私の男私の男
著者:桜庭 一樹
販売元:文藝春秋
(2007-10-30)
販売元:Amazon.co.jp
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お父さんからは夜の匂いがした。
狂気にみちた愛のもとでは善と悪の境もない。暗い北の海から逃げてきた父と娘の過去を、美しく力強い筆致で抉りだす著者の真骨頂『私の男』。


桜庭一樹作品、2つ目。
直木賞受賞作品だということは知っていた。
義父と娘の物語だということも。

前に読んだ「少女には向かない職業」とこちらの作品に共通するものは、海。
あちらは瀬戸内海、こちらは北海道。
偶然なのか、それとも桜庭さん自身が海の近くに住んでいたのか。
偶然といえば、津波、まさか出てくるとは思わなかった。
大きな災害で家族を亡くしたというのは書いてあったけど、地震だろうなとしか思っていなかったから、津波だった(正確には地震からの津波)と知ったときには少し驚いた。

この物語は5章からなっている。
章を経るごとに年代が遡る。
主人公である腐野花の結婚式から始まり、花と父親である淳吾の出会いで終わる。
この2人、義理の親子ということになっているけれど、本当は実の親子。
淳吾が15歳の時、花の両親の元に預けられたときにできたのが花。
中学生とデキちゃうとかどういう状況だよ、と思わなくもない。
(父親も、花が自分の子供ではないことは知っていたみたいだし、ほんと、どういう状況だったんだろう)
花が9歳のとき津波で家族全員を亡くし、そこに現れた淳吾が花を引き取った。
そしてすぐに近親相姦の関係ができあがる。
近親相姦も9歳の女の子に手を出すのも、どちらも問題なのだけど、時を遡っているためかそれほど気持ち悪さは感じない。
感じるのは哀れさ。
花が淳吾に抱く強い気持ち。
特に3章で、秘密を知った人物を殺してしまうところ。
一生結婚なんてしない、淳吾と同じ墓に入るんだ!と叫ぶ高校一年生の花。
そのときの花は淳吾だけだった、淳吾を愛していた。
だけど1章の花は結婚する、淳吾を憎んでもいる。
淳吾の支配から抜け出した、でも絆は残っている。
花は一種のストックホルム症候群にかかっているように思えてならない。
虐待されても両親を愛する子供のように。(というかまさにそれなんだけど)

一方の淳吾。
実の娘の中に得られなかった母親像を求めた。
こちらも哀れといえば哀れなんだけど、まあ……うん。


もし、花が男の子だったら淳吾はどうしたんだろう。
関係が同じだとBLになる気がするような。
男女の近親相姦よりも男男(もしくは女女)の近親相姦のほうがどちらかといえば受け入れやすいのは、どう間違っても子供が出来ないところに起因しているのかな。


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