2013年08月04日

須貝英脱退、爺隠才蔵休団についてのお知らせ

【箱庭円舞曲からの大切なお知らせ】


こんにちは古川です。

突然ではございますが、箱庭円舞曲の劇団員、須貝英が脱退いたします。
また、同劇団員、爺隠才蔵が休団いたします。

箱庭円舞曲も、旗揚げから13年が経ちました。長いこと続けていると色々ありますね。
僕が志半ばでやめたことがあるのは、ピアノとZ会とバイトと落ち研くらいなので、
劇団を脱退するということがどういうことなのか、休むということがどういうことなのか、
いまいちピンと来ていない部分があります。

もちろん過去に所属してくれていたメンバーが去る折も、
やめるだのやめるなだのやめてほしくないだの、
これからどうしていくのかだのと色んな話をし、受け入れてきました。
そこで引き留めて心にわだかまりを持ったまま続けることは、
お互いの精神衛生上良くないことは経験的に学んでいたので、
最終的には本人の意志を汲んで承諾してきました。
迷っている時は迷っているという意思を尊重し、
一回公演をお休みしたいという時はその意志を尊重してきました。

ちょっと、優し過ぎるのかもしれません。
でも、それを覆せるだけの理由もポジティブなメリットもありません。
本人がそう思ってしまっている時点で、どうしようもなく抗えないものだと思っています。
僕自身がそうだからかもしれません。
何かを決断する時に、誰かからの説得で考えを翻したことはほとんどありません。
最も尊重すべきは、本人の意志だと思っています。
今回もそうです。


須貝英は、2006年の第七楽章「みんな私のことが好き」で初出演、2007年から正式に劇団員として所属。
舞台上劇場外問わず、優秀なスキルを如何なく発揮してくれました。
事務作業も得意で、ことあるごとに頼っていました。
自分がやれることは「それやりますよ」と言ってくれる稀有な人材でした。

簡単にうぬぼれるし、かと思えば自分はもう終わりだ、と簡単に絶望する忙しい男です。
これからは自身の団体の長になるわけですから、うぬぼれ過ぎず、絶望し過ぎず、
素敵な作品を作っていって欲しいと思います。
僕に出来ることは、須貝に「あの時やめて損した」と思われるような作品を創り続けるのみです。

やめる理由については、本人のブログをご参照ください。
http://lab.minibird.jp/sugaiei/?p=1608
※なお、須貝は8月30日からの第二十楽章「僕にしてみれば正義」には出演いたします。
 劇団員として最後の出演となります。


爺隠才蔵は、2006年の第八楽章「実家に帰ります」で初出演、2008年から劇団員として所属。
独特の風貌と持ち前のエンターテイメント精神で作品の色を支えつつ、Web系の作業も一手に担ってくれました。
箱庭円舞曲のWebsiteが唐突にお洒落に様変わりしたのも爺隠のお蔭です。
あと「箱庭に出たいけど爺隠さんが居てキャラが被るから出られない!」と嘆く役者さんにしばしば会いました。
そんなに被ってるとは思わなかったのですが、そんだけの濃度をきちっと醸していたんですね。

既婚者で子持ちで、自分の稼ぎで湘南に戸建ての家まで買って、
しかもバリバリ演劇をやっているという、何をどうしたらそんなこと出来るんだ??といつも疑問でしたが、
僕ができない“日本人”としての経験をいくつも重ねていて、正直、敵わないなあ、と感じていた男です。
爺隠がいつか快く戻って来られる環境を作れるよう、もっとしっかりと劇団を運営していく所存です。

休団の理由については、本人のブログをご参照ください。
http://blog.livedoor.jp/jijisaizonet/archives/52055715.html


詳細な理由は、それぞれが述べた通りです。

いつも居た人が去って行くというのは、そこに肉体が無いということよりも、
居ないことによる何かを実感した時に一番しんどいもの。
次のスズナリ公演「僕にしてみれば正義」に向かって一丸となって稽古している今は、
爺隠の居ない寂しさを感じていますし、公演が終われば、須貝が居ない寂しさを感じるのでしょう。

喧嘩別れではなく、きっちりと話し合った上での脱退と休団です。
須貝は3月の時点で、爺隠は4月の時点で、既にはっきりしていました。
発表がこんなタイミングになってしまい、あいすみません。
「僕にしてみれば正義」の稽古が風雲急を告げているとか、
そういう下世話な展開ではありませんので、悪しからずご了承ください。

よく、バンドの解散の理由に「音楽性の違い」とか挙げられてますけど、そんなの当たり前なんですよね。
それぞれにそれぞれが大切にしているものがあって、それが各々の方向性の指針にもなっていている。
はなっからそれぞれが違う方向を向いているのに、一つところで何かに向かって頑張る。
だから、方向性の足並みが揃うことなんてそうそうあるもんじゃないんです。
ただ、それぞれが30代前後という、人生の転換期に差し掛かるにあたって、
やはりそれぞれに考えるところがあったということです。

楽しいだけじゃ続けられない年頃に差し掛かりました。
たくさんの人に観に来てもらい、たくさんの人に喜んでもらいたい、
そんな綺麗ごとだけでは続けていけない年齢ということです。
僕自身、前しか見ないで我武者羅に走れているかというと、そんなことはありません。
毎日のように来た道を振り返り、そんなこと意味がないと知りながら、この道が合っているかどうか確認し、
これからどうしていくか一手一手考えて、しかし結局その時の勘と勢いで前へ、前へと進んでいるだけです。

何だか故人を送るような文章になってしまいましたが、
別にこれっきり二度と会わないとかそういうことではありませんので、悪しからず。
きっとまた普通に酒を飲んであーでもないこーでもないと芝居について語り合い、
終電を逃し、誰の家とも知れぬ場所で雑魚寝し、
冷静な須貝は頃合いを見計らって帰ろうと支度をし、前後不覚の爺隠は寝ながら喋り続け、
それを眺めながら、ああ、馬鹿で楽しい友人を持ったなあ、と古川は一人悦に入るのでしょう。

須貝は、自身の団体 monophonic orchestra で作・演出をしつつ、役者としても頑張っていきます。
爺隠は、ひとまず演劇から距離を置きつつも、一つ目指しているものがあるようです。
古川は、これからも箱庭円舞曲として演劇を創り続けていきます。


須貝、爺隠のこれからの人生と、
これからの箱庭円舞曲をどうぞよろしくお願いいたします。


ほんとなら、こんな文章 一生に 一度も書かず 済めばいいのに。


箱庭円舞曲 代表:古川貴義

hakoniwa_enbukyoku at 09:00│Comments(0)TrackBack(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック  

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