スーパー市電

彼の愛したのは横道を走る小さな路面電車だった。

彼が愛したのは親戚の家の横にある小さな木だった。

彼が愛したのはおじさんが作る少し焦げたパンだった。

彼が愛したのは静かな音を残して祈る小さな信仰だった。

その彼は上に従った自爆で消えた。

あるものは英雄と言った。

あるものは殉教者と言った。

またあるものは愛国者と言った。

周囲のものはみんな美しい言葉で彼の行為を称えた。



路面電車は自動車の波で消えてしまった。

小さな木は土地が高くなる経済の波で撤去されてしまった。

おじさんは年老いて消えて誰もパン屋を継ぐことはなかった。

彼の信仰は彼がいなければ誰も信仰することはなかった。

誰も彼の愛したものを護ることなんて考えもしなかった。

家の中の玄関の扉に緑色の妖精がしがみついていた。
朝、早くて気が付かなかったが、休日になって寝坊して玄関を出た時、外側の取っ手の上の方に15センチくらいの妖精がいたのだ。
顔は扉の方を向いてわからなかったが、来ているのはすべて緑。上着はそのままスカートのようでその方の辺りから透き通った・・・いやこれもやや緑かかった虫の羽が生えていた。
そこにしがみついているとなんか目障りに思えた。だけどどうも固まって死んでるかと思って少し眺めたら微妙に生きているみたいだ。
触るのは少し遠慮した。なんか怖く感じたからだ。
それ以来、今日は家に入って二度と確認はしていない。
明日は暗いうちに早いしまた見ないで出勤するのだろう。
しかし、なんでしがみついていたのだろう。
別に扉にしがみつかなくても玄関の外には座れる場所があるというのに。
できたら他の生き物のように干からびてミイラになる前に帰ってほしいものだ。

・・・・セミから子オニまでみんなしがみついて干からびている。

これじゃあちっこいホイホイである。

「この背後から首を絞める行為は一番多いです。著作権に引っかかります」
「この新幹線からジャンプして転落する展開は著作権に引っかかります」
「このトイレでガス爆発を起こす展開は著作権に引っかかります」
「この展開は・・・・著作権に」
著作権に
著作権に








「おい、なんだこの死に方」
刑事はつぶやいた
「トイレで入浴の最中新聞紙にソーセージが包みそれを凍らして心臓に突き刺さしている」
残念ながら著作権に引っかかっています。








「奥さん、ご主人の死因は何ですか?」
「著作権です」

人間、死に方もいろいろである。

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