2014年01月22日

独り者たちの不器用な絆

新しい緊急クエストが実装されたと聞いたので、
ソロプレイ用のハンターで行ってみることにした。
難易度はベリーハード、ブロックはソロプレイ推奨だ。

その緊急クエストの名は、『平穏を引き裂く混沌』と言う。

市街地を舞台に、次々と出現するエネミーを倒しまくって
ひたすら撃破ポイントを稼ぐという、単純明快なクエストだ。
ロックベアやキャタドラン、トランマイザーなど、
特定の惑星にしか生息しないはずのボスもどんどん出てくる、
というのが大きな魅力らしい。



私が降り立ったフィールドには、すでに7人のアークスがいた。
定員の12人には及ばないが、決して少なすぎる人数でもない。
彼らは全員ソロだったけれど、ある程度まとまって
行動しているようだったので、私も集団に加わることにした。

私を含め、8人になった集団。しかし、全員がソロであり、
そもそもここはひとりで黙々とやりたい人が集う
ソロプレイ推奨ブロックであるので、会話はほぼない。
せいぜい、ボスの出現情報とか、蘇生や回復のお礼とか、
あるいは誰かのレベルアップに対する祝福の言葉とか、
そういうのがたまにポツポツとあるくらいである。

その最低限のコミュニケーションしかない雰囲気を
さみしい、物足りないと思う人もいるだろうけれど、
私はむしろ、ソロプレイ推奨ブロックのこの感じが好きである。
基本的には単独行動を好むし言葉もかわさないけれど、
誰かが困っていたり、逆に誰かにいいことがあったりすれば、
まあ、協力したり声をかけたりすることもやぶさかじゃないぜ、という、
ソロプレイヤー同士ならではのゆるい仲間意識が感じられるからだ。

ソロプレイヤーは、ひとりで戦うことに慣れているからこそ、
逆に誰かがそばにいてくれることのありがたみもよく知っている。
だから、いざというときの助け合い精神は、おそらく人一倍強い。
実際、私はこのクエストで、とあるボスとの戦闘中に
二回ほど戦闘不能に陥ってしまったのだけれど、
二回とも、複数の人がドドドッと駆け寄ってきてくれて、
ムーンアトマイザーやレスタで全快させてくれた。

「ありがとう!」

私がそう言うと、彼らは「いいってことよ」と言わんばかりに、
さりげなく私にシフタやデバンドをかけてくれた。
言葉はなくても、やさしさが伝わってくる瞬間である。


そして、クエスト終盤。
ソロプレイヤー同士の絆というか、やさしさというか、
そういうものがより強く感じられた、ある事件があった。

「E-4にタガミカヅチ出現!」

おお、タガミカヅチ!
ウワサには聞いたことがあったけれど、遭遇するのは初めてだった。
くわしいことは知らないけれど、たしか、けっこう珍しいボスで、
かなり強いらしい。そして、倒すと大量の経験値が得られるらしい。
そんなエネミーだったと思う。自信はないけれど。

8人はすぐにタガミカヅチを取り囲み、戦闘を開始したが、
直後、ひとりが赤黒い球体に身を包まれ、フッと消えてしまった。

ファンジだ!

消えたのは、私をムーンアトマイザーで蘇生させてくれた
男性フォースだった。どこだ?彼はどこに連れ去られた?

すぐにマップを確認すると、ファンジを示すマークはA-2にあった。
現在地からは対角線上。しかも道は直線ではない。
急いで走っても、明らかに片道1分以上はかかる。

――どうする?

マルチパーティーエリアにおける一般的な慣習としては、
複数のエマージェンシートライアルが同時に発生した場合、
目の前のことから順番に片付けていくのがセオリーである。
今回のケースでいえば、とりあえず7人でタガミカヅチを倒し、
その後、ファンジにとらわれた男性フォースを助けに行くという流れだ。

――でも。

私はタガミカヅチをほかの人たちにまかせ、
フィールドの西端であるA-2に向かって駆け出した。


いま、男性フォースの心境は、いったいどんなものだろう?
私の想像が正しければ、彼はあきらめかけているはずなのだ。

ちょうどタガミカヅチが出現したタイミングで、
運悪く、自分だけかなり遠くに連れ去られてしまった。
パーティーを組んでいれば仲間が助けに来てくれるかもしれないけど、
いまの自分はソロ。みんな戦闘に必死だろうし、助けは来ないだろう。
仮に、自力でファンジを破壊して脱出できたとしても、
そのころにはタガミカヅチも倒されてしまっていて、
刃を交えることも、経験値の入手も叶わない可能性が高い。
しかたないことだけど、さみしいな。残念だな。

私もソロプレイが多いから、過去にほぼ同じ経験がある。
私のときも、ボスの出現と自分がファンジに捕らわれるタイミングが
運悪く重なってしまって、当然ながら、助けは来なかった。
おおげさに叫んで助けを求めるわけにもいかないから、
なんとか自力でファンジを破壊してみんなのもとへ戻ろうとした。
でもけっきょく、私はファンジ内部で思ったより多くの敵に囲まれてしまい、
戦闘不能に陥り、あきらめてひっそりとキャンプシップに戻ったのだ。

誰が悪いわけでもない。よくあることだ。しかたないことだ。
でも、私はそのとき、ものすごくさみしかった記憶がある。
たくさんの人がいるはずのマルチパーティーエリアで、
これ以上ないほどの孤独を味わった記憶がある。

できることなら、彼にはあの感覚を味わってほしくない。
タガミカヅチなんて、PSO2を続けていればそのうちまた遭遇できる。
でも、彼をファンジから助けることは、たぶん、いましかできない。


マップを見ながらA-2に向かって走っていた私だが、
ふと、後方から、私を追ってくる人物がひとりいることに気づいた。

カメラをぐるっと回転させて確認すると、
ランチャーにまたがって高速移動する女性レンジャーの姿があった。
そうか。彼女もまた、私と同じ地点をめざしているんだな。
頼もしい。ふたりもいれば、ファンジを思ったより早く壊せるかもしれない。

やがて私と女性レンジャーはA-2地点にたどり着き、
ファンジへの攻撃を開始する。捕らわれの男性フォースは生きていたが、
多くのダーカーに囲まれており、防戦一方といった様子であった。
危なかった。でも、とりあえず、間に合ってよかった。

予想以上の数のダーカーに邪魔されながらも、
何分かかけて、なんとかファンジを壊す。
赤黒い檻が崩れ、ついに男性フォースが解放される。

「ありがとう」

男性フォースがお礼を言う。よかった。無事でよかった。
ホッと息をつく私である。

しかし、女性レンジャーの集中はまだ途切れていなかった。

「急ぎましょう」

そう言って、彼女はまたランチャーに飛び乗り、来た道を戻り始めた。
男性フォースと私も、急いでそれを追いかける。
そうだった。タガミカヅチだ。ファンジを壊しただけでは、まだ終わりじゃない。
タガミカヅチのところまで戻って、8人全員がその場にそろった状態で
討伐に成功してこそ、フォースの彼を本当の意味で助けたと言えるのだ。

でも、間に合うか?
私たちは、ファンジを壊すのに少し手間取ってしまった。
そして、タガミカヅチがいた場所まで走って戻るには、1分ちょっとかかる。
必死に走っているあいだに、タガミカヅチが倒されてしまう可能性も――

そう心配していた私だけれど、数十秒後、驚いた。
タガミカヅチのもとに、30秒くらいで戻れてしまったのだ。

なぜかと言うと、フィールド東端、E-4にいたはずのタガミカヅチが、
フィールドのほぼ真ん中であるC-3のあたりまで移動していたからである。

理由はわからない。タガミカヅチは俊敏なエネミーだから、
単純に、長い距離をたまたまピョンピョン移動してきたのかもしれない。

でも、ひょっとしたら。
ずっとタガミカヅチと交戦していた人たちも、
ファンジに捕らわれた男性フォースのことを気にかけていて、
さらに「急ぎましょう」という女性レンジャーの発言で状況を察して、
私たちがタガミカヅチとの戦闘に早く復帰できるように、
フィールドの真ん中までタガミカヅチを誘導してくれたのかもしれない。

ずいぶん都合のいい想像だけれど、可能性は高いと思う。
なんせ、ここはソロプレイ推奨ブロックだ。
言葉による積極的なコミュニケーションは苦手だけれど、
いざというときの助け合い精神は人一倍強いという、
ちょっと不器用なやさしさを持った人が集まる、ソロプレイ推奨ブロックだ。



最終的に、私たちは8人全員でタガミカヅチを討伐し、
ウワサ通りの大量の経験値を、みんなで取得することができた。

「ありがとう」

男性フォースが、もういちど、こんどはみんなに向けてお礼を言った。
すると、近くにいたテクターが、さりげなく彼にシフタとデバンドをかけた。
「いいってことよ」と言わんばかりに。私もマネして、彼にレスタをかけた。


決して人口が多かったり、
目に見えて活気があったりするブロックではないけれど、
私は、こんなソロプレイ推奨ブロックが好きだ。

hajipso2 at 00:00コメント(23)トラックバック(0)プレイ日記  

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コメント一覧

1. Posted by みち   2014年01月22日 00:48
私もボスに出くわした最中ファンジに捕まって助けが来ず寂しい思いをしたことがあるので、何があっても毎回助けに行くようにしています
単純にヘイトを取っていた人がファンジに気付いてふらさん達の方へ向かってそれによりタガミがついて来たのかもしれませんが、女性レンジャーの一言でみんながタガミを引っ張っていった可能性は高いと私も思いますよ

混沌は一度に沢山のボスが出ると戦闘不能に陥りやすくムーンの消費も早いですから、テク職で行った場合補助に徹してしまいますね
2. Posted by とある2鯖のTe   2014年01月22日 00:56
はぁ〜いい話ですねぇ…
最近そういう心温まる場面に出くわしていないので、ものすごく羨ましいですね〜(´・ω・`)
3. Posted by 9鯖   2014年01月22日 01:36
良いお話ですねぇ~(*^^*)
素敵なメンバーだったみたいで、こちらまで心温まります♪
ソロの方がこう、仲間意識?みたいなのがある訳ではないですが…そのプレイヤーさんの経験でどういう行動をとるのか決まると思います。
優しいプレイヤーさん達で良かった。絶対、近くまで連れて来てくれてたでしょう。
自分もソロ派なので、その時の気持ちよくわかります…少しでもみんなに。間に合って良かった。

闘将の女レンジャーさんの話の次に好きになる記事でした!
これから共闘祭です、また素敵な出会いがあります様に。
4. Posted by ななしー   2014年01月22日 03:02
5
お久しぶりのコメントです。

ここへ来るといつも初心に戻らされる気がします。ということは週に何度か初心に戻っていることになりますが、それでも時折その心を忘れてしまう瞬間があります。

法撃職は直接的に行動で気持ちを表せていいですよね。私はメインで法撃職を使わないので回復量の少ないレスタばかりですが、自分がかけてもらって心まで暖かくなった記憶を忘れずに、些細な感謝でもレスタで表す用にしています。

ファンジは、ふらさんが仰っている様な悲しい状況を生み出す凶悪なEトラなので、一人でもなんとかできる自分がと、積極的にしょりしています。

ふらさんと、その女性レンジャーさんと、そのマルチエリアに居た全てのアークスさんにグッジョブです。
5. Posted by 5鯖ナックラー   2014年01月22日 04:08
ありますありますこういうこと
私も同じ状況になった時あって
軽く一言助けに行きますんとか言ったら皆ついてきて
助けたあと皆踵をかえして敵を倒しましたねぇ
結構、口に出して言わないだけで皆内心は気になってるものです
6. Posted by 5鯖のキャス子さん   2014年01月22日 08:14
VHでの話なんでしょうけど良い話ですよね
混沌はレベル上げも兼ねてVHで行ってますけど明らかにSHと雰囲気が違います
ソロでもPTでも殺伐としてることが少ないです
昔は野良でいろいろとやってましたが今はもう野良で何かやるとかSHじゃ全くないんですよね
話しかけてもほとんど会話が続かなくて面白くないから

それはそうとふらさんはハンターもやってましたねぇ 軽く忘れてました
わたしもハンターやってますけど65でハンターやってる人(ハンターでカタナ使ってる人以外は)ほとんどいないんですよね・・・
寂しいものです
7. Posted by り〜ぜ   2014年01月22日 11:20
5
ボッチプレイヤーって、傭兵に近い感覚がありますよね(^_^)
好き勝手やってるのに、いざって時の仲間意識は半端ないですもんねw
SHだと効率重視全盛なんで、こんなドラマは出会えないかも...

個人的には今はVHが一番楽しい気がします。
良くも悪くも色々なドラマがありますからね(^_−)−☆
8. Posted by ウ○ターソース   2014年01月22日 11:43
画面の向こうにいるプレイヤーがさみしい気持ちをしていると思うと
いてもたってもいられないですよね
助け合うってとても素晴らしいのだと思いました
9. Posted by ななしのめーちゃん   2014年01月22日 12:17
ぬぅ・・・!
ふらりと立ち寄った記事で感動するとは・・・!
私はソロでの活動って
勝手にステアタで先へ先へいかれたり
いい思い出がないのですが、
このような人たちもおられるのですね。
安心いたしました。ありがとうございます。
10. Posted by 雪音   2014年01月22日 12:41
状況を想像したら久しぶりに(笑いでじゃなくw)泣けました!
11. Posted by つばめ   2014年01月22日 14:30
たまににはソロブロックもいいかもしれませんね
12. Posted by Sやん   2014年01月22日 16:43
なんか久々にふらさんらしい素敵なストーリーを読めた気がします^^
私はソロブロックでの活動がメインなんですが、緊急に行けそうな時は都会ブロックに出張してしまうので今度ソロブロックでの緊急参加やってみようと思いました^^
13. Posted by 名無し   2014年01月22日 17:31
普通のブロックなら無視するか、誰か声の大きな人が指揮して助けるかの二択でしょうね
無言なのに自然に助け合えるのは確かにソロブロックならではなのかも?
14. Posted by 3鯖のブレイバー   2014年01月22日 17:52
泣ける…。私も連れ去られた経験ありますが、助けに来てくれる人いると嬉しいですよね。まぁ私はむしろ「この程度で俺を止められると思うなよ」という負けず嫌いが発生するので不安になったことはないのですが…フォースだと厳しいでしょうね。

ソロ同士だと逆に共闘感があるときありますよね。SHの防衛戦での話ですが、全員ソロで無言ですがそれぞれが自分の仕事をし、連携して見事に二連続でS評価だったときがあり、プロアークス同士の無言の連携も良いものだなぁと思いました。喋らなくても行動で示すのはカッコいいですよね
15. Posted by いろは   2014年01月22日 20:32
4 毎度、毎度…。

なんていい話なんですかっ!

電車の中ですが、涙こぼさないように必死でしたよ。

感動したっ!!
16. Posted by おそら高級長靴店   2014年01月23日 06:48
目頭が熱いです。
17. Posted by ライド   2014年01月23日 20:25
なんかそっくり俺の初カヅチ遭遇に似てるという
ちなみにそのときは誰も助けに来なくて
ファンジを1人で壊した後、カヅチのいた所には
なにも残っていませんでしたとさ。めでたしめでた···くないわーっ!!
18. Posted by そろそろソロゲー   2014年01月25日 11:26
気づかないとき、気づかれないとき
どっちも辛いのでなるべく野良でもPT組んでます。

昨日ムーンはあるのに投げれない不具合みたいなのに会いまして
まごまごしてる間にその方は消えてしまいました。

自分が同じ状況なら結構ハードですよね。
19. Posted by 6鯖   2014年01月25日 14:02
たまに見に来ますが、毎度、大切な何かを思い出させてくれる文章ですね
20. Posted by 通りすがり   2014年01月25日 17:07
ファンジは捕まった人が座標を教えてくれないとどうしようもないんですよね。
近ければミニマップに表示されるのですが。
普段ソロでやってるとファンジは出てこないので知らない人も多いかも知れませんね。
21. Posted by ななしさん   2014年01月27日 12:24
自分も遺跡結晶バーストが流行ってた時代にバースト発生時にファンジでとらわれたことありました。
その時パーティーん組んでたチームメンバーが駆けつけてくれてありがとう~と思ったらずらずらと全員野良で居た人も駆けつけてくれて一瞬で破壊してくれました。
その時は申し訳なさでいっぱいでしたが本当にいい体験をしたと思ってます。
今では自分もファンジで捕われた人が居たら一目散で助けに行ってます。
22. Posted by プロソロアークス   2014年01月29日 20:18
俺は、ただ一人相撲取りか何かと複数のボス級エネミーに囲まれて戦っていた。死角からの攻撃だけは如何ともし難い・・・。

「死角から来るはずがないと思っていたパンチこそが至高」

と、誰かが言っていた気がする。まさにそれだ。わけも分からずHPが削れる。

( ゚д゚)床うめぇwwww

他の人達は遠いどこかで別のボス級エネミーと戦っているのだろう・・・「どこそこに何とか出現ですよー」とAWが・・・。

俺は考えることをやめて、そっとシップに帰還した。
23. Posted by あ   2014年02月15日 19:27
なるほど
俺もソロブロックへ行ってみるか

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