクールの様子や役立つ情報を掲載します。「流行にとらわれず本質を見極める」といったスピリッツも伝えていきたいと思います。(こうやって皆さまと繋がっていられることに感謝しております)

新年明けまして、おめでとうございます☆

新年明けまして、おめでとうございます。

今年もスケートボーディングがみなさまの心身の健康に役立つことをお祈りしております。

学校を休まず、職場やお客さまから「ありがとう!」と言って頂けるようにしっかりお仕事をこなしてから、初めて、私たちにはスケートボードができる権利があると思っています。

やる事をしっかりやった後なら、たとえ滑る時間が減っても、充実した気持ちになれると思っています。

そして忘れないで欲しいのは、スケートボードが上手いことは素晴らしいことですが、それで「その人が偉くなった」ということにはなりません。

私はいつも、スケートボードが上手いことと、それが人々の役に立ったり、困った人を助けているかは、まったく別の問題であって、混同してはならない事だと強く意識しながら生きています。

初対面の相手にも自然な笑顔ができて、心が入った挨拶ができる優しい人になってください。その方がスケートボードが上手くなること自体よりも、よっぽど人の心を救える人に成って頂けると思っています。

私ならそれが出来る人がいれば、お子様であろうと、入門者であろうと、他の上級者達よりも大きく評価します。

そして強い人に着いて行くだけの生き方ではなく、自分が強くなって、周りにいらっしゃる(自分よりもたまたま)立場の弱い方、ご苦労されている方、お世話になった方々を大切にしてあげてください。

あなたのそばにいる人へ私が優しくすることはできません。あなたにしか出来ません。

完璧にこなさなくてもいいので、恥ずかしくないと思えるシーンから「良い人」に近づく挑戦をしてみてください。私も毎日失敗しながら頑張っています。

そしてもしお時間があれば、私たちが生まれる前の時代、子供が親に敬語を使っていたり、着物を来ていた女性が多かった時代の映画を観たりしながら、日本の良さが出ているキレイな日本語、粋な日本語が人々の生活をどれほど味わい深くするかを感じてみて下さい。

私の勝手な感性で「上等だなぁ」と感じる映画は、小津安二郎 監督の「秋刀魚の味(1962年)」や「浮草(カラー版・1959年)」です。「こういう表情でこういう言葉を使うと、その場の空気がこんなに色鮮やかになるんだ」と思って観ていると、その世界に入り込んでしまって何十回観ても飽きません。

今年も宜しくお願い致します。

多田 肇 



自信を持つ、本当の自信とは何か

今年もHTスクールにご参加くださった皆様、このブログをご愛読くださる皆様、本当にありがとうございました。そして1年間お疲れさまでした☆

来年はぜひ、益々の自信をもって進んでください。

自信を持つと、優しく爽やかな顔になれます。そして外出先で言葉を交わすであろう、一回きりの人に対しても優しくなれます。

自信を持つことに「根拠はいらない」と思っています。これは私自身にとってもそうです。 

ただ「それが自信だ」と勘違いしやすい別の事柄もあります。ちょっといい服装をして「どうだ」と思ったり、見た目や所有物を怖そうにして「そこどけそこどけ」という心理状態になること。 これらは自信ではなく「保身」や「いじめの精神」です。それでは弱いままの自分を、アイテムで包んでガードしているに過ぎないのです。

本当の自信は、持てば持つほど、優しくなれてその場を相手に譲れるようになります。

例えば、スケートスポットに複数で集まると、上手い人から入門者まで、みんな自分の滑りを見てほしい。だからみんなが「自分を見てくれ」とばかりにバラバラに滑り始めて、見て上げる人がゼロ人なのです。これを私は「混沌とした世界」と感じていて、何の規律もルールもない無駄な時間になってしまうのです。

こういうときに、もちろん私も滑りたい。見てほしい。褒めてほしい。でもその気持を自分だけは脱ぎ捨てられる人間であると自信を持つべきです。ですからあなたもグッと気持ちを抑えて、滑ってしまわずに、みんなを褒める側になってください。そしたらみんなにとって「自分を認めてくれる人はあなたしかいない」となってすぐに人気者になれます。

そしてみんなと30分ずらして滑ればいいのです。その時はみんな疲れて休憩していたり、混沌としていた場の空気から整地された流れのある環境に変わっているかもしれません。

みんな褒められると、褒め返してくれる優しい人ばかりです。普通の人間心理は、まず自分が褒められて、褒め返しても損がない状態に置かれて初めて相手を褒める余裕ができるのです。だからこそあなただけは、ゼロから相手を褒められる人であってください。

ぼくはレジの人にもしょっちゅう声をかけるし、土日やXmasやお正月に働いている人に対しては「大変ですが、がんばってください」と一声かけるようにしています。そうすれば相手は急に顔が笑顔になって、元気が増したようにしてくれます。二度と合わない同士ですが、お互いにその後もずっと気持ちがいい。

そう考えると、自信って、勇気だったり、優しさから生まれるものなのかな?と思います。ちまたで勘違いされる、カッコイイ服やアイテムで自分を包むことで、ホッとしたり、ちょっと得意げになること。これは自信ではありません。私もそうした欲はありますが、自分もふくめ人間のむなしい性だと思っています。

優しさやちょっとした勇気。それを土台に、「あ、この人こうしてあげたら喜んでくれそう!」と瞬時に感じてやってあげる。このパッとひらめくことが自分の発想を信じている=自信だと思うのです。

本当の自信を持っていれば、それは精神的な強さであり豊かさですので、いざ自分より相手の方がオシャレだとか、豊かそうだ、といったことにはこれっぽっちも意識がいくことなく、そうした競争にはヒラっともなびかない。あなただけがもっと大切なことを知っているのです。

もちろん話はそれますが、相手の方のクルマや持ち物が、その人の裏に隠れる見えない豊かさを明確に物語っている時もあります。しかし、そんな時でも「素敵ですね!益々のご繁栄をお祈りしています!」と言ってあげれば、その後自分も相手も気持ちがいいものです。

また逆に、自分がたまたま良い物をもっていて、それを所有することを楽しんでいても、そうした喜びは、いつでも脱ぎ捨てられる人であって欲しいと思います。本気でのめりこまず、自分で「バカなことだよ」と認識しながら、いつでも生活水準を元に戻して、倹約生活にスイッチを切り替えたり、感謝を思い出すことに時間を割いたり、志を高く修正しなおすことが出来る自分を、常に心のどこかに置いておくべきだと思っています。

人を助けたりする本物の幸福感は、心が冷静で強いまま味わえます。しかし、一見「これが幸福だ」と勘違いしやすい「快楽」。この快楽に走っている時は、感情を暴走させており、自分が自分の感情に操られている状態です。

そういう時のサインは、人生でやるべきこと、大切なことを「面倒くさいな〜」と感じているはずです。そういう時は、「いけない、一見楽しめているようだけど、実は本当の幸福からはどんどん遠ざかっている」と認識すべきだと思っています。

・自信の持ち方    
   
自信の持ち方ですが、そのまえに本当の「自信」とは何か?を適切に理解することが大切です。でないと方向性を間違えて悪くなろうとする人も出てくるでしょう。


そして「ただ優しい」のではなく、哲学を持って優しくできることが大切です。単なる優しさでは、厳しくすべき場面で、なんでもかんでも優しくしてしまい、相手を歪んだ考え方に育ててしまう可能性があるからです。自分オリジナルの哲学が必要です。

受け身で生きていると、判断能力を持てないまま、「偽物の安心」に頼ってしまうことが多くなります。見た目のよい服や所持品で自分を気持ちよくしたり(みんな自分を褒めてほしいと思っていて、褒める側の人がいません)、所属やシステムに乗っかって、そこから下される判断や流れに身を任せることで安心する。

こうした安らぎは、自信に欠けた瞬間的な幻想なので、厳しくいえば、自分の思考力を失っていきながら一時的に気がまぎれる、いわば麻薬の様なものだと思っています。ルールがある世界に飛び込むときも、常に「でもここはおかしい」と思えることが大切です。そういう意味で、ネットショッピングのサイトを開くと、沢山の魅力的なアイテムに私は半分「素敵だな〜」と憧れながら、半分は「麻薬でいっぱいだ」と同時に真逆の世界から物事を見つめています。

こちらに影響を与えようとして来たり、自(みずか)ら影響されてしまう存在は家の中・外に関係なく無限にあります。駅や街の雰囲気、それが正しいという表情をするテレビの出演者、ラジオ、店内放送、大行列、巧妙な契約内容、先生、先輩、有名人、広告、YouTube、街を歩く人々の表情、身内や友達や自分の子供でさえも。

これら影響主が私たちに「そうでしょ?」と押し迫ってきても、私たちは冷静に心の脈拍が一切みだれずに「いいえ、そう思いません」とか「確かにそうです」と"自分の判断"で答えられる様になることが大切です。

(賛成しないことと、従わないことは別です。賛成できなくてもルールには従うべきだと思っています。また相手の気持ちを配慮して心ではノーでも優しく笑顔で「そうですね」と言ってあげることは更に素晴らしいことだと思っています)

物事の判断基準は、他の人の言動を参考にした判断を「自分の判断だ」とすり替えてしまうことが沢山あります。相手に向かって「先生が言っていたもん」「印刷物にそう書いてあったもん」と言い返してしまう自分が居たら、注意が必要です。他の人の言動は、いくらその人が権威とされていても、あくまでも材料として扱い、それは本音なのか?それとも自分にとっては適切ではない平均的なセリフなのか?を最終的に自分の判断を被せられる様になれるべきだと感じます。

すこし傲慢かも知れませんが、皆様には、自分が職場や社会の父や母になったつもりで、時には厳しくしてやらないと伝わらない、でも基本は笑顔で過ごさせてあげたい、と責任と愛情の両面から、「(社会の為になるには)この問題はイエスか?ノーか?」と考えられる人になって欲しいと思っています。

自分の為じゃないですよ。自分の問題を問う時でさえ「それが社会の為にもなるのか?」というフィルターをかけるべきなのです。それが誠実さだと思っています。

森の中へ行ってもよい。川や湖に行ったり、滝の近くで考えてもよい。部屋の中でお線香を焚いてもいい。たとえ一時期収入が減っても、そうした時間は確保すべきだと思っています。

・自分の頭で物事を考えられる様に成る

自分の頭で物事を考えられる様に成るための一番の方法は、人生とはなんだ?宇宙とはなんだ?命とはなんだ?人とはなんだ?親とはなんだ?食事とはなんだ?体を動かすとはなんだ?人はなぜ笑うのか?人はなぜ怒るのか?人はなぜ人の顔を見るのか?なぜ人間には寂しいという感情が湧くのか?その出所はなにか?いつかは死ぬからか?寿命があるからか?夜が暗いから?なぜ人々は一緒に笑うことがあるのだろう?どうすれば人々は喜んでくれるのだろう?どうすれば自分や人々の気持ちが明るくなるのだろう?

もし自分ひとりが荒野の焼け野原に立たされたら、まず何からやるだろう?自分の判断で一人ずつ「この人だ」と思える仲間を増やす性格なのだろうか?それとも、既に出来上がったコミュニティを探して仲間に入れてもらう性格なのだろうか?その両面があるのか?何割ずつだろうか?私はすべての問にパパっと答えられます。 (他にも問をご自身で付け足してください。そして現時点のご自身での答を紙に書いてみてください。数年後にはきっと笑ってしまう幼稚な答に感じるかもしれません。私もいつもそうです!)

そうしたことを何年間も、ずっと考え抜くのです。(私は死ぬまで続けるでしょう。私にとってそれが自分の人生を生きるという事だからです。そしてこれは奇跡的なことですが、幸運にもそうしたことを語り合える友が一人でもいれば、人生はとてま豊かなものになると思います。)

そうすれば、世の中で何が歪んだものなのか?近づかない方が無事なものはなにか?何が適切か?謙虚な姿とはなにか?高慢な姿とはなにか?感謝を忘れてしまった姿とはなにか?だれもが観ても気持ちいい姿とはなにか?こうしたことが自分の頭で分かってきます。

これらは「目では見えない」事柄です。自分だけが可愛い人には理解できません。優しい心を使ってしか見ることができないのです。心の成熟がいるのです。

でもあなたに優しさと冷静さと、物事を考え抜くのが楽しいなと感じることができれば、自分に対しても、他人と付き合う時でも、様々なことが瞬間的に見抜けるようになってきます。

その為には、与えてもらえた自分の人生を自分で救うことです。その為に自分で考えるのです。私たちの普段の服装や持ち物などを変える必要はありませんし、いまやっているお仕事や活動も一切変える必要はないと思っています。

学校や仕事やご家庭で問題が発生しても、問題が起きることと、自信を持ち続けることは、一切別問題です。だれもが日々の用事や問題は解決していかなければいけませんが、たとえ今の状況が悪化しても、面白みに欠けていても、人の権利として「自信を失うべき」という決まりはありません。顔はキリッと毅然としていれば運気は保てます。

自信を持つ表情や姿。そこから放たてる雰囲気が、仲間であろうと、レジの店員さんであろうと、周りの人々に良い影響与え、あなたから何かを奪い取ろうとしているズルい人は、その正義の雰囲気によって居づらくなり離れていくかもしれません。

また、あなたを道具として使ってやろうと思っている人も、その雰囲気から「この人はやめておこう」と思って別の場所へ去ってしまうかもしれません。

いつの時代も、本当の自信というものはとても大切で貴重です。みんな光を求めています。人間は、他の人から光をもらうことで楽をして明るくなろうとしがちです。でも、もらった光はくれた人が去れば暗くなってしまいます。

自分から光りましょう。その為の自信です。その光の光源があなたの中に絶対にありますし、今も光っていると思います。

世の中には、強そう(悪くて・怖そう)に振る舞う人が沢山います。いま世界経済がドンドン平均化され、景気が下り坂になっている日本では、こうした人々は益々増えてくると思います。でもそれは、優しさの欠如と弱さからくる、安易な生き残り方だと思っています。彼らは世の中に怯えているのです。

心理学者のアドラーの言葉にとても含蓄があるものがあります。

「普通でいる勇気のない者は、すぐ特別になろうとする。

特別になれない者は、必ず悪くなろうとする。

彼はそれで、安直な成功と優越を手に入れるのである。」

本当の自信とは、競争で勝ったり承認欲求を満たすことで得られるものではなく、周りの方々へ感じる愛情や慈しみの気持ちから芽生えるものだと思っています。 そして本当の自信を持つためには、特別になる必要も悪くなる必要もなく、ただ「一つひとつの物事の答を、自分の力で考え出してみる」ことによって育むことができると思っています。

上手く行っているときに自分を信じることは、誰にでもできます。それは才能でも強さでもありません。ただ傲慢なだけです。

本当の自信とは「自分の状況」には関係ないものです。揺れ動かないものです。

多田 肇(ただ はじめ)

・ぜひ一度、メニューが豊富なパソコン画面での閲覧をおすすめ致します。
(スマホ表示では本文しか表示されません!)多田より

トラックのお話 ベンチャーVSインディペンデント 多田 肇

いつも当ブログをお読みくださりありがとうございます☆

今年も色々なご質問に答えてきましたが、今年最後のご質問を新米さんから頂きました。他の読者さまからもご質問がありましたらお待ちしております。お答えの内容はトラックに関したことになっておりますが、参考になりましたら幸いです。


ご質問------------------------------
今年は何度も質問させていただき、真摯に回答までしていただきありがとうございます。(自分だけ質問しているようで恥ずかしいのですが) そこでもしよろしければ、今年最後の質問をさせて下さい!! 
ズバリ多田さんが考える良いデッキとはなんでしょうか??、、というのも今年自分は、道具に関してトライ・アンド・エラーの一年間でした。特にトラックはベンチャー系か?インディ系か?でかなり悩みました。操作性重視でインディ系(indy.krux.ace)を新御三家として向かい入れました笑。しかし、灯台下暗しと言いますかデッキについては曖昧で抽象的な知識しか持っていません、ネットに転がるありきたりな知識というべきでしょうか、例えば「カナディアンメープルを使ってるから頑丈」「このデッキはエポキシ接着剤を使用してます」のような情報しか集めることができません。ある人は「ブランド物は安いブランクにグラフィックを貼り付けてるだけだよ」ある人は「ブランド物は素材から厳選してるからそれはない!」などコンシューマサイドからすると何を基準に選べばいいのか?わからないのが本音です。これがアメリカであれば、あそこのデッキはチープだとかあそこのプレスは最高だとか日本よりかは分かり易いんでしょうけど、、、。多田さんの立場上言える範囲で構わないので、デッキにまつわるエトセトラ的なことを聞いて見たいです。どうぞ宜しくお願い致します。
------------------------------以上ご質問でした。



新米さん、いつもご質問ありがとうございます☆
まずはトラックですが、皆さんご存知のようにINDEPENDENT(以下INDE)はスケートボードでトラックをつま先側、カカト側へと踏み込んだときに、最小回転半径が小さい(狭く曲がれる)ので、強く曲がりたい時に助かるトラックです。

もし、あまり曲がってくれない反応の鈍いトラックでノーズの方向を強く変えたい時は、前輪を浮かせて置き換えてやらないといけないので、いちいち(1)重心をリヤに移動させ→(2)テールを踏んで→(3)前輪を浮かせて→(4)希望の角度へノーズを向けて前輪を置く、という厳密には4つもの余分なアクションがいるのです。

これがINDEなら4輪べったりのままで、ただ両足のつま先(もしくはカカト)を踏めば、鋭く曲がってくれますので、クルマでいる「切り返しが不要」なのと一緒で、最小回転半径が小さい足をもった乗り物は「本当に楽」です。クイックなトラックは多少の方向転換でしたら上記に書いた4つのアクションが省(はぶ)けるのです。(もちろんINDEでも曲がりきれない鋭い方向転換は、さすがにノーズを浮かせます)

逆にVENTURE(以下ベンチャー)は、「曲がって欲しくない時」に本当に助かります。よくINDEでフリップの構えをしているライダーが、トントンと前輪を浮かせて曲がってしまったノーズを元のラインに戻しながら構えているのを目にします。あれはフリップのスタンスで大抵はボードのカカト側に負荷が偏るので、入力に神経質なINDEが反応してしまってライダーの背中側に曲がってしまうのです。でもここでのライダーの希望はフリップスタンスでもボードにはまっすぐに走って欲しい。こうした時にベンチャーは最高のトラックだと思います。ちょっと踏んだぐらいじゃ曲がらないからです。(厳密には少しでも踏むと曲がっているのですが、ライダーのライン取りには問題ないぐらいの小さな反応しかしていないのです)

ここで自然に上がってくる「ベンチャーは初心者向きなのか?」という議論なのですが、私の考えはちょっと違っていて、「スタンバイ(技に入る直前の安定性)はヴェンチャーが勝る」「困難な着地のフォロー力はINDEが勝る」と思っています。なぜならスタンバイ時は体勢は乱れていません。ただ初心者がされるフリップスタンスの様に、差し引きボードのセンターラインに綺麗に負荷がかるスタンバイが出来れば最高ですが、そこまで出来ないスキルもしくはそこまでやっていられないバラついた負荷でボードを踏んでスタンバイしている時に(プロでも多いです)、ベンチャーはそれでも比較的まっすぐに走らせてくれるのです。

次は着地時のお話ですが、上級者の様な、体重の何倍もの負荷が掛かる、ハードな着地をしたときに、空中でものすごい難しい技をやった後のランディングですから、プロでも必ずしも頭や腰といった一番重心を司るものがボードのセンターラインを見事にとらえた着地ではない場合が多いのです。ステアー(階段)でも7段8段を超えてくると、その他の全ては完璧な着地でも、頭部だけが(私の体感では)2センチつま先側にお辞儀してしまうと、かなりの速度とドシンと路面に負荷する着地なので、着地直後のボードが行きたい方向と、ライダーの頭部の傾けミスによる着地後の身体が行きたい方向がズレれてしまい、着地後崩壊が起こるわけです。よくビデオでライダーとボードがちゃんと一緒に着地しているのに、着地直後に崩れてしまうのを観たことがありませんか?あれが今書いている様なことなのです!

ここに書いたハードランディングに対するボードとライダー重心の些細なズレ。このズレが前後方向(ノーズ・テール方向)のズレになってしまったらどんなプロでもフォローは不可能。どんな高級な道具を使っていても、自然の摂理にしたがって崩壊するしかないのですが、しかしこれが左右方向(つま先カカト方向)のちょっとしたズレなら、バン!と着地した瞬間に、プロですから無意識に頭のブレた方向にトラックを踏むことでINDEをキュッ!っと瞬間反応させて(着地にカービングを生じさせて)辻褄を合わせてしまうのです。これは周囲でみている人々には視覚的には絶対にわからない操作で、同じレベルに到達しているプロレベルの観客だけが「わかる、わかる、頑張ったな」と目ではなく心で見抜けることなのです。(逆にカービングを生じさせないことが着地の成功に繋がるケースも多いです。SLSの大会などを観ていると超難解な技の着地などここが一番見どころです。)このフォロー力はINDEがダントツに優れています。逆にベンチャーならフォロー力がない分、ライダーがキレイにボードセンターに乗ってやらないとクリーンな着地が出来ない分、着地に関してだけは「ヴェンチャーの方がむしろ上級者向けではないか?」と私は言っても良いのではないかと思います。

もちろん物事というものは、一つのものに対して真逆の言い方もできます。INDEはハンドルを強く切れる分(対応範囲が大きい分)、切ってはいけないシーンでも強くハンドルが切れてしまう「危ない道具」とも言えるのです。そこがINDEを「良い悪い」ではなく、どんなブランドよりも「ドラマティック」にしている所だと思います。

ただ面白いのが、ここまで理論的に解説してきたことも、これを言うと、私が言ってきたことを自分で台無ししてしまう側面もあるのですが「結局は慣れ」なのです。その証拠にベンチャーとINDEという相反する操作性のブランドを移籍してしまうプロが居て、どちらのトラックでも同じ凄い技ができているのです。そういう風に観ていると人間は、ストレートに「良いもの」を選ぶのではなく、まず「感じ」で惚れてから「それに自分を合わせてゆく」ということも多いのではないでしょうか?まずは憧れであったり、また、気持ちと技術が一致すれば、どんなトラックでも同じことが出来るということです。

そしてよく勘違いされていることで、ベンチャーからINDEに移籍するプロも多くいるのですが、「乗りやすいからINDEへ行く」のではなく、「ちょっと踏み込んだだけで過剰反応してしまうジャジャ馬をオレは手なずける能力があるんだ!」というひねくれた所を玄人は愛する面があるので、多くのプロは「いつかはINDE乗りになりたい」と思っているのではないでしょうか。それをアマチュアの人々は表面的に観て「やっぱりINDEが乗りやすいんだ」と評価してしまう。「乗りやすい」からとは限らない。これは本当に娯楽の次元であり、素直で純粋な少年の心から見れべば無意味と言えば無意味であり、ぜんぶ観てきた私としては「マニアが感情遊びをしているに過ぎない」とも理解できます。

「カッコイイ」と「シブい」は同じ褒め言葉ですが、スケートボード界ではニュアンスが明確に違っていて、より凄い技ができることは「カッコイイ」と言い、同じ技でもより悪条件な道具や環境でやってしまうことにや、平均的な考え方を逸脱(いつだつ)した滑り方を「シブい」と言います。

私は昔から素直に「カッコイイこと」が素敵だと思う性格なのですが、30年間業界を観ていても、昔からなぜかスケートボード界は、カッコよさよりも、この「シブさ」を評価する風潮が大きく(余談ですが特に日本は異常なぐらいその傾向が強いのではないかと思います)、楽することをクールではないという風潮から、良いこと尽くしの「スリックボトム」が主流にならなかったり、道具の進化を嫌ってテクノロジーデッキが一時期の流行にしかならなかったりと、「ライダー自身が度胸と生き様でどこまで行けるのか?」という空気が良くも悪くも根深い世界だと感じています。だからこそウィールは白、グリップテープは黒、という頑固なところもあるのだと思います。

トラックの話に戻しますと、ベンチャーは静かで大人しく乗り手を優しく歓迎してくれますが、緊急時のフォロー力(りょく)に欠ける。INDEはジャジャ馬でとっつきにくいが手懐(てなづ)けるとこれほど気持ちと一体になってくれる足はない。

もっと言えば、
・ベンチャーは頭や腰さえちゃんとボードのセンターに乗っていれば、めちゃくちゃに踏んでもまっすぐ進んでくれる。

・INDEは頭や腰がボードから逸脱しても、キュッとトラックを踏み込めば、さっと自分の真下にボードが潜り込んで来てくれる。

究極的にはこの違いだと思います。

話がそれてすみません、トラックのお話とは少し違うのですが「道具を語る」という精神面では、INDEはクルマで言うと、電子制御(安全装置)が沢山付くまえの「昔のポルシェ」の様に感じます。ヨー(回転方向の慣性力)が強まる奥深いコーナーだと、誤って数センチ余分にアクセルを踏んだりすると重たいお尻が流れてスピンして大事故になり、かといって普段は極端に前輪荷重が小さい設計なのでブレーキングで上手く前輪へ荷重を乗せてやらないと(面圧を高めると言います)、前輪にコーナーリングフォース(曲がる力)が出ずに、膨らんでガードレールに突っ込むのです。

乗り手にものすごいデリカシーが求められるのですが、その瀬戸際(限界のちょっと手前)で速くスムーズに走らせているときは、これほど「このクルマは自分の能力で乗っているんだ!」と思わせる道具はないのです。適切なドライバーが居て初めて、この鉄の固まりは→クルマとして成り得るんだ!と感じさせられる喜びがあるのです。

最後にまとめると、どんな道具を使われようと、最終的にはそのライダーさんご本人から溢れ出す魅力が一番大切だと思っています!INDEでも何年乗っても新品の様にキズが入っていない(もちろんターンを楽しむ人はそうです)場合もあるし、ベンチャーでもシャフトが見えるぐらいグラインドで攻めている人もいます。どんな道具でもその人個人が楽しんでいれば、どっちを使うか?が議論ではなく、パークや社会性がある場所では「そう言えばトラックは何を使っているの?」ぐらいの薄い存在で道具は良いのではないかと思います。そしてもっと人間主体であることが大切ではないかと思う時もあります。(しかし私もここまで語っている時点で、道具をどれほど愛しているのかというのを感じて頂けていると思います)

すごくこだわりたい部分だし、でもこだわっていない感じがクールである。

長くなりましたので、デッキのお話はまた触れることが出来ればと思っております。
いつもありがとうございます☆

多田 肇(タダハジメ)


HTスクール 2017秋の会 お疲れさまでした☆

今年2017年もHTスクール「春の会」と「秋の会」を開かせて頂きました☆お越しいただけた生徒さまの皆さま、誠にありがとうございました。生徒の皆さまは、暑い日も寒い日も笑顔でご参加くださいました。そしてしっかり上達してくださいました。本当にお疲れ様でした☆

今年の秋は雨が多く、ご予約をくださっているにも関わらず、ご参加できなかった方々も沢山おられます。天候の理由とは言え、本当に申し訳ありませんでした。m(_ _)m


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↑奈良からご参加の生徒さまのノー・コンプライ(NO-COMPLY)!いつもお伝えしたことを、次回お会いする時にはそれ以上にマスターして来てくださり、私もいつもビックリしております!これからもスケートボーディングの神秘的な世界を楽しんでいってください☆もちろん私が常々生徒さま全員へ思っていることは、できるだけお怪我をしないようにして、ゆっくり上達してくだされば十分だと思っております☆上達よりも、練習すること自体を楽しんでください!

ノー・コンプライという技は、私がスケートボードを始めた後の1980年代後半に生まれ、パウエルの有名なビデオ「パブリックドメイン」や「バン・ディス」で、当時のアメリカ若手ライダー達(引退してしまった大御所ばかり)が、みんな夢中になってストリートでやっていたことで、それを観た世界中のスケーターたちが憧れてやっていた技でした。

ノー・コンプライの魅力は何と言っても「一瞬でなにが起こったかわからない」こと。瞬間に足が外れてボードが180してしまう。「いつ足を降ろしたの?いつの間に足を乗せたの?」見せられた人にとっては謎だらけ。これが出来るひとと知らない人の間に、理解の差が大きすぎて、その差がカッコイイのです!好奇心の強い人ほど「何いまのは?知りたい!」となってしまうのです。

当時ハイテクだったノー・コンプライも、今では(スケート歴15年以内のライダーさん達にとっては)、「足を路面に降ろす」ということだけでインバートやハンドプラント同様に「オールドトリック扱い」してしまうかも知れませんが、スケートボーディングの本質的な動きが沢山詰まった素晴らしい技であり、これほどクラシックとモダンさが調和した技はないと思います。


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↑おなじく奈良県からご参加の生徒さまのバックサイド・パワースライドターン!写真では簡単そうに見えますが、自分の真下にないといけないボードを、あえて後輪をかかと側に押し出して、あえて不安定で身体の倒れた状況を作り出して、ターンする高度な技術です。中学生になられて(HTスクールは大人のスクールですが特別にお越し頂いております)部活動もお忙しい中、いつも遠方から基本お一人で来てくださいます。その逞しさに、親御さんのお子様に対する多大な信頼や、HTスクールの事をご理解してくださっていることが凄く伝わりいつも感謝しております。誠にありがとうございます!


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↑地元神戸市からご参加の生徒さまのバックサイド・パワースライドターン!ただでさえ難しいパワースライド。それの更に恐怖感の高いバックサイド(背中側)。初挑戦に関わらず、どんどんご理解を深めてくださいました☆いつもお気持ちを安定させ、スポーツを理論的に楽しんでくださる姿に感謝しております。いつもありがとうございます☆


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↑大阪府からご参加の生徒さまのバックサイド・パワースライドターン!いつもHTスクールの都合を気にかけてくださったり、ご本人も生徒さまという立場に関わらず、他の生徒さまを優先して、一歩下がってくださる紳士的な優しさには、私の心も体力も本当に支えられています。スケートボーディングはもちろん、四季の空気を笑顔にだして楽しんでくださったり、HTスクールにご参加されることを「一週間の大切な区切り」としてくださっています。本当にいつもありがとうございます☆

その他ご紹介できていない生徒さまもおられますが、今年もご参加ありがとうございました!
そして良い年をお迎えくださいませ。

冬は炊事や洗濯、また外出や運転など、どんなことも手が冷たく寒く大変な時期ですが、出来るだけ工夫して温かく快適になるようにお過ごしください。そして私も自分を戒めるために心がけているのですが、ずーっと暖房の中にいたり、何の感謝もなく家電のスイッチをONにしている状態は、経済やインフラに対する感謝に欠け、四季の感覚から遠ざかってしまっている状態です。あえて寒いバルコニーに出たり、ときには温かさよりも新鮮で冷たい空気を求めることも大切だと思っています☆

多田 ハジメ

大会で勝つこと自体には何の意味もない

秋も深まり、紅葉がとても綺麗になってきました。

みなさまも足腰を冷やさない様に、温かくしてお過ごしくださいませ。

「大会で勝つこと自体には何の意味もない」
     
私が、過去のプロ生活での何十戦(少年時代の地元の大会を含めると3ケタに軽く到達する参戦数)もの戦いで、入賞や優勝して来、1997年には全日本プロで準優勝した経験をもっても、

そう思っております。

理由は「(大会に勝った時点では)まだ誰の役にも立てていない」という事です。自分の「やった〜」と言う思いが瞬間的にあっただけで、その時点ではまだ社会貢献出来ていないからです。

ただ、唯一良かったと思えるのは「勝ったという事自体には何の意味もなかった」という事を、身をもって知れた事です。

多くのまだ天下を取っていない選手さんや、これからのアマチュアの方々は、この事をまだ知らずに、「勝てば凄い幸せが、むこうから流れ込んでくる」と思い込んで、多大な時間を投資しています。しかしご理解していてほしいことは、入賞という「戦歴」が意味するものは、例えば就職する人が買って用意した一つのカバンの様なもので、「単なるツール」に過ぎません。

もちろん上手くなることを「楽しんで」いれば、意味はまったく異なり、最高だと思います。人生においての「その時」を楽しく過ごしており、毎日「元が取れている」からです。

しかし「勝ったあかつきには、何か良い事が待っているはず!」と苦しみに似た頑張り方をされている方には、真実は何も待っておらず、タイトルの通り「大会で勝つこと自体には何の意味もない」と先に言ってあげたいと思っています。

もちろん雑誌に出たり、スポンサーも着きます。けれど、世間の人はみんな自分の為に日々を生きています。あなたと同様、他の人も自分の為に忙しいのです。

もっと言うなら、全日本で入賞したことでさえ実社会では「へ〜」と言われるて終わるぐらいの、小さな肩書きを一つ持てたぐらいの事です。

そして全日本でトップになれても、そこがやっとスタート地点となり、自分で自分をプロデュースして、ゼロから何か社会に貢献できる事を始めないと、その肩書きも無駄になってしまいます。

オリンピックと似ていて、もしあなたが表彰台に立てても、翌年には違う選手が表彰台に立ち、前の大会で勝った選手は年々忘れさられてしまう。世代が10年もズレると「誰ですかそれは?」となり、知っている方がむしろ年寄り扱いされることだってあるのです。(もちろんその時々にしか居ない人類の宝の様な選手は、確かにおられます)

おなじ時間投資をするのでも、これが一般社会なら20年も頑張れば、相当な地位に着け、貯金もたまっていると思います。しかしスケートボード界では、その暁に日本で天下をとっても、そこからやっと小さな肩書きを使ってのゼロスタートなのです。

しかもだれも導いてくれない。「全日本チャンピオンになったあなが、その経験を活かす方法」という説明書や教科書もない。すごく難しい社会サバイバルが待っているのです。

ですので「好きでやっている」だけで100点満点であり、その子が純粋さを保つためにも、業界のことは学ばないほうが良いと思っています。 誤解を恐れずに言いますと、むしろ業界とは距離を置いたほうが、本当に純粋なスケートボーディングが味わえるのです。楽しんでいれば十分なのです。

どんなことも評価や名誉に持って行かれる人からは「夢を壊すな」と言われるかも知れませんが、逆に業界にとって不都合なこと(ごく一部の人しかプロにはなれないこと)は黙って伝えず、煽(あお)るだけ煽って世界をドラマティックにアピールするスケートマスコミによって、純粋な気持ちを失わされて欲しくないのです。

煽るけれど、救いの世界は持っていない。そのせいで、業界にふれてガッカリする人も少なくないと思います。

そしてそうした夢は、実は夢ではなくただの欲であり、私が理想とする「夢」は、自分が(お子様が)上手くなりながら妹や弟を助けたり、自分たちがニコニコ滑っている姿が地元を活気づけて町や村やお年寄りの方々にとっての灯りになったりすることです。

素朴ですが、これが本当の幸せだと思っております。

勝つことだけを考える人間が放つコーピングの鋭い金属音や、パーク独特の緊張感も若い一瞬には良いかもしれませんが、スケートボーディングを人生のスパン、家族や大切な人とのより豊かな人生に繋げたいとするのなら、チクタクする子ども達の笑顔や真剣な眼差しのほうが、よっぽど周りまで幸せにするのです。

そしてもし、気がついたら選手の道を歩んでいても、幼いころから10年も20年も掛けて、やっと日本のトップになれた時は、身体や関節はボロボロなはずです。私も含めスポーツ選手の多くは、歳をとると普通の人々よりも早く、歩けなくなったり、腰が曲がったりすると思います。 私もスケートボードを始めた最初の年(14歳)にエアーの着地で「腰椎分離症」になり、指で触るとポコポコと触れる背中の骨が、一つすり減って消えてなくなっています。そしてある一定の姿勢や衝撃で必ず出る痛みとスケート人生30年間のすべてを付き合って来ました。

はなしがそれて恐縮ですが、
私はHTスクールを本格的に始めた30代中盤で、まだ技術的にも十分に高く飛べましたが、高ぶる心を戒(いまし)めて、高いエアーからフラットへ触接着地することを辞めました。今周りから褒められることは簡単ですし、誰よりも高く飛べる愛するジャンプランプ・オーリーを辞めるのは凄く寂しいことです。しかしそれよりも将来の自分の健康を選んでいるのです。そしてそれは大人数の入門者さまがいらっしゃるスクールの講師として、絶対に休めない為でもありました。

話を戻しまして、
そういう意味でスポーツ選手という世界は、天然でそれが大好きで、楽しんでいたら気が付いたらトップになっていた。でもその事にはとくに執着はない。という人格が唯一の本質的な進み方であり、

表彰台を目的にしている限り、勝てたとしてもプロセスが「競争と苦しみ」なので、その方程式が心に染み付いてしまい、歳をとっても同じ欲求から解放されないまま、一生を過ごすことになると思います。

それよりも、けん玉やハイキングの様な趣味にする。退屈しがちなエクササイズを、スケートボードを通じて夢中になったり、楽しくてラクなものにする。そういう使い方が良いのではないでしょうか。

もう一度言うと、「大会で勝つこと自体には何の意味もなかった」と私自身は悟りました。

しかし、あえて利点だったと言えることは「意味がないとこの目で知れたからこそ、威張りたい気持ちを持たずにすみ、自分を含めて人を一切レベルで評価しないという、とても安定した心で今の人生を送れている」と言うことです。

上手い人には本心で「すごいですね!」と(たとえ自分のことを知らない人にも)声を掛けられますし、入門者だと見受けられる人々へも「こんにちは!いいお天気ですね。私たちはお互いにすばらしい趣味をやっていますよね」 ということを例え声に出さなくても、それを笑顔に変えて会釈できるのです。

私は自身のツイッターでもいつも「自分の頭で物事を考えよう」とひつこく言っています。そしてもし人々が自分の頭で物事を考えることをやめたら、自分で自分を評価できなくなります。そして自分自信で自分を褒めたり評価できないので、そこから一生「他人から褒められたい」という病に冒(おか)されるのです。

スケートボードが上手い人でもそんな人は沢山居るのかも知れません。自己アピールや承認欲求の虜になってしまいます。また逆に上手くなりたいのになれないと悩む人は、劣等感を感じながらも威張っている上級者のSNSを追い掛けることを辞められない。そして気がつくと、自分まで相手の姿をそのまま真似た性格になってしまう。威張っている人も、それを妬んでいる人も、実は同じ種類の人間なのです。私はどちらも不幸だと感じます。

純粋な人はそうした世界があることを知りもせず、笑顔で滑っています。

真実を体験すると、そうした世界から解放され、非常に安定した心が得られます。

そしてその「安定した心」の獲得は、全日本の表彰台に立った一部の人間だけのものではなく、これからスポーツを始める方々も、最初からそう悟って頂いて良いと思っています。

そこで、
私自身が考え、心掛けているスポーツを気持ちよく行うためのコツを書かせて頂きます。

・本質的な目的からそれない
・誰とするかを慎重に選ぶ
・同じ場所に他にどんな人々がいるかも大切
・良い人や清い人が多い時間帯や曜日を選ぶ
・季節感や天候にも感謝する
・マナーのない人が居ても、自分達は笑顔でいること(左右されない)
・無視されても、こちらは挨拶する

最後に
・たとえ30分楽しむだけでも、今日学んだことを100個は言えるつもりでやる(脳を働かせる)
・そして生きていることを味わう
ということです。

これらが出来れば、あなたのスポーツマン精神は、今年スケートボード人生30周年を迎えた私とまったく同じレベルか、それ以上だと思います。

自然にこれらの条件は揃いません。こうしたことは教育抜きではできないのです。読書や素直な反省を通じた自分自身の努力がないと、ステキな世界は実現できません。世界が待ってくれているのではなく、そんな世界は無いので自分で作るのです。

雰囲気を人に頼らずに、自分に灯(あか)りをともして、笑顔で滑ってください☆

変な奴と言われるぐらいの方が、

あなたは正しい方向へ進めているのです。


多田 肇





HTスケートボードスクール 秋の会 スタート☆

HTスクール秋の会がスタートしました!

今期も、学ぶことに熱心な皆さまにご参加いただき、
本当にありがとうございます。

毎シーズン、みなさんのお元気な顔を見れるのが一番の幸せです。

昨年よりも今年、来年と成長してゆかれるお姿にご一緒できて、とても嬉しく思います。

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↑奈良県からご参加の生徒さまのノーズ・ライドによる障害物オーバー!写真ではゆっくりに見えますが、かなりのスピードが出ており、「超えた前輪を一旦降ろし、4輪の安定感を味わってから、後輪を上げる」という優雅なことはできません!常にトントン!と2輪→2輪という速い姿勢変化を求められます。学業とスケートボードを上手に両立くださっています。いつも貴重なお時間を誠にありがとうございます!


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↑地元神戸からご参加の生徒さまのノーズアップ!基礎の大切さをとても大切に意識してくださり、120分という短時間の間に、どんどんコツを掴んでくださいました。いつもありがとうございます!このあとすぐにノーズも踏むのですが、HTスクール独自のスタンスで前足がノーズに行っていないのに、ノーズが踏めます。もちろんこれは上級編ですので、基礎のしっかりノーズスタンスを飛ばしてはいけません。ベタッとしっかりノーズを踏んで操作できることも大切です☆



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↑奈良県からご参加の生徒さまです!私もおどろくほど習得が速く、とても高いレベルのレッスン内容に挑んでくださっています。スタンスもレッスン中にしっかり記憶。スケートボードの様なバランスとデリカシー勝負のスポーツは、1センチでもスタンスが狂うと使う筋肉が違ってくるので、同じパフォーマンスが出来なくなります。スタンスの大切さが身にしみられているからこその、お心がけだと感じています。いつもありがとうございます!



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↑大阪府からご参加の生徒さまの360度(超え)のターン!上級者の方なら写真で見抜かれると思いますが、このフォームは完全に、一度くずれたウィリーバランスを上半身をつかって自力で立て直している姿だと分かって頂けると思います!しかも360ターンしながらです。

HTスクールは、「たまたま上手く滑れた」ということは評価せず、例えばその日の体調や気分に関係なく(もっと言えば、他の人のボードでも)、ずっとマニュアルが維持できる技術を持つことが大切だと思っています。落ちそうな前輪を再びアップさせる技術。そのために現れるフォームは、静止写真でもドラマを感じ美しいと思います。

入門者の方々に安心して頂きたいのは、スケーターの居る公園でよくある光景ですが「メイクできないのに、大きな技に挑戦している姿を周りに見せつけること」には、何の凄さもなく、怯える必要はありません。彼らの表情を見ると本気で乗りにいっているのか?ただ技の前半のキックするまでの感じに酔いしれているのか?はプロから見れば一瞬で判断できます。「乗りに行く」というのはもの凄く勇気が必要な真剣勝負であり、その人の目や姿から近づきがたい熱意を感じるからです。

厳しいコンテストではミスはゼロ点であるだけなく、ゼロどころか「ノーミス」のプレミアムが無くなるので大会では命取りです。とても厳しいですが、大会ではミスは恥ずかしいことなのです。なぜなら「出来ないことをやろうとした傲慢」であるか、「出来ることが出来なかった」という感情コントロールの無さ、のどちらかしか無いからです。(話がそれて、厳しい世界の話になってしまいすみません)

HTスクールでは、小さなことでも、当たり前の技をミスしない本物の実力を持つスケートボーダーを育てたいと思っています。それは私が全日本の戦いで学んで身に付いた教訓だからです。あとは優しさも。入門者だからといって優しくなることに遠慮する必要はありません。

本者は、向こうからプッシュで現れただけでも威厳があります。そして難しいトリックをする事と、一見簡単なプッシュで本物になることは、同じぐらい難しく遠い道なのです。その理由は、心の静寂や、同じスケートスポットで滑る周りの人への愛情も関係するからかも知れません。

この秋もSKATE FOR FUN!でがんばりましょう。

クッションゴムに関するご質問2

当ブログをご覧の皆さま、いつもありがとうございます☆
今回も新米さんよりクッションゴムへの追加質問を頂きました。
ひきつづきご質問をいただき、ありがとうございます。

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<ご質問>
度々質問させて頂きます。多田プロは、おそらく現存しているプロスケートボーダーの中でも、恐ろしい程の知識量と経験、目利きの良さがありアドバイザーとしてもこの人程あらゆる疑問に答えてくれる人は他にいないと思わせてくれる方だと思っております。

そんな多田プロだからこそ、こんな疑問にも答えてくれそうなので連投になりますがブッシュについての疑問です。今現在ブッシュといえばボーンズのハードコアを使うのが世界的に定番化していますが、私も何度もミディアム、ハードどちらも試したのですが、なぜかしっくり来ません。

性能としては値段も高いだけあり反発性もゴム製とは段違いにすごくさながら縁の下の力持ちのようなターンをした後ブッシュが クイッと元の場所に戻してくれる感覚などは気に入ったのですが、トリック全般(オーリー、フリップ、etc)が気持ちよく決まらない事が多いです。

私なりになんだかしっくりこない理由を上げると、
仝機好轡螢鵐澄璽織ぅ廚離屮奪轡綮藩儡間が長く単純にコニカルタイプが身体が慣れてない
▲戞璽溝Δ離錺奪轡磧爾鯣瓦い道箸κターンが深く入りすぎしゃがむときにバランスを崩しやすい
ボーンズを着けるとホイールベースがやや短くなる分タイミングを合わせずらくなる。

などがあるのですが、世界的にヒットしたボーンズブッシュがしっくりこない私にはなにか原因があるのか、あるいはボーンズブッシュ自体トリックにあまり向いていないのか?(向き不向きがある?)久々に着けたインディの純正の方がやはり足を乗せたときになぜか安心感が湧きます。これは気分的な問題ではなく、ボーンズより純正のゴムがやはりしっくりきてしまいます。

多田プロはこういった経験などはお有りでしょうか?私以外でも純正品かボーンズかで悩んでいるスケーターも多いかと思うので多田プロにボーンズブッシュの考察お願いします。ちなみに私はインディのオレンジ一番好きです。
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<多田からのお返事です> 
ご自身の頭で考えられながら道具と付き合うことは大切で、それだからこうした深いご質問が湧いてくるのだと思います。

BONESのハードコアブッシュ(以下BONES)は、POWELLの基本的な推奨では、カップワッシャーを外さずに、使用する形で装着します。ですので高さはそれほど変わらないと思います。

BONESは上下の外面が硬質な樹脂プレートになっていますので、スケーターさんによっては「なんだ、これならカップワッシャーはいらないじゃないか」と考える方もおられると思いますが、合計の高さをユーザーさんが勝手に変えてしまうと、トラック会社が作り上げたターンのジオメトリーが崩れてしまいますので、極力初期設定の高さを保つように工夫していただければと思います。

余談ですが、あの身体のとても大きいエリック・コストンでもBONESのMIDだったと思いますので、我々はSOFTで十分ではないかと思います。大げさに言いますと、HARDですと軽自動車に2トン車のサスペンションを入れた様な乗り心地になるかもしれません。ブッシュの仕事のさせ方は、ゼロから潰すのではなく、トラックを踏み込む前の状態から、ある程度潰されて圧力が掛かっている状態が適切なゼロ状態です。そしてそこから更に奥が最も心地よいストローク感が感じられる部分です。

車でもゼロ停止状態ではサスペンションのバネは、一見まだ縮んでいないように見えますが、実は既に半分以上も縮んでいるのです!そこが直進状態です。ですのでHARDなど硬いゴムは直進状態のセッティングで圧力ゼロぐらいの弱い締め方にしてしまい、ターンの時は表面の上澄み部分だけちょっと歪めているだけですので、道具としては5%ぐらいしか使えていない可能性があります。

またしゃがんだスケーティング時のグラつきですが、トラックのターンの鋭さが変わっても、適切な場所を、適切な足の置き方で、ライダーさんが自分の筋力で足首をかたくホールドしてあげれば、グラつきは抑えられると思います。極端に言いますと、プロはフリップのスタンスでもアールでドロップ出来ます。これは前足を極端にはじにおかず、センター付近に置いても上手く前足を抜けるというアドバンテージもありますが、後ろ足も前足の対角線上にスタンスすることで、フリップスタンスによる背中側への歪みを相殺でき、直線的にスタンバイすることができます。

ゴムの形状はとくに関係ないかと思います。

あと「ホイールベースが変わると上手く滑りにくくなる」というのは自然なことで、スノーボードはできてもスケートボードが苦手だとか、ロングボードが得意でもショート・スケートボードは苦手ということがよくありますが、これはホイールベースが狭いほどスピートスポットが狭くなり、重心が前後に脱落しやすいということです。

上記は極端な例で、10センチぐらいの差ですが、ショート・スケートボード同士でも8インチと7,75インチでは数ミリホイールベースが狭くなるだけで、自分の居場所(重心)を精密に点で位置させるスタンバイの感覚が、自分と道具との間でズレが生じて、例えばバックワード・オーリーなどでは、まだテールを踏むつもりではないのに、テールを踏み込んでしまい、ウィリー状態になってしまうこともあります。

しかしホイールベースは必ず慣れますので、今回はセッティングによる変化ですが、これとは関係なくボードの違いなどもご心配する必要はないと思います。

<ホイールベースが狭い>
体力はいらない。入力に対する反応が小さい。
(例)360フリップなどが「足先」で出来る。

<ホイールベースが広い>
脚力が必要。入力に対する反応が大きい。
(例)ビッグジャンプランプなどでの、ノーハンド・オーリーで足裏に板がずっとくっ着いてくれる。


最後に、INDEに関わらず、トラック会社の純正(初期設定)クッションゴムは、「ゴム」ですので、車で言うとオイルダンパーの様に、ピョコピョコせず、しっとり1回のストロークでアクションしてくれます。

しかしBONESはゴムではなく、 BONESと名乗る様にゴムではなくウィールと同じ素材である「ウレタン」で出来ていますので、使い心地がバネっぽいです。キュンキュン元気に反発してくれますので(これはウィールの素材は、走行中小石に負けず、逆に小石を弾き飛ばさなければいけない為、そういう性質になっています)、それが好きな人には良いですが、しっとりさを求める方には、初期設定のクッションゴムがお勧めです。

これを言えば、鋭いスケーターさんならピンと来ると思いますが、逆にBONESの利点は、Kグラインドの途中降りなどが跳ねる様にアウトできるのです。わかりますよね!?クッションゴムの復元力がスローではなく、瞬時に反発してくれるので、跳ねるように縁石から脱出しやすいのです。

最後に、90年代にあった小技ですが、クッションゴム・オーリーという存在をご存知ですか?前トラックのつま先側のクッションゴムを深く沈めさせて、たったその一箇所のゴムの復元力で4輪全部を路面から3センチほど飛び上がらせる小技で、スケートボードの性質を知り尽くしたライダー同士の遊び技として流行ったことがあります。(荷重の抜き方はチャイナ・オーリーと同じです)

以上ですが、ご参考になりましたら幸いです。

多田 肇

解釈の難しい主人公という言葉

ぼくは三十代まで、HTスクールのコンセプトを「生徒さんを主人公にする」としてきました。当時は説明はこれで十分だと思っておりました。

そしてこれは私の人生経験によるもので、幸運にも時々、自分が中心的人物として扱われる経験が自信となり、

その自信が、新しい物事へ挑むときの勇気になったり、困っている人々を助けたいという気持ちを抱ける様になった経験からで、

もしこうした事に意味があるのなら、せっかくご一緒に時間を過ごす生徒さま達にも、味わって欲しいという思いから「生徒さんを主人公にする」というメッセージを発していました。


日頃私たちは「自信を持て」、というメッセージの本を読んでも、真実味のない印象で終わってしまいます。

現実味がないのです。

しかし、HTスクールで実際にそうした体験ができれば、例えその後の数日間でも「楽しかった」「良かった」という余韻が味わえます。 


その余韻に浸れている間は、人に対して親切に成りやすいのです。


スケートボードを初めて30年。自分が四十代に突入し、数々の経験からいまの世の中を見渡すと、

心から本当に相手を認めたり、大切にするのではなく、

仕事の建前で、相手を認めるフリをしたり、日常においても、寂しさからそういうフリをして、本当には好きではない相手と友人関係(独りではない時間)を保つようなことが沢山あるなと、

この世の「より深いところ」が見えてきました。 


そして、そうした本質から外れた建前(大げさだったり、本心では思っていな会話)がごく一般的な交流のルールとなったせいで、

飾りっ気のない本当の友情や、素朴な歓迎が、むしろ地味に映る(相手にわかって貰いにくい)時代になっているのではと感じるのです。 

その延長的な問題で、あまりにも「凄いですね」「さすがですね」と言ってもらい易い立場の人々は、ついつい尊大になってしまい、

社会に対して「そこどけ」とか「もっと大切にしろ」という社会的な主人公意識を持ってしまいます。

ですので、深い説明抜きで「主人公になろう」というのは誤解をうむのでは?と感じるようになってきました。 

HTスクールは、生徒さまが偉そうにできる為、また劣等感を埋めるために主人公になってもらうのではなく、

レッスンを終えて私生活に戻られた時に、これまでよりも更に周りの人に優しくして頂いたり、親切することが喜びと感じられるようになって頂くために、主人公となって自信をつけて欲しいのです。


表面的には同じ様に見えても、むしろニセモノの方が派手で本当っぽく見える「友情」や「歓迎」や「認知」。

こんな深いところでの違いを、十代や二十代の若者が区別できるのだろうか?かんたんに乗せられたり信頼してしまわないだろうか?

ぼくは自分の人生を振り返っても、経験のない若者が学校・お店・街などでの人間関係で、それを見抜くのは不可能だと思うのです。私は三十代でもそれを見抜くどころか、その存在を認識することすら無理でした。

(本当はここでもっともっと例外なども説明したい気持ちではありますが、本題からそれるので省略しています。)

そこで今年、まずは私自身から「自分が主人公だ」と社会的に少しでも思ってしまう過ちをしないように、慎重に生きていこうと思っています。

例えば行列や運転なので、自分のまえに強引に他者が割り込むと、嫌な気持ちになります。でも確実に言えるのは、これから100年後もそんな人は居なくならない。

日本中や世界中で秒単位でそういうことは起きているのです。そして自分だって仕方がなく人様の前に割り込まざるえないときもある。

ということは、このような一見嫌な気持ちを抱きがちな現象が起こることは、むしろこの世の「真の姿」だと思います。

真の姿を敵に回すと、疲れてしまいます。

みんなが強く「おれがこの世の主人公だ!」と社会的に主張する世の中を想像してみてください。

しかしそんな酷い世界も、下手をすると、私たちのお互いが面の皮一枚で見えないだけで、お互いが同時にちょっとでも感情的になれば、そのレベルに落ち込んでしまう可能性もあると思います。

HTスクールでは、本当の歓迎や、ゆっくり焦らずに生徒さんとの絆を深めてゆく。そして生徒さんも、とても謙虚で逆に講師の気持ちも考えてくださる人ばかりです。

これからもレッスン中は、間違えなく生徒さんが主人公です。しかし講師も生徒さんも「この世に対して、自分が主人公だ」と間違えた解釈はしないように、気をつけながら進めてゆくことが、大切なことだと思っています。


クッションゴムに関するご質問

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先日このブログで「ご質問の募集」をお伝えしたところ、さっそくご質問をいただき、ありがとうございます。ご質問者さんの勇気と行動によって、このブログで、より深い部分を楽しまれたい方々の空気が盛り上がればと思っています。今回は新米さんよりクッションゴムへの質問を頂きました。

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<ご質問>
恥ずかしながらすごく初歩的な質問をさせていただきます、何気無くブッシュゴムの交換の際に気付いたことなんですが、シリンダータイプのブッシュの場合ベースプレート側の向き(上下)は綺麗にツルツルした面とスパッと断面が切ってある方はどちらが上下なのでしょう?この前リニューアルしたインディペンデントの純正を購入したさいブッシュの断面に波紋がついてあることに気づき、あれこれどっちが上下なんだろ?ともしかして今まで上下まちがっていたんだろうか?度々ブッシュが体重をかけた際めり込んだままの時があったので、そういうのも影響してるのかなど気になります。多田さんが過去におっしゃっていたブッシュを育てるを試してみたいのですが、申し訳ないのですが、こんなくだらない質問に答えて頂けると幸いです。(2017年8月19日
新米さん)
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<多田からのお返事です>

素晴らしいご質問をありがとうございます。最初はどんな方も同じ疑問を抱かれると思います。インディーの交換クッションゴムは、元々ついているものと同一のものを購入することは不可能で、購入するなら、どうしてもグレードアップタイプになります。それは元々着いているものが非常に簡単なものであり、わざわざ同じものを買う人は居ないだろうというインディー側の考えだと思います。(しかしそのチープで単純なゴムで、道具依存型ではなく、自分の技術依存で最高の滑りをすることこそクールだ!という文化的な発想もスケート界にはあります)

インディーが純正で交換用として販売するクッションゴム(以降ブッシュ)は、グレードアップタイプのみが選択可能で、ざっくりとSOFT、MID、HARDなどがあります。

ぼくも本国アメリカのインディペンデント社(正式にはサンタクルーズにあるNHS社)に日本の代表として訪問し、インディー開発者と直接話した思い出があります。当時LOWモデルが初めてリリースされたばかりで、あまりにもクッシュの造りがダメだったので(世界中で割れたという報告があった)、インディーは対策として元々のブッシュに良いものを使うのではなく、ビジネスとして「交換品でグレードアップ・ブッシュがありますよ」と謳う形でアクセサリー・リリースしました。そのときにHIGHハイ(正確にはインディーではハイと呼ばずにSTANDARD標準と呼びます)の交換用クッションゴムもリリースしたという経緯があります。本当かどうかわかりませんが、グレードアップ・クッションゴムはイタリアのラベタという会社で作ったと言っていました。

話は変わり、ぼくはインディー、サンダー、ベンチャー、トラッカーなど何十年もトラックをアメリカから仕入れて、わざわざバラして見つめて来ましたが、良くも悪くもアメリカ人は日本人ほどディティールにこだわりません。全員ではありませんが、殆どの人が「本質である滑り」が大切なので、ショップでサービスを観察していても、自分で買って帰るようなことはせず、お店の人まかせで、組んでいる光景も見ようとせず、「できたよ〜」と店内で声をかけられて、初めて取りに来て「サンキュー」で確認もせず店を出ていきます。ブッシュをどちら向きに入れるとか、アクスル部のスピード・ワッシャーをちゃんと入れ忘れていないか?などを心配したりしませんし、抜けていても最後まで気づかないでしょう。(あとで「あの店はダメだ」と文句はいいます)

クッションゴムと言うものは案外適当に作られており、断面の処理も丁寧ではありません。そして一流のブランドでもクッションゴムに関してはこの感覚が進化しないのです。ですのでBONESハードコアブッシュの様にちょっと努力すれば交換品としてベストセラーになるのです。逆に言うと、スケートボードの世界は本当に大手が入れない特殊さがあり、もし大手の発想で、完全機械製でレーザーカットで作った様な完璧なデッキを渡されても、スケーターは気分が引く所があるのではないでしょうか?味がないのです。

一度に約5枚プレスするデッキだから、3枚目の中央にくるデッキのキックが一番マイルドに仕上がるわけで、それをお店で好みと経験で自分で良い板を見分けることも楽しみの一つなのです。そしてシェイパーによって角の落とし方も変わってくるし、いまではトップブランドでも中国製が大半ですが、ほんのすこし前まではアメリカ本国では、メキシコ人労働者の方々がニスを拭いたり、プリントを載せたりしていた。そしてお昼のチャイムがなるとみんな手を止めて、広場でサッカーなんかをする光景がありました。文化なのです。

クッションゴムに関しても、仕上がりは凸凹だけど、まあそんな奴らが良しとしたんだから、日本人である我々もワイルドに使ってやろうか!というのが心意気であり、異国の文化を楽しむことの一部だと思います。ですので、クッションゴムはバリがはみ出ていることもしょっちゅうですし、日本人ならガーンとなるほど、クッションゴムの大切そうな部分に気泡が入っていることもあります。アメリカ人からすれば「それがおまえの生きるか死ぬかにかかわることか?」「それよりもSKATE HARD!(ハードに滑れ!)」と言うのではないでしょうか。

そうした本当の世界を知っていただいた上で、本題に入りますと、トラックは「ベースプレート部」と「ハンガー部」に分かれます。もしプリン型の台形クッションゴムの場合は、面積が大きい方をハンガー側に向けます。クッションゴムはハンガーの上部と下部に組み込みますので、広い面が内々↓↑へ向く感じです。

これをぼくなりの理論で説明しますと、
クッションゴムの「面積の広い面」は、食いついて固着させたい。
クッションゴムの「面積の狭い面」は、なるべく自由に可動させたい。
と考えることができます。

そうでなければ、ベンチャーやサンダーの様に、クッションゴムの両面を広く作れば良いわけで、わざわざコストを掛けて台形に絞って作る意味がないからです。

じゃあなぜ、可動するハンガーの方に狭い面を向けないのか?と言いますと、手で動かす時はボードを固定して、ハンガーを動かされると思いますが、乗っている時(ライディング時)は、ハンガー部がウィールと共に路面に固定され、逆にベースプレート側がデッキと共に揺れたり可動しているのです。実はベース側が動いている側のです。ハンガーは路面を掴んでじっとしています。

そう考えると、クルマのサスペンションアームと同様に、メス側のアーム(ハンガー)にブッシュという硬いゴムが固定され(クルマの場合は一体式となったゴムを穴に突っ込んで、中央のくびれで固定してあります)、雄側としてリンクしているシャーシ側(デッキやベース側)を揺らしてあげる。そっちに面積の狭い方を向ける、ということは理にかなっていると思われます。

ツルツルの面と、スパッと切った面に関しては、残念ながらアメリカのメーカー側は「気にしていない」と言いますか、正直に言えば「直したいけど面倒くさいし、コストも掛かる」というのが正直なところだと思います。ですがやっぱり使わされる我々スケーター側としては、迷わされたくないですよね、、摩擦効果を考えて、ツルツルをカップワッシャー側、スパッと切った様なマット(グリップしそう)な面をハンガー側に向けたくなると思いますし、そうします。ぼくは昔トラッカーの片面が特にツルツルで、自分の理論ではそれがとても嫌だったので(面に滑られると、ゴムの持つ本来の反発力や回復力=ヒステリシス・ロスが発揮されないので)、自分で面をサンドペーパーで傷をつけていたこともあります。

クッションゴムの自分好みの調整はとても微妙で、ちょっとでも硬いとものすごく不自由に感じ、ちょっとでも柔らか過ぎるとマニュアルやフリップ・スタンス時に余計な筋力を消耗します。また前後同じが好きな人もいれば、ぼくのように前3:後7の固さを好んでいる場合もあります。そして前後同じが好きな人でも、測定器で履かれたとすれば、本人の勘違いで、前後の差が本当はあるのに、左右の足の筋肉量の差で同じだと錯覚している場合もあると思います。

ですので理論すると切りはないですが、ご自身の好みのセッティングを、いつもレンチ片手に現場でサッと2〜3分で滑ってみてバッチリに決められるクールな判断が出来るようになれば、プロと同様の判断力になりますので素敵だと思います。


多田 肇




今週でラストです!HTスクール春の会(1001回目の投稿)

hajime tada 2017

いつも当ブログをご覧下さりありがとうございます☆

今週末で「HTスクール春の会」が終了しますので、宜しくお願い致します。今シーズンも本当に沢山の方が、スケートボードを真剣に頑張って下さいました。本当にお疲れ様でした☆

次回、「HTスクール秋の会」は、9月中旬〜10月にスタートしますので、宜しくお願い致します。

話は変わりまして、いままで頑張って書かせて頂いてきました当ブログ。私本人30年以上も滑り続け、この世界の「全ての感動」をやり終えた者として、誤解をおそれずに言いますと「自分自身への出来事ではもう喜べない世界」にまで到達してしまっています。(もちろん生徒さまと過ごさせて頂くお時間は、みなさまとお会いできるという意味では私の生き甲斐であり、本当に楽しく感謝しております!)

ですので、私がこれ以上スケートボードの世界で喜びを感じ続けるには「他人を助ける」「目の前の方が喜んでくださる」ということが唯一、私に残されたこの世界を楽しく感じる方法だと感じております。これは今急に思ったことではなく、gスケートパークで大規模なHTスクールを始めさせていただいた頃から10年以上ずっと感じていることです。そしてその気持は一切ブレずに益々強くなっています。

当ブログ(HTスクールブログ)が皆様の何かの参考になれば、これほど嬉しいことはありませんが、私が一方的に綴る内容以外にも、みなさまが知りたいことはあるのではないか?と思うことがあります。

しかし、この場で実技のノウハウへのご質問に答えてしまっては、有料でHTスクールに来てくださっている方への不公平となりますので(これまでも出来るだけ実技については、当スクールの生徒さまもご理解くださるだろう範囲内を意識して答えてきました)、

もし読者の皆様の中で、私に聞きたい実技以外の質問(メンタル面、環境、感情、リスク、迷っていること、不安なこと、嫌な気持ちになったこと、スポンサーとの付き合い方、チームとは、大会とは)などがありましたら、このブログでお答えできればと思っています。そしてもしこのスタイルが、今後の当ブログの新しい形の一部になればと思っています。

私は、もう人には勝つ必要もありませんし、偏見や誤解があっても「そうですね」と落ち着いて対応し、それによって何かが危うくなるという立場でもありません。ということはカッコをつけたり、自分を過大に見せる必要がないところまでこれました。別に気取らずに、誤解されてもいいのです。スケートボーダーとして失うものがないのです。

その余裕によって、他では受けられないアドバイスを、このブログで出来ればと思っています。そして私のアドバイスは必ず自分もちゃんとやってきたことしか言いません。

人生は結局みなさん一人ひとりの気持ちが良くあることが大切です。だから、「これは正しい・間違え」という感覚に縛られず、みなさん一人ひとりの感じ方を大切にできればと思っています。しかし全員が共通していることは、親に産んでもらって、成人するまで保護してもらって、食べ物・電車・ガス・水道・何もかも全部他の人の働きによって今があるので、それの感謝を忘れている人に対して「あなたの気持ちを大切に」とは言いたくありません。

こんなことを書いてしまうと質問しにくくなるかもしれませんが、スケートボード界に対する些細な質問や疑問があればおっしゃってください。またやはり、私は実際にHTスクールにお越しくださる生徒さまを優先にすることが道理(えらそうな言葉ですみません!)だと思っておりますので、そこはしっかり差をつけることは、ブログ読者さまにご理解いただけましたら幸いです。


話は長くなりましたが、今年は特に猛暑。熱くても速乾性の長袖を着たり、帽子やタオルで日光を防いで、楽しくスケートボーディングしてください。

ボードはウソをつきません。あなたがそういう指示を与えているだけなのです。きっちり美しすぎるメイクが出来たとき。ぜんぜんダメな動きに成ったとき。すべてはあなたの足の指示です。これほど忠実で可愛いスケートボード。ぜひ手なづけてあげて、ますますカッコいいスケートボーダーになってください☆

PS:ご質問やお便りはコメント欄から宜しくお願い致します。

2017年7月26日
1001回目の投稿
神戸市 六甲山からの風を感じながら
多田 ハジメ


多田肇オーリーレッスン動画











ぼくの推奨アイテム↓


↑バーティカルランプやボールやプルーといったスケートスポットを鑑賞することで、「あれを何と呼ぶのですか?」という質問力が付く入門者に最適なDVD。この一本は技の宝庫!スケートボーディングの「渋さ」を存分に味わえます。プロでさえ、この作品を観なおすことで、良い滑りには「余裕」が必要なのだと目からウロコ状態になります。ここのお勧め欄に乗せることで現在完売になっておりますが、チャンスがあれば是非ご覧ください。多田肇

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↑いまHTスクールで一番オススメするスケートボードDVDです。スケートボードからファッションやカルチャーといった後から派生した価値観を切り離し、本質的にスケートボードの魅力を追及するドキュメント作品です。一作目からの視聴をオススメします。多くの方が当ブログの推奨DVDを続けてご覧頂いておりますので、Amazonでも関連商品表示されるようになっております☆多田肇

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↑マイクバレリーは僕が感じているようなことをこのDVDのなかで代弁してくれています。競争をするな、ファッションで仲間を差別するな、思ったら行動しろ、というところなど涙なしでは観れない作品。ぜひライブラリーに加えてください。多田肇
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多田肇プロフィール
神戸生まれ。プロ・スケートボーダー。1997年AJSA全日本プロストリート準優勝。日本のスケートボード・スクールのパイオニア的存在。14歳で始め17歳でプロ転向。21歳で大手国内メーカーHASCOに入社。トニー・ホーク、マイク・バレリー、スティーブ・キャバレロ等、全米TOPプロ達の日本案内役を果たす。 2000年限定で渋谷に事務所を移転しドラマ、メディア活動に集中する。2007年には1年限定でメーカーに戻り部長就任。落ち込む売り上げを160%に回復させる。現在HTスケートボード・スクール代表。 Eメール ht.sk8school@gmail.com ツイッター https://twitter.com/ProSkaterHajime
Twitter プロフィール
多田肇(タダハジメ)公式Twitter:スケートボード界の光と影を全部見てきました。対象読者:快適さやプライドよりも「成長」を優先するひとへ。
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