2019年10月10日

台風が吹き飛ばす結婚式

友人が、今週末に予定していた結婚式の延期を決めた。
台風の影響だ。
地方での開催ということもあり、JRの計画運休もささやかれる中、来場者の移動の足を気遣ってくれたのだろう。

苦渋の決断だったと思う。

人生の大一番を、延期したのだ。
結婚式は、新郎と新婦が完全なる主役になれる、人生でも数少ない機会だ。
一般の方々であれば特に、一生に一回経験できるか否かの大舞台である。
そのたった一日、数時間のために、準備に半年以上を掛け、あれやこれやを決め、列席者に楽しんでもらおうと知恵を絞り、あーでもないこーでもないと喧々諤々やり合い、ようやく漕ぎ着ける本番。
その本番を、中止にし、延期したのだ。
たまたま、台風が来そうだから。
悔しかっただろうと思う。


昨年9月30日、育休前の公演『父が燃えない』@浅草九劇の千秋楽が、台風に見舞われた。計画運休で電車が全路線ストップするかもしれない!という大騒ぎの中、「千秋楽の上演はいたしますが、お客様の帰り道の保障ができません。ご来場の判断は、お客様にお任せいたします。」というようなアナウンスを行った。払い戻しも受ける準備はしていたが、何よりも千秋楽にぶつかったことで、別なステージへの振替も出来ず、心苦しかった。
2011年3月には、3月20日前後に上演予定だった外部脚本演出公演が、3月11日の地震と、それに続く震災の影響で無期限延期になった。前年夏に、泣きながら、地獄を這いつくばるように書いた渾身の戯曲(初めての時代劇)だったが、いまだに上演されていない。

それでも、今、僕は、違う作品を創ってお客様に届けることが出来ている。
その都度全力だが、失敗しても災害に見舞われても、次の機会がある。
しかし、結婚式はそうはいかない。台風で大嵐でドレスびしょびしょお客さんみんな帰宅難民今回はたくさんの人に迷惑掛けちゃったからもう一回やりまーす!とはいかない。
一回しかできないのだ。その二人での、その列席者での、その日の式は。


周りを見渡せば、晩婚化が進み生涯未婚率も上がっている。
「式を挙げないでささやかな食事会で済ませました」的な二人もよく見掛ける。
結婚式という、時間も掛かってお金も掛かって気も遣って念入りな準備が必要になる、あの面倒くささの数万倍の、言葉にしえない多幸感に包まれてなんかもう全部オッケー人生何とでもなりそうこの空間がずっと続けば良いのに!っていう超謎の体験をする人が、今の日本では物凄く減っているようなのだ。
結婚式は挙げた方がいいよとか、独身者に結婚相手探せとか言いたいのではなくて。

結婚式自体が、ただでさえ貴重かつ唯一に近い機会なのに、それが出来ないという思いに想いを馳せる嵐の前夜。
「中止」でも「強行」でもなく、「延期」という判断を選んだ彼らに、心からのエールと祝福を。



ほんとに凄そうですね今度の台風。
皆様も、くれぐれもお気を付けください。

hakoniwa_enbukyoku at 20:00│Comments(0) このエントリーをはてなブックマークに追加 mixiチェック Clip to Evernote

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